WO2012042601A1

WO2012042601A1 - スライドファスナー

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Publication number: WO2012042601A1
Application number: PCT/JP2010/066868
Authority: WO
Inventors: 志宇任
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2010-09-28
Filing date: 2010-09-28
Publication date: 2012-04-05
Also published as: TWI440438B; CN103228166A; CN103228166B; US20130174388A1; US9237782B2; TW201212846A

Abstract

　伸縮性の高い衣料にスライドファスナーを取り付けたとしても、ファスナーエレメントの噛合強度を確保することができるスライドファスナーを提供する。　一対のファスナーテープ２０と、一対のファスナーテープ２０のテープ側縁部２０ｂに沿って列設される複数のファスナーエレメント３１と、隣り合う複数のファスナーエレメント３１同士を連結する連結糸２２と、をそれぞれ有し、テープ側縁部２０ｂにそれぞれ縫着される一対のファスナーエレメント列３０と、一対のファスナーエレメント列３０を噛合又は分離させるスライダー４０と、を備え、ファスナーエレメント３１は、胴体部３３と、胴体部３３からテープ幅方向に延設される首部３４と、首部３４の先端部から更にテープ幅方向に延設される噛合頭部３５と、首部３４のテープ長さ方向両側に設けられ、相手側の噛合頭部３５と接触する一対の肩部３６と、を有し、一対のファスナーテープ２０がテープ長さ方向に伸縮性を有する。

Description

スライドファスナー

　この発明は、スライドファスナーに関し、特に、運動着又は水着などの伸縮性を有する衣料に好適に使用されるスライドファスナーに関する。

　スライドファスナーは、ファッション衣料又は下着類などの一般衣料をはじめとして、近年では運動着又は水着などの伸縮性を有する衣料（以下、「伸縮性衣料」とも言う。）にも使用されている。そして、このような伸縮性衣料に使用されるスライドファスナーには、伸縮性衣料と同様に伸縮性が求められる。

　従来の伸縮性を有するスライドファスナーとしては、伸縮性を有するファスナーテープのテープ側縁部に沿ってコイル状のファスナーエレメント列が縫着されるものが知られている（例えば、特許文献１参照）。

日本国特開２００８－４３４３２号公報

　しかしながら、上記特許文献１に記載のスライドファスナーでは、コイル状のファスナーエレメント列の各噛合頭部が、成形時に押圧されることにより成形されるため、噛合頭部の大きさなど、所望の形状を確保するには成形上の制約がある。そして、この制約により、伸縮性のより高い衣料にスライドファスナーを取り付ける場合、その伸縮の大きさによっては、ファスナーエレメントの噛合強度が不足して、噛合状態が維持できなくなる可能性があった。

　本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、伸縮性の高い衣料にスライドファスナーを取り付けたとしても、ファスナーエレメントの噛合強度を確保することができるスライドファスナーを提供することにある。

　本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）一対のファスナーテープと、一対のファスナーテープの対向するテープ側縁部のテープ長さ方向に沿って列設される複数のファスナーエレメントと、テープ長さ方向で隣り合う複数のファスナーエレメント同士を連結する連結糸と、をそれぞれ有し、テープ側縁部にそれぞれ縫着される一対のファスナーエレメント列と、一対のファスナーエレメント列を噛合又は分離させるスライダーと、を備えるスライドファスナーであって、ファスナーエレメントは、ファスナーテープに縫着される胴体部と、胴体部からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープに向かう方向に延設されると共にテープ長さ方向に括れる首部と、首部の先端部から更にテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープに向かう方向に延設されると共にテープ長さ方向に膨大し、相手側のファスナーエレメントと噛合可能な噛合頭部と、首部のテープ長さ方向両側に設けられ、噛合状態において、相手側の噛合頭部と接触する一対の肩部と、を有し、一対のファスナーテープがテープ長さ方向に伸縮性を有することを特徴とするスライドファスナー。
（２）噛合頭部のテープ長さ方向の寸法は、一対の肩部の先端部間のテープ長さ方向の寸法よりも大きく設定されることを特徴とする（１）に記載のスライドファスナー。
（３）ファスナーエレメントは、ファスナーテープに接触する第１面部と、第１面部の反対側に位置する第２面部と、を有し、第１面部は、胴体部、首部、及び噛合頭部を有し、第２面部は、胴体部、一対の肩部、及び胴体部からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープに向かう方向に延設され、先端に向かうに従ってテープ長さ方向の寸法が漸次減少する頭部を有することを特徴とする（１）又は（２）に記載のスライドファスナー。
（４）連結糸が伸縮性を有することを特徴とする（１）～（３）のいずれか１つに記載のスライドファスナー。
（５）一対の肩部の先端部は、テープ幅方向において、胴体部よりも噛合頭部側に配置されることを特徴とする（１）～（４）のいずれか１つに記載のスライドファスナー。

　本発明のスライドファスナーによれば、ファスナーエレメントは、ファスナーテープに縫着される胴体部と、胴体部からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープに向かう方向に延設されると共にテープ長さ方向に括れる首部と、首部の先端部から更にテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープに向かう方向に延設されると共にテープ長さ方向に膨大し、相手側のファスナーエレメントと噛合可能な噛合頭部と、首部のテープ長さ方向両側に設けられ、噛合状態において、相手側の噛合頭部と接触する一対の肩部と、を有し、一対のファスナーテープがテープ長さ方向に伸縮性を有するため、伸縮性の高い衣料にスライドファスナーを取り付けたとしても、ファスナーエレメントの噛合強度を確保することができ、一対のファスナーエレメント列の噛合状態を維持することができる。

本発明に係るスライドファスナーの第１実施形態を説明する表面図である。ファスナーテープの織組織を模式的に示す組織図である。噛合していない状態のファスナーエレメント列の拡大斜視図である。図３に示すファスナーエレメント列の表面図である。図３に示すファスナーエレメント列の裏面図である。図３のＡ－Ａ線断面図である。ファスナーエレメントの裏面図である。ファスナーエレメント列の通常の噛合状態を示す拡大裏面図である。スライドファスナーが伸ばされたときのファスナーエレメント列の噛合状態を示す拡大裏面図である。第１実施形態のスライドファスナーの変形例を説明するファスナーエレメントの裏面図である。本発明に係るスライドファスナーの第２実施形態を説明するファスナーエレメント列の表面図である。

　以下、本発明に係るスライドファスナーの各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以後の説明において、ファスナーテープに関しては、表側とは図１の紙面に対して手前側（後述するスライダーの上側で引手を備える側）、裏側とは図１の紙面に対して奥側（後述するスライダーの下側で引手を備えない側）、前側とは図１の紙面に対して上側（後述するファスナーエレメント列を噛合させるようにスライダーを移動する方向側）、後側とは図１の紙面に対して下側（後述するファスナーエレメント列を分離させるようにスライダーを移動する方向側）、左側とは図１の紙面に対して左側、右側とは図１の紙面に対して右側とし、スライダーに関しては、上側とは図１の紙面に対して手前側、下側とは図１の紙面に対して奥側、前側とは図１の紙面に対して上側、後側とは図１の紙面に対して下側、左側とは図１の紙面に対して左側、右側とは図１の紙面に対して右側とする。ここで、表裏方向とは、ファスナーテープの面に垂直な方向で、左右方向とは、ファスナーテープの面に水平で前後方向に直交する方向である。また、ファスナーテープ及びスライダーの左右方向は幅方向とも言う。また、ファスナーテープの前後方向は長さ方向とも言う。また、テープ長さ方向とはファスナーテープの長さ方向、テープ幅方向とはファスナーテープの幅方向のことである。

　また、本発明において、伸縮性とは、荷重を加えたときに延びると共に、この荷重を解放したときに、荷重を加える前の状態に戻ろうとして収縮する性質のことである。

（第１実施形態）
　まず、図１～図１０を参照して、本発明に係るスライドファスナーの第１実施形態について説明する。

　本実施形態のスライドファスナー１０は、図１及び図２に示すように、テープ本体部２０ａ及びテープ側縁部２０ｂをそれぞれ有すると共に、テープ側縁部２０ｂが左右方向に並列して対向配置される左右一対のファスナーテープ２０と、テープ側縁部２０ｂにそれぞれ縫着され、複数のファスナーエレメント３１を有するファスナーエレメント列３０と、左右のファスナーエレメント列３０を噛合又は分離させるスライダー４０と、左右のファスナーエレメント列３０の前側端部のファスナーエレメント３１のそれぞれを覆って射出成形される上止部１１，１１と、左右のファスナーエレメント列３０の後側端部のファスナーエレメント３１の両方を覆って射出成形される下止部１２と、を備える。なお、下止部１２は、蝶棒、箱棒、及び箱体からなる開離嵌挿具であってもよい。また、図１及び図３においては、各部を表すために後述する縫い糸２５は省略されている。

　ファスナーテープ２０は、図２に示すように、織製により織成されており、テープ本体部２０ａ及びテープ側縁部２０ｂに、経糸として弾性糸（伸縮性糸）２３と非弾性糸（非伸縮性糸）２４が所定の割合で織り込まれている。このため、ファスナーテープ２０はテープ長さ方向に伸縮性を有する。なお、ファスナーテープ２０は編製であってもよく、この場合、経方向の編糸（経挿入糸、鎖編糸、及びトリコット編糸など）を伸縮性の糸にする。また、本実施形態では、経糸にのみ弾性糸２３を使用しているが、緯糸にも弾性糸２３を使用して、ファスナーテープ２０を幅方向にも伸縮するようにしてもよい。また、本実施形態では、テープ本体部２０ａと比較してテープ側縁部２０ｂに多く弾性糸２３が配置されているが、全体的に均一になるように弾性糸２３を配置してもよく、また、経糸全てを弾性糸２３にしてもよい。

　弾性糸２３には、ポリウレタン弾性糸にポリエステルフィラメント糸を巻き付けることにより構成されたスパンデックスのカバードヤーン、エラストマーからなるゴム糸、及びゴム糸に紡績糸やフィラメントを巻き付けることにより構成されたカバードヤーンなどが使用される。また、非弾性糸２４には、ポリエステル加工糸が使用されている。また、弾性糸２３と非弾性糸２４に同じ荷重を加えたとき、弾性糸２３は非弾性糸２４よりも伸びる。また、弾性糸２３は、１ｋｇｆの荷重を加えたときに５％以上伸びる糸であり、好ましくは、１ｋｇｆの荷重を加えたときに１０％以上伸びる糸である。さらに、より高い伸縮性を求める場合、スライドファスナー１０は、１ｋｇｆの荷重を加えたときに２０％伸長することが好ましく、その伸縮性に合致する糸を使用することができる。

　さらに、ファスナーテープ２０の裏面にフィルムやコーティングによって防水層を形成してもよい。この場合、ファスナーエレメント３１を裏面側にして使用することにより、雨水が浸入し難い、防水性能を有するスライドファスナー１０とすることができる。なお、防水層は、エラストマー性の樹脂材料（熱可塑性エラストマーなど）からなるため、ファスナーテープ２０の伸縮性を妨げることはない。

　ファスナーエレメント列３０は、ファスナーテープ２０のテープ側縁部２０ｂの長さ方向に沿って１列に整列され互いに独立する複数のファスナーエレメント３１と、隣り合うファスナーエレメント３１間を連結し、互いに平行且つファスナーテープ２０の幅方向に並んで配置され、伸縮性を有する一対の連結糸２２とから構成される。また、複数のファスナーエレメント３１は、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いて、一対の連結糸２２上に等間隔に射出成形され、一対の連結糸２２がファスナーエレメント３１にインサート成形されている。なお、ファスナーエレメント３１は、上記した合成樹脂製に限定されず、金属製であってもよい。

　そして、ファスナーエレメント列３０は、図２及び図６に示すように、各ファスナーエレメント３１が、ファスナーテープ２０の幅方向に並んで配置される２本の縫い糸２５によって、ファスナーテープ２０のテープ側縁部２０ｂの表面に沿って縫い付けられることでファスナーテープ２０に取り付けられる。また、２本の縫い糸２５は、二重環縫いであって、隣り合うファスナーエレメント３１の表面を、ファスナーテープ２０の長さ方向に跨いだ後、そのファスナーエレメント３１の間で、ファスナーテープ２０に縫い付けられ、これにより、ファスナーエレメント３１の表面に環状の縫い糸２５が配置されると共に、ファスナーエレメント３１がファスナーテープ２０に縫い付けられている。また、縫い糸２５は、３本であってもよい。

　ファスナーエレメント３１は、図３～図７に示すように、ファスナーテープ２０に接触する第１面部である裏面部３２Ａと、裏面部３２Ａの反対側に位置し、表側に配置される第２面部である表面部３２Ｂと、を備える。

　裏面部３２Ａは、図５に示すように、ファスナーテープ２０に縫着される胴体部３３と、胴体部３３からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設されると共に、テープ長さ方向に括れる首部３４と、首部３４の先端部から更にテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設されると共に、テープ長さ方向に膨大し、相手側のファスナーエレメント３１と噛合可能な噛合頭部３５と、を備える。そして、噛合頭部３５は、左右のファスナーエレメント列３０が噛合するとき、隣り合うファスナーエレメント３１の首部３４と噛合する。

　胴体部３３は、平面視でファスナーテープ２０の幅方向に長い略長方形状の立方体であり、この胴体部３３の噛合頭部３５と反対側の端面には、ファスナーテープ２０の長さ方向及び表裏方向の中央部が噛合頭部３５と反対側に向かって膨出する略球面状の突曲面３３ａが形成されている。これにより、スライダー４０の操作時に、スライダー４０に突曲面３３ａが摺接するので、スライダー４０と突曲面３３ａとの接触面積は平坦面である場合よりも小さくなる。このため、スライダー４０を移動させる際の摺動抵抗を少なくすることができるので、小さな力でスライダー４０を操作することができる。

　また、図６に示すように、胴体部３３の裏面（ファスナーテープ２０に接触する面）の一対の連結糸２２間には、表面部３２Ｂ方向に凹状に湾曲する湾曲部３３ｂが形成されている。これにより、ファスナーテープ２０が胴体部３３の湾曲部３３ｂに密着するように縫着されるので、ファスナーテープ２０とファスナーエレメント３１との取付強度が向上する。

　表面部３２Ｂは、図３及び図４に示すように、上記胴体部３３と、胴体部３３からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設され、先端に向かうに従ってテープ長さ方向の寸法が漸次減少する、平面視略三角形状の表側頭部３６と、表側頭部３６の一部であり、首部３４のテープ長さ方向両側に設けられ、噛合状態において、相手側の噛合頭部３５の上面（表面）と接触する一対の表側肩部３６ａと、を備える。即ち、表側頭部３６は、裏面部３２Ａの首部３４及び噛合頭部３５の表側部分に形成され、一対の表側肩部３６ａは、平面視において、相手側の噛合頭部３５と重なる位置に形成される。

　また、表側肩部３６ａのテープ長さ方向で、隣り合うファスナーエレメント３１に近づく側の端部を先端部とする。図７に示す例では、表側肩部３６ａの先端部は、胴体部３３から噛合頭部３５側に向かって一旦、テープ長さ方向の寸法が漸次増加し、その後、噛合頭部３５のテープ幅方向の先端に向かって、テープ長さ方向の寸法が漸次減少することで形成される。つまり、表側肩部３６ａの先端部は、図７に示すように、テープ長さ方向の寸法が漸次増加する部分と、テープ長さ方向の寸法が漸次減少する部分との境界位置に形成されている。また、本実施形態では、図７に示すように、一対の表側肩部３６ａの先端部は、テープ幅方向において、胴体部３３よりも噛合頭部３５側に配置されている。そして、表側肩部３６ａの先端部が噛合頭部３５側に配置されることにより、左右のファスナーエレメント３１が噛合した際に、突き上げに耐えるのに適する。

　また、胴体部３３の一対の連結糸２２間には、２本の縫い糸２５をそれぞれ収容するための２つの凹状の収容溝３７が、胴体部３３の表面及び両側面に連続して、且つ連結糸２２と平行に形成されている。これにより、２本の縫い糸２５は一対の連結糸２２間に配置される。そして、ファスナーエレメント３１の２つの収容溝３７に、２本の縫い糸２５がそれぞれ収容されているので、２本の縫い糸２５がファスナーエレメント３１から脱落することはない。

　一対の連結糸２２は、ファスナーテープ２０の長さ方向で隣り合うファスナーエレメント３１の胴体部３３同士を連結しており、それぞれの胴体部３３の噛合頭部３５側を連結する一方の連結糸と、その一方の連結糸とテープ幅方向に間隔を置いて、それぞれの胴体部３３の噛合頭部３５から離間する側を連結する他方の連結糸と、を有する。また、連結糸２２は、ファスナーエレメント３１の表裏方向の厚さよりも薄く、胴体部３３の側面から、ファスナーテープ２０の長さ方向に沿って延びている。連結糸２２の断面形状は、円形状に限らず、四角形状や楕円形状であってもよい。

　スライダー４０は、図１に示すように、スライダー本体４１と、スライダー本体４１上に設けられる引手取付部４２と、引手取付部４２に揺動自在に取り付けられる引手４３と、を備える。そして、引手４３を引いてスライダー４０を前方（上止部１１方向）に移動すると、分離状態の左右一対のファスナーエレメント列３０が互いに噛合し、後方（下止部１２方向）に移動すると、噛合状態の左右一対のファスナーエレメント列３０が分離する。

　また、図５に示すように、複数のファスナーエレメント３１のテープ長さ方向の中心線ＣＬ間のテープ長さ方向の寸法Ｐは、隣り合う胴体部３３，３３間の隙間寸法Ｓが適切に確保できるように設定される。この設定は、隙間寸法Ｓが小さく設定されると、ファスナーエレメント３１をファスナーテープ２０に縫着し難くなると共に、スライダー４０で一対のファスナーエレメント列３０を噛合する時に、隣り合うファスナーエレメント３１同士が接触して、ファスナーエレメント３１が所定の姿勢にならず、円滑な噛合を確保できないためである。

　また、図７に示すように、ファスナーエレメント３１の噛合頭部３５のテープ長さ方向の寸法Ｈは、一対の表側肩部３６ａの先端部間のテープ長さ方向の寸法Ｌ１より大きく設定されている。

　さらに、裏面部３２Ａの胴体部３３の噛合頭部３５側端部に一対の裏側肩部３３ｃが形成されており、この一対の裏側肩部３３ｃ間のテープ長さ方向の寸法Ｄは、一対の表側肩部３６ａの先端部間のテープ長さ方向の寸法Ｌ１より小さく設定されている。つまり、寸法Ｄより寸法Ｌ１が大きく設定される。

　このように構成されるスライドファスナー１０では、図８及び図９に示すように、スライドファスナー１０が通常の噛合状態からテープ長さ方向に伸ばされたとしても、ファスナーエレメント３１の噛合頭部３５のテープ長さ方向の寸法Ｈが、一対の表側肩部３６ａの先端部間のテープ長さ方向の寸法Ｌ１より大きく設定されているため、左右のファスナーエレメント３１の噛合強度が確保され、左右一対のファスナーエレメント列３０の噛合状態が良好に維持される。

　以上説明したように、本実施形態のスライドファスナー１０によれば、ファスナーエレメント３１は、ファスナーテープ２０に縫着される胴体部３３と、胴体部３３からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設されると共にテープ長さ方向に括れる首部３４と、首部３４の先端部から更にテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設されると共にテープ長さ方向に膨大し、相手側のファスナーエレメント３１と噛合可能な噛合頭部３５と、首部３４のテープ長さ方向両側に設けられ、噛合状態において、相手側の噛合頭部３５と接触する一対の表側肩部３６ａと、を有し、一対のファスナーテープ２０がテープ長さ方向に伸縮性を有するため、伸縮性の高い衣料にスライドファスナー１０を取り付けたとしても、ファスナーエレメント３１の噛合強度を確保することができ、一対のファスナーエレメント列３０の噛合状態を維持することができる。

　また、本実施形態のスライドファスナー１０によれば、噛合頭部３５のテープ長さ方向の寸法Ｈが、一対の表側肩部３６ａの先端部間のテープ長さ方向の寸法Ｌ１よりも大きく設定されるため、スライドファスナー１０の伸長時においても、噛合頭部３５同士の噛み合いを確保することができ、また、噛合状態の左右のファスナーエレメント３１のテープ幅方向中央にテープ表裏方向の力が作用する、いわゆる、突き上げ状態に耐えることができる。

　また、本実施形態のスライドファスナー１０によれば、表面部３２Ｂは、胴体部３３からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設され、先端に向かうに従ってテープ長さ方向の寸法が漸次減少する表側頭部３６を有するため、表側頭部３６は平面視略三角形状に形成される。これにより、噛合状態のスライドファスナー１０を表裏方向の表側に曲げたとき、隣り合うファスナーエレメント３１同士が接触し難くなるので、スライドファスナー１０を曲げ易くすることができる。

　また、本実施形態のスライドファスナー１０によれば、一対の表側肩部３６ａの先端部は、テープ幅方向において、胴体部３３よりも噛合頭部３５側に配置されるため、表側肩部３６ａと相手側の噛合頭部３５との接触面積を大きく確保することができ、上記突き上げ状態に更に耐えることができる。

　なお、本実施形態の変形例として、図１０に示すように、ファスナーエレメント３１の一対の表側肩部３６ａの先端部より胴体部３３側をテープ幅方向と平行になるように平坦に形成して、一対の表側肩部３６ａの先端部間のテープ長さ方向の寸法Ｌ２を、上記した寸法Ｌ１よりも小さく、且つ、上記した一対の裏側肩部３３ｃ間のテープ長さ方向の寸法Ｄと略同一に設定してもよい。さらに、図１０に示すように、噛合頭部３５のテープ長さ方向の寸法Ｈが、上記寸法Ｌ２より大きく設定されている。これにより、一対の表側肩部３６ａのテープ長さ方向への張り出しが小さくなるので、スライドファスナー１０を更に曲げ易くすることができる。この変形例の表側肩部３６ａの先端部は、テープ幅方向に平行とし、その後、噛合頭部３５のテープ幅方向の先端に向かって、テープ長さ方向の寸法が漸次減少することで形成される。つまり、表側肩部３６ａの先端部は、図１０に示すように、平行な部分と、テープ長さ方向の寸法が漸次減少する部分との境界位置に形成されている。

（第２実施形態）
　次に、図１１を参照して、本発明に係るスライドファスナーの第２実施形態について説明する。なお、第１実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態では、上記ファスナーエレメント３１の代わりに図１１に示すファスナーエレメント５１が使用されている。このファスナーエレメント５１は、表裏同一形状であり、２本の縫い糸２５を収容する幅広の１つの収容溝５２が表面及び両側面に連続して形成される胴体部５３と、胴体部５３からテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設されると共に、テープ長さ方向に括れる首部５４と、首部５４の先端部から更にテープ幅方向且つ相手側のファスナーテープ２０に向かう方向に延設されると共に、テープ長さ方向に膨大する噛合頭部５５と、首部５４のテープ長さ方向両側に形成される一対の肩部５６と、噛合頭部５５の先端部に形成され、相手側のファスナーエレメント５１の肩部５６が嵌合する肩部収納溝５７と、を備える。また、本実施形態では、連結糸２２は、胴体部５３のテープ幅方向略中央に１本配置されている。なお、ファスナーエレメント５１は、上記ファスナーエレメント３１と同様に２本の縫い糸２５によってファスナーテープ２０に縫い付けられる。また、本実施形態においても、噛合頭部５５のテープ長さ方向の寸法は、一対の肩部５６間のテープ長さ方向の寸法より大きく設定されている。
　その他の構成及び作用効果については、上記第１実施形態と同様である。

　なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
　例えば、上記実施形態において、ファスナーエレメント３１の裏面部３２Ａを平坦面に形成して、湾曲部３３ｂが形成されないようにしてもよい。
　また、連結糸２２を非弾性糸とし、ファスナーテープ２０への縫着時に、連結糸２２をファスナーテープ２０の伸縮に応じて撓ませる（余らせる）ようにしてもよい。

　　１０　　スライドファスナー
　　２０　　ファスナーテープ
　　２０ａ　テープ本体部
　　２０ｂ　テープ側縁部
　　２２　　連結糸
　　３０　　ファスナーエレメント列
　　３１　　ファスナーエレメント
　　３２Ａ　裏面部（第１面部）
　　３２Ｂ　表面部（第２面部）
　　３３　　胴体部
　　３４　　首部
　　３５　　噛合頭部
　　３６　　表側頭部（頭部）
　　３６ａ　表側肩部（肩部）
　　４０　　スライダー
　　　Ｈ　　噛合頭部の長手方向の寸法
　　Ｌ１　　表側肩部の先端部間のテープ長手方向の寸法

Claims

　一対のファスナーテープ（２０）と、
　前記一対のファスナーテープの対向するテープ側縁部（２０ｂ）のテープ長さ方向に沿って列設される複数のファスナーエレメント（３１）と、前記テープ長さ方向で隣り合う前記複数のファスナーエレメント同士を連結する連結糸（２２）と、をそれぞれ有し、前記テープ側縁部にそれぞれ縫着される一対のファスナーエレメント列（３０）と、
　前記一対のファスナーエレメント列を噛合又は分離させるスライダー（４０）と、を備えるスライドファスナー（１０）であって、
　前記ファスナーエレメントは、
　前記ファスナーテープに縫着される胴体部（３３）と、
　前記胴体部からテープ幅方向且つ相手側の前記ファスナーテープに向かう方向に延設されると共に前記テープ長さ方向に括れる首部（３４）と、
　前記首部の先端部から更に前記テープ幅方向且つ相手側の前記ファスナーテープに向かう方向に延設されると共に前記テープ長さ方向に膨大し、相手側の前記ファスナーエレメントと噛合可能な噛合頭部（３５）と、
　前記首部の前記テープ長さ方向両側に設けられ、噛合状態において、相手側の前記噛合頭部と接触する一対の肩部（３６ａ）と、を有し、
　前記一対のファスナーテープが前記テープ長さ方向に伸縮性を有することを特徴とするスライドファスナー。
　前記噛合頭部（３５）の前記テープ長さ方向の寸法（Ｈ）は、前記一対の肩部（３６ａ）の先端部間の前記テープ長さ方向の寸法（Ｌ１，Ｌ２）よりも大きく設定されることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー。
　前記ファスナーエレメント（３１）は、前記ファスナーテープ（２０）に接触する第１面部（３２Ａ）と、前記第１面部の反対側に位置する第２面部（３２Ｂ）と、を有し、
　前記第１面部は、前記胴体部（３３）、前記首部（３４）、及び前記噛合頭部（３５）を有し、
　前記第２面部は、前記胴体部、前記一対の肩部（３６ａ）、及び前記胴体部から前記テープ幅方向且つ相手側の前記ファスナーテープに向かう方向に延設され、先端に向かうに従って前記テープ長さ方向の寸法が漸次減少する頭部（３６）を有することを特徴とする請求項１又は２に記載のスライドファスナー。
　前記連結糸（２２）が伸縮性を有することを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載のスライドファスナー。
　前記一対の肩部（３６ａ）の先端部は、前記テープ幅方向において、前記胴体部（３３）よりも前記噛合頭部（３５）側に配置されることを特徴とする請求項１～４のいずれか１項に記載のスライドファスナー。