JP7188137B2 - ニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法 - Google Patents

ニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法に関し、より詳しくは、動作異常を早期発見して対応することにより、設備稼働効率を向上させると共に人手による修正操作を低減し、なおかつ設備の寿命を延長できるようにしたニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法に関する。
電解製錬法(「電解法」とも称される)による電気ニッケル板の製造工程では、まず、ニッケルとは別種の金属であって繰り返し使用できる材質(例えば、ステンレスやチタン等)の母板をカソードとして用い、ニッケルを厚さ0.5~1.5mmまで電着させ、剥ぎ取ったニッケル板を成形してニッケル種板(以下、単に「種板」ともいう)を得る。次に、厚さが1mm程度の薄い種板に懸垂用の吊り手とクロスビームを取付けてカソードを作製する。
そのカソードの表面に、電解槽内でニッケルを電着させて、厚さ10~15mmの電気ニッケル板を得る。電解槽は横長の立方体形状のタンクであり、その電解槽内にカソードを立てて平行に等間隔で並べた間に、アノード単体か、あるいはアノード隔膜で覆ったアノードが電解槽中で交互に挿入されるように配置される。この電解槽に不純物を含まない電解液を供給しつつ、アノードとカソード間に高電流を流すことによって、ニッケルの電解精製、又は電解採取が行われている。
上記電気ニッケル板は、純度が99.9重量%以上の高純度なものであるが、顧客における取扱いの容易性のため、さらに小片に切断して付加価値を高めた上で、荷造りされ出荷される。得られた電気ニッケル板は、切断工程にて、25~100mm角の角形に切断されたニッケルピース(矩形ピース)に製品化される。
また、特許文献1には、転写用紙の像担持体からの剥離不良を検知するための光学的検知手段の汚れを防止し、高寿命化を図るとともに、余分な保守作業の手間を省くようにした画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、以下のように構成されている。
まず、反射式光学センサが清掃手段により清掃されるようになっている。この清掃手段は、エアノズルが発光素子の発光面及び受光素子の受光面に向けて配置されたエア供給装置と、このエア供給装置にエアチューブを介して連結されたエアポンプとにより構成されている。エアポンプは装置の立ち上がり時及び装置の動作時において常時駆動される。発光素子及び受光素子の表面にはエアノズルを介してエア供給装置から一定風速のエアが吹き付けられ、表面にトナー等が付着することがない。これにより、所望の効果が得られるというものである。
また、特許文献2には、フィルムシートの剥離不良検知方法及びその装置が開示されている。特許文献2に記載された方法及びその装置は、ロールに対するフィルム又はシートの剥離不良を初期段階で自動検知可能にするものである。より具体的には、フィルム又はシートがロールから離れる正規剥離位置より若干下流側のロール表面の点に向けて放射エネルギ量測定手段を設け、ロールの表面とフィルム又はシートの放射率の差により、点がフィルム又はシートによって覆われているか否か、すなわち剥離不良を生じているか否かを検知する、というものである。
また、特許文献3には、種板自動剥ぎ取り方法およびその装置が開示されている。特許文献3の発明は、以下のことが開示されている。絶縁プロテクタの一部が可動式で、母板から取り外しでき、絶縁プロテクタの一部の取り外し時に、種板の端部が母板の表面から露出しているから、その露出部分からチス刃が確実に挿入でき、かつチス刃による種板の口開きが充分に行える。また、母板に対し口開き状態の種板を真空吸着パッドにより吸着し、1次剥離によって、種板を口開き側から剥ぎ取り、さらに2次剥離により完全に種板を剥ぎ取ることができるため、剥ぎ取り過程で種板に無理な力がかからず、大きな歪みや強い折り曲がりが発生せず、順次に引き剥がすことができ、種板の剥ぎ取り作業が機械的に能率よく行える。
特許文献3の発明によれば、これまで人手により行なっていた電着の強固な種板の剥ぎ取りが自動的かつ連続的に行なうことができると共に、従来二人で行なっていた作業が一人でできるようになり、単位工数あたりの処理能力が増大する、というものである。
特開平6-161179号公報 特開平5-149904号公報 特開2001-81591号公報
しかしながら、上述の文献1~3の何れも、ニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法に対し、動作異常、具体的には剥ぎ取るための起点となる捲り部の形成不良を早期発見して対応する技術は開示されていない。したがって、動作異常を早期発見して対応することにより、設備稼働効率を向上させると共に人手による修正操作を低減し、なおかつ設備の寿命を延長できるようにしたニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法が要望されていた。
母板の表面と、その表面に電着されたニッケル種板と、の間に、チス刃を挿入して母板からニッケル種板を剥がし始める。ここで、剥ぎ取るための起点となる捲り部をチス刃で剥ぎ起こし、少し捲れたその捲り部の近傍を吸着パッドで吸着しながら全体を引き剥がす、という一連の処理機能において、特に、チス刃の挿入部分に電着されたニッケル種板の厚さが薄い場合に、チス刃挿入不良、すなわち捲り不良が生じ易いという問題がある。
チス刃挿入不良が生じた種板が電着した母板は、人手による剥ぎ取り作業が行われる。
チス刃挿入不良が増加すれば、種板剥ぎ取り機の設備稼働率が低下すると共に、人手による剥ぎ取り作業が増加し、時間と手間を要する。また、人手による剥ぎ取り作業が増加すれば、種板の端部が刃物となって切創する危険性が増大する。
また、チス刃挿入不良が生じたために、捲り部が形成されない状態で、ニッケル種板を吸着パッドで無理にめくり開けようとした場合、あるいは剥ぎ取り工程に至る前に何らかの理由で母板からニッケル種板が脱落してしまい母板表面にニッケル種板がない場合、吸着面に対して横方向の擦るような力が加わる。次に、吸着パッドがニッケル種板から離れ、真空が破壊されるが、その時に吸着パッドの吸着面の表面を摩耗劣化させる。その結果、吸着パッドに穴開きや亀裂が生じるため、交換のための設備停止頻度が増加すると共に、吸着パッドの寿命が短縮されるという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ニッケル種板を母板から剥がす際、捲り部を形成するためのチス刃の挿入不良が低減できると共に、吸着パッドを長寿命化できるニッケル種板剥ぎ取り機を提供することにある。
本発明の一態様は、母板(10)への電着により形成されたニッケル種板(20)を前記母板(10)から剥ぎ取るための一連の処理機能(90)を備えたニッケル種板剥ぎ取り機(100)であって、
前記一連の処理機能(90)には、さらに、
前記ニッケル種板(20)が前記母板(10)に電着されていることを確認する種板検出手段(116)と、
前記母板(10)の表面(11,12)と該表面(11,12)に電着されたニッケル種板(20)との間に挿入して前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)を剥ぎ取るための起点となる捲り部(21)を開くチス刃(31)と、
該チス刃(31)に所定のタイミングでチス刃挿入動作を実行させるチス刃挿入装置(30)と、
前記チス刃(31)の挿入方向(J)に向けて刃先周辺(P)へ前記母板に平行に光線(R)を照射して、前記刃先周辺(P)に前記光線(R)を遮る遮光物体(22)の有無を前記所定のタイミングで検知する遮光物体検知手段(40)と、
前記遮光物体検知手段(40)から出力された信号(U)に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体(22)が検知されたならば、ス刃挿入合格と判定して、前記ニッケル種板(20)の表面(22)に吸着して傾転することで前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)の全体を剥ぎ取るように剥離動作を実行する真空吸着パッド機構(60)と、
ス刃挿入の合否判定に応じて前記一連の処理機能(90)を統括制御可能な制御部(50)と、
を備えたものである。
また、本発明の一態様において、前記制御部(50)は、前記種板検出手段(116)において、前記母板(10)表面に前記ニッケル種板(20)が電着されていない母板を検出したとき、前記ニッケル種板(20)が電着されていない母板面のみの前記遮光物体検知手段(40)及び前記真空吸着パッド機構(60)を停止させる、ことが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記種板検出手段(116)は光学装置であり、母板表面と種板表面の反射率の違い、または母板表面と種板表面の色の違いを光学的に検出して判定する、ことが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記制御部(50)は、前記遮光物体検知手段(40)が前記所定のタイミングで前記遮光物体(22)を検知できなければ、チス刃挿入不合格と判定すると共に、前記チス刃挿入装置(30)に前記チス刃挿入動作を再度実行させることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記制御部(50)は、前記チス刃挿入不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置(30)に前記チス刃挿入動作を前記チス刃挿入合格と判定するまで所定回数(N)まで実行させ、該所定回数(N)に達してもなお前記チス刃挿入不合格と判定された場合は、異常停止することが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記遮光物体検知手段(40)は、前記チス刃(31)の挿入方向に対して後方に位置する固定体(70)に固設された2組のレーザ距離センサ(41)を備え、
前記制御部(50)は、前記レーザ距離センサ(41)により前記遮光物体(22)までの距離を計測した測距値(D)が閾値(α)以下であれば、前記信号(U)により前記遮光物体(22)の存在を検知すると共に、前記チス刃挿入合格の情報を出力することが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記制御部(50)は、既設又は付設のPLC(programmable logic controller、シーケンサ)(80)で構成され、
該PLC(60)は、前記遮光物体検知手段(40)から出力された信号(U)が入力され、該信号(U)に基づいて前記一連の処理機能(90)に所定の動作を継続又は中断させるようにプログラム構成されることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記真空吸着パッド機構(60)は、複数の真空吸着パッド(61~66)を備え、これら複数の真空吸着パッド(61~66)は、前記ニッケル種板(20)を剥ぎ取るための起点となる前記捲り部(21)の近傍に位置するニッケル種板(20)の角部(25)から対角線(K)に沿って並ぶ位置を吸着すると共に、前記捲り部(21)に近い所から遠い方へと順に剥離動作可能に構成されることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記所定回数(N)は3回に設定されることが好ましい。
また、本発明の一態様は、母板(10)への電着により形成されたニッケル種板(20)を前記母板(10)から剥ぎ取る剥ぎ取り工程(S10)を有するニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法であって、
前記剥ぎ取り工程(S10)の前に、
前記ニッケル種板(20)が前記母板(10)に電着されていることを確認する種板検出工程(S6)と、
前記種板検出工程(S6)において、前記母板(10)表面に前記ニッケル種板(20)が電着されていない母板を検出したとき、前記母板(10)のニッケル種板が電着されていない面において、前記剥ぎ取り工程(S10)を行わずに終了させるバイパス工程(S9)と、を有し、
前記剥ぎ取り工程(S10)には、さらに、
チス刃挿入装置(30)がス刃(31)を挿入させる所定のタイミングを設定する挿入タイミング設定工程(S11)と、
前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)を剥ぎ取るための起点となる捲り部(21)を形成するため、前記チス刃挿入装置(30)が、前記所定のタイミングで、前記母板(10)の表面(11,12)と該表面(11,12)上に形成されたニッケル種板(20)との間に前記チス刃(31)を挿入するチス刃挿入工程(S12)と、
前記チス刃(31)の挿入方向(J)に向けて刃先周辺(P)へ前記母板に平行に光線(R)を照射して、前記刃先周辺(P)に前記光線(R)を遮る遮光物体(22)の有無を前記所定のタイミングで検知した信号(U)を出力する遮光物体検知工程(S13)と、
前記遮光物体検知工程(S13)で出力された前記信号に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体(22)が検知されたならば、制御部(50)がス刃挿入合格と判定する合否判定工程(S14)と、
前記制御部(50)が前記合否判定工程(S14)でス刃挿入不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置(30)に前記チス刃挿入工程(S12)を再度実行させ、
前記制御部(50)が前記合否判定工程(S14)で前記チス刃挿入合格と判定したならば、真空吸着パッド機構(60)に前記ニッケル種板(20)の表面(22)を吸着して傾転させることにより、前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)の全体を剥ぎ取る剥離工程(S15)と、
を有するものである。


また、本発明の一態様において、前記種板検出工程(S6)では、母板表面と種板表面の反射率の違い、または母板表面と種板表面の色の違いを光学的に検出して判定する、ことが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記制御部(50)が前記合否判定工程(S14)で前記チス刃挿入不合格と判定した後に前記チス刃挿入工程(S12)を再度実行しても不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置(30)に前記チス刃挿入工程(S12)を所定回数(N)まで繰り返し実行させ、
前記制御部(50)が前記所定回数(N)に達してもなお前記チス刃挿入不合格と判定したならば運転を停止することが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記所定回数(N)は3回に設定されることが好ましい。
本発明によれば、ニッケル種板を母板から剥がす際、捲り部を形成するためのチス刃の挿入不良が低減できると共に、吸着パッドを長寿命化できるニッケル種板剥ぎ取り機を提供できる。
本発明の前提技術を説明するための電解製錬による電気ニッケルの製造工程を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機を備えた設備のライン配置を示す概略平面図である。 本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機において、母板とニッケル種板との間にチス刃を挿入する要領を説明するための正面図であり、図3(A)は母板全体、図3(B)は絶縁プロテクタ(エッジワイズプロテクタ)の一部を取り外してチス刃を挿入する直前の状態、をそれぞれ示している。 図3に対してチス刃が挿入された状態をより実態的に説明するための斜視図であり、図4(A)は吸着パッド機構により母板からニッケル種板が引き剥がす動作、図4(B)は母板からニッケル種板を剥がす捲り部が形成された状態、をそれぞれ示している。 本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機において、チス刃挿入が正常であり剥ぎ取りの捲り部が形成された状態を示す要部平面図である。 図5の状態をレーザ距離センサによって監視し、チス刃挿入合格と判定できる状態を説明するための模式平面図である。 図6とは逆に、チス刃がニッケル種板の上に乗り上げてしまった状態をレーザ距離センサによって監視し、チス刃挿入不合格と判定される状態を説明するための模式平面図である。 本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法を説明するためのフローチャートである。 図4(A)に対して剥ぎ取り工程をより円滑化する吸着パッド機構を説明するための図であり、図9(A)は時間差を示す平面図、図9(B)は配置を示す正面図、をそれぞれ示している。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。また、各図にわたって、同一効果の部材及び箇所には、外形に多少の違いがあっても同一符号を付して説明の重複を避けている。
[前提技術]
以下、図1~図3を用いて、本発明の前提となる技術について簡単に説明する。図1は、本発明の前提技術を説明するための電解製錬による電気ニッケルの製造工程を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機(以下、「本機」ともいう)を備えた設備(以下、「本設備」ともいう)のライン配置を示す概略平面図である。図3は、本機において、母板とニッケル種板との間にチス刃を挿入する要領を説明するための正面図であり、図3(A)は母板全体、図3(B)は絶縁プロテクタ(エッジワイズプロテクタ)の一部を取り外してチス刃を挿入する直前の状態、をそれぞれ示している。
図1に示すように、電解製錬工程において電気ニッケルが製造されるまでには、種板電着工程(S1)と、準備・装填工程(S5)と、剥ぎ取り工程(S10)と、通常移送工程(S40)と、整形・製板工程(S50)と、製品電着工程(S60)と、洗浄・荷造・看量工程(S70)と、を有する。
まず、電気ニッケルの湿式製錬プロセスでは原料からニッケルを浸出して不純物を除去する浸出浄液工程で得られた電解給液(塩化ニッケル水溶液)が電解工程へと送られる。
種板電着工程(S1)では、種板電解槽において、母板10(図3)にニッケル種板20を電着し、ワーク19を形成する。種板電着工程(S1)では電解給液にチタン製の母板10とアノード極を浸漬して通電することで母板10の表面に電気ニッケルを電着させる。電着が完了した母板10はクレーンにて種板電解槽から引き上げられてからニッケル種板剥ぎ取り機(本機)100へと送られる。
準備・装填工程(S5)では、ニッケル種板剥ぎ取り設備(図2)において、ニッケル種板剥ぎ取り機(本機)100を構成する一連の処理機能90に対し、母板10(図3)にニッケル種板20(図5~図7、図9)が電着されたもの(以下、「ワーク19(図3)」ともいう)を適切に装填する。すなわち、母板10からニッケル種板20を剥ぎ取ることができるように準備する。種板電着工程(S1)で電着が完了した母板10は、種板電解槽から母板洗浄コンベア101に搬入され、ホイストクレーンで母板搬入ストックコンベア112に移載される。母板搬入ストックコンベア112で移送されたワーク19が終端に達すると横送りコンベア111に移載される。
なお、図3(A)に示すように、方形の母板10における縁取りの内側にニッケル種板20が電着されている。剥ぎ取り工程(S10)では、ニッケル種板剥ぎ取り機(本機)100にワーク19が装填され、母板10の表面11,12に電着されたニッケル種板20を母板10から剥ぎ取る。種板20を剥ぎ取られたチタン製の母板10は、種板電着工程(S1)に戻されて繰り返し利用される。
通常移送工程(S40)では、剥ぎ取ったニッケル種板20と、それを剥ぎ取られた母板10と、をそれぞれが、つぎの工程に供されるように適切に移送される。整形・製板工程(S50)では、母板10から剥ぎ取られたニッケル種板20を、プレスローラ等の仕上げ機を用いて歪を整形し、できるだけ平坦な方形に整える。また、方形に形成されたニッケル種板の片側短辺に、吊手13として1対のニッケルリボンが溶着され、カソードが作製される。
この吊手13を、良導体のクロスビーム14に架け渡すことにより、つぎの製品電着工程(S60)では、不図示の電源装置からクロスビーム14及び吊手13を介してニッケル種板20へ導通される。製品電着工程(S60)では、種板20が、電解給液が入った製品用のニッケル電解槽にアノード極と浸漬される。アノード極に通電することで種板20の表面にニッケルが電着することにより、電気ニッケル板が形成される。
なお、1対の吊手13が溶着され、それをクロスビーム14に架け渡した形状は、図3(A)から類推できる。ただし、図3(A)は母板全体10に1対の吊手13が溶着されたものであるが、製品電着工程(S60)で用いるニッケル種板20は、母板10でなく、ニッケル種板20に1対の吊手13が溶着されたものである。
なお、種板電解槽における種板電着工程(S1)と、製品用のニッケル電解槽における製品電着工程(S60)と、の何れでも同様に電解給液されて金属ニッケルを陰極板(カソード)に電着させることに変わりない。この陰極板(カソード)として、種板電着工程(S1)ではチタン製の母板を用い、製品電着工程(S60)では、ニッケル種板20を用いる。
電気ニッケル板は、不図示の切断工程において切断すれば商品となるものである。電気ニッケル板は、切断前の外形寸法が、例えば、長さ1m×幅80cm×厚さ10mm位である。洗浄・荷造・看量工程(S70)では、切断前の電気ニッケル板を、洗浄・荷造・看量する。なお、「看量」とは、重量測定を意味する用語である。
なお、図1に示した各工程の区分は、本発明の前提技術を説明する便宜上の区分に過ぎず、電気ニッケルの電解製錬プロセスを簡略に示したに過ぎない。また、本発明が実施される剥ぎ取り工程(S10)については、図2~図9を用いて詳細に後述するが、それ以外の工程については図1のみを用いて簡略に説明する。
本設備110は、図2の中央を右から左へ横送りコンベア111が横断するようにライン配置されている。本設備110におけるラインの先頭近くには、ニッケル種板剥ぎ取り機(本機)100が配置され、その前後に各種の支援設備が配設されている。
支援設備は、準備・装填工程(S5)でワーク19を本機100に搬入・装填し、剥ぎ取り工程(S10)で剥ぎ取ったニッケル種板20をつぎの整形・製板工程(S50)へ送り届けるほか、ニッケル種板20を剥ぎ取って残された母板10を繰り返し利用するため種板電着工程(S1)に戻すように送り届ける。
本設備110の一部又は全部の運転について、制御盤や操作盤に構成された制御部50により制御される。この種の設備は、概ねシーケンス制御に好適な構成であるので、制御部50は、不図示のコンピュータ、入出力部、及び表示部等により構成され、リレーや電磁弁等の開閉、センサ出力に対する評価基準としての閾値、及びタイマの作動時間等を、自在にプログラム設定することが可能である。
これらの機能を実現するために、本設備110の制御部50は、既設又は付設のPLC(programmable logic controller、シーケンサ)80を備えている。このPLC80は、後述する遮光物体検知手段40から出力された信号Uを入力され、信号Uに基づいて一連の処理機能90に所定の動作を継続又は中断させるようにプログラム構成されている。なお、一連の処理機能90には、本設備110の一部も含まれる。なお、PLC80は、同等機能を備えたコンピュータと電磁リレー等の組み合わせによって実現しても構わない。
本設備110において、剥ぎ取り工程(S10)を実行する本機100以外の支援設備については、図2のみを用いて簡略に説明する。母板搬入ストックコンベア112は、ワーク19を横送りコンベア111の先頭に載置する。横送りコンベア111は、ワーク19を本機100に搬入・装填する。この時、種板検出手段116を用いてニッケル種板が母板に電着されていることを確認できる。種板検出手段116により、ニッケル種板が電着されていない母板が確認された場合、問題のある母板の問題のある面に関して、剥ぎ取り工程(S10)を行わないようにすることができる。詳細については後述する。
本機100は、ワーク19に対し、母板10の両面から正常に剥離されたニッケル種板20を、横送りコンベア111の両側に振り分けると共に、剥離の済んだ母板10を横送りコンベア111で先送りする。
横送りコンベア111の両側には、種板傾転装置113がそれぞれ1台ずつ配設されている。これら1対の種板傾転装置113により、それぞれ正常に剥ぎ取られたニッケル種板20は、種板搬出コンベア120、種板移載装置121、及びコンテナ搬出コンベア122ほかの支援装置によって横送りコンベア111から搬出され、整形・製板工程(S50)に供される。
図4は、図3に対してチス刃が挿入された状態をより実態的に説明するための斜視図であり、図4(A)は吸着パッド機構により母板からニッケル種板を引き剥がす動作、図4(B)は母板からニッケル種板を剥がす捲り部が形成された状態、をそれぞれ示している。図4(A)に要部概略を示す種板傾転装置113は、真空吸着パッド機構60を備えて構成されている。その真空吸着パッド機構60は、真空吸着パッド61~66、真空ポンプ、及び吸着パッド傾転手段68、を備えて構成されている。なお、吸着パッド傾転手段68は、規定の条件の下で所定のタイミングに同期して図4(A)に示す矢印方向へと真空吸着パッド60~66を傾転させるものであり、図は矢印のみに簡略化している。
種板傾転装置113によって剥離の済んだ母板10は、横送りコンベア111で先送りされ、絶縁プロテクタ(エッジワイズプロテクタ)挿入装置119のそばまで到達すると、繰り返し利用に適するように絶縁プロテクタ(エッジワイズプロテクタ)17(以下、「エッジワイズ」ともいう)を嵌着される。なお、絶縁プロテクタ挿入装置119について、エッジワイズ挿入装置119ともいう。
図3及び図4に示すように、ワーク19に対し、エッジワイズ17を外向きに回動して傾けたところからチス刃31を挿入して母板10の表面11,21から電着したニッケル種板を剥がし起こす。さらにチス刃31がめくった箇所を起点として、図4(A)に示すように、片面3つ裏表で合計6つの真空吸着パッド61~66が、電着したニッケル表面に吸着し、ワーク19の両方向へと母板10からニッケル薄板(種板)20を引き剥がすため、1枚の母板10からは2枚の種板20が得られる。なお、真空吸着パッド61~66の吸着面は、消耗品としての吸着パッドにより構成され、真空洩れして吸着力が低下した段階で交換される。
エッジワイズ17を嵌着された母板10は、横送りコンベア111で先送りされ、母板搬出ストックコンベア114のそばまで到達すると、母板搬出ストックコンベア114に横送りコンベア111から移載され、繰り返し利用により適するように不図示の処理を受けてから、種板電着工程(S1)に戻される。
エッジワイズ17,18は、種板電着工程(S1)において、母板の両側辺および底辺部を絶縁することにより種板の電着を規制する。そのことによって、両側辺および底辺部が直線状に整った形状の良い種板を製造することができる。また、母板の表裏両面の種板がつながることを防止している。エッジワイズ17と、エッジワイズ18との区別については、図3及び図4を用いて後述する。
一方、チス刃挿入不良等により剥離に失敗したワーク19は、手剥ぎ工程(S30)に供される。手剥ぎ処理されたニッケル種板20については、種板傾転装置113で正常に確保されたものと同様に、整形・製板工程(S50)に供される。
以下、剥ぎ取り工程(S10)を実行する本機100について、図4~図9も用いて詳細に説明する。本機100は、母板10への電着により形成されたニッケル種板20を母板10から剥ぎ取るための一連の処理機能90を備えている。この一連の処理機能90として、少なくとも、チス刃31と、チス刃挿入装置30と、遮光物体検知手段40と、真空吸着パッド機構60と、制御部50と、を備えて構成されている。
上述のように、剥ぎ取り工程(S10)の前の準備・装填工程(S5)では、本設備110において、本機100を構成する一連の処理機能90に対し、母板10にニッケル種板20が電着されたワーク19を適切に装填し、母板10からニッケル種板20を剥ぎ取ることができるように準備する。
剥ぎ取り工程(S10)では、図3に示すように、まず、ワーク19の正面の右肩部からチス刃31を挿入することによって、ニッケル種板20を剥がす捲り部21を開く。この捲り部21が開けたニッケル種板20の角部25の近傍から概ね対角線K(図9(B))に沿って容易に引き剥がすことが可能となる。
また、図3(A)及び図4(A)に示すように、母板10の上辺以外の辺縁を額縁状に被覆するエッジワイズ17,18が嵌着されている。エッジワイズ17は、上辺以外の辺縁に対して大部分を被覆して嵌脱しにくい構造となっている。これに対して、エッジワイズ18は、エッジワイズ17とは違って、図3および図4の紙面の正面から見てワーク19の右辺の上方部のみを、局所的に被覆・嵌着し、嵌脱容易に構成されている。
図3(B)及び図4(B)に示すように、エッジワイズ18は、ワーク19の右上方の角部に設けられた軸支機構を中心に回動することによって母板10の辺縁上方から嵌脱可能であって、チス刃31を挿入する直前に回動して外される。すると、母板10に電着されたニッケル種板20の縁部が露出する。露出した母板10の表面と、その表面11に電着されたニッケル種板20と、の間に、チス刃31を挿入して母板10からニッケル種板20を剥がし始める。このようにして、剥がすための捲り部21をチス刃で剥ぎ起こし、少し捲れたその捲り部21の近傍を吸着パッド61~63で吸着しながら全体を引き剥がす。
チス刃挿入装置30は、ニッケル種板20の角部25において、チス刃31を、母板10の表面11,12と表面11,12に電着されたニッケル種板20との間に割り込ませ、口を開けさせるために、切り分けながら奥へと押し込むように挿入する。チス刃挿入装置30で押し込まれたチス刃31は、母板10からニッケル種板20を剥がすための捲り部21を開くように機能する。
チス刃挿入装置30は、チス刃31に所定のタイミングでチス刃挿入動作を実行させるための油圧等による不図示の駆動機構と、その駆動機構に所定の動作を実行させる制御機能、すなわち制御部50と、により構成されている。制御部50は、チス刃挿入の合否判定に応じて一連の処理機能90、及び本設備110全体を統括制御するほか、内蔵された正確な時計に基づいて各種のタイミングを設定することも可能である。
図5は、本機において、チス刃挿入が正常であり剥ぎ取りの捲り部を開いた状態を示す要部平面図である。図5に示すように、母板10の表面11,12と表面11,12に電着されたニッケル種板20との間にチス刃31が正常に挿入されて、ニッケル種板20を剥がす捲り部21を開く。このように、ニッケル種板20の角部25から引き剥がし易くするための捲り部21が開いた状態を、チス刃挿入合格と判定する。以下、チス刃挿入の合否判定を自動的に行うことについて説明する。
図6は、図5の状態をレーザ距離センサによって監視し、チス刃挿入合格と判定できる状態を説明するための模式平面図である。図7は、図6とは逆に、チス刃がニッケル種板の上に乗り上げてしまった状態をレーザ距離センサによって監視し、チス刃挿入不合格と判定される状態を説明するための模式平面図である。
図6に示すように、レーザ距離センサ41はチス刃31の後方より母板10に対して面対称に2組設置されて遮光物体検知手段40を構成している。レーザ距離センサ41は、そこから照射されるレーザ光線Rが、母板10に対して平行かつ、種板20が捲れた際に種板20がレーザ光線Rの直進を遮ると共に不図示の反射光を受光可能な相対的配置に設定されている。
センサ41は種板20がレーザを遮り、レーザが反射することによって母板10から種板20が捲れたことを検知する。チス刃31が問題なく母板10と種板20の間に挿入されると種板20が捲れ上がる。このように種板20が捲れ上がって生じた遮光物体22を、チス刃31の後方から非接触式のレーザ距離センサ41で検知する。
本設備110の制御部50は、PLC(シーケンサ)80を備えている。このPLC80は、遮光物体検知手段40から出力された信号Uを入力され、信号Uに基づいて一連の処理機能90に所定の動作を継続又は中断させるようにプログラム構成されている。遮光物体検知手段40を構成する2組のセンサ41,41は制御部50に接続されており、それらの出力する信号Uに基づいて本機100を制御する。PLC80は、1対のセンサ41,41が両方とも遮光物体22を検知した場合、チス刃31が正常に挿入されて母板10の表面11,21からニッケル種板20が捲られたと判定する。
PLC80には、図8を用いて後述する各工程を実現するようなプログラムが読み出し実行自在に記憶されている。図2に示した操作盤50により、適宜プログラムの修正も可能である。このプログラムによれば、チス刃挿入動作後のタイミングで、1対のセンサ41,41が両方ともに遮光物体22を検知すれば、チス刃挿入合格として、種板20の真空吸着動作に移行する。
1対のセンサ41,41の何れか一方が検知しないと、チス刃挿入不合格とみなし、再度チス挿入動作を繰り返させる。例えば、初回も含めて3回以内の挿入により種板20が正常に捲れたならば真空吸着動作へ移行する。しかし、3回連続してチス刃挿入不合格の場合、チス挿入不良のため本機100を異常停止する。
以下、チス刃挿入の合否判定をする必要性について説明する。この本機100は、正常動作の状態であれば、チス刃31は、母板10とニッケル種板20の間に挿入される。その結果、図5に示したように、角部25において、種板20が母板10から捲られる。その角部25で捲られた捲り部21を起点として吸着パッド61~66が、母板10の表面11,12からニッケル種板20を引き剥がす。しかし、チス刃31が母板10とニッケル種板20との間に挿入できず、その種板20を剥離することができないという異常事態が生じることもある。
この異常事態は、図6に示すように、母板10の表面11,12の状態や、種板電着工程(S1)における通電時の電解液その他の条件等によって、母板10の角部25への電着の状態が微妙に変化することに起因すると考えられている。この異常事態の主な例として、図7に示すように、チス刃31が種板20の上に乗り上げてしまうことがある。この場合、母板10からニッケル種板20が捲られないので、真空吸着パッド61~66で種板20を吸着しても種板20を剥がすことができない。
この異常事態に対し、本機100は、種板20の剥ぎ取り不良を検知して、例えば、初回も含めて3回の挿入を行ってもなお剥ぎ取り不良と判定されれば、チス刃挿入装置を停止する。剥ぎ取り不良(チス刃挿入不合格)と判定されたワーク(19)は、手剥ぎ工程(S30)に供される。手剥ぎ工程(S30)では、運転員は、本機100のチス刃31に代わって、母板10から種板20を手作業で剥がして捲り部を形成する。その結果、停止から運転再開まで1~2分間の運転停止で済むことになる。
また、本機100は、チス刃挿入不合格と判定されても、初回も含めて最大で3回までチス刃挿入を繰り返すので、2回目、3回目のチス刃挿入でチス刃挿入合格と判定される場合もあることから、従来と比較して手剥ぎ枚数が減少する。そのことにより、種板剥ぎ取り機の設備稼働率が向上すると共に、人手による剥ぎ取り作業が減少し、作業に伴う危険性も減少する。
一方、従来は、種板搬出コンベア上のセンサで2枚の種板を検出できなければ剥ぎ取り不良と判断していた。この場合、剥ぎ取り不良の検出が吸着パッドの傾転後となるため、種板20が母板10から捲られない状態であるにもかかわらず、吸着パッド61~66が無理に剥離しようと吸着すると、吸着面に対して横方向の擦るような力が加わる。次に、吸着パッドがニッケル種板から離れ、真空が破壊されるが、その時に吸着パッドの吸着面の表面を摩耗劣化させる。その結果、吸着パッドに穴開きや亀裂が生じるため、交換のための設備停止頻度が増加すると共に、吸着パッドの寿命が短縮されるという問題があった。なお、全く種板20が母板10から捲られていない状態では、吸着パッド61~66の吸着力よりも、剥離に要する力の方が勝つので、無理には剥離できない。
このようにして、パッド表面が劣化すれば、十分な真空を保持できなくなり、吸着力が減少する。たとえ、チス刃31が種板20の上に乗り上げずに、母板10からニッケル種板20正常にめくられていても、図8を用いて後述する剥離工程(S15)において支障をきたすことになる。当然に吸着パッド61~66の劣化したパッド表面を交換修理する必要が生じ、その修理コストに加えで稼働休止の損失も増大する。したがって、本機100は、種板20の剥ぎ取り不良を速やかに検知してニッケル種板剥ぎ取り機を停止するように構成されている。以下、チス刃挿入を合否判定するための構成、及びその手順を併せて説明する。
遮光物体検知手段40は、チス刃31の挿入方向Jに向けて刃先周辺Pへ光線Rを照射して、刃先周辺Pに光線Rを遮る遮光物体22の有無を所定のタイミングで検知し、その検知結果を信号Uとして出力する。すなわち、遮光物体検知手段40は、所定のタイミングで遮光物体22が検知されたならば、チス刃挿入合格と判定する。逆に、検知されなければ、チス刃挿入不合格と判定する。信号Uには、チス刃挿入の合否が判定された情報を含めて出力される。
真空吸着パッド機構60は、チス刃挿入の合否が判定された情報を含む信号Uに基づいて、全体剥離動作を実行する。全体剥離動作は、チス刃挿入合格の情報を含む信号Uに応じて、母板10からニッケル種板20の全体を剥ぎ取るように、真空吸着パッド61~66がニッケル種板20の表面22に吸着して傾転する。
また、制御部50は、遮光物体検知手段40が所定のタイミングで遮光物体22を検知できなければ、チス刃挿入不合格と判定すると共に、チス刃挿入装置30にチス刃挿入動作を再度実行させるようにプログラム構成されている。
また、制御部50は、チス刃挿入不合格と判定したならば、チス刃挿入装置30にチス刃挿入動作を所定回数Nまで実行させ、所定回数Nまで実行してもなお連続してチス刃挿入不合格と判定された場合は、異常停止するようにプログラム構成されている。なお、一例として、所定回数N=3回に設定して好結果が得られた。
また、遮光物体検知手段40は、チス刃31の後方に位置する固定体70に固設された2組のレーザ距離センサ41を備えている。制御部50は、レーザ距離センサ41により遮光物体22までの距離を計測した測距値Dが閾値α以下であれば、信号Uにより遮光物体22の存在を検知すると共に、チス刃挿入合格の情報を出力するようにプログラム構成されている。より具体的には、例えば、2000mmのレンジまで距離を測定できるレーザ距離センサにおいて、閾値αを1050mmに設定することができる。
なお、遮光物体検知手段40の一例として、レーザ距離センサ41を挙げたに過ぎない。遮光物体検知手段40は、レーザ距離センサ41に限定されるものでなく、例えば、赤外線の発光手段と受光検出手段との組み合わせによって、遮光物体22の存在を検知する信号Uを出力するようにしても構わない。つまり、遮光物体検知手段40は、ニッケル種板20を剥がすための捲り部21が開けたニッケル種板20の角部25の近傍が捲れ上がったことを非接触式に検知する機能が備わっていれば、他の方法でも構わない。
また、制御部50は、既設又は付設のPLC(シーケンサ)80で構成されている。このPLC80は、遮光物体検知手段40から出力された信号Uを入力され、信号Uに基づいて一連の処理機能90に所定の動作を継続又は中断させるようにプログラム構成されている。
また、真空吸着パッド機構60は、複数の真空吸着パッド61~66(図9に69も追加)を備え、これら複数の真空吸着パッド61~66,69は、ニッケル種板20を剥がすための捲り部21が開けたニッケル種板20の角部25の近傍から並ぶ位置に吸着すると供に、捲り部21に近い所から遠い方へと順に傾転動作可能に構成されている。また、真空吸着パッド61と真空吸着パッド69との配置は、対角線K(図9)に沿った関係であり、これらも捲り部21に近い所から遠い方へと順に傾転動作可能に構成されている。
なお、母板10の両面に電着された種板20の密着力が弱く、クレーンや母板搬入ストックコンベア112等による搬送時に、母板10の表面11,12から種板20が剥離、落下し、既にどちらか片面、または両面に種板20が電着していない母板10が剥ぎ取り工程(S10)に供給されることがある。そうすると、捲り部21が形成されないため、チス刃挿入不合格と判定されて、さらにチス刃挿入動作が所定回数まで繰り返された後、装置が異常停止する。よって、既に対象の種板20が電着していないにも関わらず、チス刃挿入動作が所定回数まで繰り返され、装置が異常停止するため、余計な停止時間が発生する。そのため、設備稼働率が低下するという課題があった。
母板10の表面11,12から種板20が剥離、落下するのは、主に、母板10の表面11,12の状態や、種板電着工程(S1)における通電時の電解液その他の条件等によって、母板10の表面11,12と種板20の密着状態や種板20の硬度や内部応力等の性状が微妙に変化することに起因すると考えられている。
そこで、本発明の一態様では、例えば図2に示すようにニッケル種板が母板に電着されていることを確認する種板検出手段116を備える。種板検出手段116は、例えば光学機器であり、母板表面と種板表面の反射率の違い、または母板表面と種板表面の色の違いを光学的に検出して判定する。
種板検出手段116により、母板表面にニッケル種板が電着していないと判断された場合、制御部50は、その判断の後にチス刃挿入動作を実行する母板1枚に限り、ニッケル種板が電着されていないと判断された面のみの遮光物体検知手段及び真空吸着パッド機構(剥離動作)を停止させ、剥ぎ取り工程(S10)を終了させる。これにより、種板が母板に電着されていない場合には、剥ぎ取り工程(S10)を省略することができるため、余計な停止時間が発生せず、設備稼働率の低下を防止することができる。
図8は、本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法(以下「本方法」ともいう)を説明するためのフローチャートである。図8に示すように、本方法は、準備・装填工程(S5)と、剥ぎ取り工程(S10)と、手剥ぎ工程(S30)と、通常移送工程(S40)と、を有する。まず、準備・装填工程(S5)では、本機100を構成する一連の処理機能90に対し、ワーク19を適切に装填し、母板10からニッケル種板20を剥ぎ取ることができるように準備する。ワーク19とは、母板10にニッケル種板20が電着されたものをいう。
本発明の一実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法では、上述したように、剥ぎ取り工程(S10)の前に、種板検出工程(S6)と、状況に応じてバイパス工程(S9)を有する。
種板検出工程(S6)では、ニッケル種板20が母板10に電着されていることを確認する。種板検出工程(S6)は、例えば光学機器を用いてワーク19の表面を計測し、母板表面と種板表面の反射率の違い、または母板表面と種板表面の色の違いを光学的に検出する。種板検出工程(S6)により、種板20が母板10に電着されているか否かを判断する(図8の工程S7)。種板検出工程(S6)の光学機器としては、例えば、アンプ内蔵型ホワイトスポットセンサー、より具体的にはKEYENCE製センサーLR-W500を用いることができる。
バイパス工程(S9)では、種板検出工程(S6)において、母板10表面にニッケル種板20が電着されていない母板を検出したとき、母板10のニッケル種板20が電着されていない面において、後述する遮光物体検知工程(S13)、合否判定工程(S14)、剥離工程(S15)を行わず、剥ぎ取り工程(S10)を終了させる。このことにより、不必要なチス刃挿入動作の繰り返し、装置の異常停止が回避される。
剥ぎ取り工程(S10)では、母板10からニッケル種板20を母板10から剥ぎ取る。通常移送工程(S40)では、剥ぎ取ったニッケル種板20と、それを剥ぎ取られた母板10と、を、それぞれつぎの工程に供されるように適切に移送する。手剥ぎ工程(S30)では、ワーク19を人手によって剥ぎ取って捲り部を形成する。
剥ぎ取り工程(S10)は、さらに、挿入タイミング設定工程(S11)と、チス刃挿入工程(S12)と、遮光物体検知工程(S13)と、合否判定工程(S14)と、剥離工程(S15)と、カウントアップ工程(S16)と、連続不合格計数工程(S17)と、を有する。挿入タイミング設定工程(S11)では、チス刃挿入装置30がチス刃31を挿入させるために所定のタイミングを設定する。チス刃挿入工程(S12)では、母板10からニッケル種板20を剥がす捲り部21を開くため、チス刃挿入装置30が、所定のタイミングで、母板10の表面11,12と表面11,12上に電着されたニッケル種板20との間にチス刃31を挿入する。
遮光物体検知工程(S13)では、チス刃31の挿入方向Jに向けて刃先周辺Pへ光線Rを照射して、刃先周辺Pに照射光線Rを遮る遮光物体22の有無を所定のタイミングで検知した信号Uを出力する。合否判定工程(S14)では、遮光物体検知工程(S13)で出力された信号に基づいて、所定のタイミングで遮光物体22が検知されたならば、制御部50がチス刃挿入合格と判定する。
なお、制御部50は、以下の運転制御を実行することが可能なプログラムを備えている。すなわち、制御部50は、合否判定工程(S14)において、チス刃挿入不合格と判定した後に、チス刃挿入工程(S12)を再度実行しても続けて不合格と判定されたならば、チス刃挿入装置30にチス刃挿入工程(S12)を所定回数Nまで繰り返し実行させる。また、一例として、上述の所定回数Nは3回に設定されている。
合否判定工程(S14)以降について、より詳細な処理は以下のとおりである。カウントアップ工程(S16)では、合否判定工程(S14)で不合格判定される毎に、カウント値nを、n=(n+1)の要領でカウントアップする。初期設定n=0に対し、合否判定工程(S14)の結果が、3回連続して不合格の場合はn=3となる。連続不合格計数工程(S17)において、n=3、N=3の場合、n<Nに対する判断結果はNOなので、手剥ぎ工程(S30)へ移行させるように、制御部50が一連の処理機能90を制御する。また、合否判定工程(S14)の結果、連続不合格2回以下の場合、連続不合格計数工程(S17)において、n≦2、N=3の場合、n<Nに対する判断結果はYESなので、チス刃挿入工程(S12)を再度実行させる。
また、制御部50が合否判定工程(S14)でチス刃挿入不合格と判定したならば、チス刃挿入装置30にチス刃挿入工程(S12)を再度実行させる。逆に、制御部50が合否判定工程(S14)でチス刃挿入合格と判定したならば、剥離工程(S15)に移行する。剥離工程(S15)では、真空吸着パッド機構60にニッケル種板20の表面22を吸着して傾転させることにより、母板10からニッケル種板20の全体を剥ぎ取る。
その逆に、制御部50は、所定回数Nまで実行してもなお連続してチス刃挿入不合格と判定したならば、運転を停止する。その後、運転員は、手剥ぎ工程(S30)へ移行して人手により捲り部を形成すると共に、運転を再開する。また、一例として、上述したように、所定回数Nは3回に設定されている。つまり、チス刃挿入の状態を2組のレーザ距離センサ41で監視し、母板10からニッケル種板20が捲れた場合を「チス刃挿入合格(良好)」とし、捲れなかった場合は「チス刃挿入不合格(不良)」として扱い、チス刃31の挿入を3回まで繰り返すことによって、チス刃挿入不良による剥ぎ取り不良を減らすことができる。なお、上述の所定回数Nを3回に設定することにより良好な結果を得られたが、3回に限定する必要はなく、例えば、1~6回の範囲で所定回数Nを変更しても構わない。
図9は、図4(A)に対して剥ぎ取り工程をより円滑化する吸着パッド機構を説明するための図であり、図9(A)は時間差を示す平面図、図9(B)は配置を示す正面図、をそれぞれ示している。図9(A)に示すように、真空吸着パッド61,62,63は、チス刃31に近い方から、この順番で剥ぎ取るように、傾転移動の動作を開始するタイミングに時間差が設けられている。また、図9(B)に示すように、真空吸着パッド61,62,63のほかに、真空吸着パッド69を追加、又は真空吸着パッド63を移設する等も、剥離工程(S15)をより円滑化する効果がある。真空吸着パッド69は、ニッケル種板20の捲り部21を始点とする対角線Kに沿って配置され、真空吸着パッド61から遅れて傾転移動の動作を開始するタイミングに時間差が設けられている。
本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機(本機)100は、母板10から種板20を剥ぎ取る際に捲り部21を開くチス刃31が挿入不良であるために、捲り部21を開けない不良を軽減する効果がある。その作用効果に加え、チス刃挿入不良の状態で吸着パッド機構60に無理な真空吸着動作をさせないように制御することにより、真空吸着パッド61~66の長寿命化を実現するものである。
<客観的に確認された本発明の効果>
本発明の実施以前、すなわち、従来のニッケル種板剥ぎ取り機に改造を加える前では、チス刃挿入不良が73.5回/日発生していたところ、改造後の本機100では、51.3回/日にまで改善された。また、チス刃挿入不良の状態にもかかわらず、真空吸着パッド60~66による真空吸着を強行することが無くなった。チス刃挿入不良、母板にニッケル種板が電着されていない母板を無視して真空吸着を強行すれば、剥離工程(S15)が実行不能になって設備停止するところ、改造後の本機100では、チス刃挿入不良を無視して真空吸着を強行することがなくなったので、設備を長時間停止することは概ね根絶された。このようにして、吸着パッドに無理な力がかかることが軽減されるようになった結果、改造前の月当たりの吸着パッドの交換枚数は29枚であったが、改造後は10枚まで減らすことができた。
なお、前記のように本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、ニッケル種板剥ぎ取り機、チス刃挿入装置、あるいは遮光物体検知手段としてのレーザ距離センサの構成、動作、それらによるチス刃挿入についての具体的な合否判定方法も、本発明の実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
本発明は、電解製錬法による電気ニッケル板の製造設備のなかで、ニッケル種板剥ぎ取り機において採用される可能性がある。
10 母板、11,12 (母板10の)表面、13 吊手、14 クロスビーム、17 エッジワイズ、18 取外し容易なエッジワイズ、21 (ニッケル種板20を剥がすための)捲り部、22 遮光物体、20 ニッケル種板、25 (ニッケル種板20で剥ぎ取る端緒21を得る)角部、30 チス刃挿入装置、31 チス刃、40 遮光物体検知手段、41 レーザ距離センサ、50 制御部、60 真空吸着パッド機構、61~66,69 真空吸着パッド、68 吸着パッド傾転手段、70 (チス刃31の後方に位置する)固定体、80 PLC(programmable logic controller、シーケンサ)、90 一連の処理機能、 100 ニッケル種板剥ぎ取り機(本機)、101 母板洗浄コンベア、110 ニッケル種板剥ぎ取り設備(本設備)、111 横送りコンベア、113 種板傾転装置、114 母板搬出ストックコンベア、116 種板検出手段、119 プロテクタ挿入装置、120 種板搬出コンベア、121 種板移載装置、D 測距値、J (チス刃31の)挿入方向、K (ニッケル種板20の端緒21を始点とする)対角線、M 剥離方向、P 刃先周辺、R 照射光線(レーザ光線)、U 信号、S1 種板電着工程、S5 準備・装填工程、S6 種板検出工程、S9 バイパス工程、S10 剥ぎ取り工程、S11 挿入タイミング設定工程、S12 チス刃挿入工程、S13 遮光物体検知工程、S14 合否判定工程、S15 剥離工程、S40 通常移送工程、S50 整形・製板工程、S60 製品電着工程、S70 洗浄・荷造・看量工程、α 閾値

Claims (13)

  1. 母板への電着により形成されたニッケル種板を前記母板から剥ぎ取るための一連の処理機能を備えたニッケル種板剥ぎ取り機であって、
    前記一連の処理機能には、さらに、
    前記ニッケル種板が前記母板に電着されていることを確認する種板検出手段と、
    前記母板の表面と該表面に電着されたニッケル種板との間に挿入して前記母板から前記ニッケル種板を剥ぎ取るための起点となる捲り部を開くチス刃と、
    該チス刃に所定のタイミングでチス刃挿入動作を実行させるチス刃挿入装置と、
    前記チス刃の挿入方向に向けて刃先周辺へ前記母板に平行に光線を照射して、前記刃先周辺に前記光線を遮る遮光物体の有無を前記所定のタイミングで検知する遮光物体検知手段と、
    前記遮光物体検知手段から出力された信号に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体が検知されたならば、ス刃挿入合格と判定して、前記ニッケル種板の表面に吸着して傾転することで前記母板から前記ニッケル種板の全体を剥ぎ取るように剥離動作を実行する真空吸着パッド機構と、
    ス刃挿入の合否判定に応じて前記一連の処理機能を統括制御可能な制御部と、
    を備えたニッケル種板剥ぎ取り機。
  2. 前記制御部は、前記種板検出手段において、前記母板表面に前記ニッケル種板が電着されていない母板を検出したとき、前記ニッケル種板が電着されていない母板面のみの前記遮光物体検知手段及び前記真空吸着パッド機構を停止させる、
    請求項1に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  3. 前記種板検出手段は光学装置であり、母板表面と種板表面の反射率の違い、または母板表面と種板表面の色の違いを光学的に検出して判定する、
    請求項1又は2に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  4. 前記制御部は、前記遮光物体検知手段が前記所定のタイミングで前記遮光物体を検知できなければ、チス刃挿入不合格と判定すると共に、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入動作を再度実行させる、
    請求項1~3の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  5. 前記制御部は、前記チス刃挿入不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入動作を前記チス刃挿入合格と判定するまで所定回数まで実行させ、該所定回数に達してもなお前記チス刃挿入不合格と判定された場合は、異常停止する、
    請求項4に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  6. 前記遮光物体検知手段は、前記チス刃の挿入方向に対して後方に位置する固定体に固設された2組のレーザ距離センサを備え、
    前記制御部は、前記レーザ距離センサにより前記遮光物体までの距離を計測した測距値が閾値以下であれば、前記信号により前記遮光物体の存在を検知すると共に、前記チス刃挿入合格の情報を出力する、
    請求項1~5の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  7. 前記制御部は、既設又は付設のPLC(programmable logic controller、シーケンサ)で構成され、
    該PLCは、前記遮光物体検知手段から出力された信号が入力され、該信号に基づいて前記一連の処理機能に所定の動作を継続又は中断させるようにプログラム構成された、
    請求項1~6の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  8. 前記真空吸着パッド機構は、複数の真空吸着パッドを備え、これら複数の真空吸着パッドは、前記ニッケル種板を剥ぎ取るための起点となる前記捲り部の近傍に位置するニッケル種板の角部から対角線に沿って並ぶ位置を吸着すると共に、前記捲り部に近い所から遠い方へと順に剥離動作可能に構成された、
    請求項1~7の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  9. 前記所定回数は3回に設定された、
    請求項5に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。
  10. 母板への電着により形成されたニッケル種板を前記母板から剥ぎ取る剥ぎ取り工程を有するニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法であって、
    前記剥ぎ取り工程の前に、
    前記ニッケル種板が前記母板に電着されていることを確認する種板検出工程と、
    前記種板検出工程において、前記母板表面に前記ニッケル種板が電着されていない母板を検出したとき、前記母板のニッケル種板が電着されていない面において、前記剥ぎ取り工程を行わずに終了させるバイパス工程と、を有し、
    前記剥ぎ取り工程には、さらに、
    チス刃挿入装置がス刃を挿入させる所定のタイミングを設定する挿入タイミング設定工程と、
    前記母板から前記ニッケル種板を剥ぎ取るための起点となる捲り部を形成するため、前記チス刃挿入装置が、前記所定のタイミングで、前記母板の表面と該表面上に形成されたニッケル種板との間に前記チス刃を挿入するチス刃挿入工程と、
    前記チス刃の挿入方向に向けて刃先周辺へ前記母板に平行に光線を照射して、前記刃先周辺に前記光線を遮る遮光物体の有無を前記所定のタイミングで検知した信号を出力する遮光物体検知工程と、
    前記遮光物体検知工程で出力された前記信号に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体が検知されたならば、制御部がス刃挿入合格と判定する合否判定工程と、
    前記制御部が前記合否判定工程でス刃挿入不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入工程を再度実行させ、
    前記制御部が前記合否判定工程で前記チス刃挿入合格と判定したならば、真空吸着パッド機構に前記ニッケル種板の表面を吸着して傾転させることにより、前記母板から前記ニッケル種板の全体を剥ぎ取る剥離工程と、
    を有するニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。
  11. 前記種板検出工程では、母板表面と種板表面の反射率の違い、または母板表面と種板表面の色の違いを光学的に検出して判定する、
    請求項10に記載のニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。
  12. 前記制御部が前記合否判定工程で前記チス刃挿入不合格と判定した後に前記チス刃挿入工程を再度実行しても不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入工程を所定回数まで繰り返し実行させ、
    前記制御部が前記所定回数に達してもなお前記チス刃挿入不合格と判定したならば運転を停止する、
    請求項10に記載のニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。
  13. 前記所定回数は3回に設定された、
    請求項12に記載のニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。
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