JP7188138B2 - ニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法 - Google Patents
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Description
チス刃挿入不良が増加すれば、種板剥ぎ取り機の設備稼働率が低下すると共に、人手による剥ぎ取り作業が増加し、時間と手間を要する。また、人手による剥ぎ取り作業が増加すれば、種板の端部が刃物となって切創する危険性が増大する。
前記一連の処理機能(90)には、さらに、
前記ニッケル種板(20)が前記母板(10)に電着されていることを確認する種板検出手段(116)と、
前記母板(10)毎であって前記母板(10)の面毎に剥離動作を停止することができる剥離停止指令入力手段(117)と、
前記母板(10)の表面(11,12)と該表面(11,12)に電着されたニッケル種板(20)との間に挿入して前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)を剥ぎ取るための起点となる捲り部(21)を開くチス刃(31)と、
該チス刃(31)に所定のタイミングでチス刃挿入動作を実行させるチス刃挿入装置(30)と、
前記チス刃(31)の挿入方向(J)に向けて刃先周辺(P)へ前記母板に平行に光線(R)を照射して、前記刃先周辺(P)に前記光線(R)を遮る遮光物体(22)の有無を前記所定のタイミングで検知する遮光物体検知手段(40)と、
前記遮光物体検知手段(40)から出力された信号(U)に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体(22)が検知されたならば、チス刃挿入合格と判定して、前記ニッケル種板(20)の表面(22)に吸着して傾転することで前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)の全体を剥ぎ取るように剥離動作を実行する真空吸着パッド機構(60)と、
チス刃挿入の合否判定に応じて前記一連の処理機能(90)を統括制御可能な制御部(50)と、
を備えたものである。
前記制御部(50)は、前記レーザ距離センサ(41)により前記遮光物体(22)までの距離を計測した測距値(D)が閾値(α)以下であれば、前記信号(U)により前記遮光物体(22)の存在を検知すると共に、前記チス刃挿入合格の情報を出力することが好ましい。
該PLC(60)は、前記遮光物体検知手段(40)から出力された信号(U)が入力され、該信号(U)に基づいて前記一連の処理機能(90)に所定の動作を継続又は中断させるようにプログラム構成されることが好ましい。
前記剥ぎ取り工程(S10)の前に、
前記ニッケル種板(20)が前記母板(10)に電着されていることを確認する種板検出工程(S6)と、
前記種板検出工程(S6)において、前記ニッケル種板(20)が前記母板(10)に電着されていないと判断されたとき、該母板(10)のニッケル種板が電着されていない面毎に剥離動作を停止することができる剥離停止指令を入力する剥離停止指令入力工程(S8)と、
前記剥離停止指令が入力されたとき、前記母板(10)のニッケル種板が電着されていない面において、前記剥ぎ取り工程(S10)を行わずに終了させるバイパス工程(S9)と、を有し、
前記剥ぎ取り工程(S10)には、さらに、
チス刃挿入装置(30)がチス刃(31)を挿入させる所定のタイミングを設定する挿入タイミング設定工程(S11)と、
前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)を剥ぎ取るための起点となる捲り部(21)を形成するため、前記チス刃挿入装置(30)が、前記所定のタイミングで、前記母板(10)の表面(11,12)と該表面(11,12)上に形成されたニッケル種板(20)との間に前記チス刃(31)を挿入するチス刃挿入工程(S12)と、
前記チス刃(31)の挿入方向(J)に向けて刃先周辺(P)へ前記母板に平行に光線(R)を照射して、前記刃先周辺(P)に前記光線(R)を遮る遮光物体(22)の有無を前記所定のタイミングで検知した信号(U)を出力する遮光物体検知工程(S13)と、
前記遮光物体検知工程(S13)で出力された前記信号に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体(22)が検知されたならば、制御部(50)がチス刃挿入合格と判定する合否判定工程(S14)と、
前記制御部(50)が前記合否判定工程(S14)でチス刃挿入不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置(30)に前記チス刃挿入工程(S12)を再度実行させ、
前記制御部(50)が前記合否判定工程(S14)で前記チス刃挿入合格と判定したならば、真空吸着パッド機構(60)に前記ニッケル種板(20)の表面(22)を吸着して傾転させることにより、前記母板(10)から前記ニッケル種板(20)の全体を剥ぎ取る剥離工程(S15)と、
を有するものである。
前記制御部(50)が前記所定回数(N)に達してもなお前記チス刃挿入不合格と判定したならば運転を停止することが好ましい。
以下、図1~図3を用いて、本発明の前提となる技術について簡単に説明する。図1は、本発明の前提技術を説明するための電解製錬による電気ニッケルの製造工程を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施形態に係るニッケル種板剥ぎ取り機(以下、「本機」ともいう)を備えた設備(以下、「本設備」ともいう)のライン配置を示す概略平面図である。図3は、本機において、母板とニッケル種板との間にチス刃を挿入する要領を説明するための正面図であり、図3(A)は母板全体、図3(B)は絶縁プロテクタ(エッジワイズプロテクタ)の一部を取り外してチス刃を挿入する直前の状態、をそれぞれ示している。
種板電着工程(S1)では、種板電解槽において、母板10(図3)にニッケル種板20を電着し、ワーク19を形成する。種板電着工程(S1)では電解給液にチタン製の母板10とアノード極を浸漬して通電することで母板10の表面に電気ニッケルを電着させる。電着が完了した母板10はクレーンにて種板電解槽から引き上げられてからニッケル種板剥ぎ取り機(本機)100へと送られる。
本発明の実施以前、すなわち、従来のニッケル種板剥ぎ取り機に改造を加える前では、チス刃挿入不良が73.5回/日発生していたところ、改造後の本機100では、51.3回/日にまで改善された。また、チス刃挿入不良の状態にもかかわらず、真空吸着パッド60~66による真空吸着を強行することが無くなった。チス刃挿入不良、母板にニッケル種板が電着されていない母板を無視して真空吸着を強行すれば、剥離工程(S15)が実行不能になって設備停止するところ、改造後の本機100では、チス刃挿入不良を無視して真空吸着を強行することがなくなったので、設備を長時間停止することは概ね根絶された。このようにして、吸着パッドに無理な力がかかることが軽減されるようになった結果、改造前の月当たりの吸着パッドの交換枚数は29枚であったが、改造後は10枚まで減らすことができた。
Claims (13)
- 母板への電着により形成されたニッケル種板を前記母板から剥ぎ取るための一連の処理機能を備えたニッケル種板剥ぎ取り機であって、
前記一連の処理機能には、さらに、
前記ニッケル種板が前記母板に電着されていることを確認する種板検出手段と、
前記母板毎であって前記母板の面毎に剥離動作を停止することができる剥離停止指令入力手段と、
前記母板の表面と該表面に電着されたニッケル種板との間に挿入して前記母板から前記ニッケル種板を剥ぎ取るための起点となる捲り部を開くチス刃と、
該チス刃に所定のタイミングでチス刃挿入動作を実行させるチス刃挿入装置と、
前記チス刃の挿入方向に向けて刃先周辺へ前記母板に平行に光線を照射して、前記刃先周辺に前記光線を遮る遮光物体の有無を前記所定のタイミングで検知する遮光物体検知手段と、
前記遮光物体検知手段から出力された信号に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体が検知されたならば、チス刃挿入合格と判定して、前記ニッケル種板の表面に吸着して傾転することで前記母板から前記ニッケル種板の全体を剥ぎ取るように剥離動作を実行する真空吸着パッド機構と、
チス刃挿入の合否判定に応じて前記一連の処理機能を統括制御可能な制御部と、
を備えたニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記制御部は、前記剥離停止指令入力手段から剥離停止指令が入力されたとき、入力された後にチス刃挿入動作を実行する母板1枚に限り、剥離停止指令が入力された面のみの前記遮光物体検知手段及び前記真空吸着パッド機構を停止させる、
請求項1に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記種板検出手段は母板確認用鏡であり、前記剥離停止指令入力手段は母板の面毎の停止スイッチである、
請求項1又は2に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記制御部は、前記遮光物体検知手段が前記所定のタイミングで前記遮光物体を検知できなければ、チス刃挿入不合格と判定すると共に、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入動作を再度実行させる、
請求項1~3の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記制御部は、前記チス刃挿入不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入動作を前記チス刃挿入合格と判定するまで所定回数まで実行させ、該所定回数に達してもなお前記チス刃挿入不合格と判定された場合は、異常停止する、
請求項4に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記遮光物体検知手段は、前記チス刃の挿入方向に対して後方に位置する固定体に固設された2組のレーザ距離センサを備え、
前記制御部は、前記レーザ距離センサにより前記遮光物体までの距離を計測した測距値が閾値以下であれば、前記信号により前記遮光物体の存在を検知すると共に、前記チス刃挿入合格の情報を出力する、
請求項1~5の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記制御部は、既設又は付設のPLC(programmable logic controller、シーケンサ)で構成され、
該PLCは、前記遮光物体検知手段から出力された信号が入力され、該信号に基づいて前記一連の処理機能に所定の動作を継続又は中断させるようにプログラム構成された、
請求項1~6の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記真空吸着パッド機構は、複数の真空吸着パッドを備え、これら複数の真空吸着パッドは、前記ニッケル種板を剥ぎ取るための起点となる前記捲り部の近傍に位置するニッケル種板の角部から対角線に沿って並ぶ位置を吸着すると共に、前記捲り部に近い所から遠い方へと順に剥離動作可能に構成された、
請求項1~7の何れかに記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 前記所定回数は3回に設定された、
請求項5に記載のニッケル種板剥ぎ取り機。 - 母板への電着により形成されたニッケル種板を前記母板から剥ぎ取る剥ぎ取り工程を有するニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法であって、
前記剥ぎ取り工程の前に、
前記ニッケル種板が前記母板に電着されていることを確認する種板検出工程と、
前記種板検出工程において、前記ニッケル種板が前記母板に電着されていないと判断されたとき、該母板のニッケル種板が電着されていない面毎に剥離動作を停止することができる剥離停止指令を入力する剥離停止指令入力工程と、
前記剥離停止指令が入力されたとき、前記母板のニッケル種板が電着されていない面において、前記剥ぎ取り工程を行わずに終了させるバイパス工程と、を有し、
前記剥ぎ取り工程には、さらに、
チス刃挿入装置がチス刃を挿入させる所定のタイミングを設定する挿入タイミング設定工程と、
前記母板から前記ニッケル種板を剥ぎ取るための起点となる捲り部を形成するため、前記チス刃挿入装置が、前記所定のタイミングで、前記母板の表面と該表面上に形成されたニッケル種板との間に前記チス刃を挿入するチス刃挿入工程と、
前記チス刃の挿入方向に向けて刃先周辺へ前記母板に平行に光線を照射して、前記刃先周辺に前記光線を遮る遮光物体の有無を前記所定のタイミングで検知した信号を出力する遮光物体検知工程と、
前記遮光物体検知工程で出力された前記信号に基づいて、前記所定のタイミングで前記遮光物体が検知されたならば、制御部がチス刃挿入合格と判定する合否判定工程と、
前記制御部が前記合否判定工程でチス刃挿入不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入工程を再度実行させ、
前記制御部が前記合否判定工程で前記チス刃挿入合格と判定したならば、真空吸着パッド機構に前記ニッケル種板の表面を吸着して傾転させることにより、前記母板から前記ニッケル種板の全体を剥ぎ取る剥離工程と、
を有するニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。 - 前記種板検出工程は人手による目視確認であり、前記剥離停止指令入力工程は人手によるスイッチ操作である、
請求項10に記載のニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。 - 前記制御部が前記合否判定工程で前記チス刃挿入不合格と判定した後に前記チス刃挿入工程を再度実行しても不合格と判定したならば、前記チス刃挿入装置に前記チス刃挿入工程を所定回数まで繰り返し実行させ、
前記制御部が前記所定回数に達してもなお前記チス刃挿入不合格と判定したならば運転を停止する、
請求項10に記載のニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。 - 前記所定回数は3回に設定された、
請求項12に記載のニッケル種板剥ぎ取り機の運転方法。
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JP2019013372A JP7188138B2 (ja) | 2019-01-29 | 2019-01-29 | ニッケル種板剥ぎ取り機、及びその運転方法 |
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