JP7178236B2 - パレット - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの組み付けを行う際にワークを保持するためのパレットに関する。
エンジンの組み付けでは、シリンダブロックやシリンダヘッドなどのワークに各種のパーツが組み付けられる。このようなエンジンの組み付け作業では、シリンダブロック等のワークを所定の姿勢に保持するためのパレットが用いられている。例えば、下記特許文献1には、エンジンブロック等のワークを作業に適した姿勢及び位置で保持することができるパレットが開示されている。
特開2007-203385号公報
ところで、エンジンは、排気量が異なればシリンダブロック等のエンジンを構成する部品も形状や大きさが異なるため、従来では、車種のエンジンの形状に応じたパレットが用いられていた。そのため、従来では、モデルチェンジなどでエンジンが変更されるたびに専用のパレットを設計して準備するため、パレットの製造コストがかかるといった問題があった。ここで、特許文献1のパレットでは、部品組み付けなどの作業性を向上させるために、姿勢を変換させるために、回転機構が設けられている。しかしながら、特許文献1のパレットは、回転機構を設けた片持ち構造により、支柱に作用するモーメントが大きくなる。そのため、特許文献1のパレットは、支柱に作用するモーメントに耐えうる剛性が要求される。
そこで本発明は、メンテナンス性が良く簡単にワークの姿勢を変化可能であり、複数種類のエンジンに対応可能な汎用性のあるパレットの提供を目的とした。
上述の課題に対して、本発明の発明者らは、エンジンの組み付けの際に用いられるパレットに汎用性を持たせるために、どのようにシリンダブロック等のワークを支持させるかについて検討した。
ここで、シリンダブロック等ワークの上下方向の外面形状はエンジンの種類ごとに異なるものの、トランスミッションとの接合部となるリア面については、接合されるトランスミッションの変化が少なく、エンジンの種類ごとの相違点が比較的少ないことが見いだされた。さらに本発明の発明者らが検討したところ、リア面に対して接続して片持ち状態でワークを支持可能とすれば、汎用性のあるパレットを提供することができるとの知見が得られた。
上述の知見に基づき提供される本発明のパレットは、エンジンを構成する部品をワークとして支持するパレットであって、前記エンジンにはトランスミッションとの接合面となるリア面が形成されるものであり、前記リア面に対して着脱可能な着脱部と、前記着脱部を介して前記ワークを支持する本体部とを有し、前記着脱部が、前記本体部に対して着脱可能とされたものであり、前記ワークが、前記本体部に対して片持ち状で支持されることを特徴とするものである。
本発明のパレットによれば、複数種類のエンジンに対応したワークを保持することができる。その結果、本発明のパレットは、汎用性を高め、パレットの設計にかかる工数や製造にかかるコストを低減させることができる。また、本発明のパレットによれば、着脱部を本体部に対して着脱して(例えば、抜き差しして)、ワークの姿勢を簡単に変化させることができる。さらに、本発明のパレットは、本体部に対して着脱部が着脱可能とされている。そのため、本発明のパレットは、例えば、本体部あるいは着脱部のメンテナンスを要する場合に、メンテナンス対象の構成のみのメンテナンスを行うことができる。言い方を換えれば、本発明のパレットは、本体部あるいは着脱部のメンテナンスが必要な場合に、パレット全体としてメンテナンスを行うことを要さず、メンテナンス性を向上させることができる。
ここで、本発明の発明者らは、リア面とパレットとの接続構造をさらに検討した。シリンダブロックやシリンダヘッドなど、エンジンを構成するワークにおいてリア面を構成する面には、トランスミッションと締結するためのねじ穴などの締結部が形成されており、締結部の位置は複数種類のエンジンにある程度共通することが見いだされた。また、本発明の発明者らがさらに鋭意検討した結果、シリンダブロック等のワークのリア面に形成されている締結部の位置と略一致するように係合孔や嵌合部材による嵌合構造を設けることで、簡易な構造でリア面に対して接続可能となるとの知見が得られた。
上述の知見に基づき提供される本発明のパレットは、前記リア面には、前記トランスミッションとの接合のための締結部が設けられており、前記着脱部が、前記締結部に嵌め込み可能な嵌合部と、前記嵌合部を貫通させる係合孔とを備え、前記嵌合部に前記係合孔を挿通させて前記締結部に侵入させることにより、前記着脱部が前記リア面に接続されることを特徴とするものである。
上述の構成によれば、締結部に嵌合部を嵌め込んで着脱部とリア面とを接続し、ワークを保持することができる。
また、本発明のパレットは、前記嵌合部が、前記着脱部に対して変位可能に連結されたものであり、一の前記嵌合部に対して、前記嵌合部の変位軌道上に複数の前記係合孔が設けられているものであってもよい。
上述の構成によれば、複数の係合孔の中から締結部の配置と合致する係合孔を選択することができる。
本発明のパレットは、前記本体部が、基台部と、前記基台部がなす面に対して交差する上下方向に延びるように設けられた立設部とを備え、前記立設部が、前記着脱部を前記上下方向の所定の位置で保持する第一保持部と、前記第一保持部とは前記上下方向に異なる位置で保持する第二保持部とを備えるものであってもよい。
上述の構成によれば、上下方向に形成された複数の保持位置の中から選択して、ワークを保持することができる。例えば、シリンダブロックの組み付け作業時と、シリンダブロックにシリンダヘッドが取り付けられた状態で作業する際とで、ワークの保持位置を変化させることができる。その結果、本発明のパレットは、組み付け作業に適した位置でワークを保持することができる。
本発明によれば、エンジンの組み付けに用いられるものであり、複数種類のエンジンに対応可能な汎用性のあるパレットを提供することができる。
本発明の実施形態に係るパレットを示す斜視図である。 図1のパレットの支持対象とされたエンジン(ワーク)を示す概念図である。(a)はエンジンの全体を示す概念図、(b)はリア面を示す概念図である。 図1のパレットのアタッチを示している。(a)は右側面図、(b)は正面図である。 図3のアタッチの係合孔の位置を示す図である。 図3のアタッチのプランジャを示している。(a)は断面図、(b)はプランジャの移動軌道と係合孔の位置を示している。 図1のパレットの本体部を示す平面図である。 図1のパレットの本体部を示す右側面図である。 図1のパレットのロック部を示す断面図である。 図1のパレットにワークを保持させた状態を示す概念図である。(a)は第二保持部に保持させた状態、(b)は第一保持部に保持させた状態を示している。 図1のパレットにワークを保持させた状態におけるワークの姿勢を示す概念図である。(a)は正立姿勢、(b)は倒立姿勢、(c)はシリンダブロックにシリンダヘッドが組み立てられたワークの正立姿勢、(d)はシリンダブロックにシリンダヘッドが組み立てられたワークの倒立姿勢を示している。 図1のパレットが搬送ラインで搬送される場合の流れを示す概念図である。
以下、本発明の実施形態に係るパレット10について、図面を参照しつつ説明する。パレット10は、図1に示す外観を有している。
パレット10は、エンジン1を構成する部品をワークWとして支持するためのものである。より具体的には、パレット10は、コンベア等により形成される搬送ライン4上を搬送されるとともに、シリンダブロック1a等のワークWを作業に適した姿勢で保持するためのものである。パレット10は、ワークWに対してパーツ(図示を省略)を組み付ける際や、シリンダブロック1aにシリンダヘッド1bやオイルパン1cを接続するなどの組み立てにおいて、ワークWの姿勢を保持するために用いられる。
ここで、パレット10の保持対象とされたワークWについて説明する。パレット10は、エンジン1を構成するシリンダブロック1aやシリンダヘッド1b、オイルパン1c、あるいはこれらが組み立てられたワークWに対して、各種のパーツを組み付ける作業やワークW(例えばシリンダブロック1a)に他の構成(例えばシリンダヘッド1b)を組み立てる際に用いられる。
図2(a)に示すとおり、エンジン1は、シリンダブロック1a、シリンダヘッド1b、及びオイルパン1cが組み立てられて本体が形成される。シリンダブロック1a、シリンダヘッド1b、オイルパン1cには、組み付け作業において各種のパーツが組み付けられる。
図2(a)に示すとおり、エンジン1は、車両に配置された状態において、シリンダブロック1aの上方側にシリンダヘッド1bが配置され、シリンダブロック1aの下方側にオイルパン1cが配置される。
図2(b)に示すとおり、エンジン1には、車両に配置された状態において後方側(リア側)となる部分に、トランスミッション(図示を省略)との接合面となるリア面2が形成されている。リア面2には、トランスミッションとの接合のための複数の締結穴3(締結部)が設けられている。
なお、本明細書において、「ワーク」とは、パレット10の保持対象を意味する。すなわち、本明細書における「ワーク」は、シリンダブロック1aである場合や、シリンダブロック1a及びシリンダヘッド1bが組み立てられたものである場合、あるいはシリンダブロック1a、シリンダヘッド1b及びオイルパン1cが組み立てられたものである場合が含まれる。
また、以下の説明において、エンジン1が車両に配置された状態におけるシリンダブロック1a等の各構成(ワークW)の姿勢を「正立姿勢」又は単に「正立」と記載する場合がある。また、各ワークWの姿勢について、正立姿勢とは上下逆向きの姿勢を「倒立姿勢」又は単に「倒立」と記載する場合がある。
図1に示すとおり、パレット10は、アタッチ20(着脱部)、及び本体部40を備えている。
図1に示すとおり、アタッチ20(着脱部)は、ワークWに形成されるリア面2に対して着脱可能とされている。アタッチ20は、ワークWを取り付けて本体部40に支持させるための着脱部材として設けられている。アタッチ20は、シリンダブロック1a(ワークW)のリア面2に取り付けられる。また、アタッチ20は、本体部40とは別体とされており、本体部40に対して着脱可能とされている。
図1及び図3に示すとおり、アタッチ20(着脱部)は、接続部22、及び二つのレール形成部32を備えている。アタッチ20は、レール形成部32a及びレール形成部32bが、接続部22と交差する方向に延びるように、接続部22の両側にそれぞれ形成されている。より具体的には、アタッチ20は、接続部22と二つのレール形成部32とが一体的に形成されて平面視において略コの字の形状をなしている。
図3(a)に示すとおり、接続部22には、複数の係合孔24、及び複数のプランジャ28が設けられている。接続部22は、表裏をなす面のうち、レール形成部32が取り付けられた側の面(プランジャ取付面22b)とは反対側の面(接続面22a)にシリンダブロック1aのリア面2が取り付けられる。
プランジャ28は、接続部22に対して変位可能に連結されている。より具体的には、図3(a)及び図5(b)に示すとおり、プランジャ28は、接続部22に対して揺動軸26を介して取り付けられており、プランジャ取付面22bに沿って回転軌道Cを形成するように変位可能とされている。
図5(a)に示すとおり、プランジャ28は、収容体29、着脱ピン30(嵌合部)、及び図示を省略した付勢部材を備えている。プランジャ28は、着脱ピン30が付勢部材の付勢力により収容体29から突出する方向(図5(a)における矢印B1)に付勢されている。着脱ピン30は、締結穴3に嵌め込み可能とされている。
係合孔24は、着脱ピン30を挿通させることができる開口径の大きさとされた貫通孔である。本実施形態の係合孔24は、一のプランジャ28に対して、当該プランジャ28の回転軌道C上に複数(本実施形態では二つ)の係合孔24が設けられている。より具体的に説明すると、図5(b)に示すとおり、接続部22には、一つのプランジャ28の回転軌道C上に位置するように二つの係合孔24が形成されている。
図4に示すとおり、複数の係合孔24は、締結穴3の配置に対応するよう形成されている。図5(a)及び(b)に示すとおり、プランジャ28は、揺動軸26を回転軸としてプランジャ取付面22b上を移動して係合孔24が設けられた位置に到達すると、着脱ピン30が係合孔24を挿通して接続面22a側に突出する。図5(a)に示すとおり、アタッチ20は、着脱ピン30が係合孔24を挿通して接続面22a側に突出してシリンダブロック1aの締結穴3に侵入することにより、シリンダブロック1aのリア面2に接続される。
また、上述のとおり、アタッチ20には、一のプランジャ28の回転軌道C上に二つの係合孔24が設けられている。そのため、アタッチ20は、締結穴3が設けられた位置に応じてプランジャ28を変位させて係合孔24を挿通させ、着脱ピン30を締結穴3に到達させて嵌め込むことができる。言い方を換えれば、アタッチ20は、リア面2に形成されている締結穴3の位置に応じて着脱ピン30を挿通させる係合孔24を選択して、リア面2の締結穴3に着脱ピン30を挿通させることができる。
レール形成部32には、レール部34が形成されている。レール部34には、後述する支持ローラ52が嵌め込まれる。接続部22は、レール部34に支持ローラ52が嵌め込まれた状態において、二つの支持ローラ52に支持された状態となり、本体部40に装着される。
図3(b)に示すとおり、レール形成部32には、ロック孔36が設けられている。ロック孔36は、レール形成部32を貫通する貫通孔として設けられている。ロック孔36は、後述するロック部54のロックピン56を嵌め込み可能とされている。
本体部40は、アタッチ20を介してワークWを支持する基台として設けられている。図1に示すとおり、本体部40は、基台部42、及び立設部50を備えている。ワークWがアタッチ20を介して本体部40に支持された状態で、基台部42が接地された状態では、ワークWは片持ち状で支持される(図9参照)。
図1等に示すとおり、本体部40には、二つの立設部50が設けられている。具体的には、図6に示すとおり、本体部40には、第一立設部50aと、第二立設部50bとの、二つの立設部50が設けられている。本体部40は、基台部42に対して、基台部42がなす平面(積置面F)と交差する方向に延びるように立設部50が設けられており、基台部42と立設部50とが正面視において略L字状をなしている。
なお、以下の説明において、基台部42を水平面に積置させた状態において、基台部42がなす仮想平面を、「積置面F」と記載して説明する場合がある。
また、積置面Fに対して交差する方向を、上下方向Hと記載して説明する場合がある。さらに、上下方向Hにおいて基台部42から離反する向き(基台部42から立設部50が延びる方向)を、「上方向h1」と記載して説明する場合がある。さらに、上下方向Hにおける上方向h1とは逆の向きを、「下方向h2」と記載して説明する場合がある。
さらに、以下の説明において、二つの立設部50が向かい合う方向を「第一方向X」と記載し、積置面F上で第一方向Xと交差する方向を「第二方向Y」と記載して説明する場合がある。
図1に示すとおり、基台部42は、平面視において略矩形の板状の部材とされており、中央に貫通孔46が形成されている。なお、パレット10は、搬送ライン4(図11参照)に設けられた搬送ローラ6により、所定の方向に搬送される。
立設部50には、複数の支持ローラ52と、複数のロック部54とが設けられている。
支持ローラ52は、アタッチ20をスライド可能に取り付けるために設けられている。本実施形態の支持ローラ52は、カムフォロアが用いられている。
また、支持ローラ52には、偏心カム(図示を省略)が設けられている。偏心カムは、支持ローラ52の軸芯位置を微調整するために設けられている。偏心カムは、支持ローラ52が取り付けられた面とは反対側の面に設けられた調整部53(図6参照)を操作することにより、支持ローラ52の軸芯位置を上下方向に偏心させて調整することができる。
図6及び図7に示すとおり、支持ローラ52は、一つの立設部50に対して、四つ取り付けられている。より具体的には、支持ローラ52は、一つの立設部50に対して、二つの支持ローラ52が第二方向Yに沿って配置されており(図6参照)、さらに上下方向Hの二箇所において二つの支持ローラ52が配置されている(図7参照)。
図7に示すとおり、四つの支持ローラ52のうち、上方向h1側に設けられた二つの上方側支持ローラ52a(第一保持部)は、アタッチ20を上方側保持位置P1において支持するために設けられている。また、四つの支持ローラ52のうち、下方向h2側に設けられた下方側支持ローラ52b(第二保持部)は、アタッチ20を下方側保持位置P2において支持するために設けられている。
ロック部54は、アタッチ20のロック孔36と係合して、アタッチ20を本体部40に対して第二方向Yにおいて位置決めするために設けられている。図8に示すとおり、本実施形態のロック部54は、ロックピン56と、コマ部58とを備えている。ロック部54は、ロックピン56とコマ部58とが連結されており、ロックピン56は図示を省略した付勢部材によりコマ部58が設けられた側とは反対側(先端側)に突出するように付勢されている(図8の矢印B2の方向)。
図6に示すとおり、ロック部54は、第二方向Y沿って配列された二つの支持ローラ52に挟まれるように配置されている。また、図7に示すとおり、立設部50には、二つの上方側支持ローラ52aに挟まれるように設けられる上方側ロック部54aと、二つの下方側支持ローラ52bに挟まれるように設けられる下方側ロック部54bとの、二つのロック部54が設けられている。
アタッチ20は、ロックピン56がロック孔36に嵌め込まれることで、本体部40に対して第二方向Yに位置決めされる。さらに、アタッチ20は、ロックピン56がロック孔36から後退することで本体部40に対する位置決め(ロック)が解除される。
<パレットにワークを保持させた状態について>
続いて、パレット10にワークWを保持させた状態について説明する。
上述のとおり、パレット10は、アタッチ20にワークWのリア面2を接続して、アタッチ20を本体部40に保持させることにより、ワークWの姿勢を維持可能とされている。
アタッチ20は、レール部34が本体部40の支持ローラ52に嵌め込まれて、本体部40に取り付けられる。より具体的には、図9(a)に示すとおり、アタッチ20は、レール部34に下方側支持ローラ52bを嵌め込むことにより、積置面Fから上方向h1に距離L2(高さL2)の下方側保持位置P2に保持された状態で本体部40に取り付けられる。また、図9(b)に示すとおり、アタッチ20は、レール部34に上方側支持ローラ52aを嵌め込むことにより、積置面Fから上方向h1に距離L1(高さL1)の上方側保持位置P1に保持された状態で本体部40に取り付けられる。
このように、パレット10は、アタッチ20を、高さL1で保持する上方側支持ローラ52a(第一保持部)と、上方側支持ローラ52aとは異なる高さL2で保持する下方側支持ローラ52b(第二保持部)とにより、アタッチ20を上方向h1に異なる高さL1及び高さL2の双方において保持可能とされている。
そのため、パレット10は、ワークWの作業対象面(パーツを組み付けようとする部分などの作業が行われる部分)の高さ等に応じて、ワークWを保持しようとする高さを変更することができる。その結果、パレット10は、組み付け作業を効率的に行い得る。
また、上述のとおり、パレット10は、アタッチ20が着脱可能とされており、アタッチ20を上下逆向きに本体部40に対して装着することで、ワークWを正立姿勢から倒立姿勢、あるいは倒立姿勢から正立姿勢へと姿勢を変化させることができる。
言い方を換えれば、パレット10は、支持ローラ52にアタッチ20のレール部34を差し込む簡単な動作でアタッチ20を本体部40に対して着脱して、アタッチ20の向きを変化させることでワークWの姿勢を変化させることができる。これにより、パレット10は、着脱構造や支持構造を簡素化することができる。さらに、パレット10は、離間して配置されている二つの支持ローラ52をレール部34に差し込むように装着することでアタッチ20が本体部40に対して装着される。そのため、アタッチ20を本体部40に簡単に装着させつつ、確実に荷重を受け止めることができる。
例えば、図10(a)に示すとおり、パレット10は、ワークW(例えばシリンダブロック1a)を正立姿勢として片持ち状で保持する状態から、アタッチ20をワークWから取り外すことなくワークWを倒立姿勢として片持ち状で保持することができる。具体的には、パレット10は、ワークWを正立姿勢で保持する状態から、アタッチ20を本体部40から取り外し、シリンダブロック1aを倒立姿勢とした上で再度アタッチ20を本体部40に装着することで、シリンダブロック1aを倒立姿勢で保持することができる(図10(b)参照)。
さらに、図10(c)及び図10(d)に示すとおり、パレット10は、シリンダブロック1aにシリンダヘッド1bが装着された状態のワークWを片持ち状で保持することができる。また、シリンダブロック1aにシリンダヘッド1bが装着された状態のワークWを、アタッチ20を本体部40に着脱することで、正立姿勢(図10(c)参照)から倒立姿勢(図10(d)参照)に変化させ、あるいは正立姿勢から倒立姿勢へと変化させることができる。
なお、上述のとおり、パレット10の支持ローラ52には、偏心カム(図示を省略)が設けられている。パレット10は、第二方向Yに沿って並列に設けられている支持ローラ52の軸芯位置を調整することで、ワークWの姿勢を略水平となるように調整することができる。例えば、パレット10は、4つの上方側支持ローラ52aのそれぞれの調整部53を操作することで、各上方側支持ローラ52aの軸芯位置を調整し、ワークWが略水平の姿勢となるように調整することができる。
<搬送ライン上での動作について>
次に、搬送ライン4上におけるパレット10の動作について説明する。
上述のとおり、パレット10には、ロック部54が設けられている。そのため、パレット10は、搬送ライン4上を移動する際に、アタッチ20が本体部40に対して位置ズレしたり脱落したりすることを抑制することができる。
また、ロック部54のロックピン56は、コマ部58に牽引されて変位可能とされている。そのため、例えば、搬送ライン4上にコマ部58と接触可能な爪部5を設けることで、搬送ライン4に搬送されるワークWのロックを解除して姿勢を変化させることができる。
具体的には、図11に示すとおり、搬送ライン4上に爪部5が設けられた姿勢変更領域4aを設けて、ワークWの姿勢を変化させることができる。
図11には、搬送ライン4に姿勢変更領域4aやターンテーブル4bなどが設けられた例を示している。ワークWが搬送方向B3に沿って搬送され、ターンテーブル4bに到達すると、ワークWが姿勢変更領域4aに搬送される(図11(a)~(c)参照)。
図11(c)に示すとおり、姿勢変更領域4aでは、パレット10が侵入すると、爪部5がパレット10のコマ部58と接触する。図8に示すとおり、コマ部58は、爪部5と接触しつつ、パレット10の側方外側に向けて牽引される。また、コマ部58と連結されているロックピン56は、コマ部58の変位に伴ってアタッチ20のロック孔36から後退する。このように、パレット10は、爪部5が設けられた姿勢変更領域4aに侵入することで、ロックが解除され、ワークWの姿勢を変更可能となる。
ワークWは、アタッチ20のロックが解除された状態において、図示を省略した反転装置により正立姿勢から倒立姿勢、あるいは倒立姿勢から正立姿勢へと姿勢が変更され、ターンテーブル4bを経て再び搬送ライン4において搬送される(図11(d)参照)。
このように、パレット10は、搬送ライン4において、組み付け作業ごとに他のパレットに載せ替えることを要しない。言い方を換えれば、パレット10は、エンジン1の組み付け作業において、大部分の作業においてパレット10に積置したまま行うことができる。そのため、パレット10は、作業工程に応じた複数のパレットを準備することを要さず、パレット製造コストを抑制することができる。
また、パレット10は、エンジン1のリア面2に対して接続してワークWを保持する。また、上述のとおり、リア面2の締結穴3の位置は、ある程度のエンジンに共通するように形成されている。そのため、パレット10は、エンジンの外形が異なる場合であっても、締結穴3の位置が共通する複数種類のエンジン1に対して共通して用いることができ、汎用性を持たせることができる。
本発明は、エンジンの組み付けにおいてエンジンを構成するワークを保持する治具として、好適に用いることができる。
1 エンジン(ワーク)
1a シリンダブロック(ワーク)
1b シリンダヘッド(ワーク)
1c オイルパン(ワーク)
2 リア面
3 締結穴(締結部)
10 パレット
20 アタッチ(着脱部)
24 係合孔
30 着脱ピン(嵌合部)
40 本体部
42 基台部
50 立設部
50a 第一立設部(立設部)
50b 第二立設部(立設部)
52 支持ローラ
52a 上方側支持ローラ(第一保持部)
52b 下方側支持ローラ(第二保持部)
C 回転軌道(変位軌道)
H 上下方向
W ワーク

Claims (1)

  1. エンジンを構成する部品をワークとして支持するパレットであって、
    前記エンジンにはトランスミッションとの接合面となるリア面が形成されるものであり、
    前記リア面に対して着脱可能な着脱部と、
    前記着脱部を介して前記ワークを支持する本体部とを有し、
    前記着脱部が、前記本体部に対して着脱可能とされたものであり、
    前記ワークが、前記本体部に対して片持ち状で支持されるものであり、
    前記本体部が、上下方向の所定の位置で前記着脱部を保持する第一保持部と、第一保持部とは上下方向に異なる位置で前記着脱部を保持する第二保持部とを備え、
    前記リア面には、前記トランスミッションとの接合のための締結部が設けられており、
    前記着脱部が、前記締結部に嵌め込み可能な嵌合部と、前記嵌合部を貫通させる複数の係合孔とを備えたものであり、
    前記嵌合部が、前記着脱部に対して揺動軸を回転軸として移動可能とされており、
    前記締結部の位置に応じて前記嵌合部を挿通させる前記係合孔を選択可能とされていることを特徴とするパレット。
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