JP6536084B2 - 部品供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば工場内の各種組立工程で使用される部品供給装置に関し、特に傾斜しているシューターに多数の部品を自重による前詰め方式にて一列に整列しておき、切り出し機構により最前列の部品を後続の部品から切り離しては一個ずつ取り出すようにした部品供給装置に関する。
傾斜しているシューターに多数の部品を自重による前詰め方式にて一列に整列収容しておくようにした部品供給装置が例えば特許文献1にて知られている。この特許文献1に記載された部品供給装置では、比較的姿勢の安定した厚板状の部品の整列収容を目的としていて、自重にて前詰めされた多数の部品のうち最前列の部品の取り出しは作業者による手作業にて行う方式となっている。
特開2004−74377号公報
しかしながら、特許文献1に記載された部品供給装置では、例えば自動車のドアヒンジのように形状が複雑で且つ姿勢の安定しない部品の整列収容には対応できないだけでなく、上記のように形状が複雑で且つ姿勢の安定しない部品を前提とした上で、自動化された切り出し機構により最前列の部品を後続の部品から切り離しては一個ずつ取り出すといういわゆる自動切り出しにも対応することができない。
そこで、本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、自動車のドアヒンジのように形状が複雑で且つ姿勢の安定しない部品であっても、その整列収容と自動切り出しを可能とした部品供給装置を提供するものである。
本発明は、前下がりで傾斜しているシューターに自動車用の多数のドアヒンジを自重による前詰め方式にて一列に整列収容しておき、切り出し機構により最前列のドアヒンジを後続のドアヒンジから切り離して一個ずつ取り出すようにした部品供給装置である。
上記ドアヒンジは、二つのヒンジアーム同士をヒンジピンにて相対回転可能に連結してあるとともに、一方のヒンジアームはチャンネル状の本体部の両端からヒンジピンと平行にフランジ部を張り出し形成した略ハット型断面形状のものである。
さらに、上記ドアヒンジは、個々のドアヒンジにおける一方のヒンジアームと他方のヒンジアームとの相対回転角度が予め均一化されていて、他方のヒンジアームが一方のヒンジアームよりも下流側となることで、ドアヒンジ全体の重心位置がヒンジピンよりも下流側となる姿勢に揃えられているとともに、他方のヒンジアームがそれよりも前方側に位置するドアヒンジの一方のヒンジアームのヒンジ本体部に当接するように、一対のフランジ部の下面を接触部としてシューターに整列支持されているものである。
その上で、上記切り出し機構は、ドアヒンジの整列方向と交差する方向に一体的に昇降駆動される上流側ストッパーと下流側ストッパーとを有しているとともに、上記上流側ストッパーはその下流側の面が当該上流側ストッパーの昇降方向に対して傾斜した押出面となっている。
そして、上記上流側ストッパーと下流側ストッパーが共に下降している切り出し停止状態では、下流側ストッパーに対し最前列のドアヒンジにおける一対のフランジ部の下流側の面が当接して当該最前列のドアヒンジ以降の各ドアヒンジの前詰め整列状態を維持しているとともに、上流側ストッパーはいずれのドアヒンジに対しても非接触の状態にある
その一方、上記切り出し停止状態から上流側ストッパーと下流側ストッパーが共に上昇動作して切り出し状態に移行する過程では、下流側ストッパーが最前列のドアヒンジから離れて当該最前列のドアヒンジの前詰めを許容するとともに、上流側ストッパーの押出面が最前列のドアヒンジにおける一対のフランジ部の上流側の面に当接して当該最前列のドアヒンジを下流側前方に押し出しながら、上記押出面とは反対側の背面が後続の二列目のドアヒンジにおける一対のフランジ部の下流側の面に当接して当該二列目のドアヒンジ以降の各ドアヒンジの前詰めを阻止するようになっていることを特徴とする。
本発明によれば、切り出し機構である上流側ストッパーと下流側ストッパーとの単純な昇降動作のみにより、整列収容されている多数のドアヒンジのうち最前列のドアヒンジを後続のドアヒンジから切り離して一個ずつ取り出すことができるので、簡素な構造でありながらドアヒンジの取り出しを含むいわゆる一個切り出しの信頼性が高いものとなる。
さらに詳しくは、部品供給装置としての構成部品点数が少なく、安価な設備とすることができるほか、設備構成が簡素であるが故に、ドアヒンジの詰まりや切り出し不良等のトラブルによる設備停止が少なく、設備稼働率も高いものとなる。
本発明に係る部品供給装置の一例として自動車用ドアヒンジの供給装置の概略を示す斜視図。 図1の要部の側面説明図。 図1の要部の拡大図。 図3の側面説明図。 図4のQ−Q線に沿った拡大矢視図。 ドアヒンジの具体例を示す斜視図。 図3,4に示したドアヒンジ供給装置の作動状態を示す図で、図4と同じ切り出し停止状態の説明図。 図3,4に示したドアヒンジ供給装置の作動状態を示す図で、図7の切り出し停止状態から双方のストッパーが上昇動作した時の説明図。 図3,4に示したドアヒンジ供給装置の作動状態を示す図で、図8の状態から双方のストッパーが切り出し位置まで上昇動作した時の説明図。 図3,4に示したドアヒンジ供給装置の作動状態を示す図で、図9の切り出し状態から双方のストッパーが切り出し停止位置まで下降動作した時の説明図。 切り出し後のドアヒンジのロボットハンドによる把持状態を示す図で、(A)は正面説明図、(B)は同図(A)の右側面説明図。 (A)〜(E)のいずれも自動車用ドアヒンジの他の例を示す平面説明図。
図1〜11は本発明に係る部品供給装置を実施するためのより具体的な形態を示し、特に図1は自動車生産ラインでのドア組立工程においてドア単体の状態で当該ドアに組み付けるべきドアヒンジを自動供給するためのドアヒンジ供給装置全体の概略を示しているとともに、図2は図1の要部の側面説明図を示している。また、図3は図1の要部拡大図を、図4は図3の側面説明図をそれぞれ示している。さらに、図5は図4のQ−Q線に沿った拡大矢視図を、図6は整列対象となるドアヒンジ1の具体例をそれぞれ示している。
最初に、ドアヒンジ1の詳細を図6に基づいて説明する。このドアヒンジ1は、一方のヒンジアームであるドア側ヒンジアーム2と他方のヒンジアームである車体側ヒンジアーム3とをヒンジピン4を介して相対回転可能に連結したものであり、車体側ヒンジアーム3には一対の取付ボルト5が突設されている。また、ドア側ヒンジアーム2はチャンネル状のヒンジ本体部2aの両端からヒンジピン4とほぼ平行にそれぞれにフランジ部2bを張り出し形成した略ハット型断面形状のものであって、各フランジ部2bにはボルト穴6がそれぞれに形成されている。そして、ドア側ヒンジアーム2はその名の通り各フランジ部2bのボルト穴6に挿通される図示外のボルトによりドアに締結固定されるとともに、同様に車体側ヒンジアーム3はそれに付帯しているボルト5に図示外のナット締めが施されることで車体に締結固定されることになる。
図1,2に示す部品供給装置としてのドアヒンジ供給装置7は、前下がりで傾斜しているシューター8と、そのシューター8の下流側下端部に配置されたヒンジ切り出し機構9と、このヒンジ切り出し機構9の下流側に配置されたヒンジ位置決め機構10と、から構成されている。これらのヒンジ切り出し機構9およびヒンジ位置決め機構10は共にシューター8の一部に固定支持されているとともに、シューター8はフロアから立設されたフレーム11のポスト部11aに固定支持されている。これにより、シューター8は上記前下がりの傾斜姿勢を維持している。
シューター8は、後述するように図6に示した多数のドアヒンジ1を自重による前詰め方式にて一列に整列収容しておく機能を有する。また、ヒンジ切り出し機構9は、シューター8にて整列収容されている多数のドアヒンジ1のうち最前列のものを後続のドアヒンジ群から切り離して(いわゆる一個切り出し機能)、下流側前方に送り出す機能を有する。さらに、ヒンジ位置決め機構10は、下流側前方に送り出された最前列のドアヒンジ1を所定位置にて位置決め停止させて、例えば後述するロボットハンド24(図11参照)が容易に把持することができるように、一個切り出しされたドアヒンジ1の位置と姿勢を規制する機能を有する。
シューター8は、図1のほか図5に示すように、長手方向に延びる長尺な複数の丸棒状のガイドバー12,13,14により図5に示すドアヒンジ1の整列整送のための搬送路が形成されているものであって、複数のロアブラケット26とアッパブラケット27とにより各ガイドバー12,13,14同士の相対位置が規制されている。より具体的には、図5に示すように、片側三本ずつのガイドバー12,13,14により搬送路が形成されていて、左右中段および左右下段のガイドバー13,14が最上流側のロアブラケット26から最下流側のロアブラケット26にわたって配設されているのに対して、左右上段のガイドバー12の下端は後述するヒンジ切り出し機構9の位置で終了している。なお、図2では図面の錯綜化を回避するために全てのガイドバー12,13,14を図示省略しているとともに、図3,4でも中段のガイドバー13を除いてそれ以外のガイドバー12,14を図示省略している。
そして、図6に示したドアヒンジ1について、図1および図3〜5に示すように、シューター8の上端側からドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bを左右中段と上段のガイドバー12,13同士の間の隙間に差し込むようにして挿入すると、各ドアヒンジ1はドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの下面を接触部として左右中段のガイドバー13に吊り下げ支持されるかたちとなり、これによって多数のドアヒンジ1がシューター8上に自重にて前詰めされるかたちで整列収容されることになる。
ここで、図6に示したドアヒンジ1について、ドア側ヒンジアーム2と車体側ヒンジアーム3との相対回転角度が予め均一化されているものとすると、車体側ヒンジアーム3がドア側ヒンジアーム2よりも下流側となる姿勢とした上で、シューター8の最上流側から作業者が左右中段と上段のガイドバー12,13同士の間の隙間に差し込むようにしてドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bを挿入するものとする。この場合に、図5に示した中段のガイドバー13が丸棒状のものであるために、そのガイドバー13とドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bとが線接触のかたちとなり、しかも、ドアヒンジ1全体の重心が下流側に位置している車体側ヒンジアーム3側にあるために、ドアヒンジ1は左右中段のガイドバー13上を自重にて滑り落ちて前詰めされることになる。
この場合において、図3,4に示すように、ドアヒンジ1のうち車体側ヒンジアーム3に付帯している一対のボルト5はその前側(下流側)のドアヒンジ1と直接干渉することはなく、ドアヒンジ1のうち車体側ヒンジアーム3の前端がそれよりも一つ下流側のドアヒンジ1のドア側ヒンジアーム2に直接当接するかたちとなる。なお、シューター8上には数十個のドアヒンジ1が整列収容される。
図3,4に示すヒンジ切り出し機構は、直動型アクチュエータである切り出しシリンダ(エアシリンダ)15を母体として形成されていて、その切り出しシリンダ15のピストンロッド15aにブラケット16を介してベースプレート17が固定されているとともに、ベースプレート17の両側にそれぞれサイドブラケット18が固定されている。これらのベースプレート17と一対のサイドブラケット18とにより、共通の支持体としての略アーチ状(門型)の昇降式ホルダ19が形成されている。なお、図3に示すピストンロッド15aの両側には一対のガイドロッド20が配置されていて、このガイドロッド20はピストンロッド15aと共にブラケット16に連結されているとともに、シリンダチューブ21側のガイド孔21aにスライド可能に挿入されていて、シリンダチューブ21に対する昇降式ホルダ19の回り止めが施されている。
そして、切り出しシリンダ15の伸縮作動方向はシューター8の長手方向に直交する方向に設定されていて、この切り出しシリンダ15の伸縮作動に応じてアーチ状の昇降式ホルダ19が昇降動作するようになっている。
上記アーチ状をなす昇降式ホルダ19は、図3,4のほか図5に示すように実質的にシューター8を跨いでいて、その昇降式ホルダ19におけるベースプレート17の下流側の面に下流側ストッパーとしての左右一対のロア側ストッパー22が固定されているとともに、左右一対のサイドブラケット18の内側に上流側ストッパーとしてのアッパ側ストッパー23が個別に固定されている。
そして、これらの左右一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23は切り出しシリンダ15の伸縮作動に応じて、上昇限位置を切り出し位置とし、下降限位置を切り出し停止位置として、昇降式ホルダ19とともに昇降動作するものであり、したがって、図3〜5はいずれも切り出しシリンダ15が伸長動作して、左右一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23が共に切り出し停止位置(切り出し停止状態)にある状態を示していることになる。
この図3〜5に示す状態では、左右一対のロア側ストッパー22が最前列のドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2の左右のフランジ部2bに当接していて、最前列のドアヒンジ1を含みつつ当該ドアヒンジ1以降の各ドアヒンジ1の前詰め整列状態を自己保持(維持)している。その一方、左右一対のアッパ側ストッパー23は図5に示すようにいずれのドアヒンジ1のいずれの部位に対しても全く接触していない状態にある。
より詳しくは、図5から明らかなように、左右一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23が共に切り出し停止位置にある状態では、左右一対のアッパ側ストッパー23は、横方向(各アッパ側ストッパー23の厚み方向)ではドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bとオーバーラップする関係にあっても、各アッパ側ストッパー23の上端面はドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの下面よりも低い位置にあって、両者の間に所定の隙間Gが確保されている。これにより、左右一対のアッパ側ストッパー23はいずれのドアヒンジ1のいずれの部位に対しても全く接触していない状態にある。
その一方、図3,4に示すように、左右一対のアッパ側ストッパー23の背面23bは切り出しシリンダ15による昇降方向と平行に設定されていて、図3,4の状態から切り出しシリンダ15の収縮動作に基づいて上昇した場合には、その左右一対のアッパ側ストッパー23の背面23bは直ちに二列目のドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの前端(下流側の面)に当接可能なように設定されている。
ただし、共に共通の昇降式ホルダ19に支持されている一対のロア側ストッパー22と一対のアッパ側ストッパー23とは両者同時に上昇動作を開始することから、この上昇動作時において、一対のロア側ストッパー22が最前列のドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの前端(下流側の面)から離れるタイミングよりもわずかに先行して、上記一対のアッパ側ストッパー23の背面23bが二列目のドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの前端(下流側の面)に当接するように、上記一対のロア側ストッパー22と一対のアッパ側ストッパー23との位置関係が予め設定されている。
さらに、上記左右一対のアッパ側ストッパー23の下流側の面である前端面については、後述するように最前列のドアヒンジ1を下流側前方に押し出すための押出面23aとして機能するようになっている。この押出面23aは切り出しシリンダ15による昇降方向ひいては一対のアッパ側ストッパー23それ自体の背面23bと非平行になるように設定されていて、切り出しシリンダ15による昇降方向を基準とした場合に、押出面23aはその上端部よりも下端部の方が下流側前方に位置するように実質的に傾斜カム面として形成されている。
このように構成されたドアヒンジ供給装置では、図3,4に示すように、ヒンジ切り出し機構9の切り出しシリンダ15が伸長動作して、左右一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23が下降限位置である切り出し停止位置にあることから、シューター8上の全てのドアヒンジ1が前詰め整列状態を維持している。すなわち、最前列のドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bが左右一対のロア側ストッパー22に当接していて、その最前列のドアヒンジ1についてそれ以上の下流側(前方側)への移動が阻止されて静止しているとともに、二列目以降の後続の多数のドアヒンジ1についても互いに当接しながら静止している。
図4の要部について図面の錯綜化を回避するべく同図のサイドブラケット18とガイドバー13を図示省略したものが図7である。同図の切り出し停止状態からのドアヒンジ1のいわゆる一個切り出しに際しては、図7の状態から切り出しシリンダ15の収縮動作に基づいて、共通の昇降式ホルダ19に支持されている左右一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23を上昇限位置である切り出し位置に向かって一斉に上昇動作させる。なお、ここでは、最前列のドアヒンジ1と後続のドアヒンジ1とを区別するために、最前列のドアヒンジ1についてのみ符号1Aを併記するものとする。
左右一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23を同時に上昇動作させると、図8に示すように、最前列のドアヒンジ1Aからロア側ストッパー22が離れることによって、それまでのロア側ストッパー22による規制から最前列のドアヒンジ1Aが解放されることになるので、その瞬間に最前列のドアヒンジ1Aはさらに下流側に向かっての移動が可能となる。
その一方、最前列のドアヒンジ1Aからロア側ストッパー22が離れるタイミングよりもわずかに先行して、そのロア側ストッパー22と同時に上昇動作するアッパ側ストッパー23の背面23bが、二列目のドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの先端面(下流側の面)に当接するようになる。そのため、上記のように最前列のドアヒンジ1Aがさらに下流側に向かっての移動が可能となったとしても、二列目のドアヒンジ1の前詰めはアッパ側ストッパー23との当接によって阻止される。
そして、一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23とが図8の状態から上昇限位置である図9に示す切り出し位置に向かって上昇動作する過程では、二列目のドアヒンジ1はアッパ側ストッパー23の背面23bとの当接によってなおも従前の位置に位置規制されたままであるのに対して、アッパ側ストッパー23の押出面23aは上記背面23bに対して所定角度傾斜した傾斜カム面となっていることから、アッパ側ストッパー23の上昇動作に伴いその押出面23aは最前列のドアヒンジ1Aにおけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの後端面(上流側の面)に当接して、最前列のドアヒンジ1Aを下流側に向かって強制的に押し出すことになる。そのため、最前列のドアヒンジ1Aは後続のドアヒンジ群から一つだけ切り出されたかたちとなって(いわゆる一個切り出し機能)、その最前列のドアヒンジ1Aは自重により図3,4に示すガイドバー13上を滑り落ちてさらに下流側に移動することになる。
この後、図9の切り出し状態から一対のロア側ストッパー22とアッパ側ストッパー23とが下降動作を開始し、最終的に図10に示す切り出し停止状態に移行することになる。図10の切り出し停止状態は図7に示す当初の状態にほかならないから、ロア側ストッパー22とともに下降するアッパ側ストッパー23が下降限位置に達するまでは、二列目のドアヒンジ1はアッパ側ストッパー23の背面23bに当接したままでその位置規制がなされている。
そして、アッパ側ストッパー23が下降限位置に達する直前に、そのアッパ側ストッパー23の上端面が二列面のドアヒンジ1におけるドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bの下面よりも低い位置となると、その瞬間にアッパ側ストッパー23によるそれまでの二列目のドアヒンジ1の位置規制が解除されることになる。そのため、二列目のドアヒンジ1を最前列のものとして当該ドアヒンジ1を含む後続のドアヒンジ群が一斉に下流側に向かって移動し始めることになる。
さらに、アッパ側ストッパー23が下降限位置に達して停止するのと同時に、ロア側ストッパー22も下降限位置に達して停止することになるので、下流側に向かって一斉に移動し始めた後続のドアヒンジ群は、新たな最前列のドアヒンジ1がロア側ストッパー22に当接することで、後続のドアヒンジ群全体がドアヒンジ一個分だけ前詰めされて停止することになる。そして、図10の切り出し停止状態は当初の図7の状態にほかならないから、これをもって初期状態に復帰したことになる。
ここで、図9の切り出し動作をもって切り出されてガイドバー13上を滑り落ちるようにして下流側に移動したドアヒンジ1Aは、図1に示すヒンジ位置決め機構10の図示外のエンドストッパーに当接することでその位置に停止して位置決めされる。
そして、ヒンジ位置決め機構10によって位置決めされたドアヒンジ1Aは、例えば図11に示すように、図示外のハンドリングロボットのハンド24の先端に付帯している小さなロケート・クランプ機構25の爪部25aをドア側ヒンジアーム2のフランジ部2bのボルト穴6(図6参照)に挿入した上で、そのロケート・クランプ機構25をクランプ動作させることでハンド24側に把持される。その後、ハンド24に把持されたドアヒンジ1Aはハンドリングロボットの自律動作により次工程であるドアヒンジ組付工程に搬送される。
このように本実施の形態におけるドアヒンジ供給装置によれば、ヒンジ切り出し機構9におけるアッパ側ストッパー23とロア側ストッパー22との一体的且つ単純な昇降動作のみにより、シューター8上に整列収容されている多数のドアヒンジ1のうち最前列のドアヒンジ1を後続のドアヒンジ群から切り離して一個ずつ取り出すことができるので、簡素な構造でありながら複雑形状で且つ姿勢も不安定なドアヒンジ1のいわゆる一個切り出しの信頼性が高いものとなる。
また、シューター8のガイドバー12,13,14として丸棒状のものを使用してドアヒンジ1との接触を線接触とするとともに、ドアヒンジ1の前詰めには自重を利用しているので、ドアヒンジ供給装置としての構成部品点数が少なく、安価な設備とすることができるほか、設備構成が簡素であるが故に、ドアヒンジ1の詰まりや切り出し不良等のトラブルによる設備停止を少なくして、設備稼働率の向上にも寄与することができる。
ここで、自動車のドアヒンジには図6に示したもの以外にも例えば図12の(A)〜(E)に例示したように多くの種類のものが存在し、特に複数車種を共通の組立ラインで組み立てるいわゆる混流生産形態においては、車種に応じて互いに異なるドアヒンジが使い分けられるほか、一つのサイドドアでも上側のドアヒンジと下側のドアヒンジとで互いに異なるドアヒンジが使い分けられる。
図12の(A)〜(E)に例示したドアヒンジ30A〜30Eでは、図6に示したものと比べて特に車体側ヒンジアーム33の形状が大きく異なっているほか、その車体側ヒンジアーム33にボルト35が付帯しているものもあれば付帯していないものもある。そして、車体側ヒンジアーム33にボルト35が付帯していないタイプのものではボルト35に代えて車体側ヒンジアーム33にボルト穴が形成されている。
本発明は図6に示したドアヒンジ1だけでなく図12の(A)〜(E)に例示したいずれのドアヒンジ30A〜30Eの一個切り出しにも同様に適用することができる。そして、先に述べたように複数種類のドアヒンジを予め用意しておいて、それらのなかからいずれかのドアヒンジを選択して使い分けるような場合には、ドアヒンジの種類毎に独立している図1に示したドアヒンジ供給装置7をドアヒンジの種類分だけ並設し、必要な種類のドアヒンジを選択的に取り出すようにすると良い。
1…ドアヒンジ(対象部品)
2…ドア側ヒンジアーム
2a…ヒンジ本体部
2b…フランジ部
3…車体側ヒンジアーム
4…ヒンジピン
7…ドアヒンジ供給装置(部品供給装置)
9…ヒンジ切り出し機構
12,13,14…ガイドバー
19…昇降式ホルダ(支持体)
22…ロア側ストッパー(下流側ストッパー)
23…アッパ側ストッパー(上流側ストッパー)
23a…押出面
23b…背面

Claims (7)

  1. 前下がりで傾斜しているシューターに自動車用の多数のドアヒンジを自重による前詰め方式にて一列に整列収容しておき、切り出し機構により最前列のドアヒンジを後続のドアヒンジから切り離して一個ずつ取り出すようにした部品供給装置であって、
    上記ドアヒンジは、二つのヒンジアーム同士をヒンジピンにて相対回転可能に連結してあるとともに、一方のヒンジアームはチャンネル状の本体部の両端からヒンジピンと平行にフランジ部を張り出し形成した略ハット型断面形状のものであり、
    さらに、上記ドアヒンジは、個々のドアヒンジにおける一方のヒンジアームと他方のヒンジアームとの相対回転角度が予め均一化されていて、他方のヒンジアームが一方のヒンジアームよりも下流側となることで、ドアヒンジ全体の重心位置がヒンジピンよりも下流側となる姿勢に揃えられているとともに、他方のヒンジアームがそれよりも前方側に位置するドアヒンジの一方のヒンジアームのヒンジ本体部に当接するように、一対のフランジ部の下面を接触部としてシューターに整列支持されているものであり、
    上記切り出し機構は、ドアヒンジの整列方向と交差する方向に一体的に昇降駆動される上流側ストッパーと下流側ストッパーとを有しているとともに、
    上記上流側ストッパーはその下流側の面が当該上流側ストッパーの昇降方向に対して傾斜した押出面となっていて、
    上記上流側ストッパーと下流側ストッパーが共に下降している切り出し停止状態では、下流側ストッパーに対し最前列のドアヒンジにおける一対のフランジ部の下流側の面が当接して当該最前列のドアヒンジ以降の各ドアヒンジの前詰め整列状態を維持しているとともに、上流側ストッパーはいずれのドアヒンジに対しても非接触の状態にある一方、
    上記切り出し停止状態から上流側ストッパーと下流側ストッパーが共に上昇動作して切り出し状態に移行する過程では、下流側ストッパーが最前列のドアヒンジから離れて当該最前列のドアヒンジの前詰めを許容するとともに、上流側ストッパーの押出面が最前列のドアヒンジにおける一対のフランジ部の上流側の面に当接して当該最前列のドアヒンジを下流側前方に押し出しながら、上記押出面とは反対側の背面が後続の二列目のドアヒンジにおける一対のフランジ部の下流側の面に当接して当該二列目のドアヒンジ以降の各ドアヒンジの前詰めを阻止するようになっていることを特徴とする部品供給装置。
  2. 上記切り出し状態から上流側ストッパーと下流側ストッパーが共に下降動作して切り出し停止状態に移行する過程では、それまで上流側ストッパーに当接して前詰めが阻止されていた上記二列目のドアヒンジ以降の各ドアヒンジの前詰めが許容されて、これをもって上記切り出し停止状態に復帰するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
  3. 上記上流側ストッパーの押出面は、その上端部よりも下端部の方が下流側前方に位置していることを特徴とする請求項2に記載の部品供給装置。
  4. 上記上流側ストッパーと下流側ストッパーは共に共通する支持体に支持されていて、この支持体ごと昇降駆動されるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の部品供給装置。
  5. 上記シューターは互いに平行な少なくとも一対のガイドバーをもって形成されていて、
    上記ドアヒンジは一対のフランジ部の下面を接触部として一対のガイドバー間に掛け渡されるかたちで整列支持されていることを特徴とする請求項4に記載の部品供給装置。
  6. 上記ドアヒンジの各フランジ部はガイドバーに対して線接触となっていることを特徴とする請求項5に記載の部品供給装置。
  7. 上記シューターを形成している少なくとも一対のガイドバーは丸棒状のものであることを特徴とする請求項6に記載の部品供給装置。
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