図面の全体を通して、対応する参照符号は、対応する構成要素を示す。
本発明に従って、比較的高いエネルギー効率で原料ガスから汚染物質ガスを回収するための、複数の新規な過程スキームを開発した。本発明の過程は、特に、二酸化硫黄、窒素酸化物、硫化水素、二酸化炭素、及び同類のもの等の酸性ガスの回収に適用することができるだけでなく、例えばアンモニア等の他の汚染物質ガスの回収においても有用かつ有益である。一般的に、本発明の過程が、そうしなければ大気中の汚染物質となる、酸性ガスまたは他のガス成分の排出を最小にするために、化学、治金、または発電設備からの排ガスストリームを浄化する際に使用されるので、「汚染物質」という総称が本明細書で使用される。しかしながら、当業者によって認識されるように、ガス排出物ストリームから除去される汚染物質ガスは、しばしば経済価値があり、また、本発明の過程によって回収され、次いで、例えば二酸化硫黄の三酸化硫黄及び硫酸への変換、二酸化硫黄及び硫化水素からの元素硫黄の回収、化学過程で使用するための塩酸またはアンモニア水の回収、塩化水素の回収ならびに元素塩素及び水素へ変換等の、商業的に有益な用途に適用される。
本発明の過程は、二酸化硫黄回収の具体的事例によって例示され得る。本発明の実践に際して、様々な水性及び有機溶媒を二酸化硫黄吸収媒体として使用することができる。例えば、吸収媒体は、アルカリ金属(例えば、亜硫酸ナトリウム/亜硫酸水素塩溶液)、アミン(例えば、アルカノールアミン、テトラヒドロキシエチルアルキレンジアミン等)、アミン塩、または種々の有機酸の塩の水溶液を含み得る。あるいは、二酸化硫黄吸収媒体は、例えばジメチルアニリン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、またはジブチルブチルホスホネートを含む有機溶媒を含み得る。いくつかの有機溶媒は、金属構造の使用を必要とし、またしばしば、硫酸の形成による、及びいくつかの事例では、吸収/脱着過程中の二酸化硫黄の酸素との副反応によって形成される三酸化硫黄と、溶媒との反応による、溶媒の再生を必要とし、通常、無機吸収媒体よりも高価である。石炭火力発電所から排出される著しく大きい燃焼ガスの流量は、二酸化硫黄を回収するための非常に大きな装置サイズにつながる。従来の有機溶媒はまた、二酸化硫黄吸収媒体において所望の特性に関する1つ以上の欠点によっても阻害され得、そのような欠点としては、特に弱二酸化硫黄含有排出物に見られる二酸化硫黄分圧での比較的低い二酸化硫黄吸収能力、過程装置の過剰な腐食にもつながり得る、二酸化硫黄含有排出物から相当な量の水蒸気を吸収した結果としての二酸化硫黄吸収能力の低下、加水分解等の過剰な減成、または溶媒が酸性環境において高温に晒されたときの他の副反応もしくは分解に対する脆弱性、及び/または大きい溶媒の損失につながる高い揮発性、が挙げられる。
これらの及び他の考慮事項に照らして、二酸化硫黄の回収において実現される本発明の好ましい実施形態によれば、二酸化硫黄吸収媒体は、比較的弱い多価カルボン酸(例えば、リンゴ酸ナトリウム)の塩の緩衝水溶液を含み、これは、2011年10月28日に提出された、米国特許出願第13/283,671号、名称「REGENERATIVE RECOVERY OF SULFUR DIOXIDE FROM EFFLUENT GASES」で説明され、その内容全体は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。以下の説明では、多価カルボン酸の塩を含む好ましい吸収媒体、ならびにテトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)を含む吸収媒体に対して参照がなされる。しかしながら、本明細書で説明される過程の種々の特徴は、他の吸収媒体が用いられるシステムに容易に適応されることを理解されたい。上で述べられるように、本明細書で説明される改善は、当技術分野で知られている適切な従来の汚染物質吸収媒体を使用した、他の酸性ガス及び汚染物質の除去及び回収のためのシステムにも同様に適用することができることも理解されたい。例えば、本明細書で説明される過程は、硫化水素、二酸化炭素、及び塩化水素、窒素酸化物、ならびにアンモニア等の他の汚染物質ガスを含む、排ガスストリームからの種々の汚染物質の再生吸収及び脱着に使用することができる。
図1で示されるように、二酸化硫黄含有原料ガスを含む、随意に調整される過程供給ガスストリーム10は、1つ以上の理論段階を有する二酸化硫黄吸収器11の中へ導入され、そこで、二酸化硫黄を吸収するための二酸化硫黄の吸着剤を含む水性吸収媒体と接触する。二酸化硫黄吸収器11は、サドルもしくはリング等のランダムなパッキング、構造化パッキング、または他の接触デバイスのベッドを備え得る、ガス相と液体相との間の質量移動を促進するための手段を備える、ガス/液体接触ゾーン13を含有する垂直カラムまたは塔12を備える。好ましくは、二酸化硫黄の移動を最大にするために、過程供給ガスストリームは、水性吸収溶液と向流的に接触する。図1で示されるように、過程供給ガスストリーム10が、塔12の底部近くのガス入口14を通して導入され、ガス/液体接触ゾーン13の底部に進入する一方で、二酸化硫黄ストリッパ30から再循環される再生した水性吸収媒体を含むストリーム15が、塔の頂部近くの液体入口16を通して導入され、ガス/液体接触ゾーンの頂部の上に分配され、そして、そこに進入する。ガス/液体接触ゾーン13の底部を出る二酸化硫黄富化吸収液ストリーム17は、塔12の底部近くの液体出口18から取り出され、ゾーン13の頂部を出る、二酸化硫黄を実質的に含まない排気ガスストリーム19は、塔の頂部近くのガス出口20から取り出される。従来のランダムにパックした塔が吸収器11として用いられ得るが、当業者は、他の構成が好適に用いられ得ることを認識するであろう。例えば、塔12は、構造化パッキングを含有し得、またはトレイ塔を備え得、どちらにおいても、好ましくは、過程ストリームが向流的に流れる。吸収器における過程供給ガスストリーム10と水性吸収媒体との間には、向流が好ましいが、吸収器は、並流的に動作され得る。しかしながら、そのような配設は、吸収能力及び効率に悪影響を及ぼす傾向があり、全般的に、あまり好ましくない。
二酸化硫黄と化学的に結合させる酸性塩吸収剤または他の種が、主要な吸着剤として水性吸収媒体中に存在する場合、吸収媒体中の吸着剤濃度及び吸収媒体流量は、吸収器の液体出口で一般的な温度で、余剰の吸収能力が吸収液に残る程度にするべきである。好ましくは、残りの能力は、吸収器に進入する合計吸収能力の少なくとも10%、好ましくは、少なくとも20%である。この目的のために、吸着剤濃度及び吸収器に進入する吸収媒体の流量は、二酸化硫黄が過程供給ガスストリームから回収される割合に対して、吸収器を通って流れる吸着剤の化学量論的に過剰な割合を提供するのに、好ましくは、供給ストリームの合計二酸化硫黄含有量に対して過剰に提供するのに十分でなければならず、したがって、その再生後に吸収媒体に残る二酸化硫黄含有量、二酸化硫黄富化ストリッパガス中の二酸化硫黄の濃度、二酸化炭素等の弱酸性成分の可能性のある存在等のいくつかの因子を補償するのに十分でなければならず、そして主に、水性多価カルボン酸/塩吸収システム等の、好ましい吸着剤の望ましくは比較的弱い吸収親和性を補償するのに十分でなければならない。穏やかな温度上昇及び/または圧力の低減を介して、二酸化硫黄のその後の脱着を促進するために、比較的弱い吸収親和性が好まれる。故に、所望の除去効率を達成するために必要な水性吸収媒体中の吸着剤濃度は、用いられる酸、処理されるガス中の二酸化硫黄濃度、ならびに吸収器の質量移動特性によって変動し、また、当業者によって容易に決定することができる。一般的に、吸収溶液において多価カルボン酸塩1モルあたりに吸収される二酸化硫黄の化学量論的当量比は、約0.1~約1の範囲である。約2600ppmvの二酸化硫黄を含むガスを処理する際に使用される吸収溶媒としてリンゴ酸ナトリウム塩を含む水性吸収媒体の事例において、吸収溶液中のリンゴ酸塩濃度は、好適には、約1モル%~約7モル%の範囲とすることができる。
原料ガスから吸収媒体への二酸化硫黄の相当な移動を達成するために必要な、水性吸収溶液ストリーム15と、二酸化硫黄吸収器11の中へ導入される過程供給ガスストリーム10との質量流量比(L/G)は、従来の設計実践によって決定され得る。より具体的には、L/Gは、吸収器に進入するガスストリームの汚染物質含有量、水性吸収媒体中の吸着剤濃度、及び吸収器において一般的な液体/ガス温度での吸着剤の単位吸収能力に基づいて選択することができる。典型的には、L/Gは、吸収器への吸着剤の流れが、吸収器への汚染物質ガスの流れを少なくとも10~20%超えるように選択される。最適な超過の程度は、ガス/液体接触ゾーンにおける物質移動率及び熱移動率に依存する。
好ましくは、二酸化硫黄吸収器は、吸収器を出る排気ガスストリーム19の二酸化硫黄含有量が約500ppmv未満、より好ましくは、約200ppmv未満(例えば、10~20ppmvの低さ)であるように設計及び動作される。過程供給ガスストリームに含有される二酸化炭素、酸素、窒素、及び他の不活性成分に加えて、この微量の二酸化硫黄が、吸収器の頂部から通気される排気ガスストリームの一部として、システムから排除される。排気ガスは、吸収溶液と実質的に平衡であり、吸収器に供給される過程供給ガスストリームの水蒸気含有量、及び吸収器の状態によっては、吸収器における水の正味獲得及び損失があり得る。必要であれば、ガスを排気筒に駆動するために、ブロワー21が使用される。満足な排出基準を達成するために、排気ガスストリーム19は、排気筒を通して放出される前に同伴液体を回収するために、ミスト除去器または類似するデバイスを通過し得る。加えてまたは代替として、いくつかの事例において、排気ガスストリーム19は、排気筒を通して排出された後に任意のプルームが下降する傾向を有しないように、過程供給ガスの流入によって熱交換器22において、または他の熱媒体を使用して、または下で説明される熱交換器64内において、間接的に熱交換することによって加熱され得る。
図1で示されるように、吸着剤が多価カルボン酸を含む場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の金属塩基23の構成源は、吸収器塔12の頂部近くに導入される前に、溶媒タンク24において、再生した水性吸収媒体を含むストリーム15と結合させる。金属塩基は、多価カルボン酸と反応し、金属塩吸収剤を形成する。同時係属の米国特許出願第13/283,671号の開示によれば、酸群の少なくともいくつかを中和するために、十分な金属塩基が導入され、よって、酸は、25℃で約3~約10、好ましくは、25℃で約4~約7のpKa値を有する酸解離の当量点の約20%以内に、より好ましくは、約10%以内に中和される。当業者は、既知のpH制御技術及び計装を使用して、pKa値の当量点に対して所望の程度の中和を維持するために、吸収器において二酸化硫黄含有ガスと接触する前に、再生した吸収媒体に塩基を加えることができる。さらに、金属イオン濃度を維持するために、十分な塩基を加えるべきである。例えば、下で説明されるように、金属イオンの一部は、晶析器の動作において除去される硫酸塩とともに失われる。除去される硫酸ナトリウムの1モルあたり、2モルの塩基(例えば、水酸化ナトリウム)が加えられる。金属イオン濃度は、プラント実験室においてサンプルを取り、金属分析を行うことによって好適に監視及び制御することができる。
吸収器11を出る二酸化硫黄富化吸収液17は、中間温度(下で説明される)まで加熱され、予熱した吸収液は、二酸化硫黄ストリッパ30の中へ導入され、そこでは、二酸化硫黄が吸着剤から解離され、吸収液から脱着される。ストリッパ30は、ガス相と液体相との間の質量移動を促進するための手段を含む、蒸気/液体接触ゾーン32を含有する垂直カラムまたは塔31を備える。吸収器11と同様に、ストリッパ30は、従来のランダムなパッキングのベッド、構造化パッキング、トレイ、または任意の他のガス-液体接触デバイスを含有するパックした塔の形態で構成することができる。塔31内の蒸気/液体接触ゾーン32の下(ストリッピング)区域は、(下で説明されるように)本発明に従って発生する生スチームとともに供給され得、吸収液からの二酸化硫黄の除去に使用され得る。水蒸気によって実質的に飽和した二酸化硫黄を含む、1次二酸化硫黄富化ストリッパガス排出物33は、蒸気/液体接触ゾーン32の上側にあるストリッパ30の塔頂において生成され、塔31の頂部で蒸気出口34から取り出され、蒸気/液体接触ゾーンを出る再生した吸収媒体15は、塔の底部の液体出口35から取り出され、吸収器11に戻して再循環されてサイクルを完了する。図1で示されるようなストリッパにおいて、二酸化硫黄富化吸収液とストリッピングスチームとの間には、向流が望ましいが、ストリッパは、並流的に動作され得る。しかしながら、そのような配設は、ストリッピング効率に悪影響を及ぼす傾向があり、全般的に、あまり好ましくない。
吸収器11における二酸化硫黄吸収媒体の平均温度は、全般的に、約10℃~約70℃の範囲に維持される。本発明によれば、吸収器における二酸化硫黄吸収液の平均温度は、好ましくは、約20℃~約60℃に維持される。全般に、二酸化硫黄の吸収は、より低い吸収媒体温度で高められるが、吸収液は、二酸化硫黄を解放するために、吸収温度から十分に高い温度まで加熱する、及び/または減圧下にする必要があり、この顕熱を提供することは、より高いエネルギー需要につながる。また、再生中には、消費エネルギーを低下させ、二酸化硫黄吸着剤(例えば、弱ポリカルボン酸または塩)の析出を引き起こし得る、吸収媒体中の低い水濃度を回避するために、蒸発する水の量を低減させることも望ましい。二酸化硫黄の吸収/脱着過程の全体的な効率は、吸収が温度に比較的強く依存するとき、及びサイクルの吸収段階と脱着段階との間の温度がより狭い範囲内にあるときに向上する。
ストリッパ30の二酸化硫黄吸収液の平均温度は、全般的に、約60℃から最高でストリッパの動作圧力での吸収溶液の沸点までの範囲に維持される。
二酸化硫黄の吸収及び脱着は、吸収器11及びストリッパ30の動作圧力をそれぞれ増加または減少させることによって高められ得る。吸収器11における適切な動作圧力は、約70~約200kPaの絶対圧力である。必要に応じて、最高で約700kPa以上のより高い圧力を使用することができる。吸収器における圧力の増加は、吸収媒体が吸収することができる二酸化硫黄の画分を増加させるが、吸収は、好ましくは、比較的低い圧力によって実行され、それによって、装置費用を低減する。同様に、ストリッパ30における適切な動作圧力は、約40~約200kPa絶対圧であるが、より高いまたはより低い動作圧力が用いられ得る。
吸収器11及びストリッパ30内の温度制御は、これらの動作に供給される種々の過程ストリームの温度及び量を制御することによって達成され得る。好ましくは、ストリッパ30の温度は、二酸化硫黄富化吸収液17の温度、及び蒸気/液体接触ゾーン32のストリッピング区域においてストリッパの底部近くに導入されるスチームの温度を制御することによって、所望の範囲内に維持される。図1を再度参照すると、約10℃~約70℃、より好ましくは、約20℃~約60℃の温度で吸収器11を出る二酸化硫黄富化吸収液17は、熱交換器40を通過し、そこで、ストリッパ30から二酸化硫黄吸収器に再循環される再生した吸収媒体15からの間接的な熱移動によって中間温度まで予熱される。交換器内での再生した吸収媒体から吸収液への熱移動は、再生した吸収媒体の吸収能力を増加させ、吸収液を加熱して、そこからの二酸化硫黄のストリッピングの促進を補助する。ストリッパにおける所望の温度を達成するためにさらなる加熱が必要とされる場合、二酸化硫黄富化液17は、溶媒加熱器41を通過し得、そこで(例えば、過程を出る回収した二酸化硫黄生成物ストリームからの間接的な熱移動によって)予熱され、及び/またはスチームもしくは高温の凝縮液ストリーム70との間接的な熱交換によってさらに加熱される。ある特定の有益な実施形態において、二酸化硫黄富化吸収液は、外部から熱を加えることなく、過程供給ガスストリーム及び/または再生した二酸化硫黄吸収媒体から熱を移動させることによって加熱される。そのような実施形態において、過程供給ガスストリームの温度は、好ましくは、約50℃未満に低下させず、ストリッパに導入される二酸化硫黄富化吸収液と再生した吸収媒体との間の温度差は、約40℃未満である。
約60℃~約140℃の温度でストリッパ30の底部を出る再生した水性吸収媒体15は、二酸化硫黄吸収器11を出る二酸化硫黄富化吸収液17への熱移動によって、交換器40において冷却される。同様に、吸収器を所望の温度に維持するために、さらなる冷却が必要とされる場合、交換器40を出る再生した吸収媒体が溶媒冷却器42を通過し、そして、冷却塔の水との間接的熱交換によってさらに冷却され得る。熱交換器40の使用は、溶媒加熱器及び/または溶媒冷却器の使用が必要とされ得ない程度に、システムのエネルギー需要を低減させる。
本発明の好ましい実施形態において、多価カルボン酸の塩を含む水性吸収溶液における硫酸塩汚染物質レベルは、硫酸塩を除去する処理のために、随意に、ストリッパ30を出る再生した吸収媒体15の少なくともパージ画分90を分流することよって、許容可能なレベルに維持される。パージ画分の相対量は、再生した吸収媒体中の吸着剤濃度、ならびに吸収及びストリッピングの過程における二酸化硫黄の酸化に対する感受性によって変動する。一般的に、吸収剤としてリンゴ酸塩を使用する動作において、パージ画分は、再生した吸収媒体ストリームの約10.1%未満を示し得る。
パージ画分の処理は、硫酸塩中に過飽和した濃縮溶液を生成するために、蒸発晶析器92においてパージ画分90から水を蒸発させることを含む。次いで、沈殿した硫酸塩結晶及び母液を含む結晶化スラリー94を生成するために、晶析器において、濃縮水性吸収溶液から硫酸塩結晶を沈殿させる。硫酸ナトリウム結晶は、真空フィルタまたは遠心分離器等の従来の固体/液体分離デバイス96においてスラリーから分離され、溶媒タンク24に再循環される母液画分98、そこで、吸収器11に戻すために、再生した吸収媒体の主ストリームと混合される。水性吸収溶液の濃度は、水をフラッシュ蒸発させるための加熱及び/または減圧、または再沸器へのスチーム流量の増加によって、好適に達成することができる。一般的に、水性吸収溶液は、硫酸ナトリウム十水塩またはグラウバー塩(Na2SO4・10H2O)の形成及び析出を抑制するために、濃縮中に、少なくとも約40℃、より好ましくは、少なくとも約60℃の温度まで、好ましくは、ストリッパ動作圧力での吸収溶液の沸点まで加熱される。グラウバー塩は、遠心分離または濾過によって母液から容易に分離されない、ゼラチン状または粘着性の沈殿物を形成する傾向がある。
晶析器は、大気圧または真空下で動作され得る。遠心分離または濾過による硫酸ナトリウム塩の結晶の分離に代わるものとして、晶析器は、結晶化スラリーから母液を連続的にデカントするように設計することができる。さらに、硫酸塩結晶は、水で、及び吸収器に戻すために同様に溶媒タンクに向けられる多価カルボン酸塩吸収剤を含む、結果として生じる洗浄水で洗浄され得る。晶析器からの塔頂蒸気ストリームは、凝縮され、吸収器に戻され得る。あるいは、晶析器からの塔頂ストリームは、ストリッピングスチームの供給源としてストリッパを経由し得る。
上で説明される処理は、循環する吸収溶液中の許容可能な硫酸塩レベルを維持するのに効果的であるが、本発明のいくつかの実施形態によれば、亜硫酸水素塩及び硫黄の、硫酸水素塩及び硫黄汚染物質へのそれぞれの酸化を低減するために、酸化抑制剤を吸収溶液中に含むことができる。本発明の実践に際して有用であり得る、p-フェニレンジアミン及びヒドロキノン等の脱酸素剤及び遊離基捕捉剤、アスコルビン酸等のNOx触媒酸化の抑制剤、ならびに金属触媒酸化を隔離し、抑制するエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート化剤を含む、いくつかの異なるタイプの酸化抑制剤が存在する。そのような酸化抑制剤は、個々にまたは種々の組み合わせで用いることができ、また、必要に応じて、吸収器に導入される再生した水性吸収溶液に加えることができる。用いられる抑制剤(複数可)のタイプによって、吸収溶液中の濃度は、一般的に、数ppm~、約1~約10重量パーセントの範囲である。抑制剤は、酸化によって徐々に消費されるので、一般的に、余剰分(例えば、少なくとも約1000ppm)が典型的に加えられる。アスコルビン酸及びヒドロキノンは、リンゴ酸ナトリウム吸収溶液における酸化を抑制する際に特に効果的である。EDTAは、吸収溶液中に金属が存在するときの酸化抑制剤として効果的であると期待される。
吸収溶液における酸性度の増加は、二酸化硫黄のストリッピング効率を高める効果を有する。したがって、低濃度の溶解した二酸化硫黄を残すこと、または吸収溶液中にいくらかの硫黄を維持することは、ストリッパのより高い効率につながる。例えば、ストリッパ中の低濃度の硫酸ナトリウム及び/または硫酸は、吸収溶液の再生をより低いエネルギー消費型にする。しかしながら、再生した吸収媒体中のSO2の存在は、吸収器の平衡に悪影響を及ぼす。故に、循環する吸収媒体/吸収液の成分の蓄積を可能にすることによって、酸性度が調節される場合は、任意の評価可能な定常状態レベルのSO2を蓄積するよりも、硫酸イオンを蓄積することを可能にすることによってこれを達成することが好ましい。本発明の種々の実施形態によれば、硫酸塩の濃度が、吸収溶液中で約0.5~約11重量パーセント、好ましくは、約3~約11重量パーセントに維持され、ごく僅かな二酸化硫黄が、再生水吸収溶液に残され、したがって、溶液を僅かに酸性にし、結果的に、二酸化硫黄の脱着をより低いエネルギー消費型にする。
ストリップした凝縮液からのストリッピングスチームの発生
ストリッピングスチームを発生させるためのエネルギー源を提供するために、吸収液ストリッパ30からの1次ストリッパガス排出物33を、1次ストリッパガス排出物の圧力を増加させるのに適切な装置において圧縮する。適切な装置としては、機械圧縮器及び熱圧縮器(すなわち、スチームジェットエジェクタ)が挙げられる。図1で示されるように、1次ストリッパガス排出物は、好適にはスチームジェットエジェクタ36を通過することによって圧縮される。接触式硫酸プラントの排ガスから二酸化硫黄が回収される場合、三酸化硫黄の吸収熱回収において発生するスチームが、エジェクタの駆動スチームを提供し得る。
二酸化硫黄を回収するための吸収/脱着システムでは、湿潤二酸化硫黄ストリッパガスを圧縮し、水蒸気の凝縮潜熱が、圧縮したガスから二酸化硫黄富化吸収液に移動することが知られているが、そのようなシステムにおいて、凝縮液は、二酸化硫黄で飽和されてシステムを出る。凝縮液から生じる二酸化硫黄が別のシステムで捕捉されない限り、このスキームは、二酸化硫黄値の損失に等しくもある、許容できない排出を引き起こす。
米国特許出願第13/283,671号で説明される過程において、二酸化硫黄は、凝縮液ストリッピングカラムにおいて凝縮液から回収されるが、これは、追加的なエネルギー消費を伴う。
好ましい本発明の過程によれば、凝縮液をストリップするために必要とされるエネルギーは、ストリップした凝縮液を吸収液ストリッパのストリッピングスチーム源として使用することによってかなり回収される。凝縮液をストリッパの基部の中へ流れ込ませるのに十分な圧力で凝縮液を蒸発させるために、さらなるエネルギー入力を必要とする。本発明の過程において、ストリッパガスの水蒸気成分中の潜熱は、そのエネルギー源を提供する。吸収液ストリッパを出るストリッパガスの適度な圧縮は、圧縮したストリッパガスからストリップした凝縮液への熱移動に十分な適度の温度差を生じさせ、それによって、結果として生じるスチームをストリッパの中へ駆動するのに十分な圧力で、ストリップした凝縮液を蒸発させる。
ストリッパからの湿潤二酸化硫黄含有ガス排出物の圧縮は、好ましくは、約30kPa~約65kPaの増加量だけ、ストリームの圧力を増加させる。より高い圧力増加量は、機械圧縮器を使用して容易に達成されることができる。二酸化硫黄の分離は、ストリッパ30をより低い圧力(例えば、真空下)で動作させて、水に対する二酸化硫黄の相対揮発度を増加させ、脱着を高め、所与の還流に必要とされる理論段階の数を減少させる場合に高められる。加えて、より低い圧力は、システムのより低い温度につながり、二酸化硫黄富化吸収液を加熱するためのより低い圧力のスチームの使用を可能にする。しかしながら、エネルギーの回収は、適度により高い動作圧力で最適化され、これはまた、塔31の必要直径及び関連する資本費用を低減させる。一例として、僅かな真空下(例えば、約-35kPaゲージ)でストリッパを動作させること、及びストリッパを出る二酸化硫黄富化ストリッパガスの圧力を適度に(例えば、約20kPaゲージまで)増加させることは、1つの経済的手法を示す。それでも、大気圧以上の圧力でストリッパを動作させることも魅力的な手法であり得る。経済的最適化は、特定の動作条件を決定することができる。これらの考慮事項を釣り合わせると、吸収液ストリッパを出る1次ストリッパガス排出物の圧力は、最も好ましくは、約40~約170kPa絶対圧に維持される。
二酸化硫黄含有ストリッパガスの加圧流は、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50に向けられる。水蒸気のかなりの部分が、冷却媒体への間接的な熱移動によって、冷却器/凝縮器50において1次ストリッパガス排出物から凝縮される。本発明によれば、凝縮液ストリッパまたは水カラム60(動作は、下で本明細書で説明される)から冷却器/凝縮器50に流れるストリーム51のストリップした凝縮液は、冷却媒体としての役割を果たし、凝縮潜熱は、ストリップした凝縮液に移動し、それによって、吸収液ストリッパ30においてストリッピング媒体として使用されるスチームを発生させる。図1で示されるように、カラム60を出るストリップした凝縮液ストリーム51は、蒸気液体分離器52に向けられ、分離器と冷却器/凝縮器50との間のライン54を介して循環し、そこで、1次ストリッパガスからの熱移動がストリッパのスチームを発生させる。ストリップした凝縮液及びスチームは、分離器52において分離され、スチームは、ストリッパ30に向けられ、凝縮液の少なくとも一部分は、ライン54を介して、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50に循環させ、別の部分は、随意に、ライン55を介して、再循環され、再生した二酸化硫黄吸収溶液15と結合され得、そして、吸収器11に戻され得、及び/または一部分56が、システムからパージされ得る。代替として、ストリッパガス冷却器/凝縮器50の凝縮液側は、熱交換器自体内の水からのスチームの解放を可能にするように設計され得、別個の蒸気/液体分離器を必要とすることなく、同伴水を含まないスチーム流量が、冷却器/凝縮器から吸収器に直接流れることを可能にする。
1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50において発生するスチームは、ライン57を介してストリッパ30に導入され、そこで、該スチームは、蒸気/液体接触ゾーン32において吸収液と接触し、双方が熱を吸収液に供給し、液体相から二酸化硫黄を除去するためのストリッピングガスとして機能する。吸収液ストリッパにおける液体相の加熱は、その中の二酸化硫黄の平衡濃度を低減させ、二酸化硫黄を蒸気相に移動させる駆動力を高める。熱が液体相に移動する際に、冷却器/凝縮器50においてストリップした凝縮液から発生するスチームは、ストリッパ内で部分的に凝縮し、したがって、本質的に、凝縮可能なストリッピングガスとして機能する。随意に、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器においてストリップした凝縮液から発生するスチームによって供給されるストリッピング熱は、吸収液ストリッパからの液体相が循環される再沸器37において外部供給源から供給される熱によって補充され得る。補助再沸器は、本過程の水収支の制御において十分な柔軟性を提供する。一般的に、再沸器を通過する吸収液は、ストリッパの液溜から取り出され、液溜の上側の蒸気/液体接触ゾーン32の下部分に戻される。
1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50では、1次ストリッパガス排出物33の水蒸気含有量の大部分が凝縮され、したがって、凝縮液ストリッパ60から戻るストリップした凝縮液への移動によって除去される潜熱の大部分。1次ストリッパガス排出物からの水蒸気を凝縮させることによって得られる水性凝縮液は、溶解した二酸化硫黄を含む。この凝縮液は、冷却器/凝縮器50から除去され、ライン58を介してして凝縮液ストリッパまたは水カラム60に供給され、そして、(例えば、スチームまたは再沸器によって)加熱されて、二酸化硫黄を脱着し、水蒸気、及び水性凝縮液から脱着された二酸化硫黄を含む凝縮液ストリッパガスを生成する。図1で示されるように、凝縮液ストリッパガスは、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50からの湿潤二酸化硫黄含有通気ガス59と結合される。凝縮液ストリッパカラム60の頂部を出る、結合した最終凝縮液ストリッパガス61(湿式回収したSO2ストリーム)は、水蒸気を凝縮させ、回収した二酸化硫黄を含む生成物ストリーム63を生成するために、低温凝縮器62において(例えば、50℃の冷却水によって)通常、約70℃以下の温度に冷却される。図1で示されるように、凝縮液ストリッパガスが、吸収器11を出る排気ガス19の一部分への熱移動によって冷却される熱交換器64に、最初にガスを通過させることによって、僅かなさらなる凝縮液を、凝縮液ストリッパガス、または凝縮液ストリッパカラム60の頂部を出る結合した最終的な凝縮液ストリッパガス61(湿式回収したSO2ストリーム)から絞り出すことができる。冷却後に、回収した二酸化硫黄の生成物ストリーム63は、二酸化硫黄回収過程から除去され、それが使用され得る目的地、例えば、三酸化硫黄への変換のための接触式硫酸プラントの乾燥塔もしくは触媒段階、元素硫黄を発生させるためのクラウス過程の動作、亜硫酸アルカリ金属塩もしくは亜硫酸水素塩の製造過程、製紙過程、または液体二酸化硫黄に液化するための圧縮及び冷却ユニットに向けられる。
二酸化硫黄において使い切ったストリップした凝縮液ストリーム51は、凝縮液ストリッパカラム60の底部を出て、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50に向けられ、そこでは、圧縮した1次ストリッパガス排出物33からの水蒸気の凝縮が熱をストリッパ凝縮液に移動させ、それによって、吸収液ストリッパ30において、結合した加熱媒体及びストリッピングガス(例えば、凝縮ストリッピング媒体)として使用するためのスチームを発生させる。随意に、一部分は、システムからパージされ得る。
吸収液ストリッパ30からの1次ストリッパガス排出物33の圧縮の程度は、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50のストリップした凝縮液を加熱することによって、塔31内の蒸気/液体接触ゾーン32の下(ストリッピング)区域の圧力よりも高い圧力を有するスチームを発生させることができる十分に高い温度を、圧縮した蒸気にもたらすのに必然的に十分なものである。しかし、圧縮の程度は、好ましくは、ストリップした凝縮液から発生したスチームがストリッパの中へ流れ込むのに必要最小限に制御される。より具体的には、スチームは、その液体出口35において、吸収液ストリッパ内の液体相の温度よりも約30℃以下高い温度で、または、より具体的には、ストリッパ内の蒸気/液体接触ゾーン32の底部を出る液体相の温度よりも約20℃以下、または約5~約10℃以下高い温度で、ストリップした凝縮液から発生させることが好ましい。ある特定の特に好ましい実施形態において、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50において、ストリップした凝縮液を加熱することによって生成されるスチームの温度は、その液体出口で、または蒸気/液接触ゾーンの底部で、吸収液ストリッパ内の液体相の温度以下であるか、またはそれよりもさらに低くなり得る。より全般的には、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50において発生したスチームの温度の、その液体出口でのストリッパ内の再生した吸収媒体の温度からの変動が、または吸収液ストリッパ内の蒸気/液体接触ゾーンの下(ストリッピング)区域を出る液体相の温度からの変動が、約±10℃以内であることが好ましい。スチームが吸収液ストリッパの中へ流れ込むための、冷却器/凝縮器50において発生するスチームの圧力は、ストリッパにおける合計圧力よりも必然的に高く、したがって、蒸気/液体接触ゾーンのストリッピング区域内の、さらには二酸化硫黄の分圧が限度としてゼロに近づくストリッピング区域の液体相出口での、液体相の平衡蒸気圧力よりも高い。
したがって、結果として生じる蒸気相水圧駆動力は、気相と液体相との間の温度差に関係なく、ストリッパにおいて水蒸気の凝縮を引き起こし、蒸気/液体接触ゾーンの中へ導入されるスチームが液体相の温度以下、さらにはそれよりも僅かに低い場合であっても、該ゾーンのストリッピング区域内の液体相の凝縮及び加熱をもたらす。液体相における溶質、すなわち、多価カルボン酸塩等の吸着剤の抑制効果のため、液体相の蒸気圧は、同じ温度で、さらには液体相の温度がスチームの温度よりも僅かに高い場合でも、スチームの圧力よりも僅かに低くなり得る。
これらの好ましい条件を満たすために、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器における対数平均温度差(Δt)は、約1.5℃、約2℃、約3℃、約4℃、または約5℃以上であり、また、約10℃、約8℃、約6℃、または約5℃以下である。例えば、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器における対数平均温度差(Δt)は、約1.5℃~約10℃、または約2℃~約9℃、または約2.5℃~約8℃である。
全体的な過程エネルギー及び水収支に応じて、凝縮液ストリッパ60からのストリップした凝縮液の量は、吸収液ストリッパ30におけるスチームに対する需要を超え得る。したがって、ストリップした凝縮液は、(i)ストリッパガスからの水を凝縮するための冷却液として、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器50に向けられ、それによって、吸収液ストリッパへの導入のために、ストリップした凝縮液を少なくとも部分的にスチームに変換する、凝縮液ストリームと、(ii)過程から水を除去するための放出水ストリームとの間で、有用に分けられ得る。
放出水としての、凝縮液ストリッパ60からのストリップした凝縮液の一部分はまた、随意に、二酸化硫黄含有原料ガスまたは供給ガスストリーム10を調整するためにも使用され得る。図1で示されるように、スチームドラム52からのストリップした凝縮液は、ライン70を通過し、供給ガス流に対して二酸化硫黄吸収器11の上流にある飽和器71の中へ導入される。飽和器は、1段階接触器(全般的に、ランダムなまたは構造化したパッキングまたはスプレーカラムを含む、パックしたカラムまたは塔で構成される)を備え得、そこでは、ストリップした凝縮液がガスストリームに接触し、それによって、二酸化硫黄吸収器に進入する供給ガスの湿度を増加させる。飽和器を出る水ストリームは、本過程から除去され得る。飽和器はまた、吸収器に進入する前に、蒸発冷却によって二酸化硫黄含有ガスを冷却し、そして、酸性ガス(例えば、硫酸、塩酸、三酸化硫黄)を除去する。飽和器は、より低品質の水を利用した供給ガスストリームの加湿を好都合に可能にし、それは、不純物の蓄積を回避するために、利用する水を脱イオンまたは蒸留しなければならない場合に、吸収器のガスを加湿することと比較して、より一層の費用節減を提供する。飽和器を出る水ストリームは、二酸化硫黄で飽和され、このストリームの量は小さい。さらに、例えば硫酸プラントの排ガスから二酸化硫黄が回収される場合は、飽和器を出る二酸化硫黄含有水ストリームを、SO3吸収器における希釈水として使用することができる。パス間プラントにおいて、パス間吸収器における希釈のために水が好都合に使用されるが、最悪の場合でも、関係する二酸化硫黄の最小正味流量は、二酸化硫黄回収ユニットを通って戻り、本過程から失われない。
図1の過程は、温度差を提供するために、1次ストリッパガス排出物を圧縮し、それによって、1次ストリッパガスから水蒸気を凝縮することによって再利用される潜熱が、吸収液ストリッパにおける吸収液のストリップを生じさせるように導入されるスチームを発生させるために、ストリップした凝縮液に移動される。本発明によれば、この温度差を発生させ、ストリッピング動作を駆動するための他の代替物が提供される。
図2は、図1の過程の代替物を示し、ストリップした凝縮液から発生したスチームは、冷却器/凝縮器50のスチーム出口と吸収液ストリッパ30との間を流れる間に、圧縮器39によって圧縮される。図面は、機械圧縮器によるスチームの圧縮を示すが、スチームはまた、必要な圧縮を達成するために、スチームジェットエジェクタのスロートの中へも導入することができる。ガス/蒸気相が上方にゾーンを通過する間の過剰な圧力降下を回避するように、ストリッパ30の直径がサイズ決定され、ストリッパ30の蒸気/液体接触ゾーン32内のパッキングまたは他の質量移動促進構造が設計される。1次ストリッパガス出口34、及び1次ストリッパガス排出物33を冷却器/凝縮器50に輸送するために使用されるラインも、過剰な圧力降下を回避するようにサイズ決定される。その交換器のストリップした凝縮液側に対する圧力よりも高い、冷却器/凝縮器50の1次ストリッパガス側に対する圧力を保つことによって、水蒸気を1次ストリッパガス排出物から凝縮し、ストリッパ30で使用するためのスチームを凝縮液側で発生させるときに、それによってストリップした凝縮液に熱が移動される温度差が確立される。冷却器/凝縮器50において発生したスチームは、ライン57を介してストリッパの中へ導入するためのスチームを圧縮する圧縮器39の吸引側に導入される。
ストリッピングガスからの水蒸気の凝縮潜熱を回収するために、圧縮器39は、1次ストリッパガスが冷却器/凝縮器50に到達したときに、冷却器/凝縮器のストリッパガス側に対する圧力が、冷却器/凝縮器のストリップした凝縮液側に対する、ストリップした凝縮液から発生したスチームの圧力よりも高くなるようなレベルまで、スチームの圧力を増加させる。より具体的には、圧縮の程度は、冷却器/凝縮器の1次ストリッパガス側で水蒸気を凝縮する水飽和圧力が、冷却器/凝縮器のストリップした凝縮液側でスチームが発生する圧力よりも高くなるのに十分である。
図2の過程で達成される温度及び圧力差は、好ましくは、図1の実施形態における冷却器/凝縮器50において一般的なものと本質的に同じであり、1次ストリッパガス排出物は、ストリッパのガス出口から冷却器/凝縮器のガス入口に流れる間に圧縮される。蒸気/液体接触ゾーンで見られる絶対圧力も、好ましくは、図1及び図2で示される実施形態のそれぞれと同じ範囲にある。どちらの事例においても、ストリッパにおいて、大気圧よりも僅かに高い圧力、例えば約15~約18psia(約100~約125kPa絶対圧)に維持することが望ましい。しかしながら、図2の過程ではスチームだけが圧縮されるので、図2の過程における吸収液ストリッピングゾーン内の最適な圧力は、図1の過程における最適な圧力よりも僅かに低くなり得、1次ストリッパガスの二酸化硫黄成分はまた、水蒸気の分圧を冷却器/凝縮器50のストリップした凝縮液側の沸騰水温度よりも高い温度で水蒸気が凝縮するレベルにしながら、圧縮しなければならない。
図2の過程の残りは、図1に関して上で説明される過程と実質的に同一の様式で動作する。
図1及び図2の過程は、比較可能なエネルギー効率を提供するが、図2の過程の利点は、圧縮を受けるストリームからの二酸化硫黄が実質的にないことである。これは、圧縮されている流体が、全般的に、図1の過程で圧縮される流体よりも腐食性が小さく、したがって、圧縮器またはエジェクタの構築材料の維持管理及び選択の双方における節減を提供することを意味する。
吸収液から二酸化硫黄をストリップするための唯一のエネルギー源として、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器におけるストリップした凝縮液から発生する飽和スチームに依存することは、吸収器に循環させて戻される再生した吸収媒体において、また最終的には、吸収器とストリッパとの間の吸着剤媒体回路において、水の正味増加をもたらす可能性がある。実際に、生スチームだけに依存するあらゆるストリッパの動作は、二酸化硫黄の蒸発熱を提供するために加えなければならないスチームの増加、及び環境への熱損失から生じる増加のため、必然的にこの効果を有する。したがって、この回路における水収支の制御は、別の場合ではこの動作のスキームで得られ得る水画分の除去のためのいくつかの手段を必要とする。種々の選択肢がこの目的に利用可能である。例えば、再沸器37において外部供給源から供給されるエネルギーは、1次ストリッパガスが僅かに高い水蒸気負荷を持つように、その温度を僅かに増加させ得、1次ストリッパガス冷却器/凝縮器は、十分な増加分の水蒸気を除去して、水収支を維持するために、僅かに高いΔt及び僅かに高い通気ガス温度で動作させることができる。これは、図1の実施形態における1次ストリッパガスの僅かに高い圧縮、または図2の実施形態におけるストリッピングスチームの僅かに高い圧縮を必要とし得る。代替として、再生した吸収液の一部または全ては、交換器40及び/またはトリム冷却器42を迂回することができ、それによって、吸収器が、収支を維持するために排気ガスの水蒸気含有量を漸増的に増加させる、僅かに高い温度で動作することを可能にする。
図1の過程の代表的な動作において、吸収器/ストリッパ回路の全てのターンオーバー中に、水分量の約2%のゲインが認められた。石炭の硫黄含有量を反映するレベルの二酸化硫黄を含有する燃焼ガスが27℃で吸収器に送達される実施形態において、交換器40及びトリム冷却器42の周りの再生した吸収媒体を迂回すること、及び吸収媒体を40℃で吸収器に供給することによって、収支を達成することができる。35℃で吸収器を出る排気ガスは、吸収液ストリッパの吸収液から二酸化硫黄を蒸発させるために必要なスチームの増加によって生じる、ゲインの収支を保つのに十分な水蒸気を持つ。
濃厚ガスストリームからの二酸化硫黄の回収
本発明の過程は、接触式硫酸プラントの排ガスからの二酸化硫黄の回収に適する。しかしながら、本過程は、比較的濃厚な二酸化硫黄ガスストリームを発生させる動作を含む、二酸化硫黄の回収を必要とする他の過程動作に適用することができる。供給ガスから二酸化硫黄を吸収する反応は、一般的に発熱性であるので、本過程が、ガスストリームを含む、例えば2~4容量%以上の二酸化硫黄を含有する濃厚ガスから二酸化硫黄を回収するために使用される場合、吸収器においてかなりの反応熱が発生し、二酸化硫黄含有量は、10容量%、15容量%、20容量%、25容量%、30容量%、40容量%の高さに、またはさらに高くなり得る。例えば、二酸化硫黄濃度は、少なくとも約4容量%、または少なくとも約5容量%、または少なくとも約10容量%、または少なくとも約15容量%、または少なくとも約20容量%、または少なくとも約30容量%であり得る。
本発明の過程は、そのような濃厚二酸化硫黄含有ガスストリームから二酸化硫黄を回収することに極めて容易に適合可能である。しかしながら、ガスストリームの二酸化硫黄含有量が高い場合、発熱吸収反応で発生する顕熱は、いくつかの事例では、循環吸収媒体の吸収効率及び/または吸収能力を著しく損なうおそれのあるレベルまで、吸収液の温度を急激に上昇させ得る。例えば、吸着剤としてテトラグライムを使用する吸収システムにおいて、流入供給ガスの二酸化硫黄濃度が2.9容量%に達する場合、吸収液の温度は、一般的に好ましい温度の17℃~他の場合の適切な吸収器におけるL/G比での温度の30℃に上昇する可能性がある。流入ガスの二酸化硫黄含有量が43モル%である場合、温度は、一般的に、17℃~49℃に上昇する可能性がある。テトラグライム吸収システムについて、そのような温度上昇は、吸収媒体が二酸化硫黄を吸収する能力を著しく損ない得る。
図3及び図4は、2つの既知の二酸化硫黄吸収溶媒の平衡吸収能力に対する温度の悪影響を例示する。図3で例示されるように、ガス中に4モル%のSO2(100S)で純粋なテトラグライム(100S)を使用することで、20℃~30℃の狭い範囲であっても、水性吸収媒体の吸着能力は、温度が上昇するにつれて、約13重量%~約8重量%減少する。40℃で、吸収能力は、約5重量%まで低下し、50℃では、約4重量%まで低下する。図4で例示されるように、供給ガスが30モル%のSO2を含有する場合、吸収能力は、20℃で約25重量%~30℃で約21重量%減少し、40℃で約17重量%まで低下し、また、50℃で約14重量%未満まで低下する。同じく図3及び図4で示されるように、別のテトラグライム吸着剤、すなわち、95S_5W(95%テトラグライム)を使用することで、吸収能力における同程度の減少が生じる。したがって、2容量%を超える二酸化硫黄を含有する濃厚ガスについて、硫黄富化吸収液中の比較的低い濃度の二酸化硫黄濃度をもたらす、吸収器を通過する液体相における温度上昇の程度を減少させるために、全般的に、水性吸収媒体の流量の増加が必要とされる。
吸収媒体及び吸収液の流量の増加は、2つの重要な方法において吸収液ストリッパに負担を課す。それは、そこから二酸化硫黄をストリップするための適切な温度に吸収液を加熱するためのエネルギー需要を増加させ、したがって、過程のエネルギー効率を低減させる。しかし、それはまた、ストリッピングカラムの全体にわたる質量流量の増加も課し、それは、蒸気/液体接触ゾーンを浸水させることなく、液体流量に適合するために必要とされるカラム全体の直径を増加させる。より高い液体相流量はまた、吸収カラム柱の直径の増加にも影響する。
二酸化硫黄吸収過程のさらに好ましい特徴によれば、吸収媒体が吸収(すなわち、ガス/液体接触)ゾーンを通過する際の該吸収媒体の温度上昇を低減させるために、吸収器の基部に冷却が提供され、したがって、吸収器及びストリッパ双方が、比較的低いL/G比で動作することを可能にする。吸収媒体における、特に吸収ゾーンの下部分における温度上昇を制御することは、吸収媒体の平衡能力を保存し、したがって、吸収ゾーン内でのガス相から液体相への二酸化硫黄の質量移動のための駆動力、ならびに液体相における二酸化硫黄と吸着剤との反応のための駆動力を保存する。比較的低い液体相温度はまた、二酸化硫黄と吸着剤との反応が発熱性平衡反応である場合に、液体相内での二酸化硫黄付加物への変換の程度にも有利に働く。好ましくは、吸収液は、吸収器内のガス/液体接触ゾーンから取り出され、外部熱交換器を通して循環され、そして、吸収ゾーンに戻される。より具体的には、循環吸収液は、冷却した循環吸収液がガス/液体接触ゾーンに戻される領域の下側に離間される領域の中の該ゾーンから除去され、したがって、好ましくは、二酸化硫黄の吸収の大部分が生じ、そして、吸収熱の大部分が発生する、冷却した吸収液が戻される領域の下側の吸収ゾーン内の区域を画定する。
例えば、図5で例示されるように、高温の二酸化硫黄富化吸収液17の一部分は、液体出口18から取り出され、または吸収器11の中の垂直ガス/液体接触ゾーン13の底部近くの領域13.1から取り出され、そして、冷却液への移動によって吸収熱が除去される外部熱交換器80を通して循環される。冷却した吸収液は、高温の吸収液が取り出される領域の上側に離間されるが、ガス/液体接触ゾーンの頂部の下側に離間される、ガス/液体接触ゾーンの領域13.2において吸収器に戻される。より好ましくは、冷却した循環吸収液が戻される領域13.2は、ガス/液体接触ゾーンの下部分にある。
二酸化硫黄吸収器と外部熱交換器との間の吸収液の循環は、質量流量の増加、及び領域13.1と13.2との間を下る吸収ゾーンの循環区域における吸収液の不可避な逆混合を引き起こし、これは、このゾーンの区域における二酸化硫黄の除去のための質量移動におけるゲインを僅かに相殺する可能性がある。したがって、好ましくは、戻り領域13.2は、ガス/液体接触ゾーンの頂部の下側に少なくとも移動ユニット1つ分の高さだけ離間され、それによって、ゾーンの頂部の下側に少なくとも1つの移動ユニットを備える吸収ゾーン精留区域を画定する。好ましくは、精留区域は、少なくとも2つの移動ユニットを備える。また、戻り領域13.2が、取り出し領域13.1の上側に、少なくとも移動ユニット1つ分、より好ましくは、少なくとも2つ分の高さだけ離間されることも好ましい。戻り領域13.2と取り出し領域13.1との間の吸収ゾーンの循環区域、及び戻り領域13.2と吸収ゾーンの頂部との間の精留区域の双方において、十分な質量移動能力に適応するために、吸収ゾーンは、全体として、好ましくは、少なくとも3つ、より好ましくは、少なくとも4つの移動ユニットを備える。ガス及び液体のストリームはどちらも、精留区域内の実質的なプラグ流の中にあるので、質量移動のための最大の駆動力がその区域に提供され、排気ガス中の二酸化硫黄濃度を、排出基準を満たすレベルまで低減させることを可能にする。循環液体戻り領域13.2の場所の適切な選択は、そこから上方に流れるガスにおける二酸化硫黄レベルが、水性吸収媒体の吸収能力に対して、または精留区域における物質移動駆動力に対してかなりの悪影響を有する吸収/反応熱を精留区域において発生させるほど高くない、領域の選択に基づく。
好ましくは、吸着剤がテトラグライムである場合、冷却した循環吸収液がガス/液体接触ゾーンに戻される領域13.2は、約40℃以下、より好ましくは、約30℃以下、最も一般的には、約15℃~約25℃の温度に維持される。テトラグライムシステムにおいて、高温の循環吸収液がガス/液体接触ゾーンから除去される領域13.1の温度は、好ましくは、約45℃以下、より好ましくは、35℃以下、より一般的には、約15℃~約30℃の温度に維持される。当業者は、異なる、いくつかの事例ではかなり異なる温度範囲が、他の吸着剤に最適であることを認識するであろう。例えば、吸着剤がリンゴ酸ナトリウムである場合、冷却した循環吸収液がガス/液体接触ゾーンに戻される領域13.2は、約45℃以下、より好ましくは、約45℃以下、最も一般的には、約20℃~約40℃の温度に維持される。この事例において、高温の循環吸収液がガス/液体接触ゾーンから除去される領域13.1の温度は、好ましくは、約50℃以下、より好ましくは、40℃以下、より一般的には、約25℃~約35℃の温度に維持される。各事例において、領域13.1と13.2との間の循環速度は、これらの温度制約、及び吸収過程の単位エネルギー発生によって決定される。
好都合に、高温の二酸化硫黄富化吸収液17の前方流れ画分は、外部熱交換器80の上流の循環吸収液ストリームから取り出され、そして、吸収液ストリッパ30に向けられる。
循環吸収液戻り領域13.2の場所は、二酸化硫黄吸収ゾーンの吸収プロファイルに基づいて選択することができる。異なる吸収媒体を使用した代表的なプロファイルは、図6で例示される。
ガス/液体接触ゾーンにおける供給ガスと吸収媒体との接触時に、吸収が即時的で実質的に定量的である場合、吸収効率を保存し、吸収液ストリッパにおける効率的なエネルギー使用量と一致するレベルまで吸収液の容量流量を制御するために、通常は、単一の吸収液冷却回路で十分である。しかしながら、二酸化硫黄に対する吸着剤の親和性がより制限される場合には、吸収液ストリッパの効率的な動作の目的にも所望されるように、吸収ゾーンを通した二酸化硫黄の濃度勾配、すなわち、ガスストリーム(及び液体ストリーム)中の二酸化硫黄の濃度が吸収ゾーンに対するガス入口の上側の距離とともに減少する割合は、僅かであり得る。そのような状況では、吸収ゾーン内のガス流路に沿って垂直に離間された2つ以上の冷却ループを使用することによって、吸収器及びストリッパの動作におけるより高い効率が実現され得る。例えば、図5で例示されるように、2つのそのような冷却ループが示される。第2の冷却ループにおいて、吸収器11のガス/液体接触ゾーン13を下る高温の二酸化硫黄富化吸収液の第2の部分は、領域13.2の上側の領域13.3から取り出され、該領域13.3では、冷却した循環吸収液が第1の冷却ループにおいてガス/液接触域に戻され、そして、冷却流体への移動によって吸収熱が除去される外部熱交換器81を通して循環される。冷却した吸収液は、高温の吸収液が取り出される領域13.3の上側に離間されるが、ガス/液体接触ゾーンの頂部の下側に離間される、ガス/液体接触ゾーンの領域13.4において吸収器に戻される。
図7は、二酸化硫黄が吸着剤に対して僅かな親和性を有し、よって、二酸化硫黄勾配が比較的緩い、吸収器/ストリッパシステムの動作を例示する。図7は、冷却ループのない、1つの冷却ループ、2つの冷却ループ、及び3つの冷却ループを、それぞれを含有するシステムの異なる曲線によって、頂部からの、すなわち、吸収ゾーンのガス出口からの移動ユニットにおける距離として表される吸収ゾーンにおける場所の関数として、それぞれの事例において、吸収ゾーン内のガスストリームにおける吸収液の温度及び二酸化硫黄の濃度をプロットする。1つ、2つ、または3つの冷却ループの効果に関するデータは、下で表1においても説明される。
図7でプロットされ、表1に作表されるデータは、吸収器が(基本的に移動ユニットに対応する)15の段階を備える、二酸化硫黄吸収システムによるものである。循環吸収液が冷却される各事例において、取り出し領域が段階15であり、戻り領域が段階13である少なくとも1つのループがあり、すなわち、戻り領域は、吸収ゾーンの底部から本質的に移動ユニット2つ分の高さだけ離間され、また、該吸収ゾーンの頂部から12ユニット分の高さだけ離間される。第2のループが加えられた場合、取り出し領域は、段階10であり、戻り領域は、段階8であり、第3のループが使用される場合、取り出し領域は、段階5であり、戻り領域は、段階3である。
これらのプロット及び作表は、過程の全体的なエネルギー効率に寄与する1つ以上の冷却ループの数値をグラフィカルに例示する。表1で示されるように、1つの冷却ループは、冷却のない動作と比較して、吸収液ストリッパにおけるスチームの使用量を約15%減少させる。2つの冷却ループによる動作は、冷却のない動作と比較して、スチームの消費量を24%減少させ、3つの冷却ループによる動作は、冷却のない動作と比較して、スチームの消費を25%減少させる。冷却のない場合、温度は、最高で31℃に到達する。最高温度は、1つ、2つ、または3つの冷却回路の導入によって、それぞれ、27℃、22.5℃、及び19℃に低下する。
その動作が図7及び表1に反映されるシステムと比較すると、一般的に、吸着剤としてリンゴ酸ナトリウム等の多価酸を使用する二酸化硫黄吸収過程においては、単一冷却ループだけが理にかなう。
図5で例示される過程の残りは、実質的に、図1または図2に関して上で説明される様式で動作される。しかしながら、本発明による吸収器11内の吸収媒体における温度上昇を制御することは、ストリップした凝縮液から発生する1次ストリッパガス排出物またはスチームを圧縮することによってストリッピングスチームを発生させるためのエネルギー源を提供することとは無関係に実践され得ることを理解されたい(すなわち、本過程は、吸収液ストリッピングカラム30のエネルギー源として、再沸器37に全面的に依存し得る)。
タンデム型濃厚及び希薄ガス吸収及びストリッピング回路
図8は、タンデムに動作する2つの別個の吸収回路及びストリッピング回路間で汚染物質ガスの吸収負荷を分けることによって、かなりのエネルギーの節減と同時に大幅に低い排出の達成が実現されるシステムを例示する。図8に関連して説明されるように、本過程は、二酸化硫黄の回収に適用される。しかしながら、本過程は、吸収したガスと溶媒、一般的に水との間に揮発度の総計差がある吸収液を生成するために、水性システムにおいて吸収を受ける他のガスの回収に適用することができる。そのような吸収システムでは、同時係属の米国特許出願第13/283,671号で開示されるように、吸収反応は、一般的に、非ゼロ次である。図10及び図11で例示されるように、吸収器における任意の所与のL/G及び溶媒とSO2との比率で、吸収器の排気ガス中の残留SO2濃度は、スチームと、SO2が吸収液から回収されるストリッパとの比率によって変動する。図12で例示されるように、その理由は、スチームとストリッパとの比率が低下するにつれて、吸収器に再循環される再生した吸収媒体中の残留SO2濃度が増加し、それによって、SO2を吸収するための駆動力が低減することにある。ガス流に対して直列である2つの吸収器の間で吸収負荷を分けることで、二酸化硫黄の大部分を、第1の濃厚ガス吸収器における適度のL/G及び溶媒とSO2との比率で、供給ガスから除去することを可能にし、非常に低減された二酸化硫黄含有量を有する希薄ガスを生成するが、一般的に、排出基準を満たす、及び/または目標の硫黄収率を満たすレベルまでは低減されない。次いで、許容可能な残留設計目標の濃度まで下がった、残りの二酸化硫黄が、同じく比較的適度のL/Gであるが比較的高い吸着剤とSO2との比率で、ガス流の方向で濃厚ガス吸収器の下流の希薄ガス吸収器において希薄ガスから除去され得る。
図8を参照すると、各吸収器が、吸収器を出る吸収液から二酸化硫黄を除去するためのストリッパと関連付けられることが分かるであろう。本過程の動作において、原料ガスを含む供給ガスストリーム110は、濃厚ガス吸収器101において、水性濃厚ガス吸収媒体103と接触する。供給ガス中の大部分の二酸化硫黄がガスストリームから除去され、残留二酸化硫黄を含有する希薄ガス113、及び吸着した二酸化硫黄を含有する濃厚吸収液105を生成する。濃厚ガス吸収液は、濃厚吸収液ストリッパ107に移動され、そこで、好ましくは、ストリッパにおいて吸収液をスチームと接触させることによって、二酸化硫黄が濃厚吸収液からストリップされる。好ましくは、濃厚ガス吸収器101は、ガス相と液体相との間の質量移動を促進するためのパッキング、トレイ、または他の手段を含有する、垂直ガス/液体接触ゾーン101.1を含有するカラムを備える。供給ガスが底部に進入し、希薄ガスがガス/液体接触ゾーンの頂部を出て、吸収器のガス出口を通して取り出され、一方で、濃厚ガス水性吸収媒体が該ゾーンの頂部に進入し、濃厚吸収液が底部を出る。すなわち、吸収媒体及びガス相が該ゾーンを通って向流的に流れる。濃厚ガス吸収ゾーンの底部を出る濃厚吸収液105は、吸収器の液体出口を介して取り出され、そして、濃厚吸収液ストリッパ107に移動される。
濃厚液ストリッパ107へのその通過において、濃厚ガス吸収液105は、好ましくは、種々の他の過程ストリームのいずれかからのエネルギーの回収によって予熱され、それによって、そのようなストリームが生じる他の過程動作において過程の中へ導入される熱を保存する。主な実施例として、吸収液は、交換器147を通過し得、そこでは、濃厚液ストリッパから濃厚ガス吸収器101に戻されている再生した濃厚ガス吸収媒体103から熱が移動される。交換器147に進入する前に、吸収液は、随意に、別の熱交換器149を通過し得、そこで、該吸収液は、下で参照されるような別の好都合な供給源からの熱移動によって加熱される。
濃厚液ストリッパ107はまた、好ましくは、液体相と蒸気相との間の質量移動を促進するためのパッキング、トレイ、または他の手段を含有する垂直蒸気/液体接触ゾーン107.1を備えるストリッピングゾーンを含有するカラムも備える。ストリッパはまた、好ましくは、ゾーンの頂部に導入される濃厚吸収液及び底部に導入されるスチームと向流的に動作する。随意に、スチームの代わりに、またはスチームに加えて、液体相は、そこから二酸化硫黄をストリップするための熱を液体相に与える再沸器(図示せず)を通して、ゾーンの底部またはその近くから循環され得る。再生した濃厚ガス吸収媒体103は、蒸気/液体接触ゾーンの底部を出て、濃厚液ストリッパ107の液体出口を通して取り出され、そして、供給ガスのさらなる流れから二酸化硫黄を除去するための濃厚ガス吸収器101に再循環される。有利には、再生した濃厚ガス吸収媒体は、その戻り時に、熱交換器147における濃厚ガス吸収液105への熱移動によって冷却される。硫酸が濃厚ガスシステムの吸収媒体回路に蓄積した場合、該硫酸は、再生した濃厚ガス吸収媒体のスリップストリームを、熱交換器111において、次いでフィルタまたは遠心分離器151によって除去することができる硫酸ナトリウムを結晶化させるのに十分な温度まで冷却することによって除去することができる。
濃厚ガス吸収器において除去されなかったSO2を含有する希薄ガス113は、濃厚ガス吸収ゾーン101.1の頂部を出て、濃厚ガス吸収器101のガス出口から取り出され、そして、希薄ガス吸収器115のガス入口に向けられる。希薄ガス吸収器はまた、好ましくは、パッキングまたはトレイ等の質量移動を促進するための手段を含有するガス/液体接触ゾーン115.1を備える垂直吸収ゾーンを含有する、カラムも備える。希薄ガスは、ガス/液体接触ゾーンの底部に進入し、一方で、希薄ガス吸収媒体は、該ゾーンの頂部に進入し、ガス相及び液体相は、好ましくは、該ゾーンを通って向流的に流れる。希薄ガス中の残留二酸化硫黄は、希薄ガス吸収器において除去され、そして、吸収媒体に移動されて、希薄ガス吸収液117を得るが、該希薄ガス吸収液は、希薄ガス吸収ゾーン115.1の底部を出て、その液体出口を通して希薄ガス吸収器115から取り出される。過程及び/または硫黄収率による許容可能な排出レベルに対する目標仕様を満たす清浄なガスストリームは、希薄ガス吸収ゾーンの頂部を出て、そのガス出口を通して希薄ガス吸収器から取り出される。上で説明されるように、このガスは、ミスト除去器を通過し、そして、僅かに加熱されて、プルームの形成を抑制し得る。
希薄吸収液117は、希薄液ストリッパ119に向けられる。希薄液ストリッパはまた、好ましくは、液体相と蒸気相との間の質量移動を促進するためのパッキング、トレイ、または他の手段を含有する垂直蒸気/液体接触ゾーン119.1を含有するカラムも備える。ストリッパはまた、好ましくは、ゾーンの頂部に導入される希薄吸収液及び底部に導入されるスチームと向流的に動作する。随意に、スチームの代わりに、またはスチームに加えて、液体相は、そこから二酸化硫黄をストリップするための熱を液体相に与える再沸器109を通して、ゾーンの底部またはその近くから循環され得る。再生した希薄吸収媒体121は、蒸気/液体接触ゾーンの底部を出て、ストリッパの液体出口を通して取り出され、そして、希薄ガス吸収器に再循環される。希薄ガス吸収器115に戻る通過において、再生した希薄ガス吸収媒体は、随意に、例えば、塔の水または他の好都合な冷却流体への熱移動によって熱交換器153において冷却され得る。例えば、図8で示されるように、熱交換器153は、再生した希薄ガス吸収媒体から移動された熱が、希薄液ストリッパへのその通過時に希薄吸収液を予熱するために使用される交換器であり得る。
硫酸ナトリウムが再生した希薄ガス吸収媒体に蓄積した場合、または蓄積するにつれて、パージストリームが、硫酸ナトリウムが除去される結晶化及び濾過システムに分流され得る。一般的な晶析器/フィルタ回路は、濃厚及び希薄吸収器/ストリッパ回路の双方の役割を果たすことができる。そのような場合、再生した希薄ガス吸収媒体のパージ画分は、好ましくは、晶析器に送達される再生した濃厚ガス吸収媒体のパージ画分と混合される。一般的な晶析器は、双方の回路の役割を果たすことができるが、それぞれの再生した吸収媒体の過程貯蔵、そのpHの調整、及び吸着剤の構成のための別個の溶媒タンクが維持される。
図8で例示される好適な過程において、双方のストリッパからのストリッパガスは、好都合に結合させて、ストリッパ過程ガス123を提供し得、該ストリッパ過程ガスは、好ましくは、スチームエジェクタまたは圧縮器(図示せず)において圧縮され、次いで、冷却器/凝縮器125において、水蒸気の凝縮のために冷却される。冷却器/凝縮器からの凝縮液は、該凝縮液を残留SO2のストリッピングのためのスチームと接触させる、凝縮液ストリッパ127に向けられる。冷却器/凝縮器125からの通気ガスは、凝縮液ストリッパ127からの凝縮液ストリッパガスと結合させて、最終的な結合したストリッパガス(湿式回収したSO2ストリーム)133を生成し、該結合したストリッパガスは、一般的に、例えば熱交換器135及び137において、さらに冷却され、そして、過程から除去される。熱交換器135及び137において、湿式回収したSO2ストリームを冷却することによって形成されるさらなる水性凝縮液が、凝縮液ストリッパ127に戻される。回収したSO2の冷却器/凝縮器135における冷却媒体は、例えば、希薄ガス吸収器115からの排気ガスであり得、回収したSO2の冷却器/凝縮器137は、濃厚ガス吸収器101を出る充満した濃厚ガス吸収液であり得、その場合、熱交換器137及び熱交換器149は、同一である。排気ガスの加熱は、排気筒でのプルームの形成を防止するのを補助し、一方で、吸収液の予熱は、濃厚液ストリッパにおけるエネルギーを保存する。回収したSO2ストリームからの水を冷却し、凝縮することは、下流の動作のためにこのストリームを調整することを補助し、例えば、凝縮することは、回収したSO2が接触式硫酸プラントの変換器の中へ導入される前に通過し得る乾燥塔に対する負荷を低減させ得る。
図8で例示される過程の好ましい実施形態において、希薄液ストリッパからのストリッパガス排出物は、希薄液ストリッパの頂部区域における希薄吸収液の温度で水蒸気によって本質的に飽和され、濃厚液ストリッパのためのストリッピングスチームの供給源として使用される。この流れパターンは、濃厚ガス吸収器に進入するガスストリームが、例えば、約40容量%を超える、好ましくは、約30容量%を超える、より一般的には、約0.2~約10容量%の、比較的高いSO2または他の汚染物質ガスの含有量を有する場合に特に有益であり得る。流入ガスストリームが、例えば、約5重量%未満、または約0.1~約2容量%の、比較的低いSO2含有量を有する場合、濃厚液ストリッパのための再沸器に対して間接的に、またはストリッピングカラム自体の中へ直接注入される生スチームを介して直接的に、濃厚液ストリッパに対する別個の熱源を提供することが必要であり得る。
別の好ましい実施形態において、好ましくは、希薄ストリッパ過程ガス131よりも低いSO2含有量の、より好ましくは、SO2を実質的に含まない、別の供給源からの生スチーム129aは、濃厚液ストリッパ107内でガス/液体接触ゾーン107.1の底部の中へ導入される。この実施形態において、希薄液ストリッパ119を出る希薄ストリッパガス131は、好ましくは、濃厚液ストリッパガス/液体接触ゾーン107.1の底部の液体出口の周りを迂回し、そして、液体相(再生した吸収媒体)出口の上側に十分離間された地点でゾーン107.1の中へ導入されて、SO2を実質的に含まずに進入するスチーム129aによる液体相からのSO2のストリッピングを可能にする。この実施形態において、希薄ストリッパガスをストリッパ107に送達するための導管131aは、ストリッパ119のガス相出口と、希薄ストリッパガスが濃厚液ストリッパ接触ゾーン107.1の中へ進入する地点との間の圧力降下を最小にするように十分にサイズ決定しなければならない。
さらに随意の実施形態において、希薄ストリッパガス131は、導管131bを介して濃厚液ストリッパ107を完全に迂回することができ、よって、濃厚吸収液のためのストリッピングスチームは、濃厚液ストリッピングゾーン107.1において濃厚吸収液から移動されるもの以外、SO2を実質的に含まない。次いで、濃厚ストリッパガス122は、希薄ストリッパガス131と結合されて、ストリッパ過程ガスストリーム123を形成し得る。したがって、この実施形態において、2つのストリッパは、直列ではなく完全に並列に動作するが、排ガスは、それでも結合されてストリッパ過程ガスストリーム123を形成する。柔軟性を提供するために、ストリッパ107及びストリッパ119はどちらも、一方または他方のストリッピングカラムを運転休止しなければならない場合に、動作を維持するために、完全にストリップする負荷を担持するようにサイズ決定される。この機能は、例えば硫酸の製造または石油精製動作の脱硫ユニットにおいて、最小の過程の中断または休止時間で高い生産量のときに確実に動作しなければならない高い資本設備において特に重要であり得る。そのような動作モードにおいて、ストリッピングカラムの1つを運転休止しなければならない場合、過程の動作は、単一の吸収及びストリッピング回路に切り換えられ、該回路において、例えば、再生した吸収媒体は、吸収器115の頂部に再循環され、吸収器115を出る液体相は、吸収器101の頂部の液体入口に送達され得、そして、吸収器101を出る吸収液は、機能している単一のストリッパに送達され得る。
さらに別の実施形態(図示せず)では、第3のストリッピングカラムが提供され、よって、図8のフローシートに従って1度に任意の2つのストリッパを動作させることができ、もう1つが運転を待機するようにサイズ決定されるか、または、所望であれば、ストリッパ107または119と並列に動作して、高いスループットの濃厚/希薄動作中に、濃厚または希薄吸収液のいずれかをストリップするための追加的な能力を提供する。
さらなる好ましい実施形態において、ストリッパ過程ガスからの水蒸気の凝縮は、濃厚液及び希薄液ストリッパの一方または双方のためのストリッピングスチームを発生するために使用される。ストリッパ過程ガスは、濃厚液ストリッパ107からの濃厚ストリッパガス排出物、希薄液ストリッパ119からの希薄ストリッパガス、または、上で述べられるように、双方のストリームの結合を含み得る。特に好ましい実施形態において、図8で例示されるように、ストリッパ過程ガスは、本質的に、濃厚液ストリッパ107から取り出される濃厚ストリッパガス123から成り、それは、濃厚液及び希薄液の双方からストリップされたSO2を含む。代替として、ストリッパ過程ガス123は、濃厚液ストリッパ107を出る濃厚液ストリッパガス122と濃厚液ストリッパ107の周りを迂回する希薄液ストリッパガス131bとを結合させることによって形成され、そして、ガス相の流れに対してストリッパ107の下流の濃厚ストリッパガス122と混合され得る。ストリッパ過程ガスは、ストリッパ過程ガス冷却器125において冷却されて、そこからの水を凝縮し、図1及び図2の凝縮ストリッパと本質的に同じ様式で動作する凝縮液ストリッパ127に向けられる凝縮液を提供する。また、凝縮液ストリッパ127を出るストリップした凝縮液の少なくとも僅かは、ストリッパガスから水を凝縮するための冷却流体として、ストリッパ過程ガス冷却器125に戻されることも好ましい。ストリッパ過程ガス冷却器が、ストリップした凝縮液からスチームを発生するように動作すること、及びそのように発生したスチーム129の少なくとも一部分が、ストリッピングスチームの供給源として、導管129a及び119を介し、導管129を介して、吸収液ストリッパ107の一方または双方に向けられることがなおさらに好ましい。特に好ましい実施形態において、図8の固体流れラインで例示されるように、ストリッパ過程ガスとストリッパ過程ガス冷却器/凝縮器125におけるストリップした凝縮液との間の熱交換によって発生するスチーム129は、主に、希薄液ストリッパ119の蒸気入口に向けられ、また、図8でさらに例示されるように、濃厚液ストリッパのスチーム131の供給源は、主に、希薄液ストリッパのガス排出物から取り出される。したがって、さらなるエネルギー効率が実現される。濃厚システムストリッパ107の脱着のための駆動力は、希薄液ストリッパ119においてストリップされるSO2が寄与する、ガス相SO2含有量の僅かな増加によって著しく損なわれ得ないが、冷却器/凝縮器125において発生するスチームの一部分を、ライン129aを介して濃厚液ストリッパに直接的に向け、そして、希薄ストリッパガスを、濃厚液ストリッパゾーン107.1から液体相出口の上側に離間された地点で、濃厚液ストリッパの中へ導入することによって、いくらかの悪影響を回避することができる。
同じく図8で例示されるように、濃厚液ストリッパを出るストリッパ過程ガス123が、例えばスチームジェットエジェクタ155を介して、ストリッパ過程ガス冷却器/凝縮器125においてストリップした凝縮液からスチームを発生させるために使用することができる十分な圧力まで圧縮されることがさらに好ましい。濃厚液ストリッパ、蒸気圧縮、及びストリッパ過程ガス冷却器-凝縮器/ストリッパ凝縮液ボイラの動作条件は、実質的に、図1に関して上で説明した通りである。
図8で示されるように、凝縮液ストリッパ127を出るストリップした凝縮液ストリーム139は、蒸気/液体分離器141に向けられ、分離器と冷却器/凝縮器125との間でライン143を介して循環させ、そこで、ストリッパ過程ガスからの熱移動が希薄液ストリッパ119のためのスチーム129を発生する。ストリップした凝縮液及びスチームは、分離器141において分離され、スチーム129は、好ましくは、ストリッパ119に向けられ、そして、ストリップした凝縮液の少なくとも一部分は、ストリップしたスチームへの変換のために、ライン143を介して、希薄液ストリッパガス冷却器/凝縮器125に循環させる。蒸気/液体分離器141を出るストリップした凝集液の他の部分は、随意に、再循環され得、そして、希薄ガス吸収器115、濃厚ガス吸収器101、または双方に戻すために、(図示しないラインを介して)再生した希薄ガス吸収媒体121または濃厚ガス吸収媒体103と結合され得、ストリップした凝縮液145の残りは、システムからパージされ得る。
代替として、ストリッパガス冷却器/凝縮器125のストリップした凝縮液側は、熱交換器自体内の水からのスチームの解放を可能にするように設計され得、別個の蒸気/液体分離器を必要とすることなく、同伴水を実質的に含まないスチーム流量が、冷却器/凝縮器から吸収器に直接通過することを可能にする。この場合、ストリップした凝縮液ボイラ125を出るストリップした凝縮液は、分離器141を参照して上で説明されるように、蒸気/液体分離器を出るストリップした凝縮液と同じ様式で分配され得る。
1次ストリッパガス冷却器/凝縮器125において発生するスチームは、ライン129を介してストリッパ119に導入され、そこで、該スチームは、蒸気/液体接触ゾーン119.1において希薄吸収液と接触し、どちらも熱を希薄吸収液に供給し、液体相から二酸化硫黄を除去するためのストリッピングガスとして機能する。希薄吸収液ストリッパにおける液体相の加熱は、液体相中の二酸化硫黄の平衡濃度を低減させ、二酸化硫黄を蒸気相に移動させる駆動力を高める。熱が液体相に移動する際に、冷却器/凝縮器125においてストリップした凝縮液から発生するスチームは、希薄液ストリッパ内で部分的に凝縮し、したがって、本質的に凝縮可能なストリッピングガスとして機能する。随意に、ストリッパ過程ガス冷却器/凝縮器においてストリップした凝縮液から発生するスチームによって供給されるストリッピング熱は、吸収液ストリッパからの液体相が循環される再沸器109において外部供給源から供給される熱によって補充され得る。補助再沸器は、本過程の水収支の制御において十分な柔軟性を提供する。一般的に、再沸器を通過する吸収液は、ストリッパの液溜から取り出され、液溜の上側の希薄液ストリッパ蒸気/液体接触ゾーン119.1の下部分に戻される。
別個の濃厚ガス及び希薄ガス吸収及びストリッピング回路を備えるシステムの動作は、SO2とH2Oとの間の揮発度の総計差を利用することによって、エネルギーを大幅に節減する機会を提供する。したがって、濃厚ガス吸収器は、二酸化硫黄の定量的除去を達成する必要がなく、このことは、大部分の二酸化硫黄を除去するために、比較的少量の水性濃厚ガス吸収媒体、及び吸着剤とSO2との比較的低い等量比が効果的であり、希薄ガス吸収器の吸収能力に対して僅かな負荷を課すだけで十分であることを意味する。例えば、リンゴ酸塩等の多価カルボン酸塩吸収剤におけるSO2吸収の場合、吸着剤が濃厚ガス吸収器の中へ導入される割合と、SO2が吸収器の中へ導入される割合との化学量論比は、好ましくは約0.6以下であり、より好ましくは、約0.3~約0.5である。濃厚ガス吸収器における質量比L/Gは、一般的に、約0.1~約50、より一般的には、0.1~40、好ましくは、0.1~30である。これらの範囲の下限は、全般的に、入口のSO2濃度が比較的低い~適度である、例えば5容量%以下である場合に好ましく、一方で、該範囲の上限は、SO2濃度が高い、例えば30~40%またはそれ以上である場合に好ましい。比較的低いL/Gとともに、濃厚ガス吸収器において一般的である最大駆動力は、一般的に、少なくとも約0.5重量%のSO2、より一般的には、約0.8~約15量%のSO2を含有する濃厚ガス吸収液を生成し得る。類似する過程のパラメータを、リンゴ酸塩以外のSO2吸着剤に、及びCO2、NOx、H2S、またはHCl等の他の酸性ガスの吸着に、ならびにNH3等の他の吸収可能なガスに適用する。
濃厚ガス吸収液は、比較的濃縮されるので、SO2は、僅かなスチームの消費量で、濃厚液ストリッパにおいて容易に回収される。いくつかの理由で、濃厚液ストリッパには、比較的低いスチームと吸収液体との流量比しか必要とされない。比較的高い濃厚吸収液中の二酸化硫黄濃度は、濃厚液ストリッパの蒸気相における平衡二酸化硫黄分圧を増加させ、したがって、蒸気相への質量移動に好都合である。同時に、濃厚液吸収器を出る希薄ガスは、希薄液吸収器において浄化することができるので、再生した濃厚ガス吸収媒体中に比較的高い残留濃度の二酸化硫黄を許容することができる。水と二酸化硫黄との間の揮発度の総計差を与えることで、濃厚ガスSO2吸収器に戻される脱着した溶媒の必要なSO2吸収能力に対していかなる重大な影響も及ぼさないレベルまで下げた、SO2のほぼ定量的な除去を達成するために、比較的低いスチームと濃厚吸収液との比率しか必要としない。したがって、例えば、濃厚液ストリッパの中へ導入されるスチームとSO2との質量比は、約8以下、より一般的には、約0.2~約8、なおさらに一般的には、約0.3~約6、好ましくは、約0.3~約4の値で制御され得る。これは、濃厚液吸収器に進入するスチームとSO2との実質的に同じ比率に等しい。濃厚液ストリッパにおいて、再生した吸収媒体中の残留SO2濃度は、一般的に、約0.02重量%以上、または約0.02重量%~約1.5重量%、または約0.02重量%~約0.5重量%、または約0.03重量%~約0.3重量%のレベルまで低減され、ここで、原料ガスのSO2含有量は、4%未満である。より高い供給ガス中のSO2含有量で、再生した吸収媒体のSO2含有量は、かなり高い範囲、例えば、少なくとも約0.3重量%、または約0.2~約8重量%、または約0.4~約7重量%、または約0.5~約6重量%、または約0.8~約15重量%に入り得る。
濃厚ガス吸収器を比較的粗い条件下で維持する場合であっても、濃厚ガス及び希薄ガス吸収器の組み合わせた動作によって除去されるガスの和の高い比率、例えば、少なくとも85%、またはより一般的には、90%、95%、さらには99%を濃厚ガス吸収器単独で除去することができ、濃厚ガス吸収器において、本質的に同じ割合の合計流入汚染物質ガス含有量も除去することができる。例えば、リンゴ酸塩またはテトラグライム吸着剤溶液におけるSO2吸収の場合、濃厚ガス吸収器を出る希薄ガスは、一般的に、約0.5容量%以下、より一般的には、約0.4容量%以下、好ましくは、約0.01~約0.3容量%、より好ましくは、約2,000以下、及び最も好ましくは、約100~約1,500容量ppmのSO2を含有する。濃厚ガス吸収器においてSO2のレベルを極端に低くすることは、再生した濃厚ガス吸収媒体のSO2含有量を、全体的な過程の効率には必要とされない非常に低いレベルまで低減させる必要があり得るが、それには、濃厚液ストリッパにおける最適消費を超えるスチームを必要とすることを理解されたい。
濃厚液ストリッパを出る濃厚ストリッパガスのSO2含有量は、好ましくは、少なくとも15容量%、より好ましくは、少なくとも約20容量%、さらにより好ましくは、少なくとも約25容量%である。濃厚ストリッパガスは、一般的に、10容量%~約60容量%、または20容量%~50容量%、または好ましくは、約25容量%~約40容量%のSO2を含有し得る。さらなる例として、濃厚ストリッパガスのSO2含有量は、濃厚ガス吸収器に対する供給ガスのSO2含有量、及び再生した吸収媒体のSO2含有量に相関させることができる。したがって、供給ガスの二酸化硫黄含有量が約1000ppm~約4000ppmであり、再生した濃厚ガス吸収媒体の二酸化硫黄含有量が約0.5~約2重量%である場合、濃厚液ストリッパからの濃厚ストリッパガス排出物の二酸化硫黄含有量は、約25容量%~約45容量%であり、これは、単一の吸収器/ストリッパ回路において発生するストリッパガスにおける水蒸気負荷よりも実質的に低い水蒸気負荷に相当する。別の例を挙げれば、供給ガスのSO2含有量が非常に多く、すなわち、約40容量%であり、再生した濃厚ガス吸収媒体のSO2含有量が約1.5~約8.0重量%である場合、濃厚液ストリッパからの濃厚ストリッパガス排出物の二酸化硫黄含有量は、約40容量%~約60容量%である。再生した濃厚ガス吸収媒体における二酸化硫黄のそのような比較的高い残留レベルは、再生した吸収媒体が、原料ガス及び供給ガス中の過程に進入する高い割合のSO2を除去する能力に悪影響を与えない。
吸着剤とSO2とのより高い比率は、排出仕様を満たすために、または硫黄収率目標を満たすために、濃厚ガス吸収器よりも希薄ガス吸収器で必要とされ得るが、米国特許出願第13/283,671号で説明されるように、希薄ガス吸収器における質量比L/Gは、全般的に、単一の吸収器における質量比以下であり、例えば、約0.8以下、約0.02~約0.6、約0.4~約0.4、0.05~約0.3、より好ましくは、約0.08~約0.25、または約0.1~約0.2である。しかし、供給ガスが高いSO2含有量、例えば30~40%以上を有する場合、希薄ガス吸収器における質量比4Gは、2.5以上の高さになり得る。希薄ガス吸収器にはまた、一般的に、吸着剤とSO2との比較的高い等量比、例えば、約1~約6、より一般的には、約2~約4も必要とされるが、濃厚ガス吸収器において既に大部分のSO2が除去されているので、L/Gも、希薄ガス吸収器への絶対的な吸着剤の流れも、より高くする必要はなく、また、全般に、単一の吸収器/ストリッパ回路に基づく過程において吸収器に必要とされるものよりも大幅に低くすることができる。したがって、吸着剤が希薄ガス吸収器に導入される割合と、二酸化硫黄が濃厚ガス吸収器の中へ導入される割合との化学量論比は、全般的に、約0.8以下、好ましくは、約0.02~約0.6、より好ましくは、約0.04~約0.4である。これらの低い吸着剤の流れであっても、吸収器を出る希薄吸収液の二酸化硫黄含有量は、一般的に、約10重量%以下、または約9重量%以下、または約8重量%以下、または約7重量%以下、または約6重量%以下、または約5重量%以下、または約4.5重量%以下、または約4重量%以下、一般的には、約0.1~約8重量%、または約0.1%重量~約5重量%である。
排気基準及び/または収率目標を満たすように、希薄ガス吸収器における吸収のための十分な質量移動及び反応平衡駆動力を保証するために、再生した希薄ガス吸収媒体の二酸化硫黄含有量を低いレベルに低減させることが重要であり、したがって、希薄吸収液から残留SO2をストリップするために、スチーム相と液体相との高い比率が必要とされる。好ましくは、再生した希薄ガス吸収媒体の残留二酸化硫黄含有量は、約100ppb~約0.5重量%、または約500ppb~約0.2重量%、または約700ppb~約500ppmである。より具体的には、再生した希薄ガス吸収媒体のSO2含有量は、約500ppm未満、または約100ppm未満、より好ましくは、50ppm未満、さらにより好ましくは、約10重量ppm未満、一般的には、0.1~25または0.1~10重量ppmであることが好ましい。
希薄液ストリッパSO2が濃厚液ストリッパへのスチーム供給としての役割を果たす図8の過程において、希薄液ストリッパに供給されるスチームと希薄吸収液との比率は、約0.05~約0.8、より一般的には、約0.1~約0.5である。独立したスチーム供給が濃厚液ストリッパに提供される場合、より低いスチームと希薄液との比率で十分であり得る。これは、依然として、希薄液ストリッパにおいてスチームとSO2との高い比率をもたらすが、希薄液ストリッパに対する二酸化硫黄の負荷が非常に低いので、希薄吸収液ストリッパにおけるスチーム負荷は、原料ガス及び供給ガスを伴うシステムの中への二酸化硫黄の流れの関数として低い状態を維持する。
全般的に、希薄ストリッパガスのSO2含有量は、約0.1%~約10%、または約0.2%~約6容量%である。
濃厚吸収液ストリッパ及び希薄吸収液ストリッパからの蒸気排出物(ストリッパガス)は、凝縮前または凝縮後に、好都合に結合させて、凝縮液ストリッパへの移動のための単一の凝縮液ストリームを発生させる。しかしながら、2つのストリームは、所望であれば、凝縮液ストリッパに別々に供給すること、さらには別個のストリッパに供給することができる。
希薄吸収液から残留SO2をストリップするために、スチームとSO2との比較的高い比率が必要とされるが、希薄液から除去される少量のSO2は、希薄吸収液の流れに対するストリッピングスチームの僅かな流れ、及び、上で述べられるように、流入供給ガスにおける二酸化硫黄負荷と濃厚ガス吸収器との低い比率を必要とする。さらに、SO2が、濃厚ガス吸収器において、ほぼ定量的に除去された後に残る、比較的最小の吸収負荷を考慮すると、希薄吸収液の流量容量は、比較的低い。比較的低い容量流量の希薄ガス吸収媒体とともに、濃厚液ストリッパを出る再生した濃厚ガス吸収媒体において許容され得る、高い残留SO2レベルのため、2つのストリッパの組み合わせた動作に対する合計スチーム需要は、同じ排出物に対して単一の吸収器/ストリッパ回路だけしか利用しない過程における吸収液ストリッパに対するスチーム需要よりも大幅に低い。
したがって、凝縮液の合計流量は、適度であり、それに応じて、凝縮液ストリッパ(複数可)に対する負荷は、適度である。凝縮液ストリッパにおいて得られた少ないスチーム需要は、タンデム型濃厚及び希薄吸収及びストリッピング回路の低減された正味スチーム需要とともに、比較的高いSO2含有量を有する最終的な結合したストリッパガス(湿式回収したSO2ストリーム)の生成をもたらす。単一の吸収器/ストリッパ回路だけを有する過程からのストリッパガスと比較して、ストリッパ過程ガスにおけるSO2と水とのより高い比率のため、凝縮液の平衡SO2含有量は、単一の回路の過程からの凝縮液のSO2含有量よりも僅かに高くなり得る。水カラム(凝縮液ストリッパ)におけるスチームと水との僅かに高い比率で、ストリッパ過程ガス冷却器/凝縮器から凝縮液をストリップすることによって、依然として高い硫黄収量が保証され得るが、この比率が比較的高い場合であっても、凝縮液ストリッパへのスチーム流量の任意の漸増的増加は、濃厚吸収液ストリッパを通って流れる溶媒液からのSO2の定量的除去を達成する必要性を除去することによって実現されるスチーム流量の漸増的低減よりもはるかに少ない。水とSO2との揮発度における総計差を利用することによって、濃厚液ストリッパに対するストリッピングスチーム、希薄液ストリッパに対するストリッピングスチーム、凝縮液ストリッパに対するストリッピングスチーム、及び供給ガスの二酸化硫黄含有量に対するストリッパ過程ガスを圧縮するためのジェットエジェクタに対するスチームを含む、全体的な過程のスチーム需要は、全般的に、濃厚ガス吸収器への供給ガス中に1000~2000ppmのSO2レベルで15lbs/lb.SO2以下、または好ましくは、約5~約10lbs/lb.SO2、ガス中に2000ppm~2容量%のSO2レベルで8lbs/lb.SO2以下、または好ましくは、約1.5~約5lbs/lb.SO2、ガス中に2~4容量%のSO24lbs/lb.SO2以下、または好ましくは、約0.8~約3lbs/lb.SO2、及び4容量%を超えるSO2レベルで3lbs/lb.SO2以下、または好ましくは、約0.5~約2.5lbs/lb.SO2である。再生した吸収媒体を除去するための追加的なスチームが晶析器によって必要とされ得るが、この増加分は、濃厚/希薄システムにおいて、従来の単一の吸収/ストリッピングシステムにおけるものと実質的に同じでなければならない。これらのスチーム需要率で、タンデム型濃厚/希薄システムは、希薄ガス吸収器からの排気ガスのSO2含有量を、20ppm以下、さらには10ppm以上に低下させることができる。ストリッパ過程ガスの圧縮は、これらの排出レベルのさらなる低減も可能にすることができる。
上で論じられるエネルギー節減の原理は、以下のように要約され、詳しく説明され得る。濃厚液ストリッパに必要とされる比較的低いスチーム流量のため、濃厚液ストリッパからの蒸気排出物は、再生した吸収媒体におけるより低い定常状態のSO2含有量を達成するように動作させなければならない単一の吸収器/ストリッパシステムからの蒸気排出物よりも高いSO2含有量を有する。希薄液ストリッパにおいて除去されないままのSO2の比較的僅かな画分、及び適度の希薄ガス吸収液流量のため、希薄液ストリッパのエネルギー及びスチーム流量需要も低い。したがって、(図8においてストリッパ過程ガスとして機能する)2つの吸収液ストリッパからの結合したガス排出物のSO2含有量もまた、図8で例示される好ましい実施形態において、希薄液ストリッパからのガス排出物が全て濃厚液ストリッパの蒸気入口に向けられ、希薄ストリッパガスが濃厚液ストリッパのストリッピングスチームの供給源として使用される場合であっても、濃厚液ストリッパガス排出物のSO2含有量と同じように、単一のストリッパシステムからの蒸気排出物よりも高い。このスキームは、希薄ガス吸収器115においてガスストリームから除去されるSO2のさらなる増加分を回収し、また、濃厚液ストリッパのストリッピングガスとして希薄液ストリッパからのガス/蒸気排出物の蒸気成分を使用することによって、さらなるエネルギー効率を達成する。希薄システム吸収器において希薄ガスストリームから除去されたSO2のさらなる増加分は、希薄ガスストリッパにおいて希薄液から除去され、そして、例えば冷却器/凝縮器125からの通気ガスとして、最終的な回収のために濃厚システムストリッパを通過する。
濃厚及び希薄吸収液ストリームをストリッピングする際のスチーム消費において結果として生じる経済性のため、結合した蒸気排出物を冷却する時点で得られる凝縮液は、それに応じて、高いSO2含有量を有する。述べられるように、これは、図1で例示される単一の吸収器/ストリッパ回路過程よりも、凝縮液ストリッパ129における凝縮液流量に対するスチームのいくらか高い比率を必要とし得る。しかしながら、図8の過程における比較的少ない凝縮液の量、及びSO2と水との揮発度の総計差のため、SO2は、依然として、供給ガスの流量及びそのSO2含有量に対して低いスチーム流量で、凝縮液から容易に除去される。塔頂蒸気の熱圧縮は、エネルギー効率にさらに寄与する。図8で例示されるように、ストリッパ過程ガスは、スチームジェットエジェクタ155において圧縮され、好ましくは、約16~約20psiaである濃厚液ストリッパの頂部での圧力を、好ましくは、約12~約18psi超えてストリッパ過程ガスの圧力を増加させる。
図10~図12は、5~10lbsスチーム/lb.SO2の適度のスチーム消費量で、濃厚ガスシステムストリッパにおいて85~90%のSO2の回収を達成し、一方で、スチームとSO2との大幅に高い比率であるが、はるかに低い絶対スチーム消費率で、希薄システムストリッパにおいて定量的SO2回収を達成する機能を例示する。図10~図12は全て、単一の吸収器/ストリッパ回路において、0.24容量%のSO2を含有する供給ガスからSO2が除去される過程の動作を反映する。図10は、ストリッパに供給されるスチームと、吸収器に進入するSO2との比率の関数としての、吸収器からの排気ガスにおける残留SO2の直線プロットであり、一方で、図11は、対数スケールの残留SO2と対比した、直線スケールのスチームとSO2との比率をプロットする。図12は、吸収媒体のSO2含有量の関数としての、排気ガスにおける残留SO2をプロットし、変数は、図10及び図11の横軸上のスチームとSO2との比率に逆相関する。図10のどちらのパラメータも直線スケールである。3つのプロットは、(i)SO2の大部分を、単一の吸収器/ストリッパ回路から成る過程において、低いスチームの消費量で除去することができるが、依然として、排気ガス中に許容できない程に高い濃度のSO2が残ること、(ii)排気ガスのSO2含有量を代表的な排出基準に従う許容可能なレベルまで下げるために、非常に高い流入SO2の単位あたりのスチームの消費量が、単一の吸収器/ストリッパ回路システムにおいて必要であること、及び(iii)これらの現象が、吸収反応及びストリッピング動作の非ゼロ次の性質を反映すること、を実証する。
比較すると、スチーム及びエネルギー消費の主な効率は、図8の過程において達成され、該過程において、吸収負荷は、濃厚液ストリッパに送達されるスチームと、供給ガスにおいて濃厚ガス吸収器に進入するSO2との低い比率で動作する濃厚ガス吸収器/ストリッパ回路、及び希薄液ストリッパに送達されるスチームと、濃厚ガス吸収器の出口から希薄ガス吸収器の入口に流れる希薄ガスのSO2含有量との高い比率で動作する希薄ガス吸収器/ストリッパ回路に分けられる。図10及び図11は、高いが比較的粗い画分の流入二酸化硫黄が濃厚ガス吸収器において除去されるので、比較的高いSO2含有量を、濃厚ガス吸収器に戻される再生した濃厚ガス吸収媒体において維持することを可能にすることができ、したがって、濃厚液ストリッパが、スチームと流入SO2との比較的低い比率で動作することを可能にし、この回路におけるスチームの正味保存をもたらす。流入SO2の非常に僅かな画分だけが希薄液ストリッパにおいて除去されないままであるので、濃厚ガス吸収器の動作において非常に適度の効率であっても、希薄液ストリッパに対するSO2の除去負荷は、非常に低い。希薄ガス吸収器における残留SO2の除去によって、排出基準及び/または目標の硫黄収率を達成することができる再生した希薄ガス吸収媒体を提供するために、希薄ガス及び希薄吸収液のスチームとSO2との高い含有量比率が必要とされるが、希薄吸収器/ストリッパ回路に課される非常に低いSO2負荷のため、必要なスチーム流量と希薄液ストリッパとの絶対割合は、低い。これは、希薄ガス吸収媒体と希薄ガス吸収器との低い質量流量、それに応じて希薄液ストリッパに対するスチームの適度な~低い割合、及び合計スチーム消費量と濃厚ガス吸収器に進入する流入供給ガスのSO2含有量との低い比率につながる。
したがって、例えば、図8で例示される過程において、希薄ガス113におけるSO2含有量を100~200ppmに低減させるために、濃厚液ストリッパに進入するスチームと、濃厚ガス吸収器に進入するSO2との必要な比率は、濃厚ガス吸収器への供給ガス中に1000~2000ppmのSO2レベルで約4~約15、好ましくは、約5~約10lbsスチーム/lb.SO2、供給ガス中に2000ppm~2容量%のSO2レベルで約2~約8lbsスチーム/lb.SO2、供給ガス中に2容量%~4容量%のSO2レベルで約1~約4lbsスチーム/lb.SO2、及び供給ガス中に4容量%を超えるSO2レベルで、約1~約3lbsスチーム/lb.SO2である。200ppmから希薄ガス113のSO2含有量を低減させて、希薄ガス吸収器からの排気ガス18において50ppmの一般的な排出基準を達成するために、希薄液ストリッパに進入するスチームと、希薄ガス吸収器に進入するSO2との比率は、濃厚ガス吸収器/ストリッパ回路における対応する比率よりもはるかに高い。例えば、希薄液ストリッパのスチーム需要は、一般的に、希薄ガス中に少なくとも約15lbs/lb.SO2、例えば、希薄ガス吸収器への希薄ガス中に200ppmのSO2レベルで、約15~約100、より一般的には、約10~約80lbsスチーム/lb.希薄ガスSO2、または希薄ガス中に100ppmのSO2レベルで約20~約120lbsスチーム/lb.SO2である。しかしながら、希薄ガスの非常に低いSO2含有量のため、吸収媒体と希薄ガス吸収器との必要な流量は、比較的に低く、希薄液ストリッパにおける正味スチーム需要は、絶対条件において、及び濃厚ガス吸収器に進入する供給ガスのSO2含有量の関数として、依然として極めて適度であり、すなわち、供給ガス中に約0.2~約5、より一般的には、約0.2~約3lbs/lb.SO2である。
さらに、特に、希薄液ストリッパガス131が濃厚吸収液のストリッピングスチームとして機能するように濃厚液ストリッパに向けられ、濃厚液ストリッパを出るストリッパガスが、ストリッパ過程ガス冷却器125においてストリッピングスチームを発生するためのエネルギーを提供するストリッパ過程ガスとして機能する場合、正味合計スチーム需要は、濃厚ガスストリッパ単独のスチーム需要以下であり、すなわち、濃厚ガス吸収器への供給ガス中に1000~2000ppmのSO2レベルで約4~約14lbs/lb.SO2、供給ガス中に2000ppm~2容量%のSO2レベルで約2~約8lbs/lb.SO2、供給ガス中に2容量%~4容量%のSO2レベルで約1~約4lbs/lb.SO2及び供給ガス中に4容量%を超えるSO2レベルで約1~約3lbs/lb.SO2である。
より全般的には、ガスストリームのSO2または他の汚染物質ガス含有量は、濃厚ガス吸収器において1~3桁低減され、そして、希薄ガス吸収器においてさらに1~3桁低減され、濃厚/希薄吸収システムを通して3~6桁の全体的な低減をもたらす。スチーム消費量は、ガスストリームの汚染物質ガス含有量が低減される程度に対してあまり変動しない。供給ガス中のSO2の低い濃度、例えば、1000~2000ppmで、SO2含有量を3~5桁低減させるためのスチーム需要は、除去されるSO2の1lbあたり約5~約15、また約7~約12lbsの範囲であり、供給ガス中の幾分高い濃度、すなわち、2000ppm~2容量%で、SO2含有量における同じ比例的低減量に対するスチーム需要は、除去されるSO2の1lbあたり約3~約10、または約3~約8lbsの範囲で変動し、供給ガス中に2~4容量%のSO2濃度で、同じ比例的低減量は、除去されるSO2の1lbあたり約2.5~約4lbsのスチームを必要とし、供給ガス中に4~20容量%のSO2濃度で、スチーム需要は、除去されるSO2の1lbあたり約1~約3.5、または約2~約3.5lbsの範囲で低下し、供給ガス中に20~40容量%のSO2濃度で、スチーム要件は、除去されるSO2の1lbあたり約1~約3、または約0.8~約2.5lbsであり、供給ガス中に40容量%以上のSO2濃度で、スチーム需要は、除去されるSO2の1lbあたり僅か0.8~2.5、または約0.5~約2.5lbsである。各事例において、回収したSO2ストリームは、供給ガス中のSO2の濃度に対して2~20倍以上の範囲のSO2含有量を有する。二重吸収接触式二酸化硫黄プラントからの排ガス等の代表的なSO2含有廃棄物ストリームについて、リンゴ酸塩吸着剤を使用する濃厚/希薄過程は、5ppmv未満、さらには1ppmv未満の残留SO2含有量を有する、希薄吸収器からの排気ガスを経済的にもたらすことができる。
上で示されるように、正味(合計)スチーム需要は、外部供給源から過程に供給される全てのスチームの和を含み、該スチームとしては、(i)濃厚液ストリッパのためのストリッピングスチーム、(ii)希薄液ストリッパのためのストリッピングスチーム、(iii)ストリッパ過程ガスを冷却する際に得られた凝縮液のためのストリッピングスチーム、(iv)吸収液ストリッパ(複数可)の出口と、吸収液ストリッピングスチームを発生するためのボイラとして機能するストリッパ過程ガス冷却器/凝縮器との間でストリッパ過程ガスを圧縮するためのジェットエジェクタのためのスチーム、及び/または1つ以上の吸収液ストリッパにおいてストリッピングスチームとして使用するために、ストリッパ過程ガス冷却器/凝縮器においてストリップした凝縮液から発生するスチームを圧縮するためのジェットエジェクタのためのスチーム、が挙げられる。
図9は、図8で例示されるようにストリッパ過程ガスを圧縮することを除いて、図8で描写され、説明されるものと、全く同じ原理で動作し、同じパラメータに従い、同じフローシートに基づき、また、同じ装置を使用する過程を例示し、代わりに、図9の過程は、上で説明される図2の過程と全く同等の様式で、ストリッパ過程ガス冷却器/凝縮器125において発生するスチームを圧縮する。図2及び図9の双方に関して、当業者は、スチームの圧縮がストリッパガスの圧縮の変形例であるが、2つは、相互に排他的ではないことを理解するであろう。したがって、本発明は、図1及び図8のストリッパガスの圧縮を、図2及び図9のスチームの圧縮と組み合わせたハイブリッドシステムを含む。
タンデム型濃厚/希薄吸収/ストリッピング回路は、吸収ステップが化学反応を含む場合に、より具体的には、吸収反応が非ゼロ次である場合に、最良の利点を提供し、例えば図10及び図11で間接的に例示されるように、ガス入口の近くの吸収器のあたりで特に急な傾斜を有する、非直線の動作ライン(吸収器を通る流体流路に沿った液体及びガスのSO2含有量プロファイル)をもたらす。タンデム型の過程はまた、化学反応を伴わない吸着過程でも使用することができるが、これらの大部分において、吸収器の動作ラインは、より直線的であり、スチームの消費量をそれほど節減しない。
本明細書で提供される開示に基づいて、当業者は、2つを超えるタンデム型の吸収/ストリッピング回路を備える過程において、汚染物質ガスの吸収及び回収が行われ得ることを認識するであろう。大部分ではないにしても、多くにおいて、この様式で達成可能な増加分のスチーム節減は、必要とされるさらなる設備投資を正当化しない場合がある。しかしながら、原料ガス中の汚染物質の濃度が特に高く、かつ吸収反応におけるゼロ次からの逸脱が特に大きい場合は、3つ、さらにはそれ以上のタンデム型の吸収器/ストリッパ回路を使用することが有効であり得る。ほぼ希薄から段階的に濃厚になる液体ストリッパまで直列にスチーム/ストリッパガスストリームを経路指定することで、追加的な利点を提供することができるが、熱損失が、実際には、追加のスチームを必要とし得る。
本発明の濃厚/希薄過程が基礎を置く原理に従って、他の過程フローシートを実現することができる。
濃厚/希薄吸収概念の実現形態において、上で説明されるような過程は、比較的低いL/Gで、一般的には、濃厚ガス吸収器における吸着剤と入口汚染物質ガスとの比較的低い比率でも動作し、したがって、濃厚吸収液中の比較的高い汚染物質濃度をもたらす。液体相中の高い汚染物質濃度は、濃厚液ストリッパにおける脱着のための相当な駆動力を提供し、それによって、ストリッピングスチームと吸収器に進入する汚染物質ガスとの比較的低い比率での、汚染物質ガスの相当な回収をもたらす。
吸着が、酸/塩基反応を含む場合、濃厚液ストリッパにおける液体相と蒸気相との間の汚染物質の平衡分布に影響を及ぼす別の変数は、濃厚吸収液のpHである。酸性ガスの吸着に適用されるときに、「酸/塩基」反応は、酸性ガスと、アルカリ性である必要はないが、汚染物質ガスが無水物である酸性物のpKaよりもかなり高いpKaを有する吸着剤との反応、または求核ガスと、酸性である必要はないが、汚染物質求核原子が無水物であるアルカリ性溶液よりも低いpKaを有する吸着剤との反応を含むことが理解されるであろう。pHの調整は、そのような反応にも適用する。
例えば、リンゴ酸またはリンゴ酸塩等の吸着剤を使用したSO2の吸着において、濃厚吸収液のpHは、濃厚液ストリッパにおける液体相と蒸気相との間のSO2の平衡分布に影響を及ぼす。pHが低下するにつれて、平衡は、液体相中の所与の濃度のSO2及び吸着剤で、比較的高いSO2の画分をガス相に分配するように変化する。したがって、吸収器における任意の所与の入口ガス組成、L/G、及び吸着剤とSO2との比率で、濃厚液ストリッパにおいてSO2の所与の画分を除去し、回収するために必要とされるスチームの消費量は、濃厚ガス吸収器を出る希薄ガスストリーム中のSO2の逆相関的な濃度を達成するために必要とされるスチーム消費量と同様に、吸収器を出て、ストリッパに入る濃厚吸収液のpHによって直接的に変動する。
この影響は、図14で例示される。円形のデータ点によって定義される曲線は、吸収器を出る吸収液のpHと、濃厚ガス吸収器を出る希薄ガスが450容量ppmのSO2含有量を有するように、再生した吸収液から十分なSO2を除去するために、ストリッパにおいて消費されるスチームとの関係を例示する。三角形のデータ点によって定義される曲線は、pHの関数として、希薄ガスストリームのSO2含有量を200ppmに低減させるために必要とされるスチームとSO2との比率をプロットし、ダイヤモンド形のデータ点によって定義される曲線は、希薄ガスストリームのSO2含有量を100ppmまで低減させるために必要とされるスチームとSO2との比率と対比したpHをプロットし、星形のデータ点によって定義される曲線は、希薄ガスストリームのSO2含有量を17ppmまで低減させるために必要とされるスチームとSO2との比率と対比したpHをプロットする。図14のデータプロットにおいて例示される関係に基づいて、吸収媒体のpHは、濃厚及び希薄吸収及びストリッパ回路がタンデムに動作する吸収システムで、または単一の吸収器及びストリッパを備える標準的な吸収システムで最適化することができる。
単一の吸収及びストリッピング回路だけから成る過程において、少なくとも、吸収器内の酸の導入によってpHを独立して制御するための、及び吸収器に戻される再生した吸収媒体の中への塩基の増加分を相殺するための手段のない状態で、通常、吸収器に進入する再生した吸収媒体のより低いpHと相関するので、ストリッパの効率に対する濃厚吸収液におけるより低いpHの有益な効果は、代償を伴う。再生した吸収媒体のより低いpHは、濃厚ガス吸収器における吸収効率を僅かに低減させる。吸収器の上区域及び下区域において独立してpHを制御することによる吸収効率の保存は、随意の動作モードとして実行可能で、本発明の範囲内であるが、同じく、pH調整に使用される酸及びアルカリ材料の消費において代償を伴う。
図14で描写されるプロットは、独立したPH調整を反映していないが、代わりに、ストリッピング効率に対するより低いpHの好ましい影響、及び吸収効率に対するより小さい負の影響を包含する。したがって、本発明によれば、図14によって示されるような最適な範囲内で、濃厚液ストリッパにおけるスチーム消費量に対する有益な効果が、濃厚ガス吸収器におけるより少ない吸収効率という悪影響、及び吸収器に酸を加えることまたは再生した吸収媒体に対する塩基の増加分を相殺することを伴わずに好ましい値にpHを調整させることによって達成される利益を上回るレベルになるように、pHを調整することを可能にできることが分かった。例えば、200ppmの吸収器排出目標について、SO2の単位質量あたりの必要なスチーム消費量は、吸収器の下端部で、吸収媒体の定常状態pHを4.5の値~4.0の値に調整することによって、10:1超え~7:1近辺に低減させることができる。さらに高い経済性は、定常状態pHを3.6~3.8の範囲の値に調整することを可能にすることによって、理論的に達成することができる。曲線の収束は、単一の吸収及びストリッピング回路において、吸収器におけるSO2の十分な除去を保証し、一方で、図14が基づく特定のシステムについて、必要なスチームとSO2との比率が約7を大幅に下回るレベルまでpHを低下させることによって、示される関係を利用するために、溶媒の流れを大幅に拡大することが必要であり得ること示す。しかしながら、濃厚/希薄システムにおいて、希薄ガス吸収器は、図14によって示される他の値によって定義される範囲内でランダムに変動する入口汚染物質ガス含有量であっても、一定のL/G及び吸収媒体の吸着剤含有量で安定して動作し得る。
したがって、pHの最適化は、単一の吸収器/ストリッパ回路を備える過程におけるスチーム消費量の利益をもたらすことができるが、図14で例示される関係の実質的な追加の利点は、例えば図8で示されるような、タンデム型の濃厚及び希薄吸収器/ストリッパ回路を有する過程において得ることができる。図14に由来する単一の吸収/ストリッピング回路システムでは、吸収器の下端部のpHを、4.0~4.2近辺の値に定めること、または調整することを可能にすることができ、また、ストリッパへのスチームを、供給ガスのSO2含有量及び目標排出レベルに応じて変動するが、一般的に2~10lbs/lb.SO2の範囲であり得る範囲で、流入SO2に対する比率に設定すること、または調整することを可能にすることができる。この動作モードにおいて、希薄ガスストリームにおける残留SO2の正確なレベルは、いくらか不安定であり得るが、希薄ガス吸収器はさらに、大部分の厳しい環境規制を満たす非常に低いレベルにSO2含有量を低減させることができる比較的小さい範囲内で不安定である。
図14で例示されるようなpHと汚染物質ガス排出との特定の関係は、リンゴ酸またはリンゴ酸塩を含む吸着剤を使用するSO2の吸着に固有である。しかしながら、類似する関係を、例えばアミン吸着剤を使用したH2Sの回収または酸性吸着剤を使用したアンモニアの回収等の、酸/塩基反応を含む他の吸着システムに適用することができる。アンモニアの場合、スチーム消費量は、吸収媒体のpHの低下ではなく、僅かな上昇によって低減させることができる。
述べられるように、pH調整の概念は、単一の吸収器及びストリッパ回路における酸/塩基吸着反応を含む吸収システムの動作を最適化することに適用することができる。濃厚/希薄システムの単一の回路または濃厚ガス吸収ストリッピング回路のいずれかにおいて、吸収器における吸収媒体のpHは、吸収に最も好ましい平衡をもたらすpHと異なる値であるが、再生した吸収媒体の汚染物質ガス含有量を目標レベルまで低減させるためのストリッパにおけるスチーム消費量が、再生した吸収媒体の汚染物質ガス含有量を、吸収媒体のpHが吸着に最も好ましい平衡をもたらす値に維持される比較動作においてそのようなレベルまで低減させるためのスチーム消費量よりも低くなる値に調整される。その結果、吸収器を出るガスの汚染物質ガス含有量は、大幅に高くなり得ず、ある特定の酸/塩基システムについて、比較システムにおける出口ガスの汚染物質含有量以下である。
好ましくは、ガスストリームは、ガス吸収器において、ガス吸収媒体ストリームに対して向流的に流れ、吸収器の基部での吸収媒体のpHは、吸収に最も好ましい平衡をもたらすpHと異なる値に調整される。より全般的には、pHは、吸収液が取り出される吸収器の領域において、所望の値に調整される。ルーチンの最適化は、低減したスチーム消費量の利益が吸収効率における僅かな損失から生じる任意のペナルティを上回る、そのような領域のpHを識別することができる。いくつかのシステムにおいて、特に、濃厚ガス吸収器における吸収効率の損失が、希薄ガス吸収器の設計及び/または動作において容易に補償され得る濃厚/希薄システムにおいて、低減したスチーム消費量の利益は、該当する場合、吸収効率におけるペナルティに釣り合わない。
汚染物質ガスがSO2またはH2S等の酸性ガスを含む場合、吸収器内の、及び最も好ましくは、向流吸収器の基部の吸収媒体は、好ましくは、吸収に最も好ましい平衡をもたらすpHよりも低い値に調整される。汚染物質ガスがアンモニア等のアルカリ性ガスを含む場合、吸収器内の吸収媒体は、好ましくは、吸収に最も好ましい平衡をもたらすpHよりも高い値に調整される。
酸性ガスの例示的な吸着剤としては、SO2の吸収のためのリンゴ酸及びリンゴ酸塩、ならびにH2Sの吸収のためのアミンが挙げられる。リンゴ酸またはリンゴ酸塩を含む吸着剤を使用してSO2が回収される場合、吸収液出口に近接する吸収器内の吸収媒体のpHは、例えば、3.4~4.2、または3.4~4.0、または3.5~3.9、または3.6~3.8、または3.7~3.85、または4.0~4.2の値に維持される。濃厚/希薄システムにおいて、濃厚ガス吸収器におけるリンゴ酸塩吸収媒体のpHは、最も好ましくは、3.4~4.2の範囲に維持される。起動中に、初期pHは、好ましくは、リンゴ酸及びNaOHまたはKOH等のアルカリ性材料の相対追加によって、3.2~3.6の値に定められる。
過程制御の問題として、ストリームが吸収器に戻される前にこのストリームに苛性剤及びリンゴ酸塩を加えることによって随意に調整するときに、制御変数が、吸収液ストリッパを出る再生した吸収媒体のpHであることが好ましくなり得る。このpHは、吸収器の出口での吸収液のpHと異なり得るが、すぐ上で要約されるように、pH値の好ましい範囲を、再生した濃厚ガス吸収媒体にも適用する。
吸収媒体のpHが上に列記される好ましい範囲に維持される場合、再生した吸収媒体における満足なSO2レベルを達成するための、ストリッパにおけるスチームの消費量は、単一の吸収器/ストリッパ回路を備える過程のストリッパにおいて液体相から除去される1lbのSO2あたり7.5lbs以下、または4.8~7.5lbs、または5.0~7.0lbsであり得る。図14で例示されるように、再生した吸収媒体における満足なSO2レベルは、450ppm未満、200ppm未満、または100ppm未満、さらには17ppm未満のSO2含有量を有する、吸収器を出るガスストリームをもたらすもの等であり得る。一般的に、吸収器を出るガス中の450ppmのSO2のレベルは、例えば図8で例示されるように、本発明の新規な濃厚/希薄吸収システムの動作において許容可能である。しかしながら、ガスの容量、規制制度、及び他の環境に応じて、最終的な排気ガス排出物として、200ppmまたは100ppmのSO2レベルが許容可能であり、17ppm以下のSO2レベルは、大部分の環境において許容可能である。
スチーム消費量を低減させるために、濃厚/希薄システムの濃厚ガス吸収器における吸収媒体のpHが調整される場合、希薄吸収液の非常に低い酸性ガス含有量がpHに関係なく高いスチーム需要を生じさせないので、いかなる場合でもスチーム消費量が比較的低い、希薄ガス吸収器において、好ましくは、ガス/液体平衡のための最適条件により近いpHが定められ、維持される。したがって、例えば、リンゴ酸塩吸着剤を使用したSO2の回収のためのシステムにおいて、希薄ガス吸収器における吸収媒体のpHは、有利には、濃厚吸収器のpHよりも0.1~0.5単位高く維持され得る。過程制御の目的で、この同じ差の範囲を、再生した希薄ガス吸収媒体と再生した濃厚ガス吸収媒体との差、及び希薄吸収液と濃厚吸収液とのpHの差にも適用する。リンゴ酸塩システムにおいて、希薄吸収器におけるpHは、好ましくは、3.8~4.4の範囲である。
ストリッパのスチーム消費量を最小にするために、吸収器のpHが最適条件から外れて調整された場合、犠牲となる吸収効率はまた、吸収器への移動ユニットの追加によって、すなわち、トレイまたはパックした高さの追加によっても補償することができる。
吸収媒体のpHを調整することで、システムに加えられる酸または塩基のさらなる増加を必要とする可能性がある場合、これは、必ずしもあてはまらない。pHが、例えばSO2除去回路における硫黄の形成の結果として、最適なガス/液体平衡で一般的なpHを外れる方向にドリフトする傾向があるシステムでは、pHがその方向にドリフトし過ぎることを防止するために、必然的に酸または塩基が加えられ得る。例えば、SO2のリンゴ酸塩吸収媒体の動作中に、NaOH等の苛性剤が徐々に加えられる。そのような動作において、吸収には最適でないが、スチーム消費量に最適な利益をもたらすpHへの調整は、酸または塩基の追加を抑えるだけで、または所望のpHレベルが達成されるまで準化学量論的なレベルの酸または塩基を加えるだけで達成され得、該所望のpHレベルでは、定常状態pHを所望のレベルに維持するために、化学量論的割合での追加が再開され得る。
ストリッパにおける水性相のpHを比較的低いレベルに維持することの利益は、図15~26でさらに例示され、該図は、汚染物質除去の効率を高め、それによって、ストリッピングスチームの最小消費量で低汚染物質ガス排出を達成するための機会をグラフィカルに記録する。
濃厚/希薄システムにおいて、吸収媒体のpHの最適制御は、所与の排出レベル、すなわち、希薄ガス吸収器からの排気ガス中の汚染物質ガス濃度を、最小のストリッピングスチームの消費によって、及び/またはストリッパへの所与の割合のスチーム供給で、希薄吸収器の排気における残留汚染物質ガスの最小の排出によって達成することを可能にする。汚染物質ガスが二酸化硫黄を含み、吸収媒体がリンゴ酸塩イオンの水性溶液を含む場合、濃厚ガス吸収媒体が約5~約30重量%のリンゴ酸塩イオンを含有し、アルカリ金属水酸化物とリンゴ酸との比率が上で述べられる範囲であり、そして、濃厚ガス吸収器に進入する吸着剤の活性成分の流れと、吸収器に進入するSO2との比率が約1~約20、または約2~約15、または約2.5~約12である場合に、最適な性能への接近を達成できることが分かった。これは、下で表Aに反映されるように、入口ガスのSO2含有量によって変動する、濃厚ガス吸収器の底部でのL/Gにつながる。
希薄ガス吸収媒体のリンゴ酸塩イオン含有量は、より好ましくは、約5~約35重量%の範囲である。リンゴ酸塩イオン含有量がこの範囲に入る場合、アルカリ金属水酸化物とリンゴ酸との比率が再生した吸収媒体のリンゴ酸塩及び硫酸含有量の関数として制御され、そして、希薄ガス吸収器に進入する吸着剤と吸収器に進入するSO
2とのモル流量の比率が約1~約15または約2.5~約12である場合に、最適な性能への接近を達成できることが分かった。これは、同じく下で表Zに反映されるように、入口ガスのSO
2含有量によって変動する希薄ガス吸収器の底部でのL/Gにつながる。一般的に、希薄液ストリッパの基部(液体相出口)でのpHと濃厚液ストリッパの基部でのpHとの最適な差は、約0.2~約0.4である。
表A
(a)表に記載されたL/Gの値は、吸収媒体が20重量%のNaリンゴ酸塩を含有した場合の過程に関するものであり、この見出しで表される関係について、L/Gは、リンゴ酸塩含有量の変化に対して比例的に調整される
図面を参照すると、図15は、20重量%の固体、すなわち20重量%のリンゴ酸ナトリウムを含有する水性吸収媒体を使用した、2,400容量ppmのSO
2を含有する供給ガスに対する、単一の吸収及びストリッピング回路の性能を描写する。苛性剤とリンゴ酸との比率は、全般的に、1より大きいので、20%の固体は、実際には、Na
+イオン、リンゴ酸塩陰イオン、及び自由水酸基イオンの混合物を含むことが理解されるであろう。苛性剤とリンゴ酸との比率が1.0に向かって押されると、僅かな重リンゴ酸イオンも存在する。しかし、組成は、およそ20重量%のリンゴ酸ナトリウムである。2つの関係は、図15においてプロットされる。ダイヤモンド形のデータ点に基づく曲線は、希薄ガス吸収器からの排気ガス中の汚染物質ガスの所与の濃度、この事例では、1容量ppmを達成するために必要とされる、入口ガスストリームにおける1lbのSO
2あたりのスチーム消費量をプロットする。正方形のデータ点に基づく曲線は、溶媒流量と供給物中のSO
2との比率の関数として、スチームとSO
2との比率、すなわち、
をプロットする。
これらのうちの第1の曲線から、スチーム需要は、比較的広範囲の苛性剤とリンゴ酸との比率、すなわち、1.0~1.4にわたって、最小レベルで実質的に一定のまま、この事例では、入口ガスにおいて5lbsスチーム/lb.SO2であることが分かるであろう。最高で約1.45の比率であっても、相当に満足な性能が達成される。故に、図15と同じ条件下での性能を反映する、図16で例示されるように、濃厚液ストリッパの底部(液体出口)で測定したときに、再生した吸収媒体の適度な範囲のpH、すなわち、pH3.5~およそpH4.0にわたって、好ましいスチーム効率が保存される。
図15でプロットされる第2の曲線は、吸収媒体において20重量%の一定の吸着剤含有量のL/Gによって制御されたときの、吸着剤とSO2との比率の影響を反映する。約11~約3の吸着剤とSO2とのモル比に等しい、130~50の範囲の(L/G)/[供給ガスのSO2含有量]、すなわち、およそ0.3~0.12のL/Gで、希薄ガス吸収器を出る排気ガスにおいて1ppmを達成するのに十分なスチーム需要は、5lbs/lb.SO2で本質的に一定のままである。L/Gが0.12を下回る、すなわちパラメータ(L/G)/[供給ガスのSO2含有量]が50を下回ると、吸収器における質量移動のための不十分な駆動力のため、スチーム需要が急激に増加する。
図17は、各事例において、過程の数学モデルに基づいて、ストリッパを出る再生した吸収媒体及び吸収器からのSO2排出物双方のpHと対比した、吸収媒体における苛性剤とリンゴ酸との比率をプロットする。この投影は、水性吸収媒体における20%の固体、吸収器の(L/G)/[ガスのSO2含有量]が80lbs./lbであること、及び6lbs./lbの固定したスチームとSO2との比率であることに基づく。スチーム需要における異なる最適条件(最小)は、3.8を僅かに下回るpHに等しい、1.20~1.25の範囲の苛性剤とリンゴ酸との比率で投影されることが分かり得る。より低いpHでは、吸収器の効率が悪化する。しかし、図17はさらに、苛性剤とリンゴ酸との比率が1.25を大幅に超えて増加したときに、排気ガスの品質が低下することを例示する。より高いpHの吸収媒体は、汚染物質酸性ガス(SO2)に対するより高い親和性を有するが、排気ガスストリームにおいて最小SO2濃度の時点で示される値の3.8を超えてpHが増加すると、水性相からSO2を除去するためのストリッパの機能が急激に衰え始める。過程が例外的に低い排出を達成する能力は、濃厚ガス吸収器に戻される再生した吸収媒体のSO2含有量に非常に影響されることを発見した。
図18は、図17の曲線の上に、L/Gが80lbs./lbであるときの実際の動作によるデータのプロット、及び6lbs./lbのスチームとSO2との比率を重ね合わせる。モデルに由来する曲線のように、実際のデータは、1.2~1.3の苛性剤とリンゴ酸との比率での最小のSO2排出を反映する。実際のデータに基づく最小は、モデルによって示される最小ほど急激でない、または好ましくないが、依然として定義的である。最適な苛性剤とリンゴ酸との比率は、モデルに基づく最適な比率よりも極めて僅かに高いと思われるが、その差は僅かである。さらに、実際のデータに基づいて最小のSO2の排出を達成するために示される最適な苛性剤とリンゴ酸との比率はまた、図15においてプロットされるデータによって最小のスチーム消費量が示される領域の中にもある。
図19も図17に類似しているが、図19が、3つの別々のスチームとSO2との比率、すなわち、4lbsスチーム/lb.SO2、5lbsスチーム/lb.SO2、及び6lbsスチーム/lb.SO2でのシミュレーションした動作の一群の曲線を含むことを除く。図19の曲線の構成は、スチームとSO2との比率が6lbs/lbから5lbs/lb及び4lbs/lbに低下するときに、予期される通りに最小のSO2排出が増加することを除いて、図17の曲線と同等であることが観察され得る。また、スチームとSO2との比率が減少するにつれて、苛性剤とリンゴ酸との比率が段階的に低くなるときに最小が見出されることにも留意されたい。しかしながら、全ての事例において、最小のSO2排出は、図15に反映されるような所与のSO2排出レベルを達成するために、最小のスチーム需要が必要とされる領域に入る。
図20は、図17~図19で示される曲線と同等の曲線のプロットである。図20の曲線は全て、供給ガス中に2,400ppmvのSO2濃度、濃厚ガス吸収媒体における20%のリンゴ酸一ナトリウム、及び吸収器における80lbs/lbの溶媒と入口SO2との比率を規定する、過程の数学モデルに基づく。曲線は、それぞれ、4lbsスチーム/lb.SO2、5lbsスチーム/lb.SO2、及び6lbsスチーム/lb.SO2での動作について生成される。1つの群の曲線は、溶媒がリンゴ酸吸着剤を含有し、かつ硫酸イオンを含有しない、いくつかの別々のスチームとSO2との比率についてプロットされ、もう1つの群の曲線は、溶媒がリンゴ酸吸着剤及び7重量%の硫酸イオンの双方を含有する、同じ一連のスチームとSO2との比率についてプロットされる。0%と対比した7%硫酸の事例に対する明らかに異なる最適条件は、硫黄を含有する溶媒における大幅に低い水分含有量の影響に加えて、リンゴ酸平衡及びそれに伴う自由リンゴ酸塩イオンの含有量と対比した、重リンゴ酸イオン及び非解離リンゴ酸に対する硫酸解離平衡の影響に起因する。最も低い二酸化硫黄の排出を提供するpHを(硫酸の事例と比較して)下げるために、より低い苛性剤と酸との比率が必要とされる。
図21は、曲線群のそれぞれが、濃厚液ストリッパの基部での苛性剤とリンゴ酸との比率ではなく、SO2の排出と対比したpHをプロットすることを除いて、図20に類似する。数学モデルによって生成され、図21で示される曲線は、図20でプロットしたデータを生成した、同じ別々の一連の条件に基づく。ここでも、スチームの割合は、6lbs/lb.SO2、5lbs/lb.SO2、及び4lbs/lb.SO2であり、一方の1組の曲線は、0%硫黄に基づくモデルによって生成され、もう一方の1組の曲線は、7重量%硫黄に基づいて生成される。さらにここでも、同じ理由から、SO2排出と対比した7%硫黄に関するpHの関係は、0%硫黄に関する関係からオフセットされる。
図22は、図17~図21においてデータが提示される同じシミュレーションに基づく一群の曲線を示すが、この事例では、濃厚液ストリッパの基部における再生した吸収媒体のSO2の含有量が、ストリッパの基部でのpHと相関することを除く。再生した吸収媒体のSO2含有量は、濃厚ガス吸収器を通り抜ける二酸化硫黄が希薄ガス吸収器において取り出される濃厚/希薄システムにおける濃厚ガス吸収器/ストリッパ回路に対して重要ではないが、再生した吸収媒体のSO2含有量は、吸収器を出る排気ガスが、吸収器に進入する再生した吸収媒体と平衡状態である濃度以上とすることができる汚染物質ガス含有量を有する、単一の吸収器/ストリッパ回路において重要な変数である可能性がある。
図22は、硫黄レベルを7重量%の定常状態レベルまで上昇させることを可能にする、SO2の除去における大幅な改善が投影されることを示す。
図23は、図17~図22と同じシミュレーションに基づくが、この事例において、再生した吸収媒体のSO2含有量は、苛性剤とリンゴ酸との比率に対してプロットされる。図23上の正方形の点は、0%硫黄及びスチームと6lbs/lb.SO2のスチームとSO2との比率でのシミュレーションと同じ条件下で取り出した実験的データを表す。この事例において、苛性剤とリンゴ酸との比率を下げることの実際の影響は、シミュレーションにおいて投影されるほど印象的ではないが、比率が1.5から1.25に低下するにつれて大幅な利益が認められることが分かる。SO2のレベルは、分析感度の喪失のため、1.25の比率未満で横ばいになるように見える。
図24は、図20の曲線に類似する2つの群の曲線を提示し、どちらも、SO2の排出と対比した苛性剤とリンゴ酸との比率がプロットされる。図24が基づくシミュレーションした動作は、20重量%ではなく10重量%のリンゴ酸ナトリウム含有量、及び80lbs/lbの代わりに140lbs/lbの溶媒とSO2との比率を指定する点で、図20の動作と異なる。ここでも、7重量%の吸収媒体の硫酸含有量での動作に関する曲線は、吸収媒体に硫黄を含まない動作に関する対応する曲線からオフセットされる。関係における差異は、クラウディングアウト水における、及びリンゴ酸塩陰イオンのプロトン化の程度の変化における硫黄の影響に起因する。7%硫黄及び0%硫黄の双方の事例について、最適な苛性剤とリンゴ酸との比率は、図20においてプロットされるシミュレーションについて投影した比率よりも大幅に低いことに留意されたい。最終的な最小値は、10%固体/140lbs/lbの事例よりも20%固体/80lbs/lbの事例に対して極めて僅かに好ましいが、SO2の排出基準に関する限り、この差異は、有意になり得ない。図24の条件はまた、顕熱需要のため、いくらか高いスチーム要件も課す。曲線のオフセットは、図20に関して識別される同じ要因に起因する。
図25は、図24のシミュレーションした動作に関する、SO2排出と対比したストリッパの基部でのpHの一連の曲線をプロットする。図21との比較は、1ポンドのSO2あたりの10%のリンゴ酸塩/140lbs溶媒という条件について、明らかにより低いpH最適条件を示す。ここでも、0%硫酸の曲線からの7重量%硫酸のオフセットは、上で説明される理由と同じである。
図26は、図24及び図25が基づくものと同じシミュレーションに図26が関連することを除いて、図22の曲線と同等の曲線を提示する。
図24~図26でプロットされるデータと、図17~図23でプロットされるデータとの比較に基づくと、吸収媒体における硫黄とリンゴ酸塩との比率を約0.9~約1.4の値に、及び吸収媒体のリンゴ酸塩含有量を約10~約20重量%の濃度範囲に制御することが好ましくなり得る。
二酸化硫黄吸収過程のさらに好ましい特徴によれば、吸収媒体が吸収(すなわち、ガス/液体接触)ゾーンを通過する際の該濃厚ガス吸収媒体における温度上昇を低減させるために、濃厚ガス吸収器の基部に冷却が提供され、したがって、濃厚ガス吸収器及び濃厚吸収液ストリッパの双方が比較的低いL/G比で動作する能力を保存する。吸収媒体における、特に濃厚ガス吸収ゾーンの下部分における温度上昇を制御することは、吸収媒体の平衡能力を保存し、したがって、吸収ゾーン内でのガス相から液体相への二酸化硫黄の質量移動のための駆動力、ならびに液体相における二酸化硫黄と吸着剤との反応のための駆動力を保存する。比較的低い液体相温度はまた、二酸化硫黄と吸着剤との反応が発熱性平衡反応である場合に、液体相内での二酸化硫黄付加物への変換の程度にも有利に働く。好ましくは、吸収液は、濃厚ガス吸収器内のガス/液体接触ゾーンから取り出され、外部熱交換器を通して循環され、吸収ゾーンに戻される。より具体的には、循環吸収液は、冷却した循環吸収液がガス/液体接触ゾーンに戻される領域の下側に離間される領域の中の該ゾーンから除去され、したがって、好ましくは、二酸化硫黄の吸収の大部分が生じ、そして、吸収熱の大部分が発生する、冷却した吸収液が戻される領域の下側の吸収ゾーン内の区域を画定する。
例えば、図13で例示されるように、高温の二酸化硫黄富化吸収液405の一部分が、液体出口418から取り出され、または吸収器401の中の垂直ガス/液体接触ゾーン401.1の底部近くの領域401.2から取り出され、冷却液への移動によって吸収熱が除去される外部熱交換器480を通して循環される。冷却した吸収液は、高温の濃厚吸収液が取り出される領域の上側に離間されるが、ガス/液体接触ゾーンの頂部の下側に離間される、ガス/液体接触ゾーンの領域401.3において吸収器に戻される。より好ましくは、冷却した循環吸収液が戻される領域401.3は、ガス/液体接触ゾーンの下部分にある。
濃厚ガス吸収器と外部熱交換器との間の吸収液の循環は、質量流量の増加、及び領域401.2と401.3との間を下る吸収ゾーンの循環区域における吸収液の不可避な逆混合を引き起こし、これは、このゾーンの区域における二酸化硫黄の除去のための質量移動のゲインを僅かに相殺する可能性がある。したがって、好ましくは、戻り領域401.3は、ガス/液体接触ゾーンの頂部の下側に少なくとも移動ユニット1つ分の高さだけ離間され、それによって、ゾーンの頂部の下側に少なくとも1つの移動ユニットを備える吸収ゾーン精留区域を画定する。好ましくは、精留区域は、少なくとも2つの移動ユニットを備える。また、戻り領域401.3が、取り出し領域401.2の上側に、少なくとも移動ユニット1つ分、より好ましくは、少なくとも2つ分の高さだけ離間されることも好ましい。戻り領域401.3と取り出し領域401.2との間の吸収ゾーンの循環区域、及び戻り領域401.3と吸収ゾーンの頂部との間の精留区域の双方において、十分な質量移動能力に適応するために、濃厚ガス吸収ゾーンは、全体として、好ましくは、少なくとも3つ、より好ましくは、少なくとも4つの移動ユニットを備える。ガス及び液体のストリームはどちらも、精留区域内の実質的なプラグ流の中にあるので、質量移動のための最大の駆動力がその区域に提供され、排気ガス中の二酸化硫黄濃度を、希薄ガス吸収器415.1における希薄ガスからのSO2のさらなる吸収が排出基準及び/または目標の硫黄収率を満たすことができる、十分に低いレベルまで低減させることを可能にする。循環液体戻り領域401.3の場所の適切な選択は、そこから上方に流れるガスにおける二酸化硫黄レベルが、水性吸収媒体の吸収能力に対して、または精留区域における物質移動駆動力に対してかなりの悪影響を有する吸収/反応熱を精留区域において発生させるほど高くない、領域の選択に基づく。
図5の過程における吸収器の事例のように、図13の濃厚ガス吸収器401には、吸収器内の吸収液の温度の適切な制御を達成するために、必要に応じて、複数の冷却ループを提供することができる。図13は、2つの冷却ループの存在を例示するが、質量移動速度、吸収熱、吸着剤動力学、吸着剤と汚染物質との反応熱等に応じて、より多い数も可能である。
図13の過程の残りは、図9に関して十分に例示され、説明されているが、図13における参照記号は、100ではなく400系列である。
好ましくは、吸着剤がテトラグライムである場合、冷却した循環吸収液がガス/液体接触ゾーンに戻される領域401.3は、約40℃以下、より好ましくは、約30℃以下、最も一般的には、約15℃~約25℃の温度に維持される。テトラグライムシステムにおいて、高温の循環吸収液が濃厚ガス/液体接触ゾーンから除去される領域401.2の温度は、好ましくは、約45℃以下、より好ましくは、35℃以下、より一般的には、約15℃~約30℃の温度に維持される。当業者は、異なる、いくつかの事例ではかなり異なる温度範囲が、他の吸着剤に最適であることを認識するであろう。例えば、吸着剤がリンゴ酸ナトリウムである場合、冷却した循環吸収液がガス/液体接触ゾーンに戻される領域401.3は、約45℃以下、より好ましくは、約45℃以下、最も一般的には、約20℃~約40℃の温度に維持される。この事例において、高温の循環吸収液がガス/液体接触ゾーンから除去される領域401.2の温度は、好ましくは、約50℃以下、より好ましくは、40℃以下、より一般的には、約25℃~約35℃の温度に維持される。各事例において、領域401.2と401.3との間の循環速度は、これらの温度制約、及び吸収過程の単位エネルギー発生によって決定される。
好都合に、高温の二酸化硫黄富化吸収液405の前方流れ画分は、外部熱交換器480の上流の循環吸収液ストリームから取り出され、そして、濃厚吸収液ストリッパ407に向けられる。
循環吸収液戻り領域401.3の場所は、二酸化硫黄吸収ゾーンの吸収プロファイルに基づいて選択することができる。異なる吸収媒体を使用した代表的なプロファイルは、図6で例示される。
ガス/液体接触ゾーンにおける供給ガスと吸収媒体との接触に応じて、吸収が即時的で実質的に定量的である場合、吸収効率を保存し、吸収液ストリッパにおける効率的なエネルギー使用量と一致するレベルまで吸収液の容量流量を制御するために、通常は、単一の濃厚吸収液冷却回路で十分である。しかしながら、二酸化硫黄に対する吸着剤の親和性がより制限される場合には、吸収液ストリッパの効率的な動作の目的にも所望されるように、吸収ゾーンを通した二酸化硫黄の濃度勾配、すなわち、ガスストリーム(及び液体ストリーム)中の二酸化硫黄の濃度が吸収ゾーンに対するガス入口の上側の距離とともに減少する割合は、僅かであり得る。そのような状況では、吸収ゾーン内のガス流路に沿って垂直に離間された2つ以上の冷却ループを使用することによって、濃厚ガス吸収器及び濃厚吸収液ストリッパの動作におけるより高い効率が、実現され得る。例えば、図13で例示されるように、2つのそのような冷却ループが示される。第2の冷却ループにおいて、吸収器401のガス/液体接触ゾーン401.1を下る高温の二酸化硫黄富化吸収液の第2の部分は、領域401.3の上側の領域401.4から取り出され、該領域401.4では、冷却した循環吸収液が第1の冷却ループにおいてガス/液接触域に戻され、そして、冷却流体への移動によって吸収熱が除去される外部熱交換器481を通して循環される。冷却した吸収液は、高温の吸収液が取り出される領域401.4の上側に離間されるが、ガス/液体接触ゾーンの頂部の下側に離間される、ガス/液体接触ゾーンの領域401.5において吸収器に戻される。
当業者が理解するように、ストリッパの過程ガスが、好ましくは、冷却器/凝縮器の中へ導入される前に圧縮される、別途図8で例示される過程において実現されるように、図13で例示される濃厚吸収器冷却システムは、冷却/凝縮器において発生するスチームが、好ましくは、吸収液ストリッパに向けられる前に圧縮される、別途図9で例示される過程で容易に実現することができる。動作のパラメータは、濃厚液吸収器を冷却することに関する限り、図13と同じであり、また、スチームの圧縮及びスチームのストリッパの中への導入に関する限り、図9と同じである。
本発明の要素またはその好ましい実施形態(複数可)を導入するときに、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「前記(said)」は、要素の1つ以上があることを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列記された要素以外の付加的な要素が存在してもよいことを意味する。
以上のことを考慮すると、本発明の複数の目的が達成され、他の有利な結果が得られることが分かるであろう。
前述の成分、及び過程方法には、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができるので、前述の説明に含まれる全ての事項は、例示的なものであり、限定的な意味のものではないと解釈されるべきであることが意図される。