JP7171728B2 - (r)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアのフマル酸塩、その調製方法及び使用 - Google Patents

(r)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアのフマル酸塩、その調製方法及び使用 Download PDF

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Description

この出願は、2017年12月11日に出願された米国仮出願第62/597,236号の利益を主張し、あらゆる目的でその全体を参照により本明細書に取り込む。
分野
本開示は、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア(HM04又はH0900とも呼ぶ)のフマル酸塩であって、過食症、アルコール依存症及びその他の障害(例えば、プラダーウィリー症候群)などのグレリンレベルの不均衡に関連する疾患の治療に有用である強力なグレリン/成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS-R1a)拮抗薬に関する。本開示はまた、結晶性HM04遊離塩基、HM04フマル酸塩の様々な結晶形態及びそれを製造する方法に関する。
背景
胃腸管中でのグレリン作動性細胞により産生される成長ホルモン放出ペプチドであるグレリンは、食欲を刺激することによりエネルギー代謝を調節する神経ペプチドとして機能すると理解されている。グレリン/成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS-R1a)を介した、グレリンシグナル伝達の調節、例えば、阻害は、高いグレリンレベルに関連する疾患の薬理学的治療の魅力的なターゲットである。グレリンモジュレータを使用した治療の潜在的な障害としては、食物乱用(過食、肥満、食欲亢進(又は制御不能な食欲)など)、ダイエット後の体重リバウンド(ダイエット後の食欲亢進を含む)、アルコール依存症、及びグレリンレベルの増加に関連する遺伝病(例えば、プラダーウィリー症候群(PWS))が挙げられる。
PWSは、約10,000件の誕生あたりに1件発生し、父方の染色体15の領域15q11.2の枯渇又は発現の欠如に関連している。PWSの特徴としては、低身長、低筋緊張及び食欲亢進が挙げられる。成長ホルモン補充は、成長不全及び低張の治療に頻繁に使用される。しかしながら、強欲な食欲の治療法はなく、PWSの子供は肥満及び2型糖尿病に苦しむ大人に成熟する可能性がある。グレリンのレベルは、一般に、PWSで上昇するが、PWSにおけるグレリンシグナル伝達と食物摂取との関係は不明なままである。Purtell L.らを参照されたい。プラダーウィリー症候群の成人では、高いグレリンレベルは、高いPYY及びGLP-1レベルよりも過食症と一貫している。Neuropeptides. 2011;45(4):301-7; Cummings D.E.ら, Elevated plasma ghrelin levels in Prader Willi syndrome. Nature Medicine. 2002;8(7):643-4; DelParigi A.ら, High circulating ghrelin: a potential cause for hyperphagia and obesity in Prader-Willi syndrome。The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 2002;87(12):5461-4。
したがって、GHSR1aを効果的に阻害し、患者に許容可能であり、成長ホルモンの他の機能を妨害しない治療法を見出すことが望ましい。下記の(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア(HM04、H0900)などの阻害剤を含むGHSR1aモジュレータは米国特許第9,546,157号明細書に報告されている。
Figure 0007171728000001
しかしながら、安定な塩の形態及びその結晶形態はそこには開示されていない。
概要
実施形態1.
(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩。
実施形態2.
前記塩は1:1の(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア:フマル酸の塩である、実施形態1記載の塩。
実施形態3.
前記塩は少なくとも50%が結晶形態である、先行の実施形態のいずれか1項記載の塩。
実施形態4.
前記塩は少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が結晶形態である、先行の実施形態のいずれか1項記載の塩。
実施形態5.
形態1、形態2、形態3及び形態4から選ばれる少なくとも1つの結晶形態を含む、先行の実施形態のいずれか1項記載の塩。
実施形態6.
CuKα線を使用するXRPDによって決定される図12のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを有する形態1を含む、先行の実施形態のいずれか1項記載の塩。
実施形態7.
CuKα線を使用するXRPDによって決定される図3のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする形態2を含む、実施形態1~5のいずれか1項記載の塩。
実施形態8.
CuKα線を使用するXRPDによって決定される図15のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする形態3を含む、実施形態1~5のいずれか1項記載の塩。
実施形態9.
CuKα線を使用するXRPDによって決定される図16のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする形態4を含む、実施形態1~5のいずれか1項記載の塩。
実施形態10.
7.8±0.2、9.5±0.2、14.3±0.2、16.7±0.2、17.2±0.2、18.5±0.2、18.8±0.2、19.3±0.2、20.0±0.2、20.7±0.2、22.4±0.2、23.2±0.2、25.6±0.2、27.2±0.2、31.7±0.2及び32.4±0.2度の2θにピークを含む、CuKα線を使用する、XRPDパターンを特徴とする形態1を含む、実施形態1~5のいずれか1項記載の塩。
実施形態11.
7.2±0.2、9.4±0.2、9.7±0.2、10.8±0.2、14.3±0.2、15.1±0.2、16.2±0.2、17.9±0.2、18.7±0.2、18.9±0.2、19.6±0.2、21.5±0.2、22.7±0.2、23.7±0.2、24.3±0.2、25.1±0.2、27.4±0.2、28.7±0.2及び34.9±0.2度の2θにピークを含む、CuKα線を使用するXRPDパターンを特徴とする形態3を含む、実施形態1~5のいずれか1項記載の塩。
実施形態12.
12.2±0.2、13.2±0.2、15.0±0.2、15.4±0.2、17.6±0.2、18.1±0.2、19.5±0.2、20.2±0.2、20.9±0.2、21.4±0.2、23.0±0.2、23.4±0.2、24.4±0.2、24.8±0.2、25.9±0.2、27.9±0.2、28.9±0.2、29.6±0.2及び30.7±0.2度の2θにピークを含む、CuKα線を使用するXRPDパターンを特徴とする形態4を含む、実施形態1~5のいずれか1項記載の塩。
実施形態13.
CuKα線を使用するXRPDによって決定される図1AのXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを有する結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア。
実施形態14.
実施形態1~12のいずれか1項記載の塩又は実施形態13記載の結晶性化合物を含む医薬品。
実施形態15.
実施形態1~12のいずれか1項記載の塩又は実施形態13記載の結晶性化合物及び医薬上許容される担体を含む組成物。
実施形態16.
(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアをフマル酸と化合させることを含む、実施形態1~12のいずれか1項記載の塩を調製する方法。
実施形態17.
フマル酸と化合させるときに、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは固体形態である、実施形態16記載の方法。
実施形態18.
フマル酸と化合させるときに、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは溶液中である、実施形態16記載の方法。
実施形態19.
フマル酸と化合させる前に、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは酸/塩基抽出を受ける、実施形態16~18のいずれか1項記載の方法。
実施形態20.
フマル酸と化合させる前に、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは酸/塩基抽出を受けない、実施形態16~18のいずれか1項記載の方法。
実施形態21.
実施形態1~12のいずれか1項記載の塩、実施形態13記載の結晶性化合物、実施形態14記載の医薬品又は実施形態15記載の組成物に細胞を曝露することを含む、細胞におけるグレリンシグナル伝達活性を低下させる方法。
実施形態22.
前記細胞はインビトロで前記塩、結晶性化合物、医薬品又は組成物に曝露される、実施形態21記載の方法。
実施形態23.
前記グレリンシグナル伝達活性は、蛍光画像形成プレートリーダー(FLIPR)アッセイによって検出される細胞内カルシウムのレベルによって測定される、実施形態21又は実施形態22記載の方法。
実施形態24.
前記細胞内カルシウムのレベルは低減される、実施形態23記載の方法。
実施形態25.
実施形態1~12のいずれか1項記載の塩、実施形態13記載の結晶性化合物、実施形態14記載の医薬品又は実施形態15記載の組成物を対象に投与することを含む、対象におけるグレリンシグナル伝達活性を低下させる方法。
実施形態26.
グレリンレベルの増加に関連する状態又は障害を有する対象を治療する方法であって、実施形態1~12のいずれか1項記載の塩、実施形態13記載の結晶性化合物、実施形態14記載の医薬品又は実施形態15記載の組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
実施形態27.
前記状態又は障害は食物乱用、アルコール依存症及びプラダーウィリー症候群から選ばれる、実施形態26記載の方法。
実施形態28.
前記状態又は障害は過食症、肥満、ダイエット後の体重リバウンド及び食欲亢進から選ばれる、実施形態26又は実施形態27記載の方法。
実施形態29.
前記対象に前記塩、結晶性化合物、医薬品又は組成物を経口投与することを含む、実施形態25~28のいずれか1項記載の方法。
実施形態30.
前記対象の成長ホルモンの循環レベルは調節される、実施形態25~29のいずれか1項記載の方法。
実施形態31.
前記対象の成長ホルモンの循環レベルは低減される、実施形態25~30のいずれか1項記載の方法。
実施形態32.
前記対象の食物摂取量は低減される、実施形態25~31のいずれか1項記載の方法。
実施形態33.
前記対象の体重は低減される、実施形態25~32のいずれか1項記載の方法。
実施形態34.
前記対象の体重は安定している、実施形態25~32のいずれか1項記載の方法。
追加の目的及び利点は、一部は以下の記載に示され、一部はその記載から明らかであるか、又は実践によって知ることができる。目的及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘されている要素及び組み合わせによって実現及び達成される。
上記の一般的な記載及び以下の詳細な説明の両方は例示及び説明のみであり、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
本明細書に取り込まれ、その一部を構成する添付の図面は、1つ(幾つか)の実施形態を示し、記載とともに、本明細書で記載される原理を説明するのに役立つ。
図面の簡単な説明
図1A及び図1B(下のパネル)は例1Aに示されるように調製されたHM04遊離塩基結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す。
図1B(上のパネル)は、例1Bに示されるように調製されたHM04遊離塩基結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す。
図1Cは、例2に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す。
図2は、例3に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す。
図3は、例3に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態2の代表的なXRPDプロファイルを示す。
図4Aは、HM04フマル酸塩形態1及び2を、アセトニトリル:水(95:5)で50:50の比率で60℃で48時間混合した後に観察されたXRPDプロファイルを示す。
図4Bは、HM04フマル酸塩形態1及び2をエタノール中で50:50の比率で60℃で48時間混合した後に観察されたXRPDプロファイルを示す。
図5は、HM04フマル酸塩形態1のスケールアップされた合成方法の概要を提供し、例5にさらに詳細に記載されている。
図6は、例5に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す(60℃で6時間乾燥後)。
図7は、例5に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す(60℃で15時間乾燥後)。
図8は、例5に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す(60℃で72時間乾燥後)。
図9は、例5に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを示す(65℃で18時間乾燥後)。
図10は、HM04フマル酸塩形態1の合理化された合成方法の概要を提供し、例6でさらに詳細に記載されている。
図11は、例6、試験1に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを提供する。
図12は、例6、試験2に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを提供する。
図13は、試験2の方法によりスケールアップされた、例6に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを提供する。
図14は、例6、試験3に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態1の代表的なXRPDプロファイルを提供する。
図15は、例7に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態3の代表的なXRPDプロファイルを提供する。
図16は、例8に示されるように調製されたHM04フマル酸塩結晶形態4の代表的なXRPDプロファイルを提供する。
図17は、3mg/kgのHM04遊離塩基及び3mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)が経口投与されたラットにおける、経時的なHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を提供する。
図18は、2mg/kgのHM04遊離塩基及び2mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)が経口投与されたイヌにおける、経時的なHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を提供する。
図19は、3、10及び30mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)が経口投与された後の、経時的なラットにおけるHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を提供する。
図20は、3、10及び30mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)が経口投与された後の、経時的なイヌにおけるHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を提供する。
図21Aは、ヒトGHSR1a受容体を発現するHEK293細胞を使用する拮抗薬蛍光画像形成プレートリーダー(FLIPR)アッセイにおけるHM04の濃度反応曲線を示す。
図21Bは、ヒトGHSR1a受容体を発現するHEK293細胞を使用する拮抗薬FLIPRアッセイにおけるR011の濃度応答曲線を示す。
図21Cは、ヒトGHSR1a受容体を発現するHEK293細胞を使用する作動薬FLIPRアッセイにおけるHM04の濃度応答曲線を示す。
図21Dは、ヒトGHSR1a受容体を発現するHEK293細胞を使用する作動薬FLIPRアッセイにおけるR011の濃度応答曲線を示す。
図21Eは、イノシトール1リン酸(IP-1)逆作動薬アッセイにおけるHM04の濃度応答曲線を示す。
図21Fは、イノシトール1リン酸(IP-1)逆作動薬アッセイにおけるR011の濃度応答曲線を示す。
図22は、以下の4つの治療群におけるグレリン注射の0分後及び15分後の時点でラットにおいて観察された平均血漿成長ホルモン濃度を示す:1)1ml/kgの生理食塩水+10ml/kgの0.5%CMC経口(n=6)、2)15μg/kgのグレリン静脈内+10ml/kgの0.5%CMC経口(n=6)、3)30mg/kgのHM04フマル酸塩経口、2時間後に、15μg/kgグレリン静脈内(n=6)、4)10mg/kgのグレリン拮抗薬R011腹腔内、30分後に、15μg/kgのグレリン静脈内(n=6)。
図23Aは、1)ビヒクル(n=6)、2)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(n=6)、3)0.5mg/kgカベルゴリン(n=6)、又は4)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)+0.5mg/kgのカベルゴリン(n=6)の単回腹腔内投与の1時間後に測定された7ヶ月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び7ヶ月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を示す。マウスを注射前に16時間絶食させ、注射後は自由に餌を与えた。
図23Bは、7か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び7か月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を、1)ビヒクル(n=6)、2)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(n=6)、3)0.5mg/kgのカベルゴリン(n=6)又は4)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)+0.5mg/kgのカベルゴリン(n=6)の単回腹腔内投与の1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、12時間後及び24時間後に測定したものを示す。マウスを注射前に16時間絶食させた。
図24は、3か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び3か月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を、1)ビヒクル(n=6)又は2)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(n=6)の単回腹腔内投与の1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、12時間後及び24時間後に測定したものを示す。マウスを注射前に16時間絶食させ、注射後は自由に餌を与えた。
図25Aは、12か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び12か月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を、1)ビヒクル(Het n=4; WT n=6)又は2)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(Het n=4; WT n=6)の単回腹腔内投与の1時間後に測定されたものを示す。マウスを注射前に16時間絶食させ、注射後は自由に餌を与えた。
図25Bは、12か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び12か月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を、1)ビヒクル(Het n=4; WT n=6)又は2)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(Het n=4; WT n=6)の単回腹腔内投与の1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、12時間後、24時間後に測定したものを示す。マウスを注射前に16時間絶食させ、注射後は自由に餌を与えた。
図26は、7か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び7か月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を、1)ビヒクル(n=5)30mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(n=5)の単回腹腔内投与の1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、12時間後、24時間後に測定したものを示す。マウスを注射前に16時間絶食させ、注射後は自由に餌を与えた。
図27Aは1)ビヒクル(n=10)又は2)10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(n=10)の07.00時での連続10日の腹腔内投与の後に毎日測定した6か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び6か月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を示し、図27Bは体重を示す。
図28Aは1)ビヒクル(n=5)又は2)30mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(n=5)の07.00時での連続5日の経口投与の後に毎日測定した8か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び8か月齢の野生型(WT)同腹子における摂食量を示し、図28Bは体重を示す。
図29Aは1)ビヒクル(n=5)又は2)30mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)(n=5)の18.00時での連続5日の経口投与の後に毎日測定した8か月齢のSnord116+/-(Het)マウス及び8か月齢の野生型(WT)の同腹子における明サイクル中の摂食量を示し、図29Bは暗サイクル中の摂食量を示す。
実施形態の説明
上記で要約し、以下で詳細に示すように、本開示は、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩、その結晶形態及び(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア遊離塩基に関する。本開示はまた、フマル酸塩及びその結晶形態を製造する方法、ならびにGHSR1aの阻害のためにそれを使用する方法に関する。
本開示の詳細は、以下の付随する記載に示されている。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を本開示の実施又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び材料はここで記載されている。本開示の他の特徴、目的及び利点は、記載及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、文脈が明らかに異なることを指示しない限り、単数形は複数形も含む。特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で引用されたすべての特許及び刊行物は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本開示の1つの態様は、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩に関する。本開示の少なくとも1つの実施形態において、塩は1:1である(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア:フマル酸塩である。
塩は、油又は固体などの様々な形態を取ることができる。固体は、非晶性、結晶性又は両方の混合物であることができる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、塩は結晶形態が少なくとも50%である。さらなる実施形態において、塩は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、100%結晶性であることができる。
もし塩が少なくとも部分的に結晶性であるならば、結晶形態は、形態1、形態2、形態3及び形態4から選択できる。
少なくとも1つの実施形態において、塩は、CuKα線を使用してXRPDにより決定される図12のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする結晶形態1を含む。さらなる実施形態において、塩は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び100%の結晶形態1であることができる。
幾つかの実施形態において、形態1は、7.8±0.2、9.5±0.2、14.3±0.2、16.7±0.2、17.2±0.2、18.5±0.2、18.8±0.2、19.3±0.2、20.0±0.2、20.7±0.2、22.4±0.2、23.2±0.2、25.6±0.2、27.2±0.2、31.7±0.2及び32.4±0.2度の2θにピークを含むCuKα線を使用するXRPDパターンを特徴とすることができる。
少なくとも1つの実施形態において、塩は、CuKα線を使用するXRPDによって決定される図3のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする結晶形態2を含む。さらなる実施形態において、塩は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び100%の結晶形態2であることができる。
少なくとも1つの実施形態において、塩は、CuKα線を使用するXRPDによって決定される図15のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする結晶形3を含む。さらなる実施形態において、塩は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び100%の結晶形態3であることができる。
幾つかの実施形態において、形態3は、7.2±0.2、9.4±0.2、9.7±0.2、10.8±0.2、14.3±0.2、15.1±0.2、16.2±0.2、17.9±0.2、18.7±0.2、18.9±0.2、19.6±0.2、21.5±0.2、22.7±0.2、23.7±0.2、24.3±0.2、25.1±0.2、27.4±0.2、28.7±0.2及び34.9±0.2度の2θにピークを含むCuKα線を使用するXRPDパターンを特徴とすることができる。
少なくとも1つの実施形態において、塩は、CuKα線を使用するXRPDによって決定される図16のXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする結晶形態4を含む。さらなる実施形態において、塩は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び100%の結晶形態4であることができる。
幾つかの実施形態において、形態4は、12.2±0.2、13.2±0.2、15.0±0.2、15.4±0.2、17.6±0.2、18.1±0.2、19.5±0.2、20.2±0.2、20.9±0.2、21.4±0.2、23.0±0.2、23.4±0.2、24.4±0.2、24.8±0.2、25.9±0.2、27.9±0.2、28.9±0.2、29.6±0.2及び30.7±0.2度の2θにピークを含むCuKα線を使用するXRPDパターンを特徴とすることができる。
本開示の別の態様は、CuKα線を使用するXRPDにより決定される図1AのXRPDパターンと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア遊離塩基に関する。
本開示の別の態様は、医薬上許容される担体、及び、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる、本明細書に開示されるとおりの少なくとも1つの物質を含む、医薬組成物に関する。医薬上許容される担体は、賦形剤、希釈剤又は界面活性剤をさらに含むことができる。
組成物は、それぞれ従来の混合、造粒又はコーティング方法に従って調製することができ、本発明の医薬組成物は、約0.1%~約99%、約5%~約90%又は約1%~約20%の開示された化合物を質量又は体積基準で含むことができる。
本開示の別の態様は、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及びその結晶形態を製造する方法であって、以下の実施例に詳述されるとおりである方法を含む。
本開示の別の態様は、本明細書に開示されるとおりの結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアを製造する方法を含む。
本開示の別の態様は、細胞を本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することを含む、細胞におけるグレリンシグナル伝達活性を低下させる方法である。
「グレリンシグナル伝達活性」という用語は、グレリンがその受容体又は受容体複合体に結合するときに起こる下流活性のいずれか1つ又は組み合わせを指す。
本開示の別の態様は、細胞を本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することを含む、細胞における成長ホルモンの放出を阻害する方法である。
本開示の別の態様は、細胞を本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することを含む、GHRS1aを阻害する方法である。
幾つかの実施形態において、細胞は、インビトロで、本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露される。幾つかの実施形態において、細胞は、インビボで、本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露される。
本開示の別の態様は、グレリンレベルの増加に関連する状態又は障害を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質を投与することを含む、方法である。非限定的な例として、グレリンレベルの増加に関連する状態又は障害としては、過食症、肥満、食欲亢進(制御不能な食欲)、ダイエット後の体重リバウンド(ダイエット後の食欲亢進を含む)などの食物乱用障害、アルコール依存症及びプラダーウィリー症候群などの遺伝病などが挙げられる。
本開示の別の態様は、成長ホルモンの循環増加に関連する状態又は障害を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質を投与することを含む、方法である。
「低減する」又は「阻害する」とは、参照基準と比較して、活動、機能又は量を減少、低減又は阻止することを意味する。幾つかの実施形態において、「低減」又は「阻害」とは、20%以上の全体としての減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態におおいて、「低減」又は「阻害」とは、50%以上の全体としての減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態において、「低減」又は「阻害」とは、75%、85%、90%、95%又はそれ以上の全体としての減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態において、上記の量は、同じ期間にわたる対照投与(プラセボなど)と比較して、ある期間にわたって阻害又は減少される。本明細書で使用されるときに、「参照基準」は、比較の目的で使用される任意のサンプル、標準又はレベルを指す。参照基準は、健康なサンプル又は病気にかかっていないサンプルから取得できる。幾つかの例において、参照基準は、試験又は治療されている対象ではない1人又は複数の健康な対象から得られる。
「実質的に低減した」という用語は、2つの値の差が前記2つの値により測定される生物学的特徴の関係で統計的に有意であると当業者が考えられるような、ある数値と参照基準数値との間の十分に高い程度の低減を表す。幾つかの実施形態において、実質的に低減した数値は、参照基準値と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のいずれか1つよりも大きく低減している。
幾つかの実施形態において、細胞又は対象を本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することにより、グレリンシグナル伝達活性の低減がもたらされる。幾つかの実施形態において、細胞又は対象におけるグレリンシグナル伝達活性は、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩又は結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアの非存在下におけるグレリンシグナル伝達活性と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%低減される。
幾つかの実施形態において、グレリンシグナル伝達活性は、蛍光画像形成プレートリーダー(FLIPR)アッセイによって検出される細胞内カルシウムのレベルによって測定される。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することにより、細胞内カルシウムのレベルの低減がもたらされる。
FLIPRアッセイとは、Gタンパク質共役受容体(とりわけ、GHS-R1a)の活性化及び細胞内カルシウムフラックスの刺激を検出する技術を指す。細胞内カルシウムレベルは、カルシウム感受性色素及び蛍光プレートリーダーを使用して測定できる。さらなる詳細については、Arkin、Michelle R.ら(2012)、GPCR及びイオンチャネルターゲット用のFLIPR(商標)アッセイ、Assay Guidance Manual [Internet] Sittampalam G.S., ら(Eds)を参照されたい。
幾つかの実施形態において、グレリンシグナル伝達活性は、成長ホルモンの循環レベルによって測定される。幾つかの実施形態において、対象を本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することにより、成長ホルモンの循環レベルの低減がもたらされる。
幾つかの実施形態において、グレリンシグナル伝達活性は摂食量によって測定される。幾つかの実施形態において、対象を本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することにより、摂食量の低減がもたらされる。
幾つかの実施形態において、グレリンシグナル伝達活性は体重によって測定される。幾つかの実施形態において、対象を本明細書に開示されるとおりの(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩及び結晶性(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアから選ばれる少なくとも1つの物質に曝露することにより、体重の減少又は体重の安定化がもたらされる。
「治療」又は「治療すること」は、有益な又は所望の臨床結果を得るためのアプローチである。「治療」又は「治療すること」は、ヒトを含む哺乳動物における疾患の治療薬の投与又は適用を網羅する。この開示の目的のために、有益な又は望ましい臨床結果としては、限定するわけではないが、1つ以上の症状の緩和、状態の程度の低減、状態の再発の防止又は遅延、状態の進行の遅延又は鈍化、状態の改善、状態又状態の進行の阻止、状態の進展の阻害、及び状態の寛解(部分的又は全体的)が挙げられる。「治療」又は「治療すること」には、状態の病理学的結果の低減も含まれる。本明細書で提供される方法は、これらの治療の態様のいずれか1つ以上が考えられる。上記に沿って、治療という用語は、状態又は障害のすべての態様の100パーセントの除去を必要としない。
本開示の別の態様は、増加したグレリンの循環レベルに関連する状態又は障害の治療のために、本明細書に開示されるとおりの組成物を経口投与することである。
本開示の別の態様は、増加した成長ホルモンの循環レベルに関連する疾患又は障害の治療のために、本明細書に開示されるとおりの組成物を経口投与することである。
本明細書に開示されるとおりの塩を使用する経口投与のための治療有効量及び投与計画は、治療される状態又は障害、ならびに患者の年齢、体重、場合によっては性別、及び他の健康要因を含む様々な要因に応じて変化し、それは治療時に決定されうる。治療有効量は1mg~500mgの範囲であることができる。経口投与組成物は、非限定的な例として、1、5、10、15、20、25、30、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450又は500mgの本明細書に開示されるとおりの活性成分を含むことができる。
Figure 0007171728000002
Figure 0007171728000003

例1.結晶形態1(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア(HM04)遊離塩基の調製及び特性評価
例1A:HM04遊離塩基結晶形態1シードの調製
(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア(HM04又はH0900とも呼ばれる)の非晶性遊離塩基の第一の15mgのサンプルをアセトニトリル中に溶解し、非晶性遊離塩基HM04の第二の15mgのサンプルをアセトン中に溶解した。窒素流下でデシケータ内で溶液をゆっくりと蒸発させた。結晶化度は、X線粉末回折(XRPD)によって確認された。アセトニトリル溶液及びアセトン溶液から結晶化した遊離塩基HM04サンプルのXRPDプロファイル(形態1)を、それぞれ図1A及び1B(下のパネル)に示す。
例1B:HM04遊離塩基結晶形態1のスケールアップ
非晶性HM04遊離塩基のサンプルを0.5mLのアセトン中に溶解し、窒素流下でデシケータ内で溶液をゆっくりと蒸発させた。24時間後に、褐色の油状残留物が得られ、アセトン溶液から結晶化した遊離塩基形態1の数個の結晶(例1Aを参照されたい)をシードとして加え、へらで引っ掻いた。油を固化させ、得られた生成物を真空オーブン中で50℃で24時間乾燥させて、95mgの収量の結晶性遊離塩基を得た。
結晶化度をX線粉末回折(XRPD)によって確認した。図1Bの上のパネルを参照されたい。同時熱分析(STA)により、結晶性遊離塩基は水和又は溶媒和されていないことが示唆された。結晶性遊離塩基は、DSCによって測定して、推定融解開始が約155℃であった。GVS分析は、製品がわずかに吸湿性であり、70%までの相対湿度(RH)で約1.5%及び80%までのRHで約2%の可逆的な重量増加であることが示された。結晶性遊離塩基の水溶解度は2mg/mL未満であると推定された。
例2.HM04フマル酸塩形態1の小規模調製
HM04非晶性遊離塩基(100mg)をアセトニトリル(2mL)中に懸濁した。フマル酸(27mg)を加え、残留酸を追加のアセトニトリル(0.2mL)とともに反応混合物中に洗い流し、よく混合した。混合物を穏やかに温め、固体が急速に沈殿した。得られた懸濁液を40℃と室温の間で一晩(18~24時間)温度サイクルした。生成物をろ過し、アセトニトリル(0.2mL)で洗浄し、50℃の真空オーブン中で24時間乾燥して、86mgのフマル酸塩生成物を得た。
フマル酸塩生成物は核磁気共鳴(NMR)分析により1:1塩であることが示された。結晶性はXRPDによって確認され、形態1として指定された(図1C)。STAは溶融前に重量損失を示さず、製品が水和又は溶媒和されていないことを示唆した。DSCは、約172℃の溶融開始に対応する単一の吸熱を示した。GVSは、フマル酸塩が吸湿性であり、70%までの相対湿度(RH)で約2.8%及び80%までのRHで約4.5%の重量増加であることが示された。フマル酸塩の推定水溶解度は200mg/mL以上であった。
例3.HM04フマル酸塩の結晶形態(形態1及び2)
HM04遊離塩基(1.5mg)をアセトニトリル(6mL)中に懸濁させ、フマル酸(0.4g)を加えた。混合物を穏やかに温め、固体が急速に沈殿した。得られた懸濁液を、72時間にわたって40℃と周囲温度の間で温度サイクルした。さらにアセトニトリル(1mL)を加え、生成物をろ過し、アセトニトリル(5x0.2mL)で洗浄し、真空オーブン中で50℃にて少なくとも24時間乾燥させて一定の重量にし、1.6gのフマル酸塩を得た。この結晶性HM04フマル酸塩は、XRPD分析によって形態1として特性化された(図2)。
図3は、HM04フマル酸塩をエタノールに溶解し、窒素下にて室温で溶媒を蒸発させた後に得られたHM04フマル酸塩形態2サンプルの代表的なXRPDパターンを示している。
HM04フマル酸塩形態2は、150mgの出発材料(HM04フマル酸塩形態1)を加熱下で0.45mLの90/10エタノール/水混合物中に溶解することによりスケールアップされた。溶液をデシケータ内で窒素流下で96時間蒸発させ、固体生成物を回収した。形態2のスケールアップされた生成物のXRPDパターンは、少量の形態1との混合の可能性を除外することはできないが、一般に、より小さいスケールの生成物と一致していた。NMR分析は、生成物が化学量論的モノ塩と一致することを示した。STAデータは、70℃~150℃で約1.9%の重量損失を示し、それはサンプルがおそらく水和物であることを示唆した。DSCデータは、約164.5℃で開始する幅広い吸熱を示し、これは溶融物に対応している。GVSは、70%RHまで3.5%の重量増加及び80%RHまで4.9%の重量増加を示した。XRPDパターンの変化は、GVSの後、又は、サンプルが40℃/75%RHのデシケータ内に7日間置かれた後に観察されなかった。
形態1出発材料及び形態2スケールアップ材料を約50:50の比率(10mg:10mg)で混合することにより、競合スラリー実験を行った。混合物を100μLの異なる溶媒又は溶媒混合物中で室温にて48時間振盪した。溶媒の蒸発後に、48時間後に各スラリーから固体のサンプルを採取し、XRPDで分析して、1つの形態への転化が起こったかどうかを決定した。スラリーを60℃で繰り返し、48時間後に再びサンプルを採取した。室温及び60℃での研究結果を以下の表2に示す。
Figure 0007171728000004
室温でのアセトニトリル中の競合スラリーにより、形態1への完全な転化をもたらした。エタノールでのスラリーにより、周囲温度でのエタノール/水により、形態の混合物をもたらし、形態2への転化をもたらした。60℃でのアセトニトリル中の競合スラリーにより、形態1への完全な転化をもたらした。アセトニトリル/水中及びエタノール中のスラリーで、割り当てられていないXRPDパターンを60℃にて観察した(それぞれ図4A及び4B)。競合スラリーの結果のさらなる調査は行わなかった。
例4.例1~3の分析方法
例1~3に記載された生成物を特性化するために使用される分析方法を以下に示す。
STAは、Perkin-Elmer STA 600 TGA/DTAアナライザを使用して実施された。サンプル(5mg)を10℃/分の速度で25℃から300℃に加熱し、その間、重量の変化を監視した。パージガスとして窒素を20cm/分の流量で使用した。
DSC分析のために、5mgのサンプルをアルミニウムDSCパンに計量し、アルミニウム蓋で非気密的にシールした。次に、サンプルをPerkin-Elmer Jade DSCにロードし、安定した熱流応答が得られるまで25℃で保持した。次に、サンプルをスキャン速度10℃/分で300℃に加熱し、得られた熱流応答を監視した。20cm/分のヘリウムパージを使用した。分析の前に、装置はインジウム標準を使用して検証された温度及び熱流であった。
GVS分析では、15~20mgのサンプルをIgaSorp蒸気収着天びん(Hiden Analytical Instruments)に装填した。次に、さらなる重量の変化が記録されなくなるまで湿度0%の環境を維持することにより、サンプルを乾燥させた。次いで、サンプルを10%RH増分で0から90%RHの傾斜プロファイルにかけ、平衡が達成されるまで(99%工程完了)、各工程でサンプルを維持した。平衡に達したら、装置内の%RHを次の工程に傾斜させ、平衡手順を繰り返した。収着サイクルの完了後に、同じ手順を使用してサンプルを乾燥させた。次に、収着/脱着サイクル中の重量変化をモニタリングし、サンプルの吸湿性を決定できるようにした。
NMR分析は、Bruker Avance III 400機器を使用してDMSO-d6中で行った。
XRPD分析は、サンプル(約2mg)をXRPDゼロバックグラウンドの単一の斜め切断したシリカサンプルホルダで軽く圧縮することにより行った。次に、サンプルをPhilips X-Pert MPD回折計に装填し、次の実験条件を使用した。
チューブアノード:Cu
発電機電力:40kV
管電流:40mA
波長α1:1.5406Å
波長α2:1.5444Å
開始角度(2θ):4
終了角度(2θ):40
連続スキャン
例5.HM04フマル酸塩形態1のスケールアップ合成
この例に示されているHM04フマル酸塩形態1の合成の概要を図5に示す。
Figure 0007171728000005
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(7.20kg、51.1モル、3.0当量、KF=0.30%)を、温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた100L反応器中に加え、窒素保護下にRTで混合した。THF(50L)を反応器に加え、撹拌した。容器を窒素で3回パージし、0℃に冷却した。n-BuLi(20.4L、3.0当量、2.5Mヘキサン溶液)を混合物に滴下して加え、温度を約0℃~約5℃に1時間以上維持した。溶液の色が黄色に変わった。混合物を約0℃~約5℃で30分間撹拌した。混合物を約-78℃~約-70℃に冷却して、溶液Aを形成した。
化合物1(3.25kg、17.0モル、1.0当量、KF=0.03%)を15LのTHF中に溶解して、溶液Bを形成した。
溶液Bを溶液Aに約70℃~約-78℃の温度で1時間かけて滴下して加え、次いで、30分間撹拌して溶液Cを形成した。ホウ酸トリイソプロピル((i-PrO)B)(3.52kg、18.7モル、1.1当量)を溶液Cに10分かけて滴下して加えた。反応混合物を約-70℃~約-78℃の温度で1時間撹拌した。HCl(40L、3M、7.0当量)を30分かけて加えて、反応をクエンチした。温度の10度上昇を記録した。
得られた水層を分離し、EtOAc(40L)で抽出した。水層を分離し、EtOAc(35L、30L)で再び2回抽出した。有機層を合わせて、約160Lの液体を得た。合わせた有機層を、50Lの、NaClで飽和した1M HCl水溶液で2回洗浄した。有機層を、約50℃~約55℃の温度で、30~40mmHgで約8時間、50Lロータベーパ中で約5Lに濃縮した。
残留EtOAcをDMEで3回交換した(10L×3)。有機層を、50Lのロータベーパ中で、約50℃~約55℃の温度で、30~40mmHg下に約6時間濃縮した。毎回約5Lの残留物が残った。残留物にDME(20L)を添加して、14.2%の化合物2Aの濃褐色溶液を得た(25kgの溶液に3.55kg、収率88.8%、純度97.4%(HPLCによるAUC、保持時間=1.6分)、残留酢酸エチル0.24%)。1H-NMR(400 MHz、DMSO):δ= 8.55(s,2H),7.36(d,1H),7.69(d,1H)。同じ方法で化合物2Aの第二のバッチを調製し、3.29kg(純度95.4%、収率82.3%、残留酢酸エチル0.11%)を生成した。
Figure 0007171728000006
化合物2A(20.5kg溶液中2.91kg)を、窒素下で室温にて100L反応器中に加えた。DME(45mL)、2-クロロピラジン(1.42kg、12.4モル、1.0当量)及びPd(dppf)Cl(10%w/w、291g)を順次に加え、それぞれを窒素下にて室温で混合した。窒素を混合物中に20分間バブリングし、得られた混合物を窒素でパージしそして充填した(3回)。混合物を60分かけて48~52℃に加熱した。KCO(2.57kg、18.6モル、1.5当量)を、室温で別の反応器内の22Lの水に添加し、次いで10分かけて化合物2A混合物に滴下して加えた。混合物を48~52℃で16時間撹拌し、次いで、室温に冷却した。この手順を2回繰り返し、3つすべてのバッチを合わせた。
COの水溶液(1.0kg)を22Lの水に溶解し、合わせた混合物に添加してpHを9に調整した。TBME(50L)を混合物に添加し、ろ過し(PETフィルタ、3~5μm、205g/m)、約50gの粘着性のある褐色固体材料(触媒類似物)を除去した。水層を2回分離し、TBME(40L、40L)で抽出した。
水層を、上記の方法に従って調製した第四のバッチの水層と合わせた。合わせた水層のpHを、HCl(2N、48L)でpH<3に調整した。混合物を室温で1時間撹拌すると、固体がゆっくりと沈殿した。混合物を30分かけてろ過し(PETフィルタ、3~5μm、205g/m)、20kgの湿潤生成物を得た。ACN(40L)を、室温でオーバーヘッドスターラを備えた100L反応器に加えた。湿潤生成物20kgを反応器に加え、反応混合物を加熱して還流させ、還流下に4時間撹拌した。反応混合物を3時間かけて室温に冷却し(約15℃/時間)、ろ過して8.5kgの湿潤固体を得た。湿潤固体を真空下(20~30mmHg)で50~55℃で15時間乾燥させて、化合物3Aを青白い色の固体(6.1kg、純度97.4%(HPLCによるAUC、保持時間=3.7分)、83.8%収率)として得た。 1H-NMR(400 MHz,DMSO):δ= 7.67(d,1H),7.82(d,1H),8.75(d,1H),8.82(t,1H),8.98(d,1H),13.89(bs,1H)。
Figure 0007171728000007
化合物3A(6.1kg、22.7モル、1.0当量)を、温度プローブ、オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備えた100L反応器に加えた。メタノール(92L)を室温で反応器に加えた。混合物を0~10℃に冷却し、SOCl(5.4kg、45.3モル、2.0当量)を0~10℃で30分かけて滴下して加えた。反応混合物を加熱して還流させ(65℃)、還流で15時間撹拌した。懸濁液が形成された。溶媒とSOClの大部分は、約30Lが残るまで真空蒸留で除去された。混合物を真空(30~40mmHg)下で50~55℃にて約6時間濃縮した。残留物に水(10L)を-5~15℃で加えた。-5~15℃でKCOの水溶液(200g、2Lの水に溶解)を使用してpHを8~9に調整した。得られた水層を酢酸イソプロピル(25L、25L)で2回抽出した。有機層を合わせたもの(約50kg)を20LのNaHCO水性層で洗浄した。有機層を分離し、10LのNaHCO水溶液で洗浄した。すべての水層を合わせた(55.8kg)。有機層をシリカパッド(30cm)でろ過し、化合物6Aがシリカゲルからろ過されるまで(約3時間)、パッドを追加の酢酸イソプロピルで洗浄した。有機層を約5Lに濃縮した。残留物にTHF(10L)を加え、真空(30~40mmHg)下で50~55℃で約3時間かけて約5L(3回)に濃縮した。残留濃縮物にさらに10LのTHFを加え、化合物6Aの濃縮溶液(15.8kg、32.83%、溶液中の化合物6A5.19kg、97.9%純度(HPLCによるAUC、保持時間=8.5分)、80.8%収率)を得た。1H-NMR(400 MHz,DMSO):δ= 3.98(s,3H),7.54(d,1H),7.78(d,1H),8.63(d,1H),8.72(t,1H),8.94(d,1H)。
Figure 0007171728000008
THF(26L)を、窒素下で温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた100L反応器に加えた。DIBAL-H(26kg、46モル、5.0当量)を添加し、システムを窒素で3回パージして満たした。混合物を-78~-70℃に冷却して溶液Aを形成した。52LのTHF中の化合物6A(2.6kg、9.2モル、1.0当量)の室温溶液を-78~-70℃にて窒素下で30分かけて滴下して加えた。混合物を約5~6時間かけて-30℃に温めた。反応混合物を-40~-30℃で30分間撹拌した。混合物を42Lの2N HCLに1時間かけてゆっくりと添加し、最高温度は35℃に達した。混合物を26Lの酢酸イソプロピルで抽出した。有機層を分離し、30Lのブラインで洗浄した。この手順を繰り返し、有機層の両方のバッチを合わせ、真空下で約100Lから約5~10Lに濃縮した。濃縮中にゆっくりと固体が形成された。混合物を5~15℃に冷却し、1時間撹拌した。混合物を30分かけてろ過した(30~50μm)。固体を50℃で6時間真空乾燥して、化合物6Bを褐色固体として得た(2.1kg、純度97.5%(HPLCによるAUC、保持時間=8.6分)、収率45.7%)。 1H-NMR(400 MHz,DMSO):δ= 4.65(d,2H),5.68(t,1H),7.62(d,1H),7.68(d,1H),8.72(d,1H),8.80(t,1H),8.94(d,1H)。
Figure 0007171728000009
DMSO(10L)を、室温にて窒素下で温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた50Lフラスコに加えた。化合物6B(2.05kg、8.04モル、1.0当量)を窒素下で室温で添加した。EtN(8L)を窒素下にRTにて加え、次いで、混合物を15~20℃に冷却した。SOピリジン(5.1kg、32.08モル、4.0当量)を別のフラスコで5~15℃で10LのDMSOに溶解し、約20℃で3.5時間かけて滴下して混合物に加えた。反応混合物を70Lの氷水に移した。懸濁液混合物を0~10℃で1時間撹拌し、1.5時間にわたって遠心分離することによりろ過して(PET、3~5μm、205g/m)、化合物7を褐色固体として得た。固体を室温で35LのDCMに溶解した。得られたDCM層を5Lのブラインで洗浄した。有機層を分離し、真空下で40~45℃で乾燥するまで濃縮して、化合物7を褐色固体として得た(2.33kg、純度96.3%(AUCによるHPLC、保持時間=9.2分)、収率93.5%)。1H-NMR(400 MHz,DMSO):δ= 7.67(d,1H),7.99(d,1H),8.67(d,1H),8.75(s,1H),8.99(d,1H),10.56(s,1H)。
Figure 0007171728000010
THF(23L)を、窒素下に室温で温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた50Lフラスコに加えた。化合物7(2.3kg、9.1モル、1.0当量)及び(S)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1.21kg、10モル、1.1当量)を窒素下でフラスコに順次に加えた。Ti(OEt)(6.22kg、27.3モル、3.0当量)を、窒素下で30~35℃で1時間かけてフラスコに滴下して加えた。系を窒素で3回パージし、次に混合物を室温で2時間攪拌した。酢酸イソプロピル(40L)を反応混合物に加えた。次に、室温でゆっくり攪拌しながら、反応混合物全体をブライン20Lに投入した。大量の固体が形成され、熱の放出は観察されなかった。固体(約18kg)を遠心分離機を使用してろ過し、次に20Lの酢酸イソプロピルで再度20分間スラリー化し、再度ろ過した結果、わずかに少ない固体(17.3kg)が得られた。次にろ液を合わせ、20Lのブラインで洗浄した。有機層を分離し、真空下(30~40mmHg)でロータベーパ内で40~50℃で約4時間濃縮して溶媒を除去し、褐色の油(化合物8)を得た。油をDMFに溶解して、黒色溶液(7.36kg、40.1%、溶液中の化合物8、3.0kg、純度92.1%(HPLCによるAUC、保持時間=9.7分)、収率>100%)を得た。1H-NMR(400 MHz,CDCl3):δ= 1.30(s,9H),7.59(d,1H),8.11(d,1H),8.64(s,1H),8.73(m,1H),8.97(s,1H),9.10(s,1H)。
Figure 0007171728000011
DMF(26L、10v/w)を、15℃にて窒素下で温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた50Lフラスコに加えた。窒素下でフラスコに化合物8(7.3kgのDMF溶液で、2.9kg、8.1モル、1.0当量を含む)及びTBAA(2.44kg、8.1モル、1.0当量)を順次に加えた。混合物を0~10℃に冷却した。次に、TMSCF(2.88kg、20.3モル、2.5当量)を0~10℃で60分かけてフラスコに加えた。反応混合物を窒素保護下で0~5℃で3時間撹拌した。酢酸イソプロピル(60L)を混合物に加え、次いで、5~25℃で攪拌しながら45LのNaHCOを加えた。有機層を分離し、NaHCOで3回洗浄し(30Lx3)、60kg~2.5kgの褐色油に濃縮した。油生成物を20LのTBMEに溶解し、シリカゲルのパッド(高さ約40cm、直径30cm)で2時間ろ過して、TBME溶液中に2.14kgの化合物11を得た。溶液を45~50℃で乾燥するまで濃縮して、化合物11を黒色油として得た(1.85kg、純度85.2%(HPLCによるAUC、保持時間=9.1分、ジアステレオ異性体の場合9.6分)、収率53.6%)。1H-NMR(400 MHz,CDCl3):δ= 1.33(s,9H),3.82-3.85(d,1H),5.61-5.66(m,1H),7.53-7.60(m,2H),8.63-8.64(d,1H),8.71~8.72(m,1H),8.95(s,1H)。
Figure 0007171728000012
化合物11(1.8kg、4.23モル、1.0当量、粗製)を、25℃にて窒素下で温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた50L反応器に加えた。無水MeOH(18L)を添加して化合物11を溶解した。次に、MeOH/HCl(18L、1N)を25~30℃で10分間かけて滴下して加え、混合物を25~30℃で1時間撹拌した。水(15L)を反応物に添加し、混合物を真空下(30~40mmHg)で45~50℃のロータベーパで約4時間濃縮して、溶媒を除去した。混合物のpHを5LのKCO溶液で10に調整した。次に、20LのEtOAcを混合物に加え、有機層を分離し、水層をEtOAcで2回抽出した(15L×2)。有機層を合わせ、そして10Lのブラインで洗浄した。合わせた有機層は、40kgのEtOAc溶液に996gの化合物12を含んでいた(84%の純度(HPLCによるAUC、保持時間=2.8分)。有機層を真空下(30~40mmHg)で45~50℃で約3時間濃縮して、EtOAc溶液中7.5kgの量の化合物12(83%純度(HPLCによるAUC、保持時間=2.7分))とした。
温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた別の50L反応器に、D-CSA(930g、4.0モル、1.0当量から1.26kgの化合物12)を加え、窒素下に室温で攪拌した。EtOAc(10L)、次いで化合物12のEtOAc溶液(1.26kg、3.9モル、1.0当量)をそれぞれ順次に反応器に加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、ゆっくりと懸濁液になった。混合物を遠心分離機でろ過し、EtOAcで洗浄して、2.3kgの化合物12をオフホワイト固体(純度96.0%)として生成した。
固体生成物、20LのEtOAc及び10Lの10%KCO水溶液を50Lフラスコに順次に加え、固体がなくなるまで(pH=9~10)室温で撹拌した。有機層を分離し、水層をEtOAcで2回抽出した(10L×2)。有機層を合わせ(約32kg)、10Lのブラインで洗浄した。有機層は31.8kgの溶液中に716gの化合物12を含んでいた。
有機層を真空下にて45~50℃で約8Lに濃縮した。活性炭(200g)を有機層に加え、混合物を60~70℃で1時間撹拌し、室温まで冷却し、ブフナー漏斗及びろ紙(孔径:30~50μm)を使用して30分間ろ過し、活性炭を除去した。混合物を真空下(30~40mmHg)でロータベーパ中で45~50℃で約3時間濃縮して、710gの化合物12を黄色の固体(99.4%純度)として得た。
D-CSA(410g、1.77モル、1.0当量から680gの化合物12)、3.4LのiPrOH及び68 mLの水を、温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた10Lの反応器に順次に加え、室温で窒素下に撹拌した。混合物を加熱して還流させ(84℃)、1時間後に溶液Aを形成した。化合物12(680g)を3.4LのiPrOH中に溶解し、1回で溶液Aに加えた。透明な溶液が形成され、温度は65℃に低下した。混合物を65℃で約15分間撹拌した後に、固体が現れた。混合物を2時間かけて10℃に冷却し、10℃でさらに30分間撹拌し、ブフナー漏斗及びろ紙(孔径:30~50μm)で30分かけてろ過し、1.1kgの白色固体を回収した。
EtOAc(10L)、1.1kgの白色固体生成物及び5Lの10%KCOを20Lフラスコに順次に加え、5分間混合した。固体が溶解した(pH=9~10)。EtOAc層を分離し、水層をEtOAc(各5L)で2回抽出した。有機層を合わせ(約20L)、5Lのブラインで洗浄し、真空下(30~40mmHg)にロータベーパで45~55℃で約3時間濃縮して、ほとんどの溶液を除去し、残留重量は1kgに達した。ヘプタン(1L)を混合物に加え、室温で30分間攪拌した。混合物をブフナー漏斗及びろ紙(孔径:30~50μm)を使用して30分にわたってろ過して、白色固体(99.7%純度)として419gの化合物12塩基を得た。ろ液を黄色の固体(純度98.7%)として135gの化合物12に濃縮した。1H-NMR(400 MHz,CDCl3):δ= 1.85(bs,2H),5.17(m,1H),7.56(d,1H),7.68(d,1H),8.62(d,1H),8.70-8.71 (m,1H),8.93(s,1H)。生成物を組み合わせると、化合物12の収率は40.7%になった。
工程9:化合物10の合成
Figure 0007171728000013
Pd/C(40g、5%w/w)を、窒素下にて室温で10Lオートクレーブ反応器に加えた。THF(2L)、2Lのメチルアミン(27%~30%アルコール溶液、2.1当量)及び800gの化合物10A(7モル、1.0当量)を順次に反応器に加えた。システムを水素で3回パージした。混合物を水素圧(50psi)で70~75℃で一晩撹拌し、ブフナー漏斗及びろ紙(孔径:30~50μm)を使用して10分間ろ過し、Pd/Cを除去した。ろ液を真空下(30~40mmHg)でロータベーパにて45~50℃で約3時間濃縮して、933gの黄色の油を得た。混合物をカラムなしで大気圧で蒸留し、140~170℃画分を収集して、763gの化合物10を無色の油として得た(98.6%純度(HPLCによるAUC、保持時間=4.8分)、84.2%収率、8000 ppm残留エタノール)。油の一部(563g)を3cmカラムを使用して大気圧で蒸留し、140~170℃画分を収集して、510gの化合物10(75.8%収率、134ppm残留エタノール)を得た。1H-NMR(400 MHz,CDCl3):δ= 0.82(bs,1H),1.10-1.12(q,2H),1.66(d,2H),1.73-1.81(t,2H),2.05(s,3H),2.08-2.19(m,1H),2.22(s,3H),2.60(d,2H)。
Figure 0007171728000014
DCM(1L)、200gのCDI(1.23モル、2.0当量)及び35gのDABCO(0.31モル、0.5当量)を、温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた3L反応器に順次に加え、窒素下に室温で攪拌した。混合物を-10~-5℃に冷却した。化合物12(200g)を1LのDCMに溶解し、混合物に1時間かけて滴下して加え、次いで-10~-5℃で16時間撹拌した。化合物10(159g、1.24モル、2.0当量)を-10~0℃で10分かけて加えた。次に、混合物を0~5℃に温め、2時間保持した。混合物を40~45℃の真空下で約1Lに濃縮した。残留物にHCl(1Nの1L)を加え、45~50℃の真空下(30~40mmHg)でロータベーパで約2時間濃縮し、DCMを削除した。さらに3Lの1N HClを残留物に加え、TBME(4L、2L、2L)で3回抽出した。水層を20%KCO水溶液(約1.5L)でゆっくりpH=9~10に調整し、DCM(2Lx3)で抽出した。有機層を合わせ(約4L)、0.25N KHPO(1.2Lx3)で3回洗浄した。有機層を2Lのブラインで洗浄してpHを中性にし、45~50℃で約2時間真空下(30~40mmHg)でロータベーパ内で450g(335mL)に濃縮した。MTBE(1.5L)を残留物に加え、500mLの液体が回収されるまで蒸留した。この工程を500mLのTBMEの添加及び500mLの留出液の回収で4回繰り返したが、最終蒸留で330mLの液体を回収した。フラスコには約1~1.2Lの残留物が残っていた。残留物をゆっくりと室温に冷却し、室温で一晩攪拌した。混合物をろ過し、TBME(400mLx2)で2回洗浄し、乾燥して192gのHM04遊離塩基の淡黄色固体(99.3%純度(HPLCによるAUC、保持時間=11.0分)を得た。壁上の生成物をDCM中に溶解し、真空下で濃縮して、22gのHM04遊離塩基を褐色粘着性油として得た(純度97.6%)。ろ液を真空下で濃縮して、22.5gの黄色の固体(純度94.0%)を得た。
HM04遊離塩基(187g、0.39モル、1.0当量、99.3%純度)及び1.9LのACNを、温度プローブ及びオーバーヘッドスターラを備えた3Lフラスコに順次に加え、窒素下で15℃で攪拌して、淡黄色の懸濁液を得た。フマル酸(45.6g、0.39モル、1.0当量)をフラスコに加え、1分後に白色の懸濁液を生成した。反応懸濁液を室温で一晩撹拌し、ろ過し(15~20μm、灰分<0.15)、ACN(50mLx2)で2回洗浄し、50℃で6時間真空下に乾燥して、207gのHM04フマル酸塩を淡黄色固体として得た(純度99.4%(HPLCによるAUC、保持時間=11.1分)、収率57.8%、残留ACN 3100ppm)。ろ液を真空下で濃縮して、淡黄色の固体(純度97.3%)としてHM04フマル酸塩20.1gを得た。
生成物の一部(117g)を真空オーブン(20~40mmHg)でさらに乾燥させて、残留アセトニトリルの含有量を下げた。60℃で6時間、15時間、72時間、そして65℃で18時間乾燥した後に、残留アセトニトリル含有量はそれぞれ3100ppm、2570ppm、1300ppm及び256ppmと測定された。乾燥プロセスの後に、98gのHM04フマル酸塩が単離された(99.4%の純度(HPLCによるAUC、保持時間=11.0分))。1H-NMR (400 MHz, DMSO): δ = 1.49-1.58 (m, 2H), 1.81-1.92 (m, 2H), 2.44-2.53 (m, 5H), 2.78 (s, 3H), 3.12 (m, 2H), 4.06-4.13 (m, 1H), 6.36-6.41 (m, 1H), 6.55 (s, 2H), 7.47 (d, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.11 (d, 1H), 8.75 (d, 1H), 8.81-8.82 (m, 1H), 8.99 (d, 1H)。部分バッチの乾燥後に単離されたHM04フマル酸塩98gの収量をバッチ全体に外挿して、工程10の概算収量48%を計算した。
60℃で6時間、15時間、72時間、そして65℃で18時間乾燥した後にHM04フマル酸塩生成物のXRPD分析を行った(それぞれ図6~9を参照されたい)。XRPDプロファイルは、HM04フマル酸塩生成物が形態1と一致することを示した。
例6.HM04フマル酸塩形態1の合理化された合成
例5の工程10を使用して生成されたHM04フマル酸塩の全収率は約48%と計算された。全体の収量を増やすために、HM04遊離塩基を分離する工程を省略した合理化された合成を調査した。特に、図5に示す例5の方法の工程10は変更された。例5の工程9から始まる合理化された合成の概要を図10に示す。
合理化されたHM04フマル酸塩試験1:
DCM(121.4g)、CDI(20.0g、123ミリモル、2当量)及びDABCO(3.5g、31ミリモル)を、不活性化された1L反応器に順次に加えた。混合物を-10℃に冷却した。別に、DCM(132.5g)及び化合物12(20.0g、62.1ミリモル)の溶液を容器に入れ、溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を、内部温度を-10~-5℃に維持することにより、33分かけて1L反応器に滴下した。添加の最後に、容器をDCM(7.0g)でリンスし、次いで、それを反応混合物に添加した。一晩(19時間)攪拌し、正のIPCを行った後に、化合物10(15.9g、124ミリモル、2当量)を15分かけて加え、容器をDCM(9.0g)ですすいだ。0℃で加熱した後に、1時間の攪拌、正のIPC、さらに1.5時間の攪拌の後に、混合物を室温で加熱し、水(200.1g)を入れた。水層を分離し、有機層を1N HCl(201、200g)で2回抽出した。生成物を含む合わせた水層をTBME(148g)で洗浄した。有機層を除去した後に、水層にDCM(265.0g)及び50%KCO溶液(約240ml)をpH9.61に達するまで入れた。
一方、KHPO(8.2g)の水(240g)中の溶液を調製した。生成物を含む有機層に、KHPO溶液をpH7.12(142.2g)に達するまで入れた。水層を分離した後に、有機層を水(200g)で洗浄した。水層を分離した後に、有機層を50℃で蒸発させた。ACN(314.4g)を添加し、溶媒を70~75℃で真空蒸留した。ACN(235.8g)を加え、溶媒を再び真空下で蒸留した。ACN(141.5g)を加え、得られた溶液をポリッシュろ過し、ACN(16g)でフィルタ洗浄した。60℃に加熱した後に、フマル酸(7.2g、62ミリモル)を溶液に加えると、白い沈殿物が生じた。1時間かけて20℃に冷却した後に、懸濁液をろ過し、TBME(2x30g)で2回洗浄した。窒素流を用いてフィルタ上で乾燥させた後に、70.7gの湿潤粗生成物を得た。これをTBME(177.0g)で1時間スラリー化し、ろ過し、TBME(70g)で洗浄した。窒素流下でフィルタ上で乾燥させた後に、33.0gの湿潤生成物を得た。真空下で50℃にて加熱すると、乾燥生成物がHM04フマル酸塩の白色粉末として得られた(21.1g、HPLCによる純度99.8%、収率57%)。XRPD分析により、製品が形態1であることを確認した(図11を参照されたい)。
例6、7及び8に記載されているXRPD分析は、X’Pert PRO PANalytical回折計及び以下の実験条件を使用して行った。
チューブアノード:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
波長α1:1.5406Å
波長α2:1.5444Å
開始角度(2θ):3
終了角度(2θ):40
計数時間:12,700秒
スキャンモード:連続スキャン
合理化されたHM04フマル酸塩試験2:上記の合理化された方法は、HM04フマル酸塩の良好な結晶化特性を利用するためにさらに最適化された。遊離塩基を分離することならびにACN及びフマル酸の添加直後にHM04フマル酸塩生成物を分離することを省略することに加えて、この試験では、遊離塩基の酸/塩基抽出処理も省略した。過剰のフマル酸をTBME中のスラリーとともに除去した。
DCM(120g)、CDI(20.1g、124ミリモル、2当量)及びDABCO(3.5g、31ミリモル)を、不活性化された1L反応器に順次に加えた。混合物を-10℃に冷却した。別に、DCM(133.8g)及び化合物12(20.1g、62.4ミリモル)の溶液を容器に入れ、溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を、内部温度を-10~-5℃に保つことにより、39分間で1L反応器に滴下した。添加の最後に、容器をDCM(7g)で洗浄し、それを次に反応混合物に添加した。一晩(18時間)攪拌し、正のIPCを行った後に、化合物10(15.9g、124ミリモル、2当量)を15分かけて加え、容器をDCM(7g)ですすいだ。0℃で加熱し、1時間攪拌し、正のIPCを行った後に、混合物に水(200g)を入れ、室温で加熱した。
一方、水(402g)中のKHPO(13.8g)の溶液は調製された。水層を分離し、生成物を含有する有機層を、pH7に達するまでKHPO溶液を装填した。水層を分離した後に、有機層を水(200g)で洗浄した。水層を分離した後に、有機層をポリッシュろ過し、ACN(64g)でフィルタ洗浄した。フマル酸(7.2g、62ミリモル)を溶液に添加し、白色沈殿物が生じ、これをろ過して、ACN(2x31.5g)で2回洗浄した。窒素流でフィルタ上で乾燥させた後に、44.5gの湿潤した粗製生成物が得られた。これをTBME(266.8g)で1時間スラリー化し、ろ過し、TBME(2x30g)で2回洗浄した。窒素流下でフィルタ上で乾燥させた後に、45.0gの湿潤生成物が得られた。真空下で60℃で乾燥して、HM04フマル酸塩の白色粉末として乾燥生成物を得た(25.2g、HPLCによる純度99.6%、収率68%)。XRPD分析により、生成物は形態1であることが確認された(図12を参照されたい)。
試験2の方法によるHMフマル酸塩のスケールアップ:DCM(418g)、CDI(70.5g、435ミリモル、2当量)及びDABCO(12.4g、111ミリモル)を、不活性化された2L反応器に連続的に加えた。混合物を-10℃に冷却した。別に、DCM(465g)及び化合物12(70.0g、217ミリモル)の溶液を容器に入れ、溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を、内部温度を-10~-5℃に保つことにより、2L反応器に24分かけて滴下した。添加の最後に、容器をDCM(25g)でリンスし、それを次に反応混合物に添加した。一晩(20時間)攪拌し、正のIPCを行った後に、化合物10(55.7g、434ミリモル、2当量)を15分かけて加え、容器をDCM(24g)ですすいだ。0℃で加熱し、1.5時間攪拌し、正のIPCを行った後に、混合物に水(700g)を入れ、室温で加熱した。
一方、KHPO(48.3g)の水(1401g)中の溶液を調製した。水層を分離し、生成物を含む有機層を、pH7.03に達するまでKHPO溶液を装填した。水層を分離した後に、有機層を水(700g)で洗浄した。水層を分離した後に、有機層をポリッシュろ過し、ACN(220.5g)でフィルタ洗浄した。フマル酸(25.3g、218ミリモル)を溶液に加え、白色沈殿物を生じさせ、これをろ過し、ACN(111g)で洗浄した。窒素流でフィルタ上で乾燥させた後に、生成物をTBME(933g)で80分間スラリー化し、ろ過し、TBME(2x104g)で2回洗浄した。窒素流下でフィルタ上で乾燥させた後に、80.8gの湿潤生成物を得た。真空下で60℃で乾燥して、乾燥生成物をHM04フマル酸塩の白色粉末として得た(78.0g、HPLCによる純度99.5%、収率61%)。XRPD分析により、生成物は形態1であることを確認した(図13を参照されたい)。
合理化されたHM04フマル酸塩試験3:DCM(120g)、CDI(20.2g、125ミリモル、2当量)及びDABCO(3.5g、31ミリモル)を順次に不活性化された1L反応器に加えた。混合物を-20℃に冷却した。別に、DCM(133g)及び化合物12(20.0g、62.1ミリモル)の溶液を容器に入れ、溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を内部温度を-20~-15℃に保つことにより1L反応器に35分かけて滴下した。添加の最後に、容器をDCM(7.2g)ですすぎ、次いで、これを反応混合物に加えた。一晩(24時間)攪拌し、正のIPCを行った後に、化合物10(15.9g、124ミリモル、2当量)を10分かけて加え、容器をDCM(7.0g)ですすいだ。0℃で加熱し、1時間攪拌し、正のIPCを行った後に、混合物に水(200g)を入れ、室温で加熱した。
一方、KHPO(13.7g)の水(402g)中の溶液を調製した。水層を分離し、生成物を含む有機層を、pH7に達するまでKHPO(311.1g)溶液で装填した。水層を分離した後に、有機層を水(200g)で洗浄した。水層を分離した後に、有機層をポリッシュろ過し、ACN(63g)でフィルタ洗浄した。フマル酸(7.2g、62ミリモル)を溶液に加え、白色沈殿物を生じさせ、それをろ過し、ACN(32g)で洗浄した。窒素流を用いてフィルタ上で乾燥させた後に、53.7gの湿潤した粗製生成物を得た。これをTBME(267.0g)で40分間スラリー化し、ろ過し、TBME(2x30g)で2回洗浄した。窒素流下でフィルタ上で乾燥させた後に、41.8gの湿潤生成物を得た。真空下に60℃で乾燥して、乾燥生成物をHM04フマル酸塩の白色粉末として得た(28.1g、HPLCによる純度99.7%、収率76%)。XRPD分析により、生成物は形態1であることを確認した(図14を参照されたい)。
例7.HM04フマル酸塩形態3の合成
HM04遊離塩基(16.0g、33.6ミリモル)を、不活性化された1L反応器内でACN(251g)に溶解した。60℃で加熱した後に、フマル酸(3.9g、33.6ミリモル)及びACN(2.6g)を含むリンスを溶液に加え、白色沈殿物を生じさせた。2時間かけて20℃に冷却した後に、生成物をろ過した。窒素流でフィルタ上で乾燥した後に、6.4gの湿潤生成物を得た。真空下で60℃で乾燥して、乾燥生成物をHM04フマル酸塩の白色粉末として得た。XRPD分析により、異なる結晶形態である形態3を同定した(図15を参照されたい)。
例8.HM04フマル酸塩形態4の合成
DCM(120g)、CDI(20.0g、123ミリモル、2当量)及びDABCO(3.5g、31ミリモル)を、不活性化された1L反応器に順次に加えた。混合物を-10℃に冷却した。別に、DCM(133g)及び化合物12(20.0g、62.1ミリモル)の溶液を容器に入れ、溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を、内部温度を-10~-5℃に保つことにより、35分かけて1L反応器に滴下した。添加の最後に、容器をDCM(7.0g)ですすぎ、次にそれを反応混合物に添加した。一晩(18.5時間)攪拌し、正のIPCを行った後に、化合物10(15.8g、123ミリモル、2当量)を10分かけて加え、容器をDCM(6.8g)ですすいだ。0℃での加熱、1時間の攪拌、正のIPC及びさらに20分の攪拌の後に、混合物を室温で加熱し、水(200g)を入れた。水層を分離し、有機層を1N HCl(2x200 g)で2回抽出した。生成物を含む合わせた水層をTBME(148g)で洗浄した。有機層を除去した後に、pH9.66に達するまで水層にDCM(265.0g)及び50%KCO溶液(約240ml)を入れた。
一方、KHPO(8.2g)の水(240g)中の溶液を調製した。生成物を含む有機層に、pH7.10に達するまでKHPO溶液(138.2g)を入れた。水層を分離した後に、有機層を水(200g)で洗浄した。水層を分離した後に、有機層を40℃で蒸発させた。TBME(370g)を添加し、10体積(溶媒218.5gを収集)が残るまで、真空下に65℃で再度蒸留した。フマル酸(7.2g、62ミリモル)を溶液に添加すると、白い沈殿物が生じた。2時間かけて20℃に冷却しそしてこの温度に15時間の後に、懸濁液をろ過し、母液を1回再循環させ、生成物をTBME(33g)で洗浄した。窒素流でフィルタ上で乾燥した後に、湿潤生成物26.5gを得た。真空下で50~60℃で乾燥して、HM04フマル酸塩の白色粉末として乾燥生成物を得た(22.3g、HPLCによる純度99.9%、収率61%)。XRPD分析により、異なる結晶形態である形態4は同定された(図16を参照されたい)。
例9.ラット及びイヌにおけるHM04遊離塩基及びHM04フマル酸塩の経口投与の薬物動態の比較
HM04遊離塩基又はHM04フマル酸塩のいずれかを使用した10%DMAC、6%Solutol及び84%PBSの溶液内で調合された3mg/kgのHM04(遊離塩基の重量に基づく)の単回経口投与で投与されたオスのスプラーグドーリーラットの血漿中のHM04の薬物動態を比較した。所定の時間間隔で血液サンプルを採取し、HM04の血漿中濃度をLC MS/MSにより測定した。HM04遊離塩基及びHM04フマル酸塩を経口投与したラットにおける経時的なHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を図17に示す。
薬物動態分析の要約を以下の表3に提供する。3mg/kgのHM04遊離塩基のバイオアベイラビリティは、3匹のオスのスプラーグドーリーラットへの3mg/kgのHM04遊離塩基の静脈内投与後に決定された、990.3±24.6ng*h/mLの平均AUCに対する経口平均AUCの比率から計算された。3mg/kgのHM04フマル酸塩でのバイオアベイラビリティ(遊離塩基の重量に基づく)は、3mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)の3匹のオスのスプラーグドーリーラットへの静脈内投与後に決定された、2103.3±357.7ng*h/mLの平均AUCに対する経口平均AUCの比率から計算された。
Figure 0007171728000015
HM04遊離塩基又はHM04フマル酸塩のいずれかを使用した10%DMAC、6%Solutol及び84%PBSの溶液中で調合された2mg/kgのHM04の単回経口投与で投与されたオスのビーグル犬の血漿中のHM04の薬物動態を比較した。HM04遊離塩基及びHM04フマル酸塩を経口投与したイヌにおける、経時的なHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を図18に示す。
薬物動態分析の概要を以下の表4に示す。バイオアベイラビリティは、経口平均AUCの静脈内平均AUCに対する用量正規化比(AUCpo/AUCivxDoseiv/Dosepo)から計算された。2mg/kgのHM04遊離塩基でのバイオアベイラビリティは、3匹のオスのビーグル犬に1mg/kgのHM04遊離塩基の静脈内投与後に決定された、782.1±363.5ng*h/mLの平均AUCに対する経口平均AUCの用量正規化比から計算された。2mg/kgのHM04フマル酸塩でのバイオアベイラビリティ(遊離塩基の重量に基づく)は、3匹のオスのビーグル犬に1mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)を静脈内投与した後に決定された、1126.1±363.6ng*h/mLの平均AUCに対する経口平均AUCの用量正規化比から計算された。
Figure 0007171728000016
例10.ラット及びイヌにおけるHM04フマル酸塩の単回経口送達の薬物動態
6週齢のオスのスプラーグドーリーラット及びオスのビーグル犬(1~5歳)にHM04フマル酸塩を単回経口投与した後の血漿中のHM04の薬物動態を調査した。0.6mg/mL、2mg/mL及び6mg/mLのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)の試験製剤を5%グルコース溶液中で調製した。3、10、及び30mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)の用量を、3つの試験製剤のそれぞれの5mL/kg投与量として胃管栄養法により投与した。4匹の動物は各投与群にあった。製剤は、絶食状態のイヌに投与され、投与後3時間に食物を提供した。
経時的なラットにおけるHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を図19に示し、薬物動態分析の概要を以下の表5に示す。3mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)の4匹のオスのスプラーグドーリーラットへの静脈内投与後に決定された1760±196ng*h/mLの平均AUC(静脈内3mg/kg平均AUC(n=4))に対する経口平均AUCの比率から、3mg/kgでのバイオアベイラビリティを計算した。10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)の4匹のオスのスプラーグドーリーラットへの静脈内投与後に決定された6170±1770ng*h/mLの平均AUCに対する経口平均AUCの比率から、10mg/kgでのバイオアベイラビリティを計算した。平均経口バイオアベイラビリティに関連する標準偏差は、次の式に従って計算された。
Figure 0007171728000017
ここで、q=平均バイオアベイラビリティであり、mx=経口投与量正規化平均AUCであり、my=IV投与量正規化平均AUCである。
Figure 0007171728000018
HM04への暴露は用量とともに増加し、30mg/kgで比例増加を超えた。ラットへの3、10及び30mg/kgの単回経口投与後に、HM04は4時間以内にそのCmaxに達した。経口投与後に、3及び10mg/kgの用量で約40~50%のバイオアベイラビリティで化合物は吸収された。
経時的なイヌのHM04の血漿中濃度(ng/mL)の比較を図20に提供し、薬物動態分析の概要を以下の表6に示す。
Figure 0007171728000019
BLQ =定量限界未満である。
*投与前濃度を測定した。投与は同じ動物で少なくとも4日間隔で行われた。
**N = 3、イヌ3は異常値として統計から除外された。
3mg/kgでは、HM04の4つの投与前濃度のうち3つは検出可能であった(範囲5.15~8.31ng/mL)。サンプルを2連で再分析し、陽性と確認した。さらに、10mg/kgの経口投与で、イヌ2は検出可能な投与前濃度(8.60ng/mL)を示した。この濃度は24時間での定量限界を下回っていたため、この濃度は以前の3mg/kg用量からの残留濃度である可能性は低い。これらの値は、分析方法の定量化の下限(2.5ng/mL)に近く、ゼロ値に置き換えられて計算から除外された。
HM04フマル酸塩の単回経口投与では、HM04の最大濃度は投与後1時間以内に急速に達した。検出可能な化合物濃度は、2匹を除くすべてのイヌで投与後24時間まで測定された。最大濃度に達した後に、HM04血漿中レベルは低下し、見かけの終末半減期(範囲4~7時間)は、静脈内投与後(範囲4~5時間)の半減期と同様であった。3~30mg/kgの経口用量範囲では、Cmaxは用量にほぼ比例して増加したが、AUCは用量に正比例する場合よりも増加した。HM04の経口バイオアベイラビリティは、化合物のクリアランスが低いことと一致して高かった。
3mg/kgの経口絶対バイオアベイラビリティは、同じ4匹のオスのビーグル犬への3mg/kgHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)の静脈内投与後に決定された個々のAUC値に対する個々の経口AUCの比から計算した。以下の個々の経口及び静脈内AUC値を決定した:イヌ1:それぞれ4930及び6190ng*h/mL;イヌ2:それぞれ1440及び3100ng*h/mL;イヌ3:それぞれ1160及び3210ng*h/mL;イヌ4:それぞれ1850及び3070ng*h/mL。
同じ4匹のオスのビーグル犬への10mg/kgのHM04フマル酸塩(遊離塩基の重量に基づく)の静脈内投与後に決定された個々のAUC値に対する個々の経口AUCの比から、10mg/kgでの経口絶対バイオアベイラビリティを計算した。以下の個々の経口及び静脈内AUC値は決定された。イヌ1:それぞれ17500及び22500ng*h/mL。イヌ2:それぞれ8780及び13200ng*h/mL;イヌ3:それぞれ8470及び15500ng*h/mL;イヌ4:それぞれ10900及び14900ng*h/mL。
血漿中HM04濃度は、96ウェルプレート形式でのタンパク質沈殿後にLC-MS/MSで測定した。分析時に、サンプルを周囲温度で解凍した。25μLのラット又はイヌKEDTA血漿のアリコートを、300μLの内部標準(アセトニトリル中25ng/mLのHM04-d8)とともにスパイクした。5分間穏やかにボルテックス混合し、4℃で2010gで15分間遠心分離した後に、P3-Evolutionロボットシステム(Perkin Elmer)を使用して、100μLの有機相のアリコートを新しい96ウェルポリプロピレンプレートに移した。100μLの10nMギ酸アンモニウムpH3.5で希釈した後に、10μLのアリコートをLC-MS/MSシステムに注入した。LC-MS/MS条件を以下の表7に提供する。
Figure 0007171728000020
例11.グレリン受容体(GHSR1a)を用いたHM04の拮抗薬作用
HM04のグレリン受容体GHSR1aへの結合特性を、蛍光画像形成プレートリーダー(FLIPR)アッセイでHM04フマル酸塩を2回使用して調べた。HM04は、GHSR1aに対して有意な拮抗薬活性を示し、IC50値は7.308nMであった(図21A)。比較試験は、参照基準GHSR1a拮抗薬R011(WO2005/048916、例30)でも行われた。R011はGHSR1aに対して拮抗薬活性を示し、IC50値は343nMであった(図21B)。
10μMまでの濃度のHM04及びR011では作動薬活性は観察されなかった(図21C及び21D)。HM04及びR011はどちらも、イノシトール1リン酸(IP-1)逆作動薬活性試験で、明らかな有意な逆作動薬活性を示さなかった(図21E及び21F)。インビトロデータは、HM04が作動薬又は明確な逆作動薬活性のない強力なグレリン拮抗薬であることを示唆している。
化合物を100%DMSOで希釈して30mM原料を作製した。試験日に、原料溶液から出発して連続希釈液を調製した。FLIPRアッセイでは、1)8μLのDMSOを2μLの化合物原料溶液(30mM)に加えて、10μLの6 mM溶液を生成し、6mM溶液の1/2倍連続希釈液を作成して、10用量を生成し、2)試験溶液は、原料溶液をアッセイ緩衝液で1/40に希釈することにより得られた(DMSO濃度2.5%)。IP-1アッセイでは、1)29μLのDMSOを1μLの化合物原料溶液(30mM)に加えて、30μLの1mM溶液を生成し、1mM溶液の1/2連続希釈液を作成して、10用量を生成し、2)試験溶液は、原料溶液をアッセイ緩衝液で1/100に希釈することにより得られた(DMSO最終濃度1%)。
作動薬及び拮抗薬活性の研究のために、ヒトGHSR1a受容体を安定して発現するHEK293細胞を(FLIPR)アッセイで使用した。試験の前日に1回、細胞を1.5x10細胞/ウェルの密度で、完全なDMEM培地30μLが入ったMatrigel(登録商標)コーティング384ウェルプレートに播種し、37℃で5%CO中にて22~26時間インキュベートした。試験日に、4x装填色素を各ウェルに加えた(384ウェルプレートで、ウェルあたり10μl)。アッセイプレートを37℃の暗所で30分間インキュベートした。300rpmで30秒間遠心分離することにより、染料の内容物を除去した。1mMプロベネシドを含むHBSS/Hepes(30μl)を、PlateMate Matrix(低速設定、Thermo Fisher Scientific)で添加した。次に、プレートをFLIPR Tetra(Molecular Devices)に入れ、10μlの4×作業濃度のHM04又はR011をFLIPR(作動薬モード)で加えた。蛍光信号は、標準設定に従って室温でFLIPRを使用して10分間検知させ、次いで、細胞を10μlの5x作動濃度の作動薬(FLIPRによって添加された化合物)に曝露した。その後の3分間で蛍光シグナルが検出された(拮抗薬モード)。
逆作動薬活性試験について、上記と同じ手順を試験当日まで続けた。試験日に、700rpmで30秒間遠心分離することにより培地を除去し、HM04又はR011を含む20μl/ウェルのアッセイ緩衝液を加えた。アッセイプレートを37℃で暗所で1時間インキュベートした。マルチドロップCombiを使用して、IP1-d2(5μL)及びAB-Cryp(5μl)をすべてのウェルに順次に加えた。プレートを室温で1時間インキュベートし、EnVisionで620nm及び665nmで読み取った。
データは相対光単位(RLU)として報告し、GraphPad Software Inc.バージョン6を使用して分析した。HM04及びR011について測定した半値抑制濃度(IC50)は非線形回帰分析によって計算された。
例12.ラットにおけるグレリン誘発成長ホルモン増加に及ぼすHM04フマル酸塩の効果
ラットを4つの群に分けた:1)1ml/kg生理食塩水+10ml/kg0.5%CMC経口投与(n=6)、2)15μg/kgグレリン静脈内+10ml/kg0.5%CMC経口投与(n=6)、3)30mg/kgHM04フマル酸塩経口投与、2時間後に、15μg/kgグレリン静脈内(n=6)、4)10mg/kgグレリン拮抗薬R011腹腔内、30分後に、15μg/kgグレリン静脈内(n=6)。血液は、グレリン注射後の時間0及び15分に、100μlのサンプルとして収集した。ラットを64.8mg/kgのペントバルビタールナトリウムで麻酔した。ヘパリン化生理食塩水溶液を満たしたカテーテルを、採血のために左大腿動脈に挿入し、延長チューブ、1mLサンプリングシリンジ及び過剰な血液を戻すことを可能にする3ウェイコックが装着されていた。
成長ホルモン(GH)の血漿中レベルは、ラットGH ELISA(Millipore,カタログ番号EZRMGH-45K)を使用して決定した。測定は2回行った。台形法を使用して、GH AUC 0~15分を計算した。一元配置及び二元配置分散分析検定を使用して、グループ間の差異を比較した。すべての値は平均±SEMとして表される。一元配置分散分析を行った後に、トルコ事後検定を行い、p値<0.05又はp値<0.01で有意性が示された。
生理食塩水の注射は、血漿GHのわずかな増加をもたらした。グレリン自体は、注射から15分後にGHの強力な増加を誘発した。15μg/kgのグレリンを静脈内投与した後の平均血漿GH濃度は、90~120ng/mLの範囲であった。HM04及びR011の両方は、グレリンによって誘発されるGHの増加をそれぞれ35%及び78%抑制した。グレリン注射の0分及び15分後の時点で4つの群のそれぞれについて観察された平均血漿中成長ホルモン濃度を図22に示す(***p<0.01 vsビヒクル、###p<0.05(グレリンのみと比較))。
例13.プラダーウィリーマウスモデルにおけるHM04フマル酸塩の効果
摂食行動及び耐糖能に及ぼすHM04フマル酸塩の効果を、野生型(WT)同腹子と比較したプラダーウィリー症候群(Hetマウス)のSnord116+/-(Het)マウス遺伝モデルで調査した。D2R作動薬は食物摂取を抑制するため、FDA承認のD2R作動薬であるカベルゴリンを実験対照として使用した。このPWSマウスモデルの表現型の特徴としては、過食症、出生後の成長遅延、高グレリン及び低成長ホルモンが挙げられる。Ding F.らのSnoRNA Snord116(Pwcr1/MBII-85)の削除は、マウスの成長不全及び過食を引き起こす。PloS one. 2008; 3(3):e1709。これらのPWSマウスは、特に明サイクル中にWTの同腹子よりも頻繁に摂食し、また、食物を求めて働く意欲が高まる(より高レベルのプレス)(データは示していない)。
10mg/kg腹腔内(i.p.)で投与されたHM04は、3、7又は12ヶ月齢のWTマウスの摂食量を減少させなかった(図25~27を参照)。HM04(10mg/kg、腹腔内)は、3ヶ月齢のHetマウスの投与後12及び24時間で食物摂取を抑制した(図26)。HM04(10mg/kg、腹腔内)は、12ヶ月齢のHetマウスの投与後1時間における摂食量を抑制したが(図25A)、その抑制レベルは維持されなかった(図25B)。30mg/kg、腹腔内で投与されたHM04は、7か月齢のHetマウスでは投与後8時間まで食物摂取を抑制したが、WTマウスでは抑制しなかった(図26)。HM04を30mg/kgで、8か月齢のHetマウスに毎日07.00時に5日間経口投与したところ、体重に影響を与えることなく、食物摂取量を最大2日間減少させた(図30A及び30B)。8ヶ月齢のHetマウスに対して、暗サイクル中に18.00時にHM04を30mg/kgで経口投与したときに、2、3、4及び5日目の後続の明サイクル中の食物摂取量は低く、5日目に有意に達した(図31A)。
食物摂取の効果とは対照的に、HM04はHetマウスにおける耐糖能の改善を示さなかったが、WTマウスでは効果が観察された。これらの結果は、年齢、概日リズム、エネルギー状態及び代謝に関連する要因が薬物動態的応答に影響を与える可能性があるけれども、HM04がPWSに関連する過食症を改善する可能性があることを示唆している。
急性投与:マウス(3、7及び12か月齢)を16時間絶食させ、次いで、ビヒクル又は下記の表8によるHM04、カベルゴリン又はHM04及びカベルゴリンを含むビヒクルを単回腹腔内注射で投与した。
Figure 0007171728000021
HM04を注射用の水に溶解し、カベルゴリンをDMSO中に溶解して、注射用の5%DMSO/水溶液を提供した。その後、マウスに自由に食物を摂取させ、投与後1、2、4、8、12及び24時間で累積食物摂取量を測定した。HetマウスはWT同腹子対照よりも有意に小さいので、摂食量は体重1gあたりの摂取量として表した。二元配置分散分析検定、Bonferroni事後検定(Graphpad Prism,Prism 5.0,San Diego,CA)を使用して、データの有意性を分析した。
7か月齢の群では、ビヒクルで処理したWTマウスと比較して、ビヒクルで処理したHetマウスにおける累積摂食量は有意に向上した。カベルゴリンは両方の遺伝子型で摂食を抑制した。対照的に、HM04(10mg/kg)は、WT又はHetマウスのいずれでも食物摂取を抑制せず、食物消費に対するカベルゴリンの抑制効果を高めることができなかった(図23A及び23B)。
3か月齢の群では、累積的な食物摂取量は、最初の8時間のビヒクル処理マウスでは有意差はなかった。12時間後及び24時間後では、HetマウスはWTマウスよりも多くの食物を消費していた。HM04(10mg/kg)による処理は、Hetマウスの投与後12及び24時間で食物摂取を有意に抑制した(図24を参照されたい)。HM04は、WTマウスにおける食物摂取を阻害できなかった。
12か月齢のマウスにおいて、ビヒクル処理したHetマウスの方がWTマウスよりも食物摂取量が有意に多かった。HM04(10mg/kg)は、投与後1時間のHetマウスにおける摂食を抑制したが(図25A)、しかし、その抑制レベルは維持されなかった(図25B)。
30mg/kgの高用量でビヒクル又はHM04を投与した7か月齢のHet及びWTマウスの群も評価された。HM04(30mg/kg)は、WTマウスにおける食物摂取には明らかな影響を与えなかったが、Hetマウスでは最大8時間、食物摂取を抑制した(図26)。
毎日の投与:HM04を毎日投与した方が効果的かどうかをテストするために、6か月齢のマウスに1日1回07.00時に10日間、ビヒクル又はHM04を含むビヒクル(10mg/kg腹腔内)を注射し、8か月齢のマウスに、毎日07.00時又は18.00時に5日間、ビヒクル又は30mg/kgの高用量のHM04を含むビヒクルを強制経口投与した。以下の表9に要約を示す。食物摂取量及び体重を毎日測定した。
Figure 0007171728000022
生後6か月齢の群では、食物消費は、ビヒクル処理されたWTマウス及びHetマウスで有意差はなかった。HM04(10mg/kg腹腔内)による毎日の治療は、WT及びHetマウスにおける食物摂取(図27A)又は体重(図27B)に対して明らかな影響を与えなかった。
明サイクルの間の07.00時に処理された8か月齢の群では、食物摂取量の有意な減少は2日目まで観察されたが、翌日以降には観察されなかった(図28A)。体重は影響を受けなかった(図28B)。HM04 WTマウスでは食物摂取量又は体重の減少は観察されなかった(図28A及び28B)。
暗サイクルの間の18.00時に処理された8か月齢の群では、食物摂取量を明サイクル及び暗サイクルの両方で測定した。暗サイクルの初めにマウスをHM04で処理したにもかかわらず、WTマウス又はHetマウスのいずれにおいても、暗サイクル中に食物消費の抑制は観察されなかった(図29B)。次の明サイクル(06.00~18.00)の間に、2、3、4及び5日目にはHM04処理のHetマウスで食物摂取量は低下したが、WTマウスでは低下せず、5日目に有意に達した(図29A)。
上述の明細書は、当業者が実施形態を実施できるようにするのに十分であると考えられる。上述の記載及び実施例は、特定の実施形態を詳述し、発明者らによって企図された最良の形態を記載している。しかしながら、上述の内容がいかに詳細にテキストに現れても、実施形態は多くの方法で実施されることができ、添付の特許請求の範囲及びその均等形態に従って解釈されるべきであることが理解される。
本明細書で使用するときに、約という用語は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、例えば、整数、分数及び百分率を含む数値を指す。約という用語は、当業者が列挙された値と同等であると考える(例えば、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲(例えば、列挙された範囲の+/-5~10%)を指す。少なくとも及び約などの用語が数値又は範囲のリストの前にあるときに、その用語は、リストに提供されているすべての値又は範囲を修飾する。幾つかの場合において、約という用語には、最も近い有効数字に端数処理された数値が含まれることができる。

Claims (33)

  1. (R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアフマル酸塩。
  2. 前記塩は1:1の(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア:フマル酸の塩である、請求項1記載の塩。
  3. 前記塩は少なくとも50%が結晶形態である、請求項1又は2のいずれか1項記載の塩。
  4. 前記塩は少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が結晶形態である、請求項1~3のいずれか1項記載の塩。
  5. CuKα線を使用するXRPDによって決定される図12のXRPDパターンを特徴とする形態1を含む、請求項1~のいずれか1項記載の塩。
    Figure 0007171728000023
  6. CuKα線を使用するXRPDによって決定される図3のXRPDパターンを特徴とする形態2を含む、請求項1~のいずれか1項記載の塩。
    Figure 0007171728000024
  7. CuKα線を使用するXRPDによって決定される図15のXRPDパターンを特徴とする形態3を含む、請求項1~のいずれか1項記載の塩。
    Figure 0007171728000025
  8. CuKα線を使用するXRPDによって決定される図16のXRPDパターンを特徴とする形態4を含む、請求項1~のいずれか1項記載の塩。
    Figure 0007171728000026
  9. 7.8±0.2、9.5±0.2、14.3±0.2、16.7±0.2、17.2±0.2、18.5±0.2、18.8±0.2、19.3±0.2、20.0±0.2、20.7±0.2、22.4±0.2、23.2±0.2、25.6±0.2、27.2±0.2、31.7±0.2及び32.4±0.2度の2θにピークを含む、CuKα線を使用する、XRPDパターンを特徴とする形態1を含む、請求項1~のいずれか1項記載の塩。
  10. 7.2±0.2、9.4±0.2、9.7±0.2、10.8±0.2、14.3±0.2、15.1±0.2、16.2±0.2、17.9±0.2、18.7±0.2、18.9±0.2、19.6±0.2、21.5±0.2、22.7±0.2、23.7±0.2、24.3±0.2、25.1±0.2、27.4±0.2、28.7±0.2及び34.9±0.2度の2θにピークを含む、CuKα線を使用するXRPDパターンを特徴とする形態3を含む、請求項1~のいずれか1項記載の塩。
  11. 12.2±0.2、13.2±0.2、15.0±0.2、15.4±0.2、17.6±0.2、18.1±0.2、19.5±0.2、20.2±0.2、20.9±0.2、21.4±0.2、23.0±0.2、23.4±0.2、24.4±0.2、24.8±0.2、25.9±0.2、27.9±0.2、28.9±0.2、29.6±0.2及び30.7±0.2度の2θにピークを含む、CuKα線を使用するXRPDパターンを特徴とする形態4を含む、請求項1~のいずれか1項記載の塩。
  12. CuKα線を使用するXRPDによって決定される図1AのXRPDパターンを特徴とする結晶性化合物である(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレア。
    Figure 0007171728000027
  13. 請求項1~11のいずれか1項記載の塩又は請求項12記載の結晶性化合物を含む医薬品。
  14. 請求項1~11のいずれか1項記載の塩又は請求項12記載の結晶性化合物及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
  15. (R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアをフマル酸と混合させることを含む、請求項1~11のいずれか1項記載の塩を調製する方法。
  16. フマル酸と混合させるときに、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは固体形態である、請求項15記載の方法。
  17. フマル酸と混合させるときに、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは溶液中である、請求項15記載の方法。
  18. フマル酸と混合させる前に、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは酸/塩基抽出される、請求項1517のいずれか1項記載の方法。
  19. フマル酸と混合させる前に、(R)-3-(1-(2,3-ジクロロ-4-(ピラジン-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-1-メチル-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ウレアは酸/塩基抽出されない、請求項1517のいずれか1項記載の方法。
  20. 細胞におけるグレリンシグナル伝達活性を低下させるための、請求項1~11のいずれか1項記載の塩又は請求項12記載の結晶性化合物を含む医薬組成物。
  21. 前記細胞がインビトロで前記塩又は結晶性化合物に曝露される、請求項20記載の医薬組成物。
  22. 前記グレリンシグナル伝達活性は、蛍光画像形成プレートリーダー(FLIPR)アッセイによって検出される細胞内カルシウムのレベルによって測定される、請求項20又は請求項21記載の医薬組成物。
  23. 前記細胞内カルシウムのレベルは低減される、請求項22記載の医薬組成物。
  24. 対象におけるグレリンシグナル伝達活性を低下させるための、請求項1~11のいずれか1項記載の塩又は請求項12記載の結晶性化合物を含む医薬組成物。
  25. グレリンレベルの増加に関連する状態又は障害を有する対象を治療するための、請求項1~11のいずれか1項記載の塩又は請求項12記載の結晶性化合物を含む医薬組成物。
  26. 前記状態又は障害は食物乱用、アルコール依存症及びプラダーウィリー症候群から選ばれる、請求項25記載の医薬組成物。
  27. 前記状態又は障害は過食症、肥満、ダイエット後の体重リバウンド及び食欲亢進から選ばれる、請求項25又は請求項26記載の医薬組成物。
  28. 前記対象に経口投与される、請求項2427のいずれか1項記載の医薬組成物。
  29. 前記対象の成長ホルモンの循環レベルは調節される、請求項2428のいずれか1項記載の医薬組成物。
  30. 前記対象の成長ホルモンの循環レベルは低減される、請求項2429のいずれか1項記載の医薬組成物。
  31. 前記対象の食物摂取量は低減される、請求項2430のいずれか1項記載の医薬組成物。
  32. 前記対象の体重は低減される、請求項2431のいずれか1項記載の医薬組成物。
  33. 前記対象の体重は安定している、請求項2431のいずれか1項記載の医薬組成物。
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