JP7170149B2 - 鞍乗り型車両の操舵アシスト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗り型車両の操舵アシスト装置に関する。
本願は、2019年9月30日に出願された日本国特願2019-179031号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
特許文献1には、乗用車の駐車を支援する制御装置において、運転者によるステアリング操作の方向が、障害物との接触を回避する回避方向と同方向である場合と、前記回避方向と逆方向である場合とで、ステアリングアクチュエータが発生する操舵トルクの方向または大きさを異ならせることが開示されている。これにより、ステアリングアクチュエータが発生する操舵トルクによって障害物との接触回避を支援しながら、アクチュエータが発生する操舵トルクに邪魔されることなく、運転者の意思に沿うステアリング操作を可能としている。
日本国特開2008-55985号公報
ところで、上記従来技術には、鞍乗り型車両の運転支援システムの作動時における適切なアシストステアについては開示がない。例えば追突軽減ブレーキや車線逸脱警告、ブラインドスポットインフォメーションといったシステムの作動時における適切な制御が要望されている。
本発明の態様は、車体をロールさせて操舵輪に舵角を発生させる鞍乗り型車両の操舵アシスト装置において、運転支援システムの作動時における適切なアシストステア制御を図る。
(1)本発明に係る一態様の鞍乗り型車両の操舵アシスト装置は、車体をロール方向に揺動させて操舵輪に舵角を発生させる鞍乗り型車両の操舵アシスト装置において、前記操舵輪を支持する懸架装置にアシストトルクを付与するステアリングアクチュエータと、前記ステアリングアクチュエータを駆動制御する制御手段と、車両周囲の状況を検知する外部検知手段と、を備え、前記制御手段は、前記外部検知手段が自車の左右何れかに障害物を検知した場合には、前記障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作が、前記障害物を検知しない場合に比べて重くなるように、前記アシストトルクを制御する。
(2)上記(1)の態様において、前記制御手段は、自車の左右何れかに障害物を検知し、かつ、前記障害物を検知した側への自車の進路変更予測動作を検知した場合には、前記障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作が重くなるように前記アシストトルクを制御してもよい。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記制御手段は、自車と同一の車線内で自車後方に位置する他車が、左右何れかのウインカを出していることを検知したとき、前記ウインカが出ている側に障害物の存在を予測して検知してもよい。
上記(1)の態様によれば、運転支援システムにより自車の左右の障害物を検知させながら、この障害物検知情報を基に、障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作を重くする。車体をロールさせて舵角を発生させる鞍乗り型車両において、障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作は、障害物を検知した側への進路変更の起点となる逆ハンドル操作となる。この逆ハンドル操作を抑制することで、障害物を検知した側への進路変更を抑制することができる。このように、車両周囲の状況に応じて適切なアシストステア制御を実施することが可能となり、運転支援システムの効果を高めることができる。
上記(2)の態様によれば、障害物を検知した側への自車の進路変更予測動作を検知するまでは、アシストトルクを通常通り発生させることが可能となる。これにより、運転者の違和感の少ないアシストステア制御を実施することができる。
上記(3)の態様によれば、自車後方の左右何れかに実際に他車の存在を検知した場合に加えて、他車の存在が予測される場合にも、適切なアシストステア制御を実施することができる。
本発明の実施形態における自動二輪車の左側面図である。 上記自動二輪車の制御装置の構成図である。 上記自動二輪車の操舵アシスト装置の構成図である。 上記操舵アシスト装置のふらつき抑制アシストトルク算出ブロックの構成図である。 図1のV矢視図である。 上記自動二輪車の運転支援システムの機能別の警告例、および高安定化制御に移行する際のトリガー案を示す表である。 上記運転支援システムの追突軽減ブレーキの警告閾値の説明図である。 上記運転支援システムの車線逸脱警告の警告閾値の説明図である。 上記運転支援システムのブラインドスポットインフォメーションの警告閾値の説明図である。 上記操舵アシスト装置のアシスト強さと車速との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中心を示す線CL、が示されている。
<車両全体>
図1に示すように、本実施形態は、大型のカウリングを備えた自動二輪車(鞍乗り型車両)1に適用されている。自動二輪車1の前輪2は、前輪懸架装置3に支持されている。前輪懸架装置3は、車体フレーム5の前端部に支持されている。車体フレーム5の前端部には、前輪懸架装置3を支持するフロントブロック6が設けられる。フロントブロック6の上部には、前輪転舵用のバーハンドル4が取り付けられている。バーハンドル4は、ライダー(運転者)Jが把持する左右一対のグリップを備えている。
フロントブロック6の後方には、左右一対のメインフレーム7が斜め下後方に延びている。左右メインフレーム7の後端部は、それぞれ左右一対のピボットフレーム8の上端部に接続されている。左右メインフレーム7の下方かつ左右ピボットフレーム8の前方には、例えば水平対向六気筒型のエンジンを含むパワーユニットUが搭載されている。
左右ピボットフレーム8には、スイングアーム11の前端部が支持されている。スイングアーム11の後端部には、自動二輪車1の後輪12が支持されている。スイングアーム11の前部と車体フレーム5の前後中間部との間には、不図示のリヤクッションが介設されている。
左右ピボットフレーム8の後部には、リヤフレーム9の前端部が接続されている。リヤフレーム9の上方には、乗員着座用のシート14が配置されている。シート14の下方には、燃料タンク15が配置されている。シート14の後方には、リヤトランク16が配置されている。リヤトランク16の下方の左右両側には、左右サドルバッグ17がそれぞれ配置されている。
自動二輪車1は、前輪2を制動する前輪ブレーキ2Bと、後輪12を制動する後輪ブレーキ12Bと、を備えている。前後ブレーキ2B,12Bは、それぞれ油圧ディスクブレーキである。自動二輪車1は、前後ブレーキ2B,12Bに対する油圧を給排するブレーキアクチュエータ42(図5参照)を備えている。自動二輪車1は、前後ブレーキ2B,12Bと、ライダーJが操作するブレーキレバーおよびブレーキペダル等のブレーキ操作子と、を電気的に連係させるバイワイヤ式のブレーキシステムを構成している。
<前輪懸架装置>
前輪懸架装置3は、フロントブロック6の上端部に設けられるハンドル支持部6aと、ハンドル支持部6aに回動可能に支持されるハンドルポスト4aと、車体フレーム5とは別体のヘッドパイプ3aと、ヘッドパイプ3aに回動可能に支持されるフロントフォーク部材3bと、フロントフォーク部材3bの上端部に一体回動可能に取り付けられる転舵部材3cと、転舵部材3cとハンドルポスト4aとを連結するリンク部材4bと、フロントブロック6に対してヘッドパイプ3aを揺動可能に連結する揺動アーム3dと、フロントフォーク部材3bとフロントブロック6との間に介設されるクッションユニット3eと、を備えている。
フロントフォーク部材3bは、左右フォークの下端部に前輪2を支持する。フロントフォーク部材3bの上端部には、ステアリング軸が一体に設けられ、このステアリング軸がヘッドパイプ3aに挿通支持されている。ステアリング軸の上端部は、ヘッドパイプ3aの上方に突出し、この上端部に転舵部材3cが取り付けられている。
以下、ハンドル支持部6aに対するハンドルポスト4aの回動中心軸線をハンドル回動軸線C2と称する。ヘッドパイプ3aに対するフロントフォーク部材3bの回動中心軸線をステアリング軸線C3と称する。ステアリング軸線C3は、ハンドル回動軸線C2よりも前方にオフセット(離間)している。ステアリング軸線C3とハンドル回動軸線C2とは、車両の1G状態で互いに実質的に平行である。
図5は、図1におけるステアリング軸線C3およびハンドル回動軸線C2に沿う矢印V方向から見た矢視図である。図5において、リンク部材4bは、転舵部材3c及びハンドルポスト4aと共に平行リンクを形成する。これにより、バーハンドル4の操舵角と前輪2の転舵角とが互いに同一になる。
図1を参照し、揺動アーム3dは、前端部がヘッドパイプ3aに上下揺動可能に支持されるとともに、後端部がフロントブロック6に上下揺動可能に支持されている。揺動アーム3dは、上下一対のアーム部材を備えている。揺動アーム3dは、ヘッドパイプ3aを規定の軌跡で上下動可能とする。例えば下アーム部材には、クッションユニット3eの下端部が連結されている。
前輪懸架装置は、揺動アーム3dを上方へ揺動させて、フロントフォーク部材3b及びヘッドパイプ3aを上方移動させる。このとき、下アーム部材がクッションユニット3eの下端部を上方移動させて、クッションユニット3eを圧縮させる。
前輪懸架装置は、揺動アーム3dを下方へ揺動させて、フロントフォーク部材3b及びヘッドパイプ3aを下方移動させる。このとき、下アーム部材がクッションユニット3eの下端部を下方移動させて、クッションユニット3eを伸長させる。
<制御装置>
図2は、本実施形態における自動二輪車1の制御装置23の構成図である。
自動二輪車1は、各種センサ類21から取得した検知情報に基づき、各種装置類22を作動制御する制御装置23を備えている。制御装置23は、例えば一体または複数体の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)として構成されている。制御装置23は、少なくとも一部がソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。制御装置23は、エンジン10の運転を制御する燃料噴射制御部、点火制御部およびスロットル制御部を含んでいる。自動二輪車1は、スロットル装置48等のエンジン補機と、ライダーJが操作するアクセルグリップ等のアクセル操作子と、を電気的に連係させるバイワイヤ式のエンジン制御システムを構成している。
各種センサ類21は、スロットルセンサ31、車輪速センサ32およびブレーキ圧センサ33の他、車体加速度センサ34、舵角センサ35、操舵トルクセンサ36および車速センサ37、ならびに外部検知手段38を含んでいる。
各種センサ類21は、ライダーJの各種操作入力、ならびに自動二輪車1および乗員の各種状態、ならびに自車周囲の状況を検知する。各種センサ類21は、制御装置23に各種の検知情報を出力する。
スロットルセンサ31は、スロットルグリップ等のアクセル操作子の操作量(加速要求)を検知する。
ブレーキ圧センサ33は、前記ブレーキ操作子の操作力(減速要求)を検知する。
車体加速度センサ34は、5軸または6軸のIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)である。車体加速度センサ34は、車体における3軸(ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸)の角速度および加速度を検知し、さらにその結果から角度を検知する。以下、車体加速度センサ34を車体角速度センサ34ということがある。
舵角センサ35は、例えば操舵軸(ステアリング軸又はハンドル回動軸)に設けられたポテンショメータである。舵角センサ35は、車体に対する操舵軸の回動角度(操舵角度)を検知する。
操舵トルクセンサ36は、例えばフォーク部材3bのステアリング軸(又はハンドルポスト4aの回動軸)に設けられた磁歪式トルクセンサであり、バーハンドル4から入力される捩じりトルク(操舵入力)を検知する。操舵トルクセンサ36は、バーハンドル4(ステアリング操作子)に入力される操舵力を検知する荷重センサの一例である。
実施形態の前輪懸架装置3は、バーハンドル4を支持するハンドルポスト4aの回動軸と、前輪2を操向可能とするステアリング軸と、が互いに別体であるが、これに限らない。例えば、一般的な前輪懸架装置のように、ハンドル回動軸と操舵軸(前輪回動軸)とが互いに同一であってもよい。前輪懸架装置が車体フレーム5前端部のヘッドパイプに支持される構成であってもよい。
外部検知手段38は、例えば、カメラと、レーダ装置と、ファインダと、物体認識装置と、を含んでいる。
カメラは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラは、自動二輪車1の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラは、車体部品(転舵側および非転舵側を含む)や種々外装部品等に取り付けられる。カメラは、例えば、周期的に繰り返し自動二輪車1の周辺(例えば前後左右)を撮像する。カメラが撮像した画像は、適宜の画像処理がなされ、所望の画像データとなって種々の制御に用いられる。カメラからの情報は、検知方向の物体の位置、種類、速度等の認識に供され、この認識に基づいて、自動二輪車1の運転アシスト制御や自動運転制御等がなされる。例えば、カメラは、可視光のみならず赤外線等の不可視光を撮影するカメラでもよい。
レーダ装置は、自動二輪車1の周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検知する。レーダ装置は、自動二輪車1の任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置は、自動二輪車1の前後左右の物体の位置および速度を検知する。
ファインダは、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダは、自動二輪車1の周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダは、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検知する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダは、自動二輪車1の任意の箇所に取り付けられる。
物体認識装置は、カメラ、レーダ装置、およびファインダのうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置は、認識結果を制御装置23に出力する。物体認識装置は、カメラ、レーダ装置、およびファインダの検出結果をそのまま制御装置23に出力してもよい。物体認識装置は省略されてもよい。
自動二輪車1には、自動運転システムが採用されている。
ここで、車両の自動運転には、以下の度合が存在する。自動運転の度合は、例えば、所定の基準未満であるか、所定の基準以上であるかといった尺度で判断することができる。 自動運転の度合が所定の基準未満とは、例えば、手動運転が実行されている場合、またはACC(Adaptive Cruise Control System)やLKAS(Lane Keeping Assistance System)等の運転支援装置のみが作動している場合である。自動運転の度合が所定の基準未満の運転モードは、「第1の運転モード」の一例である。
自動運転の度合が所定の基準以上とは、例えば、ACCやLKASよりも制御度合の高い、ALC(Auto Lane Changing)、LSP(Low Speed Car Passing)等の運転支援装置が作動している場合、或いは、車線変更や合流、分岐までを自動的に行う自動運転が実行されている場合である。自動運転の度合が所定の基準以上の運転モードは、「第2の運転モード」の一例である。
上記「所定の基準」については任意に設定することができる。第1の運転モードは手動運転であり、第2の運転モードは自動運転であるものとする。本実施形態は、第1の運転モードに相当する運転アシスト制御(運転支援システム)に適用されるが、自動運転制御に適用されてもよい。
図2を参照し、各種装置類22には、エンジン制御手段45、ブレーキアクチュエータ42およびステアリングアクチュエータ43を含んでいる。
エンジン制御手段45は、燃料噴射装置46、点火装置47およびスロットル装置48等を含んでいる。すなわち、エンジン制御手段45は、エンジン10を駆動させるエンジン補機を含んでいる。
ブレーキアクチュエータ42は、ブレーキ操作子への操作に応じて前後ブレーキ2B12Bに油圧を供給してこれらを作動させる。ブレーキアクチュエータ42は、ABS(Anti-lock Brake System)の制御ユニットを兼ねている。
ステアリングアクチュエータ43は、バーハンドル4からフォーク部材3bまでの操舵機構に操舵トルクを出力する。ステアリングアクチュエータ43は、操舵トルクセンサ36の検知情報に応じて、自身の駆動源である電気モータを作動させ、操舵機構にアシストトルクを付与する。ステアリングアクチュエータ43は、前記電気モータの作動を電気的に制御するST-ECUを含んでいる。
図5を参照し、ステアリングアクチュエータ43は、ハンドル支持部6aの左側方に配置されて車体フレーム5に取り付けられている。ステアリングアクチュエータ43は、前記電気モータの駆動軸43aをハンドル回動軸と平行にして配置されている。駆動軸43aには、揺動アーム43bが一体回動可能に取り付けられている。揺動アーム43bは、ハンドルポスト4aのアクチュエータ連結部4a1と連結ロッド43cを介して連結されている。これにより、前記電気モータの駆動力(トルク)がハンドルポスト4aに伝達可能であり、もって前輪2の操舵がアシストされる。
<操舵アシスト制御>
図1を参照し、車体加速度センサ34は、自動二輪車1の車体(例えば車体フレーム5)に支持されている。例えば、車体加速度センサ34は、側面視で後輪12の接地点Gpとヘッドパイプ3aの略中央部とを結ぶ線分Lの近傍に配置されている。車体加速度センサ34は、自動二輪車1のヨー方向の角速度Yとロール方向の角速度Rとを検知する。以下、ヨー方向の角速度YをヨーレートYということがある。なお、実施形態の車体とは、車体フレーム5のみならず、車体フレーム5と一体的にローリング、ピッチングおよびヨーイングといった挙動をなす構成を含む。
自動二輪車1の低速時には、バーハンドル4の操作による転舵(ヨー)が発生してから車体のバンク(ロール)が発生する特性を有する。つまり、自動二輪車1の低速時には、ヨーが先行して発生するので、ヨー角速度Yを多く検知することが好ましい。一方、自動二輪車1の高速時には、車体のバンク(ロール)が発生してから転舵(ヨー)が発生する特性を有する。つまり、自動二輪車1の高速時には、ロールが先行して発生するので、ロール角速度Rを多く検知することが好ましい。この特性を自動二輪車1の転舵特性と称する。
図4を参照し、制御装置23は、車体加速度センサ34が検知したヨー角速度Y及びロール角速度Rを合成し、合成角速度Sを生成する。制御装置23は、検知された車速Vに応じて、車体加速度センサ34が検知したヨー角速度Y及びロール角速度Rの重み付けを以下のように変えて合成する。つまり、上記した自動二輪車1の転舵特性から、車速Vが低いときにはヨー角速度Yの重み付けをロール角速度Rより大きくして合成し、車速Vが高いときにはロール角速度Rの重み付けをヨー角速度Yより大きくして合成する。
合成角速度Sの生成は、例えば、次の(1)式に示すように、ヨー角速度Yに第1調整値AD1を乗算した値(Y×AD1)と、ロール角速度Rに第2調整値AD2を乗算した値(R×AD2)と、を加算することで、合成角速度Sを生成してもよい。
S=Y×AD1+R×AD2…(1)
この場合、第1調整値AD1は、低速側で大きく高速側で小さくなるように設定される。第2調整値AD2は、低速側で小さく高速側で大きくなるように設定される。
図3は、操舵アシスト装置50の構成図である。
操舵アシスト装置50は、操舵トルクセンサ36、車速センサ37、車体角速度センサ34、外部検知手段38、制御装置23およびステアリングアクチュエータ43を備えている。
車速センサ37は、例えば自動二輪車1のパワーユニットUの出力軸の回転速度を検知し、この回転速度から後輪12の回転速度ひいては自動二輪車1の車速を検知する。なお、ABSおよびTCS(Traction Control System)の少なくとも一方から車輪速情報を得て車速を検知してもよい。
制御装置23は、パワーアシストトルク算出ブロック00、およびふらつき抑制アシストトルク算出ブロック300、ならびに付与トルク算出部400を備えている。各ブロック00、300は、単独に動作することが可能であり、全体として動作することも可能である。
パワーアシストトルク算出ブロック00は、車速Vと操舵トルクTsとに基づき、バーハンドル4に付与するパワーアシストトルクTpを算出する。車速Vは、車速センサ37の検知情報すなわち駆動輪(後輪12)の回転速度から算出される。操舵トルクTsは、運転者によるバーハンドル4への入力トルクに相当し、操舵トルクセンサ36の検知情報から算出される。パワーアシストトルクTpは、運転者のバーハンドル4の操舵を軽減するためのトルクである。
ふらつき抑制アシストトルク算出ブロック300は、車速Vとヨー角速度Yおよびロール角速度Rとに基づき、バーハンドル4に付与するふらつき抑制アシストトルクTwを算出する。ヨー角速度Yおよびロール角速度Rは、車体角速度センサ34の検知情報から算出される。ふらつき抑制アシストトルクTwは、自動二輪車1のふらつきを抑制するためのトルクである。例えば、ふらつき抑制アシストトルクTwは、自動二輪車1が左に傾いた場合は、バーハンドル4および前輪2を左に切る方向に作用する。ふらつき抑制アシストトルクTwは、自動二輪車1が右に傾いた場合は、バーハンドル4および前輪2を右に切る方向に作用する。
付与トルク算出部400は、外部検知手段38の検知情報等に基づき、後述の付与トルクTmsを算出する。
制御装置23は、加算器224及びモータ駆動部226を備えている。
加算器224は、次の(2)式に示すように、パワーアシストトルクTpと、ふらつき抑制アシストトルクTwと、を加算し、アシストトルクTmを生成する。加算器224は、生成したアシストトルクTmをモータ駆動部226に出力する。
Tm=Tp+Tw…(2)
モータ駆動部226は、アシストトルクTmをトルク電流に変換し、ステアリングアクチュエータ43の電動モータに供給する。電動モータは、トルク電流が供給されている間に駆動し、トルク電流に応じた駆動力を発生する。電動モータの駆動力は、連結ロッド43c等を介してハンドルポスト4aに伝達され、バーハンドル4および前輪2の回動をアシストする。すなわち、バーハンドル4および前輪2に対し、アシストトルクTmに応じた駆動力(補助力)が付与される。
図4を参照し、ふらつき抑制アシストトルク算出ブロック300は、合成角速度生成部302と、乗算器304と、第1車速補正係数生成部306と、第2車速補正係数生成部308と、乗算器310と、加算器312と、除算器314と、乗算器316と、を備えている。
合成角速度生成部302は、車体角速度センサ34が検知したヨー角速度Y及びロール角速度Rを合成して、自動二輪車1の挙動を示す合成角速度(車体挙動レート)Sを生成する。
乗算器304は、合成角速度Sと合成角速度Sとを乗算して合成角速度Sの二乗を生成する。
第1車速補正係数生成部306は、車速Vに基づきふらつきを抑制する第1車速補正係数Fを生成する。
第2車速補正係数生成部308は、車速Vに基づきふらつきを抑制する第2車速補正係数Gを生成する。
乗算器310は、第2車速補正係数Gと合成角速度Sの二乗とを乗算する。
加算器312は、乗算器310が出力した値(G×S)と定数αとを加算する。
除算器314は、第1車速補正係数Fを加算器312が出力した値(G×S+α)で除算する。
乗算器316は、除算器314が出力した値(F/(G×S+α))に合成角速度Sを乗算する。すなわち、乗算器316は、次の(3)式に示すふらつき抑制アシストトルクTwを出力する。
Tw=F×S/(G×S+α)…(3)
自動二輪車1がふらついている場合(運転者の意図しない傾きが発生している場合)、合成角速度Sは相対的に小さい値となる。自動二輪車1が運転者の体重移動の操作により傾いている場合、合成角速度Sは相対的に大きい値となる。これらの場合に対し、ふらつき抑制アシストトルクTwを(3)式によって算出することで、以下の効果を得る。すなわち、合成角速度Sが大きい時には、ふらつき抑制アシストトルクTwを小さくすることができる。従って、運転者の体重移動による操作の邪魔をしないよう、ふらつき抑制アシストトルクTwを設定し、ドライバビリティの向上を図ることができる。
合成角速度生成部302は、前述したように、低速側ではヨー角速度Yの重み付けを大きくロール角速度Rの重み付けを小さくしてこれらを合成(加算)する。合成角速度生成部302は、高速側ではヨー角速度Yの重み付けを小さくロール角速度Rの重み付けを大きくしてこれらを合成(加算)する。自動二輪車1の転舵特性を鑑みると、低速時にはヨー角速度Yを多く検知し、高速時にはロール角速度Rを多く検知することが、自動二輪車1の挙動を高精度に検知する点で好ましい。
そして、制御装置23は、自動二輪車1の挙動が大きい場合は、運転者の体重操作によるものと判断してアシストトルクTwを小さくする。制御装置23は、自動二輪車1の挙動が小さい場合は、運転者の体重操作ではなく車体のふらつきであると判断してアシストトルクTwを大きくする。
このように、自動二輪車1が低速時及び高速時のどちらにあっても、運転者の操作に対して違和感のないふらつき抑制アシストを行うことができる。
ところで、前述した運転アシスト制御を行う場合、自動二輪車1にはライダーが意図しない挙動が生じる。このため、運転アシスト制御を行わない場合の通常のアシストステア制御に比べて、車体の安定化の効果を高めることが望ましい。つまり、運転アシスト制御の発動時には、アシストトルクTmを増加させることが望ましい。本実施形態では、自動二輪車1の運転支援システム(ARAS:Advanced rider assistance system)の規定の機能(警告を含む)が作動した際には、車体挙動安定性重視の制御に移行する。
本実施形態において、車体挙動安定性重視の制御を適用する機能は、自動二輪車1の運転支援システムの諸機能の内、例えば以下の三つである。
第一に、追突軽減ブレーキ(CMBS:Collision Mitigation Brake System)であり、第二に、車線逸脱警告(LDW:Lane Departure Warning)であり、第三に、ブラインドスポットインフォメーション(BSI:Blind Spot Information)である。
まず、CMBSの例について説明する。
図6、図7を参照し、実施形態のCMBSでは、三段階の警告閾値TTCが設定されている。CMBSの警告閾値TTCには、自車M前方の他車T等の障害物に対する相対時間距離(現状速度で規定時間内に進む距離)が用いられる。第一の警告閾値t1は、インジケータランプや液晶パネル等を用いた注意表示(第一の警告)を行う際の閾値である。第一の警告は、障害物からの相対時間距離が閾値t1以下になったときに発動する。
第二の警告閾値t2は、第一の警告よりも強い第二の警告(例えば車体の身体接触部分を振動させる等のライダーの触覚に対する警告、および弱い制動を行う等の車体挙動を発生させる警告)を行う際の閾値である。第二の警告は、障害物からの相対時間距離が閾値t1よりも短い閾値t2以下になったときに発動する。
第三の警告閾値t3は、第二の警告よりも強い第三の警告(例えばより強い振動等による警告、およびより強い制動等による警告)を行う際の閾値である。第三の警告は、障害物からの相対時間距離が閾値t2よりも短い閾値t3以下になったときに発動する。
第一から第三の各警告は、障害物からの相対時間距離が短くなるほど強まるように設定されている。
実施形態では、障害物からの相対時間距離が閾値t3以下となったとき(第三の警告フラグONのとき)、自動二輪車1の姿勢制御の向上を優先した高安定化制御に移行する。高安定化制御では、アシストステア制御ゲインをより高い高安定ゲインに補正する。これにより、アシストトルクTmの減少を抑えて高い値に維持し、自動二輪車1の姿勢制御の向上を図る。
次に、LDWの例について説明する。
図6、図8を参照し、実施形態のLDWでは、三段階の警告閾値TTLDが設定されている。LDWの警告閾値TTLDには、車両通行帯(走行レーン)の区画線(中央線、境界線および外側線等)L1から自車までの距離が用いられる。第一の警告閾値t1は、インジケータランプや液晶パネル等を用いた注意表示(第一の警告)を行う際の閾値である。第一の警告は、区画線L1からの距離が閾値t1以下になったときに発動する。
第二の警告閾値t2は、第一の警告よりも強い第二の警告(例えば車体の身体接触部分を振動させる等のライダーの触覚に対する警告、および弱い制動を行う等の車体挙動を発生させる警告)を行う際の閾値である。第二の警告は、区画線L1からの距離が閾値t1よりも短い閾値t2以下になったときに発動する。なお、閾値t2は距離0の場合を含む。すなわち、車線逸脱直前に第二の警告が発動する設定も有り得る。
第三の警告閾値t3は、第二の警告よりも強い第三の警告(例えばより強い振動等による警告、およびより強い制動等による警告)を行う際の閾値である。第三の警告は、区画線L1からの距離が閾値t2よりも短い閾値t3以下になったときに発動する。なお、閾値t3は負の距離の場合を含む。すなわち、車線逸脱量が閾値t3以上になったときに第三の警告が発動する設定も有り得る。
第一から第三の各警告は、区画線L1からの距離が短くなるかマイナス側に大きくなるほど強まるように設定されている。
実施形態では、区画線L1からの距離が閾値t3以下となったとき(第三の警告フラグONのとき)、自動二輪車1の姿勢制御の向上を優先したそれ以上の区画線L1への接近を抑制するように、アシストステア制御ゲインを調整する。高安定化制御に移行する。高安定化制御では、アシストステア制御ゲインをより高い高安定ゲインに補正する。
この制御では、例えば図8に示すように、自車Mが左側へ移動して区画線L1(外側線等)からの距離が閾値t3以下となった場合に、それ以上の自車Mの左側へ移動を抑えるべく、左側への移動の起点となる右側への逆ハンドル操作を制限する。具体的に、右側へのハンドル操作が左側へのハンドル操作よりも重くなるように、アシストステア制御ゲインを調整する。例えば、この制御では、区画線L1への接近が認められる側と反対側への逆ハンドル操作に対してのみ、アシストステア制御ゲインをより高い高安定ゲインに補正し、区画線L1への接近が認められる側へのハンドル操作に対しては、アシストトルクTmを減少させる制御を維持する。
これにより、アシストトルクTmの減少を抑えて高い値に維持し、自動二輪車1の姿勢制御の向上を図る。
次に、BSIの例について説明する。
図6、図9を参照し、実施形態のBSIでは、二段階の警告閾値が設定されている。BSIの警告閾値には、予め定めた検知フラグが用いられる。
BSIの警告閾値に用いる検知フラグは、例えば以下の第一フラグ及び第二フラグの二つのフラグである。
第一フラグは、自車Mよりも後方の左右何れかの検出エリアARに他車Tの存在を検知したことを示すフラグである。第二フラグは、第一フラグが立った状態で、他車Tが検知されている側への自車Mの進路変更予測動作(進路変更が予測される動作)を検知したことを示すフラグである。
第一フラグは、実施形態ではカメラやレーダ等で実際に他車Tを検知したことを示すが、これに限らない。例えば、第一フラグは、同一車線内で自車Mの後方に位置する他車Tが左右何れかのウインカを出していることで他車Tの存在を予測して検知してもよい。
第二フラグは、実施形態では他車Tの存在が認められる側の自車Mのウインカの作動を示す、これに限らない。例えば、第二フラグは、自車Mのライダーの着座位置、着座姿勢、逆ハンドル等の操作、の少なくとも一つを進路変更予測動作として検知したことを示してもよい。
第一フラグが立ったとき(検出エリアに他車Tの存在を検知したとき)、第一の警告が発動する。第一の警告は、例えばインジケータランプや液晶パネル等を用いた注意表示である。
第二のフラグが立ったとき(進路変更予測動作を検知したとき)、第一の警告よりも強い第二の警告(例えば車体の身体接触部分を振動させる等のライダーの触覚に対する警告、および規定以上の強い制動を行う等の車体挙動を発生させる警告)を行うとともに、他車Tの存在が認められる側へのロール(ひいては車線変更)を抑制するべく、アシストステア制御ゲインを調整する。
具体的に、他車Tの存在が認められる側と反対側への逆ハンドル操作が、他車Tの存在が認められる側へのハンドル操作よりも重くなるように、アシストステア制御ゲインを調整する。例えば、この制御では、他車Tの存在が認められる側と反対側への逆ハンドル操作に対してのみ、アシストステア制御ゲインをより高い高安定ゲインに補正し、他車Tの存在が認められる側へのハンドル操作に対しては、アシストトルクTmを減少させる制御を維持する。
以下の数式1は、ARASの作動または作動警告があることのフラグが立ったときに、操縦性可変のための付与トルクTmsを算出するための式である。式中aは前輪慣性補正係数を示し、(a+FlagARAS×GainARAS)によって前輪プリセッション効果(ジャイロモーメント効果)を増幅する。式中Iwheelは前輪回転慣性、ωwheelは前輪回転角速度、Ωは車体ロールレート、をそれぞれ示す。
Figure 0007170149000001
図10のグラフを参照し、実施形態の操舵アシストの強さについて説明する。図10のグラフにおいて、縦軸はロールレートに対するアシスト強さ、横軸は車速をそれぞれ示す。
制御の無い素の自動二輪車1がもつ操縦性は、グラフの横軸に沿うものとなる。これに対し、舵の切れ込み特性を弱める制御(図の領域R1)では、中速域から高速域の間においてアシスト強さをマイナス側に増加させる。これにより、アシストトルクTm全体を減少させて軽快な操縦性に寄与する。
舵の切れ込み特性を強める制御(図の領域R2)では、中速域から高速域の間においてアシスト強さをプラス側に増加させる。これにより、アシストトルクTm全体を増加させて重厚な操縦性に寄与する。このとき、あたかも前輪2のジャイロモーメントを増加させたような操縦性を得る。
これらの制御に加えて、アシスト強さをさらにプラス側に増加させる制御(図の領域R3)では、中速域から高速域の間において、領域R2にさらに数式1の付与トルクTmsを加える。これにより、アシストトルクTm全体をさらに増加させて、直進性の増加(高安定化制御)に寄与する。
特に、自車M後方の左右何れかの検出エリアに他車Tの存在を検知したときには、同側への自車Mの車線変更(進路変更)を抑制する制御を行う。すなわち、他車Tを検知した側と反対側へのハンドル操作(車線変更動作の起点となる逆ハンドル操作)を抑える(重くする)制御を行う。このとき、他車Tの存在が認められる側へのハンドル操作はしやすくする(軽くする)ことで、他車T側への車線変更を抑える効果がより高まる。他車Tの存在を検知しなくなった場合は、速やかに逆ハンドル抑制制御をリセットし、通常のアシストステア制御に戻って運転支援を継続する。
このように、ARAS作動時には、ARAS作動の閾値をトリガーにして、自動二輪車1の姿勢制御の向上を優先する制御に移行することができる。特に、BSIの作動時において、自車M後方の左右何れかの検出エリアに他車Tの存在を検知したときには、同側への自車Mの車線変更を抑制するべく逆ハンドル操作を抑える。これによりBSIの効果を高めることができる。
以上説明したように、上記実施形態における操舵アシスト装置50は、車体(例えば車体フレーム5)をロール方向に揺動させて操舵輪(例えば前輪2)に舵角を発生させる鞍乗り型車両(例えば自動二輪車1)の操舵アシスト装置50である。操舵アシスト装置50は、前輪2を支持する前輪懸架装置3に操舵方向のアシストトルクTmを付与するステアリングアクチュエータ43と、ステアリングアクチュエータ43を駆動制御する制御装置23と、車両周囲の状況を検知する外部検知手段38と、を備えている。
制御装置23は、運転支援制御を行う際、車体挙動安定性重視の制御に移行する。制御装置23は、ARAS(CMBS、LDW、BSI等)の警告、作動判断閾値情報、または作動中である旨の情報を基に、制御ゲインを変化させる。これにより、ARAS作動時の各状況に応じて、より適切な度合いのアシストステア制御を実施することが可能となり、車両の姿勢制御の向上を図ることができる。
そして、上記操舵アシスト装置50において、制御装置23は、外部検知手段38が自車Mの左右何れかに障害物(他車T)を検知した場合には、障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作が、障害物を検知しない場合に比べて重くなるように(切り難くなるように)、アシストトルク(Tm)を制御する。制御装置23は、障害物を検知した側へのハンドル操作は、ステアリングアシストを維持して相対的にハンドルを軽くする(切りやすくする)。
この構成によれば、運転支援システムにより自車Mの左右の障害物を検知させながら、この障害物検知情報を基に、障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作を重くする。車体をロールさせて舵角を発生させる鞍乗り型車両において、障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作は、障害物を検知した側への進路変更の起点となる逆ハンドル操作となる。この逆ハンドル操作を抑制することで、障害物を検知した側への進路変更を抑制することができる。このように、車両周囲の状況に応じて適切なアシストステア制御を実施することが可能となり、運転支援システムの効果を高めることができる。
上記操舵アシスト装置50において、制御装置23は、自車Mの左右何れかに障害物を検知し、かつ、障害物を検知した側への自車Mの進路変更予測動作を検知した場合には、障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作が重くなるようにアシストトルクTmを制御する。
この構成によれば、障害物を検知した側への自車Mの進路変更予測動作を検知するまでは、アシストトルクを通常通り発生させることが可能となる。これにより、運転者の違和感の少ないアシストステア制御を実施することができる。
上記操舵アシスト装置50において、制御装置23は、自車Mと同一の車線内で自車M後方に位置する他車Tが、左右何れかのウインカを出していることを検知したとき、ウインカが出ている側に障害物の存在を予測して検知する。
この構成によれば、自車M後方の左右何れかに実際に他車Tの存在を検知した場合に加えて、他車Tの存在が予測される場合にも、適切なアシストステア制御を実施することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られない。上述の実施形態では、例えば、リンク式の前輪懸架装置3を備える車両を例示したがこれに限らない。例えば、前輪懸架装置に周知のテレスコピック式フロントフォークを備える車両であってもよい。
自動二輪車は、運転者が車体を跨いで乗車する車両に限らず、ステップフロアを有するスクータ型車両や原動機付自転車を含む。自動二輪車に限らず、前輪および前輪懸架装置を、車体フレーム5とともに傾斜させて旋回する、鞍乗り型車両への適用も可能である。
鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車し、かつ車体をロールさせてバランスをとる車両全般が含まれる。自動二輪車のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。ステップフロアを有するスクータ型車両や原動機付自転車も含まれる。原動機に電気モータを含む車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
2 前輪(操舵輪)
3 前輪懸架装置(懸架装置)
23 制御装置(制御手段)
38 外部検知手段
43 ステアリングアクチュエータ
50 操舵アシスト装置
Tm アシストトルク

Claims (3)

  1. 車体(5)をロール方向に揺動させて操舵輪(2)に舵角を発生させる鞍乗り型車両(1)の操舵アシスト装置(50)において、
    前記操舵輪(2)を支持する懸架装置(3)にアシストトルク(Tm)を付与するステアリングアクチュエータ(43)と、
    前記ステアリングアクチュエータ(43)を駆動制御する制御手段(23)と、
    車両周囲の状況を検知する外部検知手段(38)と、を備え、
    前記制御手段(23)は、前記外部検知手段(38)が自車の左右何れかに障害物を検知した場合には、前記障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作が、前記障害物を検知しない場合に比べて重くなるように、前記アシストトルク(Tm)を制御する、鞍乗り型車両の操舵アシスト装置。
  2. 前記制御手段(23)は、自車の左右何れかに障害物を検知し、かつ、前記障害物を検知した側への自車の進路変更予測動作を検知した場合には、前記障害物を検知した側と反対側へのハンドル操作が重くなるように前記アシストトルク(Tm)を制御する、請求項1に記載の鞍乗り型車両の操舵アシスト装置。
  3. 前記制御手段(23)は、自車と同一の車線内で自車後方に位置する他車が、左右何れかのウインカを出していることを検知したとき、前記ウインカが出ている側に障害物の存在を予測して検知する、請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両の操舵アシスト装置。
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