JP7169756B2 - 圃場作業機 - Google Patents
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Description
[1] 粉粒体供給装置から排出された粉粒体を所定箇所へ搬送する排出路(特許文献では排出ダクト)と、粉粒体供給装置に残留する粉粒体を排出路へ向けて送り込む落下排出路(特許文献では排出部)と、を備えた圃場作業機において、落下排出路が、粉粒体供給装置から延出された複数の供給路(特許文献では供給ダクト)の横外側を通って下方の排出路に接続されている(たとえば特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来の構造のものでは、落下排出路が、貯留部と繰出部の組み合わせで構成された供給ユニット部分に接続されている複数の供給路の横外側を通って下方へ延出され、排出路に接続されている。
この落下排出路では、複数の供給路の横外側を通って下方の排出路側へ延出されているが、複数の供給路の存在位置をかわすために、落下排出路における流下経路の傾斜が比較的緩やかとなる部分が生じる傾向がある。このため、その緩やかな傾斜の流下経路部分では、自重落下する粉粒体が速やかに流下しにくくなる傾向があり、その緩やかな傾斜の流下経路部分に、排出途中の粉粒体が残留してしまう虞がある点で改善の余地がある。
走行機体上に、粉粒体を供給する粉粒体供給装置と、
前記粉粒体供給装置から繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ搬送する供給路と、
前記供給路とは別に、前記粉粒体供給装置から排出された粉粒体を所定箇所へ搬送する排出路と、
前記供給路及び前記排出路に対して選択的に風力搬送用の搬送風を供給するブロワと、が備えられ、
前記粉粒体供給装置が、粉粒体を貯留する貯留部と、その貯留部から所定量ずつ粉粒体を繰り出す繰出部と、の組み合わせで構成された供給ユニット部分を備え、
前記供給ユニット部分では、前記繰出部の夫々に、繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ向けて搬送する複数の前記供給路が各別に接続され、
前記供給ユニット部分の前記繰出部における前記供給路の接続箇所よりも粉粒体の流れ方向での上流側から、前記排出路へ向けて粉粒体を送り込む落下排出路が設けられ、
前記落下排出路は、下端側が前記排出路に連なる下部流路と、その下部流路の上端側から複数に分岐された上部流路を備え、
分岐された前記上部流路の上端部が一つの前記供給ユニット部分における前記繰出部に接続され、
前記下部流路が、当該供給ユニット部分の前記繰出部に接続されている複数の前記供給路同士の間を通る位置に設けられ、
前記下部流路は、前記供給路の延出方向に沿う方向の外径が前記延出方向に交差する方向の外径よりも大きい、長円状の断面形状に形成されていて、前記長円状の断面形状における短径方向が前記供給路の前記延出方向に交差する方向に沿う姿勢で前記供給路同士の間を通る箇所に配置され、
前記下部流路の前記短径方向における外径が前記供給路の同方向における外径よりも小径に形成されているものである。
このように落下排出路が、当該供給ユニット部分に接続された複数の供給路同士の間を通る位置にあれば、落下排出路を複数の供給路をかわすように横外側に偏倚させる必要がない。
したがって、上述のように横外側へ偏倚させる供給路を採用する場合に比べて、落下排出路の傾斜を上下方向に沿った急角度にして、落下排出路の途中に粉粒体が残留することを抑制しながら円滑な粉粒体の流下排出を行い易い、という利点がある。
また、下部流路の水平方向断面が、供給路の延出方向に沿う方向の外径が前記延出方向に交差する方向の外径よりも大きい長円状に形成されているので、下部流路の流路断面積を十分に大きく確保して、この下部流路での粉粒体の詰まりを回避し易い。つまり、下部流路の外径のうち、供給路同士の間隔と同方向の外径を小さくして、供給路同士の間隔幅内に納めながらも、供給路の延出方向に沿う方向の外径は大きくして、全体として下部流路の流路断面積を十分に大きく確保している。
前記供給ユニット部分では、二つの前記送出口部の一方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの一本が接続されるとともに、二つの前記送出口部の他方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの残りの一本が接続され、
前記供給ユニット部分の前記送出口部における二本の前記供給路への前記接続箇所よりも粉粒体の流れ方向での上流側の前記繰出部から前記排出路へ向けて粉粒体を送り込む前記落下排出路が設けられ、
前記落下排出路は、下端側が前記排出路に連なる下部流路と、その下部流路の上端側から二股状に分岐された上部流路を備えてY字状に形成され、
二股状に分岐された前記上部流路における二つの上端部が一つの前記供給ユニット部分における前記繰出部に接続され、
前記落下排出路の下部流路が、当該供給ユニット部分の前記二つの送出口部に接続された二本の前記供給路同士の間を通る位置に設けられていると好適である。
したがって、複数の繰出部に接続された二股状の上部流路も、上部流路の下端側に連なる下部流路も、できるだけ上下方向に沿う急角度に維持した状態で粉粒体を円滑に排出し易い。
走行機体上に、
粉粒体を供給する粉粒体供給装置と、
前記粉粒体供給装置から繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ搬送する供給路と、
前記供給路とは別に、前記粉粒体供給装置から排出された粉粒体を所定箇所へ搬送する排出路と、
前記供給路及び前記排出路に対して選択的に風力搬送用の搬送風を供給するブロワと、
が備えられ、
前記粉粒体供給装置が、粉粒体を貯留する貯留部と、その貯留部から所定量ずつ粉粒体を繰り出す繰出部と、の組み合わせで構成された供給ユニット部分を備え、
一つの前記供給ユニット部分に、各別に粉粒体を繰り出す二つの送出口部を備えた前記繰出部が設けられ、
前記供給ユニット部分では、二つの前記送出口部の一方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの一本が接続されるとともに、二つの前記送出口部の他方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの残りの一本が接続され、
前記供給ユニット部分の前記送出口部における二本の前記供給路への接続箇所よりも粉粒体の流れ方向での上流側の前記繰出部から前記排出路へ向けて粉粒体を送り込む落下排出路が設けられ、
前記落下排出路は、下端側が前記排出路に連なる下部流路と、その下部流路の上端側から二股状に分岐された上部流路を備えてY字状に形成され、
二股状に分岐された前記上部流路における二つの上端部が一つの前記供給ユニット部分における前記繰出部に接続され、
前記落下排出路の下部流路が、当該供給ユニット部分の前記二つの送出口部に接続された二本の前記供給路同士の間を通る位置に設けられ、
前記下部流路は、下端側ほど前記排出路における搬送風の流れ方向での下流側に位置する傾斜姿勢で、前記排出路に接続されていると好適である。
したがって、下部流路から落下放出される粉粒体が、排出路内で搬送風により流動させられる粉粒体の流れに乗りやすく、また、排出路内を流れる搬送風が下部流路内へ流れ込む虞も少ない。
尚、実施の形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。図1及び図2に示すように、圃場作業機の作業走行時における前進側の進行方向が「前方dF」であり、後進側の進行方向が「後方dB」である。そして前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右方dR」であり、左側に相当する方向が「左方dL」である。
図1及び図2は、本発明を適用した圃場作業機の一例である乗用型田植機を示している。
この乗用型田植機は、操向操作自在な左右一対の前輪11及び左右一対の後輪12を備えた走行機体1の車体フレーム10の前部側に、エンジン13及びミッションケース14を備えている。走行機体1の中央部にステアリングハンドル等を装備した操縦部15と運転座席16とを設け、走行機体1を構成する車体フレーム10の後部における後部ステップ18上に、粉粒体供給搬送手段Aとしての、施肥装置3(粉粒体供給装置に相当する)及び起風搬送装置4が配置されている。
図2に示すように、苗植付装置2は8条植えに構成されている。8条植えの苗植付装置2は、4個の植付伝動ケース20、植付伝動ケース20の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース21、回転ケース21の両端に配備される一対の植付爪22、5個の接地フロート23、及び苗のせ台24等を備えることによって、一行程で8条分の苗植え付けを行うことが可能な構造のものである。
次に、粉粒体供給搬送手段Aの構成について説明する。
粉粒体供給搬送手段Aは、被搬送物としての肥料(粉粒体に相当する)を貯留して所定量ずつ繰り出し供給するための施肥装置3(粉粒体供給装置に相当する)と、風力で粉粒体を作業装置B側に向けて搬送するための起風搬送装置4と、を備えている。これらの施肥装置3及び起風搬送装置4が、図1及び図2に示すように、走行機体1の後部で、かつ運転座席16の後側位置で左右方向に並べて配置され、車体フレーム10上に設けた支持フレーム5によって支持されている。
施肥装置3について説明する。
施肥装置3は、図3乃至図6に示すように、2条分の肥料を貯留する透明樹脂製の肥料ホッパー30(貯留部に相当する)の4個と、2条分の肥料を繰り出す繰り出し機構32を内装した繰り出しケース31(繰出部に相当する)の4個と、を備えて、8条植え用に構成されている。
上記の4個の肥料ホッパー30、及び繰り出し機構32を内装する4個の繰り出しケース31のうち、肥料を貯留する一つの肥料ホッパー30と、その肥料ホッパー30から所定量ずつ粉粒体を繰り出す一つの繰り出しケース31と、の対で、一つの供給ユニット部分3Aが構成されている。したがって、この施肥装置3には、4個の供給ユニット部分3Aが、左右方向に並ぶ状態で配設されている。
この凹部33aは、繰り出しロール33の回転軸心に沿う方向の凹溝状に形成され、繰り出しロール33の周方向での多数箇所に形形成されている。
繰り出しロール33は、繰り出しケース31の粉粒体排出口31aの上部側に設けた開閉弁31bと同程度の高さ位置で、かつ、漏斗部34の上方に回転可能に配置してある。
開閉弁31bは、図6に実線で示す閉塞位置と、仮想線で示す開放位置とに開閉操作可能に構成されている。尚、図6中の符号33bは、回転する繰り出しロール33の周面に摺接して、すり切り作用をするブラシである。
つまり、繰り出しロール33の上部側において凹部33aに入り込んだ肥料が、繰り出しロール33の回転に伴ってブラシ33bによるすり切り作用を受ける。その後、さらに繰り出しロール33が回転して、凹部33aが繰り出しロール33の下部側に達する毎に、凹部33a内の肥料が漏斗部34に落下する。このように繰り出しロール33の下部側に達した順に凹部33a内の肥料が漏斗部34に落下する状態が、肥料が所定量ずつ繰出される状態である。
そして、漏斗部34に繰出された肥料は、後述する起風搬送装置4の電動ブロワ40から送り込まれる高圧の風で前記漏斗部34の出口側に接続された供給路35から作業装置B側へ送り出される。
繰り出し機構32から繰り出された粉粒体を風力で苗植付装置2側へ搬送するための起風搬送装置4は次のように構成されている。
図2及び図3に示すように、起風搬送装置4は、起風用の電動ブロワ40(ブロワに相当する)と、粉粒体を苗植付装置2側へ搬送するための供給経路に位置する搬送ダクト41と、粉粒体を外部へ搬出するための排出経路となる排出ダクト42(排出路に相当する)と、電動ブロワ40からの搬送風を搬送ダクト41又は排出ダクト42に選択供給する分岐ダクト43と、を備えている。
電動ブロワ40の前記送気口40cに対して、分岐ダクト43の上流側端部が接続されている。二股に分岐した分岐ダクト43の下流側に、前記搬送ダクト41と、前記排出ダクト42と、が接続されている。電動ブロワ40の前記吸気口には、図1及び図3に示すように、エンジン13の近くに吸い込み用開口を備えて、エンジン13周辺の暖められた外気を吸引するように吸気ダクト27が接続されている。
搬送ダクト41は電動ブロワ40とほぼ同高さ位置に設けられているが、電動モータ40aは搬送ダクト41に対しても、さらに高い位置に配設された状態で設けられている。
したがって、排出ダクト42や搬送ダクト41を水洗いした場合などに、電動モータ40aに洗浄水が浸入して、電動モータ40aに悪影響を与える虞が少ない。
分岐ダクト43に接続された搬送ダクト41と排出ダクト42とのうち、搬送ダクト41は、図3~図6に示すように構成してある。
すなわち、搬送ダクト41は、複数本の搬送短尺パイプ41Aを、環状の連結具41Bを介して同心状に接続することにより、所定長さの連続した筒状に形成したものである。
そして、走行機体1の左右方向に沿う状態で配設された搬送ダクト41には、その長手方向での中間位置における複数箇所で、苗植付装置2の作溝器25に対して肥料を供給するための供給路35が接続されている。
この構造によれば、電動ブロワ40の送気口から搬送ダクト41へ供給された風を、送出用分岐管部35aの一端側から受け入れて、送出用分岐管部35aの他端側から筒状体35bを介して供給ホース35c側へ送り出す。このとき、漏斗部34の下端開口34aから送出用分岐管部35aに繰り出された肥料を、送出用分岐管部35a内を流れる搬送風に乗せて送り出し、苗植付装置2の作溝器25に対して肥料を供給することができる。 供給路35は、上記の送出用分岐管部35a、筒状体35b、供給ホース35cを備えたものである。
分岐ダクト43に接続された搬送ダクト41と排出ダクト42とのうち、排出ダクト42は、図3~図6に示すように構成してある。
すなわち、排出ダクト42は、複数本の排出短尺パイプ42Aを同心状に接続することにより、所定長さの連続した筒状に形成し、かつ、終端部に着脱可能な終端パイプ42Bを接続してある。つまり、排出ダクト42は、全体が直管状の筒状部材で構成された複数本の排出短尺パイプ42Aと、一端側が末尾の排出短尺パイプ42Aに嵌着され、他端側が外部に開放される終端パイプ42Bと、の組み合わせで構成されている。
これらの複数本の排出短尺パイプ42Aの組み合わせと、最終端部に接続された終端パイプ42Bと、により、長尺の排出ダクト42が構成される。
また、絞り部44の存在範囲は、図3及び図7に示すように、最大絞り位置が存在する箇所よりも搬送風の流れ方向での上流側が短く、最大絞り位置が存在する箇所よりも搬送風の流れ方向での下流側での存在範囲が長い。これにより、絞り部44では、急速に絞って搬送風の流れ速度を上昇させ、最大絞り位置を過ぎてから徐々に絞り度合いを緩めて搬送風の流れ速度も減速されるようにしてある。
絞り部44の存在箇所では、排出ダクト42の他の部位に比べて搬送風の流速が増し負圧部分が生じている。この絞り部44が存在する箇所に後述する落下排出路6を合流させると、排出ダクト42の流路内面での流線の剥がれに伴って生じる負圧部分に落下排出路6からの粉粒体が吸引され易く、粉粒体が繰り出しケース31側へ舞い戻る虞が少ない。
そして、排出ダクト42内で風力搬送される粉粒体の通過を制限して搬送風のみを通過させることにより、搬送風と粉粒体とを分離するための分離手段45が設けられている。
この分離手段45は、終端パイプ42Bのうち、二股状に分岐した排風管部分42Baと粉粒体回収管部分42Bb、及び、その内部に装着された網状体46を備えている。そして、網状体46は、排風管部分42Baと粉粒体回収管部分42Bbとの分岐箇所で、排風管部分42Ba側への搬送風の通過を許しながら、粉粒体の通過を抑制し、粉粒体回収管部分42Bb側へ粉粒体を案内するように構成されている。つまり、網状体46は、排出ダクト42内を流動する粉粒体の通過を阻止して搬送風のみを通過させるに適当な大きさの多数の通気孔を有している。
このように、搬送風の排出方向を機体横外側後方へ向けることで、排出された風が運転者の搭乗する機体前方側へ向けられるものではないので、操縦部15に粉粒体が飛散する虞は少ない。
施肥装置3の供給ユニット部分3Aから排出ダクト42への落下排出路6について説明する。
施肥装置3に備えた肥料ホッパー30と、繰り出し機構32を内装する繰り出しケース31と、の対で構成される供給ユニット部分3Aのそれぞれには、前述した左右一対の供給路35,35とともに、繰り出しケース31内の左右一対の繰り出し機構32から排出ダクト42へ向けて残留肥料を落下排出するための落下排出路6が設けられている。
この落下排出路6における粉粒体の「落下」とは、完全な自由落下に限らず、斜面を滑落するような流下をも意味するものであり、肥料等の粉粒体が自重で降下する状態を示している。
上部流路6aの左右の上端側は、左右一対の粉粒体排出口31aに接続されている。左右の粉粒体排出口31aは、繰り出しケース31内に備えた繰り出しロール33の存在箇所よりも、繰り出しケース31内の上方側空間に連通している。
したがって、2条分の肥料を繰り出す繰り出し機構32を内装した繰り出しケース31の内部空間に残留する肥料を、繰り出しロール33よりも上方側における繰り出しケース31内空間から、左右一対の粉粒体排出口31a及び落下排出路6を用いて、排出ダクト42へ落下排出させることができる。
上記のように、落下排出路6が、背面視でY字状に形成されていて、下部流路6bが供給路35,35同士の間を通過するように設けられているので、例えば、落下排出路6を左右の供給路35,35の横外側を通して排出ダクト42に接続する場合に比べて、機体後方側からみた背面視で、落下排出路6の全体が、比較的急勾配の傾斜角度を有した流路となる。これにより、落下排出路6での粉粒体の自重落下を円滑に行わせ易い。
つまり、落下排出路6を自重落下する残留肥料は、搬送風の流れが最も速い最大絞り位置の直後で搬送風に合流する。このとき合流箇所では、自重落下する残留肥料が排出ダクト42における搬送風の流れ方向に沿う方向の移動慣性を有した状態で、かつ排出ダクト42における搬送風の流れに斜め方向から合流することになる。これにより、排出ダクト42内を流れる搬送風の負圧によるエジェクター作用と、搬送風の流れ方向に沿う方向での合流とで、スムースな合流が行われ、残留肥料が落下排出路6側へ逆流するような現象を生じる虞は少ない。
したがって、落下排出路6内での粉粒体の自重落下を行わせ易い。特に、下部流路6bの傾斜が急角度であることにより、この下部流路6bで粉粒体が停滞したり、逆流したり、する虞の少ない状態で排出することができる。
これは、緩傾斜部分の上部流路6aを自重降下する速度に比べて、急傾斜部分の下部流路6bを自重降下する粉粒体の速度が速いので、下部流路6bの流路断面積を上部流路6aの流路断面積の総和と同等以上にする必要はなく、所定の面積比を確保しておけば、ある程度小さくしても、粉粒体の詰まりを生じ難い、という理由による。実際には、周辺スペースに余裕のある上部流路6a側の管径をかなり大きくして、詰まりの生じにくい大きさにしているので、分岐している左右の上部流路6a,6aのそれぞれと比較しても、下部流路6bの流路断面積は同等以下程度に小さく設定されている。これにより、比較的流路断面積の小さな下部流路6bを採用して、供給路35,35同士の間を通過させやすくしている。
したがって、この長円状の流路断面形状を有効利用することによって、左右の供給路35,35に交差する方向での外径を小さくしても、下部流路6bの全体としては、必要かつ十分な流路断面積を確保し得る。
実施の形態では、粉粒体供給装置として施肥装置3を採用した構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。例えば、粉粒体供給装置として、除草剤や病虫害忌避剤等の薬剤散布装置を採用したもの、あるいは種籾を供給する播種装置として粉粒体供給装置を用いたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施の形態では、粉粒体を貯留する貯留部である肥料ホッパー30と、その貯留部から所定量ずつ粉粒体を繰り出す繰出部である繰り出しケース31と、の対で構成された一つの供給ユニット部分3Aに、その供給ユニット部分3Aから繰り出された粉粒体を、供給対象箇所である左右二つの作溝器25へ向けて搬送する左右一対の供給路35が接続された構造のものを示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、一つの供給ユニット部分3Aに、三つ以上の供給路35が接続されて、三つ以上の作溝器25へ向けて搬送する構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施の形態では、2条分の肥料を貯留する透明樹脂製の肥料ホッパー30(貯留部に相当する)の4個と、2条分の肥料を繰り出す繰り出し機構32を内装した繰り出しケース31(繰出部に相当する)の4個と、を備えたもの、つまり、施肥装置3として4個の供給ユニット部分3Aを備えた構造の圃場作業機を例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、供給ユニット部分3Aが3個以下である、もしくは5個以上を備えたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施の形態では、一つの供給ユニット部分3Aから排出ダクト42へ向けて粉粒体を送り込む落下排出路6が、当該供給ユニット部分3Aに接続された二つの供給路35,35同士の間を通る位置に設けられた構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、一つの供給ユニット部分3Aに三つの供給路35が接続されている場合には、三本の落下排出路6を用いて、二本の落下排出路6が三つの供給路35同士の間を通り、残りの一本の落下排出路6が三つの供給路35同士の間から外れた位置を通って排出ダクト42に接続するものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、落下排出路6として、下端側が排出ダクト42に連なる下部流路6bと、その下部流路6bの上端側から二股状に分岐された上部流路6aを備えてY字状に形成された構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、二本の上部流路6aに二本の下部流路6bが連なる直管状の、別々の落下排出路6を用いて、一方の落下排出路6が他方の落下排出路6の前後に並ぶ状態に位置させて、左右の供給路35,35同士の間を通る位置に設けてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施の形態では、分離手段45として、二股状に分岐した排風管部分42Baと粉粒体回収管部分42Bb、及び、その内部に装着された網状体46を備えた構造のものを例示したが、これに限らず、例えば、網状体46の役割を果たすパンチングメタルや、フィルター等を用いてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
その他、水田作業用とは限らず、田畑や果樹園で肥料や薬剤、あるいは種籾などの粉粒体を散布するための手段として本発明の圃場作業機を用いても良い。
3 粉粒体供給装置(施肥装置)
3A 供給ユニット部分
4 起風搬送装置
5 支持枠
6 落下排出路
6a 上部流路
6b 下部流路
30 貯留部(肥料ホッパー)
31 繰出部
32 繰り出し機構
35 供給路
40 ブロワ
41 搬送ダクト
42 排出路
Claims (5)
- 走行機体上に、
粉粒体を供給する粉粒体供給装置と、
前記粉粒体供給装置から繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ搬送する供給路と、
前記供給路とは別に、前記粉粒体供給装置から排出された粉粒体を所定箇所へ搬送する排出路と、
前記供給路及び前記排出路に対して選択的に風力搬送用の搬送風を供給するブロワと、
が備えられ、
前記粉粒体供給装置が、粉粒体を貯留する貯留部と、その貯留部から所定量ずつ粉粒体を繰り出す繰出部と、の組み合わせで構成された供給ユニット部分を備え、
前記供給ユニット部分では、前記繰出部の夫々に、繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ向けて搬送する複数の前記供給路が各別に接続され、
前記供給ユニット部分の前記繰出部における前記供給路の接続箇所よりも粉粒体の流れ方向での上流側から、前記排出路へ向けて粉粒体を送り込む落下排出路が設けられ、
前記落下排出路は、下端側が前記排出路に連なる下部流路と、その下部流路の上端側から複数に分岐された上部流路を備え、
分岐された前記上部流路の上端部が一つの前記供給ユニット部分における前記繰出部に接続され、前記下部流路が、当該供給ユニット部分の前記繰出部に接続されている複数の前記供給路同士の間を通る位置に設けられ、
前記下部流路は、前記供給路の延出方向に沿う方向の外径が前記延出方向に交差する方向の外径よりも大きい、長円状の断面形状に形成されていて、前記長円状の断面形状における短径方向が前記供給路の前記延出方向に交差する方向に沿う姿勢で前記供給路同士の間を通る箇所に配置され、
前記下部流路の前記短径方向における外径が前記供給路の同方向における外径よりも小径に形成されている圃場作業機。 - 一つの前記供給ユニット部分に、各別に粉粒体を繰り出す二つの送出口部を備えた前記繰出部が設けられ、
前記供給ユニット部分では、二つの前記送出口部の一方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの一本が接続されるとともに、二つの前記送出口部の他方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの残りの一本が接続され、
前記供給ユニット部分の前記送出口部における二本の前記供給路への前記接続箇所よりも粉粒体の流れ方向での上流側の前記繰出部から前記排出路へ向けて粉粒体を送り込む前記落下排出路が設けられ、
前記落下排出路は、下端側が前記排出路に連なる下部流路と、その下部流路の上端側から二股状に分岐された上部流路を備えてY字状に形成され、
二股状に分岐された前記上部流路における二つの上端部が一つの前記供給ユニット部分における前記繰出部に接続され、
前記落下排出路の下部流路が、当該供給ユニット部分の前記二つの送出口部に接続された二本の前記供給路同士の間を通る位置に設けられている請求項1記載の圃場作業機。 - 前記落下排出路は、前記供給路の延出方向に沿う方向で、前記繰出部から遠ざかる側ほど低くなる傾斜姿勢で設けられ、かつ、前記上部流路の傾斜よりも前記下部流路の傾斜が急角度である請求項1又は2記載の圃場作業機。
- 前記下部流路における急傾斜部分の流路断面積が、前記上部流路における緩傾斜部分の流路断面積よりも小さく設定されている請求項1~3のいずれか一項記載の圃場作業機。
- 走行機体上に、
粉粒体を供給する粉粒体供給装置と、
前記粉粒体供給装置から繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ搬送する供給路と、
前記供給路とは別に、前記粉粒体供給装置から排出された粉粒体を所定箇所へ搬送する排出路と、
前記供給路及び前記排出路に対して選択的に風力搬送用の搬送風を供給するブロワと、
が備えられ、
前記粉粒体供給装置が、粉粒体を貯留する貯留部と、その貯留部から所定量ずつ粉粒体を繰り出す繰出部と、の組み合わせで構成された供給ユニット部分を備え、
一つの前記供給ユニット部分に、各別に粉粒体を繰り出す二つの送出口部を備えた前記繰出部が設けられ、
前記供給ユニット部分では、二つの前記送出口部の一方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの一本が接続されるとともに、二つの前記送出口部の他方に、繰り出された粉粒体を複数の供給対象箇所へ向けて搬送する二本の前記供給路のうちの残りの一本が接続され、
前記供給ユニット部分の前記送出口部における二本の前記供給路への接続箇所よりも粉粒体の流れ方向での上流側の前記繰出部から前記排出路へ向けて粉粒体を送り込む落下排出路が設けられ、
前記落下排出路は、下端側が前記排出路に連なる下部流路と、その下部流路の上端側から二股状に分岐された上部流路を備えてY字状に形成され、
二股状に分岐された前記上部流路における二つの上端部が一つの前記供給ユニット部分における前記繰出部に接続され、
前記落下排出路の下部流路が、当該供給ユニット部分の前記二つの送出口部に接続された二本の前記供給路同士の間を通る位置に設けられ、
前記下部流路は、下端側ほど前記排出路における搬送風の流れ方向での下流側に位置する傾斜姿勢で、前記排出路に接続されている圃場作業機。
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