JP2014147359A - 直播装置、及びこれを備えた作業車 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定して良好な点播を行うことができるとともに、付着物が堆積することによる不具合を解消した直播装置を提供する。
【解決手段】直播装置3は、繰出部22と、落下通路31と、を備えている。繰出部22は、種子を所定量ずつ繰り出して下方に落下させる。落下通路31は、繰出部22によって繰り出された種子が落下しながら通過するように略鉛直方向に沿って形成されている。そして、落下通路31の壁面の一部に、当該壁面が下向きに駆動される可動壁面45が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、直播装置において、繰り出された種子をバラつかせず良好に点播するための構成に関する。
直播装置は、種籾などの種子を圃場に直接播くための装置である。このような直播装置は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の直播装置(直播機)は、種子ホッパから種籾を少量ずつ間欠的に繰り出す繰出ロールを備えている。
直播装置においては、種子ホッパから繰り出した種子を、圃場に整然と点播できることが理想である。なお、点播とは、図6に示すように、種子を数粒ずつまとめて、所定の間隔を空けて播くことを言う。
特許文献1に記載の直播装置において、種子ホッパ内の種子は、繰出ロールによって少量(数粒)ずつ繰り出され、当該繰出ロールから落下して圃場に播かれる。繰り出しロールによって繰り出された少量の種子が、そのまま纏まった状態で地面に落下すれば、理想的な点播となる。しかし実際には、種子の落下軌跡が乱れたり、落下速度がバラついたりすることにより、種子の落下位置がバラついてしまうため、理想的な点播を実現することは難しい。
そこで特許文献1に記載の直播装置は、落下する種子が風で乱れないように囲む放出筒を設けている。このように、落下する種子が風で乱れないようにすることで、種子の落下軌跡及び落下速度がバラつかなくなることが期待される。
特開2010−268770号公報
ところが、特許文献1のように放出筒を設けた場合、以下のような問題があった。即ち、直播装置は、圃場の水や泥などにさらされるので、放出筒の内壁面に泥などが付着することがある。また、圃場の水によって放出筒の内壁面が濡れていると、種子コーティングの粉、或いは種子自体が内壁面に付着する。放出筒の内壁面に大量の付着物が堆積してしまうと、播種量の減少、放出筒の詰まり等、不具合の原因になりうる。
また、例えば図7のように、繰出ロールによって繰り出された種子が放出筒(落下通路)の内壁面に衝突した場合、当該種子の落下軌跡や落下速度がバラつき易くなる。このため、本来なら纏まって播かれるべき数粒の種子が、地面に落ちるまでの間にバラけてしまい、点播にならない(図7の状態)。このように、放出筒を設けることにより、かえって理想的な点播になりにくくなるという問題もある。
特に近年、直播装置を搭載した作業車の走行速度が向上しており、これに伴って繰出ロールの回転速度も上昇している。繰出ロールの回転速度が上昇すると、当該繰出ロールから放出される種子に勢いが付き、当該種子が放出筒の内壁面に衝突したときに大きくハネる。この結果、落下軌跡や落下速度のバラつきが大きくなるので、理想的な点播を行えないという問題が顕在化してきている。
この問題に関し、特許文献1は、繰出ガイドの開口縁部の位置を調整して、種子が放出筒の内壁に衝突しないようにした構成を開示している。
しかし、種子の落下軌跡は様々であるから、繰出ガイドの開口縁部の位置を調整したとしても、放出筒の内壁に衝突する種子を完全に無くすことはできない。従って、特許文献1の構成は、放出筒の内壁面に種子が衝突して理想的な点播を行えないという問題の根本的な解決法を提示するには至っていない。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、安定して良好な点播を行うことができるとともに、付着物が堆積することによる不具合を解消した直播装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、粒状体を地面に散布する粒状体散布装置の以下の構成が提供される。即ち、この粒状体散布装置において、前記粒状体が落下しながら通過する落下通路の壁面の少なくとも一部に、当該壁面が下向きに駆動される可動壁面が設けられている。
このように、粒状体が落下する通路の壁面を駆動することにより、当該壁面に、粒状体その他の付着物が付着しにくくなる。また、壁面を下向きに駆動することにより、当該壁面に粒状体が衝突したときに、当該粒状体の落下速度が削がれることを防ぐことができる。これにより、粒状体の落下速度にバラツキが生じにくくなるので、当該粒状体の散布位置が安定する。
上記の粒状体散布装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この粒状体散布装置は、前記粒状体を所定量ずつ繰り出して下方に落下させる繰出部を備える。前記繰出部によって繰り出された粒状体が、前記落下通路を落下しながら通過する。
本願発明の構成によれば、繰出部が所定量ずつ繰り出した粒状体を、バラけさせることなく地面に散布できる。これにより、粒状体を、所定量ずつまとまった状態で地面に散布できる。
上記の粒状体散布装置において、前記粒状体は、種子、肥料、又は薬剤とすることができる。
本発明の粒状体散布装置によって種子を地面に播くことにより、当該種子の落下速度等がバラつきにくくなる。これにより、種子の理想的な点播を実現できる。また、肥料や農薬の散布に本発明の粒状体散布装置を利用すれば、肥料や農薬が落下通路の壁面に付着しにくくなるので、安定した散布量で圃場に散布できる。
上記の粒状体散布装置において、前記可動壁面は、循環駆動される無端環状のベルトであることが好ましい。
ベルトを循環駆動させることにより、通路の壁面を常時下向きに動かすことができる。
上記の粒状体散布装置において、前記ベルト表面の付着物を落とすための清掃部を備えることを特徴とする粒状体散布装置。
ベルトに粒状体が付着した場合であっても、清掃部により、前記付着した粒状体をベルトから落とすことができる。これにより、粒状体を確実に地面に散布できる。また、例えばベルトに泥などが付着した場合であっても、清掃部によって除去できる。これにより、ベルトに泥などが堆積することを防止できる。
上記の粒状体散布装置において、前記可動壁面は、前記落下通路の向かい合う壁面を構成するように設けられていることが好ましい。
このように、可動壁面を向かい合わせて対で設けることで、両方の壁面において、粒状体やその他の付着物が付着しにくくなるという本願の効果を得ることができる。
上記の粒状体散布装置において、前記向かい合う壁面の下端部同士の間隔が、上端部同士の間隔よりも狭くなっていることが好ましい。
このように、落下通路の下部の幅を狭く設定することにより、地面に散布される粒状体の落下位置の分布を狭めることができる。これにより、より理想的な点播に近づけることができる。
本発明の別の観点によれば、上記の粒状体散布装置と、駆動源によって駆動される走行手段を有する車体本体と、を備え、前記車体本体を走行させながら前記粒状体散布装置によって前記粒状体を圃場に散布することを特徴とする作業車が提供される。
このように、本願発明の粒状体散布装置によって粒状体を散布しながら圃場を走行することにより、粒状体を圃場に点播することができる。
本発明の一実施形態に係る直播装置を備えた作業車の側面図。 直播装置の側面断面図。 直播装置の背面断面図。 ベース部から種子ホッパ及び繰出部を取り外した様子を示す背面断面図。 直播装置の側面図。 本実施形態の直播装置によって地面に種子が播かれる様子を示す側面断面図。 従来の直播装置によって地面に種子が播かれる様子を示す側面断面図。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る農業用の作業車1の側面図である。
作業車1は、車体本体2と、当該車体本体2の後方に配置された直播装置(粒状体散布装置)3と、から構成されている。
車体本体2は、左右一対の前輪4及び後輪5(走行手段)と、当該前輪4及び後輪5の駆動源であるエンジン10と、を備えている。また、車体本体2の前後方向で前輪4と後輪5の間の位置には、オペレータが搭乗する運転座席6が設けられている。運転座席6の前方には、オペレータが車体本体2を操向操作するための操向ハンドル7が配置されている。
車体本体2の後方には、前記直播装置3が配置されている。直播装置3は、連結機構12を介して車体本体2に取り付けられている。また、車体本体2の後部には、エンジン10の駆動力を直播装置3に出力するためのPTO軸13が配置されている。
なお、本実施形態の作業車1は、農業用の多目的作業車として構成されており、直播装置3に代えて他の種類の作業機を取り付けることもできる。即ち、本実施形態の直播装置3は、車体本体2の連結機構12に対して着脱可能である。そして、連結機構12には、直播装置3以外の農業用作業機(例えば、田植装置、除草装置、溝切り装置など)を取り付けることができる。
続いて、直播装置3について詳しく説明する。
図2及び図3に示すように、直播装置3は、種子ホッパ20と、ベース部21と、繰出部22と、を備えている。
種子ホッパ20は、圃場に播く種子(粒状体)を入れておくための容器である。種子ホッパ20は上部が開放されており、その開放された上部から種子を内部に投入できる。また、種子ホッパ20は、開放されている上部を覆うための蓋部26を備えている。なお、本実施形態の直播装置3では、圃場に播く種子として、鉄コーティングが施された種籾を想定している。従って、種子ホッパ20には、鉄コーティングが施された種籾が投入される。
種子ホッパ20は、その下端部に近づくに従って徐々に細くなるように形成されている。種子ホッパ20の下端部には、種子排出口27が形成されている。種子ホッパ20内の種子は、この種子排出口27を介して下方へと排出される。
繰出部22は、繰出ロール29と、当該繰出ロール29を収容したケース30と、を備えている。ケース30の上端部は開放され、種子供給口38となっている。繰出ロール29は、ケース30の内部において、種子供給口38のすぐ下方に配置されている。
図2に示すように、繰出ロール29は、その一部が円板状に形成されている。円板状の繰出ロール29の外周には、繰出穴33が周方向に等間隔で複数形成されている。図2の断面図に示すように、各繰出穴33は、繰出ロール29の半径方向外側が開放されている。
ベース部21は、前述の連結機構12に固定される。これにより、直播装置3の全体が、連結機構12に対して固定されている。種子ホッパ20は、ベース部21の上方に固定されている。図3に示すように、種子ホッパ20は、当該種子ホッパ20をベース部21に対して固定するためのロック機構24を備えている。また、繰出部22は、ベース部21の下方に固定されている。図3に示すように、ベース部21は、当該ベース部21に対して繰出部22を固定するためのパッチン錠25を備えている。
図4に示すように、種子ホッパ20は、ロック機構24による固定を解除することにより、ベース部21から取り外すことができる。同様に、繰出部22は、パッチン錠25による固定を解除することにより、ベース部21から取り外すことができる。このように、種子ホッパ20及び繰出部22をベース部21に対して着脱可能に構成したので、当該種子ホッパ20及び繰出部22のメンテナンス(清掃等)が容易となっている。また、種子ホッパ20及び繰出部22が着脱可能なので、容量が異なる種子ホッパに変更したり、異なるタイプの繰出部に変更したりすることも可能である。
図3に示すように、ベース部21は、車体本体2の左右方向(図3の左右方向)に沿って配置された共通駆動軸35を備えている。共通駆動軸35には、車体本体2が備えるPTO軸13を介して、エンジン10からの駆動力が入力されている。これにより、共通駆動軸35が、エンジン10の駆動力によって軸線まわりに回転駆動される。共通駆動軸35には、ユニット駆動ギア36が固定されている。
図3に示すように、繰出部22は、車体本体2の左右方向に沿って(共通駆動軸35と平行に)配置された駆動軸34を備えている。繰出ロール29は、駆動軸34に対して相対回転不能に取り付けられている。また、図3及び図5に示すように、駆動軸34には、駆動ギア37が固定されている。この駆動ギア37は、前述のユニット駆動ギア36に噛み合うように配置されている。
以上の構成で、PTO軸から出力されたエンジン10の駆動力は、共通駆動軸35を介して駆動軸34に伝達され、当該駆動軸34に固定されている円板状の繰出ロール29を、その軸線を中心として垂直面内で回転駆動させる。
ベース部21は、接続路28を有している。図2及び図3に示すように、接続路28は、略上下方向に沿って筒状に形成されている。接続路28の上端部は、種子ホッパ20の種子排出口27に接続される。また、接続路28の下端部は、繰出部22の種子供給口38に接続される。以上の構成により、種子ホッパ20内の種子を、種子供給口38に供給できる。
種子供給口38に供給された種子は、図6に示すように、繰出ロール29の上部において繰出穴33の内部に入り込む。これにより、各繰出穴33の内部に、所定量ずつ(数粒ずつ)種子を取り込むことができる。そして、この状態で、繰出ロール29を一方向に連続的に(又は間欠的に)回転駆動することにより、繰出穴33内の種子を下方に向けて搬送することができる。
図2及び図6に示すように、繰出部22は、上流側仕切り部40及び下流側仕切り部41を有している。上流側仕切り部40は、下流側仕切り部41よりも上流側に配置されている。なお、ここでいう「上流」「下流」とは、繰出ロール29の回転方向における上流及び下流を言うものとする。繰出ロール29の回転方向を、図6に太線の矢印で示す。上流側仕切り部40と下流側仕切り部41は、繰出ロール29の回転軸(駆動軸34)を通る鉛直面を挟んで向かい合うように配置されている。
上流側仕切り部40は、例えば合成ゴムなど、シール性が良好な素材で構成されており、その先端を繰出ロール29の外周に接触(又は近接)させるように配置されている。また、下流側仕切り部41は、ブラシ状に構成されており、当該ブラシの先端を、繰出ロール29の外周面に接触させている。このように上流側仕切り部40及び下流側仕切り部41を設けることにより、種子供給口38に供給された種子が、繰出ロール29の周囲とケース30のあいだの隙間を通って下方に溢れ出すことを堰き止めることができる(図6参照)。
また、繰出ロール29が回転することにより、当該繰出ロール29の外周面と、下流側仕切り部41と、が相対運動するので、繰出穴33からハミ出している種子はブラシ状の下流側仕切り部41によって繰出穴33の外側に掃き出される。この結果、各繰出穴33に取り込まれる種子の量が均一化される。
繰出ロール29の下方は開放されている。従って、繰出ロール29が回転して、繰出穴33が下方を向いたときに、当該繰出穴33内の種子が下方に向けて放出される。前述のように、各繰出穴33には、所定ずつ種子が取り込まれている。従って、繰出ロール29を回転させることにより、種子を所定量ずつ断続的に下方へと放出することができる。
繰出部22のケース30は、略上下方向に沿って形成された落下通路31を有している。落下通路31の上端部は、繰出ロール29の下方に連通している。落下通路31の下端部は開放されており、種子放出口42となっている。図6に示すように、種子放出口42は、圃場の表面(地面)に近接させて配置されている。以上の構成により、繰出ロール29の回転によって繰出穴33から放出された種子は、落下通路31を通って落下し、圃場に放出される。
図1に示すように、作業車1は、圃場に溝を形成する作溝機16を備えている。直播装置3の種子放出口42は、この作溝機16のすぐ後方に配置されている。これにより、作溝機16が形成した溝の内部に種子を播くことができる。
なお、例えば圃場がぬかるんでいる場合などは、作溝機16によって形成された溝の内部に泥水が流れ込んでしまうことがある。そこで、種子放出口42の前方には、種子を播く位置に泥水などが流入することを防ぐための作溝補助板43が配置されている。これにより、作溝機16が形成した溝の内部に確実に種子を播くことができる。
本実施形態の作業車1は、車体本体2の走行速度に応じて、PTO軸13の駆動速度を変化させるように構成されている。即ち、本実施形態では、車体本体2を速く走行させるほど、繰出ロール29の回転速度が速くなる。これにより、車体本体2の走行速度にかかわらず、圃場に播かれる種子の間隔を略一定に保つことができる。
本実施形態の直播装置3は、2条分が1ユニットとなって構成されている。図3及び4には、直播装置3の1ユニット(2条分)が示されている。即ち、図3に示した1ユニットにおいて、繰出部22は、種子供給口38、繰出ロール29、落下通路31、及び種子放出口42等を2つずつ有している。種子ホッパ20は、その下部が2股に分かれており、2つの種子排出口27を有している。2つの種子排出口27は、それぞれ接続路28を介して、対応する種子供給口38に接続されている。これにより、図3に示したユニットによって、2条分の種子を同時に播くことができる。なお、図3に示すように、各ユニットの繰出部22は、駆動軸34を1本のみ有しており、当該1本の駆動軸34に2条分の繰出ロール29が固定されている。これにより、2条分の繰出ロール29を、1本の駆動軸34によって駆動することができる。
図4に示すように、種子ホッパ20及び繰出部22は、ユニットごとに(2条分ごとに)ベース部21から取り外すことができる。このように、種子ホッパ20及び繰出部22をユニット単位で取り扱うことができるので、当該種子ホッパ20及び繰出部22のメンテナンスが容易になっている。
本実施形態の直播装置3は、図3の2条分のユニットを、車体本体2の左右方向に3つ並べて有している。従って、本実施形態の直播装置3は、合計で6条分の種子を同時に播くことができる。
以上のように構成された本実施形態の作業車1は、車体本体2を進行方向に走行させながら直播装置3の繰出部22を駆動することにより、6条分の種子を圃場に播いていくことができる。なお、作業車1に取り付ける直播装置3のユニットの数は、増減させることができても良い。本実施形態の直播装置3はユニット化されているので、条数の変更にも容易に対応可能である。
続いて、本実施形態の直播装置3の特徴的な構成について詳しく説明する。
本実施形態の直播装置3の繰出部22において、落下通路31の壁面の一部には、可動壁面45が設けられている。可動壁面45は、下に向けて動くように構成されている。可動壁面45が動く方向を、図6に太線の矢印で示す。
図6等に示すように、本実施形態の可動壁面45は、無端環状の平ベルト46によって構成されている。この平ベルト46は、駆動プーリ47と従動プーリ48の間にかけわたされている。駆動プーリ47を回転駆動することにより、平ベルト46が循環駆動される。平ベルト46の循環軌道のうち、駆動プーリ47と従動プーリ48の間の直線状の部分が、落下通路31の内部に露出して、当該落下通路31の内壁面の一部(可動壁面45)を構成している。これにより、落下通路31の内壁面の一部を駆動させることができるようになっている。
図6に示すように、駆動プーリ47と従動プーリ48は、上下に並べて配置されている。従って、平ベルト46は、略上下方向に沿った循環軌道を駆動される。本実施形態では、駆動プーリ47は、従動プーリ48の上方に配置されている。これにより、駆動プーリ47の方が、従動プーリ48よりも繰出ロール29に近い配置となっている。
図3に示すように、繰出部22は、車体本体2の左右方向に沿って(駆動軸34と平行に)配置されたベルト駆動軸49を備えている。駆動プーリ47は、ベルト駆動軸49に軸線を一致させて固定されている。図3及び図5に示すように、ベルト駆動軸49には、前記駆動ギア37に噛み合うベルト駆動ギア50が固定されている。以上の構成で、エンジン10の駆動力によって駆動プーリ47を回転させ、これにより平ベルト46を循環駆動させることができる。
なお前述のように、本実施形態の直播装置3は2条分が1つのユニットとなっているので、各ユニットには、2条分の可動壁面45が設けられている。図3に示すように、各ユニットが備えるベルト駆動軸49には、2条分の駆動プーリ47が固定されている。これにより、2条分の平ベルト46を同時に駆動できる。
前述のように、落下通路31の可動壁面45は、下向きに移動するように構成されている。つまり、平ベルト46の循環軌道のうち、落下通路31の内部に露出している部分(落下通路31の壁面の一部を構成している面)が下向きに動くように、当該平ベルト46への駆動力の伝達経路(駆動ギア37及びベルト駆動ギア50など)が適宜構成されている。
このように、落下通路31の壁面を下向きに動かすことにより、圃場から飛散した泥や水などが落下通路31内に進入した場合であっても、当該落下通路31の壁面(平ベルト46の表面)に泥などが付着しにくくなる。これにより、泥などの付着物が堆積して落下通路31が詰まってしまうことを防止できる。また、本実施形態の直播装置3では、平ベルト46を連続的に循環駆動するように構成されている。これにより、可動壁面45を常に下向きに動かすことができるので、落下通路31に付着物が堆積しにくいという効果をより好適に発揮できる。
また、従来の直播装置3では、落下通路の壁面が濡れている場合などに、当該壁面に種子が付着して落下通路内に滞留してしまうことがあった。この結果、播種量が減少するとともに、安定した点播を実現できなかった。この点、本実施形態の直播装置3では、落下通路31に可動壁面45(平ベルト46)を設けているので、当該壁面に種子が付着しにくい。従って、本実施形態の直播装置3によれば、繰出ロール29が所定量ずつ繰り出す種子を、落下通路31内に滞留させることなく、その全量を確実に地面に播くことができる。
図2に示すように、本実施形態では、可動壁面45を、落下通路31の向かい合う平面を構成するように対で設けている。より具体的には、落下通路31の前側の壁面と、落下通路31の後側の壁面と、にそれぞれ可動壁面45が設けられている。なお、ここでいう前側及び後側とは、車体本体2の前後方向での前側及び後側を言うものとする。このように、落下通路31の前後で向かい合う壁面にそれぞれ可動壁面45を設けることにより、落下通路31内に付着物が堆積することをより確実に防止できる。
なお、本実施形態では上記のように、可動壁面45が前後で対になって設けられているので、直播装置3の各ユニットは、平ベルト46、駆動プーリ47、従動プーリ48、及びベルト駆動軸49等を前後一対で有している(図6)。対で設けられたベルト駆動軸49の一方には、前述のように、駆動ギア37に噛み合うベルト駆動ギア50が固定されている。また、このベルト駆動軸49には、カウンターギア52が固定されている(図5)。対で設けられたベルト駆動軸49の他方には、カウンターギア52に噛み合うベルト駆動ギア53が固定されている。このように、前後一対で設けられた駆動プーリ47のうちの一方は、カウンターギア52を介して駆動されるので、前後一対で設けられた平ベルト46は互いに逆向きに循環駆動される。これにより、前後一対で設けられた可動壁面45を、それぞれ下向きに移動させることができる。
図6に示すように、本実施形態では、平ベルト46の循環軌道の下端部近傍に、清掃部51を備えている。本実施形態の清掃部51は、平ベルト46の表面に近接又は接触させるようにして配置されたスクレーパである。即ち、平ベルト46が循環駆動されることにより、平ベルト46の表面と、清掃部51(スクレーパ)が相対移動するので、平ベルト46表面の付着物をスクレーパによってこそぎ落とすことができる。これにより、落下通路31に付着物が堆積することを確実に防止できる。
また、仮に平ベルト46に種子が付着している場合であっても、当該種子を、清掃部51によって下方に落とすことができる。これにより、繰出ロール29が繰り出した種子を、確実に圃場に播くことができる。また、本実施形態の直播装置3では鉄コーティングされた種子を播くことを想定しているので、平ベルト46の表面が濡れていた場合にはコーティングの粉が付着し易い。この点、本実施形態では上記のように清掃部51を設けているので、平ベルト46の表面に付着したコーティングの粉を落とすことができる。これにより、平ベルト46にコーティングの粉が堆積することを防止できる。
また、従来の直播装置では、図7に示すように、繰出ロールから放出された種子が落下通路の壁面に衝突した場合、当該種子がハネて、落下速度や落下軌跡がバラけてしまっていた。この結果、繰出ロール29によって繰り出された所定量の(数粒の)種子がバラけて圃場に播かれてしまい、理想的な点播になりにくかった。
この点、本実施形態の直播装置3の落下通路31には、下方に向けて動く可動壁面45を設けているので、当該可動壁面45に種子が衝突したとしても落下速度が削がれにくく、従来に比べてハネが低減されている。この結果、種子の落下速度や落下軌跡がバラけにくく、繰出ロール29によって繰り出された所定量の(数粒の)種子が、纏まった状態で圃場に落ち易くなっている。このように、本実施形態の構成によれば、種子を纏まった状態で圃場に播くことができるので、理想的な点播を実現できる。
ところで前述のように、本実施形態の直播装置3は、車体本体2の走行速度が速いほど、繰出ロール29も速く回転駆動するように構成されている。従って、車体本体2の走行速度が早いほど、繰出ロール29の遠心力によって種子が勢い良く放出される。本実施形態の直播装置3は、繰出ロール29の駆動軸34から駆動力を取り出して可動壁面45(平ベルト46)を駆動しているので、繰出ロール29の回転が速いほど(車体本体2の走行速度が速いほど)、可動壁面45も速く駆動されることになる。これにより、繰出ロール29から放出される種子と、下向きに動く可動壁面45と、の相対速度を略一定に保つことができる。従って、繰出ロール29から放出される種子の勢いにかかわらず、当該種子のバラつきを防止する効果を好適に発揮できる。
また、本実施形態の直播装置3では、可動壁面45を、落下通路31の下端部近傍まで設けている。これにより、下向きに駆動される可動壁面45によって、種子を種子放出口42までスムーズに誘導できる。
更に、本実施形態の直播装置3では、前後で対になって設けられた可動壁面45の下端部同士の間隔を、上端部同士の間隔よりも狭くなるように構成している。言い替えると、前後で対になって設けられた駆動プーリ47同士の間隔よりも、従動プーリ48同士の間隔の方が狭くなっている。従って、本実施形態の落下通路31は、下方に進むに従って前後方向の幅が狭くなっている。これにより、種子放出口42の前後方向の幅を狭くできるので、当該種子放出口42から圃場に放出される種子が前後方向でバラけにくくなっている。これにより、理想的な点播に一層近づけることができる。
なお、従来の直播装置では、落下通路の壁面に付着物が堆積し易かったので、種子放出口の幅を狭くした場合には、落下通路が詰まり易くなってしまう。本実施形態の直播装置3は、可動壁面45を設けることにより、落下通路31の壁面に付着物が堆積することを防止しているので、種子放出口42の幅を狭くしたとしても、落下通路31が詰まるおそれはない。このように、本実施形態の直播装置3の構成によれば、従来の直播装置に比べて、種子放出口42の幅を狭くすることができるのである。
以上で説明したように、本実施形態の直播装置3は、繰出部22と、落下通路31と、を備えている。繰出部22は、種子を所定量ずつ繰り出して下方に落下させる。落下通路31は、繰出部22によって繰り出された種子が落下しながら通過するように略鉛直方向に沿って形成されている。そして、落下通路31の壁面の一部に、当該壁面が下向きに駆動される可動壁面45が設けられている。
このように、種子が落下する通路の壁面を駆動することにより、当該壁面に、種子その他の付着物が付着しにくくなる。また、壁面を下向きに駆動することにより、当該壁面に種子が衝突したときに、当該種子の落下速度が削がれることを防ぐことができる。これにより、種子の落下速度にバラツキが生じにくくなるので、種子の散布位置が安定し、理想的な点播を実現できる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態において、可動壁面(平ベルト)は前後一対で設けられているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、落下通路31の前側の壁面にのみ可動壁面を設ける構成であっても本願発明の効果を得ることができる。
上記実施形態では、繰出ロール29の駆動軸34の駆動力を取り出して可動壁面(平ベルト)を駆動しているが、可動壁面(平ベルト46)への駆動力の伝達経路は、繰出ロール29とは別系統であっても良い。その他、駆動力を伝達するための構成(駆動軸やギアの配置など)は適宜変更できる。
上記実施形態では、可動壁面45を連続的に下向きに動かすものとしているが、これに限らず、間欠的に下向きに動かしても良いし、一時的に上向きに動くときがあっても良い。また、可動壁面45は、循環駆動される平ベルト46以外で構成することも可能である。要は、落下通路31の壁面の一部を下向きに動かすことができれば良く、その構成は平ベルト46に限定されない。
上記の平ベルト46は、その表面が疎水性を有していれば、付着物が付着しにくくなるのでより好適である。
上記実施形態では、繰出部22は、繰出ロール29によって種子を繰り出す構成であるが、必ずしもこれに限定されない。種子を所定量ずつ繰り出すことができる他の構成を採用することも可能である。
上記実施形態では、平ベルト46を清掃する清掃部51をスクレーパとしているが、これに代え、あるいはこれに加えて、平ベルト46を清掃するための他の構成を配置することもできる。平ベルト46を清掃するための他の構成としては、例えばブラシ状の部材を配置しても良いし、平ベルト46表面に向けて圧縮エアを吹き付けるエアブラストなどでも良い。もっとも、この清掃部51は省略することもできる。
なお、上記実施形態では、直播装置3は2条分のユニットから構成されるものとしたが、これに代え、或いはこれとともに1条分のユニットがあっても良い。これによれば、奇数条にも対応できる。もちろん、3条以上のユニットがあっても良い。もっとも、直播装置3をユニット化する構成は省略することもできる。
本願発明の粒状体散布装置は、種籾に限らず、様々な種類の種子を播くために利用できる。種子のコーティングは鉄コーティングに限らず、例えばカルパーコーティングであっても良い。また、粒状体散布装置は、種子に限らず、その他の粒状体を散布するために広く利用できる。例えば、本願発明の粒状体散布装置を、粒状の肥料を圃場に散布するための施肥装置や、粒状の薬剤(例えば農薬など)を圃場に散布するための薬剤散布装置として応用することができる。
また、作業車は多目的作業車に限らず、例えば農業用トラクタなどの他の種類の農業用作業車に本願発明の粒状体散布装置を設けることができる。
1 作業車
2 車体本体
3 直播装置(粒状体散布装置)
22 繰出部
31 落下通路
45 可動壁面
46 平ベルト

Claims (8)

  1. 粒状体を地面に散布する粒状体散布装置であって、
    前記粒状体が落下しながら通過する落下通路の壁面の少なくとも一部に、当該壁面が下向きに駆動される可動壁面が設けられていることを特徴とする粒状体散布装置。
  2. 請求項1に記載の粒状体散布装置であって、
    前記粒状体を所定量ずつ繰り出して下方に落下させる繰出部を備え、
    前記繰出部によって繰り出された粒状体が、前記落下通路を落下しながら通過することを特徴とする粒状体散布装置。
  3. 請求項1又は2に記載の粒状体散布装置であって、
    前記粒状体は、種子、肥料、又は薬剤であることを特徴とする粒状体散布装置。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載の粒状体散布装置であって、
    前記可動壁面は、循環駆動される無端環状のベルトであることを特徴とする粒状体散布装置。
  5. 請求項4に記載の粒状体散布装置であって、
    前記ベルト表面の付着物を落とすための清掃部を備えることを特徴とする粒状体散布装置。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載の粒状体散布装置であって、
    前記可動壁面は、前記落下通路の向かい合う壁面を構成するように設けられていることを特徴とする粒状体散布装置。
  7. 請求項6に記載の粒状体散布装置であって、
    前記向かい合う壁面の下端部同士の間隔が、上端部同士の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする粒状体散布装置。
  8. 請求項1から7までの何れか一項に記載の粒状体散布装置と、
    駆動源によって駆動される走行手段を有する車体本体と、
    を備え、
    前記車体本体を走行させながら前記粒状体散布装置によって前記粒状体を圃場に散布することを特徴とする作業車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017131157A1 (ja) * 2016-01-29 2017-08-03 ヤンマー株式会社 粒状体散布装置

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