JP7168887B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
当該連結ブラケットは、一般にレール装置のアッパレール上面にボルトやリベット等を用いて取り付けられているものの、部品点数の削減やシート軽量化を目的として新たにレーザー溶接で接合する技術が知られているところである(特許文献1、2参照)。
そして、レーザー溶接による接合強度を確保しながらも、溶接作業を簡単にするために溶接箇所が考慮されており、レーザー溶接によって形成される溶接ビード(溶接痕)が、連結ブラケット上面において所定形状をなすように延びている。
また、一般に連結ブラケットは、アッパレールよりも板厚が大きいため、連結ブラケットの真上からレーザー溶接すると溶接強度が低下してしまう虞や、レーザーの照射強度を上げる必要が生じて熱の影響を受け易くなる虞があった。
そのため、レーザー溶接による接合強度を一層向上させて、溶接作業を容易にすることが可能な技術が求められていた。
また、本発明の他の目的は、ハイトリンク装置等の構成部品との配置関係を考慮して、溶接作業を含む組み付け作業をすることが可能なレール装置付きの車両用シートを提供することにある。
また、溶接によって形成された溶接痕が、互いに当接した部分の外周部分に沿って延びているため、溶接強度を一層向上できる。
上記のように、シート幅方向の外側又は内側からレーザー溶接することで、比較的スペースが確保し易い位置から溶接作業を行うことができる。
また、各種溶接方法のうち、レーザー溶接を選択することで、溶接作業を一層容易に行うことができる。
上記構成により、連結ブラケットの接合強度を一層向上することができ、特にシート幅方向に加わる応力を効率的に受容することができる。
上記切り欠きの形成によって、溶接可能な外周部分を延長することができるため、溶接強度が向上するとともに、溶接位置の自由度が高くなる。
上記構成により、底壁部の外周部分に切り欠きを形成するにあたり、側壁部の位置を避けた上で、レーザー溶接作業がし易い位置に切り欠きを設けることができる。
一般に、ハイトリンク装置を備えた車両用シートにおいては、ハイト操作レバーがシート本体からシート幅方向の外側に極力張り出すことがないように設計する必要があって、例えば、ハイト操作レバーに対向する位置にある第2リンク(駆動リンク)を第1リンクに対して内側にオフセットさせる技術が知られている。
そして、リンク同士をオフセットすることで通常よりも連結ブラケットの接合強度が求められるところ、上記構成であれば、連結ブラケットの接合強度を十分に確保することが可能となる。
上記のように、リンク等の構成部品を避けた位置で切り欠きを形成しているため、当該切り欠きに向かって溶接する作業が容易になる。
上記構成により、ハイトリンク装置の配置関係を考慮して第1リンクに対して第2リンクを内側にオフセットした場合にも、補強壁部を設けることで第2リンク周辺の剛性を高めることができる。
また、上記のように第2リンクをオフセットした場合、アッパレールと連結ブラケットが当接した外周部分をシート幅方向の内側からレーザー溶接しようとすると、連結ブラケットにおいて第2リンク側に張り出した部分が邪魔をして適切に外周部分を狙ってレーザー照射することが困難になる。しかしながら、本発明の上記構成であれば、補強壁部が底壁部から前記側壁部に向かって上方に延びているため、レーザー照射する上で邪魔になる位置を避けることができる。
詳しく言うと、一般にレーザーが対象部分に照射されると、一部が反射レーザーとなってはね返ってくるため、反射レーザーが通過する領域には構成部品の配置を避けておく必要があるところ、本連結ブラケットの構成であれば、好適にレーザー溶接の作業ができる。
上記のように、補強壁部は底壁部から側壁部に向かって上方傾斜しているために、例えばレーザーの反射角度を考慮することで、一層好適にレーザー溶接の作業ができる。
また、補強凸部が形成されているため、第2リンク周辺の剛性を一層高められる。
請求項2の発明によれば、シート幅方向の外側又は内側からレーザー溶接することで、比較的スペースが確保し易い位置から溶接作業が容易にできる。
請求項3の発明によれば、連結ブラケットの接合強度を一層向上でき、特にシート幅方向に加わる応力を効率的に受容できる。
請求項5の発明によれば、底壁部の外周部分において側壁部の位置を避けた上で、レーザー溶接作業がし易くなる位置に切り欠きが形成される。
請求項6の発明によれば、一般にリンク同士をオフセットすることで通常よりも連結ブラケットの接合強度が求められるところ、連結ブラケットの接合強度を十分に確保できる。
請求項8の発明によれば、ハイトリンク装置の配置関係を考慮して第1リンクに対して第2リンクをオフセットした場合にも、第2リンク周辺の剛性を高められる。また、上記のように第2リンクをオフセットした場合にも、好適にレーザー溶接の作業ができる。
請求項9の発明によれば、例えばレーザーの反射角度を考慮した上で、一層好適にレーザー溶接の作業ができる。また、第2リンク周辺の剛性を一層高められる。
本実施形態は、シート本体を前後移動可能に支持するレール装置を備えた車両用シートであって、クッションフレームとアッパレールとを連結するための連結ブラケットを備え、連結ブラケット及びアッパレールが上下に当接した部分の外周部分がシート幅方向の両側からレーザー溶接されることで溶接痕が形成され、溶接痕は、外周部分のうち、シート幅方向の外側面に沿って延びている第1溶接部と、シート幅方向の内側面に沿って延びている第2溶接部と、を備えていることを特徴とする車両用シートの発明に関するものである。
なお、車両用シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側となる。
シートバック2は、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となるバックフレームにクッションパッド2aを載置して表皮材2bで被覆されて構成されている。
サイドフレーム11は、シート前後方向に延出し、縦断面略I字形状からなる板金部材であって、その後方部分にはリクライニング装置20が取り付けられ、その下方部分にはハイトリンク装置30を介してレール装置40が取り付けられている。
詳しく言うと、リクライニング装置20は、シートクッション1の後方部分に取り付けられ、回転中心となるバック回転軸21と、シートバック2をバック回転軸21を中心として前方側に回転させるように付勢する渦巻きバネ22と、から主に構成されている。
バック回転軸21は、シート幅方向においてシートクッション1側とシートバック2側に軸支され、渦巻きバネ22は、その一端部がシートクッション1側に係止され、他端部がシートバック2側に係止されている。
なお、第2リンク32のうち、クッションフレーム10(サイドフレーム11)側の連結部分において、その外周部分の一部には、歯車として不図示のセクターギア部が形成されており、後述のブレーキユニット34の左右内側に設けられた不図示のピニオンギアと噛み合わされている。
ハイト操作レバー35が操作されると、ブレーキ回転軸33と一体的にピニオンギアが回転し、ピニオンギアとセクターギア部との噛み合い位置が変化する。さらに、セクターギア部が形成された左側の第2リンク32が回転し、左側の第2リンク32に従動して、右側の第2リンク32、左右の第1リンク31も回転する。これによって、シート本体が昇降し、シート高さが調整されることになる。
ロアレール41は、長尺な中空体からなり、シート幅方向に間隔を空けて左右に配置されており、シート前後方向に沿って断面略凸形状の収容空間が形成されている。
アッパレール42は、ロアレール41の収容空間内に挿入された状態でロアレール41に沿ってスライド移動する長尺体からなり、図3に示すように、その上方部分が連結ブラケット50を介してクッションフレーム10側に連結されている。
連結ブラケット50は、アッパレール42の上面に当接する底壁部51と、底壁部51の左右方向の内側端部から連続して上方に延出し、リンク31,32が回動可能に取り付けられている側壁部52と、底壁部51の前端部から連続して上方に延出し、側壁部52の前端部にも連結されている前壁部53と、から主に構成されている。
なお、底壁部51が、特許請求の範囲においてアッパレール42の上面(被当接部)に当接する当接部に相当する。
切り欠き51aは、略矩形状に切り欠かれた部分であって、シート幅方向においてアッパレール42の中央部には到達しない範囲でシート幅方向の内側に延びている。また、シート前後方向において第1リンク31と第2リンク32の間に配置されている。
底壁部51は、その底面とアッパレール42上面が当接した部分の外周部分がレーザー溶接されることで、アッパレール42上に接合されている。
詳しく言うと、当該外周部分がシート幅方向の外側及び内側からレーザー溶接されることで、底壁部51及びアッパレール42上面の両方に溶接痕60が形成されている。
また、側壁部52のうち、第1リンク31と第2リンク32の間には、シート前後方向に延びる上端フランジ52aと、レール装置40又はその周辺にある公知なデバイス用のハーネスを通すためのハーネス通過穴52bとが形成されている。
上端フランジ52a、ハーネス通過穴52bは、シート前後方向において切り欠き51aに対向する位置に形成されている。
補強壁部54は、底壁部51から側壁部52に向かって上方傾斜しており、具体的には、底壁部に対して約15~45度の角度、好ましくは約30度の角度で上方傾斜している。
また補強壁部54には、上方に盛り上がった補強凸部54aが形成されている。補強凸部54aは、補強壁部54において底壁部51に連結された部分から側壁部52に連結された部分まで延びており、シート前後方向に所定の間隔を空けて複数形成されている。
溶接痕60は、当該外周部分のうち、シート幅方向の外側面に沿って延びている第1溶接部61と、シート幅方向の内側面に沿って延びている第2溶接部62と、を備えている。
第1溶接部61は、底壁部51の外周部分のうち、切り欠き51aを含む外側面に沿って延びており、詳しく言うと、切り欠き51aの位置で不連続となるように延びている。
第2溶接部62は、底壁部51の外周部分のうち、内側面に沿って連続して延びている。
そのため、比較的スペースが確保し易い位置から溶接作業することができる。
一般に、ハイトリンク装置30付きのシートにおいては、ハイト操作レバー35がシート本体からシート幅方向の外側に極力張り出すことがないように、ハイト操作レバー35にブレーキユニット34を介して連結される第2リンク32(駆動リンク)をシート幅方向の内側にオフセット配置させるものである。
このようにリンク同士をオフセット配置することで通常よりも連結ブラケット50の接合強度が求められるところ、上記のようにレーザー溶接を採用した本構成であれば、連結ブラケット50の接合強度を十分に確保することができる。
一般にシート幅方向の内側からレーザー溶接しようとすると、連結ブラケット50において第2リンク32側に張り出した部分が邪魔をして適切にレーザー照射することが困難になる。しかしながら、本発明の構成であれば、補強壁部54によってレーザー照射する上で邪魔になる部分を避けることができる。
具体的には、レーザーが対象部分に照射されると、一部が反射レーザーとなってはね返ってくるため、反射レーザーが通過する領域には構成部品の配置を避けておく必要があるところ、本連結ブラケット50の構成であれば、好適にレーザー溶接の作業ができる。
上記実施形態において、図3に示すように、車両用シートSは、ハイトリンク装置30を備えた構成となっているが、必ずしも必要ではなく、クッションフレーム10(サイドフレーム11)と連結ブラケット50が直接連結されていても良い。
また、連結ブラケット50の代わりに、連結部がサイドフレーム11の下端部分に一体的に設けられ、当該連結部とアッパレール42とが連結された構成になっていても良い。
例えば、当該外周部分がシート幅方向の外側のみからレーザー溶接されても良いし、シート前方側のみからレーザー溶接されても良い。
当該外周部分がシート幅方向の外側のみからレーザー溶接されている場合には、溶接痕60は、第1溶接部61のみ形成されることになる。
このとき、第1溶接部61の溶接箇所も任意であって、例えば切り欠き51aが形成されていない場合には、第1溶接部61は、当該外周部分の外側面に沿って連続して延びていても良いし、間隔を空けながら不連続で延びていても良い。また例えば切り欠き51aが形成されている場合でも、第1溶接部61は、切り欠き51a全周を含む外側面に沿って連続して延びていても良い。
一般に、連結ブラケット50はアッパレール42よりも板厚が大きいため、互いに当接した部分においてやや連結ブラケット50側に寄せた位置にレーザー溶接することで、アッパレール42が熱の影響を受け難くすることができる。このとき、溶接痕60が連結ブラケット50に大きく形成されることになる。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
1 シートクッション
1a、2a クッションパッド
1b、2b 表皮材
2 シートバック
10 クッションフレーム
11 サイドフレーム
12 パンフレーム
13 後方連結フレーム
14 弾性バネ
20 リクライニング装置
21 バック回転軸
22 渦巻きバネ
30 ハイトリンク装置
31 第1リンク
32 第2リンク
33 ブレーキ回転軸
34 ブレーキユニット
35 ハイト操作レバー
40 レール装置
41 ロアレール
42 アッパレール
43 レール操作レバー
50 連結ブラケット
51 底壁部(当接部)
51a 切り欠き
52 側壁部
52a 上端フランジ
52b ハーネス通過穴
53 前壁部
54 補強壁部
54a 補強凸部
60 溶接痕
61 第1溶接部
62 第2溶接部
Claims (9)
- 着座部となるシートクッションと、
車体フロア上に取り付けられ、所定方向に延びるロアレールと、該ロアレールに沿って摺動可能に取り付けられ、前記シートクッションを支持するアッパレールと、
該アッパレールと前記シートクッションを連結するために前記アッパレール上に取り付けられる連結ブラケットと、を備え、
該連結ブラケットは、前記アッパレールに設けられた被当接部に当接する当接部と、前記当接部の前端部から連続して上方に延出する前壁部と、を有し、
該当接部及び前記被当接部が当接した部分の外周部分が溶接されることで、前記当接部及び前記被当接部の少なくとも一方に溶接痕が形成され、
該溶接痕は、前記外周部分に沿わせて延びており、
前記連結ブラケットにおいて前記前壁部のシート幅方向の内側端部が、前記前壁部のシート幅方向の外側端部よりも上下方向に長尺に形成されていることを特徴とする車両用シート。 - 前記当接部は、前記被当接部に対して上下方向に当接し、
前記連結ブラケットは、前記外周部分がシート幅方向の少なくとも一方側からレーザー溶接されることで、前記アッパレール上に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。 - 前記溶接痕は、前記外周部分のうち、シート幅方向の外側面に沿って延びている第1溶接部と、シート幅方向の内側面に沿って延びている第2溶接部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シート。
- 前記当接部において前記外周部分の一部には、切り欠きが形成され、
前記溶接痕は、前記切り欠きを含む前記外周部分に沿って延びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用シート。 - 前記連結ブラケットは、前記アッパレールの上面に当接する底壁部と、該底壁部のシート幅方向の内側部分から連続して上方に延出し、前記シートクッション側が取り付けられる側壁部と、を有し、
前記前壁部は、前記底壁部及び前記側壁部を連結し、
前記前壁部において前記外側端部よりも上下方向に長尺に形成された前記内側端部が、前記側壁部に連結されており、
前記切り欠きは、前記底壁部においてシート幅方向の外側部分に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用シート。 - 前記シートクッションと前記連結ブラケットをそれぞれ連結し、該連結ブラケットに対して回動可能となるように取り付けられる第1リンク及び第2リンクを備え、
前記第1リンクは、前記第2リンクよりもシート前方に配置され、かつ、前記第2リンクとシート幅方向において異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート。 - 前記切り欠きは、シート前後方向において前記第1リンクと前記第2リンクの間に複数形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用シート。
- 前記側壁部は、前記第1リンクが取り付けられる部分から前記第2リンクが取り付けられる部分に向かうに従って、前記底壁部からシート幅方向において遠ざかる向きに屈曲して形成され、
前記連結ブラケットは、前記底壁部と、前記側壁部において前記第2リンクが取り付けられる部分とを連結し、前記底壁部から前記側壁部に向かって上方に延びる補強壁部を有していることを特徴とする請求項7に記載の車両用シート。 - 前記補強壁部は、前記底壁部から前記側壁部に向かって上方傾斜しており、
前記補強壁部には、上方に向かって突出し、前記底壁部に連続した部分から前記側壁部に連続した部分まで延びている補強凸部が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の車両用シート。
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