以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1から図3は、本発明の第1実施形態に係る収容箱10を示す。この収容箱10は、上端を開放した平面視四角形状のトレイであり、同一構造を有する他のトレイを積み重ねて配置するための係止突起31と係止穴12bとを備える(図3参照)。本実施形態では、係止突起31の形状を改良することで、収容箱10の積重状態の安定性を向上する。
収容箱10は、図4に示す一枚のブランクの所定部位を折り曲げることで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナと裏ライナの間に波状の中しんを配設した構成である。図4中の一点鎖線は、裏ライナの方から罫を入れて部分的に肉厚を圧縮した汎用罫線である。図4中の実線は、刃を入れて裏ライナから表ライナにかけて部分的に切断した切断線、及び打ち抜きによる形状線(縁)である。
図1に示すように、収容箱10は、四角形状の底壁12を備える。底壁12の対向する一対の端縁(第1辺)には、折曲部18を介して二層構造の端壁(本発明の側壁)14がそれぞれ立設されている。底壁12の他の対向する一対の側縁には、折曲部(第2辺)23を介して単層構造の側壁(本発明の第2の側壁)22がそれぞれ立設されている。
以下の説明では、一対の端壁14が対向する方向をX方向、一対の側壁22が対向する方向をY方向、そして収容箱10の底壁12と開口が対向する高さ方向をZ方向と言うことがある。本実施形態の収容箱10は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きい直方体状であるが、Z方向を含めた収容箱10の寸法は、必要に応じて変更が可能である。
引き続いて図1を参照すると、端壁14は、それぞれ概ね長方形状の外板15、縁板16、及び内板17を備える。外板15は、前述した折曲部18を介して底壁12に立設され、底壁12に対して概ね直交するようにYZ平面に沿って延びている。縁板16は、折曲部(第1折曲部)19を介して外板15の上端縁に連設され、底壁12に対して概ね平行に位置するようにXY平面に沿って延びている。内板17は、折曲部(第2折曲部)20を介して縁板16の内端縁に連設され、外板15に対して概ね平行に位置するようにXY平面に沿って延びている。後で詳述する係止突起31を形成する部分には、折曲部19,20は設けられていない。外板15と内板17では、中しん(図1及び図4において一部を破断した部分)がZ方向に延びている(段方向)。
図1及び図4を参照すると、端壁14を組立状態(折曲状態)に保持するために、内板17には係止片17aが突設され、底壁12には係止穴12aが形成されている。係止片17aは、Y方向に間隔をあけて位置するように内板17の先端(図1において下端)に一対設けられている。内板17の先端から係止片17aの先端までの係止片17aの突出寸法は、段ボールシートの厚み(表ライナの外面から裏ライナの外面までの距離)と概ね同一に設定されている。係止穴12aは、矩形状の貫通孔であり、Y方向の位置が係止片17aと一致するように、底壁12に対して合計で4箇所設けられている。また、内板17の先端中央には、解体時に係止穴12aへの係止片17aの係止を解除するための操作部17bが設けられている。操作部17bは、半円形状の切り欠きによって構成されている。
側壁22は、後述する折込部25を端壁14に折り込むためのスペースを確保するために、下底の寸法よりも上底の寸法を短くした台形状に形成されている。側壁22のZ方向の寸法、つまり底壁12から側壁22の上端までの側壁22の全高は、底壁12から端壁14の上端(縁板16の上面)までの端壁14の全高よりも、段ボールシートの厚み分だけ低くなるように設定されている。側壁22は、端壁14と同様に、外板、縁板、及び内板を有する二層構造としてもよい。
図4のブランクを参照すると、端壁14(外板15)は、折曲部18を構成する折曲線18’を介して底壁12に連設されている。一対の端壁14のうち、一方は底壁12から左向きに突出し、他方は底壁12から右向き(逆向き)に突出している。縁板16は、折曲部19を構成する折曲線(第1折曲線)19’を介して外板15の外端縁に連設されている。内板17は、折曲部20を構成する折曲線(第2折曲線)20’を介して縁板16の外端縁に連設されている。側壁22は、折曲部23を構成する折曲線23’を介して底壁12に連設されている。一対の側壁22のうち、一方は底壁12から上向きに突出し、他方は底壁12から下向き(逆向き)に突出している。これらの折曲線18’~20’,23’は汎用罫線によって構成されている。
図1を参照すると、端壁14と側壁22は折込部25を介して連続している。図6を併せて参照すると、折込部25は、折曲部28によって第1部分25aと第2部分25bに区画されている。第1部分25aは折曲部26を介して端壁14の外板15に連設され、第2部分25bは折曲部27を介して側壁22に連設されている。折込部25は、第1部分25aと第2部分25bが重ね合わせられた状態で、外板15と内板17の間に折り込まれている。これにより、底壁12に対して端壁14と側壁22が立設した状態に保持されている。
図4を参照すると、折込部25は、折曲部26を構成する折曲線26’を介して外板15に連設され、折曲部27を構成する折曲線27’を介して側壁22に連設されている。折曲線26’,27’の交点からこれらの間の中央を通るように、折曲部28を構成する折曲線28’が設けられている。折曲線26’,27’は汎用罫線によって構成されている。折曲線28’は、複数(本実施形態では2本)の切断線を汎用罫線上に間隔をあけて設けたリード罫によって構成されている。これらの交点、つまり底壁12の4隅には円形状の打抜部29が形成され、底壁12に対する外板15、側壁22、及び折込部25の折り曲げによる反発を打抜部29によって低減している。
図3に示すように、複数の収容箱10を積重可能とするために、端壁14には係止突起31が設けられ、底壁12には係止穴12bが設けられている。図1を参照すると、Y方向の位置が係止片17aと一致するように係止突起31を設けることで、第1の係止穴12aと第2の係止穴12bの両機能を1個の貫通孔で構成している。
具体的には、図2及び図3に示すように、係止突起31は、並設された一対の切断部32A,32Bによって、外板15、縁板16、及び内板17に対して区画されている。係止突起31は、外板15に連続した第1傾斜部31aと、内板17に連続した第2傾斜部31bとを備え、これらを折曲部(第3折曲部)35を介して連続させた山型である。係止突起31の頂部を構成する折曲部35は、端壁14の上端である縁板16から上方へ突出している。
切断部32A,32Bは、縁板16の両側の折曲部19,20に対して直交するように、外板15から内板17にかけてZ方向及びX方向へ延びている。図5を併せて参照すると、切断部32A,32Bは、切断線32A’,32B’によって構成されている。切断線32A’,32B’の第1端32aは外板15上にそれぞれ位置し、切断線32A’,32B’の第2端32bは内板17上にそれぞれ位置する。
第1端32aから第2端32bまでの切断線32A’,32B’(切断部32A,32B)の全長は、それぞれ同じである。Y方向における端壁14の中央側に位置する切断線32A’の第1端32aは、Y方向外側に位置する切断線32B’の第1端32aよりも、折曲部19から離れて位置する。中央側に位置する切断線32A’の第2端32bは、外側に位置する切断線32B’の第2端32bよりも、折曲部20の近くに位置する。つまり、中央側の切断線32A’(切断部32A)と外側の切断線32B’(切断部32B)とは、Z方向へずらして設けられている。
本実施形態では、折曲線19’から切断線32B’の第1端32aまでの寸法と、折曲線20’から切断線32B’の第2端32bまでの寸法とは、同じである。つまり、切断線32B’の中心は、縁板16のX方向の中心に位置する。折曲線19’から切断線32A’の第1端32aまでの寸法は、折曲線20’から切断線32A’の第2端32bまでの寸法よりも長い。つまり、切断線32A’の中心は、縁板16のX方向の中心よりも外板15側に位置する。
外板15側に位置する切断部32Aの第1端32aと切断部32Bの第1端32aとの間には、一方から他方にかけて延びる折曲部(第6折曲部)33が設けられている。内板17側に位置する切断部32Aの第2端32bと切断部32Bの第2端32bとの間には、一方から他方にかけて延びる折曲部(第7折曲部)34が設けられている。これらの折曲部33,34は、汎用罫線からなる折曲線33’,34’に沿った折り曲げによって構成される。折曲部33は、外板15上に設けられており、Y方向の中央側から外側へ向けて、Z方向上向きに傾斜している。折曲部34は、内板17上に設けられており、Y方向の中央側から外側へ向けて、Z方向下向きに傾斜している。つまり、折曲部33と折曲部34は、Z方向において逆向きに傾斜している。
図2に示すように、折曲部35は、端壁14をZ方向上側から見て、一対の切断部32A,32Bのうちの一方から他方にかけて延び、折曲部19,20間でこれらに対して傾斜している。図5を参照すると、折曲部35は、汎用罫線からなる折曲線35’に沿った折り曲げによって構成されている。
図3に示すように、Y方向における端壁14の中央側に位置する折曲部35の第1端35aは、折曲部20(内板17)に隣接して位置する。Y方向における端壁14の外側に位置する折曲部35の第2端35bは、第1端35aよりも折曲部20から離れ、折曲部19(外板15)の方に位置する。図5を参照すると、第1端35aは切断線32A’上の折曲部20の近傍に配置され、第2端35bは切断線32B’上の折曲部19の近傍(切断線32B’の中央)に配置されている。但し、第1及び第2端35a,35bは、切断線32A’,32B’に対して間隔をあけて配置されてもよい。
なお、折曲部35(折曲線35’)の第1端35aの位置は、図1から図3に示す組立状態で一対の折曲部19,20間に位置し、内板17の外板15側に隣接する構成であれば、必要に応じて変更が可能である。また、第2端35bの位置は、組立状態で一対の折曲部19,20間に位置し、第1端35aよりも外板15側に位置する構成であれば、必要に応じて変更が可能である。特に、図4及び図5に示すブランク状態での第1端35aの位置は、折曲線19’から切断線32A’の第1端32aまでの寸法、及び折曲線20’から切断線32A’の第2端32bまでの寸法によって異なり、折曲線20’を越えて内板17の領域に配置されてもよい。また、第2端35bの位置は、折曲線19’から切断線32B’の第1端32aまでの寸法、及び折曲線20’から切断線32B’の第2端32bまでの寸法によって異なり、折曲線19’を越えて外板15の領域に配置されてもよい。
図5を参照すると、第1傾斜部31aは、一対の切断線32A’,32B’によって端壁14に対して区画され、外板15から縁板16にかけて延びている。図2及び図3を参照すると、第1傾斜部31aは、四角形状であり、一対の切断部32A,32B、及び一対の折曲部33,35によって画定されている。第1傾斜部31aは、折曲部33に沿って折れ曲がり、内板17の方へ面状に傾斜している。図3に最も明瞭に示すように、折曲線35を折曲部19,20に対して傾斜させているため、折曲線35の第1端35a側で第1傾斜部31aは、内板17の内面に隣接した位置から外板15にかけて傾斜している。また、折曲線35の第2端35b側で第1傾斜部31aは、縁板16の中央上方から外板15にかけて傾斜している。つまり、第1傾斜部31aは、Y方向の外側から内側に向かうに従って内板17側(X方向内側)へ傾斜している。
図5を参照すると、第2傾斜部31bは、一対の切断線32A’,32B’によって端壁14に対して区画され、内板17から縁板16にかけて延びている。図2及び図3を参照すると、第2傾斜部31bは、一対の切断部32A,32B、及び一対の折曲部34,35によって画定されている。第2傾斜部31bは、四角形状であり、折曲部34に沿って折れ曲がり、外板15の方へ面状に傾斜している。図3に最も明瞭に示すように、折曲線35を折曲部19,20に対して傾斜させているため、折曲線35の第1端35a側で第2傾斜部31bは、内板17の内面に隣接した位置から内板17にかけて傾斜している。また、折曲線35の第2端35b側で第2傾斜部31bは、縁板16の中央上方から内板17にかけて傾斜している。つまり、第2傾斜部31bは、Y方向の外側から内側に向かうに従って内板17側(X方向内側)へ傾斜している。
係止穴12bは、Y方向の位置が係止突起31と一致するように、底壁12に対して一対の折曲部18に隣接して設けられている。但し、係止穴12bは、折曲部18に対して間隔をあけて設けられてもよい。係止穴12bのX方向内側には、係止片17aを係止する係止穴12aが空間的に連続するように設けられている。よって、2つの係止穴12a,12bの開口面積は、平面視の係止突起31の面積よりも大きい。係止穴12bのY方向の寸法は、係止突起31のY方向の寸法よりも大きく、これらの間に挿入を実現可能な最小限のクリアランスが形成される。つまり、係止穴12bのY方向の距離は、係止突起31のY方向の寸法に前述のクリアランスを加算した寸法に設定されている。
図4に示すブランクを組み立てる場合、図6に示すように、折曲線23’に沿って底壁12に対して側壁22を山折りするとともに、折曲線18’に沿って底壁12に対して外板15を山折りする。この際、内側(底壁12側)へ突出するように、折曲線28’に沿って折込部25を谷折りし、折曲線26’,27’に沿って折込部25を山折りする。続いて、折曲線19’に沿って外板15に対して縁板16を山折りするとともに、折曲線20’に沿って縁板16に対して内板17を山折りし、内板17の係止片17aを底壁12の係止穴12aに係止する。これにより、図1から図3に示すように、外板15と内板17の間に折込部25が挟み込まれ、底壁12に対して端壁14と側壁22が立設された組立状態になる。
この収容箱10では、二層構造の端壁14に係止突起31が設けられ、底壁12に係止穴12bが設けられているため、係止突起31を他の収容箱10の係止穴12bに挿入係止させることで、上下の収容箱10を位置決めして積み重ねることができる。X方向に幅を有する二層構造の端壁14上に他の収容箱10の底壁12が配置されるため、安定した積重状態を実現できる。
図18は、従来の係止突起31’と係止穴12b’を示す。従来の係止穴12b’の構成は、本実施形態の係止穴12bと同じである。従来の係止突起31’は、X方向における縁板16の中央に頂部が位置するように、折曲部19,20に対して折曲部33~35が平行に設けられている点で、本実施形態の係止突起31と相違している。
図18を参照すると、係止突起31’の第1傾斜部31a’と内板17の間、及び係止突起31’の第2傾斜部31b’と外板15の間には隙間が存在している。よって、上段の収容箱10’にX方向(外板15と内板17が対向する方向)の力が加わった場合、上記隙間分、下段の収容箱10’に対する上段の収容箱10’の移動が許容される。この場合、下段の収容箱10’の端壁14に上段の収容箱10’の荷重が偏って加わるため、十分な耐圧強度を確保できない場合がある。
これに対して、本実施形態では、図3に示すように、端壁14の折曲部19,20に対して係止突起31の折曲部35(頂部)が傾斜している。そのため、折曲部35の一端35aは他の収容箱10の内板17に隣接して位置し、係止穴12bの縁(係止片17a)に第2傾斜部31bが当接乃至近接した状態になる。つまり、上段の収容箱10の内板17と下段の収容箱10の第2傾斜部31bとの間には、相対的な移動を許容するような隙間は殆ど無い。よって、上段の収容箱10にX方向の力が加わった場合でも、下段の収容箱10に対する上段の収容箱10の移動を抑制できる。また、上段の収容箱10に対してY方向の力が加わった場合、係止突起31のY方向の両端が係止穴12bのY方向の縁に当接することで、下段の収容箱10に対する上段の収容箱10の移動を抑制できる。その結果、下段の収容箱10の耐圧強度を確保でき、積重状態とした収容箱10の安定性を向上できる。
(第2実施形態)
図7及び図8は第2実施形態の収容箱10の係止突起31を示す。この係止突起31は、第1実施形態と同様に設けた折曲部35(折曲線35’)に対して、折曲部33,34(折曲線33’,34’)を平行に設けた点で、第1実施形態の係止突起31と相違する。この係止突起31を有する第2実施形態の収容箱10は、第1実施形態の収容箱10と同様の作用及び効果を得ることができる。
(第3実施形態)
図9から図11は第3実施形態の収容箱10の係止突起31を示す。この係止突起31は、第1傾斜部31aと第2傾斜部31bの間に連続部31cを更に備える点で、第1実施形態の係止突起31と相違する。
図9及び図10に示すように、係止突起31は、並設された一対の切断部32A,32Bによって、外板15、縁板16、及び内板17に対して区画されている。連続部31cは、第1傾斜部31aの上端に折曲部(第4折曲部)36を介して連続するとともに、第2傾斜部31bの上端に折曲部(第3折曲部)35を介して連続している。また、係止突起31の頂部を構成する連続部31cは面状であり、全体が端壁14の上端である縁板16から上方へ突出している。
切断部32A,32Bは、第1実施形態と同様に、縁板16の両側の折曲部19,20に対して直交するように、外板15から内板17にかけてZ方向及びX方向へ延びている。図11を併せて参照すると、Y方向の中央側に位置する切断線32A’(切断部32A)の全長は、Y方向の外側に位置する切断線32B’(切断部32B)の全長よりも短い。切断線32A’,32B’の中心はそれぞれ、縁板16のX方向の中央に位置する。
折曲部35は、第1実施形態と同様に、端壁14をZ方向上側から見て、一対の切断部32A,32Bのうちの一方から他方にかけて延び、折曲部19,20間でこれらに対して傾斜している。折曲部35(折曲線35’)の第1端35aは、折曲部20(内板17)に隣接して位置する。折曲部35の第2端35bは、第1端35aよりも折曲部20から離れ、縁板16(切断線32B’)のX方向の中央に位置する。
折曲部36は、端壁14をZ方向上側から見て、一対の切断部32A,32Bのうちの一方から他方にかけて延び、折曲部19,20間で折曲部35に対して逆向き(つまり交差する向き)に傾斜している。図11を参照すると、折曲部36は、汎用罫線からなる折曲線36’に沿った折り曲げによって構成されている。
Y方向の中央側に位置する折曲部36の第1端36aは、折曲部19(外板15)に隣接して位置する。Y方向の外側に位置する折曲部36の第2端36bは、第1端36aよりも折曲部19から離れ、折曲部20(内板17)の方に位置する。本実施形態では、第2端36bは、折曲部35の第2端35bと同一点上に位置するように、縁板16(切断線32B’)のX方向の中央に配置されている。
図11を参照すると、第1傾斜部31aは、一対の切断線32A’,32B’によって端壁14に対して区画され、外板15から縁板16にかけて延びている。図9及び図10を参照すると、第1傾斜部31aは、四角形状であり、一対の切断部32A,32B、及び一対の折曲部33,36によって画定されている。第1傾斜部31aは、折曲部33に沿って折れ曲がり、内板17の方へ面状に傾斜している。
折曲線36を折曲部19,20に対して傾斜させているため、折曲線36の第1端36a側で第1傾斜部31aは、外板15の内面に隣接した位置から外板15にかけて傾斜している。また、折曲線36の第2端36b側で第1傾斜部31aは、縁板16の中央上方から外板15にかけて傾斜している。つまり、第1傾斜部31aは、Y方向の内側から外側に向かうに従って内板17側(X方向内側)へ傾斜している。
図11を参照すると、第2傾斜部31bは、一対の切断線32A’,32B’によって端壁14に対して区画され、内板17から縁板16にかけて延びている。図9及び図10を参照すると、第2傾斜部31bは、四角形状であり、一対の切断部32A,32B、及び一対の折曲部34,35によって画定されている。第2傾斜部31bは、折曲部34に沿って折れ曲がり、外板15の方へ面状に傾斜している。
折曲線35を折曲部19,20に対して傾斜させているため、折曲線35の第1端35a側で第2傾斜部31bは、内板17の内面に隣接した位置から内板17にかけて傾斜している。また、折曲線35の第2端35b側で第2傾斜部31bは、縁板16の中央上方から内板17にかけて傾斜している。つまり、第2傾斜部31bは、Y方向の内側から外側に向かうに従って外板15側(X方向外側)へ傾斜している。
図11を参照すると、連続部31cは、一対の切断線32A’,32B’によって縁板16に対して区画されている。図9及び図10を参照すると、連続部31cは、一対の切断部32A,32B、及び一対の折曲部35,36によって画定されている。連続部31cは、折曲部35,36に沿って傾斜部31a,31bに対して折れ曲がり、縁板16に沿って面状に延び、Z方向へ傾斜している。
折曲部35の第1端35aと折曲部36の第1端36aとは間隔をあけて位置している。一方、折曲部35,36の第2端35b,36bは、折曲部19,20間の中央である同一点上に位置している。そのため、縁板16から上端までの高さである第1端35a,36a側の突出量は、第2端35b,36b側の突出量よりも少ない。本実施形態では、折曲部20から第1端35aまでの間隔と、折曲部19から第1端36aまでの間隔とは、同一に設定されている。よって、連続部31cは、第1端35a,36a間を底辺とし、第2端35b,36bを頂点とする二等辺三角形状に形成され、頂点から底辺に向けてZ方向下向きに傾斜している。また、連続部31cの底辺は、縁板16に沿って概ね平行に延びている。
この係止突起31の連続部31cは、折曲部35,36の第2端35b,36b(頂点)から第1端35a,36a(底辺)に向けて下向きに傾斜している。この傾斜は、収容箱10の上方に他の収容箱10を積み重ねる際にガイド機能の役割をなし、上下の収容箱10の位置ズレを矯正できるため、作業者による積重作業性を向上できる。
具体的には、係止突起31の上端は連続部31cの頂点(第2端35b,36b)であるため、上側に配置する収容箱10の係止穴12bを下側の係止突起31上に配置する作業が容易である。係止突起31を係止穴12bに挿入すると、係止穴12bの縁が折曲部35,36に当接し、これらが摺接することで、下段の収容箱10に対する上段の収容箱10のX方向の位置ズレを矯正できる。また、係止穴12bの縁が連続部31cに当接し、これらが摺接することで、下段の収容箱10に対する上段の収容箱10のY方向の位置ズレを矯正できる。このように、下段の収容箱10に対して上段の収容箱10をXY方向に移動させ、上下の収容箱10の重心を上下方向に一致させることができる。よって、作業者による積重作業性を向上できる。
また、本実施形態の係止突起31は、折曲部35の第1端35a(連続部31cの底辺の一端)が上段の収容箱10の内板17(折曲線20)に隣接し、折曲部36の第1端36a(連続部31cの底辺の他端)が上段の収容箱10の外板15(折曲線19)に隣接するように設けられている。そのため、上段の収容箱10の内板17と下段の収容箱10の第2傾斜部31bとの間、及び上段の収容箱10の外板15と下段の収容箱10の第1傾斜部31aとの間には、相対的な移動を許容するような隙間は殆ど無い。よって、上段の収容箱10にX方向の力が加わった場合でも、下段の収容箱10に対する上段の収容箱10の移動を効果的に抑制できる。また、上段の収容箱10に対してY方向の力が加わった場合、係止突起31のY方向の両端が係止穴12bのY方向の縁に当接することで、下段の収容箱10に対する上段の収容箱10の移動を抑制できる。その結果、下段の収容箱10の耐圧強度を確保でき、積重状態とした収容箱10の安定性を向上できる。
(第4実施形態)
図12及び図13は第4実施形態の収容箱10の係止突起31を示す。図12に示すように、係止突起31は第3実施形態と同様に連続部31cを備えており、この連続部31cを内板17側へ下向きに傾斜させた点で第3実施形態の係止突起31と相違している。具体的には、係止突起31は、一対の切断部32A,32B、4本の折曲部33~36によって画定されており、折曲部35の構成のみが第3実施形態と相違する。
図12を参照すると、折曲部35の第1端35aは、折曲部20に対して折曲部19側に隣接し、図13を参照すると、折曲線35’の第1端35aは、切断線32Aにおける内板17側に突出した部分の上に位置している。内板17に対して第2傾斜部31bが傾斜することにより、折曲部35の第1端35aは、縁板16よりもZ方向下側かつ内板17よりもX方向外側に位置する。図12を参照すると、折曲部35の第2端35bは、第1端35aよりも折曲部19側に間隔をあけて位置し、図13を参照すると、折曲線35’の第2端35bは、折曲線19’,20’間の中央よりも折曲線19’寄りに位置している。
図12を参照すると、第1傾斜部31aは、折曲部33に沿って折れ曲がり、内板17の方へ傾斜している。第2傾斜部31bは、折曲部34に沿って折れ曲がり、外板15の方へ傾斜している。連続部31cは、折曲線35’の第1端35aが折曲線20’を越えて内板17側に位置するため、X方向の外側から内側に向けてZ方向下向きに傾斜している。
この係止突起31を備える第4実施形態の収容箱10では、第3実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、連続部31cを傾斜させているため、上方に他の収容箱10を配置する際の作業性をより向上できる。
(第5実施形態)
図14及び図15は第5実施形態の収容箱10の係止突起31を示す。図14に示すように、係止突起31は第3実施形態と同様に連続部31cを備えており、この連続部31cを外板15側へ下向きに傾斜させた点で第3実施形態の係止突起31と相違している。具体的には、係止突起31は、一対の切断部32A,32B、4本の折曲部33~36によって画定されており、折曲部36の構成のみが第3実施形態と相違する。
図14を参照すると、折曲部36の第1端36aは、折曲部19に対して折曲部20側に隣接し、図15を参照すると、折曲線35’の第1端35aは、切断線32Aにおける外板15側に突出した部分の上に位置している。外板15に対して第1傾斜部31aが傾斜することにより、折曲部36の第1端36aは、縁板16よりもZ方向下側かつ外板15よりもX方向内側に位置する。図14を参照すると、折曲部36の第2端36bは、第1端36aよりも折曲部20側に間隔をあけて位置し、図15を参照すると、折曲線36’の第2端36bは、折曲線19’,20’間の中央よりも折曲線20’寄りに位置している。
図14を参照すると、第1傾斜部31aは、折曲部33に沿って折れ曲がり、内板17の方へ傾斜している。第2傾斜部31bは、折曲部34に沿って折れ曲がり、外板15の方へ傾斜している。連続部31cは、折曲線36’の第1端36aが折曲線19’を越えて外板15側に位置するため、X方向の内側から外側に向けてZ方向下向きに傾斜している。
この係止突起31を備える第5実施形態の収容箱10では、第3実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、連続部31cを傾斜させているため、上方に他の収容箱10を配置する際の作業性をより向上できる。
(第6実施形態)
図16及び図17は第6実施形態の収容箱10の係止突起31を示す。この第6実施形態の収容箱10は、1つの端壁14に対して係止突起31を1個のみ設けた点、及びY方向の一方と他方で第1傾斜部31a、第2傾斜部31b、及び連続部31cの傾斜を異ならせた点で、第1実施形態から第5実施形態と相違する。具体的には、図16に示すように、係止突起31は、一対の切断部32A,32B、及び4種の折曲部33~36によって区画されている。
切断部32A,32Bは、外板15から内板17にかけてZ方向及びX方向へ延びている。図17を参照すると、切断部32A,32Bを構成する切断線32A’,32B’の全長は同一に設定されている。切断線32A’,32B’の中心はそれぞれ、折曲線19’,20’間の中央に配置されている。
折曲部33は、外板15に設けられ、切断部32Aの第1端32aから切断部32Bの第1端32aにかけて延びている。本実施形態の折曲部33は、切断部32Aの第1端32aから切断部32B側へZ方向下向きに傾斜した第1部分33aと、切断部32Bの第1端32aから切断部32A側へZ方向下向きに傾斜した第2部分33bとを備える。第1部分33aと第2部分33bの交点は、切断部32A,32B間の中央に位置している。図17を参照すると、第1部分33aと第2部分33bは、汎用罫線からなる折曲線33a’,33b’によって構成されている。
折曲部34は、折曲部33と対称な形状を有する。具体的には、折曲部34は、内板17に設けられ、切断部32Aの第2端32bから切断部32Bの第2端32bにかけて延びている。折曲部34は、切断部32Aの第2端32bから切断部32B側へZ方向下向きに傾斜した第1部分34aと、切断部32Bの第2端32bから切断部32A側へZ方向下向きに傾斜した第2部分34bとを備える。第1部分34aと第2部分34bの交点は、切断部32A,32B間の中央に位置している。図17を参照すると、第1部分34aと第2部分34bは、汎用罫線からなる折曲線34a’,34b’によって構成されている。
図16に示すように、折曲部35,36は、一対の折曲部19,20間に位置するように設けられ、一対の切断部32A,32Bのうちの一方から他方にかけて延び、互いに交差している。折曲部35の第1端35aは折曲部20(内板17)に隣接し、折曲部35の第2端35bは折曲部19(外板15)に隣接している。折曲部36の第1端36aは折曲部19(外板15)に隣接し、折曲部36の第2端36bは折曲部20(内板17)に隣接している。これらの交点Cは、切断部32A,32B間の中央かつ折曲部19,20間の中央に位置している。
図17を参照すると、折曲部35,36は、直線状に延びる折曲線35’,36’によって構成されている。なお、交点Cを基準とし、交点Cから折曲部20側へ延びる一対の第1部分35c,36dを折曲部35とみなし、交点Cから折曲部19側へ延びる一対の第2部分35d,36cを折曲部36とみなしてもよい。
図16を参照すると、第1傾斜部31aは、一対の切断部32A,32B、折曲部33、折曲部35の第2部分35d、及び折曲部36の第1部分36cによって画定されている。屈曲した第1部分33aと第2部分33bによって下側が区画され、屈曲した第2部分35dと第1部分36cによって上側が区画されているため、第1傾斜部31aはY方向の一方側と他方側とで傾斜する向きが異なる。また、折曲部35,36の交点Cが、第1傾斜部31aにおいて最高位となる。
具体的には、図16において左側に位置する第1傾斜部31aの第1部分31a1は、折曲部33の第1部分33aに沿って外板15に対して内板17側へ折れ曲がり、Y方向の中央から外側に向けて内板17側へ傾斜している。図16において右側に位置する第1傾斜部31aの第2部分31a2は、折曲部33の第2部分33bに沿って外板15に対して内板17側へ折れ曲がり、Y方向の中央から外側に向けて内板17側へ傾斜している。第1部分31a1と第2部分31a2の間には、交点Cから切断部32A,32Bに沿って延びる折曲部(第5折曲部)37が形成されている。この折曲部37は、X方向において外板15と内板17の間の中央に向けて屈曲(谷折れ)しており、この屈曲を促進するために、第1傾斜部31aには、第1部分33aと第2部分33bの交点から交点Cに向けて延びる切断部38が設けられている。図17を参照すると、切断部38を構成する切断線38’の一端は、第1部分33aと第2部分33bの交点に位置し、切断線38’の他端は交点Cと間隔をあけて位置している。
第2傾斜部31bは、一対の切断部32A,32B、折曲部34、折曲部35の第1部分35c、及び折曲部36の第2部分36dによって画定されている。屈曲した第1部分34aと第2部分34bによって下側が区画され、屈曲した第1部分35cと第2部分36dによって上側が区画されているため、第2傾斜部31bはY方向の一方側と他方側とで傾斜する向きが異なる。また、折曲部35,36の交点Cが、第2傾斜部31bにおいて最高位となる。
具体的には、図16において左側に位置する第2傾斜部31bの第1部分31b1は、折曲部34の第1部分34aに沿って内板17に対して外板15側へ折れ曲がり、Y方向の中央から外側に向けて外板15側へ傾斜している。図16において右側に位置する第2傾斜部31bの第2部分31b2は、折曲部34の第2部分34bに沿って内板17に対して外板15側へ折れ曲がり、Y方向の中央から外側に向けて外板15側へ傾斜している。第1部分31b1と第2部分31b2の間には、交点Cから切断部32A,32Bに沿って延びる折曲部37が設けられている。この折曲部37は、X方向において外板15と内板17の間の中央に向けて屈曲しており、この屈曲を促進するために、第2傾斜部31bには、第1部分34aと第2部分34bの交点から交点Cに向けて延びる切断部38が設けられている。図17を参照すると、切断部38を構成する切断線38’の一端は、第1部分34aと第2部分34bの交点に位置し、切断線38’の他端は交点Cと間隔をあけて位置している。
図16を参照すると、連続部31cは、一対の切断部32A,32B、及び一対の折曲部35,36によって画定されている。互いに交差した折曲部35,36によって区画されているため、連続部31cはY方向の一方側と他方側とで傾斜する向きが異なる。また、折曲部35,36の交点Cが、連続部31cにおいて最高位となる。
具体的には、連続部31cは交点Cを境界として、図16において左側に位置する第1部分31c1と、図16において右側に位置する第2部分31c2に区画されている。第1部分31c1は、折曲線35の第1端35aと折曲線36の第1端36aとの間を底辺とし、交点Cを頂点とする三角形状である。第2部分31c2は、折曲線35の第2端35bと折曲線36の第2端36bとの間を底辺とし、交点Cを頂点とする三角形状である。第1部分31c1と第2部分31c2は、交点Cを最上位とし、底辺に向けてZ方向下向きに傾斜している。
この収容箱10は係止突起31の中央に頂部を備えるため、上方に他の収容箱10を積み重ねる際、X方向の一方と他方及びY方向の一方と他方へ上段の収容箱10を移動させることができる。よって、上下の収容箱10の位置ズレを効果的に矯正できるため、作業者による積重作業性をより向上できる。
また、折曲部35の第1端35aと折曲部36の第2端36bが上段の収容箱10の内板17に隣接し、折曲部35の第2端35bと折曲部36の第1端36aが上段の収容箱10の外板15に隣接する。そのため、上段の収容箱10の内板17と下段の収容箱10の第2傾斜部31bとの間、及び上段の収容箱10の外板15と下段の収容箱10の第1傾斜部31aとの間には、相対的な移動を許容するような隙間は殆ど無い。よって、X方向及びY方向への上下の収容箱10の相対的な移動を効果的に抑制できるため、積重状態とした収容箱10の安定性を向上できる。
なお、本発明の収容箱10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、第1実施形態から第5実施形態では、係止突起31は、個々の端壁14に対して一対設けたが、第6実施形態のように個々の端壁14に対して1個のみ設けてもよい。この場合、第6実施形態と同様に、端壁14のY方向中央に設けてもよいし、Y方向の中央から間隔をあけて設けてもよい。後者の場合、一対の端壁14のうち、一方の係止突起31はY方向の一方に配置し、他方の係止突起31はY方向の他方に配置(つまり対角位置に配置)することが好ましい。また、係止突起31は、個々の端壁14に対して3個以上設けてもよい。
切断部32を構成する切断線32’は、幅を有するスリットであってもよい。折曲部(第3折曲部)35と折曲部(第4折曲部)36は、直線に限られず、曲線によって構成して湾曲させてもよい。第3実施形態から第5実施形態では、折曲部35の第2端35bと折曲部36の第2端36bとを間隔をあけて設け、連続部31cを台形状としてもよい。第3実施形態から第5実施形態では、連続部31cは、Y方向外側からY方向内側に向けて下向きに傾斜させたが、Y方向内側からY方向外側に向けて下向きに傾斜させてもよい。第6実施形態では、切断部38(切断線38’)の代わりに、折曲部33の第1部分33aと第2部分33bの交点から折曲部35,36の交点Cにかけて延びる折曲線(第5折曲部)を設けてもよい。この場合、折曲線は、第5折曲部が谷折れするように、表ライナの方から罫を入れて部分的に肉厚を圧縮した逆罫線とすることが好ましい。
1個の収容箱10に形成する係止突起31は1種に限られず、第1実施形態から第6実施形態の係止突起31のうちのいずれかを組み合わせてもよい。
収容箱10は、上端を開放したトレイに限られず、開口を閉塞する蓋を備えていてもよい。蓋は、別体であってもよいし、一対の側壁22のうちの一方の上端に連設されてもよい。また、収容箱10は、平面視四角形状に限られず、端壁14と側壁22の間に面取り壁を備えた平面視八角形状であってもよい。
収容箱10は、紙製の段ボールシートに限られず、樹脂製の段ボールシートによって形成されてもよい。また、収容箱10は、段ボールシートに限られず、単層の厚紙や樹脂シートによって形成されてもよい。