本発明は、その一部の実施形態では、付加製造(AM)に関し、特に限定されないが、少なくとも一部分において低い硬度、例えば極めて低いショアA硬度(例えば20未満又は10未満又は0)又は40未満もしくは30未満もしくは20未満のショアOO硬度を具備する硬化材料から作られた物体の付加製造に使用可能な配合物及び方法に関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
付加製造方法論は、十分にカスタマイズしながら洗練された幾何学的形状及び形態を生成するのに傑出した能力を持つ。一部の方法論はまた、3D物体の組成のカスタマイズ化を可能にし、特にこれらの方法論は、不均質な3D物体を作るために同時に複数の材料を利用する。
付加製造方法論のこれらの有利な特徴は、様々な分野において、特に生きた身体の部分及び器官を模倣することを目的とした物体、即ちそれぞれの身体部分、器官及び/又は組織の特性(例えば幾何学的形状、剛さ、外観)を模倣する合成の生体でない3D物体の形成に特別な注意を受けていた。かかる合成物体は、例えば医療トレーニングシステム、手術前モデル、幻影、インプラント及び教育実施例に用途を見出すことができる。
生きている身体部分は、それ自体、極めて不均質な構造を持ち、身体部分の構造はまた、同じ種の対象内でも変化する。
身体部分の形態、時には部分的外観を模倣する合成物体を製造するために使用される3D印刷システムの幾つかのレポートが存在するが、現在存在する技術のどれも、身体組織、特に10未満、さらにはそれより低い(好ましくは0)のショアA硬度によって特徴づけられることが一般的な身体組織、特に軟組織の物理的、機械的及び/又は物理機械特性を再生できるものはない。
本発明者は、硬化されたとき、現在使用されている硬化性造形用配合物より低いショアA硬度を具備する軟らかい材料を与える硬化性造形用材料配合物を探索した。本発明者は、かかる配合物は、低い硬度に加えて、中程度から良好な引裂抵抗、経時的安定性、寸法安定性、複数材料(例えばデジタル材料)付加製造に使用されるときの他の硬化性材料との適合性、及び付加製造システム条件(例えば3Dインクジェット印刷システムにおける印刷性)との適合性を具備するべきであることを認識した。
広範な研究(その一部は、以下の実施例の部分に記載される)により、本発明者は、上述の条件に合致し、かつ硬化されたとき、軟らかい材料を与える硬化性配合物と関連した明白な制限を回避する、新規な硬化性配合物及び配合物系を成功裏に実践した。
以下の実施例の部分に記載されるように、開示された硬化性配合物は、AMシステム条件との良好な適合性、良好な反応性、AMが3Dインクジェット印刷であるときの全体の良好な印刷性、及び例えばエラストマー硬化性配合物をさらに含む配合系の一部として、複数材料モードで使用されるときの適合性を与え、経時的な安定性、寸法安定性、及び十分な引裂抵抗とともに、硬化されたとき、10未満、さらには0のショアA硬度、及び/又は40未満、30未満、又は20未満のショアOO硬度を具備する軟らかい材料を与える、量、比率及びタイプで、硬化性材料と非硬化性材料の組み合わせを特徴とする。
図8は、本実施形態による硬化性配合物を使用して3D印刷することによって作られた楕円構造を与える。
図9B,9C,9D,10,11A,11B,13A-B,14及び17は、身体器官及び組織の特性を模倣する物体を製作する際の、本実施形態による、硬化性配合物及びそれを含む配合物系の成功裏の利用を示す画像を与える。
本発明の実施形態は、硬化されたとき、本明細書に記載されるような低い硬度を具備し(示し、又は特徴とし)、軟らかい材料配合物又は軟らかい造形用材料配合物として本明細書において言及される硬化性配合物に関する。本発明の実施形態はさらに、付加製造法に使用するために好適なように設計された、かかる配合物に関する。本発明の実施形態は、本明細書において「軟らかい材料」としても言及され、本明細書に規定されるような低い硬度を具備する材料を少なくとも一部に含む三次元(3D)物体の付加製造に使用可能な硬化性配合物、かかる配合物を利用する付加製造法、及びこれらの方法によって製作される物体に関する。
本明細書の全体を通じて、用語「物体」は、付加製造の最終生成物を記載する。もし支持体材料が構築材料の一部として使用されるなら、この用語は、支持体材料の除去後、本明細書に記載されるような方法によって得られる生成物に関する。それゆえ、「物体」は、硬化された(固化された、凝固された)造形用材料から本質的になる(例えば少なくとも95重量%を含む)。
本明細書において全体に使用される用語「物体」は、物品全体又はその一部を示す。
本発明の一部の実施形態の態様によれば、本明細書に記載されたような軟らかい材料から少なくとも一部が作られた三次元物体の付加製造の方法が提供される。
前記方法は、一般的に、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を連続的に形成することによって実施され、従って少なくとも二つ又は三つの前記層、又は前記層の各々の形成は、以下にさらに詳細に記載されるように、本明細書に記載されるような一種以上の軟らかい材料配合物を含む構築材料(未硬化)を吐出し、吐出された配合物を硬化条件(例えば硬化エネルギー)に露出し、それによって硬化された軟らかい造形用材料を形成することを含む。
本発明の一部の例示的実施形態では、物体は、2つ以上の異なる造形用材料配合物を含む構築材料(未硬化)を吐出することによって製造され、各造形用材料配合物は、インクジェット印刷装置の異なる吐出ヘッドから吐出される。造形用材料配合物は、任意選択的にかつ好ましくは、印刷ヘッドの同一パス中に層状に堆積される。層内の造形用材料配合物および/又は配合物の組合せは、物体の所望の特性に従って、そして以下にさらに詳細に記載されるように選択される。
二種以上の造形用材料配合物を利用する付加製造はまた、本明細書では「複数材料」プロセス、方法、アプローチ、技術、モードなどとして言及される。かかる方法によって得られる物体はまた、本明細書において「複数材料」として言及される。
一部の実施形態では、複数材料付加製造は、デジタル材料(DM)付加製造である。
本明細書及び業界で使用される表現「デジタル材料」(DMと略される)は、特定の材料の印刷された領域が2,3個のボクセルのレベルで又は1個のボクセルのレベルであるように微視的なスケール又はボクセルレベルで二種以上の材料の組み合わせを記載する。かかるデジタル材料は、材料のタイプ及び/又は二種以上の材料の比率及び相対的な空間分布の選択によって影響される新しい特性を示すことができる。
例示的なデジタル材料では、硬化で得られた、各ボクセル又はボクセルブロックの造形用材料は、硬化で得られた、隣接ボクセル又はボクセルブロックの造形用材料から独立しており、従って各ボクセル又はボクセルブロックは、異なる造形用材料をもたらし、全体の部分の新しい特性は、複数の異なる造形用材料のボクセルレベルでの空間組み合わせの結果である。
本明細書において全体を通じて、表現「ボクセルレベルで」が異なる材料及び/又は特性の文脈において使用されるときはいつでも、ボクセルブロック間の差、並びに複数のボクセル又は2,3個のボクセルのグループの間の差を含むことが意味される。好ましい実施形態では、全体の部分の特性は、複数の異なる造形用材料のボクセルブロックレベルでの空間組み合わせの結果である。
本明細書において全体を通して、表現「構築材料配合物」、「未硬化構築材料」、「未硬化構築材料配合物」、「構築材料」、及び他の変形は、それゆえ集合して、本明細書に記載されるように、付加製造プロセス時に層を連続して形成するために吐出される配合物を記載する。この表現は、物体、即ち一つ以上の未硬化(しかし硬化可能)造形用材料配合物を形成するように吐出された未硬化配合物、及び支持体、即ち未硬化支持材料配合物を形成するように吐出された未硬化(しかし一般的に硬化可能)配合物を包含する。
本明細書中において全体を通して、表現「硬化した造形用材料」および表現「固化した造形用材料」(これらは交換可能に使用される)は、吐出された構築材料を硬化にさらしたとき、本明細書中で定義されるように、物体を形成する構築材料の部分で、本明細書に記載されるように、硬化した支持体材料(もし存在するなら)を除いた後の構築材料の部分を表す。硬化した造形用材料は、本明細書中に記載されるように、当該方法で使用される造形用材料配合物に依存して、ただ1つの種類の硬化した材料、または、2種以上の硬化した材料の混合物であることが可能である。
表現「硬化(した)造形用材料」は、構築材料が(支持材料配合物ではなく)造形用材料配合物のみからなる硬化構築材料として見なすことができる。即ち、この表現は、構築材料の一部を示し、それは、最終物体を与えるために使用される。
本明細書において全体を通して、表現「造形用材料配合物」(それはまた、交換可能に、「造形用配合物」、「造形配合物」、「造形材料配合物」、又は単に「配合物」として示される)は、本明細書に記載されるように、物体を形成するように吐出される構築材料の一部又は全てを記載する。造形用材料配合物は、(特に他で示さない限り)未硬化の造形用配合物であり、それは、硬化条件にさらすと物体又はその一部を形成する。
本発明の一部の実施形態では、造形用材料配合物は、付加製造(例えば三次元インクジェット印刷)に使用するために配合され、それ自身で、即ちいかなる他の物質と混合したり又は組み合わせたりする必要なしで三次元物体を形成することができる。
未硬化の構築材料は、一つ又はそれより多い造形用配合物を含むことができ、硬化されると物体の異なる部分が異なる硬化された造形用配合物又はその異なる組み合わせから作られ、従って異なる硬化された造形用材料又は硬化された造形用材料の異なる混合物から作られるように吐出されることができる。
構築材料を形成する配合物(造形用材料配合物及び支持材料配合物)は、一般的に、一種以上の硬化性材料を含み、それは、硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらされるとき、固化(例えば硬化、凝固)材料を形成する。
本明細書中全体を通して、「硬化性材料」は、本明細書に記載されるように硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらされるとき、凝固又は固化して硬化(例えば固化)材料を形成する化合物(一般的にはモノマー又はオリゴマー化合物、しかし任意選択的にポリマー化合物)である。硬化性材料は、一般的に重合可能な材料であり、それは、好適な硬化条件(例えばエネルギー源)にさらされるときに重合及び/又は架橋を受ける。
本実施形態による硬化性材料はまた、硬化エネルギーにさらすことなく、むしろ硬化条件(例えば、化学試薬にさらすと)、又は単に環境にさらすと、固化又は凝固(硬化)する材料を包含する。
本明細書で使用される用語「硬化性(硬化可能)」及び「凝固性(凝固可能)」は、交換可能に使用される。
本発明の一部の実施形態によれば、本明細書に記載されたような硬化性材料は、重合を受けると固化し、本明細書では重合可能な(重合性)材料として言及される。
重合は、例えばフリーラジカル重合、カチオン重合、又はアニオン重合であることができ、各々は、本明細書に記載されるように、例えば放射線、熱などの硬化エネルギー又は硬化エネルギー以外の硬化条件にさらすと誘導されることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、光重合可能な材料であり、それは、本明細書に記載されるように、放射線にさらされると重合するか、及び/又は架橋を受けるものであり、一部の実施形態では、硬化性材料は、UV硬化性材料であり、それは、本明細書に記載されるように、UV又はUV-vis放射線にさらされると重合するか、及び/又は架橋を受けるものである。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるような硬化性材料は、光誘導性フリーラジカル重合を介して重合する光重合可能な材料である。あるいは、硬化性材料は、光誘導されたカチオン重合によって重合する光重合可能な材料である。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、モノマー、オリゴマー、又は短鎖ポリマーであることができ、各々は、本明細書に記載されるように重合可能及び/又は架橋可能である。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料が硬化条件(例えば放射線)にさらされるとき、それは、鎖延長及び架橋のいずれか一つ又はそれらの組み合わせによって固化(硬化、凝固)する。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、重合反応が起こる条件(例えば硬化エネルギー)にさらされるとき、重合又は共重合反応で重合又は共重合材料を形成することができるモノマー又はモノマーの混合物である。かかる硬化性材料はまた、本明細書においてモノマー硬化性材料として言及される。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、重合又は共重合反応が起こる硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらされるとき、重合又は共重合反応で重合又は共重合材料を形成することができるオリゴマー又はオリゴマーの混合物である。かかる硬化性材料はまた、本明細書においてオリゴマー硬化性材料として言及される。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、モノマーであるか又はオリゴマーであるかにかかわらず、単官能硬化性材料又は多官能硬化性材料であることができる。
本明細書では、単官能硬化性材料は、硬化エネルギー(例えば放射線)にさらされるときに重合を受けることができる一つの官能基を含む。
多官能硬化性材料は、硬化エネルギーにさらされると重合を受けることができる、2つ又はそれより多い、例えば2つ、3つ、4つ又はそれより多い官能基を含む。多官能硬化性材料は、例えば二官能、三官能、又は四官能硬化性材料であることができ、それらは、それぞれ重合を受けることができる2つ、3つ又は4つの基を含む。多官能硬化性材料における2つ以上の官能基は、一般的に本明細書に規定されるように、連結部分によって互いに連結される。連結部分がオリゴマー又はポリマー部分であるとき、多官能基は、オリゴマー又はポリマー多官能硬化性材料である。多官能硬化性材料は、硬化エネルギーを受けるときに重合を受けることができ、及び/又は架橋剤として作用することができる。
本実施形態の方法は、本明細書に記載されるように、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することによって、三次元物体を1層ずつ製作する。
この方法によって得られる三次元物体は、造形用材料、または造形用材料(複数材料)の組み合わせ、または造形用材料と支持体材料の組合せもしくはそれらの変性物(例えば硬化後)から作られる。これらの作業は全て、立体自由造形の当業者にはよく知られている。
軟らかい造形用材料配合物:
本発明の一部の実施形態の態様によれば、本明細書に記載された付加製造法(例えば3Dインクジェット印刷)で使用可能であり、かつ硬化されたとき、10未満のショアA硬度又は40未満のショアOO硬度を具備する(示す、特徴づけられる)構築材料配合物、好ましくは造形用材料配合物が提供される。かかる配合物はまた、本明細書では、「軟らかい材料配合物」又は「軟らかい材料造形用配合物」又は「軟らかい造形用配合物」又は単に「軟らかい配合物」として言及される。
本明細書及び業界において「硬度」は、特定の条件下で測定されたとき、永続的な押し込みに対する抵抗性を記載する。例えば硬度ShAとして又はショアスケールA硬度としても言及されるショアA硬度は、デジタルショアA硬度デュロメーターを使用してASTM D2240標準規格に従って決定される。例えば硬度ShOOとして又はショアスケールOO硬度としても言及されるショアOO硬度は、デジタルショアOO硬度デュロメーターを使用してASTM D2240標準規格に従って決定される。D,A、及びOOは、硬度値の一般的な尺度であり、各々は、それぞれのデュロメーターを使用して測定される。図7は、例示的な共通材料の異なる尺度でのショア硬度値を与える。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載された軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、0から約10までの範囲のショアA硬度を具備し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載されたような実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載された軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、0から約40、又は0から約30まで、又は0から約20まで、又は例えば約10から約20まで、又は約10から約30までの範囲のショアOO硬度を具備し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載されたような硬化された軟らかい材料配合物のために得られる軟らかい材料の低い硬度を示す別のパラメータは、圧縮弾性率である。
本明細書において「圧縮弾性率」は、材料が圧縮されるときに材料における歪に対する機械的応力の比率を意味する。圧縮弾性率はまた、圧縮下の材料に付与される弾性率として見なすことができる。一部の実施形態では、圧縮率は、ASTM D695に従って決定される。一部の実施形態では、圧縮弾性率は、以下の実施例の部分に記載されるように決定され、0.001~0.01の歪値でとられる、圧縮モードで測定されるとき、40%歪における圧縮応力として、又は応力対歪曲線の傾きとして表わされることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載されたような軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、少なくとも0.01MPaの圧縮弾性率を具備する。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、約0.01~約0.2MPa、又は約0.02~約0.2MPa、又は約0.01~約0.1MPa、又は約0.02~約0.1MPa、又は約0.03~約0.07MPaの圧縮弾性率(本明細書に規定)を具備し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、その低い硬度に加えて、少なくとも適度な引裂抵抗を具備する。
引裂抵抗(TR)は、材料を引裂くために要求される力を記載し、この力は、試料の主軸と実質的に平行に作用する。引裂抵抗は、ASTM D412法によって測定されるとき、引裂の形成(引裂開始)に対する抵抗性、及び引裂の拡大(引裂伝幡)に対する抵抗性を測定するために使用されることができる。一般的に、試料は、二つのホルダーの間に保持され、均一な引張力が変形が起こるまで付与される。引裂抵抗は、次いで付与された力を材料の厚さによって割ることによって計算される。低い引裂き抵抗を有する材料は、摩耗に対する劣った抵抗性を持つ傾向がある。
一部の実施形態では、引裂抵抗は、以下の実施例の部分に記載されるように決定される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載された軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、2mmの厚さを有する標本に対してASTM D624によって決定すると少なくとも100N/mの引裂抵抗を具備する。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、2mmの厚さを有する標本に対してASTM D624によって決定すると少なくとも150Nの引裂抵抗を具備し、一部の実施形態では、それは、150N/m~500N/m、又は150~400N/m、又は200N/m~400N/m、又は200N/m~350N/mの引裂抵抗を具備し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
一部の実施形態では、引裂抵抗測定は、付与される引張力下で標本の破壊までの時間を決定するために使用される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような軟らかい材料配合物は、硬化されたとき、2mmの厚さを有する標本に対してASTM D624によって測定すると少なくとも9秒、例えば9~50、又は9~40、又は9~30、又は15~30秒の破壊までの時間を具備する。本明細書に記載されたような実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載されたような軟らかい造形用配合物は、良好な反応性、即ち配合物を含む吐出された層が、1秒未満の時間内で硬化条件にさらされるときに硬化されるか、及び/又は軟らかい造形用配合物から作られた硬化された層が(例えば以下の実施例の部分で示されるような)良好な接着性を示すという特徴を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような軟らかい造形用配合物は、硬化条件にさらすと1秒以内で液体から固体に移行することを特徴とする。これらの実施形態の一部では、硬化条件は、UV照射、例えば、1W/cm2でのUV照射である。一部の実施形態では、UV照射は、UV水銀(Hg)アーク灯(中圧、金属ハロゲン化物)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるような軟らかい造形用配合物は、硬化条件(例えば約300nm~約450nmの波長及び約1W/cm2の出力密度で、例えば250W水銀アーク灯を使用するUV照射)にさらすと1秒以内に液体から固体に移行することを特徴とする。
液体から固体への移行のために要求される時間は、従来公知のDSC測定を使用して決定されることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載されたような軟らかい造形用材料配合物は、AMシステムとの良好な適合性、即ちそれが(例えば上記のように粘度及び粘度安定性、熱安定性などに関して)システム操作条件に合致することによって特徴づけられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載されたような軟らかい造形用材料配合物は、3Dインクジェット印刷であるAMとの良好な適合性、即ちそれがインクジェット印刷ヘッド内で噴射可能、適合可能であり、本明細書に記載されたようなインクジェット印刷ヘッドを使用するために好適な粘度、及び少なくとも24時間、好ましくは少なくとも48時間、25~75℃での粘度安定性を具備することによって特徴づけられる。
本明細書に記載されたような実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載されたような軟らかい造形用材料配合物は、少なくとも1ヶ月、又は少なくとも2,3,4,5ヶ月、さらには少なくとも6ヶ月の安定性(貯蔵安定性)、即ち配合物が示された時間の貯蔵でも実質的に同じ特性(例えば本明細書に記載された特性のいずれか)を具備することによって特徴づけられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載されたような軟らかい造形用材料配合物は、少なくとも1ヶ月、又は少なくとも2,3,4,5ヶ月、さらには少なくとも6ヶ月の安定性(貯蔵安定性)、即ち配合物が示された時間の貯蔵(例えば室温)でも実質的に同じ外観(例えば色)を具備することによって特徴づけられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、本明細書に記載されたような軟らかい造形用材料配合物は、硬化性配合物であり、一部の実施形態では、配合物は、本明細書に記載されたような硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすときに重合可能である材料を含むことによって硬化可能である。以下にさらに詳細に記載されるように、硬化性配合物中の材料の全てが、配合物を硬化性にするように硬化性であるべきというわけではない。従って、本明細書を通じて、本明細書に記載されたいずれかの配合物に関して、配合物は、配合物中の材料の少なくとも一種が硬化可能であるとき、又は硬化条件にさらすときに重合可能であるとき、硬化性であるとして規定される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、合成の非生物の配合物であり、合成材料から本質的に構成される。
本明細書で使用される用語「合成材料」は、生きている対象中に固有に存在しない材料、一般的に有機材料を記載する。この用語は、非生物の(例えば有機)材料、自然に存在しない(例えば有機)材料、及び/又は合成して作られる(例えば有機)材料を包含する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、生物材料を欠いている。
本明細書に使用される「生物材料(biological material)」は、本明細書に記載されるように生きている対象中に固有に存在する材料、一般的に有機材料を意味する。かかる有機材料は、例えば細胞及び細胞構成要素、タンパク質(酵素、ホルモン、レセプター、リガンドなど)、ペプチド、核酸、遺伝子、アミノ酸を包含する。
「欠いている」は、配合物の全重量の1%未満、又は0.5%未満、又は0.1%未満、又は0.05%未満、又は0.01%未満、又は0.005%未満、又は0.001%未満、及びそれら未満(ゼロを含む)を意味する。
本実施形態は、水を含む配合物を企図していることを理解すべきである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、細胞化されていない、即ち生物細胞又は細胞構成要素を欠いている。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、10重量%未満、又は8重量%未満、又は5重量%未満、又はさらにそれより小さい重量%未満の量で水を含み、又は本明細書に規定されたように水を欠いている。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、硬化条件にさらされるときにヒドロゲルを形成しないようなものである。
本明細書及び業界で使用されるように、用語「ヒドロゲル」は、固体相として三次元繊維ネットワークを含み、さらに繊維ネットワーク内に閉じ込められた水溶液を含む材料を記載する。
本実施形態によれば、本明細書に記載された軟らかい造形用材料配合物は、硬化性材料と非硬化性ポリマー材料の組み合わせを含む。本発明者は、非硬化性材料のタイプ及び量を操作することによって、印刷性、他の硬化性配合物との適合性、及び印刷物体の機械性能が改良されることを見出した。
本明細書において、軟らかい配合物中の材料に関する「非硬化性」は、硬化性材料が凝固する硬化条件にさらされるときに材料が凝固しないことを意味する。非硬化性材料は、重合性及び/又は架橋性基を欠くか、又は重合性及び/又は架橋性基を含むことができるが、重合及び/又は架橋が、硬化性材料が凝固する硬化条件にさらされるときに実施されない材料であることができる。
一部の実施形態では、非硬化性材料は、重合性及び/又は架橋性基を欠いている。
本実施形態によれば、本明細書に記載される軟らかい造形用材料配合物は、単官能硬化性材料、多官能硬化性材料、及び非硬化性ポリマー材料を含む。
本発明者はさらに、硬化性材料のタイプ及び量を操作することによって、印刷性及び印刷物体の機械性能が改良されることを見出した。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物は、50重量%より多い硬化性材料を含み、即ち単官能及び多官能硬化性材料の全量は、配合物の全量の少なくとも51重量%である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能及び多官能硬化性材料の全量は、配合物の全重量の51~90重量%の範囲であり、一部の実施形態では55~70重量%の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料の全量は、配合物の全量の50~60重量%、又は55~60重量%の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、多官能硬化性材料の全量は、配合物の全量の3~10重量%、又は5~10重量%の範囲、例えば7重量%であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料の全量は、配合物の全量の10~49重量%、又は20~45重量%、又は25~40重量%の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物は、以下のものを含む:
配合物の全重量の50~89重量%(それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む)の範囲の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載された単官能硬化性材料;
配合物の全重量の10~49重量%(それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む)の範囲の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載された非硬化性ポリマー材料;及び
配合物の全重量の1~10重量%(それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む)の範囲の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載された多官能硬化性材料。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物中の前記単官能及び前記多官能の硬化性材料の全量と、前記非硬化性ポリマー材料の全量の比は、4:1~1.1:1、又は3:1~2:1の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物に含まれる硬化性及び/又は非硬化性材料は、以下のように選択される:
(i)前記非硬化性ポリマー材料が、少なくとも1000又は少なくとも1500又は少なくとも2000ダルトンの分子量を具備し、かつ/又は
(ii)前記非硬化性ポリマー材料が、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備し、かつ/又は
(iii)前記単官能硬化性材料及び前記多官能硬化性材料の全量の少なくとも80重量%が、硬化されたとき、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備する硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物に含まれる硬化性及び/又は非硬化性材料は、以下のように選択される:
非硬化性ポリマー材料が、少なくとも1000又は少なくとも1500又は少なくとも2000ダルトンの分子量を具備し、非硬化性ポリマー材料が、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備し、かつ/又は
単官能及び多官能の硬化性材料の全量の少なくとも80重量%が、硬化されたとき、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備する硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物に含まれる硬化性及び/又は非硬化性材料は、単官能及び多官能硬化性材料の全量の少なくとも80重量%が、硬化されたとき、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備する硬化性材料を含むように選択される。一部のかかる実施形態では、単官能及び多官能硬化性材料の全量の少なくとも85重量%又は少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%又は100重量%は、硬化されたとき、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備する硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物に含まれる硬化性及び/又は非硬化性材料は、単官能及び多官能硬化性材料の全量の少なくとも80重量%が、硬化されたとき、-20℃未満のTgを具備する硬化性材料を含むように選択される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物に含まれる硬化性及び/又は非硬化性材料は、以下のように選択される:
非硬化性ポリマー材料が、本明細書に記載されるように、少なくとも1000又は少なくとも1500又は少なくとも2000ダルトンの分子量を具備し、非硬化性ポリマー材料が、本明細書に記載されるように、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備し、単官能及び多官能の硬化性材料全量の少なくとも80重量%が、本明細書に記載されるように、硬化されたとき、-20℃未満のTgを具備する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物に含まれる硬化性及び/又は非硬化性材料は、以下のように選択される:
非硬化性ポリマー材料が、本明細書に記載されるように、少なくとも2000ダルトンの分子量を具備し、非硬化性ポリマー材料が、本明細書に記載されるように、-20℃未満のTgを具備し、単官能及び多官能の硬化性材料の全量の少なくとも80重量%が、本明細書に記載されるように、硬化されたとき、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備する硬化性材料を含む。
本明細書において全体を通して、「Tg」は、E”曲線の極大値の位置として規定されるガラス転移温度を示し、E”は、温度の関数としての材料の損失弾性率である。
大まかに言うと、温度がTg温度を含む温度範囲内で上昇すると、材料、好ましくはポリマー材料の状態は、徐々にガラス状態からゴム状態に変化する。
本明細書において「Tg範囲」は、E”値が上で規定されたようなTg温度でその値の少なくとも半分である(例えばその値以下であることができる)温度範囲である。
いかなる特定の理論にも拘束されたくないが、ポリマー材料の状態は、上で規定されたようなTg範囲内でガラス状態からゴム状態に徐々に変化することが想定される。本明細書において、用語「Tg」は、本明細書に規定されたようなTg範囲内のいかなる温度も示す。
本明細書において、MWとして略される用語「分子量」は、ポリマー材料に言及するとき、ポリマー材料の重量平均分子量を記載する、Mwとして業界で知られた値を示す。
非硬化性ポリマー材料:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、少なくとも500又は少なくとも1000又は少なくとも1500又は少なくとも2000ダルトンの分子量、例えば500~4000又は900~1400、好ましくは1000~4000又は1500~4000、又はより好ましくは2000~4000又は2500~4000又は1500~3500ダルトンの範囲の分子量を具備し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満、例えば0~-40℃又は-20~-40℃の範囲のTgを具備し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、本明細書に記載されるように、少なくとも1000又は少なくとも1500又は少なくとも2000ダルトンの分子量、及び本明細書に記載されるように、0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備する。
一部の実施形態では、非硬化性材料は、造形用材料配合物において、及び硬化で得られた硬化された(軟らかい)材料において、本質的に同じ特性(例えば分子量及び/又はTg)を具備する。
本明細書で使用される材料に関する用語「ポリマー(polymeric)」は、ポリマー及びコポリマー(ブロックコポリマーを含む)を包含する。
本明細書において、用語「ブロックコポリマー」は、組成又は構造で異なる規則的に又は統計的に交互の二つ以上の異なるホモポリマーブロックからなるコポリマーを記載する。ブロックコポリマー中の各ホモポリマーブロックは、一つのタイプの重合されたモノマーを表わす。
上述のMW及び/又はTgを具備するポリマー材料は、例えば本明細書に規定されたような一種以上のポリ(アルキレングリコール)(例えばポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、及びそれらのブロックコポリマー(例えばpluronic(登録商標)ブロックコポリマー)を含む)を含むポリマー又はブロックコポリマーを含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性ポリマー材料は、ポリプロピレングリコールを含む。
一部の実施形態では、非硬化性ポリマー材料は、ポリ(プロピレングリコール)であり、一部の実施形態では、それは、約2000ダルトン又はそれより大きい(例えば2000,2200,2400,2500,2600,2800、又は3000ダルトン)のMW(それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む)を有するポリプロピレングリコールである。
一部の実施形態では、非硬化性ポリマー材料は、少なくとも一つのポリプロピレングリコールブロックを含むブロックコポリマーである。
一部の実施形態では、非硬化性ポリマー材料は、一つ以上のポリプロピレングリコールブロック及び一つ以上のポリエチレングリコールブロックを含むブロックコポリマーである。かかるブロックコポリマーは、例えばPEG-PPG-PEG又はPEG-PPG又はPEG-PPG-PEG-PPG又はPPG-PEG-PPG、又はいずれかの組み合わせ及びいずれかの順序のいずれかの他の数のブロックからなることができる。
これらの実施形態の一部では、ブロックコポリマー中のポリ(エチレングリコール)の全量は、10重量%以下である。
従って、例えば、上記の例示的なブロックコポリマーでは、PEGブロックの長さは、PEGの全量が10重量%以下であるようなものである。代表的な限定されない例として、これらの実施形態によるPEG-PPG-PEGブロックコポリマーは、PEG(A重量%)-PPG(B重量%)-PEG(C重量%)を含み、A+C≦10及びB≧90、例えばA+C=10及びB=90であるか、又はA+C=7及びB=93であるか、又はA+C=5及びB=95である。同様に、PPG-PEG-PPGブロックコポリマーは、PPG(A重量%)-PEG(B重量%)-PPG(C重量%)であり、A+C≧90及びB≦10であり、例えばA+C=90及びB=10、又はA+C=93及びB=7、又はA+C=95及びB=5である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、ブロックコポリマーは、少なくとも2000ダルトンのMWを有する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、PEG及びPPGブロックコポリマーについて本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、ポリプロピレングリコールブロックの合計数とポリエチレングリコールブロックの合計数の比は、少なくとも1.2:1又は少なくとも1.5:1又は少なくとも2:1である。例示的なかかるブロックコポリマーは、PPG-PEG-PPGである。別の例示的なブロックコポリマーは、PPG-PEG-PPG-PEG-PPGである。
代替的に又は追加的に、PEG及びPPGブロックコポリマーについて本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、ブロックコポリマー中のポリプロピレングリコール主鎖単位の全数とポリエチレングリコール主鎖単位の全数の比は、少なくとも2:1又は少なくとも3:1又は少なくとも4:1又は少なくとも5:1又は少なくとも6:1である。例示的なかかるブロックコポリマーは、かかる比を有する、PEG-PPG-PEGコポリマー又はPEG-PPG-PEG-PPG又はPEG-PPG-PEG-PPG-PEGである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、水における低溶解性(例えば20%以下又は10%以下又はそれより小さい)、又は不溶解性であることによって特徴づけられる。
これらの実施形態の文脈において、用語「水溶解性」は、溶液が濁る(不透明)になる前の100グラムの水に加えられるポリマー材料の重量%を記載する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、水における低混和性(例えば20%未満又は10%未満又はそれより小さい)又は不混和性であることによって特徴づけられる。
単官能ポリマー材料:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、硬化されたとき、-10℃未満又は-20℃未満のTg、例えば0~-40℃又は-20~-40℃の範囲のTgを具備し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本実施形態の文脈において使用可能な単官能硬化性材料は、以下の式によって表わされることができる。
P-R
式中、Pは、重合可能な基であり、Rは、本明細書に記載されるような炭化水素であり、それは、本明細書に記載されるように一つ以上の置換基によって置換され、さらに任意選択的に一つ以上のヘテロ原子によって中断される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、Pは、光重合可能な基であり、一部の実施形態では、それは、UV硬化性基であり、従って硬化性材料は、光重合性であるか又はUV硬化性である。一部の実施形態では、Pは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミドのようなアクリル重合可能な基であり、かかる硬化性基は、まとめて以下の式Aによって表わされることができる:
式中、R
1及びR
2の少なくとも一つは、本明細書に規定されるような炭化水素であるか、及び/又はそれを含む。
式I中の=CH2基は、重合可能な基を表わし、一部の実施形態によれば、UV硬化性基であり、従って単官能硬化性材料は、UV硬化性材料である。
一部の実施形態では、R1は、カルボキシレートであり、R2は、水素であり、化合物は、単官能アクリレートである。一部の実施形態では、R1は、カルボキシレートであり、R2は、メチルであり、化合物は、単官能メタクリレートである。R1がカルボキシレートでありかつR2が水素又はメチルである硬化性材料は、本明細書において集合的に「(メタ)アクリレート」として言及される。
これらの実施形態のいずれかの一部では、カルボキシレート基は、-C(=O)-ORaとして表わされ、Raは、本明細書に記載されるような炭化水素である。
一部の実施形態では、R1は、アミドであり、R2は、水素であり、化合物は、単官能アクリルアミドである。一部の実施形態では、R1は、アミドであり、R2は、メチルであり、化合物は、単官能メタアクリルアミドである。R1がアミドでありかつR2が水素又はメチルである硬化性材料は、本明細書において集合的に「(メタ)アクリルアミド」として言及される。
これらの実施形態のいずれかの一部では、アミド基は、-C(=O)-NRbRaとして表わされ、Ra及びRbの各々は、水素及び炭化水素から独立して選択され、少なくとも1つが、本明細書に記載されたような炭化水素である。
(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドは、本明細書において集合的に(メタ)アクリル材料として言及される。
R1及びR2の一方又は両方がポリマー又はオリゴマー部分を含むとき、式Aの単官能硬化性化合物は、それぞれ例示的なポリマー又はオリゴマー単官能硬化性材料である。そうでなければ、それは、例示的なモノマー単官能硬化性材料である。
一般的に、炭化水素の化学組成(式A中にもし存在するなら、R1は、P-R式、又はRa/Rbである)は、硬化性材料及びそれから形成された硬化材料が親水性、疎水性又は両親媒性であるかどうかを決定する。
本明細書を通じて使用される用語「親和性」は、一般的に水素結合によって、水分子との結合の一時的な形成の役割をする材料又は材料の一部(例えば化合物中の化学基)の物理特性を記載する。
親水性材料は、油又は他の疎水性溶媒中より水中において容易に溶解する。親水性材料は、例えばLogPがオクタノール及び水相で決定されるとき、0.5未満のLogPを有するものとして決定されることができる。
親水性材料は、代替的に又は追加的に、Davies法によれば、少なくとも10又は少なくとも12の親油性/親水性バランス(HLB)を具備するものとして決定されることができる。
本明細書を通じて使用される用語「両親媒性」は、親水性材料について本明細書に記載されるような親水性と、疎水性材料について本明細書に規定されるような疎水性又は親油性の両方を組み合わせた材料の特性を記載する。
両親媒性材料は、一般的に、本明細書に規定されるような親水性基と、本明細書に規定されるような疎水性基の両方を含み、水と水不混和性溶媒(油)の両方に実質的に溶解可能である。
両親媒性材料は、LogPがオクタノール及び水相で決定されるとき、0.8~1.2、又は約1のLogPを有するものとして決定されることができる。
両親媒性材料は、代替的に又は追加的に、Davies法によれば、3~12、又は3~9の親油性/親水性バランス(HLB)を具備するものとして決定されることができる。
親水性材料又は材料の一部(例えば化合物中の化学基)は、一般的に電荷分極されかつ水素結合することができるものである。
両親媒性材料は、一般的に、疎水性基に加えて、一つ以上の親水性基(例えば電荷分極基)を含む。
親水性材料又は基、及び両親媒性材料は、一般的に、水分子と強い水素結合を形成する一つ以上の電子供与ヘテロ原子を含む。かかるヘテロ原子は、限定されないが、水素及び窒素を含む。好ましくは、親水性材料又は基中の炭素原子の数とヘテロ原子の数の比は、10:1又はそれより小さく、例えば8:1、より好ましくは7:1、6:1、5:1又は4:1又はそれより小さい。材料及び基の親水性及び両親媒性はまた、材料又は化学基中の疎水性と親水性部分の間の比からもたらされ、上で示した比のみに依存しないことに注意すべきである。
親水性又は両親媒性材料は、一つ以上の親水性基又は部分を有することができる。親水性基は、一般的に極性基であり、それは、水素及び窒素のような一つ以上の電子供与ヘテロ原子を含む。
例示的な親水性基は、限定されないが、電子供与ヘテロ原子、カルボキシレート、チオカルボキシレート、オキソ(=O)、線状アミド、ヒドロキシ、(C1-4)アルコキシ、(C1-4)アルコール、ヘテロ脂環式(例えば本明細書に規定されたような炭素原子対ヘテロ原子の比を持つ)、ラクトンのような環状カルボキシレート、ラクタムのような環状アミド、カルバメート、チオカルバメート、シアヌレート、イソシアヌレート、チオシアヌレート、ウレア、チオウレア、アルキレングリコール(例えばエチレングリコール又はプロピレングリコール)、及び親水性ポリマー又はオリゴマー部分(これらの用語は、以下に規定される)、及びそれらの組み合わせ(例えば示された親水性基の二つ以上を含む親水性基)を含む。
一部の実施形態では、親水性基は、電子供与ヘテロ原子、カルボキシレート、ヘテロ脂環式、アルキレングリコール、及び/又は親水性オリゴマー部分であるか、又はそれらを含む。
両親媒性部分又は基は、一般的に、本明細書に記載されたような一つ以上の親水性基及び一つ以上の疎水性基を含み、又は炭素原子の数とヘテロ原子の数の比が両親媒性の原因になるヘテロ原子含有基又は部分であることができる。
本発明の一部の実施形態による親水性又は両親媒性単官能硬化性材料は、以下の式A1によって表わされる親水性アクリレートであることができる。
式中、R
1及びR
2は、本明細書に規定された通りであり、R
1及びR
2の少なくとも一方は、明細書に規定された親水性又は両親媒性部分又は基であるか、及び/又はそれらを含む。
これらの実施形態のいずれかの一部では、カルボキシレート基-C(=O)-ORaは、本明細書に規定されたような親水性又は両親媒性部分又は基であるRaを含む。これらの実施形態の文脈における例示的なRa基は、限定されないが、ヘテロ脂環式基(モルフォリン、テトラヒドロフラン、オキサリジンなどのように10:1又は8:1又は6:1又は5:1又はそれより低い炭素原子対電子供与ヘテロ原子の比を有する)、ヒドロキシル、(C1-4)アルコキシ、チオール、アルキレングリコール、又は本明細書に記載されるような親水性又は両親媒性ポリマー又はオリゴマー部分を含む。例示的な親水性単官能アクリレートは、アクリロイルモルフォリン(ACMO)である。
例示的な親水性又は両親媒性オリゴマー単官能硬化性材料は、限定されないが、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート化ウレタンオリゴマー誘導体、モノ(メタ)アクリレート化ポリオールオリゴマー、親水性置換基を有するモノ(メタ)アクリレート化オリゴマー、モノ(メタ)アクリレート化ポリエチレングリコール(例えばメトキシポリエチレングリコール)、及びモノウレタンアクリレートを含む。
一部の実施形態では、式A1中のRaは、本明細書に規定されたようなポリ(アルキレングリコール)であるか、又はそれを含む。
一部の実施形態では、式A1中のRaは、本明細書に規定されたような両親媒性基又は部分及び疎水性基又は部分の両方を含む。かかる材料は、本明細書では、疎水性基又は部分を含む両親媒性硬化性材料を示す。
本明細書を通じて使用される用語「疎水性」は、水分子との結合の一時的な形成の不足、従って水不混和性を原因とする材料又は材料の一部(例えば化合物中の化学基又は部分)の物理特性を記載し、炭化水素において混和可能又は溶解可能である。
疎水性材料又はその一部(例えば化合物中の化学基)は、一般的に帯電されないか又は電荷分極されず、水素結合を形成する傾向を有しないものである。
疎水性材料又は基は、一般的に、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル、アルケン、アルキニルなどの一つ以上を含み、それは、置換されていないか、又はそれは、置換されるとき、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル、アルケニル、アルキニルなどの一つ以上、又は電子供与原子含有置換基のような他の置換基によって置換されるが、疎水性材料又は基における炭素原子の数とヘテロ原子の数の比は、少なくとも10:1であり、例えば12:1であり、より好ましくは15:1、16:1、18:1又は20:1又はそれより高くすることができる。
疎水性材料は、水又は他の親水性溶媒中より油中で容易に溶解する。疎水性材料は、例えばLogPがオクタノール及び水相で決定されるとき、1より大きいLogPを有するものとして決定されることができる。
疎水性材料は、代替的に又は追加的に、Davies法によれば、9未満、好ましくは6未満の親油性/親水性バランス(HLB)を具備するものとして決定されることができる。
疎水性材料は、材料を疎水性にする一つ以上の疎水性基又は部分を有することができる。かかる基は、一般的に、上で記載したような非極性基又は部分である。
一部の実施形態では、疎水性基又は部分は、例えば少なくとも6個の炭素原子の長さのアルキレン鎖のような、好ましくは少なくとも6個の原子の本明細書に規定されたような炭化水素であるか、又はそれを含む。炭化水素がヘテロ原子又はヘテロ原子含有基によって置換又は中断されるとき、上で示した炭素原子の数とヘテロ原子の数の比が適用される。
本発明の一部の実施形態による疎水性単官能硬化性材料は、以下の式A2によって表わされる疎水性基アクリレートであることができる。
式中、R
1及びR
2は、本明細書に規定された通りであり、R
1及びR
2の少なくとも一方は、明細書に規定された疎水性基又は部分であるか、及び/又はそれらを含む。
これらの実施形態のいずれかの一部では、カルボキシレート基-C(=O)-ORaは、本明細書に規定されたような疎水性基であるRaを含む。例示的な疎水性単官能アクリレートは、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、リノレニルアクリレート、ビスフェニルアクリレートなどである。
一部の実施形態では、式A2中のRaは、少なくとも6個の炭素原子の長さのアルキレン鎖、好ましくは置換されていないものであるか、又はそれを含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、疎水性単官能硬化性材料を含む。
これらの実施形態の一部では、疎水性単官能硬化性材料は、疎水性単官能アクリレートであり、それはまた、本明細書において「単官能アクリレートタイプII」として言及される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、親水性又は両親媒性単官能硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、両親媒性単官能硬化性材料を含む。
これらの実施形態の一部では、両親媒性単官能硬化性材料は、本明細書に記載されるような疎水性部分又は基を含まない両親媒性単官能アクリレートであり、それはまた、本明細書において「単官能アクリレートタイプI」として言及される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、本明細書に記載されるような疎水性部分又は基を含む両親媒性単官能硬化性材料を含み、それはまた、本明細書において「単官能アクリレートタイプII」として言及される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、両親媒性単官能硬化性材料と疎水性単官能硬化性材料の組み合わせ(例えば単官能アクリレートタイプIと単官能アクリレートタイプIIの組み合わせ)を含む。
これらの実施形態の一部では、両親媒性単官能硬化性材料と疎水性単官能硬化性材料の重量比は、2:1~1:2、好ましくは2:1~1:1又は1.5:1~1:1又は1.5:1~1.1:1の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、疎水性単官能アクリレート、及び本明細書に記載されるような疎水性部分又は基を含む両親媒性単官能アクリレートの組み合わせ(例えばタイプIIの二種の単官能アクリレートの組み合わせ)を含む。
これらの実施形態の一部では、両親媒性単官能硬化性材料(例えば疎水性基又は部分を含む)と疎水性単官能硬化性材料の重量比は、2:1~1:2、好ましくは2:1~1:1又は1.5:1~1:1又は1.5:1~1.1:1の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、本明細書に記載されるような疎水性部分又は基を含む両親媒性単官能アクリレート(例えばタイプIIの単官能アクリレート)を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料は、硬化されたとき、0℃未満、好ましくは-10℃未満又は-20℃未満又はそれより低い(例えば-20~-70℃の範囲)のTgを具備するようなものである。単官能硬化性材料が二種以上の材料の組み合わせを含む場合には、これらの材料の少なくとも一つは、硬化されたとき、本明細書に記載されるような低Tgを具備し、任意選択的にかつ好ましくは、材料の全ては、かかるTgを具備する。
単官能硬化性材料のさらなる実施形態は、以下の実施例の部分に記載されている。
多官能硬化性材料
本明細書に記載されるように、多官能硬化性材料は、二つ以上の重合可能な基を具備するモノマー、オリゴマー又はポリマー硬化性材料である。かかる材料はまた、本明細書では架橋剤として言及される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、多官能硬化性材料は、二官能硬化性材料である。かかる材料は、低い架橋度を与え、それによって硬化材料の低い硬度を与える。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、多官能硬化性材料は、硬化されたとき、-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備し、例えば-10~-70℃の範囲のTgを具備することができる。
本発明の一部の実施形態による例示的な多官能硬化性材料は、式Bによって表わされることができる:
式中、R
3,R
4及びR
5の各々は、独立して水素又はC(1-4)アルキルであり;
L
1は、連結部分、枝分かれユニット又は部分(nが1より大きい場合)、又は不存在であり;
L
2は、連結部分、枝分かれユニット又は部分(kが0以外の場合)、又は不存在であり;
L
3は、連結部分、枝分かれユニット又は部分(mが1より大きい場合)、又は不存在であり;
P
1及びP
2の各々は、独立して炭化水素又はオリゴマーもしくはポリマー基又は部分(これら(注:この文章が出現する場合には、出願のいずれかで補正されるべきである)の用語は、本明細書に規定される通りである)、又は不存在であり;
X
1,X
2及びX
3の各々は、独立してカルボキシレート、アミド、又は不存在であり;
n,m及びkの各々は、0,1,2,3又は4であり、
但し、n+m+kは、少なくとも2である。
X1,X2及びX3(存在するとき)の一つ、二つ又は全てがカルボキシレートである式Bの多官能硬化性材料は、多官能アクリレートである。R3,R4及びR5(存在するとき)の一つ以上がメチルであるとき、硬化性材料は、多官能メタクリレートである。
X1,X2及びX3(存在するとき)の一つ、二つ又は全てがカルボキシレートである多官能硬化性材料は、アクリレートとメタクリレート官能部分の組み合わせを含むことができる。
一部の実施形態では、アクリレート又はメタクリレート多官能硬化性材料は、モノマーであり、従ってP1及びP2のいずれもポリマー又はオリゴマー部分でない。これらの実施形態の一部では、P1及びP2の一方又は両方は、本明細書に記載されるような親水性又は両親媒性基、例えばアルキレン基又はいずれかの他の親水性もしくは両親媒性連結基であり、又は本明細書に規定されるような短鎖(例えば1~6個の炭素原子を持つもの)の、置換又は非置換の炭化水素部分である。
一部の実施形態では、P1及びP2の一方又は両方は、本明細書に規定されるようなポリマー又はオリゴマー部分であり、硬化性化合物は、オリゴマー多官能硬化性材料、例えばX1,X2及び/又はX3に対して本明細書に記載されるようなオリゴマー多官能アクリレート又はメタクリレートである。P1及びP2の両方が存在するなら、L2は、例えばアルキル、シクロアルキル、アリール及びそれらのいずれかの組み合わせを含む炭化水素のような連結部分であることができる。例示的なかかる硬化性材料は、エトキシル化又はメトキシル化ポリエチレングリコールジアクリレート、及びエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートを含む。
他の限定されない例は、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール-ポリエチレングリコールウレタンジアクリレート、アクリル化オリゴウレタン、及び部分的にアクリル化されたポリオールオリゴマーを含む。
一部の実施形態では、P1及びP2のうちの一つ以上は、本明細書に規定されるようなポリ(アルキレングリコール)部分であるか、又はそれを含む。
例示的な多官能アクリレートは、以下の実施例の部分に記載されている。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、単官能硬化性材料及び多官能硬化性材料は、同じ硬化条件にさらされるとき、硬化可能である。
一部の実施形態では、単官能硬化性材料及び多官能硬化性材料は、ともに光重合可能であり、一部の実施形態では、ともにUV硬化性である。
一部の実施形態では、単官能硬化性材料及び多官能硬化性材料は、ともにアクリル化合物であり、一部の実施形態では、ともに(メタ)アクリレート又はともにアクリレートである。
開始剤:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、軟らかい造形用材料配合物は、硬化性材料の重合を促進する一種以上の薬剤をさらに含み、本明細書において開始剤として言及される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本明細書に記載されるような硬化性材料と開始剤は、一緒に硬化可能系を形成する。かかる系は、以下に記載されるように、抑制剤をさらに含むことができる。
硬化可能系の一部を形成する化合物/薬剤は、それ自体硬化可能でなくても、非硬化性材料として本明細書では考えるべきでなく、ましてや本明細書に記載されるような非硬化性ポリマー材料として考えるべきでないことに注意すべきである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、「硬化可能系」は、一種以上の硬化性材料、及び任意選択的に、硬化性材料の硬化、及びさらに任意選択的に本明細書に記載されるように硬化を誘導するための一つ以上の条件(本明細書では硬化条件としても言及される)を開始するための一種以上の開始剤及び/又は触媒を含む。
一種以上の開始剤が、選択された硬化性材料に従って選択される。一般的に、開始剤はさらに、硬化性材料の重合タイプに従って選択される。例えば、フリーラジカル開始剤は、(例えばアクリル硬化性材料の場合のように)フリーラジカル重合を開始するために選択され、カチオン開始剤は、カチオン重合を開始するために選択されるなどである。さらに、光開始剤は、一種以上の硬化性材料が光重合可能である場合に使用される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、硬化可能系は、光硬化可能系であり、開始剤は、光開始剤である。
一部の実施形態では、硬化可能系は、アクリル化合物を含み、光開始剤は、フリーラジカル光開始剤である。
フリーラジカル光開始剤は、紫外又は可視放射線のような放射線に露出するとフリーラジカルを生成し、それによって重合反応を開始するいずれかの化合物であることができる。好適な光開始剤の限定されない例は、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ミヒラーケトン及びキサントンのようなベンゾフェノン(芳香族ケトン);2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(TMPO)、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド(TEPO)、及びビスアシルホスフィンオキサイド(BAPO)のようなアシルホスフィンオキサイドタイプの光開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテルのようなベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテルなどを含む。光開始剤の例は、アルファ-アミノケトン、及びビスアシルホスフィンオキサイド(BAPO)である。さらなる例は、Irgacure(登録商標)ファミリーの光開始剤を含む。
フリーラジカル光開始剤は、単独で、又は共開始剤と組み合わせて使用されることができる。共開始剤は、光硬化性フリーラジカル系で活性であるラジカルを生成するために第二分子を必要とする開始剤とともに使用される。ベンゾフェノンは、フリーラジカルを生成するためにアミンのような第二分子を要求する光開始剤の一例である。放射線を吸収した後、ベンゾフェノンは、アクリレートの重合を開始するアルファ-アミノラジカルを生成するために水素引き抜きによって第三アミンと反応する。共開始剤の限定されない例は、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンのようなアルカノールアミンである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、造形用材料配合物は、フリーラジカル硬化可能系を含み、さらに硬化条件にさらす前に重合及び/又は硬化を防止又は減速するためのラジカル抑制剤を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、硬化可能系は、カチオン重合によって重合可能であるか又は硬化され、本明細書ではカチオン重合可能又はカチオン硬化可能系として言及される。
一部の実施形態では、カチオン重合可能な材料は、放射線にさらすことによって光重合可能又は硬化可能である。かかる材料を含む系は、光重合可能カチオン系、又は光活性可能カチオン系として言及されることができる。
一部の実施形態では、カチオン硬化可能系は、カチオン開始剤をさらに含み、それは、重合及び/又は硬化を開始するためのカチオンを生成する。
一部の実施形態では、開始剤は、カチオン光開始剤であり、それは、放射線にさらすとカチオンを生成する。
好適なカチオン光開始剤は、例えば、重合を開始するために十分な紫外及び/又は可視光にさらすと非プロトン酸又はブレンステッド酸を形成する化合物を含む。使用される光開始剤は、単一化合物、二種以上の活性化合物の混合物、又は二種以上の異なる化合物、即ち共開始剤の組み合わせであることができる。好適なカチオン光開始剤の限定されない例は、アリールジアゾニウム塩、ジアリールイオドニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩などを含む。例示的なカチオン光開始剤は、トリアリールソルホニウムヘキサフルオロアンチモナート塩の混合物である。
好適なカチオン光開始剤の限定されない例は、P-(オクチルオキシフェニル)フェニルイオドニウムヘキサフルオロアンチモナート(Cytec Company(米国)からのUVACURE1600)、Ciba Speciality Chemicals(スイス)から入手可能なIrgacure250又はIrgacure270として知られるイオドニウム(4-メチルフェニル)(4-(2-メチルプロピル)フェニル)-ヘキサフルオロホスフェート、Lambson Fine Chemicals(英国)から入手可能なUVI6976及び6992として知られる混合アリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート塩、Polyset Company(米国)から入手可能なPC2506として知られるジアリールイオドニウムヘキサフルオロアンチモナート、Bluestar Silicones(米国)から入手可能なRhodorsil光開始剤2074として知られる(トリルクミル)イオドニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、Evonik Industries AG(ドイツ)からのTego PC1466として知られるイオドニウムビス(4-ドデシルフェニル)-(OC-6-11)-ヘキサフルオロアンチモナートを含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、開始剤(例えばフリーラジカル光開始剤)の量は、1~5重量%又は1~3重量%の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。例示的な実施形態では、二種以上の開始剤(例えば光開始剤)が使用され、各々の量は、1~3重量%の範囲である。
追加成分:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、軟らかい造形用材料は、追加の非硬化性成分、例えば抑制剤、界面活性剤、分散剤、着色剤、及び安定剤などをさらに含む。一般的に使用される界面活性剤、分散剤、着色剤、及び安定剤が考えられる。各成分(もし存在するなら)の例示的な濃度は、それを含む配合物の全重量の約0.01重量%~約1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.01重量%~約0.1重量%の範囲である。例示的な成分は、以下に記載される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物は、硬化抑制剤、即ち硬化条件の不在下において硬化の量を抑制又は減少する薬剤を含む。一部の実施形態では、抑制剤は、フリーラジカル重合抑制剤である。一部の実施形態では、抑制剤(例えばフリーラジカル抑制剤)の量は、0.01~2、又は1~2,又は0.05~0.15重量%の範囲、又は0.1重量%であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。但し、それは、使用される抑制剤のタイプに依存する。一般に使用される抑制剤、例えばラジカル抑制剤が考えられる。
例示的な実施形態では、NPALのようなフリーラジカル抑制剤、又はその等価物は、0.01~1、又は0.05~2、又は0.05~0.15重量%の範囲、又は0.1重量%の量で使用される。
代替的な実施形態では、ニトロ又はニトロソ基を欠いているフリーラジカル抑制剤が使用される。例示的なかかる抑制剤は、Genorad(商標)ファミリーのものである(例えばGenorad18)。
例示的な実施形態では、かかるフリーラジカル抑制剤は、0.1~3、又は0.1~2、又は0.5~2、又は1~1.5重量%の量で使用され、それは、いずれの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
例示的な実施形態では、軟らかい造形用材料配合物は、界面活性剤を含む。例示的な界面活性剤は、BYK界面添加剤として販売されるものである。一部の実施形態では、界面活性剤は、好ましくは配合物中の硬化性材料と同じ硬化条件にさらすと硬化可能な、硬化性材料である。一部の実施形態では、界面活性剤は、UV硬化性界面活性剤であり、一部の実施形態では、界面活性剤は、UV硬化性BYK界面活性剤(例えばBYK UV-3150又はBYK UV-3500)である。
一部の実施形態では、配合物中の界面活性剤の量は、本明細書に記載されるように、0.1~1重量%の範囲である。
例示的な軟らかい造形用配合物:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、軟らかい造形用材料配合物は、本明細書に記載されたような非硬化性ポリマー材料、及び単官能アクリレート(例えば両親媒性及び疎水性単官能アクリレートの組み合わせ)、フリーラジカル光開始剤、及び任意選択的にフリーラジカル抑制剤を含むアクリル硬化可能な系を含む。
一部の実施形態では、配合物は、本明細書に記載されたような一種以上の追加の成分をさらに含む。
一部の実施形態では、配合物は、例えば赤色、肉状の色を配合物に与えたり、又は皮膚又は皮膚色素の色を配合物及びそれから作られた物体又はその一部に与えるような、本明細書に記載される着色剤をさらに含む。アクリル材料で使用するために好適な例示的な肉状の色は、限定されないが、「Flesh color system」としてProsthetic Research Specialists,Inc.によって製造されるもの、及びKingsley Mfg.Co.によって販売されるものを含む。
一部の実施形態では、着色の濃度は、配合物の意図される使用、及び物体の希望の視覚的特性に依存し、0.01~5、又は0.01~1、又は0.1~1重量%の範囲であり、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、軟らかい造形用材料配合物は、以下のものを含む:
25~35重量%の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載された単官能両親媒性アクリレート;
25~30重量%の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載された単官能疎水性アクリレート;
5~10重量%の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載された単官能アクリレート;及び
30~35重量%の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載された、少なくとも1000又は少なくとも1500又は少なくとも2000ダルトンの分子量、及び0℃未満又は-10℃未満又は-20℃未満のTgを具備する非硬化性ポリマー材料。
これらの実施形態の一部では、非硬化性ポリマー材料は、ポリプロピレングリコール、及び/又は少なくとも一つのポリプロピレングリコールブロックを含むブロックコポリマーを含み、各々は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたように、少なくとも2000ダルトンの分子量を具備する。
これらの実施形態の一部では、単官能アクリレートは、二官能アクリレートであり、一部の実施形態では、それは、ウレタンジアクリレートである。
これらの実施形態の一部では、単官能両親媒性アクリレートは、少なくとも6個の炭素原子の炭化水素鎖及び少なくとも2個のアルキレングリコール基を含む。
これらの実施形態の一部では、単官能疎水性アクリレートは、少なくとも8個の炭素原子の炭化水素鎖を含む。
例示的な配合物は、以下の実施例の部分の実施例2に与えられる。
配合物系:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、未硬化の構築材料は、本明細書に記載されたような二種以上の軟らかい造形用材料配合物を含み、各々は、本実施形態による硬化性及び非硬化性材料の異なる組み合わせを含み、任意選択的に各々は、硬化されたとき、1~10の範囲の異なるショアA硬度値及び/又は0~40の範囲の異なるショアOO硬度値を具備する。
一部の実施形態では、かかる二種以上の構築材料配合物は、軟らかい造形用配合物の配合物系を表わす。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、本明細書に記載されるような複数の軟らかい造形用材料配合物を含む配合物系が提供され、各々は、本実施形態による硬化性材料と非硬化性材料の異なる組み合わせを含み、任意選択的に、各々は、硬化されたとき、1~10の範囲の異なるショアA硬度値及び/又は0~40の範囲の異なるショアOO硬度値を具備する。
かかる複数の軟らかい造形用材料配合物は、必要により、一つの希望の配合物、又は一組の二種以上の配合物を選択する使用を可能にするように、硬化されたとき、本明細書に記載されたような様々な硬度値を例えば減少する順序で具備する一連の造形用材料配合物を示すことができる。
以下の実施例の部分で示されているように、本明細書に記載されるような軟らかい造形用材料配合物は、エラストマー硬化性造形用配合物と組み合わせて成功裏に利用され、従ってかかる配合物をともに含む配合物系は、本明細書に記載されるような軟らかい材料(例えば本明細書に記載されるようなショアA硬度又はショアOO硬度を具備する硬化材料)を少なくとも一部に具備する物体を与えるために付加製造に有利に使用されることができる。
本発明の一部の実施形態の態様によれば、それぞれの実施形態のいずれかに本明細書に記載されたような軟らかい硬化性造形用配合物、及びエラストマー硬化性造形用材料配合物を含む配合物系が提供される。
軟らかい硬化性配合物とエラストマー硬化性配合物の各々は、本明細書に記載されるように、独立してそれを含む配合物系の一部を形成し、従って配合物系は、二種以上の配合物系を含むことができ、少なくとも一つは、本明細書に記載されるような軟らかい造形用材料配合物を含み、少なくとも一つは、エラストマー造形用材料配合物を含む。
本発明の一部の実施形態によれば、上記の配合物系のいずれかにおける配合物又は配合物系は、キット内に個々に包装されることができ、キットは、配合物又は配合物系がそれぞれの実施形態のいずれかに本明細書に記載されるように付加製造に使用可能であることを示す指示を含むことができる。一部の実施形態では、キットは、配合物を使用する方法の指示を含み、一部の実施形態では、かかる指示は、付加製造法及びシステムに関する実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されているようなものである。
例示的な実施形態では、配合物又は配合物系は、好適な包装材料、好ましくは不透過性材料(水及び気体不透過性材料)、さらに好ましくは不透明材料でキット内に包装される。一部の実施形態では、キットはさらに、付加製造法、好ましくは本明細書に記載されるような3Dインクジェット印刷法において配合物を使用する指示を含む。キットはさらに、本明細書に記載された方法に従って方法において配合物を使用する指示を含む。
エラストマー硬化性配合物:
本明細書を通じて、用語「エラストマー硬化性配合物」はまた、本明細書では、「エラストマー造形用材料配合物」、「エラストマー造形用配合物」、又は単に「エラストマー配合物」として言及され、硬化されたとき、ゴム又はゴム状材料の特性を具備する配合物を記載し、それはまた、本明細書及び業界では、エラストマーとして言及される。
エラストマー又はゴムは、室温より低い、好ましくは10℃未満、0℃未満、さらには-10℃未満の低いTgによって特徴づけられる可撓性材料である。
例示的なかかる配合物は、Tango(商品名)、Tango+(商品名)、及びAgilus(商品名)ファミリーとして販売されているものである。
例示的なかかる配合物は、PCT/IL2017/050604に記載されており、それは、本明細書に完全に記載されているかのように参考として組み入れられる。
「Agilus」又は「Agilus配合物」が示されているときはいつでも、それはAgilus(商品名)ファミリーの配合物(例えばWO2017/208238に記載された配合物)、例えばAgilus(商品名)30を意味する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性造形用配合物は、少なくとも一種のエラストマー硬化性材料を含む。
表現「エラストマー硬化性材料」は、硬化エネルギーにさらすと、エラストマー(ゴム、又はゴム状材料)の特性を具備する硬化された材料を与える、本明細書に規定されるような硬化性材料を記載する。
エラストマー硬化性材料は、一般的に、重合された及び/又は架橋された材料に弾性を与える部分に連結された、好適な硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすと重合を受ける一種以上の重合可能な(硬化可能な)基を含む。かかる部分は、一般的に本明細書に規定されるような、アルキル、アルキレン鎖、炭化水素、アルキレングリコール基又は鎖(例えばオリゴ又はポリ(アルキレングリコール))、本明細書に規定されるような、ウレタン、オリゴウレタン、又はポリウレタン部分、及び類似物を含み、さらに前述のいずれかの組み合わせを含み、本明細書において「エラストマー部分」として言及される。
エラストマー硬化性材料は、単官能又は多官能材料、又はそれらの組み合わせであることができる。
本発明の一部の実施形態によるエラストマー単官能硬化性材料は、以下の式Iによって表わされるビニル含有化合物であることができる:
式I中のR
1及びR
2の少なくとも一つは、本明細書に規定されるようなエラストマー部分であるか、及び/又はそれを含む。
式I中の=CH2基は、重合可能な基を表わし、一部の実施形態によれば、UV硬化性基であり、従ってエラストマー硬化性材料は、UV硬化性材料である。
例えば、式I中のR1は、本明細書に規定されるようなエラストマー部分であるか、又はそれを含み、R2は、例えば、それが硬化された材料のエラストマー特性を妨げない限り、水素、C(1-4)アルキル、C(1-4)アルコキシ、又はいずれかの他の置換基である。
一部の実施形態では、式I中のR1は、本明細書に記載されるようなカルボキシレートであり、R2は、水素であり、化合物は、単官能アクリレートモノマーである。一部の実施形態では、式I中のR1は、本明細書に記載されるようなカルボキシレートであり、R2は、メチルであり、化合物は、単官能メタクリレートモノマーである。R1がカルボキシレートでありかつR2が水素又はメチルである硬化性材料は、本明細書において集合的に「(メタ)アクリレート」として言及される。
これらの実施形態のいずれかの一部では、カルボキシレート基は、-C(=O)-ORcによって表わされ、Rcは、本明細書に記載されるようなエラストマー部分である。
一部の実施形態では、式I中のR1は、本明細書に記載されるようなアミドであり、R2は、水素であり、化合物は、単官能アクリルアミドモノマーである。一部の実施形態では、式I中のR1は、本明細書に記載されるようなアミドであり、R2は、メチルであり、化合物は、単官能メタクリルアミドモノマーである。R1がアミドでありかつR2が水素又はメチルである硬化性材料は、本明細書において集合的に「(メタ)アクリルアミド」として言及される。
(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドは、本明細書において集合的に(メタ)アクリル材料として言及される。
一部の実施形態では、アミドは、-C(=O)-NRdReによって表わされ、Rd及びReは、水素及びエラストマー部分から選択され、少なくとも一つは、本明細書に規定されるようなエラストマー部分である。式I中のR1及びR2の一方又は両方がポリマー又はオリゴマー部分を含むとき、式Iの単官能硬化性化合物は、例示的なポリマー又はオリゴマー単官能硬化性材料である。そうでなければ、それは、例示的なモノマー単官能硬化性材料である。
多官能エラストマー材料では、二つ又はそれより多い重合可能な基は、本明細書に記載されるようなエラストマー部分によって互いに連結される。
一部の実施形態では、多官能エラストマー材料は、本明細書に記載されるような式Iによって表わされることができ、そこではR1は、本明細書に記載されるような重合可能な基によって終わるエラストマー材料を含む。
例えば、二官能エラストマー硬化性材料は、以下の式I
*によって表わされることができる:
式中、Eは、本明細書に記載されるようなエラストマー連結部分であり、R’
2は、式I中のR
2に対して本明細書に規定されたようなものである。
別の例では、三官能エラストマー硬化性材料は、以下の式IIによって表わされることができる:
式中、Eは、本明細書に記載されるようなエラストマー連結部分であり、R’
2及びR”
2は、各々独立して、式I中のR
2に対して本明細書に規定されたようなものである。
一部の実施形態では、多官能(例えば二官能、三官能、又はそれより多い官能)エラストマー硬化性材料は、集合的に式IIIによって表わされることができる:
式中、R
2及びR’
2は、本明細書に規定されるようなものであり、
Bは、(X
1の性質に依存して)本明細書に規定されるような二官能又は三官能枝分かれ単位であり、
X
2及びX
3は、各々独立して、存在しないか、本明細書に記載されるようなエラストマー部分であるか、又はアルキル、炭化水素、アルキレン鎖、シクロアルキル、アリール、アルキレングリコール、ウレタン部分、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択され、
X
1は、存在しないか、又はアルキル、炭化水素、アルキレン鎖、シクロアルキル、アリール、アルキレングリコール、ウレタン部分、及びエラストマー部分(各々は、任意選択的にメタ(アクリレート)部分(O-C(=O)CR”
2=CH
2)によって置換(例えば終了)される)、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択され、又はX
1は、以下のものである:
式中、曲線は、結合点を表わし、
B’は、枝分かれ単位であり、それは、Bと同じであるか又はBとは異なり、
X’
2及びX’
3は、各々独立して、X
2及びX
3に対して本明細書に規定されるようなものであり、
R”
2及びR”’
2は、R
2及びR’
2に対して本明細書に規定されるようなものであり、
但し、X
1、X
2、及びX
3の少なくとも一つは、本明細書に記載されるようなエラストマー部分であるか、又はそれを含む。
本明細書に使用される用語「枝分かれ単位(ユニット)」は、複数のラジカル、好ましくは脂肪族又は脂環族の連結部分を記載する。「複数のラジカル」によって、連結部分が二つ以上の結合点を持ち、従ってそれが二つ以上の原子及び/又は基もしくは部分の間で連結することが意味される。
即ち、枝分かれ単位は、物質の単一の位置、基、又は原子に結合されるとき、この単一の位置、基、又は原子に結合される二つ以上の官能基を作り、従って単一の官能を二つ以上の官能に「枝分かれする」化学部分である。
一部の実施形態では、枝分かれ単位は、二つ、三つ、又はそれより多い官能基を持つ化学部分から誘導される。一部の実施形態では、枝分かれ単位は、本明細書に記載されるような枝分かれされたアルキル又は枝分かれした連結部分である。
4つ以上の重合可能な基を具備する多官能エラストマー硬化性材料もまた、考えられ、式IIIに与えられるものと同様の構造(但し、例えばより大きい枝分かれを有する枝分かれ単位Bを含むか、又は本明細書に規定されたような二つの(メタ)アクリレート部分を具備するX1部分を含む)、又は式IIに与えられたものと同様の構造(但し、例えばエラストマー部分に結合される別の(メタ)アクリレート部分を含む)を具備することができる。
一部の実施形態では、エラストマー部分(例えば、式I中のRc又は式I*、II及びIII中のEとして示される部分)は、アルキルであるか、又はそれを含み、それは、直線状であるか又は枝分かれされることができ、それは、好ましくは3つもしくはそれより多い又は4つもしくはそれより多い炭素原子;好ましくは3つもしくはそれより多い又は4つもしくはそれより多い長さの炭素原子のアルキレン鎖;本明細書に規定されるようなアルキレングリコール、オリゴ(アルキレングリコール)、又は好ましくは4つもしくはそれより多い原子の長さの本明細書に規定されるようなポリ(アルキレングリコール)、好ましくは4つもしくはそれより多い炭素原子の長さの本明細書に規定されるようなウレタン、オリゴウレタン、又はポリウレタン、及びそれらの組み合わせである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、本明細書に記載されるような(メタ)アクリル硬化性材料であり、一部の実施形態では、それは、アクリレートである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、単官能エラストマー硬化性材料であるか又はそれを含み、一部の実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料は、式Iによって表わされ、式中、R1は、-C(=O)-ORaであり、Raは、本明細書に規定されるように、アルキレン鎖(例えば4つもしくはそれより多い、好ましくは6つもしくはそれより多い、好ましくは8つもしくはそれより多い炭素原子の長さ)、又はポリ(アルキレングリコール)鎖である。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、多官能エラストマー硬化性材料であるか又はそれを含み、一部の実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料は、式I*によって表わされ、式中、Eは、本明細書に規定されるように、アルキレン鎖(例えば4つもしくはそれより多い、又は6つもしくはそれより多い炭素原子の長さ)、及び/又はポリ(アルキレングリコール)鎖である。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、多官能エラストマー硬化性材料であるか又はそれを含み、一部の実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料は、式IIによって表わされ、式中、Eは、枝分かれしたアルキル(例えば3つもしくはそれより多い、又は4つもしくはそれより多い、又は5つもしくはそれより多い炭素原子の長さ)である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、例えば式I、I*、II又はIIIのエラストマーアクリレート又はメタクリレート(アクリル又はメタクリルエラストマーとしても言及される)であり、一部の実施形態では、アクリレート又はメタクリレートは、硬化されたとき、ポリマー材料が0℃より低い又は-10℃より低いTgを具備するように選択される。
例示的なエラストマーアクリレート及びメタクリレート硬化性材料は、2-プロパン酸、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルエステル(例示的なウレタンアクリレート)、及び商品名SR335(ラウリルアクリレート)及びSR395(イソデシルアクリレート)(Sartomerによる)の下で販売される化合物を含むが、それらに限定されない。他の例は、商品名SR350D(三官能トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA))、SR256(2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート)、SR252(ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート)、SR561(アルコシキル化ヘキサンジオールジアクリレート)(Sartomerによる)の下で販売される化合物を含む。
例えば一つ以上のアクリレート又はメタクリレート基の代わりに一つ以上のアクリルアミド基を具備する他のアクリル材料もまた考えられることが注意されるべきである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、本明細書に記載されるような各実施形態のいずれかにおいて、一種以上の単官能エラストマー硬化性材料(例えば式Iで表わされるような単官能エラストマーアクリレート)及び一種以上の多官能(例えば二官能)エラストマー硬化性材料(例えば式I*、II、又はIIIで表わされるような二官能エラストマーアクリレート)を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料の全量は、本明細書に記載されるようなエラストマー造形用材料配合物の全量の少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%であり、最大70%、又はさらに最大80%であることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性造形用配合物は、シリカ粒子をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子は、1ミクロンより小さい平均粒子サイズを持ち、即ちシリカ粒子は、サブミクロン粒子である。一部の実施形態では、シリカ粒子は、0.1nm~900nm、又は0.1nm~700nm、又は1nm~700nm、又は1nm~500nm、又は1nm~200nmの範囲の平均粒子サイズを持ち、それらの間のいずれかの中間値及び下位範囲を含む、ナノサイズ粒子又はナノ粒子である。
一部の実施形態では、かかる粒子の少なくとも一部は、配合物に導入されると凝集することができる。これらの実施形態の一部では、凝集体は、3ミクロン以下、又は1.5ミクロン以下の平均サイズを持つ。
サブミクロンシリカ粒子のいずれかの商業的に入手可能な配合物は、本実施形態の文脈において使用可能であり、それらは、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、沈降シリカ、層状シリカ(例えばモンモリロナイト)、及びシリカ粒子のエアロゾル支援自己集合を含む。
シリカ粒子は、疎水性又は親水性表面を具備するようなものであることができる。粒子の表面の疎水性又は親水性は、粒子上の表面基の性質によって決定される。
シリカが処理されないとき、即ち実質的にSi及びO原子から構成されるとき、粒子は、一般的にシラノール(Si-OH)表面基を具備し、それゆえ親水性である。未処理(未被覆)コロイドシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、及び層状シリカは、全て親水性表面を具備し、親水性シリカと考えられる。
層状シリカは、表面基として4級アンモニウム及び/又はアンモニウムによって終わる長鎖炭化水素を具備するように処理されることができ、その表面の性質は、炭化水素鎖の長さによって決定される。疎水性シリカは、疎水性基が粒子の表面に結合されるシリカの形であり、処理されたシリカ又は官能化シリカ(疎水性基で反応されたシリカ)としても言及される。
本明細書に規定されるように、アルキル、好ましくは2つもしくはそれより多い炭素原子の長さ、好ましくは4つもしくはそれより多い、又は6つもしくはそれより多い炭素原子の長さの中程度から大きな程度のアルキル、シクロアルキル、アリール、及び他の炭化水素、又は疎水性ポリマー(例えばポリジメチルシロキサン)のような限定されない疎水性表面基を具備するシリカ粒子は、疎水性シリカの粒子である。
本明細書に記載されるようなシリカ粒子は、それゆえ未処理(非官能)であることができ、従って親水性粒子である。
あるいは、本明細書に記載されるようなシリカ粒子は、それらの表面上の部分と結合を形成するように反応させることによって処理又は官能化されることができる。
前記部分が親水性部分であるとき、官能化シリカ粒子は、親水性である。
ヒドロキシ、アミン、アンモニウム、カルボキシ、シラノール、オキソ、及び類似物のような限定されない親水性表面基を具備するシリカ粒子は、親水性シリカの粒子である。
前記部分が本明細書に記載されるように疎水性部分であるとき、官能化シリカ粒子は、疎水性である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の少なくとも一部又は全ては、親水性表面を具備する(即ち、例えばコロイドシリカのような未処理シリカの親水性シリカ粒子である)。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の少なくとも一部又は全ては、疎水性表面を具備する(即ち、疎水性シリカ粒子である)。
一部の実施形態では、疎水性シリカ粒子は、官能化シリカ粒子、即ち一つ以上の疎水性部分で処理されたシリカの粒子である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の少なくとも一部又は全ては、硬化性官能基によって官能化された疎水性シリカ粒子(表面上に硬化性基を具備する粒子)である。
硬化性官能基は、本明細書に記載されるようないずれかの重合可能な基であることができる。一部の実施形態では、硬化性官能基は、配合物中の硬化性モノマーと同じ重合反応によって及び/又は硬化性モノマーと同じ硬化条件にさらすとき、重合可能である。一部の実施形態では、硬化性基は、本明細書に規定されるように、(メタ)アクリル(アクリル又はメタクリル)基である。
本明細書に記載されるような親水性及び疎水性、官能化及び未処理のシリカ粒子は、商業的に入手可能な材料であることができ、又は業界で良く知られた方法を使用して製造されることができる。
これらの実施形態の文脈で使用される「少なくとも一部」は、粒子の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%を意味する。
シリカ粒子はまた、二種以上のシリカ粒子の混合物、例えば本明細書に記載されるシリカ粒子のいずれかの二種以上の混合物であることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、造形用材料配合物中のシリカ粒子の量は、造形用材料配合物の全重量の約1重量%~約20重量%、又は約1重量%~約15重量%、又は約1重量%~約10重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本明細書に記載されたような配合物系中のシリカ粒子の量は、配合物系の全重量の約1重量%~約20重量%、又は約1重量%~約15重量%、又は約1重量%~約10重量%の範囲である。
一部の実施形態では、配合物系は、一種の配合物を含む。一部の実施形態では、配合物系は、二種以上の配合物を含み、シリカ粒子は、一種、二種、又は全ての配合物内に含まれる。
シリカ粒子の量は、硬化された造形用材料及び/又はそれを含む物体又はその中の一部の機械的特性を制御するように希望の通りに操作されることができる。例えば、シリカ粒子の量を高めると、硬化された造形用材料及び/又はそれを含む物体又はその中の一部の弾性率を高めることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の量は、1種以上の造形用材料配合物中のエラストマー硬化性材料とシリカ粒子の重量比が約50:1~約4:1、又は約30:1~約4:1、又は約20:1~約2:1の範囲(それらの間のいずれかの中間値及び下位範囲も含む)であるようなものである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー造形用材料配合物は、一種以上の追加の硬化性材料をさらに含む。
追加の硬化性材料は、単官能硬化性材料、多官能硬化性材料、又はそれらの混合物であることができ、各材料は、モノマー、オリゴマー、もしくはポリマー、又はそれらの組み合わせであることができる。
好ましくは、必須ではないが、追加の硬化性材料は、例えば光照射(例えばUV照射)にさらすと硬化性エラストマー材料が重合可能である同じ硬化エネルギーにさらすときに重合可能である。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、硬化されたとき、重合された材料がエラストマー材料のTgより高いTgを具備し、例えば0℃より高いTg、又は5℃より高いTg、又は10℃より高いTgを具備するようなものである。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、例えば、硬化されたとき、エラストマー材料を表わすものとは異なる弾性率及び/又はTgを具備する非エラストマー硬化性材料である。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、単官能アクリレート又はメタクリレート((メタ)アクリレート)である。限定されない例としては、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート、アクリロイルモルフォリン(ACMO)、商品名SR-339の下でSartomer Company(米国)によって販売されるフェノキシエチルアクリレート、商品名CN131Bの下で販売されるようなウレタンアクリレートオリゴマー、及びAM方法論で使用可能ないずれかの他のアクリレート及びメタクリレートを含む。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、多官能アクリレート又はメタクリレート((メタ)アクリレート)である。多官能(メタ)アクリレートの限定されない例としては、商品名SR-9003の下でSartomer Company(米国)によって販売される、プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DiTMPTTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(TETTA)、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DiPEP)、及び例えばEbecryl 230として販売されるような脂肪族ウレタンジアクリレートを含む。多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの限定されない例は、エトキシル化又はメトキシル化ポリエチレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール-ポリエチレングリコールウレタンジアクリレート、部分的にアクリル化されたポリオールオリゴマー、CNN91として販売されるようなポリエステルベースのウレタンジアクリレートを含む。
本明細書に規定されるようなTgを具備するいずれかの他の硬化性材料、好ましくは硬化性材料が、追加の硬化性材料として考えられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー造形用材料配合物は、硬化性材料の重合を開始するための開始剤をさらに含む。
全ての硬化性材料(エラストマー及び追加のもの(もし存在するなら))が光重合可能であるとき、光開始剤がこれらの実施形態において使用可能である。
全ての硬化性材料(エラストマー及び追加のもの(もし存在するなら))がアクリル化合物であるか、又はそうでなければフリーラジカル重合によって光重合可能であるとき、本明細書に記載されるようなフリーラジカル光開始剤は、これらの実施形態において使用可能である。
光開始剤の濃度は、それを含有する硬化性エラストマー配合物において約0.1重量%~約0.5重量%、又は約1重量%~約5重量%の範囲であることができ、それは、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー造形用材料配合物は、軟らかい造形用材料配合物のために本明細書に記載されたように、一種以上の追加の非硬化性材料、例えば一種以上の着色剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、及び抑制剤をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、UV硬化性材料であり、一部の実施形態では、それは、エラストマー(メタ)アクリレート、例えばエラストマーアクリレートである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、追加の硬化性成分は、エラストマー造形用材料配合物に含められ、一部の実施形態では、この成分は、UV硬化性アクリレート又はメタクリレートである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子は、(メタ)アクリレート官能化シリカ粒子である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー造形用材料配合物は、一種以上の単官能エラストマーアクリレート、一種以上の多官能エラストマーアクリレート、一種以上の単官能アクリレート又はメタクリレート、及び一種以上の多官能アクリレート又はメタクリレートを含む。
これらの実施形態の一部では、エラストマー造形用材料配合物は、例えばIrgacure(登録商標)ファミリーの一種以上の光開始剤をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、全ての硬化性材料及びシリカ粒子は、単一の材料配合物に含められる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー造形用配合物は、二種以上の造形用材料配合物を含み、本明細書に記載されるようなエラストマー硬化性配合物を含むエラストマー配合物系を形成する。
これらの実施形態の一部では、一種の造形用材料配合物(例えば第一配合物又は部分A)は、エラストマー硬化性材料(例えばエラストマーアクリレート)を含み、別の種類の造形用材料配合物(例えば第二配合物又は部分B)は、追加の硬化性材料を含む。
代替的には、二種の造形用材料配合物の各々は、エラストマー硬化性材料を含み、配合物の一種は、追加の硬化性材料をさらに含む。
さらに代替的には、エラストマー配合物系中の二種の造形用材料配合物の各々は、エラストマー硬化性を含むが、エラストマー材料は、各配合物において異なる。例えば一種の配合物は、単官能エラストマー硬化性材料を含み、別の種類の配合物は、多官能エラストマー材料を含む。代替的には、一種の配合物は、単官能と多官能エラストマー硬化性材料の比率Wの混合物を含み、別の種類の配合物は、単官能と多官能エラストマー硬化性材料の比率Qの混合物を含み、但し、WとQは異なる。
造形用材料配合物の各々が、本明細書に記載されるエラストマー材料を含むときはいつでも、エラストマー配合物系中の一種以上の造形用材料配合物は、追加の硬化性材料をさらに含むことができる。例示的な実施形態では、一種の配合物は、単官能の追加の材料を含み、別の種類の配合物は、多官能の追加の材料を含む。さらなる例示的な実施形態では、一種の配合物は、オリゴマー硬化性材料を含み、別の種類の配合物は、モノマー硬化性材料を含む。
本明細書に記載されるようなエラストマー硬化性材料及び追加の硬化性材料のいかなる組み合わせもエラストマー配合物系を形成する二種以上の造形用材料配合物への含有のために考えられる。造形用材料配合物の組成及び印刷モードの選択は、以下にさらに詳細に記載されるように、制御可能な方法で様々な特性を具備する物体の製作を可能にする。
一部の実施形態では、エラストマー配合物系中の一種以上の造形用材料配合物は、エラストマー硬化性材料と追加の硬化性材料の比率が本明細書に記載されるようなゴム状材料を与えるように選択される。
一部の実施形態では、シリカ粒子、一種以上の光開始剤、及び任意選択的に他の成分は、一方又は両方の造形用材料配合物に含められる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的な造形用材料配合物では、全ての硬化性材料は、(メタ)アクリレートである。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、光開始剤の濃度は、それを含む配合物又は配合物系の全重量の約1重量%~約5重量%、又は約2重量%~約5重量%、又は約3重量%~約5重量%、又は約3重量%~約4重量%(例えば、3,3.1,3.2,3.25,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.85,3.9重量%であり、それらの間のいかなる中間値も含む)の範囲である。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、抑制剤の濃度は、それを含む配合物又は配合物系の全重量の0重量%~約2重量%、又は0重量%~約1重量%であり、例えば0,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9又は約1重量%であり、それは、それらの間のいかなる中間値も含む。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、界面活性剤の濃度は、それを含む配合物又は配合物系の全重量の0重量%~約1重量%であり、例えば0,0.01,0.05,0.1,0.5又は約1重量%であり、それは、それらの間のいかなる中間値も含む。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、分散剤の濃度は、それを含む配合物又は配合物系の全重量の0重量%~約2重量%であり、例えば0,0.1,0.5,0.7,1,1.2,1.3,1.35,1.4,1.5,1.7,1.8又は約2重量%であり、それは、それらの間のいかなる中間値も含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的な造形用材料配合物では、エラストマー硬化性材料の全濃度は、約30重量%~約90重量%、又は約40重量%~約90重量%、又は約40重量%~約85重量%の範囲である。
「全濃度」は、本明細書中全体を通して、本明細書に記載されるような(一種以上の)エラストマー造形用材料配合物の全てにおいて又はエラストマー配合物系においての全重量を意味する。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、単官能エラストマー硬化性材料及び多官能エラストマー硬化性材料を含む。
一部の実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約20重量%~約70重量%、又は約30重量%~約50重量%の範囲であり、それは、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約50重量%~約70重量%、又は約55重量%~約65重量%、又は約55重量%~約60重量%(例えば58重量%)の範囲であり、それは、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約30重量%~約50重量%、又は約35重量%~約50重量%、又は約40重量%~約45重量%(例えば42重量%)の範囲であり、それは、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
一部の実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%~約30重量%の範囲である。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%~約20重量%、又は約10重量%~約15重量%(例えば12重量%)の範囲である。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%~約30重量%、又は約10重量%~約20重量%、又は約15重量%~約20重量%(例えば16重量%)の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的な造形用材料配合物では、追加の硬化性材料の全濃度は、約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約35重量%の範囲であり、それは、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、単官能硬化性材料を含む。
一部の実施形態では、単官能の追加の硬化性材料の全濃度は、約15重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%(例えば21重量%)の範囲であり、それは、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の濃度は、約20重量%~約30重量%、又は約25重量%~約30重量%(例えば28重量%)の範囲であり、それは、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的なエラストマー造形用材料配合物又は配合物系では、エラストマー硬化性材料は、単官能エラストマー硬化性材料及び多官能エラストマー硬化性材料を含み、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約30重量%~約50重量%(例えば約40重量%~約45重量%)、又は約50重量%~約70重量%(例えば約55重量%~約60重量%)の範囲であり、多官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%~約20重量%の範囲であり、一種以上の配合物は、約20重量%~約30重量%の範囲の全濃度で追加の単官能硬化性材料をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、一種以上の造形用配合物は、少なくとも一種のエラストマー単官能硬化性材料、少なくとも一種のエラストマー多官能硬化性材料、及び少なくとも一種の追加の単官能硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%~30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の50重量%~70重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%~20重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%~30重量%の範囲であり、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の50重量%~70重量%の範囲であり、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%~20重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の20重量%~30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の30重量%~50重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%~30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の20重量%~30重量%の範囲であり、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の30重量%~50重量%の範囲であり、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%~30重量%の範囲である。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物では、各成分の濃度は、一種の造形用材料配合物が使用されるときにその濃度として、又は二種以上の造形用材料配合物が使用されるときにその全濃度として与えられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたようなエラストマー造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化されたとき、少なくとも4000N/m、又は少なくとも4500N/m、又は少なくとも5000N/mの引裂抵抗によって特徴づけられる。引裂抵抗は、ASTM D624に従って決定される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたようなエラストマー造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化されたとき、前記シリカ粒子のない硬化された同じ造形用材料配合物の引裂抵抗より少なくとも500N/m、又は少なくとも700N/m、又は少なくとも800N/mの分だけ高い引裂抵抗によって特徴づけられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたようなエラストマー造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化されたとき、少なくとも2MPaの引張強度によって特徴づけられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたようなエラストマー造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化された造形用材料からなりかつ二つのOリングとそれらのリングを接続する管を具備する物体が少なくとも一時間又は少なくとも一日の一定の伸張下での引裂抵抗によって特徴づけられるようなものである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料は、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいてエラストマー硬化性材料のために本明細書に記載されるように、単官能エラストマー硬化性モノマー、単官能エラストマー硬化性オリゴマー、多官能エラストマー硬化性モノマー、多官能エラストマー硬化性オリゴマー、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択される。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいて本明細書に記載されるように、式I,I*,II及びIIIによって表わされる材料から選択される一種以上の材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料及びシリカ粒子は、同じ配合物中にある。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性配合物系は、少なくとも一種の追加の硬化性材料をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、追加の硬化性材料は、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいて追加の硬化性材料のために本明細書に記載されるように、単官能硬化性モノマー、単官能硬化性オリゴマー、多官能硬化性モノマー、多官能硬化性オリゴマー、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料、シリカ粒子、及び追加の硬化性材料は、同じ配合物中にある。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料は、UV硬化性エラストマー材料である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料は、アクリルエラストマーである。
システム:
本実施形態の方法およびシステムは、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することによって、三次元物体をコンピュータ物体データに基づいて1層ずつ製作する。コンピュータ物体データは、標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴン・ファイル・フォーマット(PLY)、またはコンピュータ支援設計(CAD)に適したいずれかの他のフォーマットを含め、それらに限らず、任意の公知のフォーマットにすることができる。
本明細書において使用される用語「物体」は、物品全体又はその一部を示す。
各層は、二次元表面を走査してそれをパターン化する付加製造装置によって形成される。走査中に、装置は、二次元の層または表面上の複数の目標位置を訪れ、各目標位置または1群の目標位置について、目標位置または目標位置群が構築材料配合物によって占有されるべきか否か、かつどのタイプの構築材料配合物をそこに送達すべきかを決定する。決定は、表面のコンピュータ画像に従って行われる。
本発明の好ましい実施形態では、AMは、三次元印刷を、より好ましくは三次元インクジェット印刷を含む。これらの実施形態では、構築材料配合物は、1組のノズルを有する吐出ヘッドから吐出され、構築材料配合物を支持体構造上に層状に堆積する。AM装置はこうして、占有すべき目標位置に構築材料配合物を吐出し、かつ他の目標位置を空所のままにする。装置は通常、複数の吐出ヘッドを含み、各吐出ヘッドは、異なる構築材料配合物を吐出するように構成されることができる。従って、異なる目標位置を異なる構築材料配合物が占有することができる。構築材料配合物の種類は主に、造形用材料配合物および支持体材料配合物の2つのカテゴリに分類されることができる。支持体材料配合物は、製作プロセス中に物体もしくは物体の一部分を支持するため、かつ/または他の目的で、例えば中空物体もしくは多孔質物体を提供するために、支持マトリックスまたは支持構造として働く。支持体構造は、例えば支持強度を高めるために、さらに造形用材料配合物要素を含んでよい。支持体材料配合物は、一般的に、硬化されたとき、ゲル又はゲル状材料を与える。
造形用材料配合物は一般的に、付加製造用に配合された組成物であり、それ自体で、すなわち他の物質と混合されたりまたは組み合わされたりする必要なく、三次元物体を形成することができる。
最終的な三次元物体は、造形用材料配合物、または造形用材料配合物と支持体材料配合物の組合せもしくはそれらの変性物(例えば硬化後)から作られる。これらの作業は全て、立体自由造形の当業者にはよく知られている。
本発明の一部の例示的実施形態では、物体は、2つ以上の異なる造形用材料配合物を吐出することによって製造され、各材料配合物は、AMの異なる吐出ヘッドから吐出される。材料配合物は、任意選択的にかつ好ましくは、印刷ヘッドの同一パス中に層状に堆積される。層内の材料配合物および材料配合物の組合せは、物体の所望の特性に従って選択される。
本発明の一部の実施形態による、物体112のAMに適したシステム110の代表的かつ非限定的実施例を、図1Aに示す。システム110は、複数の吐出ヘッドを含む吐出ユニット16を有する付加製造装置114を備える。各ヘッドは、下述する図2A~図2Cに示すように、液状構築材料配合物124が吐出される1つ以上のノズル122のアレイを含むことが好ましい。
装置114は、三次元印刷装置であることが好ましいが、必須ではない。その場合、吐出ヘッドは、印刷ヘッドであり、構築材料配合物は、インクジェット技術によって吐出される。用途によっては、付加製造装置は、三次元印刷技術を採用する必要がない場合があるので、これは必ずしも該当しない。本発明の様々な例示的実施形態に従って構想される付加製造装置の代表的実施例は、熱溶解積層造形装置および熱溶解材料配合物堆積装置を含むが、それらに限定されない。
各吐出ヘッドは、任意選択的にかつ好ましくは構築材料配合物リザーバを介して供給され、リザーバは、任意選択的に、温度制御ユニット(例えば温度センサおよび/または加熱装置)および材料レベルセンサを含んでもよい。構築材料配合物を吐出するために、例えば圧電式インクジェット印刷技術の場合のように、吐出ヘッドノズルを介して材料配合物の液滴が選択的に堆積されるように、電圧信号が吐出ヘッドに印加される。各ヘッドの吐出率は、ノズルの個数、ノズルの種類、および印加電圧の信号レート(周波数)に依存する。そのような吐出ヘッドは、立体自由造形の当業者には知られている。
吐出ノズルまたはノズルアレイの総数は、吐出ノズルの半数が支持体材料配合物を吐出するように設計され、かつ吐出ノズルの半数が造形用材料配合物を吐出するように設計され、すなわち造形用材料配合物を噴出するノズルの個数が支持体材料配合物を噴出するノズルの個数と同数になるように、選択されることが好ましいが、必須ではない。図1Aの代表的実施例には4つの吐出ヘッド16a、16b、16c、および16dが示される。ヘッド16a、16b、16c、および16dの各々がノズルアレイを有する。この実施例では、ヘッド16aおよび16bは造形用材料配合物用に設計することができ、ヘッド16cおよび16dは支持体材料配合物用に設計することができる。こうして、ヘッド16aは第1造形用材料配合物を吐出することができ、ヘッド16bは第2造形用材料配合物を吐出することができ、ヘッド16cおよび16dは両方とも支持体材料配合物を吐出することができる。代替的実施形態では、例えばヘッド16cおよび16dは、支持体材料配合物を吐出するための2つのノズルアレイを有する単一のヘッドに組み合わされてよい。
それにも関わらず、それは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、造形用材料配合物吐出ヘッド(造形用ヘッド)の個数および支持体材料配合物吐出ヘッド(支持体用ヘッド)の個数は異なってもよいことを理解されたい。一般的に、造形用ヘッドの個数、支持体用ヘッドの個数、およびそれぞれのヘッドまたはヘッドアレイの各々におけるノズルの個数は、支持体材料配合物の最大吐出率と造形用材料配合物の最大吐出率との間に所定の比率αがもたらされるように選択される。所定の比率αの値は、形成される各層における造形用材料配合物の高さが支持体材料配合物の高さに等しいことを確実にするように選択されることが好ましい。αの典型値は約0.6~約1.5である。
例えばα=1の場合、全ての造形用ヘッドおよび支持体用ヘッドが作動しているときに、支持体材料配合物の総吐出率は造形用材料配合物の総吐出率と略同一である。
好適な実施形態では、ノズルp個のアレイm個を各々有する造形用ヘッドM個、およびノズルq個のアレイs個を各々有する支持体用ヘッドS個が存在するので、M×m×p=S×s×qとなる。M×m個の造形用アレイおよびS×s個の支持体用アレイの各々は、別個の物理ユニットとして製造することができ、それをアレイ群に組み立てたり、そこから分解したりすることができる。この実施形態では、そのようなアレイの各々は、任意選択的にかつ好ましくは、それ自体の温度制御ユニットおよび材料配合物レベルセンサを含み、かつその動作のために個々に制御された電圧を受け取る。
装置114は、凝固装置324をさらに含むことができ、それは、堆積された材料配合物を硬化させる光、熱などを放出するように構成された任意の装置を含むことができる。例えば凝固装置324は、1つ以上の放射源を含むことができ、それは、使用される造形用材料配合物に応じて、例えば紫外線もしくは可視光もしくは赤外線ランプ、または他の電磁放射源、または電子ビーム源とすることができる。本発明の一部の実施形態では、凝固装置324は、造形用材料配合物を硬化または凝固させるように働く。
吐出ヘッドおよび放射源は、作業面として働くトレイ360上を往復運動するように動作することが好ましいフレームまたはブロック128に取り付けられることが好ましい。本発明の一部の実施形態では、放射源は、吐出ヘッドによって吐出されたばかりの材料配合物を少なくとも部分的に硬化または凝固するために、放射源が吐出ヘッドの後に追従するようにブロックに取り付けられる。トレイ360は水平に配置される。一般的な取決めに従って、X‐Y‐Zデカルト座標系はX‐Y面がトレイ360と平行になるように選択される。トレイ360は、垂直方向に(Z方向に沿って)、通常は下方に移動するように構成されることが好ましい。本発明の様々な例示的実施形態では、装置114は、1つ以上のレベリング装置132、例えばローラ326をさらに備える。レベリング装置326は、新たに形成された層の厚さを、その上に次の層が形成される前に矯正し、平準化し、かつ/または確立するように働く。レベリング装置326は、レベリング中に発生した余分な材料配合物を回収するために、廃棄物回収装置136を含むことが好ましい。廃棄物回収装置136は、廃棄物タンクまたは廃棄物カートリッジに材料配合物を送達する何らかの機構を含んでよい。廃棄物回収については後でさらに詳述する。
使用中に、ユニット16の吐出ヘッドは、本書ではX方向と呼ぶ走査方向に移動し、それらがトレイ360上を通過する過程で所定の構成に構築材料配合物を選択的に吐出する。構築材料は通常、1種類以上の支持体材料配合物および1種類以上の造形用材料配合物を含む。ユニット16の吐出ヘッドの通過に続いて、放射源126による造形用材料配合物の硬化が行われる。堆積されたばかりの層のためのヘッドの出発点に戻るヘッドの逆方向の通過中に、所定の構成に従って構築材料配合物の追加吐出が実行されてよい。吐出ヘッドの順方向または逆方向の通過中に、こうして形成された層は、レベリング装置の順方向および/または逆方向の移動中に好ましくは吐出ヘッドの経路に従うレベリング装置326によって矯正される。吐出ヘッドがX方向に沿ってそれらの出発点に戻ると、吐出ヘッドは、本書ではY方向と呼ぶ割出し方向に沿って別の位置に移動し、X方向に沿った往復運動によって同じ層を構築し続けてよい。代替的に、吐出ヘッドは、順方向および逆方向の移動の間に、または2回以上の順方向‐逆方向移動の後に、Y方向に移動してよい。単一の層を完成させるために吐出ヘッドによって実行される一連の走査は、本書で単一走査サイクルと呼ばれる。
層が完成すると、次に印刷される層の所望の厚さに応じて、トレイ360は、Z方向に所定のZレベルまで下降する。この手順は、三次元物体112が層毎に形成されるように繰り返される。
別の実施形態では、トレイ360は、層内で、ユニット16の吐出ヘッドの順方向および逆方向の通過の間に、Z方向に変位されてよい。そのようなZ変位は、レベリング装置を1方向に表面と接触させ、かつ他の方向の接触を防止するために実行される。
システム110は、任意選択的にかつ好ましくは、構築材料配合物容器またはカートリッジを含みかつ複数の構築材料配合物を製造装置114に供給する構築材料配合物供給システム330を備える。
制御ユニット340は、製造装置114および任意選択的にかつ好ましくは供給システム330をも制御する。制御ユニット340は通常、制御動作を実行するように構成された電子回路を含む。制御ユニット340は、コンピュータ物体データ、例えば標準テッセレーション言語(STL)フォーマットなどの形式でコンピュータ可読媒体に表されたCAD構成に基づいて、製作命令に関するデジタルデータを送信するデータプロセッサ154と通信することが好ましい。通常、制御ユニット340は、各吐出ヘッドまたはノズルアレイに印加される電圧、およびそれぞれの印刷ヘッドの構築材料配合物の温度を制御する。
製造データが制御ユニット340にロードされると、制御ユニットは、ユーザの介入なしに動作することができる。一部の実施形態では、制御ユニット340は、例えばデータプロセッサ154を用いて、あるいはユニット340と通信するユーザインタフェース116を用いて、オペレータから追加の入力を受信する。ユーザインタフェース116は、例えばキーボード、タッチスクリーンなど、しかしそれらに限らず、当業界で公知の任意の種類とすることができる。例えば制御ユニット340は、追加の入力として、1つ以上の構築材料配合物の種類および/または属性、例えば色、特性歪み、および/または転移温度、粘度、電気特性、磁気特性などを受信することができるが、それらに限定されない。他の属性および属性群も考えられる。
本発明の一部の実施形態に係る物体のAMに適したシステム10の別の代表的かつ非限定的実施例を図1B~図1Dに示す。図1B~図1Dは、システム10の上面図(図1B)、側面図(図1C)、および等角図(図1D)を示す。
本実施形態では、システム10は、トレイ12と、各々が複数の分離したノズルを有する複数のインクジェット印刷ヘッド16とを備える。トレイ12は、円板の形状を有することができ、あるいは環状とすることができる。垂直軸線を中心に回転することができることを前提として、非円形の形状も考えられる。
トレイ12およびヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、トレイ12とヘッド16との間の相対的回転運動ができるように取り付けられる。これは、(i)トレイ12がヘッド16に対して垂直軸線14を中心に回転するようにトレイを構成することによって、(ii)ヘッド16がトレイ12に対して垂直軸線14を中心に回転するようにヘッドを構成することによって、または(iii)トレイ12およびヘッド16の両方が垂直軸線14を中心に、しかし異なる回転速度で回転(例えば逆方向に回転)するように構成することによって、達成することができる。以下の実施形態は、トレイが、ヘッド16に対して垂直軸線14を中心に回転するように構成された回転トレイである構成(i)を特に重点的に記載するが、本願は構成(ii)および(iii)をも企図していることを理解されたい。本書に記載する実施形態はいずれも、構成(ii)および(iii)のいずれかに適用できるように調整することができ、本書に記載する詳細を前提として、そのような調整をどのように行うかが当業者には分かるであろう。
以下の説明では、トレイ12と平行で軸線14から外向きの方向を半径方向rと呼び、トレイ12と平行で半径方向rに垂直な方向をここでは方位角方向φと呼び、トレイ12に直角な方向をここでは垂直方向zと呼ぶ。
本書で使用する用語「半径方向位置」とは、軸線14から特定の距離にあるトレイ12上またはトレイ12より上の位置を指す。この用語が印刷ヘッドに関連して使用される場合、この用語は、軸線14から特定の距離にあるヘッドの位置を指す。この用語がトレイ12上の点に関連して使用される場合、この用語は、半径が軸線14から特定の距離にあってその中心が軸線14にある円を描く点の軌跡に属する任意の点に対応する。
本書で使用する用語「方位角位置」は、所定の基準点に対して特定の方位角にあるトレイ12上またはトレイ12より上の位置を指す。したがって、半径方向位置は、基準点に対して特定の方位角を形成する直線を描く点の軌跡に属する任意の点を指す。
本書で使用する用語「垂直位置」は、特定の点で垂直軸線14と交差する面全体の位置を指す。
トレイ12は、三次元印刷のための支持体構造として働く。1つ以上の物体が印刷される作業領域は通常、トレイ12の総面積より小さいが、必ずしもそうである必要はない。本発明の一部の実施形態では、作業領域は、環状である。作業領域は、符号26で示される。本発明の一部の実施形態では、トレイ12は、物体の形成中ずっと、同一方向に連続的に回転し、本発明の一部の実施形態では、トレイは、物体の形成中に少なくとも1回(例えば振動するように)回転方向を逆転する。トレイ12は、任意選択的にかつ好ましくは取外し可能である。トレイ12の取外しは、システム10の保守のために、あるいは希望する場合には、新しい物体を印刷する前にトレイを交換するために、行うことができる。本発明の一部の実施形態では、システム10には1つ以上の異なる交換トレイ(例えば交換トレイのキット)が提供され、2つ以上のトレイが異なる種類の物体(例えば異なる重量)、異なる動作モード(例えば異なる回転速度)等のために設計される。トレイ12の交換は希望通り手動または自動にすることができる。自動交換が採用された場合、システム10は、トレイ12をヘッド16の下にあるその位置から取り外して、それを交換トレイ(図示せず)と交換するように構成されたトレイ交換装置36を含む。図1Bの代表図では、トレイ交換装置36は、トレイ12を引っ張るように構成された可動アーム40を持つドライブ38として示されるが、他の種類のトレイ交換装置も考えられる。
印刷ヘッド16の例示的実施形態を図2A~図2Cに示す。これらの実施形態は、システム110およびシステム10を含め、それらに限らず、上述したAMシステムのいずれかに採用することができる。
図2A~図2Bは、1つ(図2A)および2つ(図2B)のノズルアレイ22を持つ印刷ヘッド16を示す。アレイにおけるノズルは直線に沿って線状に並ぶことが好ましい。特定の印刷ヘッドが2つ以上のリニア・ノズル・アレイを有する実施形態では、ノズルアレイは、任意選択的にかつ好ましくは、相互に平行にすることができる。
システム110と同様のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、走査方向に沿ったそれらの位置が互いにずらされ、割出し方向に沿って向き付けられる。
システム10と同様のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、それらの方位角位置が互いにずらされ、放射状に(放射方向と平行に)向き付けられる。したがって、これらの実施形態では、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは互いに平行ではなく、むしろ互いに角度を成しており、その角度はそれぞれのヘッド間の方位角のずれに略等しい。例えば1つのヘッドは放射状に向き付け、かつ方位角位置φ1に配置することができ、別のヘッドは放射状に向き付け、かつ方位角位置φ2に配置することができる。この実施例では、2つのヘッド間の方位角のずれはφ1-φ2であり、2つのヘッドのリニア・ノズル・アレイ間の角度もまたφ1-φ2である。
一部の実施形態では、2つ以上の印刷ヘッドを組み立てて、1ブロックの印刷ヘッドにすることができる。その場合、そのブロックの印刷ヘッドは一般的に、互いに平行である。幾つかのインクジェット印刷ヘッド16a、16b、16cを含むブロックが図2Cに示される。
一部の実施形態では、システム10は、トレイ12が支持体構造30とヘッド16との間にくるように、ヘッド16の下に位置する支持体構造30を含む。支持体構造30は、インクジェット印刷ヘッド16が作動している間発生することのあるトレイ12の振動を防止または低減するように働く。印刷ヘッド16が軸線14を中心に回転する構成では、支持体構造30が常にヘッド16の真下にくるように(トレイ12と共にヘッド16とトレイ12の間で)支持体構造30も回転することが好ましい。
トレイ12および/または印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、トレイ12と印刷ヘッド16との間の垂直距離が変動するように垂直方向zに沿って垂直軸線14と平行に移動するように構成される。トレイ12を垂直方向に沿って移動させることによって垂直距離が変動する構成では、支持体構造30もトレイ12と共に垂直方向に移動することが好ましい。トレイ12の垂直位置は固定されたままで、垂直距離がヘッド16によって垂直方向に沿って変動する構成では、支持体構造30もまた固定垂直位置に維持される。
垂直移動は、垂直ドライブ28によって確立することができる。ある層が完成すると、次に印刷される層の所望の厚さに応じて所定の垂直間隔だけ、トレイ12とヘッド16との間の垂直距離を増大させることができる(例えばヘッド16に対してトレイ12を下降させる)。この手順は、三次元物体112が層毎に形成されるように繰り返される。
インクジェット印刷ヘッド16の向き、および任意選択的にかつ好ましくは、システム10の1つ以上の他の構成部品の向き、例えばトレイ12の移動の向きも、コントローラ20によって制御される。コントローラは、電子回路および回路によって読出し可能な不揮発性記憶媒体を有することができ、記憶媒体は、回路によって読み出されたときに、以下でさらに詳述するように制御動作を回路に実行させるプログラム命令を格納する。
コントローラ20はまた、例えば標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴン・ファイル・フォーマット(PLY)、またはコンピュータ支援設計(CAD)に適したいずれかの他のフォーマットの形のコンピュータ物体データに基づいて、製作命令に関するデジタルデータを送信するホストコンピュータ24と通信することもできる。物体データフォーマットは一般的に、デカルト座標系に従って構成される。このような場合、コンピュータ24は、コンピュータ物体データにおける各スライスの座標をデカルト座標系から極座標系に変換するための手順を実行することが好ましい。コンピュータ24は、任意選択的にかつ好ましくは、変換された座標系で製作命令を送信する。代替的に、コンピュータ24は、コンピュータ物体データによって提供された元の座標系で、製作命令を送信することができ、その場合、座標の変換はコントローラ20の回路によって実行される。
座標の変換は、回転トレイ上の三次元印刷を可能にする。従来の三次元印刷では、印刷ヘッドは、静止トレイ上を直線に沿って往復運動する。そのような従来のシステムでは、ヘッドの吐出率が均一であることを前提として、印刷解像度はトレイ上のどの点でも同じである。従来の三次元印刷とは異なり、ヘッド点の全てのノズルが同時にトレイ12全体で同一距離をカバーするわけではない。座標の変換は、任意選択的にかつ好ましくは、異なる半径方向位置における過剰な材料配合物の均等な量が確保されるように実行される。本発明の一部の実施形態に係る座標変換の代表的実施例が、物体の3つのスライスを示す図3A~図3Bに提示される(各スライスは物体の異なる層の製作命令に対応する)。図3Aは、スライスをデカルト座標系で示し、図3Bは、座標変換手順がそれぞれのスライスに適用された後の同じスライスを示す。
通常、コントローラ20は、製作命令に基づき、かつ下述する格納されたプログラム命令に基づいて、システム10のそれぞれの構成部品に印加される電圧を制御する。
一般的に、コントローラ20は、トレイ12の回転中に、トレイ12上で三次元物体を印刷するために構築材料配合物の液滴を層状に吐出するように、印刷ヘッド16を制御する。
システム10は、任意選択的にかつ好ましくは、1つ以上の放射源18を備え、それは、使用する造形用材料配合物に応じて、例えば紫外線もしくは可視光もしくは赤外線ランプ、または他の電磁放射源、または電子ビーム源とすることができる。放射源は、発光ダイオード(LED)、デジタル・ライト・プロセシング(DLP)システム、抵抗ランプ等をはじめ、それらに限らず、任意の種類の放射線放出素子を含むことができる。放射源18は、造形用材料配合物を硬化または凝固させるように働く。本発明の様々な例示的実施形態では、放射源18の動作はコントローラ20によって制御され、それは、放射源18を作動させたり停止させたりすることができ、かつ任意選択的に放射源18によって発生する放射線の量も制御することができる。
本発明の一部の実施形態では、システム10は、ローラまたはブレードとして製造することのできる1つ以上のレベリング装置32をさらに備える。レベリング装置32は、新たに形成された層を、次の層がその上に形成される前に矯正するのに役立つ。一部の実施形態では、レベリング装置32は、円錐ローラの形状を有し、その対称軸線34がトレイ12の表面に対して傾斜し、かつその表面がトレイの表面と平行になるように配置される。この実施形態をシステム10の側面図に示す(図1C)。
円錐ローラは、円錐または円錐台の形状を有することができる。
円錐ローラの開き角は、その軸線34に沿った任意の位置における円錐の半径と、その位置と軸線14との間の距離との比率が一定になるように選択されることが好ましい。ローラが回転する間、ローラの表面上の点pはどれも、点pの鉛直下方に位置する点のトレイの線速度に比例する(例えば同一の)線速度を有するので、この実施形態は、ローラ32が層を効率的に平準化することを可能にする。一部の実施形態では、ローラは高さh、軸線14から最も近い距離位置における半径R1、および軸線14から最も遠い距離位置における半径R2を有する円錐台の形状を有する。ここでパラメータh、R1、およびR2は、R1/R2=(R-h)/hの関係を満たし、ここでRは軸線14からのローラの最遠距離である(例えばRはトレイ12の半径とすることができる)。
レベリング装置32の動作は、任意選択的にかつ好ましくは、コントローラ20によって制御される。コントローラは、レベリング装置32を作動させたり停止させたりすることができ、かつ任意選択的に、垂直方向(軸線14と平行)に沿ったその位置、および/または放射方向(トレイ12と平行に、軸線14に近づくかまたはそれから離れる方向)に沿ったその位置をも制御することができる。
本発明の一部の実施形態では、印刷ヘッド16は、径方向rに沿ってトレイに対して往復運動するように構成される。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さがトレイ12上の作業領域26の径方向に沿った幅より短いときに、有用である。径方向に沿ったヘッド16の運動は、任意選択的にかつ好ましくはコントローラ20によって制御される。
一部の実施形態は、異なる吐出ヘッドから異なる材料配合物を吐出することによって物体を製作することを企図している。これらの実施形態は、とりわけ、所与の数の材料配合物から材料配合物を選択し、かつ選択された材料配合物およびそれらの性質の所望の組合せを画定する能力を提供する。本実施形態によれば、異なる材料配合物による異なる三次元空間位置の占有を達成するか、あるいは2つ以上の異なる材料配合物による略同一の三次元位置または隣接する三次元位置の占有を達成するように、層における各材料配合物の堆積の空間位置が画定され、層内の材料配合物の堆積後の空間的組合せが可能になり、それによってそれぞれの位置(単数または複数)で複合材料配合物を形成することが可能になる。
造形用材料配合物の任意の堆積後の組合せまたは混合が企図される。例えば特定の材料配合物が吐出された後、それはその元の性質を維持することができる。しかし、別の造形用材料配合物または他の吐出材料配合物と同時に、同じ位置あるいは近傍位置で吐出された場合、吐出された材料配合物とは異なる性質を有する複合材料配合物が形成される。
こうして本実施形態は、広範囲の材料配合物の組合せの堆積を可能にし、かつ物体の各部分を特徴付けるために望ましい特性に応じて、物体の異なる部分を複数の異なる材料配合物の組合せから構成することのできる物体の製作を可能にする。
本実施形態に適したAMシステムの原理および動作のさらなる詳細は米国公開出願第20100191360号に見られ、その内容を参照によって本書に援用する。
図4は、本発明の一部の実施形態による例示的な方法を記載するフローチャートを与える。
方法:
他に規定されない限り、以下に記載される操作は、多くの実施の組み合わせ又は順序で同時に又は連続して実施されることができることが理解されるべきである。特に、フローチャート図の順序は、限定として考えられるべきではない。例えば、特定の順序でフローチャート図に又は以下の記載に現われる二つ以上の操作は、異なる順序で(例えば逆の順序で)又は実質的に同時に実施されることができる。さらに、以下に記載される複数の操作は、任意であり、実施されなくてもよい。
本実施形態の方法を実施するコンピュータープログラムは、一般にフロッピーディスク、CD-ROM、フラッシュメモリー装置、及び携帯可能なハードドライブのような限定されない配布媒体でユーザーに配布されることができる。配布媒体から、コンピュータープログラムは、ハードディスク又は同様の中間記憶媒体にコピーされることができる。コンピュータープログラムは、コンピューター指示をそれらの配布媒体又はそれらの中間記憶媒体から本発明の方法に従ってコンピューターを作動するように構成するコンピューターの実施記憶装置にロードすることによって実行されることができる。全てのこれらの操作は、コンピューターシステムの分野の熟練者に周知である。
本実施形態のコンピューター実施される方法は、多くの形態で実現されることができる。例えば、それは、方法操作を実施するためのコンピューターのような有形的表現媒体で実現されることができる。それは、方法操作を実施するためのコンピューター可読指示を含む、コンピューター可読媒体で実現されることができる。それは、コンピュータープログラムを有形的表現媒体に実行させたり、又は指示をコンピューター可読媒体に実施させたりするように配置されたデジタルコンピューター能力を有する電子装置で実現されることもできる。
方法は、200で開始し、任意選択的にかつ好ましくは201に続き、そこで上述のフォーマットのいずれかのコンピューター物体データが得られる。コンピューター物体データを得るための例示的な技術は、図18A及び18Bを参照して以下に記載される。
方法は、202に続き、そこで本明細書に記載されるような未硬化の構築材料(例えば本明細書に記載されるような一種以上の軟らかい造形用材料配合物、任意選択的に本明細書に記載されるような一種以上のエラストマー硬化性配合物、及び任意選択的に支持体材料配合物)の液滴は、コンピューター物体データ(例えば印刷データ)に従って、かつ本明細書に記載されるように、システム110又はシステム10(これらに限定されない)のようなAMシステムを任意選択的にかつ好ましくは使用して、受容媒体上に層状に吐出される。本明細書に記載される実施形態のいずれかでは、吐出202は、少なくとも二つの異なるマルチノズルインクジェット印刷ヘッドによって行なわれる。受容媒体は、本明細書に記載されるようにAMシステムのトレイ(例えばトレイ360又は12)、又は前に堆積された層であることができる。
本発明の一部の実施形態では、吐出202は、周囲環境下で実施される。
任意選択的に、未硬化の構築材料、又はその一部(例えば構築材料の一種以上の配合物)は、吐出される前に加熱される。これらの実施形態は、3Dインクジェット印刷システムの作業室の操作温度で相対的に高い粘度を有する未硬化の構築材料配合物のために特に有用である。配合物の加熱は、3Dインクジェット印刷システムの印刷ヘッドのノズルを通してそれぞれの配合物を噴射することを可能にする温度にすることが好ましい。本発明の一部の実施形態では、加熱は、それぞれの配合物がXセンチポアズ以下の粘度を示す温度にする。ここでXは、約30センチポアズ、好ましくは約25センチポアズ、より好ましくは約20センチポアズ、又は18センチポアズ、又は16センチポアズ、又は14センチポアズ、又は12センチポアズ、又は10センチポアズ、又はさらにそれより低い。
加熱は、AM(例えば3Dインクジェット印刷)システムの印刷ヘッドへのそれぞれの配合物の充填前、又は配合物が印刷ヘッド中にある間、又は組成物が印刷ヘッドのノズルを通過する間に実施されることができる。
一部の実施形態では、加熱は、配合物の粘度が高すぎる場合に配合物による吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドの詰まりを避けるように、吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッド中へのそれぞれの配合物の充填前に実施される。
一部の実施形態では、加熱は、少なくとも吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドのノズルを造形用材料配合物が通過する間、吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドを加熱することによって実施される。
いったん未硬化の構築材料がコンピューター物体データ(例えば印刷データ)に従って受容媒体上に吐出されたら、方法は、任意選択的にかつ好ましくは203に続き、そこで硬化条件(例えば硬化エネルギー)が、例えば本明細書に記載されるような放射線源によって堆積された層に付与される。好ましくは、硬化条件は、層の堆積後及び前の層の堆積前に各個々の層に付与される。
一部の実施形態では、硬化条件の付与は、本明細書に記載されるように、ほぼ乾燥した不活性環境下で実施される。
方法は、204で終了する。
一部の実施形態では、方法は、それぞれの実施形態のいずれか及びそのいずれかの組み合わせにおいて本明細書に記載されるような例示的なシステムを使用して実施される。
造形用材料配合物は、固体自由形状製作装置の特定の容器もしくはカートリッジ、又は装置の異なる容器から堆積された造形用材料配合物の組み合わせに含まれることができる。
一部の実施形態では、少なくとも一つ、又は少なくとも二つもしくは三つ(例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも80、またはそれより多く)、又は全ての層は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように、単一の軟らかい造形用材料配合物の202におけるような液滴の吐出によって形成される。
一部の実施形態では、少なくとも一つ、又は少なくとも二つもしくは三つ(例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも80、またはそれより多く)、又は全ての層は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように、二種以上の造形用材料配合物(各々が異なる吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドからのもの)の202におけるような液滴の吐出によって形成される。
これらの実施形態は、特に所定数の材料から材料を選択し、選択された材料の希望の組み合わせ及びそれらの特性を規定する能力を与える。本実施形態によれば、層での各材料の堆積の空間位置は、異なる材料による異なる三次元空間位置の占有を実施するか、又は二種以上の異なる材料による実質的に同じ三次元位置又は隣接三次元位置の占有を実施し、層内で材料の後で堆積空間組み合わせを可能とし、それによってそれぞれの位置で複合材料を形成するために規定される。
造形用材料のいかなる後での堆積組み合わせ又は混合も考えられる。例えば、いったんある材料が吐出されると、それは、その元の特性を保持することができる。しかしながら、それが同じ又は隣接位置で吐出される別の造形用材料又は他の吐出された材料と同時に吐出されるとき、吐出された材料とは異なる特性を持つ複合材料が形成される。
実施形態の一部は、幅広い範囲の材料組み合わせの吐出、及び複数の異なる材料組み合わせからなりうる物体の製作を、物体の異なる部分において、物体のそれぞれの部分を特徴づけるために望ましい特性に従って可能にする。
これらの実施形態の一部では、二種以上の造形用材料配合物は、ボクセル方式で吐出され、前記造形用材料配合物のうちの一種のボクセルは、少なくとも一つの別の種類の造形用材料配合物のボクセルとインターレースされる。
一部の実施形態は、三次元物体の層状製作の方法を提供し、そこでは少なくとも二つもしくは三つ(例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも80)の層又は全ての層の各々に対して、二種以上の造形用材料配合物が、任意選択的にかつ好ましくはシステム10又はシステム110を使用して吐出される。各造形用材料配合物は、印刷ヘッド(例えばヘッド16)の複数のノズルからそれを噴射することによって吐出されることが好ましい。吐出は、ボクセル方式で吐出され、前記造形用材料配合物のうちの一種のボクセルは、予め決められたボクセル比に従って、少なくとも一つの別の種類の造形用材料配合物のボクセルとインターレースされる。
予め決められたボクセル比での二種の造形用材料配合物のかかる組み合わせは、デジタル材料(DM)として言及される。デジタル材料の代表例は、図5に示され、それは、ボクセル方式で層の領域の上にインターレースされる材料A及びBを示す。
一部の実施形態では、予め決められたボクセル比での二種の造形用材料配合物の吐出は、軟材料配合物及びエラストマー硬化性配合物から作られた複合構造に対して以下の実施例の部分で例示されるような希望の機械的特性を具備する材料を得ることを可能にする。
材料のいかなる予め決められた比に対しても、デジタル材料は、例えば秩序だった又は無秩序のインターレーシングによって形成されることができる。インターレーシングが半無秩序(例えば、各サブ領域が無秩序インターレーシングを含むサブ領域の繰り返しパターン)である実施形態も考えられる。
本発明の一部の実施形態では、配合物の一つによって占有されたインターレースされた場所は、層の面積の約10%~約30%又は約15%~約25%を構成する。これらの実施形態は、材料の一つが本明細書に記載されるように軟らかい造形用材料配合物であり、他の材料が本明細書に記載されるように硬化性配合物であるときに特に有用であり、その場合においてエラストマー硬化性配合物によって占有されるインターレースされた場所は、任意選択的にかつ好ましくは、層の面積の約10%~約30%又は約15%~約25%を構成する。
本発明の一部の実施形態では、配合物の一つを含むボクセル要素は、物体中に容量繊維パターンを形成する。これらの実施形態は、材料の一つが本明細書に記載されるように軟らかい造形用材料配合物であり、他の材料が本明細書に記載されるようにエラストマー硬化性配合物であるときに特に有用であり、その場合においてエラストマー硬化性配合物を含むボクセル要素は、物体中で容量繊維パターンを形成する。繊維パターンの特徴を示す繊維厚さは、限定されないが、約0.4mm~約0.6mmである。繊維パターンは、層の平面に対して垂直であることができ、又はより好ましくは、必須ではないが、層の平面に対して斜めであることができる。斜めの繊維パターンは、任意選択的にかつ好ましくは、真っすぐにする操作中に層の上でローラー(例えばローラー326又は32)によって付与される引裂力に対して略平行(例えば10°未満のずれ)である。繊維パターン方向の代表例は、平面に対して約30°~約60°、例えば約45°の角度を含むが、それらに限定されない。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、二種以上の造形用材料配合物の液滴が本明細書に記載されるような少なくとも二つ又は三つの層の各々において吐出されるとき、吐出は、芯領域と、前記芯領域を少なくとも部分的に包囲する一つ以上の外被領域とを形成するようなものである。かかる吐出は、複数の層と芯領域を構成する層状の芯(コア)と外被領域を構成する層状の鞘(シェル)とから構成される物体の製作をもたらす。
本発明の一部の実施形態では、鞘は、本明細書に記載されるようなエラストマー硬化性配合物から形成される。任意選択的にかつ好ましくは、鞘は、三次元物体の付加製造の完了後に除去されることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、二種以上の造形用材料配合物の液滴が本明細書に記載されるような少なくとも二つ又は三つの層の各々において吐出されるとき、吐出は、芯領域と、前記芯領域を少なくとも部分的に包囲する一つ以上の外被領域とを形成するようなものである。かかる吐出は、複数の層と芯領域を構成する層状の芯(コア)と外被領域を構成する層状の鞘(シェル)とから構成される物体の製作をもたらす。
これらの実施形態の一部による構造は、二種以上の硬化性材料から作られた鞘状構造である。この構造は、一般的に、芯の少なくとも一つの層が鞘の少なくとも一つの層と同じ平面で係合するように一つ以上の層状鞘によって少なくとも部分的に被覆される層状芯を含む。構造の表面に垂直方向に測定した各鞘の厚さは、一般的に少なくとも10μmである。様々な例示的な実施形態では、芯及び鞘は、それらの熱機械特性において互いに異なる。これは、異なる造形用材料配合物又は異なる造形用材料配合物の組み合わせから芯及び鞘を製作することによって容易に達成される。芯及び鞘の熱機械特性はそれぞれ、本明細書では、「芯熱機械特性」及び「鞘熱機械特性」として言及される。
本発明の一部の実施形態による構造の代表的な限定されない例は、図6A-Dに示されている。
図6Aは、構造60の透視図の概略図であり、図6Bは、図6Aの線A-Aに沿った構造60の横断面図である。提示説明の明確化のため、デカルト座標系も示される。
構造60は、Z方向に沿って積み重ねられた複数の層62を含む。構造60は、一般的にはAM技術によって、例えばシステム10又はシステム110を使用して製作され、それによって層は、連続的な方法で形成される。従って、Z方向はまた、構造の「構築方向」として本明細書において言及される。それゆえ、層62は、構築方向に対して垂直である。構造60は円柱形として示されているが、これは、必ずしもその通りである必要はない。なぜなら、本実施形態の構造はいかなる形状も持つことができるからである。
構造60の鞘及び芯はそれぞれ、64及び66で示される。示されるように、芯66の層及び鞘64の層は、同一平面である。AM技術は、鞘64及び芯66の同時製作を可能にし、それによって特定の形成された層に対して、層の内側部分は、芯の層を構成し、層の周囲又はその一部は、鞘の層を構成する。
鞘64に寄与する層の周囲区域は、本明細書では層の「外被領域」として言及される。図6A及び6Bの限定されない例では、層62の各々は、外被領域を持つ。即ち、図6A及び6B中の各層は、芯及び鞘の両方に寄与する。しかしながら、これは、必ずしもその通りである必要はない。なぜなら一部の用途に対しては、芯が一部の領域において環境にさらされていることが望ましいかもしれないからである。これらの用途では、層の少なくとも一部は、外被領域を含まない。かかる構成の代表例は、図6Cの横断面図に示され、それは、一部の層68が鞘ではなく芯に寄与し、一部の層70が芯及び鞘の両方に寄与することが示されている。一部の実施形態では、一つ以上の層は、芯熱機械特性を有する領域を含まず、鞘熱機械特性を有する領域のみを含む。これらの実施形態は、構造が一つ又はそれより多い薄い部分を持つときに特に有用であり、そこでは、構造のそれらの部分を形成する層は、芯領域が欠けていることが好ましい。一つ以上の層が鞘熱機械特性を有する領域を含まず、芯熱機械特性を有する領域のみを含む実施形態も考えられる。
鞘は、任意選択的にかつ好ましくは、Z方向に対して上及び/又は下から構造60をカバーすることもできる。これらの実施形態では、構造60の最上及び/又は最下部分にある一部の層は、芯66とは異なる材料特性を少なくとも一つ持つ。本発明の様々な例示的実施形態は、構造60の最上及び/又は最下部分は、鞘64と同じ材料特性を持つ。この実施形態の代表例は、図6Dに示される。構造60の上/下の鞘は、側部の鞘より薄くてもよい(例えば2倍薄い)。例えば上又は下の鞘が構造の上又は下の層を含み、それゆえ物体を形成する層のために要求されるのと同じ厚さを持つとき、そうなってもよい。
本発明の一部の実施形態では、芯は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたような軟らかい造形用配合物から作られ、鞘は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたようなエラストマー硬化性配合物から作られる。
本発明の一部の実施形態では、芯及び鞘の両方は、DM材料である。
本発明の一部の実施形態では、芯は、例えばそれぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたような軟らかい造形用配合物、及びそれぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたようなエラストマー硬化性配合物から作られたDM材料を含み、鞘は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたようなエラストマー硬化性配合物から作られる。
「軟らかい材料配合物」又は「エラストマー硬化性配合物」が記載されるときはいつでも、それを含む配合物系が考えられる。
芯及び鞘の両方が同じ造形用材料配合物から構成されたDMから作られるとき、芯中の造形用材料のいずれかの相対表面密度は、鞘又は外被領域中のその材料の相対表面密度とは異なる。しかしながら、一部の実施形態では、芯は、DMから形成され、鞘は、単一種類の造形用材料配合物から形成されるか、またはその逆もある。
本発明の様々な例示的実施形態では、X-Y平面(構築方向Zに対して垂直)で測定される鞘の厚さは、構築方向を横切ると不均一である。換言すれば、構造の異なる層は、異なる幅の外被領域を持つことができる。例えば、X-Y平面に対して平行な方向に沿った鞘の厚さは、その方向に沿ったそれぞれの層の直径の百分率として計算されることができ、従って層のサイズに厚さを依存させる。本発明の様々な例示的実施形態では、鞘の厚さは、鞘の外表面に正接でありかつ構築方向に垂直である方向を横切ると不均一である。構造の層に関して、これらの実施形態は、それぞれの層の周囲に沿って不均一である幅を持つ外被領域に相当する。
本発明の一部の実施形態では、構造の鞘、又はその一部は、単独で外被領域とそれ以外のものを含む「鞘付き(鞘状)」構造である。特にこれらの実施形態では、構造は、少なくとも一つの中間外被領域によって少なくとも部分的に包囲された内部芯を含み、中間外被は、外側の外被領域によって包囲される。構築方向に垂直に測定すると、中間外被領域の厚さは、任意選択的にかつ好ましくは最も外側の外被領域の厚さより大きい(例えば10倍以上大きい)。これらの実施形態では、中間外被領域は、構造の鞘として役立ち、それゆえ上でさらに詳述したように鞘の特性を持つ。最も外側の外被鞘はまた、荷重下で破壊から中間外被を保護するために役立ちうる。
本実施形態の構造は、述べたように、例えば上記のシステム10又は100を使用して、層状の方法で形成されることができる。本発明の様々な例示的実施形態では、コンピューター実施法は、構造の特定の要素への鞘の動的な適応を自動的に実施する。方法は、任意選択的にかつ好ましくは、ユーザー入力を使用して構造の各領域のために鞘を計算し、外表面のボクセルをそれぞれの造形用材料又は造形用材料の組み合わせに割り当てることができる。コンピューター実施法は、データ処理装置(例えばデータ処理装置154又は24)によって固体自由形状製作装置を制御する制御ユニット(例えば制御ユニット152又は20、図1A及び1B参照)によって実施されることができる。
本発明の一部の実施形態では、構造の最上及び/又は最下部分でも鞘を形成するように一つ以上の追加の鞘層が吐出される。これらの層は、芯領域を欠いていることが好ましい。なぜならそれらは、上から又は下から芯を取り出すために役立つからである。上から芯を取り出すことが望ましいとき、追加の鞘層が全ての他の層の上に吐出され、下から芯を取り出すことが望ましいとき、追加の層が作業面(例えばトレイ360又は12、図1A及び1B参照)の上に吐出され、一方全ての他の層がその後吐出される。
外被領域のいずれも任意選択的に少なくとも10μmの幅を有する。好ましくは、全ての外被領域は、少なくとも10μmの幅を有する。芯及び外被領域のいずれか、及び任意選択的に最上及び/又は最下の追加層は、本明細書に記載されるような造形用材料配合物又は造形用材料配合物の組み合わせ(例えばデジタル材料)を使用して製作されることができる。
本発明の一部の実施形態では、鞘は、他の領域の機械的特性に影響せずに選択された領域面積にのみ機械的特性を変化するように構造の異なる領域において選択的に製作される。
本発明の実施形態のいずれかの一部では、いったん層が本明細書に記載されるように吐出されると、本明細書に記載されるような硬化エネルギーへの露出が実施される。一部の実施形態では、硬化性材料は、UV硬化性材料であり、硬化エネルギーは、放射線源がUV放射線を放出するようなものである。
一部の実施形態では、構築材料が支持体材料配合物も含む場合、方法は、支持体材料配合物を除去することが行なわれる。これは、当業者によって認識されているように、機械的及び/又は化学的手段によって実施されることができる。
図18Aは、上の操作201を実施するために本発明の一部の実施形態に従って使用されることができる例示的な方法のフローチャート図である。方法は、システム10又はシステム110で使用するためにコンピューター物体データを得るために特に有用である。他に規定されない限り、以下に記載される操作は、多くの実施の組み合わせ又は順序で同時に又は連続して実施されることができることが理解されるべきである。特に、フローチャート図の順序は、限定として考えられるべきではない。例えば、特定の順序でフローチャート図に又は以下の記載に現われる二つ以上の操作は、異なる順序で(例えば逆の順序で)又は実質的に同時に実施されることができる。さらに、以下に記載される複数の操作は、任意であり、実施されなくてもよい。
方法は、700で始まり、任意選択的にかつ好ましくは701に続き、そこでDigital Imaging and Communications in Medicineのために好適なフォーマットのデータ(以下、DICOMデータ)が受けとられる。
DICOMデータは、MRIシステム、CT撮影システム、ヘリカルCTシステム、陽電子放出断層撮影(PET)システム、2D又は3D透視撮影システム、2D,3D又は4D超音波撮影システム、内視鏡システム、ベッドサイドモニターシステム、X線システム、及びCT,MR,PET、超音波又は他の撮影技術のハイブリッド撮像システムを含む限定されない取得コンソールから受けとることができる。DICOMデータは、好ましくは一つ以上の身体の組織及び/又は器官要素を含む一つ以上の身体構造を記載する一つ以上のデジタル画像データを含む。本発明の一部の実施形態では、DICOMデータは、好ましくは一つ以上の軟組織、又は軟組織を含む器官もしくは系を記載する一つ以上のデジタル画像データを含み、本発明の一部の実施形態では、DICOMデータは、好ましくは一つ以上の身体器官及び/又は軟組織以外の組織要素を含む一つ以上の身体構造を記載する一つ以上のデジタル画像データを含み、本発明の一部の実施形態では、DICOMデータは、好ましくは、一つ以上の身体軟組織を記載する一つ以上のデジタル画像データ、及び一つ以上の身体の器官及び/又は軟組織以外の組織要素を含む一つ以上の身体構造を記載する一つ以上のデジタル画像データを含む。
方法は、任意選択的にかつ好ましくは702に続き、そこでDICOMデータがコンピューター物体データに変換される。例えばコンピュータ物体データは、標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴン・ファイル・フォーマット(PLY)、またはコンピュータ支援設計(CAD)に適したいずれかの他のフォーマットを含め、それらに限らず、任意の公知のフォーマットにすることができる。DICOMデータからコンピューター物体データへの変換は、任意選択的にかつ好ましくはしきい値化、領域形成法、ダイナミック領域形成法などからなる群から選択される一つ以上の区分法を含む。
しきい値化法は、規定されたしきい値に等しい又はそれより大きい値を有する画像ピクセルを選択するために異なる組織の濃度の差を利用する。例えば、しきい値化法の規定されたしきい値は、硬い組織に関する画像ピクセルがしきい値化法をパスし、他の画像ピクセル関連がフィルターされるように選択されることができる。しきい値化法は、異なる組織タイプに対して別個のデータセットを得るように、異なるしきい値を使用して各回に複数回適用されることができる。
領域形成法は、一般的に同じ濃度範囲を有する領域を分離するためにしきい値化後に適用される。領域形成法は、初期シード点の隣接ピクセルを検査することができ、隣接ピクセルが領域に属するかどうかを決定する。この方法は、任意選択的にかつ好ましくは、画像をセグメント化するために反復して実施される。例えば、シード点は、異なる組織タイプに従って選択されることができ、領域形成セグメント化技術は、これらの組織タイプの一つに属するような画像ピクセルを分離するために反復して実施されることができる。ダイナミック領域形成法では、画像パラメーターの領域は、シード点に加えて選択される。これらのパラメーターは、シード点と同じ画像ピクセルを認識することを可能にするように選択される。
一般的に、しかし必須ではなく、初期背景セグメント化法は、関心のある組織タイプのいずれにも属さないDICOMデータ要素から除去するために適用される。続くセグメント化法は、異なるセグメント化技術を使用することによって対象の解剖学的構造の一つ以上のより洗練された領域のより洗練されたセグメント化のために適用されることができる。
セグメント化後、DICOMデータからコンピューター物体データへの変換はまた、DICOMデータ内のアーチファクトを補償するためにスムージング、ラッピング及び/又はホールフィリングを含むことができる。フォーマット変換法は、そのとき上述のフォーマットのいずれかにおいてコンピューター物体データを与えるようにセグメント化DICOMデータに適用されることができる。
本発明の一部の実施形態では、入力データは、コンピューター物体データとしてコンピューター可読媒体から受けとられ、その場合においては、DICOMデータを得て変換する必要はない。これらの実施形態では、操作701及び702を実施することは必要でない。
いずれにしても、コンピューター物体データは、上でさらに詳述されるように一つ以上の身体組織要素を含む一つ以上の身体構造の形状に関するデータを含むことが好ましい。DICOMデータの変換によって得られるか又はそのように直接受けとられるかにかかわらず、コンピューター物体データは、任意選択的にかつ好ましくは、各々が異なる身体構造に関する多数のファイルに配置される。
703において、付加製造される物体によって模倣される身体構造のタイプ(例えば、軟組織、筋組織、平滑組織、骨腫瘍、軟骨、椎間板、神経/脊髄、体液管)は、各データファイルのために決定される。決定は、それぞれのコンピューター物体データファイルに存在する情報、又はそれぞれのDICOMデータファイル、又はそれぞれのデータファイルと関連した情報を抽出することによってなされることができる。
704において、それぞれの身体構造と関連した一組の規則が選択される。このAM規則の組は、任意選択的にかつ好ましくは、吐出される構築材料配合物、並びに吐出パラメーター及び条件(例えば温度、インターレーシング比率、インターレーシングテキスチャー)を含む。このAM規則の組は、身体構造の各タイプに対する入力、及びかかる入力の各々と関連した一組のパラメーターを有するルックアップテーブルから得られることができる。本発明の一部の実施形態では、対象プロファイルが受けとられる。対象プロファイルは、一般的に、重量、性別、年齢、民族性、家系、病歴などを含む。本発明の一部の実施形態では、対象プロファイルはまた、遺伝子プロファイルを含み、それは、対象のゲノム全体中の遺伝子を含むことができ、又はそれは、遺伝子の特定のサブセットを含むことができる。遺伝子プロファイルは、ゲノムプロファイル、プロテオームプロファイル、エピゲノムプロファイル、及び/又はトランスクリプトームプロファイルを含むことができる。対象プロファイルが受けとられる実施形態では、ルックアップテーブルはまた、異なるプロファイルパラメーターに対する入力を含む。特に、ルックアップテーブルは、各プロファイルパラメーターに対して一つの入力で身体構造の各タイプに対して複数の入力を含むことができる。限定されない代表例として、ルックアップテーブルは、軟組織構造に対して複数の入力を含むことができ、そこでは各年齢グループに対して一つの入力である。
本発明の一部の実施形態では、AM規則の組は、オペレーターによって、例えばユーザーインターフェース(例えばユーザーインターフェース116)を介して選択される。ルックアップテーブルとユーザーインターフェースの両方が使用される実施形態もまた、考えられる。例えば、ルックアップテーブルは、オペレーターに与えられる選択肢の数を少なくするために使用されることができ、ユーザーインターフェースは、AM規則の最終組を選択するために使用されることができる。
さらに、規則の組がコンピューター物体データとともに受けとられる実施形態が考えられる。例えば、各コンピューター物体データファイルは、一つ以上のAM規則を含むことができ、又は一つ以上のAM規則を含むAM規則ファイルと関連付けられることができ、AM規則は、それぞれのコンピューター物体データに対応する。
705において、スライス化操作が、任意選択的にかつ好ましくは各コンピューター物体データファイルに対して別々に、適用される。スライス化は、一般的に、異なる鉛直座標(例えば上述のz座標)によって特徴づけられる平面(その平面は、身体構造を模倣する各物体の層に対応する)の2Dボクセルマップを各々記載する一組の画像ファイルをコンピューター物体データファイルに対して発生することによって実施される。画像ファイルは、ビットマップファイル(BMP)、ポータブルネットワークグラフィックス(PNG)などの限定されない従来公知のいずれかの2Dフォーマットであることができる。好ましいスライス化技術は、図18Bを参照して以下に与えられる。
706において、画像ファイルの二つ以上の組が組み合わされて単一の画像ファイルにされる。例えば、同じ鉛直座標に対応するが異なる身体構造を模倣する物体に対応する画像ファイルを組み合わせて、いったん印刷されると、それぞれ二つ以上の身体構造を模倣する二つ以上の物体のスライス化された区域を含む層を記載する画像ファイルを与えることができる。707において、画像ファイルは、身体構造に似た非生物物体を製作するために、システム10又はシステム110のような限定されないAMシステムにアップロードされる。
この方法は、708で終了する。
図18は、本発明の一部の実施形態による例示的なスライス化法のフローチャート図である。この方法は、図18Aのスライス化操作705を実施するために特に有用である。この方法は、720で開始し、任意選択的にかつ好ましくはコンピューター物体データにおける各ボクセルに対して適用される。
決定721において、3D物体に対する距離フィールド値が、それぞれのボクセルに対して決定される。距離フィールド値は、ボクセルが印刷される身体構造を模倣する物体の内側又は外側であるかどうかを示す。例えば、負の距離フィールド値は、身体構造を模倣する物体の外側のボクセルに割り当てられ、正の距離フィールド値は、身体構造を模倣する物体の内側のボクセルに割り当てられ、ゼロ距離フィールド値は、身体構造を模倣する物体の最も外側の表面上のボクセルに割り当てられることができる。距離フィールド値を決定するために好適な技術の代表例は、以下の実施例5に与えられる。
ボクセルが身体構造を模倣する物体の最も外側の表面の内側又はその表面上であるとき(例えば、距離フィールド値が正であるとき)、この方法は、722に続き、そこで構築材料配合物は、それぞれのボクセルに対して割り当てられる。構築材料配合物は、造形用材料配合物(例えば軟らかい造形用材料配合物又はそれを含む配合物系、エラストマー硬化性配合物又はそれを含む配合物系、又はこれらの配合物もしくは配合物系のいずれかの組み合わせ)、支持体材料配合物、又は液体材料配合物であることができ、任意選択的にかつ好ましくは3D物体におけるボクセルの位置、及び上の704で得られたAM規則に基づいて決定される。722から、この方法は、724に続き、そこで方法は、割り当てられた構築材料配合物に対応するピクセル値を選択する。ピクセル値は、割り当てられた構築材料配合物を独自に表わすいずれの値であってもよい。例えば、ピクセル値は、グレースケールレベル又は色値(例えばRGB値)であることができる。
ボクセルが身体構造を模倣する物体の外側であるとき(例えば、距離フィールド値が負であるとき)、この方法は、決定723に続き、そこで方法は、ボクセルが占有されるべきか又は空白のままであるべきかを決定する。もしボクセルが空白のままであるべきなら、この方法は、726に続き、方法は、空白ピクセルを独自に表わすピクセル値を選択する。例えば、この方法は、空白ピクセルを表わすためにヌル値を選択することができる。あるいは、ボクセルが身体構造を模倣する物体の外側であるとき、この方法は、723から728に続き、そこでそれは終了する。その場合においていずれの値も割り当てられなかったピクセルは、ボクセルを空白にする命令として考えられるべきである。
もしボクセルが占有されるなら、方法は、725に続き、そこで構築材料は、ボクセルに割り当てられ、次いで724に続き、そこで方法は、上でさらに詳述したように割り当てられた構築材料配合物に対応するピクセル値を選択する。
場合によって、724,725又は726から、方法は、727に続き、そこで選択されたピクセル値が2D画像においてピクセルに割り当てられ、そこでは2D画像におけるピクセルの位置は、2D画像によって表わされる層内のボクセルの位置に対応する。
この方法は、728で終了する。
本明細書を通じて、例えば構造、器官、組織又は材料の文脈で使用される用語「身体(bodily)」は、対象、好ましくは生きている対象の身体の部分であるとして、示された構造、器官、組織又は材料を記載する。この用語は、生物学的システム、器官、組織、細胞及び材料を包含する。
本明細書を通じて、用語「対象(subject)」は、あらゆる年齢の動物、好ましくは哺乳類、より好ましくは人間を包含する。この用語は、病気を進行するリスクがあるか又は病気を患っている個体を包含する。
用語「身体構造」は、本明細書に記載されているように、系、器官、組織、細胞、及びそれらのいずれかの周囲環境を含む、対象の身体の一部を示す。身体の構造は、例えば生体中に一緒に活動する複数の器官、例えば胃腸管、心臓血管系、呼吸器管などを含むことができる。構造は、これらの系の一部を形成する器官及び組織に加えて、病態に関する構造、例えば腫瘍細胞又は組織も含むことができる。身体構造は、代替的に、例えば心臓及びそれと関連する血管を含むことができる。身体構造は、代替的に、例えば腕又は前腕、又は脚のような器官を含むことができ、関連する骨系及び筋肉組織、血管系、腫瘍組織(もし存在するなら)及び/又はその周囲の皮膚組織を包含することができる。
用語「組織」は、機能(単数又は複数)を実施するように設計された細胞からなる有機体の一部を記載する。例としては、脳組織、網膜、皮膚組織、肝臓組織、膵臓組織、骨、軟骨、結合組織、血管組織、筋肉組織、心臓組織、脈管組織、腎臓組織、肺組織、生殖腺組織、造血組織を含むが、これらに限定されない。
物体:
本発明の実施形態は、本明細書に記載されるような軟らかい材料をその少なくとも一部に含む三次元物体を提供する。
物体が、本明細書に記載されるように、単一の軟らかい造形用材料配合物から作られるとき、それは、硬化(固化)されたとき、軟らかい造形用材料配合物のために本明細書に記載されるような機械特性を具備する。
一部の実施形態では、物体は、二種以上の造形用材料配合物から作られ、これらの実施形態の一部では、物体の少なくとも一部は、本明細書に記載されるように、デジタル材料から作られる。一部の実施形態では、物体は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように芯鞘構造を含み、選択された材料及び構造に従った特性を具備する。
本実施形態による物体は、その少なくとも一部又は部分が軟らかい材料から作られるようなものである。物体は、複数の部分又はその一部が軟らかい材料から作られるか、又は全体が軟らかい材料から作られるようなものであることができる。軟らかい材料は、異なる部分又は部において同じであるか又は異なることができ、軟らかい材料から作られた物体の各部分、部又は全部について、軟らかい材料は、部分、部又は物体内で同じであるか又は異なることができる。異なる軟らかい材料が使用されるとき、それらは、以下にさらに説明されるように、それらの化学組成及び/又は機械特性において異なることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、物体は、生きている身体構造(例えば本明細書に規定されるような身体系、組織及び/又は器官)の視覚特性(例えば形状、感覚、外観)及び機械特性(例えばショア硬度)の少なくとも一方を具備する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、物体は、身体構造(例えば本明細書に規定されるような身体系、組織及び/又は器官)の視覚特性(例えば形状、感覚、色、外観)及び機械特性(例えばショア硬度)の少なくとも一方を具備する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、物体は、本明細書に記載されるような身体軟組織を含む身体構造の少なくとも形状及び硬度を具備する。
これらの実施形態の一部では、身体構造(例えば身体組織又は器官又は系)は、例えば本明細書に記載されるような筋組織、肉、皮膚組織、脂肪組織、脳組織、骨髄組織、肝臓組織、軟骨組織、腫瘍組織、平滑組織、及びいずれかの他の軟組織のような軟らかい身体組織を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本明細書に記載されるような物体は、医療装置、例えばトレーニング又は教育目的のために使用される医療装置の一部であるか、又はそれを形成する。例示的なかかる装置は、図10,11A及び11Bに与えられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、物体は、好ましくは軟らかい身体組織を含むような身体器官、構造又は系のそれぞれの特性に似た視覚特性(例えば形状及び任意選択的に色)及び機械特性(例えば硬度)を有する。かかる物体は、例えば心臓、骨、脳、血管、筋肉、皮膚又は肉、及びそれらのいずれかの組み合わせに似る。
例示的なかかる物体は、例えば図9D及び17に与えられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、物体は、本明細書に記載されるように、生物材料を欠いている。
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連するエラストマー硬化性材料、他の硬化性材料、及びシリカ粒子が開発されることが予想され、「エラストマー硬化性材料」、「硬化性材料」、及び「シリカ粒子」の用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%又は±5%を示す。
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
本出願の全体を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
本明細書中全体を通して、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリル化合物を包含する。
本明細書中全体を通して、表現「連結部分」又は「連結基」は、化合物中の二つ以上の部分又は基を接続する基を記載する。連結部分は、一般的に二又は三官能化合物から誘導され、二つ又は三つのラジカル部分として見なされることができ、二つ又は三つのラジカルは、それぞれ、その二つ又は三つの原子を介して二つ又は三つの他の部分に接続される。
例示的な連結部分は、本明細書に規定されるように、一つ以上のヘテロ原子によって任意選択的に中断される、炭化水素部分又は鎖、及び/又は連結基として規定されるとき、以下に挙げられる化学基のいずれかを含む。
化学基が本明細書において「末端基」として言及されるとき、それは、置換基として中断され、置換基は、その一つの原子によって別の基に接続される。
本明細書中全体を通して、用語「炭化水素」は、主として炭素及び水素原子から構成される化学基を集合的に記載する。炭化水素は、アルキル、アルケン、アルキン、アリール、及び/又はシクロアルキルからなることができ、各々は、置換されても置換されなくてもよく、一つ以上のヘテロ原子によって中断されてもよい。炭素原子の数は、2~20の範囲であり、好ましくはそれより低く、例えば1~10、又は1~6、又は1~4の範囲であることができる。炭化水素は、連結基又は末端基であることができる。
ビスフェノールAは、2つのアリール基及び1つのアルキル基から構成される炭化水素の一例である。
本明細書で使用される用語「アミン」は、-NR’R”基および-NR’-基の両方を記載し、ここでR’およびR”はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、これらの用語は本明細書中下記で定義される。
従って、アミン基は、第一級アミン(ここでR’およびR”の両方は水素である)、第二級アミン(ここでR’は水素でありかつR”はアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールである)、または第三級アミン(ここでR’およびR”はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキルもしくはアリールである)であることができる。
代替的に、R’およびR”は、それぞれ独立してヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボニル、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。
用語「アミン」は、アミンが末端基である場合には、本明細書中下記で定義されるように、-NR’R”基を表すために本明細書中では使用され、また、アミンが連結基または連結部分の一部である場合には-NR’-基を表すために本明細書中では使用される。
用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を記載する。好ましくは、アルキル基は1個~3個又は1個~20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個~20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されたアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。
アルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の部分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。アルキルが連結基であるとき、それはまた、「アルキレン」または「アルキレン鎖」として本明細書中に言及される。
本明細書において、本明細書に規定されるように、親水性基によって置換されるC(1-4)アルキルは、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
本明細書中で使用されるアルケンおよびアルキンは、一つ以上の二重結合または三重結合をそれぞれ含む、本明細書中で定義されるアルキルである。
用語「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。例示は、限定されないが、シクロヘキサン、アダマチン、ノルボルニル、イソボルニル、及びその類似物を含む。シクロアルキル基は、置換または非置換であることができる。置換されたシクロアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。シクロアルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
本明細書に規定されるように、二つ以上の親水性基によって置換される、1~6個の炭素原子のシクロアルキルは、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
用語「複素脂環」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を記載する。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は、完全共役のπ電子系を有しない。代表的な例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノおよびその類似物である。
複素脂環は、置換または非置換であることができる。置換された複素脂環は、一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。複素脂環基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
窒素又は酸素のような一つ以上の電子供与原子を含み、かつ炭素原子対複素原子の数値比が5:1又はそれより低い複素脂環基は、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
用語「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。アリール基は、置換または非置換であることができる。置換されたアリールは、一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。アリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
用語「ヘテロアリール」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であることができる。置換されたヘテロアリールは、一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。ヘテロアリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。代表的な例はピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンおよびその類似物である。
用語「ハリド(ハライド)」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、または沃素を記載する。
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハリドによってさらに置換された、上記で定義されるアルキル基を記載する。
用語「スルファート」は、-O-S(=O)2-OR’末端基または-O-S(=O)2-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「チオスルファート」は、-O-S(=S)(=O)-OR’末端基または-O-S(=S)(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルファイト」は、-O-S(=O)-O-R’末端基または-O-S(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「チオスルファイト」は、-O-S(=S)-O-R’末端基または-O-S(=S)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルフィナート」は、-S(=O)-OR’末端基または-S(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルホキシド」または「スルフィニル」は、-S(=O)R’末端基または-S(=O)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルホネート」は、-S(=O)2-R’末端基または-S(=O)2-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「S-スルホンアミド」は、-S(=O)2-NR’R”末端基または-S(=O)2-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-スルホンアミド」は、R’S(=O)2-NR”末端基または-S(=O)2-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ジスルフィド」は、-S-SR’末端基またはS-S-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=O)(OR’)(OR”)末端基または-P(=O)(OR’)(O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「チオホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=S)(OR’)(OR”)末端基または-P(=S)(OR’)(O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィニル」は、本明細書中上記で定義されるようなR’およびR”を有する-PR’R”末端基または-PR’-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィンオキシド」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=O)(R’)(R”)末端基または-P(=O)(R’)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィンスルフィド」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=S)(R’)(R”)末端基または-P(=S)(R’)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスファイト」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-O-PR’(=O)(OR”)末端基または-O-PH(=O)(O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「カルボニル」または用語「カルボネート」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなR’を有する-C(=O)-R’末端基または-C(=O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「チオカルボニル」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなR’を有する-C(=S)-R’末端基または-C(=S)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「オキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=O)基を表し、この場合、酸素原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
用語「チオオキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=S)基を表し、この場合、イオウ原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
用語「オキシム」は、=N-OH末端基または=N-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ヒドロキシル」は、-OH基を記載する。
用語「アルコキシ」は、本明細書中で定義される通り-O-アルキル基および-O-シクロアルキル基の両方を記載する。
用語「アリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り-O-アリール基および-O-ヘテロアリール基の両方を記載する。
用語「チオヒドロキシ」は、-SH基を記載する。
用語「チオアルコキシ」は、本明細書中で定義される通り-S-アルキル基および-S-シクロアルキル基の両方を記載する。
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り-S-アリール基および-S-ヘテロアリール基の両方を記載する。
「ヒドロキシアルキル」は、本明細書中で「アルコール」としても言及され、ヒドロキシ基によって置換される、本明細書中で定義されるアルキルを記載する。
用語「シアノ」は、-C≡N基を記載する。
用語「イソシアネート」は、-N=C=O基を記載する。
用語「イソチオシアネート」は、-N=C=S基を記載する。
用語「ニトロ」は、-NO2基を記載する。
用語「アシルハリド」は、-(C=O)R””基(式中、R””は本明細書中上記で定義される通りハリドである)を記載する。
用語「アゾ」または「ジアゾ」は、-N=NR’末端基または-N=N-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「パーオキソ」は、-O-OR’末端基または-O-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「カルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C-カルボキシレートおよびO-カルボキシレートを包含する。
用語「C-カルボキシレート」は、-C(=O)-OR’末端基または-C(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O-カルボキシレート」は、-OC(=O)R’末端基または-OC(=O)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
カルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C-カルボキシレートで環を形成し、この基はまた、ラクトンとして示される。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、O-カルボキシレートで環を形成する。環状カルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「チオカルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C-チオカルボキシレートおよびO-チオカルボキシレートを包含する。
用語「C-チオカルボキシレート」は、-C(=S)OR’末端基または-C(=S)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O-チオカルボキシレート」は、-OC(=S)R’末端基または-OC(=S)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
チオカルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C-チオカルボキシレートで環を形成し、この基はまた、チオラクトンとして示される。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、O-チオカルボキシレートで環を形成する。環状チオカルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「カーバメート(カルバメート)」は、本明細書中で使用される場合、N-カーバメートおよびO-カーバメートを包含する。
用語「N-カーバメート」は、R”OC(=O)-NR’-末端基または-OC(=O)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O-カーバメート」は、-OC(=O)-NR’R”末端基または-OC(=O)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
カーバメートは、直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、O-カーバメートで環を形成する。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、N-カーバメートで環を形成する。環状カーバメートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「カーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N-カーバメートおよびO-カーバメートを包含する。
用語「チオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N-チオカーバメートおよびO-チオカーバメートを包含する。
用語「O-チオカーバメート」は、-OC(=S)-NR’R”末端基または-OC(=S)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-チオカーバメート」は、R”OC(=S)NR’-末端基または-OC(=S)NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
チオカーバメートは、カーバメートについて本明細書中に記載したように、直鎖または環状であることが可能である。
用語「ジチオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、S-ジチオカーバメートおよびO-チオジチオカーバメートを包含する。
用語「S-ジチオカーバメート」は、-SC(=S)-NR’R”末端基または-SC(=S)NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-ジチオカーバメート」は、R”SC(=S)NR’-末端基または-SC(=S)NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「尿素(ウレア)」(「ウレイド」とも称される)は、-NR’C(=O)-NR”R”’末端基または-NR’C(=O)-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りであり、R”’はR’およびR”について本明細書中で定義される通りである)を記載する。
用語「チオ尿素(チオウレア)」(「チオウレイド」とも称される)は、-NR’C(=S)-NR”R”’末端基または-NR’-C(=S)-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「アミド」は、本明細書中で使用される場合、C-アミドおよびN-アミドを包含する。
用語「C-アミド」は、-C(=O)-NR’R”末端基または-C(=O)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-アミド」は、R’C(=O)-NR”-末端基またはR’C(=O)-N-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
アミドは、直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C-アミドで環を形成し、この基はまた、ラクタムとして示される。環状アミドは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「グアニル」は、R’R”NC(=N)-末端基または-R’NC(=N)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「グアニジン」は、-R’NC(=N)-NR”R”’末端基または-R’NC(=N)-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ヒドラジン」は、-NR’-NR”R”’末端基または-NR’-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
本明細書中で使用される場合、用語「ヒドラジド」は、R’、R”およびR”’が本明細書中で定義される通りである-C(=O)-NR’-NR”R”’末端基または-C(=O)-NR’-NR”-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
本明細書中で使用される場合、用語「チオヒドラジド」は、R’、R”およびR”’が本明細書中で定義される通りである-C(=S)-NR’-NR”R”’末端基または-C(=S)-NR’-NR”-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレングリコール」は-O-[(CR’R”)z-O]y-R”’末端基または-O-[(CR’R”)z-O]y-連結基を表し、ただし、式中、R’、R”およびR”’は本明細書中で定義される通りであり、zは1~10の整数であり、好ましくは2~6の整数であり、より好ましくは2または3の整数であり、yは1またはそれ以上の整数である。好ましくは、R’およびR”はともに水素である。zが2であり、かつ、yが1であるとき、この基はエチレングリコールである。zが3であり、かつ、yが1であるとき、この基はプロピレングリコールである。yが2~4であるとき、アルキレングリコールは、本明細書ではオリゴ(アルキレングリコール)として言及される。
yが4よりも大きいとき、このアルキレングリコールは本明細書中ではポリ(アルキレングリコール)として示される。本発明の一部の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)基またはポリ(アルキレングリコール)部分は、zが1~200であるように、好ましくは1~100であるように、より好ましくは10~50であるように、1個~20個の繰り返しアルキレングリコールユニットを有することができる。
用語「シラノール」は、-Si(OH)R’R”基又は-Si(OH)2R’基又は-Si(OH)3基を記載し、R’及びR”は本明細書中で定義される通りである。
用語「シリル」は、-SiR’R”R”’基を記載し、R’,R”及びR”’は本明細書中で定義される通りである。
本明細書で使用される場合、用語「ウレタン」又は「ウレタン部分」又は「ウレタン基」は、RX-O-C(=O)-NR’R”末端基又は-RX-O-C(=O)NR’連結基を記載し、R’及びR”は本明細書中で定義される通りであり、RXはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキレングリコール又はそれらのいずれかの組み合わせである。好ましくは、R’及びR”は両方とも水素である。
用語「ポリウレタン」又は「オリゴウレタン」は、繰り返し骨格ユニット中に本明細書に記載されるようなウレタン基を少なくとも一つ含むか、又は繰り返し骨格ユニット中にウレタン結合-O-C(=O)NR’-を少なくとも一つ含む部分を記載する。
本明細書中において全体を通して、表現「重量%」又は「重量パーセント」又は「%wt.」が配合物(例えば造形用配合物)の実施形態との関連で示されるときは常に、この用語により、それぞれの未硬化の配合物の全重量の重量パーセントが意味される。
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。
種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の部分において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
実施例1
配合物設計
本発明者は、ショアAスケールで10未満、好ましくは1未満、もしくは0のショア硬度値、及び/又はショアOOスケールで50未満、好ましくは40未満、もしくは30未満のショア硬度値の範囲を具備し(図7参照)、それによって得られる硬化材料の粘度、機械特性及び/又は外観特性の範囲と組み合わせた硬化材料を、3Dインクジェット印刷のような付加製造方法に使用されるときに与えることができる造形用材料配合物を探索した。
上で記載したように、かかる軟らかい造形用材料は、特に軟らかい身体組織を模倣する特性をその少なくとも一部に具備する3D物体を与えるために好適である。
上でさらに記載したように、今日まで、3Dインクジェット印刷された硬化材料のために得られる最も低いショア硬度値は、ショア硬度Aスケールで約27である。
現在実施されている3Dインクジェット印刷された硬化造形用材料のショア硬度は、主にそれを与える造形用配合物に硬化性材料を独占的に含むことに帰因する。
上で示したような低い硬度を示す材料は、一般的にゲル状材料(例えばゲルの機械特性を具備する材料)であり、それは、硬化性材料に加えて、非硬化性材料も含む配合物から得られる。かかるゲル状材料は、支持体材料として付加製造に現在最も多く使用されており、それは、工程の終わりに除去され、最終的な物体の一部を形成しないことを目的とする。
本明細書及び業界において、用語「ゲル」は、半固体材料としてしばしば言及される材料を記載し、それは、一般的に化学的に又は物理的に連結された繊維構造から作られた三次元固体ネットワーク、及びこのネットワーク内で係合される液相を含む。ゲルは、一般的に固体の稠度(例えば非流体)によって特徴づけられ、相対的に低い引張強度、相対的に低い剪断弾性率、例えば100kPa未満、及び1より低い貯蔵剪断弾性率に対する損失剪断弾性率(tanδ G′′/G′)を具備する。
本実施形態によるゲル状材料は、一般に軟らかい材料であり、それは、ゲル又は固体であることができ、それは、ゲルの機械特性及び流動特性を具備する。
しかしながら、かかるゲル状材料は、低い引張強度及び低い引張抵抗を示し、従って応力下で容易に破壊し、その特性は、一般に付加製造、特に3Dインクジェット印刷にあまり望ましくなく、さらに水にさらされたり、使用しているときに損傷を受けやすい。さらに、ゲル状材料は、一般的に不鮮明及び粘着のような印刷信頼性の問題を課し、さらに漏れ、発汗又は乾燥のために低い寸法安定性を特徴とする。ゲル状材料はさらに、それらの他の成分を膨潤したり、又は一部の環境条件において乾燥してそれらの形態及び寸法を変化する能力によって制限され、従って複数材料(例えばデジタル材料)技術に使用されるとき、不適合であるか、又は少なくとも不安定な物体を形成しうる。
硬化されたとき、ゲル状材料を与える配合物を利用することと関連した制限に対する解決策が、改良された強度を与える補強材料の使用であり、かつ/又は希望の剛性及び/又は耐久性を示す材料中にゲル状材料を封入することであり、かかる解決策が、硬化された材料に目標特性を越える全体の特性、特に硬度を与えることができる。
液体材料はまた、全体の特性をバランスさせるために配合物に加えられることができるが、かかる材料は、得られた物体の性能に悪影響を及ぼし、例えば「ブリーディング」効果を起こしたり、及び/又は物体の機械特性に悪影響を及ぼす(一般的に架橋密度を低下する)。それゆえ、液体材料の量は、最小の悪影響で希望の効果を与えるように選択されるべきである。
それゆえ、本発明者は、希望の硬度値、好ましくは物体の効率的な付加製造のための他の特性(例えば引張強度、引張抵抗、安定性(長期の保存寿命)、寸法安定性、複数の材料による付加製造法で使用したとき(例えば3Dインクジェット印刷におけるデジタル材料の形成に使用したとき)の他の硬化性材料との適合性)と組み合わせて与える、造形用材料配合物又は配合物系に含められる硬化性材料と非硬化性材料の十分な組み合わせを検討した。
試験された配合物、及びそれから作られた硬化材料又は物体は、複数材料(デジタル材料(DM))アプローチで配合物系として、それ自体が使用されるとき、及び他の硬化性配合物と組み合わされて使用されるときに特徴づけられた。試験された配合物はさらに、本明細書に記載されたように、身体の軟組織を模倣する(機械特性及び外観特性を具備する)材料を少なくとも一部に含む物体を印刷するのに使用するために好適である硬化材料を与える好適性について特徴づけられた。
実施例2
配合物
以下の表1は、本実施形態による例示的配合物を与え、それは、ショアスケールA硬度0(ASTM D2240に従ってショアAデュロメーターを使用して測定されるときに読めないことによって決定される)を示す。
表1に使用された表現「単官能アクリレートタイプI」は、単官能親水性又は親水性両親媒性アクリレート、特に重合可能な基としてアクリレート基及び一つ以上のヘテロ原子(例えばO,N又は両方)又はヘテロ原子含有基(例えばカルボキシレート、アミド、アルキレングリコール、及びそれらの組み合わせ)(それは、親水性又は両親媒性を付与する)を具備する一つ以上のモノマー、オリゴマー、又はポリマー硬化性材料を包含する。式A1も参照されたい。式中、R1は、C(=O)-O-Raであり、Raは、本明細書に記載されるような疎水性基又は部分を含まない親水性又は両親媒性部分である。例示的な材料は、アルコキシ末端ポリ(エチレングリコール)アクリレート(例えばAM130として販売);ウレタンアクリレート(例えばGenomer(登録商標)として販売、例えばGenomer1122);アクリロイルモルフォリン、及び本明細書に記載された他のそれぞれの硬化性材料のいずれかを含む。
表現「単官能アクリレートタイプII」は、重合可能な基としてアクリレート基、及び少なくとも一つの疎水性部分又は基(例えば本明細書に規定されたような少なくとも6個の炭素原子の長さの炭化水素)を具備する、一つ以上のモノマー、オリゴマー又はポリマー、好ましくはモノマーの疎水性又は疎水性両親媒性硬化性材料を包含する。式A2も参照されたい。式中、R1は、C(=O)-O-Raであり、Raは、疎水性部分又は基であるか又はそれを含む。例示的なかかる材料は、Ra基としてノニル、フェニル、イソデシル、及び/又はラウリル基を、任意選択的にアルキレングリコール基と組み合わせて具備する本明細書に記載のような式Aの化合物、例えばSR395;SR504D,SR335,SR7095などとしてSartomerによって販売されるものを含む。
本明細書の実施例の部分で使用される表現「非硬化性ポリマー材料」は、本明細書に記載されるように、アクリレート重合を開始する条件にさらすと重合に寄与する重合可能なアクリレート基又はいずれかの他の重合可能な基を欠いている(例えばアクリレート重合を誘導する波長の放射線にさらすと重合する基又は光重合可能な基を欠いている)、一種以上のポリマー材料を包含する。好ましくは、非硬化性ポリマー材料は、硬化されたときに様々なTg値を具備し、かついずれかのMWでいずれかの順序及び数のブロックで、商品名「Pluronic(登録商標)」の下でも知られている、PEG及びPPGの一つ以上のブロックコポリマーを含む。好ましくは、非硬化性ポリマー材料は、PEG-PPG-PEG及びPPG-PEG-PPGのようなPEG及びPPGの一種以上のブロックコポリマーを含み、それは、10重量%以下のPEG、及び本明細書に記載されるようなPEG/PPG比を具備し、少なくとも500、好ましくは少なくとも900、より好ましくは少なくとも2000ダルトンのMWを具備し、かつ/又は硬化されたとき、本明細書に記載されるように、20℃未満、好ましくは0℃未満、より好ましくは-20℃未満のTgを具備する。好ましくは、これらの材料は、水における低い溶解性(例えば20%未満又は10%未満又はそれより小さい)又は不溶解性によって特徴づけられる。
表現「多官能アクリレート」は、二つ以上の重合可能なアクリレート基を具備する一つ以上のモノマー、オリゴマー又はポリマー硬化性材料を包含する。かかる材料はまた、本明細書では架橋剤として言及される。例示的なかかる材料は、限定されないが、例えばEbecryl230として販売されるようなウレタンジアクリレート;例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、任意選択的にエトキシル化されたもの(例えばPhotomer4072,Photomer4158,Photomer4149,Photomer4006,Miramer M360,SR499)のような脂肪族ジ、トリ、又はテトラアクリレート、グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、任意選択的にエトキシル化されたもの(例えばPhotomer4172として販売されるもの)、ヘキサンジオールジアクリレート、PEGDA、及びさらにPhotomer3005,Photomer3015,Photomer3016,Photomer3316として販売されるもののようなエポキシジアクリレートを含む。好ましくは、多官能アクリレートは、硬化されたとき、20℃未満又は0℃未満又はそれより低いTgを具備する。
用語「ポリシロキサン」は、限定されない例として、PDMS及びその誘導体及びそれを含むブロックコポリマーを含む、ポリシロキサン主鎖を含む非硬化性の有機及び無機材料を包含する。
用語「光開始剤」及び「抑制剤」は、本明細書に規定された通りである。
表1に与えられた全ての配合物は、1~5重量%(例えば3重量%)の範囲の量で一種以上の光開始剤を含む。例示的な光開始剤は、Irgacure(登録商標)ファミリー、例えばI819,I184のもの、及びそれらの組み合わせを含む。
表1に与えられた全ての配合物は、0.01~1重量%(例えば0.1重量%)の範囲の量で一種以上の抑制剤(フリーラジカル重合抑制剤)を含む。例示的な抑制剤は、トリス(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩(NPAL)及び例えばG18のようなGenorad(商品名)ファミリーの抑制剤を含む。
表1に与えられた配合物の幾つかは、本明細書に記載されるような追加の非反応性の成分(添加剤)をさらに含む。
例示的な配合物(BM219)では、UV硬化性界面活性剤(BYK UV-3500-ポリエーテル変性アクリル官能ポリジメチルシロキサン)が使用される。
1~3重量%の量のウレタンジアクリレート以外の多官能アクリレートを含むか、及び/又は5~10重量%の量のポリシロキサン化合物を含む追加の例示的な配合物が作られ、全ては、本明細書に規定されるようなショアA硬度0を具備していた。
実施例3
特性決定
設計プロセス中に試験された配合物から得られた硬化材料の特性決定のために、以下の予備試験が実施された。
ショアA硬度は、ショアAデュロメーターでASTM D2240に従って決定された。
ショアOO硬度は、ショアOOデュロメーターを使用してASTM D2240に従って決定された。
圧縮弾性率は、Stratasys J750(商品名)3Dプリンターを使用して印刷された、20mmの半径及び15mmの高さを具備する円柱形の未被覆物体(それ自体試験された配合物から印刷されている)について決定された。試験は、方向=圧縮;予備荷重/応力=0.5N;予備荷重/応力スピード=50mm/分;スピード=50mm/分;制限=8mmのパラメーターで操作された、Lloyd器具システム、100Nロードセルを使用して実施された。応力対歪データは、得られたデータから抽出され、0.001~0.01の歪値間の傾きが計算された。これらの測定において満足する値は、0.02~0.1MPaの範囲である。これらの試験で得られたデータはまた、本明細書では、「40%歪における圧縮応力」として言及される。
同じLloydシステムが接着試験に使用され、方向=引張;減速=2mm/分;加速=5mm/分;力の低下=-5N;保持時間=1秒のパラメーターで操作された。試験された配合物が被覆として使用された標本が測定され、結果は、被覆標本からプラテンを引き出すために要求される最大荷重として報告される。
引裂抵抗(TR)が、ASTM D624に従って、2mmの厚さを有する、そこに記載された標本に対して決定された。2mm厚の標本について最大荷重における荷重(N)として値がここで報告される。これらの測定において満足する値は、少なくとも0.3Nである。幾つかの配合物に対して、この試験で測定された破壊までの時間も報告され、満足する値は、少なくとも9秒である。報告された値は、記載されたようなN/m引裂抵抗値に変換され、そこでは0.002で割られた。例えば、ここで報告された0.3Nの値は、150N/mに等しい。
安定性が、未被覆物体(それ自体試験された配合物から印刷される)又は被覆物体(エラストマー硬化性材料(例えばAgilusファミリー、例えばAgilus30(商品名)の0.8mm被覆で印刷される)について決定され、全ては、Stratasys J750TM 3Dプリンターを使用して印刷され、25mm×25mm×25mmの立方体形状を具備し、いったん印刷されたら得られた物体を秤量し、物体を50℃で7日間貯蔵し、分析スケールを使用して再秤量した。印刷後の初期重量に対する重量変化は、重量%で与えられる。
寸法安定性は、エラストマー硬化性材料(例えばAgilusファミリー、例えばAgilus30(商品名))の0.6mm層で被覆された60×24×18mmの被覆された楕円物体について決定され、数日間、50℃で又は1ヶ月間室温で貯蔵して、貯蔵後の物体における歪を観察する。許容可能な結果は、歪なしであるだろう。
印刷後の粘着性は、立方体として造形された印刷物体に対して、物体にティッシュ紙を適用することによって定量的に決定され、次のように0-3のスケールで格付けを与える:ティッシュ紙が物体から除去されることができない場合について3、及びいったんティッシュ紙が除去されたら物体に粘着した繊維が全くない場合について0。
3D物体の印刷は、Stratasys J750(商品名)3Dプリンターを使用して実施された。
全ての配合物は、ショアA硬度0を具備し、一部の配合物は、それらのショアAOO硬度について試験されるときに0~30の値を具備する。
以下の表2Aは、上記の実験方法を使用して、表1に与えられた、本実施形態による例示的な配合物を特徴づけることによって得られたデータを要約する。
上記のような接着試験は、試験された配合物の0.6mm厚層によって被覆された、Veroとして販売されるような造形用配合物から作られた立方体試料(15mm×15mm×15mm)を印刷することによって実施された。得られた試料は、(湿潤)したまま、及び布(乾燥)で乾燥してから試験された。以下のデータが得られた:BM151(湿潤)-最大荷重における荷重=1.3N;BM151(乾燥)-最大荷重における荷重=7.3N。
異なる組の実験では、BM205.4及びBM219として表1に与えられた配合物は、以下のように特徴づけられた。
ショアOO硬度は、未被覆物体(それ自体試験された配合物から印刷される)又は被覆物体(エラストマー硬化性材料(例えばAgilus30(商品名)の0.6mm被覆で印刷される)について測定され、全ては、Stratasys J750TM 3Dプリンターを使用して、6mm高さの試料について、ショアOOデュロメーターを使用するASTM D2240に従って印刷された。
圧縮弾性率は、Stratasys J750(商品名)3Dプリンターを使用して印刷された、20mmの半径及び15mmの高さを具備する、試験された配合物から作られた円柱形のAgilus30を被覆した物体について決定された。試験は、Lloyd機器システム、100Nロードセルを使用して実施され、方向=圧縮;予備荷重/応力=0.5N;予備荷重/応力スピード=50mm/分;スピード=50mm/分;制限=90Nのパラメータで操作した。応力対歪データは、得られたデータから抽出され、0.001~0.01の歪値の間の傾きが計算された。
Stratasys J750(商品名)3Dプリンターを使用して印刷された、50×50×50mmの寸法を有する、試験された配合物から作られた立方体のAgilusで被覆された物体について破壊するまでの荷重が決定された。試験は、Lloyd機器システム、100Nロードセルを使用して実施され、方向=圧縮;予備荷重/応力=0.5N;予備荷重/応力スピード=50mm/分;スピード=50mm/分のパラメータで操作され、破壊するまでの荷重は、試料が最終的な破損前に保持することができる最大荷重であるように決定された。
安定性が、Stratasys J750TM 3Dプリンターを使用して、それ自体試験された配合物から作られ、50mm×50mm×50mmの寸法を具備する、Agilusで被覆された立方体物体について測定され、いったん印刷されたら得られた物体を秤量し、50℃で3日間、物体を貯蔵し、分析スケールを使用して再秤量した。印刷後の初期重量に対する重量変化は、重量%で与えられる。
印刷性、ローラーに対する粘着性、及びレベリング後のローラー浴内の材料の量が定量的に観察され、試験された配合物のほとんどについて良好な印刷性を示し、一部の配合物については、ローラーに対する粘着性が観察され、ローラー浴が材料で満たされ、他の配合物については、ローラーに対する粘着性は、全く観察されず、ローラー浴は、きれいであった。
安定性はまた、経時的な色変化に関して測定された。一部の配合物では、室温で4週間後に色の幾らかの変化が観察され、BM205.4及びBM219のような例示的な配合物では、この期間中、色の変化が全く観察されなかった。
得られたデータは、試験された配合物から得られた硬化材料の特性が硬化性材料対非硬化性材料の重量比、硬化性材料及び非硬化性材料のタイプ、及び多官能硬化性材料のタイプ及び量によって影響されることを示唆した。それによれば、有利な配合物は、本明細書に記載されかつ規定されるような低Tgを具備する材料を含み、それは、好ましくは、本明細書に規定されるように、低Tgを具備する、非硬化性材料を50重量%未満、本明細書に規定されるように、低Tgを具備する多官能硬化性材料を少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%(例えば5~10重量%)の量で含む。幾つかの特性もまた、抑制剤のタイプ及び量、及び/又は界面活性剤の添加によって影響される。
実施例4
複数材料の付加製造における適合性
上で記載されているように、本配合物は、特に低い硬度を維持しながら改良された強度及び引裂抵抗が要求される場合において、複数材料の付加製造で利用されることができるので、試験された配合物の一部が、エラストマー材料(例えばAgilusファミリー、例えばAgilus30(商品名))で被覆又はカバーされた印刷物体を形成するために使用された。それゆえ、本明細書に与えられた例示的な配合物に含められる非硬化性材料中のAgilus30(商品名)の膨潤は、エラストマー材料が最小の膨潤性を示す非硬化性材料の化学条件を規定する目的で試験された。
膨潤試験は、20×20×1mmの寸法を具備する、硬化されたエラストマー材料(例えばAgilusファミリー、例えばAgilus30(商品名))から作られた膨潤試験標本を印刷し、分析スケールを使用して各標本の重量を記録することによって実施された。各標本は、20mlのガラスバイアルに入れられ、15mlの試験された非反応性材料(試験材料)がそれに追加された。追加材料のない試料がコントロールとして使用された。バイアルは、40~50℃で貯蔵され、3~4日後、試料が布を使用して乾燥され、分析スケールを使用して分析された。以下の表3及び表4は、得られた重量変化を与える。
表3からわかるように、高含有量でPPGブロックを具備するか、又はPPGからなる高分子量材料は、Agilus30(商品名)とともに使用されるときに改良された性能を与える。
表4でわかるように、例示的な支持体材料配合物、及び構築材料に一般に添加される他の添加剤(例えばPEG400;プロパンジオール)の存在下では、高い膨潤が観察され、高分子量ポリマーでは、改良された寸法安定性が観察される。
実施例5
3Dインクジェット印刷
本実施形態の配合物の適用モードの一つは、軟らかい材料(例えばショアA硬度0)を少なくとも一部に具備する造形用物体の3Dインクジェット印刷にある。
本発明者は、エラストマー材料とともに、複数材料の3Dインクジェット印刷モードにおける本実施形態による配合物を利用した。
上の実施例2及び3に示されるように、本発明者は、寸法安定性を示し、粘着性を減少又は無効にし、複数材料モードで使用される他の材料への非反応性材料の漏出又は移行(例えば膨潤)を減少又は無効にした、造形用物体を与える配合物を同定した。
信頼性のある造形用物体の適切な3Dインクジェット印刷を確保するために、以下の特徴の少なくとも一つを具備する材料を使用することが好ましい:
(i)形状歪、層分離、材料の漏出、及びしわ/クラックの発生なしの、印刷物体の長い貯蔵寿命に反映された経時的な安定性。
これらの特性は、以下の例示的な試験を使用して検証される:
サンドイッチ標本における層間剥離試験:本明細書に記載されるような軟らかい材料配合物から作られ、かつ1mm Agilus30Clear(商品名)層でカバーされた20×20×5mm標本が、印刷され、50℃で3日間維持される。その後、被覆層の剥離が観察される。許容できる結果は、最小又は剥離なしである。
楕円標本における層間剥離試験:本明細書に記載されたような軟らかい材料配合物から作られ、かつ0.6mmのAgilus30層で被覆された楕円の60×24×18mmの標本が、印刷され、50℃で3日間又は室温で1ヶ月間維持される。その後、標本の寸法が試験される。許容できる結果は、最小又は歪なしである。
箱形標本における層間剥離試験:Agilus30層で被覆された40×30×20mmの箱形状の物体が、上記のように印刷され、50℃で3日間維持される。その後、箱の一体性、重量、及び寸法が測定される。許容できる結果は、印刷直後に測定されたパラメーターからの3%未満の逸脱である。
(ii)例えば、引裂抵抗(印刷された物体が適度な応力を受けるときの制御された、遅い、好ましくは無効化されたクラックの伝播)、剥離抵抗、及び切断及び/又は縫製抵抗によって反映される、付与された力に対する抵抗
引裂抵抗は、実施例3に記載のようにASTMを使用して検証される。
剥離抵抗は、最大降伏荷重及びクラック伝播荷重を測定するように実施されたT剥離試験(ASTM D1876)を使用して検証される。許容可能な結果は、最大降伏荷重については15Nより大きいことであり、クラック伝播荷重については13Nより大きいことである。
縫製/縫合試験は、図10に描かれているように印刷マトリックスを通して縫合することに対する抵抗を検証する。
(iii)印刷品質及び精度によって反映される印刷信頼性
これらの特性は、以下の例示的な試験を使用して検証される:
100×40z5mmプレートの正確な印刷;及び
立方体、球及び円柱のような単純な物体幾何学的形状、及び例えば心臓モデルのような身体器官のような複雑な幾何学的形状の適切な印刷品質。
(iv)例えば(例えば人の肉の)組織模倣物の外観の希望の刺激を反映し、視覚的に試験される色
この特性は、既に業界で知られている着色システムを使用することによって達成される(例えばVero Yellow及びVero Magenta着色システムで着色)。
本実施形態による軟らかい材料配合物、及び本明細書に記載されるようなエラストマー材料を利用する幾つかの3Dインクジェット印刷モードが、以下のように、実践され、上記条件に合致することを見出した。
(a)本明細書に記載されるようなエラストマー材料の薄い(例えば0.5~1mm)鞘層によって被覆された、本明細書に記載されるような軟らかい材料配合物から作られた物体を与える複数材料芯鞘印刷モード。図8の左及び中央の物体は、Agilus30の0.7mm厚の層で被覆された楕円物体の画像を与える。
同様の物体の引裂抵抗データは、上記の実施例3に与えられる。
この芯鞘モードに従って印刷された物体は、上で示した条件に合致する寸法安定性、印刷性、機械特性、及び印刷信頼性を示した。
(b)上記のようなエラストマー材料の鞘によって被覆されることに加えて、エラストマー材料から作られた足場によって補強されかつ本明細書に記載されるような軟らかい材料配合物から作られた複合構造を与える複数材料足場モード。足場材料は、例えばBM19(表1参照)について本明細書で例示されるように、複数材料配合物系の全重量の19~26重量%であることができる。足場として19% Agilus30によって補強されるBM19配合物は、100kPaの弾性率及び改良された引裂抵抗を具備する。
図9Aは、インターレースされた造形用材料を含む領域を形成するための印刷方式の概略図であり、図9Bは、図9Aに示された方式に従って印刷された例示的な薄いプレートを示し、かつ19% Agilus30足場を有するBM61の足場複合構造を具備する画像である。
図8の右側の物体は、本明細書に記載されるような軟らかい材料配合物及びエラストマー配合物の複合足場から作られ、かつエラストマー材料によって被覆された楕円構造を与える。
図9C及び9Dは、Agilus30足場構造(19% 0.5mmのビーム)によって補強されたBM19配合物(表1参照)から作られた心臓モデル(図9C)、及びその内部の図(図9D)を与える。
この足場補強モードに従って印刷された物体は、上で示した条件に合致する寸法安定性、印刷性、機械特性、及び印刷信頼性を示した。
これらのデータは、希望の軟らかさ(ショアA硬度0)、しかし使用可能な強度(例えば引裂抵抗)、希望の経時的安定性、及び希望の印刷性を得ながら、本明細書に記載される軟らかい材料配合物から作られた3D物体を印刷するためにうまく使用された。
一例として、図10は、19% Agilus足場を有するBM61及び0.6mm Agilus(例えばAgilus30)被覆を使用して印刷された物体の画像を与える。それは、それを通る縫合/縫製に耐える。
図11A-Bは、19% Agilus足場を有するBM61及び0.6mm Agilus(例えばAgilus30)被覆を使用して印刷され、医療装置で試験された心臓模倣物を与える。
被覆なしで印刷されるとき、MB205.4及びMB219配合物で、必要な軟らかい性質とともに良好な印刷信頼性、寸法、及び経時的な色安定性、力に対する抵抗性が達成された。
実施例6
印刷パラメーターの最適化
補強材料(例えばエラストマー材料)の量を減らし、AMシステムのローラーに対する粘着性のような印刷信頼性問題を改良しながら、本明細書に記載されるような軟らかい材料配合物を利用するように印刷パラメーターを最適化するためにさらなる研究が実施された。
この実施例では、図12に示されたモデルのようなJarvik心臓モデルが印刷された。全ての心臓モデルは、各層について、約X%のボクセルがAgilus配合物によって占有され、約100-X%のボクセルがBM151配合物によって占有されるように、インターレースされたボクセル方式で上述のBM151及びAgilus(例えばAgilus30)配合物を吐出することによって印刷された。実験は、X=10、X=11、X=14、及びX=19で行なわれた。
造形用材料配合物の要素が支持体材料マトリックス内にある三次元DM構造を形成するために、エラストマー造形用配合物が、造形用材料配合物とともにDM操作モードで吐出された。三次元DM構造は、製作された物体(本実施例では心臓モデル)のための一時的に除去可能な支持体構造として作用し、本明細書では支持体グリッドとして言及される。支持体構造における造形用材料配合物要素のための三つの異なるサイズが、本実施例において試験された:約0.2mm直径、約0.4mm直径、及び約1mm直径。これらのサイズに対して得られた支持体グリッドは、本明細書では、支持体グリッドA、支持体グリッドB、及び支持体グリッドCとして言及される。これらの造形用材料配合物要素の形状は、一般に立方体であった。支持体グリッドAについて、造形用材料配合物の量とエラストマー造形用配合物の量の比は、約12%であり、支持体グリッドBについて、造形用材料配合物の量とエラストマー造形用配合物の量の比は、約16%であり、支持体グリッドCについて、造形用材料配合物の量とエラストマー造形用配合物の量の比は、約25%であった。
ローラーの回転スピードが印刷物体の品質に影響されることが本発明者によって見出された。本発明者は、軟らかい材料について、特に限定されないが、上記の実施例1に記載の例示的配合物を使用して得られた材料について、500未満又は480未満又は460未満又は440未満又は420未満のRPMのローラー回転スピードを使用することが好ましいことを見出した。外表面の滑らかさに対するローラーの回転スピードの影響は、図13A-Bに示され、図13Aは、ローラーが600RPMのスピードで回転されるモードで印刷された心臓モデルの画像であり、図13Bは、ローラーが412RPMのスピードで回転されるモードで印刷された心臓モデルの画像である。図13Bに示された心臓モデルは、図13Aに示された心臓モデルより実質的に滑らかな外表面を有する。欠陥を有する領域は、図13Aの点線の円によってマークされている。
本発明者は、印刷物体の良好な品質は、艶消モードで印刷することによって与えられ、そのモードでは物体の最外表面が、続いて除去される支持体材料の一つ以上の層(支持体グリッドB)によって被覆され、支持体グリッドの境界とモデルの境界の間のボクセルが空白を残す輪郭間隙がないことを見出した。外表面の滑らかさに対する輪郭間隙の効果は、図14に示されている。二つの心臓モデルが示される。左側の心臓モデルは、輪郭間隙が使用されるモードで印刷され、右側の心臓モデルは、輪郭間隙が使用されないモードで印刷された。図14の右側に示された心臓モデルは、図14の左側に示された心臓モデルより実質的に滑らかな外表面を有する。欠陥を有する領域は、図14の左側の心臓モデルの画像の点線の円によってマークされている。
エラストマー造形用配合物(例えばAgilus30)は、各層の粘着性を低下するため、及び物体を補強するための両方のために含められた。繊維補強は、非繊維補強より高い引裂抵抗を与えること、そして指向性の繊維補強パターンは、等方性繊維補強パターンより高い引裂抵抗を与えることを本発明者は見出した。いずれの特定の理論にも拘束されたくないが、ローラーによって付与される引裂力は、図15に概略的に示されるように層の平面に対して斜めであると思われる。TMで示される材料組み合わせの新しく吐出された層、及び新しく吐出された層を補強するために層の表面上で回転するローラーが示されている。ローラーによって付与される力は、層とローラーの間の相対的な並進運動から生じる成分T、及びローラーの回転運動から生じる成分Rを含む。成分TとRの組み合わせは、層の最上表面によって係合される平面(図15に示されたX-Z平面に垂直なX-Y平面)に対して斜めである有効力Fをもたらす。
図16A-Fは、X-Z平面における複数の実験的に試験された補強パターンを示す。垂直補強パターン(厚さ方向Zに平行、図16A)、水平補強パターン(厚さ方向Zに垂直、図16B)、正の斜めパターン(層によって係合される平面に対して正の傾斜、図16C)、負の斜めパターン(層によって係合される平面に対して負の傾斜、図16D)、及び二つの等方性パターン(刻みパターン(図16E)及びジャイロイドパターン(図16F))が示される。
実験は、垂直及び負の斜め補強パターンが他の補強パターンより高い引裂抵抗を表わした。最も高い引裂抵抗は、X=14、約-45°の傾斜の負の補強パターン、約0.5mm直径のAgilus30繊維、及び約0.4~約0.7mmの最も外側のAgilus30被覆で得られた。図17は、これらのパラメーターを使用して印刷された四つの心臓モデルの画像である。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。