この出願は、2017年5月22日付け出願の米国仮出願第62/509,378号;2017年6月12日付け出願の米国仮出願第62/518,280号;および2017年9月19日付け提出の米国仮出願第62/560,413号からの優先権を主張し、それらのそれぞれの開示は参照によってここにそれらの全体において組み込まれる。
本発明の詳細な記載
健康管理(ヘルスケア、医療などとも言う)の場(healthcare setting)およびコミュニティ(群落、地域社会などとも言う)の双方において、高頻度の多剤耐性細菌、および特に、グラム陽性細菌は、感染の管理にとって重大なチャレンジを提示する(Krauseら(2008)。Antimicrobial Agents and Chemotherapy 52(7)、pp. 2647-2652、すべての目的のためにその全体が参照によってここに組み込まれる)。さらに、のう胞性線維症(CF)ペイシェントにおけるメチシリン耐性S. aureus(MRSA)感染は懸念事項であり、およびそのような感染を根絶するためのアプローチに関する臨床データが不足している(Goss(ゴス)およびMuhlebach(ミュールバッハ)(2011)。Journal of Cystic Fibrosis 10、pp. 298-306、すべての目的のためにその全体が参照によってここに組み込まれる)。
本発明は、新しい細菌感染処置方法、および特に、細菌感染処置方法で、それを必要とするペイシェントへ、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩が、例えば、肺または静脈内経路を介して送られることによってのものの必要性に取り組む。
一態様において、本発明は、細菌感染、例えば、グラム陽性細菌感染、およびいくらかの実施形態においては、グラム陽性細菌性肺感染を処置するための方法に関する。本方法は、一実施形態においては、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩の有効量が含まれる組成物がそれを必要とするペイシェントに施されることを含む。組成物は任意の経路によって施すことができる。肺感染の場合において、一実施形態では、組成物はネブライザー、乾燥粉体インヘラー(乾燥粉末吸入具とも言う)または定量インヘラーを介して施される。別の実施形態では、組成物は静脈内投与される。
細菌感染処置法において使用するための化合物、および特定の処置法は、以下で詳細に議論する。
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩の「有効量」は、望ましい治療上の反応を提供することができる量である。有効量は、施与期間中の複数回投与の一部としての単回用量、または施与期間中に与えられるグリコペプチドの合計投薬量として言及することができる。処置レジメン(処置投与計画などとも言う)は、各グリコペプチド施与に対して実質同じ用量を含むことができ、または少なくとも一、少なくとも二または少なくとも三の異なる用量を含むことができる。
「アルキル」という用語は、1から40個までの炭素原子、例は、1から10個までの炭素原子、または1から6個までの炭素原子をもつモノラジカル分枝または非分枝飽和炭化水素鎖に言及する。この用語は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、n-ヘキシル、n-デシル、テトラデシル、およびその他同種類のものなどのような基によって例示される。線状および分枝アルキル基の双方が「アルキル」という用語によって含まれる。
「置換アルキル」という用語は、上記で規定するようなアルキル基に言及し、1から8個までの置換基、例は、1から5個までの置換基または1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物(heterocyclic)、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものを有する。
「アルキレン」という用語は、分枝または非分枝飽和炭化水素鎖のジラジカル(二端遊離基とも言う)に言及し、例えば、1から40個までの炭素原子、例は、1から10個までの炭素原子、または1から6個までの炭素原子を有する。この用語は、例えば、メチレン(CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン異性体(例は、-CH2CH2CH2-および-CH(CH3)CCH2-)およびその他同種類のものなどのような基によって例示される。
「置換アルキレン」という用語は、上記で規定するアルキレン基に言及し、1から5個までの置換基、例えば、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキルからなる群より選ばれるものを有する。加えて、そのような置換アルキレン基には、アルキレン基に融合した一またはそれよりも多く(一以上とも言う)のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環式化合物またはヘテロアリール基を形成するために、アルキレン基上の2つの置換基が融合するものが含まれる。そのような融合基は、1から3個までの融合(縮合とも言う)環構造(fused ring structures)を含むことができる。追加的に、置換アルキレンという用語には、1から5個までのアルキレン炭素原子が酸素、硫黄またはNR-で置換されたアルキレン基が含まれ、式中Rは水素またはアルキルである。置換アルキレンの例は、クロロメチレン(-CH(Cl)-)、アミノエチレン(-CH(NH2)CH2-)、2-カルボキシプロピレン異性体(-CH2CH(CO2H)CH2-)、エトキシエチル(-CH2CH2-O-CH2CH2-)およびその他同種類のものなどである。
用語「アルカリール(alkaryl)」は、基-アルキレン-アリールおよび置換アルキレン-アリールに言及し、そこでアルキレン、置換アルキレンおよびアリールはここで規定する。そのようなアルカリール基は、ベンジル、フェネチルおよびその他同種類のものなどによって例示される。
「アルコキシ」という用語は、基のアルキル-O-、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-シクロアルケニル-O-、およびアルキニル-O-に言及し、そこでアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルはここで規定するようなものである。アルキル-O-アルコキシ基には、例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、tert(ターシャリーなどとも言う)-ブトキシ、sec(セカンダリーなどとも言う)-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、1,2-ジメチルブトキシ、およびその他同種類のものなどが含まれる。
「置換アルコキシ」という用語は、基の置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-に言及し、そこで置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは、ここで規定するとおりである。
「アルキルアルコキシ」という用語は、基の-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置換アルキル、置換アルキレン-O-アルキルおよび置換アルキレン-O-置換アルキルに言及し、そこでアルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンはここで規定するとおりである。アルキルアルコキシ基はまた、アルキレン-O-アルキルとしても表され、および一例として、メチレンメトキシ(-CH2OCH3)、エチレンメトキシ(-CH2CH2OCH3)、n-プロピレン-イソ-プロポキシ(-CH2CH2CH2OCH(CH3)2)、メチレン-t-ブトキシ(-CH2-O-C(CH3)3)およびその他同種類のものなどが含まれる。
「アルケニル」という用語は、2から40個までの炭素原子、例は、2ないし10個の炭素原子または2ないし6個の炭素原子を有し、および少なくとも1個、およびいくらかの実施形態では、1-6からの部位のビニル不飽和(from 1-6 sites of vinyl unsaturation)を有する分枝または非分枝不飽和炭化水素基のモノラジカルに言及する。アルケニル基には、エテニル(-CH=CH2)、n-プロペニル(-CH2CH=CH2)、イソプロペニル(-C(CH3)=CH2)、およびその他同種類のものなどが含まれる。
用語「置換アルケニル」は、上記に規定するアルケニル基に言及し、1から5個までの置換基、および例は、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものを有する。
用語「アルケニレン」は、2から40個までの炭素原子、例えば、2から10個までの炭素原子または2から6個までの炭素原子を有し、および少なくとも1個、および例えば、1-6からの部位のビニル不飽和を有する分枝または非分枝不飽和炭化水素基のジラジカルに言及する。この用語は、例えば、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン異性体(例は、-CH2CH=CH-および-C(CH3)=CH-)およびその他同種類のものなどのような基によって例示される。
「置換アルケニレン」という用語は、上記に規定するアルケニレン基に言及し、1から5個までの置換基、および例えば、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものを有する。追加的に、そのような置換アルケニレン基には、アルケニレン基に融合した一以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環式化合物またはヘテロアリール基を形成するために、アルケニレン基上の2つの置換基が融合するものが含まれる。
「アルキニル」という用語は、不飽和炭化水素のモノラジカルに言及し、2から40個までの炭素原子、例えば、2から20個までの炭素原子、または2から6個までの炭素原子を有し、および少なくとも1個およびいくつかの実施形態では1から6までの部位のアセチレン(三重結合)不飽和(from 1 to 6 sites of acetylene (triple bond) unsaturation)を有する。代表的なアルキニル基には、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CH2C≡CH)およびその他同種類のものなどが含まれる。
「置換アルキニル」という用語は、上記に規定するアルキニル基に言及し、1から5個までの置換基、例えば、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものを有する。
「アルキニレン」という用語は、不飽和炭化水素のジラジカルに言及し、2から40個までの炭素原子、例えば、2から10個までの炭素原子または2から6個までの炭素原子を有し、および少なくとも1個およびいくらかの実施形態では、1-6からの部位のアセチレン(三重結合)不飽和を有する。代表的なアルキニレン基には、エチニレン(-C≡C-)、プロパルギレン(-CH2C≡C-)が含まれる。
「置換アルキニレン」という用語は、上記に規定するアルキニレン基に言及し、1から5個までの置換基、例えば、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものを有する。
「アシル」という用語は、基のHC(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-および複素環式化合物-C(O)-に言及し、そこでアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物はここに規定するとおりである。
「アシルアミノ」または「アミノカルボニル」という用語は、基の-C(O)NRRに言及し、式中各Rは無関係に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環式化合物であるか、または式中双方のR基は複素環式化合物基(例は、モルホリノ)を形成するためにジョイントするものであり、そこではアルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物は、ここに規定するとおりである。
「アミノアシル」という用語は、基の-NRC(O)Rに言及し、式中各Rは無関係に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式化合物であり、そこではアルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物はここに規定するようである。
用語「アミノアシルオキシ」または「アルコキシカルボニルアミノ」は、基の-NRC(O)ORに言及し、式中各Rは無関係に水素、アルキル、置換アルキルアリール、ヘテロアリール、または複素環式化合物である。
「アシルオキシ」という用語は、基のアルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、および複素環式化合物-C(O)O-に言及し、そこではアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式化合物はここに規定するとおりである。
「アリール」という用語は、6から20個までの炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基(unsaturated aromatic carbocyclic group)に言及し、単環(例は、フェニル)または複数の縮合(融合)環(multiple condensed (fused) rings)(例は、ナフチルまたはアントリル)を有する。代表的なアリールには、フェニル、ナフチルおよびその他同種類のものなどが含まれる。アリール置換基について規定によって別なふうに制約されない限り、そのようなアリール基は、1から5個までの置換基、例は、1から3個までの置換基で、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、スルホンアミド、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリールおよびトリハロメチルからなる群より選ばれるものにより、随意に置換することができる。一実施形態では、アリール置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、チオアルコキシまたはそれらの組合せである。
用語「アリールオキシ」は、基のアリール-O-に言及し、式中アリール基は、上記に規定するとおりであり、随意に置換されたアリール基が含まれ、また上記に規定するとおりである。
「アリーレン」という用語は、上記に規定するようなアリール(置換アリールを含む)から誘導されるジラジカルに言及し、および1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-ナフチレンおよびその他同種類のものなどによって例示される。
「アミノ」という用語は基の-NH2に言及する。
「置換アミノ」という用語は、基の-NRRに言及し、式中各Rは水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物からなる群より無関係に選ばれ、ただし、双方のR基がHではないことを条件とする。
「アミノ酸」は、自然に発生するアミノ酸、合成アミノ酸、およびそれらの誘導体のいずれにも言及する。α-アミノ酸には、アミノ基、カルボキシ基、水素原子、および「側鎖」と称される特有の基(distinctive group)が結合する炭素原子が含まれる。自然に発生するアミノ酸の側鎖は、本技術においてよく知られ、および例えば、水素(例は、グリシン)、アルキル(例は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン)、置換アルキル(例は、スレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリジンにおいて見られるようなもの)、アルカリール(例は、フェニルアラニンおよびトリプトファン)、置換アリールアルキル(例は、チロシン)、およびヘテロアリールアルキル(例は、ヒスチジン)が含まれる。
用語「カルボキシアルキル」または「アルコキシカルボニル」は、基「-C(O)O-アルキル」、「-C(O)O-置換アルキル」、「-C(O)O-シクロアルキル」、「-C(O)O-置換シクロアルキル」、「-C(O)O-アルケニル」、「-C(O)O-置換アルケニル」、「-C(O)O-アルキニル」および「-C(O)O-置換アルキニル」に言及し、そこでアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルおよび置換アルキニルはここに規定するようなものである。
用語「シクロアルキル」は、単一の環式環または複数の縮合環を有する3から20個までの炭素原子の環式アルキル基に言及する。そのようなシクロアルキル基には、一例として、単環構造、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、およびその他同種類のものなどのようなもの、または多環構造、例えば、アダマンタニル、およびその他同種類のものなどのようなものが含まれる。
「置換シクロアルキル」という用語は、シクロアルキル基に言及し、1から5個までの置換基、および例えば、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものを有する。
用語「シクロアルケニル」は、4から20個までの炭素原子の環式アルケニル基に言及し、単環式環および少なくとも一つの内部不飽和点を有する。適切なシクロアルケニル基の例には、例を挙げると、シクロブト-2-エニル、シクロペント-3-エニル、シクロオクト-3-エニルが含まれる。
「置換シクロアルケニル」という用語は、シクロアルケニル基に言及し、1から5個までの置換基、および例えば、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものを有する。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよび/またはヨードに言及する。
「ハロアルキル」は、ここに規定するようなアルキルに言及し、ここに規定するような1-4個のハロ基で、それらは同じでも異なっていてもよいものによって置換される。代表的なハロアルキル基には、一例として、トリフルオロメチル、3-フルオロドデシル、12,12,12-トリフルオロドデシル、2-ブロモオクチル、3-ブロモ-6-クロロヘプチル、およびその他同種類のものなどが含まれる。
「ヘテロアリール」という用語は、1から15個までの炭素原子および少なくとも一の環モイエティー(ring moiety)(「モイエティー」は分けられた一部とも言う)内の酸素、窒素および硫黄から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子の芳香族基に言及する。
ヘテロアリール置換基についての規定によって別なふうに制約されない限り、そのようなヘテロアリール基は、1から5個までの置換基、例えば、1から3個までの置換基で、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールおよびトリハロメチルからなる群より選ばれるものにより随意に置換することができる。代表的なアリール置換基には、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、およびチオアルコキシが含まれる。そのようなヘテロアリール基は、単環(例は、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例は、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有することができる。一実施形態において、ヘテロアリールは、ピリジル、ピロリル(pyrrolyl)またはフリルである。「ヘテロアリールアルキル」は、(ヘテロアリール)アルキル-に言及し、そこでヘテロアリールおよびアルキルはここに規定するとおりである。代表的な例には、2-ピリジルメチルおよびその他同種類のものなどが含まれる。
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、基のヘテロアリール-O-に言及する。
「ヘテロアリーレン」という用語は、上記に規定するように、ヘテロアリール(置換ヘテロアリールを含む)から導き出されるジラジカル基に言及し、および基の2,6-ピリジレン、2,4-ピリジレン、1,2-キノリニレン、1,8-キノリニレン、1,4-ベンゾフラニレン、2,5-ピリジニレン、2,5-インドレニルおよびその他同種類のものなどによって例示される。
「複素環」または「複素環式化合物」という用語は、単環または複数の縮合環、1から40個までの炭素原子および1から10個までのヘテロ原子、例えば、1から4個までのヘテロ原子で、環内の窒素、硫黄、リン、および/または酸素から選ばれるものを有するモノラジカル飽和不飽和基(monoradical saturated unsaturated group)に言及する。
複素環式化合物の置換基についての規定によって別なふうに制約されない限り、そのような複素環式化合物の基は、1ないし5個、および例えば、1から3個までの置換基で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールからなる群より選ばれるものにより随意に置換することができる。そのような複素環式化合物の基は、単環または複数の縮合環を有することができる。一実施形態では、複素環式化合物はモルホリノまたはピペリジニルである。
窒素複素環およびヘテロアリールの例には、制限されないが、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、およびその他同種類のもの、ならびにN-アルコキシ窒素含有複素環が含まれる。
複素環式化合物の別のクラスは、「クラウン化合物」として知られ、それは式[(CH2-)aA-]の一以上の繰返し単位を有する複素環式化合物の特定のクラスに言及し、式中aは2に等しいか、またはそれよりも大きく(2以上とも言う)、およびAは個別のオカレンスごとで(at each separate occurrence)0(Oか?)、N、SまたはPであることができる。クラウン化合物の例には、一例として、[-(CH2)3-NH-]3、[-((CH2)2-O)4-((CH2)2-NH)2]およびその他同種類のものなどが含まれる。一実施形態において、クラウン化合物は、4から10個までのヘテロ原子および8ないし40個の炭素原子を有する。
「ヘテロシクロオキシ」という用語は基の複素環式化合物-O-に言及する。
「ヘテロサイクレン(heterocyclene)」という用語はここで規定する複素環から形成されるジラジカル基に言及し、および基の2,6-モルホリノ、2,5-モルホリノおよびその他同種類のものなどによって例示される。
「オキシアシルアミノ」または「アミノカルボニルオキシ」という用語は、基の-OC(O)NRRに言及し、式中各Rは無関係に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式化合物であり、そこではアルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物はここに規定するようなものである。
「スピロ付着(spiro-attached)シクロアルキル基」という用語は、双方の環に共通の一つの炭素原子を介して別の環に付着したシクロアルキル基に言及する。
「スルホンアミド」という用語は、式の-SO2NRRの基に言及し、式中各Rは無関係に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式化合物であり、そこではアルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物はここに規定するとおりである。
用語「チオール」は基の-SHに言及する。
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は、基のヘテロアリール-S-に言及し、そこではヘテロアリール基は、上記に規定するように随意に置換されるアリール基を含む上記に規定するとおりのものである。
一以上の置換基を含む上記の基のいずれかに関して、そのような基は、立体的に非実用的および/または合成的に実行不可能な置換または置換パターンを含まないことが理解される。さらに、この発明の化合物には、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学異性体が含まれる。
「グリコペプチド(糖ペプチドとも言う)」は、随意に糖類基により置換される多環ペプチドコアによって特徴付けられるヘプタペプチド抗生物質に言及する。この規定に含まれるグリコペプチドの例は、Raymond(レイモンド)C. Rao(ラオ)およびLouise(ルイーズ)W. Crandall(クランドール)による「Glycopeptides Classification, Occurrence, and Discovery(グリコペプチド分類、発生、および発見)」、(「Drugs and the Pharmaceutical Sciences」第63巻、Ramakrishnan Nagarajan(ラマクリシュナン・ナガラジャン)による編集、Marcal Dekker, Inc.(マルカル・デッカー社)によって刊行)に見出され、それは参照によってその全体がここに組み込まれる。代表的なグリコペプチドには、A477、A35512、A40926、A41030、A42867、A47934、A80407、A82846、A83850、A84575、AB-65、アクタプラニン(Actaplanin)、アクチノイジン(Actinoidin)、アルダシン(Ardacin)、アボパルシン(Avoparcin)、アズレオマイシン(Azureomycin)、バルヒマイシン(Balhimycin)、クロロオリエンチエイン(Chloroorientiein)、クロロポリスポリン(Chloropolysporin)、デカプラニン(Decaplanin)、N-デメチルバンコマイシン(N-demethylvancomycin)、エレモマイシン(Eremomycin)、ガラカルジン(Galacardin)、ヘルベカルジン(Helvecardin)、イズペプチン(Izupeptin)、キブデリン(Kibdelin)、LL-AM374、マンノペプチン(Mannopeptin)、MM45289、MM47756、MM47761、MM49721、MM47766、MM55260、MM55266、MM55270、MM56597、MM56598、OA-7653、Orenticin(オレンチシン)、パルボジシン(Parvodicin)、リストセチン(Ristocetin)、リストマイシン(Ristomycin)、シンモニシン(Synmonicin)、テイコプラニン(Teicoplanin)、テラバンシン(Telavancin)、UK-68597、UK-69542、UK-72051、バンコマイシン、およびその他同種類のものなどとして識別されるものが含まれる。ここに用いる「グリコペプチド」という用語は、糖モイエティーが存在しない上記に開示するペプチドの一般的なクラス、即ち、グリコペプチドのアグリコンシリーズを含むことも意図する。例えば、バンコマイシン上のフェノールに付加された二糖モイエティーを穏やかな加水分解によって除去することで、バンコマイシンアグリコンが与えられる。追加の糖残基、特にアミノグリコシドが、バンコサミンと同様のまなーにおいて、さらに付加されたグリコペプチドもまた本発明の範囲内である。ここに記載の実施形態において、一以上の前述のグリコペプチドを、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは(II)の薬学的に許容可能な塩と組み合わせて使用することができる。
「薬学的に許容可能な塩」には、酸および塩基付加塩の両方が含まれる。薬学的に許容可能な付加塩は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持するそれらの塩に言及し、それらは生物学的にか、または別なふうに望ましくないものでなく、およびそれらは無機酸、例えば、制限されないが、塩酸(HCl)、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸およびその他同種類のものなどのようなもの、および有機酸、例えば、制限されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、しょうのう酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、けい皮酸、くえん酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿(ばにょう)酸、イソ酪酸、乳酸(例は、ラクタートとして)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸(粘液酸とも言う)、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸(オロチン酸とも言う)、しゅう酸、パルミチン酸、パモ酸(pamoic acid、パモン酸とも言う)、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、こはく酸、酢酸(例は、アセタートとして)、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、ウンデシレン酸、およびその他同種類のものなどのようなものにより形成される。一実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、HCl、TFA、乳酸塩または酢酸塩である。
薬学的に許容可能な塩基付加塩は、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、それらは生物学的にか、または別なふうに望ましくないものではない。これらの塩は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の添加から調製される。無機塩基から導き出される塩には、制限されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩およびその他同種類のものなどが含まれる。無機塩には、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩が含まれる。有機塩基から導き出される塩には、制限されないが、一級、二級、および三級アミン、自然に発生する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミンの樹脂およびその他同種類のものなどのようなものの塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩を形成するために使用することができる有機塩基には、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインが含まれる。
本発明の一態様では、細菌感染の処置をそれが必要なペイシェントにおいて行うために方法を提供する。本方法は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩:
(I),
式中、
R
1は、C
1-C
18線状アルキル、C
1-C
18分枝アルキル、R
5-Y-R
6-(Z)
n、または
であり;
R
2は-OHまたは-NH-(CH
2)
q-R
7であり;
R
3はHまたは
であり;
R
4はHまたはCH
2-NH-CH
2-PO
3H
2であり;
nは1または2であり;
各qは無関係に1、2、3、4、または5であり;
XはO、S、NHまたはH
2であり;
各Zは、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールおよび複素環式化合物から無関係に選ばれ;
R
5およびR
6は、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より無関係に選ばれ、そこで、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO
2-アルキル、-SO
2-置換アルキル、-SO
2-アリールおよび-SO
2-ヘテロアリールからなる群より選ばれる1から3個までの置換基により随意に置換され
R
7は-N(CH
2)
2;-N
+(CH
2)
3;または
であり;
Yは、酸素、硫黄、-S-S-、-NR
8-、-S(O)-、-SO
2-、-NR
8C(O)-、-OSO
2-、-OC(O)-、-NR
8SO
2-、-C(O)NR
8-、-C(O)O-、-SO
2NR
8-、-SO
2O-、-P(O)(OR
8)O-、-P(O)(OR
8)NR
8-、-OP(O)(OR
8)O-、-OP(O)(OR
8)NR
8-、-OC(O)O-、-NR
8C(O)O-、-NR
8C(O)NR
8-、-OC(O)NR
8-および-NR
8SO
2NR
8-からなる群より無関係に選ばれ;および
各R
8は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物からなる群より無関係に選ばれるもの
の有効な量が含まれる組成物をペイシェントに施すことを含む。
本発明の別の態様は、細菌感染についてペイシェントを処置する方法に関する。本方法は、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効な量が含まれる組成物を処置が必要なペイシェントに施すことを含む。式(II)は以下の:
(II),
式中、
R
1は、C
1-C
18線状アルキル、C
1-C
18分枝アルキル、R
5-Y-R
6-(Z)
n、または
であり;
R
2は-OHまたは-NH-(CH
2)
q-R
7であり;
R
3はHまたは
であり;
R
4はHまたはCH
2-NH-CH
2-PO
3H
2であり;
nは1または2であり;
各qは無関係に1、2、3、4、または5であり;
XはO、S、NHまたはH
2であり;
各Zは、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールおよび複素環式化合物から無関係に選ばれ;
R
5およびR
6は、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より無関係に選ばれ、そこで、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式化合物、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO
2-アルキル、-SO
2-置換アルキル、-SO
2-アリールおよび-SO
2-ヘテロアリールからなる群より選ばれる1から3個までの置換基により随意に置換され
R
7は-N(CH
2)
2;-N
+(CH
2)
3;または
であり;
Yは、酸素、硫黄、-S-S-、-NR
8-、-S(O)-、-SO
2-、-OSO
2-、-NR
8SO
2-、-SO
2NR
8-、-SO
2O-、-P(O)(OR
8)O-、-P(O)(OR
8)NR
8-、-OP(O)(OR
8)O-、-OP(O)(OR
8)NR
8-、NR
8C(O)NR
8-、および-NR
8SO
2NR
8-からなる群より無関係に選ばれ;および
各R
8は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式化合物からなる群より無関係に選ばれるように規定される。
式(I)および式(II)の化合物は、一実施形態において、米国特許第6,455,669号および/または米国特許第7,160,984号明細書において提供される方法によって合成され、それらのそれぞれの開示は参照によってここにそれらの全体を組み込む。さらに合成方法は、ここで実例セクションにおいて提供する。採用することができる他の調製ステップおよび方法は、米国特許第6,392,012号;米国特許出願公開第2017/0152291号;米国特許出願公開第2016/0272682号に開示され、それらはそれぞれ、あらゆる目的のために参照によってそれらの全体をここに組み込む。国際公開番号WO2018/08197号に記載する方法は、その開示を参照によって全体として組み込み、また採用することができる。合成スキームもまた、ここに、実例セクションにて提供する。
一実施形態では、式(I)および式(II)の化合物、例は、式中R
1は
であり、およびR
2はOHであるものは、米国特許出願公開第2017/0152291号において提供される方法に従って合成され、その開示は参照によってその全体を組み込む。
実施形態において、式中R
2は-NH-(CH
2)
q-R
7であり、アミドカップリングは、Yarlaggadda(ヤールラガダ)ら(2014)。J. Med. Chem.(ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー)57、pp. 4558-4568において記載されるように行うことができ、その開示は参照によってすべての目的のためにその全体をここに組み込む。例えば、バンコマイシンまたは他のグリコペプチド誘導体の溶液(例は、式(I)または式(II)の化合物で、式中R
1は
(例は、
)であり、およびXがOであるもの)は、-NH-(CH
2)
q-R
7の溶液(例は:-NH-(CH
2)
3-N(CH
2)
2、-NH-(CH
2)
3-N
+(CH
2)
3、または
の溶液)、N-メチルモルホリンおよびHBTUにより25℃にて処理することができる。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、および25℃にてH
2Oにおいて50%MeOHを加えることによりクエンチすることができる。混合物をセミ分取逆相HPLCによって精製して、化合物を白色フィルムとして供給することができる。
一実施形態において、細菌感染を処置するための方法は、それを必要とするペイシェントに式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R1には生理学的に開裂可能な官能基が含まれないものを施すことを含む。別の言い方をすれば、一実施形態では、R1基はインビボで(生体内で)加水分解または酵素による開裂を受けない。
別の実施形態では、細菌感染を処置するための方法は、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R1にはアミドまたはエステルモイエティーが含まれないものをそれが必要なペイシェントに施すことを含む。
一実施形態では、細菌感染を処置するための方法は、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R1がR5-Y-R6-(Z)nであるものをそれが必要なペイシェントに施すことを含む。更なる実施形態において、R5は-(CH2)2-であり、R6は-(CH2)10-であり、XはOであり、YはNR8であり、Zは水素であり、およびnは1である。さらなる実施形態において、R8は水素である。そのようなものとして、ここに提供する方法の一実施形態は、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R1が-(CH2)2-NH-(CH2)9-CH3であるものの有効な量が含まれる組成物をペイシェントにデリバリーすることを含む。更なる実施形態において、XはOであり、R2はOHであり、ならびにR3およびR4はHである。まだ更なる実施形態では、施与は静脈内または肺経路を介する。
本方法の一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R1は-CH2-NH-(CH2)10-CH3であるものの有効な量が含まれる組成物をペイシェントに施す。更なる実施形態において、XはOであり、R2はOHであり、ならびにR3およびR4はHである。まだ更なる実施形態において、施与は静脈内または肺経路を介する。
本方法の一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩、またはその薬学的に許容される塩で、式中R1は-(CH2)2-NH-(CH2)10-CH3であるものの有効な量が含まれる組成物をペイシェントに施す。更なる実施形態において、XはOであり、R2はOHであり、ならびにR3およびR4はHである。まだ更なる実施形態において、施与は静脈内または肺経路を介する。
本方法の一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R1は-(CH2)2-NH-(CH2)11-CH3であるものの有効な量が含まれる組成物をペイシェントに施す。更なる実施形態において、XはOであり、R2はOHであり、ならびにR3およびR4はHである。まだ更なる実施形態において、施与は静脈内または肺経路を介する。
別の実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩をそれが必要なペイシェントに施し、式中R
1は
であり;XはOまたはH
2であり;およびR
2は-NH-(CH
2)
q-R
7である。更なる実施形態では、R
2は-NH-(CH
2)
3-R
7である。更なる実施形態では、R
1は
であり、およびR
7は-N
+(CH
2)
3または-N(CH
2)
2である。
さらに別の実施形態では、R1はC10-C16アルキルである。まだ更なる実施形態では、R1はC10アルキルである。
さらに別の実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R
2はOHであり、R
3およびR
4はHであり、およびXはOであるものの有効な量が含まれる組成物をペイシェントに送る。更なる実施形態において、R
1は
またはR
5-Y-R
6-(Z)
nである。まだ更なる実施形態では、R
1はR
5-Y-R
6-(Z)
nであり、R
5はメチレン、エチレンまたはプロピレンであり;R
6は-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、または-(CH
2)
12-であり、ZはHであり、およびnは1である。
細菌感染処置方法の、さらに別の実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩の有効な量を提供し、そこでは、一以上の水素原子が重水素原子により置き換えられる。
一実施形態では、細菌感染を処置するための方法は、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩で、式中R1はR5-Y-R6-(Z)nであるものをそれが必要なペイシェントに施すことを含む。更なる実施形態では、R5は-(CH2)2-であり、R6は-(CH2)10-であり、YはNR8であり、Zは水素であり、およびnは1である。更なる実施形態では、R8は水素である。
ここに提供する方法の一実施形態では、R1は-(CH2)2-NH-(CH2)9-CH3である。
細菌感染を処置する方法において使用するための式(I)または式(II)の化合物の模範的な実施形態を以下の表1に提供する。化合物はまた、薬学的に許容可能な塩として提供することもできることに注目すべきである。表1において化合物は、それらのそれぞれのR
1、R
2およびX基によって識別される。一実施形態において、表1の化合物は、R
3およびR
4を両方ともHとして有すると規定される。別の実施形態において、表1の化合物が施され、式中R
3は
であり、およびR
4はHである、さらに別の実施形態において、表1の化合物が施され、式中R
3はHであり、およびR
4はCH
2-NH-CH
2-PO
3H
2である。さらに別の実施形態では、表1の化合物が施され、式中R
3は
であり、およびR
4はCH
2-NH-CH
2-PO
3H
2である。
一実施形態において、化合物は、式(I)または式(II)のプロドラッグ、例えば、アルキルエステルプロドラッグである。一実施形態におけるアルキル基は、直鎖C1-C20アルキルまたは分枝C1-C20アルキルである。アルキルエステルの付着は、方法のユーザーによって決定されるように、分子において任意の酸素にあることができる。
本発明の一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩は、それを必要とするペイシェントに送られ、式中XはOであり、R1はC1-C18の線状アルキルであり、R2はOHであり、ならびにR3およびR4はHである。
更なる実施形態におけるR1は、C7-C17線状アルキル;C7-C10またはC6-C10線状アルキルである。
さらに別の実施形態では、式(I)、式(II)の化合物そのプロドラッグ、またはその薬学的に許容可能な塩は、それを必要とするペイシェントに送られ、式中XはOであり、R1はR5-Y-R6-(Z)nであり、R2はOHであり、ならびにR3およびR4はHである。
更なる実施形態では、R5は-(CH2)2-であり、R6は-(CH2)10-であり、YはNR8であり、Zは水素であり、およびnは1である。更なる実施形態では、R8は水素であり、およびXはOである。まだ更なる実施形態では、施与は静脈内または肺経路を介する。
本発明の一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は-(CH2)2-NH-(CH2)9-CH3であり、XはOであり、R2は-NH-(CH2)q-R7であり、ならびにR3およびR4はHである。更なる実施形態では、qは2または3であり、およびR7は-N(CH2)2である。
本発明の一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R
1は-(CH
2)
2-NH-(CH
2)
9-CH
3であり、XはOであり、R
2はOHであり、R
3は
であり、およびR
4はHである。
一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は-(CH2)2-NH-(CH2)9-CH3であり、XはOであり、R2はOHであり、およびR3はHであり、およびR4はCH2-NH-CH2-PO3H2である。
さらに別の実施形態では、式(I)または式(II)の化合物を提供し、そこでは、一以上の水素原子は重水素原子で置き換えられる。更なる実施形態では、R2-Y-R3-(Z)nは-(CH2)2-NH-(CH2)9-CH3である。
ここに提供する処置方法の一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩は、次のように規定され:R1は(CH2)n1-Y-(CH2)n2-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、n2は1から6までから選ばれる整数であり、およびn3は1から15までの整数である。更なる実施形態では、XはOである。まだ更なる実施形態では、施与は静脈内または肺経路を介する。
一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は(CH2)-Y-(CH2)n2-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、およびXはOである。更なる実施形態においては、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO2-である。更なる実施形態では、Yは-NH-である。
一実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は(CH2)2-Y-(CH2)n2-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、およびXはOである。更なる実施形態においては、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO2-である。更なる実施形態では、Yは-NH-である。
一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は(CH2)3-Y-(CH2)n2-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、およびXはOである。更なる実施形態においては、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO2-である。更なる実施形態では、Yは-NH-である。
一実施形態において、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は(CH2)1-3-Y-(CH2)8-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、およびXはOである。更なる実施形態においては、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO2-である。更なる実施形態では、Yは-NH-である。
一実施形態において、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は(CH2)1-3-Y-(CH2)9-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、およびXはOである。更なる実施形態においては、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO2-である。更なる実施形態では、Yは-NH-である。
一実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩は、細菌感染処置を必要とするペイシェントに送られ、式中R1は(CH2)2-Y-(CH2)10-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、およびXはOである。更なる実施形態においては、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO2-である。更なる実施形態では、Yは-NH-である。
ここに提供する組成物は、溶液、懸濁物または乾燥粉体の形態であることができる。組成物は、本技術において既知の技術で、制限されないが、筋肉内、静脈内、気管内、鼻腔内、眼内、腹腔内、皮下、および経皮経路を含むものによって施すことができる。加えて、全体を通して議論するように本組成物はまた、肺経路を介して、例は、ネブライザーまたは乾燥粉体吸入器を用いた吸入を介して施与することもできる。
一実施形態において、ここに提供する組成物には、ポリマーと関連して、式(I)、式(II)の抗生物質、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩の複数のナノ粒子が含まれる。複数のナノ粒子の平均直径は、一実施形態では、約50nmから約900nmまで、例えば、約10nmから約800nmまで、約100nmから約700nmまで、約100nmから約600nmまで、または約100nmから約500nmまでである。
一実施形態において、複数のナノ粒子は、生分解性ポリマーおよび式(I)、式(II)の抗生物質、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩を含む。更なる実施形態では、生分解性ポリマーは、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(D,L-グリコリド)(PLG)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(シアノアクリラート)(PCA)、またはそれらの組合せである。
さらに他の実施形態では、生分解性ポリマーはポリ(ラクティック-コ-グリコリチン酸(lactic-co-glycolitic acid))(PLGA)である。
ナノ粒子組成物は、本技術において通常の技量の者に既知の方法に従って調製することができる。例えば、コアセルベーション、溶媒蒸発、乳化、インサイチュ(in situ)重合、またはそれらの組合せを採用することができる(例は、Soppimath(ソピーマス)ら(2001)、Journal of Controlled Release 70、pp. 1-20を参照し、ここに参照によってすべての目的のためにその全体において組み込む)。
組成物においてポリマーの量は、例えば、組成物からの式の化合物の放出プロファイルを調整するために調節することができる。
一実施形態では、式(I)、式(II)のグリコペプチドの一種、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容可能な塩を調剤するために米国特許第5,874,064号、第5,855,913号および/または米国特許出願公開第2008/0160092号の一に開示される乾燥粉体組成物を使用する。米国特許第5,874,064号、第5,855,913号および米国特許出願公開第2008/0160092号の開示は、参照によってすべての目的のためにそれらの全体においてここに組み込む。
一実施形態では、ここに提供する方法を介して送られる組成物は、噴霧乾燥された、中空(hollow)および多孔性粒子組成物(spray dried, hollow and porous particulate compositions)である。例えば、国際公開第WO 1999/16419号に開示されているような中空および多孔性粒子組成物で、参照によってあらゆる目的のためにその全体においてここに組み込まれるものを採用することができる。そのような粒子組成物は、大きな内部空隙を画定する比較的薄い多孔質壁(porous wall)を有する粒子を含むが、他の空隙含有または穿孔構造も同様に企図される。
ここに提供する方法を介して送られる組成物は、一実施形態において、0.5g/cm3または0.3g/cm3未満、例えば、0.1g/cm3、または0.05g/cm3未満の嵩密度を有する粉体を生じる。嵩密度が非常に低い粒子を提供することによって、単位用量容器中に充填することができる最小の粉体質量が減少し、それがキャリア粒子(carrier particles、担体粒子とも言う)についての必要性を排除する。さらに、理論に拘束されることを望まないが、キャリア粒子を排除することにより、咽喉の沈着(throat deposition)および「ギャグ(gag)」効果を最小限に抑えることができ、それは大きな乳糖粒子がそれらのサイズのために喉および上気道に影響を与える可能性があるからである。
いくらかの実施形態では、ここに提供する方法を介して送られる粒子組成物には、空隙、孔、欠陥、空洞(hollows)、空間、間質空間(interstitial spaces、間質腔、間隙などとも言う)、開口、穿孔(perforations)または穴(holes)を見せ、規定し、または含む構造マトリクスが含まれる。一実施形態において粒子組成物は「乾燥」状態で提供する。すなわち、粒子組成物は、環境温度での貯蔵中に粉体が化学的および物理的に安定に保たれ、および容易に分散可能にされる含水量を有する。そのようなものとして、微粒子の含水量は、典型的には6重量%未満であり、および例えば、3重量%未満である。いくらかの実施形態では、含水量は1重量%ほどの低さである。含水量は、少なくとも部分的には調剤によって決まり、および採用されるプロセス条件、例は、入口温度、供給濃度、ポンプ速度、および発泡剤の種類、濃度および後乾燥によってコントロールされる。
結合水における減少は、リン脂質ベース粉体の分散性および流動性での改善をもたらすことができ、リン脂質において分散した活性薬剤を含む粉末肺界面活性物質(powdered lung surfactants)または粒子組成物の非常に効率的なデリバリーについての可能性がもたらされる。
ここに提供する方法を介して施す組成物は、一実施形態では、式(I)または式(II)の化合物、リン脂質および多価カチオンを含む粒子組成物である。特に、本発明の組成物は、エアロゾル化を介する局所または全身療法のための気道への肺投与のためにリン脂質含有の、分散性粒子組成物において多価カチオンを採用することができる。
理論によって縛られることを望まないが、吸湿性塩の形態においての多価カチオン、例えば、塩化カルシウムなどのようなものの使用は、水分誘発性の安定化(moisture induced stabilization)を受け易い乾燥粉体を安定化すると考えられる。理論によって縛られることを望まないが、そのような陽イオンはリン脂質膜をインターカレートし、それによって双性イオンヘッド基(zwitterionic headgroup)の負に帯電した部分と直接相互作用すると考えられる。この相互作用の結果、ヘッド基エリアの脱水、およびアシル鎖パッキングの凝縮が増加し、そのすべてがリン脂質の熱力学的安定性の増加を導く。そのような乾燥粉体組成物の他の利益は、米国特許第7,442,388号において提供されており、その開示はあらゆる目的のためにその全体においてここに組み込む。
一実施形態において本発明での使用のための多価カチオンは二価カチオンである。更なる実施形態では、二価カチオンはカルシウム、マグネシウム、亜鉛または鉄である。一実施形態では、多価カチオンは、粒子組成物がその貯蔵温度Tsよりも少なくとも20℃だけ高いTmを見せるように、リン脂質のTmを増加させるために存在する。一実施形態では、多価カチオンのリン脂質に対するモル比は、0.05、例えば、約0.05から約2.0まで、または約0.25から約1.0までである。一実施形態では、多価カチオンのリン脂質に対するモル比は約0.50である。一実施形態では、多価カチオンはカルシウムであり、および塩化カルシウムとして提供される。
一実施形態によれば、リン脂質は飽和リン脂質(saturated phospholipid)である。更なる実施形態では、飽和リン脂質は飽和ホスファチジルコリンである。採用することができるアシル鎖の長さは、約C16からC22までの範囲に及ぶ。例えば、一実施形態では、16:0または18:0のアシル鎖長(即ち、パルミトイルおよびステアロイル)を採用する。リン脂質の一実施形態においては、自然または合成の肺界面活性物質をリン脂質成分として提供する。この実施形態においては、リン脂質は、肺界面活性物質の最大で90ないし99.9%w/wを構成することができる。本発明のこの態様による適切なリン脂質には、自然または合成の肺界面活性物質、例えば、トレードマークExoSurf(エキソサーフ)、InfaSurf(R)(商標)(インファサーフ)(Ony, Inc.(オニー社))、Survanta(サーバンタ)、CuroSurf(クロサーフ)、およびALECの下で商業上入手可能なものなどのようなものが含まれる。
一実施形態では、リン脂質-グリコペプチド粒子のTmは、組成物において多価カチオンの量を変えることによって操作される。
自然および合成の両方の供給源からのリン脂質は、ここに提供する方法によって施す組成物と適合性があり、および構造マトリクスを形成するために様々な濃度で使用することができる。大抵、適合性のリン脂質には、約40℃を超えるゲルから液晶への相転移を有するものが含まれる。組み込まれたリン脂質は、一実施形態では、比較的長鎖(即ち、C16-C22)の飽和脂質であり、および更なる実施形態では、飽和リン脂質が含まれる。まだ更なる実施形態においては、飽和リン脂質は飽和ホスファチジルコリンである。まだ更なる実施形態では、飽和ホスファチジルコリンは16:0または18:0のアシル鎖長を有する(パルミトイルまたはステアロイル)。開示された安定化調製物において有用な模範的なリン脂質には、ホスホグリセリド、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリンジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール、長鎖飽和ホスファチジルイノシトールなどのようなものが含まれる。
リン脂質に加え、共界面活性物質(co-surfactant)または界面活性物質の組合せは、液相において一以上および粒子組成物に関連して一以上の使用を含め、ここに提供する方法を介して送る組成物において使用することができる。「関連して、または含む(associated with or comprise)」は、粒子組成物が、界面活性物質によって組み込まれ、吸着、吸収、コーティング、または形成され得ることを意味する。界面活性物質には、フッ素化および非フッ素化化合物が含まれ、および飽和および不飽和脂質、非イオン性洗浄剤、非イオン性ブロック共重合体、イオン性界面活性物質およびそれらの組合せを含むことができる。安定化された分散物が含まれる一実施形態では、非フッ素化界面活性物質は懸濁媒体において比較的不溶性である。
ここに提供する組成物における共界面活性物質として適切な適合性非イオン性洗浄剤には、ソルビタンエステルが、ソルビタントリオレアート(SpanTM(トレードマーク)(スパン)85)、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレン(20)(Brij(R)S20)、ソルビタンモノラウラート、およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル、およびスクロースエステルを含めて含まれる。ブロックコポリマーには、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのジブロックおよびトリブロックコポリマーが、ポロキサマー188(Pluronic(R)(プルロニック)F-68)、ポロキサマー407(Pluronic(R)F-127)、およびポロキサマー338を含めて含まれる。イオン性界面活性物質、例えば、スルホコハク酸ナトリウムなどのようなもの、および脂肪酸石鹸もまた利用され得る。
リン脂質-グリコペプチド粒子組成物は、追加の脂質、例えば、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピンなどのようなもの;ポリマー鎖を伴う(bearing)脂質、例えば、ポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸、またはポリビニルピロリドンなどのようなもの;スルホン化単糖、二糖、多糖を伴う脂質;脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、および/またはオレイン酸などのようなもの;コレステロール、コレステロールエステル、およびコレステロールヘミスクシナートを含むことができる。
リン脂質および多価カチオンに加え、ここに提供する方法を介して送られる粒子組成物にはまた、生体適合性の、およびいくらかの実施形態では、生分解性のポリマー、コポリマー、またはそれらのブレンドまたは他の組合せも含まれることがある。一実施形態におけるポリマーは、ポリラクチド、ポリラクチド-グリコリド、シクロデキストリン、ポリアクリラート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、ポリラクタム、ポリビニルピロリドン、多糖類(例は、デキストラン、でんぷん、キチン、キトサン)、ヒアルロン酸、タンパク質(例は、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、など)である。
上述のポリマー物質および界面活性物質以外に、他の賦形剤は、例えば、粒子剛性、生産収率、放出用量(emitted dose)および沈着、貯蔵寿命および/またはペイシェントの承諾を改善するために、粒子組成物に添加することができる。そのような随意の賦形剤には、以下に制限されないが:着色剤、味マスキング剤、緩衝剤、吸湿剤、抗酸化剤、および化学安定剤が含まれる。他の賦形剤には、制限されないが、糖質(炭水化物とも言う)で、単糖類、二糖類および多糖類を含めたものが含まれ得る。例えば、単糖類、例えば、デキストロース(無水および一水和物)、ガラクトース、マンニトール、D-マンノース、ソルビトール、ソルボースおよびその他同種類のものなどのようなもの;二糖類、例えば、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、およびその他同種類のものなどのようなもの;三糖類、例えば、ラフィノースおよびその他同種類のものなどのようなもの;および他の糖質類、例えば、でんぷん(ヒドロキシエチルスターチ)、シクロデキストリンおよびマルトデキストリンなどのようなものである。糖質およびアミノ酸の混合物はさらに、本発明の範囲内にあると考えられる。双方の無機(例は、塩化ナトリウム)、有機酸およびそれらの塩(例は、カルボン酸およびそれらの塩、例えば、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、塩酸トロメタミン、などのようなもの)および緩衝剤の包含も行う(be undertaken)こともできる。塩および/または有機固形物、例えば、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウムまたはしょうのう(樟脳)などのようなものも採用することができる。
一実施形態によれば、粒子組成物は、乾燥粉体の形態において、または非水性相を含む安定化された分散物の形態において使用されてもよい。本発明の分散物または粉体は、肺デリバリーを提供するために定量吸入器(metered dose inhalers)(MDIs)、乾燥粉体吸入器(DPIs)、アトマイザー、またはネブライザーと組み合わせて使用し得る。
いくらかの手順はここに記載の一定の乾燥粉体組成物の作成に概して適合するが、噴霧乾燥は特に有用な方法である。よく知られるように、噴霧乾燥は、液状フィードを乾燥粒子形態に変換するワンステッププロセスである。製薬用途に関して、噴霧乾燥は、吸入を含む様々な管理経路用に粉末状物質を提供するために使用されたことが認められるであろう。例えば、M. Sacchetti(サケッティ)およびM. M. Van Oort(ヴァン・オールト)のInhalation Aerosols:Physical and Biological Basis for Therapy(吸入エアロゾル:治療のための物理的および生物学的根拠)、A. J. Hickey(ヒッキー)、ed.(編)、Marcel Dekkar(マーセル・デッカー)、New York(ニューヨーク)、1996において参照され、それはあらゆる目的のためにその全体が参照によってここに組み込まれる。大抵は、噴霧乾燥は、高度に分散した液体、および液滴の蒸発および乾燥を引き起こすのに十分な容量の熱気を一緒にすることで構成される。噴霧乾燥される調製物またはフィード(または供給原料)は、選定された噴霧乾燥器具を使用して霧化され得る任意の溶液、懸濁物、スラリー、コロイド分散物、またはペーストであることができる。一実施形態では、供給原料には、コロイド系、例えば、エマルジョン、逆エマルジョン(reverse emulsion)、マイクロエマルジョン、多重エマルジョン(multiple emulsion)、粒子分散物、またはスラリーなどのようなものが含まれる。典型的に、フィード(供給物とも言う)は、溶媒を蒸発させる暖かいろ過空気の流れ中に噴霧され、および乾燥生成物を収集機に運ぶ。次いで、使用した空気を溶媒と共に排出する。
噴霧乾燥機、および特にそれらのアトマイザー(霧吹き器とも言う)は、特殊な用途、例は、ダブルノズル技術を用いる二つの溶液の同時噴霧のために修飾またはカスタマイズし得ることがさらに認められるであろう。より一層具体的には、油中水型エマルションを一つのノズルから霧化することができ、および抗付着剤(anti-adherent)、例えば、マンニトールなどのようなものを含む溶液を第二のノズルから共霧化(co-atomized)することができる。一実施形態では、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプを用いてカスタム設計されたノズルを通して供給溶液を押し出すことが望ましいことがある。本発明の乾燥粉体を作成するのに適した噴霧乾燥方法およびシステムの例は、米国特許第6,077,543号、第6,051,256号、第6,001,336号、第5,985,248号、および第5,976,574号明細書において開示され、それらの各々はあらゆる目的のために参照によってその全体が組み込まれる。
結果として生じる噴霧乾燥粉末化粒子は、典型的に形状がほとんど球形であり、サイズがほぼ均一であり、およびしばしば中空であるが、式(I)または式(II)の組み込まれたグリコペプチドおよび噴霧乾燥条件に応じて形状においてある程度の不規則性があり得る。一実施形態では、例は、WO99/16419号に開示されるように、膨張剤(または発泡剤)が噴霧乾燥粉体生産において使用され、参照によってすべての目的のためにその全体がここに組み込まれる。さらに、エマルションは、分散または連続相として、膨張剤と共に含めることができる。膨張剤は、例としては、約5000ないし15000PSIの圧力にて商業上入手可能なマイクロフルイダイザー(マイクロ流動化剤などとも言う)を用いて界面活性物質溶液と共に分散させることができる。このプロセスは、エマルション、およびいくらかの実施形態では、組み込まれた界面活性物質によって安定化されたエマルションを形成し、および水性連続相において分散した水不混和性発泡剤のサブミクロン液滴を含むことができる。一実施形態において発泡剤は、フッ素化化合物(例は、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタン)であり、それは噴霧乾燥プロセス中に蒸発し、概して中空の、多孔質の空気力学的に軽いミクロスフィアが残される。他の適切な液状発泡剤には、非フッ素化油、クロロホルム、フレオン(Freons)、酢酸エチル、アルコールおよび糖質類が含まれる。窒素および二酸化炭素ガスもまた適切な発泡剤として考えられる。一実施形態においては、ペルフルオロオクチルエタンが発泡剤である。
選定される成分は何であれ、一実施形態における微粒子状物質(particulate)生産での第一のステップには、供給原料の調製が含まれる。選定されるグリコペプチドは、濃縮された溶液を生成するように、溶媒、例えば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、エタノール、メタノール、またはそれらの組合せにおいて溶解される。多価カチオンは、グリコペプチド溶液に加えられてもよく、または以下で議論するようにリン脂質エマルションに加えられてもよい。グリコペプチドはまたエマルションにおいて、特に、水不溶性薬剤に関しては、直接分散させ得る。あるいはまた、グリコペプチドを固体微粒子分散物の形態において組み込む。使用するグリコペプチドの濃度は、最終粉体において求められるグリコペプチドの量、および採用するデリバリー装置の性能(例は、MDIまたはDPIのための微細な粒子用量)に依存する。必要に応じ、共界面活性物質、例えば、ポロキサマー188またはスパン80などのようなものをこの付加物溶液(annex solution)中に分散させ得る。加えて、賦形剤、例えば、糖およびでんぷんなどのようなものも加えることもできる。
一実施形態では、次いで、多価カチオン含有水中油型エマルションを別の容器において形成する。一実施形態において採用する油はフルオロカーボン(例は、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン)であり、それはリン脂質により乳化される。例えば、多価カチオンおよびリン脂質は、適切な高せん断機械ミキサー(例は、Ultra-Turrax(ウルトラ-トゥラクス)モデルT-25ミキサー)を用いて8000rpmにて2ないし5分間、高温蒸留水(例は、60℃)において均質化し得る。一実施形態では、5ないし25gのフルオロカーボンを分散化界面活性物質溶液に対して混合しながら滴下する。次いで、得られる多価カチオン含有ペルフルオロカーボンは、水エマルションにおいて、粒子サイズ(粒径、粒度とも言う)を小さくするために高圧ホモジナイザーを用いて処理する。一実施形態において、エマルションは、12,000ないし18,000PSI、5つの別個のパスにて処理し、および50ないし80℃に保持する。
次いで、グリコペプチド溶液(または懸濁物)およびペルフルオロカーボンエマルションを組み合わせ、および噴霧乾燥機中に供給する。一実施形態において、二つの調製物は混和性である。グリコペプチドは、目下の検討の目的のために別々に可溶化されるが、他の実施形態では、グリコペプチドはエマルションにおいて直接に可溶化(または分散)され得ることが認められるであろう。そのようなケースでは、グリコペプチドエマルションは、別個のグリコペプチド調製物を組み合わせることなく単純に噴霧乾燥される。
動作条件、例えば、入口および出口温度、供給速度、霧化圧力、乾燥空気の流量、およびノズル構成などのようなものは、望ましい粒子サイズ、および結果として生じる乾燥粒子の生産収率を生じさせるために、製造業者のガイドラインに従って調整することができる。適切な器具および処理条件の選定は、熟練した職人の範囲内に十分にある。一実施形態では、粒子組成物には、中空の、多孔質噴霧乾燥化マイクロ粒子またはナノ粒子が含まれる。
本発明において有用な粒子組成物は、噴霧乾燥に加えて、凍結乾燥によって形成され得る。本技術において熟練する者(当業者とも言う)は、凍結乾燥がフリーズドライプロセスであり、そこで組成物を凍結して後にそれから水が昇華することを認めるであろう。凍結乾燥化粒子を提供するための方法は本技術において熟練の者に既知である。微細な泡様構造を含む凍結乾燥ケーキは本技術において既知の技術を用いて微粉にすることができる。
上述の技術に加えて、ここに提供するグリコペプチド粒子組成物またはグリコペプチド粒子は、壁形成剤(wall forming agents)を含むフィード溶液(エマルジョンまたは水溶液性のいずれでも)を加熱油(例は、パーフルブロン(perflubron)または他の高沸点FCs)のリザーバーに減圧下で迅速に加える方法を使用して形成することができる。フィード溶液の水および揮発性溶媒は急速に沸騰し、および蒸発する。一実施形態では、壁形成剤は加熱油において不溶性である。次に、得られる粒子は、ろ過技術を使用して加熱油から分け、および次いで真空下で乾燥される。
別の実施形態では、本発明での粒子組成物はまた、ダブルエマルション法を用いて形成することもできる。ダブルエマルション法では、超音波処理またはホモジナイゼーションによって、薬を有機溶媒(例は、塩化メチレン、酢酸エチル)に溶解したポリマーにおいて最初に分散させる。次いで、この一次エマルションは、乳化剤、例えば、ポリビニルアルコールなどのようなものを含む連続水性相において複数のエマルションを形成することによって安定化される。次いで、慣習的な技術および器具を用いる蒸発または抽出により、有機溶媒を除去する。得られる粒子は、適切な懸濁媒体とそれらを組み合わせる前に、洗浄、ろ過および乾燥される。
分散性、分散安定性を最大化し、および施与の際の分布を最適化するために、一実施形態における粒子組成物の平均幾何学的粒子サイズは、約0.5-50μmから、例えば、約0.5μmから約10μmまで、または約0.5から約5μmまでである。一実施形態では、粒子組成物の平均幾何学的粒子サイズ(または直径)は、20μm未満または10μm未満である。更なる実施形態では、平均幾何学的直径は≦約7μmまたは≦5μmである。まだ更なる実施形態では、質量幾何学的直径は≦約2.5μmである。一実施形態において、粒子組成物には、約0.1から約10μmまで、例は、直径が約0.5から約5μmまでで、シェルの厚さがおよそ0.1μmないし約0.5μmを有する、乾燥した、中空の、多孔質球形シェルの粉体が含まれる。
式(I)、式(II)のグリコペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩に加えて、同じ組成物、または異なる組成物のいずれにおいても、一以上の付加的な抗感染薬が、それを必要とするペイシェントに施される組成に含まれることがある。付加的な抗感染薬には、追加のグリコペプチド、例えば、ここに記載のグリコペプチドの一が含まれる。他の付加的な抗感染薬には、制限されないが、アミノグリコシド(例は、ジベカシン、K-4619、シソマイシン、アミカシン、ダクチミシン(dactimicin)、イセパマイシン、ロドストレプトマイシン(rhodestreptomycin)、アプラマイシン、エチマイシン(エチミシンとも言う)、KA-5685、ソルビスチン、アルベカシン、フラミセチン、カナマイシン(kanamycin)、スペクチノマイシン、アストロミシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン(フラジオマイシンとも言う)、スポラリシン、ベカナマイシン、H107、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、ボホルマイシン、ハイグロマイシン、パロモマイシン、トブラマイシン、ブルラマイシン(brulamycin)、ハイグロマイシンB、プラゾマイシン、ベルダマイシン、カプレオマイシン、イノサマイシン、リボスタマイシン、ベルチルマイシン)、テトラサイクリン(例は、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)、スルホンアミド(例は、スルファニルアミド、スルファジアジン、スルファメタオキサゾール、スルフィソキサゾール、スルファセタミド)、パラアミノ安息香酸、ジアミノピリミジン(例は、トリメトプリム)、キノロン(例は、ナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシンおよびノルフロキサシン)、ペニシリン(例は、ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カルベニシリンインダニル、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン)、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン(例は、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン)、第一世代セファロスポリン(例は、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、セファロチン、セファピリン、セファゾリン)、第二世代セファロスポリン(例は、セファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォキシチン、セフォテタン、セフロキシム、セフロキシムアキセチル;セフメタゾール、セフプロジル、ロラカルベフ、セフォラニド)、第三世代セファロスポリン(例は、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン)、他のβ-ラクタム(例は、イミペネム、メロペネム、アズトレオナム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、およびその他同種類のもの)、ベータラクタマーゼインヒビター(例は、クラブラン酸)、クロラムフェリコール(chlorampheriicol、chloramphenicol(クロラムフェニコール)か?)、マクロライド類(macrolides)(例は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、ポリミキシン類(例は、ポリミキシンA、B、C、D、E1(コリスチンA)、またはE2、コリスチンBまたはC)コリスチン、バンコマイシン、テラバンシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、シクロセリン、カプレオマイシン、スルホン類(例は、ダプソン、スルホキソンナトリウム、およびその他同種類のものなど)、クロファジミン、サリドマイドが含まれる。
一実施形態では、式(I)または(II)の化合物、または式(I)または(II)の薬学的に許容可能な塩は、アミノグリコシドと組み合わせて施される。更なる実施形態においては、化合物は、式(I)または式(I)でそこでR1は-(CH2)2-NH-(CH2)9-CH3の化合物である。更なる実施形態において、アミノグリコシドは、ジベカシン、K-4619、シソマイシン、アミカシン、ダクチミシン、イセパマイシン、ロデストレプトマイシン、アプラマイシン、エチマイシン、KA-5685、ソルビスチン、アルベカシン、フラミセチン、カナマイシン、スペクチノマイシン、アストロミシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、スポラリシン、ベカナマイシン、H107、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、ボホルマイシン、ハイグロマイシン、パロモマイシン、トブラマイシン、ブルラマイシン、ハイグロマイシンB、プラゾマイシン、ベルダマイシン、カプレオマイシン、イノサマイシン、リボスタマイシンまたはベルチルマイシンである。更なる実施形態では、アミノグリコシドはアミカシンまたはゲンタマイシンである。更なる実施形態では、アミノグリコシドはゲンタマイシンである。
細菌感染、例は、グラム陽性微生物によって生じるものを処置するための方法を提供する。特定の理論によって拘束されることを望まないが、ここに提供するグリコペプチドにコンジュゲートしたR1基は、感染の部位でのグリコペプチドの細胞取込み、例えば、マクロファージ取込みを促進すると考えられる。
一実施形態では、感染は、グラム陽性球菌感染(Gram positive cocci infection)、例えば、スタフィロコッカス(Staphylococcus、ブドウ球菌とも言う)、エンテロコッカス(Enterococcus、腸球菌とも言う)またはストレプトコッカス(Streptococcus、連鎖球菌とも言う)感染である。一実施形態では、Streptoccocus pnemoniae(ストレプトコッカス・ネモニエ)(Streptococcus pneumoniae(ストレプトコッカス・ニューモニアエ、肺炎球菌とも言うものか?))は、市中感染性肺炎(community-acquired pneumonia)または化膿性髄膜炎と診断されたペイシェントにおいて処置される。エンテロコッカス感染は、一実施形態では、尿路カテーテル関連感染(urinary-catheter related infection)と診断されたペイシェントにおいて処置される。スタフィロコッカス感染、例は、S. aureus(S.アウレウス、黄色ブドウ球菌とも言う)は、一実施形態では、機械的換気関連肺炎(mechanical ventilation-associated pneumonia)と診断されたペイシェントにおいて処置される。
過去数十年にわたって、感染の処置のためのグラム陽性球菌の抗菌性物質(antibacterials)に対する感受性が低下した。例は、Alvarez-Lerma(アルバレス-レルマ)ら(2006)Drugs 66、pp. 751-768を参照し、すべての目的のためにその全体を参照によってここに組み込む。そのような点から、一態様では、本発明は、この必要性に対処し、それは式(I)、式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効な量を含む組成物が、異なる抗菌性物質に耐性のあるグラム陽性球菌感染症についてそれを必要とするペイシェントを処置する方法において提供されることによる。例えば、一実施形態では、グラム陽性球菌感染は、ペニシリン耐性またはバンコマイシン耐性の細菌感染である。更なる実施形態において、耐性細菌感染は、メチシリン-耐性スタフィロコッカス感染、例は、メチシリン-耐性S. aereus(S.アエレウス)またはメチシリン-耐性スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)感染である。別の実施形態において、耐性細菌感染は、オキサシリン-耐性スタフィロコッカス(例は、S. aureus)感染、バンコマイシン-耐性エンテロコッカス感染またはペニシリン-耐性ストレプトコッカス(例は、S.ニューモニアエ(S. pneumoniae))感染である。さらに別の実施形態では、グラム陽性球菌感染は、バンコマイシン-耐性エンテロコッカス(VRE)、メチシリン-耐性スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)、メチシリン-耐性スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)(MRSE)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium、フェシウム菌とも言う)でまたテイコプラニンに耐性でもあるもの(VRE Fm Van A)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウムでテイコプラニンに感受性のもの(VRE Fm Van B)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)でまたテイコプラニンに耐性でもあるもの(VRE Fs Van A)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカーリスでテイコプラニンに感受性のもの(VRE Fs Van B)、またはペニシリン-耐性ストレプトコッカス・ニューモニアエ(PSRP)である。
一実施形態によれば、グラム陽性細菌で、制限されないが、属のStaphylococcus(スタフィロコッカス)、Streptococcus(ストレプトコッカス)、Enlerococcus(エンレロコッカス)、Bacillus(バチルス)、Corynebaclerium(コリネバクテリウム)、Nocardia(ノカルジア)、Clostridium(クロストリジウム)、およびListeria(リステリア)を含めたものによる感染を処置するために方法が提供される。一実施形態においては、感染はグラム陽性球菌によるものである。更なる実施形態において、感染は肺感染である。別の実施形態において、感染はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(ディフィシル菌とも言う)感染である。
さらに別の実施形態において、細菌感染は、Propionibacterium acnes(プロピオニバクテリウム・アクネス)(皮膚にきび)、Eggerthella lenta(エガセラ・レンタ)(菌血)またはPeptostreptococcus anaerobius(ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス)(婦人科感染)である。更なる実施形態において、組成物で、それが必要なペイシェントに施されるものは、式(I)または式(II)の化合物で、式中R1は-(CH2)2-NH-(CH2)9-CH3であり、およびXはOであるものを含む。
Staphylococcus(スタフィロコッカス)はグラム陽性非運動性細菌であり、それは皮膚および粘膜に定着する。スタフィロコッカスは球形で、およびブドウに似た顕微鏡的なクラスターにおいて発生する。スタフィロコッカスの自然な生息地は鼻であり;それは正常個体の50%において分離することができる。20%の人々は皮膚キャリヤであり、および10%の人々はそのものらの腸内においてスタフィロコッカスを保有する。ここに提供する方法および組成物による処置可能なスタフィロコッカス感染の例には、S. aureus、S. epidermidis、S. auricularis(S. アウリクラーリス)、S. carnosus(S. カルノーサス)、S. haemolyticus(s. ヘモリティカス、ブドウ球菌溶血菌とも言う)、S. hyicus(S. ヒイカス)、S. intermedius(S. インターメディウス)、S. lugdunensis(S. ルグドゥネンシス)、S. saprophytics(S. サプロフィチクス、Staphylococcus saprophyticus(スタフィロコッカス・サプロフィティカス)か?)、S. sciuri(S. シウリ)、S. simulans(S. シミュランス)、およびS. warneri(S. ワーネリ)が含まれる。
Staphylococcusの約20種が報告されたが、Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermis(スタフィロコッカス・エピダーミス(Staphylococcus epidermidis(スタフィロコッカス・エピデルミディス、表皮ブドウ球菌とも言う)か?))だけがそれらのヒトとの相互作用において重要であることが知られる。
一実施形態では、Staphylococcus種は、ペニシリン、例えば、メチシリンなどのようなものに対して耐性である。更なる実施形態では、Staphylococcus種はメチシリン-耐性Staphylococcus aureus(MRSA)またはメチシリン-耐性Staphylococcus epidermidis(MRSE)である。Staphylococcus感染(Staphylococcus infection)は、別の実施形態では、メチシリン-感受性S. aereus(MSSA)感染、バンコマイシン-中間S. aereus(VISA)感染、またはバンコマイシン-耐性S. aereus(VRSA)感染である。
S. aureusは主に鼻腔に定着するが、それはほとんどの解剖学的な場所で、皮膚口腔、および胃腸管を含め、規則的に見られることがある。一実施形態において、S. aureus感染は、ここに提供する一の方法および/または組成物を用いて処置される。更なる実施形態では、S. aureusは感染はメチシリン-耐性Staphylococcus aureus(MRSA)感染である。別の実施形態において、S. aureus感染はS. aereus(VISA)感染、またはバンコマイシン-耐性S. aereus(VRSA)感染である。
S. aureus感染は、関連する健康管理(ヘルスケア、医療などとも言う)、即ち、病院または他の健康管理の場(healthcare setting)においてもたらされるか、または市中感染(community-acquired)であることができる。
一実施形態において、ここに提供する一の方法および/または組成物により処置されるスタフィロコッカス感染(Staphylococcal infection)は、心内膜炎または敗血症(セプシス)を引き起こす。そのような点から、ここに提供する一の方法および/または組成物による処置を必要とするペイシェントは、一実施形態では心内膜炎ペイシェントである。別の実施形態では、ペイシェントは敗血症(セプシス)ペイシェントである。
一実施形態において、細菌感染は、エリスロマイシン-耐性(erm
R)、バンコマイシン-中間S. aureus(VISA)異種バンコマイシン-中間S. aureus(hVISA)、S. epidermidisコアグラーゼ-陰性Staphylococci(スタフィロコッカス)(CoNS)、ペニシリン-中間S. pneumoniae(PISP)、またはペニシリン-耐性S. pneumoniae(PRSP)である。まだ更なる実施形態において、施与は吸入を介する施与を含む。まだ更なる実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、式中R
1が-(CH
2)
2-NH-(CH
2)
9-CH
3または
である化合物である。
Streptococci(ストレプトコッカス)は、グラム陽性の非-運動性球菌であり、それは一つの平面において分裂し、細胞の鎖が産生される。一次病原体には、S. pyrogenes(S. ピロゲネシス)(S. pyogenes(S. ピオゲネス)か?)およびS. pneumoniaeが含まれるが、他の種は日和見性であることができる。S. pyrogenesは、細菌性咽頭炎および扁桃炎の主な原因である。それはまた、静脈洞炎(副鼻腔炎などとも言う)、耳炎、関節炎、および骨感染をもたらすこともできる。いくらかの株は皮膚を好み、いずれか表在性(膿痂疹(のうかしん)、とびひなどとも言う)または深部(蜂巣炎)感染がもたらされる。
S. pneumoniaeは、成体における細菌性肺炎の主な原因であり、および一実施形態では、S. pneumoniaeによる感染は、ここに提供する一の方法および/または組成物を介して処置される。その毒性はそのカプセル(莢膜とも言う)によって指示される。ストレプトコッカスによって産生される毒素には:ストレプトリジン(S&O)、NADase(NADヌクレオシダーゼとも言う)、ヒアルロニダーゼ、ストレプトキナーゼ、DNAses(デオキシリボヌクレアーゼ、DNA分解酵素などとも言う)、発赤毒素(それは血管に損傷を引き起こすことによって猩紅熱発疹(scarlet fever rash、しょうこうねつほっしん)を引き起こし;細菌細胞が毒素をコードするファージによって溶原化される必要がある)が含まれる。ここに提供する組成物および方法により処置可能なStreptococcus感染の例には、S. agalactiae(S. アガラクティアエ)、S. anginosus(S.アンギノーサス)、S. bovis(S. ボビス)、S. canis(S.カニス)、S. constellatus(S.コンステラタス)、S. dysgalactiae(S.ディスガラクティアエ)、S. equi(S.エクイ)、S. equinus(S. エクイナス)、S. Mae(S.マエ)、S. intermedins(S.インターメジンス、S. intermedius(ストレプトコッカス・インターメディウス)か?)、S. mitis(S.ミティス)、S. mutans(S.ミュータンス)、S. oralis(S.オラリス)、S. parasanguinis(S.パラサングイニス)、S. peroris(S.ペロリス)、S. pneumoniae(S. ニューモニアエ)、S. pyogenes(S. ピオゲネス、化膿性連鎖球菌とも言う)、S. ratti(S ラッティ)、S. salivarius(S.サリバリウス)、S. salivarius ssp.(S. サリバリウスssp.、Streptococcus salivarius spp. thermophilus(ストレプトコッカス・サリバリウス菌種サーモフィラス)か?)、S. sanguinis(S. サングイニス)、S. sobrinus(S. ソブリナス)、S. suis(S.スイス)、S. uteris(S.ユテリス)、S. vestibularis(S. ベスティブラリス)、S. viridans(S.ビリダンス)、およびS. zooepidemicus(S. ズーエピデミカス)が含まれる。
属のEnterococci(エンテロコッカス)は、グラム陽性の、通性嫌気性生物からなり、それは形状が卵形であり、および塗抹標本上に、短鎖、対、または単一細胞として現れる。エンテロコッカスは、抗微生物薬(antimicrobial agents)に対してますます耐性を示すヒトの病原体である。ここに提供する方法および組成物により処置可能なエンテロコッカスの例は、E. avium(E. アビウム)、E.durans(E. デュランス)、E. faecalis(E. フェカーリス)、E. faecium(E. フェシウム)、E. gallinarum(ガリナリム)、およびE. solitarius(E. ソリタリウス)である。
ここに提供する方法の一実施形態では、それを必要とするペイシェントがEnterococcus faecalis(エンテロコッカス・フェカーリス)(E. faecalis)感染について処置される。更なる実施形態では、感染は肺感染である。別の実施形態において、それを必要とするペイシェントがEnterococcus faecium(エンテロコッカス・フェシウム)(E. faecium)感染について処置される。更なる実施形態では、感染は肺感染である。一実施形態では、それを必要とするペイシェントがバンコマイシンに対して耐性または感受性であるか、またはペニシリンに対して耐性または感受性であるエンテロコッカス感染について処置される。更なる態様において、感染は、E. faecalisまたはE. faecium感染である。
属のBacillus(バチルス)の細菌は、好気性、内生胞子形成性、グラム陽性桿菌であり、およびそのような細菌による感染は、ここに提供する方法および組成物を介して処置可能である。Bacillus種は、土壌、空気、および水において見出され、さまざまな化学変換に関与する。一実施形態において、Bacillus anthracis(バチルス・アンシラシス、バチルス・アントラシス、炭疽菌などとも言う)(B. anthracis)感染をグリコペプチド組成物により処置するために本方法をここに提供する。Bacillus anthracis、その感染は炭疽(Anthrax)を引き起こし、感染した草食動物との直接接触、またはその生成物を介した間接的な接触によってもたらされる。臨床形態には、皮膚炭疽、感染した材料の取り扱いからのもの、腸炭疽、感染した肉の摂食からのもの、および肺炭疽で胞子を含む粉塵の吸入からのものが含まれる。グリコペプチドの投与経路はペイシェントがB. anthracis感染をどのように獲得するかによって変動する。例えば、肺炭疽の場合には、ペイシェントは、一実施形態において、乾燥粉体吸入器(DPI)、ネブライザーまたは定量吸入器(MDI)を介して処置される。
いくつかの他のバチルス種、特に、B. cereus(B. セレウス)、B. subtilis(B. サブティリス、枯草菌とも言う)およびB. licheniformis(B. リケニフォルミス)は、菌血/敗血、心内膜炎、髄膜炎、および創傷、耳、目、気道、尿路、および消化管の感染と時々(periodically)関連し、および従って、ここに提供する方法および組成物により処置可能である。ここに提供する方法および組成物により感染が処置可能な病原性バチルス種(pathogenic Bacillus species)の例には、制限されないが、B. anthracis(B. アンシラシス)、B. cereusおよびB. coagulans(B. コアグランス)が含まれる。
Corynebacteria(コリネバクテリウム)は小さく、一般に非運動性、グラム陽性、非胞子形成、多形性桿菌(pleomorphic bacilli)であり、およびこれらの細菌による感染はここに提供する方法を介して処置可能である。Corybacterium diphtheria(コリバクテリウム・ジフテリア、Corynebacterium diphtheriae(コリネバクテリウム・ジフテリアエ)か?)は、ジフテリア、主に小児に影響を及ぼす上気道上部疾患の病原因子(etiological agent)であり、およびここに提供する方法を介して処置可能である。ここに提供する方法および組成物により処置可能な他のコリネバクテリウム種の例には、Corynebacterium diphtheria(コリネバクテリウム・ジフテリア、Corynebacterium diphtheriae(コリネバクテリウム・ジフテリアエ)か?)、Corynebacterium pseudotuberculosis(コリネバクテリウム・シュードツベルクロシス、ヒツジ偽結核菌とも言う)、Corynebacterium tenuis(コリネバクテリウム・テヌイス)、Corynebacterium striatum(コリネバクテリウム・ストリアツム)、およびCorynebacterium minutissimum(コリネバクテリウム・ミヌティシマム)が含まれる。
属のNocardia(ノカルディア)の細菌は、グラム陽性の部分的抗酸桿菌(partially acid-fast rods)であり、それは菌糸体に似た分枝鎖(branching chains resembling fungal hyphae)においてゆっくりと増殖する。三つの種はほぼすべてのヒト感染を引き起こし:N. asteroides(N.アステロイデス)、N. brasiliensis(N. ブラジリエンシス)およびN. caviae(N. カビアエ)であり、およびそのような感染を有するペイシェントは、ここに提供する組成物および方法により処置されることができる。感染は、環境要因(土壌または有機物質)からの風媒性桿菌(airborne bacilli)の吸入によるものである。ここに提供する方法により処置可能な他のNocardia種には、N. aerocolonigenes(N. アエロコロニゲネス)、N. africana(N. アフリカーナ)、N. argentinensis(N. アルゼンチネンシス)、N. asteroides、N. blackwellu(N. ブラックウェル)、N. brasiliensis、N. brevicalena(N. ブレビカレナ)、N. cornea(N. コルネア、Nocardia carnea(ノカルディア・カーネア)か?)、N. caviae、N. cerradoensis(N. セラドエンシス)、 N. corallina(N. コラリナ)、N. cyriacigeorgica(N. シリアシゲオルジカ)、N. dassonvillei(N. ダッソンビレイ)、N. elegans(N. エレガンス)、N. farcinica(N. ファルシニカ)、N. nigiitansis(N. ナイジイタンシス)、N. nova(N. ノヴァ)、N. opaca(N. オパカ)、N. otitidis-cavarium(N. オタイティディス-カヴァリウム、Nocardia otitidiscaviarum(ノカルディア・オタイティディスカビアラムオ)か?)、N. paucivorans(N. パウシボランス)、N. pseudobrasiliensis(N. シュードブラジリエンシス)、N. rubra(N. ルブラ)、 N. transvelencesis(N. トランスベレンシス)、N. uniformis(N. ユニフォルミス)、N. vaccinii(N. ワクチニイ)、およびN. veterana(N. ベテラーナ)が含まれる。
Clostridia(クロストリジウム)は芽胞(胞子)形成性の、グラム陽性嫌気性菌であり、およびそのような細菌による感染は、ここに提供する方法および組成物を介して処置可能である。一実施形態では、ここに提供する方法の一つは、破傷風の病原因子であるClostridium tetani(クロストリジウム・テタニ)(C. tetani)感染を処置するために使用される。別の実施形態において、ここに提供する方法の一つは、ボツリヌス中毒の病原因子であるClostridium botidinum(クロストリジウム・ボチジヌム、Clostridium botulinum(クロストリジウム・ボツリヌム)か?)(C. botidinum)感染を処置するために使用される。さらに別の実施形態では、ここに提供する方法の一つは、ガス壊疽の病原因子の一つであるC. perfringens(C. パーフリンゲンス)感染を処置するために使用される。本発明の方法により処置可能な他のクロストリジウム種には、C. difficile、C. perfringens、および/またはC. sordellii(C. ソルデリイ)が含まれる。一実施形態では、処置される感染はC. difficile感染である。
Listeria(リステリア)は、個々に生じるか、または短鎖を形成する、無芽胞形成性、非分枝のグラム陽性桿菌である。Listeria monocytogenes(リステリア・モノサイトゲネス)(L. monocytogenes)はリステリア症の原因物質であり、および一実施形態では、L. monocytogenesに感染したペイシェントは、ここに提供する方法および組成物の一つにより処置される。ここに提供する方法および組成物により処置可能なListeria種の例には、L. grayi(L.グレイー)、L. innocua(L.イノキュア)、L. ivanovii(L. イバノビイ)、L. monocytogenes、L. seeligeri(L. シーリジェリー)、L. murrayi(L.ムラーイ)、およびL. welshimeri(L. ウェルシメリー)が含まれる。
一実施形態において、細菌感染は気道感染である。更なる実施形態では、感染は耐性細菌感染、例えば、上記に提供する感染の一つである。ここに提供する方法によって処置可能なペイシェントは、一実施形態では、市中感染性気道感染、例は、肺炎と診断されていた。一実施形態では、肺炎ペイシェントにおいて処置される細菌感染は、S. pneumoniae感染である。別の実施形態において、肺炎ペイシェントにおいて処置される細菌感染は、Mycoplasma pneumoniae(マイコプラズマ・ニューモニアエ)またはLegionella種である。別の実施形態において、肺炎ペイシェントにおいて細菌感染は、ペニシリン耐性、例は、ペニシリン-耐性S. pneumoniaeである。
細菌感染は、一実施形態では、院内感染(HAI)であるか、または別のヘルスケア施設(health care facility)、例は、ナーシングホーム(nursing home、養護ホーム、療養院などとも言う)、リハビリテーション施設、外来診察室、等においてもたらされる。そのような感染はまた病院感染(nosocomial infections)とも呼ばれる。更なる実施形態では、感染は気道感染または皮膚感染である。一実施形態では、HAIは肺炎である。更なる実施形態では、肺炎はS. aureus、例は、MRSAによるものである。
ここに提供する方法の実施形態において採用する吸入デリバリーデバイスは、ネブライザー、乾燥粉体吸入器(DPI)、定量吸入器(MDI)、または本技術において通常の技量の者に既知の他の任意の適切な吸入デリバリー装置であることができる。デバイスは、単回用量の組成物をデリバリーするために含み、および使用することができ、またはデバイスは、本発明の組成物の複数用量(multi-doses)をデリバリーするために含み、および使用することができる。
一実施形態によれば、乾燥粉体粒子組成物は、それを必要とするペイシェントにグリコペプチドデリバリーを提供するために定量吸入器(MDI)、乾燥粉体吸入器(DPI)、アトマイザー、ネブライザーまたは液体用量点滴(liquid dose instillation)(LDI)技術を介してデリバリーされる。吸入療法に関して、本技術において熟練する者は、中空および多孔性の微粒子組成物が採用される場合、本組成物がDPIを介したデリバリーのために特に適することを認めるであろう。慣習的なDPIsは、粉末化調剤物およびデバイスを含み、そこでいずれかの単独またはラクトースキャリア粒子とのブレンドのあらかじめ定める用量の薬が、吸入用の乾燥粉体のエアロゾルとしてデリバリーされる。
薬は、それが0.5ないし20μmの間、例えば、0.5-5μmからのMMDを有する個別の粒子中に容易に分散するような方法において調剤され、および約10μmの空気動力学的中央粒子径(mass median aerodynamic diameter)(MMAD)未満のエアロゾル粒子サイズ分布、およびいくらかの実施形態では、5.0μm未満によってさらに特徴付けられる。粉体のMMADは、特徴的に、約0.5-10μmから、約0.5-5.0μmから、または約0.5-4.0μmからの範囲に及ぶであろう。
粉体は、吸気によって、または何らかの外部デリバリー力、例えば、加圧空気などのようなものによってのいずれかで動かされる。本発明の粒子組成物の施与のために適するDPIsの例は、米国特許第5,740,794号、第5,785,049号、第5,673,686号、および第4,995,385号、ならびにPCT出願第00/72904号、第00/21594号、および01/00263号に開示されており、それらのそれぞれの開示はすべての目的のために参照によってその全体が組み込まれる。DPI調剤物は典型的には、前述の特許おいて開示されるもののような単回用量単位において包装されるか、またはそれらはデバイスへの用量の手動移送による複数回用量を計量することが可能なリザーバーシステムを採用する。
ここに開示する組成物はまた、エアロゾル化を介し、例えば、定量吸入器(MDI)によるなどのようなものを用いて、ペイシェントの鼻または肺の気道に施すこともできる。呼吸活性化(Breath activated)MDIsもまたここに提供する方法と適合性である。
前述の実施形態に加えて、ここに開示する組成物は、ネブライザー、例は、PCT国際公開第99/16420号に開示されるネブライザーを介して、それを必要とするペイシェントにデリバリーされ得、その開示は、ペイシェントの肺気道に施し得るエアロゾル化された薬を提供するため、参照によってその全体をここに組み込む。ネブライザータイプの吸入デリバリーデバイスは、本発明の組成物を溶液、通常は水溶液、または懸濁物として含むことができる。例えば、プロスタサイクリン(プロスタシクリンとも言う)化合物または組成物をサリン(saline、生理的塩類溶液とも言う)において懸濁し、および吸入デリバリーデバイス中に負荷することができる。吸入用組成物の霧化スプレー(nebulized spray)を生成する際、ネブライザーデリバリーデバイスは、超音波により、圧縮空気によって、他のガスによって、電子的または機械的(例は、振動メッシュまたは開口プレート)に駆動し得る。振動メッシュネブライザーは、微細な粒子、低速エアロゾルを生成し、および慣習的なジェットまたは超音波ネブライザーよりも速い速度にて治療上の溶液および懸濁物を霧状にする。したがって、ジェットまたは超音波ネブライザーと比較して、振動メッシュネブライザーにより処置期間を短縮することができる。ここに記載の方法での使用に適する振動メッシュネブライザーには、Philips Respironics(フィリップス・レスピロニクス)I-Neb (R)(I-ネブ)、Omron MicroAir(オムロン・マイクロエアー)、Nektar Aeroneb (R)(ネクタール・エアロネブ)、およびPari eFlow (R)(パリ・イーフロー)が含まれる。
ネブライザーは、ポータブルおよびハンドヘルド(手持ち式とも言う)の設計とし得、および自己充足の電気ユニット(self contained electrical unit)を装備し得る。ネブライザーデバイスはノズルを含んでもよく、それは規定された開口サイズの二つの一致する出口チャネルを有し、それを通して液状調剤物を加速することができる。これは、二つのストリームのインパクション(impaction)および調剤物の霧化をもたらす。ネブライザーは、規定された開口サイズ(群)(defined aperture size(s)、「(群)」は複数もあり得ることを示すときに使用する)の複数オリフィスのノズルを通して液状調剤物を押し込んで吸入用調剤物のエアロゾルを生成するために機械的アクチュエータを使用し得る。単回用量ネブライザーの設計では、調剤物の単回用量を含むブリスターパックを採用し得る。
本発明において、ネブライザーは、例えば、肺膜内の粒子の位置決め用に最適な粒子のサイズ決定を確実にするために採用され得る。
噴霧化(nebulization)すると、霧化組成物(また「エアロゾル化組成物」とも呼ばれる)はエアロゾル化粒子の形態にある。エアロゾル化組成物は、エアロゾルの粒子サイズによって、例えば、エアロゾル化された組成物と関連する「空気動力学的中央粒子径」または「微細な粒子フラクション」を測定することによって特徴付けることができる。「空気動力学的中央粒子径」または「MMAD」は、水性エアロゾル液滴の空気力学的分離に関して正規化され、およびインパクター測定値、例は、アンダーセン・カスケード・インパクター(Andersen Cascade Impactor)(ACI)またはネクスト・ジェネレーション・インパクター(Next Generation Impactor)(NGI)によって決定される。一実施形態では、ガス流量は、ACIについて毎分8リットルであり、およびNGIでは毎分15リットルである。
「幾何学的標準偏差(Geometric standard deviation)」または「GSD」は、空気力学的粒子サイズ分布の広がりの尺度である。低GSDsは狭い液滴サイズ分布(均一なサイズの液滴)を特徴付け、それはエアロゾルを呼吸器系に向けるのに有益である。ここに提供する霧化組成物の平均液滴サイズは、一実施形態では、5μm未満または約1μmないし約5μmであり、および1.0ないし2.2、または約1.0ないし約2.2、または1.5ないし2.2、または約1.5ないし約2.2の範囲においてGSDを有する。
ここに使用する「微細な粒子フラクション」または「FPF」は、カスケードインパクション(cascade impaction)によって測定するとき、直径で5μm未満の粒子サイズを有するエアロゾルのフラクションに言及する。FPFは通常、パーセンテージとして表される。
一実施形態では、霧化組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、約1μmないし約5μm、または約1μmないし約4μm、または約1μmないし約3μmまたは約1μmないし約2μmであり、Anderson Cascade Impactor(ACI)またはNext Generation Impactor(NGI)で測定される。別の実施形態において、霧化組成物のMMADは、カスケードインパクションによって、例えば、ACIまたはNGIによって測定するとき、約5μmまたはそれよりも小さく(約5μm以下とも言う)、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、または約1μm以下である。
一実施形態では、薬剤組成物のエアロゾルのMMADは、カスケードインパクションによって測定するとき、約4.9μm未満、約4.5μm未満、約4.3μm未満、約4.2μm未満、約4.1μm未満、約4.0μm未満または約3.5μm未満である。
一実施形態では、薬剤組成物のエアロゾルのMMADは、カスケードインパクションによって(例は、ACIまたはNGIによって)測定するとき、約1.0μmないし約5.0μm、約2.0μmないし約4.5μm、約2.5μmないし約4.0μm、約3.0μmないし約4.0μmまたは約3.5μmないし約4.5μmである。
一実施形態では、エアロゾル化組成物のFPFは、ACIまたはNGIによって測定して、約50%よりも多く、またはそれと等しく(約50%以上とも言う)、ACIまたはNGIによって測定して、約60%以上、または、ACIまたはNGIによって測定して約70%以上である。別の実施形態において、エアロゾル化組成物のFPFは、NGIまたはACIによって測定して、約50%ないし約80%、または約50%ないし約70%または約50%ないし約60%である。
一実施形態では、定量吸入器(MDI)を本発明の組成物のために吸入デリバリーデバイスとして採用する。更なる実施形態では、プロスタサイクリン化合物は、MDI中に負荷するのに先立ちプロペラント(噴射剤、推進剤などとも言う)(例は、ハイドロフルオロカーボン)において懸濁する。MDIの基本構造は、計量バルブ、アクチュエータ、およびコンテナを含む。プロペラントはデバイスから調剤物を放出するために使用する。組成物は、加圧プロペラント(群)液において懸濁された規定のサイズの粒子からなってよく、または組成物は、加圧液状プロペラント(群)の溶液または懸濁物にあることができる。使用されるプロペラントは、主に大気に優しいハイドロフルオロカーボン(HFCs)、例えば、134aおよび227などのようなものである。吸入システムのデバイスは、例は、ブリスターパックを介して単回用量をデリバリーし得、またはそれは複数回用量を設計してもよい。吸入システムの加圧定量吸入器は、脂質含有調剤物の正確な用量をデリバリーするために、呼吸作動させる(breath actuated)ことができる。投薬の正確性を確実にすべく、吸入サイクルにおいて調剤物のデリバリーを一定のポイントにて発生するようにマイクロプロセッサを介してプログラムしてもよい。MDIはポータブルおよびハンドヘルドであってよい。
一実施形態では、乾燥粉体吸入器(DPI)は本発明の組成物のために吸入デリバリーデバイスとして採用される。
一実施形態では、DPIは、NGIまたはACIによって測定して、直径で約1μmから約10μmまで、または約1μmないし約9μm、または約1μmないし約8μm、または約1μmないし約7μm、または約1μmないし約6μm、または約1μmないし約5μm、または約1μmないし約4μm、または約1μmないし約3μm、または約1μmないし約2μmのMMADを有する粒子を生成する。別の実施形態では、DPIは、NGIまたはACIによって測定して、約1μmから約10μmまで、または約2μmないし約10μm、または約3μmないし約10μm、または約4μmないし約10μm、または約5μmないし約10μm、または約6μmないし約10μm、または約7μmないし約10μm、または約8μmないし約10μm、または約9μmないし約10μmのMMADを有する粒子を生成する。
一実施形態では、DPIによって生成される粒子のMMADは、NGIまたはACIによって測定して、約1μm以下、約9μm以下、約8μm以下、約7μm以下、6μm以下、5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、または約1μm以下である。
一実施形態では、各施与には、DPIからの1ないし5用量(パフ(puffs)、パフはひと吹きとも言う)、例えば、1用量(1パフ)、2用量(2パフ)、3用量(3パフ)、4用量(4パフ)または5用量(5パフ)が含まれる。一実施形態では、DPIは小さく、およびペイシェントによって持ち運び可能である。
一実施形態では、DPIによって生成される粒子のMMADは、NGIまたはACIによって測定して、約9.9μm未満、約9.5μm未満、約9.3μm未満、約9.2μm未満、約9.1μm未満、約9.0μm未満、約8.5μm未満、約8.3μm未満、約8.2μm未満、約8.1μm未満、約8.0μm未満、約7.5μm未満、約7.3μm未満、約7.2μm未満、約7.1μm未満、約7.0μm未満、約6.5μm未満、約6.3μm未満、約6.2μm未満、約6.1μm未満、約6.0μm未満、約5.5μm未満約5.3μm未満、約5.2μm未満、約5.1μm未満、約5.0μm未満、約4.5μm未満、約4.3μm未満、約4.2μm未満、約4.1μm未満、約4.0μm未満または約3.5μm未満である。
一実施形態では、DPIによって生成される粒子のMMADは、約1.0μmないし約10.0μm、約2.0μmないし約9.5μm、約2.5μmないし約9.0μm、約3.0μmないし約9.0μm、約3.5μmないし約8.5μmまたは約4.0μmないし約8.0μmである。
一実施形態では、DPIによって生成されるプロスタサイクリン粒子組成物のFPFは、ACIまたはNGIによって測定して、約40%よりも多く、またはそれに等しく(約40%以上とも言う)、ACIまたはNGIによって測定して、約50%以上、または、ACIまたはNGIによって測定して、約60%以上、またはACIまたはNGIによって測定して約70%以上である。別の実施形態において、エアロゾル化組成物のFPFは、NGIまたはACIによって測定して、約40%ないし約70%、または約50%ないし約70%または約40%ないし約60%である。
以下の例を参照することによって本発明をさらに説明する。しかしながら、これらの例は、上述の実施形態と同様に、例示的なものであり、および決して本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことに留意すべきである。
例1-還元的アミノ化を介するグリコペプチド誘導体の合成
グリコペプチド誘導体を以下のように調製した。合成スキームをさらに図1に提供する。
温度コントロールおよびかき混ぜを備えた反応容器に対し、無水DMFおよびDIPEAを加えた。得られる溶液をかき混ぜながら65℃に加熱し、およびバンコマイシンHClまたはテラバンシンHClを少しずつゆっくりと加えた。バンコマイシンHClまたはテラバンシンHClがすべて溶解するまで加熱を続けた(5-10分)。
ベージュ色の溶液を冷却した後、DMFにおいて溶解した望ましいアルデヒドの溶液を5-10分かけて添加した。得られる溶液を夜通し撹拌しておき、典型的に、澄んだ赤黄色(red-yellow)溶液を生成した。MeOHおよびTFAを導入し、およびさらに少なくとも2時間撹拌を続けた。撹拌期間の終わりに、イミン形成反応混合物をHPLCにより分析し、それは特徴的に典型的であった。ボランtert-ブチルアミン錯体を少しずつ加え、および反応混合物を環境温度でさらに2時間撹拌し、その後、反応混合物のインプロセスHPLC分析により、中間体イミン基のほぼ定量的な減少が示された。反応が終了した後、水およびアセトニトリルのそれぞれ0.1%(v/v)のTFAを含む勾配を使用して、反応混合物を逆相C18カラムクロマトグラフィー(Phenomenex Luna(フェノメネクス・ルナ)10uM PREP C18(2)250×21.2mmカラム)を用いて精製した。HPLCを使用してフラクションを評価し、および次いで凍結乾燥を介した生成物の分離のために標的生成物を含む適切なフラクションを一緒にプールした。典型的な生成物をふわふわした白い固形物として分離した。手順をスキーム1において代表的な出発化合物としてバンコマイシンHClを用いて以下に示す。
例2-バンコマイシン誘導体RV40の合成(化合物40)
一般的合成:オーバーヘッドスターラーを備えた温度制御反応容器に、適切な反応溶媒(DMFまたはDMA)および有機塩基(典型的にはDIPEA)を加えた。温度をおよそ60℃に上げ、およびバンコマイシンHClを加えた。温かい反応混合物を高温でおよそ20分間かき混ぜ、その時点ですべてのバンコマイシンHClを溶解させ、および反応混合物を室温に戻した。次いで、反応混合物に、適切な反応溶媒(DMFまたはDMA)において溶解した9H-フルオレン-9-イルメチルN-デシル-N-(2-オキソエチル)カルバマート(N-Fmoc-N-デシルアミノアセトアルデヒド)を加えた。反応混合物をオーバーヘッドスターラーにより夜通しかき混ぜ、その時点で適切な還元剤、酸触媒(例は、TFA)、およびプロトン性溶媒(例は、MeOH)を加えた。反応混合物をオーバーヘッドスターラーによって室温でおよそ2時間かき混ぜ、その時点で回転蒸発を介して溶媒容量を半分だけ減少させた。次いで、FMOC保護基を除去し、および粗生成物を産生させるために(化合物40、「RV40」とも呼ばれる、表1も参照)、濃縮した反応混合物に有機塩基を加えた。次いで、溶媒を回転蒸発によって蒸発させ、および粗製物質はC18シリカを使用して乾式パックし(dry-packed)、および>97%純度を有する生成物が分離されるように逆相C18フラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。回転蒸発、凍結乾燥、および噴霧乾燥を含む技術の組合せを使用し、精製された材料から溶媒を除去して、生成物(化合物40またはRV40)を白色粉末として、典型的には全収率40-75%において産生させた。適切な溶媒には、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドまたはそれらの組合せが含まれる。適切な有機塩基には、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまたはトリメチルアミンが含まれる。適切な還元剤には、NaBH4、NaBH3CN、ボラン-ピリジン錯体、またはボラン-tertブチルアミン錯体が含まれる。FMOC脱保護のために適した有機塩基には、ピペリジン、メチルアミン、およびtertブチルアミンが含まれる。
塩の形態:アルキル-バンコマイシン誘導体についての塩の形態および関連する対イオンに対する制御は、フラッシュクロマトグラフィー中に用いる酸種を変えることによって管理した。乳酸、酢酸、HCl、およびTFA塩を調製した。アルキルバンコマイシン誘導体の遊離塩基誘導体を分離するために、精製された物質のpHを7-8の間で調整して沈殿を誘発し;精製された遊離塩基物質を、次いで、ろ過、回転蒸発、凍結乾燥、または噴霧乾燥によって収集した。
化合物40(RV40)に到達するための一つの合成スキームは、図2(上部)に提供する。ここで、ジャケット付き(jacketed)1L反応容器にオーバーヘッドスターラーを装備し、および65℃に調整した再循環水浴に接続した。温かい反応容器に、N,N-ジメチルホルムアミド(75mL)およびDIPEA(640μL、3.7mmol、2.0等量)を加えた。溶媒を20分間撹拌しておき、および65℃に温め、その時点で反応混合物にバンコマイシンHCl(2.70g、1.8mmol、1.00当量)を加えた。一旦すべてのバンコマイシンHClを溶解し、温度を25℃に下げ、およびN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した9H-フルオレン-9-イルメチルN-デシル-N-(2-オキソエチル)カルバマート(890mg、2.1mmol、1.15当量)を加えた。反応混合物を25℃にて18時間撹拌しておいた。次に、反応混合物にNaBH3CN(330mg、5.3mmol、2.89当量)、MeOH(75mL)、およびTFA(3.0mL、5.5mmol、3.00当量)を加えた。反応混合物をRT(室温)で3時間撹拌しておき、その時点で溶媒容量を回転蒸発により半分だけ減らした。次に、濃縮した反応混合物にピペリジン(360μL、3.7mmol、2.00当量)を撹拌しながら加えた。反応の進行をHPLCによって監視した。HPLC分析が完全な脱保護を示したら、粗生成物(化合物40)をオフホワイトの固体として産生させるために、溶媒を減圧下で反応混合物から除去した。粗製物質はC18シリカを使用してドライパックし、および>97%の純度を有する生成物を分離するために逆相C18フラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
例3-バンコマイシン誘導体RV40の合成(化合物40)
一般的合成:オーバーヘッドスターラーを備えた温度制御された反応容器に、適切な反応溶媒(DMFまたはDMA)および有機塩基(典型的にはDIPEA)を加えた。温度をおよそ60℃に上昇させ、およびバンコマイシンHClを加えた。温かい反応混合物を高温にておよそ20分間かき混ぜ、その時点ですべてのバンコマイシンHClを溶解し、および反応混合物を室温に戻した。次いで、反応混合物に、適切な反応溶媒(DMFまたはDMA)において溶解した9H-フルオレン-9-イルメチルN-デシル-N-(2-オキソエチル)カルバマート(N-Fmoc-N-デシルアミノアセトアルデヒド)を加えた。反応混合物をオーバーヘッドスターラーにより夜通しかき混ぜた。反応混合物にプロトン性溶媒(例は、MeOH)および酸触媒(例は、TFA)を加え、および適切な還元剤(例は、ボランtertブチルアミン錯体)を加えるのに先立ち、反応混合物を15分間撹拌しておいた。
反応混合物を室温でおよそ二時間、オーバーヘッドスターラーによってかき混ぜ、その時点でFMOC保護基を除去するために、有機塩基(例は、tertブチルアミン)を加えた。温度を55℃に上げ、および混合物を2時間撹拌しておいた。次いで、溶媒を回転蒸発によって蒸発させ、および粗製物質はC18シリカを使用して乾式パックし、および>97%純度を有する生成物を分離するために、逆相C18フラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。典型的に全収率75%において白色粉末として生成物(RV40)を取得するために、回転蒸発、凍結乾燥、および噴霧乾燥が含まれる技術の組合せを使用して精製物質から溶媒を除去した。適切な溶媒には、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドまたはそれらの組合せが含まれる。適切な有機塩基には、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまたはトリメチルアミンが含まれる。適切な還元剤には、NaBH4、NaBH3CN、ボラン-ピリジン(Borane-pyridine)錯体、またはボラン-tertブチルアミン錯体が含まれる。FMOC脱保護のために適した有機塩基には、ピペリジン、メチルアミン、およびtertブチルアミンが含まれる。
塩の形態:アルキル-バンコマイシン誘導体についての塩の形態および関連する対イオンでのコントロールは、フラッシュクロマトグラフィー中に使用される酸種を変えることによって管理した。Lactate(ラクタート、乳酸)、Acetate(アセタート、酢酸)、HCl、およびTFA塩を調製した。バンコマイシン誘導体の遊離塩基誘導体を分離するために、精製した物質のpHを7-8間で調整して沈殿を誘導し;次に、精製した遊離塩基物質を、ろ過、回転蒸発、凍結乾燥、または噴霧乾燥によって収集した。
化合物40(RV40)に達するための合成スキームの一つを図2、下部に提供し、および以下でさらに詳しく説明する。オーバーヘッドスターラー、温度計、およびpHメーターを備えた400mLの反応容器に、DMF(50mL)およびDIPEA(1.17mL、6.73mmol、2.00等量)を加えた。反応混合物を55℃に加熱し、その時点でバンコマイシンHCl(5.0g、3.37mmol、1.0当量)を加えた。混合物を55℃で約15分間、またはバンコマイシンがすべて溶解するまで撹拌し、その時点で温度を25℃に下げた。反応混合物に、DMF(16.32mL)において溶解したN-Fmoc-デシルアミノアセトアルデヒド(1.63g、3.87mmol、1.15当量)の溶液を加えた。反応混合物を25℃にて18時間撹拌しておいた。反応混合物にMeOH(14.0mL)およびTFA(1.03mL、13.46mmol、4.00当量)を加え、および混合物を25℃にて15分間撹拌しておき、その時点でボランtert-ブチルアミン錯体(294mg、3.37mmol、1.0当量)を加えた。反応混合物を25℃にて2時間撹拌しておき、その時点でtert-ブチルアミン(4.24mL、40.38mmol、12.0当量)を加え、および温度を55℃に上げた。反応混合物を55℃で2時間撹拌しておいた。次に、C18官能化シリカゲルを反応混合物に加え、および溶媒を減圧下で除去した。乾式パックした物質は、逆相C18フラッシュクロマトグラフィー(Biotage(R)(バイオタージ)SNAP-KP-C18-HSカラム)を使用して精製した。
例4-RV40のモノ乳酸塩の調製
3Lの三つ口フラスコに、機械的スターラー(撹拌機とも言う)、窒素注入口、凝縮器(コンデンサーとも言う)および添加漏斗(addition funnel)を装備した。無水DMF(900mL)およびDIPEA(21.06mL、0.12mol)を負荷した。結果として取得される溶液を55-60℃に加熱し、およびバンコマイシン・HCl(90.0g、0.06mol)を少しずつ加えた。バンコマイシン・HClがすべて溶解するまで加熱を続けた(15-30分)。ベージュ色の溶液を環境温度まで冷却しておき、その後にN-FMOC-N-デシルアミノアセトアルデヒド(29.34g、0.069mol)およびDMF(293.4mL)の溶液を5-10分かけて添加漏斗を介して加えた。クリアな赤黄色溶液を与えるために、取得した溶液を夜通し撹拌しておいた。撹拌期間の終了での反応混合物のインプロセスHPLC分析が典型的であった。MeOH(252mL)およびTFA(18.54mL、0.24mol)を導入し、および少なくとも2時間撹拌をさらに続けた。撹拌期間の終わりに、イミン形成反応混合物を特質上典型的であったHPLCによって分析した。ボランtert-ブチルアミン錯体(5.28g、0.61mol)を少しずつ加え、および反応混合物を環境温度にて追加的に2時間撹拌し、しかる後反応混合物のインプロセスHPLC分析により、未反応のバンコマイシンが3%未満しか残っていない中間体のイミン基のほぼ定量的な減少が示された。Tert-Butylamine(tert-ブチルアミン)(76.32mL、0.73mol)を添加漏斗を介して添加し、および取得した反応物を55℃に加熱した。55℃で撹拌を続け、およびFMOC基の脱保護反応の進行をHPLCによって監視した。
反応が終了した後(約2時間)、加熱装置(heating)を取り外し、およびC18シリカゲル(C-18(炭素17%)60A、40-63μm、270g)を加え、および混合物をロータバップ(ロータリーエバポレーター、回転蒸発器などとも言う)にて、粗RV40を吸着したC-18シリカの自由流動性固体が得られるまで(3-7時間)、52℃/15トルにて濃縮した。C-18シリカ吸着粗RV40(化合物40)を三つの等しい部分に分け、および各部分ロット(each part-lot)は、水およびアセトニトリルの勾配を用いるBiotage SNAP ULTRA C18 1850gカートリッジ(Biotage HP-Sphere C18 25μm)のBiotageクロマトグラフィーを使って精製し、各々は0.1%(v/v)の水中85%L-(+)-乳酸溶液が含まれ、および240mLのフラクションが収集される。各部品ロットには、~(約とも言う)50リットルの溶離液が必要であった。各Biotageの実行後、C-18カラムは、60リットルのメタノールを通過させることによって次の実行のために条件付けた。フラクションはHPLCを使用して評価し、および次いで、凍結乾燥を介する生成物の分離のためにRV40を含む適切なフラクション(pertinent fractions containing RV40were)を一緒にプールした。
凍結乾燥はRV40ラクタートを白色固体として提供した。この時点で凍結乾燥されたRV40ラクタートは典型的に、過剰の乳酸を含んでおり、およびその自己縮合反応から生じる乳酸関連不純物も含んだ。この実験から分離されたRV40ラクタートは、合計105g(ロット637-140A)のRV40ラクタートの複合バッチ(composite batch ofRV40 lactate totaling 105 g (lot 637-140A))を形成するために、同様に分離した凍結乾燥RV40ラクタートの他の二つのバッチと組み合わせた。上記のRV40ラクタートの複合バッチに存在する過剰の乳酸およびその関連不純物は、THFを用いたすりつぶし(trituration、粉砕などとも言う)を介して除去し、およびその後、最終的なすりつぶし物(RV40モノラクタート塩)は、閉じ込められた残留THFを除去するために再凍結乾燥にかけ;両ステップを以下に説明する。
5Lの三つ口フラスコに、機械的スターラー、窒素注入口、および凝縮器を装備した。RV40ラクタート塩(105g)およびインヒビターフリーの無水THF(1L)を負荷した。取得した混合物を窒素下で撹拌した。夜通し撹拌した後、取得した混合物を中程度のフリット(medium frit)のブフナー(Buchner)フィルタ漏斗を用いてろ過した。ろ過したケーキをTHF(250mL)により洗浄した。窒素下で真空に引くこと(pulling vacuum)によって、ろ過ケーキをフィルタ漏斗上で乾燥した。5時間乾燥させた後、3.5当量として測定された乳酸の残留レベルについて1H NMRによってケーキを分析した。THFを用いたすりつぶしプロセスをさらに二回より多く(two more times)繰り返し、その後、分離した生成物は推定1当量の乳酸/ラクタートおよびTHFを含むと判断された。以下のように残留THFを除去するために、分離した物質を再凍結乾燥した:
上記のTHFですりつぶした物質を、グラム当たり8.1mLの濃度にて水性アセトニトリル(3:1の水:アセトニトリル)に最初に溶解し、および次いで複数のフラスコを使用してバッチにおいて凍結乾燥した。典型的には、約10-12グラム(最大)の物質を各2Lフラスコ中に充填し、続いて凍結乾燥させた溶液を調製するために、水性アセトニトリル(125mL)を充填した。凍結乾燥および乾燥の終わりに、生成物をNMRによってTHFレベルについて分析し、凍結乾燥を繰り返す必要があるかどうかを決定した。今回のケースでは、残ったTHFがNMRで検出できなかったとき、各フラスコの内容物をもう一度凍結乾燥した(125mLのアセトニトリル水溶液に再溶解した後)。この時点での最終凍結乾燥生成物は、NMRによって推定されるように平均で0.8重量%のアセトニトリルを含んだ。各フラスコの内容物は、スパチュラを使用してより小さな粒子に粉砕し、および次に高真空ポンプにて配置してアセトニトリルを除去した。真空ポンプでの56-60時間後に、アセトニトリルレベルでの更なる低下は観察されなかった。各フラスコの内容物を合わせて、RV40モノラクタート塩の複合バッチの合計で74.3g(180gのバンコマイシン・HClの合計変換に基づいて35.5%の収率)を白色固体として提供し、それはHPLCによって>99エリア%純度であると見出され、および1HNMR(DMSO-d6)分析によって決定されるように一当量のラクタートを含んだ。生成物において含水量は、K-F分析によって測定されるように5.6重量%にて見出された。
例5-バンコマイシン誘導体RV79の合成
グリコペプチド誘導体RV79に達するための合成スキームを以下に記載し、およびまた図3にも提供する。撹拌棒を備えた40mLバイアルに無水DMF(20mL)およびDIPEA(0.20mL)を加えた。取得した溶液はインキュベーションしたシェーカーにて65℃に加熱し、およびバンコマイシン・HCl(700mg、0.462mmol)を少しずつ緩徐に加えた。すべてのバンコマイシン・HClが溶解するまで加熱を続けた(5-10分)。ベージュ色の溶液を室温まで冷却しておき、その時点で4'-クロロ-ビフェニル-4-カルボアルデヒド(carbaldehyde、カルバルデヒドとも言う)(0.1g、0.462mmol)を反応混合物に加えた。反応混合物を夜通し撹拌しておいた。MeOH(1.5mL)およびTFA(0.14mL、1.8mmol)を導入し、および少なくとも2時間撹拌を更に続けた。ボランtert-ブチルアミン錯体(40mg、0.46mmol)を少しずつ加え、および反応混合物を環境温度で追加的に2時間撹拌した。反応完了後、反応混合物は、水およびアセトニトリルで、各々は0.1%(v/v)のTFAが含まれるものの勾配を用いる逆相C18カラムクロマトグラフィー(Phenomenex Luna 10 uM PREP C18(2)250×21.2mmカラム)を使用して精製した。HPLCを使用してフラクションを評価し、および次いでRV79を含む適切なフラクションは、凍結乾燥を介した生成物の分離のために一緒にプールした。標的化合物、RV79(81.2mg、0.05mmol、全体の収率10%)は>97%純度(HPLCによる)での白色固体として取得した。反応スキームを図3に示す。
例6-アルキル-バンコマイシン誘導体の合成
アルキルバンコマイシン誘導体は、Nagarajan(ナガラジャン)らにおいて開示された手順に、若干の修正を加えたものに従って調製した(Nagarajanら(1989)。The Journal of Antibiotics 42(1), pp. 63-72、参照によってすべての目的のためにその全体においてここに組み込む)。
アルキルバンコマイシン誘導体についての一般的合成を図4において示す。簡単には、温度制御された反応容器に、バンコマイシンHCl、適切な反応溶媒、有機塩基、および適切なアルデヒドを加えた。反応混合物を高温にてオーバーヘッドスターラーによりかき混ぜ、および反応の進行をバンコマイシンの消費およびイミン形成を注視するHPLCを介して監視した。次いで、反応容器に適切な還元剤、酸触媒(TFA)、およびプロトン性溶媒(MeOH)を加えた。反応混合物をオーバーヘッドスターラーによっておよそ2時間かき混ぜた。次に、アルキルバンコマイシン誘導体の沈殿を誘導するために、反応混合物を水中に注ぐか、または溶媒を減圧下で除去するかのいずれかであった。
粗製物質を適切な移動相に溶解し、および分取クロマトグラフィーを介して精製した。バンコマイシンアルキル誘導体を白色粉末として、典型的には全収率40-60%において産生するために、回転蒸発、凍結乾燥、および噴霧乾燥を含む技術の組合せを用いて、溶媒を精製物質から除去した。適切な溶媒には、N,N-ジメチルホルムアミドまたはN,N-ジメチルアセトアミドが含まれる。適切な有機塩基には、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまたはトリメチルアミンが含まれる。適切な還元剤には、NaBH4、NaBH3CN、ボラン-ピリジン錯体、またはボラン-tertブチルアミン錯体が含まれる。
N-デシルバンコマイシン(化合物5)の合成:化合物5、デシルバンコマイシンへの合成経路を図5に提供する。ジャケット付き1L反応容器にオーバーヘッドスターラーを装備し、および65℃に調整した再循環水浴に接続した。温かい反応容器にN,N-ジメチルアセトアミド(160mL)およびDIPEA(6.8mL、39.0mmol、2.92当量)を加え、溶媒をおよそ20分間撹拌しておいた。溶媒の温度が65℃に達したら、バンコマイシンHCl(19.8g、13.38mmol、1.00当量)を反応容器に加えた。反応容器に1-デカナール(2.54mL、13.50mmol、1.01当量)を加え、および反応混合物を65℃で2時間撹拌しておいた。次に、反応混合物にNaBH3CN(2.31g、36.77mmol、2.75当量)、MeOH(100mL)、およびTFA(3.1mL、40.48mmol、3.03当量)を加えた。室温に冷却しながら、反応混合物を2時間撹拌しておいた。次に、沈殿を誘導するために、反応混合物をアセトニトリル(1L)中に注いだ。デカントを除去し、および残ったオフホワイトのスラリーを遠心分離し、および過剰の溶媒を除去し、およびN-デシルバンコマイシンおよび未反応バンコマイシンを含むスラリーを生成するためにデカントした。粗製のN-デシルバンコマイシンは0.05%HOAcを有する30:70のアセトニトリル:H2Oに溶解し、および逆相C18分取HPLCを使用して精製した。有機物を除去するために純粋なフラクションを回転蒸発に供し、および瞬間凍結し、および精製N-デシルバンコマイシンをふわふわした白色粉体として分離するために凍結乾燥した。
例7-クロロエレモマイシン誘導体RV79の合成
撹拌棒を備えた20mLのシンチレーションバイアルに、クロロエレモマイシンおよびMeOH中の酢酸銅(II)の溶液を加えた。クロロエレモマイシンが溶解するまで、反応混合物を室温で撹拌した。次いで、反応混合物に、適切なアルデヒドおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムをTHFにおける1M溶液として加えた。反応混合物を45℃に設定されたインキュベーションしたシェーカーに移し、およびHPLCによって反応の進行を監視した。場合によっては、アルデヒド試薬の追加的なアリコートを加える必要があった。反応混合物を45℃にて夜通し振盪させておいた。反応混合物をRTに冷却し、および残留アルデヒド試薬を対応するアルコールに変換するために、水素化ホウ素ナトリウムを添加した。酢酸または0.1MのNaOHのいずれかを使用してpHを7-8間に調整し、およびN2(g)を穏やかに加熱してブローすることによって揮発性溶媒を除去した。粗製生成物をオフホワイト固形物として沈殿させるために、反応混合物にアセトニトリルを加えた。反応混合物を遠心分離し、および液体をデカントした。固体は0.1%リン酸を含む10%MeCN/H2Oにおいて溶解して銅を複合体に構成し(decomplex)、その時点で溶液が一時的に紫色に変わり、および次に黄色味を帯びた。分取HPLCを使用して最終生成物を精製し、およびLCMSを使用して化合物の同一性および純度を確認した。
反応のダイアグラムは図1、下部に提供する。
例8-グリコペプチド誘導体のC末端修飾
撹拌棒を備えた丸底フラスコに、LPGC誘導体、DMF:DMSOの1:1溶液、およびDIPEAを加えた。次いで、反応混合物に、HBTUおよび適切なアミン(例は、3-(ジメチルアミノ)-1-プロピルアミン)を添加した。反応の進行をHPLCによって監視した。完了したら、1:1のH2O:MeOHを加えることで反応をクエンチした。次に、粗製物質は逆相C18分取HPLCを使用して精製した。精製フラクションを凍結乾燥して、典型的には適度な収率および高純度での白色のふわふわした粉体として、標的生成物を産生した。
例9-グリコペプチド誘導体のレゾルシノール様修飾
撹拌棒を備えた丸底フラスコに、(アミノメチル)リン酸、水、およびDIPEAを加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌しておいた。次に、反応混合物に、アセトニトリルおよびホルムアルデヒドを、H2Oにおいて37%溶液で加えた。反応混合物を追加的に15分間撹拌しておき、その時点で、グリコペプチド誘導体および追加のDIPEAを加えた。HPLCを使用して、反応の進行を注意深く監視した。完了したら、逆相C18分取HPLCを使用して反応混合物を精製した。精製フラクションを凍結乾燥して、標的生成物を白色のふわふわした粉体として産生した。
例10-グリコペプチド誘導体の最小阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration)(MIC)
MICテスティング(MIC試験):グリコペプチド化合物を100%DMSOにおいて溶解した。CLSIガイド付き液体培地感受性試験(CLSI-guided broth susceptibility testing)を使用して、品質管理菌株ATCC 29213(MSSA)およびMRSA分離株(MRSA isolate)ATCC BAA-1556に対する化合物の薬物最小阻止濃度(MICs)を測定するためにインビトロ(in vitro)活性を決定した。最小阻止濃度MICsを表2に概説する。グリコペプチドは、式(I)の化合物、およびそれらのそれぞれのR
1、R
2、R
3およびR
4基として規定される。表2において各化合物についてXは-O-である。
例11-グラム陽性細菌に対するグリコペプチド剤のインビトロ活性
多種多様なStaphylococcus aureus(スタフィロコッカス・アウレウス、黄色ブドウ球菌などとも言う)の感受性は、様々な抗生物質化合物に対する参照メチシリン耐性(MRSA)およびバンコマイシン中間(VISA)分離株を含めて評価した。
微量液体希釈(Broth microdilution)MIC試験は、臨床および実験標準委員会(the Clinical and Laboratory Standards Institute)(CLSI;1、2)からのガイドラインに従って行い、およびコンパレータ(comparators、比較薬などとも言う)のテラバンシン(TLV)、バンコマイシン(VAN)、チゲサイクリン(TGC)、およびリネゾリド(LNZ)が含まれた。さらに、他のグラム陽性細菌(Enterococci(エンテロコッカス、腸球菌などとも言う)、Streptococci(連鎖球菌、ストレプトコッカスなどとも言う)、およびClostridium difficile(クロストリジウム・ディフィシル))のテスト薬剤およびコンパレータに対する感受性も決定した。
材料および方法
テスト化合物。以下の表3に、6つのテスト薬剤およびコンパレータを詳述する。
分離株。テスト有機体はもともと、臨床ソース、American Type Culture Collection(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)(ATCC、Manassas(マナッサス)、VA(バージニア州))、およびS. aureusでのNetwork on Antimicrobial Resistance(抗菌物質耐性に関するネットワーク)(NARSA; BEI Resources(NARSA; BEIリソース)、Manassas、VA)から受けた。受領後、有機体を適切な寒天培地上で継代培養した。インキュベーションに続き、これらのプレートからコロニーを収集し、および細胞懸濁物を調製し、および凍結保護物質と共に-80℃にて凍結させた。アッセイの前日に、分離株の凍結保存物を、5%ヒツジ血液を含むトリプチケースソイ寒天培地(Trypticase Soy Agar)(Remel(レメル)、Lenexa(レネクサ)、KS(カンザス州);Lot No.(ロット番号)964323)にストリークし(画線培養するとも言う)、および35℃で夜通し環境雰囲気においてインキュベートしたが、次の、5%CO2において35℃で夜通しインキュベートしたStreptococci、およびブルセラ寒天培地(Brucella Agar)(Becton Dickinson(ベクトン・ディッキンソン)、Sparks(スパークス)、MD(メリーランド州);Lot No. 6168880)にストリークし、および35℃で48時間嫌気的にインキュベートしたC. difficileは除外した。
以下のS. aureus分離株および関連する表現型をもつ個体群(associated phenotypes)を、前述の抗生物質に対して評価した(表4)。
S. aureus ATCC 29213は、品質管理の目的のためにS. aureusの試験中に含んだ(Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)。Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing: Twenty-Seventh Informational Supplement.(抗菌物質感受性試験の性能基準:第27情報補足。)CLSI document(CLSI文書)M100-S27。CLSI、950 West Valley Road(ウェストバレーロード)、Suite(スイート)2500、Wayne(ウェイン)、Pennsylvania(ペンシルヴェニア)19087 USA、2017;2017;CLSI。Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-Tenth Edition.(好気的に増殖する細菌についての希釈抗菌物質感受性テストのための方法;承認基準-第10版。)CLSI document M07-A10. CLSI, 950 West Valley Road, Suite 2500, Wayne, Pennsylvania 19087-1898 USA, 2015)。
MRSA株のサブセットの概略も表5において提供する。
MRSA株(表5)に関して、化合物40(RV40)は、表6において提供された要因によって、それぞれのコンパレータよりも活性であることが見出された。
グラム陽性株のサブセットの概要をS. aureus種のもの以外で以下の表7に提供する。空白の項目は、それぞれの抗生物質がそれぞれの有機体に対して試験されなかったことを指し示す。
テスト媒体。MICアッセイのために採用した培地は、陽イオン調整ミュラーヒントンブイヨン(cation-adjusted Mueller-Hinton Broth)(MHBII;BD;Lot No. 6117994)であったが、補充された(supplemented)Brucella Broth(ブルセラ・ブロス、ブルセラブイヨンなどとも言う)(SBB)において試験したC. difficileは除いた。Streptococcus分離株については、MHBIIに3%のレーキホースブラッド(Laked Horse Blood)(Cleveland Scientific(クリーブランド・サイエンティフィック);Bath(バース)、OH(オハイオ州);Lot No. 333835)を補充した。C. difficileを試験するため、Brucella Broth(BD;Lot No. 6155858)にビタミンK(Sigma、St. Louis、MO;Lot No. 108K1088)、ヘミン(Sigma、Lot No. SLB14685V)、および5%Laked Horse Bloodを補充した。テスト媒体は、試験の各日に新たに調製し、およびCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)。Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing: Twenty-Seventh Informational Supplement. CLSI document M100-S27, CLSI, 950 West Valley Road, Suite 2500, Wayne, Pennsylvania 19087 USA, 2017;CLSI. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-Tenth Edition. CLSI document M07-A10. CLSI, 950 West Valley Road, Suite 2500, Wayne, Pennsylvania 19087-1898 USA, 2015)ごとのテラバンシンの試験のために、およびオリタバンシン、化合物40および化合物5の試験のために、0.002%ポリソルベート-80(v/v)を補充した。
テスト手順。MIC値は、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)。Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing: Twenty-Seventh Informational Supplement. CLSI document M100-S27. CLSI, 950 West Valley Road, Suite 2500, Wayne, Pennsylvania 19087 USA, 2017)によって記載された微量液体希釈手順を使用して定めた。自動化液体ハンドラー(Automated liquid handlers)(Multidrop(マルチドロップ)384、Labsystems(ラボシステムズ)、Helsinki(ヘルシンキ)、Finland(フィンランド);Biomek(バイオメク)2000およびBiomek FX、Beckman Coulter(ベックマン・クールター)、Fullerton(フラートン)CA(カリフォルニア州))を使用して、連続希釈および液体移動を行った。
薬物マザープレートで、それが複製ドータープレートに連続的な薬物希釈を提供するものを調製するために、標準96ウェル微量希釈プレート(Costar(コースター)3795)の列2-12のウェルに150μLの指定希釈剤を薬物の各行に対して充填した。試験物品およびコンパレータ化合物(試験する最高濃度の100×での300μL)を列1での適切なウェル中に分注した。次に、Biomek 2000を使用して、列1から列11までマザープレートにおいて2倍の連続希釈を行った。列12のウェルは薬物を含まず、およびアッセイのための有機体増殖コントロールウェルとして機能した。
ドータープレートに、Multidrop(マルチドロップ)384を使用して、テラバンシン、オリタバンシン、化合物40、および化合物5について0.002%ポリソルベート-80(v/v)を含む適切なテスト媒体のウェルあたり190μLを負荷した。ドータープレートは、Biomek FX機器にて調製し、それはマザープレートの各ウェルから2μLの薬物液を単一ステップにおいて各ドータープレートの対応するウェルに移した。C. difficileについてドータープレートを嫌気性チャンバー中に置き、および接種に先立ち1時間縮小させておいた(allowed to reduce)。
各有機体の標準化した接種物は、CLSI法に従って調製した(CLSI。Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-Tenth Edition. CLSI document M07-A10。CLSI, 950 West Valley Road, Suite 2500, Wayne, Pennsylvania 19087-1898 USA, 2015)。細菌懸濁物を0.5 McFarland(マクファーランド)標準の濁度に等しくなるように、MHBIIにおいて(または血液を伴わないC. difficile SBBの場合において)調製した。0.5 McFarland懸濁物を、適切なテスト媒体においてさらに1:20(またはC. difficileの場合、1:10)に希釈した。各有機体の接種物を滅菌リザーバー(Beckman Coulter 372788)中に分注し、およびBiomek 2000を使用して10μLの標準化接種物を各ウェル中に送り、最終テスト濃度をおよそ5×105CFU/mLにした。ドータープレートをBiomek 2000作業面に置いて逆にし(work surface reversed)、結果として低濃度から高濃度の薬物の接種が行われるようにした。C. difficileについては、接種物の調製およびドータープレートの接種は、嫌気性チャンバーにおいて手作業によて遂行した。
プレートを3段積み上げ、トッププレートの上を蓋で覆い、プラスチックバッグにおいて配置し、および35℃にて環境雰囲気において、テラバンシン、化合物40、化合物5、オリタバンシン、リネゾリド、およびチゲサイクリンについておよそ18-20時間、またはバンコマイシンについては24時間インキュベートし、ただし35℃にて嫌気的に48時間インキュベートしたC. difficileプレートは例外とした。インキュベーションに続き、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し、およびプレートビューアーを使用して底部から見た。各々のテスト化合物について、各テスト媒体について未接種の溶解度コントロールプレートを、薬物沈殿の証拠のために観察した。MICを読み取り、および目に見える増殖を抑制した薬物の最低濃度として記録した。リネゾリドについて、CLSIあたりのMICを読み取るとき、ピンポイントトレイリング(pinpoint trailing)を無視した(CLSI。Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-Tenth Edition. CLSI document M07-A10。CLSI, 950 West Valley Road, Suite 2500, Wayne, Pennsylvania 19087-1898 USA, 2015)。
結果
未接種の溶解度コントロールを用いたアッセイ中、コンパレータについて沈殿は観察されなかった。血液および補充されたBrucella brothを伴うMHBIIにおいて試験したトップ濃度(64μg/mL)にて化合物40および化合物5について、およびHTMにおいて化合物40(RV40)について、若干の沈殿が注目された。ただし、この沈殿はMICsの読取りを妨げなかった。ATCC品質管理有機体に対するコンパレータのMICsは、確立されたCLSI QC範囲内であり(CLSI。Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing; Twenty-Seventh Informational Supplement. CLSI document M100-S27. CLSI, 950 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, Pennsylvania 19087-2017.)、このようにしてアッセイが検証された。
S. aureus株について様々な抗生物質に対するの観察されたMIC値を表3-5に提供する。これらのデータはまた、図6および7でも提供する。12のMRSA株についてのデータは、表4-5、ならびに図8および9に提供する。
S. aureus以外のグラム陽性株について様々な抗生物質に対する観察されたMIC値を表6に提供する。化合物40は、評価したStreptococci、Enterococci、およびC. difficileのテスト分離株全体にわたり最も強力な化合物であった。化合物40により観察された活性はテラバンシンのものよりも5倍高く、傾向は化合物40がテラバンシンのものより3倍高い場合のS. aureusで観察されたデータと一致する(表1)。テラバンシンおよび化合物40の双方は、バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci)(VRE)に対して強力な活性を有したが、VREについてのMIC値はバンコマイシン感受性腸球菌(VSE)に比べて上昇した。
例12-MRSA 1556バイオフィルム根絶
バンコマイシン(Vanc)、テラバンシン(TLV)、オリチバンシン(ORI)およびRV40(式(I)または(II)の化合物、式中R1は(CH2)-NH-(CH2)9-CH3であり、R2はOHであり、R3およびR4はHであり、およびXはOである)は、MRSA 1556バイオフィルムを根絶するそれらの能力について試験した。
バイオフィルム開発のために、空の96ウェルプレートまたは24ウェルプレートに播種されたのう胞性(嚢胞性)線維症気管支上皮(cystic fibrosis bronchial epithelial)(CFBE)細胞には、MRSA 1556の夜通しの培養物(overnight culture)を6時間接種し、その後16時間抗生物質処理を続けた。16時間のインキュベーション後、プランクトン様(浮遊生物とも言う)細菌(planktonic bacteria)を除去し、およびバイオフィルムをスクラッピング方法(scrapping method)によって破壊し、およびCFUカウントのために収集した。結果を図10(プラスチックバイオフィルム)および図11(細胞バイオフィルム)に提供する。RV40は、テラバンシンおよびバンコマイシンと比較して、0.3-10μg/mlでプラスチック上に形成されたMRSA 1556バイオフィルムを著しく失わせた(killed)(図10)。RV40は、バンコマイシン、テラバンシン、およびオリタバンシンと比較して、CFBE細胞との共培養で発達したMRSA 1556バイオフィルムを20μg/mlで>3 log CFU/ml減少により失わせるのにより一層高い効果があった(図11)。
例13-MRSA有機体に対するグリコペプチド剤のインビボ活性
雄性スプラーグドーリーラット(Male Sprague Dawley rats)(179-200g)は、150mg/kg(日数-4)および100mg/kg(日数-1)にて一連のシクロホスファミド注射(IP)を通して好中球減少にした。それらは次に、研究日数0で鼻腔内(IN)滴下を介して、8 log10にてMethicillin-Resistant Staphylococcus aureus(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)(MRSA)(ATCC-BAA-1556; TPPS 1062)により攻撃感染した(challenged、チャレンジしたなどとも言う)。
ラットは、攻撃感染後(ポスト-チャレンジ)12時間および24時間でのAeroneb Pro nebulizer(アエロネブ・プロ・ネブライザ)に接続されたCH Technologies 12 Port Module Oral-Nasal Aerosol and Respiratory Exposure Systems(CHテクノロジーズ12ポートモジュール経口-鼻エアロゾルおよび呼吸器曝露システム)(ONARES)を用いた噴霧化を介して、ビヒクルコントロール(ビシン;pH9.2)またはRV40(化合物40)(ビシンにおいて;pH9.2)により処置した。36時間にて、攻撃感染後の肺をCFUエニュメレーション(CFU enumeration、CFU列挙)のために収集した。結果を図12において示す。
図13において報告したデータについて、36時間にて、攻撃感染後の肺をCFUエニュメレーションのために収集した。噴霧された薬物は、図12においてデータについて説明したのと同じ手順を使用して行われた。結果を肺CFUの対コントロールでのΔLog減少としてリストする(図13)。
図12からの同じ動物モデルを使用し、肺MRSA CFUsの低減における吸入RV40の用量反応に関する図14におけるデータを獲得した。再び、動物は、攻撃感染後12時間および24時間に薬物により処置した。36時間にて、攻撃感染後の肺をCFUエニュメレーションのために収集した。ここで、図12でのデータについて説明したのと同じ噴霧化手順を使用して、動物に1、2、5、および10mg/kgの体重目標にてRV40により投薬した。結果は肺CFUの対コントロールにおいてΔLog減少としてリストする(図14)。データは平均としてプロットし、および誤差はSEMである。
吸入RV40の予防的投薬に関する図15においてのデータを獲得して肺MRSA CFUsを低減するために、図12からの同じ動物モデルを使用した。ここで、動物には、細菌攻撃感染の7、5、3、および1日前に、および細菌攻撃感染の0.5日後に、噴霧吸入RV40(10mg/kg体重目標)の単回用量(single doses)を施した。攻撃感染後36時間で、肺をCFUエニュメレーションのために収集した。図12においてのデータについて説明したのと同じ噴霧化手順を用いて投薬を行った。結果を図15に提供する。データは95%CIを有する幾何平均としてプロットする。統計はポストホックボンフェローニ多重比較検定(post-hoc Bonferroni multiple comparison test)による一元配置分散分析(p=0.001)に基づく。日数-7、-5、-3、-1での処置グループについてN=11であり、日数+0.5についてn=10であり、およびコントロールについてn=8である。
* * * * * * * *
この出願を通して引用するすべての、文書、特許、特許出願、刊行物、生成物の説明、およびプロトコルは、あらゆる目的のためにそれらの全体を参照によってここに組み込む。
この明細において例示し、および検討する実施態様は、本発明を実行および使用するために本発明者らに既知の最良のやり方を本技術において熟練する者らに教示することだけが意図される。上記の教示に照らして本技術において熟練する者らによって認められるように、本発明の上記説明の実施態様の修飾および変形が本発明から離れることなく可能である。したがって、請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内で、本発明を具体的に説明したもの以外に実践し得ることが理解される。