JP7165106B2 - ジアリールエーテル化合物およびアニリン化合物の製造方法 - Google Patents

ジアリールエーテル化合物およびアニリン化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジアリールエーテル化合物およびアニリン化合物の新規な製造方法に関する。
ジアリールエーテル化合物およびアニリン化合物は、医薬品や天然物などの製造ステップ中に頻繁に使用される非常に有用な合成中間体の一つである。
ジアリールエーテル化合物の製造方法としては、一般的には、フェノールをN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させ、これにカリウムtert-ブトキシドを加え、さらにハロゲン化アリール化合物を加えて調製する方法が実施されている(特許文献1、非特許文献1参照)。
また、アニリン化合物の製造方法としては、例えば、ニトロベンゼンをエタノール水溶液に溶解させ、これに4N塩酸を加え、さらに鉄粉を加えて調製する方法が実施されている(特許文献1、非特許文献1参照)。
特許第2030548号
Takihiro,I. 等 Chem. Pharm. Bull. 2000,48,131
しかしながら、ジアリールエーテル化合物の製造方法について、特許文献1、非特許文献1に記載の方法で得られる収率は、前記ハロゲン化アリール化合物基準で84~85%であった。そのため、該製造方法は、この収率の点において改良の余地があった。
さらに、本発明者等の確認によれば、前記特許文献1、非特許文献1に記載の製造方法では、反応を繰り返し行った際のバッチ間における反応完結に必要な時間(反応時間)のばらつきが大きく、次工程のプロセス設計が難しい場合があり、安定的な製造という点で、改善の余地があった。具体的には、前記特許文献1、および非特許文献1の追試を行ったところ、長時間反応を行わなければ、収率が上がらず、その場合であっても、前記収率を大きく上回ることはなかった。
また、アニリン化合物の製造方法について、特許文献1、非特許文献1に記載の収率は、前記ハロゲン化アリール化合物基準で72~82%であった。そのため、該製造方法はこの収率の点においても、改良の余地があった。また、本発明者等が前記製造方法を追試すると、アニリン化合物の収率が著しく低下する場合があり、安定的な製造という点で改善の余地があることが分かった。
従って、本発明の目的は、所望するジアリールエーテル化合物およびアニリン化合物を収率良く、かつ、安定して製造できる新規な方法を提供することにある。
本発明者等は、従来のジアリールエーテル化合物の製造方法における課題を解決するために鋭意検討を重ねた。そして、反応に使用する溶媒を種々検討した。その結果、ジメチルスルホキシド中で、水酸基を有する芳香族化合物と、アルカリ金属含有化合物と、を接触させて得られたジメチルスルホキシド溶液と、ハロゲン化アリール化合物と、を接触させることにより、収率良くジアリールエーテル化合物を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、前記ジメチルスルホキシド溶液を一定温度範囲で保持した後にハロゲン化アリール化合物と接触させることで、反応バッチ間における反応時間のばらつきが抑えられることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、本発明者等は、新規な前記製造方法により得られたジアリールエーテル化合物と、特定の塩と、特定の金属と、を接触させることにより、収率良くアニリン化合物を製造できることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、
ジメチルスルホキシド中で、
下記式(I):
Figure 0007165106000001
[式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族環基である。]
で表される芳香族化合物(以下、単に「芳香族化合物」とする場合もある。)と、
アルカリ金属アルコキシドを含むアルカリ金属含有化合物と、を接触させて得られたジメチルスルホキシド溶液と、
下記式(II):

Figure 0007165106000002
[式中、Rは、水酸基保護基であり、Xは、ハロゲン原子である。]
で表されるハロゲン化アリール化合物(以下、単に「ハロゲン化アリール化合物」とする場合もある。)と、を接触させることにより、
下記式(III):
Figure 0007165106000003

[式中、Arは前記式(I)におけるものと同義であり、Rは、前記式(II)におけるものと同義である。]
で表されるジアリールエーテル化合物(以下、単に「ジアリールエーテル化合物」とする場合もある。)を製造する、ジアリールエーテル化合物の製造方法
である。
さらに、第一の発明においては、
前記芳香族化合物と前記アルカリ金属含有化合物とを接触させて得られた前記ジメチルスルホキシド溶液を、40~60℃の温度範囲で保持する調整を行った後、次いで、
前記式(II)で表されるハロゲン化アリール化合物を接触させることが好ましい。こうすることにより、バッチ間での収率のばらつきをより一層少なくすることができる。
さらに、第二の本発明は、
前記式(III)で表されるジアリールエーテル化合物を製造した後、
得られたジアリールエーテル化合物と、
アンモニウム塩と、
鉄、亜鉛、スズ、および銅から選ばれる少なくとも1種の金属と、
を接触させることにより、
下記式(IV):
Figure 0007165106000004
[式中、Arは前記式(I)におけるものと同義であり、Rは、前記式(II)におけるものと同義である。]
で表されるアニリン化合物(以下、単に「アニリン化合物」とする場合もある。)を製造する、アニリン化合物の製造方法
である。
本発明のジアリールエーテル化合物の製造方法によれば、高い収率で、所望するジアリールエーテル化合物を製造できる。
さらに、得られた前記ジメチルスルホキシド溶液を一旦、40~60℃の温度範囲に保持する調整を行った後、前記ハロゲン化アリール化合物を接触させると、前記高い収率である効果に加えて、反応バッチ間における反応時間のばらつきがより一層抑えられる効果も奏される。
なお、本発明のジアリールエーテル化合物の製造方法においてこのような効果が得られた理由について詳細は不明であるが、本発明者等は次のように推定している。例えば、芳香族化合物としてフェノールを使用し、アルカリ金属含有化合物としてカリウムtert-ブトキシドを使用した場合には、以下のように反応が進行するものと考えられる。即ち、先ず、ジメチルスルホキシドの酸素原子が、フェノールとカリウムtert-ブトキシドとの反応により生成したフェノキシカリウムのカリウムイオンに配位する。そして、フェノキシドイオンが安定化し、ハロゲン化アリール化合物と容易に反応することができる。その結果、高い収率でジアリールエーテル化合物が得られると考えられる。また、前記ジメチルスルホキシド溶液を特定の温度範囲で保持することで、フェールとカリウム-tertブトキシドとの反応が促進され、安定してフェノキシカリウムが得られるものと考えられる。その結果、反応時間のばらつきがより小さくなると考えられる。
以上のような理由により、高い収率で、かつ安定してジアリールエーテル化合物を製造できる。この効果が発揮されることにより、ジアリールエーテル化合物を原料とする本発明は、次工程で得られるアニリン化合物も、高い収率で、安定して製造することができる。
得られたジアリールエーテル化合物と、アンモニウム塩と、鉄、亜鉛、スズ、および銅から選ばれる少なくとも1種の金属と、を接触させて、アニリン化合物を得る製造方法は、以下の効果が発揮されるものと考えられる。即ち、塩化水素などのブレンステッド酸を直接用いる場合に比べて、アンモニウム塩のような反応系内でプロトンを発生させる塩を用いることにより、徐々に反応系中にプロトンが発生し、該プロトンが揮発性の酸として系外に揮散することを回避できると考えられる。その結果、より安定して反応を進められるものと考えられる。
≪ジアリールエーテル化合物の製造方法≫
本発明は、ジメチルスルホキシド中で、芳香族化合物と、アルカリ金属含有化合物と、を接触させ、得られたジメチルスルホキシド溶液と、ハロゲン化アリール化合物と、を接触させることを特徴とする、ジアリールエーテル化合物の製造方法である。
<芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物との接触>
先ず、ジメチルスルホキシド中で、芳香族化合物と、アルカリ金属含有化合物との接触について説明する。
(ジメチルスルホキシド)
本発明の最大の特徴は、ジメチルスルホキシドを反応溶媒として使用する点にある。加えて、それぞれの成分を混合する順序を限定した点にある。
本発明において、使用するジメチルスルホキシドは、特に制約はなく、通常の市販のものをそのまま使用することができる。なお、該ジメチルスルホキシドには、不可避的に含まれる水が0.1vol%以下含まれていても良いが、なるべく水が含まれないものを使用することが好ましい。
本発明の製造方法において、使用するジメチルスルホキシドの量は、特に制限されるものではない。中でも、芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物とを効果的に接触せしめるためには、後述するハロゲン化アリール化合物1gに対して、ジメチルスルホキシドを1mL以上100mL以下使用することが好ましい。中でも、ジメチルスルホキシドの使用量が多いと反応が遅くなる傾向があるため、前記ハロゲン化アリール化合物1gに対して、ジメチルスルホキシド2mL以上50mL以下使用することがより好ましい。なお、本発明における溶媒の体積は25℃におけるものとする。
(基質;芳香族化合物)
本発明において、基質(原料)の一つとなる芳香族化合物は、下記式(I):
Figure 0007165106000005
(式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族環基である。)
で表される。この化合物は、公知の方法で製造できる。また、市販のものを使用できる。
[Arの説明]
式(I)において、Arは、得られるジアリールエーテル化合物の有用性を考慮すると、以下の式(I-1)で表される芳香族環基であることが好ましい。
Figure 0007165106000006

式(I-1)において、Rの基の数を示すnは、0~5の整数である。nは、得られるジアリールエーテル化合物の有用性を考慮すると、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0または1である。なお、nが2以上の場合には、Rは同一の基であっても、異なる基であってもよい。
式(I-1)において、Rは、アルキル基、又はアルコキシ基であることが好ましい。
前記アルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
また、式(I-1)において、特に制限されるものではないが、nが1以上の場合には、得られるジアリールエーテル化合物の有用性を考慮すると、少なくとも、ベンゼン環の4位にRが結合していることが好ましい。ベンゼン環の1位は、-OHが結合している位置である。
前記芳香族化合物の中でも、より有用なジアリールエーテル化合物を得るためには、該芳香族化合物は、フェノール(式(I―1)において、n=0の化合物)、又は4-メトキシフェノール(式(I―1)において、n=1であり、Rがメトキシ基の化合物)であることが好ましい。
また、本発明の製造方法において、使用する芳香族化合物の量は、特に制限されるものではないが、後述するハロゲン化アリール化合物1モルに対して、1~2モルである。
(アルカリ金属含有化合物)
本発明において、使用するアルカリ金属含有化合物は、アルカリ金属を含む塩基であれば、特に制限されるものではない。
該アルカリ金属を含む塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属アルコキシド、及びアルカリ金属水酸化物等から選ばれる。
アルカリ金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
これらアルカリ金属含有化合物は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
また、これらアルカリ金属含有化合物は、試薬として販売されている市販のものを使用することができる。
これらアルカリ金属含有化合物の中でも、副生物抑制の点から、リチウムジイソプロピルアミドや、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドからなる非求核塩基を使用することが好ましい。特に、前記芳香族化合物との反応性の点や、工業的に安価で入手可能な点から、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド、中でもカリウムt-ブトキシドを使用することが好ましい。
本発明において、使用するアルカリ金属含有化合物の量は、特に制限されるものではないが、後述するハロゲン化アリール化合物1モルに対して、1~2モルである。
(芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物との接触)
本発明においては、先ず、芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物とをジメチルスルホキシド中で接触させることを特徴とする。これらを接触させる方法は、特に制限されるものではない。具体的には、ジメチルスルホキシド中で両者を攪拌混合することにより、接触させることが好ましい。
接触させる順序も特に制限されるものではない。例えば、攪拌機能を有する反応器内に予めジメチルスルホキシドを導入しておき、その反応器内に必要に応じてジメチルスルホキシドで希釈した芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物とを同時に加え、攪拌混合する方法が挙げられる。また、予めジメチルスルホキシドと芳香族化合物とを反応器内に導入して攪拌混合しておき、その後、必要に応じてジメチルスルホキシドで希釈したアルカリ金属含有化合物を添加して攪拌混合を続ける方法を挙げることができる。さらには、添加する順序をこの逆にして攪拌混合することもできる。
芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物とを接触させる際の温度(接触温度)は、特に制限されるものではない。具体的には、10~60℃の温度範囲で実施することができる。中でも、操作のし易さの観点から、20~35℃の温度範囲で実施することが好ましい。
また、接触させる際の圧力も、特に制限されるものではない。具体的には、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの雰囲気で実施してもよい。中でも、操作性を考慮すると、大気圧下で実施することが好ましい。また、接触時の雰囲気も、特に制限されるものではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することができる。中でも、雰囲気中の水分の混入を考慮すると、不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
本発明においては、以上のような条件で芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物と接触させればよい。このような接触を行った後は、以下に詳述する<ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触>を行うことができる。ただし、アルカリ金属含有化合物がジメチルスルホキシド中に十分に溶解し、芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物とを効果的に接触せしめることができるという点で、以下の調整を行うことが好ましい。具体的には、ジメチルスルホキシド中で芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物とを接触させて得られたジメチルスルホキシド溶液を40~60℃の温度範囲で保持する調整を行うことが好ましい。
この調整は、アルカリ金属含有化合物と芳香族化合物とをジメチルスルホキシド中で接触させる温度(接触温度)が40~60℃である場合には、芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物とを攪拌混合しながら、そのまま維持すればよい。また、40℃未満の接触温度を採用した場合には、芳香族化合物とアルカリ金属含有化合物との全量を攪拌混合した後、得られたジメチルスルホキシド溶液が40~60℃の温度範囲となるように、攪拌混合しながら昇温(温度調整)すればよい。
この調整を行う時間については、装置の概要、原料化合物の量・濃度等によって、最適値が異なる。そのため、一義的に決定できるものではないが、ジメチルスルホキシド中でアルカリ金属含有化合物と芳香族化合物とが十分に接触(反応)して、安定な状態とするためには、得られるジメチルスルホキシド溶液の温度を40~60℃の範囲としてから、0.5~2時間程度、その温度に保持(維持)することが好ましい。
<ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触>
次いで、得られたジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触について説明する。
(基質;ハロゲン化アリール化合物)
本発明において、もう一方の基質(原料)ハロゲン化アリール化合物は、下記式(II):
Figure 0007165106000007
(式中、Rは、水酸基保護基であり、Xは、ハロゲン原子である。)
で表される。この化合物は、公知の方法で製造できる。また、市販のものを使用できる。
[Rの説明]
前記式(II)において、Rは、一般に用いられる水酸基保護基であり、例えば、エステル型保護基、アリールアルキル型保護基およびアルキル型保護基から選択される基である。
前記エステル型保護基としては、炭素数1~3のアルキルカルボニル基が好ましく、具体的には、アセチル基等が挙げられる。
前記アリールアルキル型保護基としては、炭素数7~10のアリールアルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、1-フェニルエチル基等が挙げられる。
前記アルキル型保護基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、tert-ブチル基等である。
[Xの説明]
前記式(II)において、Xは、ハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。中でも、反応性を考慮すると、塩素原子又はヨウ素原子が好ましい。
[RとXとの好ましい組み合わせ]
前記式(II)において、RとXとの好ましい組み合わせは、Rがアルキル型保護基であり、Xが塩素原子、又はヨウ素原子である。中でも、Rは、メチル基、エチル基、又はtert-ブチル基であり、Xは、塩素原子、又はヨウ素原子が好ましい。特に好ましくは、Rは、メチル基であり、Xは、塩素原子である。
好適な式(II)で示される化合物を例示すれば、4-クロロ-3-ニトロアニソール等が挙げられる。これら化合物を使用することにより、より有益なジアリールエーテル化合物を得ることができる。
(ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触)
本発明の製造方法において、前記ジメチルスルホキシド溶液と前記ハロゲン化アリール化合物とを接触させる方法は、特に制限されるものではない。具体的には、両者を攪拌混合することにより、接触させることが好ましい。
接触させる順序も特に制限されるものではない。例えば、攪拌機能を有する反応器内に予め前記ジメチルスルホキシド溶液を導入しておき、その反応器内に必要に応じてジメチルスルホキシドで希釈した前記ハロゲン化アリール化合物を加え、攪拌混合する方法が挙げられる。さらには、添加する順序をこの逆にして攪拌混合することもできる。なお、前記ハロゲン化アリール化合物は、ジメチルスルホキシド以外の溶媒で希釈して取り扱うこともできるが、溶媒の回収等を考慮すると、ジメチルスルホキシドを使用することが好ましい。
前記ジメチルスルホキシド溶液と前記ハロゲン化アリール化合物とを接触させる際の温度(反応温度)は、特に制限されるものではない。中でも、60~100℃の温度範囲で実施することが好ましい。60℃未満で両者を接触させた場合、反応が進行し難く、反応時間が長時間化する傾向にある。また、100℃を超える高温で両者を接触させた場合、ジメチルスルホキシドが分解し、その分解物と目的物との分離が困難なため、目的物の収率が低下する傾向にある。また、該目的物の収率低下に加えて、上記分解物由来の副生物が生じる傾向にある。
また、接触させる際の圧力も、特に制限されるものではない。具体的には、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの雰囲気で反応を実施してもよい。操作性を考慮すると、大気圧下で実施することが好ましい。また、接触時の雰囲気も、特に制限されるものではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することができる。雰囲気中の水分の混入を考慮すると、不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
反応時間も、原料の反応状態を確認して適宜決定すればよい。上記条件であれば、前記ジメチルスルホキシド溶液と前記ハロゲン化アリール化合物との全量が混合されて、1~30時間、攪拌混合すれば十分である。
(後処理)
本発明の製造方法において、前記ジメチルスルホキシド溶液と前記ハロゲン化アリール化合物との接触の後、以下の後処理を行うことが好ましい。具体的には、前記接触により得られた反応液と、難水溶性有機溶媒、例えば、トルエン等の難水溶性有機溶媒と、水とを攪拌混合する。このとき、混合後の溶液を静置して得られた水層がアルカリ性、好ましくはpHが12以上のアルカリ性となるようにすることが好ましい。そのため、用いる前記水としては、アルカリ水溶液、より好ましくはpHが12以上のアルカリ水溶液を用いることが好ましい。該アルカリ水溶液は、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩を水に溶解したものを用いることができる。当該操作を実施することで、前記反応液に含まれる未反応の芳香族化合物を容易に水層へと除去することができる。次いで、得られた有機層を分取し、濃縮することにより、ジアリールエーテル化合物を単離する。得られたジアリールエーテル化合物は、ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触による反応が充分に進行して得られたものであるから、下記に詳述するアニリン化合物の製造方法に供する原料として使用することもできる。また、必要に応じて、再結晶、カラム精製等の公知の手段によりさらに精製することができる。
以上の方法を行うことにより、医薬の原料・中間体など、様々な用途に使用可能なジアリールエーテル化合物を高収率で製造できる。本発明の製造方法の好適な一例を反応式で示すと以下の通りである。
Figure 0007165106000008
上記式(III-A)で表されるジアリールエーテル化合物は、抗リウマチ薬として使用されるイグラチモドの合成中間体として有用である。
≪アニリン化合物の製造方法≫
本発明の方法によれば、高い収率で、かつ安定してジアリールエーテル化合物を製造できる。そのため、前記方法で得られたジアリールエーテル化合物を使用して、ニトロ基をアミノ基に還元したアニリン化合物とする場合であっても、高い収率で、かつ安定した製造を実施できる。
本発明においては、公知の方法でニトロ基を還元してアミノ基にすることにより、所望とするアニリン化合物を得ることができる。中でも、より高い収率で、より安定してアニリン化合物を得るためには、以下の製造方法を採用することが好ましい。具体的には、前記方法で得られたジアリールエーテル化合物と、アンモニウム塩と、特定の金属(以下、単に「金属」とする場合もある。)と、を接触させる方法を採用することが好ましい。
(アンモニウム塩)
前記したように、反応系内でプロトンを発生させる塩として、アンモニウム塩を使用することが好ましい。アンモニウム塩を使用することによって、ニトロ基の還元反応がより安定して進められると考えられる。
該アンモニウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
また、該アンモニウム塩は、試薬として販売されている市販のものを使用することができる。
アンモニウム塩の中でも、反応効率、入手しやすさ等を考慮すると、ハロゲン化アンモニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩がより好ましい、より一層好ましくは、塩化アンモニウム、ギ酸アンモニウムを使用することが好ましい。
使用する塩の量は、反応が充分に進行する量であれば、特に制限されるものではない。中でも、生産性を高くし、精製等の後工程を容易とするためには、前記ジアリールエーテル化合物1モルに対して、1~10モル、より好ましくは2~5モルの塩を使用することが好ましい。
(金属)
本発明においては、鉄、亜鉛、スズ、および銅から選ばれる少なくとも1種の金属を使用することが好ましい。
これら金属は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
また、これら金属は、化学還元用として販売されている市販のものをそのまま使用することができる。これら金属の中でも、反応効率、入手の容易性等を考慮すると、鉄を使用することが好ましい。
使用する金属は、反応効率の点から表面積の大きいものほど好ましい。そのため、該金属からなる粉末の平均粒径は、50~100μm程度が好ましい。また、その形状は、球状、多角形状、不定形状、針状及び板状等、特に限定されるものではない。
使用する金属は、市販のものをそのまま使用することができるし、本発明の反応が金属表面での反応となることから、使用前に塩酸や硫酸などの酸を用いて表面を洗浄して使用してもよい。
使用する金属の量は、反応が充分に進行する量であれば、特に制限されるものではない。中でも、生産性を高くし、精製等の後工程を容易とするためには、前記ジアリールエーテル化合物1モルに対して、1~10モル、より好ましくは2~5モルの金属を使用することが好ましい。
(反応溶媒)
本発明においては、前記ジアリールエーテル化合物と、アンモニウム塩と、金属と、の接触を円滑に進めるために、反応溶媒を使用することが好ましい。
使用する反応溶媒の種類は、前記アンモニウム塩を溶解するために、水と有機溶媒の混合溶媒であることが好ましい。該有機溶媒としては、水と任意の割合で混ざり合う有機溶媒、特に、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノールなどのアルコール類などが挙げられる。水と有機溶媒の混合溶媒を使用する場合、水と有機溶媒との混合比率は、水1mLに対して有機溶媒が1~3mLが好ましい。
使用する反応溶媒の量は、反応系の攪拌が充分にできる量であれば、特に制限されるものではない。中でも、効率的に各成分を接触せしめるためには、前記ジアリールエーテル化合物1gに対して、1~100mL、より好ましくは2~50mLの反応溶媒を使用することが好ましい。なお、本発明における反応溶媒の体積は25℃におけるものとする。
(ジアリールエーテル化合物と、アンモニウム塩と、金属と、の接触)
本発明において、ジアリールエーテル化合物と、アンモニウム塩と、金属と、を接触させる方法は、特に制限されるものではない。具体的には、これらを攪拌混合することにより、接触させることが好ましい。
接触させる順序も特に制限されるものではない。例えば、攪拌機能を有する反応器内にジアリールエーテル化合物、アンモニウム塩、および前記反応溶媒を添加し、該ジアリールエーテル化合物およびアンモニウム塩を該反応溶媒に溶解させ、その反応器内に金属を加え、攪拌混合する方法する方法が挙げられる。また、攪拌機能を有する反応器内にジアリールエーテル化合物、鉄、および前記反応溶媒を添加し、該ジアリールエーテル化合物を該溶媒に溶解させ、その反応器内にアンモニウム塩を加え、攪拌混合する方法、等が挙げられる。なお、これら方法を行う際、上記アンモニウム塩が反応溶媒に難溶の場合は、該アンモニウム塩を含む反応溶媒を加熱し、該アンモニウム塩を溶解してもよい。
前記ジアリールエーテル化合物と、アンモニウム塩と、金属と、を接触させる際の温度(反応温度)は、特に制限されるものではない。具体的には、25~90℃、より好ましくは50~80℃の温度範囲で実施することができる。なお、前記アンモニウム塩を溶解するために前記反応溶媒を25~90℃に加熱した場合には、そのまま維持し、ジアリールエーテル化合物と金属とを攪拌混合すればよい。
また、接触させる際の圧力も、特に制限されるものではない。具体的には、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの雰囲気で反応を実施してもよい。中でも、操作性を考慮すると、大気圧下で実施することが好ましい。また、接触時の雰囲気も、特に制限されるものではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することができる。
反応時間も、原料の反応状態を確認して適宜決定すればよい。上記条件であれば、ジアリールエーテル化合物と金属との全量が混合されて、0.5~5時間、攪拌混合すれば、十分である。
(後処理)
本発明においては、ジアリールエーテル化合物と金属とアンモニウム塩との接触の後、以下の後処理を行うことが好ましい。例えば、前記接触の後、反応系内の金属を減圧ろ過で除去する。次いで、得られた濾液に含まれる溶媒を減圧下で除去し、乾燥させることでアニリン化合物を単離する。得られたアニリン化合物は、カラム精製、溶媒洗浄、水洗、再結晶等の公知の手段により精製することができる。
以上の方法を行うことにより、医薬の原料・中間体など、様々な用途に使用可能なアニリン化合物を高収率で製造できる。本発明の製造方法の好適な一例を反応式で示すと以下の通りである。
Figure 0007165106000009
上記式(IV-A)で表されるアニリン化合物は、抗リウマチ薬として使用されるイグラチモドの合成中間体として有用である。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における純度評価は、以下の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法で行った。
<HPLCの測定条件>
装置:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)。
機種:2695-2489-2998(Waters社製)。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:240nm)。
カラム:Kinetex C18、内径4.6mm、長さ25cm(粒子径5μm)(Phenomenex社製)。
カラム温度:30℃一定。
サンプル温度:25℃一定。
移動相A:アセトニトリル。
移動相B:15mMリン酸二水素カリウム水溶液(pH=2.5 リン酸にて調整)。
移動相の送液:移動相A,Bの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
Figure 0007165106000010
流速:0.8mL/分。
測定時間:45分。
なお、上記HPLCの測定条件において、前記芳香族化合物であるフェノールは約5.3分、前記アニリン化合物である5-メトキシ-2-フェノキシアニリンは約20.7分、前記ハロゲン化アリール化合物である4-クロロ-3-ニトロアニソールは約22.3分、前記ジアリールエーテル化合物である3-ニトロ-4-フェノキシアニソールは約34.8分、にピークが確認される。
以下の実施例、比較例において、前記芳香族化合物、前記アニリン化合物、前記ハロゲン化アリール化合物、前記ジアリールエーテル化合物の各純度の値は、すべて、上記HPLCの測定条件に準じて測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する各化合物のピーク面積値の割合から求められる値である。
[実施例1](ジメチルスルホキシドを使用、50℃保持有り)
以下の反応式に従って、下記式(III-A)で表されるジアリールエーテル化合物を合成した。
Figure 0007165106000011
<ジメチルスルホキシド溶液の準備>
直径7.5cmの2枚撹拌翼を備えた1000mL四つ口フラスコに、フェノール24.1g(255.89mmol;芳香族化合物)を量りとり、ジメチルスルホキシド(200mL)を加えて25℃で10分間混合攪拌した。攪拌後、同温でカリウムtert-ブトキシド28.7g(255.89mmol;アルカリ金属含有化合物)を加え、得られたジメチルスルホキシド溶液を50℃まで加熱し、同温度にて1時間攪拌しながら保持した。
<ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触>
前記のように50℃の温度で保持したジメチルスルホキシド溶液に、4-クロロ-3-ニトロアニソール40g(213.24mmol;ハロゲン化アリール化合物)を加え、80℃まで昇温し、同温度で7時間反応を行った。7時間反応後、純度評価の結果は、3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物):94.701%、4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物):2.100%であった。
<後処理>
反応後の溶液を30℃以下まで冷却した後、トルエン400mL、1M水酸化ナトリウム水溶液400mLを加えて15分間攪拌し、静置後水層のpHが12であることを確認した。水層を除去して得られた有機層を蒸留水で2回洗浄した後、有機層を濃縮し、51.1gの3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)を残渣として得た(収率:97.7%、純度:96.306%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物))、1.996%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))。なお、得られた3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)は、黒褐色のオイル状物であった。
また、実施例1の反応条件で10回同じ製造を繰り返したが、再現性良く反応が進行することを確認した。
[実施例2](ジメチルスルホキシドを使用、50℃保持無し)
<ジメチルスルホキシド溶液の準備>
直径7.5cmの2枚撹拌翼を備えた300mL四つ口フラスコにフェノール6.0g(63.97mmol;芳香族化合物)を量りとり、ジメチルスルホキシド(50mL)、カリウムtert-ブトキシド7.2g(63.97mmol;アルカリ金属含有化合物)を加え、25℃の状態でジメチルスルホキシド溶液を得た。
<ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触>
得られたジメチルスルホキシド溶液に4-クロロ-3-ニトロアニソール10g(53.31mmol;ハロゲン化アリール化合物)を加え、80℃まで昇温し、同温度で8時間反応を行った。
同じ反応条件で10回製造を繰り返した。その結果、実施例1と同じく、反応転化率をHPLCにて確認したところ、3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)が94%程度で製造できている回数が6回あった。それ以外は、3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)が72~90%でしか得られなかった。
<後処理>
3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)が94%程度で得られたものについては、実施例1における<後処理>を実施した。後処理後の3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)の収率、純度の平均は、実施例1の結果とほぼ同等であった。
<反応時間の延長>
3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)が72~90%であった場合については、同温度(80℃)にてさらに7時間反応(攪拌混合)を行った。反応時間計15時間経過後の純度評価の結果の平均は、94.596%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物))、2.420%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))であった。
<反応時間の延長後の後処理>
15時間反応後の溶液を実施例1と同様の<後処理>を行った。その結果、平均して、収率:98.7%、純度:96.779%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)、1.957%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))を含む残渣を得た。
[実施例3](ナトリウムtert-ブトキシド(アルカリ金属含有化合物)を使用)
実施例1の<ジメチルスルホキシド溶液の準備>において、四つ口フラスコの容量を300mL、フェノール(芳香族化合物)の使用量を3.0g(31.99mmol)、ジメチルスルホキシドの使用量を25mL、アルカリ金属含有化合物とその使用量をナトリウムtert-ブトキシド3.1g(31.99mmol)とした。これ以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシド溶液は、実施例1と同じく、50℃で1時間保持した。
また、実施例1の<ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触>において、4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物)の使用量を5g(26.66mmol)とした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件にして反応を行い、6.3gの3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)を残渣として得た(収率:96.3%、純度:96.189%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物))、2.375%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))。
この実施例3の反応条件で複数回同じ製造を繰り返したが、再現性良く反応が進行することを確認した。
[実施例4](水酸化ナトリウム(アルカリ金属含有化合物)を使用)
実施例1の<ジメチルスルホキシド溶液の準備>において、四つ口フラスコの容量を100mL、フェノール(芳香族化合物)の使用量を1.8g(19.19mmol)、ジメチルスルホキシドの使用量を15mL、アルカリ金属含有化合物とその使用量を水酸化ナトリウム0.77g(19.19mmol)とした。これ以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシド溶液は、実施例1と同じく、50℃で1時間保持した。
また、実施例1の<ジメチルスルホキシド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触>において、4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物)の使用量を3g(15.99mmol)とした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件にして反応を行い、3.7gの3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)を残渣として得た(収率:94.1%、純度:95.099%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物))、3.424%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))。
この実施例4の反応条件で複数回同じ製造を繰り返したが、再現性良く反応が進行することを確認した。
[比較例1](ジメチルホルムアミドを使用、50℃保持無し)
<ジメチルホルムアミド溶液の準備>
直径7.5cmの2枚撹拌翼を備えた300mL四つ口フラスコにフェノール6.0g(63.97mmol、芳香族化合物)を量りとり、ジメチルホルムアミド(50mL)、カリウムtert-ブトキシド7.2g(63.97mmol;アルカリ金属含有化合物)を25℃の状態で加えてジメチルホルムアミド溶液を得た。
<ジメチルホルムアミド溶液とハロゲン化アリール化合物との接触>
得られたジメチルホルムアミド溶液に、4-クロロ-3-ニトロアニソール10g(53.31mmol、ハロゲン化アリール化合物)を加え、110℃まで昇温し、同温度で8時間反応を行った。8時間反応後、純度評価の結果は、40.235%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)、57.640%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))であった。この結果は、実施例2(80℃、8時間反応)よりも高温で実施例2と同時間反応させた結果であるが、実施例2よりも反応が進行していないことが分かった。
反応が完結していなかったため、同温度にてさらに19時間反応を行った。反応時間計27時間経過後の純度評価の結果は、88.776%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)、6.639%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))であった。この結果は、実施例2(80℃、15時間反応)よりも高温で実施例2よりも12時間長く反応させた結果であるが、実施例2よりも反応が進行していないことが分かった。
<後処理>
実施例1における<後処理>を実施した。10.8gの3-ニトロ-4-フェノキシアニソールを残渣として得た(収率:82.6%、純度:93.327%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)、5.116%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))。
この結果から明らかな通り、ジメチルホルムアミドを使用した場合には、長時間反応を実施したとしても、収率は82%であった。
[比較例2](ジメチルスルホキシドを使用、アルカリ金属含有化合物を最後に混合)
直径7.5cmの2枚撹拌翼を備えた300mL四つ口フラスコに、フェノール6.0g(63.97mmol、芳香族化合物)、4-クロロ-3-ニトロアニソール10g(53.31mmol、ハロゲン化アリール化合物)、ジメチルスルホキシドミド(50mL)を攪拌混合した。
次いで、カリウムtert-ブトキシド7.2g(63.97mmol;アルカリ金属含有化合物)を加え、80℃まで昇温し、同温度で8時間反応を行った。8時間反応後、純度評価の結果は、59.890%(3-ニトロ-4-フェノキシアニソール(ジアリールエーテル化合物)、37.468%(4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物))であった。
この結果は、実施例2との違いとして、それぞれの成分を混合する順序が異なる場合の結果を示すものである。実施例2の8時間反応後の結果よりも反応が進行していないことが分かった。
[実施例5](アニリン化合物を製造)
以下の反応式に従って、下記式(IV-A)で表されるアニリン化合物を合成した。
Figure 0007165106000012
反応容器内に、実施例1の方法で製造した3-ニトロ-4-フェノキシアニソール13.1g(53.3mmol;ジアリールエーテル化合物)、エタノール(90mL)、水(40mL)、塩化アンモニウム8.6g(159.9mmol;アンモニウム塩)を加えた。これらの混合物を攪拌しながら75℃まで昇温した後、同温でさらに30分間攪拌した。そして、上記混合物に鉄粉8.9g(159.9mmol;金属)を加え、同温で1時間攪拌を続けた。
その後、得られた反応液を室温(25℃)まで冷却し、該反応液にトルエン(70mL)を加え、濾過して上記反応液から鉄粉を取り除いた。得られた濾液を1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(50mL)、水(50mL)、10%塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。最終的に水層と有機層とを分液し、得られた有機層を減圧濃縮した。得られた粗体の5-メトキシ-2-フェノキシアニリン(アニリン化合物)を酢酸エチル:ヘプタン=1:2で再結晶することにより、目的物の5-メトキシ-2-フェノキシアニリン(アニリン化合物)9.46g(44.0mmol、収率81%(実施例1の4-クロロ-3-ニトロアニソール(ハロゲン化アリール化合物)基準))を得た。該5-メトキシ-2-フェノキシアニリン(アニリン化合物)の純度は、前記HPLCの測定条件で分析した結果、99.8%であった。
また、実施例4の反応条件で10回同じ製造を繰り返したが、再現性良く反応が進行することを確認した。

Claims (3)

  1. ジメチルスルホキシド中で、
    下記式(I):
    Figure 0007165106000013
    [式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族環基である。]
    で表される芳香族化合物と、
    アルカリ金属アルコキシドを含むアルカリ金属含有化合物と、
    を接触させて得られたジメチルスルホキシド溶液と、
    下記式(II):
    Figure 0007165106000014
    [式中、Rは、水酸基保護基であり、Xは、ハロゲン原子である。]
    で表されるハロゲン化アリール化合物と、を接触させることにより、
    下記式(III):
    Figure 0007165106000015
    [式中、Arは前記式(I)におけるものと同義であり、Rは、前記式(II)におけるものと同義である。]
    で表されるジアリールエーテル化合物を製造する、ジアリールエーテル化合物の製造方法。
  2. 前記式(I)で表される芳香族化合物と前記アルカリ金属含有化合物とを接触させて得られた前記ジメチルスルホキシド溶液を、40~60℃の温度範囲で保持する調整を行った後、次いで、
    前記式(II)で表されるハロゲン化アリール化合物を接触させる
    請求項1に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法により、前記式(III)で表されるジアリールエーテル化合物を製造した後、
    得られたジアリールエーテル化合物と、
    アンモニウム塩と、
    鉄、亜鉛、スズ、および銅から選ばれる少なくとも1種の金属と、
    を接触させることにより、
    下記式(IV):
    Figure 0007165106000016
    [式中、Arは前記式(I)におけるものと同義であり、Rは、前記式(II)におけるものと同義である。]
    で表されるアニリン化合物を製造する、アニリン化合物の製造方法。
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