JP2018135292A - 光学活性アルコールの製造方法及び不斉触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】金クラスターを利用した新規な不斉触媒、及びその不斉触媒を用いた光学活性アルコールの製造方法を提供する。【解決手段】下記式(1a)〜(1c)のいずれかで表される含窒素芳香族アルデヒド化合物と、式:(R7)2Znで表される有機亜鉛化合物とを、アキラルなチオラート配位子により保護されたキラルなチオラート保護金クラスターの存在下で付加反応させ、光学活性アルコールを製造する。式中、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等を示す。R7はそれぞれ独立に、アルキル基又はアルケニル基を示す。【選択図】なし

Description

本発明は、光学活性アルコールの製造方法及び不斉触媒に関する。
金属クラスターは、数個〜数百個の金属原子により構成される集合体であり、対応するバルク物質とは異なる性質を発現する。例えば、金はバルクでは不活性であるが、直径が約2nm以下の金クラスターになると、種々の触媒活性を示すことが明らかになっている。
金クラスターは、他の金属クラスターよりも金属元素の安定性が高く、金属が溶媒中に溶出し難い等の種々の利点を有する。このため、近年、金クラスターを触媒に利用する研究が盛んに行われている。
例えば、非特許文献1には、サイズ制御されたチオラート保護金クラスターが酸化還元反応等の触媒になり得ることが開示されている。
また、特許文献1には、金原子を複数個集合させてなるクラスターを、担体上に担持させてなる金クラスター触媒が開示されている。この金クラスター触媒は、例えば、酸素原子含有有機化合物の水素化触媒として用いられる。
特開2016−175075号公報
R.Jin et al.,Acc. Chem. Res.,2013,46(8),1749
ところで、生理活性物質及び機能性物質の中には、不斉炭素原子を有する光学活性化合物が多く存在する。そこで、金クラスターを不斉触媒に利用することが考えられるが、これまで金クラスターを不斉触媒に利用した例は殆ど報告されていない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、金クラスターを利用した新規な不斉触媒、及びその不斉触媒を用いた光学活性アルコールの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、含窒素芳香族アルデヒド化合物と有機亜鉛化合物との付加反応により光学活性アルコールを製造する際の不斉触媒として、アキラルなチオラート配位子により保護されたキラルなチオラート保護金クラスターを使用し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のとおりである。
<1> 下記式(1a)〜(1c)のいずれかで表される含窒素芳香族アルデヒド化合物と、下記式(2)で表される有機亜鉛化合物とを、アキラルなチオラート配位子により保護されたキラルなチオラート保護金クラスターの存在下で付加反応させ、下記式(3a)〜(3c)のいずれかで表される光学活性アルコールを製造する、光学活性アルコールの製造方法。
Figure 2018135292
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールエチニル基、トリアルキルシリルエチニル基、トリアリールシリルエチニル基、アリールジアルキルシリルエチニル基、ジアリールアルキルシリルエチニル基、又はアラルキル基を示す。]
Figure 2018135292
[式中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基又はアルケニル基を示す。]
Figure 2018135292
[式中、*は、不斉炭素原子を示し、R〜Rは、前記式(1a)〜(1c)と同義であり、Rは、前記式(2)と同義である。]
<2> 前記キラルなチオラート保護金クラスターが、Au38(SR)24、Au28(SR)20、及びAu20(SR)16(式中、SRはアキラルなチオラート配位子を示す)のいずれかである、<1>に記載の光学活性アルコールの製造方法。
<3> アキラルなチオラート配位子により保護されたキラルなチオラート保護金クラスターからなる不斉触媒。
<4> Au38(SR)24、Au28(SR)20、及びAu20(SR)16(式中、SRはアキラルなチオラート配位子を示す)のいずれかである、<3>に記載の不斉触媒。
本発明によれば、金クラスターを利用した新規な不斉触媒、及びその不斉触媒を用いた光学活性アルコールの製造方法を提供することができる。
<不斉触媒>
本実施形態に係る不斉触媒は、アキラルなチオラート配位子により保護されたキラルなチオラート保護金クラスター(以下、単に「キラルなチオラート保護金クラスター」ともいう。)からなるものである。キラルなチオラート保護金クラスターは、例えば、ラセミ体のチオラート保護金クラスターを光学分割することにより得ることができる。
ラセミ体のチオラート保護金クラスターとしては、チオラート保護金クラスター自体の構造に起因して光学異性体が存在するものであれば特に制限されない。光学異性体が存在するチオラート保護金クラスターとしては、例えば、Au38(SR)24、Au28(SR)20、及びAu20(SR)16が挙げられる。なお、SRは、アキラルなチオール化合物(RSH)のメルカプト基(−SH)から水素原子を除いて得られる、アキラルなチオラート配位子を示す。これらの中でも、安定性、合成の容易さ等の観点からAu38(SR)24が好ましい。
Au38(SR)24は、単結晶X線構造解析により、23個の金原子で構成される金コアの表面が金−チオラートオリゴマーで覆われた構造であることが明らかにされており、このオリゴマーの組み方により光学異性体が存在することが報告されている(R.Jin et al.,J. Am. Chem. Soc.,2010,132,8280)。同様に、Au28(SR)20及びAu20(SR)16についても、オリゴマーの組み方により光学異性体が存在することが報告されている(R.Jin et al.,J. Am. Chem. Soc.,2013,135,10011;R.Jin et al.,J. Am. Chem. Soc.,2014,136,11922)。
チオラート保護金クラスターの合成方法は特に制限されず、従来公知の合成方法を採用することができる。以下、Au38(SR)24の合成方法の一例を示す。
まず、塩化金酸四水和物等のハロゲン化金化合物とグルタチオン(γ−Glu−Cys−Gly)(GSH)とを溶媒中で反応させた後、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)等の還元剤を添加し、グルタチオン保護金クラスターを得る。次いで、アキラルなチオール化合物(RSH)を添加して配位子交換を行うことにより、チオラート保護金クラスターを得る。次いで、未反応のチオール化合物を除去し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により精製することで、ラセミ体のAu38(SR)24を得ることができる。
アキラルなチオール化合物(RSH)としては特に制限されず、2−フェニルエタンチオール(PhCSH)、1−ブタンチオール(CSH)、1−ヘキサンチオール(C13SH)、1−オクタンチオール(C17SH)、1−デカンチオール(C1021SH)、1−ドデカンチオール(C1225SH)、1−テトラデカンチオール(C1429SH)、4−tert−ブチルベンゼンチオール(t−BuPhSH)等が挙げられる。
上記のように、ラセミ体のチオラート保護金クラスターを合成した後、光学分割することで、キラルなチオラート保護金クラスターを得ることができる。光学分割には、例えば、キラルカラムを装着した高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いることができる。
本実施形態に係る不斉触媒は、例えば、後述する光学活性アルコールの製造方法に好適に使用することができる。ただし、本実施形態に係る不斉触媒の用途がこの例に限定されるものではない。
<光学活性アルコールの製造方法>
本実施形態に係る光学活性アルコールの製造方法は、下記式(1a)〜(1c)のいずれかで表される含窒素芳香族アルデヒド化合物と、下記式(2)で表される有機亜鉛化合物とを、アキラルなチオラート配位子により保護されたキラルなチオラート保護金クラスターの存在下で付加反応させ、下記式(3a)〜(3c)のいずれかで表される光学活性アルコールを製造するものである。
Figure 2018135292
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールエチニル基、トリアルキルシリルエチニル基、トリアリールシリルエチニル基、アリールジアルキルシリルエチニル基、ジアリールアルキルシリルエチニル基、又はアラルキル基を示す。]
Figure 2018135292
[式中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基又はアルケニル基を示す。]
Figure 2018135292
[式中、*は、不斉炭素原子を示し、R〜Rは、上記式(1a)〜(1c)と同義であり、Rは、上記式(2)と同義である。]
[含窒素芳香族アルデヒド化合物]
本実施形態に係る光学活性アルコールの製造方法で使用される含窒素芳香族アルデヒド化合物は、上記式(1a)〜(1c)のいずれかで表される化合物である。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、アルキル基としては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、ハロアルキル基としては、上述したアルキル基に1個以上のハロゲン原子が置換した基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、アルコキシ基としては、上述したアルキル基に酸素原子が結合した基が挙げられる。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、アルケニル基としては、炭素数2〜22、好ましくは炭素数2〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、アルキニル基としては、炭素数2〜22、好ましくは炭素数2〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基が挙げられる。アルキニル基の具体例としては、エチニル基、2−プロピニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基、2−tert−ブチルエチニル基等が挙げられる。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、アリールエチニル基としては、フェニル基、ナフチル基等のアリール基がエチニル基に結合した基が挙げられる。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、トリアルキルシリルエチニル基、トリアリールシリルエチニル基、アリールジアルキルシリルエチニル基、及びジアリールアルキルシリルエチニル基に含まれるアルキル基及びアリール基としては、上述したアルキル基及びアリール基が挙げられる。
上記式(1a)〜(1c)中のR〜Rにおいて、アラルキル基としては、上述したアリール基が上述したアルキル基に結合した基が挙げられる。
[有機亜鉛化合物]
本実施形態に係る光学活性アルコールの製造方法で使用される有機亜鉛化合物は、上記式(2)で表される化合物である。
上記式(2)中のRにおいて、アルキル基としては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
上記式(2)中のRにおいて、アルケニル基としては、炭素数2〜22、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
[不斉触媒]
本実施形態に係る光学活性アルコールの製造方法では、不斉触媒として、キラルなチオラート保護金クラスターが使用される。キラルなチオラート保護金クラスターについては上述しているため、詳細な説明を省略する。
[反応条件等]
光学活性アルコールは、含窒素芳香族アルデヒド化合物、有機亜鉛化合物、及び不斉触媒を含有する溶媒中で、含窒素芳香族アルデヒド化合物と有機亜鉛化合物とを付加反応させることによって製造することができる。
溶媒としては特に制限されず、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;などが挙げられる。
含窒素芳香族アルデヒド化合物及び有機亜鉛化合物の添加量は特に制限されず、例えば、1当量の含窒素芳香族アルデヒド化合物に対して、有機亜鉛化合物が2〜5当量であることが好ましい。また、不斉触媒の添加量は特に制限されず、例えば、含窒素芳香族アルデヒド化合物1当量に対して0.02〜0.5当量であることが好ましい。
反応温度は、例えば、−30〜50℃であることが好ましく、−10〜10℃であることがより好ましい。また、反応時間は、例えば、2〜50時間であることが好ましい。
なお、含窒素芳香族アルデヒド化合物及び有機亜鉛化合物は、1回で添加してもよく、複数回に分割して添加してもよい。
製造された光学活性アルコールは、抽出、クロマトグラフィー、再結晶等の一般的操作により単離精製することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1:キラルなAu38(SCPh)24の合成>
[ラセミ体のAu38(SCPh)24の合成]
まず、1.5mmolの塩化金酸四水和物(HAuCl・4HO;田中貴金属工業(株))と0.75mmolのグルタチオン(GSH;和光純薬工業(株))とを60mLのアセトンに溶解させ、室温で15分間撹拌した。さらに0℃にて15分間撹拌した後、15mmolの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH;東京化成工業(株))を0℃の超純水(抵抗率:>18MΩ・cm)に溶解させた溶液20mLを素早く加えた。次いで、0℃にて15分間撹拌した後、デカンテーションを行い、真空乾燥させることで、溶媒を完全に除去した。
得られた黒色の粉末を超純水20mLに溶解させた後、45mmolの2−フェニルエタンチオール(PhCSH;東京化成工業(株))を含む、トルエン6mL及びエタノール0.9mLの混合溶媒を加え、80℃にて12時間撹拌した。反応後の溶液を乾固し、得られた黒色の粉末に含まれる不純物を、メタノール/超純水=4/1(体積比)の混合溶媒とメタノールとで洗浄した。その後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により精製することで、ラセミ体のAu38(SCPh)24を高純度で得た。
[ラセミ体のAu38(SCPh)24の光学分割]
ラセミ体のAu38(SCPh)24 12mgをトルエン約0.05mLに溶解させ、イソプロピルアルコール/ヘキサン/トルエン=3/27/10(体積比)の混合溶媒約0.4mLで希釈した。キラルカラム(CHIRALPAK IB;内径:20mm、長さ:250mm;(株)ダイセル)を装着した高速液体クロマトグラフ(HPLC)に、上記で得られた溶液を0.05mLずつ送り込み、移動相としてイソプロピルアルコール/ヘキサン/トルエン=5/45/2(体積比)の混合溶媒を20mL/分の流速で流した。その結果、Au38(SCPh)24のエナンチオマーであるCD347(−)及びCD347(+)が、それぞれ11.9分及び14.4分の保持時間にて分離された。
なお、CD347(−)は、CD(円二色性)スペクトルを測定したときに波長347nm近傍に負のピークを有し、CD347(+)は、CDスペクトルを測定したときに波長347nm近傍に正のピークを有する。
<実施例2:キラルなAu38(SCPh)24を用いた光学活性アルコールの製造>
下記反応式に示すように、2−(2−tert−ブチルエチニル)ピリミジン−5−カルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛とを、キラルなAu38(SCPh)24(CD347(−)又はCD347(+))の存在下で付加反応させることにより、光学活性アルコールを製造した。
Figure 2018135292
まず、CD347(−)又はCD347(+) 50.5mgと2−(2−tert−ブチルエチニル)ピリミジン−5−カルバルデヒド2.3mg(0.01mmol)とをよく混合して10mLフラスコに入れ、減圧乾燥した後、アルゴン雰囲気に置換した。このフラスコにトルエン3滴(約0.015mL)を加えて0℃に冷却した後、ジイソプロピル亜鉛の1.0M トルエン溶液0.3mLを3時間かけて滴下し、一晩0℃にて撹拌した。
次いで、トルエン0.1mL及びジイソプロピル亜鉛の1.0M トルエン溶液0.15mLを加え、2−(2−tert−ブチルエチニル)ピリミジン−5−カルバルデヒド9.3mg(0.05mmol)のトルエン溶液(0.25mL)を1.5時間かけて滴下することにより、1回目のスケールアップを行った。滴下終了後、0℃にて2時間撹拌した。
次いで、トルエン1.8mL及びジイソプロピル亜鉛の1.0M トルエン溶液0.4mLを加え、2−(2−tert−ブチルエチニル)ピリミジン−5−カルバルデヒド38.1mg(0.2mmol)のトルエン溶液(1.5mL)を1時間かけて滴下することにより、2回目のスケールアップを行った。滴下終了後、0℃にて2時間撹拌した。
次いで、アンモニア/塩化アンモニウム=2/1(質量比)の混合水溶液を加えて反応をクエンチし、生成物を酢酸エチルにより抽出した。抽出物は無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1(体積比))により精製することで、光学活性アルコールを得た。
得られた光学活性アルコールの収率(質量%)、鏡像体過剰率(%)、及び絶対配置を下記表1に示す。
なお、鏡像体過剰率は、キラルカラム(CHIRALPAK IB;内径:4.6mm、長さ:250mm;(株)ダイセル)を装着した超臨界クロマトグラフ(移動相:CO 3.0mL/分、メタノール 0.3mL/分;室温)により、S体とR体とを分離することにより決定した(保持時間:S体 1.9分、R体 2.2分)。
Figure 2018135292
表1から分かるように、キラルなチオラート保護金クラスター(CD347(−)又はCD347(+))を不斉触媒として用いることで、チオラート保護金クラスターの絶対配置と立体相関した光学活性アルコールを、高い収率かつ高い鏡像体過剰率で製造することができた。

Claims (4)

  1. 下記式(1a)〜(1c)のいずれかで表される含窒素芳香族アルデヒド化合物と、下記式(2)で表される有機亜鉛化合物とを、アキラルなチオラート配位子で保護されたキラルなチオラート保護金クラスターの存在下で付加反応させ、下記式(3a)〜(3c)のいずれかで表される光学活性アルコールを製造する、光学活性アルコールの製造方法。
    Figure 2018135292
    [式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールエチニル基、トリアルキルシリルエチニル基、トリアリールシリルエチニル基、アリールジアルキルシリルエチニル基、ジアリールアルキルシリルエチニル基、又はアラルキル基を示す。]
    Figure 2018135292
    [式中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基又はアルケニル基を示す。]
    Figure 2018135292
    [式中、*は、不斉炭素原子を示し、R〜Rは、前記式(1a)〜(1c)と同義であり、Rは、前記式(2)と同義である。]
  2. 前記キラルなチオラート保護金クラスターが、Au38(SR)24、Au28(SR)20、及びAu20(SR)16(式中、SRはアキラルなチオラート配位子を示す)のいずれかである、請求項1に記載の光学活性アルコールの製造方法。
  3. アキラルなチオラート配位子で保護されたキラルなチオラート保護金クラスターからなる不斉触媒。
  4. Au38(SR)24、Au28(SR)20、及びAu20(SR)16(式中、SRはアキラルなチオラート配位子を示す)のいずれかである、請求項3に記載の不斉触媒。
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