[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態の売上金回収システムを図1~図8を参照して以下に説明する。
第1実施形態の売上金回収システム11は、顧客店舗Aの売上金の回収を委託された警備会社等の回収員が、各顧客店舗Aを訪ねて売上金を回収して回り、所定の現金センタBへ運び入れ、現金センタBにおいて、運び込まれた顧客店舗A毎の売上金を操作員が機械計数して、現金の一致を精査確認するものである。
第1実施形態の売上金回収システム11は、顧客店舗Aに設置されて売上金が納金される納金機21と、納金機21に対して着脱可能であり、納金機21に装填された状態で納金機21に納金された売上金の貨幣を収納する複数のカセット22とを有している。第1実施形態の売上金回収システム11は、顧客店舗Aとは別のデータセンタDに設置され納金機21および精査機24にネットワークCを介して通信可能に接続されるデータ蓄積機23と、顧客店舗AおよびデータセンタDとは別の現金センタBに設置されネットワークCを介してデータ蓄積機23および納金機21に通信可能に接続される精査機24とを有している。精査機24は、納金機21から取り外されて顧客店舗Aから現金センタBに運搬されてきたカセット22の売上金を精査する。
納金機21は、売上金である貨幣が投入されると、投入された貨幣を計数し、計数後、承認操作が入力されると、計数後の貨幣を、装填されている複数のカセット22に分類して収納する。納金機21は、カセット22が装填されると装填されたカセット22のICタグ28から記憶データを読み出し可能となる納金機ICタグリーダ31と、納金機21の計数結果である売上金の明細を紙面に印字するプリンタ32と、操作入力を受け付ける納金機操作部33と、モニタ表示を行う納金機表示部34と、音声出力を行う納金機音声出力部35と、データを記憶する納金機記憶部36と、納金機21全体を制御する納金機制御部37とを有している。納金機記憶部36には、これが設けられた納金機21の所有者顧客を他の顧客と識別するための顧客識別データが記憶されている。
例えば一日に一回、店舗の責任者が納金機21の〆操作を行うと、それまでに納金機21に装填されていたカセット22に収納されている貨幣つまりは売上金が確定し、当該売上金の明細がプリンタ32で明細書として印字されるようになっている。なお、運用形態としては、これに限らず、店舗の責任者が納金機21の〆操作を行うまでもなく、所定の時間に警備会社等の回収員が納金機操作部33に売上金回収操作を行ったタイミングで納金機21に装填されているカセット22に収納された貨幣つまりは売上金が確定するようになっていても良い。そして、売上金が収納されたカセット22を回収員が納金機21から抜き取り、替わりに回収員が準備してきた空のカセット22を納金機21に装填する作業、つまりカセット22の交換作業を行うようになっている。
一つの納金機21にセットされる複数のカセット22は、基本的には紙幣用のカセット22と硬貨用のカセット22との2個に分けられて構成されるものが多い。勿論、これに限らず、例えば、紙幣用のカセット22は全金種共通の1個であって、硬貨用のカセット22は金種別専用で6個設けられる形態でも良いし、全金種の紙幣と硬貨とが混合で1個のカセット22のみに収納される形態であっても良い。そして、売上金回収操作は、納金機21に設けられた、これら売上金が収納された全てのカセット22についての交換作業が伴うようになっている。
カセット22は、納金機21から取り外されると別途のキーによるキー操作がなければ貨幣を取り出すことができない運搬用金庫となる。カセット22は、当該カセット22の所有扱いが顧客専用か否かに係る取扱種別データを含む記憶データを記憶したICタグ28を備えている。取扱種別データは、所有扱いが顧客専用であることを示すデータと、所有扱いが共用であることを示すデータとからなり、ICタグ28には、取扱種別データが、所有扱いが顧客専用であることを示す場合に、記憶データとして、ICタグ28が設けられたカセット22の所有者顧客を他の顧客と識別するための顧客識別データが記憶されている。所有者顧客が同じである複数のカセット22は、顧客識別データが一致することになり、所有者顧客が同じ納金機21とカセット22とは、顧客識別データが一致することになる。つまり、店舗所有のカセット22にあっては、あらかじめ店舗情報である顧客識別データを記憶させておく。店舗非所有の共用のカセット22にあっては、共用である情報を記憶させておく。
例えば、ICタグ28に記憶される記憶データは、図2に示すように、ブロック毎にデータが存在し、ブロック番号00hのデータエリアには、顧客の顧客識別データである契約先番号、店番号、納金機21の号機番号、当該ICタグ28が配設されたものが本運用形態で対象となるカセット22か、もしくは別の運用形態で対象となるバッグかの運用種別データ、当該カセット22あるいはバッグが契約先である顧客専用の所有物であるか、もしくは例えば警備会社等の所有物であって持ち回りで共用で使用されるフリーの物であるかの取扱種別データが記憶される。
そして、同様に、ブロック番号01hのデータエリアには、回収日と回収時刻とが、ブロック番号02hには、カセット22内の売上金である貨幣の金種明細の紙幣分のデータが、ブロック番号03hにはカセット22内の売上金である貨幣の金種明細の硬貨分のデータが、ブロック番号04hにはカセット22の回収回数のデータが、それぞれ記憶される。
また、これらブロック番号00h~04hのデータエリアには、予め所定のICタグライタによって所定のデータが書き込まれて記憶されていて、必要とする場合に上書き更新が可能となっている。さらに、これらとは別にICタグ28に記憶されるデータとして、ICタグ28自体が有する固有番号であってカセット識別データである金庫IDが予め登録されていて、この金庫IDについては上書き更新が不可能であり、ICタグリーダでの読み出しのみ可能に設定されている。また、納金機21においても、その納金機記憶部36には、同様に顧客の顧客識別データである契約先番号、店番号、納金機21の号機番号がデータとして記憶されている。
納金機制御部37は、納金機21にカセット22が装填されると、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で金庫IDを読み込んで納金機記憶部36に記憶する。
そして、上述したように、所定の時間に警備会社等の回収員が顧客店舗Aを訪問して、納金機操作部33に売上金回収操作を行う。すると、納金機制御部37は、納金機21の前扉(または後扉)のロックを解除して前扉(または後扉)を開放し、売上金が収納されたカセット22を納金機21から抜き取り可能とする。また、その際に、納金機制御部37は、納金機表示部34の操作画面案内によって、売上金が収納されたカセット22つまりはカセット交換が必要なカセット22を回収員に案内表示する。
そして、回収員が案内表示された、売上金が収納されたカセット22を抜き取り、替わりに回収員が準備してきた空のカセット22を納金機21に装填するというカセット22の交換作業を行うと、納金機制御部37は、この動作をセンサで検知して、交換後に装着されたカセット22のICタグ28に記憶されたデータを納金機ICタグリーダ31によって読み出す。つまり、納金機21は、その納金機ICタグリーダ31が、カセット交換時に、装填されたカセット22のICタグ28から記憶データを読み出す。
そして、読み出した顧客の契約先番号、店番号、納金機21の号機番号および取扱種別についてのチェックを行う。取扱種別データが、所有扱いが共用であることを示すデータの場合、納金機制御部37は、読み出した顧客の顧客識別データである契約先番号、店番号、納金機21の号機番号のチェックは行わずに交換作業を正常として許諾する。すなわち、納金機21は、カセット交換時に、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合に適正装填と判定する。他方、取扱種別データが、所有扱いが顧客専用であることを示すデータの場合、納金機制御部37は、納金機記憶部36に記憶されている顧客の契約先番号、店番号、納金機21の号機番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの契約先番号、店番号、納金機21の号機番号の一致確認を各々実施する。
より具体的には、顧客の顧客識別データである契約先番号の1項目について一致を確認する第1確認モード、顧客の契約先番号と店番号の2項目について一致を確認する第2確認モード、顧客の契約先番号と店番号と納金機21の号機番号の全3項目について一致を確認する第3確認モードが設定されており、予めいずれの確認モードに設定するかが選択設定されていて、納金機制御部37は、この選択設定された確認モードに対応して一致確認を実施する。
すなわち、第1確認モードでは、1つの確認項目として、納金機記憶部36に記憶されている顧客の契約先番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの契約先番号とのみについて一致を確認する。第2確認モードでは、2つの確認項目として、納金機記憶部36に記憶されている顧客の契約先番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの契約先番号とについて一致を確認すると共に、納金機記憶部36に記憶されていた顧客の店番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの店番号とについて一致を確認する。第3確認モードでは、3つの確認項目として、納金機記憶部36に記憶されている顧客の契約先番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの契約先番号とについて一致を確認すると共に、納金機記憶部36に記憶されている顧客の店番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの店番号とについて一致を確認し、さらに、納金機記憶部36に記憶されている号機番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの号機番号とについて一致を確認する。よって、いずれのモードにおいても、納金機制御部37は、納金機記憶部36に記憶されている顧客の契約先番号と、納金機ICタグリーダ31がカセット22のICタグ28から読み出した記憶データの契約先番号との一致確認を実施する。
そして、一致確認が、全項目一致でOKであれば、適正装填と判定し、交換作業を正常として許諾し、売上金回収処理を完了する。逆に、一致確認が、いずれか一項目が不一致でNGであれば、誤装填と判定し、交換作業を異常として許諾せず、納金機表示部34および納金機音声出力部35でその旨の警告を報知して、売上金回収処理を完了せずに待機する。この場合の納金機表示部34による報知画面は、例えば、装填されたカセット22である「硬貨A金庫」のICタグ28から読み出した記憶データの契約先番号と、納金機記憶部36に記憶されている顧客の契約先番号とが一致しない場合に、図3に示すように、「セットされた硬貨A金庫は使用できません。」等の表示を行う。
以上から、納金機21は、カセット交換時に、納金機ICタグリーダ31でカセット22のICタグ28から読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機21に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定する一方、不一致の場合は誤装填と判定してその旨の警告を報知する。これにより、納金機21のカセット装填時に、店舗所有以外のカセット22が誤装填されるのを防止できる。
また、カセット交換時に、納金機制御部37は、上記に併せて、カセット22の交換作業が行われる前に予め納金機ICタグリーダ31で読み出しておいた、つまりは売上金が収納されたカセット22のカセット識別データである金庫IDと、交換後に装着されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した金庫IDとが一致するか否かを確認する。
そして、納金機制御部37は、交換される全てのカセット22について各々の交換前後の金庫IDの不一致を確認すると、交換される全てのカセット22が空のカセット22に正常に交換作業が行われたものと判定して、売上金回収処理を完了する。逆に、交換される全てのカセット22のうち、少なくともいずれか1つのカセット22の金庫IDの交換前後の一致を確認すると、空のカセット22ではなく、元の売上金が収納されたカセット22が誤って装着されたもの、つまりは回収忘れ(交換ミス)と判定して、納金機表示部34および納金機音声出力部35でその旨の警告を報知して、売上金回収処理を完了せず待機する。これにより、カセット回収時に、カセット22の回収忘れを防止できる。この場合の納金機表示部34による報知画面は、例えば、カセット22である「硬貨B金庫」の金庫IDの交換前後の一致を確認すると、図4に示すように、「硬貨B金庫が交換されていません。」等の表示を行う。
以上から、納金機21は、カセット交換時に、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれるカセット識別データである金庫IDと、当該カセット交換直前に装填されていたカセット22のカセット識別データである金庫IDとが、不一致の場合は適正装填と判定する一方、一致の場合は誤装填と判定する。
次に、売上金回収処理が正常に完了(処理全体が終了するタイミングだけではなく、個々の処理が終了するタイミング毎でも良い)すると、納金機制御部37は、ネットワークCで通信可能に接続されてデータセンタDに設置されているデータ蓄積機23に向けて、当該納金機21での売上金回収処理が正常に完了した旨および売上金回収処理で回収したカセット22毎の貨幣量を含む回収データを通知する。この構成は、各店舗毎に同様であり、各店舗毎の売上金回収処理が正常に完了すると、これに係る回収データがデータセンタDに設置されているデータ蓄積機23に順次通知されて、データ蓄積機23側で回収データが蓄積記憶されるようになっている。さらに、データセンタDに設置されているデータ蓄積機23は、回収員が回収した売上金を運搬する現金センタBに設置された精査機24ともネットワークCで通信可能に接続されている。精査機24は、データ蓄積機23から、必要とする回収データを適宜ダウンロードするようになっている。
ここで、取扱種別データが、所有扱いが共用であることを示すデータの場合、もしくは所有扱いが顧客専用であることを示すデータの場合であっても納金機21の号機番号の一致確認までは行わない第1確認モードおよび第2確認モードの場合においては、納金機21の1号機から回収したカセット22を、納金機21の2号機に誤って誤装填してしまった場合に、納金機21毎の金庫IDの一致および不一致の確認だけでは、交換ミスを防ぐことができない。
このため、カセット交換がなされる毎に、納金機記憶部36が記憶している交換前の金庫IDと、交換後の金庫IDとの不一致を確認する(取り敢えず、異なるカセット22が装填されたと判断する)と、あらたに装填されたカセット22の金庫IDをデータセンタDのデータ蓄積機23に送信し、データ蓄積機23では、回収された金庫ID群の中に、当該あらたに装填された金庫IDと同一のものがないことを確認する。または、データ蓄積機23において事前に準備した空のカセット22の金庫ID群の中に、当該あらたに装填された金庫IDと同一のものがあることを確認する。さらには、これらの両方の確認を行う。これらのチェック動作によって、カセット22の交換ミスを確実に防止し、いずれかにおいて異常が確認されたときは、納金機21において、直ちに警報を発する。このようにすれば、一店舗に、納金機21が複数台存在する場合に有効である。
回収データは、例えば図5に示すようなデータ構成とされている。図5で示すユーザー1の納金機21の号機番号01を例にとると、回収データから、カセット交換で回収されたカセット22は、金庫IDが「012E3D14490D4F64」で、収納貨幣データである硬貨回収合計金額が7,581円のカセット22と、金庫IDが「012E3D14490DB15A」で、収納貨幣データである紙幣回収合計金額が3万円のカセット22と、金庫IDが「012E3D14490DA34D」で、収納貨幣データである硬貨回収合計金額が3,585円のカセット22の計3個であって、回収日は2016年09月17日で、回収時刻は10時19分04秒であることが分かる。
すなわち、回収データは、売上金回収処理が正常に完了した際に、一の納金機21の納金機制御部37が作成記録したデータであって、当該一の納金機21からこれら3個のカセット22が回収されたことにより、これら3個のカセット22の金庫IDおよび回収データが全て関連付けられてデータ蓄積機23に通知され、データ蓄積機23で記憶される。そして、精査機24側からの照会に応じて、精査機24が必要とする回収データを適宜ダウンロードできるようになっている。言い換えれば、納金機21は、複数のカセット交換時に、当該複数のカセット交換直前に装填されていた複数のカセット22の金庫IDおよび収納貨幣データを関連付けて精査機24に、データ蓄積機23を介して通知可能となっている。
このように、納金機21のカセット回収時は、回収処理選択時に、納金機21がデータ蓄積機23に回収金額を含む回収データを記憶させることで、紙ジャーナルの紛失リスクを回避することができる。また、納金機21のカセット回収時のジャーナル印字をなくすことも可能であり、このようにすればペーパーレス化が図れる。さらに、データセンタDのデータ蓄積機23には、納金機21がICタグ28の固有番号である金庫IDおよび店舗番号と、カセット22毎の回収金額を含む回収データとを送信することで、現金センタBでの精査時は、カセット22毎の精査が可能となり、不整合のカセット22が特定できるようになる。顧客店舗Aでの交換用のカセット装填時には、カセット22のICタグ28の店舗情報である顧客の契約先番号と納金機21が記憶している顧客の契約先番号とを比較することで、店舗所有以外のカセット22が誤装填されるリスクを回避できる。共用のカセット22が装填された場合、共用のカセット22を受付可とする店舗にあっては、装填を許可するとともに、装填を許可した共用のカセット22に対して当該顧客の契約先番号を記憶させる。共用のカセット22を受付不可とする店舗にあっては、装填を確認したところで、誤装填の警報を発する。さらに、納金機21は、回収された(直前に取り出された)カセット22の固有番号である金庫IDと、装填されたカセット22の固有番号である金庫IDとを比較することで、カセット22の回収し忘れ(交換ミス)を防止することができる。交換ミスを確認したときは、交換ミスの警報を発する。
精査機24は、納金機21およびデータ蓄積機23とネットワークCを介して通信可能に接続されており、カセット22に収納された売上金を精査するものである。精査機24は、売上金である貨幣が投入されると、投入された貨幣を精査計数する。精査機24は、カセット22のICタグ28から記憶データを読み出し可能な精査機ICタグリーダ41と、操作入力を受け付ける精査機操作部42と、モニタ表示を行う精査機表示部43と、音声出力を行う精査機音声出力部44と、データを記憶する精査機記憶部45と、精査機24の全体を制御する精査機制御部46とを有している。
次に、回収員が回収したカセット22を現金センタBに運搬した後の運用について説明する。
現金センタBの操作員は、運搬されたカセット22から売上金を取り出して精査機24で現金計数での精査を行うが、その際にまず操作員は、図6に示すように、精査機24の精査機表示部43をカセット精査画面にし、その案内にしたがって、精査機24に備えられた精査機ICタグリーダ41を、運搬されたカセット22のいずれか1つのカセット22のICタグ28に近づけて記憶されている記憶データを読み出す操作を行う。すると、精査機制御部46は、まず読み出した記憶データの中のカセット識別データである金庫IDに対して、ネットワーク通信でデータ蓄積機23から当該金庫IDを含む回収データを読み出す。そして、この回収データに含まれる当該金庫IDに関連づけて記憶された別の金庫IDの有無を認識すると共に、これに関連した情報を精査機表示部43に表示を行って操作員に当該情報を知らせるようになっている。
精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した、カセット22のICタグ28の記憶データに含まれるカセット識別データである金庫IDと関連付けられた複数のカセット22の金庫IDのそれぞれに対応してデータ蓄積機23から読み出した収納貨幣データと、当該複数のカセット22のそれぞれの金庫IDと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、金庫ID毎つまりカセット22毎に確認する。つまり、第1のカセット22と第2のカセット22との2つのカセットがある場合、データ蓄積機23から読み出した第1のカセット22の金庫IDを含む回収データの収納貨幣データと、当該金庫IDに関連して精査機24で精査計数した計数貨幣データとの一致を確認し、第1のカセット22の金庫IDに関連してデータ蓄積機23から読み出した第2のカセット22の金庫IDを含む回収データの収納貨幣データと、当該金庫IDに関連して精査機24で精査計数した計数貨幣データとの一致を確認する。このように、カセット22毎に精査を行うことができ、不整合のカセット22が特定できる。
図7に示す例においては、精査機ICタグリーダ41で、金庫IDが「012E3D14490D4F64」で硬貨回収合計が7,581円のカセット22のICタグ28の記憶データを読み出した場合の精査機表示部43の表示画面を示している。この精査機表示部43の表示画面では、当該金庫IDについてデータ蓄積機23から読み出した回収金額が7,581円であること、当該カセット22の硬貨を精査機24で現金計数した結果である入金金額が7,581円であること、これらの精査一致が確認できたことを表示したものである。
また、この表示画面は、当該カセット22の精査は済みであるが、残り2個のカセット22、すなわち、金庫IDが「012E3D14490DB15A」で、収納貨幣データである紙幣回収合計金額が3万円のカセット22と、金庫IDが「012E3D14490DA34D」で、収納貨幣データである硬貨回収合計金額が3,585円のカセット22とについては未精査であることを入金金額が0であることで表示しており、操作員は、これら残り2個のカセット22の中の売上金を精査機24で精査を行う必要があることを認識する。
すると、操作員は残り2個のカセット22についても同様に、精査機ICタグリーダ41をカセット22のICタグ28に近づけて記憶されている記憶データを読み出すと共にカセット22の中の売上金を取り出して精査機24で精査を行う。このようにして、残り2個のカセット22の分についても精査が終わると、精査機制御部46は、同じ納金機21から回収した複数のカセット22の一連の精査処理を完了することになる。
なお、参考までに、図8に示す例においては、金庫IDが「012E3D14490D4F64」で、収納貨幣データである硬貨回収合計金額が7,581円のカセット22のICタグ28の記憶データを読み出した場合であって、当該金庫IDについてデータ蓄積機23から読み出した回収金額が7,581円であり、当該金庫IDのカセット22の硬貨を精査機24で現金計数した結果の入金金額が10,000円であって、精査不一致が確認できたことを表示している。
以上のように、現金センタBでは、回収したカセット22のICタグ28の受付チェックを精査機ICタグリーダ41で行う。そして、顧客店舗Aでの回収作業において送信されたカセット22に関する記憶データと、受付チェックされたカセット22のICタグ28の記憶データ等を突き合わせることで、カセット22の受け渡しを確認、行方不明を防止でき、行方不明(または精査が未処理)のカセット22(あるいはバッグ)を特定することができる。
以上に述べた第1実施形態によれば、納金機21は、カセット交換時に、納金機ICタグリーダ31が、装填されたカセット22のICタグ28から記憶データを読み出すと、この記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機21に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定し、不一致の場合は誤装填と判定する。これにより、回収員が、納金機21に対応する顧客専用の所定のカセット22とは異なるカセット22を納金機21に誤って装填してしまってもこれを検出することができる。そして、誤装填と判定の場合、その旨の警告報知を行うことにより、回収員の誤装填を防止することができる。
また、納金機21は、カセット交換時に、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれるカセット識別データと、当該カセット交換直前に装填されていたカセット22のカセット識別データとが、不一致の場合は、交換前に装填されていたカセット22と交換後のカセット22とが異なることから、適正装填と判定する一方、一致の場合は、交換前に装填されていたカセット22と交換後のカセット22とが同じため、交換ミスによる回収忘れの誤装填があったと判定する。そして、誤装填と判定の場合、その旨の警告報知を行うことにより、回収員の誤装填を防止することができる。
また、納金機21は、複数のカセット交換時に、当該複数のカセット交換直前に装填されていた複数のカセット22のカセット識別データを関連付けて精査機24に通知することになり、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセット22のカセット識別データを関連付けて表示して精査作業者に案内する。よって、一の納金機21に対し複数のカセット交換を行った場合でも、当該一の納金機21から回収された、売上金が収納された複数のカセット22を関連付けて精査処理することが可能となる。
また、納金機21は、複数のカセット交換時に、当該複数のカセット交換直前に装填されていた複数のカセット22のカセット識別データおよび収納貨幣データを関連付けて精査機24に通知する。一方で、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセット22の収納貨幣データと、当該複数のカセット22のカセット識別データと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、カセット22毎に確認する。よって、カセット22毎に精査を行うことができるので、売上金に精査不一致が発生しても、不整合のカセット22を特定できる。
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態の売上金回収システムを図9等を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
第2実施形態においては、納金機21が、装填されたカセット22のICタグ28から記憶データを読み出し可能である納金機ICタグリーダ31に加えて、装填されたカセット22のICタグ28の記憶データを上書き更新可能な納金機ICタグライタ51を有している。
そして、第1実施形態と同様に回収員が売上金回収操作を行った際には、納金機制御部37は、回収される売上金が収納されたカセット22の個別のICタグ28の記憶データに対して、以下のようにデータを上書き更新するようになっている。
ICタグ28に記憶される記憶データは、例えば、図2に示すように、ブロック毎にデータが存在する。まず、空のカセット22に金庫交換される前に売上金が収納されたカセット22のICタグ28に記憶された記憶データを納金機ICタグリーダ31で読み取ると、納金機制御部37は、ブロック番号00hの取扱種別データをチェックして、取扱種別データが、所有扱いが顧客専用であることを示すデータであって当該カセット22が契約先である顧客専用の所有物であるか、それとも、所有扱いが共用であることを示すデータであって当該カセット22が例えば警備会社等の所有物であって持ち回りで共用で使用されるフリーの物であるかを確認する。
取扱種別データが、所有扱いが顧客専用であることを示すデータの場合、納金機制御部37は、同じブロック番号00hの顧客の契約先番号、店番号、納金機21の号機番号はそのままのデータを保持したままとし、納金機ICタグライタ51で上書き更新は行わない。他方、取扱種別データが、所有扱いが共用であることを示すデータの場合、納金機制御部37は、当該納金機21で取り扱ったカセット22として関連付けされた証として、当該納金機21の納金機記憶部36に記憶されている顧客の顧客識別データである契約先番号、店番号、納金機21の号機番号の各々のデータを、納金機ICタグライタ51でブロック番号00hの顧客の契約先番号、店番号、納金機21の号機番号に対して上書き更新を行う。なお、この上書き更新は、空の状態でのカセット22の納金機21への装填時に行っても良い。すなわち、納金機21は、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合には、当該納金機21に記憶された顧客識別データを納金機ICタグライタ51によって、装填されたカセット22のICタグ28に記憶データとして書き込む。
次に、ブロック番号00hの取扱種別データが、所有扱いが顧客専用であることを示すデータおよび所有扱いが共用であることを示すデータのいずれであっても、以下のように上書き更新処理を行う。
つまり、納金機制御部37は、ブロック番号01hの回収日と回収時刻を上書き更新し、ブロック番号02hのカセット22内の売上金である貨幣の金種明細の紙幣分、ブロック番号03hのカセット22内の売上金である貨幣の金種明細の硬貨分を上書き更新し、またブロック番号04hの回収回数についても予め納金機ICタグリーダ31で読み取っておいた元の値を+1して上書き更新する。さらに、ブロック番号05h~0Ehは交換されるカセット22とセットで交換される他のカセット22の金庫ID用の情報エリアであり、例えば、金庫IDが「012E3D14490DB15A」で、収納貨幣データである紙幣回収合計金額が3万円のカセット22については、ブロック番号05hとブロック番号06hとに、セットで交換される他のカセット22の金庫IDである「012E3D14490D4F64」と「012E3D14490DA34D」を各々上書き更新し、その他のブロック番号07h~0Ehは関連付けるものが無く未使用となるので、これらについては全てデータ0にて上書き更新する。
また、ICタグ28のブロック番号0Fhには「今回の収納異常情報データ」用のエリアが、また10hには「累積の収納異常情報データ」用のエリアが割り当てられている。より具体的には、「今回の収納異常情報データ」とは、回収員が売上金回収操作の際に空のカセット22に交換した当該カセット22について、交換で装着した時から開始して次回に回収員が売上金回収操作の際に当該カセット22を交換で脱着する終了迄の期間での当該カセット22に係るエラー情報である。つまり、正常に稼働されていればカセット22内の売上金は正常な在り高として確定するものの、例えば収納動作異常が発生して、本来はカセット22内に収納されるべき売上金である貨幣がカセット22から零れて納金機21内に不正に残留してしまうケース等においては、カセット22内の売上金は正常な在り高として確定せず不確定となってしまう虞があるからである。そして、「今回の収納異常情報データ」及び「累積の収納異常情報データ」は、このような稼働異常が発生した際の記録用途として用いられる。
「今回の収納異常情報データ」とは、ブロック番号0Fhの“0”と“1”の2バイトエリアは「収納異常発生件数データ」であり、上述したように当該カセット22を交換で装着した時にブロック番号0Fhの“0”と“1”の2バイトエリアには初期値0が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。そして納金機21で当該カセット22の使用中に、収納異常が発生した際には、その2バイトエリアには元の値を読み出して+1した値(初めて異常が発生した際は、0+1で1が、次回は1+1で2が、・・)が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。また、ブロック番号0Fhの“2”と“3”の2バイトエリアは「収納異常に係るカセット側要因件数データ」であり、上述したように当該カセット22を交換で装着した時にブロック番号0Fhの“2”と“3”の2バイトエリアには初期値0が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。
そして稼働中に発生した収納異常のエラーコードに対応して、その収納異常の発生要因が例えばカセット22側のシャッタ動作異常のようにカセット22側にある際には、その2バイトエリアには元の値を読み出して+1した値(初めて異常が発生した際は0+1で1が、次回は1+1で2が、・・)が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。また、ブロック番号0Fhの“4”と“5”の2バイトエリアは「収納異常に係る納金機側要因件数データ」であり、上述したように当該カセット22を交換で装着した時にブロック番号0Fhの“4”と“5”の2バイトエリアには初期値0が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。そして稼働中に発生した収納異常のエラーコードに対応して、その収納異常の発生要因が例えば納金機21側のプッシャ動作異常のように納金機21側にある際には、その2バイトエリアには元の値を読み出して+1した値(初めて異常が発生した際は0+1で1が、次回は1+1で2が、・・)が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。
他方、「累積の収納異常情報データ」とは、回収員が売上金回収操作の際の空のカセット22に交換云々に無関係であって、いずれの納金機21に装着された状態であっても収納異常が発生した際にカウントアップされ続ける累積での当該カセット22に係るエラー情報である。ブロック番号10hの“0”と“1”の2バイトエリアは収納異常発生件数であり、納金機21で当該カセット22の使用中に、収納異常が発生した際には、その2バイトエリアには元の値を読み出して+1した値(初めて異常が発生した際は0+1で1が、次回は1+1で2が、・・)が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。
また、ブロック番号10hの“2”と“3”の2バイトエリアは収納異常に係るカセット側要因件数であり、稼働中に発生した収納異常のエラーコードに対応して、その収納異常の発生要因が例えばカセット22側のシャッタ動作異常のようにカセット22側にある際には、その2バイトエリアには元の値を読み出して+1した値(初めて異常が発生した際は0+1で1が、次回は1+1で2が、・・)が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。また、ブロック番号10hの“4”と“5”の2バイトエリアは収納異常に係る納金機側要因件数データであり、稼働中に発生した収納異常のエラーコードに対応して、その収納異常の発生要因が例えば納金機21側のプッシャ動作異常のように納金機21側にある際には、その2バイトエリアには元の値を読み出して+1した値(初めて異常が発生した際は0+1で1が、次回は1+1で2が、・・)が納金機ICタグライタ51によって書き込まれる。
なお、上記では、「今回の収納異常情報データ」と「累積の収納異常情報データ」とについて説明したが、収納異常に限定して囚われる必要はなく、カセット22に収納される貨幣の在高が確定できなく虞がある他のエラーについても、勿論、含まれても良い。例えば、納金機21が稼働中に、カセット22にアクセスする為の本体前扉(後扉でも良い)が不正に開けられた痕跡を制御部が検出した際にも、適用可能となる。そして適用する場合には、ブロック番号OFhおよび10hの空きエリアである“6”~“15”を適宜使用して記録可能とすれば良い。
続いて、回収員が、売上金が収納されたカセット22を抜き取り、替わりに回収員が準備してきた空のカセット22を納金機21に装填してカセット22の交換作業を行うと、納金機制御部37は、この動作を検知して、交換後に装着されたカセット22のICタグ28に記憶されたデータを納金機ICタグリーダ31によって読み出す。そして読み出した顧客の契約先番号、店番号、納金機21の号機番号および取扱種別データについての上述した第1実施形態と同様にチェックする。
次に、売上金回収処理が正常に完了すると、納金機制御部37は、ネットワークCで通信可能に接続されてデータセンタDに設置されているデータ蓄積機23に向けて、当該納金機21での売上金回収処理が正常に完了した旨およびこれに係る売上金回収処理で回収した各カセット22それぞれの貨幣量を含む回収データを、第1実施形態と同様に通知して記憶させる。その際には、「回収データ」に属する情報として金庫IDに関連付けられて、「今回の収納異常情報データ」と「累積の収納異常情報データ」も通知する。すなわち、納金機21は、装填された複数のカセット22のカセット識別データである金庫IDおよび収納貨幣データを関連付けて精査機24に通知するとともに、装填された複数のカセット22それぞれのICタグ28にカセット識別データである金庫IDおよび収納貨幣データを他のカセット22の金庫IDと関連付けて納金機ICタグライタ51によって記憶データとして書き込む。回収処理選択時に、納金機21が、回収されるカセット22のICタグ28に回収金額を記憶させることで、紙ジャーナルの紛失リスクを回避することもできる。
次に、回収員が回収したカセット22を現金センタBに運搬した後の運用について説明する。
現金センタBの操作員は、運搬されてきたカセット22から売上金を取り出して精査機24で現金計数での精査を行うが、その際にまず操作員は、図6に示すように、精査機24の精査機表示部43をカセット精査画面にして、精査機24に備えられた精査機ICタグリーダ41を、運搬されてきたカセット22のいずれか1つのカセット22のICタグ28に近づけて記憶されている記憶データを読み出す操作を行う。すると、精査機制御部46は、まず、読み出した記憶データの中のカセット識別データである金庫IDに対して、ネットワーク通信でデータ蓄積機23から当該金庫IDを含む回収データを読み出す。そして、この回収データに含まれる当該金庫IDに関連づけて記憶された別の金庫IDの有無を認識すると共に、これに関連した情報を精査機表示部43に表示を行って操作員に当該情報を知らせるようになっている。すなわち、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれるカセット識別データである金庫IDと関連付けられた複数のカセット22の金庫IDを関連付けて精査機表示部43に表示する。その際に、いずれかのカセット22の金庫IDに関連付けられた「今回の収納異常情報データ」が0ではないことを精査機制御部46が検出すると、まず精査機表示部43の表示画面に「この中のカセット22のいずれかに、現金在り高が不確定のものが有る虞がある」旨の報知を行う。それ以後、精査機制御部46は、第1実施形態と同様に制御を行う。すなわち、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した、カセット22のICタグ28の記憶データに含まれるカセット識別データである金庫IDと関連付けられた複数のカセット22の金庫IDのそれぞれに対応してデータ蓄積機23から読み出した収納貨幣データと、当該複数のカセット22のそれぞれの金庫IDと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、金庫ID毎つまりカセット22毎に確認する。
操作員が個別精査を行う際にも、いずれかのカセット22のICタグ28に精査機ICタグリーダ41をかざした際に、当該カセット22の金庫IDに関連付けられた「今回の収納異常情報データ」が0ではないことを精査機制御部46が検出すると、例えば図7に示す状態の精査機表示部43の表示画面において、「このカセット22は、現金在り高が不確定のものが有る虞がある」旨の報知を行う。勿論、複数のカセット22でこの事象を検出した際には、該当する複数のカセット22の個別精査の際に報知を行う。これにより、操作員に対して、精査を行うにあたって予め注意を促すことができるようになり、また在り高不確定の疑いのあるカセット22を特定して報知可能となる。また、これらICタグ28に付与されたデータは、顧客店舗Aでのカセット交換時にはデータセンタDのデータ蓄積機23にも通知される。データ蓄積機23には、契約している店舗数分の全データが蓄積されているので、データ蓄積機23のデータをメーカー保守員が参照して、在り高不確定の疑いのあるカセット22を追跡可能となる。
また、操作員が上記の個別精査を行った際には、精査機ICタグリーダ41で読み出した「累積の収納異常情報データ」の中の「収納異常に係るカセット側要因件数データ」を、併せて表示画面に件数表示するようになっており、さらに、所定の件数以上の件数であることを条件として、「このカセットは修理または新品交換の必要性がある」旨を案内するようになっている。これによって、操作員に対して、カセット22の信頼性が低い場合にはその処置内容を案内できる。また、ICタグ28に付与されたデータは、店舗での金庫交換時にはデータセンタDのデータ蓄積機23にも通知される。データ蓄積機23には、契約している店舗数分の全データが蓄積されているので、カセット22の信頼性評価等の目的で、データ蓄積機23のデータをメーカー保守員が参照してIOT等で活用可能となる。
以上に述べた第2実施形態によれば、納金機21は、納金機ICタグリーダ31が、装填されたカセット22のICタグ28から記憶データを読み出すと、この記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機21に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定し、不一致の場合は誤装填と判定する。これにより、回収員が、納金機21に対応する顧客専用の所定のカセット22とは異なるカセット22を納金機21に誤って装填してしまってもこれを検出することができる。そして、誤装填と判定の場合、その旨の警告報知を行うため、回収員の誤装填を防止することができる。
また、納金機21は、納金機ICタグライタ51を有しているため、もし仮にネットワークCの通信異常が発生していて回収データを通知できない場合でも、回収データをバッグアップデータとして、納金機ICタグライタ51でカセット22のICタグ28に書き込んで、精査機24側への通知ができるようになる。
また、納金機21は、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが共用扱いであった場合に、適正装填と判定する。また、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれるカセット識別データである金庫IDと、当該カセット交換直前に装填されていたカセット22の金庫IDとが、不一致の場合は、交換前に装填されていたカセット22と交換後のカセット22とが異なることから、適正装填と判定する一方、一致の場合は、交換前に装填されていたカセット22と交換後のカセット22とが同じため、交換ミスによる回収忘れの誤装填と判定する。そして、誤装填と判定の場合、その旨の警告報知を行うため、回収員の誤装填を防止することができる。
また、納金機21は、装填されたカセット22のICタグ28から納金機ICタグリーダ31で読み出した記憶データから当該カセット22の所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合には、当該納金機21の納金機記憶部36に記憶されている顧客識別データを納金機ICタグライタ51によって、装填されたカセット22のICタグ28に記憶データの一部として書き込む。よって、納金機21は、自身に記憶された所定の契約先に係る顧客識別データを共用扱いのカセット22に書き込んで、自身に記憶された所定の契約先と関連付けることができる。
また、納金機21は、装填された複数のカセット22のカセット識別データである金庫IDを関連付けて精査機24に通知するとともに、当該複数のカセット交換で装填された複数のカセット22それぞれのICタグ28に、その金庫IDを他のカセット22の金庫IDと関連付けて納金機ICタグライタ51によって記憶データとして書き込む。精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれる金庫IDと関連付けられた複数のカセット22の金庫IDを関連付けて表示して精査作業者に案内する。よって、一の納金機21に対し複数のカセット交換を行った場合でも、当該一の納金機21から回収された、売上金が収納された複数のカセット22を関連付けて精査処理することが可能となる。
また、納金機21は、装填された複数のカセット22の金庫IDおよび収納貨幣データを関連付けて精査機24に通知する。一方で、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれる金庫IDと関連付けられた複数のカセット22の収納貨幣データと、当該複数のカセット22の金庫IDと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、カセット22毎に確認する。よって、カセット22毎に精査を行うことができるので、売上金に精査不一致が発生しても、不整合のカセット22を特定できる。
[第3実施形態]
本発明に係る第3実施形態の売上金回収システム11を図10等を参照して第1,第2実施形態との相違部分を中心に説明する。
上述した第1,第2実施形態は、納金機21において売上金が確定しており、その売上金が収納されたカセット22を交換する際の運用について説明したが、第3実施形態では、顧客店舗に納金機21が無い構成であって、店舗の店長等が当日の売上金をバッグ80(収納容器)に手で自ら収納して、当該バッグ80を回収員に手渡す場合の運用形態となっている。なお、売上金が収納されるのは必ずしもバッグ80に限定される訳ではなく、例えば鍵付きの手提げ金庫等であっても良く、現金を収納可能な「収納容器」であれば適宜使用可能となる。
売上金が収納される複数のバッグ80には各々ICタグ28が配設されている。ICタグ28に記憶されたデータ構成に関しては、第1,第2実施形態と同じであり、データ上の相違点箇所は、図2を参照して説明すると、ブロック番号00hの運用種別データが「1:バック」で取扱種別データは「1:専用」で設定されており、またバック運用であるので号機は無関係となり「00」に設定されている。
顧客店舗Aには、店長が操作して売上金に関しての管理を行う売上金管理機71が設置されていて、当該売上金管理機71には、バッグ80のICタグ28に記憶された記憶データを読み取ったり、バッグ80のICタグ28に記憶された記憶データを上書き更新する管理機ICタグリーダライタ72(管理機ICタグライタ)が設けられている。
売上金管理機71は、操作入力を受け付ける管理機操作部73と、モニタ表示を行う管理機表示部74と、音声出力を行う管理機音声出力部75と、データを記憶する管理機記憶部76と、売上金管理機71の全体を制御する管理機制御部77とを有している。
ここでは、便宜上、レジ番毎の売上金を個別にバッグ80に収納する形態を説明し、レジは2箇所あり、バッグ80もそれに対応して2個で運用されるものとして説明する。
まず、店長が売上金管理機71の管理機表示部74を読み出し画面に設定した上で、レジ番号1の売上金を第1のバッグ80に収納する際に、第1のバッグ80に配設されたICタグ28に管理機ICタグリーダライタ72をかざす。すると、管理機制御部77は、管理機ICタグリーダライタ72によりICタグ28自体が有する固有番号であって収納容器識別データである金庫IDを読み出して管理機表示部74の操作画面に表示させて、予め入力されていたレジ番号1の売上金明細(合計金額、金種別明細)と関連付けて画面に表示させる。この状態で、店長が、管理機操作部73の実行釦を押下すると、管理機制御部77は、第1のバッグ80用の金庫IDとレジ番号1の売上金明細を関連付けて管理機記憶部76に記憶することになる。
続いて、店長がレジ番号2の売上金を第2のバッグ80に収納する際にも、同様に、第2のバッグ80に配設されたICタグ28に管理機ICタグリーダライタ72をかざす。すると、管理機制御部77は、管理機ICタグリーダライタ72によりICタグ28自体が有する固有番号であって収納容器識別データである金庫IDを読み出して管理機表示部74の操作画面に表示させて、予め入力されていたレジ番号2の売上金明細(合計金額、金種別明細)と関連付けて操作画面に表示させる。この状態で、店長が、管理機操作部73の実行釦を押下すると、管理機制御部77は、第2のバッグ80用の金庫IDとレジ番号2の売上金明細を関連付けて管理機記憶部76に記憶することになる。そして、これ以上の読み出し操作がなく、管理機操作部73に完了操作が行われると、管理機制御部77は、これら2件分の情報を関連付けて管理機記憶部76に記憶する。
続いて、店長が売上金管理機71の管理機表示部74を書き込み画面に設定した上で、第1のバッグ80に配設されたICタグ28に管理機ICタグリーダライタ72をかざすと、管理機制御部77は、ICタグ28の金庫IDを読み出してこれが第1のバッグ80用の金庫IDであると認識し、その旨を管理機表示部74に表示させる。続いて店長が管理機操作部73の実行釦を押下すると、管理機制御部77は、第1のバッグ80に配設されたICタグ28のブロック番号02h、03hの売上金の金種明細データ部にレジ番号1の売上金の収納貨幣データである金種明細データを上書き更新する。また、併せて、ブロック番号05hに、第1のバッグ80用の金庫IDと関連付けられた第2のバッグ80用の金庫IDを上書き更新する。なお、その他のブロック番号06h~0Ehは関連付けるものがなく未使用となるので、これらについては全てデータ0にて上書き更新する。ここで、第1のバッグ80に配設されたICタグ28に、第2のバッグ80用の金庫IDに加えて、レジ番号2の売上金の収納貨幣データである金種明細データを上書き更新するようにしても良い。
同様に、店長が、第2のバッグ80に配設されたICタグ28に管理機ICタグリーダライタ72をかざす。すると、管理機制御部77は、ICタグ28の金庫IDを読み出してこれが第2のバッグ80用の金庫IDであると認識し、その旨を管理機表示部74に表示させる。続いて店長が管理機操作部73の実行釦を押下すると、管理機制御部77は、第2のバッグ80に配設されたICタグ28のブロック番号02h、03hの売上金の金種明細データ部にレジ番号2の売上金の収納貨幣データである金種明細データを上書き更新する。また、併せて、ブロック番号05hに、第2のバッグ80用の金庫IDと関連付けられた第1のバッグ80用の金庫IDを上書き更新する。なお、その他のブロック番号06h~0Ehは関連付けるものがなく未使用となるので、これらについては全てデータ0にて上書き更新する。ここで、第2のバッグ80に配設されたICタグ28に、第1のバッグ80用の金庫IDに加えて、レジ番号1の売上金の収納貨幣データである金種明細データを上書き更新するようにしても良い。
すなわち、売上金管理機71は、売上金を収納する複数のバッグ80の収納容器識別データである金庫IDと収納貨幣データとを関連付けて、当該複数のバッグ80のそれぞれのICタグ28に管理機ICタグリーダライタ72によって書き込む。このようにして、売上金管理機71での操作が完了すると、その後、店長は、第1のバッグ80および第2のバッグ80それぞれの鍵の施錠を行う。
そして、回収員が店舗を訪問すると、店長は、売上金が収納された第1のバッグ80と第2のバッグ80とを回収員に預け、回収員は第1のバッグ80と第2のバッグ80とを現金センタBへ運ぶことになる。その後の現金センタBでの精査機24での運用形態については、第2実施形態と同じである。
すなわち、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で、バッグ80のICタグ28から読み出した記憶データに含まれる収納容器識別データである金庫IDが、例えば第1のバッグ80の金庫IDである場合に、関連付けられた第1のバッグ80と第2のバッグ80との金庫IDを関連付けて精査機表示部43に表示する。また、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれる収納容器識別データである金庫IDと関連付けられた複数の第1のバッグ80と第2のバッグ80とについて、それぞれの収納貨幣データである金種明細データと、当該複数の第1のバッグ80と第2のバッグ80のそれぞれの金庫IDと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、バッグ毎に確認する。つまり、第1のバッグ80のICタグ28から精査機ICタグリーダ41で読み出した第1のバッグ80の金庫IDを含む収納貨幣データと、当該金庫IDに関連して精査機24で精査計数した計数貨幣データとの一致を確認し、第2のバッグ80のICタグ28から精査機ICタグリーダ41で読み出した第2のバッグ80の金庫IDを含む収納貨幣データと、当該金庫IDに関連して精査機24で精査計数した計数貨幣データとの一致を確認する。
以上に述べた第3実施形態によれば、売上金管理機71が、売上金を収納する複数のバッグ80の収納容器識別データである金庫IDを関連付けて、当該複数のバッグ80のそれぞれのICタグ28に管理機ICタグリーダライタ72によって書き込み、精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれる金庫IDと関連付けられた複数のバッグ80の金庫IDを関連付けて表示して精査作業者に案内する。よって、複数のバッグ80で回収を行った場合でも、売上金が収納された関連する複数のバッグ80を関連付けて精査処理することが可能となる。
また、売上金管理機71が、売上金を収納する複数のバッグ80の収納容器識別データである金庫IDおよび収納貨幣データを関連付けて、当該複数のバッグ80のそれぞれのICタグ28に管理機ICタグリーダライタ72によって書き込む。精査機24は、精査機ICタグリーダ41で読み出した記憶データに含まれる金庫IDと関連付けられた複数のバッグ80の収納貨幣データと、当該複数のバッグ80の金庫IDと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、バッグ毎に確認する。よって、バッグ毎に精査を行うことができるので、売上金に精査不一致が発生しても、不整合のバッグを特定できる。
なお、第3実施形態では、納金機21が存在せず、顧客店舗Aの売上金管理機71がデータセンタDに設置されているデータ蓄積機23とネットワークCで通信可能に接続されていない構成として説明したが、勿論、第3実施形態においても、必要に応じて顧客店舗Aの売上金管理機71がデータセンタDのデータ蓄積機23とネットワークCで通信可能に接続され、さらに現金センタBに設置されている精査機24ともネットワークCで通信可能に接続されるように、つまりは第2実施形態と同様の構成としても良い。このようにすることで、顧客店舗Aの売上金が「回収データ」として、現金センタBの精査機24で照会可能となる。
また、第1~第3実施形態では、顧客店舗Aの納金機21もしくは売上金管理機71とデータセンタDのデータ蓄積機23と現金センタBの精査機24とがネットワークCで通信可能に接続されている場合を例にとり説明したが、これに限らず、店舗数が少ないシステムにおいては、つまりはデータ蓄積機23側で「回収データ」が蓄積されるデータ量が小さいシステムにおいては、データセンタDのデータ蓄積機23は必ずしも必要ではなく、データ蓄積機23をなくして良い。その場合、顧客店舗Aの納金機21(もしくは売上金管理機71)と現金センタBの精査機24とのみがネットワークCで通信可能に接続される構成であっても良い。同様に、売上金管理機71についても、これに替えて、店舗の店長が持ち歩きできる小型の携帯端末機としても良い。
また、第1,第2実施形態でのカセット回収運用については、回収員がカセット交換する際には、便宜上、図示略の操作画面案内によって、売上金が収納されたカセット22つまりはカセット交換が必要なカセット22が回収員に案内表示され、回収員が案内表示された売上金が収納されたカセット22のみを抜き取って空のカセット22に交換する運用となっているが、これに限らず、売上金が収納されていないカセット22も含めて、必ず回収員は全てのカセット22を空のカセット22へ交換することを義務づけるような運用としても良い。こうすることによって、必ず交換したカセット22が全て現金センタBへ運搬されるので、より厳格な管理が可能となる。
また、データセンタDのデータ蓄積機23に接続されていない納金機21の場合は、スマートホン等の携帯端末機でカセット22のICタグ28に記憶された、金庫ID、店番号、収納貨幣データ等を読み取り、携帯端末機からデータセンタDのデータ蓄積機23に送信することで、回収されたカセット22が行方不明になるリスクを回避することができる。
また、バッグ80を用いた売上金の回収においては、金庫IDと店番号とを記憶させたICタグ28をバッグ80に配設しておき、売上金を回収する際は、スマートホン等の携帯端末機でバッグ80のICタグ28から金庫IDと店番号とを読み取り、データセンタDのデータ蓄積機23に送信することで、回収したバッグ80が行方不明になるリスクを回避することができる。
第1~第3実施形態では、現金センタBには精査機24が設けられていて、精査機24で運び込まれたカセット22またはバッグ80の受付チェックと精査を併せて行うようにしているが、これらの作業を別個の構成で行っても良い。例えばICタグリーダを有するパソコンシステムを設けて、カセット22またはバッグ80の受付チェックだけを行う構成として実施し、これとは別に売上金の精査だけは別の精査装置で実施する構成としても良い。
さらに、金庫IDとして、ICタグ28の固有番号をそのまま使用しているため、16進の16の長大なデータとなっている。これをカセット22あるいはバッグ80自体に表示して、目視でのチェックを行おうとすると識別が煩雑となり不便である。よって、カセット22あるいはバッグ80自体を目視で識別できるように、表示用の金庫表示IDを設定しても良い。例えば、重複しない6~7桁の数字ないしは英数字にて金庫表示IDとする。2~3桁の英字で顧客を区別し、下4桁でカセット22あるいはバッグ80を区別すれば、およそカバーすることができる。また、これに限らず、例えば、表示用の金庫表示IDを、視認上は顧客先である例えばスーパー名や店舗名表記の漢字やひらがなや英字等をそのまま使用しつつ、データ上は汎用的なアスキーコード等に変換して使用し、これらの金庫表示IDと金庫IDを関連付けて記憶することで、ICタグ28でのチェックは金庫IDで行い、目視チェックする場合には、金庫表示IDで行うようにすると利便性が高まって良い。
実施形態の第1の態様は、売上金が納金される納金機と、納金機に装填されて該納金機に納金された売上金を収納するカセットとを有し、カセットは、当該カセットの所有扱いが顧客専用か否かに係る情報を含む記憶データを記憶したICタグを備え、納金機は、装填されたカセットのICタグから記憶データを読み出す納金機ICタグリーダを備え、納金機ICタグリーダで読み出した記憶データからカセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定し、不一致の場合は誤装填と判定するとともに、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれるカセット識別データと、当該カセット交換直前に装填されていたカセットのカセット識別データとが、不一致の場合は適正装填と判定し、一致の場合は誤装填と判定することを特徴とする。
上記第1の態様によれば、納金機は、納金機ICタグリーダが、装填されたカセットのICタグから記憶データを読み出すと、この記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定し、不一致の場合は誤装填と判定する。これにより、回収員が、納金機に対応する顧客専用の所定のカセットとは異なるカセットを納金機に誤って装填してしまってもこれを検出することができる。よって、誤装填と判定の場合、例えば、その旨の警告報知を行うことにより、回収員の誤装填を防止することができる。
上記第1の態様によれば、納金機は、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれるカセット識別データと、当該カセット交換直前に装填されていたカセットのカセット識別データとが、不一致の場合は、交換前に装填されていたカセットと交換後のカセットとが異なることから、適正装填と判定し、一致の場合は、交換前に装填されていたカセットと交換後のカセットとが同じため、交換ミスによる回収忘れの誤装填と判定する。よって、誤装填と判定の場合、例えば、その旨の警告報知を行うことにより、回収員の誤装填を防止することができる。
実施形態の第2の態様は、第1の態様において、納金機とネットワークで通信可能に接続され、カセットに収納された売上金を精査する精査機を有し、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データを関連付けて精査機に通知可能であり、精査機は、カセットのICタグから記憶データを読み出す精査機ICタグリーダを備え、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットのカセット識別データを関連付けて表示することを特徴とする。
上記第2の態様によれば、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データを関連付けて精査機に通知することになり、精査機は、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットのカセット識別データを関連付けて表示して精査作業者に案内する。よって、一の納金機に対し複数のカセット交換を行った場合でも、当該一の納金機から回収された、売上金が収納された複数のカセットを関連付けて精査処理することが可能となる。
実施形態の第3の態様は、第2の態様において、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データおよび収納貨幣データを関連付けて精査機に通知可能であり、精査機は、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットの収納貨幣データと、当該複数のカセットのカセット識別データと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、カセット毎に確認することを特徴とする。
上記第3の態様によれば、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データおよび収納貨幣データを関連付けて精査機に通知する。一方で、精査機は、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットの収納貨幣データと、当該複数のカセットのカセット識別データと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、カセット毎に確認する。よって、カセット毎に精査を行うことができるので、売上金に精査不一致が発生しても、不整合のカセットを特定できる。
実施形態の第4の態様は、売上金が納金される納金機と、納金機に装填されて該納金機に納金された売上金を収納するカセットとを有し、カセットは、当該カセットの所有扱いが顧客専用か否かに係る情報を含む記憶データを記憶したICタグを備え、納金機は、装填されたカセットのICタグから記憶データを読み出す納金機ICタグリーダと、装填されたカセットのICタグの記憶データを更新可能な納金機ICタグライタとを備え、納金機ICタグリーダで読み出した記憶データからカセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定し、不一致の場合は誤装填と判定するとともに、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合に適正装填と判定し、当該カセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれるカセット識別データと、当該カセット交換直前に装填されたカセットのカセット識別データとが、不一致の場合は適正装填と判定し、一致の場合は誤装填と判定することを特徴とする。
上記第4の態様によれば、納金機は、納金機ICタグリーダが、装填されたカセットのICタグから記憶データを読み出すと、この記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定し、不一致の場合は誤装填と判定する。これにより、回収員が、納金機に対応する顧客専用の所定のカセットとは異なるカセットを納金機に誤って装填してしまってもこれを検出することができる。よって、誤装填と判定の場合、例えば、その旨の警告報知を行うことにより、回収員の誤装填を防止することができる。
上記第4の態様によれば、納金機は、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが共用扱いであった場合に、適正装填と判定する。また、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれるカセット識別データと、当該カセット交換直前に装填されていたカセットのカセット識別データとが、不一致の場合は、交換前に装填されていたカセットと交換後のカセットとが異なることから、適正装填と判定し、一致の場合は、交換前に装填されていたカセットと交換後のカセットとが同じため、交換ミスによる回収忘れの誤装填と判定する。よって、誤装填と判定の場合、例えば、その旨警告報知を行うことにより、回収員の誤装填を防止することができる。
実施形態の第5の態様は、第4の態様において、納金機は、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合には、当該納金機に記憶された顧客識別データを納金機ICタグライタによって、装填されたカセットのICタグに記憶データとして書き込むことを特徴とする。
上記第5の態様によれば、納金機は、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合には、当該納金機に記憶された顧客識別データを納金機ICタグライタによって、装填されたカセットのICタグに記憶データとして書き込む。よって、納金機は、自身に記憶された所定の契約先に係る顧客識別データを共用扱いのカセットに書き込んで、自身に記憶された所定の契約先と関連付けることができる。
実施形態の第6の態様は、売上金が納金される納金機と、納金機に装填されて該納金機に納金された売上金を収納するカセットとを有し、カセットは、当該カセットの所有扱いが顧客専用か否かに係る情報を含む記憶データを記憶したICタグを備え、納金機は、装填されたカセットのICタグから記憶データを読み出す納金機ICタグリーダと、装填されたカセットのICタグの記憶データを更新可能な納金機ICタグライタとを備え、納金機ICタグリーダで読み出した記憶データからカセットの所有扱いが顧客専用であった場合に、当該記憶データに含まれる顧客識別データと、当該納金機に記憶されている顧客識別データとが、一致の場合は適正装填と判定し、不一致の場合は誤装填と判定するとともに、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合には、当該納金機に記憶された顧客識別データを納金機ICタグライタによって、装填されたカセットのICタグに記憶データとして書き込むことを特徴とする。
上記第6の態様によれば、納金機は、装填されたカセットのICタグから納金機ICタグリーダで読み出した記憶データから当該カセットの所有扱いが顧客専用では無く共用扱いであった場合には、当該納金機に記憶された顧客識別データを納金機ICタグライタによって、装填されたカセットのICタグに記憶データとして書き込む。よって、納金機は、自身に記憶された所定の契約先に係る顧客識別データを共用扱いのカセットに書き込んで、自身に記憶された所定の契約先と関連付けることができる。
実施形態の第7の態様は、第4乃至第6のいずれか一の態様において、納金機とネットワークで通信可能に接続され、カセットに収納された売上金を精査する精査機を有し、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データを関連付けて精査機に通知するとともに、当該複数のカセットそれぞれのICタグにカセット識別データを他のカセットのカセット識別データと関連付けてICタグライタによって記憶データとして書き込み、精査機は、カセットのICタグから記憶データを読み出す精査機ICタグリーダを備え、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットのカセット識別データを関連付けて表示することを特徴とする。
上記第7の態様によれば、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データを関連付けて精査機に通知するとともに、当該装填された複数のカセットそれぞれのICタグにカセット識別データを他のカセットのカセット識別データと関連付けて納金機ICタグライタによって記憶データとして書き込む。精査機は、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットのカセット識別データを関連付けて表示して精査作業者に案内する。よって、一の納金機に対し複数のカセット交換を行った場合でも、当該一の納金機から回収された、売上金が収納された複数のカセットを関連付けて精査処理することが可能となる。
実施形態の第8の態様は、第4乃至第7のいずれか一の態様において、納金機とネットワークで通信可能に接続され、カセットに収納された売上金を精査する精査機を有し、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データおよび収納貨幣データを関連付けて精査機に通知するとともに、当該複数のカセットそれぞれのICタグにカセット識別データを他のカセットのカセット識別データと関連付けてICタグライタによって書き込み、精査機は、カセットのICタグから記憶データを読み出す精査機ICタグリーダを備え、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットの収納貨幣データと、当該複数のカセットのカセット識別データと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、カセット毎に確認することを特徴とする。
上記第8の態様によれば、納金機は、装填された複数のカセットのカセット識別データおよび収納貨幣データを関連付けて精査機に通知する。一方で、精査機は、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれるカセット識別データと関連付けられた複数のカセットの収納貨幣データと、当該複数のカセットのカセット識別データと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、カセット毎に確認する。よって、カセット毎に精査を行うことができるので、売上金に精査不一致が発生しても、不整合のカセットを特定できる。
実施形態の第9の態様は、第1乃至第8のいずれか一の態様において、ICタグを備え、売上金を収納する複数の収納容器と、収納容器のICタグの記憶データを更新可能な管理機ICタグライタを有する売上金管理機と、収納容器に収納された売上金を精査すると共に収納容器のICタグから記憶データを読み出す精査機ICタグリーダを有する精査機とを備え、売上金管理機が、売上金を収納する複数の収納容器のそれぞれのICタグに収納容器識別データを他の収納容器の収納容器識別データと関連付けて管理機ICタグライタによって書き込み、精査機は、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれる収納容器識別データと関連付けられた複数の収納容器の収納容器識別データを関連付けて表示することを特徴とする。
上記第9の態様によれば、売上金管理機が、売上金を収納する複数の収納容器の収納容器識別データを関連付けて、当該複数の収納容器のそれぞれのICタグに管理機ICタグライタによって書き込む。精査機は、精査機ICタグリーダで収納容器のICタグから読み出した記憶データに含まれる収納容器識別データと関連付けられた複数の収納容器の収納容器識別データを関連付けて表示して精査作業者に案内する。よって、複数の収納容器で回収を行った場合でも、売上金が収納された複数の収納容器を関連付けて精査処理することが可能となる。
実施形態の第10の態様は、第1乃至第9のいずれか一の態様において、ICタグを備え、売上金を収納する複数の収納容器と、収納容器のICタグの記憶データを更新可能な管理機ICタグライタを有する売上金管理機と、収納容器に収納された売上金を精査すると共に収納容器のICタグから記憶データを読み出す精査機ICタグリーダを有する精査機とを備え、売上金管理機が、売上金を収納する複数の収納容器の収納容器識別データと収納貨幣データとを関連付けて、当該複数の収納容器のそれぞれのICタグに管理機ICタグライタによって書き込み、精査機は、精査機ICタグリーダで読み出した記憶データに含まれる収納容器識別データと関連付けられた複数の収納容器の収納貨幣データと、当該複数の収納容器の収納容器識別データと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、収納容器毎に確認することを特徴とする。
上記第10の態様によれば、売上金管理機が、売上金を収納する複数の収納容器の収納容器識別データと収納貨幣データとを関連付けて、当該複数の収納容器のそれぞれのICタグに管理機ICタグライタによって書き込む。精査機は、精査機ICタグリーダで収納容器のICタグから読み出した記憶データに含まれる収納容器識別データと関連付けられた複数の収納容器の収納貨幣データと、当該複数の収納容器の収納容器識別データと関連して精査計数した計数貨幣データとの一致を、収納容器毎に確認する。よって、収納容器毎に精査を行うことができるので、売上金に精査不一致が発生しても、不整合の収納容器を特定できる。