JP7163283B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
1.ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び重合系艶消し剤(C)を含む熱可塑性樹脂組成物(X)であって、
ビニル系グラフト重合体(A)が、ジエン系ゴム質重合体(a1)と、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を含有し、
ビニル系非グラフト重合体(B)が、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を含む重合体であり、ゴム質重合体を含有せず、
ビニル系グラフト重合体(A)及び/又はビニル系非グラフト重合体(B)が、α,β-不飽和グリシジルエステル化合物に由来する構造単位を含有し、
重合系艶消し剤(C)が、アクリロニトリルとスチレンまたはα-メチルスチレンとの共重合体樹脂(c1)及び共役ジエン系共重合体ゴムを含む成分(c2)を含有し、該成分(c2)が架橋されてなる樹脂組成物(C1)及び架橋アクリル系重合体(C2-1)又はコア-シェル構造のアクリル系粒子(C2-2)を含むアクリル系重合体(C2)含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.共役ジエン系共重合体ゴムが、不飽和ニトリル-共役ジエン系共重合体ゴムであることを特徴とする上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.ビニル系グラフト重合体(A)及び/又はビニル系非グラフト重合体(B)に含まれるα,β-不飽和グリシジルエステル化合物に由来する構造単位の含有量が、ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び艶消し剤(C)の合計100質量%に対して、0.01~5質量%であることを特徴とする上記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.艶消し剤(C)の含有量が、ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び艶消し剤(C)の合計を100質量%として、1~30質量%であることを特徴とする上記1乃至3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.アクリロニトリルとスチレンまたはα-メチルスチレンとの共重合体樹脂(c1)及び不飽和ニトリル-共役ジエン系共重合体ゴムを含む成分(c2)を含有し、該成分(c2)が架橋されてなる樹脂組成物(C1)とアクリル系重合体(C2)の比率が2:8~8:2であることを特徴とする上記1乃至4の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.ジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量が、ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び重合系艶消し剤(C)の合計を100質量%として、3~70質量%であることを特徴とする上記1乃至5の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.ビニル系グラフト重合体(A)がさらにエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(a2)を含有することを特徴とする上記1乃至6の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
8.ジエン系ゴム質重合体(a1)とエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(a2)の比率が95~20:5~80であることを特徴とする上記7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
9.上記1乃至8の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
10.車両内装用機器であることを特徴とする上記9に記載の成形体。
本発明のビニル系グラフト重合体(A)は、代表的にはジエン系ゴム質重合体(a1)と、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を含むビニル系グラフト重合体(A1)であり、必要に応じ、更にエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(a2)と、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を含むビニル系グラフト重合体(A2)を含有する。
ビニル系グラフト重合体(A1)は、通常、ジエン系ゴム質重合体(a1)を含有するゴム質重合体部と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む重合体部(グラフト部)を含有し、重合体部はゴム質重合体部にグラフト結合した組成物である。グラフト部を構成する重合体部は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の他に、芳香族ビニル化合物と共重合可能な、他のビニル系化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。重合体部がゴム質重合体部にグラフト結合していることは、後述するグラフト率の測定や、公知のオゾノリシス法、電子顕微鏡を用いたモルフォロジーの観察等により明らかにすることができる。
グラフト率(質量%)=((S-T)/T)×100 (1)
上記式中、Sはゴム強化芳香族ビニル系樹脂(P-1)、(P-2)又は(P-3)1グラムをアセトン20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tは成分(P-1)、(P-2)又は(P-3)1グラムに含まれるゴム質重合体(a1)または(a2)の質量(g)である。このゴム質重合体(a1)または(a2)の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)、熱分解ガスクロマトグラフィー、CHN元素分析等により求める方法等により得ることができる。
本発明で使用する重合系艶消し剤(C)としては、2種の艶消し剤が併用される。一の重合系艶消し剤(C)としては、アクリロニトリルとスチレンまたはα-メチルスチレンとの共重合体樹脂(c1)及び共役ジエン系共重合体ゴムを含む成分(c2)を含有し、該成分(c2)が架橋されてなる樹脂組成物(C1)が挙げられる。このような樹脂組成物(C1)は、例えば、特許第2576863号公報、特開2010-1377公報に記載の方法で製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(X)は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(P)を構成する、ビニル系グラフト重合体(A)とビニル系非グラフト重合体(B)及び重合系艶消し剤(C)を混合し、溶融混練することにより得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(X)で成形された成形体は、表面外観に優れるため、優れた艶消し性が求められる自動車用部材、家電用部材、医療用部材、建築用部材、艶消しシート材、艶消しフィルム材等に好適である。特に、成形品表面で反射した太陽光により運転者が幻惑される、計器周辺の反射光により計器が視認しにくくなるなどの安全性の観点から、車輌内装部材、例えばダッシュボード、インストルメンタルパネル、ベンチレーター、ヘッドアップディスプレイユニットのハウジングなどに好適である。また、意匠性の観点から、艶消し性に優れた外観が求められる家電、OA等のケース、シャーシ等にも好適である。
(1-0)艶消し剤(C1)と艶消し剤(C2)の体積比率
熱可塑性樹脂組成物の成形品を四酸化オスミウムで染色し、クライオミクロトームを用いて-60℃前後で超薄切片を切り出した後、さらに四酸化オスミウムで染色したものを、日本電子社製透過型電子顕微鏡「JEM-1400Plus」(型式名)により観察した。ここで、ジエン系ゴム部を含む艶消し材(C1)は濃色に、アクリル系重合体である艶消し材(C2)は淡色に染まるため、両者の判別が可能である。また、ジエン系ゴム質重合体(a1)を含有するビニル系グラフト重合体(A)と艶消し剤との識別は、ゴム粒子の大きさや、ゴム粒子内部の淡色のグラフト層の有無により可能である。得られた写真を画像解析ソフト「Image-Pro Plus Ver.4.0 for Windows(登録商標)」を用いて画像解析し、艶消し材(C1)と艶消し材(C2)の面積を計測して体積比を算出した。
表1に記載の熱可塑性樹脂組成物を、日精樹脂工業株式会社製の射出成形機「エルジェクト NEX30」(型式名)を用いて、80mm×55mm×2.4mmの平板型の試験片を射出成形した。試験片は、55mmの一方の辺の中央に4mm×1mmのサイドゲートを備え、成形時の樹脂温度は240℃、金型温度は50℃、射出速度は30mm/秒であった。JIS K 7105に準じて、得られた試験片表面の光沢を、デジタル光沢計(形式名「GM-26D」、村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。測定角度は60°であった。
東芝機械製の射出成形機IS-100GNを用い、樹脂温度260℃、金型温度80℃、射出速度は30mm/sで試験片を成形した。試験片は130mm×90mm×2mmの平板型で、一方の面に119mm×79mmのシボ(棚沢八光社 TH-608)を備え、130mmの辺のうち、両末端から31mm地点に6mm×2mmの2点ゲートを備えたものを作製した。得られた試験片シボ面の中央部の光沢を、表面光沢同様に測定した。
上記試験片のゲート直下部分G1および流動末端部分G2のシボ面光沢値を同様に測定し、得られた値の差分(G2-G1)をシボ光沢低下度と定義し、次のように判定した。
◎(非常に良好):0~0.1
○(良好):0.1超~0.3
△(用途によっては良好):0.3超~0.4
×(不良):0.4超
寸法安定性の指標として、JIS K7152-4に準じて、MD方向及びTD方向について、それぞれ、成形収縮率を、温度23℃で測定し、大きい方の値を成形収縮率とした。
寸法安定性の指標として、さらに加熱収縮率を測定した。
MD方向長さ240mm、TD方向長さ80mm、厚み3.0mmのプレートを東芝機械製射出成形機EC130SXで、射出速度100mm/sで成形し、成形品を23℃50%RH環境下で24時間以上静置したのちにエスペック製恒温恒湿槽PR-2Jにて120℃で8時間加熱した。
ISO 178に準じて、曲げモジュラスを温度23℃で測定した。単位は「MPa」である。
成形加工性の指標として、ISO 1133に準じて、メルトマスフローレートを温度240℃及び荷重98Nの条件で測定した。単位は「g/10分」である。
ISO75に準じて、加重たわみ温度を測定した。単位は「℃」である。
ISO179に準じて、室温におけるシャルピー衝撃強さ(Edgewise Impact、ノッチ付き)を測定した。単位は「KJ/m2」である。測定条件は、以下の通りである。
試験片タイプ : Type 1
ノッチタイプ : Type A
荷重 : 2J
表1に記載の熱可塑性樹脂組成物を、東芝機械製の射出成形機「IS-170FA」(商品名)を用いて、シリンダー温度240℃、射出圧力80MPa、金型温度60℃の条件で射出成形することにより得た、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの成形品から、縦60mm、横100mm、厚さ4mm、及び、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの大小2枚の試験片をディスクソーで切り出した。次に、番手#100のサンドペーパーで試験片の端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、大小2枚の軋み音評価用試験片を得た。尚、異種材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA:三菱ケミカル社製のメタクリル樹脂「アクリペット VH001」)を用いた。
(2-1)ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(P):成分(A1)、成分(B1)
P-1:ABS-1
攪拌機付き重合器に、水280部及びジエン系ゴム質重合体(a1)として、重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t-ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2’-メチレン-ビス(4-エチレン-6-t-ブチルフェノール)0.2部を添加し、塩化カルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過及び乾燥工程を経てパウダー状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量は60%、グラフト率は40%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.38dl/gであった。
攪拌機付き重合器に、水280部及びジエン系ゴム質重合体(a1)として、重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス70部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル7部、スチレン20部、グリシジルメタクリレート(GMA)3部、t-ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2’-メチレン-ビス(4-エチレン-6-t-ブチルフェノール)0.2部を添加し、塩化カルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過及び乾燥工程を経てパウダー状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量は70%、グラフト率は35%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.45dl/gであった。
P-3:AES-1
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(a2)として、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)20、融点(Tm)は40℃、ガラス転移温度(Tg)は-50℃)22部、スチレン55部、アクリロニトリル23部、t-ドデシルメルカプタン0.5部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温して、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って重合反応を終了した。重合転化率は98%であった。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)-プロピオネート0.2部、ジメチルシリコーンオイル;KF-96-100cSt(商品名:信越シリコーン株式会社製)0.02部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、さらに40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたエチレン・α-オレフィン系ゴム強化ビニル系樹脂において、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(a2)の含有量は22%(重合転化率から計算)、グラフト率は70%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.47dl/gであった。
Q-1:AS-1
撹拌機付き重合容器に、水250部及びパルミチン酸ナトリウム1.0部を投入し、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら70℃まで加熱した。さらにナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込んだ後、α-メチルスチレン70部(単量体混合物の70%)、アクリロニトリル26部(同26%)、スチレン4部(同4%)からなる単量体混合物100部と、tert-ドデシルメルカプタン0.45部を混合して、重合温度70℃で連続的に7時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を75℃にし、1時間撹拌を続けて重合を終了させラテックスを得た。このラテックスを塩化カルシウムで塩析し、洗浄、濾過及び乾燥工程を経てパウダー状の共重合体を得た。重合転化率は98%、極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.40dl/g、ガラス転移温度(Tg)は140℃であった。
R-1:C1(ジエン系ゴム変性共重合樹脂):ゼオン化成社製のABS樹脂用艶消し剤「レビタルマットエース AM-808」(商品名)を用いた。R-1を含有する樹脂組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、R-1はアメーバ状の不定形粒子として存在していた。
S-1;三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のポリカーボネート樹脂「ノバレックス7022 PJ-LHI」(商品名)を用いた。
T-1:日東紡績株式会社製の「CSF 3PE-332ST」(商品名)を用いた。
表1~3に記載の配合割合で、上記成分(A)、(B)、(C)、又は、これらに更に成分(D)からなる熱可塑性樹脂組成物をヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44α、バレル設定温度250℃)で溶融混練し、ペレット化した。なお、(E)を配合する場合はサイドフィーダーを用いて押出機の途中から添加した。得られたペレットで上記したように評価用の各試験片を成形した。そして得られた試験片を用いて、前記の方法で評価した。評価結果を表1~3に示した。
実施例3の熱可塑性樹脂組成物を用いて図9の部品10を成形し、比較例1の熱可塑性樹脂組成物を用いて図9の部品20を成形し、両者を図9に示されるように嵌め込んで組み立てた後、図9の矢印の方向に繰り返し荷重をかけたところ、軋み音は発生しなかった。この組立体を、80℃のギアーオーブンに400時間放置した後、図9の矢印の方向に繰り返し荷重をかけたところ、同様に軋み音は発生しなかった。
カーボンブラック1部を加えた実施例16および24の熱可塑性樹脂組成物を用いて、図15に示すように、底面の周縁4箇所に、先端部に切欠部34aを有するリブ34bを立設した円筒形の部品34を成形した。部品34の底面に白色の文字盤“METER”を貼り付けた。次に、三菱ケミカル社製のメタクリル樹脂「アクリペット VH001」を用いて、円盤状の部品(透明板)35を成形し、該部品35を部品34のリブ34bの切欠部34aに嵌め込み、メーター状の構造体を得た。得られた構造体に振動を加えたが、何れの材料においても嵌合部での軋み音は発生しなかった。また、部品34は艶消し性であるので、円盤状の部品(透明板)35への反射や写りこみもなく、文字盤の視認性も良好だった。該構造体を、80℃のギアオーブンに400時間放置した後、振動を加えたが、同様に軋み音は発生しなかった。また、円盤状の部品(透明板)35への反射や写りこみもなく、文字盤の視認性も良好だった。
V 駆動速度
μs ノコギリ波形上端の摩擦係数(静摩擦係数)
μl ノコギリ波形下端の摩擦係数
Δμ μs-μl
10、18、20、28、34、35 部品
19 軸
29 開口部
30 突起
31 接着剤
33 ボルトナット
34a 切欠部
34b リブ
Claims (10)
- ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び重合系艶消し剤(C)を含む熱可塑性樹脂組成物(X)であって、
ビニル系グラフト重合体(A)が、ジエン系ゴム質重合体(a1)と、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を含有し、
ビニル系非グラフト重合体(B)が、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を含む重合体であり、ゴム質重合体を含有せず、
ビニル系グラフト重合体(A)及び/又はビニル系非グラフト重合体(B)が、α,β-不飽和グリシジルエステル化合物に由来する構造単位を含有し、
重合系艶消し剤(C)が、アクリロニトリルとスチレンまたはα-メチルスチレンとの共重合体樹脂(c1)及び共役ジエン系共重合体ゴムを含む成分(c2)を含有し、該成分(c2)が架橋されてなる樹脂組成物(C1)及び架橋アクリル系重合体(C2-1)又はコア-シェル構造のアクリル系粒子(C2-2)を含むアクリル系重合体(C2)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 共役ジエン系共重合体ゴムが、不飽和ニトリル-共役ジエン系共重合体ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ビニル系グラフト重合体(A)及び/又はビニル系非グラフト重合体(B)に含まれるα,β-不飽和グリシジルエステル化合物に由来する構造単位の含有量が、ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び重合系艶消し剤(C)の合計100質量%に対して、0.01~5質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 重合系艶消し剤(C)の含有量が、ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び重合系艶消し剤(C)の合計を100質量%として、1~30質量%であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- アクリロニトリルとスチレンまたはα-メチルスチレンとの共重合体樹脂(c1)及び不飽和ニトリル-共役ジエン系共重合体ゴムを含む成分(c2)を含有し、該成分(c2)が架橋されてなる樹脂組成物(C1)とアクリル系重合体(C2)の体積比率が2:8~8:2であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量が、ビニル系グラフト重合体(A)、ビニル系非グラフト重合体(B)及び重合系艶消し剤(C)の合計を100質量%として、3~70質量%であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ビニル系グラフト重合体(A)がさらにエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(a2)を含有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ジエン系ゴム質重合体(a1)とエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(a2)の比率が95~20:5~80であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
- 車両内装用機器であることを特徴とする請求項9に記載の成形体。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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