JP7287113B2 - 三次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、美麗な表面外観とするために造形物の表面粗さを小さくすると、軋み音が問題となり、軋み音を低減するために表面粗さを大きくすると、表面外観、造形物の加工精度が損なわれる。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
要件I:ZIEGLER社製スティックスリップ測定装置「SSP-02」を用いて、該熱可塑性樹脂組成物により熱溶融積層方式にて三次元造形した、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片Aと、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片Bを80℃±5℃で300時間エージングした後、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下において、板面同士を以下の(1)~(4)の荷重と速度の組み合わせで、それぞれ振幅20mmの条件で3回擦り合わせて測定した異音リスク値がすべて3以下である。
(1)荷重5N,速度1mm/秒
(2)荷重5N,速度10mm/秒
(3)荷重40N,速度1mm/秒
(4)荷重40N,速度10mm/秒
まず、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕は、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(以下、「エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕」又は「成分〔a1〕」と称す場合がある。)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(以下、「ビニル系単量体〔b1〕」又は「成分〔b1〕」と称す場合がある。)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(以下、「ゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕」又は「成分〔A1〕」と称す場合がある。)の単独であってもよく、成分〔A1〕と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(以下、「ビニル系単量体〔b2〕」又は「成分〔b2〕」と称す場合がある。)の(共)重合体(以下、「(共)重合体〔B〕」又は「成分〔B〕」と称す場合がある。)との混合物であってもよい。成分〔B〕は、ゴム質重合体の非存在下に成分〔b2〕の芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られる。
(成分〔a1〕のモノマー組成)
エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕を構成するα-オレフィンとしては、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらのα-オレフィンは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。α-オレフィンの炭素数は、好ましくは3~12、より好ましくは3~8である。α-オレフィンの炭素数が20を超えると共重合性が低下し、成形品の表面外観が十分でなくなる場合がある。好ましいα-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。これらのうち、より好ましくはプロピレン及び/又は1-ブテン、特に好ましくはプロピレンである。
また、成分〔a1〕のヨウ素価は、通常0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0~3である。ヨウ素価が10を超えると、軋み音の低減効果及び高温下に長時間置かれた場合の軋み音低減効果の維持が不十分になる場合がある。
エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕は、引張強さ(TS)が0.5~7MPa、引張伸び(EB)が500%以上、硬度(タイプAデュロメータ)が40~85、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が5~60であることが好ましい。ここで、引張強さ(TS)及び引張伸び(EB)は、JIS K6251に準拠して測定される。また、硬度(タイプA型デュロメータ)は、JIS K6253に準拠して測定される。また、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS K6300に準拠して測定される。
成分〔a1〕のエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体は、例えば、特公平06-018942号公報、特公平07-103280号公報に開示されているチーグラー系触媒を用いる方法等、公知の方法により得ることができる。
具体的には、以下のような触媒を用いて次のような製造方法によって好適に得ることができる。
このバナジウム化合物としては、バナジウムのハライド、オキシハライド、含酸素化合物とのキレート錯体、バナジン酸エステルなどが好ましい。
これらの化合物を具体的に例示すれば、四塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、バナジウムトリスアセチルアセトナート、バナジン酸トリエトキシド、バナジン酸トリ-n-ブトキシド、バナジン酸ジ-n-ブトキシモノクロリド、バナジン酸エトキシジクロリド、四塩化バナジウム又はオキシ三塩化バナジウムとアルコールとの反応生成物などが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの化合物のうちより好ましいものは、四塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム及びこれらのバナジウム化合物とアルコールとの反応生成物である。
チタン化合物としては、固体又は溶解した三塩化チタン触媒、塩化マグネシウムに担持した三塩化チタン又は四塩化チタン触媒が用いられる。
触媒成分としては、特にバナジウム化合物が好ましい。
この場合用いるアルコール、アミンとしては例えば、メタノール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、2-エチル-ヘキサノール、n-デカノール、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-イソブチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-2-エチルヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-イソブチルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、2-エチルヘキシルアミンなどが挙げられる。これらは、有機アルミニウム化合物に対しモル比で0.01~0.5、好ましくは0.05~0.2の割合で反応に使用される。
これらの有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウム化合物の反応物は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
重合反応に使用する重合溶媒としては、より具体的には、n-へキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、n-デカン、シクロヘキサン、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、塩化エチレン等の不活性炭化水素溶媒が挙げられる。
ビニル系単量体とは、不飽和結合を有する重合性化合物であり、本発明に係る成分〔b1〕、〔b2〕のビニル系単量体は、通常芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む。その他、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物等の、他の共重合可能なビニル系単量体、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、オキサゾリン基等の官能基を1種以上有する官能基含有ビニル系単量体を併用してもよい。
成分〔b2〕のビニル系単量体は、成分〔b1〕のビニル系単量体と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
尚、マレイミド化合物からなる単量体単位を重合体に導入する方法としては、予め、無水マレイン酸を共重合させ、その後、イミド化する方法がある。
(ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕の形態)
ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕は、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕を含有する重合体成分であるが、その含有形態は特に限定されない。
また、ビニル系単量体の(共)重合体がグラフトしていない、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が含まれていてもよい。
即ちエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の含有態様には以下の(1),(2)がある。
(1)エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、グラフト共重合体として含有される場合
(2)エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、未グラフトのゴム質重合体として含有される場合
これらのうち、(1)の態様が特に好ましい。
[i]上記エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下に、ビニル系単量体〔b1〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕
[ii]上記[i]と、ビニル系単量体〔b2〕の(共)重合体〔B〕とからなる混合物。
これらのうち、ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕中のエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の量を自由に調整できる点で[ii]の態様が特に好ましい。
ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕としては、上記[i]及び[ii]の組み合わせであってもよい。
ゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕を製造する際の重合方法としては、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の重合方法が挙げられる。いずれにおいても、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下に、ビニル系単量体〔b1〕を一括投入して反応させてもよいし、分割又は連続添加して反応させてもよい。また、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕は、全量又は一部を、ビニル系単量体〔b1〕との重合の途中で添加して反応させてもよい。
エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の使用量は、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕とビニル系単量体〔b1〕の合計を100質量%とした場合、通常5~80質量%、好ましくは10~70質量%である。
重合開始剤は、通常反応系に一括添加又は連続添加される。
ゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕のグラフト率は、通常10~150質量%、好ましくは20~120質量%、特に好ましくは30~70質量%である。このグラフト率が10質量%未満では、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕とビニル系単量体〔b1〕の(共)重合体との界面強度が劣るため、耐衝撃性が十分でない場合がある。一方、150質量%を超えると、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕表面におけるビニル系単量体〔b1〕の(共)重合体からなる層が厚くなり、また、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の内部にグラフトしたビニル系単量体〔b1〕の(共)重合体からなる層が発達するため、ゴム弾性が低下し、その結果、耐衝撃性が低下したり、得られる造形物の外観が低下する場合がある。
グラフト率(質量%)={(S-T)/T}×100
上記式中、Sはゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕1gをアセトン20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tはゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕1gに含まれるエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の質量(g)である。このエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)により求める方法等により得ることができる。
ゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕のアセトン可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製する。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求める。単位は、dl/gである。
(共)重合体〔B〕は、ゴム質重合体の非存在下、ビニル系単量体〔b2〕を、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の方法で重合することにより製造することができる。上記重合は、重合開始剤を用いない熱重合であってもよいし、重合開始剤を用いる触媒重合であってもよい。
(共)重合体〔B〕をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製する。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求める。単位は、dl/gである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成分〔A1〕、所望により成分〔B〕を所定の配合比率で混合し、溶融混練することにより得られる。成分〔A1〕と成分〔B〕の配合量(成分〔A1〕/成分〔B〕)は、成分〔A1〕と成分〔B〕の合計100質量%に対して、好ましくは10~90質量%/10~90質量%、より好ましくは20~80質量%/20~80質量%である。
上記極限粘度は、成分〔A1〕及び〔B〕の製造時に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のアセトン可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製する。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求める。単位は、dl/gである。
特に他の樹脂としてポリカーボネートを用いることは、耐熱性、耐衝撃性の観点から好ましい。また、他の樹脂としてABS樹脂を用いることは、耐衝撃性、流動性の観点から好ましい。
ただし、本発明の熱可塑性樹脂組成物が他の樹脂としてABS樹脂及び/又はポリカーボネートを含有する場合は、ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕とABS樹脂及び/又はポリカーボネートとの合計100質量%中にゴム強化ビニル系樹脂〔A〕を20~80質量%、ABS樹脂及び/又はポリカーボネートを80~20質量%含むことが軋み音低減の観点から好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、下記要件Iを満たすことが好ましく、下記要件Iを満たすことで、表面粗さRzの小さい造形物において、軋み音を効果的に抑制することができる。以下の異音リスク値は3以下が好ましいが、より好ましくは2以下である。
要件I:ZIEGLER社製スティックスリップ測定装置「SSP-02」を用いて、該熱可塑性樹脂組成物により熱溶融積層方式にて三次元造形した、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片Aと、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片Bを80℃±5℃で300時間エージングした後、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下において、板面同士を以下の(1)~(4)の荷重と速度の組み合わせで、それぞれ振幅20mmの条件で3回擦り合わせて測定した異音リスク値がすべて3以下である。
(1)荷重5N,速度1mm/秒
(2)荷重5N,速度10mm/秒
(3)荷重40N,速度1mm/秒
(4)荷重40N,速度10mm/秒
より具体的な異音リスク値の測定方法は、後述の実施例の項に示す通りである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いる熱溶融積層方式三次元造形法による造形物の製造は、常法に従って行うことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて熱溶融積層方式三次元造形により製造された本発明の熱溶融積層方式三次元造形物(以下、「本発明の造形物」と称す場合がある。)は、その表面の表面粗さRzが100μm以下であることが好ましい。
即ち、本発明の熱溶融積層方式三次元造形物は、表面粗さRz100μm以下というような優れた平滑表面を有する造形物において、軋み音を低減することができるものであり、表面粗さRz100μm以下であることにより、表面外観、加工精度に優れたものとすることができる。造形物の表面外観、加工精度の観点から表面粗さRzは特に95μm以下、とりわけ90μm以下であることが好ましい。
なお、ここで、表面粗さRzが100μm以下となる面とは、少なくとも本発明の造形物の意匠面である。
なお、造形物の表面粗さRzは後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形物は、その軋み音抑制効果から、特に接触用部品として好適に用いられる。
光学機器としては、カメラのレンズキャップ等、家庭用音響機器としてはヘッドフォンイヤージョイント部等が挙げられる。
<ムーニー粘度(ML1+4、100℃)>
JIS K6300に準拠し,測定温度100℃、予熱1分、測定4分の条件で測定した。
<引張強さ(TS)・引張伸び(EB)>
JIS K6251に準拠し、3号型試験片を用い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で、引張強さ(TS)(MPa)及び引張伸び(EB)(%)を測定した。
JIS K6253に準拠して測定した。
前記方法を用いて測定した。
前記方法を用いて測定した。
後述の実施例における方法で、熱溶融積層方式三次元造形法により、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片Aと縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片Bを製造した。
2枚の試験片A,Bを80℃±5℃に調整したオーブンで300時間エージングした後、25℃で24時間冷却後、大きい方の試験片Aと小さい方の試験片BをZIEGLER社製スティックスリップ試験機「SSP-02」に固定し、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、以下の(1)~(4)の荷重と速度の4条件の組み合わせにて、振幅2mmで3回擦り合わせたときの異音リスク値を測定した。
そして、異音リスク値が最も大きい条件の数値を抽出して測定値とした。
異音リスク値が大きいほど軋み音の発生リスクは高くなり、異音リスク値が3以下であれば良好である。
(1)荷重5N,速度1mm/秒
(2)荷重5N,速度10mm/秒
(3)荷重40N,速度1mm/秒
(4)荷重40N,速度10mm/秒
OLYMPUS製レーザー顕微鏡「LEXT OLS4000」を用いて、試験片Aの異音リスク値測定面(ただし、異音リスク値測定前)について、表面粗さRzを測定した。
チッ素置換した20Lオートクレーブにトルエン8L、トルエン40mlに溶解したアルミニウム原子換算で60mmolのメチルアルミノキサンを加え、40℃に昇温した後、エチレンを3.2L/時間、プロピレンを2.0L/時間で連続的に供給した。
次いで、トルエン12ml中に溶解したジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド12μmolを添加して重合を開始した。
反応中は温度を40℃に保ち、連続的にエチレン、プロピレンを供給しつつ、20分間反応させた。その後、メタノールを添加して反応を停止させ、水蒸気蒸留にてクラム状のエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(EP-1)を得た。
α-オレフィン種:プロピレン
α-オレフィン含量:22(質量%)
引張強さ(TS):2.9(MPa)
引張伸び(TB):1000(%)
硬度(タイプAデュロメータ):73
ムーニー粘度(ML1+4、100℃):19
MFR(230℃、2.16kgf):3.6(g/10min)
結晶化度(X線回折法):11(%)
融点(Tm):41(℃)
ガラス転移温度(Tg):-50(℃)
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体(EP-1)22部、スチレン55部、アクリロニトリル23部、t-ドデシルメルカプタン0.5部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.5部を添加し、内温を更に昇温して、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って重合反応を終了した。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)-プロピオネート0.2部、ジメチルシリコーンオイル;KF-96-100cSt(商品名:信越シリコーン株式会社製)0.02部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、さらに40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化して、エチレン・α-オレフィン系ゴム強化ビニル系樹脂(AES-1)(後掲の表1では「AES-1」と表記)を得た。
リボン翼を備えたジャケット付き重合用反応器を、2基連結した合成装置を用いた。各反応器内に、窒素ガスをパージした後、1基目の反応器に、スチレン73部、アクリロニトリル27部及びトルエン20部からなる混合物と、分子量調節剤であるtert-ドデシルメルカプタン0.15部をトルエン5部に溶解した溶液と、重合開始剤であるジクミルパーオキサイド0.1部をトルエン5部に溶解した溶液とを連続的に供給し、110℃で重合を行った。供給した単量体等の平均滞留時間は2時間であり、2時間後の重合転化率は56%であった。
次いで、得られた重合体溶液を、1基目の反応器の外部に設けられたポンプにより、連続的に取り出して、2基目の反応器に供給した。連続的に取り出す量は、1基目の反応器に供給する量と同じである。尚、2基目の反応器においては、130℃で2時間重合を行い、2時間後の重合転化率は74%であった。
その後、2基目の反応器から、重合体溶液を回収し、これを、2軸3段ベント付き押出機に導入した。そして、直接、未反応単量体及びトルエン(重合用溶媒)を脱揮し、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS-1)(後掲の表1では「AS-1)と表記)を回収した。このスチレン・アクリロニトリル共重合体(AS-1)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.60dl/gであった。
攪拌機付き重合器に、水280部及びジエン系ゴム質重合体として、重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で攪拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t-ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間攪拌続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2′-メチレン-ビス(4-エチレン-6-t-ブチルフェノール)0.2部を添加し、塩化カルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過及び乾燥工程を経てパウダー状のジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(ABS-1)(後掲の表1では「ABS-1」と表記)を得た。得られたジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(ABS-1)の極限粘度は0.38dl/gであった。
表1に記載の配合割合で、各成分をそれぞれヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44α、バレル設定温度250℃)で溶融混練し、ペレット化することにより本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。
なお、ポリカーボネート(後掲の表1では「PC」と表記)としては三菱エンジニアリングプラスチック社製ポリカーボネート樹脂「NOVAREX 7022J」を用いた。
得られたフィラメントを用いて、日本3Dプリンター社の3Dプリンター 機種「Raise3D N2」を用いて前述の試験片Aと試験片Bを製造した。
このとき、形状データをAutodesk Inventerで作成、Raide3D用スライサーソフトideamakerにて形状データを縦置きに配置し、Ideamakerの造形条件設定で積層ピッチを任意に設定して(粗)0.25mmから(細)0.15mmの間で変更して形状の内部充填率100%の造形条件に設定してプリンターで造形することで、表面粗さRzの異なる試験片を得た。
得られた試験片A,Bを用いて、異音リスク値の評価を行った。また、試験片Aの表面粗さRzを測定した。
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂組成物を用いる熱溶融積層方式三次元造形法による三次元造形物の製造方法であって、
該熱可塑性樹脂組成物が、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であり、該三次元造形物の表面粗さRzが100μm以下、74μm以上である三次元造形物の製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂組成物が、下記要件Iを満たすことを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
要件I:ZIEGLER社製スティックスリップ測定装置「SSP-02」を用いて、該熱可塑性樹脂組成物により熱溶融積層方式にて三次元造形した、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片Aと、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片Bを80℃±5℃で300時間エージングした後、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下において、板面同士を以下の(1)~(4)の荷重と速度の組み合わせで、それぞれ振幅20mmの条件で3回擦り合わせて測定した異音リスク値がすべて3以下である。
(1)荷重5N,速度1mm/秒
(2)荷重5N,速度10mm/秒
(3)荷重40N,速度1mm/秒
(4)荷重40N,速度10mm/秒
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