JP6370682B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
しかし、上記のようにPC/ABSアロイのABS樹脂を乳化重合で製造したAES樹脂で代替した樹脂から得られた成形品は、成形直後、或いは初期の軋み音抑制効果は高いものの、高温多湿下で長時間使用されると、軋み音が発生する等の問題を生じる場合があることが判った。
前記樹脂成分(X)100質量部に対して0.005〜2質量部の下記成分(C)と、
前記樹脂成分(X)100質量部に対して0.001〜1質量部の下記成分(D)と、
を含み、
前記成分(B)は下記成分(B1)を含む熱可塑性樹脂組成物を提供する。
成分(B1):ゴム部分としてエチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)を含有する、乳化重合で得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂。
成分(C):ハイドロタルサイト。
成分(D):ヒンダードフェノール系安定剤およびリン系安定剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の熱安定剤。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高温多湿下で長時間使用された場合でも成形品の軋み音の発生を抑制することができるので、嵌合等により互いに接触する部分を有する物品の成形材料として有用である。
本発明で用いる樹脂成分(X)は、ポリカーボネート系樹脂(A)と、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)とを必須成分として含有するとともに、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)は、ゴム部分としてエチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)を含有する、乳化重合で得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B1)を必須成分として含有する。
以下、該樹脂成分(X)を構成する上記各成分について詳述する。
本発明で用いる樹脂成分(X)は、上記のとおり、ポリカーボネート樹脂(A)を含有することができる。本発明において、ポリカーボネート樹脂(A)は、主鎖にカーボネート結合を有するものであれば特に限定されず、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネートなどが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐衝撃性、耐熱性等の観点から、芳香族ポリカーボネートが好ましい。尚、これらのポリカーボネート樹脂は、末端がR−CO−基、R’−O−CO−基(R及びR’は、いずれも有機基を示す。)に変性されたものであってもよい。
本発明において、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)としては、ゴム部分と芳香族ビニル系(共)重合体部分とからなる樹脂が挙げられ、より具体的には、ゴムの分散粒子を上記ゴム部分として上記芳香族ビニル系(共)重合体部分中に含有することによって耐衝撃性等の機械的強度が向上した芳香族ビニル系樹脂が挙げられる。上記ゴム部分には上記芳香族ビニル系(共)重合体部分がグラフト重合していることが好ましい。ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)の好ましい具体例としては、上記ゴム部分に上記芳香族ビニル系(共)重合体部分がグラフト重合してなるゴム強化芳香族ビニル系グラフト樹脂(グラフト重合体)(B−1)と、上記ゴム部分にグラフト重合していない上記芳香族ビニル系(共)重合体部分からなる芳香族ビニル系共重合樹脂(非グラフト(共)重合体)(B−2)とを含み、前記成分(B−2)中に前記成分(B−1)が分散した形態のものが挙げられる。ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)は、アセトンによって、前記成分(B−1)と前記成分(B−2)に分離でき、この場合、前記成分(B−1)はアセトン不溶分として分離され、前記成分(B−2)はアセトン可溶分として分離される。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)は、成分(B1)(すなわち、以下に詳述するとおり、ゴム部分としてエチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)を含有する、乳化重合で得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂)のみから構成されてもよく、成分(B1)以外のゴム強化芳香族ビニル系樹脂を含有してもよい。
本発明におけるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B1)は、ゴム部分としてエチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)を含有する、乳化重合で得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂であり、より具体的には、エチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)から少なくとも構成されるゴム部分と、芳香族ビニル系化合物を構造単位として少なくとも含有する芳香族ビニル系(共)重合体部分とからなゴム強化芳香族ビニル系樹脂である。成分(B)について上記したように、成分(B1)のゴム部分には芳香族ビニル系(共)重合体部分がグラフト重合していることが好ましい。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B1)は、例えば、エチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)を含有するゴム質重合体(b)のラテックスの存在下に芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体(a)を乳化重合することにより得られる。
かくして得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B1)は、ビニル系単量体(a)に由来する構造単位から形成された芳香族ビニル系(共)重合体部分がゴム質重合体(b)(即ち、エチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)を含有するゴム質重合体(b))に由来するゴム部分にグラフト重合したゴム強化芳香族ビニル系グラフト樹脂(グラフト重合体)(B1−1)と、上記ゴム部分にグラフト重合しなかった上記芳香族ビニル系(共)重合体部分からなる芳香族ビニル系共重合樹脂(非グラフト(共)重合体)(B1−2)とを主として含有する混合物として得られる。
グラフト率(質量%)=((S−T)/T)×100 …(1)
上記式中、Sは成分(B1)1グラムをアセトン20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tは成分(B)1グラムに含まれるゴム部分の質量(g)である。このゴム部分の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)、熱分解ガスクロマトグラフィー、CHN元素分析等の方法により得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂の樹脂成分(X)は、上記のとおり、上記成分(B1)以外のゴム強化芳香族ビニル系樹脂を含有してもよく、代表的には、ジエン系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂、すなわち、ジエン系ゴム(b2)のラテックスの存在下に芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体(a)を重合することにより得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B2)含有することができる。熱可塑性樹脂(X)がゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B2)を含有する場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品が、例えば−30℃といった非常に低温の環境下においても衝撃破壊時に延性破壊するようになるため、本発明の熱可塑性樹脂組成物は安全性が要求される自動車用部品などの成形品の成形材料として好適なものとなる。
上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)は、さらに、芳香族ビニル系(共)重合体(B3)を含有しても良い。芳香族ビニル系(共)重合体(B3)は、ゴム質重合体の非存在下で芳香族ビニル化合物を含有するビニル系単量体(a)の重合を行うことによって製造することができる。また、重合方法は、成分(B1)及び成分(B2)と同様の方法であってよく、乳化重合以外に、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、又は、これらを組み合わせた方法を用いることができる。芳香族ビニル系(共)重合体(B3)は、ゴム質重合体にグラフトしていない点で芳香族ビニル系共重合樹脂(B1−2)と同様の形態を備え、通常、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を希釈したり、上記極限粘度[η]を調製したりするのに使用される。
本発明の樹脂成分(X)において、ゴム部分の含有量は、機械的強度の観点から、成分(X)100質量%に対して3〜20質量%が好ましく、4〜15質量%がより好ましく、5〜12質量%が更に好ましい。本発明の樹脂成分(X)におけるゴム部分は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(B)、すなわち、上記成分(B1)及び(B2)の原料であるゴム質重合体に由来するものであるが、軋み音を防止する観点からは、ゴム部分の全量がエチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)から構成されることが好ましい。一方、上述の通り、自動車部品等の安全性が要求される成形品の場合は延性破壊特性を付与するために、成分(B1)のゴム部分としてジエン系ゴム(b2)を含有させたり、樹脂成分(X)に成分(B2)を含ませたりすることが行われる。このように成分(X)がゴム部分としてジエン系ゴム(b2)を含有する場合、上記成分(b1)の含有量は、成分(b1)及び上記成分(b2)の合計100質量%に対して90〜15質量%であることが好ましく、成分(b2)の含有量は、成分(b1)及び成分(b2)の合計100質量%に対して10〜85質量%であることが好ましい。尚、成分(X)にジエン系ゴム(b2)を含有させる方法としては、乳化重合時に成分(b1)のラテックスと成分(b2)のラテックスを混合する方法、成分(b1)の存在下で乳化重合した後の成分(B1)のラテックスと、成分(b2)の存在下で乳化重合した後の成分(B2)のラテックスとを混合する方法、成分(b1)の存在下で乳化重合した後に凝固、水洗、乾燥した成分(B1)と、成分(b2)の存在下で乳化重合した後に凝固、水洗、乾燥した成分(B2)とを混合する方法などが挙げられる。
本発明で使用するハイドロタルサイト((C)成分)としては、例えば、下記一般式(2)で表されるハイドロタルサイトが挙げられる。
[M1−aNa(OH)2][Cn− a/n・mH2O ] …(2)
(ここで、Mは2価の金属イオン、Nは3価の金属イオン、Cn−はn価の層間陰イオンを表し、aは0<a<1、好ましくは0.25≦a≦0.35を満たし、mはm≧0、好ましくは0≦m≦5を満たし、nは1≦n≦5の整数、好ましくは1,2又は3である。)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系安定剤およびリン系安定剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の熱安定剤を含有する。
3−1.ヒンダードフェノール系安定剤
ヒンダードフェノール系安定剤としては、特に限定されるものではないが、具体例としては、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組合せて使用することができる。
リン系安定剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物等のホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
上記熱安定剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。上記熱安定剤の添加量は、上記樹脂成分(X)100質量部に対して0.001〜1質量部であり、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部、特に好ましくは0.03〜0.2質量部である。この添加量の範囲では、耐加水分解性が向上し、高温多湿下で長時間使用された場合でも、軋み音が発生する等の問題が抑制され、耐湿熱老化性に優れた成形品を与える樹脂が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない限り、上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)に加えて、各種添加剤を含有しても良い。添加剤の具体例としては、紫外線吸収剤、耐候剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、粘着付与剤、可塑剤、着色剤等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形品を製造する方法には何等制限はなく、例えば、射出成形、射出圧縮成形、ガスアシスト成形、プレス成形、ブロー成形、異形押出成形の他、カレンダー成形やTダイ押出成形に代表されるフィルム及びシート成形等の公知の方法が挙げられる。
1−1.軋み音評価−1(異音リスク指数)
表1に記載の熱可塑性樹脂組成物を、東芝機械製の射出成形機「IS−170FA」(商品名)を用いて、シリンダー温度260℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃の条件で射出成形することにより得た、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの成形品から、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの小試験片をディスクソーで切り出した。次に、番手#100のサンドペーパーで試験片の端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、軋み音評価用の小試験片を得た。
<評価基準>
○:試験した条件で最も高い異音リスク指数が1〜3。
△:試験した条件で最も高い異音リスク指数が4〜5。
×:試験した条件で最も高い異音リスク指数が6〜10。
株式会社日本製鋼所製の射出成形機「J―100E」(形式名)を用い、表1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなるISOダンベル試験片5枚を射出成形し、その後、試験片を80℃、95%RHに制御した恒温恒湿槽内で300時間放置(湿熱処理)した後、25℃で24時間冷却した。
次に、上記表1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなるISOダンベル試験片5枚と接触する部品として、テクノポリマー株式会社製のPC/ABSアロイ「エクセロイ CK20」(商品名)からなり、同様に80℃、95%RHに制御した恒温恒湿槽内で300時間放置(湿熱処理)した後、25℃で24時間冷却したISOダンベル試験片5枚を交互に重ね合わせ、この両端を手でひねって、軋み音の発生の状況を評価した。評価は5回行ない、下記評価基準に基づき判定を行った。
<軋み音の評価>
○:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生はわずかであった。
△:5回の評価において、軋み音の発生が顕著な場合が含まれていた。
×:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著であった。
接触する部品として、三菱レイヨン株式会社製のメタクリル樹脂「アクリペット VH−004」(商品名)を用いた以外は、上記軋み音評価−2と同様の方法で、軋み音の発生の状況を評価した。評価は5回行ない、下記評価基準に基づき判定を行った。
<軋み音の評価>
○:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生はわずかであった。
△:5回の評価において、軋み音の発生が顕著な場合が含まれていた。
×:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著であった。
株式会社日本製鋼所製の射出成形機「J−100E」(形式名)を用い、表1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる、ISOダンベル試験片10枚を射出成形し、その後、試験片を80℃、95%RHに制御した恒温恒湿槽内で300時間放置(湿熱処理)した後、25℃で24時間冷却した。得られたISOダンベル試験片10枚を重ね合わせ、この両端を手でひねって、軋み音の発生の状況を評価した。評価は5回行ない、下記評価基準に基づき判定を行った。
<軋み音の評価>
○:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生はわずかであった。
△:5回の評価において、軋み音の発生が顕著な場合が含まれていた。
×:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著であった。
2−1.ポリカーボネート系樹脂(A)
Bayer社製のポリカーボネート樹脂「Makrolon 2800」(商品名)を用いた。粘度平均分子量は、22.000であった。
エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(b1)として、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエンゴム(エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン=63/32/5(%)ムーニー粘度(ML1+4 、100℃)33)100部をn―ヘキサン566部に溶解した後、三井化学(株)製酸変性ポリエチレン(商品名:ハイワックス2203A、粘度平均分子量:2700、 酸価:30、融点(Tm):107℃)10部を添加し、さらにオレイン酸4.5部を加え、完全に溶解した。別に水700部に水酸化カリウム0.9部を溶解した水溶液にエチレングリコール0.6部を加え60℃に保ち、これに先に調製した上記重合体溶液を少しずつ加えて乳化した後、ホモミキサーで攪拌した。次いで、溶剤と水の一部を留去して粒子径400〜600nmのラテックスを得た。このラテックスにゴム部分100部に対して、ジビニルベンゼン1.5部、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルシクロへキサン1.0部を添加して、120℃で1時間反応させて、EPDM含有架橋ラテックスを得た。
2−3−1.エチレン−プロピレンゴムラテックスの製造
エチレン−プロピレン共重合体(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は20、融点(Tm)は40℃、ガラス転移温度(Tg)は−50℃)100部をn−ヘキサン566部に溶解した後、オレイン酸4.5部を加えて完全に溶解し、重合体溶液を調製した。これとは別に水700部に水酸化カリウム0.9部を溶解した水溶液にエチレングリコール0.6部を加え60℃に保ち、これに先に調製した上記重合体溶液を少しずつ加えて乳化した後、ホモミキサーで撹拌した。次いで、溶剤と水の一部を留去して粒子径300〜600nmのラテックスを得た。このラテックスにエチレン−プロピレン共重合体100部に対して、ジビニルベンゼン1.5部、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサン1.0部を添加して、120℃で1時間反応させて、エチレン−プロピレンゴムラテックスを得た。
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、窒素気流中で、上記2−3−1で得られたエチレン−プロピレンゴムラテックス40部(固形分)、水170部、水酸化ナトリウム0.01部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、ブドウ糖0.2からなる水溶液を仕込んだ。重合温度80℃で一定温度として、ビニル系単量体として、アクリロニトリル15部、スチレン45部、更にtert−ドデシルメルカプタン0.05部からなる溶液とクメンハイドロパーオキシド0.1部を3時間かけて連続的に添加しながら重合を行い、その後、重合温度を維持したまま1時間重合を継続し、重合体AES−2のラテックスを得た。得られたラテックスの重合転化率は、98%であった。このラテックスに、2,2´−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を終了させた。この反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して重合体を得た。この重合体のグラフト率は62%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.40dl/gであった。
撹件機付き重合器に、水280部およびジエン系ゴム質重合体〔a2〕として、重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹絆しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、tert−ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拝続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2´−メチレン−ビス(4−エチレン−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し、塩化力ルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過および乾燥工程を経てパウダー状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のグラフト率は40%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.388dl/gであった。
内容積30リットルのリボン翼を備えたステンレス製オートクレーブを2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にスチレン70部、アクリルニトリル30部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてtert−ドデシルメルカプタン0.12部およびトルエン5部の溶液、および重合開始剤として、1,1´―アゾビス( シクロへキサン−1−カーボニトリル)0.1部、およびトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けられたポンプによりスチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤及び重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48dl/gの重合体を得た。
協和化学工業(株)製ハイドロタルサイト「DHT−4A(商品名)」(構造式[Mg0.68Al0.32(OH)2][(CO3 2−)0.5・2H2O])を用いた。
チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「Irganox1076(商品名)」(n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を用いた。
(株)アデカ 製「PEP−24G(商品名)」(ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)を用いた。
実施例1〜7、比較例1〜4
表1記載の成分を各表に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、ベント付き二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX44、バレル設定温度260℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたぺレットを十分に乾燥したのち、このペレットを用いて前記方法で試験片を成形し、そして得られた試験片を用いて、前記方法で評価した。評価結果を表1に示した。
本願の成分(A)〜(D)を含有する実施例1〜7では、湿熱処理後に軋み音の発生が良好に抑制されていた。
Claims (3)
- (A)ポリカーボネート系樹脂5〜95質量%及び(B)ゴム強化芳香族ビニル系樹脂5〜95質量%を含む樹脂成分(X)と、
前記樹脂成分(X)100質量部に対して0.005〜2質量部の下記成分(C)と、
前記樹脂成分(X)100質量部に対して0.001〜1質量部の下記成分(D)と、
を含み、
前記成分(B)は下記成分(B1)を含む熱可塑性樹脂組成物。
成分(B1):ゴム部分としてエチレン・α−オレフィン系ゴム(b1)を含有する、乳化重合で得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂。
成分(C):ハイドロタルサイト。
成分(D):ヒンダードフェノール系安定剤およびリン系安定剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の熱安定剤。 - 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
- 少なくとも2個の互いに接触する部品を有する物品であって、前記部品の少なくとも1つが請求項2に記載の成形品からなる物品。
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