JP7162850B2 - 繊維品を精練する方法、及び繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法 - Google Patents

繊維品を精練する方法、及び繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 令和3年4月14日 ウェブサイト https://doi.org/10.1016/j.supflu.2021.105264にて公開
本発明は、繊維品を精練する方法、及び繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法に関する。
綿は高く評価されている天然繊維の1つであり、純粋なセルロース(88~96.5重量%)と、ワックス、ペクチン、ヘミセルロース、タンパク質などの他の非セルロース系不純物で構成されている。0.4~1重量%の量であり、主に生成りの綿繊維の最外層に存在するワックスは、綿の親水性に最も影響を与える材料である。生成りの綿繊維に対して、いわゆる精練と呼ばれる処理が行われ、天然の疎水性不純物が除去され、綿の親水性が向上する。
一般に綿製品の織物は、経糸・緯糸の交錯によってつくられる。そこで、織物をつくるには、まず原糸の経糸と緯糸に分けることから始まる。経糸と緯糸に分けられた原糸は様々な工程に通される。最後に織機にかけられ、出来上がった織物は検査されて仕上げ工程に送られる。綿製品製造の主な工程は、紡績、糊付け、製織、糊抜き・精練・漂白、染色、仕上げの各工程である。これらの工程の中で糊付け、糊抜き・精練、染色の各工程では、多量の水が使用されると同時に、多量の廃水を排出する。衣服の製造で排出される廃水は全世界の20%に及ぶとされている。世界的に環境負荷低減が大きな課題とされる中、こうした廃水問題を解決する環境にやさしい製造工程が必要とされている。
また、上述の綿製品製造の精練工程においては、有機溶剤を使用する精練方法が知られている。しかし、有機溶剤の使用量が増加することは環境負荷低減の観点からは好ましくなく、上述の排水問題と同様に、有機溶剤の使用量を減らして環境にやさしい製造工程とすることが必要とされている。
さらに、超臨界二酸化炭素を用いて繊維加工を行うことが知られている。超臨界状態とは、各化合物固有の臨界温度(Tc)、臨界圧力(Tp)を超えた状態で発現する。この状態は超臨界流体と呼ばれ、気体と液体の中間の性質を持つ。図1に示すように、二酸化炭素のTcは31.1 ℃、Tpは7.38 MPaと比較的温和な条件で超臨界状態を発現することができ、爆破性がなく、無毒で安全性が高く、安価で入手しやすいといった利点がある。また、超臨界二酸化炭素は、(1)臨界温度付近では圧力をわずかに変化させると密度が大きく変動する、(2)低粘度、高拡散性のため、輸送物性に優れ、物質への浸透力が大きい、(3)熱伝導度が大きく、熱移動速度が速い、(4)溶媒和効果より反応速度が速い、(5)水より誘電率が小さく通常の無極性有機溶媒と同程度となるため、無極性有機物質に対して良好な溶媒となる、(5)二酸化炭素を回収し再利用することが可能である、といった特徴を持つ。
以上のように、繊維品の精練工程において、従来使用していた水や有機溶剤の代わりの溶媒を用い、環境にやさしい繊維品の製造工程の実現が望まれている。
本発明は、繊維品の精練工程において、従来使用していた水や有機溶剤の代わりの溶媒を用い、環境にやさしい繊維品の製造工程を実現することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究した結果、従来使用していた水や有機溶剤の代わりに、超臨界状態の二酸化炭素を溶媒として用いることで上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。超臨界二酸化炭素が有する上述の(1)~(5)の特徴から、超臨界二酸化炭素を精練工程の溶媒として用いることで、廃水が出ず、かつ有機溶剤を使用しない又はその使用量を削減した製造工程が実現可能となる。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1] 繊維品を精練する方法であって、
(a)超臨界二酸化炭素を含む流体と前記繊維品とを接触させて、前記繊維品の表面に付着している物質の一部又は全部を除去する工程
を含む、前記方法。
[2] 繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法であって、
(a’)超臨界二酸化炭素を含む流体と精練処理前の前記繊維品とを接触させて、精練処理前の前記繊維品の表面に付着している物質の一部又は全部を除去する工程
を含む、前記方法。
[3] 前記流体が共溶媒をさらに含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記共溶媒が、エタノール、メタノール、アセトン、及びテトラヒドロフランからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[3]に記載の方法。
[5] 前記流体が界面活性剤をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤を含む、[5]に記載の方法。
[7] 前記繊維品が綿糸又は綿生地を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 前記工程(a)又は(a’)の前に、精練処理前の前記繊維品に対して電子線を照射する工程をさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
本発明の方法は、繊維品の精練工程において、従来使用していた水や有機溶剤の代わりの溶媒を用い、環境にやさしい繊維品の製造工程を実現することができる。
図1は、二酸化炭素の温度-圧力の状態図である。 図2(a)は高圧容器、図2(b)はオーブンにセットした高圧容器に関する写真である。 図3は、超臨界二酸化炭素による処理のために実施例で使用した装置の概要を示す図である。 図4は、界面活性剤の濃度と共溶媒の種類とが、織物の重量減少及び吸水性に及ぼす影響を示すグラフである。 図5は、電子線照射と超臨界二酸化炭素のみによる処理との組み合わせにおける、織物の重量減少及び水濡れ性のグラフである。 図6は、電子線照射と超臨界二酸化炭素及び共溶媒(メタノール)の混合物による処理との組み合わせにおける、織物の重量減少及び水濡れ性のグラフである。 図7は、電子線照射と超臨界二酸化炭素及び界面活性剤の混合物による処理との組み合わせにおける、織物の重量減少及び水濡れ性のグラフである。 図8は、電子線照射と、超臨界二酸化炭素、共溶媒(メタノール)、及び界面活性剤の混合物による処理との組み合わせにおける、織物の重量減少及び水濡れ性のグラフである。 図9は、未処理の織物、超臨界二酸化炭素の様々な混合物で処理された織物などのSEM画像である。 図10は、電子線照射がなされた後に、超臨界二酸化炭素の様々な混合物で処理された織物などのSEM画像である。 図11は、電子線照射がなされた後に、超臨界二酸化炭素の様々な混合物で処理された織物などのSEM画像である。 図12は、電子線照射がなされた後に、超臨界二酸化炭素の様々な混合物で処理された織物などのSEM画像である。
本願において「精練」とは、繊維品に付着している、油剤、糊剤、天然繊維に由来するワックス等の物質の一部又は全部を除去する処理を意味する。
本願において、「X~Y」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
以下、本発明の繊維品を精練する方法、及び繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法について、説明する。
[繊維品を精練する方法、及び繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法]
本願の実施形態の1つは、繊維品を精練する方法であって、(a)超臨界二酸化炭素を含む流体と前記繊維品とを接触させて、前記繊維品の表面に付着している物質の一部又は全部を除去する工程を含む、前記方法である。
また、本願の別の実施形態は、繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法であって、(a’)超臨界二酸化炭素を含む流体と精練処理前の前記繊維品とを接触させて、精練処理前の前記繊維品の表面に付着している物質の一部又は全部を除去する工程を含む、前記方法である。
本実施形態において、繊維品としては、特に限定されないが、繊維、糸、生地等が挙げられる。繊維としては、糸となる前のトウ等が挙げられる。糸としては、特に限定されないが、スパン糸、フィラメント糸、これらを混撚した混撚糸や混紡糸等が挙げられる。生地としては、糸を用いた織物や編物、あるいは不織布、フェルト等があげられる。本実施形態の方法においては、繊維品として糸又は生地を使用することが好ましい。
糸の種類は、特に限定されないが、例えば、綿、麻等の植物繊維、絹、羊毛等の動物繊維等の天然繊維、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の再生繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等の無機繊維等の化学繊維を用いることができる。これらの糸を2種類以上混紡したものや混撚したものであってもよい。また、これらの糸は、単糸、双糸、三子糸あるいは4本以上の糸を撚り合わせたものでもよい。
本実施形態においては、タオルの製造に適するとの観点から、繊維品は、綿糸又は綿生地を含むことが好ましい。繊維品が綿糸又は綿生地を含み、それに対して精練を行うことにより、綿の表面に存在する、上述の疎水性不純物の一部又は全部を除去して綿の親水性を向上させて、繊維品の水濡れ性を向上させることができる。
本実施形態において、超臨界二酸化炭素を含む流体を繊維品に接触させる際の処理条件は、特に限定されないが、十分な精練を行う観点から、温度としては、20~150℃、25~130℃、又は30~110℃を使用することができ、また、圧力としては、3~40MPa、5~30MPa、又は8~25MPaを使用することでき、さらに、時間としては、1~800分、5~600分、又は10~300分を使用することができる。
超臨界二酸化炭素を含む流体を繊維品に接触させる工程は、連続処理によるものとすることができる。
本実施形態において、上記精練工程を連続処理によるものとする場合、超臨界二酸化炭素の処理容器への流量は、特に限定されないが、十分な精練を行う観点より、繊維1gあたり、0.1~10ml/minが好ましく、0.3~8ml/minがより好ましく、0.5~6ml/minが最も好ましい。
本実施形態において、繊維品を精練することにより繊維品の表面に付着している物質の一部又は全部を除去することができる。繊維品の表面に付着している物質としては、油剤、糊剤、ワックス、ペクチン、ヘミセルロース、タンパク質などの非セルロース系不純物、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせが挙げられる。
本実施形態において、超臨界二酸化炭素を含む流体は、共溶媒をさらに含んでもよい。当該流体が共溶媒を含むことにより、共溶媒を含まない流体の使用時に比べて、繊維品の表面に付着している物質の除去性をさらに向上させることができ、特に繊維品が綿糸又は綿生地を含む場合、繊維品の水濡れ性をさらに向上させることができる。
共溶媒としては、特に限定されず、エタノール、メタノール、アセトン、及びテトラヒドロフランからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。共溶媒としては、繊維品の表面に付着している物質の除去性を向上させる観点より、エタノール、メタノール等のアルコールやテトラヒドロフランが好ましく、エタノールがより好ましい。
本実施形態において、共溶媒を使用する場合、処理容器内に超臨界二酸化炭素とは別に共溶媒を送液することができる。
共溶媒を使用する場合、超臨界二酸化炭素に対する共溶媒の割合(モル%)は、特に限定されないが、繊維品の表面に付着している物質の除去性を向上させる観点より、1~20モル%が好ましく、3~15モル%がより好ましく、5~10モル%が最も好ましい。
本実施形態において、上記精練工程を連続処理によるものとし、かつ共溶媒を使用する場合、共溶媒の処理容器への流量は、特に限定されないが、十分な精練を行う観点より、繊維1gあたり、0.05~10ml/minが好ましく、0.08~8ml/minがより好ましく、0.1~5ml/minが最も好ましい。
本実施形態において、超臨界二酸化炭素を含む流体は、界面活性剤をさらに含んでもよい。当該流体が界面活性剤を含むことにより、界面活性剤を含まない流体の使用時に比べて、繊維品の表面に付着している物質の除去性を向上させることができ、特に繊維品が綿糸又は綿生地を含む場合、繊維品の水濡れ性をさらに向上させることができる。
本実施形態において、超臨界二酸化炭素を含む流体は、共溶媒及び界面活性剤の両方をさらに含んでもよい。当該流体が共溶媒及び界面活性剤の両方を含むことにより、共溶媒及び界面活性剤の両方を含まない流体、共溶媒のみを含む流体、又は界面活性剤のみを含む流体の使用時に比べて、繊維品の表面に付着している物質の除去性を大幅に向上させることができ、特に繊維品が綿糸又は綿生地を含む場合、繊維品の水濡れ性を大幅に向上させることができる。
界面活性剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、脂肪アルコールエトキシレート、グリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、塩化ジステアリルジメチルアンモ二ウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン性界面活性剤、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤などを使用することができ、これらの界面活性剤のうちの1種又は2種以上の組み合わせを使用することができる。界面活性剤としては、毒性が低いことの観点から、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルがより好ましい。
本実施形態において、界面活性剤を使用する場合、処理容器内に超臨界二酸化炭素とは別に直接添加することができる。また、界面活性剤と共溶媒とを併用する場合、共溶媒に予め界面活性剤を添加しておき、処理容器内に超臨界二酸化炭素とは別に上記の界面活性剤を添加した共溶媒を送液することができる。
界面活性剤を使用する場合、処理容器内における、超臨界二酸化炭素を含む溶媒又は超臨界二酸化炭素及び共溶媒を含む溶媒全体(L)に対する、界面活性剤(g)の割合(g/L)は、特に限定されないが、繊維品の表面に付着している物質の除去性を向上させる観点より、0.2~15g/Lが好ましく、0.3~10g/Lがより好ましく、0.5~5g/Lが最も好ましい。本実施形態において、超臨界二酸化炭素による処理の間、処理容器内における界面活性剤の割合(g/L)を上記数値範囲内に維持することができる。
本実施形態において、上記方法は、上記工程(a)又は(a’)の前に、精練処理前の前記繊維品に対して電子線を照射する工程をさらに含むことができる。精練処理前の繊維品に対して電子線を照射することにより、繊維品の表面に付着している物質(上述の非セルロース系不純物など)の一部又は全部を分解することができる。これにより、その後の超臨界二酸化炭素を含む流体による処理時に、繊維品の表面から当該物質をより効率的に除去することができる。
上記電子線を照射する工程において、電子線の照射線量は、特に限定されないが、照射対象である繊維の強度を維持する観点より、1~500kGyが好ましく、10~400kGyがより好ましく、30~300kGyが最も好ましく、また、電子線の照射時間は、特に限定されないが、0.1~5秒が好ましく、0.5~3秒がより好ましく、1~2秒が最も好ましい。
本実施形態において、精練処理前後での繊維品の重量減少(%)は、特に限定されないが、0.1~20%、1~10%、又は2~5%などとすることができる。精練処理前後での繊維品の重量減少(%)は、後述の実施例の3.1.に記載の式(1)に基づいて算出することができる。
本実施形態において、精練処理を行った後の繊維品の水濡れ性(s、秒)は、特に限定されないが、1~11000s、3~1200s、3~1100s、3~1000s、3~100s、又は5~20sなどとすることができる。精練処理を行った後の繊維品の水濡れ性(%)は、後述の実施例の3.2.に記載の方法に基づいて算出することができる。
本実施形態の方法により得られる精練処理後の繊維品は、高い重量減少(%)及び高い水濡れ性を示す。
本実施形態の方法は、繊維加工の1つである精練工程として使用することができ、また、他の繊維加工の工程である、紡績、製織、糊付け、糊抜き・漂白、染色、仕上げの各工程と組み合わせて使用することもできる。
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に記載の内容に限定されるものではない。
1.材料
伊澤タオル株式会社製の生成り綿パイル織物を準備した。以下の表1に当該織物の仕様を示す。
Figure 0007162850000001
1gの上記織物を4 cm×6 cmのサイズにカットし、糸の損失を防ぐために、カットした織物の端を縫い付けた。端を縫い付けた織物を、乾燥オーブン(ヤマト科学株式会社製、DX 302)において105℃で1時間予備乾燥した。
また、以下の式(1)の化学構造を有する非イオン性界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(99.0%)、エタノール(99.8%)、メタノール(99.8%)、アセトン(99.8%)、テトラヒドロフラン(99.8%)、及び水酸化ナトリウム(99.8%)(いずれもナカライテスク株式会社製)を準備した。
Figure 0007162850000002
2.処理方法
2.1.アルカリ性水溶液での処理(従来の処理方法)
上記1.に示した予備乾燥後の織物 1g(Wa1)を、水酸化ナトリウム及び上述の非イオン性界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテルを使用して、100℃で120分間、液比1:50で精練を行った。当該精練においては、後述の表3に示すように、10 g/LのNaOH及び1.4g/Lの界面活性剤の混合物(以下「アルカリ精練1」という)、30 g/LのNaOH及び4.2g/Lの界面活性剤の混合物(以下「アルカリ精練2」という)、又は30 g/LのNaOH及び30 g/Lの界面活性剤の混合物(以下「アルカリ精練3」という)をそれぞれ使用して行った。精練後の織物を、30℃で10分間水で洗浄した後、105℃で60分間オーブンで後乾燥させ、後乾燥の後の織物の重量(g、Wa2)を測定した。
2.2.有機溶剤での処理(従来の処理方法)
上記1.に示した予備乾燥後の織物 0.5g(Wo1)を、後述の表3に示すように、水、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、又はヘキサン(1.2 gの上述の非イオン性界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む、又は含まない)などの異なる媒体 240mlを含む密封ガラス容器内で、水振とうバス(ヤマト科学株式会社製、BW400)を使用して、50℃で480分間にわたって精練を行った。精練後の織物を、水で10分間洗浄した後、アセトンで室温で10分間洗浄し、105℃のオーブンで60分間の後乾燥を行い、後乾燥の後の織物の重量(g、Wo2)を測定した。
2.3.超臨界二酸化炭素による脱ろう
2.3.1.装置及び試薬
超臨界二酸化炭素による処理において使用した装置を図2及び3に示す。図2の(a)は高圧容器(日本分光株式会社製 EV-3-50-2/4、内容量 50 ml)を、図2の(b)は日本分光株式会社製のオーブン SCF-Sro内にセットした当該高圧容器をそれぞれ示す写真である。図3は、装置全体の概要を示す図である。
上記高圧容器に、二酸化炭素を送る送液ポンプ(日本分光株式会社製のPU-2086 インテリジェント HPLCポンプ)及び共溶媒を送る送液ポンプ(日本分光株式会社製のPU-2080 インテリジェントHPLC ポンプ)を取り付けた。上記二酸化炭素を送る送液ポンプに冷却ヘッドを取り付け、-10℃以下の冷媒を通すことで二酸化炭素を液相に保った。また、日本分光株式会社の全自動圧力調整弁 BP-2080型を上記高圧容器の放圧部に取り付け、高圧容器内の圧力及び二酸化炭素を放圧する速度を調節し一定に保った。
二酸化炭素供給源には、液化二酸化炭素ボンベ(株式会社カインドガス、純度99.5%以上)を使用した。
2.3.2.処理手順
上記1.に示した予備乾燥後の織物 1g(Wc1)及びスターラーチップを、上記高圧容器内に入れ、当該高圧容器をオーブン SCF-Sro内に設置し、当該オーブンの温度を100℃に設定した。送液ポンプを使用して液化二酸化炭素を5 mL/minで480分間、高圧容器内に注入した。また、後述の表2及び4に示すように、共溶媒のみ、又は5、10、若しくは20 g/Lの上述の非イオン性界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む共溶媒を1 mL/min、20 MPaで上記高圧容器内に注入した。さらに、下記の表4に示すように、共溶媒を注入せずに界面活性剤のみを添加して超臨界二酸化炭素を使用する場合、9.6 g(4 g/L)の界面活性剤を、二酸化炭素が流れ出る前に、高圧容器に直接添加した。
上記のように、共溶媒が界面活性剤を含む場合、超臨界二酸化炭素と共溶媒との混合物中の界面活性剤の濃度は、それぞれ0.83、1.7、及び3.3 g/Lと推定された。
高圧容器内に設置したマグネチックスターラーは、超臨界二酸化炭素による処理中100rpmで作動させた。100℃、20MPa、480分間の条件での超臨界二酸化炭素による処理後、高圧容器を大気圧まで減圧した。その後、超臨界二酸化炭素による処理後の織物を取り出し、十分な水で10分間洗浄し、十分なアセトンで室温で10分間洗浄した後、105℃のオーブンで60分間、後乾燥を行った。そして、後乾燥の後の織物の重量(Wc2)を測定した。
2.4.電子線照射を併用した超臨界二酸化炭素による脱ろう
2.4.1.装置及び試薬
電子線照射は、電子線照射装置 EPS-750(株式会社NHVコーポレーション製)を用い、大気雰囲気にて加速電圧750keV、後述の表5に示すように、50、100、又は200 kGyの吸収線量で行った。
超臨界二酸化炭素による処理において使用した装置、二酸化炭素又は共溶媒を送る送液ポンプ、二酸化炭素供給源などは、上記2.3.1.に示したものと同様のものを使用した。
2.4.2.処理手順
上記1.に示した予備乾燥後の織物 1g(We1)を、上記電子線照射の装置内に入れ、後述の表5に示すように、50、100、又は200 kGyの線量の電子線を上記織物に照射した。
上記のように電子線を照射した織物、又は電子線を照射していない織物(上記1.に示した予備乾燥後の織物 1g(We1))と、スターラーチップとを、上記高圧容器内に入れ、当該高圧容器をオーブン SCF-Sro内に設置し、当該オーブンの温度を100℃に設定した。送液ポンプを使用して液化二酸化炭素を5 mL/minで120、240、又は480分間(二酸化炭素の流量:それぞれ600、1200、又は2400ml)、高圧容器内に注入した。また、後述の表5に示すように、共溶媒(メタノール)のみ、又は5、10、又は20 g/Lの上述の非イオン性界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む共溶媒を1 mL/min、20 MPaで上記高圧容器内に注入した。さらに、下記の表5に示すように、共溶媒を注入せずに界面活性剤のみを添加して超臨界二酸化炭素を使用する場合、9.6 g(4 g/L)の界面活性剤を、二酸化炭素が流れ出る前に、高圧容器に直接添加した。
上記のように、共溶媒が界面活性剤を含む場合、超臨界二酸化炭素と共溶媒との混合物中の界面活性剤の濃度は、3.3 g/Lと推定された。
高圧容器内に設置したマグネチックスターラーは、超臨界二酸化炭素による処理中5rpmで作動させた。100℃、20MPa、120、240、又は480分間の条件での超臨界二酸化炭素による処理後、高圧容器を大気圧まで減圧した。その後、超臨界二酸化炭素による処理後の織物を取り出し、十分なアセトンで室温で10分間洗浄し、十分な水で100℃で10分間洗浄した後、105℃のオーブンで60分間、後乾燥を行った。そして、後乾燥の後の織物の重量(We2)を測定した。
3.評価
3.1.織物の重量減少
上記2.で述べた各処理により織物からワックス及び他の不純物がどの程度除去されたかを確認するために、織物の重量減少(%)を下記の式(1)に基づいて計算した。
Figure 0007162850000003
3.2.織物の水濡れ性
織物の水濡れ性は、標準的な実験室条件(20±2℃、65±2%の相対湿度)での水浸漬試験(EN 14697:2005標準化)に従って測定を行った。織物を水面に置いた状態から織物が完全に水に浸るまでの時間を記録した。織物が水濡れ性に優れる(水濡れ性の時間が短い)と、それだけ織物の吸水性が優れ、例えば、タオル等の用途により好適である。
3.3.FE-SEM分析
各織物の表面形態を、電界放出走査型電子顕微鏡(FE-SEM JSM-701F、日本電子株式会社製)を使用して観察した。観察を行う前に、織物の表面は、ファインコートスパッタリング(FINE COAT JFC-1100E、日本電子株式会社製)を1分間使用して、75Aの金をプレコートした。
4.評価結果
上記3.1.及び3.2.で述べた生成り綿パイル織物の重量変化とその水濡れ性の改善は、織物の脱ろう及び洗浄プロセスの有効性を確認するための主要な基準である。本願においては、綿の不純物抽出に超臨界二酸化炭素を使用する方法、及び他の従来の様々な脱ろう方法を適用し、各方法で除去できる不純物の種類と、それが布の吸収性にどのように影響するかの調査を行った。
4.1.超臨界二酸化炭素による脱ろう
4.1.1.共溶媒による効果
様々な共溶媒を使用して超臨界二酸化炭素による処理を行った結果を表2に示す。表2には、未処理、及び純粋な超臨界二酸化炭素による処理の結果も併せて示す。また、従来の処理方法である、上述のアルカリ精練1~3及び各種有機溶剤による処理の結果を表3に示す。
Figure 0007162850000004
Figure 0007162850000005
表2の結果が示すように、純粋な超臨界二酸化炭素で処理した場合、織物の重量に有意な変化は得られないものの、水濡れ性は、10800秒の浸漬時間を示しており、未処理の織物(14400秒の浸漬時間)より水濡れ性が向上していることがわかった。純粋な超臨界二酸化炭素で処理した場合には有機溶剤を大幅に減らして環境負荷を十分に低減できるため、有用な精練方法であると考えられる。
また、表2の結果が示すように、共溶媒を使用した超臨界二酸化炭素による処理の場合は、水濡れ性がより向上していることがわかった。これは、表2に示した極性を有する共溶媒を添加することにより超臨界二酸化炭素を含む溶媒全体の極性が高まり、綿が膨潤しやすくなり、また、綿表面のワックス等が溶媒に溶解しやすくなったためと推察される。
特に、共溶媒としてメタノールやエタノールなどのアルコール又はテトラヒドロフランを使用した超臨界二酸化炭素による処理の場合は、水濡れ性が大幅に向上していることがわかった。また、表2の結果と従来の処理方法である表3の結果との比較より、超臨界二酸化炭素を用いないエタノール、メタノール、又はテトラヒドロフランによる処理後の水濡れ性(1200秒)に比べて、共溶媒としてメタノール、エタノール、又はテトラヒドロフランを使用した超臨界二酸化炭素による処理後の水濡れ性(それぞれ1080秒、970秒、1080秒)が優れていることがわかった。この結果より、超臨界二酸化炭素の共溶媒としてメタノールやエタノールなどのアルコール又はテトラヒドロフランを使用することにより、有機溶剤量を削減して環境負荷を低減しつつ、水濡れ性を大幅に向上できることがわかった。この結果について、メタノールやエタノールなどのアルコールは綿をより膨潤させやすいためと推察される。
また、表2及び3の結果が示すように、共溶媒としてアセトンを使用した超臨界二酸化炭素による処理後の水濡れ性は、超臨界二酸化炭素を用いないアセトンによる処理後の水濡れ性と同等レベルを維持しており、有機溶剤量を削減して環境負荷を低減しつつ優れた水濡れ性を達成できることがわかった。
4.1.2.界面活性剤の効果
界面活性剤を使用して超臨界二酸化炭素による処理を行った結果を表4に示す。表4には、超臨界二酸化炭素に界面活性剤のみを添加した場合、界面活性剤と共溶媒との両方を添加した場合を併せて示す。
Figure 0007162850000006
表4に示すように、界面活性剤のみを添加した超臨界二酸化炭素による処理の場合、織物の重量減少が2.6%と大幅に増加し、また、浸漬時間が10秒に短縮され良好な水濡れ性を示すことがわかった。すなわち、純粋な超臨界二酸化炭素による処理及び表2に示す共溶媒を含む超臨界二酸化炭素による処理と比較して、界面活性剤のみを添加した超臨界二酸化炭素による処理の場合に、水濡れ性がより向上することがわかった。この結果について、界面活性剤が両親媒性を有しており、界面活性剤の親油性基が繊維上のワックスに吸着し、ミセルに組み込まれ、さらに、界面活性剤の親水性基の機能により、ワックスを組み込んだミセルが溶液中に安定して分散し、繊維からワックスが除去されるためと推察される。
また、表4に示すように、共溶媒と界面活性剤との両方を含む超臨界二酸化炭素による処理の場合、極めて優れた脱ろうの効果が得られ、1.9%~3.5%の織物の重量減少と6.5秒~30秒の水濡れ性の結果が得られることがわかった。このように、共溶媒と界面活性剤とを併用して超臨界二酸化炭素による処理を行うことにより、水濡れ性に関して改善が図られており、特に共溶媒としてメタノールを使用した場合に、界面活性剤の濃度(g/L)に関わらず極めて優れた相乗的な効果が得られることがわかった。この結果について、共溶媒が超臨界二酸化炭素の極性を増加させ、綿繊維の膨潤が促進され、また、共溶媒により超臨界二酸化炭素への界面活性剤の溶解性が向上した可能性が考えられる。
表2及び4に示した結果をまとめ、界面活性剤の濃度と共溶媒の種類とが、織物の重量減少及び水濡れ性に及ぼす影響を示すグラフとしたものが図4である。
図4の結果が示すように、織物の重量減少(%)について、界面活性剤を含まない場合(0 g/L)に比べて、0.83、1.7、及び3.3 g/Lと界面活性剤の濃度が高くなるにつれて、共溶媒の種類によらず織物の重量減少(%)が大きくなる傾向があることがわかった。また、0.83及び1.7 g/Lの界面活性剤の濃度では、共溶媒の種類により織物の重量減少(%)に大きな違いは見られないが、3.3 g/Lの界面活性剤の濃度では、メタノールの使用時に織物の重量減少(%)が大きくなる傾向が見られた。
また、織物の水濡れ性(s)について、界面活性剤を含まない場合(0 g/L)に比べて、0.83、1.7、及び3.3 g/Lと界面活性剤の濃度が高くなるにつれて、共溶媒の種類によらず織物の水濡れ性(s)の値が小さくなる(水濡れ性が改善する)傾向があることがわかった。
4.2.電子線照射を併用した超臨界二酸化炭素による脱ろう
電子線の照射線量、並びに超臨界二酸化炭素、共溶媒(メタノール)、及び界面活性剤の量を変更して処理を行った結果を表5に示す。表5には、超臨界二酸化炭素による処理を行わなかった結果も併せて示す。
また、超臨界二酸化炭素による処理時間と電子線照射の線量とが、織物の重量減少及び水濡れ性に及ぼす影響をグラフとしたものが図5~8である。図5は、電子線照射と超臨界二酸化炭素のみによる処理との組み合わせ、図6は、電子線照射と超臨界二酸化炭素及び共溶媒(メタノール)の混合物による処理との組み合わせ、図7は、電子線照射と超臨界二酸化炭素及び界面活性剤の混合物による処理との組み合わせ、図8は、電子線照射と、超臨界二酸化炭素、共溶媒(メタノール)、及び界面活性剤の混合物による処理との組み合わせ、に関するグラフである。
Figure 0007162850000007
表5の結果が示すように、電子線の線量が増えるにつれて、重量減少(%)の値が増加し、水濡れ性が向上(水濡れ性の値(s)が減少)することがわかった。この点について、超臨界二酸化炭素による処理の前に電子線の照射を行うことにより、綿の表面の疎水性不純物が分解し、超臨界二酸化炭素による処理時のワックスやペクチンの除去性を向上できるためと考えられる。したがって、電子線照射により、超臨界二酸化炭素による処理時間を短縮して使用するエネルギーを少なくすることができると考えられる。
また、表5の結果が示すように、純粋な超臨界二酸化炭素で処理した場合に比べて、共溶媒(メタノール)を使用した超臨界二酸化炭素による処理の場合は、重量変化(%)の値が増加し、水濡れ性が向上することがわかった。さらに、界面活性剤を使用した超臨界二酸化炭素による処理の場合及び共溶媒と界面活性剤とを併用した超臨界二酸化炭素による処理の場合は、共溶媒(メタノール)を使用した超臨界二酸化炭素による処理の場合と比べて、より重量変化(%)の値が増加し、水濡れ性が向上することがわかった。
また、図5~8の結果が示すように、100又は200 kGyの高い線量の電子線照射を行い、超臨界二酸化炭素により処理された織物は、超臨界二酸化炭素による処理時間が異なっていても、いずれも十分に水濡れ性が向上していることがわかった。
以上の結果より、電子線照射の処理によって、超臨界二酸化炭素を使用した綿の脱ろうにおける処理の時間及びエネルギーを少なくすることができることがわかった。
4.3.FE-SEMによる織物表面の特性評価
生成り綿パイル織物と超臨界二酸化炭素の様々な混合物で処理された織物のSEM画像を図9に示す。図9(a)は処理前の生成り綿パイル織物、図9(b)はアルカリ精練3による処理後の織物、図9(c)は超臨界二酸化炭素による処理後の織物、図9(d)はメタノールを含む超臨界二酸化炭素による処理後の織物、図9(e)は界面活性剤を含む超臨界二酸化炭素による処理後の織物、図9(f)はメタノール及び界面活性剤を含む超臨界二酸化炭素による処理後の織物をそれぞれ示し(超臨界二酸化炭素を含む流体による処理時間はいずれも480分)、いずれも3000倍の倍率のSEM画像である。
図9(a)に示すように、ワックス状の層が生成り綿繊維の一次壁上に薄いシートを形成し、視覚的に平行な隆起と溝を形成している。図9(b)では、特殊で特徴的な粒子、縞模様、ねじれのある比較的滑らかな繊維表面が、従来のアルカリ精練3で精練された織物で観察された。図9(c)に示すように、純粋な超臨界二酸化炭素により処理した後では、繊維表面に大きな変化は見られなかった。図9(d)に示すように、超臨界二酸化炭素及び共溶媒の混合物で処理した後では、繊維表面に少し滑らかな形態が観察された。図9(e)及び(f)に示すようには、超臨界二酸化炭素と共溶媒との混合物又は超臨界二酸化炭素と界面活性剤との混合物により処理された綿繊維表面で、最も重要な形態変化が達成されたことを示しており、これらの処理後には、平行な隆起と溝はほとんどなくなり、繊維の表面はより平らで滑らかとなる。これは、非セルロース系不純物が除去され、二次壁に純粋なセルロースが明確に存在することを示す。
生成り綿パイル織物に対して、異なった線量の電子線照射がなされた後に、必要に応じて、超臨界二酸化炭素の様々な混合物で処理された織物のSEM画像を図10~12に示す。図10(a1)~(a3)は電子線照射のみを行い超臨界二酸化炭素による処理を行わなかった織物、図10(b1)~(b3)は電子線を照射して超臨界二酸化炭素による処理を行った後の織物、図11(c1)~(c3)は電子線を照射してメタノールを含む超臨界二酸化炭素による処理を行った後の織物、図11(d1)~(d3)は電子線を照射して界面活性剤を含む超臨界二酸化炭素による処理を行った後の織物、図12(e1)~(e3)は電子線を照射してメタノール及び界面活性剤を含む超臨界二酸化炭素による処理を行った後の織物をそれぞれ示し(超臨界二酸化炭素を含む流体による処理時間はいずれも480分)、いずれも3000倍の倍率のSEM画像である。電子線照射時の線量は、図10(a1)、(b1)、図11(c1)、(d1)、及び図12(e1)において50kGy、図10(a2)、(b2)、図11(c2)、(d2)、及び図12(e2)において100kGy、図10(a3)、(b3)、図11(c3)、(d3)、及び図12(e3)において200kGyである。
図10~12が示すように、50kGyの線量で処理された場合は、未処理の繊維表面(生成り綿パイル織物)と比べて、より滑らかな繊維表面を有しており、このことは表面の不純物の一部が分解していることを示唆している。また、図12が示すように、様々な線量の電子線照射の処理と、超臨界二酸化炭素、メタノール、及び界面活性剤の混合物により処理とを経た後、繊維表面の滑らかさは増加していることがわかった。

Claims (4)

  1. 繊維品を精練する方法であって、
    前記繊維品に対して電子線を照射する工程、並びに
    臨界二酸化炭素、共溶媒、及び界面活性剤を含む流体と、電子線を照射した前記繊維品とを接触させて、前記繊維品の表面に付着している物質の一部又は全部を除去する工程であって、前記共溶媒がメタノールを含み、前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤を含む、前記工程
    を含む、前記方法。
  2. 繊維品を精練して、精練処理後の繊維品を製造する方法であって、
    精練処理前の前記繊維品に対して電子線を照射する工程、並びに
    臨界二酸化炭素、共溶媒、及び界面活性剤を含む流体と、電子線を照射した精練処理前の前記繊維品とを接触させて、精練処理前の前記繊維品の表面に付着している物質の一部又は全部を除去する工程であって、前記共溶媒がメタノールを含み、前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤を含む、前記工程
    を含む、前記方法。
  3. 前記繊維品が綿糸又は綿生地を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
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