JPH09195161A - 改質セルロースアセテート繊維の製造方法 - Google Patents

改質セルロースアセテート繊維の製造方法

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JPH09195161A
JPH09195161A JP527096A JP527096A JPH09195161A JP H09195161 A JPH09195161 A JP H09195161A JP 527096 A JP527096 A JP 527096A JP 527096 A JP527096 A JP 527096A JP H09195161 A JPH09195161 A JP H09195161A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースアセテート繊維の表面に微細なク
レーター状の凹部を多数形成させることにより、従来に
ない清涼感、深色性を有し、しかも、十分な実用的な繊
維強度を有する改質セルロースアセテート繊維の製造方
法を提供する。 【解決手段】 微粒子無機物を練り込んだセルロースア
セテート繊維単独、又は、微粒子無機物を練り込んだセ
ルロースアセテート繊維と他の繊維からなる複合糸をア
ルカリ化合物にてアルカリ処理してセルロースアセテー
ト繊維の少なくとも表面をセルロース化し、次いで抜蝕
剤にて処理して該セルロース化部の少なくとも一部を分
解除去することにより、セルロースアセテート繊維表面
に微細なクレーター状の凹部を形成させることを特徴と
する改質セルロースアセテート繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改質セルロースア
セテート繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、表
面に多数の微細なクレーター状の凹部を有する清涼感、
深色性に優れた改質セルロースアセテート繊維の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】衣料繊維分野においては、消費者ニーズ
の多様化、高級化により各種の天然繊維、化学繊維で様
々な改質が行われている。例えば、ポリエステル繊維に
おいては、ドライ感や深色性を得るために、シリカ系微
粒子を練り込んだ原糸をアルカリ処理して減量すること
により繊維表面に微細なクレーター状の凹凸を形成させ
る技術が知られている。この技術は、シリカ系微粒子周
辺部の繊維がアルカリにより特異的に分解され易く、微
粒子が脱落して繊維表面に微細なクレーター状の凹凸が
形成されるものである(特公平4ー9205号公報
等)。
【0003】セルロースアセテート繊維においても、繊
維表面を変化させる方法が種々提案されている。例え
ば、セルロースアセテート繊維を製糸する際に水蒸気雰
囲気中で乾式紡糸を行って繊維表面にボイドを形成する
方法(特開昭54ー6918号公報)や、製糸後にセル
ロースアセテート可溶な溶剤に短時間浸漬処理して極表
層のみを溶解し凹凸を形成する方法(特開昭55ー93
814号公報)が報告されているが、得られる繊維の強
伸度の著しい低下や処理斑等が大きく、実用的には難し
い面を備えている。
【0004】また、製糸時の繊維形成過程を制御する方
法、具体的には紡糸ノズルでの紡糸原液の吐出線速度と
巻き取り速度を適当な条件に設定し繊維表面により複雑
な凹凸を付与する方法(特公平3ー36928号公報)
が検討され、該方法により得られたセルロースアセテー
ト繊維の凹凸は大きく、このような方法では繊維表面に
微細なクレーター状の凹凸は得ることは困難である。
【0005】更には、セルロースアセテート繊維に生化
学的処理を施して繊維表面に凹凸を形成する方法、具体
的にはセルロースアセテート繊維をアルカリ処理して繊
維表層をセルロース化した後、セルロース分解酵素でセ
ルロース化部を分解除去する方法(特開平5ー2706
7号公報)やセルロースアセテート繊維をアルカリ処理
して繊維表面をセルロース化した後、抜蝕剤でセルロー
ス化部を分解除去する方法(特開平6−264364号
公報)を提案しているが、やはり、ポリエステル繊維に
おけると同様な微細な凹凸を形成するには至っていな
い。
【0006】また、セルロースアセテート繊維に予め平
均粒径0.01〜0.3μmの微粒子無機物を紡糸原液
に混合して製糸する方法(特開平7−97713号)に
よって、表面に凹凸が形成される方法が知られている
が、このような単に微粒子無機物を繊維全体に分散させ
る方法では、表面に十分な凹凸を形成させるためには、
非常に多量の微粒子無機物を繊維内部に含有させる必要
があり、そのために元来より他繊維と比較して低い繊維
強度がさらに低下すること、及びセルロースアセテート
繊維独特の光沢感が著しく低下してしまうといった問題
点があり、また、形成される凹凸は繊維表面に対して凸
状の突出したものになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セル
ロースアセテート繊維の表面に微細なクレーター状の凹
凸を多数形成させることにより、従来にない清涼感、深
色性を有し、しかも、十分な実用的な繊維強度を有する
改質セルロースアセテート繊維の製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、微粒子
無機物を練り込んだセルロースアセテート繊維単独、又
は、微粒子無機物を練り込んだセルロースアセテート繊
維と他の繊維からなる複合糸をアルカリ化合物にてアル
カリ処理してセルロースアセテート繊維の少なくとも表
面をセルロース化し、次いで抜蝕剤にて処理して該セル
ロース化部の少なくとも一部を分解除去することによ
り、セルロースアセテート繊維表面に微細なクレーター
状の凹部を形成させることを特徴とする改質セルロース
アセテート繊維の製造方法である。
【0009】本発明で用いるセルロースアセテート繊維
は、酢化度56.2%〜62.5%のセルローストリア
セテートでもよく、酢化度48.8%〜56.2%のセ
ルロースジアセテートでも良い。その形状はフィラメン
ト、ステープルのいずれであっても良い。
【0010】本発明に用いるセルロースアセテート繊維
には、紡糸原液に微粒子無機物が添加されて含む、いわ
ゆる繊維中に微粒子無機物が練り込まれて含まれる必要
がある。かかる微粒子無機物としては、炭酸カルシウ
ム、二酸化珪素、酸化チタンなどが挙げられる。さら
に、この微粒子無機物がセルロースアセテートよりも、
高比重であれば、好ましくは、微粒子無機物の比重は、
3.5以上であれば、ドレープ性の向上が期待できる。
また、微粒子無機物として屈折率が1.3〜1.9、好
ましくは1.4〜1.7でる無機物を用いことによっ
て、光沢感の低下を抑制することが可能となる。すなわ
ち、このような屈折率を有する無機物はセルロースアセ
テートの屈折率に近似していることにより、光沢感の低
下を抑制することが可能となり、屈折率が1.3〜1.
9の範囲外では、セルロースアセテート繊維の特徴であ
る光沢感、発色性の良さ等を損ねる場合がある。かかる
比重と屈折率を満足する無機物としては、具体的には、
例えば、炭酸バリウム(屈折率1.53、比重4.
4)、硫酸バリウム(屈折率1.64、比重4.1)、
酸化亜鉛(屈折率1.9、比重5.6)等が挙げられ
る。特に硫酸バリウムは、高比重化及び光沢感、さら
に、人体への影響(化学的・物理的安定性)等の面でも
非常に好ましい。
【0011】また、セルロースアセテート繊維成分中へ
含有せしめる微粒子無機物の凝集体(集合体)の大きさ
により、繊維の物性に差が表れ、紡糸性、後工程通過性
等に影響を及ぼすので、含有せしめる微粒子無機物の凝
集体としての平均粒径が1.5μm以下であることが好
ましく、より好ましくは凝集体としての平均粒径1μm
以下である。これより大きいと繊維物性の低下が著し
く、紡糸性、後工程通過性等が非常に悪くなる。凝集体
としての平均粒径が1.5μm以下にするためには、添
加する微粒子無機物の一次粒径(平均粒径)が0.5μ
m以下であることが好ましく、より好ましくは0.05
μmである。これより大きいと微粒子無機物の凝集体の
平均粒径が大きくなり、繊維物性が極端に悪くなり易
い、また、繊維形成上、例えば紡糸工程での糸切れ等の
トラブルが多発したする。
【0012】セルロースアセテート繊維成分中への微粒
子無機物の含有量は5〜30重量%好ましくは5〜20
重量%であり、5重量%未満では、セルロースアセテー
ト繊維をアルカリ化合物にてアルカリ処理してセルロー
スアセテート繊維の少なくとも表面をセルロース化し、
次いで抜蝕剤にて処理して該セルロース化部の少なくと
も一部を分解除去することによって、繊維表面に微細な
クレーター状の凹部を多数形成することが難しくなり、
十分な清涼感、深色性を得ることが難しい。また、30
重量%を超えると、繊維の強度及び伸度の低下が著しく
実用上問題となる場合がある。
【0013】本発明でセルロースアセテート繊維をアル
カリ化合物にてアルカリ処理してセルロースアセテート
繊維の少なくとも表面をセルロース化する際に用いるア
ルカリ化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸
化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸水
素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の強アルカリと弱酸の
共役塩等を用い、微粒子無機物を1〜30重量%練り込
んだセルロースアセテート繊維を、アルカリ化合物の
0.5〜40重量%(対セルロースアセテート繊維)水
溶液に、室温〜130℃で5〜120分浸漬してアルカ
リ処理する。もしくは、アルカリ化合物の1〜45重量
%水溶液に、室温で浸漬後、マングル等のニップローラ
ーで搾液、室温〜180℃の乾熱もしくは、スチーミン
グなどの加熱処理を施してアルカリ処理する。該アルカ
リ処理により、少なくとも繊維表面をセルロース化した
セルロースアセテート繊維を、抜蝕剤にて処理すること
で、セルロース化層を分解除去して繊維表層の微粒子無
機物を脱落させて、繊維表面に微細なクレーター状の凹
部が形成される。
【0014】本発明で用いられる抜蝕剤は、セルロース
を炭化、加水分解する酸類が好ましく、硫酸、塩酸等の
無機酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸
第1鉄、硫酸第2鉄、硫酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫
酸第1錫等の硫酸塩、塩化第1鉄、塩化第2鉄、塩化ア
ルミニウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化コバル
ト、塩化第1銅、塩化第2銅、塩化ニッケル、塩化第1
錫、塩化第2錫等の塩化物、塩素酸ナトリウム、塩素酸
アルミニウム、塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム等
の塩素酸塩類、硝酸クロム、硝酸銅、硝酸亜鉛等の硝酸
塩、蓚酸第1鉄、蓚酸第2鉄、蓚酸第1錫等の蓚酸塩、
酢酸亜鉛等の酢酸塩、燐酸亜鉛等の燐酸塩、アルキルナ
フタレンスルフォン酸等の有機酸が挙げられる。
【0015】抜蝕剤処理は、抜蝕剤の種類、セルロース
アセテート繊維の改質の程度即ち求める風合いの程度に
より異なるが、アルカリ処理されたセルロースアセテー
ト繊維を抜蝕剤の0.5〜20重量%の水溶液に浸漬
し、マングル等のニップローラーで搾液後、50〜18
0℃の乾熱もしくはスチーミング加熱を1〜60分行
う。この抜蝕剤により、セルロースアセテート繊維のセ
ルロース化層の少なくとも一部を分解除去することで、
繊維表面に微細なクレーター状の凹部を形成できる。一
般に抜蝕剤の酸類は、セルロースアセテート繊維も侵食
するが、セルロースが酸類の作用に極めて鋭敏なため
に、抜蝕剤水溶液の濃度、温度のコントロールにより容
易にアルカリ処理により形成したセルロースアセテート
繊維表面のセルロース化層のみを分解除去しうる。
【0016】本発明の改質セルロースアセテート繊維
は、その繊維の表層部がセルロース化されていてもよ
く、即ちベースのセルロースアセテート繊維、その表層
部がセルロース化層、その表面が微細なクレーター状の
凹部となっていても良いが、セルロース化層は、セルロ
ースアセテート繊維の基本性能を維持する上では薄い層
であることが好ましい。セルロース化層の存在は、セル
ロース系繊維用の染料、例えば直接染料によっても染色
を可能とする。こうして得られる本発明の改質セルロー
スアセテート繊維は、その繊維表面に微細なクレーター
状の凹部を有するものであり、クレーターサイズで3μ
m以下の微細なクレーター状の凹部が繊維表面にランダ
ムに有し、セルロースアセテート繊維に清涼感、深色性
を与えるが、清涼感、深色性をより向上させる点から、
微細なクレーター状の凹部を1×10-2mm2 当たり30
0個以上有することが好ましい。繊維表面に微細なクレ
ーター状の凹部を有する本発明の改質セルロースアセテ
ート繊維は、その表面構造により従来のセルロースアセ
テート繊維にはみられない非常に清涼感に富み、染色し
た時に光の乱反射による深色性を有するものである。
【0017】尚、本発明でアルカリ処理においては、改
質セルロースアセテート繊維の改質程度により、アルカ
リ化合物の選択、濃度、温度、時間等を調整し、また、
抜蝕剤処理においては、セルロース化部分の量、セルロ
ース化層の除去程度により、抜蝕剤の選択、濃度、温
度、時間等を調整する。
【0018】本発明における無機物を練り込んだセルロ
ースアセテート繊維は、他の1種または2種以上の繊維
と複合されて複合糸とすることができるが、その複合さ
れる他の繊維としては、絹、羊毛等の天然繊維、ナイロ
ン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリウレタ
ン繊維等の化学繊維が挙げられ、その形状もフィラメン
ト、ステープルのいずれでもよい。また、複合の手法も
エアー複合、複合仮撚、合撚等公知の任意の手法が適応
できる。
【0019】本発明の改質セルロースアセテート繊維複
合糸を得るには、基本的には上記に述べた改質セルロー
スアセテート繊維の場合と同手法で得ることができる
が、複合される他の繊維に応じアルカリ処理条件、抜蝕
剤処理条件を前記条件の範囲内で適宜変更する。
【0020】本発明における改質セルロースアセテート
繊維複合糸は、微細なクレーター状の凹部を有するセル
ロースアセテート繊維に基づく清涼感と深色性と共に他
の繊維による性能を合わせ持つ。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細を説明する。
本発明で用いるセルロースアセテート繊維を得るには、
次のような方法が採られる。セルローストリアセテート
又はセルロースジアセテートのフレークを塩化メチレ
ン、アセトン等の単独溶剤或いは塩化メチレンとメタノ
ール等の混合溶剤に溶解し、溶液濃度を15〜30重量
%、好ましくは18〜27重量%とした原液を調製す
る。
【0022】本発明で用いる微粒子を含有したセルロー
スアセテート繊維を得るには、紡糸原液の作製の際、セ
ルロースアセテートの溶剤に微粒子無機物を所定の凝集
体の大きさで分散させた分散液を、セルロースアセテー
トの溶剤にセルロースアセテートを溶解させた溶液に、
添加、混合する、或いは直接微粒子無機物を、セルロー
スアセテート可溶溶剤にセルロースアセテートを溶解さ
せた溶液に、添加、混合し、所定の分散条件により、微
粒子無機物の凝集体の大きさを調製する等の方法によ
り、微粒子無機物を紡糸原液中に分散含有させる。
【0023】ここで、凝集体の平均粒径が大きくならな
いように、紡糸原液を調製することが肝要である。凝集
体の平均粒径を調製する方法として、分散機を用いて行
うことが好ましい。例えば、分散機として横型サンドミ
ルを用いる場合、ディスク周速、ビーズ径(0.8〜
1.0mmφ)、ビーズ充填率、ベッセル内部での滞在
時間などを適宜調整することによって、凝集体の平均粒
径が大きくならないようにすることができる。
【0024】このようにして得た無機粒子含有紡糸原液
を紡糸ノズル装置に供給し、高温雰囲気中に吐出する乾
式紡糸法により紡糸する。なお、乾式紡糸でなく、湿式
紡糸を行っても良い。
【0025】このようにして得たセルロースアセテート
繊維を布帛に形成する。繊維状態すなわち、プラスチッ
クボビン巻き状態やかせ巻き状態で次のアルカリ化合物
によるアルカリ処理、抜蝕剤処理を行っても良いが、工
業的には、製織、製編してから、行う方が好ましい。一
般には、布帛形成後、精練、乾燥し、この精練布帛を水
酸化ナトリウムなどのアルカリ化合物の水溶液に投入
し、高温(100℃以上)でアルカリ処理してセルロー
スアセテート繊維の繊維表面をセルロース化する。次い
で、この布帛を硫酸水素ナトリウムなどの抜蝕剤の水溶
液に浸漬し、ニップにより、含浸させた後、スチーミン
グ処理、水洗、乾燥する。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の評価は、以下の方法に拠った。
【0027】(クレーターの形成状況): 電子顕微鏡写真より判定 ◎:良好 ×:なし
【0028】(クレーターの数): 電子顕微鏡写真より判定 個/1×10-2mm2
【0029】(抜蝕剤処理減量率): [(抜蝕剤処理前織物重量−抜蝕剤処理後織物重量)/
抜蝕剤処理前織物重量]×100(%)
【0030】(実施例1)硫酸バリウム18重量%練り
込みの酢化度61.3%のセルローストリアセテート繊
維からなるブライト80d/20fを経糸、同じくブラ
イト100d/26fを緯糸に用いた5枚朱子織物(経
密度200本/インチ、緯密度87本/インチ)を、6
槽連続精練機で精練、乾燥した。この精練織物を浴比
1:20の水酸化ナトリウム7重量%(対織物)の水溶
液に投入し、30℃から2℃/分で昇温し120℃で6
0分アルカリ処理して構成繊維の繊維表面がセルロース
化され、アルカリ減量率が7.2%のアルカリ処理織物
を得た。次いで、この織物を硫酸水素ナトリウム・1水
和物(硫酸として34〜37%)を抜蝕剤として用い、
その7重量%水溶液に浸漬し、ニップして液量で93重
量%含浸させた後、130℃で10分間スチーミング処
理して、水洗、乾燥した。得られた織物を構成繊維の繊
維表面のクレーター状の凹部の形成状況、数、抜蝕剤処
理減量率を評価し評価結果を表1に示した。
【0031】(比較例1)実施例1において、精練織物
を、アルカリ処理なしに、同様の抜蝕剤処理をした織物
を実施例1と同じように評価し、評価結果を表1に示し
た。
【0032】(比較例2)実施例1において、アルカリ
処理しただけの抜蝕剤処理なしの織物を、実施例1と同
じように評価し、評価結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例2)硫酸バリウム18重量%練り
込みの酢化度61.3%のセルローストリアセテート繊
維ブライト80d/20fとポリエステル繊維セミダル
20d/12fとのエアー交絡複合糸と経、緯糸に用い
た5枚朱子織物(経密度160本/インチ、緯密度70
本/インチ)を、6槽連続精練機で精練、乾燥した。こ
の精練織物を浴比1:20の水酸化ナトリウム5.5重
量%(対織物)の水溶液に投入し、30℃から2℃/分
で昇温し120℃で60分アルカリ処理してセルロース
トリアセテート繊維の繊維表面がセルロース化され、ア
ルカリ減量率が5.7%のアルカリ処理織物を得た。次
いで、この織物を硫酸水素ナトリウム・1水和物(硫酸
として34〜37%)を抜蝕剤として用い、その7重量
%水溶液に浸漬し、ニップして液量で95重量%含浸さ
せた後、130℃で10分間スチーミング処理して、水
洗、乾燥した。得られた織物を構成繊維の繊維表面のク
レーター状の凹部の形成状況、数、抜蝕剤処理減量率を
評価し評価結果を表2に示した。
【0035】(比較例3)実施例2において、精練織物
を、アルカリ処理なしに、同様の抜蝕剤処理をした織物
を実施例2と同じように評価し、評価結果を表2に示し
た。
【0036】(比較例4)実施例2において、アルカリ
処理しただけの抜蝕剤処理なしの織物を、実施例2と同
じように評価し、評価結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、微粒子無機物を練り込
んだセルロースアセテート繊維をアルカリ処理した後に
抜蝕剤処理することで、セルロースアセテート繊維の表
面に微細なクレーター状の凹部を有する改質セルロース
アセテート繊維をコントロール性よく得ることができ
る。この改質セルロースアセテート繊維は、その微細な
クレーター状の凹部により、非常に清涼感に富み、光の
乱反射により向上した深色性を有する。微粒子無機物を
練り込んだセルロースアセテート繊維と他の繊維からな
る複合糸についても、同様な手法でセルロースアセテー
ト繊維の表面に微細なクレーター状の凹部を有するセル
ロースアセテート繊維と他の繊維の性能を合わせ持った
改質セルロースアセテート繊維複合糸を得ることができ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粒子無機物を練り込んだセルロースア
    セテート繊維単独、又は、微粒子無機物を練り込んだセ
    ルロースアセテート繊維と他の繊維からなる複合糸をア
    ルカリ化合物にてアルカリ処理してセルロースアセテー
    ト繊維の少なくとも表面をセルロース化し、次いで抜蝕
    剤にて処理して該セルロース化部の少なくとも一部を分
    解除去することにより、セルロースアセテート繊維表面
    に微細なクレーター状の凹部を形成させることを特徴と
    する改質セルロースアセテート繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 他の繊維がポリエステル繊維である請求
    項1記載の改質セルロースアセテート繊維の製造方法。
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