以下に、本開示の実施の形態にかかる絶対位置検出装置および絶対位置検出方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置の構成を示す図である。図1では、絶対位置検出装置1Aの構造を斜視図で模式的に示している。絶対位置検出装置1Aを備えた絶対位置検出システムは、移動機構として、固定子(後述する固定子71)および可動子(後述する可動子72)を備えている。絶対位置検出装置1Aは、可動子72と固定子71との間の位置関係を検出する。移動機構の例は、リニアモータ、リニアトラックなどである。
絶対位置検出装置1Aは、センサ部10と、スケール部20Aと、情報処理装置3とを具備している。センサ部10は、矩形状の板状の部材を用いて構成されたプリント基板11と、複数のホール素子13からなる検出素子群12Aとを有している。センサ部10は、情報処理装置3に接続されている。
情報処理装置3は、演算部30と、記憶部31とを備えている。演算部30は、センサ部10および記憶部31に接続されている。スケール部20Aは、板状の部材を用いて構成されたベース材21と、位置検出に用いられる第1の部材である磁石23とを有している。
以下では、プリント基板11の上面と平行な面内の2つの軸であって互いに直交する2つの軸をx軸およびy軸とする。また、x軸およびy軸に直交する軸をz軸とする。プリント基板11の長手方向がx方向であり、短手方向がy方向である。また、プリント基板11の上面側およびセンサ部10の上面側がプラスz方向であり、プリント基板11の底面側およびセンサ部10の底面側がマイナスz方向である。
絶対位置検出装置1Aでは、センサ部10が固定され、スケール部20Aの底面がセンサ部10の上面に対向した状態でスケール部20Aが移動する。なお、絶対位置検出装置1Aでは、スケール部20Aが固定され、センサ部10がスケール部20Aに対向した状態でセンサ部10が移動してもよい。
センサ部10が固定され、スケール部20Aが移動する場合、固定子71はセンサ部10の底面側であるマイナスz方向に配置され、可動子72はスケール部20Aの上面側であるプラスz方向に配置される。この場合、スケール部20Aが可動子72とともに移動する。
スケール部20Aが固定され、センサ部10が移動する場合、固定子71はスケール部20Aの上面側であるプラスz方向に配置され、可動子72はセンサ部10の底面側であるマイナスz方向に配置される。この場合、センサ部10が可動子72とともに移動する。
移動機構がリニアトラックである場合、固定子71は、例えばセンサ部10の底面側に配置され、可動子72は、スケール部20Aの上面側に配置される。移動機構がリニアモータである場合、固定子71は、例えばスケール部20Aの上面側に配置され、可動子72は、センサ部10の底面側に配置される。
固定子71および可動子72は、対向するように配置されており、可動子72は、固定子71に沿って移動する。以下では、スケール部20Aがプラスx方向に向かってセンサ部10上を移動する場合について説明する。すなわち、スケール部20Aの上面側に可動子72が配置されており、可動子72が、センサ部10の底面側に配置された固定子71に沿って移動する。スケール部20Aと可動子72とは接合されており、一体となって移動する。また、センサ部10および固定子71は、何れも特定位置に固定されている。
1つの検出素子群12Aは、複数のホール素子13で構成されている。ホール素子13は、磁石23の位置に応じた磁場強度(信号強度)に対応する情報を検出する磁力検出素子である。ホール素子13は、検出した磁場強度に対応する情報を演算部30に送る。磁場強度に対応する情報の例は、磁場強度に対応する電圧値などの情報である。
ホール素子13のうちの特定のホール素子13を第1のホール素子(検出素子)とすると、この第1のホール素子を含んだ検出素子群12A内でx方向に沿って第1のホール素子に隣接する2つのホール素子13が、第2のホール素子(検出素子)および第3のホール素子(検出素子)である。
1つの検出素子群12Aに含まれる各ホール素子13は、スケール部20Aの移動方向(x方向)であるキャリッジ移動方向に沿って一定間隔でプリント基板11の上面に配置されている。また、プリント基板11上には、特定の間隔を空けて複数の検出素子群12Aが配置されている。プリント基板11上で隣接する検出素子群12Aと検出素子群12Aとの間の間隔である群間距離DCは、スケール部20Aが備える磁石23のx方向の寸法以下である。また、群間距離DCは、1つの検出素子群12A内での隣接するホール素子13間の距離よりも長い。ホール素子13の配置間隔が第1の間隔であり、検出素子群12Aの配置間隔が第2の間隔である。
スケール部20Aが備える磁石23は、ベース材21の底面に配置されている。磁石23は、x方向にN極磁石とS極磁石とが交互に複数ずつ並べられて構成されている。すなわち、磁石23は、N極とS極とがペアとなった着磁対を複数ペア有している。N極磁石とS極磁石とは、互いに異なる出力を行う磁石である。磁石23は、互いに異なる出力を行うための着磁対を異なる出力が交互になるように配置されている。また、磁石23のx方向の長さである磁石長は既知であるものとする。なお、着磁対は出力対の一例に相当する。
記憶部31は、磁石長を記憶しておく。また、記憶部31は、後述する二乗和の閾値(以下、第1閾値という場合がある)を記憶しておく。また、記憶部31は、後述するインクリメンタル差の閾値(以下、第2閾値という場合がある)を記憶しておく。また、記憶部31は、後述する関数選択の閾値(以下、第3閾値という場合がある)を記憶しておく。また、記憶部31は、実際の磁石23の端部(以下、磁石端部という場合がある)から磁石23内の、後述する磁場歪みの境界線(境界位置)までの長さの値を記憶しておく。また、記憶部31は、群間距離DC、後述する素子間距離DA、および着磁ピッチDBを記憶しておく。さらに、記憶部31は、各ホール素子13の座標を記憶しておく。ここで、ホール素子13の座標とは、例えば、プリント基板11上に配置されている検出素子群12Aの数情報、複数の検出素子群12Aのそれぞれに割り振られた番号情報、検出素子群12Aを構成するホール素子13の数情報、検出素子群12A内での複数のホール素子13のそれぞれに割り振られた番号情報等である。
演算部30は、ホール素子13から送られてくる情報に基づいて、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出する。スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報が、可動子72と固定子71との位置関係に対応する情報である。
演算部30が算出する位置情報は、各ホール素子13における磁場強度、または磁場強度に対応するインクリメンタル位置である。演算部30は、磁場強度に対応する電圧値などの情報を受け付けると、この情報に基づいて磁場強度を算出し、磁場強度に基づいてインクリメンタル位置を算出する。
なお、各ホール素子13が磁場強度を検出してもよい。この場合、演算部30は、磁場強度を算出することなく、各ホール素子13から磁場強度を取得する。また、各ホール素子13がインクリメンタル位置を検出してもよい。この場合、演算部30は、インクリメンタル位置を算出することなく、各ホール素子13からインクリメンタル位置を取得する。
演算部30が、第1のホール素子で検出された磁場強度に対応する情報に基づいて算出した第1のホール素子での位置情報が第1の位置情報(第1の値)である。また、演算部30が、第2のホール素子で検出された磁場強度に対応する情報に基づいて算出した第2のホール素子での位置情報が第2の位置情報(第2の値)である。さらに、演算部30が、第3のホール素子で検出された磁場強度に対応する情報に基づいて算出した第3のホール素子での位置情報が第3の位置情報(第3の値)である。また、演算部30は、ホール素子13における磁場強度の二乗和を算出する。
インクリメンタル位置は、移動の開始位置を起点にした場合の移動後の位置である。インクリメンタル位置は、インクリメンタル位置指令方式、すなわち相対番地方式の移動機構で用いられる。インクリメンタル位置は、移動機構の電源がオフの場合であっても記憶部31では保持する必要がない。
実施の形態1の演算部30は、隣接するホール素子13間の位置情報の差分(例えば、インクリメンタル差など)が特定値(第2閾値)以上となっているホール素子13のペア(ホール素子13間)を検出する。演算部30は、検出したホール素子13のペアのうちどちらかのホール素子13を基準ホール素子とする。演算部30は、ホール素子13のペアを検出した時点において、基準ホール素子の含まれる検出素子群12A内の磁場強度に対応する情報を検出している他のホール素子13から磁場強度に対応する情報を受信する。そして、演算部30は、ホール素子13から受信したそれぞれの磁場強度に対応する情報に基づいて、可動子72と固定子71との位置関係、すなわちスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出する。
なお、情報処理装置3は、センサ部10の一部として構成されていてもよいし、センサ部10とは独立して構成されていてもよい。
図2は、実施の形態1にかかる絶対位置検出システムの移動機構の構成を示す図である。図2では、絶対位置検出システム100Aの側面図を示している。なお、図2では、情報処理装置3の図示を省略している。図2では、右方向がプラスx方向であり、左方向がマイナスx方向である。図2に示すように、固定子71は、センサ部10の底面側に配置され、可動子72は、スケール部20Aの上面側に配置されている。
絶対位置検出システム100Aは、絶対位置検出装置1Aと、移動機構とを有している。絶対位置検出システム100Aが有する移動機構には、固定子71および可動子72が含まれている。磁石23では、N極磁石22NとS極磁石22Sとがx方向に交互に配置されている。
図3は、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置のスケール部と磁場強度との関係を説明するための第1の図である。図4は、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置のスケール部と磁場強度との関係を説明するための第2の図である。図3および図4では、プリント基板11および磁石23の側面図を示している。また、図3および図4では、説明の便宜上、プリント基板11の下側に磁石23を図示しているが、磁石23は、プリント基板11の上側を移動する。また、図3および図4では、スケール部20Aが発生させる磁力の磁場強度を示している。図3および図4では、右方向がプラスx方向であり、左方向がマイナスx方向である。
各ホール素子13は、スケール部20Aの位置に応じた磁場強度に対応する情報を検出し、磁場強度に対応する情報を演算部30に送る。演算部30は、各ホール素子13から送られてくる情報に基づいて、各ホール素子13での位置情報(インクリメンタル位置または磁場強度)を算出する。
以下では、隣接する、1つのN極磁石22Nと1つのS極磁石22Sとからなる1組の着磁対のx方向の長さを着磁ピッチDBという。着磁ピッチDBは、周期的に出てくるインクリメンタル位置の周期幅に対応している。なお、着磁ピッチDBは、第3の間隔の一例に相当する。
また、1つの検出素子群12A内での隣接するホール素子13間の距離を素子間距離DAという。すなわち、ホール素子13の配置間隔が素子間距離DAである。実施の形態1では、磁場強度に対応するインクリメンタル位置の周期幅である着磁ピッチDBと、素子間距離DAとが同じ長さである場合について説明する。
磁石23は、センサ部10で検出される磁力を出す。磁石23が出す磁力は、ホール素子13のうち磁石23に対向する位置にあるホール素子13で検出可能となっている。実施の形態1では、磁石23が出す磁力が、磁石23の位置に対応する情報である位置対応情報である。
ベース材21の底面に磁石23が配置されたスケール部20Aが、プラスx方向に移動すると、z方向で磁石23に対向するホール素子13が磁場強度に対応する情報を検出する。各ホール素子13は、磁石23が通過している間は磁場強度に対応する情報を検出でき、磁石23が通過し終えると磁場強度に対応する情報を検出できない。
ここでは、プリント基板11上に3つの検出素子群12Aが配置され、各検出素子群12Aが、9つのホール素子13を備えている場合について説明する。図3および図4では、スケール部20Aが、3つの検出素子群12Aのうちの右から2番目の検出素子群12A上に位置している状態を示している。
スケール部20Aが移動する場合、磁石23は、検出素子群12Aに含まれるホール素子13のうちの左側のホール素子13から順番にホール素子13上を移動していく。
以下では、N(Nは自然数)番目のホール素子13をホール素子E(N)と表記する。図3では、スケール部20Aが位置している検出素子群12Aに含まれるホール素子13のうち、左から6番目のホール素子13が、ホール素子E(N-1)である。また、左から7番目のホール素子13が、ホール素子E(N)であり、左から8番目のホール素子13が、ホール素子E(N+1)である。
図3では、磁石23の右端位置P1が、左から7番目のホール素子E(N)まで通過した状態を示している。この後、さらにスケール部20Aが移動すると、磁石23の右端位置P1が、8番目のホール素子E(N+1)に到達する。
図4では、図3と同様にスケール部20Aが位置している検出素子群12Aに含まれるホール素子13のうち、左から6番目のホール素子13が、ホール素子E(N-1)である。また、左から7番目のホール素子13が、ホール素子E(N)であり、左から8番目のホール素子13が、ホール素子E(N+1)である。
図4では、磁石23の右端位置P1が、左から8番目のホール素子E(N+1)まで到達した状態を示している。
磁石23の磁場強度分布は、正弦波である。すなわち、磁石23は、着磁対毎に正弦波の磁場強度分布を有している。この場合において、磁石23のx方向の両端部では磁場が歪む。
磁石23がプラスx方向に動くことによって、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)におけるインクリメンタル位置が変化する。演算部30は、各ホール素子13での磁場強度に基づいて、各ホール素子13でのインクリメンタル位置を算出する。
図3および図4では、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置1Aで算出されるインクリメンタル位置を説明するためのインクリメンタル位置の値の軌跡を記載している。図3では、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)におけるインクリメンタル位置の値をQ1(N-1),Q1(N),Q1(N+1)として示している。図4では、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)におけるインクリメンタル位置の値をQ2(N-1),Q2(N),Q2(N+1)として示している。図3および図4での横軸は、磁石23の位置xであり、縦軸はインクリメンタル位置である。
また、インクリメンタル位置の最大値の間隔は着磁ピッチDBに対応している。そして、インクリメンタル位置の波形は直角三角形の三角波である。1つの三角波が、0度~360度で示される1つのインクリメンタル位置に対応している。例えば、着磁ピッチDBが10mmである場合、1つの三角波の頂点が示すインクリメンタル位置は10mmということとなる。
図3に示したように、磁石23の右端位置が、図3中の右端位置P1である場合、ホール素子E(N-1)では、2つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。また、ホール素子E(N)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しており、ホール素子E(N+1)では、磁石23のx方向の端部で歪んだ磁場の磁場強度に対応する情報を検出している。
この後、図3において磁石23の右端位置P1がプラスx方向に移動していくと、ホール素子E(N-1)は、3つ目の着磁対の磁場強度に対応するインクリメンタル位置、4つ目の着磁対の磁場強度に対応するインクリメンタル位置を検出する。ホール素子E(N)、ホール素子E(N+1)についても、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の検出と同様に着磁対の磁場強度に対応するインクリメンタル位置を順次検出する。
また、図4に示したように、磁石23の右端位置が、図4の右端位置P1である場合、ホール素子E(N-1)では、3つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しており、ホール素子E(N)では、2つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。また、ホール素子E(N+1)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているが、この1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報は、磁石23のx方向の端部で歪んだ磁場の磁場強度に対応する情報も含んで検出される。
この後、図4において磁石23の右端位置P1がプラスx方向に移動していくと、ホール素子E(N-1)は、4つ目の着磁対の磁場強度に対応するインクリメンタル位置、5つ目の着磁対の磁場強度に対応するインクリメンタル位置を検出する。ホール素子E(N)、ホール素子E(N+1)についても、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の検出と同様に着磁対の磁場強度に対応するインクリメンタル位置を順次検出する。
可動子72が移動する場合には、図3および図4に示すように、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の検出が開始された後、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の検出が開始され、その後、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置の検出が開始される。
また、可動子72が移動する場合には、図3および図4に示すように、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の検出が終了した後、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の検出が終了し、その後、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置の検出が終了する。
絶対位置検出装置1Aは、可動子72の移動中であっても、停止中であっても可動子72と固定子71との間の位置関係に対応する情報を算出できる。
実施の形態1では、着磁ピッチDBと素子間距離DAとを同じ距離としている。このため、隣接するホール素子13間でインクリメンタル位置の波形が360度ずれる。換言すると、隣接するホール素子13間でインクリメンタル位置の三角波が1つだけずれている。例えば、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)との間でインクリメンタル位置の波形が360度ずれることとなり、ホール素子E(N)とホール素子E(N+1)との間でインクリメンタル位置の波形が360度ずれることとなる。
磁石23がプラスx方向に動くと、ホール素子13が検出するインクリメンタル位置の波形は、図3および図4に示すように、磁石端部で歪んだ波形となる。図3および図4では、インクリメンタル位置のうち、歪んだ波形となっている領域を磁場歪み領域MDとして図示している。実施の形態1では、演算部30が、磁石端部におけるインクリメンタル位置の歪みを利用して、磁石23の磁石端部の位置(端部位置)を検出する。
ホール素子13が磁石端部の歪んだ磁場を検出する位置でなければ、ホール素子13が検出するインクリメンタル位置の値は同じになる。一方、ホール素子13の何れかが、磁石端部の歪んだ磁場を検出する位置であれば、歪んだ磁場を検出するホール素子13のインクリメンタル位置の値は、磁場を検出している他のホール素子13のインクリメンタル位置の値と異なる値となる。これは、磁石端部の磁場の歪みにより磁石端部におけるインクリメンタル位置の波形は、他のインクリメンタル位置の波形と比較して歪んでいるからである。演算部30は、全てのホール素子13間に対し、隣接するホール素子13間のインクリメンタル位置の値を比較し、比較結果に基づいて、磁石端部が何れのホール素子13間に位置しているかを判定する。
図5は、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置によるスケール部の磁石端部位置検出処理の処理手順を示すフローチャートである。磁石23の端部は上述のように磁石端部で磁場が歪んでいる。このため、本開示における磁石端部位置検出では、絶対位置検出装置1Aは、実際の磁石端部(例えば右端位置P1)を検出するに際し、磁石23内の磁場歪みの境界線(例えば、図3および図4に示す右端境界線D1)を検出した後、磁石端部位置を検出する。ここでは、演算部30が、ホール素子E(N)の外側に、磁石23の右端境界線D1が存在するか否かを判定する処理について説明する。すなわち、演算部30が、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)との間、またはホール素子E(N)とホール素子E(N+1)との間に、磁石23の右端境界線D1が存在するか否かを判定する処理について説明する。以下、ホール素子E(N)の外側に右端位置P1が存在する場合、言い換えれば、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)との間、またはホール素子E(N)とホール素子E(N+1)との間に磁石23の右端境界線D1が存在する場合とは、具体的には、以下の(C1)または(C2)の場合とする。
(C1)ホール素子E(N-1),E(N)間、またはホール素子E(N),E(N+1)間に、右端境界線D1が存在する場合
(C2)ホール素子E(N-1)に対向する位置、またはホール素子E(N+1)に対向する位置に、右端境界線D1が存在する場合
演算部30は、ホール素子E(N)が検出した磁場強度の二乗和を算出し、算出した二乗和が記憶部31で記憶している第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS10)。算出した二乗和が第1閾値未満である場合(ステップS10、No)、演算部30は、ホール素子E(N)の外側には右端境界線D1が無いと判定し、別のホール素子13の外側に磁石23の右端境界線D1が存在するか否かを判定する(ステップS50)。
算出した二乗和が第1閾値以上である場合(ステップS10、Yes)、演算部30は、隣接するホール素子13間でのインクリメンタル位置同士を比較する。つまり、演算部30は、隣接するホール素子13間でのインクリメンタル位置の差であるインクリメンタル差を算出する。ここで、図3で示した3つのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)と、それぞれのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)が検出しているインクリメンタル位置Q1(N-1),Q1(N),Q1(N+1)を用いて具体的に説明する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置Q1(N-1)と、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q1(N)との間のインクリメンタル差として、|Q1(N-1)-Q1(N)|を算出し、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q1(N)と、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置Q1(N+1)との間のインクリメンタル差として、|Q1(N)-Q1(N+1)|を算出する。すなわち、演算部30は、隣接するホール素子13間でのインクリメンタル差|Q1(N-1)-Q1(N)|,|Q1(N)-Q1(N+1)|を算出する(ステップS20)。演算部30は、算出したインクリメンタル差のそれぞれが、記憶部31で記憶している第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS30)。すなわち、演算部30は、|Q1(N-1)-Q1(N)|が第2閾値以上であるかを判定するとともに、|Q1(N)-Q1(N+1)|が第2閾値以上であるかを判定する。
算出したインクリメンタル差の全部が第2閾値未満である場合(ステップS30、No)、演算部30は、ホール素子E(N)の外側には右端境界線D1が無いと判定し、別のホール素子13の外側に磁石23の右端境界線D1が存在するか否かを判定する(ステップS50)。
算出したインクリメンタル差の何れかが第2閾値以上である場合(ステップS30、Yes)、演算部30は、インクリメンタル差に基づいて磁石端部を算出する(ステップS40)。すなわち、演算部30は、第2閾値以上となったインクリメンタル差に対応するホール素子13間に右端境界線D1が位置していると判定する。このように、演算部30は、第1のインクリメンタル位置と、第2のインクリメンタル位置との差分の絶対値が、特定値(第2閾値)以上となる素子間に右端境界線D1が位置していると判定する。そして、演算部30は、素子間距離DAと着磁ピッチDBの情報を基に、素子間距離DAと着磁ピッチDBとが同じであるため、インクリメンタル差が第2閾値を超えた側のホール素子13同士の間に右端境界線D1が位置していることから、磁石23の右端位置P1もインクリメンタル差が第2閾値を超えた側のホール素子13同士の間に位置していると判定する。
例えば、|Q1(N-1)-Q1(N)|が第2閾値以上である場合、演算部30は、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)との間に、右端境界線D1が存在すると判定する。また、|Q1(N)-Q1(N+1)|が第2閾値以上である場合、演算部30は、ホール素子E(N)とホール素子E(N+1)との間に、右端境界線D1が存在すると判定する。演算部30は、例えば、|Q1(N-1)-Q1(N)|および|Q1(N)-Q1(N+1)|のうち、何れか一方が0であり他方が0よりも大きな値である素子間に右端境界線D1があると判定する。
上述の説明では、図3に記載したホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)と、これらのホール素子13で検出されるインクリメンタル位置の値であるQ1(N-1),Q1(N),Q1(N+1)を用いて説明を行った。また、図4に記載したホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)とインクリメンタル位置の値Q2(N-1),Q2(N),Q2(N+1)を用いる場合でも図3の場合と同様に、右端境界線D1を判定することができる。
演算部30が右端境界線D1の存在する位置の判定の際に比較したインクリメンタル位置を検出する3つのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)は、ホール素子E(N)が第1の検出素子の一例であり、ホール素子E(N+1)が第2の検出素子の一例であり、ホール素子E(N-1)が第3の検出素子の一例である。つまり、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)は、スケール部20Aの移動方向に沿って隣り合うように配置された3つの検出素子の一例である。
なお、演算部30は、磁石23の右端境界線D1であるか磁石23の左端境界線であるかを判別するために、磁石端部位置検出処理で用いたスケール部20Aの移動方向に沿って隣り合うように配置された3つの検出素子のインクリメンタル位置を用いる。すなわち、演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値とホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置の値との差分の絶対値が、特定値(第2閾値)以上となる場合に、ホール素子E(N)の外側(プラスx方向)に、右端境界線D1が存在すると判定できる。言い換えれば、演算部30は、ホール素子E(N)に対して、プラスx方向に位置するホール素子E(N+1)とホール素子E(N)とが検出するインクリメンタル位置の値の差分の絶対値が第2閾値以上であり、ホール素子E(N)に対して、マイナスx方向に位置するホール素子E(N-1)とホール素子E(N)とが検出するインクリメンタル位置の値の差分の絶対値が第2閾値未満である場合に、ホール素子E(N)の外側(プラスx方向)に、右端境界線D1が存在すると判定できる。
また、演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値とホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値との差分の絶対値が、特定値(第2閾値)以上となる場合に、ホール素子E(N)の外側(マイナスx方向)に、左端境界線が存在すると判定してもよい。言い換えると、演算部30は、ホール素子E(N)に対して、マイナスx方向に位置するホール素子E(N-1)とホール素子E(N)とが検出するインクリメンタル位置の値の差分の絶対値が第2閾値以上であり、ホール素子E(N)に対して、プラスx方向に位置するホール素子E(N+1)とホール素子E(N)とが検出するインクリメンタル位置の値の差分の絶対値が第2閾値未満である場合に、ホール素子E(N)の外側(マイナスx方向)に、左端境界線が存在すると判定してもよい。
演算部30は、上述のように右端境界線D1を判定した場合、素子間距離DAおよび着磁ピッチDBの情報を基に、磁石23の右端位置P1を検出することができる。また、演算部30は、上述のように左端境界線を判定した場合も同様に、素子間距離DAおよび着磁ピッチDBの情報を基に、磁石23の左端境界線の位置を検出することができる。
図6は、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置による可動子と固定子との位置関係を算出する処理の処理手順を示すフローチャートである。演算部30は、磁場歪みの境界線が間に存在すると判定された2つのホール素子13のうち何れか一方を基準ホール素子として選択する(ステップS100)。磁石23内の磁場歪みの境界線は、磁石23の磁場強度分布が正弦波からずれ始める箇所である。すなわち、磁石23内の磁場歪みの境界線は、磁石23内の領域のうち、磁石23が正弦波の磁場強度分布を検出させている領域と、正弦波以外の磁場強度分布を検出させている領域との境界である。磁石23内の磁場歪みの境界線は、磁石23のyz平面に平行な面(図3および図4では、z方向に延びる線)であり、磁石23のx方向の移動に伴って、x方向の位置が移動する。なお、基準ホール素子は基準検出素子の一例である。
演算部30は、磁石端部の位置を判定する際の3つのホール素子13のうち第1の検出素子に該当するホール素子13が検出しているインクリメンタル位置の値と第3閾値とを比較する(ステップS101)。実施の形態1においては、演算部30は、ホール素子E(N)が検出しているインクリメンタル位置の値と第3閾値とを比較する。ここで第3閾値は、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する際の関数を選択するために設定される閾値である。第3閾値は、例えば磁石端部から磁石23内の磁場歪みの境界線までの長さの値が設定されるようにしてもよい。磁石23内の磁場歪みの境界線は、磁石23の着磁対が発する磁場強度によって変動するので、使用する着磁対に合わせて第3閾値が設定されればよい。
演算部30は、ステップS100で選択した基準ホール素子、およびステップS101での比較の結果に基づいて、下記式(1)~(3)で示した磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数を選択する(ステップS102)。式(1)~(3)は、演算部30が、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出するための式(関数)である。演算部30は、ステップS102では、ステップS100で選択した基準ホール素子が磁場の歪みを含んで磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13であるか否かを確認し、ステップS101で比較したインクリメンタル位置の値が第3閾値を超えたか否かを確認することで式(1)~(3)を選択する。このように、演算部30は、ステップS100,S101の処理結果に基づいて、式(1)~(3)の何れかの関数を選択する(ステップS102)。
式(1)は、基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおらず且つステップS101での比較で第3閾値を超えている場合、または基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおり且つステップS101での比較で第3閾値を超えていない場合に選択される。
式(2)は、基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおり且つステップS101での比較で第3閾値を超えている場合に選択される。
式(3)は、基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおらず且つステップS101での比較で第3閾値を超えていない場合に選択される。
ホール素子13の位置=Q+(DB×基準検出素子からの離間数)・・・(1)
ホール素子13の位置=Q+(DB×(基準検出素子からの離間数-1))・・・(2)
ホール素子13の位置=Q+(DB×(基準検出素子からの離間数+1))・・・(3)
式(1)~(3)において、ホール素子13の位置は、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置である。Qは、磁石23の端部位置に対する位置が算出される対象のホール素子13が検出しているインクリメンタル位置の値である。DBは、着磁ピッチである。基準検出素子からの離間数は、磁石23の端部位置に対する位置が算出される対象のホール素子13が基準検出素子から数えて何番目かを表している。例えば、図3で示したホール素子13を例にすると、ホール素子E(N)を基準ホール素子(基準検出素子)とした場合、ホール素子E(N-1)の基準検出素子からの離間数は「1」である。同様に、ホール素子E(N-2)の基準検出素子からの離間数は「2」である。磁石23の端部位置に対する位置が算出される対象のホール素子13における基準検出素子からの離間数は、記憶部31に記憶されている各ホール素子13の座標から算出することができる。
演算部30は、ステップS102で選択した式(1)~(3)の何れかの関数を用いて磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する(ステップS103)。具体的には、演算部30は、基準ホール素子としたホール素子13を含む検出素子群12A内のホール素子13のうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13から磁場強度に対応する情報を受信する。演算部30は、受信した磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13の座標および基準ホール素子としたホール素子13の座標を記憶部31から取得する。さらに、演算部30は、記憶部31から着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、各ホール素子13から受信した磁場強度に対応する情報に基づき、各ホール素子13におけるインクリメンタル位置を算出する。なお、演算部30は、磁場強度に対応する情報としてインクリメンタル位置を受信している場合は、インクリメンタル位置の算出を省略することができる。そして、演算部30は、取得したホール素子13の座標から各ホール素子13の基準ホール素子からの離間数を算出する。なお、各ホール素子13の基準ホール素子からの離間数は、予め記憶部31に記憶しておくことも可能であり、予め記憶している場合、各ホール素子13の基準ホール素子からの離間数の算出を省略することができる。この場合、記憶部31は、例えば、第X(Xは、1から9の自然数)のホール素子13が基準ホール素子となった場合の、第1から第9のホール素子13の離間数を記憶しておく。
演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づき、選択した式(1)~(3)の何れかを用いて算出する。
演算部30は、ステップS103の結果(ステップS103で算出した磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置)と磁石23の移動方向における長さとに基づいて、可動子72と固定子71との位置関係を算出する(ステップS104)。演算部30は、磁石23の移動方向における長さを、記憶部31で磁石長として記憶されている値を取得して使用する。
ここで、図3および図4に戻り、右端位置P1が図3または図4で示した位置に存在する場合について説明する。
まず、図3で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合、演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)が検出しているインクリメンタル位置の値を用いて、ホール素子E(N),E(N+1)間に右端境界線D1が存在すると判定する。したがって、基準ホール素子は、ホール素子E(N)およびホール素子E(N+1)の何れかである。以下に基準ホール素子をホール素子E(N)とした場合、および基準ホール素子をホール素子E(N+1)とした場合のそれぞれにおいて、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置1Aによる可動子72と固定子71との位置関係の算出について、具体的に説明する。ここでは、ホール素子E(N)が第1の検出素子であり、ホール素子E(N+1)が第2の検出素子であり、ホール素子E(N-1)およびホール素子E(N-2)が第3の検出素子である。
演算部30は、ステップS100において、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択した場合、ステップS101に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置と第3閾値とを比較する。実施の形態1では、第3閾値は、磁石23の右端位置P1から磁石23内の磁場歪みの境界線(右端境界線D1)までの長さの値で設定されており、図3におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置の値は第3閾値を超える。そして、ホール素子E(N)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいない。したがって、演算部30は、ステップS102に従い式(1)を選択する。
演算部30は、ステップS103に従い、式(1)を用いて磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS103では、基準ホール素子としたホール素子E(N)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石23の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、着磁ピッチDBが10mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)の座標(素子座標)を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「0」であり、ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「2」である。さらに、演算部30は、記憶部31から着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として9mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(1)を用いて「9+(10×0)=9」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石23の端部位置である右端位置P1から左方向に9mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として9mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(1)を用いて「9+(10×1)=19」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に19mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として9mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(1)を用いて「9+(10×2)=29」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P1から左方向に29mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図3で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合において、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択すると、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P1から左方向に9mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に19mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P1から左方向に29mmの位置を算出する。
続いて、図3で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合において、演算部30が、ホール素子E(N+1)を基準ホール素子として選択した場合について説明する。
演算部30がステップS100において、基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択した場合、演算部30は、ステップS101に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置と第3閾値とを比較する。実施の形態1では、第3閾値は、磁石23の右端位置P1から磁石23内の磁場歪みの境界線(右端境界線D1)までの長さの値で設定されており、図3におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置の値は第3閾値を超える。そして、ホール素子E(N+1)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいる。したがって、演算部30は、ステップS102に従い式(2)を選択する。
演算部30は、ステップS103に従い、式(2)を用いて磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。ステップS103では、基準ホール素子としたホール素子E(N+1)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石23の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、着磁ピッチDBが10mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「2」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N+1)の基準ホール素子からの離間数は「0」である。さらに、演算部30は、記憶部31から着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として9mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(2)を用いて「9+(10×(1-1))=9」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石23の端部位置である右端位置P1から左方向に9mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として9mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(2)を用いて「9+(10×(2-1))=19」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に19mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N+1)の位置を、式(2)を用いて「2+(10×(0-1))=-8」のように算出する。しかし、この算出結果が負の値である場合、ホール素子E(N+1)は、磁場強度に対応する情報を検出しているが、磁石23の端部における磁場の歪みを検出しているだけであり、演算部30は、磁石23がホール素子E(N+1)に到達していないと認識することができる。
上述のように、演算部30は、図3で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択すると、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P1から左方向に9mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に19mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N+1)の位置を、計算上算出するが、算出結果が負の値であるため磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置としては出力しない。
以上のように、図3で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合、ステップS100で選択した基準ホール素子、およびステップS101での比較の結果により、演算部30が使用する関数、すなわち磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は異なる。ここでは、磁石23の右端位置P1が同じなので、厳密には選択した基準ホール素子の違いにより、演算部30が使用する、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数が異なることとなる。しかしながら、演算部30は、何れの関数を使用する場合でも、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて算出している。このため、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置として同様の結果を算出することができる。
演算部30は、ステップS104に従い、ステップS103で算出した磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置と磁石23の移動方向における長さとに基づいて、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を、可動子72と固定子71との位置関係として算出する。
つぎに、図4で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合、演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)が検出しているインクリメンタル位置の値を用いて、ホール素子E(N),E(N+1)間に右端境界線D1が存在すると判定する。したがって、基準ホール素子は、ホール素子E(N)およびホール素子E(N+1)の何れかである。以下に基準ホール素子をホール素子E(N)とした場合、および基準ホール素子をホール素子E(N+1)とした場合のそれぞれにおける、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置1Aによる可動子72と固定子71との位置関係の算出について、具体的に説明する。ここでは、ホール素子E(N)が第1の検出素子であり、ホール素子E(N+1)が第2の検出素子であり、ホール素子E(N-1)およびホール素子E(N-2)が第3の検出素子である。
演算部30は、ステップS100において、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択した場合、ステップS101に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置と第3閾値とを比較する。実施の形態1では、第3閾値は、磁石23の右端位置P1から磁石23内の磁場歪みの境界線(右端境界線D1)までの長さの値で設定されており、図4におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置の値は第3閾値を超えない。そして、ホール素子E(N)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいない。したがって、演算部30は、ステップS102に従い式(3)を選択する。
演算部30は、ステップS103に従い、式(3)を用いて磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS103では、基準ホール素子としたホール素子E(N)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石23の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、着磁ピッチDBが10mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)の座標(素子座標)を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「0」であり、ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「2」である。さらに、演算部30は、記憶部31から着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(3)を用いて「2+(10×(0+1))=12」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石23の端部位置である右端位置P1から左方向に12mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(3)を用いて「2+(10×(1+1))=22」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に22mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(3)を用いて「2+(10×(2+1))=32」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P1から左方向に32mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図4で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択すると、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P1から左方向に12mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に22mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P1から左方向に32mmの位置を算出する。
続いて、図4で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合において、演算部30が、基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択した場合について説明する。
演算部30が、ステップS100において、基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択した場合、演算部30は、ステップS101に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置と第3閾値とを比較する。実施の形態1では、第3閾値は、磁石23の右端位置P1から磁石23内の磁場歪みの境界線(右端境界線D1)までの長さの値で設定されており、図4におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置の値は第3閾値を超えない。そして、ホール素子E(N+1)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいる。したがって、演算部30は、ステップS102に従い式(1)を選択する。
演算部30は、ステップS103に従い、式(1)を用いて磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。ステップS103では、基準ホール素子としたホール素子E(N+1)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石23の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、上記同様、3つのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、着磁ピッチDBが10mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「2」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N+1)の基準ホール素子からの離間数は「0」である。さらに、演算部30は、記憶部31から着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(1)を用いて「2+(10×1)=12」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石23の端部位置である右端位置P1から左方向に12mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(1)を用いて「2+(10×2)=22」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に22mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置の値として3mmを算出した場合、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N+1)の位置を、式(1)を用いて「3+(10×0)=3」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N+1)の位置として、右端位置P1から左方向に3mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図4で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択すると、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P1から左方向に12mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P1から左方向に22mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子E(N+1)の位置として、右端位置P1から左方向に3mmの位置を算出する。
以上のように、図4で示した位置に磁石23の右端位置P1が存在する場合、ステップS100で選択した基準ホール素子、およびステップS101での比較の結果により、演算部30が使用する関数、すなわち磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は異なる。ここでは、磁石23の右端位置P1が同じなので、厳密には選択した基準ホール素子の違いにより、演算部30が使用する、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数が異なることとなる。しかしながら、演算部30は、何れの関数を使用する場合でも、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて算出している。このため、演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置として同様の結果を算出することができる。
演算部30は、ステップS104に従い、ステップS103で算出した磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置と磁石23の移動方向における長さとに基づいて、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を、可動子72と固定子71との位置関係として算出する。
また、図3および図4では、磁石23の右端位置P1が存在する位置が異なっているため、第1の検出素子であるホール素子E(N)で検出するインクリメンタル位置の値が異なる。磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は、ステップS100で選択した基準ホール素子、およびステップS101での比較の結果により選択される。このため、演算部30は、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出することができる。
演算部30は、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を、可動子72と固定子71との位置関係として表示装置(図示せず)などの外部装置に出力する。
演算部30は、磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置と、磁石長とに基づいて、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出するので、スケール部20Aが複数である場合であっても、各スケール部20Aに対するホール素子13の位置を算出することができる。例えば、2つのスケール部20Aが、センサ部10上で近接した場合に磁石長が既知でなければ、演算部30は、2つのスケール部20Aを1つのスケール部20Aと判断してスケール部20Aに対するホール素子13の位置を検出してしまう場合がある。実施の形態1の演算部30は、磁石長に基づいてスケール部20Aに対するホール素子13の位置を検出するので、それぞれのスケール部20Aに対するホール素子13の位置を検出できる。
このように、絶対位置検出装置1Aは、磁石23の右端位置P1が何れのホール素子13間に存在するかを判定した後、磁石23に対向するホール素子13のインクリメンタル位置に基づいて、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出することができる。
なお、演算部30は、磁石23の右端位置P1と左端位置とを検出し、磁石23の右端位置P1と左端位置とに基づいて、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を検出してもよい。
演算部30は、磁石23の端部位置の磁場の歪みに伴うインクリメンタル位置の歪みを利用して、磁石端部の位置を検出するので、スケール部20Aが移動していない場合であっても、ホール素子13間のインクリメンタル差を算出できる。したがって、演算部30は、スケール部20Aが移動していない場合であっても、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出することができる。
なお、演算部30は、磁場強度(絶対値)に基づいてスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出してもよい。この場合、ホール素子E(N+1)の磁場強度とホール素子E(N)との間の磁場強度の差が特定値(第4閾値)以上であれば、演算部30は、ホール素子E(N+1),E(N)間に右端位置P1が存在すると判定する。また、ホール素子E(N)の磁場強度とホール素子E(N-1)との間の磁場強度の差が特定値(第4閾値)以上であれば、演算部30は、ホール素子E(N),E(N-1)間に右端位置P1が存在すると判定する。
例えば、ホール素子E(N)の磁場強度が0であり、ホール素子E(N-1)の磁場強度が特定値以上であれば、演算部30は、ホール素子E(N),E(N-1)間に右端位置P1が存在すると判定する。
また、演算部30は、磁場強度に基づいてスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出する場合、右端位置P1であるか磁石23の左端位置であるかを判別するために、ホール素子E(N+2)およびホール素子E(N-2)の磁場強度を用いる。すなわち、演算部30は、ホール素子E(N+2)の磁場強度が、ホール素子E(N-2)の磁場強度よりも低い場合に、ホール素子E(N)の外側に、右端位置P1が存在すると判定できる。また、演算部30は、ホール素子E(N-2)の磁場強度が、ホール素子E(N+2)の磁場強度よりも低い場合に、ホール素子E(N)の外側に、左端位置が存在すると判定してもよい。
なお、演算部30は、インクリメンタル位置を検出できたホール素子13と、インクリメンタル位置を検出できなかったホール素子13とに基づいて、右端位置P1が存在するホール素子13間を判定してもよい。例えば、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置が0であり、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置が、特定値である場合、演算部30は、ホール素子E(N+1)とホール素子E(N)との間に右端位置P1があると判定する。
上述したように、絶対位置検出装置1Aは、隣接する検出素子群12A間の間隔が、磁石23のx方向の長さ以下であれば、隣接する検出素子群12A間にホール素子13を配置しなくてもよい。このため、プリント基板11の上面に配置されるホール素子13の数を減らすことができる。したがって、ホール素子13の配置について自由度が向上し、絶対位置検出装置1Aの工作性が良くなる。また、磁石23が備える着磁対を増やすことで、隣接する検出素子群12A間の間隔を容易に広げることが可能となる。
また、絶対位置検出装置1Aは、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を検出する際に、磁石23の一方の端部位置を検出すればよく、両方の端部位置を検出する必要がないので、容易にスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を検出できる。また、絶対位置検出装置1Aは、磁石23の一方の端部位置を検出すればスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を検出できるので、1枚のプリント基板11を1つのユニットとした場合に、複数ユニットを跨いだ移動経路に対してもスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を検出できる。
また、絶対位置検出装置1Aは、磁場強度とストローク位置との対応関係を格納したテーブル情報を用いることなくスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を算出することができるので、装置構成が簡易になる。
このように実施の形態1では、絶対位置検出装置1Aは、ホール素子13間のインクリメンタル差に基づいて、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を検出するので、磁石23の何れか一方の端部位置が検出素子群12Aに存在すれば、スケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を検出できる。このため、隣接する検出素子群12A間の間隔を空けることができるので、少ないホール素子13で、可動子72と固定子71との間の位置関係を検出することができる。
実施の形態1にかかる絶対位置検出装置1Aは、可動子72と固定子71との位置関係を算出する処理では、ステップS100において基準ホール素子を選択していたが、予め基準ホール素子とするホール素子13が決められている場合は、ステップS100の処理を省略してもよい。例えば、絶対位置検出装置1Aは、磁石23内の磁場歪みの境界線または磁石23の端部位置が間に存在すると判定された2つのホール素子13のうち、ホール素子13が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでいないホール素子13を基準ホール素子に設定してもよい。
また、実施の形態1にかかる絶対位置検出装置1Aは、可動子72と固定子71との位置関係を算出する処理では、ステップS100~S102の処理によって磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数を選択していたが、予め基準ホール素子と磁石23の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数とを決めておいてもよい。この場合、絶対位置検出装置1Aは、ステップS100~S102の処理を省略することができる。
実施の形態2.
つぎに、図7から図12を用いて実施の形態2について説明する。実施の形態2では、素子間距離DAと着磁ピッチDBとを異なる長さとする。
実施の形態2の絶対位置検出装置1Bは、絶対位置検出装置1Aと比較して、素子間距離DAと着磁ピッチDBとの関係が異なる以外は、絶対位置検出装置1Aと同様の構成を有している。
図7は、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置のスケール部と磁場強度との関係を説明するための第1の図である。図8は、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置のスケール部と磁場強度との関係を説明するための第2の図である。図9は、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置のスケール部と磁場強度との関係を説明するための第3の図である。図10は、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置のスケール部と磁場強度との関係を説明するための第4の図である。図7から図10の各構成要素のうち図3に示す実施の形態1の絶対位置検出装置1Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
図7から図10では、絶対位置検出システム100Bの側面図を示している。図7から図10では、プリント基板11および磁石25の側面図を示している。なお、図7から図10では、説明の便宜上、プリント基板11の下側に磁石25を図示しているが、磁石25は、プリント基板11の上側を移動する。また、図7から図10では、スケール部20Bが発生させる磁力の磁場強度を示している。図7から図10では、プラスx方向が右方向であり、マイナスx方向が左方向である。
絶対位置検出システム100Bは、絶対位置検出装置1Bと、移動機構とを有している。絶対位置検出システム100Bが有する移動機構には、固定子71および可動子72が含まれている。
絶対位置検出装置1Bは、絶対位置検出装置1Aと比較して、スケール部20Aの代わりにスケール部20Bを備えている。スケール部20Bは、スケール部20Aと比較して、磁石23の代わりに磁石25を有している。磁石25では、N極磁石24NとS極磁石24Sとがx方向に交互に配置されている。実施の形態2では、磁石25が、位置検出に用いられる第1の部材である。
絶対位置検出装置1Bでは、1つのN極磁石24Nと、1つのS極磁石24Sとからなる1組の着磁対の着磁ピッチDBが、素子間距離DAの2倍である。すなわち、N極磁石24Nのx方向の寸法は、上述の実施の形態1で説明したN極磁石22Nのx方向の寸法の2倍である。また、S極磁石24Sのx方向の寸法は、上述の実施の形態1で説明したS極磁石22Sのx方向の寸法の2倍である。
なお、実施の形態2では、着磁ピッチDBが、素子間距離DAの2倍である場合について説明するが、着磁ピッチDBは、素子間距離DAよりも長ければ、何れの長さであってもよい。
図7から図10では、絶対位置検出装置1Bにおけるスケール部20Bの磁石25の右端位置P2の位置がそれぞれ異なる場合を示している。なお、実施の形態2でも、絶対位置検出装置1Bは、絶対位置検出装置1Aと同様の処理によって磁場強度およびインクリメンタル位置の検出を行う。
図7から図10では、N(Nは自然数)番目のホール素子13をホール素子E(N)と表記する。図7から図10では、スケール部20Bが位置している検出素子群12Aに含まれるホール素子13のうち、左から7番目のホール素子13が、ホール素子E(N-1)である。また、左から8番目のホール素子13が、ホール素子E(N)であり、左から9番目のホール素子13が、ホール素子E(N+1)である。
図7では、スケール部20Bが、3つの検出素子群12Aのうちの右から2番目の検出素子群12A上で、磁石25の右端位置P2が、左から9番目のホール素子E(N+1)まで通過した状態を示している。そして、図7では、1組の着磁対を構成するS極磁石24SおよびN極磁石24Nのうち、N極磁石24Nの全体が、左から8番目のホール素子E(N)まで通過した状態を示している。
図8では、スケール部20Bが、3つの検出素子群12Aのうちの右から2番目の検出素子群12A上で、磁石25の右端位置P2が、左から9番目のホール素子E(N+1)まで通過した状態を示している。ただし、図8では、1組の着磁対を構成するS極磁石24SおよびN極磁石24Nのうち、N極磁石24Nの全体が、左から8番目のホール素子E(N)を通過していない点で図7と異なっている。
図9では、スケール部20Bが、3つの検出素子群12Aのうちの右から2番目の検出素子群12A上で、磁石25の右端位置P2が、左から9番目のホール素子E(N+1)まで到達した状態を示している。
図10では、スケール部20Bが、3つの検出素子群12Aのうちの右から2番目の検出素子群12A上で、磁石25の右端位置P2が、左から8番目のホール素子E(N)まで通過した状態を示している。この後、さらにスケール部20Bが移動すると、磁石25の右端位置P2が、9番目のホール素子E(N+1)に到達する。
図7から図10では、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bで算出されるインクリメンタル位置を説明するためインクリメンタル位置の値の軌跡を記載している。図7では、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)におけるインクリメンタル位置の値をQ3(N-1),Q3(N),Q3(N+1)として示している。図8では、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)におけるインクリメンタル位置の値をQ4(N-1),Q4(N),Q4(N+1)として示している。図9では、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N),E(N+1)におけるインクリメンタル位置の値をQ5(N-2),Q5(N-1),Q5(N),Q5(N+1)として示している。図10では、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)におけるインクリメンタル位置の値をQ6(N-2),Q6(N-1),Q6(N)として示している。図7から図10での横軸は、磁石25の位置xであり、縦軸はインクリメンタル位置である。
また、各ホール素子13のインクリメンタル位置の値の最大値は着磁ピッチDBに対応している。そして、インクリメンタル位置の波形は直角三角形の三角波である。例えば、着磁ピッチDBが20mmである場合、1つの三角波の頂点が示すインクリメンタル位置の値は20mmということとなる。
図7に示したように、磁石25の右端位置が、図7中の右端位置P2である場合、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)では、2つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。また、ホール素子E(N+1)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。
図8に示したように、磁石25の右端位置が、図8中の右端位置P2である場合、ホール素子E(N-1)では、2つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。また、ホール素子E(N)およびホール素子E(N+1)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。さらに、ホール素子E(N+1)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているが、この1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報は、磁石25のx方向の端部で歪んだ磁場の磁場強度に対応する情報も含んでいる。
図9に示したように、磁石25の右端位置が、図9中の右端位置P2である場合、ホール素子E(N-2)とホール素子E(N-1)では、2つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。また、ホール素子E(N)とホール素子E(N+1)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。さらに、ホール素子E(N+1)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているが、この1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報は、磁石25のx方向の端部で歪んだ磁場の磁場強度に対応する情報も含んでいる。
図10に示したように、磁石25の右端位置が、図10中の右端位置P2である場合、ホール素子E(N-2)では、2つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。また、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している。ここで、ホール素子E(N)では、1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているが、この1つ目の着磁対の磁場強度に対応する情報は、磁石25のx方向の端部で歪んだ磁場の磁場強度に対応する情報も含んでいる。加えて、ホール素子E(N+1)では、磁石25のx方向の端部で歪んだ磁場の磁場強度に対応する情報を検出している。
実施の形態2では、着磁ピッチDBが、素子間距離DAの2倍の距離となっている。このため、隣接するホール素子13間でインクリメンタル位置の波形が180度ずれる。換言すると、隣接するホール素子13間でインクリメンタル位置の三角波が半分だけずれている。例えば、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)との間でインクリメンタル位置の波形が180度ずれることとなり、ホール素子E(N)とホール素子E(N+1)との間でインクリメンタル位置の波形が180度ずれることとなる。
ホール素子13が磁石端部の歪んだ磁場を検出する位置でなければ、隣り合うホール素子13が検出するインクリメンタル位置の値は、後述する式(4)で算出されるΔQの値の分ずれることとなる。一方、ホール素子13の何れかが、磁石端部の歪んだ磁場を検出する位置であれば、歪んだ磁場を検出するホール素子13のインクリメンタル位置の値は、磁場を検出している他のホール素子13のインクリメンタル位置の値と異なる値となる。これは、磁石端部の磁場の歪みにより磁石端部におけるインクリメンタル位置の波形は、他のインクリメンタル位置の波形と比較して歪んでいるからである。演算部30は、全てのホール素子13間に対し、隣接するホール素子13間のインクリメンタル位置の値を比較し、比較結果に基づいて、磁石25内の磁場歪みの境界線が何れのホール素子13間に位置しているかを判定する。
演算部30は、隣接するホール素子13間のインクリメンタル差の位相差の補正値を、以下の式(4)によって算出することができる。式(4)におけるΔQが位相差の補正値であり、QMAXがインクリメンタル位置の最大値である。
ΔQ=QMAX×(DA/DB)・・・(4)
実施の形態2では、演算部30は、素子間距離DAと着磁ピッチDBとの関係に応じたΔQの補正値だけ、インクリメンタル差を補正し、補正後のインクリメンタル差に基づいて、ホール素子13間に磁石端部が位置しているか否かを判定する。
実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、演算部30は、全てのホール素子13間に対し、隣接するホール素子13間のインクリメンタル位置の値を比較することで、磁石端部が何れのホール素子13間に位置しているかを判定する。
図11は、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置によるスケール部の絶対位置検出処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11で説明する処理のうち、図5で説明した処理と同様の処理については、その説明を省略する。
図11では、演算部30が、ホール素子E(N)の外側に、スケール部20Bが備える磁石25の右端位置P2を検出するに際し、磁石25内の磁場歪みの境界線である右端境界線D2を検出する処理について説明する。すなわち、演算部30が、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)との間、またはホール素子E(N)とホール素子E(N+1)との間に、磁石25の右端境界線D2が存在するか否かを判定する処理について説明する。以下、ホール素子E(N)の外側に右端境界線D2が存在する場合、言い換えれば、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)との間、またはホール素子E(N)とホール素子E(N+1)との間に磁石23の右端境界線D1が存在する場合とは、具体的には、以下の(C3)または(C4)の場合とする。
(C3)ホール素子E(N-1),E(N)間、またはホール素子E(N),E(N+1)間に、右端境界線D2が存在する場合
(C4)ホール素子E(N-1)に対向する位置、またはホール素子E(N+1)に対向する位置に、右端境界線D2が存在する場合
実施の形態2の演算部30によるステップS10,S30~S50の処理は、実施の形態1の図5で説明したステップS10,S30~S50と同様の処理である。実施の形態2の演算部30は、実施の形態1の図5で説明したステップS20の代わりに、ステップS21の処理を実行する。すなわち、演算部30は、ステップS10で算出したホール素子E(N)が検出した磁場強度の二乗和が第1閾値以上である場合(ステップS10、Yes)、隣接するホール素子13間でのインクリメンタル差を算出する。ここで、図7で示した3つのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)と、それぞれのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)が検出しているインクリメンタル位置Q3(N-1),Q3(N),Q3(N+1)を用いて具体的に説明する。なお、図7で示した3つのホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)では、ホール素子E(N)が検出する磁場強度に対応する情報の二乗和が第1閾値以上であったものとして説明する。実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bでは、着磁ピッチDBが素子間距離DAの2倍の距離に設定されているため、隣り合うホール素子13同士で同じ着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している場合と、隣り合うホール素子13同士で異なる着磁対の磁場強度に対応する情報を検出している場合とが存在する。このため、実施の形態2では、ステップS21にて、素子間距離DAと着磁ピッチDBとの関係に応じ、上述の補正値ΔQを用いて、位相の補正を行う。演算部30は、上述の式(4)を用いて、隣り合うホール素子13の間の位相差の補正値ΔQを算出する。
そして、演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置Q3(N-1)と、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q3(N)との間のインクリメンタル差を算出する。このインクリメンタル差を算出する際に、演算部30は、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)とが同じ着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているか、または異なる着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているか判定する。具体的には、演算部30は、インクリメンタル位置Q3(N)に補正値ΔQを加算した第1のインクリメンタル比較値が、インクリメンタル位置の最大値であるQMAX未満(Q3(N)+ΔQ<QMAX)となるか、またはQMAX以上(Q3(N)+ΔQ≧QMAX)となるか検出を行う。そして、演算部30は、第1のインクリメンタル比較値が、QMAX未満(Q3(N)+ΔQ<QMAX)である場合、下記の式(5)を用いて補正後のインクリメンタル位置の値を算出する。また、第1のインクリメンタル比較値が、QMAX以上(Q3(N)+ΔQ≧QMAX)である場合、演算部30は、下記の式(6)を用いて補正後のインクリメンタル位置の値を算出する。なお、演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置Q3(N-1)とホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q3(N)との間のインクリメンタル差を算出する際には、下記の式(5),(6)のインクリメンタル位置の値Qを、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N)のうち、プラスx方向の座標に位置するホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q3(N)を用いて補正値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N)における補正後のインクリメンタル位置Q3(N)cを算出した後、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置Q3(N-1)と、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q3(N)との間のインクリメンタル差として、|Q3(N-1)-Q3(N)c|を算出する(ステップS21)。
Q+ΔQ<QMAXの場合、
補正後のインクリメンタル位置Qc=Q+ΔQ・・・(5)
Q+ΔQ≧QMAXの場合、
補正後のインクリメンタル位置Qc=Q+ΔQ―QMAX・・・(6)
つぎに、演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q3(N)と、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置Q3(N+1)との間のインクリメンタル差を算出する。演算部30は、このインクリメンタル差を算出する際に、上記のようにホール素子E(N)とホール素子E(N+1)とが同じ着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているか、または異なる着磁対の磁場強度に対応する情報を検出しているか判定する。なお、演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q3(N)とホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置Q3(N+1)との間のインクリメンタル差を算出する際には、上記の式(5),(6)のインクリメンタル位置の値Qを、ホール素子E(N)とホール素子E(N+1)のうち、プラスx方向の座標に位置するホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置Q3(N+1)を用いて補正値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N+1)における補正後のインクリメンタル位置Q3(N+1)cを算出した後、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置Q3(N)と、ホール素子E(N+1)のインクリメンタル位置Q3(N+1)との間のインクリメンタル差として、|Q3(N)-Q3(N+1)c|を算出する。
この後、演算部30は、ステップS30~S50の処理を実行する。これにより、演算部30は、何れのホール素子13間に右端境界線D2が存在するかを判定する。そして、演算部30は、右端境界線D2を判定した場合、素子間距離DAと着磁ピッチDBの情報を基に、磁石25の右端位置P2の位置を検出することができる。また、演算部30は、上述のように左端境界線を判定した場合も同様に、素子間距離DAと着磁ピッチDBの情報を基に、磁石25の左端位置が存在すると検出することができる。さらに、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置と、磁石長とを用いて、ホール素子13のスケール部20Bに対する位置情報を算出する。演算部30は、ホール素子13のスケール部20Bに対する位置情報を表示装置などの外部装置に出力する。
上述の説明では、図7に記載したホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)と、これらのホール素子で検出されるインクリメンタル位置の値であるQ3(N-1),Q3(N),Q3(N+1)を用いた。しかしながら、演算部30は、図8に記載したホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)とインクリメンタル位置の値Q4(N-1),Q4(N),Q4(N+1)を用いる場合でも同様に、右端境界線D2を判定することができる。
また、図9および図10に示した磁石25の位置の場合、磁場強度に対応する情報の二乗和が第1閾値以上となるホール素子13は、ホール素子E(N-1)となる。このような場合でも、演算部30は、上述の図7を用いた説明のホール素子E(N)をホール素子E(N-1)と読み替え、ホール素子E(N-1)をホール素子E(N-2)と読み替え、ホール素子E(N+1)をホール素子E(N)と読み替える。そして、演算部30は、図9におけるインクリメンタル位置の値Q5(N-2),Q5(N-1),Q5(N)、および図10におけるインクリメンタル位置の値Q6(N-2),Q6(N-1),Q6(N)を用いることで、同様に右端境界線D2を判定することができる。
なお、ホール素子E(N-1),E(N)間のΔQと、ホール素子E(N),E(N+1)間のΔQとは、異なる値であってもよい。ホール素子E(N-1),E(N)間の素子間距離DAと、ホール素子E(N),E(N+1)間の素子間距離DAとが異なる場合には、ホール素子E(N-1),E(N)間のΔQと、ホール素子E(N),E(N+1)間のΔQとは異なる値となる。
図12は、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置による可動子と固定子との位置関係を算出する処理の処理手順を示すフローチャートである。
演算部30は、磁場歪みの右端境界線D2が間に存在すると判定された2つのホール素子13のうち何れか一方を基準ホール素子として選択する(ステップS200)。なお、基準ホール素子は基準検出素子の一例である。
演算部30は、磁石25内の磁場歪みの境界線を検出する際の3つのホール素子13のうち第1の検出素子に該当するホール素子13が検出しているインクリメンタル位置の値Qに上述の式(4)で算出される補正値ΔQを加算した第2のインクリメンタル比較値とインクリメンタル位置の最大値であるQMAXとを比較する。演算部30は、この比較の結果に基づいて、後述するステップS202で第3閾値と比較するための第3のインクリメンタル比較値を算出する(ステップS201)。ステップS201では、演算部30は、第2のインクリメンタル比較値がQMAX未満(Q+ΔQ<QMAX)の場合、Q+ΔQを第3のインクリメンタル比較値とする。また、第2のインクリメンタル比較値がQMAX以上(Q+ΔQ≧QMAX)の場合、演算部30は、Qを第3のインクリメンタル比較値とする。
例えば、QMAX=20mmで、ΔQ=10mmの場合において、Q=2mmであれば、Q+ΔQ<QMAXであるので、演算部30は、Q+ΔQ(=12mm)を第3のインクリメンタル比較値とする。また、例えば、QMAX=20mmで、ΔQ=10mmの場合において、Q=12mmであれば、Q+ΔQ≧QMAXであるので、演算部30は、Q(=12mm)を第3のインクリメンタル比較値とする。
演算部30は、ステップS201で算出した第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する(ステップS202)。ここで第3閾値は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する際の関数を選択するために設定される閾値である。第3閾値は、例えば磁石端部から磁石25内の磁場歪みの境界線までの長さの値が設定されてもよい。磁石25内の磁場歪みの境界線とは、磁石25の着磁対が発する磁場強度により変動するため、使用する着磁対に合わせて第3閾値が設定されればよい。また、磁石25内の磁場歪みの境界線は、磁石23内の磁場歪みの境界線と同様に、磁石25の磁場強度分布が正弦波からずれ始める箇所である。
演算部30は、ステップS200で選択した基準ホール素子、およびステップS202での比較の結果に基づいて、下記の式(7)~(9)で示した磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数を選択する(ステップS203)。下記の式(7)~(9)は、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、素子間距離DA、および着磁ピッチDBに基づいて、磁石25の端部位置に対する検出素子の位置を算出するための式である。ステップS203では、演算部30は、ステップS200で選択された基準ホール素子が磁場の歪みを含んで磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13であるか否かを確認する。さらに、演算部30は、ステップS201で算出した第3のインクリメンタル比較値が第3閾値を超えるか否かを確認することで、下記式(7)~(9)の何れかを選択する。式(7)は、基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおらず、且つステップS202での比較で第3のインクリメンタル比較値が第3閾値未満の場合に選択される。式(8)は、基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおらず、且つステップS202での比較で第3のインクリメンタル比較値が第3閾値を超えた場合、または基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおり、且つステップS202での比較で第3のインクリメンタル比較値が第3閾値を超えていない場合に選択される。式(9)は、基準ホール素子が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでおり、且つステップS202での比較で第3のインクリメンタル比較値が第3閾値を超えている場合に選択される。
ホール素子13の位置=Q+DB×((基準検出素子からの離間数+2)×DA/DB)・・・(7)
式(7)において、「(基準検出素子からの離間数+2)×DA/DB」の計算結果は小数点以下を全て切り捨て、整数として扱うものとする。
ホール素子13の位置=Q+DB×((基準検出素子からの離間数+1)×DA/DB)・・・(8)
式(8)において、「(基準検出素子からの離間数+1)×DA/DB」の計算結果は小数点以下を全て切り捨て、整数として扱うものとする。
ホール素子13の位置=Q+DB×((基準検出素子からの離間数)×DA/DB)・・・(9)
式(9)において、「(基準検出素子からの離間数)×DA/DB」の計算結果は小数点以下を全て切り捨て、整数として扱うものとする。
上記の式(7)~(9)において、ホール素子13の位置は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置である。Qは、磁石25の端部位置に対する位置が算出される対象のホール素子13が検出しているインクリメンタル位置の値である。DAは、素子間距離である。DBは、着磁ピッチである。基準検出素子からの離間数は、磁石25の端部位置に対する位置が算出される対象のホール素子13が基準検出素子から数えて何番目かを表している。例えば、図7で示したホール素子13を例にすると、ホール素子E(N)を基準ホール素子(基準検出素子)とした場合、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N+1)の基準検出素子からの離間数は「1」である。同様に、ホール素子E(N-2)の基準検出素子からの離間数は「2」である。磁石25の端部位置に対する位置を算出する対象のホール素子13における基準検出素子からの離間数は、記憶部31に記憶されている各ホール素子13の座標から得ることができる。
演算部30は、ステップS203で選択した上記の式(7)~(9)の何れかを用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する(ステップS204)。具体的には、演算部30は、基準ホール素子としたホール素子13を含む検出素子群12A内のホール素子13のうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13から磁場強度に対応する情報を受信する。演算部30は、受信した磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13の座標と基準ホール素子としたホール素子13の座標を記憶部31から取得する。基準ホール素子としたホール素子13の座標が第1の素子座標であり、ホール素子13のうち第3の検出素子となっているホール素子13の座標が第2の素子座標である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAと着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、各ホール素子13から受信した磁場強度に対応する情報に基づき、各ホール素子13におけるインクリメンタル位置を算出する。なお、演算部30は、磁場強度に対応する情報としてインクリメンタル位置を受信している場合は、インクリメンタル位置の算出を省略することができる。そして、演算部30は、取得したホール素子13の座標に基づいて、各ホール素子13の基準ホール素子からの離間数を算出する。なお、各ホール素子13の基準ホール素子からの離間数は、予め記憶部31に記憶しておくことも可能であり、予め記憶している場合、演算部30は、各ホール素子13の基準ホール素子からの離間数の算出を省略することができる。
演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、素子間距離DA、および着磁ピッチDBに基づき、選択した式(7)~(9)の何れかを用いて算出する。
演算部30は、ステップS204で算出した磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置と、磁石25の移動方向における長さとに基づいて、可動子72と固定子71との位置関係を算出する(ステップS205)。この場合において、演算部30は、磁石25の移動方向における長さとして、記憶部31に磁石長として記憶されている値を取得して使用する。
ここで、図7から図10に戻り、右端位置P2が図7から図10で示した位置に存在する場合について説明する。
まず、図7で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)が検出しているインクリメンタル位置の値を用いて、ホール素子E(N),E(N+1)間に右端境界線D2が存在すると判定する。したがって、基準ホール素子は、ホール素子E(N)およびホール素子E(N+1)の何れかである。以下に基準ホール素子をホール素子E(N)とした場合、および基準ホール素子をホール素子E(N+1)とした場合のそれぞれについて、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bによる可動子72と固定子71との位置関係の算出処理を具体的に説明する。ここでは、ホール素子E(N)が第1の検出素子であり、ホール素子E(N+1)が第2の検出素子であり、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N-2)が第3の検出素子である。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値Q(N)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値は、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図7におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値未満となる。そして、ホール素子E(N)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいない。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(7)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(7)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS204では、基準ホール素子としたホール素子E(N)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「0」であり、ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「2」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAおよび着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(7)を用いて「2+20×((0+2)×10/20)=22」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として12mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(7)を用いて算出するが、「(1+2)×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(7)を用いて「12+20×1=32」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(7)を用いて「2+20×((2+2)×10/20)=42」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に42mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図7で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に42mmの位置を算出する。
続いて、図7で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合において、演算部30が、基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択した場合について説明する。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値Q(N)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値は、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図7におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値未満となる。そして、基準ホール素子としたホール素子E(N+1)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいる。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(8)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(8)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。ステップS204では、演算部30は、基準ホール素子としたホール素子E(N+1)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「2」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「3」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAと着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(8)を用いて「2+20×((1+1)×10/20)=22」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として12mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(8)を用いて算出するが、「(2+1)×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(8)を用いて「12+20×1=32」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(8)を用いて「2+20×((3+1)×10/20)=42」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に42mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図7で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に42mmの位置を算出する。
以上のように、図7で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、ステップS200で選択した基準ホール素子、およびステップS202での比較の結果により、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は異なる。ここでは、磁石25の右端位置P2が同じなので、厳密には選択した基準ホール素子の違いにより、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数が異なることとなる。しかしながら、演算部30は、何れの関数が使用される場合でも、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて算出している。このため、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置として同様の結果を算出することができる。
演算部30は、ステップS205に従い、ステップS204で算出した磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置と磁石25の移動方向における長さとに基づいて、スケール部20Bに対するホール素子13の位置情報を、可動子72と固定子71との位置関係として算出する。
つぎに、図8で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、演算部30は、ホール素子E(N-1),E(N),E(N+1)が検出しているインクリメンタル位置の値を用いて、ホール素子E(N),E(N+1)間に右端境界線D2が存在すると判定する。したがって、基準ホール素子は、ホール素子E(N)およびホール素子E(N+1)の何れかである。以下に基準ホール素子をホール素子E(N)とした場合、および基準ホール素子をホール素子E(N+1)とした場合のそれぞれについて、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bによる可動子72と固定子71との位置関係の算出処理を具体的に説明する。ここでは、ホール素子E(N)が第1の検出素子であり、ホール素子E(N+1)が第2の検出素子であり、ホール素子E(N-1)とホール素子E(N-2)が第3の検出素子である。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値Q(N)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値は、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図8におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値を超える。そして、ホール素子E(N)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいない。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(8)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(8)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS204では、基準ホール素子としたホール素子E(N)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「0」であり、ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「2」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAおよび着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として18mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を式(8)を用いて算出するが、「(0+1)×10/20=0.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(8)を用いて「18+20×0=18」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に18mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として8mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(8)を用いて「8+20×((1+1)×10/20)=28」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に28mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として18mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を式(8)を用いて算出するが、「(2+1)×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(8)を用いて「18+20×1=38」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に38mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図8で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P2から左方向に18mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に28mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に38mmの位置を算出する。
続いて、図8で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合において、演算部30が、基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択した場合について説明する。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値Q(N)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値が、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図8におけるホール素子E(N)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値を超える。そして、基準ホール素子としたホール素子E(N+1)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいる。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(9)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(9)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS204では、基準ホール素子としたホール素子E(N+1)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「2」であり、ホール素子E(N)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「3」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAと着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N)のインクリメンタル位置の値として18mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を式(9)を用いて算出するが、「1×10/20=0.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置を、式(9)を用いて「18+20×0=18」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に18mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として8mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(9)を用いて「8+20×2×10/20=28」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に28mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として18mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を式(9)を用いて算出するが、「3×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(9)を用いて「18+20×1=38」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に38mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図8で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N+1)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N)の位置として、右端位置P2から左方向に18mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に28mmの位置を算出する。また演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に38mmの位置を算出する。
以上のように、図8で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、ステップS200で選択した基準ホール素子、およびステップS202での比較の結果により、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は異なる。ここでは、磁石25の右端位置P2が同じなので、厳密には選択した基準ホール素子の違いにより、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数が異なることとなる。しかしながら、演算部30は、何れの関数を使用する場合でも、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて算出している。このため、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置として同様の結果を算出することができる。
演算部30は、ステップS205に従い、ステップS204で算出した磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置と磁石25の移動方向における長さとに基づいて、スケール部20Bに対するホール素子13の位置情報を、可動子72と固定子71との位置関係として算出する。
さらに、図9で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)が検出しているインクリメンタル位置の値を用いて、ホール素子E(N-1),E(N)間に右端境界線D2が存在すると判定する。したがって、基準ホール素子は、ホール素子E(N-1)およびホール素子E(N)の何れかである。以下に基準ホール素子をホール素子E(N-1)とした場合、および基準ホール素子をホール素子E(N)とした場合のそれぞれについて、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bによる可動子72と固定子71との位置関係の算出処理を具体的に説明する。ここでは、ホール素子E(N-1)が第1の検出素子であり、ホール素子E(N)が第2の検出素子であり、ホール素子E(N-2)とホール素子E(N-3)が第3の検出素子である。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子としてホール素子E(N-1)を選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値Q(N-1)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値は、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図9におけるホール素子E(N-1)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値未満となる。そして、基準ホール素子としたホール素子E(N-1)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいない。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(7)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(7)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS204では、基準ホール素子としたホール素子E(N-1)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「0」であり、ホール素子E(N-3)の基準ホール素子からの離間数は「2」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAと着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(7)を用いて「2+20×((0+2)×10/20)=22」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として12mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(7)を用いて算出するが、「(1+2)×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(7)を用いて「12+20×1=32」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-3)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置を、式(7)を用いて「2+20×((2+2)×10/20)=42」と算出する。
上述のように、演算部30は、図9で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N-1)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置として、右端位置P2から左方向に42mmの位置を算出する。
続いて、演算部30は、図9で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合において、演算部30が、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択した場合について説明する。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値Q(N-1)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値は、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図9におけるホール素子E(N-1)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値未満となる。そして、基準ホール素子としたホール素子E(N)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいる。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(8)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(8)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS204では、基準ホール素子としたホール素子E(N)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「2」であり、ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N-3)の基準ホール素子からの離間数は「3」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAと着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(8)を用いて「2+20×((1+1)×10/20)=22」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として12mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を式(8)を用いて算出するが、「(2+1)×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(8)を用いて「12+20×1=32」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-3)のインクリメンタル位置の値として2mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置を、式(8)を用いて「2+20×((3+1)×10/20)=42」と算出する。
上述のように、演算部30は、図9で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に、基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に22mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に32mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置として、右端位置P2から左方向に42mmの位置を算出する。
以上のように、図9で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、ステップS200で選択した基準ホール素子、およびステップS202での比較の結果により、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は異なる。ここでは、磁石25の右端位置P2が同じなので、厳密には選択した基準ホール素子の違いにより、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数が異なることとなる。しかしながら、演算部30は、何れの関数を使用する場合でも、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて算出している。このため、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置として同様の結果を算出することができる。
演算部30は、ステップS205に従い、ステップS204で算出した磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置と磁石25の移動方向における長さとに基づいて、スケール部20Bに対するホール素子13の位置情報を、可動子72と固定子71との位置関係として算出する。
また、図10で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、演算部30は、ホール素子E(N-2),E(N-1),E(N)が検出しているインクリメンタル位置の値を用いて、ホール素子E(N-1),E(N)間に右端境界線D2が存在すると判定する。したがって、基準ホール素子は、ホール素子E(N-1)およびホール素子E(N)の何れかである。以下に基準ホール素子をホール素子E(N-1)とした場合、および基準ホール素子をホール素子E(N)とした場合のそれぞれについて、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bによる可動子72と固定子71との位置関係の算出処理を具体的に説明する。ここでは、ホール素子E(N-1)が第1の検出素子であり、ホール素子E(N)が第2の検出素子であり、ホール素子E(N-2)とホール素子E(N-3)が第3の検出素子である。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子としてホール素子E(N-1)を選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値Q(N-1)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値は、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図10におけるホール素子E(N-1)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値を超える。そして、基準ホール素子としたホール素子E(N-1)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいない。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(8)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(8)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS204では、基準ホール素子としたホール素子E(N-1)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「0」であり、ホール素子E(N-3)の基準ホール素子からの離間数は「2」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAと着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として19mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を式(8)を用いて算出するが、「(0+1)×10/20=0.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(8)を用いて「19+20×0=19」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に19mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として9mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(8)を用いて「9+20×((1+1)×10/20)=29」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に29mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-3)のインクリメンタル位置の値として19mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置を式(8)を用いて算出するが、「(2+1)×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置を、式(8)を用いて「19+20×1=39」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-3)の位置として、右端位置P2から左方向に39mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図10で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N-1)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に19mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に29mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置として、右端位置P2から左方向に39mmの位置を算出する。
続いて、図10で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合において、演算部30が、ホール素子E(N)を基準ホール素子として選択した場合について説明する。
演算部30は、ステップS200において、基準ホール素子をホール素子E(N)と選択した場合、ステップS201に従ってホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値Q(N-1)および補正値ΔQを用いて第3のインクリメンタル比較値を算出する。そして、演算部30は、ステップS202に従って第3のインクリメンタル比較値と第3閾値とを比較する。実施の形態2では、第3閾値は、磁石25の右端位置P2から磁石25内の磁場歪みの境界線(右端境界線D2)までの長さの値で設定されており、図10におけるホール素子E(N-1)で検出されるインクリメンタル位置を用いた第3のインクリメンタル比較値は第3閾値を超える。そして、基準ホール素子としたホール素子E(N)は、検出しているインクリメンタル位置の値に磁場歪みを含んでいる。したがって、演算部30は、ステップS203に従い式(9)を選択する。
演算部30は、ステップS204に従い、式(9)を用いて磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する。演算部30は、ステップS204では、基準ホール素子としたホール素子E(N)を含む検出素子群12Aのうち、磁場強度に対応する情報を検出しているホール素子13それぞれの磁石25の端部位置に対する位置を算出するが、ここでは、3つのホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)に対する算出について具体例をあげて説明する。なお、ここでの説明は、素子間距離DAが10mmで、着磁ピッチDBが20mmである場合を例として説明する。
演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれのインクリメンタル位置の値を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)の座標を記憶部31から取得し、ホール素子E(N-3),E(N-2),E(N-1)それぞれの基準ホール素子からの離間数を算出する。ホール素子E(N-2)の基準ホール素子からの離間数は「2」であり、ホール素子E(N-1)の基準ホール素子からの離間数は「1」であり、ホール素子E(N-3)の基準ホール素子からの離間数は「3」である。さらに、演算部30は、記憶部31から素子間距離DAと着磁ピッチDBを取得する。
演算部30は、ホール素子E(N-1)のインクリメンタル位置の値として19mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を式(9)を用いて算出するが、「1×10/20=0.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置を、式(9)を用いて「19+20×0=19」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-1)の位置として、磁石25の端部位置である右端位置P2から左方向に19mmの位置を算出する。演算部30は、ホール素子E(N-2)のインクリメンタル位置の値として9mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置を、式(9)を用いて「9+20×(2×10/20)=29」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に29mmの位置を算出する。そして、演算部30は、ホール素子E(N-3)のインクリメンタル位置の値として19mmを算出した場合、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置を式(9)を用いて算出するが、「3×10/20=1.5」であるため、小数点以下を切り捨てて算出する。つまり、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置を、式(9)を用いて「19+20×1=39」のように算出する。これにより、演算部30は、ホール素子E(N-3)の位置として、右端位置P2から左方向に39mmの位置を算出する。
上述のように、演算部30は、図10で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に基準ホール素子としてホール素子E(N)を選択すると、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-1)の位置として、右端位置P2から左方向に19mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-2)の位置として、右端位置P2から左方向に29mmの位置を算出する。また、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子E(N-3)の位置として、右端位置P2から左方向に39mmの位置を算出する。
以上のように、図10で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合、ステップS200で選択した基準ホール素子、およびステップS202での比較の結果により、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は異なる。ここでは、磁石25の右端位置P2が同じなので、厳密には選択した基準ホール素子の違いにより、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数が異なることとなる。しかしながら、演算部30は、何れの関数を使用する場合でも、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、および着磁ピッチDBに基づいて算出している。このため、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置として同様の結果を算出することができる。
演算部30は、ステップS205に従い、ステップS204で算出した磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置と磁石25の移動方向における長さとに基づいて、スケール部20Bに対するホール素子13の位置情報を、可動子72と固定子71との位置関係として算出する。
以上のように、図7から図10で示した位置に磁石25の右端位置P2が存在する場合に、ステップS200で選択した基準ホール素子、およびステップS202での比較の結果により、使用される磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数は異なる。しかしながら、演算部30は、何れの関数を使用する場合でも、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を、対象とするホール素子13のインクリメンタル位置の値、基準ホール素子からの離間数、素子間距離DA、および着磁ピッチDBに基づいて算出している。このため、演算部30は、磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置として同様の結果を算出することができる。
このように絶対位置検出装置1Bは、素子間距離DAと着磁ピッチDBとの関係に応じたΔQを用いてインクリメンタル位置の値を補正し、補正後のインクリメンタル位置の値に基づいて、インクリメンタル差を算出し、ホール素子13間に磁石内の磁場歪みの境界線が位置しているか否かを判定している。したがって、絶対位置検出装置1Bは、絶対位置検出装置1Aと同様の効果を得ることができる。
また、絶対位置検出装置1Bは、絶対位置検出装置1Aよりも少ないN極磁石24NおよびS極磁石24Sでスケール部20Bの絶対位置を検出できる。
実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bは、可動子72と固定子71との位置関係を算出する処理では、ステップS200において基準ホール素子を選択していたが、予め基準ホール素子とするホール素子13が決められている場合は、ステップS200を省略してもよい。例えば、絶対位置検出装置1Bは、磁石25内の磁場歪みの境界線または磁石25の端部位置が間に存在すると判定された2つのホール素子13のうち、ホール素子13が検出しているインクリメンタル位置の値が磁場の歪みを含んでいないホール素子13を基準ホール素子に設定してもよい。
また、実施の形態2にかかる絶対位置検出装置1Bは、可動子72と固定子71との位置関係を算出する処理では、ステップS200~S203の処理によって磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数を選択していたが、予め基準ホール素子と磁石25の端部位置に対するホール素子13の位置を算出する関数とを決めておいてもよい。この場合、絶対位置検出装置1Bは、ステップS200~S203の処理を省略することができる。
実施の形態3.
つぎに、図13および図14を用いて実施の形態3について説明する。実施の形態3では、ホール素子13の代わりに受発光素子を用い、磁石23の代わりに反射板を用いて、インクリメンタル位置などの位置情報を取得する。
図13は、実施の形態3にかかる絶対位置検出装置の構成を示す図である。図13の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1の絶対位置検出装置1Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
絶対位置検出装置1Cは、絶対位置検出装置1A,1Bと同様に、可動子72および固定子71を備えた移動機構に接合される。すなわち、実施の形態3の絶対位置検出システムは、絶対位置検出装置1Cと、移動機構とを有している。
絶対位置検出装置1Cは、絶対位置検出装置1Aと比較して、スケール部20Aの代わりにスケール部20Cを備え、センサ部10の代わりにセンサ部50を備えている。
センサ部50は、センサ部10と比較して、検出素子群12Aの代わりに検出素子群12Bを有している。検出素子群12Bは、ホール素子13の代わりに受発光素子14を有している。受発光素子14は、受光素子および発光素子を備えた素子であり、レーザ光などの光の発光と受光とを行う。なお、受光素子と発光素子とは別々に構成されてもよい。
スケール部20Cは、スケール部20Aと比較して、磁石23の代わりに反射板27を有している。反射板27の上面および底面は、磁石23の上面および底面と同様の大きさを有している。実施の形態3では、説明の便宜上、反射板27のx方向の最端部まで後述する反射部41および透過部42が形成されている場合について説明する。したがって、反射板27のx方向の最端部は、磁石23のx方向の最端部に対応している。また、反射板27のうち反射部41および透過部42が形成されている箇所が、位置検出に用いられる第1の部材である。
検出素子群12Bは、検出素子群12Aと同様の位置に配置される。したがって、プリント基板11上で隣接する検出素子群12Bと検出素子群12Bとの間の間隔は、スケール部20Cが備える反射板27のx方向の幅以下である。
図14は、実施の形態3にかかる絶対位置検出装置が備える反射板の構成を示す図である。反射板27は、反射部41と透過部42とを有している。反射板27では、反射部41と透過部42とがx方向に交互に複数ずつ並べて配置されている。すなわち、反射板27は、反射部41と透過部42とのペアを複数ペア有している。つまり、反射部41と透過部42とは、互いに異なる出力を行うための出力対である。反射板27は、互いに異なる出力を行うための出力対を異なる出力が交互になるように配置されている。
反射板27のx方向の長さである反射板長は既知であるものとする。記憶部31は、反射板長を記憶しておく。実施の形態3では、反射板27のうち反射部41および透過部42が形成されている領域のx方向の寸法が、反射板長である。
反射板27は、4種類の反射部41および4種類の透過部42を有している。x方向に並ぶ各段では、反射部41のx方向の寸法と、透過部42のx方向の寸法とは同じである。例えば、x方向に並ぶ第1段目の反射部41のx方向の寸法と、透過部42のx方向の寸法とは同じである。
x方向に並ぶ第1段目の反射部41および透過部42のx方向の各寸法を寸法Lxとすると、x方向に並ぶ第2段目の反射部41および透過部42のx方向の各寸法は、2Lxである。また、x方向に並ぶ第3段目の反射部41および透過部42のx方向の各寸法を寸法は、3Lxであり、x方向に並ぶ第4段目の反射部41および透過部42のx方向の各寸法は、4Lxである。例えば、寸法Lxが、着磁ピッチDBに対応している。なお、反射板27は、3種類以下の反射部41および透過部42を有していてもよいし、5種類以上の反射部41および透過部42を有していてもよい。
反射板27における1つの反射部41と、この1つの反射部41にx方向で隣接する透過部42との組み合わせが、磁石23の着磁対に対応している。換言すると、x方向に隣接して配置された透過部42と反射部41との組み合わせが、N極磁石22NとS極磁石22Sとの組み合わせに対応している。したがって、x方向に隣接して配置された1つの透過部42と1つの反射部41とのx方向の合計寸法が、着磁ピッチDBに対応している。
反射板27は、受発光素子14からの光を反射部41で反射し透過部42で透過させることによって、反射板27のプリント基板11上での位置に対応する情報を受発光素子14に送ることができる。すなわち、実施の形態3では、反射板27で反射される光が、反射板27の位置に対応する情報である位置対応情報である。演算部30は、受発光素子14から位置対応情報である光の情報を取得することで、反射板27のプリント基板11上での位置に対応するインクリメンタル位置を生成できる。
ただし、反射板27は、反射板27の端部に近い部分に配置された反射部41および透過部42のx方向の幅が、中央部に配置された反射部41および透過部42のx方向の幅よりも大きくなるように反射部41および透過部42が構成されている。すなわち、反射板27の端部に近い部分に配置された反射部41および透過部42は、中央部に配置された反射部41および透過部42と比較して、x方向の幅が歪められている。この歪みは、磁石端部におけるインクリメンタル位置の歪みに対応している。
このような構成により、受発光素子14は、磁場強度に対応する情報の代わりに光強度に対応する情報を検出し、検出した情報を演算部30に送る。光強度に対応する情報の例は、光強度に対応する電圧値などである。
演算部30は、受発光素子14からの光強度に対応する情報に基づいて、受発光素子14のスケール部20Cに対する受発光素子14の位置情報を算出する。すなわち、演算部30は、光強度に対応する電圧値などの情報を受け付けると、この情報に基づいて光強度(信号強度)を算出し、光強度に基づいてインクリメンタル位置を算出する。
なお、受発光素子14が光強度を検出してもよい。この場合、演算部30は、光強度を算出することなく、各受発光素子14から光強度を取得する。また、受発光素子14がインクリメンタル位置を検出してもよい。この場合、演算部30は、インクリメンタル位置を算出することなく、各受発光素子14からインクリメンタル位置を取得する。
実施の形態3の演算部30は、実施の形態1,2の演算部30と同様の判定方法によって右端位置P1,P2または左端位置を判定する。例えば、演算部30は、隣接する受発光素子14間のインクリメンタル位置の値または光強度を比較し、インクリメンタル位置の値または光強度の差が特定値以上であるか否かに基づいて、反射板27の端部が何れの受発光素子14間に位置しているかを判定する。そして、演算部30は、反射板27の右端位置P1,P2または左端位置である反射板27の端部位置に対する受発光素子14の位置と、反射板長とを用いてスケール部20Cに対する受発光素子14の位置情報を算出する。
演算部30は、実施の形態2のようにインクリメンタル差を補正する場合、x方向に隣接して配置された1つの透過部42と1つの反射部41とのx方向の合計寸法と、素子間距離DAとの関係に応じたΔQの補正値だけ、インクリメンタル差を補正する。演算部30は、補正後のインクリメンタル差に基づいて、受発光素子14間に反射板27の端部が位置しているか否かを判定する。
このように実施の形態3によれば、絶対位置検出装置1Cは、受発光素子14間のインクリメンタル差に基づいて、スケール部20Cの絶対位置を検出するので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
ここで、情報処理装置3のハードウェア構成について説明する。なお、実施の形態1から3の情報処理装置3は、同様のハードウェア構成を有しているので、ここでは実施の形態1の情報処理装置3のハードウェア構成について説明する。
図15は、実施の形態1にかかる情報処理装置を実現するハードウェア構成例を示す図である。情報処理装置3は、入力装置94、プロセッサ91、メモリ92、および出力装置93により実現することができる。プロセッサ91の例は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ92の例は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)である。プロセッサ91による情報処理が、演算部30による情報処理に対応している。
情報処理装置3は、プロセッサ91が、メモリ92で記憶されている情報処理装置3の動作を実行するための、コンピュータで実行可能な、コンピュータプログラムを読み出して実行することにより実現される。情報処理装置3の動作を実行するためのプログラムであるコンピュータプログラムは、情報処理装置3の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
情報処理装置3で実行されるコンピュータプログラムは、演算部30を含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。
入力装置94は、ホール素子13から送られてくる情報を受け付けてプロセッサ91に送る。メモリ92は、第1閾値、第2閾値、磁石長、群間距離DC、素子間距離DA、着磁ピッチDB、ホール素子13の座標である素子座標などを記憶する。また、メモリ92は、プロセッサ91が各種処理を実行する際の一時メモリに使用される。出力装置93は、演算部30が算出したスケール部20Aに対するホール素子13の位置情報を表示装置などに出力する。
コンピュータプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、コンピュータプログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で情報処理装置3に提供されてもよい。なお、情報処理装置3の機能について、一部を専用回路などの専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。