JP7162416B2 - 断熱容器 - Google Patents

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Description

本開示は、断熱容器に関する。
真空断熱材は、芯材および外装材を有しており、外装材により構成された袋の内部は、芯材が配置されているとともに、大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている。袋の内部の熱対流が抑制されるため、真空断熱材は、良好な断熱性を発揮することができる。真空断熱材は、単位厚みあたりの断熱性が一般的な発泡断熱材よりも高いので、所望の断熱性を確保しつつ、断熱材の厚みを薄くすることができる。したがって、真空断熱材を断熱容器に用いることによって、例えば、断熱容器の省スペース化や軽量化を図ることが可能になる。
組立状態と分解状態とを変更可能な断熱容器は、使用しないときに組立状態の断熱容器を分解状態にすることによって、小型化を図ることが可能である。真空断熱材を用いた断熱容器であって、さらに、組立状態と分解状態とを変更可能な断熱容器が、例えば特許文献1~3に開示されている。
特開2006-123914号公報 特開2008-68871号公報 特開2015-199527号公報
本開示は、使用時の断熱性が良く、不使用時に小型化することができる断熱容器を提供することを主目的とする。
本開示においては、組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器であって、上記断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、ならびに右面断熱パネル、背面断熱パネル、左面断熱パネル、および正面断熱パネルを有する複数の側面断熱パネルを有し、上記組立状態は、上記天面断熱パネル、上記底面断熱パネル、および上記複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態であり、上記分解状態は、上記断熱空間が形成されていない状態であり、上記天面断熱パネル、上記底面断熱パネル、および上記複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、上記真空断熱材を含む真空断熱部材を有し、上記組立状態において、換気回数が0.1回/hr以下である、断熱容器を提供する。
本開示においては、組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器であって、上記断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、ならびに右面断熱パネル、背面断熱パネル、左面断熱パネル、および正面断熱パネルを有する複数の側面断熱パネルを有し、上記組立状態は、上記天面断熱パネル、上記底面断熱パネル、および上記複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態であり、上記分解状態は、上記断熱空間が形成されていない状態であり、上記天面断熱パネル、上記底面断熱パネル、および上記複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、上記真空断熱材を含む真空断熱部材を有し、上記組立状態において、換気回数が、上記換気回数の常用対数における保冷時間の変化率が-1となる値以下である、断熱容器を提供する。
本開示の断熱容器は、使用時の断熱性が良く、不使用時に小型化することができるという効果を奏する。
本開示の断熱容器を例示する概略斜視図である。 二つの側面断熱パネルの接合部分を説明する模式図である。 本開示における真空断熱材を例示する概略断面図である。 本開示における真空断熱部材を例示する概略断面図である。 本開示における真空断熱パネルを例示する概略断面図である。 本開示における真空断熱部材を例示する概略断面図である。 二つの真空断熱パネルの接合部分を説明する模式図である。 本開示の断熱容器を例示する概略斜視図である。 本開示の分解状態の断熱容器を例示する概略斜視図である。 本開示の断熱容器を例示する概略斜視図である。 本開示の断熱容器を例示する概略斜視図である。 本開示の断熱容器を例示する概略斜視図である。 シミュレーションによる保冷時間と換気回数との関係を示すグラフである。 シミュレーションによる保冷時間と換気回数との関係を示すグラフである。 シミュレーションによる換気回数の常用対数における保冷時間の変化率を示すグラフである。 シミュレーションによる換気回数の常用対数における保冷時間の変化率を示すグラフである。
A.本開示の断熱容器
以下、図面等を参照して、本開示の断熱容器について説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
図1は、本開示の断熱容器を例示する概略斜視図である。図1に示す断熱容器100は、天面断熱パネル160、底面断熱パネル170、複数の側面断熱パネル110、および、爪孔501を有するパレット500を備える。複数の側面断熱パネル110は、右面断熱パネル120、左面断熱パネル130、背面断熱パネル140、および正面断熱パネル150である。天面断熱パネル160、底面断熱パネル170、および複数の側面断熱パネル110は、真空断熱材を含む真空断熱部材を有する真空断熱パネルである。また、右面断熱パネル120および左面断熱パネル130は、縦枠310および横枠320を備えている。縦枠310および横枠320により枠の全体が構成されている。図示しないが、背面断熱パネル140および正面断熱パネル150も同様に、縦枠310および横枠320を備えている。
また、正面断熱パネル150および天面断熱パネル160は、部分的に開閉可能な構造であり、図1では部分的に開いた状態を示している。断熱容器100は、正面断熱パネル150および天面断熱パネル160を閉じた状態にすることによって、四角柱構造の組立状態になり、天面断熱パネル160、底面断熱パネル170、および複数の側面断熱パネル110に囲まれた断熱空間をその容器内部に形成することが可能である。また、図1に示す断熱容器100は、組立状態において、換気回数が特定の値以下である。
なお、図1に示す断熱容器100は、天面断熱パネル160、底面断熱パネル170、右面断熱パネル120、左面断熱パネル130、背面断熱パネル140、および正面断熱パネル150の6つの断熱パネルが、真空断熱材を含む真空断熱部材を有する真空断熱パネルである。しかし、本開示の断熱容器では、断熱容器の断熱性能と断熱容器の利便性との両立を図る観点より、断熱パネルの全てが真空断熱パネルでなくてもよく、天面断熱パネル、底面断熱パネルおよび複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つが真空断熱パネルであればよい。具体的には、荷物の重量により真空断熱材が破損する危険性を防ぐために、底面断熱パネルが真空断熱材を含まないようにしてもよく、その場合は、例えば、天面断熱パネル、右面断熱パネル、左面断熱パネル、背面断熱パネル、および正面断熱パネルの5つの断熱パネルが、真空断熱パネルであってもよい。また、開閉により真空断熱材が破損する危険性を防ぐために、開閉可能な構造を有する断熱パネルが真空断熱材を含まないようにしてもよく、その場合は、例えば、底面断熱パネル、右面断熱パネル、左面断熱パネル、および背面断熱パネルの4つの断熱パネルが、真空断熱パネルであり、天面断熱パネルおよび正面断熱パネルが、開閉可能な構造を有し、真空断熱材を含まない断熱パネルであってもよい。
本開示によれば、組立状態と分解状態とを変更可能であり、真空断熱材を用いており、かつ、換気回数が特定の値以下であることから、使用時の断熱性が良く、不使用時に小型化することができる断熱容器とすることができる。以下で詳しく説明する。
組立状態と分解状態とを変更可能な断熱容器の断熱材として真空断熱材を用いた場合、真空断熱材に特有の性質に起因して、断熱容器の気密性が低下しやすいという問題が生じる。この点について、図2を例示して説明する。図2は、二つの側面断熱パネルの接合部分を説明する模式図であり、例えば、図1における天面断熱パネル160側から、背面断熱パネル140および右面断熱パネル120の接合部分を見た図面に相当する。
図2に示す二つの側面断熱パネル110X、110Yは、それぞれ、断熱部材110Aと、接着層334と、保護部材110Bとこの順を有する。さらに、各々の断熱部材110Aは、第一断熱材331として真空断熱材と、第二断熱材332として例えば発泡断熱材とを有する。また、二つの側面断熱パネル110X、110Yは、各々の保護部材110Bが縦枠310と嵌合することにより接合しており、各々の断熱部材110Aが、領域Xにおいて接触している。
第一断熱材331として用いる真空断熱材は、単位厚みあたりの断熱性が、一般的な発泡断熱材に比べて約5倍~約10倍も高いため、断熱材の厚みを大幅に薄くしても、所望の断熱性が得られるという性質がある。しかしながら、断熱材の厚みを大幅に薄くした場合、図2の領域Xにおいて、側面断熱パネル110Xの端面と、側面断熱パネル110Yの主面との接触面積も大幅に小さくなり、結果として、断熱容器の気密性が低下しやすくなる。
また、第一断熱材331として用いる真空断熱材は、内部を大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持する必要があるため、加工性が低いという性質がある。また、例えば発泡断熱材では、発泡断熱材の一部が破損した場合であっても、断熱性の低下は破損した一部に限定されるが、真空断熱材では、真空断熱材の一部が破損すると、その真空断熱材全体の断熱性が低下することになる。このように、真空断熱材は、破損時の性能劣化が大きいという性質がある。そのため、加工性向上および破損防止の観点から、図2に示すように、第一断熱材(真空断熱材)331とともに、第二断熱材(発泡断熱材)332を用いる場合がある。しかしながら、複数の断熱材を積層すると、図2の領域Xにおいて、第一断熱材(真空断熱材)331の端面と、第二断熱材(発泡断熱材)332の主面との接触面、および、第二断熱材(発泡断熱材)332の端面と、第二断熱材(発泡断熱材)332の主面との接触面という二つの接触面が生じ、結果として、断熱容器の気密性が低下しやすくなる。
このように、組立状態と分解状態とを変更可能な断熱容器の断熱材として真空断熱材を用いた場合、真空断熱材に特有の性質(厚みが薄く、加工性が低く、破損時の性能劣化が大きい性質)に起因して、断熱容器の気密性が低下しやすくなる。そのため、組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器では、気密性の管理が重要になる。しかしながら、組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器において、断熱容器の気密性が、断熱容器全体の断熱性に対して、どの程度の影響を与えるかに関する知見は、従来知られていなかった。本開示においては、気密性(換気回数)と、保冷時間との関係を詳細に検討したところ、換気回数を所定の値以下に設定することで、気密性に起因する断熱容器の断熱性の低下を抑制することができることを見い出した。
また、上述した気密性の管理という技術的思想は、組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器に特有の課題と密接に関連している。例えば、分解する必要がない断熱容器の場合、そもそも分解可能な接合部を形成する必要がないため、真空断熱材を用いた場合であっても、分解に起因する気密性の問題は生じない。一方、組立状態と分解状態とを変更可能な断熱容器であっても、真空断熱材を用いず、一般的な発泡断熱材を用いた断熱容器の場合、一般的な発泡断熱材は十分に厚く、真空断熱材に比べて加工性も高いため、断熱材に起因する気密性の問題は生じにくい。また、一般的な発泡断熱材を用いた断熱容器の場合、断熱材の性能が真空断熱材よりも低いので、断熱性を向上させるためには、断熱材の性能を向上させる方がより適切な場合も多い。しかし、真空断熱材を用いた断熱容器の場合、断熱材の性能は十分に優れているので、気密性を管理して断熱性を向上させることが重要である。このように、気密性の管理という技術的思想は、組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器に特有の課題と密接に関連している。
以下、本開示の断熱容器について、さらに詳しく説明する。
1.換気回数
本開示の断熱容器の換気回数は、組立状態において、0.1回/hr以下であることが好ましい。換気回数が0.1回/hr以下である場合、断熱パネルどうしの接合部等の隙間を通る熱の移動が保冷時間に与える影響は、断熱パネルを通る熱の移動が保冷時間に与える影響に比べて十分に少なく、保冷時間が安定するためである。言い換えると、換気回数が0.1回/hr以下であることが、組立状態と分解状態とを変更可能であることによる気密性の低下に起因する断熱容器の断熱性の低下を抑制し、真空断熱材を用いた断熱容器の断熱性能を十分に発揮するうえで重要である。換気回数は、以下のように求める。
すなわち、断熱容器の換気回数(回/hr)は、JIS A 1406:1974(屋内換気量測定方法(炭酸ガス法))に準拠して、1時間あたりの換気量(給気量ともいう、m/hr)を測定し、換気量Qを断熱容器の内容積で除することで求める。換気量は、断熱容器内に、ガスボンベまたは気化ドライアイスを使用して炭酸ガスを放出し、炭酸ガス濃度を測定し、上記JIS規格の3.1に記載された(1)式(Seidelの式)により求める。炭酸ガス濃度は、上記JIS規格の2.1(5)に記載された赤外線ガス分析計法を用い、測定点は断熱容器内において高さが異なる3点~5点とし、各測定点での平均値を炭酸ガス濃度とする。また、上記JIS規格の2.2に記載に基づき、最初の炭酸ガス濃度測定時に、濃度分布が均一となるように、小型の扇風機を用いて断熱容器内の雰囲気を撹拌する。「濃度分布が均一」とは、各測定点に炭酸ガス濃度が、平均値に対して±10%以内である状態をいい、この状態が得られるように、断熱容器内の雰囲気を撹拌する。また、最初の測定時における炭酸ガス濃度は、5000ppm以上10000ppm以下となるように調整する。さらに、換気量の測定は、断熱容器内外での温度差なし、かつ、無風状態で行う。なお、換気量の測定は、複数回(例えば5回以上10回以下)行い、平均値として求めることが好ましい。
また、本開示の断熱容器の換気回数は、組立状態において、上記換気回数の常用対数における保冷時間の変化率が-1となる値以下であることが好ましい。換気回数が、換気回数の常用対数における保冷時間の変化率が-1となる値以下である場合、断熱パネルの断熱性能を十分に発揮させることができるためである。言い換えると、換気回数の常用対数における保冷時間の変化率が-1となる値以下の換気回数であることが、真空断熱材を用いた断熱容器の断熱性能を十分に発揮するうえで重要である。換気回数の常用対数における保冷時間の変化率については、以下のように求める。
すなわち、保冷時間は、後述の「B.シミュレーション」の項に記載するように、求めることができる。一方、開閉可能な構造を有する断熱パネルを用いた場合には、開閉の程度を意図的な非正規状態に調整することによって、換気回数を実験的に調整可能である。開閉可能な構造を有する断熱パネルを用いていない場合であっても、例えば内部が空洞のパイプを断熱パネルどうしの接合部に挟む等の方法で断熱パネルどうしの接合の程度を意図的な非正規状態に調整することによって、換気回数を実験的に調整可能である。そこで、実験的に調整した複数の換気回数に対して、都度、保冷時間を求めることで、換気回数および保冷時間の関係が得られる。複数の換気回数の測定は、例えば、換気回数が0.01回/hr以上で1回/hr以下の範囲において常用対数軸で概ね偏りなく行うことが好ましく、複数の換気回数の測定点は、例えば5点以上であり、10点以上であってもよい。
換気回数および保冷時間の関係が得られた後に、換気回数の常用対数における保冷時間の変化率を求める。例えば、換気回数が横軸の対数軸にプロットされ、保冷時間が縦軸の普通の軸にプロットされた片対数グラフを作成し、その片対数グラフにおける傾きを求める。
一方、本開示の断熱容器の換気回数は、組立状態において、0.02回/hr以上であることが好ましい。0.02回/hr以上の換気回数を許容することによって、断熱パネルどうしの接合部を接合や取外がしやすい構造としたり、断熱パネルを開閉可能な構造としたりすることが容易になるためである。
2.断熱容器の構成
本開示の断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルを有する。さらに、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、真空断熱材を含む真空断熱部材を有する真空断熱パネルである。真空断熱パネルの数を増やすことによって、断熱容器の断熱性能が向上する。真空断熱パネルの数を減らすことによって、真空断熱材が破損して断熱容器の断熱性能が急激に低下する危険性を低減できる。
なお、真空断熱パネル以外の断熱パネルとしては、例えば、真空断熱材を含まずに、多孔質断熱材および繊維断熱材の少なくとも一方を含む断熱部材を有する断熱パネルが挙げられる。なお、多孔質断熱材や繊維断熱材は、多孔質構造や繊維構造による多数の空隙を大気圧状態である内部に有する断熱材である。本開示の断熱容器では、真空断熱パネル以外の断熱パネルの熱貫流率は、例えば3W/mK以下とすることができ、2W/mK以下であってもよい。
(1)真空断熱パネル
真空断熱パネルは、真空断熱材を含む真空断熱部材を有する断熱パネルである。真空断熱部材は、断熱材として、真空断熱材のみを有する部材であってもよく、真空断熱材と、その他の断熱材とを有する部材であってもよい。本開示においては、真空断熱材を第一断熱材と称し、真空断熱材以外の断熱材を第二断熱材と称する場合がある。
(i)真空断熱材
本開示における真空断熱材は、芯材と、芯材を包む外装材とを有する。図3は、本開示における真空断熱材を例示する概略断面図である。図3(a)に示すように、真空断熱材である第一断熱材331は、芯材331aと、ガスバリア性を有する外装材331bとを有する。外装材331bの内部は減圧状態である。図3(b)は、真空断熱材の他の一例である。図3(a)では、真空断熱材である第一断熱材331の内部の両端に空隙が形成されているが、図3(b)では、空隙が形成されていない。空隙は、第一断熱材331の製造方法の違いにより形成されたり形成されなかったりする。
芯材としては、例えば、粉体、多孔質体、繊維体等を用いることができる。上記粉体は、無機系粉体であってもよく、有機系粉体であってもよく、具体的には、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等が挙げられる。上記多孔質体としては、例えば、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等が挙げられる。上記繊維体としては、無機繊維でも有機繊維でもよく、無機繊維としては、例えば、グラスウール、グラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等が挙げられる。
外装材は、芯材の外周を覆う部材であり、例えば、芯材側から熱溶着層、ガスバリア層をこの順に有する可撓性シートが挙げられる。ガスバリア層としては、金属箔、樹脂シートの片面に蒸着層を有する蒸着シート等が挙げられる。金属箔としては、例えばアルミニウムが挙げられる。蒸着層としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物が挙げられる。樹脂シートとしては、公知の樹脂シートを用いることができる。
外装材の酸素透過度は、例えば0.5cc・m-2・day-1以下であってもよく、0.1cc・m-2・day-1以下であってもよい。また、外装材の水蒸気透過度は、例えば0.2cc・m-2・day-1以下であってもよく、0.1cc・m-2・day-1以下であってもよい。真空断熱材の内部真空度は、例えば5Pa以下であってもよい。真空断熱材の初期熱伝導率は、例えば25℃環境下で15mW・m-1・K-1以下であり、10mW・m-1・K-1以下であってもよく、5mW・m-1・K-1以下であってもよい。
(ii)真空断熱部材
本開示における真空断熱部材は、断熱材として、真空断熱材(第一断熱材)のみを有する部材であってもよく、真空断熱材(第一断熱材)と、その他の断熱材(第二断熱材)とを有する部材であってもよい。上述したように、真空断熱材(第一断熱材)は、破損時の性能劣化が大きいが、その他の断熱材(第二断熱材)とともに用いることで、真空断熱材(第一断熱材)の破損時の断熱パネルの断熱性の低下を抑制できる。
図4は、本開示における真空断熱部材を例示する概略断面図である。図4(a)に示すように、真空断熱部材350Aは、真空断熱材である第一断熱材331と、第一断熱材331の一方の主面側に位置する第二断熱材332とを有していてもよい。例えば、第一断熱材331を金型にセットし、その後、射出成型で第一断熱材331および第二断熱材332を一体的に成形することができる。一方、図示しないが、第一断熱材331および第二断熱材332の間に、両者を接着する接着層を有していてもよい。
第二断熱材としては、発泡断熱材等の多孔質断熱材や、繊維断熱材が挙げられる。多孔質断熱材や繊維断熱材としては、例えば、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリフェノール等の発泡プラスチック系断熱材、グラスウール、グラスファイバー、ロックウール、セルロースファイバー、インシュレーションボード等の繊維系断熱材、羊毛、炭化コルク等の天然素材系断熱材等が挙げられる。
また、図4(a)に示す真空断熱部材350Aは、第一断熱材331の端面に第二断熱材332を有しないが、図4(b)に示すように、真空断熱部材350Aは、第一断熱材331の両端面を覆うように第二断熱材332を有していてもよい。なお、図示しないが、第一断熱材331の一方の端面のみが、第二断熱材332で覆われていてもよい。また、第一断熱材331の端面の一部が、第二断熱材332で覆われていてもよく、第一断熱材331の端面の全部が、第二断熱材332で覆われていてもよい。
また、図4(a)に示す真空断熱部材350Aは、第一断熱材331の一方の主面側のみに第二断熱材332を有するが、第一断熱材331の両主面側に第二断熱材332を有していてもよい。さらに、図4(c)に示すように、真空断熱部材350Aは、第一断熱材331の全周を覆うように第二断熱材332を有していてもよい。
さらに、本開示における真空断熱部材は、第一断熱材の全周を覆うように、遮熱シートを有していてもよい。例えば、図4(d)に示すように、真空断熱部材350Aは、第一断熱材331および第二断熱材332の全周を覆うように遮熱シート333を有していてもよい。この場合、第一断熱材331の周囲の一部は、第二断熱材332を介して、遮熱シート333で覆われている。
遮熱シートとしては、例えば、金属箔を含む多層シート、樹脂シートの片面に蒸着層を有する蒸着シートが挙げられる。金属箔の種類および蒸着シートの種類については、上述した内容と同様である。遮熱シートを設けることで、断熱部材の断熱性はさらに向上する。さらに、後述するように、断熱容器の気密性の向上を図ることができる。
(iii)保護部材
本開示における真空断熱パネルは、上述した真空断熱部材を少なくとも有する断熱パネルであり、真空断熱部材を保護する保護部材をさらに有していてもよい。図5は、本開示における真空断熱パネルを例示する概略断面図である。図5(a)に示すように、真空断熱パネル350は、真空断熱部材350Aと、接着層334と、保護部材350Bとこの順を有していてもよい。図5(a)に示す真空断熱パネル350は、第一断熱材331の一方の主面側に第二断熱部材332を有し、第一断熱材331の他方の主面側に保護部材350Bを有する。一方、図5(b)に示すように、真空断熱パネル350は、真空断熱部材350Aの全周を覆うように保護部材350Bを有していてもよい。なお、図示しないが、真空断熱パネルは、例えば図5(b)に示す保護部材350Bの全周を覆うように、上述した遮熱シートを有していてもよい。
保護部材としては、例えば、合板、発泡材、樹脂板、エンボス樹脂シート、板紙等の有機高分子部材、および、セラミック部材等が挙げられる。また、軽量で比較的剛性のある材料として、例えば、プラスチックダンボール、養生された木材を使用することもできる。あるいは、上述した第二断熱材と同じものを用いてもよい。
(iv)真空断熱パネル
本開示における真空断熱パネルは、熱貫流率が低いことが好ましく、例えば、0.5W/mK以下とすることができる。
熱貫流率とは、断熱パネルにおける熱の伝わりやすさを表す値であり、値が小さいほど断熱性が高いことを表している。熱貫流率(U値)は、以下のように表される。
熱貫流率(W/mK)=1/熱抵抗値(mK/W) …(1)
熱抵抗値(mK/W)=厚み(m)/熱伝導率(W/mK) …(2)
ここで、断熱パネルにおける熱貫流率の測定方法について説明する。例えば、断熱パネルそのものの熱抵抗値を求めてもよい(第一の測定方法)。また、例えば、測定対象である断熱パネルと同一の層構成を有し、厚み方向に対する垂直な面が30cm×30cm以上の大きさを有する試験用断熱パネルを作製し、その試験用断熱パネルの熱抵抗値を求めてもよい(第二の測定方法)。また、例えば、測定対象である断熱パネルを構成する各部材の熱伝導率を測定し、各部材の厚み、熱伝導率から各部材の総和の熱抵抗値を求めてもよい(第三の測定方法)。熱抵抗値および熱伝導率は、JIS A1412-1,2,3に準拠して求める。測定環境の温度は、20℃以上25℃以下とする。なお、熱貫流率の測定方法は、まずは直接的な測定方法である第一の測定方法を採用することが好ましく、第一の測定方法を採用が難しい場合には第二の測定方法を採用することが好ましく、第二の測定方法を採用が難しい場合には第三の測定方法を採用することが好ましい。なお、断熱パネルが、熱貫流率が異なる複数の領域を有する場合、領域が占める割合を考慮した平均的な熱貫流率を用いることが好ましい。
第三の測定方法を例示する。例えば、真空断熱パネルが、第一断熱材(真空断熱材)および第二断熱材(EPP:発泡ポリプロピレン)を有する場合を想定する。第一断熱材(真空断熱材)の熱伝導率が0.003(W/mK)であり、厚みが0.006mである場合、熱抵抗値は、式(2)から0.006/0.003=2(mK/W)となる。一方、第二断熱材(EPP)の熱伝導率が0.04(W/mK)であり、厚みが0.02mである場合、熱抵抗値は、式(2)から0.02/0.04=1/2(mK/W)となる。そのため、第一断熱材および第二断熱材を有する真空断熱パネルの熱貫流率は、式(1)から1/(2+1/2)=0.4(W/mK)となる。
断熱容器が複数の真空断熱パネルを有する場合、各々の真空断熱パネルの熱貫流率の平均を、例えば、0.5W/mK以下とすることができる。また、全ての真空断熱パネルの熱貫流率を、例えば、0.5W/mK以下とすることもできる。
真空断熱パネルは、断熱パネルの断熱性を向上させる手段を有していてもよい。例えば図6(a)に示すように、真空断熱材である第一断熱材331は、幅方向において真空断熱部材の全域にわたるように、1つで形成されていることが好ましい。例えば断熱容器が大型化すると、断熱パネルの一辺も大きくなるが、そのような場合であっても、真空断熱材である第一断熱材331が一つで形成されていることが好ましい。図6(a)に示すように、真空断熱部材の幅をWとし、第一断熱材331の幅をWとした場合、W/Wの値は、例えば90%以上であることが好ましい。また、Wの値は、例えば600mm以上であることが好ましい。
また、例えば図6(b)に示すように、真空断熱部材350Aが、幅方向において、複数の第一断熱材331を有する場合、真空断熱部材350Aは、平面視上、複数の第一断熱材331の隙間部分αに該当する位置に補助断熱材337を有していてもよい。隙間部分αにおける真空断熱部材の厚みを厚くすることで、真空断熱パネルの断熱性を向上させることができる。同様に、例えば図6(c)に示すように、真空断熱部材350Aが、幅方向において、複数の第一断熱材331を有する場合、真空断熱部材350Aは、平面視上、複数の第一断熱材331の隙間部分αに該当する位置に、別の第一断熱材331を有していてもよい。隙間部分αに別の第一断熱材331が位置するため、真空断熱パネルの断熱性を向上させることができる。
(2)気密性向上手段
本開示の断熱容器は、組立状態における換気回数が、所定の値以下であることが好ましい。断熱容器の換気回数を低減する手段(断熱容器の気密性を向上させる手段)は、目的とする換気回数が得られる手段であれば特に限定されず、任意の手段を採用できる。
気密性向上手段の一例としては、例えば、二つの真空断熱パネルの接合部分の気密性を向上させる手段が挙げられる。例えば図7(a)に示すように、接合する二つの真空断熱パネルにおいて、一方の真空断熱パネルVが、第一断熱材331の端面を覆うように第二断熱材332を有し、他方の真空断熱パネルVが、第一断熱材331の主面を覆うように第二断熱材332を有し、組立状態において、真空断熱パネルVにおける第一断熱材331の端面に位置する第二断熱材332と、真空断熱パネルVにおける第一断熱材331の主面に位置する第二断熱材332とが接触していることが好ましい。図7(a)では、領域Xにおいて、第二断熱材332同士を接触させることで、領域Xにおける気密性が向上する。なお、接触する二つの第二断熱材は、同材料の断熱材であってもよく、異材料の断熱材であってもよい。
また、例えば図7(b)に示すように、接合する二つの真空断熱パネルにおいて、一方の真空断熱パネルVが、第一断熱材331の端面を(第二断熱材332を介して)覆うように遮熱シート333を有し、他方の真空断熱パネルVが、第一断熱材331の主面を(第二断熱材332を介して)覆うように遮熱シート333を有し、組立状態において、真空断熱パネルVにおける第一断熱材331の端面に位置する遮熱シート333と、真空断熱パネルVにおける第一断熱材331の主面に位置する遮熱シート333とが接触していることが好ましい。図7(b)では、領域Xにおいて、遮熱シート333同士を接触させることで、領域Xにおける気密性が向上する。なお、接触する二つの遮熱シートは、同材料のシートであってもよく、異材料のシートであってもよい。また、図示しないが、領域Xにおいて、遮熱シート333および第二断熱材332が接触していてもよい。
また、例えば図7(c)に示すように、断熱部材が、第一の面ファスナ部335aと、第一の面ファスナ部335aと結合可能な第二の面ファスナ部335bと、第一の面ファスナ部335aに連結された可撓性部材335cとを有する面ファスナ部材を備え、接合する二つの真空断熱パネルにおいて、可撓性部材335cの一部は、真空断熱パネルVの外表面(断熱空間とは反対の表面)で固定され、第二の面ファスナ部335bは、真空断熱パネルVの外表面(断熱空間とは反対の表面)に位置していてもよい。図7(c)では、真空断熱パネルVの外表面において、第一の面ファスナ部335aおよび第二の面ファスナ部335bが結合可能であるため、領域Xにおける気密性が向上する。
また、例えば図7(d)に示すように、接合する二つの真空断熱パネルにおいて、一方の真空断熱パネルVが、第一断熱材331の端面に第一の磁石336aを有し、他方の真空断熱パネルVが、第一断熱材331の端面に第一の磁石336aとは異なる磁極を有する第二の磁石336bを有し、組立状態において、第一の磁石336aおよび第二の磁石336bが磁力により引き合うことが好ましい。図7(d)では、磁力により、領域Xにおける気密性が向上する。
また、後述するように、断熱容器に縦枠や横枠を配置することによって、二つの真空断熱パネルの接合部分の気密性を向上させることもできる。
3.組立状態および分解状態
本開示の断熱容器は、組立状態と、分解状態とを変更可能である。組立状態とは、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態をいい、分解状態とは、断熱空間が形成されていない状態をいう。本開示の断熱容器は、組立状態から分解状態への変更、および、分解状態から組立状態への変更が可能である。分解状態には、少なくとも一つの断熱パネルが分離した状態(分離状態)、および、二以上の断熱パネルが何らかの部材を介して結合したまま折り畳まれた状態(折り畳み状態)が含まれる。
本開示の断熱容器は、分離して重ねるか、折り畳むことにより小さくした状態で、保管または輸送ができる。また、真空断熱材は厚みが薄くても断熱性が良好なので、真空断熱材を使用することによって、分解状態の断熱容器をより小型化できる。さらに、真空断熱材を使用することによって、断熱パネルを軽量化すること、および、組立状態の断熱容器の内容積を大きくすることができる。
ここで、組立状態における断熱容器の外容積をVとし、内容積をVとした場合に、小型化指標=(V-V)/Vと定義する。外容積Vは、組立状態の断熱容器の外形から算出される容積であり、内容積Vは、組立状態の断熱容器の内形(断熱空間)から算出される容積であり、物品を収納可能な最大容積である。なお、小型化指標における(V-V)は、理想的な分解状態(内容積が0となるように断熱パネルを重ねた状態)における断熱容器の外容積に相当する。(V-V)の値を、組立状態の断熱容器の外容積Vで除することで、組立状態から分解状態へ変更した場合の小型化の指標となる。
(V-V)/Vの値は、例えば、1/3以下であってもよく、1/4以下であってもよい。(V-V)/Vの値が1/3である場合、組立状態の断熱容器1個の外容積と、分解状態の断熱容器3個の外容積とが同一になる。そのため、例えば、組立状態の断熱容器1個を載せていたパレットに、分解状態の断熱容器3個を載せた状態で保管または輸送が可能となる。小型化の観点では、(V-V)/Vの値は小さいほど好ましい。
4.断熱容器
本開示の断熱容器は、組立状態において、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間を有する。断熱空間の容積は、通常、断熱容器の内容積と一致する。組立状態において、断熱容器の内容積は、例えば0.2m以上であることが好ましい。断熱容器の内容積が0.2m以上である場合、不使用時に小型化が求められる場合がある。
また、本開示の断熱容器は、使用時の断熱性が良く、不使用時に小型化できるため、大型の断熱容器にも適用可能であるという利点がある。さらに、大型の断熱容器は、より多くの物品を保管または輸送することが可能であるという利点がある。また、断熱容器の内容積が大きいほど、断熱パネル厚みが同一である場合における(V-V)/Vの値は小さくなるので、より小型化できるという利点がある。そのため、断熱容器の内容積は、0.3m以上にすることができ、0.5m以上であってもよく、0.8m以上であってもよい。なお、組立作業や分解作業がしやすいように、断熱容器の内容積は、8.0m以下にすることができる。
また、本開示の断熱容器は、組立状態において、天面断熱パネル、底面断熱パネルおよび複数の側面断熱パネルの少なくとも一つの断熱パネルが、開口部を形成可能にしてもよい。上記断熱パネルの少なくとも一つは、断熱パネル全体により開口部を形成可能であってもよく、断熱パネルの一部分により開口部を形成可能であってもよい。例えば、図1に示す断熱容器100の正面断面パネル150および天面断熱パネル160の各々は、二つの断熱パネル部を有し、二つの断熱パネル部の一方が、蝶番101により開閉可能な断熱パネルである。このように、上記断熱パネルの少なくとも一つは、複数の断熱パネル部を有し、部分的に開口部を形成可能な断熱パネルであってもよい。なお、図1に示す断熱容器100の正面断面パネル150の二つの断熱パネル部の各々および天面断熱パネル160の二つの断熱パネル部の各々は、真空断熱材を含む真空断熱部材を有している。
さらに、本開示においては、天面断熱パネル、底面断熱パネルおよび複数の側面断熱パネルの少なくとも二つの断熱パネルが、開口部を形成可能であることが好ましい。物品の出し入れに関する作業性が向上するためである。また、本開示においては、天面断熱パネル、底面断熱パネルおよび複数の側面断熱パネルの少なくとも二つの断熱パネルにより、連続した一つの開口部が形成可能であってもよい。広い開口部が形成可能であるため、物品の出し入れに関する作業性が向上する。
断熱容器の一例について、図1、図8~図10を用いて説明する。図1は、上述したように、本開示の断熱容器を例示する概略斜視図である。図8は、図1に示す断熱容器の各断熱パネルを外している状態を例示する概略斜視図である。図9は、図8で外した断熱パネルを積層した状態(分解状態の断熱容器)を例示する概略斜視図である。図10は、図1に示す断熱容器を二段積みにした状態を例示する概略斜視図である。
上述したように、図1に示す断熱容器100は、天面断熱パネル160、底面断熱パネル170、複数の側面断熱パネル110、および、爪孔501を有するパレット500を備える。一方、図8に示すように、断熱空間300が形成されている組立状態の断熱容器100は、右面断熱パネル120、左面断熱パネル130、背面断熱パネル140、正面断熱パネル150、天面断熱パネル160、底面断熱パネル170、およびパレット500をそれぞれ分離することによって、断熱空間300が形成されていない分解状態にすることが可能である。
図8に示すように、側面断熱パネル110である正面断熱パネル150、左面断熱パネル130、背面断熱パネル140および右面断熱パネル120は、それぞれ保護部材150B、130B、140B、120B、および真空断熱部材150A、130A、140A、120Aを備える。天面断熱パネル160は保護部材160Bと真空断熱部材160Aを備える。底面断熱パネル170は真空断熱部材170Aを備える。図示しないが、真空断熱部材の各々は、真空断熱材を備える。
図1および図8に示すように、右面断熱パネル120、左面断熱パネル130、および正面断熱パネル150は、断熱パネルの左側および右側の端部にそれぞれ、断熱パネルの上側である天面断熱パネル側の端部から断熱パネルの下側である底面断熱パネル側の端部まで連続的に延びる、縦枠310を備えている。図示しないが、背面断熱パネル140も同様である。組立状態で接合された断熱パネルどうしが縦枠310により動きにくくなるので、気密性が向上する。また、縦枠310は、断熱パネルの自重や天面側からの荷重を支持する柱や壁としての役割を果たす。縦枠は金属製でもプラスチックや木材等の非金属製でもよい。金属製の縦枠を用いることで、断熱容器の耐荷重性をより向上させて、気密性を低下し難くすることができる。金属製の縦枠を用いた場合、縦枠を保護部材に配置することによって、金属製の縦枠が断熱空間300に接触しなくなり、断熱容器の断熱性の低下を抑制できる。
図1および図8に示すように、右面断熱パネル120、左面断熱パネル130および正面断熱パネル150は、断熱パネルの上側および下側の端部にそれぞれ、断熱パネルの右側の端部から断熱パネルの左側の端部まで連続的に延びる、横枠320を備えている。また、正面断熱パネル150は、断熱パネルの中央付近に断熱パネルの右側の端部から断熱パネルの左側の端部まで連続的に延びる、横枠(図示しない)も備えている。さらに、天面断熱パネル160は、断熱パネルの上側、下側、左側、右側の端部にそれぞれ、断熱パネルの一方の端部からもう一方の端部まで連続的に延びる、横枠320を備えている。組立状態で接合された断熱パネルどうしが横枠320により動きにくくなるので、気密性が向上する。横枠は金属製でもプラスチックや木材等の非金属製でもよい。金属製の横枠を用いることで、断熱容器の耐荷重性をより向上させて、気密性を低下し難くすることができる。金属製の横枠を用いた場合、横枠を保護部材に配置することによって、金属製の横枠が断熱空間300に接触しないので、断熱容器の断熱性の低下を抑制できる。
一方、図9に示すように、分解状態の断熱容器100は、例えば、真空断熱部材170Aを有する底面断熱パネル170が置かれ、その上に、左面断熱パネル130が、下側を真空断熱部材130A、上側を保護部材130Bとなる向きで重ねられ、その上に、背面断熱パネル140が、下側を保護部材140B、上側を真空断熱部材140Aとなる向きで重ねられる。さらに、その上に、右面断熱パネル120が、下側を真空断熱部材120A、上側を保護部材120Bとなる向きで重ねられ、その上に、正面断熱パネル150が、下側を保護部材150B、上側を真空断熱部材150Aとなる向きで重ねられ、最後に、天面断熱パネル160が、下側を真空断熱部材160A、上側を保護部材160Bとなる向きで重ねられている。分解状態の断熱容器100の最上側を保護部材とすることで、真空断熱材を保護することできる。
また、図1および図8に示すように、断熱容器100が、縦枠310を備える場合、側面断熱パネルの自重や、二段積みされた断熱容器の下段の断熱容器が受ける天面側からの荷重を支えることができ、組立状態で断熱パネルどうしの接合が自重や過重により動いて気密性が低下することや真空断熱材が破損することを抑制できる。具体的には、縦枠310を設けることによって、図10に示すように、断熱容器100に同じ仕様の断熱容器100Aを上側に積み上げた状態で保管や運送ができるようにしてもよい。耐荷重性をより向上させて、気密性を低下し難くするために、縦枠に加えて横枠を設けることもできる。
なお、本開示の断熱容器は、パレットを備えていてもよく、備えていなくてもよい。前者の場合、パレットは、断熱容器の底面断熱パネルの断熱空間とは反対のパネル面側に位置することが好ましい。パレット付きの断熱容器は、フォークリフトおよびハンドリフト等により容易に移動させることができるので、移動作業中に真空断熱材を誤って破損させる危険性が低減する。断熱容器の底面断熱パネルは、パレットに接合されていてもよく、パレットから分離可能であってもよい。
6.その他
断熱容器の他の例について、図11および図12を用いて説明する。図11は、本開示の断熱容器の組立工程を例示する概略斜視図である。図12は、図11で説明した断熱容器を搬送用かごに配置した状態を例示する概略斜視図である。
図11(a)に示すように、分解状態(折り畳み状態)の断熱容器100は、右側(+Y側)から順に、正面断熱パネル150、右面断熱パネル120、背面断熱パネル140、底面断熱パネル170、天面断熱パネル160、左面断熱パネル130が積層された状態であり、右面断熱パネル120、背面断熱パネル140、底面断熱パネル170、天面断熱パネル160、左面断熱パネル130の積層体の上面(+Z側の面)、底面(-Z側の面)、左右側面(+Y及び-Y側の面)、背面(-X側の面)を囲むようにして外装部材180が配置されている。また、外装部材180の上面、底面、背面は、その一部が、天面断熱パネル160と左面断熱パネル130との間に折り畳まれている。なお、正面断熱パネル150は、外装部材180を介して右面断熱パネル120の右側(+Y側)に折り重ねられている。
まず、図11(a)に示すように、左面断熱パネル130を左側(-Y側)へ移動して(矢印A)、折り畳まれた外装部材180の上面、底面、背面を展開する。次に、図11(b)に示すように、外装部材180内において、天面断熱パネル160を左上側へ開いて(矢印B)、外装部材180の天面に沿うようにして配置する。さらに、底面断熱パネル170を左下側へ開いて(矢印C)、外装部材180の底面に沿うようにして配置する。さらに、右面断熱パネル120に積層された背面断熱パネル140を、後側(-X側)端縁を支点にして、前側(+X側)端縁を左後側へ倒して(矢印D)、外装部材180の背面に沿うようにして配置する。最後に、図11(c)に示すように、右面断熱パネル120に折り重ねられた正面断熱パネル150を折り返して(矢印E)、断熱容器100が完成する。このようにして、分解状態(折り畳み状態)から組立状態へ変更することが可能である。また、逆の手順により、組立状態から分解状態(折り畳み状態)へ変更することも可能である。
図11に示す断熱容器100は、右面断熱パネル120、左面断熱パネル130、背面断熱パネル140、天面断熱パネル160、底面断熱パネル170は、真空断熱材を含む真空断熱部材を有する真空断熱パネルである。また、正面断熱パネル150が部分的に開閉可能な構造である断熱容器100は、正面断熱パネル150を閉じた状態にすることによって、四角柱構造の組立状態になり、断熱パネルに囲まれた断熱空間をその容器内部に形成することが可能である。また、図11に示す断熱容器100は、組立状態において、換気回数が特定の値以下である。
図12に示すように、図11で説明した断熱容器100は搬送用かご250上に配置されており、搬送用かご250により、物品を収納した断熱容器100を自在に搬送することができる。図12に示す搬送用かご250は、断熱容器100を載置する台車部251と、断熱容器100における対向する側面を保持する柵部252と、台車部251の各角部に位置する車輪251aとを有する。
本開示の断熱容器の外周形状や各寸法は、特に限定されない。本開示の断熱容器は、各寸法がcmオーダーのものであってもよいし、各寸法の一つ以上が1m以上のものであってもよい。断熱容器の側面断熱パネルの外周形状の具体例としては、組立状態の断熱容器を天面側から見た場合に、縦幅および横幅がそれぞれ1000mm以上かつ1200mm以下の四辺形、縦幅が1119mm以上かつ1319mm以下で横幅が916mm以上かつ1116mm以下の四辺形、縦幅が1100mm以上かつ1300mm以下で横幅が900mm以上かつ1100mm以下の四辺形、縦幅が1100mm以上かつ1300mm以下で横幅が700mm以上かつ900mm以下の四辺形、縦幅および横幅がそれぞれ1065mm以上かつ1265mm以下の四辺形を挙げることができる。側面断熱パネルの形状を各国の標準的なパレットの形状に適した寸法にすることによって、輸送や保管の効率化を図ることができる。なお、断熱容器の側面断熱パネルの外周形状の高さとしては、例えば、300mm以上とすることができ、500mm以上であってもよく、700mm以上であってもよい。また、断熱容器の側面断熱パネルの外周形状として、例えば、組立状態の断熱容器を天面側から見た場合に、縦幅が795mm以上かつ995mm以下で横幅が644mm以上かつ844mm以下の四辺形としてもよい。標準的な台車の形状に適した寸法にすることによって、輸送や保管の効率化を図ることができる。また、本開示の断熱容器は、例えば物流分野において、保冷または保温が必要な物品の保管または輸送に使用されることが好ましい。
7.実験例
本開示の断熱容器の具体例の一つを作製して、上述の方法で換気回数を測定し、下記の方法で水の保冷時間を測定した。本具体例では、断熱容器は、図1および図2に示す構成とし、1辺の内寸が縦幅1010mm×横幅1010mm×高さ740mmの直方体形状とした。断熱容器の各々の真空断熱パネルでは、第一断熱材として厚み6mmの真空断熱材(芯材としてグラスウール、熱伝導率0.003W/mK)、第二断熱材として厚み15mmの発泡断熱材(XPS:押出発泡ウレタン、熱伝導率0.036W/mK)、ならびに第一断熱材および第二断熱材の全周を覆う遮熱シートとして厚み1mmのアルミニウム蒸着層付きプラスチックシートを用いた。また、断熱容器では、保護部材として厚み1mmのポリエチレンシート、および縦枠および横枠としてアルミニウムを用いた。断熱容器の換気回数の上述の方法による測定値は0.034回/hrであり、下記の方法による75.5kgの水の保冷時間の測定値は13.6hrであり、断熱容器が良好な断熱性を示すことを確認した。
ここで、上記の水の保冷時間は、断熱容器の内部に収納したサンプル(断熱容器の内容積の10%に相当する2℃の水を入れた2LのPET容器)を、外気温35℃の雰囲気で8℃以下に保つことが可能な時間(保冷時間)により評価する。まず、気温35℃の雰囲気に断熱容器を静置し、断熱容器の内外の温度を35℃にする。次に、収納するサンプルとして、断熱容器の内容積の10%に相当する2℃の水を入れたPET容器を準備する。なお、PET容器として、市販の2LのPET容器を用いる。次に、サンプルを断熱容器の底面断熱パネルの中央に配置する。PET容器のキャップ部分には穴が空けられ、その穴から、PET容器高さの半分程度の長さの熱電対または測温抵抗体が導入されている。これにより、PET容器の中央部分の温度を測定する。次に、断熱容器を密閉する。なお、保冷剤は使用しない。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
B.シミュレーション
以下、シミュレーションによる保冷時間と換気回数との関係について説明する。
断熱容器の外部の温度が高く、断熱容器の内部の温度が低い場合、所定の時間t[hr]の間に断熱容器の外部から内部に流入する熱量Q[J]は、下記の式(1)で示すことができる。
Q=(q+q)×t 式(1)
ここで、qは、断熱容器を構成する断熱パネルを通って流入する単位時間当たりの熱量[J/hr]であり、qは、断熱容器の断熱パネルどうしの間等の隙間を通って流入する単位時間当たりの熱量[J/hr]である。
断熱容器を構成する断熱パネルを通って流入する単位時間当たりの熱量q[J/hr]は、下記の式(2)で示すことができる。
=U×L×T×3600 式(2)
ここで、Uは、断熱容器を構成する各々の断熱パネルの熱貫流率[W/mK]の平均であり、Lは、断熱容器の内部側の表面積[m]であり、Tは、断熱容器の内部と外部の温度差[K]である。
断熱容器の断熱パネルどうしの間等の隙間を通って流入する単位時間当たりの熱量q[J/hr]は、下記の式(3)で示すことができる。
=D×V×a×C×T 式(3)
ここで、Dは、換気回数[回/hr]であり、Vは、断熱容器の内容積[m]であり、aは、環境係数であり、Cは、空気の熱容量[J/mK]であり、Tは、断熱容器の内部と外部の温度差[K]である。本シミュレーションでは、環境係数5.34、空気の比熱容量1.0J/gK、空気の密度1.3×10g/mとした。
なお、環境係数aは、断熱容器の外部と内部の温度差や断熱容器の外部の風速等の環境要因の影響を反映させるための乗率である。断熱容器の断熱パネルどうしの間等の隙間を通って流入する空気の移動は、断熱パネルどうしの間の大きさや形状等の断熱容器自体の要因だけでなく、環境要因の影響も受けるためである。環境係数aは、次の手順で決定した。断熱容器を温度制御せずに密閉した部屋内に設置して、断熱容器の通常の換気回数を測定した。保冷材を入れて内部を約10℃に保った状態の断熱容器を、35℃~40℃(湿度無制御)に設定し、かつ、換気状態の環境試験室内に設置して、断熱容器の環境試験の換気回数を測定した。断熱容器の環境試験の換気回数を断熱容器の通常の換気回数で除することにより、環境係数を求めた。
断熱容器は、全ての面が断熱パネルに囲まれた1辺の内寸が1mの立方体(内側の表面積Lが6m、内容積Vが1m)を設定した。また、断熱パネルは、押出発泡ポリスチレン(XPS、熱伝導率0.036W/mK、厚み15mm)、真空断熱材(熱伝導率0.003W/mK、厚み5mm)、押出発泡ポリスチレン(XPS、熱伝導率0.036W/mK、厚み15mm)の三層構造を設定した。なお、この断熱パネルの熱貫流率Uは、0.4(W/mK)である。
断熱容器の使用状態は、断熱容器の内部に保冷材(単位重量当たりの潜熱量320kJ/kg)8kgを入れて、断熱容器の内部と外部の温度差が30Kの環境に断熱容器が設置されている状態を設定した。なお、この設定は、例えば、日本の夏(気温30℃~35℃)に断熱内部が保冷材で冷蔵温度帯(0℃~5℃)に保持されている状態が想定できる。
上記より、保冷時間と換気回数との関係について、シミュレーションを行なった。保冷時間t[hr]は、断熱容器の外部から内部に流入する熱量Q[J]が、断熱容器の内部の保冷材の潜熱量2560kJに達した時間とした。0.001回/hr~10回/hrの範囲に対数軸で概ね偏りなく換気回数を設定し、設定した換気回数ごとに保冷時間をそれぞれ計算し、計算値より最小二乗法で近似曲線を求めた。
図13は、真空断熱材の厚みが5.0mmのシミュレーションの結果である。換気回数が0.1回/hrである場合、換気回数が0.001回/hrである場合(気密性が極めて高い場合)に近い保冷時間を実現できた。これに対して、換気回数が0.1回/hrより大きい場合、換気回数が大きくなるほど、保冷時間の低下が顕著であった。すなわち、換気回数が0.1回/hrより大きい場合、換気回数(気密性)が僅かに変動すると、保冷時間に大きな影響を与えるが、換気回数が0.1回/hr以下である場合、換気回数(気密性)が多少変動しても、保冷時間に与える影響は少なく、保冷時間は安定していた。この傾向は、真空断熱材の厚みが5.0mmである場合に限られず、図14に示すように、真空断熱材の厚みが変わっても同様であった。なお、真空断熱材の厚みを変えた以外は、シミュレーションの条件は同じとし、各々の真空断熱材の厚みが、aでは0.5mm、bでは2.5mm、cでは5.0mm、dでは7.5mm、eでは10.0mm、fでは12.5mmの場合の結果である。
断熱容器の外部から内部に流入する熱量Qは、断熱容器を構成する断熱パネルを通って流入する熱量Qと断熱容器の断熱パネルどうしの間等の隙間を通って流入する熱量Qの和である。保冷時間を安定させるためには、Qが保冷時間に与える影響をQが保冷時間に与える影響よりも十分に小さくすればよい。Qが保冷時間に与える影響よりも十分に小さいQの値は、Qの値に依存し、Qの値が大きければ比較的大きくてもよく、Qの値が小さければ比較的小さいことが必要になる。したがって、真空断熱材の使用によりQの値を小さくした断熱容器では、Qの値も相応に小さくしなければ、保冷時間は安定しない。上記のシミュレーションの結果より、真空断熱材を用いた断熱容器の性能を十分に発揮させるのは、換気回数が0.1回/hr以下の断熱容器であることがわかる。すなわち、組立状態と、分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器においては、換気回数が0.1回/hr以下であることが、気密性に起因する断熱容器の断熱性の低下を抑制するうえで重要であることが確認できた。
一方、図13において、換気回数が0.02回/hrである場合、換気回数が0.001回/hrである場合(気密性が極めて高い場合)と、ほぼ同じ保冷時間であった。この傾向は、真空断熱材の厚みが5mmである場合に限られず、図14に示すように、真空断熱材の厚みが変わっても、同様であった。すなわち、断熱容器の断熱性向上を図る場合、換気回数を0.02回/hrよりも低くすることよりも(気密性を過度に高めるよりも)、断熱パネルの断熱性向上を図ることが有効であることが示唆された。
また、図13および図14における各曲線の傾きより、図15および図16に示すように、換気回数の常用対数における保冷時間の変化率を求める。換気回数の常用対数における保冷時間の変化率が-1となる換気回数の断熱容器は、換気回数の常用対数における保冷時間の変化率が小さいので、断熱パネルの断熱性能が適切に発揮されている状態と言える。そのため、断熱パネルの断熱性を発揮させる観点より、換気回数の常用対数における保冷時間の変化率が-1となる換気回数をその断熱パネルを備えた断熱容器の換気回数の上限とすることが好ましい。
また、気密性の影響だけを考慮すると、真空断熱材の厚みが厚くなるほど、目的とする換気回数が低くなり、一見すると、真空断熱材が厚いほど、高い気密性が要求されるようにも見える。しかしながら、実際には、真空断熱材が厚くなるほど、断熱パネルの断熱性は向上し、断熱容器としての断熱性も向上する。例えば、本シミュレーションでは、図14において、真空断熱材の厚みが12.5mmであり、換気回数が0.1回/hrである場合、保冷時間は17時間もあり、この値は、真空断熱材の厚みが10.0mmであり、換気回数が0.001回/hrである場合の保冷時間を上回っている。このように、真空断熱材が厚くなるほど、断熱パネルの断熱性の影響が優位になり、断熱容器としての断熱性も向上する。
また、換気回数と保冷時間との関係の詳細を表1に示す。
Figure 0007162416000001
真空断熱材の厚みは、断熱パネルの熱貫流率と相関しており、真空断熱材の熱伝導率が同じであれば、真空断熱材の厚みが厚くなるほど、断熱パネルの熱貫流率は低くなる。例えば、本シミュレーションでは、7時間以上の保冷時間を有する断熱容器を得るための断熱パネルの熱貫流率は、0.5W/mK以下である。
(断熱パネル厚み、断熱容器の容積および小型化指標の関係)
断熱パネル厚み、断熱容器の容積および小型化指標の関係を評価した。組立状態における断熱容器の外容積をVとし、内容積をVとした場合に、小型化指標=(V-V)/Vと定義する。
例えば、一辺の長さが100cmであり、断熱パネル厚みが10mm(1cm)である立方体を想定した場合、断熱容器の外容積Vは、1m(1000L)となる。一方、断熱容器の内容積Vは、(1.00-(0.01×2))=0.94m(940L)となる。そのため、小型化指標は、6%となる。また、一辺の長さおよび断熱パネル厚みを表2に示す値に変更したこと以外は、同様にして、小型化指標を算出した。
Figure 0007162416000002
表2に示すように、断熱パネル厚みと、断熱容器の一辺長(断熱パネルの一辺の長さ)との間には相関関係がある。例えば(V-V)/V≦1/3を実現しようとする場合、断熱パネルの一辺の長さが100cmの時に、厚みが70mm(7cm)未満という薄い断熱パネルを用いる必要がある。すなわち、不使用時の小型化を図ろうとすると、断熱パネル厚みを薄くする必要があり、断熱パネル厚みを薄くすると、断熱パネルの断熱性が低下しやすい。真空断熱材を用いることで断熱パネルの断熱性を高くすることが可能はあるが、真空断熱材を用いた場合、上述したように、真空断熱材に特有の性質(厚みが薄く、加工性が低く、破損時の性能劣化が大きい性質)に起因して、断熱容器の気密性が低下しやすい。そのため、不使用時に小型化できる断熱容器を得ようとする場合、より気密性に着目する必要がある。
100 … 断熱容器
110 … 側面断熱パネル
110A … 真空断熱部材
110B … 保護部材
120 … 右面断熱パネル
130 … 左面断熱パネル
140 … 背面断熱パネル
150 … 正面断熱パネル
160 … 天面断熱パネル
170 … 底面断熱パネル
310 … 縦枠
320 … 横枠
331 … 第一断熱材
331a … 芯材
331b … 外装材
332 … 第二断熱材
333 … 遮熱シート
334 … 接着層

Claims (4)

  1. 組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器であって、
    前記断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、ならびに右面断熱パネル、背面断熱パネル、左面断熱パネル、および正面断熱パネルを有する複数の側面断熱パネルを有し、
    前記組立状態は、前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態であり、
    前記分解状態は、前記断熱空間が形成されていない状態であり、
    前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、前記真空断熱材を含む真空断熱部材を有し、
    前記断熱容器の内部に、前記断熱容器の内容積1m 当たり、単位重量当たりの潜熱量が320kJ/kgである保冷材を8kg入れて、前記断熱容器の内部と外部の温度差が30Kの環境に前記断熱容器が設置されている状態としたとき、前記断熱容器の内容積1m 当たり、前記断熱容器の外部から内部に流入する熱量が、前記断熱容器の内部の前記保冷材潜熱量2560kJに達する時間である、保冷時間が、7時間以上であり、
    各々の前記真空断熱材を含む前記真空断熱部材を有する前記断熱パネルの熱貫流率の平均が0.5W/mK以下であり、
    前記組立状態において、換気回数が0.02回/hr以上0.05回/hr未満である、断熱容器。
  2. 組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器であって、
    前記断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、ならびに右面断熱パネル、背面断熱パネル、左面断熱パネル、および正面断熱パネルを有する複数の側面断熱パネルを有し、
    前記組立状態は、前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態であり、
    前記分解状態は、前記断熱空間が形成されていない状態であり、
    前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、前記真空断熱材を含む真空断熱部材を有し、
    前記断熱容器の内部に、前記断熱容器の内容積1m 当たり、単位重量当たりの潜熱量が320kJ/kgである保冷材を8kg入れて、前記断熱容器の内部と外部の温度差が30Kの環境に前記断熱容器が設置されている状態としたとき、前記断熱容器の内容積1m 当たり、前記断熱容器の外部から内部に流入する熱量が、前記断熱容器の内部の前記保冷材潜熱量2560kJに達する時間である、保冷時間が、7時間以上であり、
    各々の前記真空断熱材を含む前記真空断熱部材を有する前記断熱パネルの熱貫流率の平均が0.5W/mK以下であり、
    前記組立状態において、換気回数が、0.02回/hr以上であり、かつ、前記換気回数の常用対数における前記保冷時間の変化率が-1となる値以下である、断熱容器。
  3. 前記組立状態において、前記断熱容器の内容積が0.2m以上である、請求項1または請求項2に記載の断熱容器。
  4. 前記組立状態において、前記断熱容器の外容積をVとし、内容積をVとした場合に、(V-V)/Vの値が1/3以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の断熱容器。
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