JP7162416B2 - 断熱容器 - Google Patents
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Description
以下、図面等を参照して、本開示の断熱容器について説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
以下、本開示の断熱容器について、さらに詳しく説明する。
本開示の断熱容器の換気回数は、組立状態において、0.1回/hr以下であることが好ましい。換気回数が0.1回/hr以下である場合、断熱パネルどうしの接合部等の隙間を通る熱の移動が保冷時間に与える影響は、断熱パネルを通る熱の移動が保冷時間に与える影響に比べて十分に少なく、保冷時間が安定するためである。言い換えると、換気回数が0.1回/hr以下であることが、組立状態と分解状態とを変更可能であることによる気密性の低下に起因する断熱容器の断熱性の低下を抑制し、真空断熱材を用いた断熱容器の断熱性能を十分に発揮するうえで重要である。換気回数は、以下のように求める。
本開示の断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルを有する。さらに、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、真空断熱材を含む真空断熱部材を有する真空断熱パネルである。真空断熱パネルの数を増やすことによって、断熱容器の断熱性能が向上する。真空断熱パネルの数を減らすことによって、真空断熱材が破損して断熱容器の断熱性能が急激に低下する危険性を低減できる。
真空断熱パネルは、真空断熱材を含む真空断熱部材を有する断熱パネルである。真空断熱部材は、断熱材として、真空断熱材のみを有する部材であってもよく、真空断熱材と、その他の断熱材とを有する部材であってもよい。本開示においては、真空断熱材を第一断熱材と称し、真空断熱材以外の断熱材を第二断熱材と称する場合がある。
本開示における真空断熱材は、芯材と、芯材を包む外装材とを有する。図3は、本開示における真空断熱材を例示する概略断面図である。図3(a)に示すように、真空断熱材である第一断熱材331は、芯材331aと、ガスバリア性を有する外装材331bとを有する。外装材331bの内部は減圧状態である。図3(b)は、真空断熱材の他の一例である。図3(a)では、真空断熱材である第一断熱材331の内部の両端に空隙が形成されているが、図3(b)では、空隙が形成されていない。空隙は、第一断熱材331の製造方法の違いにより形成されたり形成されなかったりする。
本開示における真空断熱部材は、断熱材として、真空断熱材(第一断熱材)のみを有する部材であってもよく、真空断熱材(第一断熱材)と、その他の断熱材(第二断熱材)とを有する部材であってもよい。上述したように、真空断熱材(第一断熱材)は、破損時の性能劣化が大きいが、その他の断熱材(第二断熱材)とともに用いることで、真空断熱材(第一断熱材)の破損時の断熱パネルの断熱性の低下を抑制できる。
本開示における真空断熱パネルは、上述した真空断熱部材を少なくとも有する断熱パネルであり、真空断熱部材を保護する保護部材をさらに有していてもよい。図5は、本開示における真空断熱パネルを例示する概略断面図である。図5(a)に示すように、真空断熱パネル350は、真空断熱部材350Aと、接着層334と、保護部材350Bとこの順を有していてもよい。図5(a)に示す真空断熱パネル350は、第一断熱材331の一方の主面側に第二断熱部材332を有し、第一断熱材331の他方の主面側に保護部材350Bを有する。一方、図5(b)に示すように、真空断熱パネル350は、真空断熱部材350Aの全周を覆うように保護部材350Bを有していてもよい。なお、図示しないが、真空断熱パネルは、例えば図5(b)に示す保護部材350Bの全周を覆うように、上述した遮熱シートを有していてもよい。
本開示における真空断熱パネルは、熱貫流率が低いことが好ましく、例えば、0.5W/m2K以下とすることができる。
熱貫流率(W/m2K)=1/熱抵抗値(m2K/W) …(1)
熱抵抗値(m2K/W)=厚み(m)/熱伝導率(W/mK) …(2)
本開示の断熱容器は、組立状態における換気回数が、所定の値以下であることが好ましい。断熱容器の換気回数を低減する手段(断熱容器の気密性を向上させる手段)は、目的とする換気回数が得られる手段であれば特に限定されず、任意の手段を採用できる。
本開示の断熱容器は、組立状態と、分解状態とを変更可能である。組立状態とは、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態をいい、分解状態とは、断熱空間が形成されていない状態をいう。本開示の断熱容器は、組立状態から分解状態への変更、および、分解状態から組立状態への変更が可能である。分解状態には、少なくとも一つの断熱パネルが分離した状態(分離状態)、および、二以上の断熱パネルが何らかの部材を介して結合したまま折り畳まれた状態(折り畳み状態)が含まれる。
本開示の断熱容器は、組立状態において、天面断熱パネル、底面断熱パネル、および複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間を有する。断熱空間の容積は、通常、断熱容器の内容積と一致する。組立状態において、断熱容器の内容積は、例えば0.2m3以上であることが好ましい。断熱容器の内容積が0.2m3以上である場合、不使用時に小型化が求められる場合がある。
断熱容器の他の例について、図11および図12を用いて説明する。図11は、本開示の断熱容器の組立工程を例示する概略斜視図である。図12は、図11で説明した断熱容器を搬送用かごに配置した状態を例示する概略斜視図である。
本開示の断熱容器の具体例の一つを作製して、上述の方法で換気回数を測定し、下記の方法で水の保冷時間を測定した。本具体例では、断熱容器は、図1および図2に示す構成とし、1辺の内寸が縦幅1010mm×横幅1010mm×高さ740mmの直方体形状とした。断熱容器の各々の真空断熱パネルでは、第一断熱材として厚み6mmの真空断熱材(芯材としてグラスウール、熱伝導率0.003W/mK)、第二断熱材として厚み15mmの発泡断熱材(XPS:押出発泡ウレタン、熱伝導率0.036W/mK)、ならびに第一断熱材および第二断熱材の全周を覆う遮熱シートとして厚み1mmのアルミニウム蒸着層付きプラスチックシートを用いた。また、断熱容器では、保護部材として厚み1mmのポリエチレンシート、および縦枠および横枠としてアルミニウムを用いた。断熱容器の換気回数の上述の方法による測定値は0.034回/hrであり、下記の方法による75.5kgの水の保冷時間の測定値は13.6hrであり、断熱容器が良好な断熱性を示すことを確認した。
ここで、上記の水の保冷時間は、断熱容器の内部に収納したサンプル(断熱容器の内容積の10%に相当する2℃の水を入れた2LのPET容器)を、外気温35℃の雰囲気で8℃以下に保つことが可能な時間(保冷時間)により評価する。まず、気温35℃の雰囲気に断熱容器を静置し、断熱容器の内外の温度を35℃にする。次に、収納するサンプルとして、断熱容器の内容積の10%に相当する2℃の水を入れたPET容器を準備する。なお、PET容器として、市販の2LのPET容器を用いる。次に、サンプルを断熱容器の底面断熱パネルの中央に配置する。PET容器のキャップ部分には穴が空けられ、その穴から、PET容器高さの半分程度の長さの熱電対または測温抵抗体が導入されている。これにより、PET容器の中央部分の温度を測定する。次に、断熱容器を密閉する。なお、保冷剤は使用しない。
以下、シミュレーションによる保冷時間と換気回数との関係について説明する。
Q=(qA+qB)×t 式(1)
ここで、qAは、断熱容器を構成する断熱パネルを通って流入する単位時間当たりの熱量[J/hr]であり、qBは、断熱容器の断熱パネルどうしの間等の隙間を通って流入する単位時間当たりの熱量[J/hr]である。
qA=U×L×T×3600 式(2)
ここで、Uは、断熱容器を構成する各々の断熱パネルの熱貫流率[W/m2K]の平均であり、Lは、断熱容器の内部側の表面積[m2]であり、Tは、断熱容器の内部と外部の温度差[K]である。
qB=D×V×a×C×T 式(3)
ここで、Dは、換気回数[回/hr]であり、Vは、断熱容器の内容積[m3]であり、aは、環境係数であり、Cは、空気の熱容量[J/m3K]であり、Tは、断熱容器の内部と外部の温度差[K]である。本シミュレーションでは、環境係数5.34、空気の比熱容量1.0J/gK、空気の密度1.3×103g/m3とした。
断熱パネル厚み、断熱容器の容積および小型化指標の関係を評価した。組立状態における断熱容器の外容積をVAとし、内容積をVBとした場合に、小型化指標=(VA-VB)/VAと定義する。
110 … 側面断熱パネル
110A … 真空断熱部材
110B … 保護部材
120 … 右面断熱パネル
130 … 左面断熱パネル
140 … 背面断熱パネル
150 … 正面断熱パネル
160 … 天面断熱パネル
170 … 底面断熱パネル
310 … 縦枠
320 … 横枠
331 … 第一断熱材
331a … 芯材
331b … 外装材
332 … 第二断熱材
333 … 遮熱シート
334 … 接着層
Claims (4)
- 組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器であって、
前記断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、ならびに右面断熱パネル、背面断熱パネル、左面断熱パネル、および正面断熱パネルを有する複数の側面断熱パネルを有し、
前記組立状態は、前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態であり、
前記分解状態は、前記断熱空間が形成されていない状態であり、
前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、前記真空断熱材を含む真空断熱部材を有し、
前記断熱容器の内部に、前記断熱容器の内容積1m 3 当たり、単位重量当たりの潜熱量が320kJ/kgである保冷材を8kg入れて、前記断熱容器の内部と外部の温度差が30Kの環境に前記断熱容器が設置されている状態としたとき、前記断熱容器の内容積1m 3 当たり、前記断熱容器の外部から内部に流入する熱量が、前記断熱容器の内部の前記保冷材の潜熱量2560kJに達する時間である、保冷時間が、7時間以上であり、
各々の前記真空断熱材を含む前記真空断熱部材を有する前記断熱パネルの熱貫流率の平均が0.5W/m2K以下であり、
前記組立状態において、換気回数が0.02回/hr以上0.05回/hr未満である、断熱容器。 - 組立状態と分解状態とを変更可能であり、かつ、真空断熱材を用いた断熱容器であって、
前記断熱容器は、天面断熱パネル、底面断熱パネル、ならびに右面断熱パネル、背面断熱パネル、左面断熱パネル、および正面断熱パネルを有する複数の側面断熱パネルを有し、
前記組立状態は、前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルに囲まれた断熱空間が形成されている状態であり、
前記分解状態は、前記断熱空間が形成されていない状態であり、
前記天面断熱パネル、前記底面断熱パネル、および前記複数の側面断熱パネルのうち少なくとも4つの断熱パネルは、前記真空断熱材を含む真空断熱部材を有し、
前記断熱容器の内部に、前記断熱容器の内容積1m 3 当たり、単位重量当たりの潜熱量が320kJ/kgである保冷材を8kg入れて、前記断熱容器の内部と外部の温度差が30Kの環境に前記断熱容器が設置されている状態としたとき、前記断熱容器の内容積1m 3 当たり、前記断熱容器の外部から内部に流入する熱量が、前記断熱容器の内部の前記保冷材の潜熱量2560kJに達する時間である、保冷時間が、7時間以上であり、
各々の前記真空断熱材を含む前記真空断熱部材を有する前記断熱パネルの熱貫流率の平均が0.5W/m2K以下であり、
前記組立状態において、換気回数が、0.02回/hr以上であり、かつ、前記換気回数の常用対数における前記保冷時間の変化率が-1となる値以下である、断熱容器。 - 前記組立状態において、前記断熱容器の内容積が0.2m3以上である、請求項1または請求項2に記載の断熱容器。
- 前記組立状態において、前記断熱容器の外容積をVAとし、内容積をVBとした場合に、(VA-VB)/VAの値が1/3以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の断熱容器。
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