JP4778856B2 - 断熱容器 - Google Patents

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Description

本発明は、真空断熱材が配設された輸送用などの断熱容器に関する。
断熱容器の温度維持能力は、容器の大きさと輸送前の容器内温度が一定であれば、輸送前に投入した保冷剤の量と、容器からの熱漏洩量の関係でその大部分が決まる。断熱容器の高性能化のためには、保冷剤を増やすことでも一定の改善は可能であるが、容器サイズが一定であることと、保冷剤コストの面から、断熱材の性能向上を行う必要がある。断熱材の高性能化の例としては、芯材をガスバリヤ性フィルムからなる外被材で覆って内部を減圧封止した真空断熱材を用いることが知られている。
真空断熱材を主な断熱材として用いた断熱容器の例では、特許文献1に示されたものがある。これは、外被材の周縁に沿うひれ部が前記外被材の表面上で折り重ねられた真空断熱材を収納袋に覆い、前記真空断熱材を周壁部,底面部及び蓋部に用いて形成される、折り畳みが可能な保冷容器とすることで、保冷性能の向上を狙ったものである。
また、特許文献2に示されたものがある。これは、内箱と外箱から成る箱体内に断熱材として真空断熱材を配設して硬質ウレタンフォームを発泡充填し、内箱形状に合わせて真空断熱材を配設することで被覆率を上げ、断熱性能の向上を狙ったものである。
また、特許文献3に示されたものがある。これは、内箱と外箱から成る箱体内に発泡断熱材を充填する冷蔵庫において、前記箱体の内箱に合わせて平面視コの字形状に真空断熱材を配設することで、ヒートブリッジの軽減による冷蔵庫の断熱性能向上を狙ったものである。
特許第3680853号公報 特開2004−212042号公報 特開2005−299972号公報
近年、真空断熱材は冷蔵庫などの家電製品や業務用冷凍庫などの業務用電気製品等において、食品などを保冷,冷却する際に消費する電力量を低減するための省エネの一手段としてその断熱性能を発揮している。ここ最近では物流関連の分野において、保冷,保温或いは恒温を目的とした輸送のニーズが高まってきている。例えば、一定の温度帯を長時間維持する必要のある被輸送物としては、再生医療用検体(培養細胞など)や生体臓器等がある。これらは一定の温度範囲を外れることにより細胞が死んでしまうことから、厳格な温度管理が必要とされる。この他にも輸送のスピード化への対応や、長時間輸送への対応、輸送時の温度管理信頼性の向上が求められるなど、物流に要求される内容は年々多様化している。
このような厳格な温度管理が求められる場合において、一定の温度を保持するために電気的に制御することが可能である。しかし、輸送にかかる容器の重量が重くなることや、電気部品の故障時にはその性能を維持できなくなることから、なるべく単純な構造のものが好ましい。これらの要求に対応すべく、輸送用等に使用する断熱容器の断熱性能の向上が必要である。
しかし、特許文献1の断熱容器では、折り畳みの都合上、各面に1枚或いは複数枚の真空断熱材を配置しており、記載例では合計10枚もの真空断熱材を使用している。このため、真空断熱材1枚あたりの面積が小さくなり、外被材のヒートブリッジ影響により断熱性能が大きく低下するという問題点があった。この問題は特に小さい断熱容器になる程その影響が顕著に表れる。
また、特許文献2の断熱容器及び特許文献3の冷蔵庫では、内箱に合わせて真空断熱材を配設した後に発泡断熱材を充填するため、発泡断熱材から発生するガスが真空断熱材内部に侵入することで性能劣化を引き起こすという問題がある。さらに万一真空断熱材が傷付きや穴あき等で破損した場合でも前記真空断熱材の交換や補修が出来ないことや、製品耐用年数経過後の廃棄時に容易に分離,リサイクルが出来ないという問題があった。
また、特許文献2の断熱容器及び特許文献3の冷蔵庫では、配設される真空断熱材の形状や大きさが規定されておらず、真空断熱材の配設のされ方によっては、主にヒートブリッジが影響することによって、真空断熱材による断熱効果が十分に発揮されず、断熱容器や冷蔵庫の断熱性能が低下してしまうという懸念があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、断熱容器の断熱性能を向上させ、内部温度を長期に亘って維持すること、また、断熱容器のリサイクル性の向上を図ることを目的としている。
上記目的を達成するために、内箱と外装材との間に断熱材を有し、開閉可能な蓋部を有する断熱容器において、本発明は、
前記内箱と前記外装材との間で、前記断熱容器の底面を含んで隣り合う2面以上に亘って折り曲げられて配設される真空断熱材と、
前記真空断熱材の片面側または両面側に設けられ前記真空断熱材を突き刺しの外力から保護する保護部材とを備え、
前記内箱に容器状に形成された発泡ポリスチレンを用い、前記真空断熱材は前記内箱の外面に当接して設置され、前記内箱の外面に前記真空断熱材の厚さ以上の段差部を有し、前記内箱の側面上部に前記外装材を固定する固定手段が設けられ、前記内箱と前記真空断熱材と前記外装材とを着脱可能としたものとした。
また、上記の本発明におけるより好ましい具体的形態は下記の通りである。
(1)真空断熱材は、前記底面と隣り合う4つの側面のうち対向する2面と前記底面とを合わせた3面の面積の和が大きくなる3面に、断面コの字形状に折り曲げられて配設されること。
(2)真空断熱材の平面形状を、長辺長さをLc、短辺長さをWcとしたときに下式(a)で表される代表寸法Dhを0.3以上としたこと。
Dh=4・Wc・Lc/{2・(Wc+Lc)} ・・・・・・(a)
3)真空断熱材は、バインダを含まない無機繊維集合体からなる芯材と、前記芯材を内
包する内袋と、表面保護層,ガスバリヤ層及び熱溶着層を有する外被材とを備えてなり、
前記外被材内を減圧密封した後の曲げ弾性率が150MPa以下であること
本発明によれば、断熱容器の断熱性能を向上させ、内部温度を長期に亘って維持することができる。また、断熱容器のリサイクル性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、外被材のヒートブリッジによる性能低下が極力少なくなるように寸法と形状を規定した真空断熱材を用いることで、断熱容器の断熱性能を向上させて、これを長期に亘り維持することと、断熱容器を分解可能な構造とする。これによって、リサイクル性を高めるだけでなく、低コストで初期の断熱性能が得られると共に、用済後に廃棄する際においても分別をしやすくすることを可能としている。
本実施形態の断熱容器は、例えば図1に断熱箱体として示すように、少なくとも内箱6と外装材7を有し、開閉可能な蓋部9を有する輸送用等の断熱容器である。そして、内箱6と外装材7の間に真空断熱材1を配設し、真空断熱材1が、少なくとも蓋部9を除いた隣り合う2面以上に亘って折り曲げて配設し、且つ、真空断熱材1の片側または両側表面に保護部材を設けている。
真空断熱材1は、内箱6の底面と4つの側面のうちいずれかの対向する2面との面積の和が大きくなる3面に配置される。この理由は、後述するような真空断熱材の代表寸法を考慮したものである。
真空断熱材1の芯材は板状とし、真空断熱材1の寸法としては、平面形状が、幅寸法と長さ寸法を掛け合わせて4倍し、それを幅寸法と長さ寸法を足し合わせて2倍した値で割ることにより得られる代表寸法が0.3 以上になる大きさとしている。このような真空断熱材を内箱6の底面を中心に、対向する2側面に沿ってコの字形状に折り曲げて配置している。
これにより、サイズの比較的小さな断熱容器、特に箱体高さが小さい場合においても、容器サイズに対して比較的大きい真空断熱材を配設することができる。したがって、外被材のヒートブリッジ影響が軽減され断熱性能の向上が可能になる。
ここでは、ヒートブリッジは、真空断熱材表面上の熱が真空断熱材端部を通じて反対面に回りこむ現象のことを示している。ヒートブリッジの影響によって、真空断熱材は端部に近い位置では断熱性能が低下する。つまり、配設される真空断熱材のサイズが大きいということに加え、同じ面積であればその形が正方形に近い程(すなわち、長辺/短辺の比率が1)、ヒートブリッジ影響を減少させることができ、断熱性能が向上する。
このヒートブリッジの影響の大小については、外被材のフィルム構成の違いにより、芯材サイズが同じ場合でも異なってくる。特にガスバリヤ層に金属箔がある場合、この部分を熱が伝わりやすくなるため、ヒートブリッジ影響が大きくなる。特に、真空断熱材のサイズによっては、ヒートブリッジの影響が断熱性能を上回り、せっかくの断熱性能を生かすことができない場合があることがわかった。
発明者らの検証によれば、一定の厚みの真空断熱材においては、矩形芯材の長辺と短辺の寸法から得られる代表寸法なる数値の大小でヒートブリッジの影響度を概ね判別できることがわかった。ここで、代表寸法Dhは真空断熱材の厚さを一定とするとき、以下の
(a)式のように表すことができる。なお、芯材長辺をLc(m)、芯材短辺をWc(m)とした。
Dh=4・Wc・Lc/{2・(Wc+Lc)} ・・・・・・(a)
この代表寸法Dhは無次元量ではなく、真空断熱材の縦横比が同一であっても真空断熱材が大きければ代表寸法は大きくなる。また、真空断熱材の厚さは、ヒートブリッジへの寄与度が小さい。例えば、厚さの薄い真空断熱材を用いる場合、一般にその芯材厚さ3〜5mm程度であり、厚い場合でも15〜20mm程度であるため、真空断熱材としてのトータルの断熱性能の良否はともかくとしても、真空断熱材厚さがヒートブリッジに対して与える影響は、長辺寸法や短辺寸法と比較して小さく抑えられる。以下では、代表寸法Dhによる評価が可能な厚さとして、厚さを3〜20mmの範囲内とした真空断熱材を用いる。
このとき、例えば芯材長辺が0.5m、芯材短辺が0.3mであるならば、代表寸法Dhは0.375 となる。このように、代表寸法は芯材の長辺と短辺に由来する係数であり、一般に長辺及び短辺が長くなるほど代表寸法は大きくなり、また、配設される真空断熱材の面積が同じときは長辺及び短辺の比率が1:1に近づくほど代表寸法は大きくなる。
上述したように、真空断熱材の芯材サイズによっては、ヒートブリッジの影響が断熱性能を上回り、せっかくの断熱性能を生かすことが出来ない場合がある。これは前述のように外被材フィルム構成の違いや真空断熱材と組み合わせる他材の影響等により異なる。そこで、真空断熱材によるヒートブリッジ影響の大小を断熱効率なる数値によって規定し、断熱効果を高めるための最適な芯材サイズを代表寸法を用いることで検討した。
図7は断熱効率と代表寸法Dhとの関係を示したグラフである。このグラフにおいて、断熱効率の数値がプラス(0より大きい)であるとき、適用された真空断熱材はヒートブリッジ影響よりも断熱効果の方が大きくなり、断熱効率の数値がマイナス(0より小さい)であるとき、適用された真空断熱材は断熱効果よりもヒートブリッジ影響の方が大きくなる。つまり、断熱効率の値が大きいほど断熱効果が高く、また、断熱効率がマイナスのときはかえって断熱性能を下げてしまうことを意味している。
例えば、一般の内容積385L以上の省エネタイプ大型冷蔵庫に設置されている真空断熱材の代表寸法Dhは0.5 以上であるものが多く、図7におけるグラフから断熱効率は高いことがわかる。以上の検証から、外被材フィルム構成に金属蒸着層を含む場合で概ねDhの値が0.2 以上、金属箔を含む場合で0.3 以上でないと真空断熱材としての断熱効果が得られない場合が多いことがわかった。
なお、Dhの値は大きい程断熱効果が大きくなるが、0.85 を超えると断熱効率の向上が微少になる一方で、芯材のサイズが大きくなるため製造上の問題が出てくることから、真空断熱材の断熱性能を有効に発揮できるDhの値の範囲としては0.3〜0.85であり、より好ましくは0.5〜0.85とするのが良い。
また、本実施形態の断熱容器は、真空断熱材が少なくともバインダを含まない無機繊維集合体からなる芯材と、この芯材を内包する内包材と、表面保護層,ガスバリヤ層および熱溶着層からなる外被材とからなり、真空断熱材の曲げ弾性率が150MPa以下であることを特徴としている。
曲げ弾性率は応力に対して物体がどれだけ変位(たわみ)するかを示しており、言い換えれば物体の曲がりやすさを示す。つまり、曲げ弾性率が小さいほど物体は曲がりやすい。バインダを含む無機繊維集合体を芯材に用いた真空断熱材は、無機繊維がバインダにより結着され固定されるため、曲げ弾性率は大きくなる。発明者らの検証では、バインダを含む無機繊維集合体を芯材に用いた真空断熱材の曲げ弾性率は200MPa以上となり、このような真空断熱材をコの字に折り曲げるのが困難であった。また、バインダを含む無機繊維集合体を芯材に用いた真空断熱材を折り曲げる場合、固化したバインダ成分による外被材の傷つきや穴あきが懸念される。
一方、少なくともバインダを含まない無機繊維集合体からなる芯材と、この芯材を内包する内包材と、表面保護層,ガスバリヤ層および熱溶着層からなる外被材とからなる真空断熱材は、無機繊維のバインダによる結着や物理的な交差が無く、曲げやすい特性を持つ。したがって、コの字形状等の曲げ形状に容易に対応できる。
本実施形態では、真空断熱材の曲げ弾性率を150MPa以下とすることで、通常は平板形状のまま適用される真空断熱材を曲がりやすくし、また、曲げた後も真空断熱材が破損しないようにしたものである。このような真空断熱材を用いることにより、持ち運びが可能なサイズの断熱容器であっても、真空断熱材のヒートブリッジの影響を小さくすることができる。
また、断熱容器は、内箱6が発泡ポリスチレン容器からなり、内箱6の真空断熱材配設部の「側面−底面−側面」に真空断熱材位置決め用の段付部6aと、内箱6の側面上部に外装材7の固定手段を有し、内箱6と真空断熱材1と外装材7が取り外し可能な構造としたことを特徴としており、万一、輸送中の振動や落下または摩擦等によって内箱6,外装材7及び真空断熱材1の何れか一つが破損、または著しく性能が劣化した場合も、断熱容器を全廃棄することなく、破損した部分のみを交換することで、断熱容器の性能を長期に亘り低コストで維持させることが可能になる。
また、内箱6の真空断熱材配設部の「側面−底面−側面」に真空断熱材位置決め用の段付部6aと、内箱6の側面上部に外装材7の固定手段を有することで、破損した内箱6,外装材7及び真空断熱材1の交換を容易にし、加工性が上がるため、リサイクルしやすい構造となっている。
これらの実施形態によれば、真空断熱材を平面視コの字に折り曲げることで、配設する真空断熱材の大型化ができ、ヒートブリッジ影響がより軽減されること。したがって、断熱性能が向上した輸送用断熱容器を提供することができる。さらに、内箱6,外装材7及び真空断熱材1を交換可能としたことで、穴あきや傷付きによる全廃棄が無くなり、対象部分の補修で対応が可能なため、補修コストを抑えると同時に性能も改善することができる。
発明者らの検証では、試験片サイズ(真空断熱材の芯材の寸法)を幅80mm,長さ250mm,厚さ10mm,支点間距離を210mmとし、その他の測定条件をJIS K 7221「硬質発泡プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して曲げ弾性率の測定を行ったところ、バインダを含む無機繊維集合体を芯材に用いた真空断熱材の曲げ弾性率は、バインダ濃度により異なるものの150MPaを超え、多くは200〜300MPaであり、コの字に曲げることは困難であった。特に曲げ部をR形状にすることは困難である。
これは芯材の表面部分でバインダが固化するためで、曲げ加工するためにはこの固化した部分を予め破壊する必要があり、従来には芯材表面に溝をプレス加工した例もあった。しかし、溝加工により芯材の板厚が減少してしまうため断熱性能が悪化する問題があった。
一方、バインダを含まない無機繊維集合体からなる芯材を用いた場合は、バインダによる固化部分が無く、繊維同士が結着していないため芯材全体に柔軟性があり、曲げ弾性率は150MPa以下を示した。
これらの多くは曲げ弾性率が概ね80〜100MPa程度であるため、溝加工をしなくても容易に曲げることができる。また、曲げ部をR形状にすることも可能で、予め曲げ加工しなくても貼り付ける対象部の形状に沿わせて曲げながら貼り付けることも可能であった。
次に外被材について説明する。金属蒸着層を含む外被材からなる真空断熱材は金属蒸着層の厚さの合計が約0.1μm程度である場合がほとんどのため、図7に示すグラフで表されるが、金属箔層を含む外被材からなる真空断熱材は箔の厚さの大小によってグラフが悪化する方向にずれる。図7に示すグラフは金属箔層の厚さが6μmのときに相当する。
図8に金属箔層の厚さを変化させたときにおける代表寸法Dhと断熱効率との関係を示す。金属箔層の厚さが6μmより大きくなると、グラフは右方向にずれはじめ、ヒートブリッジ影響が少なくなるようなDhの値はそれにつれて大きくなる。つまり、必要とされる真空断熱材の寸法が大きくなる。金属箔層の厚さが12μmを超えると、有効なDhの下限は0.3 を超えてしまい、内箱のサイズによっては真空断熱材をコの字に折り曲げて配設しても、断熱性能が低下してしまう可能性も考えられる。したがって、金属箔を含む外被材からなる真空断熱材を断熱箱体に適用する際は、一般に流通している断熱箱のサイズを考えると、金属箔層の厚さを12μm以下とすることが望ましい。
また、ラミネートされる金属箔の厚さが6μm未満の場合、ヒートブリッジ影響は低減されるが、金属箔が薄くなることでガスバリヤ性が悪くなり、長期的な信頼性の低下を招くことにつながる。また、現状では6μm未満の金属箔は技術的に製造が難しく、コストも高価であり現実的ではない。さらに、本実施形態のように折り曲げることを想定すると、曲げられた部分で局所的に箔が伸び縮みすることで、ガスバリヤ性が悪化するという懸念がある。
一方、ラミネートされる金属箔の厚さが12μmを超える場合は、ガスバリヤ性が大きくなり劣化はしにくくなるが、厚さが増すことでコストが増加するだけでなく、図8に示すようにヒートブリッジ影響が大きくなり、真空断熱材の断熱性能が低下してしまう。
以上から、実用上の適切な金属箔の厚さの範囲は6〜12μmであり、コスト,入手のしやすさ,取り扱い性,ガスバリヤ性,ヒートブリッジ影響を考慮した場合、好ましくは6〜7μmである。
配設される真空断熱材のDhの上限は、真空断熱材の貼り付け対象となる面のサイズで決まる。上述のように、代表寸法Dhは、形状が相似であっても真空断熱材の寸法が大きくなれば大きくなるためである。例えば、内容積385L以上の大型冷蔵庫に真空断熱材を配設する際のDhの上限は、内寸法が幅650mm,奥行650mm,高さ1800mmの冷蔵庫で1.8 となるが、寸法が幅250mm,長さ340mm,高さ160mmである内箱の場合では、0.4となる。
下限については、外被材に金属蒸着層を含む場合で0.2、金属箔を含む場合で0.3となり、図7のグラフから決定される。真空断熱材製作上の寸法の都合等を考慮すると、有効なDhは0.3〜0.85が現実的であり、好ましくは0.3 〜貼り付け対象面サイズから算出される数値までとなる。すなわち、貼り付け対象面の長辺をLc1(m)、短辺をWc1(m)とすると、4・Wc1・Lc1/{2・(Wc1+Lc1)}までの数値となる。
このような真空断熱材を用いることによって、本実施形態のような多面体構造の断熱容器において、断熱対象面の単面の寸法から算出される代表寸法Dhが0.3に満たない場合であっても、複数の面に跨って真空断熱材を配設することができる。したがって、代表寸法Dhが0.3以上となる真空断熱材を用い、断熱容器の断熱性能の向上に寄与するとともに、内部温度を長期に亘って維持することができる。
以下、より具体的な形態に係る輸送用断熱容器を、図面を用いて説明する。
まず、本実施例の輸送用断熱容器の構成に関して、図1及び図2を参照しながら説明する。図1及び図2は本発明の一実施例を示す断熱箱体の模式図である。
断熱容器の要部をなす断熱箱体は、被断熱輸送物を収納するための内箱6と、断熱体である真空断熱材1と、真空断熱材1を保護するための外装材7で構成されている。真空断熱材1は、横断平面に対して一ヶ所以上が折り曲げられ、内箱6の外側の所定位置に密着して設置されている。具体的には、真空断熱材1は、内箱6の底面及び側面における隣り合う2面以上に密着して設置されている。こうすることにより、大きなサイズの真空断熱材1を内箱6に配設することが可能となるため、断熱箱体の断熱性能を向上することができる。配設される真空断熱材1のサイズを大きくするため、基本的には真空断熱材1を内箱6の外側に配設することが望ましいが、内側に配設してもよい。係る真空断熱材1を用いることによって、熱漏洩量の少ない断熱箱体を提供することができる。
内箱6は、EPS容器を主に用いる。EPS容器はコストが安いだけでなく、重量が軽い上に断熱性があり、さらにクッション材としての役割もあるため、輸送に適している。
内箱6の外側に配設される真空断熱材1を固定するために、周囲をゴムバンドやPPバンド等で止めてもよい。止め具は真空断熱材1を破損させないために、突起物のないものが推奨される。また、必要に応じて、テープや両面テープ等を用いてもよい。
外装材7は、本実施形態では断熱箱体の外殻となる部材であり、ダンボール,樹脂成型品,金属,強化不織布等の布製品など、振動,落下や摩擦に強い素材を主に用いる。図1に示す例では、外装材7として、蓋部を有する容器形状をなした外装容器を用いている。
真空断熱材1が外側に配設された内箱6を外装材7に収納する際、真空断熱材1または内箱6と外装材7との間に生じた隙間を埋めて固定するために、緩衝材や断熱材などを敷き詰めてもよい。なお、好ましくは図2のように、内箱6の真空断熱材配設部の「側面−底面−側面」に真空断熱材位置決め用の段付部6aと、内箱6の側面上部に外装材7の固定手段11を有し、内箱6と真空断熱材1と外装材7が取り外し可能な構造とする。段付部6aは真空断熱材1の厚さに対して同等以上の段付とすることで、真空断熱材1が適切な位置に設置されやすくしたものである。また、固定手段11として用いられる具体的な固定部材には、例えばマジックテープ(登録商標)(商品名、(株)クラレ)に代表される面ファスナー,両面テープ,ボタン類,マグネット,接着剤等が用いられ、外装材7を固定することで、輸送過程における真空断熱材1の表面と外装材7との摩擦を抑止し、真空断熱材1の外被材2が破損し真空断熱材1がリークすることによる断熱性能の著しい低下を防止したものである。
断熱箱体の収納空間の上方には、開口部を覆う蓋部9が設けられている。図1,図2に示す例では、蓋部9にも真空断熱材1を取り付けている。
また、内箱6と外装材7との間に配設される真空断熱材1の片側または両側の表面を覆うように、保護部材10を設けている。これは、外装材7とともに断熱箱体内に収められる真空断熱材1の保護を目的としている。本実施形態では、底面にも真空断熱材が配設されていることから、収納空間内に断熱対象物が載置される際の衝撃を考慮して、内箱6側の面にも保護部材を設けてもよい。
次に、本実施例の真空断熱材1に関して、図3を参照しながら説明する。図3は真空断熱材1の単独状態の断面図である。
真空断熱材1は、芯材4と、吸着剤5と、芯材4及び吸着剤5を収納し且つガスバリヤ性フィルムからなる外被材2とを備えて構成されている。この真空断熱材1は、芯材4と吸着剤5とを外被材2に挿入した状態で、外被材2の内部を減圧し、外被材2の周縁部を熱溶着して封止することによって作製される。真空断熱材1の形状は、特に限定されず、適用される箇所と作業性に応じて各種形状及び厚さのものが適用可能である。
芯材4は、平均繊維径4μmのガラス短繊維材を適当なサイズにカットした後、吸着剤5と共に高密度ポリエチレン製の内包材3に収納し、これを圧縮プレスしながら内包材3の周縁部を熱溶着して封止することで作製される。この処理により、芯材4を外被材2にスムーズに挿入することができ、作業性が向上する。また、その際には、外被材2内を減圧する直前に内包材3の封止部をカットし、減圧を効率よく行えるようにする。
芯材4の脱水,脱ガスを目的として、外被材2への挿入前に芯材4を構成するガラス短繊維材のエージングを施すことは有効である。このときの加熱温度は最低限付着水の除去が可能であるということから、110℃以上であることが望ましく、芯材の含水率を極力減少させるためには180℃以上がより好ましい。
ガラス短繊維材としては、平均繊維径が3〜5μmであることが好ましい。ガラス短繊維材は平均繊維径により熱伝導率特性及びコストに大きく影響する。コストが安価である平均繊維径が5μm以上のグラスウール等は、繊維が同一方向に配列して繊維の接触が線に近くなるために接触熱抵抗が小さくなるので、熱伝導率及び経時劣化が大きく劣る。一方、平均繊維径が2μm未満では、繊維の接触が小さくなることで接触熱抵抗は大きくなるが、1枚当たりの厚みが薄く断熱性能が劣るため、シート状の無機繊維集合体を重ねて厚みを稼ぐことで熱伝導率と経時劣化を低減しなければならず、生産性が劣ると共にコストも高騰する。
このように、繊維径が5μm以上になると熱伝導率が高くなるために、伝熱方向に不連続で素材間の接触抵抗を有効に活用する繊維材を選定した。また、接触熱抵抗の他に熱流路がジグザグとなり、熱抵抗が増大して熱伝導率が低くなる多くの繊維材の中から、平均繊維径が3〜5μmのガラス短繊維材を選定することにより、熱伝導率や経時劣化の低減,厚み減少率の低減及び低コスト化を両立することが可能である。
なお、ガラス短繊維材の繊維方向については、真空断熱材の厚み方向に対し水平方向に並んで配列するものが断熱性能の点で好ましい。
内包材3としては、熱溶着が可能でアウトガスが発生しない袋状のものであれば何でもよいが、シール性や耐ケミカルアタック性に優れた高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
外被材2は、外層より表面保護層としてアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、ガスバリヤ層としてアルミニウム蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム(12μm)、熱溶着層として高密度ポリエチレンフィルム(50μm)、さらに耐傷付き性向上のために最外層に表面保護層としてナイロンフィルム(15μm)を用いたラミネートフィルムにより構成されている。また、各層を接着するための接着剤としては2液硬化型エステル型ウレタン系接着剤が用いられるが、特にこれに限定されるわけではない。例えば、代わりに2液硬化型エーテル型ウレタン系接着剤,アクリル系接着剤,ポリエステル系接着剤,エポキシ系接着剤,シリコン系接着剤等を用いてもよい。そして、この外被材2は、熱溶着層同士を端面で貼り合わせた袋として使用される。
外被材2において、最外層は衝撃などに対応するためのものであり、中間層はガスバリヤ性を確保するためのものであり、最内層は熱溶着によって密閉するためのものである。したがって、これらの目的に適うものであれば、全ての公知材料が使用可能である。また、更に改善する手段として、最外層に表面保護層を付与することで耐突き刺し性を向上させたり、中間層に金属蒸着層を有するフィルムを2層以上設けたり、金属箔を用いたりしてもよい。熱溶着する最内層としては、ポリプロピレン樹脂やポリアクリルニトリル樹脂などを用いてもよい。
外被材2について、さらに具体的に説明する。外被材とは、内部に気密部を設けるために芯材を覆うものであり、構成材料としては特に限定されるものではない。例えば、最外層にポリエチレンテレフタレート樹脂,中間層にアルミニウム箔,最内層に高密度ポリエチレン樹脂からなるプラスチックラミネートフィルムや、最外層にポリエチレンテレフタレート樹脂,中間層にアルミニウム蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(商品名エバール,(株)クラレ製)、最内層に高密度ポリエチレン樹脂からなるプラスチックラミネートフィルムとを袋状にしたものなどが例示される。外被材のこれら各層は、最外層は衝撃などに対応するためであり、中間層はガスバリヤ性を確保するためのものであり、最内層は熱溶着によって密閉するためである。したがって、これらの目的に適うものであれば、全ての公知材料が使用可能である。
さらに改善する手段として、最外層にポリアミド樹脂などを付与することで耐突き刺し性を向上させたり、中間層にアルミニウム蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を2層設けたりしてもよい。熱溶着する最内層としては、シール性や耐ケミカルアタック性などから高密度ポリエチレン樹脂が好ましいが、この他に、ポリプロピレン樹脂やポリアクリルニトリル樹脂などを用いてもよい。外被材の材料の具体的構成としては、例えば、最外層にポリアミド,第2層目にポリエチレンテレフタレート樹脂,第3層目にアルミニウム箔,最内層に高密度ポリエチレン樹脂からなるアルミラミネートフィルムである。
外被材2の残存有機溶剤等の脱ガスを目的として、芯材4の挿入前に外被材2のエージングを施すことは有効である。このときの条件は、各種有機溶剤の除去が可能であるということから、70℃以上及び3時間以上の加熱の後、1時間以上の真空乾燥を行うことが望ましい。
吸着剤5は、アルミノ・シリケートの含水金属塩を主成分とした合成ゼオライトであるモレキュラーシーブが用いられる。換言すると、外被材2に封入する吸着剤5としてモレキュラーシーブを用いることで、芯材4から放出される水蒸気及び外被材2を通して外部より進入するガスを吸着し、真空断熱材1の経時劣化を低く抑えることができる。好ましくは、ドラム缶などの密閉容器から取り出してすぐの吸湿の少ない状態のものを使用する。また、モレキュラーシーブの形状はペレット,ビーズ,パウダー等、特に限定されるものではない。
また、本実施例では、吸着剤成分としてモレキュラーシーブを使用しているが、真空断熱材の信頼性を向上させるために、必要に応じて生石灰,ドーソナイト,ハイドロサルタイト,金属酸化物等のガス吸着剤やバリウム−リチウム合金等の合金、更には揮発性または疎水性の有機系ガスの吸着能力を高めた疎水性モレキュラーシーブ等、公知の吸着剤を代用または併用することも有効である。また、これらの吸着剤が公知の包装材に覆われていてもよい。
また、吸着剤5は、真空断熱材1の製造時に、芯材4の繊維層内に挿入される。本実施例では、芯材4に切込部4aを設け、この切込部4a内に吸着剤5が挿入される。この挿入により、真空断熱材1の製造後において、吸着剤5が外被材2の表面に浮き出ないため、吸着剤5の粒によって外被材2を傷つけたり破断したりすることがなく、真空断熱材1の断熱性能に対する信頼性を損なうことがない。
以上のことによって、真空断熱材1の作製時の取扱性及び作業性を悪化させることなく、さらに吸着剤5のガス吸着性能を維持することが可能であり、その結果、長期に亘り断熱性能に優れた真空断熱材を提供することができる。
次に、本実施例のさらなる具体的な形態について、図4から図6を参照しながら説明する。図4は本実施例の形態1における断熱箱体の模式図、図5は本実施例の形態2における断熱箱体の模式図、図6は本実施例の形態3における断熱箱体の模式図である。
(実施例の形態1)
図4で示すように、断熱箱体は内箱6と、断熱体である真空断熱材1と、外装材7で構成されている。真空断熱材1は、横断平面に対して2ヶ所が折り曲げられ、内箱6の底面及び側面における表面積の和が最大となる隣り合う3面に密着して設置されている。さらに、天面の蓋部9には真空断熱材1が、他の側面には真空断熱材1と同等の厚みを持つ
EPS樹脂8が密着して設置されている。そして、真空断熱材1及びEPS樹脂8が外側に配設された内箱6が外装材7に収納されている。このときに設置された真空断熱材1の代表寸法Dhは底面及び側面に適用されるコの字形状の真空断熱材で0.39 であり、天面に適用される真空断熱材で0.27である。
内箱6はEPS容器を、外装材7はダンボールが用いられ、真空断熱材1は芯材4と、吸着剤5と、芯材4及び吸着剤5を収納し且つガスバリヤ性フィルムからなる外被材2とを備えて構成されている。この真空断熱材1は、芯材4と吸着剤5とを外被材2に挿入した状態で、外被材2の内部を減圧し、外被材2の周縁部を熱溶着して封止することによって作製される。また、内箱6のサイズ(外寸)は内箱6の蓋面を含めると、幅250mm,長さ340mm,高さ160mmである。
芯材4はガラス短繊維材を、吸着剤5は合成ゼオライトを、外被材2は最外層が表面保護層,中間層がガスバリヤ層,最内層が熱溶着層で構成され、各層間が2液硬化型エステル型ウレタン系接着剤で接着されたラミネートフィルムを用いている。
外被材2のラミネート構成を変更して作製した各種真空断熱材を断熱箱体に配設し、断熱性能の評価を行った。樹脂容器に入った20本の試験管中における凍結状態の生理食塩水を検体として、4kgのドライアイスと共に内箱6に設置し封かんした断熱箱体を5℃の恒温室中に放置し、温度変化を観測した。断熱性能は、検体の温度が−20℃以下の温度を保持できる時間で評価した。以下、評価したラミネート構成と実験結果を実施例1及び2で示す。
(実施例1)
外被材のラミネート構成を、外層より表面保護層としてアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、ガスバリヤ層としてアルミニウム蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム(12μm)、熱溶着層として高密度ポリエチレンフィルム(50μm)、さらに耐傷付き性向上のために最外層に表面保護層としてナイロンフィルム(15μm)とした真空断熱材(以下、アルミ蒸着フィルム仕様真空断熱材と記載する)を適用した断熱箱体を作製し、評価を行った。なお、真空断熱材の厚さは、以下の実施例,比較例で全て10mmとした。その結果、検体の温度が
−20℃を保持した時間は102時間であった。
(実施例2)
外被材のラミネート構成を、外層より表面保護層としてアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、ガスバリヤ層としてアルミニウム箔(6
μm)、熱溶着層として高密度ポリエチレンフィルム(50μm)、さらに耐傷付き性向上のために最外層に表面保護層としてナイロンフィルム(15μm)とした真空断熱材
(以下、アルミ箔フィルム仕様真空断熱材と記載する)を適用した断熱箱体を作製し、評価を行った。その結果、検体の温度が−20℃を保持した時間は90時間であった。
(実施例の形態2)
図5で示すように、断熱箱体は内箱6と、断熱体である真空断熱材1と、外装材7で構成されている。実施の形態1における断熱箱体において、内箱6にEPS樹脂8を設置する代わりに同寸法の真空断熱材が密着して設置されている。このときに設置された真空断熱材1の代表寸法Dhは底面及び側面に適用されるコの字形状の真空断熱材で0.39 であり、天面に適用される真空断熱材で0.27 であり、コの字形状の真空断熱材が適用されない他の側面に適用される真空断熱材で0.15である。
なお、その他の断熱箱体の構成及び実験条件は、実施の形態1と同等である。以下、評価したラミネート構成と実験結果を実施例3で示す。
(実施例3)
外被材のラミネート構成をアルミ蒸着フィルム仕様とした真空断熱材を適用した断熱箱体を作製し、評価を行った。その結果、検体の温度が−20℃を保持した時間は83時間であった。
(比較例の形態1)
図6で示すように、断熱箱体は内箱6と、断熱体である真空断熱材1と、外装材7で構成されている。実施の形態1における断熱箱体において、内箱6にコの字に折り曲げられた真空断熱材1を設置する代わりに、折り曲げられていない真空断熱材が側面及び底面を覆うように各1枚ずつ密着して設置されている。このときに設置された真空断熱材1の代表寸法Dhは天面及び底面に適用される真空断熱材で0.27 であり、側面に適用される真空断熱材で0.16である。
なお、その他の断熱箱体の構成及び実験条件は、実施の形態1と同等である。以下、評価したラミネート構成と実験結果を比較例1で示す。
(比較例1)
外被材のラミネート構成をアルミ蒸着フィルム仕様とした真空断熱材を適用した断熱箱体を作製し、評価を行った。その結果、検体の温度が−20℃を保持した時間は61時間であった。
次に、本発明に対する比較例を以下に示す。比較例としては、断熱体である真空断熱材1及び外装材7を除いた条件で同様に調査を行った。
(比較例2)
真空断熱材1が設置されていないEPS容器からなる箱体(図示せず)に検体入り樹脂容器を4kgのドライアイスと共に設置し封かんした後、5℃の恒温室中に放置し、温度変化を観測した。その結果、検体の温度が−20℃を保持した時間は43時間であった。
実施例1から3及び比較例1から2の結果より、代表寸法が0.3以上且つ0.85以下であり、かつ、横断平面に対して2ヶ所が折り曲げられた真空断熱材1が内箱6の底面及び側面における表面積の和が最大となる隣り合う3面に密着して設置され、内箱6が発泡ポリスチレン容器からなり、内箱6の真空断熱材配設部の「側面−底面−側面」に真空断熱材位置決め用の段付部6aと、内箱6の側面上部に外装材7の固定手段11を有し、内箱6と真空断熱材1と外装材7が取り外し可能な構造とした断熱箱体を用いることで、断熱性能の向上ができることが示された。
また、ガスバリヤ層としてアルミニウム蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムが使用された真空断熱材(アルミ蒸着フィルム仕様真空断熱材)が配設された断熱箱体は、ガスバリヤ層としてアルミニウム箔が使用された真空断熱材(アルミ箔フィルム仕様真空断熱材)が配設された断熱箱体より断熱性能が高いことが示された。これは、アルミニウム蒸着層に対し、アルミニウム箔の方が外被材中におけるアルミニウム成分の厚さが大きいことから、外被材上での熱伝導が大きくなるため、前者に適用された真空断熱材のフィルム構成に対し、後者に適用された真空断熱材のフィルム構成におけるヒートブリッジ影響が大きく、断熱箱体の断熱性能が低下したことによるものと考えられる。
また、横断平面に対して2ヶ所が折り曲げられた真空断熱材が密着していない内箱の他の側面にEPS樹脂が配設された断熱箱体(図4の形態)は、同じ位置に真空断熱材が配設された断熱箱体(図5の形態)より断熱性能が高いことが示された。これは、後者断熱箱体の側面に適用された折り曲げられていない2枚の真空断熱材の代表寸法が0.15 と小さいために断熱効率がマイナスとなり、ヒートブリッジ影響が大きくなることで、断熱箱体の断熱性能が低下したことによるものと考えられる。
また、横断平面に対して2ヶ所が折り曲げられた真空断熱材が密着していない内箱の他の側面にEPS樹脂が配設された断熱箱体(図4の形態)は、天面と側面及び底面を覆うように各1枚ずつ密着して配設された断熱箱体(図6の形態)より断熱性能が高いことが示された。これは、折り曲げられた真空断熱材の代表寸法が約0.39 であることに対して、後者断熱箱体の各面に配設された真空断熱材の代表寸法が底面で約0.27 、側面で約0.16といずれも0.3より小さく、特に側面における代表寸法が小さいことから断熱効率がマイナスとなり、配設された真空断熱材におけるヒートブリッジ影響が大きくなることで、断熱箱体の断熱性能が低下したと考えられる。
以上のことから、ヒートブリッジによる断熱性能の低下を減少させるために、代表寸法を0.3以上且つ0.85以下とした、より大きなサイズの真空断熱材を横断平面に対して折り曲げ、容器形状に合わせて配設することで、小さな容器に対しても断熱性能の向上を図ることができるといえる。また、折り曲げられた真空断熱材をそのまま交換可能とすることで、補修コストを低減させるだけでなく、断熱箱体の断熱性能における信頼性を長期に亘って維持することが可能である。
海外への輸送を考慮した場合は72時間以上の温度維持が必要となるが、本実施形態における断熱容器は、検体の温度を−20℃に保持できる時間が少なくとも72時間以上であり、輸送時において一定の温度帯を長時間維持する必要のある被輸送物の保冷用途に十分適しているといえる。
したがって、断熱箱体を日常における保冷用途に用いることはもちろん、断熱の信頼性が特に必要な医療用の保冷輸送容器等への用途にも適用することができる。
本発明の一実施例を示す断熱箱体の模式図である。 本発明の一実施例を示す断熱箱体の模式図である。 真空断熱材の単独状態の断面図である。 本発明の実施例の形態1における断熱箱体の模式図である。 本発明の実施例の形態2における断熱箱体の模式図である。 本発明の比較例の形態1における断熱箱体の模式図である。 本発明における代表寸法と断熱効率の関係図である。 金属箔層の厚さ変化と断熱効率との関係を示す図である。
符号の説明
1…真空断熱材、2…外被材、3…内包材、4…芯材、4a…切込部、5…吸着剤、6…内箱、6a…段付部、7…外装材、8…EPS樹脂(発泡ポリスチレン)、9…内箱蓋部、10…保護部材、11…固定手段。

Claims (4)

  1. 内箱と外装材との間に断熱材を有し、開閉可能な蓋部を有する断熱容器において、
    前記内箱と前記外装材との間で、前記断熱容器の底面を含んで隣り合う2面以上に亘って折り曲げられて配設される真空断熱材と、
    前記真空断熱材の片面側または両面側に設けられ前記真空断熱材を突き刺しの外力から保護する保護部材とを備え、
    前記内箱に容器状に形成された発泡ポリスチレンを用い、前記真空断熱材は前記内箱の外面に当接して設置され、前記内箱の外面に前記真空断熱材の厚さ以上の段差部を有し、前記内箱の側面上部に前記外装材を固定する固定手段が設けられ、前記内箱と前記真空断熱材と前記外装材とを着脱可能とした断熱容器。
  2. 前記真空断熱材は、前記底面と隣り合う4つの側面のうち対向する2面と前記底面とを合わせた3面の面積の和が大きくなる3面に、断面コの字形状に折り曲げられて配設されることを特徴とする請求項1記載の断熱容器。
  3. 前記真空断熱材の平面形状は、長辺長さをLc、短辺長さをWcとしたときに式(a)で表される代表寸法Dhを0.3以上としたことを特徴とする請求項2記載の断熱容器。
    Dh=4・Wc・Lc/{2・(Wc+Lc)} ・・・・・・(a)
  4. 前記真空断熱材は、バインダを含まない無機繊維集合体からなる芯材と、前記芯材を内包する内袋と、表面保護層,ガスバリヤ層及び熱溶着層を有する外被材とを備えてなり、前記外被材内を減圧密封した後の曲げ弾性率が150MPa以下であることを特徴とする請求項3に記載の断熱容器。
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