JP6831622B2 - 保冷保温用箱体 - Google Patents
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Description
また、保温や保冷を要しない被搬送物を定温室内に収容する場合、上記収容部に蓄熱剤を配置する必要がないところ、特許文献1で開示される筐体の構造では、蓄熱剤の配置の有無に因らず上記パネルの板厚が一定であり、板厚の調整ができない。このため、定温室内の温度調整が不要である場合に、定温室の内容積を調整して被搬送物の収容量を増やすことができず、収容効率が悪いという問題がある。さらに、断熱層は、収容部が位置する部分の板厚が小さくなっていることから、上記収容部に蓄熱剤が配置されない場合、上記収容部が位置する部分の断熱性能が低下してしまい、収容空間において一定の断熱性を確保できない恐れがある。
本発明の保冷保温用箱体は、天面板、底面板、および側面板により収容空間を形成する筐体を有する保冷保温用箱体であって、上記筐体の上記収容空間側の表面上には、断熱パネルが配置され、上記側面板の少なくとも一面に配置された上記断熱パネルの、上記収容空間側の表面上には、付加機能部品の着脱を可能とするジョイント部を有することを特徴とするものである。
なお、筐体を形成する天面板、底面板、および側面板を、総じて筐体の「壁板」と称する場合がある。
図1に示すように、本発明の保冷保温用箱体10は、天面板1、底面板2、および側面板3により収容空間Sを形成する筐体を有する。図1では、4面の側面板からなる四角柱の保冷保温用箱体10の例を示す。筐体の収容空間S側の表面上には、断熱パネル11が配置されている。なお、図示していないが、図1(a)において、天面板1の収容空間S側の表面上にも、同様に断熱パネルが配置されている。
側面板3の少なくとも一面に配置された断熱パネル11の、収容空間S側の表面上には、付加機能部品の着脱を可能とするジョイント部12を有する。
以下、本発明の保冷保温用箱体の各構成について説明する。
本発明におけるジョイント部は、上記側面板の少なくとも一面に配置された上記断熱パネルの、上記収容空間側の表面上に配置され、付加機能部品の着脱を可能とするものである。
具体的には、追加断熱材、蓄熱または蓄冷部材、収容物固定用ベルト、保護パネル等が挙げられる。
蓄熱剤および蓄冷剤は、通常、潜熱蓄熱剤が主材料として用いられるが、潜熱蓄熱剤と顕熱蓄熱剤との混合物を用いてもよい。潜熱蓄熱剤および顕熱蓄熱剤については、特開2014−211221号公報に開示されるものが挙げられる。蓄熱剤や蓄冷剤は、温度変化によって線膨張して体積変化を生じることから、蓄熱または蓄冷部材は、空隙のある材料の中に蓄熱剤や蓄冷剤が封入されたものや、蓄熱剤や蓄冷剤を布材に含浸させたものを用いることができる。
本発明の保冷保温用箱体10に、例えばロール状の原反30を収容する場合に、収容物固定用ベルト20Cにより断熱パネル11に固定することで、搬送時における原反の転倒等を防止することができる。収容物固定用ベルトについては、従来公知のものを用いることができる。
筐体の壁板の一面あたりに配置されるジョイント部の数は、1つ以上であれば特に限定されず、付加機能部品の種類等に応じて適宜設定することができる。
また、後述するように、上記断熱パネルが収容空間側の表面上に保護材を有する場合、上記ジョイント部は、上記保護材を介して上記断熱パネルの上記収容空間側の表面上に配置される。
本発明における断熱パネルは、上記筐体の上記収容空間側の表面上に配置される。
上記断熱パネルは、断熱材により構成される。上記断熱パネルを構成する断熱材は、所望の断熱性を発揮するものであればよく、例えば、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、インシュレーションボード等の繊維系断熱材、羊毛、炭化コルク等の天然素材系断熱材、押出法発泡ポリスチレン、ビーズ法ポリスチレン、硬質ウレタンフォーム、高発泡ポリエチレン、フェノールフォーム等の発泡プラスチック系断熱材、真空断熱材等を挙げることができる。
中でも、本発明においては、上記断熱パネルが、真空断熱材で構成されていることが好ましい。真空断熱材は小さい板厚で高断熱性能を発揮することが可能であることから、収容空間の内容積をより大きく確保することができ、且つ、収容空間内の保冷保温機能を高めることができるからである。
以下、上記断熱パネルに用いられる真空断熱材について説明する。
真空断熱材は、芯材および芯材を被覆する外装材を有する。真空断熱材は、上記芯材が上記外装材により封入され、上記外装材の内部が減圧密封されており、内部が高真空度を示す。
芯材としては、従来公知の真空断熱材の芯材に用いられる材質のものを用いることができ、例えば、シリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体が挙げられる。上記多孔質体は空隙率が50%以上、中でも90%以上であることが好ましい。熱伝導率の低い芯材とすることができるからである。
外装材としては、熱溶着層およびガスバリア層を少なくとも有する積層体が用いられる。真空断熱材においては、上記外装材を構成する上記2層が、芯材側から上述の順で積層されている。外装材は、通常、可とう性があるフィルムまたはシートである。
上記ガスバリア層は、外部からの水、酸素、窒素等のガスの浸入を遮断する機能を有する。
上記ガスバリア層としては、金属箔、樹脂フィルムの片面に蒸着層が形成された蒸着フィルム等が挙げられる。
金属箔の金属材料としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタニウム等が挙げられる。
また、蒸着フィルムにおける、樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリアミド樹脂(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等が挙げられる。蒸着層を構成する材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、酸化珪素等の無機化合物等が挙げられる。
なお、酸素透過度は、JIS K7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件下において酸素透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、オクストラン(OXTRAN))を用いて測定した値である。また、水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した値である。
上記熱溶着層は、外装材で芯材を封入する際に、上記外装材の周縁を熱溶着させて封止する機能を有する。
上記熱溶着層の材料としては、例えばポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
上記外装材は、保護層を有することが好ましい。上記保護層を有することで、熱溶着層およびガスバリア層を保護し、併せて真空断熱材の内部を保護することができるからである。保護層は、通常、ガスバリア層に対し熱溶着層側とは反対側に配置され、真空断熱材の最外層となる。
上記外装材は、保護層やガスバリア層を複数有していてもよい。例えば、熱溶着層と保護層との間にガスバリア層を2層以上設けてもよく、ガスバリア層の上に保護層を2層以上設けてもよい。また、熱溶着層とガスバリア層との間に別の保護層が設けられてもよい。
上記真空断熱材は、外装材が透明である場合に、内部に検知剤を含んでいてもよい。検知剤の変化から内部の真空状態を確認できるからである。検知剤については、例えば特開2015−117801号公報に開示される酸素検知剤や水分検知剤等の気体検知剤、温度検知剤等を用いることができる。上記検知剤は真空断熱材の内部に分散されていてもよく、所望の位置に固定配置されていてもよい。
断熱パネルの厚さは、所望の断熱性を有することができれば特に限定されず、保冷保温用箱体の用途やサイズ、収容空間の内容積、使用する断熱材等に応じて適宜設定することができる。
また、断熱パネルの大きさについては、所望の断熱性を有することができれば特に限定されず、保冷保温用箱体の用途や筐体を構成する壁板の壁面サイズ、収容空間の内容積等に応じて適宜設定することができる。
断熱パネルの平面(板面)形状については、筐体の収容空間側の表面上を覆うことができればよく、筐体を構成する壁板の壁面形状に応じて適宜選択することができる。
断熱パネルの熱伝導率は、所望の断熱性を示すことができれば特に限定されず、使用する断熱材にもよるが、例えば100mW/(m・K)以下、中でも50mW/(m・K)以下、特に25mmW/(m・K)以下であることが好ましい。
断熱パネルの熱伝導率は、上述の真空断熱材の熱伝導率と同様の測定方法により測定することができる。
本発明における筐体は、天面板、底面板、および側面板により収容空間を形成するものである。
上記壁板は、全てが同一の材質であってもよく、天面板、底面板、および側面板の少なくとも1つが異なる材質であってもよい。
天面板および底面板の形状については、収容空間の形状に応じて適宜設定することができる。また、側面板の形状としては、例えば、正方形、長方形等の四角形が挙げられる。
上記筐体における側面板の数は、収容空間の形状に応じて適宜設定されるが、少なくとも1面(収容空間の形状が円柱である場合)以上である。側面板を複数有する場合、複数の上記側面板は、上述の収容空間の形状に応じて全て同一形状であってもよく、異なる形状であってもよい。
上記筐体の、組立および解体可能な構造とは、例えば、天面板、底面板、および側面板が全て外れる構造、複数の側面板が折り畳み機構を有して連結しており、上記天面板および底面板が上記複数の側面板から外れる構造、天面板が複数の側面板から取外し可能であるか、若しくは、上記天面板が1面の上記側面板に回動可能に接続されており、複数の上記側面板と底面板とは回動可能に接続されており且つ上記底面板の平板面上に複数の上記側面板の平板面が重なるようにして折り畳み可能な構造、等が挙げられる。
本発明においては、上記筐体の上記収容空間側の表面上に断熱パネルが配置されている。上記断熱パネルは、上記筐体の上記収容空間側の表面の全面を覆うように配置されていてもよく、上記表面の一部を覆う様に配置されていてもよいが、通常は、上記筐体の上記収容空間側の表面の全面を覆うように配置されることが好ましい。
本発明の保冷保温用箱体は、常設用途や、組立および解体を伴う仮設用途の何れの用途においても用いることができる。具体的な用途としては、建築物、自動車、電車、船舶、飛行機、電化製品、物流関連の保冷保温手段、あるいはコンテナ、保冷保温庫、保冷保温機能を備えた搬送用パレット等が挙げられる。また、仮設住宅等の建築用途として用いることも可能である。
2 … 底面板
3 … 側面板
10 … 保冷保温用箱体
11 … 断熱パネル
12 … ジョイント部
20 … 付加機能部品
S … 収容空間
Claims (4)
- 天面板、底面板、および側面板により収容空間を形成する筐体を有する保冷保温用箱体であって、
前記筐体の前記収容空間側の表面上には、断熱パネルが配置され、
前記側面板の少なくとも一面に配置された前記断熱パネルの、前記収容空間側の表面上には、追加の断熱パネル、収容物固定用ベルト、および保護パネルのいずれかである付加機能部品が装着され、かつ、当該付加機能部品の着脱を可能とするジョイント部を有することを特徴とする保冷保温用箱体。 - 天面板、底面板、および側面板により収容空間を形成する筐体を有する保冷保温用箱体であって、
前記筐体の前記収容空間側の表面上には、断熱パネルが配置され、
前記側面板の少なくとも一面に配置された前記断熱パネルの、前記収容空間側の表面上には、追加の断熱パネルおよび保護パネルのいずれかである第1の付加機能部品が装着され、かつ、当該第1の付加機能部品の着脱を可能とする第1のジョイント部を有し、
前記第1の付加機能部品の前記収容空間側の表面上には、更に、追加断熱材、蓄熱または蓄冷部材、収容物固定用ベルト、および保護パネルのいずれかである第2の付加機能部品が装着され、かつ、当該第2の付加機能部品の着脱を可能とする前記第1のジョイント部と同一の種類または異なる種類である第2のジョイント部を、前記第1の付加機能部品の前記収容空間側の表面上に有することを特徴とする保冷保温用箱体。 - 前記断熱パネルおよび前記追加の断熱パネルの少なくともいずれかが、真空断熱材で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保冷保温用箱体。
- 前記断熱パネルが、前記筐体の前記収容空間側の表面に着脱可能に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の保冷保温用箱体。
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