以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真式のプリンタであり、媒体としての用紙Pにカラーの画像を形成する(すなわち印刷する)ことができる。因みに画像形成装置1は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、プリンタ機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
画像形成装置1は、略箱型に形成されたプリンタ筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
画像形成装置1は、制御部3により全体を統括制御するようになっている。この制御部3は、コンピュータ装置等の上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。制御部3は、この上位装置から印刷対象の画像を表す画像データが与えられると共に当該画像データの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
プリンタ筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する用紙収容カセット4が設けられている。用紙収容カセット4の前上方には、給紙部5が設けられている。給紙部5は、複数枚の用紙Pを分離して1枚のみを送り出す給紙ローラ及び分離ローラ、用紙Pを搬送路Uに沿って上方へ案内する搬送ガイド、搬送路Uを挟んで互いに対向する位置に配置された搬送ローラ対等により構成されている。
給紙部5は、制御部3の制御に基づいて各ローラを適宜回転させることにより、用紙収容カセット4に集積された状態で収容されている用紙Pを1枚ずつ分離しながらピックアップし、搬送ガイド及び搬送ローラ対により搬送路Uに沿って前上方へ進行させ、やがて後上方へ折り返して後方へ送り出す。
給紙部5における搬送路Uに沿った後側には、用紙Pの搬送状態や大きさ等を検知するセンサ6が設けられている。センサ6は、いわゆる光学センサであり、発光部から受光部へ進行する検知光を搬送路Uと交差させるように配置され、受光部による検知結果を制御部3に供給している。制御部3は、このセンサ6から取得した検知結果を基に、用紙Pの搬送状態を認識すると共に、該用紙Pの大きさ、すなわち搬送路Uに沿った方向の長さ及び左右方向(すなわち主走査方向)のおおよその長さをそれぞれ認識する。
センサ6の後側には、左右方向から見て、搬送路Uが後方へ向けてやや上昇するように傾斜した直線に沿って形成されており、その下側に中搬送部7が配置されている。中搬送部7は、前側に配置された前ローラ8及び後側に配置された後ローラ9の周囲に無端ベルトでなる搬送ベルト10が張架された構成となっている。
この中搬送部7は、図示しないベルト駆動モータから後ローラ9に駆動力が伝達されると、該後ローラ9を矢印R2方向へ回転させ、これに伴って搬送ベルト10を走行させる。このとき搬送ベルト10は、搬送路Uに沿った上側部分、すなわち前ローラ8及び後ローラ9の間に張架された部分を、後上方向へ進行させる。このとき中搬送部7は、給紙部5から用紙Pが引き渡されると、該搬送ベルト10の上側に用紙Pを載置した状態で、該搬送ベルト10の走行に伴って該用紙Pを後上方向へ進行させる。
中搬送部7の上側であり、搬送路Uを挟んで該中搬送部7の反対側には、4個の画像形成ユニット11K、11Y、11M及び11Cが前側から後側へ向かって順に配置されている。画像形成ユニット11K、11Y、11M及び11C(以下これらをまとめて画像形成ユニット11とも呼ぶ)は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。
画像形成部としての画像形成ユニット11は、図2に模式的な側面図を示すように、画像形成転写部12、トナーカートリッジ13及びプリントヘッド14により構成されており、その下側に配置された転写ローラ17との間に搬送ベルト10を挟んでいる。因みに画像形成ユニット11及びこれを構成する各部品は、用紙Pにおける左右方向の長さに応じて、左右方向に十分な長さを有している。このため多くの部品は、前後方向や上下方向の長さに対して左右方向の長さが比較的長くなっており、左右方向に沿って細長い形状に形成されている。
トナーカートリッジ13は、現像剤としてのトナーを収容しており、画像形成転写部12の上方に取り付けられ、収容しているトナーを該画像形成転写部12へ供給する。画像形成転写部12には、複数のローラが設けられると共に、感光体ドラム15が設けられている。各ローラ及び感光体ドラム15は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、回転可能に支持されている。さらに感光体ドラム15は、その周側面が帯電し得るように構成されている。プリントヘッド14には、多数のLED(Light Emitting Diode)でなる発光素子が、主走査方向である左右方向に沿って直線状に配置されている。
画像形成転写部12は、図示しないモータから駆動力が供給されることにより、各ローラを適宜回転させると共に、感光体ドラム15を矢印R1方向へ回転させる。またプリントヘッド14は、制御部3(図1)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで発光し、感光体ドラム15の周側面を順次露光し、照射した光により該感光体ドラム15の周側面に静電潜像を形成する。続いて画像形成転写部12は、感光体ドラム15の周側面にトナー(現像剤)を付着させることにより静電潜像に応じたトナー画像(以下これを現像剤画像とも呼ぶ)を形成し、該感光体ドラム15の回転により、トナー画像が形成された部分を下端近傍に到達させる。
画像形成ユニット11(図1)は、搬送ベルト10により搬送路Uに沿って用紙Pが搬送されていた場合、感光体ドラム15及び転写ローラ17との間に該搬送ベルト10及び該用紙Pを挟み込み、トナー画像を該感光体ドラム15の周側面から該用紙Pに転写させる。このようにして各画像形成ユニット11は、搬送路Uに沿って前方から搬送されて来る用紙Pに対し、それぞれの色によるトナー画像を順次転写して重ねながら、後方へ進行させていく。
中搬送部7の後端近傍には、定着部18が設けられている。定着部18は、搬送路Uに沿って搬送される用紙Pに熱及び圧力を加えることにより、該用紙Pにトナー画像を定着させ(詳しくは後述する)、さらに後方へ引き渡す。
定着部18の後方には、排紙部19が配置されている。排紙部19は、給紙部5と同様、用紙Pを案内するガイドや複数の搬送ローラ等の組み合わせにより構成されている。この排紙部19は、制御部3の制御に従って各搬送ローラを適宜回転させることにより、定着部18から引き渡される用紙Pを後上方へ搬送してから前方へ向けて折り返し、プリンタ筐体2の上面に形成された排出トレイ2Tへ排出する。
[2.定着部の構成]
次に、定着部18の構成について説明する。図3に斜視図を示すと共に図4(A)に模式的な断面図を示すように、定着装置としての定着部18は、大きく分けて、全体を囲むように形成された筐体21、搬送路Uの上側に配置された発熱ローラ部22及び該搬送路Uの下側に配置されたバックアップローラ部23により構成されている。
[2-1.筐体の構成]
第2フレームとしての筐体21(図3)は、全体として直方体状であり、その前面及び後面の中央部分を前後に貫通するように大きくくり抜かれた部分に、発熱ローラ部22及びバックアップローラ部23がそれぞれ組み込まれている。また筐体21における左右の両側面には、発熱ローラ部22の一部を挿通させるための挿通孔や、バックアップローラ部23部を回転可能に支持する軸孔等、複数の孔部が適宜穿設されている。
これに加えて筐体21における左右の両側面には、上下方向の略中央における前端近傍に、左右方向に貫通する丸孔でなる発熱ローラ部回動中心孔31が穿設されている。この発熱ローラ部回動中心孔31には、左右それぞれにおいて、発熱ローラ部回動シャフト24が挿通されるようになっている。各発熱ローラ部回動シャフト24は、中心軸24Cを左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、その直径が発熱ローラ部回動中心孔31の孔径よりも僅かに短く、且つ左右方向の長さが十分に短くなっている。
また筐体21における左右の両側面には、後側の上端近傍に、左右方向に貫通する丸孔でなるカムシャフト軸孔32が設けられている。このカムシャフト軸孔32には、カムシャフト25が挿通されている。カムシャフト25は、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状でなり、カムシャフト軸孔32により回転可能に支持されている。すなわちカムシャフト軸孔32は、カムシャフト25を回転可能に支持する軸孔として機能する。
カムシャフト25には、筐体21における左右の両側板のやや内側に、カム26がそれぞれ取り付けられている。カム26は、中心軸を左右方向に沿わせた扁平かついびつな円柱状に形成され、その中心からやや外れた箇所においてカムシャフト25により左右方向に貫通され、該カムシャフト25と一体に回転し得るようになっている。すなわちカム26は、カムシャフト25の回転中心を中心軸と見なす場合、該中心軸から周側面までの距離が不統一となっている。説明の都合上、以下では、カム26のうち半径が最も長い部分及びその近傍を長径部26Aと呼び、半径が最も短い部分及びその近傍を短径部26Bと呼ぶ。
因みに、カムシャフト25の右端には、図示しないギアが取り付けられている。このギアは、筐体21の右側に取り付けられる複数のギア(図示せず)を介して、図示しないモータからの駆動力が伝達される。このため定着部18は、このモータが回転して駆動力がカムシャフト25に伝達されると、該カムシャフト25と一体にカム26を回転させることができる。
また筐体21におけるカム26の前方には、ばね取付部33が設けられている。このばね取付部33には、ばね28が取り付けられる。ばね28は、概ね前後方向に沿った仮想的な巻付軸を中心に螺旋状に巻回されたコイルばねであり、その前端部分が筐体21のばね取付部33に固定される。
このばね28は、自然長において、その後端がカム26の前端部分よりも後側に到達している。このためばね28は、例えば後端付近に前方へ向かう力が加えられて圧縮されると、その後端をカム26の前端部分よりも前側に位置させると共に、復元力の作用により、後端部分において後方へ向かう付勢力を作用させることができる。
さらに筐体21(図3)の左側面には、その大部分を覆うようにして左取付ガイド34が取り付けられている。この左取付ガイド34は、樹脂材料による成型部品であり、全体として左右方向に薄い板状に形成され、突起や溝及び孔等(図示せず)が適宜設けられている。また左取付ガイド34の上側部分には、接続ケーブル(後述する)を案内及び保持するためのケーブル保持部35が設けられている。
また左取付ガイド34の下端近傍には、配線中継部36が取り付けられている。この配線中継部36には、複数のコネクタをそれぞれ接続するための複数の接続スロット(図示せず)が適宜形成されている。各接続スロットは、各コネクタに合わせた形状に形成されており、また各コネクタ内に設けられたコネクタ側端子とそれぞれ電気的に接続されるスロット側端子も適宜配置されている。
配線中継部36の下面側には、例えば画像形成装置1のプリンタ筐体2と電気的に接続するための本体接続スロット(図示せず)が設けられており、該プリンタ筐体2内に敷設されたケーブル(図示せず)の先端に取り付けられた本体側コネクタ(図示せず)が挿入され、電気的に接続される。
また配線中継部36の内部には、発熱ローラ部22と電気的に接続するための発熱ローラ接続スロットが設けられており、2本のケーブル37が接続されている。ケーブル37は、芯線の端部に金属製の接続端子(図示せず)が圧着されており、この接続端子が樹脂製のコネクタ38に組み込まれている。コネクタ38は、後述するように、発熱ローラ部22の一部であるホルダコネクタ45の前側に挿入されると(詳しくは後述する)、プリンタ筐体2内に設けられた所定の回路と発熱ローラ部22とを電気的に接続する。
さらに、筐体21の左側面には、接続ケーブル46が設けられている。この接続ケーブル46は、ケーブル部47、コネクタ48及び接続端子49により構成されている(図10を参照しながら後述する)。ケーブル部47は、導電性を有する金属製の細い線材が多数集積されてなる芯線の周囲を、絶縁性を有すると共に可撓性を有する被覆材により被覆した構成となっている。このケーブル部47は、両端の間で電力や電気信号を伝送(供給)でき、また比較的小さい外力により容易に撓むものの、芯線及び被覆材の性質により弾性力を作用させ、元の形状(すなわち直線状)に戻ろうとする力が作用する場合がある。コネクタ48は、コネクタ38と同様に樹脂材料によって構成されており、ケーブル部47の一端において芯線及び被覆の端部に圧着された金属製の接続端子が組み込まれている。接続端子49は、金属製であり、ケーブル部47の他端において芯線及び被覆に圧着されている。
この接続ケーブル46は、コネクタ48がホルダコネクタ45の後側に挿入されると共に、ケーブル部47における接続端子49近傍の一部分がケーブル保持部35に沿って配線され、該接続端子49が筐体21に設けられた所定の筐体側接続端子(図示せず、以下これをフレーム側接続端子とも呼ぶ)に接続されている。またコネクタ48は、ケーブル37と同様に構成されたケーブル39により、配線中継部36の内部とも接続されている。
[2-2.発熱ローラ部及びバックアップローラ部の構成]
発熱部としての発熱ローラ部22は、図5に模式的な斜視図を示すと共に図6にその分解斜視図を示すように、大きく分けてヒータユニット41、該ヒータユニット41の左右両端近傍に取り付けられた発熱ローラホルダ42L及び42R、定着ベルト43、該定着ベルト43を支持するベルトガイド44L及び44Rにより構成されている。
ヒータユニット41は、全体として左右方向に長い直方体状に形成されており、電力が供給されると発熱する発熱抵抗体(すなわちヒータ)が設けられた板状のヒータ基板や、該ヒータ基板を保持する樹脂製のホルダヒータ、該ホルダヒータを支持する金属製のヒータ支持部材等により構成されている。またヒータユニット41の左端には、ホルダコネクタ45が取り付けられている(詳しくは後述する)。
第1フレームとしての発熱ローラホルダ42Lは、全体として左右方向に薄い板状に形成され、上底よりも下底が長い台形状に形成されている。この発熱ローラホルダ42Lは、例えば十分な厚さを有する鋼板に所定の切削加工や屈曲加工等が施されることにより製造される。また発熱ローラホルダ42Lは、前後方向の中央におけるやや下寄りとなる箇所に、ヒータユニット41を挿通させるための角孔でなるヒータ挿通孔51が左右方向に貫通するように穿設され、さらにこのヒータ挿通孔51の前下側に、発熱ローラ部22の回動中心となる回動中心孔52が穿設されている。
発熱ローラホルダ42Lの後上側には、後側が平坦に形成されたカム付勢部53が形成されると共に、該カム付勢部53の前側に、前方に向けて突出した複数の突起でなるばね受け部54が立設されている。また発熱ローラホルダ42Lにおけるヒータ挿通孔51の上側には、ヒータユニット41に取り付けるための取付板55が設けられている。
定着ベルト43は、可撓性を有すると共に耐熱性を有する材料により構成された無端ベルトであり、中心軸を左右方向に沿わせた円筒状に形成されている。
ベルトガイド44Lは、全体として中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、前後方向及び上下方向の長さと比較して左右方向の長さが十分に短く、すなわち扁平に形成されている。因みにベルトガイド44Lは、例えば耐熱性を有する樹脂材料により構成されている。
このベルトガイド44Lは、左側約1/3の部分を占める台座部56において、直径が定着ベルト43の直径よりも十分に大きくなっている。またベルトガイド44Lは、右側約2/3の部分を占めるガイド部57において、直径が定着ベルト43の内側における直径(内径)よりも僅かに短くなっている。さらにベルトガイド44Lは、前後方向の略中央において、上下方向の略中央よりも下寄りとなる箇所に、ヒータユニット41を挿通させるための角孔でなるヒータ挿通孔58が左右方向に貫通するように穿設されている。なお発熱ローラホルダ42R及びベルトガイド44Rは、それぞれ発熱ローラホルダ42L及びベルトガイド44Lと概ね左右対称に構成されている。
発熱ローラ部22は、その製造工程において、まずヒータ挿通孔58及びヒータ挿通孔51の位置を互いに合わせるようにして、ベルトガイド44Lが発熱ローラホルダ42Lの右側面に取り付けられると共に、ベルトガイド44Rが発熱ローラホルダ42Rの左側面に取り付けられる。
次に発熱ローラ部22は、予め組み立てられたヒータユニット41に発熱ローラホルダ42L、定着ベルト43及び発熱ローラホルダ42Rが順次挿通される。このとき定着ベルト43は、その左端近傍がベルトガイド44Lのガイド部57に挿通されると共に、その右端近傍がベルトガイド44Rのガイド部57に挿通される。その上で発熱ローラ部22は、発熱ローラホルダ42L及び42Rが取付板55を介してヒータユニット41にそれぞれ固定される。これにより定着ベルト43は、例えば下端付近に後方向へ向かう外力が加えられると、ベルトガイド44L及び44Rのガイド部57に沿って周回すること、すなわちヒータユニット41の周囲を回転することができる。
一方、加圧部としてのバックアップローラ部23(図5)は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状のローラ本体部23Aを中心に構成されている。ローラ本体部23Aは、その直径が発熱ローラ部22における定着ベルト43の直径よりもやや短くなっている。このローラ本体部23Aは、例えば弾性力を有する材料によって構成されており、所定の大きさの外力が加えられると弾性変形する。またローラ本体部23Aの左右両側面には、その中心部分に、該ローラ本体部23Aよりも細い円柱状でなる回転軸23Bがそれぞれ立設されている。
また右側の回転軸23Bには、その先端近傍に、図示しないギアが取り付けられる。このギアは、定着部18がプリンタ筐体2(図1)内に取り付けられた状態で、該プリンタ筐体2内に設けられた所定のモータ(図示せず)から所定のギア(図示せず)を介して駆動力が伝達される。
[2-3.ホルダコネクタの構成]
図7に斜視図を示すように、ホルダコネクタ45は、全体として直方体状に形成されており、様々な方向から複数の孔部が適宜穿設されている。このホルダコネクタ45は、特に後面及び前面において、外枠部分を残した内側の大部分が孔部となっており、その一部が前後方向に貫通している。換言すれば、ホルダコネクタ45は、外殻部分が板状部材により構成された中空の直方体に、種々の形状でなる複数の孔部が穿設され、さらに外殻の内部に複数の板状の部材が梁や仕切板のように配置された構成となっている。
ホルダコネクタ45の中央から下側に渡る部分には、前側及び後側に、コネクタ挿入孔61及び62がそれぞれ形成されている。コネクタ挿入孔61及び62は、それぞれ、上側、左側、右側及び下側が板状の部材によって囲まれた空間となっている。またコネクタ挿入孔61及び62の内部には、空間を上下に仕切る仕切板の下側に重なるようにして、上述したヒータ基板の左端近傍部分が位置している。このヒータ基板(図示せず)の表面には、電極部が形成されている。ヒータ側端子としての電極部は、ヒータ基板上に形成された配線パターンにより、発熱抵抗体と電気的に接続されている。
このためホルダコネクタ45は、コネクタ挿入孔61にコネクタ38(図3)が前方から挿入されると、該コネクタ38に組み込まれた接続端子(図示せず)をヒータ基板上の電極(図示せず)と導通させる。これによりホルダコネクタ45は、ケーブル37(図3)及び該ケーブル37と電気的に接続された所定の回路と、ヒータ基板の発熱抵抗体とを電気的に接続することができる。因みにコネクタ38は、下側に爪状部が形成されると共に、該爪状部の周囲の部材を弾性変形させ得るようになっている。このためコネクタ38は、コネクタ挿入孔61に挿入された際に、コネクタ挿入孔61の下側に形成された孔部(図示せず)にこの爪状部を係合させることにより、該コネクタ挿入孔61に挿入された状態を維持できる。
ホルダコネクタ45の上側における中央部分は、上述したヒータ支持部材を取り付けるための支持部材取付部63が設けられている。支持部材取付部63には、左右方向に貫通する比較的大きい貫通孔や、上下方向に貫通するねじ孔等が適宜形成されている。この支持部材取付部63は、上述したヒータ支持部材(図示せず)の左端近傍部分が挿通された状態でネジ止めされることにより、ヒータユニット41の左端にホルダコネクタ45を固定することができる(図6)。
かかる構成に加えて、ホルダコネクタ45(図7)の上側における後側、すなわちコネクタ挿入孔62の上側であり、且つ支持部材取付部63の後側には、規制部65が設けられている。規制部65は、図8に三面図を示すように、規制下側部71と、柱状部72と、規制上側部73と、規制左側部74と、規制右側部75と、規制前側部76とにより構成されている。
第1方向規制部としての規制下側部71は、上下方向に薄い板状であり、上面が概ね平坦に形成されており、コネクタ挿入孔62の上側部を兼ねている。連結部としての柱状部72は、上下方向に沿った四角柱状に形成されており、規制下側部71における左右方向のほぼ中央且つ後側において、上方向に向けて立設されている。柱状部72における前後方向の長さは、規制下側部71における前後方向の長さの約半分となっている。
第2方向規制部としての規制上側部73は、全体として左右方向に沿った細長い棒状に形成されており、左右方向に関するほぼ中央の下側を、柱状部72の上端と接続させている。規制上側部73は左右方向の長さが規制下側部71よりもやや短くなっており、また前後方向の長さが柱状部72と同程度であり、規制下側部71の約半分となっている。さらに規制上側部73は、上方から見て、左右の両端近傍が丸められている。規制上側部73の上面は、支持部材取付部63の上面とほぼ同等の高さとなっている。
規制左側部74は、左右方向に薄い板状に形成されており、コネクタ挿入孔62の左側板を上方向へ延長したような位置に設けられている。この規制左側部74は、後側約半分の範囲において、規制下側部71からの高さ(すなわち上下方向の長さ)が柱状部72の約半分となっている。また規制左側部74は、前側約半分の範囲において、規制下側部71からの高さが、前側へ進むに連れて高くなるように傾斜している。これにより規制部65では、規制上側部73の左端と規制左側部74の上端との間に、十分な隙間、具体的には上述した接続ケーブル46におけるケーブル部47の直径よりも大きい間隔を形成している。
規制右側部75は、規制左側部74と同様に左右方向に薄い板状に形成されており、後側ないし中央部分において該規制左側部74と同様に柱状部72の約半分の高さであるものの、前側の一部分が省略され、規制前側部76との間に隙間を形成している。規制前側部76は、支持部材取付部63の後側部を兼ねており、後側面がほぼ平坦に形成されている。この規制前側部76は、柱状部72との間に、十分な間隔、具体的には上述した接続ケーブル46におけるケーブル部47の直径よりも大きい間隔を形成している。
このような形状により、規制部65は、規制下側部71及び規制上側部73の間であって、且つ柱状部72の左側、すなわち該柱状部72及び規制左側部74の間に、第1規制範囲としての第1規制空間81を形成している。また規制部65は、規制下側部71及び規制上側部73の間であって、且つ柱状部72の右側、すなわち該柱状部72及び規制右側部75の間に、第2規制範囲としての第2規制空間82を形成している。説明の都合上、以下では、規制部65のうち第1規制空間81を形成している部分を第1規制部65Aとも呼び、第2規制空間82を形成している部分を第2規制部65Bとも呼ぶ、
図8に示すように、第1規制空間81における上下方向の長さである長さLH81は、第2規制空間82における上下方向の長さである長さLH82とほぼ同等であり、ケーブル部47の直径よりも十分に大きく(すなわち長く)なっている。また第1規制空間81における左右方向の長さである長さLW81は、第2規制空間82における左右方向の長さである長さLW82とほぼ同等であり、ケーブル部47の直径よりもやや大きく(すなわち長く)なっている。
[2-4.定着部の組立及び圧接力の変更]
定着部18(図3及び図4(A))は、その製造時に、予め組み立てられた発熱ローラ部22が筐体21の内部上側に組み入れられ、さらに左右両側において、発熱ローラ部回動中心孔31及び回動中心孔52に発熱ローラ部回動シャフト24がそれぞれ挿通される。因みに発熱ローラ部回動シャフト24の両端には、発熱ローラ部回動中心孔31及び回動中心孔52から抜け落ちることを防止する抜止部材がそれぞれ取り付けられる。これにより定着部18は、筐体21に対し、発熱ローラ部回動シャフト24を回動軸として、すなわち中心軸24Cを回動の中心として、発熱ローラ部22を回動させることができる。
また定着部18は、バックアップローラ部23が筐体21の内部下側、すなわち発熱ローラ部22の下側に組み入れられ、さらに左右両側において、回転軸23Bが所定の軸孔に挿通され、回転可能に支持される。このとき定着部18では、バックアップローラ部23の存在により発熱ローラ部22の回動範囲が制限されており、その結果として発熱ローラホルダ42L及び42Rのカム付勢部53が、筐体21における左右のカムシャフト軸孔32同士を結ぶ仮想的な直線よりも前方に位置する。
さらに定着部18では、カム26が取り付けられたカムシャフト25が、筐体21の左右両側においてカムシャフト軸孔32にそれぞれ挿通される。これにより定着部18では、左右両側において、カム26の前側に発熱ローラ部22のカム付勢部53が位置することになる。
そのうえ定着部18では、ばね28が自然長から短縮され、筐体21の左右両側において該ばね28の後端がばね取付部33にそれぞれ取り付けられると共に、該ばね28の前端が発熱ローラ部22のばね受け部54に挿通される。すなわち定着部18では、筐体21のばね取付部33と発熱ローラ部22のばね受け部54との間でばね28が自然状態から圧縮された状態で挟持される。
定着部18では、ばね28の復元力により、筐体21に固定されているばね取付部33に対し、ばね受け部54を後方向へ付勢することになる。これにより定着部18では、発熱ローラ部22が発熱ローラ部回動シャフト24を中心に後斜め下方向(以下これを第1方向とも呼ぶ)へ回動され、ヒータユニット41等をバックアップローラ部23に近接させる。
ここで定着部18では、カム26の短径部26Bが前方を向いていた場合、図4(A)に示したように、ばね28の復元力により後方へ付勢されたカム付勢部53が該カム26に当接する前に、発熱ローラ部22がバックアップローラ部23のローラ本体部23Aに比較的大きい力(以下これを圧接力とも呼ぶ)で押し付けられる。このとき定着部18では、ローラ本体部23Aにおいて発熱ローラ部22が押し付けられた箇所の近傍が弾性変形し、該発熱ローラ部22及びバックアップローラ部23の当接箇所にニップNが形成される。以下、このような状態をニップ状態と呼ぶ。
定着部18は、このニップ状態でバックアップローラ部23が矢印R4方向へ回転すると、発熱ローラ部22の定着ベルト43との間に摩擦力を作用させ、該定着ベルト43を矢印R3方向へ回転(周回)させることができる。このとき定着部18は、搬送路Uに沿って用紙Pが搬送されていれば、該用紙Pに熱及び圧力を加えることができる。
また定着部18では、このニップ状態からカム26が回転して長径部26Aが前方を向いた場合、図4(B)に示したように、該カム26が発熱ローラ部22のカム付勢部53に当接する。そうすると定着部18では、発熱ローラ部22が発熱ローラ部回動シャフト24を中心に前斜め上方向(以下これを第2方向とも呼ぶ)へ回動され、ヒータユニット41等をバックアップローラ部23から離隔させる。これにより定着部18では、発熱ローラ部22をバックアップローラ部23に押し付ける圧接力が小さくなり、該発熱ローラ部22をローラ本体部23Aにかすかに当接させ、若しくは僅かに離隔させる。以下、このような状態を非ニップ状態と呼ぶ。
このように定着部18では、カム26を回転させて長径部26A又は短径部26Bの何れかを前方に向けることにより、発熱ローラ部22をニップ状態又は非ニップ状態に切り替え、該発熱ローラ部22及びバックアップローラ部23の間に作用する圧接力を増加又は減少させることができる。説明の都合上、以下では、定着部18において発熱ローラ部22をニップ状態又は非ニップ状態に切り替えて圧接力を増加又は減少させるための機構、すなわち発熱ローラ部回動シャフト24、カム26ばね28、カム付勢部53及びばね受け部54等をまとめて状態切替部30とも呼ぶ。
ところで定着部18(図3)では、上述したように、左側において、ホルダコネクタ45の後側に設けられたコネクタ挿入孔62に接続ケーブル46のコネクタ48が後方から前方向へ向けて挿入され、接続端子49が筐体21に設けられた筐体側接続端子(図示せず)に接続されている。また定着部18では、接続ケーブル46のうちケーブル部47における接続端子49近傍の一部分がケーブル保持部35により保持されている。説明の都合上、以下ではホルダコネクタ45のコネクタ挿入孔62にコネクタ48を挿入して装着させる前方向を装着方向とも呼び、その反対の後方向を離脱方向とも呼び、さらに前後方向をコネクタ着脱方向とも呼ぶ。
さらに定着部18では、図9(A)に左側面図を示すと共に、図10(A)に一部の部品のみを抽出した斜視図を示すように、接続ケーブル46のうちケーブル部47におけるコネクタ48側の一部分が、ホルダコネクタ45の規制部65(図7及び図8)により保持されている。因みに図9(A)及び図10(A)は、何れも定着部18がニップ状態である場合の接続ケーブル46等を表している。
ここでケーブル部47をコネクタ48側から接続端子49側へ順に辿ると、該ケーブル部47は、まず該コネクタ48に取り付けられた取付箇所の近傍において屈曲されて上斜め左側へ進行し、さらに前側に傾斜される。続いてケーブル部47は、前方向に屈曲されることにより、第1規制部65Aの第1規制空間81に、すなわち規制下側部71及び規制上側部73の間であって、且つ柱状部72の左側に入り込む。これによりケーブル部47は、第1規制空間81により、移動可能な範囲が規制される。
説明の都合上、以下では、ケーブル部47のうち第1規制空間81内を通過している部分を第1ケーブル中間部47Aとも呼ぶ。この第1ケーブル中間部47Aは、図10(A)に示したように、弾性力の作用により、第1規制空間81において規制上側部73の下面と当接する。
続いてケーブル部47は、規制上側部73よりも下側において柱状部72の前側を右方向へ約半周することにより、該柱状部72の右側にある第2規制空間82に、すなわち規制下側部71及び規制上側部73の間であって、且つ柱状部72の右側に入り込む。これによりケーブル部47は、第2規制部65Bの第2規制空間82により、移動可能な範囲が規制される。またこのときケーブル部47は、その一部が周囲の規制左側部74や規制前側部76等と当接し、被覆材と該規制左側部74や該規制前側部76等との間である程度の摩擦力を作用させる。
説明の都合上、以下では、ケーブル部47のうち第2規制空間82内を通過している部分を第2ケーブル中間部47Bとも呼ぶ。この第2ケーブル中間部47Bは、図10(A)に示したように、第2規制空間82における上端近傍、すなわち規制上側部73の規制上側部73の下面と当接する。換言すれば、ケーブル部47は、第2ケーブル中間部47Bの下側に、すなわち規制下側部71との間に、上下方向に関して十分に大きい隙間を形成している。
因みに、第2規制空間82における左右方向の長さである長さLW82(図8)は、ケーブル部47の直径よりもやや大きくなっている。また第2規制空間82における上下方向の長さである長さLH82(図2)は、ケーブル部47の直径よりも十分に大きくなっている。このためケーブル部47の第2ケーブル中間部47Bは、仮に上方向又は下方向に向かう外力が加えられた場合、第2規制空間82内において、上方向又は下方向へ移動することができる。
ケーブル部47(図10(A))は、第2規制空間82内を後方向へ進行して突き抜け、さらに後方向へ進行し、やがてコネクタ48の後端のほぼ真上の位置に到達すると、上方向へ屈曲され、筐体21の左側面に取り付けられたケーブル保持部35内に入り込む。その後、ケーブル部47は、該ケーブル保持部35の形状に合わせて適宜屈曲されながら概ね上方向へ進行し、やがて該ケーブル保持部35の上端近傍に到達すると、前方向へ屈曲され、さらに下方向へ屈曲されてから、接続端子49が筐体側接続端子(図示せず)に接続される。
ケーブル保持部35は、前側ガイド板35F及び後側ガイド板35Rにより、前後方向に関してケーブル部47を配置可能な範囲を制限しながら、所定の爪等によりケーブル部47を保持している。ただしケーブル保持部35では、最も下側の下端部35A(図9(A))において、前側ガイド板35F及び後側ガイド板35Rの間隔が比較的狭くなっており、ケーブル部47の直径よりもやや広い程度となっている。
このためケーブル保持部35は、下端部35Aにおいて、前側ガイド板35F及び後側ガイド板35Rにより、該ケーブル部47の前後方向に関する位置や移動範囲を実質的に規制している。説明の都合上、以下ではケーブル部47のうち下端部35Aにより実質的に規制されている部分を第3ケーブル中間部47Cとも呼ぶ。
ここで、ケーブル部47のうち第1ケーブル中間部47A及び第3ケーブル中間部47Cの上下方向に関する位置に着目すると、定着部18がニップ状態である場合(図9(A))、該第1ケーブル中間部47Aは、該第3ケーブル中間部47Cよりも下側に位置している。またケーブル部47は、第2ケーブル中間部47B及び第3ケーブル中間部47Cの間において、弛みを有しており、張力が作用していない状態、すなわち応力がかかっていない状態となっている。以下では、ケーブル部47における第2ケーブル中間部47B及び第3ケーブル中間部47Cの間の弛んだ部分を、ケーブル弛み部47Sと呼ぶ。
このように、定着部18がニップ状態の場合、ケーブル部47は、コネクタ48側から第1ケーブル中間部47A、第2ケーブル中間部47B、第3ケーブル中間部47Cを経由して接続端子49側に至る何れの箇所においても、無理に引っ張られた部分が無く、張力が殆ど発生していない。これは、第2ケーブル中間部47B及び第3ケーブル中間部47Cの間であるケーブル弛み部47Sが弛んでいることにも表れている。
次に、定着部18(図3)においてカム26を回転させた場合、すなわち図4(A)及び(B)に示したように、発熱ローラ部22が発熱ローラ部回動シャフト24を中心に回動され、該発熱ローラ部22をバックアップローラ部23から離隔させた場合について説明する。このとき定着部18は、ニップ状態から非ニップ状態に切り替わり、圧接力(いわゆるニップ圧)が減少している。
発熱ローラ部22は、カム26の回転に伴い、発熱ローラ部回動シャフト24を中心に回動するため、上斜め前方向に移動すると共に、図の時計回りに回転(自転)するようにして姿勢を変化させている。これに伴い、該発熱ローラ部22の一部であるホルダコネクタ45は、図9(A)と対応する図9(B)に示すように、上斜め前方向へ移動すると共に姿勢を変化させる。
ここで接続ケーブル46に着目すると、図10(B)に示すように、まずコネクタ48がホルダコネクタ45のコネクタ挿入孔62(図7)に挿入され、図示しない爪状部を孔部に係合させているため、該コネクタ48が該ホルダコネクタ45に対して固定されている。またケーブル部47のうち第1ケーブル中間部47Aは、第1規制部65Aの規制上側部73に当接した状態を維持している。
このため非ニップ状態の定着部18では、ケーブル部47のうちコネクタ48から第1ケーブル中間部47Aまでの部分が、ニップ状態(図9(A)及び図10(A))と比較して、ホルダコネクタ45に対する形状や位置を変化させること無く、発熱ローラ部22と一体に回動している。
また、ケーブル部47のうち接続端子49から第3ケーブル中間部47Cまでの部分は、筐体21に固定されているケーブル保持部35により案内されているため、発熱ローラ部22の回動に関わらず、移動や変形が殆ど生じない。換言すれば、非ニップ状態の定着部18では、ケーブル部47のうち接続端子49から第3ケーブル中間部47Cまでの部分と、筐体21との間で、相対的な位置や形状がニップ状態からほぼ変化していない。
ここで、再びケーブル部47のうち第1ケーブル中間部47A及び第3ケーブル中間部47Cの上下方向に関する位置に着目すると、定着部18が非ニップ状態である場合(図9(B))、該第1ケーブル中間部47Aは、該第3ケーブル中間部47Cとほぼ同等の高さに位置している。これに伴い、ケーブル部47の第2ケーブル中間部47Bは、ニップ状態と比較して、第2規制空間82内で下方向へ移動しているものの、第2規制部65Bの規制下側部71から離れた状態を維持している。
具体的に第2ケーブル中間部47Bは、図10(B)に示したように、第2規制空間82における上下方向の中央よりもやや下側に位置している。すなわちケーブル部47では、第2ケーブル中間部47Bに対し、第2規制部65Bの規制下側部71や規制上側部73等から何ら外力が加えられておらず、応力が作用していない。さらにケーブル部47は、ケーブル弛み部47S(すなわち第2ケーブル中間部47B及び第3ケーブル中間部47Cの間)において、弛みが形成されており、張力が作用していない状態となっている。
このように、定着部18は、発熱ローラ部22を回動させてニップ状態又は非ニップ状態に遷移させる際、ケーブル部47のコネクタ48から第1ケーブル中間部47Aまでの部分のホルダコネクタ45に対する位置や形状を変化させずに維持する。その一方で定着部18は、発熱ローラ部22を回動させる際、第2ケーブル中間部47Bを、第2規制空間82内で上下方向に変位させ、規制下側部71から離隔され応力が作用しない状態を維持する。これは、ケーブル弛み部47Sが弛んだ状態を維持することにも表れている。
[3.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による画像形成装置1の定着部18では、状態切替部30により、発熱ローラ部回動シャフト24を回動中心として筐体21に対し発熱ローラ部22等を回動させ、該発熱ローラ部22とバックアップローラ部23との間に形成されるニップの圧接力を増加又は減少させるようにした(図3及び図4等)。
定着部18では、発熱ローラ部22の一部であるホルダコネクタ45のコネクタ挿入孔62に接続ケーブル46のコネクタ48が挿入され、該接続ケーブル46の接続端子49が筐体21の筐体側接続端子(図示せず)に接続されることにより、該筐体21とヒータユニット41(図6)とが電気的に接続される。
また定着部18は、ホルダコネクタ45の後上側に規制部65(図7及び図8)を設けた。この規制部65は、第1規制部65Aによりケーブル部47における第1ケーブル中間部47Aの移動範囲を第1規制空間81内に規制し、該規制部65の第2規制部65Bによりケーブル部47における第2ケーブル中間部47Bの移動範囲を第2規制空間82内に規制する(図9及び図10)。
ケーブル部47の第2ケーブル中間部47Bは、ニップ状態(図9(A)及び図10(A))において、規制下側部71から大きく離隔した位置にあり、応力が作用しない状態となる。またケーブル部47の第2ケーブル中間部47Bは、非ニップ状態(図9(B)及び図10(B))において、規制下側部71から離隔した位置にあり、応力が作用しない状態となる。
すなわち定着部18は、発熱ローラ部22を回動させて発熱ローラ部22とバックアップローラ部23との間に形成されるニップの圧接力を増加又は減少させる際、第2ケーブル中間部47Bを規制下側部71に当接させず、応力を作用させること無く、第2規制空間82内で上下方向に変位させる(図4、図9及び図10)。
これにより定着部18では、ニップ状態又は非ニップ状態に遷移してニップの圧接力を増加又は減少させる際に、接続ケーブル46のケーブル部47に過大な外力が加わることや応力が集中することを回避できる。この結果、定着部18では、ケーブル部47の長寿命化を図ることができ、これに伴って発熱ローラ部22のヒータユニット41に電力を安定的に供給でき、所望の温度に調整して、トナー画像を用紙Pに確実に定着させることができる。
また定着部18では、規制部65をホルダコネクタ45の一部として構成し、発熱ローラ部回動シャフト24を回動中心とした発熱ローラ部22の回動に伴って、該ホルダコネクタ45と一体に回動(すなわち移動)するようにした。このため規制部65では、発熱ローラ部22が回動する際に、ケーブル部47のうちコネクタ48から第1規制空間81内に位置する第1ケーブル中間部47Aに渡る部分を、該発熱ローラ部22に対して殆ど変形若しくは変位させずに、その形状や相対的な位置関係を維持したまま、該発熱ローラ部22と一体に回動させることができる。これにより定着部18では、ケーブル部47のうちコネクタ48から第1ケーブル中間部47Aに渡る部分において、張力や応力を作用させることが無く、該ケーブル部47や周囲の部品を損傷させる恐れが無い。
さらに定着部18では、ニップ状態(図9(A))においてホルダコネクタ45の規制部65から比較的近い位置にケーブル保持部35の下端部35Aを配置し、ケーブル部47のうち第3ケーブル中間部47Cから接続端子49までの部分を、該ケーブル保持部35により案内及び保持するようにした。このため定着部18では、発熱ローラ部22が回動する際に、ケーブル部47のうち、第2規制空間82内に位置する第2ケーブル中間部47Bの近傍及びケーブル弛み部47Sのみを変位及び変形させることができる。これにより定着部18では、ケーブル部47のうち、第2ケーブル中間部47Bの近傍及びケーブル弛み部47S以外の部分について、発熱ローラ部22の回動による変位や変形、並びにこれに伴う周囲の部品との干渉等について考慮する必要が無い。
ところで、ホルダコネクタ45から規制部65を省略した仮想的な定着部を想定した場合、この仮想的な定着部では、コネクタの後側と第3ケーブル中間部を結ぶようにケーブル部を配線することになる。この仮想的な定着部では、発熱ローラ部と一体に回動(移動)するコネクタの移動範囲に合わせて、ケーブル部のうち該コネクタの近傍に余裕を持たせる必要があり、これに伴って該ケーブル部が比較的大きい範囲に渡って撓む。そこでこの仮想的な定着部では、ケーブル部との干渉を回避するべく、周囲に比較的大きい空間を空けておく必要があり、また該ケーブル部が想定外の形状に撓んだ場合に他の部品と干渉する恐れもあった。
これに対して本実施の形態による定着部18では、規制部65に第2規制空間82を形成しており、発熱ローラ部22の回動に伴ってケーブル部47のケーブル弛み部47Sに弛みを生じさせるものの、該ケーブル部47の第2ケーブル中間部47B近傍を該第2規制空間82内で上下に変位させる(図9及び図10)。これにより定着部18では、ケーブル部47を自由に撓ませる範囲を、概ねケーブル弛み部47S及び第2ケーブル中間部47Bの近傍部分のみに抑え、該ケーブル部47が他の部品等と干渉する可能性を極めて小さく抑えることができる。
他の観点から見ると、定着部18では、仮に規制部65を省略した場合、ケーブル保持部35の下端部35Aの近傍よりも、コネクタ48の近傍の方が、発熱ローラ部22の回動に伴うケーブル部47の位置や形状の変化の度合が大きくなる。これは、定着部18(図9(A)等)において、発熱ローラ部22の回動中心となる発熱ローラ部回動シャフト24の中心軸24C(図4)を基準として、ケーブル保持部35の下端部35Aよりもホルダコネクタ45の方が近接した位置に配置されているためと考えられる。そこで定着部18では、発熱ローラ部回動シャフト24からの距離が相対的に短いホルダコネクタ45側に規制部65を設けたことにより、ケーブル部47のうち位置や形状が比較的大きく変化する部分を、第2規制空間82内で変位及び変形させることができる。これにより定着部18は、第2規制空間82の後側に露出したケーブル弛み部47Sにおける変位や変形の度合を、比較的小さく抑えることができる。
さらにホルダコネクタ45の規制部65では、規制上側部73の左端及び規制左側部74の間、該規制上側部73の右端及び規制右側部75の間、並びに柱状部72及び規制前側部76の間に、ケーブル部47の直径よりも大きい隙間をそれぞれ形成した(図7及び図8)。このため規制部65では、例えば該規制部65の上方から規制上側部73の左端及び規制左側部74の間、柱状部72及び規制前側部76の間、規制上側部73の右端及び規制右側部75の間にケーブル部47を順次落とし込むだけで、第1規制空間81内及び第2規制空間82内を通過するように該ケーブル部47を配線できる。
以上の構成によれば、本実施の形態による画像形成装置1の定着部18では、ホルダコネクタ45の後上側に規制部65を設け、該規制部65に形成した第2規制空間82内とケーブル保持部35の下端部35Aとを結ぶようにケーブル部47を配線した。このため定着部18は、発熱ローラ部22等を回動させてニップの圧接力を増加又は減少させる際、ケーブル部47のケーブル弛み部47Sに弛みを維持させたまま、第2規制空間82内で第2ケーブル中間部47Bを上下方向に移動させることができる。これにより定着部18は、ケーブル部47に過大な外力が加わり、該ケーブル部47や周囲の部品を損傷させることを未然に防止できる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、規制部65をホルダコネクタ45と一体に構成する場合について述べた(図7及び図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば規制部を単独の部品として構成し、この部品をホルダコネクタ等に取り付けるようにしても良い。この場合、規制部を取り付ける箇所は、例えば発熱ローラホルダ42L(図6)等、状態切替部30により筐体21に対して回動する何れかの部分であれば良い。
また上述した実施の形態においては、規制部65の第2規制部65Bにおいて、規制下側部71、柱状部72、規制上側部73、規制右側部75及び規制前側部76により第2規制空間82を形成する場合について述べた(図7及び図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々の部品の組合せにより第2規制空間82を形成しても良い。第1規制部65Aの第1規制空間81についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、規制部65の第1規制部65A及び第2規制部65Bを左右に並べて隣接配置し、且つ両者をほぼ左右対称に構成する場合について述べた(図7及び図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第1規制部65A及び第2規制部65Bを左右に並べること無く、互いに離れた位置に配置しても良く、また両者を左右非対称に構成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、状態切替部30により筐体21に対して回動する発熱ローラ部22の一部であるホルダコネクタ45に規制部65を設ける場合について述べた(図3等)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば筐体21に取り付けられた左取付ガイド34等、該筐体21に取り付けられた何れかの部品に規制部を設けても良い。
さらに上述した実施の形態においては、ニップ状態及び非ニップ状態の何れにおいても、ケーブル部47の第1ケーブル中間部47Aを第1規制部65Aにおける規制上側部73の下面と当接させた状態を維持する場合について述べた(図9及び図10)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第1ケーブル中間部47Aを規制上側部73の下面から下方に離隔するよう位置させても良い。要は、ニップ状態及び非ニップ状態の何れにおいても、ケーブル部47のうち第1ケーブル中間部47Aよりもコネクタ48側の部分と、ホルダコネクタ45や該コネクタ48に対する相対的な位置関係を維持できれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、非ニップ状態(図9(B)及び図10(B))において、ケーブル部47の第2ケーブル中間部47Bを第2規制部65Bの第2規制空間82内における中央よりもやや下側に、すなわち規制下側部71の上面から離れた箇所に位置させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば非ニップ状態において第2ケーブル中間部47Bを規制下側部71の上面に当接させても良い。この場合、非ニップ状態においてケーブル部47のケーブル弛み部47Sが弛みを有する状態、すなわち応力がかかっていない状態であれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、発熱ローラ部回動シャフト24の中心軸24Cを基準として、ケーブル保持部35の下端部35Aよりもホルダコネクタ45を近接した位置に配置する場合について述べた(図4)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば発熱ローラ部回動シャフト24の中心軸24Cに対してケーブル保持部35の下端部35Aよりもホルダコネクタ45を遠方に配置しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、状態切替部30において発熱ローラ部回動シャフト24を回動中心として筐体21等に対して発熱ローラ部22を回動させることにより、該発熱ローラ部22及びバックアップローラ部23の間の圧接力を変化させる場合について述べた(図4)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば筐体21に対して発熱ローラ部22を所定の直線に沿って移動させる等、種々の手法を用いて筐体21に対する発熱ローラ部22の相対的な位置や姿勢を変化させることにより、該発熱ローラ部22及びバックアップローラ部23の間の圧接力を変化させるようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、単機能のプリンタ(すなわちSFP)である画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばプリンタ機能の他にイメージスキャナ機能や通信機能等を有し、複写機(コピー機)やファクシミリ装置としても動作し得る複合機、すなわちいわゆるMFP(Multi Function Peripheral / Printer)に適用しても良い。また本発明は、例えばファクシミリ装置や複写機等、電子写真式の印刷機能を有する種々の装置に適用しても良い。
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、加熱部としての発熱ローラ部22と、加圧部としてのバックアップローラ部23と、変位機構としての状態切替部30と、接続ケーブルとしての接続ケーブル46と、規制部としての規制部65とによって定着装置としての定着部18を構成する場合について述べた。この場合、接続ケーブルを、ケーブル第1端子としてのコネクタ48と、ケーブル第2端子としての接続端子49と、ケーブル部としてのケーブル部47とにより構成し、規制部を、第1規制部としての第1規制部65Aと、第2規制部としての第2規制部65Bとにより構成した。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる加熱部と、加圧部と、変位機構と、接続ケーブルと、規制部とによって定着装置を構成しても良い。この場合、接続ケーブルを、その他種々の構成でなるケーブル第1端子と、ケーブル第2端子と、ケーブル部とにより構成し、規制部を、その他種々の構成でなる第1規制部と、第2規制部とによって構成しても良い。