JP7159881B2 - 化学機械研磨用水系分散体及び化学機械研磨方法 - Google Patents
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Description
(A)反応性基を有する砥粒と、
(B)窒素含有複素環化合物と、
を含有し、
実質的にエッチング剤を含有しないことを特徴とする。
前記(B)窒素含有複素環化合物の含有量が、化学機械研磨用水系分散体の全質量を100質量%としたときに、0.01質量%以上0.5質量%以下であることができる。
前記(A)反応性基を有する砥粒が、反応性基を有するコロイダルシリカ粒子であることができる。
前記(A)反応性基を有する砥粒が、チオール塩、スルホン酸塩、及びカルボン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を形成し得る基を表面に有する砥粒であることができる。
前記(B)窒素含有複素環化合物が、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、及び3-メルカプト-1,2,4-トリアゾールからなる群より選択される少なくとも1種であることができる。
さらに、前記(B)成分以外の、(C)炭素数が12以上20以下であり、かつ、カルボキシル基を有する界面活性剤を含有することができる。
前記(C)界面活性剤が、不飽和結合を有する界面活性剤であることができる。
前記いずれかの態様の化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステン、タンタル、チタン、及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1種を含む基板を研磨する工程を含む。
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)反応性基を有する砥粒(以下、「(A)成分」ともいう。)と、(B)窒素含有複素環化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)と、を含有し、実質的にエッチング剤を含有しない。以下、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について詳細に説明する。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)反応性基を有する砥粒を含有する。(A)成分は、配線材料及びバリアメタル材料等を研磨し、これらの材料に対する研磨速度を向上させる機能を有する。具体的には、(A)成分の反応性基は、配線材料やバリアメタル材料に用いられる金属の表面に、錯体を形成する等の化学的な作用を奏しながら吸着して、前記金属の表面を研磨されやすい軟質な状態へと改質することができる。その後、軟質な状態へと改質された金属の表面を、本来砥粒が有する研磨作用によって研磨することにより、配線材料やバリアメタル材料に用いられる金属の研磨速度を向上させることができる。
、前記シリカ砥粒の表面にメルカプト基含有シランカップリング剤を共有結合させて、その後、さらに過酸化水素等の酸化剤を適量添加して十分に放置することにより、スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒を得ることができる。メルカプト基含有シランカップリング剤としては、上記と同様のシランカップリング剤が挙げられる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)窒素含有複素環化合物を含有する。(B)成分は、配線材料及びバリアメタル材料等の表面を保護し、過剰なエッチングや腐食を抑制する機能を有する。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、前記(B)成分以外の、(C)炭素数が12以上20以下であり、かつ、カルボキシル基を有する界面活性剤(以下、「(C)成分」ともいう。)を含有してもよい。(C)成分は、(B)成分と併用することで、配線材料及びバリアメタル材料等の表面を保護し、過剰なエッチングや腐食を抑制する効果が大幅に向上する場合がある。
られる。これらの中でも、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウムが好ましく、オレイン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウムが特に好ましい。これらの(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、実質的にエッチング剤を含有しないことを特徴とする。ここで、本明細書において「実質的にエッチング剤を含有しない」とは、エッチング剤の合計含有量が、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、0質量%以上0.001質量%以下であることをいう。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体である水の他に、必要に応じて、酸化剤、pH調整剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体として水を含有する。水としては、特に制限されるものではないが、純水が好ましい。水は、上述した化学機械研磨用水系分散体の構成材料の残部として配合されていればよく、水の含有量については特に制限はない。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、さらに必要に応じて酸化剤を含有して
もよい。酸化剤としては、例えば、過酸化水素や硝酸鉄等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素が好ましい。これらの酸化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、さらに必要に応じてpH調整剤を含有してもよい。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHは、7以上であることが好ましく、8以上14以下であることがより好ましく、8.5以上11以下であることが特に好ましい。化学機械研磨用水系分散体のpHが前記範囲にあると、上述した(A)成分や(B)成分の効果が発揮されやすい場合がある。また、化学機械研磨用水系分散体のpHが前記範囲にあると、上述した(A)成分の化学機械研磨用水系分散体中の分散安定性が向上する場合がある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)成分、(B)成分、場合により(C)成分を含有することにより、配線材料やバリアメタル材料の腐食を抑制しながら、これらの金属を含む基板を高速で研磨することができる。また、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、実質的にエッチング剤を含有していないため、過剰なエッチングや腐食を抑制することができる。すなわち、エッチング剤は、化学機械研磨時に研磨圧力の有無に関わらず、化学機械研磨用水系分散体が配線材料及びバリアメタル材料等に接触している限り常時エッチング作用を示し、且つ化学機械研磨後の洗浄工程を経ても配線材料やバリアメタル材料の表面に残留することがあり、過剰なエッチングや腐食が生じやすいのに対して、(A)成分は、砥粒が有する反応基が化学機械研磨時の研磨圧力応答時に配線材料及びバリアメタル材料等に接触することでエッチング作用を示し、且つ化学機械研磨後の洗浄工程を経ることにより配線材料やバリアメタル材料の表面から速やかに清浄に洗い流されるので、過剰なエッチングや腐食が生じ難い。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体によれば、配線材料やバリアメタル材料を含む基板の中でも、タングステン、タンタル、チタン、及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1種を含む基板である場合、腐食を抑制しながら高速で研磨する効果が特に得られやすい。
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨方法は、上述の化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステン、タンタル、チタン、及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1種を含む基板を研磨する工程(以下、「研磨工程」ともいう。)を含む。本実施形
態に係る化学機械研磨方法によれば、上述の化学機械研磨用水系分散体を用いることにより、タングステン、タンタル、チタン、及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1種を含む基板の腐食を抑制しながら、該基板を高速で研磨することができる。
TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」;AMAT社製、型式「Reflexion LK」;FILTEC社製、型式「FLTec-15」;東京精密社製、型式「ChaMP」等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<シリカ粒子分散体A>
扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合して、2時間加熱還流した。このようにして、固形分濃度20質量%、平均粒子径72nmのスルフィニル化したシリカ粒子分散体Aを得た。
扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)5kgと信越化学工業社製のシランカップリング剤(品番:X-12-1135)6gを混合して、2時間加熱還流した。このようにして、固形分濃度20質量%、平均粒子径75nmのカルボン酸化したシリカ粒子分散体Bを得た。
扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合して、2時間加熱還流し、チオール化シリカゾルを得た。このチオール化シリカゾルに、酸化剤として過酸化水素を加えて8時間加熱還流させることで、その表面を酸化させてスルホン酸基を固定化した。このようにして、固形分濃度20質量%、平均粒子径73nmのスルホン酸化したシリカ粒子分散体Cを得た。
ポリエチレン製容器に、イオン交換水及び表1又は表2に示す含有割合となるように砥粒、窒素含有複素環化合物、及び界面活性剤を添加して十分に撹拌した後、10%水酸化カリウム水溶液を適量加えて表1又は表2に示すpHとなるように調整した。その後、孔径0.3μmのフィルターで濾過し、各実施例及び各比較例で使用する化学機械研磨用水系分散体を調製した。なお、後述の各種評価試験行う直前に、35質量%過酸化水素水を過酸化水素に換算して表1又は表2に示す含有割合となるように、上記で調製した化学機械研磨用水系分散体にそれぞれ添加した。
3.3.1.研磨速度評価
上記で調製した化学機械研磨用水系分散体を用いて、直径12インチのコバルト膜200nm付きウエハを被研磨体として、下記の研磨条件で1分間の化学機械研磨試験を行った。研磨速度評価の評価基準は下記の通りである。その結果を表1又は表2に併せて示す。
<研磨条件>
・研磨装置:G&P TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」
・研磨パッド:富士紡績社製、「多硬質ポリウレタン製パッド;H800-type1(3-1S)775」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:100mL/分
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:90rpm
・ヘッド押し付け圧:2psi
・研磨速度(Å/min)=(研磨前の各膜の厚さ-研磨後の各膜の厚さ)/研磨時間
なお、コバルト膜の厚さは、抵抗率測定機(NPS社製、型式「Σ-5」)により直流4探針法で抵抗を測定し、このシート抵抗値とコバルトの体積抵抗率から下記式によって算出した。
膜の厚さ(Å)=[コバルト膜の体積抵抗率(Ω・m)÷シート抵抗値(Ω))]×1010
<評価基準>
・AA:研磨速度が600Å/min以上。研磨速度が十分に大きいため実際の半導体基板の研磨において他材料膜の研磨との速度バランスが容易に確保でき、非常に実用的であるから極めて良好である。
・A :研磨速度が450Å/min以上600Å/min未満。研磨速度が大きいため実際の半導体基板の研磨において他材料膜の研磨との速度バランスが確保でき、実用的であるから良好である。
・B :研磨速度が350Å/min以上450Å/min未満。研磨速度が小さくなく、実際の半導体基板の研磨において他材料膜の研磨との速度バランスが確保でき、実用可能である。
・C :研磨速度が350Å/min未満。研磨速度が小さいため、実用困難である。
直径12インチのコバルト膜ウエハを切断して3cm×3cmの試験片とした。表1又は表2に記載の化学機械研磨用水系分散体に、この試験片を45℃、1時間浸漬した後、水洗し、乾燥処理した。浸漬前後の試験片の重量を測定して、コバルト密度8.9g/cm3とコバルト膜ウエハの面積(3cm×3cm)よりエッチングされたコバルト膜厚みを算出し、コバルトのエッチング速度を評価した。その結果を表1又は表2に併せて示す。なお、評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
・AA:エッチング速度が2Å/min未満。腐食性が極めて低く、非常に良好である。・A :エッチング速度が2Å/min以上9Å/min未満。腐食性が低く、良好である。
・B :エッチング速度が9Å/min以上15Å/min未満。腐食性が高くなく、使用可能である。
・C :エッチング速度が15Å/min以上。腐食性が高いため不良である。
上述の「3.3.1.研磨速度評価」で研磨した直径12インチのコバルト膜ウエハを切断して1cm×3cmの試験片を作製し、中央の1cm×1cmの箇所を絶縁テープで被覆した。その後、北斗電工株式会社製の電気化学測定装置「HZ-7000」を用いて、試験片を作用極、白金(Pt)電極を対極、及び銀塩化銀(Ag/AgCl)電極を参照極とし、表1又は表2に記載の化学機械研磨用水系分散体を電解質とした3極セルを作製した。このようにして作製した3極を用い、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)によりターフェルプロットを作成し、腐食電流を求めた。その結果を表1又は表2に併せて示す。なお、評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
・AA:腐食電流が10μA未満。コバルト腐食が極めて抑制できており、非常に実用的である。
・A :腐食電流が10μA以上50μA未満。コバルト腐食が抑制できており、実用的
である。
・B :腐食電流が50μA以上100μA未満。コバルト腐食がある程度抑制できており、実用可能である。
・C :腐食電流が100μA以上。コバルト腐食が抑制できず、実用困難である。
各実施例及び各比較例で使用した化学機械研磨用水系分散体の組成、物性、及び各評価結果を下表1及び下表2に示す。
<砥粒>
・シリカ砥粒A~C:上記で調製した反応性基を有するシリカ粒子分散体A~C
・PL-3:扶桑化学工業株式会社製、商品名「PL-3」、超高純度コロイダルシリカ、シリカ濃度20%、平均粒子径70nm
<窒素含有複素環化合物>
・1,2,3-トリアゾール:大塚化学株式会社製、商品名「1,2,3-トリアゾール」
・1,2,4-トリアゾール:大塚化学株式会社製、商品名「1,2,4-トリアゾール」
・ベンゾトリアゾール:富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名「1H―ベンゾトリアゾール」
・3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール:大塚化学株式会社製、商品名「3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール」
<界面活性剤>
・ステアリン酸カリウム:純正化学株式会社製、商品名「ステアリン酸カリウム」
・オレイン酸カリウム:花王株式会社社製、商品名「FR-14」
・アルケニルコハク酸ジカリウム:花王株式会社製、商品名「ラテムル ASK」
<酸化剤>
・過酸化水素:富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名「過酸化水素水(30%)」
<pH調整剤>
・水酸化カリウム:関東化学社製
とができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (7)
- (A)反応性基を有する砥粒と、
(B)窒素含有複素環化合物と、
(C)炭素数が12以上20以下であり、かつ、カルボキシル基及び不飽和結合を有する界面活性剤と、
を含有し、
実質的にエッチング剤を含有しないことを特徴とする、化学機械研磨用水系分散体。 - 前記(B)窒素含有複素環化合物の含有量が、化学機械研磨用水系分散体の全質量を100質量%としたときに、0.01質量%以上0.5質量%以下である、請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 前記(A)反応性基を有する砥粒が、反応性基を有するコロイダルシリカ粒子である、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 前記(A)反応性基を有する砥粒が、チオール塩、スルホン酸塩、及びカルボン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を形成し得る基を表面に有する砥粒である、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 前記(B)窒素含有複素環化合物が、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、及び3-メルカプト-1,2,4-トリアゾールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- タングステン、タンタル、チタン、及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1種を含む基板研磨用である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、
タングステン、タンタル、チタン、及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1種を含む基板を研磨する工程を含む、化学機械研磨方法。
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