以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1施形態における車両用シート1について説明する。図1(a)は、本発明の第1施形態における車両用シート1の斜視正面図であり、図1(b)は、シートバック3の正面図である。
なお、以下の説明では、図1(b)に示す状態の車両用シート1に対して、紙面左側を右方側として、紙面右側を左方側として、紙面上側を上方側として、紙面下側を下方側として、紙面奥側を後方(背面)側として、紙面手前側を前方(正面)側としてそれぞれ説明する。さらに、図中の矢印F-B,U-D,L-Rは、車両用シート1の前後方向,上下方向,左右方向をそれぞれ示している。
図1に示すように、車両用シート1は、車両(例えば、自動車、鉄道車両)に搭載されるシートである。車両用シート1は、着座者が着座するシートクッション2と、着座者の背もたれとなるシートバック3と、着座者の頭部を支えるヘッドレスト4と、を主に備える。また、シートバック3は、正面視において左右方向(矢印L-R方向)よりも上下方向(矢印U-D方向)の方が長く形成される。
次いで、図2から図4を参照して、車両用シート1のシートバック3について説明する。図2(a)は、シートパッド20の正面図であり、図2(b)は、トリムカバー30及びカバー側ワイヤ40の斜視正面図である。図3(a)は、図1(b)のIIIa-IIIa線におけるシートバック3の断面図であり、図3(b)は、図1(b)のIIIb-IIIb線におけるシートバック3の断面図である。図4(a)は、図3(a)のIVa部におけるシートバック3の部分拡大断面図であり、図4(b)は、図3(b)のIVb部におけるシートバック3の部分拡大断面図である。なお、図2(a)では、メインクッション部21に埋設されるパッド側ワイヤ25の一部が鎖線で図示される。
図2から図4に示すように、シートバック3は、軟質ウレタンフォームの合成樹脂発泡体により一体に形成されたシートパッド20と、そのシートパッド20の表面(意匠面)に覆設されるトリムカバー30と、を備える。
シートパッド20は、乗員の背中を後方から支持するためのメインクッション部21と、乗員の背中を横から保持するためのサイドクッション部22と、それらメインクッション部21及びサイドクッション部22の背面側(矢印B方向)に凹設される収容部26と、を主に備える。シートバック3は、車両用シート1の図示しない金属フレームが収容部26に収容されることで、シートクッション2及びヘッドレスト4と連結される。
メインクッション部21は、乗員の背中を均一にシートバック3の正面に当接させるために、正面視における上下方向(矢印U-D方向)の略中間位置に背面側(矢印B方向)に向かって凹設される第1湾曲部21aと、その第1湾曲部21aよりも下方(矢印D方向)に位置し、正面側(矢印F方向)に向かって膨らむ第2湾曲部21bと、を備える。これら第1湾曲部21a及び第2湾曲部21bにより、シートバック3の側面視におけるメインクッション部21の正面側の面形状が略S字の曲線状に形成される(図5参照)。第1湾曲部21a及び第2湾曲部21bによるメインクッション部21の正面の緩やかな曲面形状により、シートバック3に着座する乗員の乗り心地、及び、シートバック3のデザイン性(意匠性)を向上できる。
また、メインクッション部21は、そのメインクッション部21の上下の端部に亘って、正面から背面側(矢印B方向)に向かって凹設される溝状部23と、その溝状部23の内面の一部から背面側に向かってさらに凹設される凹部24と、メインクッション部21の内部に一部が埋設された状態で配設され、メインクッション部21(シートパッド20)と一体形成されるパッド側ワイヤ25と、を主に備える。
なお、後述するトリムカバー30がシートパッド20に覆設された状態時には、トリムカバー30によりシートパッド20が圧迫されて溝状部23の内部が塞がった状態とされるが、便宜上、各図には理解しやすいように拡がった状態の溝状部23が図示される。
溝状部23は、正面視におけるシートパッド20の水平方向(矢印L-R方向)に所定の間隔を隔てて3箇所に形成される。なお、以下の説明では、3箇所の溝状部23に右側から順に23R,23C,23Lの符号を付して説明する。
なお、溝状部23Cは、メインクッション部21の左右方向(矢印L-R方向)の略中央位置に形成され、溝状部23R,23Lは、メインクッション部21とサイドクッション部22との連結部分にそれぞれ形成される。また、溝状部23R,23Lは、正面視において溝状部23Cからそれぞれ左右反対の方向に同一距離離間する位置に形成される。
パッド側ワイヤ25は、弾性変形可能な金属性の材料から、断面円形の棒状に形成される。パッド側ワイヤ25は、3箇所の溝状部23のそれぞれの背面側(矢印B方向側)に所定の間隔を隔てて一本ずつ配設される(合計3本)。これらパッド側ワイヤ25により、シートパッド20の内部の剛性を高くして、シートバック3のクッション性能を向上できる。なお、パッド側ワイヤ25は、初期形状が溝状部23の内面(メインクッション部21の表面形状)に沿って側面視略S字状に湾曲して(変形されて)おり、その湾曲(変形)した状態でシートバック3のシートパッド20と一体発泡される。
また、3本のパッド側ワイヤ25は、それぞれ同一の全長に形成され、軸方向の両端部が、上下方向においてそれぞれ略同一の位置に配設される。なお、本実施形態では、パッド側ワイヤ25は、硬鋼線(バネ材)から形成され、直径が2.6ミリに設定される。
凹部24は、メインクッション部21に埋設されるパッド側ワイヤ25をメインクッション部21から部分的に露出させる凹みであり、溝状部23の凹設方向の内面からその凹設方向(パッド側ワイヤ25側)に向かってさらに凹設される。これにより、凹部24の内面にパッド側ワイヤ25が上下方向(矢印U-D方向)に挿通された状態で露出する。
また、凹部24は、3箇所の溝状部23のそれぞれに上下方向(矢印U-D)方向に所定の間隔を隔てて4箇所に分散して形成される。従って、1の溝状部23の内側の4箇所からパッド側ワイヤ25が露出される(図3(a)参照)。なお、以下の説明では、4箇所の凹部24を上端の凹部24から下方の凹部24に向かって順に1番目の凹部24、2番目の凹部24、3番目の凹部24、4番目の凹部24と称す。また、それぞれの凹部24(1番目の凹部24、2番目の凹部24、3番目の凹部24、4番目の凹部24)の上下方向における形成位置は、それぞれの溝状部23に形成される凹部24(1番目の凹部24、2番目の凹部24、3番目の凹部24、4番目の凹部24)との間で略同一の位置に形成される。
また、2番目の凹部24の形成位置は、第1湾曲部21aの背面側(矢印B方向)への凹設深さが最大となる位置に設定され、下端の凹部24の形成位置は、第2湾曲部21bの正面側(矢印F方向)への膨出寸法が最大となる位置に設定される。
なお、第1湾曲部21aの背面側への凹設深さが最大となる位置とは、側面視におけるシートパッド20の正面に対して、第1湾曲部21aの上方と下方とで正面側に張り出す2点の頂点間を直線状に結ぶ仮想線S1(図5参照)からその仮想線S1と直交する方向においてシートパッド20の正面までの距離が最大限離間する位置である。また、第2湾曲部21bの正面側への膨出寸法が最大となる位置とは、第1湾曲部21aの下方側で仮想線S1がシートパッド20の正面と接する位置である。
トリムカバー30は、シートバック3の表皮となる表皮部材31と、その表皮部材31に連結される配設部材32と、その配設部材32に配設されるカバー側ワイヤ40と、リング状に形成される連結部材50と、を主に備える。
表皮部材31は、シートパッド20のメインクッション部21の正面を覆う2枚の第1カバー部材33L,33Rと、サイドクッション部22を覆う2枚の第2カバー部材34L,34Rと、を主に備え、それらカバー部材33L,33R,34L,34Rを縫合してシートパッド20を覆う1枚の表皮部材31として構成される。なお、本実施形態では、カバー部材33L,33R,34L,34Rは、表皮材35、ワディング36及び接着材37から構成される。なお、図1から図5においては、理解を容易とするために、表皮材35、ワディング36及び接着材37を区別せず、一つの部材として図示する。
第1カバー部材33L,33Rは、正面視におけるシートパッド20の水平方向(矢印L-R方向)の略中央部で重力方向(矢印U-D方向)に分割され、正面視におけるシートパッド20の水平方向に並設された状態で配設される。
なお、第1カバー部材33L及び第2カバー部材34Lと、第1カバー部材33R及び第2カバー部材34Rとは、第1カバー部材33L,33Rの分割部分を対称軸としてそれぞれ左右対称な形状に形成される。本実施形態では、対称軸の左側部分に配置されるカバー部材を第1カバー部材33L、第2カバー部材34Lとして、対称軸の右側部分に配置されるカバー部材を第1カバー部材33R、第2カバー部材34Rとして説明する。
第1カバー部材33Lは、正面視における外縁側縁部に他のカバー部材33R,34Lと縫合される縫合片33L1を備える。第1カバー部材33Rは、正面視における外縁側縁部に他のカバー部材33L,34Rと縫合される縫合片33R1を備える。
なお、縫合片33L1,33R1は、それぞれ第1カバー部材33L,33Rの正面視における左右方向(矢印L-R方向)の両外側外縁に形成され、左右方向に隣り合う他のカバー部材(第1カバー部材33L,33R、第2カバー部材34L,34R)と縫合される。
第1カバー部材33L,33Rは、互いの正面側を合わせた状態で、縫合片33L1,33R1を図示しない糸で縫合することで連結される。この場合、縫合片33L1,33R1をシートパッド20側(背面側)に配置できるので、第1カバー部材33L,33Rを広げた状態で、正面側から縫合片33L1,33R1が視認されることを抑制できる。
また、第1カバー部材33L,33Rの連結(縫合)部分は、シートパッド20の溝状部23Cと対向する位置に設定される(図3(b)参照)。従って、第1カバー部材33L,33Rとの連結部分の背面側に配置される縫合片33L1,33R1を溝状部23Cの内側に収容できる。よって、トリムカバー30をシートパッド20の表面に覆設した場合に、第1カバー部材33L又は第1カバー部材33Rと、シートパッド20と、の間に縫合片33L1,33R1を挟み込んで、第1カバー部材33L,33Rがシートパッド20の表面から浮くことを抑制できる。
第2カバー部材34Lは、左側に形成されるサイドクッション部22を覆設する形状に形成され、第2カバー部材34Rは、右側に形成されるサイドクッション部22を覆設する形状に形成される。
第2カバー部材34Lは、正面視における外縁側縁部に第1カバー部材33Lと縫合される縫合片34L1を備える。なお、縫合片34L1は、第2カバー部材34Lの正面視における左右方向(矢印L-R方向)の左側縁部に形成され、左側に隣り合う第1カバー部材33Lと縫合される。
第2カバー部材34Lと第1カバー部材33Lとは、互いの正面側を突き合せた状態で、縫合片34L1,33L1を図示しない糸で縫合することで連結される。この場合、縫合片34L1,33L1をシートパッド20側(背面側)に配置できるので、第1カバー部材33L及び第2カバー部材34Lを広げた状態で、正面側から縫合片34L1,33L1が視認されることを抑制できる。
第2カバー部材34L及び第1カバー部材33Lの連結部分は、シートパッド20の溝状部23Lと対向する位置に設定される(図3(b)参照)。これにより、縫合片34L1,33L1を溝状部23Lの内側に収容できる。よって、トリムカバー30をシートパッド20の表面に覆設した場合に、第2カバー部材34L又は第1カバー部材33Lと、シートパッド20と、の間に縫合片34L1,33L1を挟み込んで、第2カバー部材34L及び第1カバー部材33Lがシートパッド20の表面から浮くことを抑制できる。
なお、第2カバー部材34Rと第1カバー部材33Rとの連結は、第2カバー部材34Lと第1カバー部材33Lとの連結と同様に、第2カバー部材34Rの縫合片34R1と、第1カバー部材33Rの縫合片33R1と、を縫合して連結される。
また、第2カバー部材34R及び第1カバー部材33Rとの連結部分は、シートパッド20の溝状部23Rと対向する位置に設定される(図3(b)参照)。これにより、縫合片34R1,33R1を溝状部23Rの内側に収容できる。よって、トリムカバー30をシートパッド20の表面に覆設した場合に、第2カバー部材34R又は第1カバー部材33Rと、シートパッド20と、の間に縫合片34R1,33R1を挟み込んで、第2カバー部材34R及び第1カバー部材33Rがシートパッド20の表面から浮くことを抑制できる。
配設部材32は、後述するカバー側ワイヤ40が配設される部分であり、各カバー部材33L,33R,34L,34Rが縫合される3箇所の縫合部分(縫合片34R1及び縫合片33R1の縫合部分と、縫合片33R1及び33L1の縫合部分と、縫合片33L1及び縫合片34L1の縫合部分)に配設される。配設部材32は、一方向に長い矩形状の布部材から形成され、短手方向の略中央部で折り返され短手方向における両端部を当接した状態で、その当接した両端部が各縫合部分に縫合される。これにより、配設部材32は、筒状に構成される。
また、配設部材32は、その長手方向における寸法が溝状部23に形成される1番目(上端)の凹部24から4番目(下端)の凹部24までの離間距離よりも長く形成され、各凹部24と対向する位置に部分的に切り欠かれる切欠部32aを備える。よって、配設部材32の内側に配設されるカバー側ワイヤ40を各凹部24と対向する位置で切欠部32aを介して配設部材32から露出させることができる。これにより、切欠部32aから露出されるカバー側ワイヤ40と、凹部24から露出されるパッド側ワイヤ25と、を後述する連結部材50で連結できる。
カバー側ワイヤ40は、トリムカバー30の配設部材32に配設されてトリムカバー30を拘束する部材であり、弾性変形可能な金属性の材料から断面円形の棒状に形成され、無負荷状態では、断面の中心が直線状に延設された状態とされる。なお、カバー側ワイヤ40は、断面の中心が直線状に延設された無負荷状態で、トリムカバー30の配設部材32に配設される。従って、カバー側ワイヤ40をトリムカバー30に配設しやすくできる。
また、カバー側ワイヤ40は、軸方向寸法が配設部材32の長手方向寸法よりも若干大きく形成される。カバー側ワイヤ40は、3個の配設部材32のそれぞれの内側に一本づつ配設され(合計3本)、軸方向の両端が配設部材32の長手方向両端から突出される。カバー側ワイヤ40は、軸方向の両端に略U字状に曲げられる返し部41を備え、その返し部41が筒状に構成される配設部材32の外側に配置される(引っ掛けられる)。これにより、トリムカバー30に対してカバー側ワイヤ40が上下方向に位置ずれすることを抑制できる。
3本のカバー側ワイヤ40は、それぞれの軸方向両端部の上下方向(矢印U-D方向)における配置が略同一の位置に配置(略同一の長さに形成)され、それぞれの軸方向を略平行な方向に向けた状態で左右方向(矢印L-R方向)に並設される。なお、本実施形態では、カバー側ワイヤ40は、硬鋼線(バネ材)から形成され、直径が2.0ミリに設定される。上述したように、パッド側ワイヤ25は、カバー側ワイヤ40と同材料から形成され、直径が2.6ミリに形成されるので、パッド側ワイヤ25は、カバー側ワイヤ40よりも剛性が大きく設定される。
連結部材50は、カバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とを連結する部材であり、それらカバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とを連結する前では略C字状に形成される。連結部材50は、C字の開口部分からカバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とを内側に挿入した後で、専用の工具を使ってC字の開口部分を塞ぐことでカバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とを連結できる。
また、連結部材50は、上述した配設部材32の切欠部32aを介してカバー側ワイヤ40が露出される位置に対応して配設されており、本実施形態では、全部で12箇所でカバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とが連結される。なお、カバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とを連結する連結部材50は、一例であり、その他の留付具を使用してカバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とを連結してもよい。
次いで、図5を参照して、トリムカバー30をシートパッド20に配設(覆設)する方法を説明する。図5は、シートパッド20とトリムカバー30とを分解した状態におけるシートバック3の断面図である。なお、図5の断面は、図3(a)シートバック3の断面と対応する。
図5に示すように、トリムカバー30をシートパッド20に配設する前では、配設部材32に配設される直線状のカバー側ワイヤ40により、トリムカバー30の正面が平坦な状態で配置される。一方、シートパッド20は、上述したように、メインクッション部21の第1湾曲部21a、第2湾曲部21bにより、正面が略S字状に湾曲される。
従って、トリムカバー30をシートパッド20に配設する場合には、トリムカバー30がシートパッド20との間に隙間を空けて配設されることを抑制するために、カバー側ワイヤ40をシートパッド20の表面形状に変形させて、カバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25とを連結部材50により連結する必要がある。
しかしながら、カバー側ワイヤ40の初期形状がシートパッド20の表面形状に沿って湾曲している場合には、トリムカバー30にカバー側ワイヤ40を配設した段階ではカバー側ワイヤ40の周方向における配置がシートパッド20の正面(表面)に対して合っていないため、トリムカバー30をシートパッド20に配設する前に、カバー側ワイヤ40の配置をシートパッド20の表面形状に沿う位置に配置しなおす手間がかかるという問題点がある。
本実施形態では、カバー側ワイヤ40は、弾性変形可能な金属材料から形成され、パッド側ワイヤ25は、メインクッション部21に埋設され、シートパッド20の表面形状に弾性変形された状態のカバー側ワイヤ40の弾性回復力よりも強い力でメインクッション部21に保持されるので、トリムカバー30をシートパッド20に配設する場合に、カバー側ワイヤ40をシートパッド20の表面形状に沿って弾性変形させながら、カバー側ワイヤ40をパッド側ワイヤ25に連結することで、カバー側ワイヤ40をシートパッド20の表面形状に沿って配置することができる。その結果、カバー側ワイヤ40の初期形状をシートパッド20の表面形状に沿って湾曲させる必要や、初期形状がシートパッド20の表面形状に沿って湾曲されたカバー側ワイヤ40をシートパッド20の表面に沿う位置に配置しなおす必要がなくなるので、トリムカバー30(カバー側ワイヤ40)をシートパッド20(パッド側ワイヤ25)に配設(連結)する組み付けの作業性を向上できる。
また、本実施形態では、正面が緩やかな曲面形状に形成されて、シートバック3に着座する乗員の乗り心地、及び、シートバック3のデザイン性(意匠性)が向上されたシートパッド20に対して、無負荷状態において直線状に延設されたカバー側ワイヤ40をシートパッド20の正面の形状に沿って弾性変形させながらパッド側ワイヤ25に連結できるので、シートパッド20の正面の形状が複雑(曲面形状)であっても、カバー側ワイヤ40を直線状に延設した(無負荷)状態でトリムカバー30にカバー側ワイヤ40を配設する(トリムカバー30の配設部材32にカバー側ワイヤ40を配設する)作業を行うことができる。その結果、トリムカバー30にカバー側ワイヤ40を配設する作業性を向上することができる。
さらに、溝状部23に凹設される複数の凹部24のうち2番目の凹部24は、第1湾曲部21aの背面側への凹みの最深部(凹みが最大となる位置)に形成されるので、カバー側ワイヤ40を弾性変形させてパッド側ワイヤ25に連結させた場合に、カバー側ワイヤ40が第1湾曲部21aの凹みの最深部に対して隙間を隔てて配設されることを抑制できる。その結果、トリムカバー30がシートパッド20との間に隙間を空けて配設されることを抑制できる。
以上のように配設されるトリムカバー30及びシートパッド20によれば、3本のカバー側ワイヤ40は、左右方向(矢印L-R方向)に隣り合うカバー側ワイヤ40と所定の間隔を隔てて並設されるので、カバー側ワイヤ40によるトリムカバーの拘束部分を離間しておくことができる。従って、それぞれのカバー側ワイヤ40の配置がずれてカバー側ワイヤ40同士が近づいたとしても、それらカバー側ワイヤ40同士が近づくことによるトリムカバー30の弛みをそれぞれのカバー側ワイヤ40の間の領域に逃がして、トリムカバー30の表面にシワが形成されることを抑制できる。
また、カバー側ワイヤ40を並設するので、カバー側ワイヤ40同士の間のトリムカバー30の拘束方向を同一(カバー側ワイヤ40の並設)方向に向けることができる。これにより、トリムカバー30にシワが形成されることを抑制できる。
例えば、水平方向に延設されるカバー側ワイヤ40と、重力方向に延設されるカバー側ワイヤ40と、が混在する場合には、水平方向に延設されるカバー側ワイヤ40によりトリムカバー30が重力方向に拘束され、重力方向に延設されるカバー側ワイヤ40によりトリムカバー30が水平方向に拘束される。この場合、異なる方向に拘束された領域が重なると、拘束方向が異なるためにトリムカバー30にシワが形成されやすくなるところ、本実施形態では、拘束方向を同一(カバー側ワイヤ40の並設)方向にできるのでトリムカバー30にシワが形成されることを抑制できる。
なお、3本のカバー側ワイヤ40が左右方向(矢印L-R方向)に隣り合うカバー側ワイヤ40と所定の間隔を隔てて並設される形態とは、1本のカバー側ワイヤ40の両端を結ぶ直線と、隣り合うカバー側ワイヤ40の両端を結ぶ直線と、の正面視における交差角度が0度(平行)~5度であれば良く、正面視における隣り合うカバー側ワイヤ40との最小の離間距離が、100ミリ以上離れていれば良い。この範囲であればカバー側ワイヤ40同士が近づくことによるトリムカバー30の弛みをカバー側ワイヤ40の間の領域に逃がすことができる。また、トリムカバー30の拘束方向を同一方向にすることができる。本実施形態では、左右方向中央のカバー側ワイヤ40の両端を結ぶ直線と、左右方向両外側のカバー側ワイヤ40の両端を結ぶ直線と、の正面視における交差角度が0.3度に設定され、正面視におけるカバー側ワイヤ40との最小の離間距離が210ミリに設定される。
また、複数の3本のカバー側ワイヤ40は、略同一方向に延設され、左右方向(矢印L-R方向)に並設されるので、トリムカバー30にカバー側ワイヤ40を配設した状態でトリムカバー30を持ち運ぶ場合に、カバー側ワイヤ40の並設方向(左右方向)にトリムカバー30を折り込んでトリムカバー30を小さくした状態で持ち運ぶことができる。その結果、トリムカバー30にカバー側ワイヤ40を配設した状態で、トリムカバーの持ち運びを簡易にできる。
この場合、3本のカバー側ワイヤ40は、正面視におけるシートバック3の短手方向(矢印L-R方向)に並設されるので、トリムカバー30にカバー側ワイヤ40を配設した状態でトリムカバー30を折り込む場合に、正面視におけるシートバック3の短手方向にトリムカバー30を折り込むことができる。よって、トリムカバー30を折り込む量(短手方向の全長から所定の(持ちやすい)長さとなるまで折り曲げる寸法)を少なくできる。その結果、トリムカバー30を持ち運ぶ場合に、トリムカバー30が嵩張ることを抑制できる。
また、3本のカバー側ワイヤ40が正面視におけるシートバック3の短手方向(矢印L-R方向)に並設されるので、カバー側ワイヤ40の本数を増加しなくても、カバー側ワイヤ40によるトリムカバー30の拘束量を多くできる。その結果、カバー側ワイヤ40のコストが増加することを抑制できる。
カバー側ワイヤ40は、断面円形に形成され、無負荷状態において断面の中心が直線状に延設されるので、カバー側ワイヤ40を周方向のどの向きに配置した状態からでも、シートパッド20の表面形状に沿ってカバー側ワイヤ40を弾性変形させる場合に必要な力を製品毎に同一にできる。よって、カバー側ワイヤ40を弾性変形させる途中で手に伝わるカバー側ワイヤ40の弾性回復力からカバー側ワイヤ40を曲げるために必要な力を作業者が考える必要がなくなる(製品毎に同じ力で曲げられる)ので、カバー側ワイヤ40をシートパッド20の表面形状に沿って弾性変形させる作業性を向上できる。さらに、シートパッド20の表面形状に沿って弾性変形した状態のカバー側ワイヤ40の弾性回復力を製品毎に同一に設定できるので、シートパッド20、パッド側ワイヤ25、及び、連結部材50を必要以上の強度に設定する必要がなくなり、製造コストが増加することを抑制できる。
パッド側ワイヤ25は、カバー側ワイヤ40と同一の材料から断面円形の棒状に形成され、その直径がカバー側ワイヤ40の直径よりも大きく設定され、パッド側ワイヤ25の剛性がカバー側ワイヤ40の剛性よりも高く設定されるので、カバー側ワイヤ40の剛性を低くしてカバー側ワイヤ40をシートパッド20の表面形状に沿って弾性変形させやすくできると共に、パッド側ワイヤ25の剛性を高くしてカバー側ワイヤ40及びパッド側ワイヤ25によるシートバック3のクッション性能を確保できる。即ち、パッド側ワイヤ25とカバー側ワイヤ40との剛性の差を利用して、カバー側ワイヤ40をシートパッド20の表面形状に沿って弾性変形させやすくしつつ、カバー側ワイヤ40及びパッド側ワイヤ25によるシートバック3のクッション性能を確保できる。
なお、シートバック3のクッション性能を確保できるとは、乗員を背面側に押し込む方向に外力が作用した場合に、所定の外力までは弾性変形しやすいメインクッション部21を弾性変形させてその力を吸収して、所定の以上の外力が作用する場合には、メインクッション部21に比べて弾性変形しにくいパッド側ワイヤ25を弾性変形させて所定以上の力を吸収できることをいう。
また、パッド側ワイヤ25と、カバー側ワイヤ40と、の剛性を直径の大きさで異ならせるので、その違いを見た目(太い、又は、細い)で判断させることができる。その結果、パッド側ワイヤ25と、カバー側ワイヤ40との配置を間違えることを抑制できる。
3本のカバー側ワイヤ40は、無負荷状態において、それぞれの軸方向両端部の上下方向(矢印U-D方向)における配置が略同一の位置に配置され、それぞれの軸方向を略平行な方向に向けた状態で左右方向(矢印L-R方向)に並設されるので、それぞれのカバー側ワイヤ40の間に位置するトリムカバー30の拘束方向を同一方向(カバー側ワイヤ40の並設方向)に設定できる。その結果、トリムカバー30が複数の方向から引っ張られて、トリムカバー30の表面にシワが形成されることを抑制できる。
次いで、図6(a)を参照して、表皮部材31について説明する。なお、本実施形態では、表皮部材31の各カバー部材33L,33R,34L,34Rを代表して、第1カバー部材33Lについて説明する。
図6(a)は、図1(b)のVIa-VIa線における第1カバー部材33Lの断面図である。図6(a)では、シートパッド20の外形が二点鎖線により図示され、第1カバー部材33Lが模式的に図示される。
第1カバー部材33Lは、車両用シート1の外観を構成する表皮材35と、その表皮材35の内側(シートパッド20側)に配設されるワディング36と、表皮材35とワディング36との間に介在される接着材37とを備える。
表皮材35は、牛皮、本皮、合成皮革、ファブリック等から構成される。ワディング36は、シートバック3(車両用シート1)のクッション性を向上させるためのものであり、不織布、軟質ポリウレタンフォームの発泡体等から構成される。接着材37は、表皮材35とワディング36とを全面接着させるためのものであり、エチレン酢酸ビニル、ポリオレフィン、ポリアミド等の柔軟性を備えた熱可塑性プラスチックのホットメルト接着材から構成される。
表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37は、所定の厚みを備えた膜(シート)状にそれぞれ形成される。これにより、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37は、可撓性をそれぞれ備える。また、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37は、略同一の外形にそれぞれ形成される。
ここで、平坦な面で表皮材とワディングとが接着され、平面状に形成された表皮部材をシートパッド20の表面形状に沿って変形(湾曲)させる場合、例えば、シートパッド20の第2湾曲部21bの表面形状に沿って膨らんで変形させる場合、表皮材とワディングとは所定の厚みをそれぞれそなえるため、表皮部材の外側に配設される表皮材には引張応力が、表皮部材の内側に配設されるワディングには圧縮応力がそれぞれ生じる。
これに対し、表皮材35とワディング36とはメインクッション部21の表面形状に対応する形状とされた状態で接着材37により接着される。これにより、第1カバー部材33Lがメインクッション部21の表面形状に対応する形状とされた状態において表皮材35及びワディング36に引張応力、或いは、圧縮応力が生じることが抑制される。
その結果、第1カバー部材33Lは、メインクッション部21の表面形状と略同一に形成され、メインクッション部21の第1湾曲部21a及び第2湾曲部21bに対応(対向)する位置に第1湾曲部33L2及び第2湾曲部33L3をそれぞれ備える。詳細に説明すると、第1湾曲部33L2は、背面側(矢印B方向側)に向かって凹設され、第2湾曲部33L3は、正面側(矢印F方向側)に向かって膨らんで形成される。
これにより、第1カバー部材33L(トリムカバー30)をシートパッド20に覆設させた状態において第1カバー部材33Lをシートパッド20の表面形状に沿わせやすくできる。
なお、凹設された形状および膨らんだ形状は、湾曲して形成されてもよく、直線状に形成されても良い。また、湾曲される部位と直線状に形成される部位とが混在しても良く、湾曲される部位と直線状に形成される部位とがそれぞれ複数形成されても良い。
また、凹設された形状とは、凹設された形状の両端の間に位置する部位が、凹設された形状の両端を繋いだ直線に対し、背面側(第1カバー部材33Lがシートパッド20に接近する側)に形成されることであり、膨らんだ形状とは、膨らんだ形状の両端の間に位置する部位が、膨らんだ形状の両端を繋いだ直線に対し、正面側(第1カバー部材33Lがシートパッド20から離間する側)に形成されることである。
次いで、図6(b)を参照して、金型60について説明する。図6(b)は、配設工程における第1カバー部材33L及び金型60の部分拡大断面図であり、図1(b)のVIa-VIa線における断面に対応する。
金型60は、表皮材35とワディング36とを接着させるためのものであり、第1型61と第2型62とを備える。第1型61及び第2型62は、メインクッション部21の表面形状に対応する形状に形成される対面部61a,62aをそれぞれ備える。
メインクッション部21の第1湾曲部21a、第2湾曲部21bに対応する対面部61a,62aを第1型第1湾曲部61b、第1型第2湾曲部61c、及び、第2型第1湾曲部62b、第2型第2湾曲部62cと称す。対面部61a(第1型61)と対面部62a(第2型62)とは、第1型第1湾曲部61b及び第1型第2湾曲部61cと第2型第1湾曲部62b及び第2型第2湾曲部62cとがそれぞれ対向して配設される。
また、第1型61は、電熱ヒータ(図示せず)を備え、これにより、第1カバー部材33L(接着材37)が加熱される。その結果、接着材37が溶融し、表皮材35とワディング36とを接着できる。なお、電熱ヒータは、第2型62に配設されても良く、第1型61及び第2型62に配設されても良い。
次いで、第1カバー部材33Lの製造方法について説明する。まず、第1型61の対面部61aに表皮材35とワディング36とを間に加熱前における接着材37を介在させた状態で重ね合わせて配設(積層)する(配設工程)。なお、第1型61側にワディング36が、第2型62側に表皮材35がそれぞれ配設される。
上述したように、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37は可撓性をそれぞれ備えるため、配設工程により対面部61aに配設(積層)された表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37(接着前の第1カバー部材33L)は、対面部61aの形状(メインクッション部21の表面形状)に沿った状態とされる。
次いで、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37を留め具(図示せず)により第1型61に固定し、電熱ヒータ(図示せず)により第1型61が加熱された状態で第1型61、或いは、第2型62が変位し、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37が押圧(プレス加工)される。表皮材35とワディング36とが間に接着材37を介在した状態で全面において圧接され、電熱ヒータにより加熱された第1型61が接着材37を溶融させることで表皮材35とワディング36とが全面接着される(接着工程)。
なお、接着工程における押圧(プレス加工)とは、表皮材35及びワディング36が加熱前における接着材37から離間することを抑制するためであり、表皮材35及びワディング36に形状を形成するための圧力を付与することは目的とはしていない。
これにより、表皮材35とワディング36とは、メインクッション部21の表面形状に沿った状態で接着され、第1湾曲部21a及び第2湾曲部21bに対応する位置において引張応力、或いは、圧縮応力が生じることが抑制される。その結果、第1湾曲部33L2及び第2湾曲部33L3を備えた第1カバー部材33Lが得られる。なお、接着工程において留め具(図示せず)による固定を省略しても良い。
この第1カバー部材33Lの製造方法によれば、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37は、可撓性をそれぞれ備えるため、第1型61に配設(載置)することでメインクッション部21の表面形状に沿った状態にそれぞれ変形できる。
また、加熱前における接着材37は、膜(シート)状に形成されるため持ち運びが容易である。また、液状の接着剤の塗布や噴霧作業を不要とでき、表皮材35とワディング36とを全面において接着することが容易となる。これらにより、配設工程の工数を低減できる。
なお、加熱前における接着材37は、表皮材35及びワディング36の外形よりも小さく形成されても良く、加熱前における接着材37が、一部切欠かれて形成されても良い。これにより、表皮材35とワディング36とを一部非接着とできる。
ここで、平坦な面で表皮材とワディングとが接着され、平面状に形成された表皮部材をシートパッド20の背面側(矢印B方向)に向かって凹設される第1湾曲部21aの表面形状に沿って変形(湾曲)させる場合、上述したように、表皮材及びワディングに引張応力、或いは、圧縮応力が生じ、表皮部材を平面状に変形させる(元の形状に復帰しようとする)力が表皮部材に作用する。
表皮部材が平面状に変形(復帰)する際、表皮材とワディングとの伸縮性の差(ワディングの伸縮性が表皮材の伸縮性よりも大きい)に起因してワディングが表皮材を引っ張り、表皮部材にしわが発生する。或いは、第1湾曲部21aの両端において表皮部材とシートパッド20とが当接した状態では、表皮材とワディングとの伸縮性の差(表皮材の伸縮性がワディングの伸縮性よりも小さい)に起因して表皮部材がワディングを引っ張り、表皮部材とシートパッド20との間に隙間が形成される。
また、正面側(矢印F方向側)に向かって膨らむ第2湾曲部21bの表面形状に沿って変形(湾曲)させる場合、表皮材とワディングとの伸縮性の差(表皮材の伸縮性がワディングの伸縮性よりも小さい)に起因して表皮材がワディングを引っ張り、第2湾曲部21b周辺において表皮部材とシートパッド20との間に隙間が形成される。これらの結果、シートバック3の見栄えが悪化する。
これに対し、本実施形態における第1カバー部材33Lによれば、表皮材35及びワディング36に引張応力、或いは、圧縮応力が生じることが抑制された第1湾曲部33L2及び第2湾曲部33L3を備える。即ち、シートパッド20の表面形状に対応する(第1湾曲部21a及び第2湾曲部21bに対応(対向)する位置に第1湾曲部33L2及び第2湾曲部33L3が形成される)形状を維持し易いので、第1カバー部材33L(トリムカバー30)をシートパッド20に覆設させた状態においてワディング36と表皮材35との伸縮性の差に起因する引っ張り力が生じることを抑制でき、第1カバー部材33Lにしわが発生する、或いは、第1カバー部材33Lとシートパッド20との間に隙間が形成されることを抑制できる。その結果、シートバック3(車両用シート1)の見栄えが悪化することを抑制でき、見栄えを向上できる。
また、ワディング36と表皮材35との伸縮性の差に起因する引っ張り力が互いに生じることを抑制できるため、ワディング36が表皮材35からはがれる(脱離する)ことを抑制できる。
次いで、図7(a)を参照して、第2実施形態における第1カバー部材233Lについて説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7(a)は、第2実施形態における第1カバー部材233L及び金型260の部分拡大断面図であり、図1(b)のVIa-VIa線における断面に対応する。なお、図7(a)は、第1カバー部材233Lの製造における配設工程であり、第1カバー部材233Lが模式的に図示される。
図7(a)示すように、第2実施形態における金型260の第1型261(対面部61a)には、逃がし部261dが形成される。逃がし部261dは、第1型第1湾曲部61bの凹設深さが最大となる位置を含む領域において、対面部61aから第2型62の対面部62aとは反対側へ向かって凹設される。即ち、逃がし部261dは、第2型62の対面部62aから後退して形成される。
なお、第1型第1湾曲部61bの凹設深さが最大となる位置とは、断面視における第1型261の対面部61aに対して、第1型第1湾曲部61bの一方側と他方側と(図7(a)における左右方向、第1カバー部材233Lの上下方向(図6(a)矢印U-D方向))で第2型62側に張り出す2点の頂点間を直線状に結ぶ仮想線(図示せず)からその仮想線と直交する方向において第1型261の正面までの距離が最大限離間する位置である。
次いで、第1カバー部材233Lの製造方法について説明する。まず、第1型261の対面部61aに表皮材35とワディング36とを間に加熱前における接着材37を介在させた状態で重ね合わせて配設(積層)する(配設工程)。なお、第1型261側にワディング36が、第2型62側に表皮材35がそれぞれ配設される。
本実施形態では、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37は、配設工程において対面部61aに沿って配設(積層)される。即ち、表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37は、逃がし部261dに入り込まず、対面部61aの形状(メインクッション部21の表面形状)に沿った状態とされる。即ち、逃がし部261dの底面とワディング36との間には隙間が形成される。
なお、断面視における逃がし部261dの一方と他方と(図7(a)における左右方向、第1カバー部材233Lの上下方向(図6(a)矢印U-D方向))の距離は対面部61aに対して十分小さく形成される。また、対面部61aに表皮材35、ワディング36及び加熱前における接着材37を配設した状態において留め具(図示せず)により第1型261固定される。これにより、逃がし部261dの底面とワディング36との間に隙間を形成できる。
接着工程は、第1実施形態における接着工程と同様であるため、その説明は省略する。この第1カバー部材233Lの製造方法によれば、第1型261(対面部61a)は逃がし部261dを備えるため、接着工程において接着材37が加熱されることを抑制でき、逃がし部261dに対応する領域(以下「非接着領域S」と称す)において表皮材35とワディング36とを非接着とできる。
第1カバー部材233Lにおける非接着領域Sとは、断面視における第1カバー部材233Lの正面(図7(a)における上側の面)に対して、第1カバー部材233Lの上下方向(図7(a)における左右方向、図6(a)における矢印L-R方向)で正面側に張り出す2点の頂点間を直線状に結ぶ仮想線(図示せず)からその仮想線と直交する方向において第1カバー部材233Lの正面までの距離が最大限離間する位置を含む領域である。
なお、非接着領域Sは、接着工程において押圧(プレス加工)される時間、又は、電熱ヒータ(図示せず)による第1型261の加熱温度を調整することにより、逃がし部261dの外形よりも大きく、或いは、小さくできる。
以上のように形成される第1カバー部材233Lによれば、非接着領域Sにおいて、表皮材35とワディング36とは、接着材37が配設された状態においても非接着とされる。これにより、非接着領域Sに対応する領域を切り欠いた接着材を形成することや、配設工程において非接着領域Sを避けて複数の接着材を配設することを不要とでき、配設工程の工数を低減できる。
また、非接着領域Sにおいて表皮材35とワディング36とが非接着とされるので、表皮材35とワディング36との伸縮性の差に起因して、表皮材35又はワディング36の一方が他方に引っ張られたり、押し戻されたりすることを抑制できる。これにより、表皮材35(第1カバー部材233L)にしわが発生することや、第1カバー部材233Lとシートパッド20との間に隙間が形成されることを抑制でき、シートバック3(車両用シート1)の見栄えを向上できる。
第1湾曲部33L2の正面側への膨出寸法が最大となる位置を含む領域では、第1カバー部材233Lをシートパッド20に覆設させることにより、第1カバー部材233Lに上下方向(図6(b)における矢印U-D方向)の力が作用する。また、カバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25と連結部材50で連結されることにより、左右方向(図6(b)における矢印L-R方向)の力が作用する。このように、上下方向および左右方向に力が作用する領域においては表皮材35とワディング36との伸縮性の差に起因して、表皮材35又はワディング36の一方が他方に引っ張られたり、押し戻されたりすることが生じやすく、このような領域に非接着領域Sを形成することにより、表皮材35にしわが発生することや、第1カバー部材233Lとシートパッド20との間に隙間が形成されることを抑制できる。
次いで、図7(b)及び図8を参照して、第3実施形態における第1カバー部材333Lについて説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7(b)は、第3実施形態における第1カバー部材333Lの断面図であり、図1(b)のVIa-VIa線における断面に対応する。図7(b)では、シートパッド20の外形、及び、第1湾曲部33L2において第1カバー部材333Lが正面側(矢印F方向側)に凸の形状となる状態が二点鎖線により図示され、第1カバー部材333Lが模式的に図示される。
第1カバー部材333Lは、車両用シート1の外観を構成する表皮材35と、その表皮材35の内側(シートパッド20側)に配設されるワディング336と、表皮材35とワディング336との間に介在される接着材37とを備え、ワディング336には余長部336aが形成される。
従って、表皮材35は、メインクッション部21の表面形状に対応する形状とされた状態で接着される。一方、ワディング336は、余長部336aを除き、メインクッション部21の表面形状に対応する形状とされた状態で接着される。
次いで、図8を参照して、金型360について説明する。図8(a)は、第1カバー部材333L及び金型360の部分拡大断面図であり、図1(b)のVIa-VIa線における断面に対応し、図8(b)は、図8(a)のVIIIb-VIIIb線における第1カバー部材333L及び金型360の部分拡大断面図である。
なお、図8では、第1カバー部材333Lが模式的に図示され、図8(a)は、第1カバー部材333Lの製造における配設工程が図示される。
図8(a)及び図8(b)に示すように、金型360の第1型361(対面部61a)には、逃がし部361dが形成される。逃がし部361dは、第1型第1湾曲部61bの凹設深さが最大となる位置を含む領域において対面部61aから第2型62の対面部62aとは反対側へ向かって凹設される。即ち、逃がし部361dは、第2型62の対面部62aから後退して形成される。
なお、第1型第1湾曲部61bの凹設深さが最大となる位置とは、断面視における第1型361の対面部61aに対して、第1型第1湾曲部61bの一方側と他方側と(図8(a)における左右方向、第1カバー部材333Lの上下方向(図7(b)矢印U-D方向))で第2型62側に張り出す2点の頂点間を直線状に結ぶ仮想線(図示せず)からその仮想線と直交する方向において第1型361の正面までの距離が最大限離間する位置である。
図8(a)に示すように、第1カバー部材333Lの上下方向(図8(a)における左右方向、図7(b)における矢印U-D方向)における逃がし部361dの端部は湾曲して形成される。これにより、逃がし部361dの形状に沿ってワディング336を第1型361に配設し易くでき、第1カバー部材333Lには、第1湾曲部333L2において背面側(矢印B方向側)に突出する余長部336aが形成される。
次いで、第1カバー部材333Lの製造方法について説明する。まず、第1型361の対面部61aに表皮材35とワディング336とを間に加熱前における接着材37を介在させた状態で重ね合わせて配設(積層)する(配設工程)。なお、第1型361側にワディング336が、第2型62側に表皮材35がそれぞれ配設される。
本実施形態では、ワディング336は、逃がし部361dの形状に沿って配設され、表皮材35及び加熱前における接着材37は、対面部61aに沿って配設(積層)される。即ち、表皮材35及び加熱前における接着材37は、逃がし部361dに入り込まず、対面部61aの形状(メインクッション部21の表面形状)に沿った状態とされ、表皮材35(加熱前における接着材37)とワディング336との間には隙間が形成される。
なお、断面視における逃がし部361dの一方と他方と(図8(a)における左右方向、第1カバー部材333Lの上下方向(図7(b)における矢印U-D方向))の距離は対面部61aに対して十分小さく形成される。また、対面部61aに表皮材35、ワディング336及び加熱前における接着材37を配設した状態において留め具(図示せず)により第1型361固定される。これにより、表皮材35(加熱前における接着材37)とワディング336との間に隙間を形成できる。
接着工程は、第1実施形態における接着工程と同様であるため、その説明は省略する。この第1カバー部材333Lの製造方法によれば、第1型361(対面部61a)は逃がし部361dを備えるため、非接着領域Sにおいてワディング336にたわんだ(表皮材35の背面から離れた)状態とされる余長部336aを形成できる。
これにより、第1カバー部材333Lには、非接着領域Sにおいて、余長部336aがたわまない(表皮材35の背面に当接した)状態と比較して長く(多く)ワディング336が配設される。
図8(b)に示すように、逃がし部361dは、第1カバー部材333Lの左右方向(図7(b)における矢印L-R方向、図8(b)における左右方向)において第1カバー部材333Lよりも長く形成される。これにより、第1カバー部材333Lの上下方向(図7(b)における矢印U-D方向))における逃がし部361dに対応する範囲において、第1カバー部材333Lの左右方向における一方の縁部333L4から対向する他方の縁部333L5まで連続して非接着領域Sを形成できる。これにより、第1カバー部材333Lの左右両側(図7(b)における矢印L-R方向の両側)において接着領域と非接着領域Sとの境界が第1カバー部材333Lの上下方向に沿って形成されることを抑制でき、その境界の近傍における接着領域にワディング336がたわんだ(波打った)状態で配設、接着され、第1カバー部材333Lの表面に波打ちしわが形成されることを抑制できる。
非接着領域Sと接着領域との境界は、接着工程において押圧(プレス加工)される時間、又は、電熱ヒータ(図示せず)による第1型361の加熱温度を調整することにより、逃がし部361dの外形よりも大きくできる。
なお、逃がし部361dは、第1カバー部材333Lの上下方向における逃がし部361dに対応する範囲において、第1カバー部材333Lの両縁部(縁部333L4,333L5)近傍では非形成とされ、即ち、第1カバー部材333Lの左右方向(図7(b)における矢印L-R方向)において逃がし部361dが形成される範囲が、第1カバー部材333Lの一方の縁部333L4から対向する他方の縁部333L5までの距離よりも短く形成され、第1カバー部材333Lの両縁部(縁部333L4,333L5)近傍において接着領域と非接着領域Sとが隣接して形成されても良い。
この場合、接着領域と非接着領域Sとの境界近傍における接着領域にワディング336がたわんだ(波打った)状態で配設されるものの、接着工程において押圧(プレス加工)されることでワディング336が圧縮され、第1カバー部材333Lの表面に波打ちしわが生じることを抑制できる。
また、左右方向における第1カバー部材333Lの両縁部(縁部333L4,333L5)近傍において、表皮材35とワディング336とが接着されるため、第1カバー部材333Lの外縁全周において表皮材35とワディング336とを接着できる。これにより、第1カバー部材333Lと第1カバー部材33R及び第2カバー部材34Lとを容易に縫合できる。また、第1カバー部材333Lの輸送時、縫合時等において表皮材35とワディング336との接着が解除されることを抑制できる。
以上のように形成される第1カバー部材333Lによれば、トリムカバー330(第1カバー部材333L)をシートパッド20に配設した状態において、第1湾曲部21aが凹設される方向(矢印B方向)とは反対側、即ち、第1湾曲部333L2が正面側(矢印F方向側)に凸の形状となる(反転する)ことを抑制できる。
詳細に説明すると、トリムカバー330をシートパッド20に配設するために、第1カバー部材333Lに上下方向(矢印U-D方向)、左右方向(矢印L-R方向)及び前後方向(矢印F-B方向)に力が作用されることで、第1カバー部材333Lの第1湾曲部333L2が正面側(矢印F方向側)に凸の形状となる力が作用する虞がある。
これに対し、本実施形態では、ワディング336に余長部336aが形成されるため、図7(b)の二点鎖線により図示される第1カバー部材333Lが示すように第1湾曲部333L2が正面側に凸の形状となり、その凸の形状の内周側に余長部336aが配設される、即ち、余長部336aが左右方向(矢印L-R方向)とワディング336の厚さ方向(矢印F-B方向)とに直交する方向に圧縮されることに対し、反発力(圧縮に対する抵抗力)を生じさせることができる。
また、上述したように、第1カバー部材333Lは、表皮材35は、メインクッション部21の表面形状に対応する形状とされた状態で接着される。これにより、第1湾曲部333L2が正面側に凸の形状なる場合、表皮材35には引張応力が生じ、反発力(第1湾曲部333L2の形状に復帰しようとする力)を生じさせることができる。
これらにより、第1湾曲部333L2が正面側に凸の形状となることに対抗させることができる。その結果、第1湾曲部333L2が正面側に凸の形状となることを抑制できる。
トリムカバー330(第1カバー部材333L)をシートパッド20に配設した場合、余長部336aは、表皮材35及びシートパッド20によりワディング336の厚さ方向に圧縮され、第1カバー部材333Lの外面が盛り上がり、見栄えが悪化することを抑制できる。
ここで、ワディング336の厚みは、断面視における余長部336aの形状に沿った長さ(断面視における余長部336aの線長)よりも小さく形成されるため、ワディング336の厚さ方向における圧縮に対し、左右方向とワディング336の厚さ方向とに直交する方向における圧縮を行い難くされる。
なお、シートパッド20に余長部336aを受け入れるために、逃がし部361dの外形と略同一形状の凹部が形成されても良い。これにより、第1カバー部材333Lの外面が盛り上がり、見栄えが悪化することを抑制できる。また、余長部336aがワディング336の厚み方向に圧縮されることを抑制でき、乗員の背中が当接した際の非接着領域S(余長部336aが形成される領域)と接着領域とにおける感触の差が発生することを抑制できる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態では、第2カバー部材34L,34Rが、それぞれ1枚の織物から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2カバー部材34L,34Rが、それぞれ2枚の織物から形成されてもよい。例えば、第2カバー部材34L,34Rは、サイドクッション部22の正面側と、サイドクッション部22の側面側と、で分割され、その分割面で縫合してあるものでもよい。
上記各実施形態では、各カバー部材33L,33R,34L,34Rが織物から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各カバー部材33L,33R,34L,34Rが、合成皮革、人工皮革から形成されていてもよい。
上記各実施形態では、パッド側ワイヤ25が各溝状部23の背面側に1本ずつ配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、パッド側ワイヤ25が、複数個に分割されてもよい。例えば、パッド側ワイヤ25は、各凹部24に対応する位置にそれぞれ配設されて、各溝状部23の背面側に4本ずつ配設されてもよい。また、この場合、それぞれのパッド側ワイヤ25は、棒状に形成されるものでなくてもよく、例えば、パッド側ワイヤ25は、鈎状に形成され、その先端に連結部材50が係合されるものであってもよい。
上記各実施形態では、3本のカバー側ワイヤ40が、上下方向に延設され、左右方向に並設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、4本のカバー側ワイヤ40が、左右方向に延設され、隣り合うカバー側ワイヤ40が上下方向に所定の距離離間して並設されていてもよい。
この場合、上記各実施形態と同様に、トリムカバー30を拘束するカバー側ワイヤ40同士を離して配置しておくことができるので、それぞれのカバー側ワイヤ40の配置がずれてカバー側ワイヤ40同士が近づいたとしても、それらカバー側ワイヤ40同士が近づくことによるトリムカバー30の弛みをそれぞれのカバー側ワイヤ40の間の領域に逃がして、トリムカバー30の表面にシワが形成されることを抑制できる。
上記各実施形態では、カバー側ワイヤ40及びパッド側ワイヤ25が金属材料から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、カバー側ワイヤ40及びパッド側ワイヤ25は、弾性変形可能な樹脂材料や、弾性変形可能なゴム状部材から形成されていてもよい。
上記各実施形態では、カバー側ワイヤ40を弾性変形させてトリムカバー30(カバー側ワイヤ40)をシートパッド20(パッド側ワイヤ25)に配設(連結)する場合について説明したが、カバー側ワイヤ40は、トリムカバー30をシートパッド20に配設した場合に正面視において隣り合うカバー側ワイヤ40同士が所定の間隔を隔てて並設されていればよく、シートパッド20の正面の曲面形状に沿って塑性変形されるものであってもよい。
上記各実施形態では、シートパッド20の正面が曲面形状に形成され、カバー側ワイヤ40が無負荷状態で直線状に延設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、シートパッド20の正面が平坦面に形成され、カバー側ワイヤ40が無負荷状態で湾曲形状に延設され、トリムカバー30(カバー側ワイヤ40)をシートパッド20(パッド側ワイヤ25)に配設(連結)する場合に、シートパッド20の正面の平坦面形状に合わせてカバー側ワイヤ40を直線状に弾性変形させるものであってもよい。
上記各実施形態では、メインクッション部21は、第1湾曲部21aと第2湾曲部21bとを備え、正面の面形状が側面視において略S字に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、メインクッション部21の正面は、背面側に凹設される湾曲形状が複数箇所に形成されてもよく、それらの湾曲形状の半径および曲率がそれぞれ異なるものであってもよく、背面側に向かって凹設される湾曲形状でなく正面側に向かって突設される湾曲形状であってもよい。
第2実施形態及び第3実施形態では、非接着領域Sがシートバック3(第1カバー部材233L,333L)に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、シートクッション2に形成されても良い。
第2実施形態及び第3実施形態では、非接着領域Sが1箇所形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、複数(2箇所以上)形成されても良い。
第2実施形態及び第3実施形態では、第1カバー部材233L,333Lの第1湾曲部33L2,333L2(シートパッド20の第1湾曲部21a)の凹設深さが最大となる位置を含む領域に非接着領域Sが形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、正面側(矢印F方向)への膨出寸法が最大となる位置を含む領域に形成されても良い。また、第1湾曲部33L2,333L2の凹設深さが最大となる位置または第2湾曲部33L3の膨出寸法が最大となる位置を含まない領域に形成されても良く、例えば、第1湾曲部33L2,333L2と第2湾曲部33L3との間に形成されても良い。
第1湾曲部33L2,333L2の正面側への膨出寸法が最大となる位置を含む領域では、第1カバー部材233L,333Lをシートパッド20に覆設させることにより、第1カバー部材233L,333Lに上下方向(矢印U-D方向)の力が作用する。また、カバー側ワイヤ40とパッド側ワイヤ25と連結部材50で連結されることにより、左右方向(矢印L-R方向)の力が作用する。このように、上下方向および左右方向に力が作用する領域においては表皮材35とワディング36,336との伸縮性の差に起因して、表皮材35又はワディング36,336の一方が他方に引っ張られたり、押し戻されたりすることが生じやすく、このような領域に非接着領域Sを形成することにより、表皮材35にしわが発生することや、第1カバー部材233L,333Lとシートパッド20との間に隙間が形成されることを抑制できる。