JP7157854B1 - 柱・梁架構と耐震壁との接合構造 - Google Patents

柱・梁架構と耐震壁との接合構造 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄筋コンクリート造の柱・梁のフレームの構面内に配置される鉄筋コンクリート造の耐震壁とフレームとをアンカーを用いて接合する上で、フレームと耐震壁間に相対変形が生じた初期の段階からプレートを通じて複数本のアンカーにせん断力を分担させながら、フレームと耐震壁との間でのせん断力の伝達能力を高める。【解決手段】フレーム1の内周面と耐震壁4の外周面との間に、両者のいずれか一方に一体化し、耐震壁4の長さ方向と高さ方向に連続する1枚、もしくは複数枚のプレート6を配置し、プレート6を厚さ方向に貫通させ、プレート6に面内方向に係止させた状態で、アンカー5を耐震壁4の長さ方向の全長と高さ方向の全高に亘って分散させて配列させ、フレーム1と耐震壁4に定着させ、アンカー5のプレート6に係止する係止部51における軸に直交する断面積他の部分における軸に直交する断面積より大きくする。【選択図】図1

Description

本発明は鉄筋コンクリート造の柱・梁のフレームの構面内に配置される鉄筋コンクリート造の耐震壁とフレームとをアンカーを用いて接合した柱・梁架構と耐震壁との接合構造に関するものである。
鉄筋コンクリート造の柱・梁のフレームの構面内に鉄筋コンクリート造の耐震壁を配置し、耐震壁をフレームに一体的に接合する場合、フレームの内周面と耐震壁の外周面との間に確保した空間に鋼製の枠材を配置し、枠材をフレームと耐震壁のそれぞれにアンカーを用いて定着させる方法がある(特許文献1~3参照)。
特許文献1では特に枠材とフレーム間、及び枠材と耐震壁間に確保された空間に充填されたグラウト材に生じる付着力と摩擦力を利用することで、フレームと耐震壁との間でせん断力の多くを伝達しようとしている(段落0020)。結果的にフレームと耐震壁間に跨るように配置されるアンカーの本数を削減する効果を得ている(段落0021)。
但し、枠材を貫通してフレームに定着されるアンカーと、枠材の内周面に固定されて耐震壁に定着されるアンカーの2種類のアンカーを必要とするため、充填材の介在は必ずしも効率的な方法とは言えない。
これに対し、フレームと耐震壁との間にプレートを介在させ、プレートを貫通させてアンカーをフレームと耐震壁の双方に定着させる方法がある(特許文献4参照)。この方法ではアンカーの全長の内、フレーム中に埋設される区間と耐震壁中に埋設される区間はそれぞれフレームと耐震壁に拘束される。このため、フレームの構面内での変形(層間変形)時、すなわちフレームと耐震壁との間の相対変形時には各埋設区間はそれぞれフレームと耐震壁と共に一体的に挙動しようとする。
特開2002-285708号公報(段落0018~0026、図1~図3) 特開2018-76677号公報(段落0019~0038、図1~図3) 特開2000-226938号公報(段落0010~0013、図1~図4) 特開2016-142021号公報(請求項1、段落0029~0072、図1~図5)
特許文献4のプレートは耐震壁側に突設された定着筋(スタッド)が耐震壁中に埋設されることで(請求項1、段落0031)、相対変形時には耐震壁と一体的に挙動しようとする。ここで、アンカーの、フレーム中への埋設区間と耐震壁中への埋設区間は上記のようにフレームと耐震壁に拘束されているのに対し、プレートを挿通する区間はプレートに係止した状態になく(段落0033)、拘束されていないため、アンカーのプレートへの挿通区間にせん断力が集中的に作用することになる。
この結果、相対変形時にフレームと耐震壁のいずれにも定着されない区間に、正負の向きに交互にせん断力が集中的に作用するため、アンカーが破断し易くなることが考えられる。特にアンカーは耐震壁の長さ方向には分散して配置されていないため(請求項1、図1、図7)、プレートを通じて複数本のアンカーにせん断力を分担させることはできず、1本当たりのアンカーの負担が過大になり易い。
また特許文献4ではアンカーの周面とプレートの貫通孔との間に空隙(クリアランス)が確保されているため(段落0033)、プレートに形成された貫通孔の内周面とアンカーの周面との間の空隙を超える相対変形が生じるまでの初期の段階ではプレートを通じてアンカーにせん断力を伝達させる状態にはない。
本発明は上記背景より、フレームと耐震壁間に相対変形が生じた初期の段階からプレートを通じて複数本のアンカーにせん断力を分担させながら、アンカーの破断を抑制し、フレームと耐震壁との間でのせん断力の伝達能力を高める柱・梁架構と耐震壁との接合構造を提案するものである。
請求項1に記載の発明の柱・梁架構と耐震壁との接合構造は、鉄筋コンクリート造の柱・梁のフレームの構面内に配置される鉄筋コンクリート造の耐震壁と前記フレームとを、前記耐震壁の外周面に沿って長さ方向と高さ方向に配列する複数本のアンカーを用いて接合した接合構造であり、
前記フレームの内周面と前記耐震壁の外周面との間に、前記フレームと前記耐震壁のいずれか一方に一体化し、前記耐震壁の長さ方向と高さ方向にそれぞれ連続する1枚、もしくは複数枚のプレートが配置され、
前記アンカーは前記プレートを厚さ方向に貫通し、前記プレートに面内方向に係止した状態で、前記耐震壁の長さ方向の全長と高さ方向の全高に亘って分散して配列し、前記フレームと前記耐震壁に定着され、
前記アンカーの前記プレートに係止する係止部における前記アンカーの軸に直交する断面積は前記アンカーの他の部分における軸に直交する断面積より大きいことを構成要件とする。
「フレームと耐震壁のいずれか一方に一体化するプレート」とは、図1-(b)、図3-(a)に示すようにプレート6が一体化する側の面にスタッド(スタッドボルト)やアンカーボルト等の定着具7が突設され、その側のコンクリート中に定着具7が埋設されることの結果として、プレート6が一体化すべきフレーム1、または耐震壁4と一体的に挙動する状態に、プレート6がフレーム1、または耐震壁4のコンクリートに接合されていることを言う。
「フレームの内周面と耐震壁の外周面との間に、耐震壁の長さ方向と高さ方向にそれぞれ連続する1枚、もしくは複数枚のプレートが配置され」とは、プレート6がフレーム1の内周面と耐震壁4の外周面との境界面に沿って連続して配置されることを言い、各方向に1枚の連続したプレート6が配置される場合と、複数枚のプレート6が軸方向に互いに突き合わせられながら、連続的に配置される場合があることを言う。
各方向に複数枚のプレート6が配置される場合、隣接するプレート6、6が軸方向に互いに突き合わせられることで、実体的には1枚の連続したプレート6が配置された状態と変わりはない。「プレートの軸方向」は複数枚のプレート6が配列する方向であり、幅方向と厚さ方向に直交する方向を指す。フレーム1と耐震壁4の鉄筋コンクリート造は鉄骨鉄筋コンクリート造を含む。
フレーム1の主に構面内方向の変形(層間変形)時に、フレーム1の隅角部において二方向のプレート6、6の端部同士が接触していることによる、プレート6、6間の圧力が問題になる可能性がある場合には、圧力による無用な応力の発生を回避する目的で、二方向のプレート6、6は不連続になることが合理的である(請求項5)。二方向のプレート6、6は耐震壁4の長さ方向に配置されるプレート6と高さ方向に配置されるプレート6を指す。
「不連続になる」とは、耐震壁4の長さ方向のプレート6と高さ方向のプレート6の端部間に空隙(空間)が確保されることを言い、いずれかの方向のプレート6の端面が柱2、または梁3に突き当たる場合を含む。「空隙の大きさ」は想定されるフレーム1の層間変形角に応じて設定される。「空隙が確保されること」は、フレーム1の内周面側の隅角部を含む、柱2と梁3の一部区間にプレート6が配置されないこと、とも言える。
特許文献4のようにフレームの隅角部において二方向のプレートが連続した状態にあれば(段落0031、図1)、フレームの変形時に、二方向のプレートの隅角部分、すなわち二方向の突き合わせ部分がフレームから強制的な変形を受け易くなり、プレートに過大な圧縮応力が発生し、隅角部以外の区間に変形を及ぼす可能性がある。
これに対し、フレーム1の隅角部において二方向のプレート6、6が連続した状態になければ(請求項5)、フレーム1の変形へのプレート6の追従時の強制的な変形が低減されるか、解消される。この結果、二方向のプレート6、6の層間変形角への追従性が上がり、強制的な変形によるプレート6の疲労と、疲労による破壊が回避され易くなる。
プレート6はフレーム1と耐震壁4のいずれか一方に一体化することで、フレーム1の変形時には、フレーム1と共に、または耐震壁4と共に挙動する。図1以下に示すようにプレート6が耐震壁4に一体化した場合、フレーム1の変形時、プレート6はフレーム1に対して相対移動しようとし、フレーム1に一体化した場合、フレーム1の変形時、プレート6はフレーム1と共に耐震壁4に対して相対移動しようとする。プレート6の耐震壁4、またはフレーム1への一体化は例えば図3-(a)、図4に示すようにプレート6の両面の内、いずれか一方の面に耐震壁4内、またはフレーム1内に定着される上記の定着具7を突設することで可能になる。
プレート6が耐震壁4に一体化した場合、フレーム1の変形時、フレーム1と共に挙動するアンカー5のフレーム1への埋設区間を通じ、プレート6はアンカー5の係止部51からせん断力を受け、アンカー5の耐震壁4への埋設区間を介して耐震壁4にせん断力を伝達させる。プレート6がフレーム1に一体化した場合、フレーム1の変形時、プレート6はアンカー5のフレーム1への埋設区間と共に耐震壁4に対して相対移動し、アンカー5の耐震壁4への埋設区間を介して耐震壁4にせん断力を伝達させる。
アンカー5の係止部51がプレート6に係止すると共に、フレーム1と耐震壁4のいずれか一方に係止する場合(請求項2)、例えば図4に示すようにプレート6が定着具7の埋設により耐震壁4に一体化し、係止部51がプレート6に係止しながら、フレーム1(柱2と梁3)に係止した場合、フレーム1からのせん断力はアンカー5のフレーム1への埋設区間と共に、フレーム1に係止した係止部51からもプレート6に伝達される。耐震壁4へはプレート6とアンカー5の耐震壁4への埋設区間を通じてせん断力が伝達される。プレート6がフレーム1に一体化し、係止部51が耐震壁4に係止した場合、フレーム1からのせん断力はアンカー5のフレーム1への埋設区間と共にプレート6から、係止部51とアンカー5の耐震壁4への埋設区間を通じて耐震壁4に伝達される。
いずれの場合も、係止部51の内、フレーム1、または耐震壁4に係止する部分はフレーム1と耐震壁4との間でせん断力を伝達する役目を果たす。係止部51がフレーム1と耐震壁4のいずれか一方に係止する場合(請求項2)の係止部51はフレーム1と耐震壁4のいずれか一方に形成される削孔1a内に挿入される嵌入部52を連続して有することでもある(請求項3)。この場合、嵌入部52がプレート6に係止しながら、フレーム1と耐震壁4のいずれか一方に係止することになり、嵌入部52がせん断力伝達の機能を発揮する。このように原則的には係止部51(嵌入部52)がプレート6を通じてフレーム1と耐震壁4との間のせん断力伝達の機能を分担し、上記した定着具7がプレート6とコンクリートとの一体性を確保する機能を分担する。
請求項1における「アンカーは耐震壁の長さ方向の全長と高さ方向の全高に亘って分散して配列し」とは、アンカー5が耐震壁4の長さ方向の全長に亘り、分散して配列し、高さ方向の全高に亘り、分散して配列することを言う。「耐震壁の長さ方向」と「耐震壁の高さ方向」はプレート6の軸方向である。「分散して配列」はプレート6の軸方向に主に均等に分散して配列することを言うが、必ずしも均等に分散する必要はない。「分散」は千鳥状の配列とプレート6の幅方向への複数列の配列を含む。
「全長」と「全高」はプレート6が配置されない場合(請求項5)の耐震壁4の隅角部は除かれる。「アンカーはプレートを厚さ方向に貫通し、プレートに面内方向に係止した状態で」とは、アンカー5の周面と、プレート6のアンカー5が貫通する挿通孔6aの内周面との間の、少なくともプレート6の軸方向に実質的にクリアランスがないことを言う。「少なくとも」とは、プレート6の幅方向にはクリアランスが許容される場合を含む意味である。クリアランスがない状態は、例えばアンカー5の挿通孔6aを貫通する部分(区間)が挿通孔6a回りに溶接され、溶接金属61で埋められることで得られる。
フレーム1と耐震壁4との間では、主にフレーム1の構面内方向の変形時にアンカー5を介してせん断力が伝達されるため、「プレートの面内方向」は主にプレート6の軸方向であるが、フレーム1の変形は構面外方向にも生じるため、「プレートの面内方向」はプレート6の幅方向を含み、せん断力の伝達効果を上げる上では、アンカー5はプレート6の幅方向にも係止させられる。以下ではフレーム1の構面内方向と構面外方向の変形を併せてフレーム1の構面内方向等の変形、または単に変形と言う。
各方向に配列する全アンカー5がプレート1を貫通しながら、耐震壁4の長さ方向と高さ方向に分散して配列することで、フレーム1の構面内方向等の変形時に、全アンカー5のフレーム1内への埋設区間からプレート6に、プレート6の軸方向に均等に、プレート6の面内方向のせん断力が伝達される。プレート6からは、全アンカー5の耐震壁4内への埋設区間を通じてせん断力が耐震壁4の長さ方向と高さ方向に均等に伝達され、耐震壁4がフレーム1に変形を生じさせた水平力を負担する。アンカー5はフレーム1の変形時にせん断力と共に、軸方向引張力を負担する。
フレーム1の変形時には、アンカー5のフレーム1内への埋設(定着)区間と耐震壁4内への埋設(定着)区間がそれぞれフレーム1と耐震壁4に拘束されている関係で、アンカー5には軸方向引張力が作用し、この引張力の程度次第で各埋設区間がフレーム1と耐震壁4から引き抜かれることが想定される。このような事態に対しては、図3~図5に示すようにアンカー5の軸方向の両側の端部に、アンカー5の係止部51以外の断面積より大きい断面積を持つ定着材53が接続されるか、形成されることで、抜け出しに対する安全性が確保される。
各方向の全アンカー5を通じてプレート6面内方向のせん断力が耐震壁4に均等に伝達されることで、フレーム1から耐震壁4に伝達されるせん断力が各アンカー5に実質的に均等に、または均等に近い状態に分担されるため、1本当たりのアンカー5が負担するせん断力が軽減され、アンカー5が破断に至る可能性が低下する。特にアンカー5のプレート6に係止する係止部51におけるアンカー5の軸に直交する断面積がアンカー5の他の部分における軸に直交する断面積より大きいことで、アンカー5がプレート6に係止した状態で繰り返されるせん断力を負担することによる破断に対する安全性も高い。
またアンカー5とプレート6挿通孔6aとの間に実質的にクリアランスがないことで、フレーム1の変形の開始時からアンカー5のフレーム1への埋設区間から耐震壁4への埋設区間へのせん断力の伝達が行われるため、相対変形が生じた初期の段階からプレート6を通じて複数本のアンカー5にせん断力を分担させる状態を得ることが可能である。
加えて各方向の全アンカー5を通じてプレート6面内方向のせん断力が耐震壁4に均等に伝達されることで、プレート6に作用する、アンカー5からのせん断力による面内方向力も軸方向に分散されるため、面内方向力が軸方向の一部に集中する場合のような応力の急変箇所がなくなり、プレート6自体も破断しにくくなる。
アンカー5のプレート6に係止する係止部51におけるアンカー5の軸に直交する断面積がアンカー5の他の部分における軸に直交する断面積より大きいことは、単純には、図5に示すようにアンカー5の軸方向中間部の一部区間の外径等の断面積を他の区間の外径等の断面積より大きくすることで得られる。
この他、図3、図4に示すようにアンカー5の軸方向中間部に、アンカー5の本体である軸部50とは別体の係止部51としてのナット状の部品を配置し、アンカー5本体(軸部50)に螺合等により一体化させることによっても、係止部51の断面積を他の部分の断面積より大きくすることができる(請求項2)。この場合の係止部51は上記のように嵌入部52を連続して有し、嵌入部52がプレート6に係止すると共に、フレーム1と耐震壁4のいずれか一方に係止する(請求項2)。この場合、アンカー5の軸部50は別体の係止部51に軸方向に形成された、雌ねじの切られた挿通孔51aに螺合するか、単なる挿通孔51aを挿通する。
軸部50に別体の係止部51が接続される場合、係止部51の内、プレート6に係止する部分が請求項1の係止部51に該当し、フレーム1と耐震壁4のいずれか一方に係止する部分が嵌入部52としてフレーム1と耐震壁4のいずれか一方のコンクリート中に入り込み、埋設される。この場合の係止部51は図3、図4に示すように係止部51の軸方向一方側に嵌入部52が連続し、一体的に形成された形をする。嵌入部52はフレーム1と耐震壁4のいずれか一方のコンクリート中に形成された削孔1aや空間内に嵌入し、削孔1a等内に充填されるモルタルや接着剤等の硬化性の充填材8中に埋設される。削孔1aは既存の躯体に形成された孔であり、空間は新設の躯体に確保される空間を指す。
前記のように係止部51(嵌入部52)はプレート6を介してフレーム1と耐震壁4との間のせん断力伝達の機能を発揮する。このため、図3、図4に示すようにフレーム1(柱2と梁3)に係止した場合には、フレーム1からのせん断力をアンカー5(軸部50)のフレーム1への埋設区間と共に、嵌入部52からも受けることができ、係止部51を通じてプレート6に伝達する。この場合、プレート6から耐震壁4にせん断力が伝達されることから、プレート6を耐震壁4に一体化させることが合理的であるため、プレート6に突設される場合の定着具7は図1-(b)、図4に示すように基本的にプレート6の耐震壁4側に突設される。
係止部51の嵌入部52が耐震壁4に係止した場合には、嵌入部52はプレート6からのせん断力をアンカー5(軸部50)の耐震壁4への埋設区間と共に耐震壁4に伝達することができる。このため、プレート6に突設される場合の定着具7は図1-(b)の下方に配置された定着具7の上下を反転させた形で主にプレート6のフレーム1側に突設され、プレート6はフレーム1に一体化する。
嵌入部52が係止部51に連続して形成された場合(請求項2、3)で、嵌入部52が削孔1a内に埋設される場合、フレーム1と耐震壁4のいずれか一方中に、プレート6側から削孔1aが形成されると共に、削孔1aのプレート6側に、嵌入部52の外周面が接触(内接)し得る嵌入孔1bが連続して形成される(請求項3)。「接触し得る」とは、図3-(d)に示すように嵌入部52の外周面全体が嵌入孔1bの内周面に実質的に接触(密着)した状態になる場合と、図3-(c)に示すように接触した状態にならない場合を含む意味であり、嵌入部52の外周面と嵌入孔1bの内周面との間に僅かな空隙がある場合を含むことを言う。「嵌入部52の外周面が接触する方向」はアンカー5の軸方向に直交する方向である。
この場合に、図3-(c)に示すように嵌入部52の内周面がアンカー5本体である軸部50に外接しない場合には、削孔1aのプレート6側に、嵌入部52の外周面が接触し得る、削孔1aより大きい平面積の嵌入孔1bを連続して形成すれば、(請求項3)、嵌入孔1bを含む削孔1a内に挿入される軸部50の充填材8中への埋設区間の全長において充填材8との一定の付着力が確保される。
「削孔1aより大きい平面積の嵌入孔1b」とは、嵌入孔1bの内周面の軸方向に直交する平面積A2が削孔1aの内周面の軸方向に直交する平面積A1より大きいこと(A2>A1)を言う。嵌入孔1bの内周面の平面積A2が削孔1aの内周面の平面積A1より大きいこと(A2>A1)は、嵌入孔1bの内周面と削孔1aの内周面が共に円形である場合、嵌入孔1bの内径が削孔1aの内径より大きいことでもある。
アンカーをコンクリートの削孔内に挿入し、削孔内に充填材を充填して定着させる場合に、例えば特許第5331268号、第5978363号のように嵌入部(挿入部)の内周面がアンカー本体(軸部)に外接しない場合を考える。これらのように削孔の平面積が軸方向に一様であれば、挿入部が削孔内に納まったときに、アンカーのコンクリートへの埋設区間の挿入部寄りの区間の周りに充填される充填材の容積が挿入部の体積分、少なくなる。本発明で言えば、嵌入孔1bの区間における軸部50周りの充填材8の、軸部50の単位長さ当たりの量が嵌入孔1bを除く削孔1aの区間における軸部50周りの充填材8の量より少なくなる。結果としてその区間での充填材との付着力が低下し、軸部50の引き抜きに対する安定性が低下する可能性がある。
アンカー5の軸部50のコンクリートへの埋設区間における充填材8との付着力が軸方向に一定(一様)でなければ、付着力の小さい部分である係止部51寄りの区間が充填材8から剥離する可能性がある。軸部50の係止部51寄りの区間に剥離が生ずれば、他の部分のみの付着力で引張力に抵抗する状況になるが、剥離した区間に連続する部分も連鎖し易くなり、軸部50の埋設区間の全長が一様に引張力に抵抗し続ける状況が確保されにくい。
それに対し、図3-(c)に示すように嵌入孔1bの平面積A2が削孔1aの平面積A1より大きいことで(A2>A1)、嵌入孔1bの区間における軸部50周りの充填材8の量が嵌入孔1bを除く削孔1aの区間における軸部50周りの充填材8の量より極端に少なくならない状態を得ることができる。すなわち、嵌入孔1b内への嵌入部52の挿入に拘わらず、軸部50のコンクリートへの埋設区間の全長に亘り、軸部50の周囲に、単位長さ当たり、同等程度の量の充填材8が包囲する状況を得ることができる。この結果、嵌入孔1bを含む削孔1a内に挿入される軸部50の全長に亘り、一定程度以上の付着力が得られ、軸部50の引き抜きに対する安定性が向上する。
特に図3-(d)に示すように嵌入孔1b内に嵌入部52が挿入されたときの嵌入部52の内周面の軸方向に直交する平面積A3が、削孔1aの内周面の軸方向に直交する平面積A1以上であれば(A3≧A1)(請求項4)、嵌入孔1b内への嵌入部52の挿入に拘わらず、軸部50のコンクリートへの埋設区間の全長に亘り、軸部50の周囲に、単位長さ当たり、同一量以上の充填材8が包囲する状況を得ることができ、引き抜きに対する安定性がより向上する。嵌入部52の内周面の平面積A3が削孔1aの内周面の平面積A1以上であることは、嵌入部52の内周面と削孔1aの内周面が円形である場合、嵌入部52の内径が削孔1aの内径以上である、とも言える。図3-(c)、(d)では(a)における裏当て金62を省略している。
嵌入孔1b内に嵌入部52が挿入されたときの嵌入部52の内周面の軸方向に直交する平面積A3が削孔1aの軸方向に直交する平面積A1以上の大きさであるから(A3≧A1)、嵌入孔1bの内周面の軸方向に直交する平面積A2は削孔1aの軸方向に直交する平面積A1より大きい(A2>A1)。
この結果、アンカー5の軸部50のコンクリート(充填材8)への埋設区間の全長に一定(一様)の付着力が確保され、埋設区間の全長の付着力が引張力に抵抗できる利点がある。図3-(b)に示すように嵌入孔1bと削孔1aの断面形状が共に円形である場合、嵌入孔1bに嵌入部52が内接したときの嵌入部52の内径が削孔1aの内径以上になるような大きさを嵌入孔1bの内径が持っていればよい。
嵌入部52の内周面が軸部50に外接する場合には、軸部50の嵌入部52から露出した区間の周りに充填材8が充填されるため、嵌入部52から露出した軸部50の内の一部区間における充填材8との付着力が他の区間の付着力より低下することは生じない。
フレームと耐震壁のいずれか一方に一体化し、両者間に長さ方向と高さ方向に連続するプレートを配置すると共に、プレートを厚さ方向に貫通させながら、プレートに面内方向に係止させた状態で、アンカーを耐震壁の長さ方向と高さ方向に分散させて配列させ、フレームと耐震壁に定着させるため、フレームの構面内方向等の変形時に、全アンカーのフレーム内への埋設区間からプレートに、プレートの軸方向に均等に、プレートの面内方向のせん断力を伝達させることができる。プレートからは、全アンカーの耐震壁内への埋設区間を通じてせん断力を耐震壁の長さ方向と高さ方向に均等に伝達させることができるため、耐震壁に、フレームに変形を生じさせた水平力を負担させることができる。
各方向の全アンカーを通じてプレート面内方向のせん断力を耐震壁に均等に伝達させられることで、フレームから耐震壁に伝達されるせん断力を各アンカーに実質的に均等に分担させることができるため、1本当たりのアンカーが負担するせん断力が軽減され、アンカーが破断に至る可能性が低下する。特にアンカーのプレートへの係止部分におけるアンカーの軸に直交する断面積がアンカーの他の部分における軸に直交する断面積より大きいため、アンカーがプレートに係止した状態で繰り返されるせん断力を負担することによる破断に対する安全性が高い。
またアンカーと挿通孔との間にクリアランスがないため、フレームの変形の開始時からアンカーのフレームへの埋設区間から耐震壁への埋設区間にせん断力を伝達することができ、相対変形が生じた初期の段階からプレートを通じて複数本のアンカーにせん断力を分担させる状態を得ることができる。更に各方向の全アンカーを通じてプレート面内方向のせん断力が耐震壁に均等に伝達されることで、プレートに作用する、アンカーからのせん断力による面内方向力も軸方向に分散されるため、面内方向力が軸方向の一部に集中する場合のような応力の急変箇所がなくなり、プレート自体も破断しにくくなる。
(a)は柱・梁のフレームと耐震壁をプレートとアンカーを用いて接合した様子を示した立面図、(b)は(a)の一部拡大図である。 (a)は図1-(a)のx-x線断面図、(b)は(a)中の下階側の梁の上面上に配置されたプレートの一部を示した平面図である。 (a)は図1-(a)の耐震壁と下階側の梁との間のアンカーとプレートの詳細を示した図2-(a)の一部拡大図、(b)は(a)のy-y線断面図、(c)は削孔のプレート寄りに削孔の平面積より大きい平面積の嵌入孔を連続して形成した場合の各平面積の関係を示した(a)の拡大図、(d)は嵌入部の平面積が削孔の平面積以上である場合の各平面積の関係を示した(a)の拡大図である。 図3-(a)の直交方向の断面図である。 係止部をアンカー本体に一体的に形成した場合のアンカーの製作例を示した立面図である。
図1は鉄筋コンクリート造の柱2と梁3からなるフレーム1の構面内に配置される鉄筋コンクリート造の耐震壁4とフレーム1とを、耐震壁4の外周面に沿って長さ方向(水平方向)と高さ方向(鉛直方向)に配列する複数本のアンカー5を用いて接合した接合構造の具体例を示す。フレーム1は既存構造の場合と、耐震壁4と共に新設で構築される場合がある。耐震壁4も既存構造の場合がある。
フレーム1の内周面と耐震壁4の外周面との間には、フレーム1と耐震壁4のいずれか一方に一体化し、耐震壁4の長さ方向と高さ方向にそれぞれ連続する1枚、もしくは複数枚のプレート(鋼板)6が配置される。プレート6は耐震壁4の周囲に沿い、隅角部を含めて連続して配置されることもあるが、フレーム1の構面内方向等の変形時に、フレーム1の隅角部に位置するプレート6への強制的な変形を回避する上では、図1-(b)に示すようにフレーム1の隅角部では耐震壁4の長さ方向に配置されるプレート6と、耐震壁4の高さ方向に配置されるプレート6は不連続になることが適切である(請求項4)。
プレート6、6がフレーム1の隅角部で不連続になる場合、二方向のプレート6、6の端部間の間隔の大きさは任意である。図1では水平方向のプレート6の軸方向の端部を柱2の耐震壁4側の面から距離を置き、鉛直方向のプレート6の軸方向の端部を梁3の耐震壁4側の面から距離を置いているが、いずれか一方の端部をフレーム1の内周面に接触させることもある。
耐震壁4の周囲に沿い、複数枚のプレート6が軸方向に連続的に配置される場合、隣接するプレート6、6の軸方向の端面は互いに突き合わせられて軸方向に係合するが、幅方向のずれ(相対移動)に対する安定性を確保するために、幅方向に互いに係合することもある。
プレート6は厚さ方向の両面の内のいずれか、すなわちフレーム1側の面か耐震壁4側の面のいずれかに突設されるスタッド等の定着具7がフレーム1か耐震壁4のコンクリート中に埋設されることで、フレーム1か耐震壁4に一体化する。定着具7はプレート6を貫通するアンカー5の配置位置以外の部分に突設される。定着具7の形状、形態は問われない。
図2-(b)は図1-(a)における下階の梁3の柱2寄りの部分のプレート6の平面を示している。ここでは、プレート6の軸方向にアンカー5と定着具7が一定の間隔を置いて配列しているが、アンカー5と定着具7の配列状態は任意であり、共にプレート6の幅方向に並列する場合と千鳥状に配列する場合もある。
アンカー5はプレート6を厚さ方向に貫通し、プレート6に面内方向に係止した状態で、耐震壁4の長さ方向の全長と高さ方向の全高に亘って分散して配列し、フレーム1と耐震壁4に定着される。図3~図5に示すようにアンカー5のプレート6に係止する係止部51におけるアンカー5の軸に直交する断面積はアンカー5の他の部分における軸に直交する断面積より大きい。
アンカー5の係止部51はプレート6に形成された挿通孔6aを挿通し、挿通孔6aの内周面に直接、係止するか、または図3に示すように挿通孔6aに係止部51を一体化させるために、係止部51の回りに施される溶接による溶接金属61を介して間接的に係止する。係止部51は挿通孔6aの内周面にプレート6の軸方向に、または軸方向と幅方向に係止する。
図1以下はフレーム1が既存構造の場合に、フレーム1のコンクリート中に、フレーム1の内周面(耐震壁4)側から筒状の削孔1aを穿設し、フレーム1の内周面に沿ってプレート6を配置した場合の例を示している。プレート6の挿通孔6aの中心は削孔1aの中心に合致させられ、プレート6の挿通孔6a内に係止部51が挿入され、係止部51の周囲が溶接されることで、挿通孔6aとの間の空隙が埋められる。
この場合、プレート6のフレーム1側(背面側)の挿通孔6a周りに裏当て金62が配置されるが、裏当て金62の配置のためにプレート6の背面に形成された空隙には、プレート6の平常時の安定性のためにモルタルや接着剤等の充填材8が充填される。プレート6の背面に裏当て金62が入り込む凹部が形成される場合もある。図1以下は耐震壁4が新設の場合の例を示しているが、アンカー5の耐震壁4中に埋設される区間は構築予定の耐震壁4内に確保された空間内に単純に配置される。この空間は耐震壁4内の二方向の主筋41やせん断補強筋、定着筋42等に阻害されないように確保される。
フレーム1の変形時、アンカー5のフレーム1への埋設区間と、プレート6に係止した係止部51からプレート6にせん断力が伝達される。ここで、係止部51が特に溶接されてプレート6に一体化した場合、係止部51と挿通孔6aとの間の空隙が完全になくなっているため、せん断力をアンカー5の耐震壁4への埋設区間とプレート6から耐震壁4に伝達するときに、係止部51が正負の向きに交互に受けるプレート6からの反力による塑性化が生じにくくなる。
以下、アンカー5の本体を便宜的に軸部50と言う。アンカー5が図5に示す形態の場合、後述の定着材53を除く区間が軸部50になる。図3、図4に示す形態の場合、実質的にはプレート6の挿通孔6aからフレーム1側と耐震壁4側へ突出し、それぞれに埋設され、定着される区間が軸部50になる。
軸部50のフレーム1への埋設区間と耐震壁4への埋設区間には図3-(a)に示すように削孔1a内に充填される充填材8との付着力と、コンクリートとの付着力を確保するために、雄ねじが切られるか、節が形成される等、何らかの形状のリブが形成される。軸部50のフレーム1への埋設区間と耐震壁4への埋設区間に雄ねじが形成された場合、係止部51は新設で構築される側の耐震壁4側からナット54でプレート6に緊結されることで、アンカー5とプレート6との一体性が強められる。
係止部51は図5に示すようにアンカー5本体の軸方向中間部に軸部50の一部として一体的に形成されることもあるが、図3に示すように軸部50とは別体の筒状の部品が接続されて形成されることもある。別体の場合、係止部51はプレート6を挿通してフレーム1と耐震壁4のいずれか一方中に嵌入し、フレーム1と耐震壁4のいずれかに係止する嵌入部52が連続して形成される。図1以下では嵌入部52が、フレーム1のコンクリート中に形成された筒状の削孔1a、または空間内に挿入された場合の例を示しているが、嵌入部52は耐震壁4のコンクリート中に挿入されることもある。削孔1aは既存の躯体に形成され、空間は新設の躯体中に確保される。
削孔1a、または空間はアンカー5(軸部50)のフレーム1、または耐震壁4への埋設区間に相当する深さで形成される。削孔1a等の内径等、内周面の軸方向に直交する方向の平面積は、係止部51を除く軸部50の周囲にモルタル等の充填材8やコンクリートが充填されたときに、軸部50との間で十分な付着力を確保できる大きさがあればよい。「内周面の軸方向に直交する方向の平面積」は削孔1a等が円形断面の場合、内径であるが、削孔1a等は円形断面以外の形状の場合もある。
図3ではフレーム1が既存構造で、係止部51に嵌入部52が連続して形成された場合に、フレーム1(柱2と梁3)中にプレート6側から、軸部50が入り込む削孔1aを形成し、削孔1aのプレート6側に、嵌入部52の外周面が接触し得る嵌入孔1bを形成している。
この場合に、嵌入部52の区間における軸部50の充填材8からの引き抜きに対する一定の安定性を確保する目的で、図3-(c)では嵌入孔1bの内径等、軸方向に直交する内周面に、削孔1aの内径等、軸方向に直交する内周面の平面積A1より大きい平面積A2を与えている。嵌入孔1bの平面積A2が削孔1aの平面積A1より大きいこと(A2>A1)で、嵌入孔1b内への嵌入部52の挿入に拘わらず、軸部50のコンクリート(充填材8)への埋設区間の全長に亘り、軸部50の周囲に、単位長さ当たり、同等程度の量の充填材8が包囲する状況が得られ、軸部50の一定程度以上の引き抜きに対する安定性が確保される。
図3-(d)は特に、嵌入部52の内径等、軸方向に直交する内周面に、削孔1aの内径等、軸方向に直交する内周面の平面積A1以上の大きさの平面積A3を与えた場合の例を示す。この場合、嵌入部52の内周面の軸方向に直交する平面積A3が削孔1aの内周面の軸方向に直交する平面積A1以上の大きさを持つことで(A3≧A1)、A3<A1である場合より、軸部50のコンクリートへの埋設区間の全長に亘り、軸部50の周囲に、単位長さ当たり、同一量以上の充填材8が包囲する状況を得ることができ、引き抜きに対する安定性がより向上する。
図3-(d)の場合にはまた、嵌入部52の内周面の平面積A3が削孔1aの内周面の平面積A1以上の大きさを持つことで(A3≧A1)、A3<A1である場合より嵌入部52のせん断力作用方向への投影面積が拡大するため、その分、せん断力伝達効果が高まる。この場合、嵌入部52に肉厚がある分、嵌入孔1bの内周面の軸方向に直交する平面積A2は削孔1aの内周面の軸方向に直交する平面積A1より大きい(A2>A1)。
削孔1aの内周面の平面積A1より大きい平面積A2を持つ嵌入孔1bがなく、削孔1aの平面積A1が軸方向に一定である場合、嵌入部52が削孔1a内に納まったときに、軸部50のフレーム1(コンクリート)への埋設区間の嵌入部52寄りの区間の周りに充填される充填材8の容積が、嵌入部52の体積分、少なくなるため、その区間での充填材8との付着力が低下する可能性がある。フレーム1への埋設区間の充填材8との付着力が一定(一様)でなければ、付着力の小さい部分が充填材8から剥離し、他の部分のみの付着力で引張力に抵抗する状況になる可能性がある。
それに対し、削孔1aのプレート6寄りに、嵌入部52の内周面の軸方向に直交する平面積A3が、削孔1aの内周面の軸方向に直交する平面積A1以上になるような平面積A2を持つ嵌入孔1bを形成することで、嵌入孔1b内への嵌入部52の挿入に拘わらず、軸部50のフレーム1への埋設区間の全長に亘り、軸部50の周囲に同一量の充填材8が包囲する状態にすることができる。このため、フレーム1への埋設区間の全長に一定の付着力が確保され、埋設区間の全長の付着力が引張力に抵抗できる利点がある。
アンカー5の全長にはフレーム1の変形時(耐震壁4との相対変形時)に軸方向引張力が作用するため、引張力に対する引き抜きに対する安全性を確保するために、軸部50の軸方向両端部にコンクリート中に定着される定着材53、53が一体的に形成されるか、螺合等により接続される。
図5は軸部50の軸方向中間部に係止部51が一体的に形成された、単純な形態のアンカー5の製作例と、フレーム1と耐震壁4への埋設例を示す。この例では係止部51がプレート6の挿通孔6aを挿通し、フレーム1内と耐震壁4内に入り込んでいるため、係止部51が図3に示す例の嵌入部52を兼ねているとも言える。
1……フレーム、1a……削孔、1b……嵌入孔、
2……柱、3……梁、
4……耐震壁、41……主筋、42……定着筋、
5……アンカー、50……軸部、51……係止部、52……嵌入部、53……定着材、54……ナット、
6……プレート、6a……挿通孔、61……溶接金属、62……裏当て金、
7……定着具(スタッド)、
8……充填材。

Claims (5)

  1. 鉄筋コンクリート造の柱・梁のフレームの構面内に配置される鉄筋コンクリート造の耐震壁と前記フレームとを、前記耐震壁の外周面に沿って長さ方向と高さ方向に配列する複数本のアンカーを用いて接合した接合構造であり、
    前記フレームの内周面と前記耐震壁の外周面との間に、前記フレームと前記耐震壁のいずれか一方に一体化し、前記耐震壁の長さ方向と高さ方向にそれぞれ連続する1枚、もしくは複数枚のプレートが配置され、
    前記アンカーは前記プレートを厚さ方向に貫通し、前記プレートに面内方向に係止した状態で、前記耐震壁の長さ方向の全長と高さ方向の全高に亘って分散して配列し、前記フレームと前記耐震壁に定着され、
    前記アンカーの前記プレートに係止する係止部における前記アンカーの軸に直交する断面積は前記アンカーの他の部分における軸に直交する断面積より大きいことを特徴とする柱・梁架構と耐震壁との接合構造。
  2. 前記アンカーの前記係止部は前記プレートと共に、前記フレームと前記耐震壁のいずれか一方に係止することを特徴とする請求項1に記載の柱・梁架構と耐震壁との接合構造。
  3. 前記フレームと前記耐震壁のいずれか一方中に、前記プレート側から削孔が形成されると共に、前記係止部に、前記削孔中に嵌入し、前記プレートの面内方向に係止する嵌入部が連続して形成され、前記削孔の前記プレート側に、前記嵌入部の外周面が接触し得る嵌入孔が形成され、
    この嵌入孔の内周面の軸方向に直交する平面積は前記削孔の内周面の軸方向に直交する平面積より大きいことを特徴とする請求項2に記載の柱・梁架構と耐震壁との接合構造。
  4. 前記嵌入孔内に前記嵌入部が挿入されたときの前記嵌入部の内周面の軸方向に直交する平面積は前記削孔の内周面の軸方向に直交する平面積以上であることを特徴とする請求項3に記載の柱・梁架構と耐震壁との接合構造。
  5. 前記フレームの隅角部において前記耐震壁の長さ方向に配置される前記プレートと、前記耐震壁の高さ方向に配置される前記プレートが不連続な状態にあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の柱・梁架構と耐震壁との接合構造。
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