JP7157569B2 - ポリアミド樹脂組成物の製造方法及び熱安定剤マスターバッチ - Google Patents
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Description
特に、エンジン周辺の部材には、高温環境下での耐久性が要求されることから、種々の耐熱エージング性に優れるポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
従って、従来よりも高温度条件下での、長期に亘る耐熱エージング性がポリアミド樹脂に求められている。具体的には、150℃~230℃の高温条件下で長時間使用した際にも、実用上充分な機械的特性を保持できる耐久材の要求が高まっている。
また、同様に、耐熱エージング性を向上させる技術として、融点の異なる2種類のポリアミド樹脂に銅化合物及び酸化鉄を配合する技術(例えば、特許文献3参照)、ポリアミド樹脂に微粒元素鉄を配合する技術(例えば、特許文献4参照)、及びポリアミド樹脂に微細分散化金属粉末を配合する技術(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
このアルカリ金属を添加したポリアミド樹脂組成物が熱滞留安定性に優れることは従来から知られている。
また、ポリアミド樹脂に、より低融点の樹脂及び熱安定剤を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
さらにアルカリ金属塩と酸と低融点ポリアミドと銅系熱安定剤の組み合わせにより、耐熱エージング性を改善する提案がなされている(特許文献15参照)。
原料100質量部に対し、
(1)ポリアミド66を30~60質量部、
(2)以下の(A)~(C)を含む熱安定剤マスターバッチ5~30質量部、
(A)ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612から選ばれる1種以上のポリアミド樹脂70~98質量%、
(B)アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ金属塩1~15質量%、
(C)トリメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸から選ばれる1種以上の多価カルボン酸1~15質量%、
(3)ガラス繊維15~50質量部、
を含む原料を混合する工程を含むものである。
(B)アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ金属塩1~15質量%、
(C)トリメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸から選ばれる1種以上の多価カルボン酸1~15質量%、
を含むものである、
なお、以下の説明は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、(1)ポリアミド66、(2)熱安定剤マスターバッチ、(3)ガラス繊維を含む原料を混合する工程を含むものである。混合する工程は特に限定されないが、例えば、単軸又は多軸の押出機によって、(1)ポリアミド66、(2)熱安定剤マスターバッチ、(3)ガラス繊維、及びその他の成分を溶融混練する方法が挙げられる。
(1)ポリアミド66及び(2)熱安定剤マスターバッチ等を溶融させた状態で(3)ガラス繊維を混練することで、熱安定剤マスターバッチ及びガラス繊維が良好にポリアミド樹脂中に分散し、ガラス繊維長を長い状態で組成物中に残すことができる。
ポリアミド樹脂組成物は、(1)ポリアミド66、(2)熱安定剤マスターバッチ、(3)ガラス繊維を含むものである。
ポリアミド66は、ジアミンとしてヘキサメチレンジアミン、ジカルボン酸としてアジピン酸を縮重合して得られるポリアミドである。
ポリアミド66は原料100質量部に対し30~60質量部含有し、32~58質量部含有することが好ましく、35~55質量部含有することがより好ましい。
熱安定剤マスターバッチ(以下、「マスターバッチ」と記載する場合もある)は、以下の(A)~(C)を含むマスターバッチを原料100質量部に対し5~30質量部含有し、10~25質量部含有することがより好ましい。
マスターバッチは、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612から選ばれるポリアミド樹脂(以下、「(A)成分」と記載する場合もある。)を含有する。
「ポリアミド樹脂」とは、主鎖中にアミド結合(-NHCO-)を有する重合体である。
また、ポリアミド610、ポリアミド612は、ジアミン及びジカルボン酸の縮合重合で得られるポリアミドであり、ポリアミド610は、ジアミンとしてヘキサメチレンジアミン、ジカルボン酸としてセバシン酸を縮重合して得られるポリアミドであり、ポリアミド612は、ジアミンとしてヘキサメチレンジアミン、ジカルボン酸としてドデカン二酸を縮重合して得られるポリアミド樹脂である。
(A)成分の融点が230℃以下であることにより、より熱安定性に優れた熱安定剤マスターバッチが得られる傾向にある。
なお、融点は、熱走査型熱量計を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定されるものを意味する。
(A)成分の硫酸相対粘度が1.8以上であることにより、より機械物性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にある。また、(A)成分の硫酸相対粘度が3.0以下であることにより、より流動性及び外観に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にある。
なお、硫酸相対粘度は、JIS K 6920に従う方法により測定されるものである。
熱安定剤マスターバッチは、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)から選ばれる一種以上のアルカリ金属塩(以下、「(B)成分」と記載する場合がある。)を含有する。
良好な耐熱エージング性、初期強度を得る観点から、マスターバッチ全量に対し(B)成分を1~15質量%含み、2~10質量%含むことが好ましく、2.5~5質量%含むことがさらに好ましい。
アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムのいずれかを含むことにより耐熱エージング性に優れた性能が得られる。
粒子径が1μm以上のアルカリ金属塩の粒子の含有量が20質量%以下であることにより、ポリアミド樹脂組成物において優れた耐熱エージング性が得られる。
例えば、押出機を用いて(B)アルカリ金属塩を(A)ポリアミド樹脂に溶融混練する方法が挙げられる。
(B)アルカリ金属塩の分散性の観点及び上記のように、粒子径が1μm以上であるアルミン酸金属塩の粒子の含有量を20質量%以下に抑制する観点からも、溶融混練時の添加が好ましい。
熱安定剤マスターバッチは、(C)トリメリット酸(1,2,4-ベンゼントリカルボン酸)、シクロヘキサンジカルボン酸から選ばれる1種以上の多価カルボン酸(以下、「(C)成分」と記載する場合がある。)を含有する。
上記カルボキシル基を有する化合物を用いることにより、より吸水時の物性に優れる熱安定剤マスターバッチが得られる。
0<X≦5 ・・・(式1)
(X=熱安定剤マスターバッチ中の(B)アルカリ金属塩のアルカリ価/熱安定剤マスターバッチ中の(C)多価カルボン酸の酸価)
すなわち、酸価:試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数である。
すなわち、アルカリ価:試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数である。
0<Y≦3 ・・・(式2)
(Y=熱安定剤マスターバッチ中の(B)アルカリ金属塩のアルカリ価/(熱安定剤マスターバッチ中の(C)多価カルボン酸の酸価+(A)ポリアミド樹脂のカルボキシル基末端の酸価))
(A)ポリアミド樹脂の原料モノマーもしくは末端封止剤として用いられるカルボン酸は、その目的からポリマー中に取り込まれている。具体的には、ポリマー鎖中で共有結合している。
一方、本明細書中では、その目的からポリマーと共有結合していないカルボン酸官能基を有する多価カルボン酸成分を、(C)多価カルボン酸とする。
従って、カルボン酸をポリマー鎖中で共有結合していない状態で、不純物としての微量含有量以上にポリアミド樹脂中に含有させることは意図的な操作であり、その目的をもって組成、製法を工夫する必要がある。
すなわち、通常の熱安定剤マスターバッチにおいて、原料モノマーとしてカルボン酸を使用していても、本発明が意図している(C)多価カルボン酸としてのカルボン酸が意図せず含有されている、ということはないと言える。
生産性と吸水時物性の向上の観点からすれば、溶融混練時の添加がより好ましい。
熱安定剤マスターバッチは、(A)ポリアミド樹脂、(B)アルカリ金属塩、(C)多価カルボン酸、その他の成分を混合することにより製造することができる。
熱安定剤マスターバッチの製造においては、単軸又は多軸の押出機によって(A)ポリアミド樹脂を溶融させた状態で、(B)アルカリ金属塩、(C)多価カルボン酸を混練する方法、すなわち(B)アルカリ金属塩、(C)多価カルボン酸を、(A)ポリアミド樹脂に対して溶融混練により添加する方法を好ましく用いることができる。
また、あらかじめ(B)アルカリ金属塩の水溶液と(A)ポリアミド樹脂ペレットとをよく撹拌して混合して混合物を得、その後に、混合物の水分を乾燥させることにより得られたポリアミド樹脂ペレットと、(C)多価カルボン酸とを、押出機の供給口から供給して溶融混練する方法を好適に用いることができる。
また、生産性の観点から、(C)多価カルボン酸は、単軸又は多軸の押出機によって、(A)ポリアミド樹脂を溶融させた状態で、(C)多価カルボン酸を混練する方法が好ましい。
ガラス繊維はポリアミド樹脂組成物100質量部中に15~50質量部含有され、20~45質量部含有されることが好ましく、25~40質量部含有されることがより好ましい。
ガラス繊維としては、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が3~30μmであって、かつ重量平均繊維長が100~750μmであり、重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(重量平均繊維長を数平均繊維径で除した値)が10~100であるものが好ましい。ガラス繊維のカット長は2mm~4mmが好ましい。
すなわち、ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上のガラス繊維を任意に選択し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、これらの繊維径を測定し、平均値を算出することにより数平均繊維径を求めることができる。
また、倍率1000倍のSEM写真を用いて繊維長を計測し、所定の計算式(n本の繊維長を測定した場合、重量平均繊維長=Σ(I=1→n)(n番目の繊維の繊維長)2/Σ(I=1→n)(n番目の繊維の繊維長))により重量平均繊維長を求めることができる。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。
シランカップリング剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の中でも、樹脂との親和性の観点から、アミノシラン類がより好ましい。
集束剤としては、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他の共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。
これらの集束剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3-ジクロロブタジエン、1,3-ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートが挙げられる。中でもスチレンやブタジエンが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物は、縮合度が1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましい。縮合度が1~20の範囲内にある場合、溶解性や分散性が良好な水溶液又は水分散液が得られる。さらに、縮合度が1~10の範囲内にある場合、一層溶解性や分散性が良好な水溶液又は水分散液が得られる。
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート、並びにそれらの混合物を用いることが可能である。
アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に限定されるものではないが、第一級、第二級又は第三級のアミンが挙げられる。
具体的には、トリエチルアミン、トリエタノールアミンやグリシンが挙げられる。
繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
また、ストランドの乾燥は、切断工程後に行ってもよく、又はストランドを乾燥した後に切断工程を実施してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、原料としてさらに銅化合物を用いることが好ましい。銅化合物は、銅化合物単体、もしくはハロゲン化合物との組み合わせで(1)ポリアミド66に添加することができ、銅を安定化する目的からすれば、ハロゲン化合物との組み合わせで添加することが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は、上述した(1)成分~(4)成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、さらにその他の成分を含有してもよい。
当該その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、紫外線吸収剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤、染色剤や顔料、及び他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明の熱安定剤マスターバッチを使用して、本発明の製造方法で製造されたポリアミド樹脂組成物は、優れた耐熱エージング性を有し、以下に限定されるものではないが、例えば、自動車用、機械工業用、電気・電子用、産業資材用、工業材料用、日用・家庭品用等の各種用途の材料部品として好適に用いることができる。特に、自動車用材料部品として好適に用いられる。
なお、実施例及び比較例に係る試料を評価するための測定方法は以下のとおりである。
(98%硫酸相対粘度(ηr))
後述する実施例及び比較例(以下、単に「各例」ともいう)における、(A)及び(1)のポリアミド樹脂の98%硫酸相対粘度(ηr)は、JISK6920に従って測定した。
実施例及び比較例で製造した熱安定剤マスターバッチを用いて、実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS-40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO 3167に準拠しつつ、多目的試験片(A型)の成形片を成形した。
その際、射出及び保圧の時間25秒、冷却時間15秒に設定した。
また、金型温度とシリンダー温度は、後述する(A)及び(1)のポリアミド樹脂の実施例及び比較例に記載した温度に設定した。
得られた多目的試験片(A型)を用いて、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、初期引張強度(MPa)を測定した。
上記の(初期引張強度)における多目的試験片(A型)を、熱風循環式オーブン内で、200℃で加熱し、熱老化させた。
所定の時間ののちにオーブンから取り出し、23℃で24時間以上冷却した後、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で上述した方法と同様の方法により引張試験を行い、各引張強度(MPa)を測定した。
この手法により、3000h暴露後の引張強度を求めた。
耐熱エージング後の引張強度保持率は下記式により算出し、これを耐熱エージング性の評価とした。
耐熱エージング後の引張強度保持率=(耐熱エージング後の引張強度/初期引張強度)×100[%]
実施例及び比較例に用いた原料は以下の通りである。
((A)ポリアミド樹脂)
<ポリアミド樹脂A-1(PA6)>
宇部興産(株)製SF1013Aを使用した。融点は224℃であった。
ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の当モル塩を投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、撹拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を280℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。
<ポリアミド樹脂A-2>の98%硫酸相対粘度は2.3であった。
ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸の当モル塩を投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、撹拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を280℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。
<ポリアミド樹脂A-3>の98%硫酸相対粘度は2.3であった。
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩を投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、撹拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を280℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。
<ポリアミド樹脂A-4>の98%硫酸相対粘度は2.8であった。
<B-1 アルミン酸ナトリウム>
東京化成工業株式会社製のアルミン酸ナトリウムを使用した。粒度は、16メッシュ以上90%である。
<B-2 炭酸ナトリウム>
東京化成工業株式会社製の炭酸ナトリウムを使用した。
<B-3 炭酸水素ナトリウム>
東京化成工業株式会社製の炭酸水素ナトリウムを使用した。
<C-1>
東京化成工業株式会社製の、トリメリット酸(1,2,4-ベンゼントリカルボン酸)水和物を使用した。
<C-2>
東京化成工業株式会社製の、シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を使用した。
先述のポリアミドA-4を使用した。
固形分換算で、ポリウレタン樹脂を2質量%(商品名:ボンディック(登録商標)1050、大日本インキ株式会社製))、エチレン-無水マレイン酸共重合体(和光純薬工業株式会社製)を8質量%、γ-アミノプロピルトリエトキシシランを0.6質量%(商品名:KBE-903、(信越化学工業株式会社製))、潤滑剤0.1質量%(商品名:カルナウバワックス(株式会社加藤洋行製))となるように水で希釈し、全質量を100質量%に調整し、ガラス繊維集束剤を得た。
すなわち、回転ドラムに巻き取られる途中のガラス繊維に対し、所定位置に設置されたアプリケーターを用いて、上記ガラス繊維集束剤を塗布した。次いで、これを乾燥し、上記ガラス繊維集束剤で表面処理されたガラス繊維束のロービング(ガラスロービング)を得た。その際、ガラス繊維は1,000本の束となるようにした。
ガラス繊維集束剤の付着量は、0.6質量%であった。これを3mmの長さに切断して、ガラスチョップドストランドを得た。このチョップドストランドを、ガラス繊維として使用した。
ポリアミド6(A-1)を90質量部とヨウ化銅(東京化成工業株式会社製)を3.5質量部とヨウ化カリウム(東京化成工業株式会社製)14.5質量部とを二軸押出機ZSK26MC(コペリオン製)でスクリュー回転数200rpm、シリンダー設定温度260℃、吐出量30kg/h、ニーディングスクリューを2か所備えたスクリュー構成で混練し、ポリアミド6の銅マスターバッチを予め製造した。
(実施例1-1)
押出機として、二軸押出機(ZSK-26MC:コペリオン製))を用いた。
この二軸押出機は、上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、かつ、9番目のバレルに下流側供給口を有するものである。そして、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
この二軸押出機において、上流側供給口からダイまでの温度を、上述の((A)ポリアミド樹脂)の項目に記載したシリンダー温度にそれぞれ設定した。
また、スクリュー回転数を300rpmに、吐出量を25kg/時間に、それぞれ設定した。
かかる条件下で、下記表1に記載された割合となるように、上流側供給口より(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、を供給し、溶融混練することで熱安定剤マスターバッチのペレットを製造した。これら熱安定剤マスターバッチの組成を下記表1に示す。
得られた熱安定剤マスターバッチを使用して、下記表2に記載された割合となるように、上流側供給口より(1)ポリアミド66、(2)熱安定剤マスターバッチ、(4)銅化合物、及び(3)ガラス繊維以外のその他の成分を供給し、下流側供給口より(3)ガラス繊維を供給し、溶融混練することでポリアミド樹脂組成物を得た。押出機及び押出条件は、実施例1-1と同様とした。
また、上記ポリアミド樹脂組成物を成形し、その成形片を用いて、各種評価を実施した。
ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果等を下記表2に示す。
表1、表2に記載の組成に従い、その他の条件は実施例1と同様の方法で、熱安定剤マスターバッチ及びポリアミド樹脂組成物を製造、成形し、その成形片を用いて、各種測定を実施した。
なお、比較例2-1の組成においては、発泡により製造が困難であったため、サンプリングができず、ポリアミド樹脂組成物を製造することができなかった。
Claims (4)
- ポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、
(1)ポリアミド66を30~60質量部、
(2)以下の(A)~(C)を含む熱安定剤マスターバッチ5~30質量部、
(A)ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612から選ばれる1種以上のポリアミド樹脂70~98質量%、
(B)アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ金属塩1~15質量%、
(C)トリメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸から選ばれる1種以上の多価カルボン酸1~15質量%、
(3)ガラス繊維15~50質量部、
を含む原料を混合する工程を含む、
ポリアミド樹脂組成物の製造方法。 - 前記熱安定剤マスターバッチの製造工程において、(A)ポリアミド樹脂を溶融させた状態で(B)アルカリ金属塩および/または(C)多価カルボン酸を溶融混練させる請求項1記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- さらに、前記原料に(4)ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅および酢酸銅の中から選択される一種類以上の銅化合物を(1)ポリアミド66 100質量%に対して、銅元素として65ppm以上含む請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- (A)ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612から選ばれる1種以上のポリアミド樹脂70~98質量%、
(B)アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ金属塩1~15質量%、
(C)トリメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸から選ばれる1種以上の多価カルボン酸1~15質量%、
を含む熱安定剤マスターバッチ。
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