JP2021172683A - ポリアミド樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観に優れるポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機強化材と、(C)着色剤と、を含み、次の(a)〜(d)の条件を満たす;(a)ギ酸相対粘度VRが30以上50以下である;(b)示差走査熱量測定により、100℃/分で冷却したときに得られる結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tcが10℃以上15℃以下である;(c)動的粘弾性測定から求められる乾燥時の150℃における貯蔵弾性率が6000MPa以上である;(d)ギ酸相対粘度VRに対する数平均分子量Mnの比Mn/VRが460以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物及び成形品に関する。
従来から、ポリアミド樹脂は、成形加工性、機械物性及び耐薬品性に優れていることから、衣料用、産業資材用、自動車、電気及び電子用、工業用等の、様々な部品材料として広く用いられている。
近年、ポリアミド樹脂の使用環境は、熱的及び力学的に厳しくなる傾向があり、高温使用下での強度及び剛性を向上させた、厳しい環境下での使用における耐久性において変化が少ないポリアミド樹脂材料が要求されている。また、燃費向上のための自動車部品の軽量化を目的とした薄肉化や、電気及び電子部品の小型化、精密化に伴い、良流動性及び良外観が求められている。
上述したような要求に応えるため、ポリアミド樹脂材料の機械物性を向上させる方法として、無機充填材の含有量によってポリアミド樹脂組成物のスパイラルフロー値を規定し、引張試験クリープにおける歪みとギ酸相対粘度を規定したポリアミド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2018/074495号
しかしながら、従来提案されているポリアミド樹脂材料は、未だ高温使用下での強度及び剛性に関して改善の余地を有しており、また軽量化を目的とした成形品の薄肉時の強度、剛性、耐久性及び外観がより一層向上したポリアミド樹脂材料が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観に優れるポリアミド樹脂組成物を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) (A)ポリアミド樹脂と、(B)無機強化材と、(C)着色剤と、を含むポリアミド樹脂組成物であって、
下記(a)〜(d)の条件を満たす、ポリアミド樹脂組成物。
(a)ギ酸相対粘度VRが30以上50以下である;
(b)示差走査熱量測定により、100℃/分で冷却したときに得られる結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tcが10℃以上15℃以下である;
(c)動的粘弾性測定から求められる乾燥時の150℃における貯蔵弾性率が6000MPa以上である;
(d)ギ酸相対粘度VRに対する数平均分子量Mnの比Mn/VRが460以上である。
(2) 数平均分子量Mnが15000以上25000以下である、(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3) 数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが2.0以上2.5以下である、(1)又は(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4) 前記(A)ポリアミド樹脂の、示差走査熱量測定により、20℃/分で冷却したときに得られる結晶化エンタルピーΔHcが60J/g以上である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5) 前記(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド6I、及びこれらのポリアミド2種以上からなる共重合ポリアミドである、(1)〜(4)のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6) 前記(B)無機強化材の含有量が、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、10質量部以上250質量部以下である、(1)〜(5)のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7) 前記(C)着色剤の含有量が、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上10質量部以下である、(1)〜(6)のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物。
(8) 前記(C)着色剤が、ニグロシンである、(1)〜(7)のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物。
(9) (D)滑剤を更に含み、
前記(D)滑剤の含有量が、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上3質量部以下である、(1)〜(8)のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物。
(10) (1)〜(9)のいずれか一つに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる、成形品。
上記態様のポリアミド樹脂組成物によれば、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。上記態様の成形品は、前記ポリアミド樹脂組成物を成形してなり、80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
<ポリアミド樹脂組成物>
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機強化材と、(C)着色剤と、を含む。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、下記(a)〜(d)の条件を満たす。
(a)ギ酸相対粘度VRが30以上50以下である;
(b)示差走査熱量測定により、100℃/分で冷却したときに得られる結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tcが10℃以上15℃以下である;
(c)動的粘弾性測定から求められる乾燥時の150℃における貯蔵弾性率が6000MPa以上である;
(d)ギ酸相対粘度VRに対する数平均分子量Mnの比Mn/VRが460以上である。
上記条件(a)について、ギ酸相対粘度VRは30以上50以下であり、32以上45以下が好ましく、34以上40以下がより好ましい。VRを上記上限値以下とすることにより、流動性を確保でき、薄肉成形品を作製することができる。また、VRを上記下限値以上とすることで、成形時に、計量時間安定化や、ノズル先から樹脂が流れ出ることを抑制することができる。また、熱安定性の低下によるガス発生やモールドデポジットの原因を排除することができ、さらに、得られる成形品の機械強度を大幅に向上させることができる。
ギ酸相対粘度VRは、例えば、ポリアミド樹脂組成物をギ酸に加え、可溶分の粘度とギ酸自身の粘度とを比較する方法によって得られる。具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
上記条件(b)について、示差走査熱量測定により、100℃/分で冷却したときに得られる結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tcの上限は15℃であり、14℃が好ましく、13℃がより好ましい。
Tcc−Tcの下限は、成形品としたときの外観を良好にする観点から、10℃である。
すなわち、Tcc−Tcは、10℃以上15℃以下であり、10℃以上14℃以下が好ましく、10℃以上13℃以下がより好ましい。
Tcc−Tcが上記範囲内であることにより、成形品としたときの強度に優れる。
結晶化開始温度Tcc及び結晶化ピーク温度Tcは、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCにより測定することができる。
具体的な測定条件としては、例えば、窒素雰囲気下で、試料約10mgを昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温し、続いて、300℃で3分間保った後、冷却速度100℃/分で300℃から30℃まで冷却する。このときに現れる吸熱ピークの開始温度を結晶化開始温度Tccとし、吸熱ピークでの温度を結晶化ピーク温度Tcとする。
Tcc−Tcを上記範囲内に制御する方法としては、例えば、(C)着色剤として、後述するようなニグロシンを用いる方法が特に好ましい。
上記条件(c)について、動的粘弾性測定から求められる乾燥時の150℃における貯蔵弾性率E’が6000MPa以上であり、7000MPa以上が好ましく、8000MPa以上がより好ましい。貯蔵弾性率の上限は特に限定されず高いほど好ましい。
動的粘弾性測定から求められる乾燥時の貯蔵弾性率E’は、以下に限定されるものではないが、例えば、GABO社製エプレクサー150Nを用いて、周波数8Hz、昇温速度3℃/分の条件で測定することができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の150℃における貯蔵弾性率E’を上記下限値に制御する方法としては、例えば、(A)ポリアミド樹脂の分子量を制御する方法、ポリアミド樹脂組成物中の(B)無機強化材の含有量を制御する方法等が挙げられる。
上記条件(d)について、ギ酸相対粘度VRに対する数平均分子量Mnの比Mn/VRは、流動性、並びに、成形品としたときの強度及び高温強度の観点から、460以上であり、480以上590以下が好ましく、500以上570以下がより好ましく、530以上550以下がさらに好ましい。Mn/VRが上記下限値以上であることで、成形品としたときの耐久性及び外観の両方を優れたものとすることができる。
数平均分子量Mnは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に示す方法を用いて測定することができる。ギ酸相対粘度VRは、上記条件(a)に記載の方法と同様の方法を用いて、測定することができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上記構成を有することで、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観に優れる。
次いで、本実施形態のポリアミド樹脂組成物に含まれる各成分について以下に詳細を説明する。
[(A)ポリアミド樹脂]
(A)ポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体である。
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジアミンとジカルボン酸との縮合重合で得られるポリアミド樹脂、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド樹脂、アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド樹脂、及びこれらのポリアミド樹脂を構成する2種類以上の単量体を共重合してなる共重合体等が挙げられる。
これらのポリアミド樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用したポリアミド混合物であってもよい。
(A)ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド56(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリアミド410(ポリテトラメチレンセバカミド)、ポリアミド412(ポリテトラメチレンドデカミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンジアミパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド116(ポリウンデカメチレンアジパミド)、ポリアミド1010(ポリデカメチレンセバカミド)、ポリアミド1012(ポリデカメチレンドデカミド)、ポリアミド1210(ポリドデカメチレンセバカミド)、ポリアミド1212(ポリドデカメチレンドデカミド)、ポリアミドTMHT(トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド2Me−5T(ポリ2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(Meはメチル基を示す。以下同様である。)、ポリアミド9T(ポリノナメチレンテレフタルアミド)、2Me−8T(ポリ2−メチルオクタメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリアミド6C(ポリヘキサメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド2Me−5C(ポリ2−メチルペンタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド9C(ポリノナメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、2Me−8C(ポリ2−メチルオクタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミドPACM12(ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド)、ポリアミドジメチルPACM12(ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド)、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、ポリアミド10T(ポリデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド11T(ポリウンデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド12T(ポリドデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド10C(ポリデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド11C(ポリウンデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド12C(ポリドデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)等が挙げられる。
中でも、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンジアミパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)又はポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)が好ましく、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンジアミパミド)又はポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)がより好ましい。
(A)ポリアミド樹脂は、上記に例示されたポリアミド樹脂を構成する各単量体を共重合してなる共重合ポリアミドであってもよい。(A)ポリアミド樹脂が共重合ポリアミドである場合、ランダム共重合体であっても、ブロック(グラフト)共重合体であってもよい。
ポリアミド樹脂の含有量は、例えば、ポリアミド樹脂組成物の総質量に対して、30質量%以上70質量%未満が好ましく、35質量%以上65質量%以下がより好ましく、40質量%質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。
((A)ポリアミド樹脂の製造方法)
(1)重合体及びランダム共重合体の製造方法
重合体及びランダム共重合体の製造方法としては、以下のような製造方法が好適な例として挙げられる。なお、ここでいう、重合体とは、ジアミン1種類及びジカルボン酸1種類、又は、ラクタム若しくはアミノカルボン酸1種類を重合してなるポリアミドを意味する。
(A)ポリアミド樹脂が、重合体及びランダム共重合体である場合の、当該ポリアミド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の1)〜8)に示す方法を適用できる。
1)ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩とラクタム、アミノカルボン酸等の他の成分との混合物(以下、これらを、「その混合物」と略称する場合がある。)の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」ともいう。);
2)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーと取り出す方法(「プレポリマー法」);
3)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(「熱溶融重合−固相重合法」);
4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダー等の押出機で再び溶融して、その重合度を上昇させる方法(「プレポリマー−押出重合法」);
5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持して、その重合度を上昇させる方法(「プレポリマー−固相重合法」);
6)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(「モノマー−固相重合法」);
7)「ジカルボン酸及びジアミンの塩」又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(「塩−固相重合法」);
8)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法(「溶液法」)。
上記の製造方法の中でも、生産性の観点から、熱溶融重合法が好ましい。
重合形態としては、特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよい。
また、重合装置についても、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダー等の押出機型反応器等を用いることができる。
(A)ポリアミド樹脂の製造においては、ポリアミド樹脂のモノマーを重合させる際に、分子量調節のために末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。
前記末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物;モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられる。
これらの中でも、ポリアミド樹脂の熱安定性の観点から、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシ基との反応性を有するものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミ等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できる酸無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水酢酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノ酸ハロゲン化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、ジフェニルメタンカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、ジフェニルスルホキシドカルボン酸、ジフェニルスルフィドカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、ベンゾフェノンカルボン酸、ビフェニルカルボン酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸等のモノカルボン酸等のハロゲン置換モノカルボン酸が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノモンタネート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールモノモンタネート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンジモンタネート、ソルビタントリモンタネート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールモノベヘネート、ソルビトールトリベヘネート、ソルビトールモノモンタネート、ソルビトールジモンタネート等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノアルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール(以上、直鎖状、分岐状)、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、フェノール、クレゾール(o−、m−、p−体)、ビフェノール(o−、m−、p−体)、1−ナフトール、2−ナフトール等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2)ブロック(グラフト)共重合体の製造方法
ブロック(グラフト)共重合体の製造方法としては、以下のような製造方法が好適な例として挙げられる。
(A)ポリアミド樹脂がブロック(グラフト)共重合体である場合、当該ブロック(グラフト)共重合体の製造方法としては、例えば、2種以上の(A)ポリアミド樹脂を適宜組み合わせてブロック共重合化すればよい。
なお、(A)ポリアミド樹脂は、2種以上のポリアミドを含む共重合ポリアミドであってもよく、異なる共重合ポリアミドが組み合わされたものであってもよい。
ブロック(グラフト)共重合化の方法としては特に限定されるものではなく、例えば、以下に記載するように種々の方法を採用できる。
例えば、原料として少なくとも2種以上のポリアミドを溶融混練する際に、亜リン酸金属塩、亜リン酸エステル化合物及び分子量調整剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合して溶融押出することによりブロック共重合体を得る方法が挙げられる。より具体的には、参考文献1(特開2011−26396号公報)に記載の方法を採用でき、少なくとも2種以上のポリアミド樹脂を用いる場合は、ポリアミド−ポリアミド交換反応が促進する。
ブロック(グラフト)共重合体の製造においては、例えば、各種混練機(例えば、一軸または多軸混練機、ニーダー、ヘンシルミキサー、ボールミル、遊星ミル、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等)を用いることができる。
上記の中でも、工業的コストの観点から、溶融混練法が好ましい。
溶融混練においては、単軸押出機や二軸押出機を用いることが好ましく、二軸押出機を用いることがより好ましい。
(3)ポリアミド混合物の製造方法
(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド混合物である場合、当該ポリアミド混合物の製造方法としては、以下のような製造方法が挙げられる。
ポリアミド混合物は、2種以上のポリアミドを適宜組み合わせて混合することにより得られる。
混合の方法としては特に限定されるものではなく、例えば、以下に記載するように種々の方法を採用できる。
例えば、原料として少なくとも2種以上のポリアミド(共重合ポリアミドである場合を含む)を溶融混練する方法が挙げられる。
例えば各種混練機(例えば、一軸又は多軸混練機、ニーダー、ヘンシルミキサー、ボールミル、遊星ミル、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等)を用いることができる。
上記の中でも、工業的コストの観点から、溶融混練法が好ましい。溶融混練においては、単軸押出機や二軸押出機を用いることが好ましく、二軸押出機を用いることがより好ましい。
((A)ポリアミド樹脂の物性)
(A)ポリアミド樹脂の、示差走査熱量測定により、20℃/分で冷却したときに得られる結晶化エンタルピーΔHcは、耐熱性、低ブロッキング性及び離型性の観点から、60J/g以上が好ましく、65J/g以上がより好ましく、70J/gがさらに好ましい。(A)ポリアミド樹脂の結晶化エンタルピーΔHcの上限は特に限定されないが、100J/g以下である。
結晶化エンタルピーΔHcは、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCにより測定することができる。具体的には、後述する実施例に示す方法を用いて測定することができる。
[(B)無機強化材]
(B)無機強化材(以下、「強化材」、「(B)成分」、又は「(B)」と称する場合がある)とは、材料の強度及び剛性のうち少なくともいずれか一方を向上させるものであればよく、以下に限定されるものではない。(B)無機強化材として具体的には、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、アパタイト等が挙げられる。
これらの中でも、強度及び剛性を増大させる観点から、ガラス繊維、炭素繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、又はアパタイトが好ましい。
また、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン又は窒化珪素がより好ましい。
上記した(B)無機強化材は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ガラス繊維や炭素繊維としては、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が3μm以上30μm以下であって、且つポリアミド樹脂組成物中において、重量平均繊維長が100μm以上750μm以下であり、数平均繊維径に対する重量平均繊維長の比(重量平均繊維長を数平均繊維径で除した値、アスペクト比ともいう)が10以上100以下であるものが好ましい。
ここで、(B)無機強化材の数平均繊維径及び重量平均繊維長については、例えば、以下に示す方法により算出することができる。
具体的には、まず、ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の(B)無機強化材を任意に選択する。次いで、該100以上の(B)無機強化材を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、これら(B)無機強化材の各繊維径を測定する。次いで、繊維径の合計値を選択した(B)無機強化材の数で除することにより数平均繊維径を測定することができる。また、重量平均繊維長については、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測する。次いで、繊維長の合計値を選択した(B)無機強化材の重量で除することにより重量平均繊維長を求めることができる。
また、板状成形品の反りを低減させ、並びに耐熱性、靭性、低吸水性及び耐熱エージング性を向上させる観点から、扁平率は、1.5以上が好ましく、1.5以上10.0以下がより好ましく、2.5以上10.0以下がさらに好ましく、3.1以上6.0以下が特に好ましい。扁平率が上記範囲内であることで、他の成分との混合、混練や成形等の処理の際に、破砕をより効果的に防止でき、成形品にとって所望の効果がより十分に得られる。
扁平率が1.5以上のガラス繊維や炭素繊維の太さは、以下に制限されないが、当該繊維断面の短径d1が0.5μm以上25μm以下であり、且つ当該繊維断面の長径d2が1.25μm以上250μm以下であることが好ましい。上記範囲内の場合、繊維の紡糸の困難性を有効に回避でき、且つ樹脂(ポリアミド)との接触面積を減少させることなく成形品の強度を向上させることができる。短径d1が3μm以上25μm以下であり、且つ扁平率が3より大きいことがより好ましい。
これらの扁平率が1.5以上のガラス繊維や炭素繊維は、例えば、参考文献2(特公平3−59019号公報)、参考文献3(特公平4−13300号公報)、参考文献4(特公平4−32775号公報)等に記載の方法を用いて製造することができる。特に、底面に多数のオリフィスを有するオリフィスプレートにおいて、複数のオリフィス出口を囲み、当該底面より下方に延びる凸状縁を設けたオリフィスプレート、又は単数若しくは複数のオリフィス孔を有するノズルチップの外周部先端から下方に延びる複数の凸状縁を設けた異形断面ガラス繊維紡糸用ノズルチップのいずれかを使用して製造された、扁平率が1.5以上のガラス繊維が好ましい。これらの繊維状強化材は、繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
ウォラストナイトとしては、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が3μm以上30μm以下であり、ポリアミド樹脂組成物中において、重量平均繊維長が10μm以上500μm以下であり、且つアスペクト比[(重量平均繊維長)/(数平均繊維径)]が3以上100以下であるものが好ましい。
タルク、マイカ、カオリン及び窒化珪素としては、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が0.1μm以上3μm以下であるものが好ましい。
(B)無機強化材は、シランカップリング剤等により表面処理を施してもよい。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。シランカップリング剤としては、特に、アミノシラン類が好ましい。
また、ガラス繊維や炭素繊維については、さらに集束剤を含んでいてもよい。
集束剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。
これらの集束剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、ポリアミド樹脂組成物の機械強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、又はこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、又はこれらの組み合わせがより好ましい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体を構成する、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が挙げられ、中でも、無水マレイン酸が好ましい。
一方、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とは、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とは異なる不飽和ビニル単量体をいう。当該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体として具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、スチレン又はブタジエンが好ましい。
これらの集束剤としての材料組み合わせの中でも、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体、無水マレイン酸とスチレンとの共重合体、及びこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体は、ポリアミド樹脂組成物の流動性向上の観点から、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましく、2,000以上1,000,000以下であることがより好ましく、2,000以上1,000,000であることがさらに好ましい。重量平均分子量は、GPCにより測定することができる。
エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、ヘプテンオキサイド、オクテンオキサイド、ノネンオキサイド、デセンオキサイド、ウンデセンオキサイド、ドデセンオキサイド、ペンタデセンオキサイド、エイコセンオキサイド等の脂肪族エポキシ化合物;グリシド−ル、エポキシペンタノ−ル、1−クロロ−3,4−エポキシブタン、1−クロロ−2−メチル−3,4−エポキシブタン、1,4−ジクロロ−2,3−エポキシブタン、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、メチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド、エポキシ化シクロヘキセンメチルアルコール等の脂環族エポキシ化合物;ピネンオキサイド等のテルペン系エポキシ化合物;スチレンオキサイド、p−クロロスチレンオキサイド、m−クロロスチレンオキサイド等の芳香族エポキシ化合物;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物は、一以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物を縮合することにより得られる。
ポリカルボジイミド化合物の縮合度は1以上20以下であることが好ましく、1以上10以下であることがより好ましい。ポリカルボジイミド化合物の縮合度が上記範囲内にある場合、より良好な集束剤の水溶液又は水分散液が得られる。
また、ポリカルボジイミド化合物は、部分的にポリオールセグメントを持つポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。
ポリオールセグメントを持つことにより、ポリカルボジイミド化合物が水溶化し易くなり、ガラス繊維や炭素繊維の集束剤として一層好適に使用可能となる。
これらポリカルボジイミド化合物は、ジイソシアネート化合物を3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド等の公知のカルボジイミド化触媒の存在下で脱炭酸反応させることによって得られる。
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、及びそれらの混合物を用いることが可能である。
ジイソシアネート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート系化合物をカルボジイミド化することによって、末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物が得られる。これらのうち、反応性向上の観点から、ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドが好適に使用可能である。
末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物に対し、さらにモノイソシアネート化合物を等モル量カルボジイミド化させる方法、又はポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと等モル量反応させてウレタン結合を生成する方法等によって、末端にイソシアネート基を1つ有するポリカルボジイミド化合物が得られる。
モノイソシアネート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂は、集束剤として一般的に用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるものが好適に使用できる。
アクリル酸のホモポリマー(ポリアクリル酸)としては、重量平均分子量は1,000以上90,000以下であることが好ましく、1,000以上25,000以下であることがより好ましい。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する、アクリル酸と共重合体を形成するモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及びカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するモノマーが挙げられ、より具体的には、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。なお、その他の共重合性モノマーは、上記モノマーのうちエステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のポリマー(ホモポリマー及びコポリマーのいずれも含む)は、塩の形態であってもよい。
アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に限定されるものではないが、第1級、第2級、及び第3級のアミン塩が挙げられる。アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、グリシン塩が挙げられる。
中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20%以上90%以下とすることが好ましく、40%以上60%以下とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、ガラス繊維や炭素繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、ポリアミド樹脂組成物とした際の機械的特性向上の観点から、50,000以下が好ましい。すなわち、塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、3,000以上50,000以下であることが好ましい。
集束剤を含むガラス繊維や炭素繊維は、公知のガラス繊維や炭素繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維や炭素繊維に上述した集束剤を付与して繊維ストランドを製造し、これを乾燥し、連続的に反応させることにより得られる。
前記繊維ストランドをロービングとしてそのままガラス繊維や炭素繊維として使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドストランドとして使用してもよい。
かかる集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、ガラス繊維や炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。一方、ポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。すなわち、固形分率として0.2質量%以上3質量%以下相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上2質量%以下相当を付与(添加)する。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、ストランドを乾燥した後に切断してもよい。
(B)無機強化材の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、10質量部以上250質量部以下であることが好ましく、20質量部以上150質量部以下がより好ましく、25質量部以上140質量部以下がさらに好ましく、30質量部以上120質量部以下が特に好ましい。
(B)無機強化材の含有量が上記下限値以上であることで、成形品としたときの強度の向上効果がより一層十分に得られ、一方で、上記上限値以下であることで、ポリアミド樹脂組成物の製造時に押出工程でより良好な製造性が得られる。
また、(A)ポリアミド樹脂及び(B)無機強化材を溶融混練する場合、一般的に、(A)ポリアミド樹脂と(B)無機強化材がせん断により発熱し樹脂温度が上昇する傾向にある。(B)無機強化材の含有量が多いほどせん断による発熱量は増加し樹脂温度もさらに上昇する傾向にあり、(A)ポリアミド樹脂は、樹脂温度の上昇に伴いゲル化が進行する傾向にある。ゲル化により溶融粘度が上昇し、成形時の流動性が低下するため表面外観が悪くなる傾向にある。
しかしながら、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂が上述した(a)〜(c)の条件を満たすため、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、(B)無機強化材を250質量部含んだ場合でも、溶融混練時の樹脂温度上昇によるゲル化を抑制し、表面外観が良好な成形品を得ることができる。
[(C)着色剤]
(C)着色剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ニグロシン等の染料;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料;アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、チタン等の金属粒子;マイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、カラーガラスフレーク等のメタリック顔料等が挙げられる。
中でも、(C)着色剤としては、ニグロシンが好ましい。(C)着色剤としてニグロシンを含むことで、成形品としたときの外観をより良好なものとすることができる。
ニグロシンは、特に限定されるものではないが、例えばC.I.SOLVENT BLACK 5やC.I.SOLVENT BLACK 7としてCOLORINDE Xに記載されている、黒色のトリフェナジンオキサジン、フェナジンアジン等のアジン系縮合混合物が挙げられる。また、その一部が変性されていてもかまわない。市販されているニグロシンの例としては、ヌビアンブラックPA−9801、ヌビアンブラックPA−9800、ヌビアンブラックPA−0800等が例示できる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(C)着色剤としてカーボンブラックを含んでもよい。
カーボンブラックの平均一次粒子径は10nm以上40nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましく、10nm以上20nm以下がさらに好ましい。平均一次粒子径が上記下限値以上であることで、組成物中への分散性をより良好なものとすることができ、上記上限値以下であることで、成形品としたときの強度及び剛性をより効果的に発現することができる。
ここで、平均一次粒子径とは、ASTM D3849規格(カーボンブラックの標準試験法−電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順により、アグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算出した平均値を意味する。
また、カーボンブラックとしては、比表面積が50m/g以上300m/g以下(BET吸着法)であり、吸油量(ジブチルフタレートを用いた測定値)が50mL/100g以上150mL/100g以下であるものを好ましく使用できる。
(C)着色剤の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上10質量部以下が好ましく、0.005質量部以上3質量部以下がより好ましく、0.01質量部以上2質量部以下がさらに好ましく、0.01質量部以上1質量部以下が特に好ましい。
[(D)滑剤]
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(D)滑剤を更に含有することができる。
(D)滑剤としては、成形時の可塑化性や離型性を向上させるものであれば、以下に限定されるものではないが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ワックス、多価アルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、モンタン酸等の炭素数8以上40以下の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、ステアリン酸又はモンタン酸が好ましい。
高級脂肪酸金属塩とは、高級脂肪酸の金属塩である。
金属塩を構成する金属元素としては、元素周期律表の第1、第2若しくは第3族元素、亜鉛、又はアルミニウムが好ましく、カルシウム、ナトリウム、カリウム又はマグネシウムがより好ましい。
高級脂肪酸金属塩として具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、モンタン酸の金属塩又はステアリン酸の金属塩が好ましい。
高級脂肪酸エステルとは、高級脂肪酸とアルコールとのエステル化物である。
これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、炭素数8以上40以下の脂肪族カルボン酸と、炭素数8以上40以下の脂肪族アルコールとのエステルが好ましい。
ここで、高級脂肪酸としては、上述したものを使用できる。
脂肪族アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドとは、高級脂肪酸のアミド化合物である。
高級脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド又はN−ステアリルエルカ酸アミドが好ましく、エチレンビスステアリルアミド又はN−ステアリルエルカ酸アミドがより好ましい。
ワックスとしては、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、シリコーン系ワックス等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどが挙げられる。
(D)滑剤の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上2質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上1質量部以下であることがさらに好ましい。
(D)滑剤の含有量が上記下限値以上であることにより、成形時の可塑化性や離型性の向上効果がより十分に得られる。また、上記上限値以下であることにより、ポリアミド樹脂組成物の製造時の押出工程でより良好な製造性が得られる。
[(E)熱安定剤]
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(E)熱安定剤(以下、「熱安定剤」、「(E)成分」、「(E)」と称する場合がある)を、更に含有することができる。
(E)熱安定剤とは、材料の熱劣化抑制、熱時の変色防止、耐熱エージング性及び耐候性の向上させるものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸銅やヨウ化銅等の銅化合物の銅系安定剤、ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、トリアジン系安定剤、イオウ系安定剤等が挙げられる。
また、アルキルフェノール、アルキレンビスフェノール、アルキルフェノールチオエーテル等の前記酸化防止剤、サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤も挙げられる。
(E)熱安定剤の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
(E)熱安定剤の含有量が上記下限値以上であることにより、熱安定性の向上効果がより十分に得られる。また、上記上限値以下であることにより、ポリアミド樹脂組成物の製造時の押出工程でより良好な製造性が得られる。
[(F)難燃剤]
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(F)難燃剤(以下、「難燃剤」、「(F)成分」、「(F)」と称する場合がある)を、更に含有することができる。
(F)難燃剤としては、難燃性を向上させるものであれば、以下に限定されるものではないが、非ハロゲン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤等が挙げられる。
(F)難燃剤としては、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、非ハロゲン系難燃剤又は臭素系難燃剤が好ましい。
非ハロゲン系難燃剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、赤リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン系難燃剤;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズ、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛等の金属水酸化物又は無機金属化合物の水和物;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム等のホウ酸化合物等の無機化合物系難燃剤;メラミン、メラム、メレム、メロン(300℃以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成物)、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログアナミン、メラミン樹脂等のトリアジン系難燃剤;シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカ等のシリコーン系難燃剤等が挙げられる。
臭素系難燃剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体、臭素系架橋芳香族重合体等が挙げられる。三酸化アンチモン等の難燃助剤も併用できる。
(F)難燃剤の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
(F)難燃剤の含有量が上記下限値以上であることにより、難燃性の向上効果がより十分に得られる。また、上記上限値以下とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の製造時の押出工程でより良好な製造性が得られ、成形品としたときの機械物性の大きな低下もより抑制できる。
[(G)その他成分]
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、必要に応じ、本実施形態の目的を損なわない範囲で、上述した(A)〜(F)成分以外の(G)その他の成分を含有することができる。
(G)その他の成分としては、他のポリマーや(A)ポリアミド樹脂に用いられる通常の添加剤、例えば、結晶核剤等が挙げられる。
他のポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
結晶核剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、窒化ホウ素やタルクなどが挙げられる。
<ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機強化材と、(C)着色剤と、必要に応じて、上記成分(D)〜(G)と、を混合することで得られる。本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」と称する)としては、特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。
中でも、本実施形態の製造方法としては、(A)ポリアミド樹脂及び(C)着色剤、並びに、必要に応じて、上記成分(D)〜(G)の混合物と(B)無機強化材とを、押出機にて溶融混練する工程を含む、製造方法が好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物を製造する際の各成分の配合量は、上述したポリアミド樹脂組成物における各成分の含有量と同様である。
溶融混練の温度は、(A)ポリアミド樹脂の融点より1℃以上100℃以下程度高い温度が好ましく、(A)ポリアミド樹脂の融点より10℃以上50℃以下程度高い温度がより好ましい。
<ポリアミド樹脂組成物の特性>
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、数平均分子量Mnが15000以上25000以下であることが好ましく、16000以上24000以下がより好ましく、16500以上23000以下がさらに好ましい。数平均分子量Mnが上記範囲内であることにより、機械的性質、特に熱時剛性、流動性等により優れるポリアミド組成物が得られる。また、無機強化材に代表される成分を含有させたポリアミド組成物は、表面外観により優れたものとなる。
数平均分子量Mnは、(A)ポリアミド樹脂の分子量分布の指標として用いることができる。数平均分子量Mnは、例えば、GPCを用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に示す方法を用いて測定することができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnは(A)ポリアミド樹脂の分子量分布の指標として用いることができる。Mw/Mnは2.0以上2.5以下が好ましく、2.0以上2.4以下がより好ましく、2.0以上2.3以下がさらに好ましい。Mw/Mnを上記上限値以下にすることによって、ポリアミド樹脂組成物の表面外観に優れる。
ポリアミド樹脂組成物の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、例えば、GPCを用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に示す方法を用いて測定することができる。なお、ポリアミド樹脂組成物の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、実質的には、(A)ポリアミド樹脂の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnとして得られる。
Mw/Mnを上記範囲内に制御する方法としては、例えば、(A)ポリアミド樹脂の熱溶融重合時の添加物としてリン酸、次亜リン酸ナトリウム等の公知の重縮合触媒を加える方法や、加熱条件、減圧条件等の重合条件を制御する方法等が挙げられる。
<成形品>
本実施形態の成形品は、上記ポリアミド樹脂組成物を成形してなる。
本実施形態の成形品は、上記ポリアミド樹脂組成物を公知の成形方法により成形することで製造できる。公知の成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等が挙げられる。
本実施形態の成形品は、80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観が良好であることから、自動車部品、電気部品、電子部品、携帯電子機器部品、機械及び工業部品、事務機器部品、航空及び宇宙部品等といった幅広い用途に用いることができる。
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、使用した原料、物性の測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
<原料>
[(A)ポリアミド樹脂]
(A−1)ポリアミド66 ギ酸相対粘度 VR:46
(A−2)ポリアミド66 ギ酸相対粘度 VR:37
(A−3)ポリアミド6I ギ酸相対粘度 VR:12
(A−4)ポリアミド6 宇部興産社製 商品名 SF1013A (Mw=31500、Mw/Mn=2.2) ギ酸相対粘度 VR:45
ポリアミド樹脂のうち上記(A−1)〜(A−2)を、後述する製造例1〜製造例3に従い、製造した。
[(B)無機強化材]
(B−1)ガラス繊維(GF) 巨石集団有限公司製 商品名 E7CS−10−568H
(B−2)ガラス繊維(GF) 巨石集団有限公司製 商品名 E6CS−10−568H
(B−3)ガラス繊維(GF) 日本電気硝子製 商品名 ECS03 T−275H
[(C)着色剤]
(C−1)ニグロシン オリエント化学工業社製 商品名 ヌビアンブラックTN−870
(C−2)カーボンブラック(一次粒子径:13nm)
(C−3)カーボンブラック(一次粒子径:27nm)
[(D)滑剤]
(D−1)Struktol of America社製、「Struktol TR−063A」(商品名)
(D−2)ジペンタエリスリトール:パーストープケミカルズ社製、「Di−Penta90」(商品名)
(D−3)ステアリン酸カルシウム:酸価0.02mgKOH/g、遊離脂肪酸0.01質量%
<物性の測定方法>
[物性1]
(ギ酸相対粘度VR)
ギ酸相対粘度VRは、原料である(A)ポリアミド樹脂、又は、実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物をギ酸に添加して調製した溶液(可溶分)の粘度と、ギ酸自体の粘度とを比較することによって、算出した。具体的には、ASTM−D789に準拠して実施した。より具体的には、90質量%ギ酸(水10質量%)溶液にポリアミド樹脂組成物が8.4質量%となるように溶解させた溶液を用いて、25度での粘度を測定した。測定された粘度からギ酸溶液のみの粘度を差し引くことで、ポリアミド樹脂組成物のVRを得た。
[物性2]
(数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物の数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwは、GPC装置(東ソー株式会社製、HLC−8020)を用いて、PMMA(ポリメチルメタクリレート)標準サンプル(ポリマーラボラトリー社製)換算で測定した。
ポリアミド樹脂組成物9.0mgを、ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)3mLに溶解し、0.45μmのフィルターでろ過して得られた溶液を測定用サンプルとして用いた。測定条件は以下に示すとおりである。
(測定条件)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:0.5mL/分
試料注入量:0.1mL
温度:30℃
測定された重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除することで、Mw/Mnを算出した。
[物性3]
(ギ酸相対粘度VRに対する数平均分子量Mnの比Mn/VR)
数平均分子量Mnに対するギ酸相対粘度VRの比Mn/VRは、上記「物性2」で得られた数平均分子量Mnを上記「物性1」で得られたギ酸相対粘度VRで除することで算出した。
[物性4]
(示差走査熱量測定により、100℃/分で冷却したときに得られる結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tc)
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物の結晶化エンタルピーを、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定は、窒素雰囲気下で行った。
先ず、試料約10mgを昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温する条件とした。次いで、300℃で3分間保った後、冷却速度100℃/分で300℃から30℃まで冷却した。このときに現れる吸熱ピークの開始温度を結晶化開始温度Tccとし、吸熱ピークでの温度を結晶化ピーク温度Tcとした。得られた結晶化開始温度Tccから結晶化ピーク温度Tcを差し引いて、結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tcを得た。
[物性5]
(動的粘弾性測定から求められる乾燥時の150℃における貯蔵弾性率)
日精工業(株)製PS40E射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定し、射出10秒間、冷却10秒間の射出成形条件で、JIS−K7139に準じた成形体を成形した。この成形体を、動的粘弾性評価装置(GABO社製、EPLEXOR500N)を用いて、以下の条件で150℃における貯蔵弾性率を測定した。
(測定条件)
測定モード:引張
測定周波数:8.00Hz
昇温速度:3℃/分
温度範囲:−100℃以上250℃以下
[物性6]
(示差走査熱量測定により、20℃/分で冷却したときに得られる結晶化エンタルピーΔHc)
(A)ポリアミド樹脂の結晶化エンタルピーを、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定は、窒素雰囲気下で行った。
先ず、試料約10mgを昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温する条件とした。次いで、300℃で3分間保った後、冷却速度20℃/分で300℃から30℃まで冷却した。このときに現れる発熱ピークを結晶化ピークとし、結晶化ピーク面積を結晶化エンタルピーΔHcとした。
<評価方法>
[評価1]
(引張強度)
ISO294−1で規定される条件に準拠して作製した4mm厚みのダンベル試験片を作製した。次いで、得られた試験片を用いて、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minで引張試験を行い、80℃及び120℃の高温環境下の引張強度を測定した。引張強度が大きい方(80℃での引張強度が170MPa以上;120℃での引張強度が130MPa以上)が引張強度に優れるものとして評価した。
[評価2]
(耐久性)
引張衝撃試験ASTM D 1822 Type S試験片を、シリンダー温度295℃、金型温度80℃の条件で成形した。次いで、得られた試験片を用いて、下記条件にて振動疲労試験を行った。
(測定条件)
試験機:島津サーボパルサ― EHF−EV011K2−020−1A
温度:120℃
応力比:1.0
波形:正弦波
チャック間距離:25mm
周波数:10Hz((B)無機強化材50質量%以上の場合)
20Hz((B)無機強化材50質量%未満の場合)
サンプル形状:ASTM D1822 TypeS(3mm厚)
振動疲労試験の結果から、以下の評価基準に従い、耐久性を評価した。評価がB以上のものを耐久性が良好であると判断した。
(評価基準)
A:80MPaにおける破断までの振動サイクル 200000回以上
B:80MPaにおける破断までの振動サイクル 100000回以上200000回未満
C:80MPaにおける破断までの振動サイクル 100000回未満
[評価3]表面外観(60°グロス)
実施例及び比較例により得られたポリアミド樹脂組成物のペレットから平板プレート成形片を以下のとおり製造した。射出成形機(日精樹脂株式会社製、PS−40E)を用いて、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpm、金型温度をTg+20℃、シリンダー温度=(Tpm−1+10)℃以上(Tpm−1+30)℃以下に設定し、充填時間が1.0±0.1秒の範囲となるように、射出圧力及び射出速度を適宜調整し、ポリアミド樹脂組成物のペレットから平板プレート成形片(6cm×6cm、厚さ2mm)を製造した。このようにして作製した平板プレート成形片の中央部を、光沢計(HORIBA製、IG320)を用いてJIS−K7150に準じて60度グロスを測定した。該測定値が大きいほど(グロス値が50以上)、外観に優れると判断した。
<(A)ポリアミド樹脂の製造>
[製造例1]
(ポリアミド樹脂A−1(ポリアミド66)の製造)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩1500gを蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。110℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま1時間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間かけて圧力を降圧した。その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下として10分間維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。その後、窒素で加圧し、下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行い、ペレット状で排出した。得られたペレットを100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミド樹脂A−1を得た。ポリアミド樹脂A−1のMwは40000、Mw/Mnは2.0であった。
[製造例2]
(ポリアミド樹脂A−2(ポリアミド66)の製造)
オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下として20分間維持したこと以外は、製造例1に記載の方法と同様の方法(「熱溶融重合法」)を用いて、ポリアミド樹脂A−2のペレットを得た。ポリアミド樹脂A−2のMwは35000、Mw/Mnは2.0であった。
[製造例3]
(ポリアミド樹脂A−3(ポリアミド6I)の製造)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩1500g、及び全等モル塩成分に対して1.5モル%過剰のアジピン酸を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
110℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、30分間かけて圧力を降圧した。その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下として10分間維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行い、ペレット状で排出した。得られたペレットを100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミド樹脂A−3を得た。ポリアミド樹脂A−3のMwは20000、Mw/Mnは2.0であった。
[実施例1〜16及び比較例1〜15]
(ポリアミド樹脂組成物PA−a1〜PA−a16及びPA−b1〜PA−b15の製造)
(A)ポリアミド樹脂、(B)無機強化材、(C)着色剤及び(D)滑剤を、表1〜6に示す種類及び配合量となるように用いて各ポリアミド樹脂組成物を製造した。なお、(A)ポリアミド樹脂は、窒素雰囲気下で乾燥し、水分量を約0.2質量%に調整してから、ポリアミド樹脂組成物の原料として用いた。
ポリアミド樹脂組成物の製造装置としては、二軸押出機(ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ))を用いた。
二軸押出機は、押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、6番目のバレルに下流側第1供給口を有し、9番目のバレルに下流側第2供給口を有していた。また、二軸押出機において、L/Dは48であり、バレル数は12であった。
二軸押出機において、上流側供給口からダイまでの温度を(A)ポリアミド樹脂の融点Tm2+20℃に設定し、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/時間に設定した。
(A)ポリアミド樹脂、(C)着色剤、及び必要に応じて(D)滑剤を、ドライブレンドした後に、二軸押出機の上流側供給口より供給し、二軸押出機の下流側第1供給口より、(B)無機強化材を供給して溶融混練した。ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、窒素気流中で乾燥し、ポリアミド樹脂組成物中の水分量を500ppm以下にした。
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物について、上記方法を用いて物性を測定し、各種評価を行なった。結果を表1〜表6に示す。
Figure 2021172683
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表1〜表6から、(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機強化材と、(C)着色剤と、を含み、ギ酸相対粘度VR、示差走査熱量測定により、100℃/分で冷却したときに得られる結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tc、動的粘弾性測定から求められる乾燥時の150℃における貯蔵弾性率、及びギ酸相対粘度VRの対する数平均分子量Mnの比Mn/VRがそれぞれ特定の範囲内であるポリアミド樹脂組成物PA−a1〜PA−a16(実施例1〜16)では、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観が良好であった。
また、組み合わせる(A)ポリアミド樹脂の種類が異なるポリアミド樹脂組成物PA−a2、PA−a3及びPA−a5(実施例2、3及び5)の比較において、ポリアミドA−3及びポリアミドA−4を含むポリアミド樹脂組成物が、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度が特に良好になる傾向がみられ、ポリアミドA−2及びポリアミドA−3を含むポリアミド樹脂組成物が、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での耐久性が特に良好になる傾向がみられた。
一方で、Mn/VRが460未満であるポリアミド樹脂組成物PA−b1〜PA−b4及びPA−b6(比較例1〜4及び6)では、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観の全てが良好となるものは得られなかった。
また、Tcc−Tcが10℃未満であるポリアミド樹脂組成物PA−b5及びPA―b7〜PA−b10(比較例5及び7〜10)では、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性は良好であったが、外観が劣っていた。
150℃における貯蔵弾性率が6000MPa未満であるポリアミド樹脂組成物PA−b11〜PA−b13(比較例11〜13)では、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での耐久性は良好であったが、80℃以上程度の高温下での引張強度と、外観が劣っていた。
150℃における貯蔵弾性率が6000MPa未満であり、数平均分子量が15000未満であり、且つ、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mn/Mwが2.5超であるポリアミド樹脂組成物PA−b14〜PA−b15(比較例14〜15)では、成形品としたときの外観は良好であったが、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性が劣っていた。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物によれば、成形品としたときの80℃以上程度の高温下での引張強度及び耐久性、並びに、外観に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。本実施形態の成形品は、前記ポリアミド樹脂組成物を成形してなり、自動車部品、電気部品、電子部品、携帯電子機器部品、機械及び工業部品、事務機器部品、航空及び宇宙部品等といった幅広い用途に用いることができる。

Claims (10)

  1. (A)ポリアミド樹脂と、(B)無機強化材と、(C)着色剤と、を含むポリアミド樹脂組成物であって、
    下記(a)〜(d)の条件を満たす、ポリアミド樹脂組成物。
    (a)ギ酸相対粘度VRが30以上50以下である;
    (b)示差走査熱量測定により、100℃/分で冷却したときに得られる結晶化開始温度Tccと結晶化ピーク温度Tcとの差Tcc−Tcが10℃以上15℃以下である;
    (c)動的粘弾性測定から求められる乾燥時の150℃における貯蔵弾性率が6000MPa以上である;
    (d)ギ酸相対粘度VRに対する数平均分子量Mnの比Mn/VRが460以上である。
  2. 数平均分子量Mnが15000以上25000以下である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが2.0以上2.5以下である、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(A)ポリアミド樹脂の、示差走査熱量測定により、20℃/分で冷却したときに得られる結晶化エンタルピーΔHcが60J/g以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド6I、及びこれらのポリアミド2種以上からなる共重合ポリアミドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記(B)無機強化材の含有量が、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、10質量部以上250質量部以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. 前記(C)着色剤の含有量が、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上10質量部以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. 前記(C)着色剤が、ニグロシンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. (D)滑剤を更に含み、
    前記(D)滑剤の含有量が、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上3質量部以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる、成形品。
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