JP7152300B2 - 帯電防止性コーティング剤組成物 - Google Patents
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Description
(1)積層フィルムに優れた耐溶剤性、耐水性、基材密着性、帯電防止性を付与する。
本発明におけるポリオール(A)としては、例えば、ポリエステルポリオール(A1)、ポリエーテルポリオール(A2)、ポリエーテルエステルポリオール(A3)が挙げられる。なお、ポリオール(A)は後述の低分子ジオール以外のものである。
これらの中で、帯電防止性の観点から、好ましいのは(A2)、(A3)、さらに好ましいのは(A2)、とくに好ましいのはポリエーテルジオールである。
なお、ポリオール(A)としては,数平均分子量(Mn)が好ましくは500~5,000、さらに好ましくは1,000~4,000である。
これらの中でも、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンイソフタレートが基材密着性および帯電防止性の観点から好ましい。
これらのうち、基材密着性および帯電防止性の観点から、好ましいのは低分子ジオールにアルキレンオキサイドが付加したものであり、さらに好ましいのは、低分子ジオールにエチレンオキサイドが付加したものである。
本発明におけるジイソシアネート(B)としては、(i)炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2~18の脂肪族ジイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等];(ii)炭素数4~15の脂環式ジイソシアート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロへキセン等];(iii)炭素数8~15の芳香脂肪族ジイソシアネート[m-および/またはp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等];芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3-及び/又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-及びp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等;(v)これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート変性物);およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。 上記ジイソシアネート(B)のうち、基材密着性および帯電防止性の観点から、好ましいのは脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、さらに好ましいのは脂環式ジイソシアネート、とくに好ましいのはIPDIである。
本発明におけるジアミン(C)としては、炭素数6~18の脂環式ジアミン[4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン(IPDA)等];炭素数2~12の脂肪族ジアミン[エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];炭素数8~15の芳香脂肪族ジアミン[キシリレンジアミン、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジアミン等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記ジアミン(C)のうち、帯電防止性および基材密着性の観点から、好ましいのは脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、さらに好ましいのは脂環式ジアミン、とくに好ましいのはイソホロンジアミン(IPDA)である。
本発明におけるポリウレタンウレア樹脂(U)は、前記ポリオール(A)とジイソシアネート(B)とジアミン(C)とを含む原料の反応物である。すなわち、前記(A)と(B)と(C)とを含む原料を反応させて得られる。なお、該(U)には、必要に応じて低分子ジオール、低分子トリオール(例えば、トリメチロールプロパン)、低分子モノアミン(例えば、モノエタノールアミン)等のその他の原料(D)を原料として含んでいてもよい。
さらに、ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレタン基とウレア基との合計濃度は、耐水性および耐溶剤性の観点から、好ましくは0.5~2.5モル/kg、さらに好ましくは0.8~2.0モル/kgである。
なお、(U)のウレタン基濃度、ウレア基濃度、オキシエチレンの重量は、1H-NMRにより求めることができる。
また、(U)のMwは、耐溶剤性、耐水性、帯電防止性の観点から、好ましくは10,000~100,000、さらに好ましくは20,000~60,000である。
本発明におけるイオン性化合物(Q)は、下記一般式(1)で表される塩(Q1)及び下記一般式(2)で表される塩(Q2)からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
上記カチオンのうち、帯電防止性および耐水性の観点から、好ましいのは1,3-ジアルキル(アルキルの炭素数1~3)イミダゾリウムカチオン、さらに好ましいのは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンである。
上記カチオンのうち、耐水性および帯電防止性の観点から、好ましいのはジメチルジアルキル(アルキルの炭素数2~20)アンモニウム、トリメチルアルキル(アルキルの炭素数2~20)アンモニウム、さらに好ましいのはトリメチルアルキル(アルキルの炭素数2~20)アンモニウムである。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸及び六フッ化タウリン等が挙げられる。
本発明の帯電防止性コーティング剤組成物(X)は、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)とイオン性化合物(Q)とを含有してなる。
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)とイオン性化合物(Q)との重量比[(U)/(Q)]は、耐水性および帯電防止性の観点から、好ましくは80/20~98/2、さらに好ましくは85/15~95/5である。
その場合、(X)の重量に基づく、(U)と(Q)との合計重量は、好ましくは10~50重量%、さらに好ましくは15~35重量%である。
本発明の積層フィルム(Y2)は、基材(K)の上に、前記組成物(X)の塗膜(X0)を有する積層フィルムである。
積層フィルム(Y2)は、例えば、基材(K)に、組成物(X)を塗工し、加熱して、塗膜(X0)を形成することにより製造できる。
塗膜(X0)の厚みは、耐溶剤性、耐水性および基材密着性、帯電防止性の観点から、好ましくは0.3~30μmである。
上記基材のうち、基材密着性および帯電防止性の観点から、好ましいのはプラスチック、さらに好ましいのはPETである。
本発明の積層フィルム(Y3)は、基材(K)の上に、前記組成物(X)の塗膜(X0)を有し、さらに塗膜(X0)の上に、シリコーン樹脂(L1)またはアクリル樹脂(L2)である樹脂(L)の塗膜(L0)を有する積層フィルムである。
積層フィルム(Y3)は、例えば、前記積層フィルム(Y2)に、前記樹脂(L)を塗工し、加熱して、塗膜(L0)を形成することにより製造できる。
塗膜(L0)の厚みは、耐水性および帯電防止性の観点から、好ましくは1~50μm、さらに好ましくは5~25μmである。
本発明におけるシリコーン樹脂(L1)としては、一般的にシリコーン樹脂として使用されているシリコーン系化合物が挙げられる。
前記シリコーン系化合物としては、例えばSiO2単位と(CH3)3SiO0.5単位の共重合体及びシラノール基含有ポリジメチルシロキサンとの混合物又は反応物を主成分とするものが使用され、必要によりこれらのシロキサン単位の置換基がメチル基以外のもの、例えばフェニル基又はビニル基等で置換されたものが使用される。
本発明におけるアクリル樹脂(L2)としては、例えば、アルキル(アルキル基の炭素数1~12、好ましくは4~8)アクリレートを構成単量体して含む(共)重合体が挙げられる。また、該(共)重合体には、前記単量体以外に、水酸基、カルボキシル基等を有する単量体(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸)を構成単量体として含んでもよい。さらに、(L2)には、公知の架橋剤、溶剤を含んでいてもよい。
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に表1に記載の各原料を仕込んで100℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、40℃に冷却後、ウレタンプレポリマー溶液(P-1)を得た。
次に、メチルエチルケトン(MEK)309部、イソプロパノール(IPA)170部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン7部、モノエタノールアミン0.2部を加え、40℃で1時間反応させた。
その後、撹拌しながら、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Q-1)12.7部を加えて、帯電防止性コーティング剤組成物(X-1)を得た。
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に表1に記載の各原料を仕込んで100℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー溶液(P-2)を得た。
次に、ウレタンプレポリマー溶液(P-2)175部と、水700部とを、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]を用いて分散後、イソホロンジアミン5.85部を加え、減圧下に65℃で8時間かけてMEKを留去した。
その後、撹拌しながら、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート12.7部(Q-2)を加えて、帯電防止性コーティング剤組成物(X-2)を得た。
実施例1において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Q-1)12.7部に代えて、ジメチルジデシルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Q-3)6.6部を加えた以外は、実施例1と同様にして、帯電防止性コーティング剤組成物(X-3)を得た。
実施例2において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート12.7部(Q-2)に代えて、トリメチルヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Q-4)12.7部を加えた以外は実施例2と同様にして、帯電防止性コーティング剤組成物(X-4)を得た。
実施例1において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Q-1)を加えなかった以外は実施例1と同様にして、帯電防止性コーティング剤組成物(比X-1)を得た。
さらに、積層フィルム(Y2)に、シリコーン樹脂(「KR-3704」、信越化学工業社製)を硬化後の厚みが10μmになるように塗布し、130℃×5分間加熱して、積層フィルム(Y3-1)を得た。
積層フィルム(Y2)の塗膜表面をトルエンを含ませた布で5回擦るラビングテストを行ない、塗膜表面のラビング部位を観察し、下記の評価基準で耐溶剤性を評価した。
<評価基準>
◎:塗膜表面に変化が認められない
○:塗膜表面に変化がわずかに認められる
△:塗膜表面に変化が認められる
×:塗膜表面に、変化が大きく、溶解が認められる
積層フィルム(Y2)の塗膜表面をイオン交換水を含ませた布で5回擦るラビングテストを行ない、塗膜表面のラビング部位を観察し、下記の評価基準で耐溶剤性を評価した。
<評価基準>
◎:塗膜表面に変化が認められない
○:塗膜表面に変化がわずかに認められる
△:塗膜表面に変化が認められる
×:塗膜表面に、変化が大きく、溶解が認められる
積層フィルム(Y2)の塗膜(1cm×1cm)に、1mm角の切込みを入れ、市販のセロハン製テープを貼った後、剥離した。例えば、7/100は、100個のうち、7個剥離したことを示す。
◎:0/100~1/100
○:2/100~5/100
△:6/100~50/50
×:51/100~100/100
積層フィルム(Y2)を23℃×65%RHの条件で12時間静置した後に、JIS-K6911に記載の方法で塗膜面の表面固有抵抗値を測定した。
積層フィルム(Y3-1)、(Y3-2)を23℃×65%RHの条件で12時間静置した後に、JIS-K6911に記載の方法で塗膜面の表面固有抵抗値を測定した。
(A-1):
「ニューポール 80-4000」、三洋化成工業(株)製、Mn:4000、
EO/PO共重合体)
(A-2):
「TEGOMER D-3043」、ゴールドシュミット社製、Mn:1200、
トリメチロールプロパンモノ(ポリエチレンオキシドメチルエーテル)
(A-3):
「クラレポリオール P-1510」、(株)クラレ製、Mn:1500、
ポリ-3-メチル-1,5-ペンタンアジペートポリオール
(D-1):
「ネオアリル E-10」、(株)大阪ソーダ製、グリセリンモノアリルエーテル
(D-2):
トリメチロールプロパン、東京化成工業株式会社製
(D-3):
2,2-ジメチロールプロピオン酸、Perstorp社製
(D-4):
モノエタノールアミン
(B-1):
イソホロンジイソシアネート(IPDI)
(C-1):
イソホロンジアミン(IPDA)
(Q-1):
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
(Q-2):
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート
(Q-3):
ジメチルジデシルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
(Q-4):
トリメチルヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
Claims (6)
- ポリウレタンウレア樹脂(U)とイオン性化合物(Q)とを含有してなる組成物であって、前記(U)がポリオール(A)とジイソシアネート(B)とジアミン(C)とを含む原料の反応物であって、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量平均分子量(Mw)が20,000~60,000であり、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)中のオキシエチレン単位の重量が(U)の重量を基準として30~70重量%であり、前記(Q)が下記一般式(1)で表される塩(Q1)及び下記一般式(2)で表される塩(Q2)からなる群から選ばれる少なくとも1種である帯電防止性コーティング剤組成物(X)<但し、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量にもとづいて、数平均分子量(Mn)が50~12,000であるポリオールは2重量%未満である>。
[一般式(1)において、R1は、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1~10のアルコキシ基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1~10の炭化水素基、または水素原子を表す。R2~R5は、それぞれヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1~10のアルコキシ基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子を表す。R1~R5の一部または全てが相互に結合して環を形成していてもよい。X1-はアニオンを示す。]
[一般式(2)において、R1~R4は、それぞれヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~20のアルコキシ基、及びスルホニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1~20の鎖状炭化水素基、又は酸素原子、イオウ原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有していてもよい環状炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、またR1~R4の2つの基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。X2-はアニオンを示す。] - 前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量に基づいて、ウレタン基濃度が0.3~2.0モル/kgであり、ウレア基濃度が0.2~1.5モル/kgである請求項1記載の組成物。
- 前記ポリウレタンウレア樹脂(U)とイオン性化合物(Q)との重量比[(U)/(Q)]が80/20~98/2である請求項1又は2記載の組成物。
- 水性分散体の形態である請求項1~3のいずれか記載の組成物。
- 基材(K)の上に、請求項1~4のいずれか記載の組成物(X)の塗膜(X0)を有する積層フィルム(Y2)。
- 基材(K)の上に、請求項1~4のいずれか記載の組成物(X)の塗膜(X0)を有し、さらに塗膜(X0)の上に、シリコーン樹脂(L1)またはアクリル樹脂(L2)である樹脂(L)の塗膜(L0)を有する積層フィルム(Y3)。
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