JP2022113240A - 発泡性接着シートおよび回転電機用ステータ - Google Patents

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Shinya Shimada
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純子 小谷
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Abstract

Figure 2022113240000001
【課題】使用時だけでなく、回転機に組み込まれた後も、発泡性接着シートの表裏の判別が可能である発泡性接着シートを提供する。
【解決手段】第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面、あるいは、上記第1接着層および上記基材の間に、繊維層3が配置されており、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に上記繊維層が配置されている場合には、上記第1接着層が上記発泡剤を含有する、発泡性接着シート10を提供する。
【選択図】図1

Description

本開示は、回転電機用ステータのステータコアおよびコイルの接着に好適に用いられる発泡性接着シートに関する。
一般に、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両は、モータおよび発電機として機能し得る回転電機を備える。また、一般に、回転電機は、固定子としてのステータと、ステータに対して所定のギャップを隔てて回転する回転子としてのロータとを備える。ステータは、ステータコアと、ステータコアに巻回された複数のコイルとを有する。
回転電機用のステータにおけるステータコアにはスロットが形成され、このスロット内にコイルが収容される。その際に、ステータコアのスロット内周面とコイルとの間には絶縁のための絶縁層を配置する必要がある。
従来、上記絶縁層としては絶縁紙が用いられており、液状接着剤を用いて絶縁紙をステータコアおよびコイルの間に固定する方法が採用されている。
一方、近年では、液状接着剤に代えて、発泡剤を含有する接着シート(発泡性接着シート)を使用することが提案されている。例えば特許文献1には、基材の両面または片面に、多官能エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂と、硬化触媒としてのイミダゾール系化合物と、感温性発泡剤とを含有してなる膨張性接着剤層を有する接着シートが開示されている。
国際公開第2016/163514号 特開2013-236468号公報
ステータコアおよびコイルの接着に用いられる発泡性接着シートにおいて、ステータコア側に配置される接着層とコイル側に配置される接着層とでその特性を互いに異ならせることが提案されている。例えば特許文献2には、コアに設けられたスロット内にコイル導体が収容されてなる回転電機において、上記スロット内において上記コアと上記コイル導体との間に配置され、加熱により膨張する膨張シートであって、コイル導体側が、コア側よりも高い体積増加量で膨張する、回転電機用膨張シートが開示されている。
発泡性接着シートにおいて、ステータコア側に配置される接着層とコイル側に配置される接着層とでその特性が互いに異なる場合、使用時に発泡性接着シートの表裏を判別する必要がある。発泡性接着シートの表裏を間違えて使用すると、故障の原因になり、さらには致命的な事故につながる可能性がある。発泡性接着シートの表裏の判別方法としては、例えば製品ラベルを確認する方法がある。この場合、製品ラベルを剥がした後は表裏の判別ができない。また、回転機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについては、分析によって表裏を判別することが困難であり、発泡性接着シートの表裏の間違いが故障の原因であったとしても、その故障要因を特定することができない。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、使用時だけでなく、回転機に組み込まれた後も、発泡性接着シートの表裏の判別が可能である発泡性接着シートを提供することを主目的とする。
本開示の一実施形態は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面、あるいは、上記第1接着層および上記基材の間に、繊維層が配置されており、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に上記繊維層が配置されている場合には、上記第1接着層が上記発泡剤を含有する、発泡性接着シートを提供する。
本開示の他の実施形態は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、上記第2接着層の上記基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されており、あるいは、上記第1接着層および上記基材の間に第1繊維層が配置され、上記第2接着層および上記基材の間に第2繊維層が配置されており、上記第1繊維層および上記第2繊維層は、互いに異なり、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に上記第1繊維層が配置され、上記第2接着層の上記基材とは反対側の面に上記第2繊維層が配置されている場合には、上記第1接着層および上記第2接着層が上記発泡剤を含有する、発泡性接着シートを提供する。
本開示の他の実施形態は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なる、発泡性接着シートを提供する。
本開示の他の実施形態は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる充填剤を含有する、発泡性接着シートを提供する。
本開示の他の実施形態は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記基材の間、ならびに、上記第2接着層および上記基材の間の少なくとも一方に、絵柄層が配置されている、発泡性接着シートを提供する。
本開示の他の実施形態は、スロットを有するステータコアと、上記スロット内に配置されたコイルと、上記ステータコアおよび上記コイルの間に配置された接着シートと、を有し、上記接着シートは、上述の発泡性接着シートの発泡硬化物である、回転電機用ステータを提供する。
本開示における発泡性接着シートは、使用時だけでなく、回転機に組み込まれた後も、表裏の判別が可能であるという効果を奏する。
本開示における発泡性接着シートの一例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートの他の例を示す概略断面図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
また、本明細書において、「シート」には、「フィルム」と呼ばれる部材も含まれる。また、「フィルム」には、「シート」と呼ばれる部材も含まれる。
以下、本開示における発泡性接着シートおよびそれを用いた回転電機用ステータについて、詳細に説明する。
A.発泡性接着シート
本開示における発泡性接着シートは、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有する。
本開示における発泡性接着シートは、5つの実施態様を有する。以下、各実施態様に分けて説明する。
I.第1実施態様
本開示における発泡性接着シートの第1実施態様は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面、あるいは、上記第1接着層および上記基材の間に、繊維層が配置されており、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に上記繊維層が配置されている場合には、上記第1接着層が上記発泡剤を含有する。
本実施態様の発泡性接着シートは、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されている第1例、および、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されている第2例の2つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
1.第1実施態様の第1例
本開示における発泡性接着シートの第1実施態様の第1例は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層のうち、少なくとも第1接着層は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に繊維層が配置されている。
図1は、本態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図1における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有し、第1接着層1aの基材2とは反対側の面に繊維層3が配置されている。第1接着層1aおよび第2接着層1bは硬化性の接着剤を含有し、第1接着層1aおよび第2接着層1bのうち、少なくとも第1接着層1aは発泡剤を含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。
本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されているため、例えば目視や触診で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されているため、本態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後は、例えば目視、光学顕微鏡、電子顕微鏡で観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されていることにより、第1接着層側の面を非粘着性(タックフリー)とすることができる。そのため、耐ブロッキング性および滑り性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。具体的には、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されていることにより、第1接着層側の面の粘着性を、第2接着層側の面の粘着性よりも低くすることができ、それにより、第1接着層側の面の滑り性を、第2接着層側の面の滑り性よりも高くすることができる。例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合において、第1接着層側の面がコイル側、第2接着層側の面がステータコア側になるように発泡性接着シートを配置することにより、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した際には、第2接着層側の面のほうが粘着性が良いことから、ステータコアに対する発泡性接着シートの位置をずれにくくすることができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、第1接着層側の面が非粘着性であり滑り性が良好であることから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
また、本態様において、繊維層は、第1接着層の発泡時に硬化性の接着剤を透過または浸透させることができる。そのため、第1接着層の発泡時に硬化性の接着剤を発泡性接着シートの最表面まで到達させることができ、第1接着層側の面を接着力を有する状態とすることができる。よって、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されている場合であっても、ステータコアおよびコイルを接着することが可能である。また、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されていることにより、発泡時に第1接着層が面方向に広がるのを抑制することもできる。
以下、本態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
(1)繊維層
本態様において、繊維層は、第1接着層の基材とは反対側の面に配置される。
繊維層の形態としては、例えば、不織布、紙、フェルト、編物、織物が挙げられる。
繊維層を構成する繊維としては、例えば、バサルト繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、炭化ケイ素繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、液晶ポリマー繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
繊維層の密度としては、第1接着層が発泡して膨張する際に、硬化性の接着剤を透過または浸透させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、200g/cm以下であり、100g/cm以下であってもよく、50g/cm以下であってもよい。繊維層の密度が高すぎると、繊維層内の空隙が少なくなり、第1接着層の発泡時に硬化性の接着剤を透過または浸透させることが困難になり、第1接着層の発泡硬化後に十分な接着力が得られない可能性がある。一方、繊維層の密度は、例えば、3g/cm以上であり、5g/cm以上であってもよく、7g/cm以上であってもよい。繊維層の密度が低すぎると、触感での判別がしにくくなる可能性がある。
ここで、繊維層の密度(g/cm)は、繊維層の坪量(g/cm)を、繊維層の厚さ(cm)で除することにより算出することができる。
繊維層の坪量は、下記の方法により測定することができる。まず、100mm×100mmの大きさの繊維層の試験片を10枚採取し、各試験片の質量(g)を測定する。次いで、各試験片の質量(g)を、各試験片の面積(cm)で除することにより、各試験片の坪量(g/cm)を算出する。合計10枚の試験片の坪量の平均値を算出し、この平均値を坪量として採用する。
また、繊維層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察される発泡性接着シートの厚さ方向の断面から測定して得られた任意の10箇所の厚さの平均値とすることができる。
なお、繊維層の密度は、繊維層の製造方法や製造条件等により調整することができる。
繊維層の厚さとしては、第1接着層が発泡して膨張する際に、硬化性の接着剤を透過または浸透させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、100μm以下であり、80μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。繊維層の厚さが厚すぎると、第1接着層の発泡時に硬化性の接着剤が透過または浸透する量が少なくなり、発泡硬化後の第1接着層の接着力が低下する可能性がある。一方、繊維層の厚さは、例えば、6μm以上であり、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。繊維層の厚さが薄すぎると、ロール状に加工した際、ブロッキングが生じる可能性がある。また、断面観察での判別がつきにくくなる可能性がある。
第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層を配置する方法としては、例えば、第1接着層の粘着性を利用して繊維層を貼り付ける方法、第1接着層とは別の接着性を有する層を介して第1接着層に繊維層を貼り付ける方法、繊維層の上から溶媒希釈した接着剤組成物を塗布し乾燥させる方法、第1接着層および繊維層を加熱ラミネートする方法、あるいはそれらの組み合わせによる方法等が挙げられる。
(2)第1接着層および第2接着層
本態様において、第1接着層および第2接着層は硬化性の接着剤を含有し、第1接着層および第2接着層のうち少なくとも第1接着層は発泡剤を含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。
(a)第1接着層および第2接着層の材料
(i)発泡剤
本態様においては、第1接着層および第2接着層のうち、少なくとも第1接着層が発泡剤を含有していればよく、例えば、第1接着層のみが発泡剤を含有していてもよく、第1接着層および第2接着層の両方が発泡剤を含有していてもよい。
本態様における発泡剤としては、一般に発泡性接着シートの接着層に使用される発泡剤を用いることができ、特に限定されない。例えば、熱により発泡反応が生じる発泡剤を挙げることができる。
発泡剤の発泡開始温度は、エポキシ樹脂等の硬化性の接着剤の主剤の軟化温度以上であり、かつ、エポキシ樹脂等の硬化性の接着剤の主剤の硬化反応の活性化温度以下であることが好ましい。発泡剤の発泡開始温度は、例えば、70℃以上であり、100℃以上であってもよい。発泡開始温度が低すぎると、反応が早期に開始され、樹脂成分の柔軟性や流動性が低い状態で発泡が生じ、均一な発泡が生じにくい可能性がある。一方、発泡剤の発泡開始温度は、例えば、210℃以下である。発泡開始温度が高すぎると、樹脂成分が劣化する可能性がある。
なお、エポキシ樹脂等の硬化性の接着剤の主剤の軟化温度は、JIS K 2207に規定される環球式軟化温度試験法を用いて測定できる。
発泡剤としては、例えば、マイクロカプセル型発泡剤が挙げられる。マイクロカプセル型発泡剤は、炭化水素等の熱膨張剤をコアとし、アクリロニトリルコポリマー等の樹脂をシェルとすることが好ましい。
また、発泡剤として、例えば、有機系発泡剤や無機系発泡剤等を用いてもよい。有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系発泡剤、トリクロロモノフルオロメタン等のフッ化アルカン系発泡剤、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン系発泡剤、p-トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド系発泡剤、5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系発泡剤、N,N-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ系発泡剤が挙げられる。一方、無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド類が挙げられる。
発泡剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1接着層および第2接着層に含まれる発泡剤は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
発泡剤の含有量としては、目的とする発泡倍率や、発泡硬化後の第1接着層および第2接着層に要求される強度、接着力等に応じて適宜設定される。発泡剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上であり、2質量部以上であってもよい。一方、発泡剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば、25質量部以下であり、20質量部以下であってもよく、15質量部以下であってもよい。また、第1接着層および第2接着層において、発泡剤の含有量は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
(ii)硬化性の接着剤
本態様における接着層に含まれる硬化性の接着剤としては、ステータコアおよびコイルを接着することが可能であれば特に限定されるものではなく、一般に発泡性接着シートの接着層に使用される硬化性の接着剤を用いることができる。例えば、加熱硬化型接着剤を挙げることができる。
また、硬化性の接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、不飽和ポリエステル樹脂系接着剤、アルキド樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、熱硬化性ポリイミド樹脂系接着剤等が挙げられる。
中でも、硬化性の接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤であることが好ましい。すなわち、硬化性の接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有することが好ましい。エポキシ樹脂系接着剤は、一般に、機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐薬品性等に優れており、硬化収縮が小さく、ステータコアおよびコイルの接着に好適に用いることができる。
以下、硬化性の接着剤がエポキシ樹脂系接着剤である場合について例を挙げて説明する。
(エポキシ樹脂)
本態様におけるエポキシ樹脂は、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有し、硬化剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化する化合物である。エポキシ樹脂には、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有する単量体も含まれる。
エポキシ樹脂としては、例えば、芳香族系エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環系エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂やゴム変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂が挙げられる。また、他の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格の繰り返し単位の数によって、常温で液体の状態、または常温で固体の状態で存在することができる。主鎖のビスフェノール骨格が、例えば2以上10以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温で固体である。特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、耐熱性向上を図ることができる点で好ましい。
エポキシ樹脂は、1官能のエポキシ樹脂であってもよく、2官能のエポキシ樹脂であってもよく、3官能のエポキシ樹脂であってもよく、4官能以上のエポキシ樹脂であってもよい。
第1接着層および第2接着層に含まれるエポキシ樹脂は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
(アクリル樹脂)
硬化性の接着剤がエポキシ系接着剤である場合、エポキシ樹脂と相溶するアクリル樹脂をさらに含有していてもよい。アクリル樹脂は、エポキシ樹脂と相溶することから、接着層の靭性を向上させやすい。その結果、発泡硬化後の接着性を向上させることができる。さらに、アクリル樹脂が、発泡剤(例えば、シェル部がアクリロニトリルコポリマーの樹脂である発泡剤)の相溶化剤として働き、均一に分散、発泡することで、発泡硬化後の接着性が向上すると考えられる。また、アクリル樹脂による柔軟性が発揮され、第1接着層や第2接着層の基材に対する密着性の向上を図ることができる。また、アクリル樹脂がエポキシ樹脂と相溶することで、第1接着層や第2接着層の表面の硬度を高く保つことができる。一方、アクリル樹脂がエポキシ樹脂と非相溶であると、第1接着層や第2接着層の表面に柔軟な部位が形成されるため、被着体との界面が滑りにくくなり、作業性が低下することがある。
第1接着層および第2接着層は、一方のみがアクリル樹脂を含有していてもよく、両方がアクリル樹脂を含有していてもよい。
本態様におけるアクリル樹脂は、エポキシ樹脂と相溶している。ここで、アクリル樹脂がエポキシ樹脂と相溶していることは、例えば、発泡性接着シートの第1接着層および第2接着層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときに、ミクロンサイズの島が発生していないことから確認することができる。より具体的には、島の平均粒径が1μm以下であることが好ましい。中でも、島の平均粒径は、0.5μm以下であってもよく、0.3μm以下であってもよい。サンプル数は多いことが好ましく、例えば100以上である。観察するエリア面積は、100μm×100μmの範囲、もしくは、第1接着層および第2接着層の厚さが100μm以下の場合は、厚さ×100μmの範囲で行う。
アクリル樹脂は、極性基を有していてもよい。極性基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基が挙げられる。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステル単量体の単独重合体であり、上記単独重合体を2種以上含む混合成分であってもよく、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体であり、共重合体を1以上含む成分であってもよい。また、アクリル樹脂は、上記単独重合体と上記共重合体との混合成分であってもよい。アクリル酸エステル単量体の「アクリル酸」には、メタクリル酸の概念も含まれる。具体的には、アクリル樹脂は、メタクリレートの重合体とアクリレートの重合体との混合物であってもよく、アクリレート-アクリレート、メタクリレート-メタクリレート、メタクリレート-アクリレート等のアクリル酸エステル重合体であってもよい。中でも、アクリル樹脂は、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体((メタ)アクリル酸エステル共重合体)を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する単量体成分としては、例えば、特開2014-065889号公報に記載の単量体成分が挙げられる。上記単量体成分は、上述した極性基を有していてもよい。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エチルアクリレート-ブチルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、エチルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート-アクリロニトリル共重合体が挙げられる。なお、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の「アクリル酸」には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の「メタクリル酸」も含まれる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、ブロック共重合体が好ましく、さらにメタクリレート-アクリレート共重合体等のアクリル系ブロック共重合体が好ましい。アクリル系ブロック共重合体を構成する(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジジルが挙げられる。これらの「アクリル酸」には、「メタクリル酸」も含まれる。
メタクリレート-アクリレート共重合体の具体例としては、メチルメタクリレート-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート(MMA-BA-MMA)共重合体等のアクリル系共重合体が挙げられる。MMA-BA-MMA共重合体には、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(PMMA-PBA-PMMA)のブロック共重合体も含まれる。
アクリル系共重合体は、極性基を有していなくてもよく、また一部に上述した極性基を導入した変性物であってもよい。上記変性物は、エポキシ樹脂と相溶しやすいため、接着性がより向上する。
中でも、アクリル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である第一重合体部分と、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である第二重合体部分とを有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、柔らかいセグメントとなる第一重合体部分と、硬いセグメントとなる第二重合体部分とを有する。このような共重合体を添加することにより、第1接着層および第2接着層は、硬化後の靭性が向上して接着力をより高めることができる。
上記の効果の発現は、以下のように推定できる。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体のような、柔らかいセグメントと、硬いセグメントとを併せ持つアクリル樹脂を用いることで、硬いセグメントが耐熱性に寄与し、柔らかいセグメントが靱性ないし柔軟性に寄与するため、耐熱性、靱性、柔軟性が良好な第1接着層および第2接着層が得られる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第一重合体部分および第二重合体部分の少なくとも一方は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する。第一重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、柔軟性を高めることができる。また、第二重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、凝集性や靱性を高めることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、中でもブロック共重合体であることが好ましく、特に、相溶部位を重合体ブロックA、非相溶部位を重合体ブロックBとするA-B-Aブロック共重合体であることが好ましい。さらには、第一重合体部分が非相溶部位、第二重合体部分が相溶部位であり、第一重合体部分を重合体ブロックB、第二重合体部分を重合体ブロックAとするA-B-Aブロック共重合体であることが好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、第一重合体部分または第二重合体部分の一部に上述の極性基を導入した変性物であってもよい。
上記の第一重合体部分および第二重合体部分を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の具体例としては、上記のMMA-BA-MMA共重合体が挙げられる。
第1接着層および第2接着層に含まれるアクリル樹脂は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
アクリル樹脂の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、1質量部以上であり、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよく、7質量部以上であってもよく、10質量部以上であってもよい。アクリル樹脂の含有量が少なすぎると、発泡硬化後の接着性および第1接着層や第2接着層の基材に対する密着性が低下する可能性がある。一方、アクリル樹脂の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、60質量部以下であり、50質量部以下であってもよく、40質量部以下であってもよく、35質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよい。アクリル樹脂の含有量が多すぎると、膜強度が低下する可能性がある。また、第1接着層および第2接着層において、アクリル樹脂の含有量は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
(硬化剤)
本態様における硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂系接着剤に使用される硬化剤を用いることができ、特に限定されない。
硬化剤は、23℃で固体であることが好ましい。23℃で固体である硬化剤は、23℃で液体である硬化剤と比較して、保存安定性(ポットライフ)を長くすることができる。また、硬化剤は、潜在性硬化剤であってもよい。また、硬化剤としては、熱により硬化反応が生じる硬化剤を用いることができる。また、硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
硬化剤の反応開始温度は、例えば110℃以上であり、130℃以上であってもよい。反応開始温度が低すぎると、反応が早期に開始され、樹脂成分の柔軟性や流動性が低い状態で硬化が生じ、均一な硬化が生じにくい可能性がある。一方、硬化剤の反応開始温度は、例えば、200℃以下である。反応開始温度が高すぎると、樹脂成分が劣化する可能性がある。なお、エポキシ樹脂の他に、例えばフェノール樹脂等の耐熱性が高い樹脂を使用する場合には、樹脂成分の劣化が少ないため、硬化剤の反応開始温度は、例えば300℃以下であってもよい。硬化剤の反応開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
硬化剤の具体例としては、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、チオール系硬化剤が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、イミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールや、イミダゾール化合物のカルボン酸塩、エポキシ化合物との付加物が挙げられる。また、イミダゾール系硬化剤は、ヒドロキシル基を有することが好ましい。ヒドロキシ基同士の水素結合で結晶化するため、反応開始温度が高くなる傾向にある。
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂が挙げられる。さらに、フェノール樹脂としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。接着層の基材に対する密着性等の観点から、Tgが110℃以下のフェノール型ノボラック樹脂が特に好ましい。また、フェノール系硬化剤およびイミダゾール系硬化剤を併用してもよい。その場合、イミダゾール系硬化剤を硬化触媒として用いることが好ましい。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)等の脂肪族アミン;ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m-フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族アミン;脂環式アミン;ポリアミドアミンが挙げられる。また、アミン系硬化剤として、ジシアンジアミド(DICY)等のジシアンジアミド系硬化剤、有機酸ジヒドラジド系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤、ケチミン系硬化剤を用いることができる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物(液状酸無水物);無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ブロックイソシアネートが挙げられる。
チオール系硬化剤としては、例えば、エステル結合型チオール化合物、脂肪族エーテル結合型チオール化合物、芳香族エーテル結合型チオール化合物が挙げられる。
第1接着層および第2接着層に含まれる硬化剤は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
硬化剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、1質量部以上、40質量部以下である。例えば、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤を主成分として用いる場合、硬化剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、1質量部以上、15質量部以下であることが好ましい。一方、硬化剤としてフェノール系硬化剤を主成分として用いる場合、硬化剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、5質量部以上、40質量部以下であることが好ましい。なお、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤またはフェノール系硬化剤を主成分として用いるとは、硬化剤において、イミダゾール系硬化剤またはフェノール系硬化剤の質量割合が最も多いことをいう。また、第1接着層および第2接着層において、硬化剤の含有量は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
(iii)その他の成分
本態様における第1接着層および第2接着層は、例えば硬化性の接着剤がエポキシ樹脂系接着剤である場合、樹脂成分として、上記のエポキシ樹脂およびアクリル樹脂以外の他の樹脂をさらに含有していてもよい。他の樹脂としては、例えばウレタン樹脂が挙げられる。
第1接着層および第2接着層に含まれる樹脂成分に対する、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂の合計の割合は、例えば70質量%以上であり、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
第1接着層および第2接着層に含まれる樹脂成分の含有量は、例えば60質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。
第1接着層および第2接着層は、必要に応じて、例えばシランカップリング剤、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、架橋剤、着色剤を含有していてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系シランカップリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。なお、充填剤については、後述の第3実施態様に詳しく記載する。
(b)第1接着層および第2接着層の特性
本態様において、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。第1接着層および第2接着層において、互いに異なる特性としては、ステータコア側に配置される接着層およびコイル側に配置される接着層にそれぞれ要求される特性等に応じて適宜選択される。具体的には、発泡倍率、発泡剤の発泡開始温度等の発泡特性(まったく発泡しないことも含む);粘着性、摩擦係数、表面硬度等の表面特性;溶融粘度、パターン形状、厚さ等が挙げられる。
第1接着層および第2接着層は、例えば、1.5倍以上、15倍以下の発泡倍率で発泡可能である。上記発泡倍率は、例えば、3倍以上であってもよく、また10倍以下であってもよい。また、第1接着層および第2接着層の発泡倍率は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
ここで、発泡倍率は、下記式により求めることができる。
発泡倍率(倍)=発泡硬化後の接着層の厚さ/発泡硬化前の接着層の厚さ
第1接着層および第2接着層の発泡倍率は、例えば、第1接着層および第2接着層の組成を調整することにより、制御することができる。具体的には、発泡剤の種類を適宜選択することにより、発泡倍率を調整することができる。また、発泡剤の含有量を多くすることにより、発泡倍率を大きくすることができる。また、樹脂の溶融粘度を下げることにより発泡倍率を大きくすることができ、一方で樹脂の溶融粘度を上げることにより発泡倍率を下げることができる。
また、第1接着層および第2接着層の粘着力は、ステータコア側に配置される接着層およびコイル側に配置される接着層にそれぞれ要求される粘着性に応じて適宜設定される。中でも、第2接着層は、実質的に非粘着性(タックフリー)であることが好ましい。この場合、第2接着層が最表面に配置されていることが好ましい。本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面には繊維層が配置されているため、発泡性接着シートの繊維層側の面を非粘着性とすることができる。さらに、第2接着層が実質的に非粘着性であることにより、発泡性接着シートの第2接着層側の面も非粘着性とすることができる。そのため、滑り性および耐ブロッキング性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。
ここで、非粘着性は、主に粘着力が低いという意味で一般に使用されており、本開示において、「非粘着性である」とは、発泡性接着シートをロール状に巻き取り、その後、抵抗なく容易に巻き出せる状態のことをいう。
第2接着層が実質的に非粘着性である場合、具体的には、第2接着層の粘着力は、0N/25mm以上、0.1N/25mm以下であることが好ましい。第2接着層の粘着力が上記範囲内であることにより、第2接着層を実質的に非粘着性とすることができる。
第2接着層の粘着力は、JIS Z0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)および粘着力の試験法の方法1(温度23℃湿度50%、テープおよびシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法)に準拠し、測定することができる。
第2接着層の粘着力は、例えば、第2接着層の組成を調整することにより、所定の値以下とすることができる。具体的には、常温で固体の主剤を用いたり、常温で固体の硬化剤を用いたりすることにより、第2接着層の粘着性を低下させることができる。また、軟化温度の高い主剤を含有させる、あるいは重量平均分子量の小さい主剤を含有させることにより、第2接着層の粘着性を低下させることができる。また、エポキシ樹脂系接着剤の場合、エポキシ樹脂と相溶するアクリル樹脂を含有させることにより、第2接着層の粘着性を低下させることができる。また、充填剤を含有させることにより、第2接着層の粘着性を低下させることができる。
また、第1接着層および第2接着層の表面の摩擦係数は、ステータコア側に配置される接着層およびコイル側に配置される接着層にそれぞれ要求される表面特性に応じて適宜設定される。摩擦係数が小さいほど、滑り性および挿入性を良くすることができる。
第1接着層および第2接着層の表面の摩擦係数は、例えば、第1接着層および第2接着層の組成を調整する、あるいは、第1接着層および第2接着層の表面硬度を調整すること等により、制御することができる。具体的には、摩擦係数は、第1接着層および第2接着層に含まれる発泡剤の平均粒径や含有量、第1接着層および第2接着層に含まれる充填剤の平均粒径や含有量等により制御することができる。より具体的には、発泡剤の平均粒径が大きくなると、摩擦係数が小さくなる傾向がある。また、発泡剤の含有量が多くなると、摩擦係数が小さくなる傾向がある。また、充填剤の平均粒径が大きくなると、摩擦係数が小さくなる傾向がある。また、充填剤の含有量が多くなると、摩擦係数が小さくなる傾向がある。また、表面硬度が高くなると、摩擦係数が小さくなる。
また、第1接着層および第2接着層の表面硬度は、ステータコア側に配置される接着層およびコイル側に配置される接着層にそれぞれ要求される表面特性に応じて適宜設定される。表面硬度としては、例えば、鉛筆硬度を採用することができる。表面硬度が高いほど、滑り性および挿入性を良くすることができる。
第1接着層および第2接着層の表面硬度は、例えば、第1接着層および第2接着層の組成等により制御することができる。具体的には、表面硬度は、発泡剤の平均粒径や含有量、充填剤の平均粒径や含有量等により制御することができる。より具体的には、発泡剤の平均粒径を大きくすることにより、表面硬度を高くすることができる。また、発泡剤の含有量を多くすることにより、表面硬度を高くすることができる。また、充填剤の平均粒径を大きくすることにより、表面硬度を高くすることができる。また、充填剤の含有量を多くすることにより、表面硬度を高くすることができる。また、例えば、剛直な構造を有する成分を含有させることにより、表面硬度を高くすることができる。具体的には、エポキシ樹脂系接着剤の場合、剛直な構造を有する成分としては、フェノール樹脂を挙げることができる。
(c)第1接着層および第2接着層の構成
第1接着層および第2接着層の厚さは、特に限定されないが、例えば10μm以上であり、20μm以上であってもよい。第1接着層および第2接着層が薄すぎると、発泡硬化後の接着性を十分に得ることができない可能性がある。一方、第1接着層および第2接着層層の厚さは、例えば200μm以下である。また、第1接着層および第2接着層の厚さは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
ここで、第1接着層および第2接着層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察される発泡性接着シートの厚さ方向の断面から測定して得られた任意の10箇所の厚さの平均値とすることができる。なお、発泡性接着シートが有する他の層の厚さの測定方法についても同様とすることができる。
第1接着層および第2接着層は、連続層であってもよく、不連続層であってもよい。不連続層としては、例えば、ストライプ、ドット等のパターンが挙げられる。また、第1接着層および第2接着層の表面が、エンボス等の凹凸形状を有していてもよい。
第1接着層および第2接着層は、例えば、上記の硬化性の接着剤および発泡剤等を含む接着剤組成物を塗布し、溶剤を除去することで形成することができる。塗布方法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ-ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコート等が挙げられる。
接着剤組成物は、溶媒を含有していてもよく、溶媒を含有していなくてもよい。なお、本明細書における溶媒は、厳密な溶媒(溶質を溶解させる溶媒)のみならず、分散媒も含む広義の意味である。また、接着剤組成物に含まれる溶媒は、接着剤組成物を塗布乾燥して接着層を形成する際に揮発して除去される。
接着剤組成物は、上述した各成分を混合し、必要に応じて混練、分散することにより、得ることができる。混合および分散方法としては、一般的な混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、超音波分散機が適用できる。
(3)基材
本態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
基材は、絶縁性を有することが好ましい。また、基材は、シート状であることが好ましい。基材は、単層構造を有していてもよく、複層構造を有していてもよい。また、基材は、内部に多孔構造を有していてもよく、有していなくてもよい。
基材としては、例えば、樹脂基材、不織布、紙、またはその複層が挙げられる。
樹脂基材に含まれる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、芳香族ポリエステル等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリウレタン;ポリアミド、ポリエーテルアミド等のポリアミド樹脂;ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテルケトン樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS);変性ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。樹脂のガラス転移温度は、例えば80℃以上であり、140℃以上であってもよく、200℃以上であってもよい。また、樹脂として、液晶ポリマー(LCP)を用いてもよい。
不織布としては、例えば、バサルト繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、炭化ケイ素繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、液晶ポリマー繊維、ガラス繊維等の繊維を含む不織布が挙げられる。
基材は、第1接着層および第2接着層との密着性を高めるため、表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さは、特に限定されないが、例えば2μm以上であり、5μm以上であってもよく、9μm以上であってもよい。また、基材の厚さは、例えば200μm以下であり、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
(4)第1プライマー層および第2プライマー層
本態様の発泡性接着シートは、基材と第1接着層との間に第1プライマー層を有していてもよく、また、基材と第2接着層との間に第2プライマー層を有していてもよい。第1プライマー層や第2プライマー層が配置されていることにより、第1接着層や第2接着層の基材に対する密着性を向上させることができる。さらには、第1プライマー層や第2プライマー層が配置されていることで、例えば、発泡性接着シートを折り曲げた際に屈曲部にかかる応力を緩和したり、発泡性接着シートを切断した際に切断部にかかる応力を緩和したりすることができる。その結果、発泡性接着シートの屈曲時や切断時に基材からの第1接着層や第2接着層の浮きや剥がれを抑制することができる。
例えば、図2に示す発泡性接着シート10においては、基材2および第1接着層1aの間に第1プライマー層4aが配置され、基材2および第2接着層1bの間に第2プライマー層4bが配置されている。なお、図2においては、発泡性接着シート10は、第1プライマー層4aおよび第2プライマー層4bの両方を有するが、いずれか一方のみを有していてもよい。
基材と第1接着層との間のみに第1プライマー層が配置されていてもよく、基材と第2接着層との間のみに第2プライマー層が配置されていてもよく、基材と第1接着層との間に第1プライマー層が配置され、かつ、基材と第2接着層との間に第2プライマー層が配置されていてもよい。中でも、基材と第1接着層との間に第1プライマー層が配置され、かつ、基材と第2接着層との間に第2プライマー層が配置されていることが好ましい。
第1プライマー層および第2プライマー層に含まれる材料としては、基材と第1接着層や第2接着層との密着性を高めることができ、かつ、応力を緩和することができる材料であれば特に限定されず、基材および第1接着層や第2接着層の材料等に応じて適宜選択される。例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、それらの少なくとも2種以上を共重合させた重合体、それらの架橋体、およびそれらの混合物等が挙げられる。
架橋体は、上記の樹脂を硬化剤により架橋した架橋体である。硬化剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤が挙げられる。また、例えば、反応基/NCO当量を1とした場合、樹脂に対してイソシアネート系硬化剤を、0.5質量%以上、20質量%以下の割合で添加することが好ましい。
中でも、第1プライマー層および第2プライマー層は、架橋された樹脂を含有することが好ましい。なお、架橋された樹脂とは、高温にしても溶融しないものをいう。これにより、高温下での接着力、つまり耐熱性を向上させることができる。また、架橋された樹脂が、例えばイソシアネート系硬化剤により架橋されている場合には、第1プライマー層や第2プライマー層の柔軟性が良好になり、発泡性接着シートの屈曲時における接着層の割れや基材からの接着層の浮きおよび剥がれを抑制することができる。
架橋された樹脂としては、例えば、上記の架橋体を挙げることができる。中でも、第1プライマー層および第2プライマー層は、架橋ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。第1プライマー層および第2プライマー層が架橋ポリエステル樹脂を含有すると、基材と第1接着層や第2接着層との密着性が高くなる傾向にある。
架橋ポリエステル樹脂は、ポリエステル、ポリエステルを含む共重合体、またはポリエステルを含む混合物の架橋体であり、具体的には、ポリエステル、ポリエステルを含む共重合体、またはポリエステルを含む混合物を硬化剤により架橋した架橋体である。ポリエステルとしては、例えばポリエステルポリオール等が挙げられる。硬化剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤が挙げられる。なお、硬化剤の添加量については上述した通りである。
第1プライマー層および第2プライマー層の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1μm以上であり、0.2μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよい。第1プライマー層や第2プライマー層が薄すぎると、発泡性接着シートの屈曲時および切断時の基材からの接着層の剥がれを抑制する効果が十分に得られない可能性がある。一方、第1プライマー層および第2プライマー層の厚さは、例えば10μm以下である。第1プライマー層や第2プライマー層自体は、通常、耐熱性が高くないため、第1プライマー層や第2プライマー層が厚すぎると、耐熱性(高温下での接着力)が低下する可能性がある。
第1プライマー層および第2プライマー層は、例えば、樹脂組成物を塗布し、溶剤を除去することで形成することができる。塗布方法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ-ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコートが挙げられる。
(5)発泡性接着シート
本態様の発泡性接着シートの厚さは、例えば10μm以上であり、20μm以上であってもよい。一方、発泡性接着シートの厚さは、例えば1000μm以下であり、500μm以下であってもよい。
本態様の発泡性接着シートは、形状保持性が良好であることが好ましい。JIS P 8125に基づく曲げモーメントは、例えば40gf・cm以上であり、50gf・cm以上であってもよい。一方、上記曲げモーメントは、例えば600gf・cm以下であり、150gf・cm以下であってもよい。
本態様の発泡性接着シートは、発泡硬化後の接着性が高いことが好ましい。JIS K6850に基づくせん断強度(接着強度)は、23℃において、例えば2.10MPa以上であってもよく、2.40MPa以上であってもよく、3.0MPa以上であってもよい。また、上記せん断強度(接着強度)は、200℃において、例えば0.28MPa以上であってもよく、0.30MPa以上であってもよい。
本態様の発泡性接着シートは、発泡硬化後の電気絶縁性が高いことが好ましい。JIS C 2107に基づく絶縁破壊電圧は、例えば3kV以上であることが好ましく、5kV以上であることがより好ましい。また、発泡硬化後の発泡性接着シートは、熱伝導率が、例えば0.1W/mK以上であることが好ましく、0.15W/mK以上であることがより好ましい。
本態様の発泡性接着シートは、回転電機用ステータのステータコアおよびコイルの接着に用いられる。例えば、ステータコアおよびコイルの間に発泡性接着シートを配置し、その後、発泡性接着シートを発泡硬化させることで、ステータコアおよびコイルを接着することができる。
本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に繊維層が配置されていることから、第1接着層がコイル側、第2接着層がステータコア側に配置されることが好ましい。
本態様の発泡性接着シートの製造方法は、特に限定されない。例えば、第1接着層および第2接着層は、順次形成してもよく、同時に形成してもよい。
2.第1実施態様の第2例
本開示における発泡性接着シートの第1実施態様の第2例は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記基材の間に繊維層が配置されている。
図3は、本態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図3における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有し、第1接着層1aおよび基材2の間に繊維層3が配置されている。第1接着層1aおよび第2接着層1bは硬化性の接着剤を含有し、第1接着層1aおよび第2接着層1bの少なくとも一方は発泡剤を含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。
本態様においては、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されているため、例えば第1接着層が透明性を有し、基材が不透明である場合には、第1接着層側の面から繊維層が透けて見えるので、目視で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されていることにより、第1接着層に繊維層による凹凸を反映させることができ、例えば白色干渉計、レーザー顕微鏡、触診で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されているため、本態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後も、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる。例えば、発泡硬化後の第1接着層が透明性を有し、基材が不透明である場合には、第1接着層側の面から繊維層が透けて見えるので、目視、光学顕微鏡、電子顕微鏡で観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、例えば、発泡硬化後の第1接着層が透明性を有さない場合でも、スロット開放部にて発泡性接着シートの断面を目視や光学顕微鏡で観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されていることにより、第1接着層に繊維層による凹凸を反映させることができ、それにより、第1接着層の表面を粗面化して、被着体との接触面積を小さくすることができるため、第1接着層の粘着性を低下させることができる。そのため、耐ブロッキング性および滑り性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。具体的には、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されていることにより、第1接着層の粘着性を、第2接着層の粘着性よりも低くすることができ、それにより、第1接着層の滑り性を、第2接着層の滑り性よりも高くすることができる。例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合において、第1接着層がコイル側、第2接着層がステータコア側になるように発泡性接着シートを配置することにより、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した際には、第2接着層のほうが粘着性が良いことから、ステータコアに対する発泡性接着シートの位置をずれにくくすることができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、第1接着層のほうが滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
また、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されていることにより、発泡時に第1接着層が面方向に広がるのを抑制することもできる。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されていることにより、第1接着層と基材との密着性を高めることもできる。
以下、本態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
(1)繊維層
本態様において、繊維層は、第1接着層と基材との間に配置される。
繊維層の形態および材料については、上記第1実施態様の第1例における繊維層と同様とすることができる。
繊維層の密度、坪量、および厚さとしては、特に限定されるものではなく、適宜設定される。
基材上に繊維層を配置する方法としては、例えば、ドライラミネート法や熱ラミネート法が挙げられる。
(2)第1接着層および第2接着層
本態様において、第1接着層および第2接着層は硬化性の接着剤を含有し、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は発泡剤を含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。
本態様において、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方が発泡剤を含有していればよく、例えば、第1接着層のみが発泡剤を含有してもよく、第2接着層のみが発泡剤を含有してもよく、第1接着層および第2接着層の両方が発泡剤を含有してもよい。
第1接着層および第2接着層の材料については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層の材料と同様とすることができる。
第1接着層および第2接着層の粘着力は、ステータコア側に配置される接着層およびコイル側に配置される接着層にそれぞれ要求される粘着性に応じて適宜設定される。中でも、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は、実質的に非粘着性(タックフリー)であることが好ましい。この場合、実質的に非粘着性を示す接着層は最表面に配置されていることが好ましい。第1接着層および第2接着層の少なくとも一方が実質的に非粘着性であることにより、発泡性接着シートの少なくとも一方の面を非粘着性とすることができる。そのため、滑り性および耐ブロッキング性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。
第1接着層および第2接着層のうち、一方のみが非粘着性であってもよく、両方が非粘着性であってもよい。
ステータコアおよびコイルの間に発泡性接着シートを配置してステータコアおよびコイルを接着する場合において、例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置することがある。このような場合には、コイル側に配置される接着層は滑り性が良好であることが好ましく、ステータコア側に配置される接着層はステータコアとの密着性が良好であることが好ましい。そのため、この場合には、第1接着層および第2接着層のうち、一方のみが非粘着性であることが好ましい。
また、例えば、コイルに発泡性接着シートを配置した状態でステータコアのスロット内に挿入する場合には、ステータコア側に配置される接着層は滑り性が良好であることが好ましく、コイル側に配置される接着層はコイルとの密着性が良好であることが好ましい。そのため、この場合にも、第1接着層および第2接着層のうち、一方のみが非粘着性であることが好ましい。
一方、ステータコアおよびコイルの間に発泡性接着シートを配置してステータコアおよびコイルを接着する場合において、例えば、ステータコアのスロット内にコイルを配置した後、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートを挿入することがある。このような場合には、ステータコア側に配置される接着層およびコイル側に配置される接着層の両方が滑り性が良好であることが好ましい。そのため、この場合には、第1接着層および第2接着層の両方が非粘着性であることが好ましい。
また、第1接着層は、透明性を有することが好ましい。第1接着層が透明性を有する場合には、第1接着層側の面から繊維層が透けて見えるため、目視により第1接着層側の面および第2接着層側の面を容易に判別することができる。第1接着層の透明性としては、第1接着層側の面から繊維層が透けて見える程度の透明性であればよい。具体的には、第1接着層のヘーズは90%以下であり、第1接着層の全光線透過率は20%以上であることが好ましい。なお、第1接着層のヘーズは、JIS K7136に準拠して測定することができる。また、第1接着層の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができる。
第1接着層および第2接着層のその他の特性については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層の特性と同様とすることができる。
また、第1接着層および第2接着層の厚さ、形状、形成方法等についても、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
(3)基材
本態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
基材としては、例えば、樹脂基材が用いられる。基材の材料については、上記第1実施態様の第1例における基材の材料と同様とすることができる。
また、基材は、不透明であることが好ましい。基材が不透明であり、第1接着層が透明性を有する場合には、第1接着層側の面からは繊維層が透けて見えるようにし、第2接着層側の面からは繊維層が見えないようにすることができるため、目視により第1接着層側の面および第2接着層側の面を容易に判別することができる。基材の不透明性としては、基材の繊維層とは反対側の面から繊維層が見えない程度に不透明であればよく、繊維層が基材の表にあるか裏にあるかが判別できればよい。
基材のその他の特性、形状、厚さ等については、上記第1実施態様の第1例における基材と同様とすることができる。
(4)第1プライマー層および第2プライマー層
本態様の発泡性接着シートは、繊維層と第1接着層との間に第1プライマー層を有していてもよく、また、基材と第2接着層との間に第2プライマー層を有していてもよい。第1プライマー層や第2プライマー層が配置されていることにより、第1接着層の繊維層に対する密着性や第2接着層の基材に対する密着性を向上させることができる。さらには、第1プライマー層や第2プライマー層が配置されていることで、例えば、発泡性接着シートを折り曲げた際に屈曲部にかかる応力を緩和したり、発泡性接着シートを切断した際に切断部にかかる応力を緩和したりすることができる。その結果、発泡性接着シートの屈曲時や切断時に基材からの第1接着層や第2接着層の浮きや剥がれを抑制することができる。
例えば、図4に示す発泡性接着シート10においては、繊維層3および第1接着層1aの間に第1プライマー層4aが配置され、基材2および第2接着層1bの間に第2プライマー層4bが配置されている。なお、図4においては、発泡性接着シート10は、第1プライマー層4aおよび第2プライマー層4bの両方を有するが、いずれか一方のみを有していてもよい。
繊維層と第1接着層との間のみに第1プライマー層が配置されていてもよく、基材と第2接着層との間のみに第2プライマー層が配置されていてもよく、繊維層と第1接着層との間に第1プライマー層が配置され、かつ、基材と第2接着層との間に第2プライマー層が配置されていてもよい。中でも、繊維層と第1接着層との間に第1プライマー層が配置され、かつ、基材と第2接着層との間に第2プライマー層が配置されていることが好ましい。
また、第1プライマー層は、透明性を有することが好ましい。第1接着層および第1プライマー層が透明性を有する場合には、第1接着層側の面から繊維層が透けて見えるため、目視により第1接着層側の面および第2接着層側の面を容易に判別することができる。第1プライマー層の透明性としては、第1接着層側の面から繊維層が透けて見える程度の透明性であればよい。具体的には、第1プライマー層のヘーズは90%以下であり、第1プライマー層の全光線透過率は20%以上であることが好ましい。なお、第1プライマー層のヘーズは、JIS K7136に準拠して測定することができる。また、第1接着層の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができる。
第1プライマー層および第2プライマー層の材料、厚さ、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1プライマー層および第2プライマー層と同様とすることができる。
(5)発泡性接着シート
本態様においては、第1接着層および基材の間に繊維層が配置されていることから、第1接着層がコイル側、第2接着層がステータコア側に配置されることが好ましい。
本態様の発泡性接着シートの厚さ、特性、製造方法等については、上記第1実施態様の第1例の発泡性接着シートと同様とすることができる。
II.第2実施態様
本開示における発泡性接着シートの第2実施態様は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、上記第2接着層の上記基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されており、あるいは、上記第1接着層および上記基材の間に第1繊維層が配置され、上記第2接着層および上記基材の間に第2繊維層が配置されており、上記第1繊維層および上記第2繊維層は、互いに異なり、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に上記第1繊維層が配置され、上記第2接着層の上記基材とは反対側の面に上記第2繊維層が配置されている場合には、上記第1接着層および上記第2接着層が上記発泡剤を含有する。
本実施態様の発泡性接着シートは、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されている第1例、および、第1接着層および基材の間に第1繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されている第2例の2つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
1.第2実施態様の第1例
本開示における発泡性接着シートの第2実施態様の第1例は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤と、発泡剤とを含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層の上記基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、上記第2接着層の上記基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されており、上記第1繊維層および上記第2繊維層は、互いに異なる。
図5は、本態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図5における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有し、第1接着層1aの基材2とは反対側の面に第1繊維層3aが配置され、第2接着層1bの基材2とは反対側の面に第2繊維層3bが配置されている。第1接着層1aおよび第2接着層1bは、硬化性の接着剤と、発泡剤とを含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。また、第1繊維層3aおよび第2繊維層3bは、互いに異なる。
本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されており、第1繊維層および第2繊維層が互いに異なることから、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる。例えば、第1繊維層および第2繊維層の密度が互いに異なる場合には、第1繊維層および第2繊維層の外観、表面粗さを互いに異ならせることができ、目視、触診、白色干渉計で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、例えば、第1繊維層および第2繊維層の厚さが互いに異なる場合には、反射分光膜厚計で第1繊維層および第2繊維層の厚さを測定する、あるいは発泡性接着シートの断面を観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されており、第1繊維層および第2繊維層が互いに異なることから、本態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後も、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる。例えば、第1繊維層および第2繊維層の密度が互いに異なる場合には、第1繊維層および第2繊維層の外観を互いに異ならせることができ、例えば目視、光学顕微鏡、電子顕微鏡で観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、例えば、第1繊維層および第2繊維層の厚さが互いに異なる場合には、発泡硬化後の接着シートの断面を観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されていることにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面を非粘着性(タックフリー)とすることができる。そのため、耐ブロッキング性および滑り性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。
例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合、第1接着層側の面および第2接着層側の面が非粘着性であり滑り性が良好であることから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
一方、例えば、ステータコアのスロット内にコイルを配置した後、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートを挿入する場合には、第1接着層側の面および第2接着層側の面が非粘着性であり滑り性が良好であることから、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができる。
また、本態様において、第1繊維層は、第1接着層の発泡時に第1接着層に含まれる硬化性の接着剤を透過または浸透させることができ、第2繊維層は、第2接着層の発泡時に第2接着層に含まれる硬化性の接着剤を透過または浸透させることができる。そのため、第1接着層および第2接着層の発泡時に硬化性の接着剤を発泡性接着シートの最表面まで到達させることができ、第1接着層側の面および第2接着層側の面を接着力を有する状態とすることができる。よって、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されている場合であっても、ステータコアおよびコイルを接着することが可能である。また、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されていることにより、発泡時に第1接着層および第2接着層が面方向に広がるのを抑制することもできる。
また、本態様においては、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されていることにより、発泡性接着シートの反りを抑制することができ、発泡性接着シートの取扱性および作業性を良くすることができる。
以下、本態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
(1)第1繊維層および第2繊維層
本態様において、第1接着層の基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、第2接着層の基材とは反対側の面に第2繊維層が配置される。また、第1繊維層および第2繊維層は、互いに異なる。
第1繊維層および第2繊維層の形態、材料、密度、坪量、厚さについては、上記第1実施態様の第1例における繊維層と同様とすることができる。
第1繊維層および第2繊維層が互いに異なる点としては、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を可能とするものであればよく、例えば、密度、厚さ等が挙げられる。中でも、第1繊維層および第2繊維層では、密度および厚さの少なくともいずれかが互いに異なることが好ましい。
第1繊維層および第2繊維層の密度および厚さの少なくともいずれかが互いに異なる場合には、上述したように、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、第1繊維層および第2繊維層の密度が互いに異なる場合には、第1繊維層および第2繊維層の表面粗さや摩擦係数を互いに異ならせることができ、それにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の滑り性を互いに異ならせることができる。例えば、第1繊維層の密度が第2繊維層の密度よりも高い場合には、第1繊維層の表面粗さが第2繊維層の表面粗さよりも小さくなる傾向にあり、また、第1繊維層の表面の摩擦係数が第2繊維層の表面の摩擦係数よりも大きくなる傾向にある。この場合、第1接着層側の面の滑り性が第2接着層側の面の滑り性よりも低くなる傾向にある。このような場合において、例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合、第1接着層側の面がステータコア側、第2接着層側の面がコイル側になるように発泡性接着シートを配置することにより、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した際には、第1接着層側の面のほうが滑り性が低いことから、ステータコアに対する発泡性接着シートの位置をずれにくくすることができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、第2接着層側の面のほうが滑り性が高いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
第1繊維層および第2繊維層の密度の差異としては、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる程度に異なっていればよい。
また、第1繊維層および第2繊維層の厚さの差異としては、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる程度に異なっていればよい。
第1繊維層および第2繊維層の配置方法としては、上記第1実施態様の第1例における繊維層の配置方法と同様とすることができる。
(2)第1接着層および第2接着層
本態様において、第1接着層および第2接着層は、硬化性の接着剤と、発泡剤とを含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。
第1接着層および第2接着層の材料、特性、厚さ、形状、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
(3)基材
本態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
基材の材料、特性、形状、厚さ等については、上記第1実施態様の第1例における基材と同様とすることができる。
(4)第1プライマー層および第2プライマー層
本態様の発泡性接着シートは、基材と第1接着層との間に第1プライマー層を有していてもよく、また、基材と第2接着層との間に第2プライマー層を有していてもよい。
例えば、図6に示す発泡性接着シート10においては、基材2および第1接着層1aの間に第1プライマー層4aが配置され、基材2および第2接着層1bの間に第2プライマー層4bが配置されている。なお、図6においては、発泡性接着シート10は、第1プライマー層4aおよび第2プライマー層4bの両方を有するが、いずれか一方のみを有していてもよい。
第1プライマー層および第2プライマー層の配置、材料、厚さ、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1プライマー層および第2プライマー層と同様とすることができる。
(5)発泡性接着シート
本態様においては、例えば第1繊維層の密度が第2繊維層の密度よりも高い場合には、第1接着層がステータコア側、第2接着層がコイル側に配置されることが好ましい。
本態様の発泡性接着シートの厚さ、特性、製造方法等については、上記第1実施態様の第1例の発泡性接着シートと同様とすることができる。
2.第2実施態様の第2例
本開示における発泡性接着シートの第2実施態様の第2例は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記基材の間に第1繊維層が配置され、上記第2接着層および上記基材の間に第2繊維層が配置されており、上記第1繊維層および上記第2繊維層は、互いに異なる。
図7は、本態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図7における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有し、第1接着層1aおよび基材2の間に第1繊維層3aが配置され、第2接着層1bおよび基材2の間に第2繊維層3bが配置されている。第1接着層1aおよび第2接着層1bは硬化性の接着剤を含有し、第1接着層1aおよび第2接着層1bの少なくとも一方は発泡剤を含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。また、第1繊維層3aおよび第2繊維層3bは、互いに異なる。
本態様においては、第1接着層および基材の間に第1繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されており、第1繊維層および第2繊維層が互いに異なることから、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる。例えば、第1繊維層および第2繊維層の密度が互いに異なる場合には、第1繊維層および第2繊維層の外観を互いに異ならせることができるため、第1接着層および第2接着層が透明性を有し、基材が不透明である場合、第1接着層側の面から第1繊維層が透けて見え、第2接着層側の面から第2繊維層が透けて見えるので、目視で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、第1接着層および基材の間に繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されていることにより、第1接着層に第1繊維層による凹凸を反映させ、第2接着層に第2繊維層による凹凸を反映させることができる。そのため、例えば、第1繊維層および第2繊維層の密度が互いに異なる場合には、第1接着層側の面および第2接着層側の面の表面粗さを互いに異ならせることができ、目視、触診、白色干渉計、レーザー顕微鏡で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、例えば、第1繊維層および第2繊維層の厚さが互いに異なる場合には、反射分光膜厚計で第1繊維層および第2繊維層の厚さを測定する、あるいは発泡性接着シートの断面を観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に第1繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されており、第1繊維層および第2繊維層が互いに異なることから、本態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後も、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる。例えば、第1繊維層および第2繊維層の密度が互いに異なる場合には、第1繊維層および第2繊維層の外観を異ならせることができるため、発泡硬化後の第1接着層および第2接着層が透明性を有し、基材が不透明である場合には、基材が不透明である場合、第1接着層側の面から第1繊維層が透けて見え、第2接着層側の面から第2繊維層が透けて見えるので、例えば目視、光学顕微鏡、電子顕微鏡で観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、例えば、発泡硬化後の第1接着層および第2接着層が透明性を有さない場合でも、スロット開放部にて発泡性接着シートの断面を目視や光学顕微鏡で観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる。また、例えば、第1繊維層および第2繊維層の厚さが互いに異なる場合には、発泡硬化後の接着シートの断面を観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に第1繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されていることにより、第1接着層に第1繊維層による凹凸を反映させ、第2接着層に第2繊維層による凹凸を反映させることができ、それにより、第1接着層および第2接着層の表面を粗面化して、被着体との接触面積を小さくすることができるため、第1接着層および第2接着層の粘着性を低下させることができる。そのため、耐ブロッキング性および滑り性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。
例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合、第1接着層および第2接着層の粘着性が低く滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
一方、例えば、ステータコアのスロット内にコイルを配置した後、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートを挿入する場合には、第1接着層および第2接着層の粘着性が低く滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができる。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に第1繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されていることにより、発泡性接着シートの反りを抑制することができ、発泡性接着シートの取扱性および作業性を良くすることができる。
また、第1接着層および基材の間に第1繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されていることにより、発泡時に第1接着層および第2接着層が面方向に広がるのを抑制することもできる。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に第1繊維層が配置され、第2接着層および基材の間に第2繊維層が配置されていることにより、第1接着層および基材の密着性ならびに第2接着層および基材の密着性を高めることもできる。
以下、本態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
(1)第1繊維層および第2繊維層
本態様において、第1接着層と基材との間に第1繊維層が配置され、第2接着層と基材との間に第2繊維層が配置される。また、第1繊維層および第2繊維層は、互いに異なる。
第1繊維層および第2繊維層の形態および材料については、上記第1実施態様の第1例における繊維層と同様とすることができる。
第1繊維層および第2繊維層の密度、坪量、および厚さとしては、特に限定されるものではなく、適宜設定される。
第1繊維層および第2繊維層が互いに異なる点としては、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を可能とするものであればよく、例えば、密度、厚さ等が挙げられる。中でも、第1繊維層および第2繊維層では、密度および厚さの少なくともいずれかが互いに異なることが好ましい。
第1繊維層および第2繊維層の密度および厚さの少なくともいずれかが互いに異なる場合には、上述したように、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、第1繊維層および第2繊維層の密度が互いに異なる場合には、第1接着層に第1繊維層による凹凸を反映させ、第2接着層に第2繊維層による凹凸を反映させることができるため、第1接着層側の面および第2接着層側の面の表面粗さを互いに異ならせることができる。それにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の粘着性を互いに異ならせることができ、その結果、第1接着層側の面および第2接着層側の面の滑り性を互いに異ならせることができる。
例えば、第1繊維層の密度が第2繊維層の密度よりも高い場合には、第1接着層側の面の表面粗さが第2接着層側の面の表面粗さよりも小さくなる傾向にある。この場合、第1接着層側の面の粘着性が第2接着層側の面の粘着性よりも高くなる傾向にあり、また、第1接着層側の面の滑り性が第2接着層側の面の滑り性よりも低くなる傾向にある。このような場合において、例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合、第1接着層側の面がステータコア側、第2接着層側の面がコイル側になるように発泡性接着シートを配置することにより、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した際には、第1接着層側の面のほうが粘着性が良いことから、ステータコアに対する発泡性接着シートの位置をずれにくくすることができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、第2接着層側の面のほうが滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
第1繊維層および第2繊維層の密度の差異としては、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる程度に異なっていればよい。
また、第1繊維層および第2繊維層の厚さの差異としては、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる程度に異なっていればよい。
第1繊維層および第2繊維層の配置方法としては、上記第1実施態様の第2例における繊維層の配置方法と同様とすることができる。
(2)第1接着層および第2接着層
本態様において、第1接着層および第2接着層は硬化性の接着剤を含有し、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は発泡剤を含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。
また、第1接着層および第2接着層は、透明性を有していてもよい。第1接着層および第2接着層が透明性を有する場合には、第1接着層側の面から第1繊維層が透けて見え、第2接着層側の面から第2繊維層が透けて見えるため、目視により第1接着層側の面および第2接着層側の面を容易に判別することができる。第1接着層および第2接着層の透明性としては、第1接着層側の面から第1繊維層が透けて見え、第2接着層側の面から第2繊維層が透けて見える程度の透明性であればよい。具体的には、第1接着層および第2接着層の透明性は、上記の第1実施態様の第2例における第1接着層の透明性と同様とすることができる。
また、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は、実質的に非粘着性(タックフリー)であることが好ましい。第1接着層および第2接着層の粘着性については、上記第1実施態様の第2例における第1接着層および第2接着層の粘着性と同様とすることができる。
第1接着層および第2接着層の材料、その他の特性、厚さ、形状、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
(3)基材
本態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
また、基材は、不透明であってもよい。基材が不透明であり、第1接着層および第2接着層が透明性を有する場合には、第1接着層側の面からは第1繊維層が透けて見えるようにし、第2接着層側の面からは第1繊維層が見えないようにすることができ、また、第2接着層側の面からは第2繊維層が透けて見えるようにし、第1接着層側の面からは第2繊維層が見えないようにすることができ、目視により第1接着層側の面および第2接着層側の面を容易に判別することができる。基材の不透明性としては、基材の第1繊維層とは反対側の面から第1繊維層が見えず、基材の第2繊維層とは反対側の面から第2繊維層が見えない程度に不透明であればよい。
基材の材料、その他の特性、形状、厚さ等については、上記第1実施態様の第2例における基材と同様とすることができる。
(4)第1プライマー層および第2プライマー層
本態様の発泡性接着シートは、第1繊維層と第1接着層との間に第1プライマー層を有していてもよく、また、第2繊維層と第2接着層との間に第2プライマー層を有していてもよい。
例えば、図8に示す発泡性接着シート10においては、第1繊維層3aおよび第1接着層1aの間に第1プライマー層4aが配置され、第2繊維層3bおよび第2接着層1bの間に第2プライマー層4bが配置されている。なお、図8においては、発泡性接着シート10は、第1プライマー層4aおよび第2プライマー層4bの両方を有するが、いずれか一方のみを有していてもよい。
また、第1プライマー層および第2プライマー層は、透明性を有することが好ましい。第1接着層、第2接着層、第1プライマー層および第2プライマー層が透明性を有する場合には、第1接着層側の面から第1繊維層が透けて見え、第2接着層側の面から第2繊維層が透けて見えるため、目視により第1接着層側の面および第2接着層側の面を容易に判別することができる。第1プライマー層および第2プライマー層の透明性としては、第1接着層側の面から第1繊維層が透けて見え、第2接着層側の面から第2繊維層が透けて見える程度の透明性であればよい。具体的には、第1プライマー層および第2プライマー層の透明性は、上記の第1実施態様の第2例における第1プライマー層の透明性と同様とすることができる。
第1プライマー層および第2プライマー層の配置、材料、厚さ、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1プライマー層および第2プライマー層と同様とすることができる。
(5)発泡性接着シート
本態様においては、例えば第1繊維層の密度が第2繊維層の密度よりも高い場合には、第1接着層がステータコア側、第2接着層がコイル側に配置されることが好ましい。
本態様の発泡性接着シートの厚さ、特性、製造方法等については、上記第1実施態様の第1例の発泡性接着シートと同様とすることができる。
III.第3実施態様
本開示における発泡性接着シートの第3実施態様は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なる。
図9は、本実施態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図9における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有する。第1接着層1aおよび第2接着層1bは硬化性の接着剤を含有し、第1接着層1aおよび第2接着層1bの少なくとも一方は発泡剤を含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。また、第1接着層1aおよび第2接着層1bに含有される充填剤の量が互いに異なっている。
本実施態様においては、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なることにより、第1接着層および第2接着層の表面粗さ、硬度、白色度を互いに異ならせることができる。そのため、例えば、目視、触診で観察することにより、あるいは硬度計で第1接着層および第2接着層の硬度を測定することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本実施態様においては、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なることにより、本実施態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後は、例えば、走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)により充填剤に含まれる元素の定性分析または定量分析を行う、あるいは発泡硬化後の接着シートの断面を観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本実施態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
さらに、本実施態様においては、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なることにより、第1接着層および第2接着層の粘着性、摩擦係数、表面硬度等の表面特性を互いに異ならせることができる。よって、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なることにより、第1接着層および第2接着層の特性を互いに異ならせることができると同時に、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を可能にすることができる。
また、本実施態様においては、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方が充填剤を含有する。充填剤を含有する接着層では、接着層の表面粗さを大きく、接着層の硬度を高くすることができる。この場合、接着層の粘着性が低下する傾向にあり、また、接着層の滑り性が良くなる傾向にある。そのため、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方が充填剤を含有することにより、耐ブロッキング性および滑り性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。
例えば、第1接着層および第2接着層が充填剤を含有する場合には、第1接着層および第2接着層の粘着性が低く滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合において、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
また、上記の場合、第1接着層および第2接着層の粘着性が低く滑り性が良いことから、例えば、ステータコアのスロット内にコイルを配置した後、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートを挿入する場合には、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができる。
また、本実施態様においては、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なることにより、第1接着層および第2接着層の表面粗さ、硬度を互いに異ならせることができる。具体的には、第1接着層が充填剤を含有し、第2接着層が充填剤を含有しない場合には、第1接着層の表面粗さを第2接着層の表面粗さよりも大きくし、第1接着層の硬度を第2接着層の硬度よりも高くすることができる。この場合、第1接着層の粘着性が第2接着層の粘着性よりも低くなる傾向にあり、また、第1接着層の滑り性が第2接着層の滑り性よりも高くなる傾向にある。このような場合において、例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合、第1接着層がコイル側、第2接着層がステータコア側になるように発泡性接着シートを配置することにより、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した際には、第2接着層のほうが粘着性が良いことから、ステータコアに対する発泡性接着シートの位置をずれにくくすることができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、第1接着層のほうが滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
以下、本実施態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
1.第1接着層および第2接着層
本実施態様において、第1接着層および第2接着層は硬化性の接着剤を含有し、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は発泡剤を含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。また、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なる。
(1)第1接着層および第2接着層の材料
(a)充填剤
本実施態様における充填剤としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、無機充填剤および有機充填剤のいずれも用いることができる。中でも、放熱性、硬さ、耐熱性等の観点から、無機充填剤が好ましい。
無機充填剤としては、絶縁性を有するものであればよく、一般に接着剤に使用される無機充填剤を用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸カリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ガラス、タルク、クレー、マイカ、モリブデン化合物、天然鉱物等の無機充填剤が挙げられる。
有機充填剤としては、絶縁性を有するものであればよく、一般に接着剤に使用される有機充填剤を用いることができる。例えば、アクリル系、ポリスチレン系、ウレタン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系等の有機充填剤が挙げられる。また、形状は粒子状でも繊維状でもよい。
充填剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1接着層および第2接着層に含まれる充填剤は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
充填剤の平均粒径は、例えば、0.1μm以上であり、0.2μm以上であってもよく、0.3μm以上であってもよい。充填剤の平均粒径が大きくなると、第1接着層や第2接着層の表面の摩擦係数が低くなる傾向があり、それにより、第1接着層や第2接着層の滑り性が高くなる傾向がある。また、平均粒径が小さすぎる充填剤は、製造が困難であり、また、凝集が生じるおそれがある。一方、充填剤の平均粒径は、例えば、100μm以下であり、80μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。充填剤の平均粒径が大きすぎると、第1接着層や第2接着層と基材との密着性が低下したり、発泡硬化後の第1接着層や第2接着層の接着力が低下したりするおそれがある。
ここで、充填剤の平均粒径は、第1接着層や第2接着層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子50個のうち、粒径の大きい上位5個の平均値をいう。
第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量は互いに異なる。充填剤の含有量が多くなると、接着層の表面粗さが大きくなる傾向があり、また接着層の硬度が高くなる傾向があり、それにより、接着層の粘着性が低くなる傾向があり、また、接着層の表面の摩擦係数が小さく滑り性が高くなる傾向がある。よって、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なることにより、第1接着層および第2接着層の表面粗さ、硬度を互いに異ならせることができる。それにより、第1接着層および第2接着層層の粘着性、摩擦係数、滑り性を互いに異ならせることができる。
第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量は互いに異なっていればよいため、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方が充填剤を含有していればよい。すなわち、第1接着層および第2接着層のうち、一方が充填剤を含有し、他方が充填剤を含有していなくてもよく、あるいは、両方が充填剤を含有していてもよい。
充填剤の含有量としては、目的とする表面粗さ、硬度、摩擦係数や、発泡硬化後の第1接着層および第2接着層に要求される強度、接着力等に応じて適宜設定される。充填剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば、200質量部以下であり、150質量部以下であってもよく、100質量部以下であってもよい。充填剤の含有量が多すぎると、第1接着層や第2接着層の発泡が阻害されるおそれがある。
第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の量の差異としては、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる程度に異なっていればよい。
(b)硬化性の接着剤、発泡剤、およびその他の成分
本実施態様における第1接着層および第2接着層に含まれる硬化性の接着剤、発泡剤、およびその他の成分については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
(2)第1接着層および第2接着層の特性および構成
本実施態様における第1接着層および第2接着層の粘着性については、上記第1実施態様の第2例における第1接着層および第2接着層の粘着性と同様とすることができる。また、本実施態様における第1接着層および第2接着層のその他の特性については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層の特性と同様とすることができる。
また、第1接着層および第2接着層の厚さ、形状、形成方法等についても、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
2.基材
本実施態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
基材の材料、特性、形状、厚さ等については、上記第1実施態様の第1例における基材と同様とすることができる。
3.第1プライマー層および第2プライマー層
本実施態様の発泡性接着シートは、基材と第1接着層との間に第1プライマー層を有していてもよく、また、基材と第2接着層との間に第2プライマー層を有していてもよい。
例えば、図10に示す発泡性接着シート10においては、基材2および第1接着層1aの間に第1プライマー層4aが配置され、基材2および第2接着層1bの間に第2プライマー層4bが配置されている。なお、図10においては、発泡性接着シート10は、第1プライマー層4aおよび第2プライマー層4bの両方を有するが、いずれか一方のみを有していてもよい。
第1プライマー層および第2プライマー層の配置、材料、厚さ、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1プライマー層および第2プライマー層と同様とすることができる。
4.発泡性接着シート
本実施態様においては、例えば第1接着層に含有される充填剤の量が第2接着層に含有される充填剤の量よりも多い場合には、第1接着層がコイル側、第2接着層がステータコア側に配置されることが好ましい。
本実施態様の発泡性接着シートの厚さ、特性、製造方法等については、上記第1実施態様の第1例の発泡性接着シートと同様とすることができる。
IV.第4実施態様
本開示における発泡性接着シートの第4実施態様は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる充填剤を含有する。
図9は、本実施態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図9における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有する。第1接着層1aおよび第2接着層1bは硬化性の接着剤を含有し、第1接着層1aおよび第2接着層1bの少なくとも一方は発泡剤を含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる充填剤を含有する。
本実施態様においては、第1接着層および第2接着層が互いに異なる充填剤を含有することにより、例えば第1接着層および第2接着層の表面粗さ、硬度、または白色度を互いに異ならせることができる。そのため、例えば、目視、触診で観察することにより、あるいは硬度計で第1接着層および第2接着層の硬度を測定することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本実施態様においては、第1接着層および第2接着層が互いに異なる充填剤を含有することにより、本実施態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後は、例えば、発泡硬化後の接着シートの断面を観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本実施態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
さらに、本実施態様においては、第1接着層および第2接着層が互いに異なる充填剤を含有することにより、第1接着層および第2接着層の粘着性、摩擦係数、表面硬度等の表面特性を互いに異ならせることができる。よって、第1接着層および第2接着層が互いに異なる充填剤を含有することにより、第1接着層および第2接着層の特性を互いに異ならせることができると同時に、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を可能にすることができる。
また、本実施態様においては、第1接着層および第2接着層が充填剤を含有することにより、第1接着層および第2接着層の表面粗さを大きく、第1接着層および第2接着層の硬度を高くすることができる。この場合、第1接着層および第2接着層の粘着性が低下する傾向にあり、それにより、第1接着層および第2接着層の滑り性が良くなる傾向にある。そのため、第1接着層および第2接着層が充填剤を含有することにより、耐ブロッキング性および滑り性が良好な発泡性接着シートとすることができる。よって、発泡性接着シートの取扱性および作業性を向上させることができる。
例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合、第1接着層および第2接着層の粘着性が低く滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
一方、例えば、ステータコアのスロット内にコイルを配置した後、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートを挿入する場合には、第1接着層および第2接着層の粘着性が低く滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内のステータコアおよびコイルの隙間に発泡性接着シートをスムーズに挿入することができる。
以下、本実施態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
1.第1接着層および第2接着層
本実施態様において、第1接着層および第2接着層は硬化性の接着剤を含有し、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は発泡剤を含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる充填剤を含有する。
(1)第1接着層および第2接着層の材料
(a)充填剤
第1接着層および第2接着層は互いに異なる充填剤を含有する。第1接着層および第2接着層に含有される充填剤が互いに異なる点としては、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を可能とするものであればよく、例えば、平均粒径、屈折率等が挙げられる。中でも、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の平均粒径が互いに異なることが好ましい。
例えば、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の平均粒径が互いに異なる場合には、第1接着層および第2接着層の表面粗さ、硬度、または白色度を互いに異ならせることができる。そのため、例えば、目視、触診で観察することにより、あるいは硬度計で第1接着層および第2接着層の硬度を測定することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、本実施態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後は、例えば、発泡硬化後の接着シートの断面を観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。よって、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、充填剤の平均粒径が大きくなると、接着層の表面粗さが大きくなる、接着層の硬度が高くなる、接着層の表面の摩擦係数が小さくなる傾向があり、それにより、接着層の粘着性が低くなる、接着層の滑り性が高くなる傾向がある。よって、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の平均粒径が互いに異なる場合には、第1接着層および第2接着層の表面粗さ、硬度、摩擦係数を互いに異ならせることができる。それにより、第1接着層および第2接着層層の粘着性、滑り性を互いに異ならせることができる。
例えば、第1接着層に含まれる充填剤の平均粒径が第2接着層に含まれる充填剤の平均粒径よりも大きい場合には、第1接着層の表面粗さを第2接着層の表面粗さよりも大きくする、第1接着層の硬度を第2接着層の硬度よりも高くする、第1接着層の表面の摩擦係数を第2接着層の表面の摩擦係数よりも小さくすることができる。この場合、第1接着層の粘着性が第2接着層の粘着性よりも低くなる傾向にあり、また、第1接着層の滑り性が第2接着層の滑り性よりも高くなる傾向にある。このような場合において、例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内にコイルを配置する場合、第1接着層がコイル側、第2接着層がステータコア側になるように発泡性接着シートを配置することにより、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した際には、第2接着層のほうが粘着性が良いことから、ステータコアに対する発泡性接着シートの位置をずれにくくすることができ、ステータコアのスロット内にコイルを配置する際には、第1接着層のほうが滑り性が良いことから、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートが挿入されることでより狭くなった隙間にコイルをスムーズに挿入することができる。
充填剤の平均粒径については、上記第3実施態様における第1接着層および第2接着層に含まれる充填剤の平均粒径と同様とすることができる。
第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の平均粒径の差異としては、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる程度に異なっていればよい。
また、例えば、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の屈折率が互いに異なる場合には、第1接着層および第2接着層の透明性や白色度を互いに異ならせることができる。そのため、例えば、目視で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。また、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の屈折率が互いに異なる場合において、例えば第1接着層および第2接着層に含有される充填剤が無機充填剤であり、無機充填剤の組成が互いに異なる場合には、本実施態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後は、例えば、走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)により充填剤に含まれる元素の定性分析または定量分析を行うことにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。よって、発泡硬化前の発泡性接着シートについても、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
充填剤の屈折率としては、第1接着層および第2接着層に含有される樹脂成分の屈折率等に応じて適宜選択される。
第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の屈折率の差異としては、発泡硬化前の発泡性接着シートについて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を行うことができる程度に異なっていればよい。
また、第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の屈折率が互いに異なる場合には、充填剤は無機充填剤であり、第1接着層および第2接着層に含有される無機充填剤の組成が互いに異なることが好ましい。
充填剤の含有量としては、目的とする表面粗さ、硬度、摩擦係数や、発泡硬化後の第1接着層および第2接着層に要求される強度、接着力等に応じて適宜設定される。充填剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば、200質量部以下であり、150質量部以下であってもよく、100質量部以下であってもよい。充填剤の含有量が多すぎると、第1接着層や第2接着層の発泡が阻害されるおそれがある。一方、充填剤の含有量は、第1接着層または第2接着層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、5質量部以上であってもよく、10質量部以上であってもよい。例えばSEM-EDXにより定性分析または定量分析を行う場合、充填剤の含有量が少なすぎると、分析が困難になる可能性がある。
本実施態様における充填剤の材質については、上記第3実施態様における第1接着層および第2接着層に含有される充填剤の材質と同様とすることができる。
(b)硬化性の接着剤、発泡剤、およびその他の成分
本実施態様における第1接着層および第2接着層に含まれる硬化性の接着剤、発泡剤、およびその他の成分については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
(2)第1接着層および第2接着層の特性および構成
本実施態様における第1接着層および第2接着層の粘着性については、上記第1実施態様の第2例における第1接着層および第2接着層の粘着性と同様とすることができる。また、本実施態様における第1接着層および第2接着層のその他の特性については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層の特性と同様とすることができる。
また、第1接着層および第2接着層の厚さ、形状、形成方法等についても、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
2.基材
本実施態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
基材の材料、特性、形状、厚さ等については、上記第1実施態様の第1例における基材と同様とすることができる。
3.第1プライマー層および第2プライマー層
本実施態様の発泡性接着シートは、基材と第1接着層との間に第1プライマー層を有していてもよく、また、基材と第2接着層との間に第2プライマー層を有していてもよい。
第1プライマー層および第2プライマー層の配置、材料、厚さ、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1プライマー層および第2プライマー層と同様とすることができる。
4.発泡性接着シート
本実施態様においては、例えば第1接着層の含有される充填剤の平均粒径が第2接着層の含有される充填剤の平均粒径よりも大きい場合には、第1接着層がコイル側、第2接着層がステータコア側に配置されることが好ましい。
本実施態様の発泡性接着シートの厚さ、特性、製造方法等については、上記第1実施態様の第1例の発泡性接着シートと同様とすることができる。
V.第5実施態様
本開示における発泡性接着シートの第5実施態様は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記基材の間、ならびに、上記第2接着層および上記基材の間の少なくとも一方に、絵柄層が配置されている。
本実施態様の発泡性接着シートは、第1接着層および基材の間ならびに第2接着層および基材の間のいずれか一方に絵柄層が配置されている第1例、および、第1接着層および基材の間ならびに第2接着層および基材の間の両方に絵柄層が配置されている第2例の2つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
1.第5実施態様の第1例
本開示における発泡性接着シートの第5実施態様の第1例は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記基材の間ならびに上記第2接着層および上記基材の間のいずれか一方に絵柄層が配置されている。
図11は、本態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図11における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有する。第1接着層1aおよび第2接着層1bは硬化性の接着剤を含有し、第1接着層1aおよび第2接着層1bの少なくとも一方は発泡剤を含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。また、第1接着層1aおよび基材2の間に絵柄層5が配置されている。なお、図11においては、第1接着層1aおよび基材2の間のみに絵柄層5が配置されているが、第2接着層および基材の間のみに絵柄層が配置されていてもよい。
本態様においては、第1接着層および基材の間ならびに第2接着層および基材の間のいずれか一方に絵柄層が配置されているため、第1接着層側の面または第2接着層側の面から絵柄層が透けて見えるようにすることができ、例えば目視で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。例えば、第1接着層および基材の間に絵柄層が配置されている場合には、第1接着層側の面からは絵柄層が透けて見えるようにし、第2接着層側の面からは絵柄層が見えないようにすることができ、目視で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間ならびに第2接着層および基材の間のいずれか一方に絵柄層が配置されているため、本態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後も、例えば目視で両面からの絵柄層の見え方を観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間ならびに第2接着層および基材の間のいずれか一方に絵柄層が配置されているため、絵柄層によって第1接着層または第2接着層と基材との密着性を向上させることができる。さらには、絵柄層が配置されていることにより、例えば、発泡性接着シートを折り曲げた際に屈曲部にかかる応力を緩和したり、発泡性接着シートを切断した際に切断部にかかる応力を緩和したりすることができる。その結果、発泡性接着シートの屈曲時や切断時に基材からの第1接着層または第2接着層の浮きや剥がれを抑制することができる。
以下、本態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
(1)絵柄層
本態様において、絵柄層は、第1接着層および基材の間ならびに第2接着層および基材の間のいずれか一方に配置される。
絵柄層は、例えば、絵、写真、文字、数字、記号、図形、模様等の任意の絵柄を有する。
絵柄層としては、例えば、印刷層や、凹凸形状を有する凹凸層を挙げることができる。
印刷層は、一般的なインクを用いて形成することができる。印刷層の形成方法としては、一般的な印刷法を用いることができる。また、単色印刷であってもよく、多色印刷であってもよい。特に、有彩色である赤色、青色、黄色、緑色が好ましい。
凹凸層は、表面に凹凸形状を有する。凹凸形状としては、任意の絵柄を形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、凹凸形状の高さやピッチは適宜設定される。また、凹凸形状のピッチは、規則的であってもよく、不規則であってもよい。凹凸層の材料としては、表面に凹凸形状を有する凹凸層を形成可能なものであれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂、感光性樹脂が挙げられる。凹凸層の形成方法としては、材料に応じて適宜選択され、例えば、賦形法、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。
絵柄層は、基材の全面に配置されていることが好ましい。絵柄層が基材の全面に配置されている場合には、後述するように、プライマー層を兼ねることができる。
絵柄層は、プライマー層を兼ねていることが好ましい。この場合、絵柄層によって第1接着層または第2接着層と基材との密着性を向上させることができる。さらには、絵柄層が配置されていることにより、例えば、発泡性接着シートを折り曲げた際に屈曲部にかかる応力を緩和したり、発泡性接着シートを切断した際に切断部にかかる応力を緩和したりすることができる。その結果、発泡性接着シートの屈曲時や切断時に基材からの第1接着層または第2接着層の浮きや剥がれを抑制することができる。
(2)第1接着層および第2接着層
本態様において、第1接着層および第2接着層は硬化性の接着剤を含有し、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は発泡剤を含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。
本態様における第1接着層および第2接着層の材料、厚さ、形状、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
本態様における第1接着層および第2接着層の粘着性については、上記第1実施態様の第2例における第1接着層および第2接着層の粘着性と同様とすることができる。また、本態様における第1接着層および第2接着層のその他の特性については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層の特性と同様とすることができる。
(3)基材
本態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
基材の不透明性については、上記第1実施態様の第2例における基材の不透明性と同様とすることができる。また、基材の材料、その他の特性、形状、厚さ等については、上記第1実施態様の第1例における基材と同様とすることができる。
(4)プライマー層
本態様においては、上述したように、絵柄層がプライマー層を兼ねていることが好ましい。この場合において、基材と第1接着層との間に絵柄層が配置されている場合には、基材と第2接着層との間にプライマー層が配置されていてもよい。一方、基材と第2接着層との間に絵柄層が配置されている場合には、基材と第1接着層との間にプライマー層が配置されていてもよい。
例えば、図12に示す発泡性接着シート10においては、基材2および第1接着層1aの間に絵柄層5が配置され、基材2および第2接着層1bの間にプライマー層4が配置されている。なお、図12においては、基材2および第1接着層1aの間に絵柄層5が配置され、基材2および第2接着層1bの間にプライマー層4が配置されているが、基材および第2接着層の間に絵柄層が配置され、基材および第1接着層の間にプライマー層が配置されていてもよい。
プライマー層の配置、材料、厚さ、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1プライマー層および第2プライマー層と同様とすることができる。
(5)発泡性接着シート
本態様の発泡性接着シートの厚さ、特性、製造方法等については、上記第1実施態様の第1例の発泡性接着シートと同様とすることができる。
2.第5実施態様の第2例
本開示における発泡性接着シートの第5実施態様の第2例は、第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、上記第1接着層および上記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、上記第1接着層および上記基材の間に第1絵柄層が配置され、上記第2接着層および上記基材の間に第2絵柄層が配置され、上記第1絵柄層および上記第2絵柄層の絵柄は、互いに異なる。
図13は、本態様の発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図13における発泡性接着シート10は、第1接着層1aと、基材2と、第2接着層1bとをこの順に有する。第1接着層1aおよび第2接着層1bは硬化性の接着剤を含有し、第1接着層1aおよび第2接着層1bの少なくとも一方は発泡剤を含有しており、また、第1接着層1aおよび第2接着層1bは、互いに異なる特性を有している。また、第1接着層1aおよび基材2の間に第1絵柄層5aが配置され、第2接着層1bおよび基材2の間に第2絵柄層が5b配置されており、第1絵柄層5aおよび第2絵柄層5bの絵柄は、互いに異なる。
本態様においては、第1接着層および基材の間に第1絵柄層が配置され、第2接着層および基材の間に第2絵柄層が配置されているため、第1接着層側の面から第1絵柄層が透けて見えるようにし、第2接着層側の面から第2絵柄層が透けて見えるようにすることができる。そして、第1絵柄層および第2絵柄層の絵柄が互いに異なるため、例えば目視で観察することにより、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの使用時の作業ミスを防ぐことができる。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に第1絵柄層が配置され、第2接着層および基材の間に第2絵柄層が配置されているため、本態様の発泡性接着シートを回転電機用ステータのステータコアとコイルとの間に配置し発泡硬化させて、ステータコアおよびコイルを接着した後も、例えば目視で第1絵柄層および第2絵柄層の絵柄を観察することにより、発泡硬化後の接着シートにおいて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別を容易に行うことができる。そのため、発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
このように本態様においては、発泡硬化前の発泡性接着シートについてだけでなく、回転電機に組み込まれた後の発泡硬化後の接着シートについても、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。
また、本態様においては、第1接着層および基材の間に第1絵柄層が配置され、第2接着層および基材の間に第2絵柄層が配置されているため、第1絵柄層および第2絵柄層によって第1接着層および第2接着層と基材との密着性を向上させることができる。さらには、第1絵柄層および第2絵柄層が配置されていることにより、例えば、発泡性接着シートを折り曲げた際に屈曲部にかかる応力を緩和したり、発泡性接着シートを切断した際に切断部にかかる応力を緩和したりすることができる。その結果、発泡性接着シートの屈曲時や切断時に基材からの第1接着層および第2接着層の浮きや剥がれを抑制することができる。
以下、本態様の発泡性接着シートの各構成について説明する。
(1)第1絵柄層および第2絵柄層
本態様において、第1接着層および基材の間に第1絵柄層が配置され、第2接着層および基材の間に第2絵柄層が配置されている。また、第1絵柄層および第2絵柄層の絵柄が互いに異なる。
第1絵柄層および第2絵柄層では、例えば、絵、写真、文字、数字、記号、図形、模様等の絵柄が互いに異なっていればよい。
第1絵柄層および第2絵柄層については、上記第5実施態様の第1例における絵柄層と同様とすることができる。
(2)第1接着層および第2接着層
本態様において、第1接着層および第2接着層は硬化性の接着剤を含有し、第1接着層および第2接着層の少なくとも一方は発泡剤を含有する。また、第1接着層および第2接着層は、互いに異なる特性を有する。
本態様における第1接着層および第2接着層の材料、厚さ、形状、形成方法等については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層と同様とすることができる。
本態様における第1接着層および第2接着層の粘着性については、上記第1実施態様の第2例における第1接着層および第2接着層の粘着性と同様とすることができる。また、本態様における第1接着層および第2接着層のその他の特性については、上記第1実施態様の第1例における第1接着層および第2接着層の特性と同様とすることができる。
(3)基材
本態様における基材は、上記の第1接着層および第2接着層を支持する部材である。
基材の材料、特性、形状、厚さ等については、上記第1実施態様の第1例における基材と同様とすることができる。
(4)発泡性接着シート
本態様の発泡性接着シートの厚さ、特性、製造方法等については、上記第1実施態様の第1例の発泡性接着シートと同様とすることができる。
B.回転電機用ステータ
本開示における回転電機用ステータは、スロットを有するステータコアと、上記スロット内に配置されたコイルと、上記ステータコアおよび上記コイルの間に配置された接着シートと、を有し、上記接着シートは、上述の発泡性接着シートの発泡硬化物である。
本開示においては、接着シートが上述の発泡性接着シートの発泡硬化物であるため、回転電機に組み込まれた後の接着シートについて、第1接着層側の面および第2接着層側の面の判別が可能である。そのため、発泡硬化前の発泡性接着シートの表裏の間違いによる故障要因を特定することが可能であり、そのような故障要因を早期に発見することが可能である。
回転電機用ステータの構成としては、一般的な回転電機用ステータと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
回転電機用ステータの製造方法は、ステータコアおよびコイルの間に、上述の発泡性接着シートを配置する配置工程と、発泡性接着シートを発泡硬化させ、ステータコアおよびコイルを接着する接着工程と、を有することができる。
ステータコアおよびコイルの間に発泡性接着シートを配置する方法としては、特に限定されず、例えば、ステータコアのスロット内に発泡性接着シートを配置した後、ステータコアのスロット内の発泡性接着シートを配置した後の隙間にコイルを挿入する方法や、ステータコアのスロット内にコイルを配置した後、ステータコアおよびコイルの間の隙間に発泡性接着シートを挿入する方法等を挙げることができる。
発泡性接着シートを発泡硬化させる方法としては、例えば、加熱を挙げることができる。加熱条件としては、発泡性接着シートの第1接着層および第2接着層に含有される硬化性の接着剤や発泡剤の種類、基材の種類等に応じて適宜設定される。加熱温度は、例えば、130℃以上、200℃以下とすることができる。また、加熱時間は、例えば、3分間以上、3時間以下とすることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
1a … 第1接着層
1b … 第2接着層
2 … 基材
3 … 繊維層
3a … 第1繊維層
3b … 第2繊維層
4 … プライマー層
4a … 第1プライマー層
4b … 第2プライマー層
5 … 絵柄層
5a … 第1絵柄層
5b … 第2絵柄層
10 … 発泡性接着シート

Claims (12)

  1. 第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、
    前記第1接着層の前記基材とは反対側の面、あるいは、前記第1接着層および前記基材の間に、繊維層が配置されており、
    前記第1接着層の前記基材とは反対側の面に前記繊維層が配置されている場合には、前記第1接着層が前記発泡剤を含有する、発泡性接着シート。
  2. 前記繊維層が、不織布、紙、フェルト、編物または織物である、請求項1に記載の発泡性接着シート。
  3. 第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、
    前記第1接着層の前記基材とは反対側の面に第1繊維層が配置され、前記第2接着層の前記基材とは反対側の面に第2繊維層が配置されており、あるいは、前記第1接着層および前記基材の間に第1繊維層が配置され、前記第2接着層および前記基材の間に第2繊維層が配置されており、
    前記第1繊維層および前記第2繊維層は、互いに異なり、
    前記第1接着層の前記基材とは反対側の面に前記第1繊維層が配置され、前記第2接着層の前記基材とは反対側の面に前記第2繊維層が配置されている場合には、前記第1接着層および前記第2接着層が前記発泡剤を含有する、発泡性接着シート。
  4. 前記第1繊維層および前記第2繊維層が、不織布、紙、フェルト、編物または織物である、請求項3に記載の発泡性接着シート。
  5. 前記第1繊維層および前記第2繊維層では、密度および厚さの少なくともいずれかが互いに異なる、請求項3または請求項4に記載の発泡性接着シート。
  6. 第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層に含有される充填剤の量が互いに異なる、発泡性接着シート。
  7. 第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、互いに異なる充填剤を含有する、発泡性接着シート。
  8. 前記第1接着層および前記第2接着層に含有される前記充填剤の平均粒径が互いに異なる、請求項7に記載の発泡性接着シート。
  9. 第1接着層と、基材と、第2接着層とをこの順に有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、硬化性の接着剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層の少なくとも一方は、発泡剤を含有し、
    前記第1接着層および前記第2接着層は、互いに異なる特性を有し、
    前記第1接着層および前記基材の間、ならびに、前記第2接着層および前記基材の間の少なくとも一方に、絵柄層が配置されている、発泡性接着シート。
  10. 前記絵柄層は、印刷層または凹凸形状を有する凹凸層である、請求項9に記載の発泡性接着シート。
  11. 前記絵柄層は、プライマー層を兼ねている、請求項9または請求項10に記載の発泡性接着シート。
  12. スロットを有するステータコアと、
    前記スロット内に配置されたコイルと、
    前記ステータコアおよび前記コイルの間に配置された接着シートと、
    を有し、前記接着シートは、請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の発泡性接着シートの発泡硬化物である、回転電機用ステータ。
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