JP2024098844A - 発泡性接着シートおよび物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】挿入性に優れる発泡性接着シートを提供する。【解決手段】第一接着層1と、基材2と、第二接着層3と、をこの順に有する発泡性接着シートであって、上記第一接着層および上記第二接着層が、熱硬化型接着剤を含有し、上記第一接着層および上記第二接着層の少なくとも一方が、発泡剤をさらに含有し、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の上記発泡性接着シートのカールの曲率半径が、12.2mm超であり、ループスティフネスが、20.3mN/10mm超であり、穴または溝を有する第一部材の上記穴または上記溝に、第二部材を固定するために用いられ、上記発泡性接着シートのカールの凸面が、上記第一部材の上記穴の内面側または上記溝の内面側に向くように配置されて用いられる、発泡性接着シートを提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、発泡性接着シートおよびそれを用いた物品の製造方法に関する。
部材同士を接着する接着剤は、様々な分野で広く用いられている。例えば、一方の部材の穴または溝に他方の部材を固定する場合に接着剤が使用される。
一方の部材の穴または溝に他方の部材を固定する場合において、接着剤としては、液状接着剤が主に用いられている。しかし、液状接着剤の場合、塗布ムラや、はみ出し、液垂れ等が生じ、接着工程を煩雑化させるという問題がある。
一方、近年では、液状接着剤に代えて、発泡剤を含有するシート状接着剤(発泡性接着シート)を使用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。発泡性接着シートによれば、上述したような液状接着剤の場合の不具合の発生を抑制できる。
特許第6874867号公報
一方の部材の穴または溝に他方の部材を固定する場合、例えば、まず、一方の部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置し、続いて、発泡性接着シートが配置された後の一方の部材の穴または溝に、他方の部材を配置し、次いで、発泡性接着シートを発泡硬化させることで、2つの部材を接着固定できる。
一方の部材の穴または溝に他方の部材を固定する場合においては、2つの部材間の間隙が狭くなる傾向にある。
また、近年、モータの小型化が要求されている。そのため、モータにおけるステータのスロットにコイルを固定する場合、ステータおよびコイル間の間隙を狭くすることが望ましい。また、埋込磁石型モータにおけるロータのスロットに永久磁石を固定する場合、ロータおよび永久磁石間の間隙を狭くすることが望ましい。
よって、発泡性接着シートにおいては、全体の厚さが薄いことが求められる。
しかし、発泡性接着シートの厚さが薄いと、発泡性接着シートの剛性が低くなる。そのため、一方の部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置する際に、発泡性接着シートにたわみ、よれ等が生じてしまい、一方の部材の穴または溝に発泡性接着シートを挿入しにくくなるという問題がある。また、一方の部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置できたとしても、発泡性接着シートに折れ、しわ等が生じてしまう。また、発泡性接着シートが配置された後の一方の部材の穴または溝に、他方の部材を配置する際に、発泡性接着シートが擦れてしまい、発泡性接着シートに剥がれ、破れ等が生じるという問題もある。このような場合には、発泡硬化後の接着性が低下し、信頼性が低くなる。
また、発泡性接着シートにおいては、例えば、基材の両面に接着層を有する構成が知られている。このような発泡性接着シートの場合、カールが発生することがある。特に、発泡性接着シートの厚さを薄くすると、カールが発生しやすくなる。この場合、カールが大きいと、一方の部材穴または溝への発泡性接着シートの挿入を妨げたり、発泡性接着シートが配置された後の一方の部材の穴または溝への他方の部材の挿入を妨げたりするという問題がある。このような場合においても、発泡硬化後の接着性が低下し、信頼性が低くなる。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、挿入性に優れる発泡性接着シートを提供することを主目的とする。
本開示の一実施形態は、第一接着層と、基材と、第二接着層と、をこの順に有する発泡性接着シートであって、上記第一接着層および上記第二接着層が、熱硬化型接着剤を含有し、上記第一接着層および上記第二接着層の少なくとも一方が、発泡剤をさらに含有し、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の上記発泡性接着シートのカールの曲率半径が、12.2mm超であり、ループスティフネスが、20.3mN/10mm超であり、穴または溝を有する第一部材の上記穴または上記溝に、第二部材を固定するために用いられ、上記発泡性接着シートのカールの凸面が、上記第一部材の上記穴の内面側または上記溝の内面側に向くように配置されて用いられる、発泡性接着シートを提供する。
本開示の他の実施形態は、穴または溝を有する第一部材の上記穴または上記溝に、上述の発泡性接着シートを配置する第1配置工程と、上記発泡性接着シートが配置された後の上記第一部材の上記穴または上記溝に、第二部材を配置する第2配置工程と、上記発泡性接着シートを加熱して発泡硬化させ、上記第一部材および上記第二部材を接着する接着工程と、を有し、上記第1配置工程では、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の上記発泡性接着シートのカールの凸面が、上記第一部材の上記穴の内面側または上記溝の内面側に向くように、上記発泡性接着シートを配置する、物品の製造方法を提供する。
本開示における発泡性接着シートは、挿入性に優れるという効果を奏する。
本開示における発泡性接着シートを例示する概略断面図である。 本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴に第二部材を固定する例を示す概略図である。 発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴に第二部材を固定する例を示す概略図である。 本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の溝に第二部材を固定する例を示す概略図である。 カールの曲率半径の測定方法を説明する模式図である。 ループスティフネス測定器を例示する概略平面図および断面図である。 ループスティフネスの測定方法を説明する模式図である。 ループスティフネスの測定方法を説明する模式図である。 本開示における発泡性接着シートを例示する概略断面図である。 本開示における物品の製造方法を例示する工程図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。
また、本明細書において、「シート」には、「フィルム」と呼ばれる部材も含まれる。また、「フィルム」には、「シート」と呼ばれる部材も含まれる。
以下、本開示における発泡性接着シートおよびそれを用いた物品の製造方法について、詳細に説明する。
A.発泡性接着シート
本開示における発泡性接着シートは、第一接着層と、基材と、第二接着層と、をこの順に有する発泡性接着シートであって、上記第一接着層および上記第二接着層が、熱硬化型接着剤を含有し、上記第一接着層および上記第二接着層の少なくとも一方が、発泡剤をさらに含有し、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の上記発泡性接着シートのカールの曲率半径が、12.2mm超であり、ループスティフネスが、20.3mN/10mm超であり、穴または溝を有する第一部材の上記穴または上記溝に、第二部材を固定するために用いられ、上記発泡性接着シートのカールの凸面が、上記第一部材の上記穴の内面側または上記溝の内面側に向くように配置されて用いられる。
図1は、本開示における発泡性接着シートを例示する概略断面図である。図1における発泡性接着シート10は、第一接着層1と、基材2と、第二接着層3とをこの順に有する。第一接着層1および第二接着層3は熱硬化型接着剤を含有しており、第一接着層1および第二接着層3の少なくとも一方は発泡剤をさらに含有する。また、発泡性接着シート10においては、所定温度、所定湿度で所定時間静置した後のカールの曲率半径が所定の範囲であり、かつ、ループスティフネスが所定の範囲である。
本開示における発泡性接着シートは、第一部材の穴または溝に第二部材を固定するために用いられる。図2(a)~(e)は、本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴に、第二部材を固定する例である。図2(a)は発泡性接着シートの概略断面図、図2(b)は第一部材および第二部材の概略斜視図、図2(c)~(e)は、発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴に第二部材を固定する工程図である。図2(a)において、発泡性接着シート10は、カールを有している。図2(b)において、第一部材21は、第一部材21を貫通する穴23を有しており、この第一部材21の穴23に第二部材22を固定する。まず、図2(c)に示すように、第一部材21の穴23に発泡性接着シート10を配置する。続いて、図2(d)に示すように、発泡性接着シート10を配置した後の第一部材21の穴23に、第二部材22を配置する。次いで、図2(e)に示すように、発泡性接着シート10を加熱して発泡硬化させることで、発泡硬化後の接着シート15により、第一部材21の穴23に第二部材22を固定する。
上記の場合、発泡性接着シートのカールが大きいと、第一部材の穴に発泡性接着シートが挿入しにくくなる。
これに対し、本開示においては、所定温度、所定湿度で所定時間静置した後の発泡性接着シートのカールの曲率半径が所定の値より大きいことにより、発泡性接着シートのカールを小さくできる。よって、第一部材の穴への発泡性接着シートの挿入性を良くすることができる。
また、本開示においては、図2(a)に示すように、発泡性接着シート10がカールを有する場合、図2(c)に示すように、発泡性接着シート10のカールの凸面S1が、第一部材21の穴23の内面23S側に向くように配置される。この場合、図2(d)に示すように、発泡性接着シート10が配置された後の第一部材21の穴23に、第二部材22を配置する際、発泡性接着シート10のカールの凸面S1が第一部材21の穴23の内面23S側を向いていることにより、発泡性接着シート10に第二部材22が引っかかるのを抑制し、発泡性接着シート10が擦れにくくすることができる。
一方、図3(a)に示すように、発泡性接着シート10がカールを有する場合において、図3(b)に示すように、発泡性接着シート10のカールの凹面S2が、第一部材21の穴23の内面23S側に向くように配置されると、発泡性接着シート10が配置された後の第一部材21の穴23に、第二部材22を配置する際、発泡性接着シート10に第二部材22が引っかかりやすくなる。そのため、発泡性接着シートを配置した後の第一部材の穴に、第二部材を挿入しにくくなる。また、発泡性接着シートに破れや剥がれが生じやすくなる。
図4(a)~(e)は、本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の溝に、第二部材を固定する例である。図4(a)は発泡性接着シートの概略断面図、図4(b)は第一部材および第二部材の概略斜視図、図4(c)~(e)は、発泡性接着シートを用いて、第一部材の溝に第二部材を固定する工程図である。図4(a)において、発泡性接着シート10は、カールを有している。図4(b)において、第一部材21は溝24を有しており、この第一部材21の溝24に第二部材22を固定する。まず、図4(c)に示すように、第一部材21の溝24に発泡性接着シート10を配置する。続いて、図4(d)に示すように、発泡性接着シート10を配置した後の第一部材21の溝24に、第二部材22を配置する。次いで、図4(e)に示すように、発泡性接着シート10を加熱して発泡硬化させることで、発泡硬化後の接着シート15により、第一部材21の溝24に第二部材22を固定する。
本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の溝に第二部材を固定する場合も、上述の本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴に第二部材を固定する場合と同様の効果を奏する。
よって、本開示における発泡性接着シートは、発泡性接着シートのカールの凸面が、第一部材の穴の内面側または溝の内面側に向くように配置されて用いられることにより、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝への第二部材の挿入性を良くすることができる。さらには、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝に、第二部材を配置する際の、発泡性接着シートの破れや剥がれを抑制できる。これにより、発泡硬化後の接着不良を抑制できる。
また、本開示の発明者らは、発泡性接着シートの剛性(スティフネス)に着目した。発泡性接着シートの厚さが厚いと、剛性が高くなる傾向があるため、カールを抑制できると考えられる。しかし、第一部材および第二部材間の間隙が狭い場合、発泡性接着シートの厚さを厚くすると、挿入性が悪くなる。このように、発泡性接着シートの厚さはそもそも薄い必要があることから、発泡性接着シートの厚さを厚くするのは適さない。また、基材の厚さが厚いと、剛性が高くなる傾向があるため、カールを抑制できると考えられる。しかし、基材の厚さを厚くすると、発泡性接着シートの厚さが厚くなるため、上記と同様に、挿入性が悪くなる。また、発泡性接着シートの厚さを薄くしたまま、基材の厚さを相対的に厚くすると、第一接着層および第二接着層の厚さが相対的に薄くなるため、第一接着層および第二接着層の接着特性や発泡特性が低下するおそれがある。
そして、本開示の発明者らは、さらに検討を重ね、発泡性接着シートのループスティフネスを所定の範囲とすることにより、挿入性が良くなることを見出した。
なお、ループスティフネスとは、シートまたはフィルムのコシの強さを表すパラメータである。ループスティフネスの値が大きいほど、シートまたはフィルムのコシが強くなる。ループスティフネスは、例えば包装資材に用いられるシートやフィルムのコシの強さを表すパラメータとして採用されているが、接着シートの分野ではあまり一般的ではない。
本開示における発泡性接着シートにおいては、ループスティフネスが所定の値以上であるため、コシを強くすることができる。そのため、第一部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置する際には、発泡性接着シートのたわみ、よれ等を抑制し、発泡性接着シートの挿入性を良くすることができる。さらには、第一部材の穴または溝に配置された発泡性接着シートに、折れ、しわ等が生じるのを抑制できる。また、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝に、第二部材を配置する際にも、発泡性接着シートのたわみ、よれ等を抑制し、発泡性接着シートに折れ、しわ等が生じるのを抑制できる。これにより、発泡硬化後の接着不良を抑制できる。
したがって、本開示における発泡性接着シートを用いることにより、接着強度が高く、高信頼性、高品質の接着を実現できる。
ここで、「粘着」とは「接着」に含まれる概念である。粘着は一時的な接着現象の意味として用いられるのに対し、接着は実質的に永久的な接着現象の意味として用いられる点で区別されることがある(岩波書店 理化学辞典第5版)。「粘着性」および「粘着力」とは、感圧により接着する性質およびそのときの接着力を指す。
なお、本明細書において、「接着層の粘着性」および「接着層の粘着力」とは、特段の事情が無い限り、硬化前の接着層が有する粘着性および粘着力をいう。また、本明細書において、「接着層の接着性」および「接着層の接着力」とは、特段の事情が無い限り、硬化後の接着層が有する接着性および接着力をいう。
以下、本開示における発泡性接着シートの各構成について説明する。
1.特性
(1)カールの曲率半径
本開示においては、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の発泡性接着シートのカールの曲率半径が、12.2mm超であり、好ましくは14.2mm以上であり、42.0mm以上であってもよい。上記曲率半径が上記範囲であることにより、カールを抑制できる。そのため、第一部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置する際、発泡性接着シートの挿入性を良くすることができる。一方、上記曲率半径が大きいほど、カールが小さくなり、さらにはカールがなくなるが、上記曲率半径は、例えば、229mm未満であり、228.1mm以下であってもよく、101.9mm以下であってもよい。なお、カールがないとは、上記カールの曲率半径が229mm以上である場合をいう。本開示における発泡性接着シートは、上記の発泡性接着シートのカールの凸面が、第一部材の穴の内面側または溝の内面側に向くように配置されて用いられる。このように発泡性接着シートを配置する場合においては、発泡性接着シートにカールがない場合と比較して、発泡性接着シートにカールがある場合は、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝に、第二部材を配置する際に、発泡性接着シートと第二部材との接触面積を小さくすることができ、第二部材が発泡性接着シートに引っかかるのを抑制できると考えられる。よって、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝への、第二部材の挿入性を良くすることができると推量される。
なお、熱硬化型接着剤においては、硬化の過程で、硬化収縮および熱収縮の収縮が生じる。この収縮よりカールが生じる。一般的に、熱硬化型接着剤は、60℃程度であれば、収縮しはじめると考えられる。そのため、熱硬化型接着剤の主な収縮要因は熱であるので、湿度の影響を除外するために、本開示においては、60℃、15時間という条件とし、湿度は10%RH以下とした。
ここで、発泡性接着シートのカールの曲率半径は、下記方法により測定することができる。
まず、発泡性接着シートを50mm×50mmの正方形に裁断し、カール測定用の試験片を作製する。この際、図5(a)に示すように、正方形の辺方向を、発泡性接着シート10のMD方向およびTD方向とする。なお、発泡性接着シートのMD方向とは、発泡性接着シートを長尺状に製造した場合における、発泡性接着シートの長手方向をいう。また、発泡性接着シートのTD方向とは、MD方向と直交する方向をいう。発泡性接着シートのMD方向およびTD方向は、下記方法により特定できる。発泡性接着シートが長尺状である場合には、発泡性接着シートの長手方向をMD方向とする。また、発泡性接着シートが枚葉状である場合において、基材や、第一接着層および第二接着層に異方性があることが予め分かっている場合には、基材や、第一接着層および第二接着層の引張強度や伸び率を測定し、これらの引張強度や伸び率から、発泡性接着シートのMD方向およびTD方向を特定できる。また、発泡性接着シートが枚葉状である場合において、基材の異方性や、第一接着層および第二接着層の異方性が不明である場合には、発泡性接着シートを直径50mm程度の円形に裁断して、方向測定用の試験片を作製し、方向測定用の試験片を温度60℃で静置して、方向測定用の試験片がカールした方向を、発泡性接着シートのMD方向とみなすことができる。
次に、カール測定用の試験片を、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置する。この際、第一接着層および第二接着層の少なくともいずれか一方が粘着性を有する場合、カール測定用の試験片は、粘着性を有する接着層の面が周囲に触れない状態とする。中でも、カール測定用の試験片は、カール方向に自重がかからない状態とすることが好ましい。次いで、図5(b)に示すような、カール測定用の試験片のカールの弦長dを測定する。そして、下記式を用いて、曲率半径rを算出する。
L=r×θ
d=2×r×sin(θ/2)
(上記式中、Lは弧長、dは弦長、rは曲率半径、θは中心角を表す。)
なお、弦長dは、弦長dの方向を、MD方向、TD方向、およびMD方向に対して45°方向とした場合のそれぞれについて測定し、曲率半径rを算出する。そして、これらの場合における曲率半径rのうち、最も小さい値を採用する。弦長dの方向をMD方向またはTD方向とする場合は、弧長Lは50mmとなる。また、弦長dの方向をMD方向に対して45°方向とする場合は、弧長Lは、L=50×√2=70.7mmとなる。
本開示において、上記の発泡性接着シートのカールの曲率半径は、例えば、各層の厚さ、硬さ、組成、形成条件を調整することにより、制御できる。例えば、基材の厚さが厚いと、曲率半径が大きくなる傾向にある。また、例えば、基材の硬さが高いと、曲率半径が大きくなる傾向にある。また、例えば、第二接着層の硬さが第一接着層の硬さよりも高い場合には、第一接着層の厚さが厚くなるほど、曲率半径が大きくなる傾向にある。また、第一接着層および第二接着層の硬さが同程度である場合には、第一接着層および第二接着層の厚さを同程度とすると、曲率半径が大きくなる傾向にある。また、第一接着層および第二接着層の組成が同じである場合、一方の接着層の厚さを他方の接着層の厚さよりも厚くすると、曲率半径が小さくなる傾向にある。また、第一接着層および第二接着層の組成が同じである場合、両方の接着層の乾燥温度を同じとしたとき、一方の接着層の乾燥時間を他方の接着層の乾燥時間よりも長くすると、曲率半径が小さくなる傾向にある。また、第一接着層および第二接着層の組成が同じである場合、両方の接着層の乾燥時間を同じとしたとき、一方の接着層の乾燥温度を他方の接着層の乾燥温度よりも高くすると、曲率半径が小さくなる傾向にある。
第一接着層および第二接着層の硬さは、第一接着層および第二接着層の組成を調整することにより、制御できる。また、第一接着層および第二接着層においては、タックが低いと、硬さが高くなり、タックが高いと、硬さが低くなる傾向がある。また、第一接着層および第二接着層においては、鉛筆硬度が高いと、硬さが高くなり、鉛筆硬度が低いと、硬さが低くなる傾向がある。また、第一接着層および第二接着層においては、静摩擦係数が低いと、硬さが高くなり、鉛筆硬度が高いと、硬さが低くなる傾向がある。第一接着層および第二接着層のタックの調整方法については、後述する。また、第一接着層および第二接着層の鉛筆硬度の調整方法についても、後述する。
(2)ループスティフネス
本開示における発泡性接着シートにおいては、ループスティフネスが、20.3mN/10mm超であり、好ましくは30.8mN/10mm以上、42.3mN/10mm以上であってもよい。ループスティフネスとは、上述したように、フィルムまたはシートのコシの強さを表すパラメータである。発泡性接着シートのループスティフネスが上記範囲であることより、発泡性接着シートのコシを強くすることができる。そのため、第一部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置する際、発泡性接着シートの挿入性を良くすることができる。また、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝に、第二部材を配置する際、第二部材の挿入性を良くすることができる。さらには、発泡性接着シートの挿入時および第二部材の挿入時に、発泡性接着シートが破れるのを抑制できる。一方、ループスティフネスの上限は、特に限定されない。
以下、図6~図8を参照して、ループスティフネスの測定方法を説明する。
図6(a)は、ループスティフネス測定器を示す概略平面図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A線断面図である。発泡性接着シート10の試験片は、長辺および短辺を有する矩形状である。本開示においては、発泡性接着シート10の試験片の長辺の長さL1は200mm、短辺の長さL2は10mmとする。ループスティフネス測定器30としては、東洋精機製作所社製のループステフネステスタ(D-R)を用いることができる。なお、発泡性接着シート10の試験片の長辺の長さL1は、後述する一対のチャック部31によって発泡性接着シート10の試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
ループスティフネス測定器30は、発泡性接着シート10の試験片の長辺方向の一対の端部を把持するための一対のチャック部31と、チャック部31を支持する支持部材32と、を有する。チャック部31は、第1チャック31aおよび第2チャック31bを有する。発泡性接着シート10は、一対の第1チャック31aの上に配置されており、第2チャック31bは、第1チャック31aとの間で発泡性接着シート10を未だ把持していない。後述するように、測定時、発泡性接着シート10は、チャック部31の第1チャック31aと第2チャック31bとの間に把持される。第2チャック31bは、ヒンジ機構を介して第1チャック31aに連結されていてもよい。
まず、図6(a)、(b)に示すように、間隔L3をあけて配置されている一対のチャック部31の第1チャック31a上に発泡性接着シート10の試験片を載置する。この際、本開示においては、後述するループ部41の長さ(以下、ループ長とも称する。)が60mmになるように、間隔L3を設定する。続いて、図7(a)に示すように、第1チャック31aとの間で発泡性接着シート10の試験片の長辺方向の端部を把持するように、第2チャック31bを発泡性接着シート10の試験片の上に配置する。
次に、図7(b)に示すように、一対のチャック部31の間の間隔が縮まる方向において、一対のチャック部31の少なくとも一方を支持部材32上でスライドさせる。これにより、発泡性接着シート10にループ部41を形成することができる。図7(b)に示す発泡性接着シート10の試験片は、ループ部41と、一対の中間部42および一対の固定部43とを有する。一対の固定部43は、発泡性接着シート10の試験片のうち、一対のチャック部31によって把持されている部分である。一対の中間部42は、発泡性接着シート10の試験片のうち、ループ部41と一対の中間部42との間に位置している部分である。チャック部31は、発泡性接着シート10の一対の中間部42の内面40x同士が接触するまで、支持部材32上でスライドされる。これにより、60mmのループ長を有するループ部41を形成することができる。ループ部41のループ長は、一方の第2チャック31bのループ部41側の面と発泡性接着シート10の試験片とが交わる位置P1と、他方の第2チャック31bのループ部41側の面と発泡性接着シート10の試験片とが交わる位置P2との間における、発泡性接着シート10の試験片の長さである。上述の間隔L3は、発泡性接着シート10の試験片の厚さを無視する場合、ループ部41の長さに2×tを加えた値になる。tは、チャック部31の第2チャック31bの厚さである。
次に、図8(a)に示すように、チャック部31に対するループ部41の突出方向Yが水平方向になるように、チャック部31の姿勢を調整する。例えば、支持部材32の法線方向が水平方向を向くように支持部材32を動かすことにより、支持部材32によって支持されているチャック部31の姿勢を調整する。図8(a)に示す例において、ループ部41の突出方向Yは、チャック部31の厚さ方向に一致している。また、ループ部41の突出方向Yにおいて、第2チャック31bから離れた位置に、ロードセル35を準備する。
続いて、図8(b)に示すように、ロードセル35を、発泡性接着シート10の試験片のループ部41に向けて移動させ、ロードセル35をループ部41に接触させる。距離Z1は、ロードセル35とチャック部31の第2チャック31bとの間の距離である。
その後、図8(b)~(c)に示すように、ロードセル35により、ループ部41をチャック部31側に距離Z2だけ押し込む。本実施態様においては、距離Z2を15mmとする。ロードセル35を移動させる速度Vは、5mm/秒とする。
次に、図8(c)に示すように、ロードセル35をチャック部31側に距離Z2だけ移動させ、ロードセル35が発泡性接着シート10の試験片のループ部41を押し込んでいる状態において、ループ部41からロードセル35に加えられている荷重の値を記録する。そして、このようにして得られた荷重の値のうち、荷重の最大値を、発泡性接着シート10のループスティフネスとする。本明細書において、特に断らない限り、ループスティフネスの測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
なお、発泡性接着シートのループスティフネスの測定においては、ループスティフネス測定器30に発泡性接着シート10の試験片を配置する際に、内面40xが第一接着層の面、外面40yが第二接着層の面となるように配置する場合と、内面40xが第二接着層の面、外面40yが第一接着層の面となるように配置する場合との両方について、測定を行う。そして、これらの場合におけるループスティフネスのうち、大きい値を採用する。
また、発泡性接着シートのループスティフネスを測定するに際しては、後述するように発泡性接着シートがセパレータを有する場合には、セパレータを剥離した後に、発泡性接着シートのループスティフネスを測定することとする。これは、第一部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置する際、発泡性接着シートからセパレータを剥離するためである。
本開示において、発泡性接着シートのループスティフネスは、例えば、各層の厚さおよび硬さを調整することにより、制御できる。例えば、基材の厚さが厚いと、ループスティフネスが大きくなる傾向にある。また、例えば、基材の硬さが高いと、ループスティフネスが大きくなる傾向にある。また、例えば、第一接着層の硬さが第二接着層の硬さよりも高い場合には、第一接着層の厚さが厚くなるほど、ループスティフネスが大きくなる傾向にある。また、第一接着層および第二接着層の硬さが高いと、ループスティフネスが大きくなる傾向にある。
なお、第一接着層および第二接着層の硬さの制御方法は、上述したとおりである。
(3)発泡硬化後の接着性
本開示における発泡性接着シートは、発泡硬化後の接着性が高いことが好ましい。発泡性接着シートの発泡硬化後において、ISO 4587:1995に対応するJIS K6850:1999に基づく引張せん断接着強さは、23℃において、例えば1.50MPa以上であってもよく、1.80MPa以上であってもよく、2.10MPa以上であってもよい。また、上記引張せん断接着強さは、130℃において、例えば0.50MPa以上であってもよく、0.75MPa以上であってもよく、1.00MPa以上であってもよい。例えば、加熱の必要のない高強度のアクリルフォーム粘着テープにおいては、引張せん断接着強さが常温で1MPa以上2MPa以下程度であり、200℃では耐熱性がない。そのため、上記引張せん断接着強さが23℃で上記範囲であれば、強度面での優位性がある。また、上記引張せん断接着強さが130℃で上記範囲であれば、自動車のエンジン回りやそれに近い耐熱性が必要とされる用途への適用が可能になる。
(4)発泡硬化後の電気絶縁性
本開示における発泡性接着シートは、発泡硬化後の電気絶縁性が高いことが好ましい。発泡性接着シートの発泡硬化後において、IEC 60454-2に対応するJIS C2107に基づく絶縁破壊電圧は、例えば3kV以上が好ましく、5kV以上がより好ましい。上記絶縁破壊電圧が上記範囲であることにより、防錆や銅線まわりへの適用が可能となる。また、発泡性接着シートの発泡硬化後において、熱伝導率は、例えば0.05W/mK以上が好ましく、0.10W/mK以上がより好ましい。上記熱伝導率が上記範囲であることにより、部品の小型化を図ることができ、また加熱時の硬化反応を促進できる。
2.第一接着層および第二接着層
本開示において、第一接着層および第二接着層は、熱硬化型接着剤を含有する。また、第一接着層および第二接着層の少なくとも一方は、発泡剤をさらに含有する。
(1)第一接着層および第二接着層の物性
(a)タック
本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴または溝に第二部材を固定する場合において、発泡性接着シートの第一接着層が第一部材側を向き、第二接着層が第二部材側を向くように、発泡性接着シートを配置する場合には、第二接着層のタックが低いことが好ましい。
上記の場合、第二接着層のタックは、例えば、0.1N未満が好ましく、0.05N以下であってもよく、0.02N以下であってもよい。第二接着層のタックの下限は、特に限定されず、0Nであってもよい。第二接着層のタックが上記範囲であることにより、第二接着層が実質的に非粘着性(タックフリー)になる。これにより、第二接着層の滑り性が良好になり、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝への、第二部材の挿入性を向上できる。よって、発泡性接着シートの剥がれや位置ずれを抑制できる。そのため、発泡性接着シートの剥がれや位置ずれによる発泡性接着シートの発泡硬化後の接着性の低下を抑制するとともに、発泡性接着シートの剥がれや位置ずれによる発泡性接着シートの発泡硬化後の接着強度のばらつきを小さくすることができる。したがって、上記の場合には、本開示における発泡性接着シートを用いることにより、接着強度が高く、高信頼性、高品質の接着を実現することができる。また、第一部材に対して第二部材を動かして第一部材および第二部材の位置合わせを行う際には、発泡性接着シートが配置された後の第一部材の穴または溝に、第二部材を挿入した状態で、第一部材に対して第二部材をスムーズに動かすことができ、位置合わせを容易に行うことができる。さらに、第二接着層のタックが上記範囲内であることにより、第二接着層の滑り性が良好になるとともに、耐ブロッキング性も良好になる。よって、発泡性接着シートの取扱性も良くすることができる。
また、上記の場合、第一接着層のタックは、第二接着層のタックと同様に低くてもよく、第二接着層のタックよりも高くてもよい。
第一接着層のタックおよび第二接着層のタックがいずれも低い場合、第一接着層のタックは、上記の第二接着層のタックと同様である。第一接着層のタックが上記範囲であることにより、第一接着層が実質的に非粘着性(タックフリー)になる。これにより、第一接着層の滑り性が良好になり、第一部材の穴または溝への発泡性接着シートの挿入性を向上できる。よって、発泡性接着シートの剥がれや位置ずれを抑制できる。また、第一接着層のタックが上記範囲内であることにより、第一接着層の滑り性が良好になるとともに、耐ブロッキング性も良好になる。よって、発泡性接着シートの取扱性も良くすることができる。
一方、第一接着層のタックが第二接着層のタックよりも高い場合、第一接着層のタックは、例えば、0.1N以上であり、0.3N以上であってもよく、0.5N以上であってもよい。また、第一接着層のタックは、例えば、5N以下であり、4N以下であってもよく、3N以下であってもよい。第一接着層のタックが上記範囲であっても、第一部材の穴または溝に対して発泡性接着シートは薄いので、第一部材の穴または溝に発泡性接着シートを配置できる。また、第一接着層のタックが上記範囲内であることにより、例えば、第一接着層を転写法により形成する場合には、第一接着層の浮きを抑制できる。さらに、後述するように、第一接着層の基材とは反対の面側にセパレータが配置されている場合には、第一接着層のタックが所定の範囲内であることにより、セパレータを容易に剥離することができ、作業性を向上できる。
ここで、第一接着層および第二接着層のタックは、プローブタック試験により測定する。具体的には、発泡性接着シートの接着層の面に、直径5mmの円柱形のステンレス製のプローブを、温度25℃の条件で、荷重10.0gf、速度30mm/minで押し付け、1.0秒間保持した後、速度30mm/minで引き剥がし、引き剥がすときの荷重を測定する。この測定を5回行い、平均値をタックとする。プローブタック試験機としては、例えば、RHESCA社製のタッキング試験機「TAC-II」を用いることができる。
本開示において、第一接着層および第二接着層のタックは、例えば、各接着層の組成を調整することにより、制御できる。
具体的には、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する接着層において、常温で固体のエポキシ樹脂を用いたり、常温で固体の硬化剤を用いたりすることにより、接着層の粘着性を低下させることができる。一方、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する接着層において、常温で液体のエポキシ樹脂を用いたり、常温で液体の硬化剤を用いたりすると、接着層の粘着性が高くなる傾向がある。
また、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する接着層において、軟化温度の高いエポキシ樹脂を含有させる、あるいは重量平均分子量の大きいエポキシ樹脂を含有させることにより、接着層の粘着性を低下させることができる。一方、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する接着層において、軟化温度の低いエポキシ樹脂を含有させる、あるいは重量平均分子量の小さいエポキシ樹脂を含有させると、接着層の粘着性が高くなる傾向がある。例えば、接着層に軟化温度の異なる複数種のエポキシ樹脂を含有させる、すなわち、接着層が、一のエポキシ樹脂と、軟化温度が25℃以上であり、かつ、上記一のエポキシ樹脂の軟化温度よりも10℃以上高い、他のエポキシ樹脂とを含有することにより、接着層の粘着性を低下させることができる。また、例えば、接着層に重量平均分子量の異なる複数種のエポキシ樹脂を含有させる、すなわち、接着層が、一のエポキシ樹脂と、重量平均分子量が370以上であり、かつ、上記一のエポキシ樹脂の重量平均分子量よりも300以上大きい、他のエポキシ樹脂とを含有することにより、接着層の粘着性を低下させることができる。より具体的には、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する接着層において、後述するように、エポキシ樹脂として、軟化温度が低く、低分子量の第一エポキシ樹脂と、軟化温度が高く、高分子量の第二エポキシ樹脂とを含有させることにより、接着層の粘着性を低下させることができる。
また、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する接着層において、後述するように、エポキシ樹脂と相溶するアクリル樹脂を含有させることにより、接着層の粘着性を低下させることができる。
また、接着層に粘着付与樹脂(タッキファイヤ)を添加することにより、接着層の粘着性が高くなる傾向がある。
なお、常温で液体の硬化剤を用いると、粘着性が高くなる傾向にあるものの、保存安定性が低下する可能性があるため、硬化剤以外の成分、例えばエポキシ樹脂等の特性や種類等を調整することで、接着層のタックを調整することが好ましい。
(b)鉛筆硬度
本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴または溝に第二部材を固定する場合において、発泡性接着シートの第一接着層が第一部材側を向き、第二接着層が第二部材側を向くように、発泡性接着シートを配置する場合には、第二接着層の表面の鉛筆硬度が高いことが好ましい。
上記の場合、第二接着層の表面の鉛筆硬度は、例えば、HB以上が好ましく、HB以上2H以下であってもよく、F以上2H以下であってもよい。第二接着層の表面の鉛筆硬度が上記範囲であることにより、第二接着層の滑り性を良くし、さらに第二接着層の耐ブロッキング性も良くすることができる。一方、第二接着層の表面の鉛筆硬度が高すぎると、第二接着層の基材に対する密着性が低下する場合がある。
また、上記の場合、第一接着層の表面の鉛筆硬度は、第二接着層の表面の鉛筆硬度と同様に高くてもよく、第二接着層の表面の鉛筆硬度よりも低くてもよい。
第一接着層の表面の鉛筆硬度および第二接着層の表面の鉛筆硬度のいずれも高い場合、第一接着層の表面の鉛筆硬度は、上記の第二接着層の表面の鉛筆硬度と同様である。第一接着層の表面の鉛筆硬度が上記範囲であることにより、第一接着層の滑り性を良くし、さらに第一接着層の耐ブロッキング性も良くすることができる。一方、第一接着層の表面の鉛筆硬度が高すぎると、第一接着層の基材に対する密着性が低下する場合がある。
一方、第一接着層の表面の鉛筆硬度が第二接着層の表面の鉛筆硬度よりも低い場合、第一接着層の表面の鉛筆硬度は、例えば、HB未満であり、B以下であってもよい。なお、第一接着層のタックが高く、第一接着層の表面の鉛筆硬度が測定できない場合には、第一接着層の表面の鉛筆硬度が6B以下であるとみなす。
ここで、鉛筆硬度は、JIS K5600に準拠して求める。具体的には、下記の方法が挙げられる。まず、A4サイズの発泡性接着シートを用意し、ガラス板上にセットする。次に、JIS K5600に準拠し、鉛筆硬度試験機(水準器つき)にて、発泡性接着シートの試験される接着層が配置されている面の鉛筆硬度を測定する。測定条件は、鉛筆の水平状態からの角度45°、荷重750g、試験速度1mm/秒、試験長20mm、温度23℃とする。そして、目視にて発泡性接着シートの接着層の面に傷がつかない最大の鉛筆の硬さを鉛筆硬度とする。鉛筆硬度試験機は、例えば、TQC製のKT-VF2378-12を用いることができる。
本開示において、第一接着層および第二接着層の表面の鉛筆硬度は、例えば、第一接着層および第二接着層の組成等により制御できる。具体的には、上記鉛筆硬度は、接着層に含まれる発泡剤の平均粒径や含有量等により制御できる。より具体的には、発泡剤の平均粒径を大きくすることにより、上記鉛筆硬度を高くすることができる。また、発泡剤の含有量を多くすることにより、上記鉛筆硬度を高くすることができる。また、例えば、接着層に無機充填剤を含有させることにより、上記鉛筆硬度を高くすることができる。また、例えば、接着層に剛直な構造を有する成分を含有させることにより、上記鉛筆硬度を高くすることができる。具体的には、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する接着層において、剛直な構造を有する成分としては、フェノール樹脂を挙げることができる。
(c)静摩擦係数
本開示における発泡性接着シートを用いて、第一部材の穴または溝に第二部材を固定する場合において、発泡性接着シートの第一接着層が第一部材側を向き、第二接着層が第二部材側を向くように、発泡性接着シートを配置する場合には、第二接着層の表面の摩擦係数が低いことが好ましい。
上記の場合、第二接着層の表面の静摩擦係数は、例えば、0.34以下であり、0.30以下であってもよく、0.26以下であってもよい。また、第二接着層の表面の静摩擦係数は、例えば、0.16以上であってもよい。第二接着層の表面の静摩擦係数が上記範囲であることにより、第二接着層の滑り性を良くすることができる。
また、上記の場合、第一接着層の表面の静摩擦係数は、第二接着層の表面の静摩擦係数と同様に低くてもよく、第二接着層の表面の静摩擦係数よりも高くてもよい。
第一接着層の表面の静摩擦係数および第二接着層の表面の静摩擦係数がいずれも低い場合、第一接着層の表面の静摩擦係数は、上記の第二接着層の表面の静摩擦係数と同様である。第一接着層の表面の静摩擦係数が上記範囲であることにより、第一接着層の滑り性を良くすることができる。
一方、第一接着層の表面の静摩擦係数が第二接着層の表面の静摩擦係数よりも高い場合、第一接着層の表面の静摩擦係数は、例えば、0.34超であり、0.38以上であってもよい。
ここで、静摩擦係数は、JIS K7125に準拠して求める。具体的には、下記の方法が挙げられる。まず、発泡性接着シートを80mm×200mmに断裁する。続いて、水平に静置した矩形状の金属板上に発泡性接着シートを静置し、発泡性接着シートの試験される接着層が配置されている面上に滑り片(63mm×63mm、重さ200g、底面:フェルト)を載せて、試験速度100mm/min、試験長50mm、ロードセル10N、温度23℃の条件で摩擦力を測定し、発泡性接着シートの試験される接着層が配置されている面と金属板との静摩擦係数を算出する。装置は、東洋精機社製作所製の摩擦測定機FRICTION TESTER TR-2を用いることができる。また、金属板は、例えば、材質がSUS304であり、表面粗さRaが0.05μmであるステンレス板を用いることができる。
本開示において、第一接着層および第二接着層の表面の静摩擦係数は、例えば、第一接着層および第二接着層の組成を調整する、あるいは、第一接着層および第二接着層の表面の鉛筆硬度を調整すること等により、制御できる。具体的には、上記静摩擦係数は、接着層に含まれる発泡剤の平均粒径や含有量等により制御できる。より具体的には、発泡剤の平均粒径が大きくなると、上記静摩擦係数が小さくなる傾向がある。また、発泡剤の含有量が多くなると、上記静摩擦係数が小さくなる傾向がある。また、接着層の表面の鉛筆硬度が高くなると、上記静摩擦係数が小さくなる傾向がある。
(2)第一接着層および第二接着層の材料
本開示における第一接着層および第二接着層は、熱硬化型接着剤を含有する。また、第一接着層および第二接着層の少なくとも一方は、発泡剤をさらに含有する。
(a)熱硬化型接着剤
本開示における第一接着層および第二接着層に含まれる熱硬化型接着剤としては、一般に発泡性接着シートの接着層に使用される熱硬化型接着剤を用いることができる。熱硬化型接着剤は、例えば金属製の部材のように第一材および第二部材が透明性を有さない場合でも適用可能である。
また、熱硬化型接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、不飽和ポリエステル樹脂系接着剤、アルキド樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、熱硬化性ポリイミド樹脂系接着剤等が挙げられる。
中でも、熱硬化型接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤であることが好ましい。すなわち、熱硬化型接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有することが好ましい。一般に、エポキシ樹脂系接着剤は、機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐薬品性等に優れており、硬化収縮が小さく、幅広い用途に用いることができる。
以下、熱硬化型接着剤がエポキシ樹脂系接着剤である場合について例を挙げて説明する。
(i)エポキシ樹脂
本開示におけるエポキシ樹脂は、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有し、硬化剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化する化合物である。エポキシ樹脂には、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有する単量体も含まれる。
エポキシ樹脂としては、一般に発泡性接着シートの接着層に使用されるエポキシ樹脂を用いることができる。
第二接着層のタックが第一接着層のタックよりも低い場合、タックの低い第二接着層に含有される熱硬化型接着剤は、エポキシ樹脂として、後述の第一エポキシ樹脂と第二エポキシ樹脂とを含有することが好ましい。また、第一接着層および第二接着層のタックがいずれも低い場合、第一接着層および第二接着層に含有される熱硬化型接着剤は、エポキシ樹脂として、後述の第一エポキシ樹脂と第二エポキシ樹脂とを含有することが好ましい。具体的には、熱硬化型接着剤は、エポキシ樹脂として、軟化温度が50℃以上であり、かつ、エポキシ当量が5000g/eq以下である第一エポキシ樹脂と、軟化温度が上記第一エポキシ樹脂より高く、かつ、重量平均分子量が20,000以上である第二エポキシ樹脂とを含有することが好ましい。第一エポキシ樹脂および第二エポキシ樹脂を組み合せて用いることで、接着層の粘着性(タック性)を低下させることができ、滑り性が良好な発泡性接着シートを得ることができる。さらには、耐ブロッキング性および発泡硬化後の接着性が良好な接着層を得ることができる。
例えば、発泡硬化後の接着性の向上のみを図る場合、高分子量(高エポキシ当量)のエポキシ樹脂よりも低分子量(低エポキシ当量)のエポキシ樹脂を用いることが有効である。しかしながら、低分子量(低エポキシ当量)のエポキシ樹脂を用いた場合、例えば発泡性接着シートをロール状に巻き取った際に、低分子量(低エポキシ当量)のエポキシ樹脂同士が同化し、ブロッキングが生じやすくなる。
これに対して、軟化温度が相対的に低く(結晶性が相対的に高く)、かつ、低分子量(低エポキシ当量)な第一エポキシ樹脂を用いる場合、第一エポキシ樹脂は、軟化温度以上の温度になると、急速に融解して低粘度の液状に変化する。そのため、発泡硬化後の接着性を向上させやすい。一方、第一エポキシ樹脂は、結晶性が相対的に高いため、結晶性が相対的に低いエポキシ樹脂または結晶性を有しないエポキシ樹脂と比較すると、ブロッキングの発生を抑制できる。しかしながら、第一エポキシ樹脂のみを用いた場合、ブロッキングの発生抑制効果が不十分である可能性や、接着層の粘着性(タック性)が高くなりすぎる可能性がある。そのため、軟化温度が相対的に高く(結晶性が相対的に低く)、かつ、高分子量な第二エポキシ樹脂をさらに用いることにより、ブロッキングの発生抑制効果を向上させることや、接着層の粘着性(タック性)を低く抑えることができる。
一方、第二接着層のタックが第一接着層のタックよりも低い場合、タックの高い第一接着層においては、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等の常温で液体のエポキシ樹脂、および、軟化点の低いエポキシ樹脂を用いることが好ましい。これらのエポキシ樹脂を用いることで、第一接着層のタックを所定の範囲内に調整しやすいからである。
以下、第一エポキシ樹脂および第二エポキシ樹脂について説明する。
(i-1)第一エポキシ樹脂
第一エポキシ樹脂は、軟化温度が50℃以上であり、かつ、エポキシ当量が5000g/eq以下である。第一エポキシ樹脂は、後述する第二エポキシ樹脂と比較して、軟化温度が相対的に低い(結晶性が相対的に高い)。第一エポキシ樹脂は、結晶性が相対的に高く、分子量が低いことから、発泡硬化後の接着性および耐ブロッキング性を向上させやすい。また、第一エポキシ樹脂は、分子量が低いため、架橋密度を高くでき、機械的強度、耐薬品性、硬化性が良好な接着層が得られる。また、第一エポキシ樹脂は、常温(23℃)で固体のエポキシ樹脂であることが好ましい。
第一エポキシ樹脂の軟化温度は、通常、50℃以上であり、55℃以上であってもよく、60℃以上であってもよい。一方、第一エポキシ樹脂の軟化温度は、例えば150℃以下である。軟化温度は、JIS K7234に準拠し、環球法により測定できる。
第一エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば5000g/eq以下であり、3000g/eq以下であってもよく、1000g/eq以下であってもよく、600g/eq以下であってもよい。一方、第一エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば90g/eq以上であり、100g/eq以上であってもよく、110g/eq以上であってもよい。エポキシ当量は、ISO 3001(Plastics Epoxy compounds-Determination of epoxy equivalent)に対応するJIS K7236に準拠した方法により測定することができ、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
第一エポキシ樹脂は、1官能のエポキシ樹脂であってもよく、2官能のエポキシ樹脂であってもよく、3官能のエポキシ樹脂であってもよく、4官能以上のエポキシ樹脂であってもよい。
また、第一エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常、後述する第二エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)よりも小さい。第一エポキシ樹脂のMwは、例えば6,000以下であり、4,000以下であってもよく、3,000以下であってもよい。一方、第一エポキシ樹脂のMwは、例えば400以上である。Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際のポリスチレン換算の値である。
第一エポキシ樹脂は、150℃における溶融粘度が、例えば0.005Pa・s以上であり、0.015Pa・s以上であってもよく、0.03Pa・s以上であってもよく、0.05Pa・s以上であってもよく、0.1Pa・s以上であってもよい。溶融粘度が低すぎると、良好な発泡性が得られない可能性がある。また、第一エポキシ樹脂の溶融粘度が低すぎると(第一エポキシ樹脂の結晶性が高すぎると)、得られる接着層の粘着性(タック性)が高くなる可能性がある。その理由は、第一エポキシ樹脂の溶融粘度が低すぎると(第一エポキシ樹脂の結晶性が高すぎると)、第二エポキシ樹脂またはアクリル樹脂と相溶した際に、その結晶性が大きく低下し、接着層のTgが低下するためであると推測される。一方、第一エポキシ樹脂は、150℃における溶融粘度が、例えば10Pa・s以下であり、5Pa・s以下であってもよく、2Pa・s以下であってもよい。溶融粘度が高すぎると、得られる接着層の均一性が低下する可能性がある。溶融粘度は、ISO 2555(Resins in the liquid state or as emulsions or dispersions Determination of Brookfield RV viscosity)に対応するJIS K6862に準拠し、ブルックフィールド形単一円筒回転粘度計、および、溶液を加温するためのサーモセルを用いて測定することにより求めることができる。
次に、第一エポキシ樹脂の構成について説明する。第一エポキシ樹脂としては、例えば、芳香族系エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環系エポキシ樹脂が挙げられる。第一エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂やゴム変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂が挙げられる。また、他の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂が挙げられる。第一エポキシ樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格の繰り返し単位の数によって、常温で液体の状態、または常温で固体の状態で存在することができる。主鎖のビスフェノール骨格が、例えば2以上10以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温で固体である。特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、耐熱性向上を図ることができる点で好ましい。
特に、第一エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表されるビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。
Figure 2024098844000002
一般式(1)において、Rは、C2m(mは1以上3以下である)で表される基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、C2p+1(pは1以上3以下である)で表される基であり、nは、0以上10以下である。
一般式(1)において、Rにおけるmは1であること、すなわち、Rは-CH-であることが好ましい。同様に、RおよびRにおけるpは1であること、すなわち、RおよびRは-CHであることが好ましい。また、一般式(1)のベンゼン環に結合する水素は、他の元素または他の基で置換されていてもよい。
第一エポキシ樹脂の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、1質量部以上であり、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよく、10質量部以上であってもよく、15質量部以上であってもよく、25質量部以上であってもよい。第一エポキシ樹脂の含有量が少なすぎると、発泡硬化後の接着性および耐ブロッキング性が低下する可能性がある。一方、第一エポキシ樹脂の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、90質量部以下であり、80質量部以下であってもよく、70質量部以下であってもよく、60質量部以下であってもよく、50質量部以下であってもよく、40質量部以下であってもよい。第一エポキシ樹脂の含有量が多すぎると、第二エポキシ樹脂およびアクリル樹脂の含有量が相対的に少なくなり、非粘着性、耐ブロッキング性、発泡硬化後の基材に対する密着性、発泡硬化後の耐割れ性、および発泡硬化後の接着性をバランスさせることができない可能性がある。
(i-2)第二エポキシ樹脂
第二エポキシ樹脂は、軟化温度が第一エポキシ樹脂より高く、かつ、重量平均分子量が20,000以上である。第二エポキシ樹脂は、上述した第一エポキシ樹脂と比較して、軟化温度が相対的に高い(結晶性が相対的に低い)。第二エポキシ樹脂は、結晶性が相対的に低く、分子量が高いことから、耐ブロッキング性を向上させやすい。さらに、第二エポキシ樹脂は、結晶性が相対的に低く、分子量が高いことから、第一エポキシ樹脂による粘着性(タック性)の増加を抑制できる。また、第二エポキシ樹脂は、常温(23℃)で固体のエポキシ樹脂であることが好ましい。
第二エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常、第一エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)よりも大きい。第二エポキシ樹脂のMwは、通常、20,000以上であり、30,000以上であってもよく、35,000以上であってもよい。一方、第二エポキシ樹脂のMwは、例えば100,000以下である。
第二エポキシ樹脂のエポキシ当量は、第一エポキシ樹脂のエポキシ当量に比べて、大きくてもよく、小さくてもよく、同じであってもよい。第二エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば4000g/eq以上であり、5000g/eq以上であってもよく、6000g/eq以上であってもよい。一方、第二エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば20000g/eq以下である。
第二エポキシ樹脂は、1官能のエポキシ樹脂であってもよく、2官能のエポキシ樹脂であってもよく、3官能のエポキシ樹脂であってもよく、4官能以上のエポキシ樹脂であってもよい。
第二エポキシ樹脂の軟化温度は、通常、第一エポキシ樹脂の軟化温度よりも高い。両者の差は、例えば10℃以上であり、20℃以上であってもよく、30℃以上であってもよい。第二エポキシ樹脂の軟化温度は、例えば80℃以上であり、90℃以上であってもよい。一方、第二エポキシ樹脂の軟化温度は、例えば180℃以下である。
第二エポキシ樹脂の構成については、上述した第一エポキシ樹脂の構成と同様であるので、ここでの記載は省略する。
第二エポキシ樹脂の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、10質量部以上であり、15質量部以上であってもよく、20質量部以上であってもよく、25質量部以上であってもよく、30質量部以上であってもよく、35質量部以上であってもよく、40質量部以上であってもよく、45質量部以上であってもよい。第二エポキシ樹脂の含有量が少なすぎると、粘着性が高くなり、耐ブロッキング性が低下する可能性がある。一方、第二エポキシ樹脂の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、90質量部以下であり、85質量部以下であってもよく、80質量部以下であってもよく、75質量部以下であってもよい。第二エポキシ樹脂の含有量が多すぎると、第一エポキシ樹脂およびアクリル樹脂の含有量が相対的に少なくなり、非粘着性、耐ブロッキング性、発泡硬化後の基材に対する密着性、発泡硬化後の耐割れ性、および発泡硬化後の接着性をバランスさせることができない可能性がある。
第一エポキシ樹脂および第二エポキシ樹脂の合計に対する、第一エポキシ樹脂の割合は、例えば5質量%以上であり、10質量%以上であってもよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。一方、第一エポキシ樹脂の上記割合は、例えば80質量%以下であり、75質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。
また、接着層に含まれる全てのエポキシ樹脂に対する、第一エポキシ樹脂および第二エポキシ樹脂の合計の割合は、例えば50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
(ii)アクリル樹脂
熱硬化型接着剤がエポキシ樹脂系接着剤である場合、接着層は、エポキシ樹脂と相溶するアクリル樹脂をさらに含有していてもよい。アクリル樹脂は、エポキシ樹脂と相溶した樹脂である。アクリル樹脂は、エポキシ樹脂と相溶することから、接着層の靭性を向上させやすい。その結果、発泡硬化後の接着性を向上できる。さらに、アクリル樹脂が、発泡剤(例えば、シェル部がアクリロニトリルコポリマーの樹脂である発泡剤)の相溶化剤として働き、均一に分散、発泡することで、発泡硬化後の接着性が向上すると考えられる。また、アクリル樹脂による柔軟性が発揮され、発泡硬化後の基材に対する密着性や発泡硬化後の耐割れ性の向上を図ることができる。また、アクリル樹脂がエポキシ樹脂と相溶することで、接着層表面の硬度を高く保つことができる。一方、アクリル樹脂がエポキシ樹脂と非相溶であると、接着層表面に柔軟な部位が形成されるため、被着体との界面が滑りにくくなり、作業性が低下することがある。
本開示におけるアクリル樹脂は、エポキシ樹脂と相溶している。ここで、アクリル樹脂がエポキシ樹脂と相溶していることは、例えば、発泡性接着シートの接着層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときに、ミクロンサイズの島が発生していないことから確認することができる。より具体的には、島の平均粒径が1μm以下であることが好ましい。中でも、島の平均粒径は、0.5μm以下であってもよく、0.3μm以下であってもよい。サンプル数は多いことが好ましく、例えば100以上である。観察するエリア面積は、100μm×100μmの範囲、もしくは、接着層の厚さが100μm以下の場合は、厚さ×100μmの範囲で行う。
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば50,000以上であり、70,000以上であってもよく、100,000以上であってもよい。第一エポキシ樹脂は結晶性が相対的に高く、加熱時の溶融粘度(もしくは動的粘弾性)が低くなりすぎてしまい、発泡後の硬化時(発泡剤の発泡が終了してから接着層が硬化するまでの間)に収縮が起きてしまう可能性があるが、ある程度の分子量を有するアクリル樹脂を用いることで、溶融粘度を低くなりすぎることを抑制でき、発泡後の硬化時に収縮が起きにくくなる。一方、アクリル樹脂のMwは、例えば1,500,000以下である。アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPC(溶離液:THF、標準物質:PS、試料:20μL、流量:1mL/min、カラム温度:40℃)により測定する。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば90℃以上であり、100℃以上であってもよい。一方、アクリル樹脂のTgは、例えば180℃以下である。Tgは、ISO 3146に対応するJIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(DSC)等の熱分析により測定する。
アクリル樹脂は、発泡開始温度で貯蔵弾性率(E’)が1×10Pa以下であってもよい。発泡開始時におけるE’が低いことで、流動性が向上し、良好な発泡性を得ることができる。一方、発泡開始温度におけるE’は、例えば1×10Pa以上である。なお、発泡開始温度は、発泡剤の種類に応じて異なる温度である。また、発泡剤として、二種以上の発泡剤を用いる場合は、主たる発泡反応の開始温度を発泡開始温度とする。
アクリル樹脂は、硬化開始温度で貯蔵弾性率(E’)が1×10Pa以上であってもよい。上述したように、発泡後の硬化時(発泡剤の発泡が終了してから接着層が硬化するまでの間)に収縮が起きる場合があるが、硬化開始温度におけるE’が大きいことで、収縮を抑えることができ、良好な形状保持性を得ることができる。なお、硬化開始温度は、硬化剤の種類に応じて異なる温度である。また、硬化剤として、二種以上の硬化剤を用いる場合は、主たる硬化反応の開始温度を硬化開始温度とする。
また、アクリル樹脂は、0℃以上100℃以下における貯蔵弾性率(E’)の平均値が、1×10Pa以上であってもよい。発泡前におけるE’の平均値が高いことで、良好な非粘着性、耐ブロッキング性を得ることができる。一方、0℃以上100℃以下の貯蔵弾性率(E’)の平均値は、例えば1×10Pa以下である。
アクリル樹脂は、極性基を有していてもよい。極性基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基が挙げられる。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステル単量体の単独重合体であり、上記単独重合体を2種以上含む混合成分であってもよく、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体であり、共重合体を1以上含む成分であってもよい。また、アクリル樹脂は、上記単独重合体と上記共重合体との混合成分であってもよい。アクリル酸エステル単量体の「アクリル酸」には、メタクリル酸の概念も含まれる。具体的には、アクリル樹脂は、メタクリレートの重合体とアクリレートの重合体との混合物であってもよく、アクリレート-アクリレート、メタクリレート-メタクリレート、メタクリレート-アクリレート等のアクリル酸エステル重合体であってもよい。中でも、アクリル樹脂は、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体((メタ)アクリル酸エステル共重合体)を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する単量体成分としては、例えば、特開2014-065889号公報に記載の単量体成分が挙げられる。上記単量体成分は、上述した極性基を有していてもよい。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エチルアクリレート-ブチルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、エチルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート-アクリロニトリル共重合体が挙げられる。なお、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の「アクリル酸」には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の「メタクリル酸」も含まれる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、ブロック共重合体が好ましく、さらにメタクリレート-アクリレート共重合体等のアクリル系ブロック共重合体が好ましい。アクリル系ブロック共重合体を構成する(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジジルが挙げられる。これらの「アクリル酸」には、「メタクリル酸」も含まれる。
メタクリレート-アクリレート共重合体の具体例としては、メチルメタクリレート-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート(MMA-BA-MMA)共重合体等のアクリル系共重合体が挙げられる。MMA-BA-MMA共重合体には、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(PMMA-PBA-PMMA)のブロック共重合体も含まれる。
アクリル系共重合体は、極性基を有していなくてもよく、また一部に上述した極性基を導入した変性物であってもよい。上記変性物は、エポキシ樹脂と相溶しやすいため、接着性がより向上する。
中でも、アクリル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である第一重合体部分と、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である第二重合体部分とを有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、柔らかいセグメントとなる第一重合体部分と、硬いセグメントとなる第二重合体部分とを有する。
上記の効果の発現は、以下のように推定できる。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体のような、柔らかいセグメントと、硬いセグメントとを併せ持つアクリル樹脂を用いることで、硬いセグメントが耐熱性に寄与し、柔らかいセグメントが靱性ないし柔軟性に寄与するため、耐熱性、靱性、柔軟性が良好な接着層が得られる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第一重合体部分および第二重合体部分の少なくとも一方は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する。第一重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、柔軟性を高めることができる。また、第二重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、凝集性や靱性を高めることができる。
第一重合体部分または第二重合体部分の一方がエポキシ樹脂に対して相溶性を有しない場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する重合体部分である相溶部位と、エポキシ樹脂に対して相溶性を有しない重合体部分である非相溶部位とを有することになる。この場合、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を添加すると、相溶部位がエポキシ樹脂と相溶し、非相溶部位がエポキシ樹脂と相溶しないため、微細な相分離が起こる。その結果、微細な海島構造が発現する。海島構造としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の種類、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第一重合体部分および第二重合体部分の相溶性、極性基導入による変性の有無によって異なり、例えば、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、エポキシ樹脂の硬化物が島であるような海島構造が挙げられる。このような海島構造を有することで、応力を分散させやすくすることができるので、界面破壊を避けることができ、発泡硬化後に優れた接着性が得られる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、中でもブロック共重合体であることが好ましく、特に、相溶部位を重合体ブロックA、非相溶部位を重合体ブロックBとするA-B-Aブロック共重合体であることが好ましい。さらには、第一重合体部分が非相溶部位、第二重合体部分が相溶部位であり、第一重合体部分を重合体ブロックB、第二重合体部分を重合体ブロックAとするA-B-Aブロック共重合体であることが好ましい。アクリル樹脂としてこのようなA-B-Aブロック共重合体を用いることにより、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造の場合には、島部分を小さくすることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造の場合や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、エポキシ樹脂の硬化物が島であるような海島構造の場合には、海部分を小さくすることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、第一重合体部分または第二重合体部分の一部に上述の極性基を導入した変性物であってもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第一重合体部分のTgは、10℃以下であり、-150℃以上、10℃以下の範囲内、中でも-130℃以上、0℃以下の範囲内、特に-110℃以上、-10℃以下の範囲内とすることができる。
なお、第一重合体部分のTgは、「POLYMERHANDBOOK第三版」(John Wiley & Sons,Ink.発行)に記載された各単独重合体のTg(K)を基にして、下記式で計算により求めることができる。
1/Tg(K)=W/Tg+W/Tg+・・・・+W/Tg
;各単量体の質量分率
Tg;各単量体の単独重合体のTg(K)であり、ポリマーハンドブック(3rd Ed.,J.Brandrup and E.H.Immergut,WILEY INTERSCIENCE)中の値など、一般に公開されている掲載値を用いればよい。後述の第二重合体部分のTgも同様である。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第一重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体であることが好ましい。第一重合体部分を構成する単量体成分および重合体成分は、Tgが所定の範囲である第一重合体部分を得ることができる単量体成分および重合体成分であればよく、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、酢酸ビニル、アセタール、ウレタン等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体、EVA等の共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第二重合体部分のTgは、20℃以上であり、20℃以上、150℃以下の範囲内、中でも30℃以上、150℃以下の範囲内、特に40℃以上、150℃以下の範囲内とすることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第二重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体であることが好ましい。第二重合体部分を構成する単量体成分は、Tgが所定の範囲である第二重合体部分を得ることができる単量体成分であればよく、例えばメタクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、アクリルアミド、スチレン、塩化ビニル、アミド、アクリロニトリル、酢酸セルロース、フェノール、ウレタン、塩化ビニリデン、塩化メチレン、メタクリロニトリル等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体が挙げられる。
上記の第一重合体部分および第二重合体部分を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の具体例としては、上記のMMA-BA-MMA共重合体が挙げられる。
アクリル樹脂の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、1質量部以上であり、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよく、7質量部以上であってもよく、10質量部以上であってもよい。アクリル樹脂の含有量が少なすぎると、発泡硬化後の基材に対する密着性、発泡硬化後の耐割れ性、および発泡硬化後の接着性が低下する可能性がある。一方、アクリル樹脂の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、60質量部以下であり、50質量部以下であってもよく、40質量部以下であってもよく、35質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよい。アクリル樹脂の含有量が多すぎると、第一エポキシ樹脂および第二エポキシ樹脂の含有量が相対的に少なくなり、非粘着性、耐ブロッキング性、発泡硬化後の基材に対する密着性、発泡硬化後の耐割れ性、および発泡硬化後の接着性をバランスさせることができない可能性がある。また、アクリル樹脂の含有量が多すぎると、膜強度が低下する可能性がある。
(iii)硬化剤
本開示における硬化剤としては、熱により硬化反応が生じる硬化剤であり、一般にエポキシ樹脂系接着剤に使用される硬化剤を用いることができる。硬化剤は、常温(23℃)で固体であることが好ましい。常温で固体である硬化剤は、常温で液体である硬化剤と比較して、保存安定性(ポットライフ)を長くすることができる。また、硬化剤は、潜在性硬化剤であってもよい。また、硬化剤を単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
なお、第二接着層のタックが第一接着層のタックよりも低い場合、タックの高い第一接着層においては、常温で固体の硬化剤も、常温で液体の硬化剤も用いることができるが、保存安定性の観点から、常温で固体の硬化剤を用いることが好ましい。
硬化剤の反応開始温度は、例えば110℃以上であり、130℃以上であってもよい。反応開始温度が低すぎると、反応が早期に開始され、樹脂成分の柔軟性や流動性が低い状態で硬化が生じ、均一な硬化が生じにくい可能性がある。一方、硬化剤の反応開始温度は、例えば、200℃以下である。反応開始温度が高すぎると、樹脂成分が劣化する可能性がある。なお、エポキシ樹脂の他に、例えばフェノール樹脂等の耐熱性が高い樹脂を使用する場合には、樹脂成分の劣化が少ないため、硬化剤の反応開始温度は、例えば300℃以下であってもよい。硬化剤の反応開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
硬化剤の具体例としては、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、チオール系硬化剤が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、イミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールや、イミダゾール化合物のカルボン酸塩、エポキシ化合物との付加物が挙げられる。また、イミダゾール系硬化剤は、ヒドロキシル基を有することが好ましい。ヒドロキシ基同士の水素結合で結晶化するため、反応開始温度が高くなる傾向にある。
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂が挙げられる。さらに、フェノール樹脂としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。発泡硬化後の基材に対する密着性や発泡硬化後の耐割れ性等の観点から、Tgが110℃以下のフェノール型ノボラック樹脂が特に好ましい。また、フェノール系硬化剤およびイミダゾール系硬化剤を併用してもよい。その場合、イミダゾール系硬化剤を硬化触媒として用いることが好ましい。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)等の脂肪族アミン;ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m-フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族アミン;脂環式アミン;ポリアミドアミンが挙げられる。また、アミン系硬化剤として、ジシアンジアミド(DICY)等のジシアンジアミド系硬化剤、有機酸ジヒドラジド系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤、ケチミン系硬化剤を用いることができる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物(液状酸無水物);無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ブロックイソシアネートが挙げられる。
チオール系硬化剤としては、例えば、エステル結合型チオール化合物、脂肪族エーテル結合型チオール化合物、芳香族エーテル結合型チオール化合物が挙げられる。
硬化剤の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、1質量部以上、40質量部以下である。例えば、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤を主成分として用いる場合、硬化剤の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、1質量部以上、15質量部以下であることが好ましい。一方、硬化剤としてフェノール系硬化剤を主成分として用いる場合、硬化剤の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、5質量部以上、40質量部以下であることが好ましい。なお、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤またはフェノール系硬化剤を主成分として用いるとは、硬化剤において、イミダゾール系硬化剤またはフェノール系硬化剤の質量割合が最も多いことをいう。
(b)発泡剤
本開示においては、第一接着層および第二接着層の少なくとも一方が、発泡剤を含有する。
第一接着層および第二接着層の両方が発泡剤を含有する場合には、第一接着層および第二接着層の発泡硬化後の接着性を高めることができる。
一方、第一接着層および第二接着層のうち、一方のみが発泡剤を含有する場合において、発泡剤がマイクロカプセル型発泡剤である場合には、発泡剤がフィラーとして機能すると予想される。そのため、発泡剤を含有する接着層が硬くなり、発泡剤を含有しない接着層が柔らかくなる傾向があると考えられる。よって、第一接着層および第二接着層のうち、一方のみが発泡剤を含有する場合には、発泡性接着シートにカールが発生しやすくなると思われる。
また、第一接着層の硬さが第二接着層の硬さよりも硬い場合には、硬い第一接着層が発泡剤を含有することが好ましい。第一接着層が発泡剤を含有することで、表面粗さが大きく、摩擦係数が小さくなり、滑り性がさらに良好となる。
発泡剤としては、熱により発泡反応が生じる発泡剤であり、一般に発泡性接着シートの接着層に使用される発泡剤を用いることができる。
発泡剤の発泡開始温度は、エポキシ樹脂等の熱硬化型接着剤の主剤の軟化温度以上であり、かつ、エポキシ樹脂等の熱硬化型接着剤の主剤の硬化反応の活性化温度以下であることが好ましい。発泡剤の発泡開始温度は、例えば、70℃以上であり、100℃以上であってもよい。発泡開始温度が低すぎると、反応が早期に開始され、樹脂成分の柔軟性や流動性が低い状態で発泡が生じ、均一な発泡が生じにくい可能性がある。一方、発泡剤の発泡開始温度は、例えば、210℃以下である。発泡開始温度が高すぎると、樹脂成分が劣化する可能性がある。
なお、エポキシ樹脂等の熱硬化型接着剤の主剤の軟化温度は、JIS K7234に規定される環球式軟化温度試験法を用いて測定できる。
発泡剤としては、例えば、マイクロカプセル型発泡剤が挙げられる。マイクロカプセル型発泡剤は、炭化水素等の熱膨張剤をコアとし、アクリロニトリルコポリマー等の樹脂をシェルとすることが好ましい。
また、発泡剤として、例えば、有機系発泡剤や無機系発泡剤を用いてもよい。有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ発泡剤、トリクロロモノフルオロメタン等のフッ化アルカン系発泡剤、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン系発泡剤、p-トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド系発泡剤、5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系発泡剤、N,N-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ系発泡剤が挙げられる。一方、無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド類が挙げられる。
発泡剤の平均粒径は、例えば、10μm以上であってもよく、13μm以上であってもよく、17μm以上であってもよい。発泡剤の平均粒径が上記範囲であることにより、接着層の表面の静摩擦係数を小さくすることができ、滑り性が良好な接着層とすることができる。また、発泡剤の平均粒径は、接着層の厚さ以下であることが好ましく、例えば、44μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、24μm以下であってもよい。
なお、発泡剤の平均粒径は、レーザー回折散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である。また、発泡剤の平均粒径を測定するに際しては、接着層を溶剤に溶解させて発泡剤を分離する。溶剤としては、接着層に含まれる発泡剤以外の成分を溶解することが可能な溶剤であれば特に限定されず、接着層に含まれる熱硬化型接着剤の種類等に応じて適宜選択され、例えば、接着層の形成に用いられる接着剤組成物に使用される溶剤を用いることができる。具体的には、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等を用いることができる。
発泡剤の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分を100質量部とした場合に、例えば、0.5質量部以上であり、2質量部以上であってもよく、3質量部以上であってもよく、4質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよい。一方、発泡剤の含有量は、接着層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば25質量部以下であり、20質量部以下であってもよく、15質量部以下であってもよい。発泡剤の含有量が少なすぎると、接着層の表面の静摩擦係数が大きくなる可能性がある。また、発泡剤の含有量が多すぎると、熱硬化型接着剤の含有量が相対的に少なくなるため、発泡硬化後の接着性が低下する可能性がある。
(c)その他の成分
本開示における接着層は、例えば熱硬化型接着剤がエポキシ樹脂系接着剤である場合、樹脂成分として、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂のみを含有していてもよく、他の樹脂をさらに含有していてもよい。他の樹脂としては、例えばウレタン樹脂が挙げられる。
接着層に含まれる樹脂成分に対する、第一エポキシ樹脂、第二エポキシ樹脂およびアクリル樹脂の合計の割合は、例えば70質量%以上であり、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
接着層に含まれる樹脂成分の含有量は、例えば60質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。
接着層は、必要に応じて、例えばシランカップリング剤、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、架橋剤、着色剤等の添加剤を含有していてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系シランカップリング剤が挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、二酸化チタン等の無機充填剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
(3)第一接着層および第二接着層の構成
第一接着層および第二接着層が発泡剤を含有する場合、第一接着層および第二接着層は、例えば、1.5倍以上、15倍以下の発泡倍率で発泡可能である。上記発泡倍率は、例えば、3.5倍以上であってもよく、4倍以上であってもよく、4.5倍以上であってもよい。また、上記の場合、上記発泡倍率は、例えば、9倍以下であってもよく、8.5倍以下であってもよく、8倍以下であってもよい。
ここで、発泡倍率は、下記式により求めることができる。
発泡倍率(倍)=発泡硬化後の接着層の厚さ/発泡硬化前の接着層の厚さ
第一接着層および第二接着層の厚さはそれぞれ、特に限定されないが、接着層が発泡剤を含有する場合には、発泡剤の平均粒径以上であることが好ましく、例えば10μm以上であり、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。一方、第一接着層および第二接着層の厚さはそれぞれ、例えば200μm以下であり、150μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。接着層の厚さが薄すぎると、基材との密着性および発泡硬化後の接着性を十分に得ることができない可能性がある。また、第二接着層のタックが第一接着層のタックよりも低い場合において、タックの低い第二接着層の厚さが薄すぎると、所定温度、所定湿度で所定時間静置した後の発泡性接着シートのカールの曲率半径が小さくなる可能性がある。一方、接着層の厚さが厚すぎると、面質が悪化する可能性がある。
ここで、第一接着層および第二接着層の厚さはそれぞれ、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察される発泡性接着シートの厚さ方向の断面から測定した値であり、無作為に選んだ10箇所の厚さの平均値である。なお、発泡性接着シートが有する他の層の厚さの測定方法についても同様である。
第一接着層および第二接着層は、連続層であってもよく、不連続層であってもよい。不連続層としては、例えば、ストライプ、ドット等のパターンが挙げられる。また、第一接着層および第二接着層の表面が、エンボス等の凹凸形状を有していてもよい。
第一接着層および第二接着層は、例えば、上記の熱硬化型接着剤および発泡剤等を含む接着剤組成物を塗布し、溶剤を除去することで形成できる。塗布方法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ-ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコート等が挙げられる。
接着剤組成物は、溶媒を含有していてもよく、溶媒を含有していなくてもよい。なお、本明細書における溶媒は、厳密な溶媒(溶質を溶解させる溶媒)のみならず、分散媒も含む広義の意味である。また、接着剤組成物に含まれる溶媒は、接着剤組成物を塗布乾燥して接着層を形成する際に揮発して除去される。
接着剤組成物は、上述した各成分を混合し、必要に応じて混練、分散することにより、得ることができる。混合および分散方法としては、一般的な混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、超音波分散機が適用できる。
3.基材
本開示における基材は、上記の第一接着層および第二接着層の間に配置される。
基材は、絶縁性を有することが好ましい。また、基材は、シート状であることが好ましい。基材は、単層構造を有していてもよく、複層構造を有していてもよい。また、基材は、内部に多孔構造を有していてもよく、有していなくてもよい。
基材としては、例えば、樹脂基材、不織布が挙げられる。
樹脂基材に含まれる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンオキシドが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、芳香族ポリエステル等が挙げられる。ポリアミド樹脂としては、ポリアミド、ポリエーテルアミド等が挙げられる。ポリイミド樹脂としては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。ポリスルホン樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。ポリエーテルケトン樹脂としては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。樹脂のガラス転移温度は、例えば80℃以上であり、140℃以上であってもよく、200℃以上であってもよい。また、樹脂として、液晶ポリマー(LCP)を用いてもよい。
不織布としては、例えば、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、液晶ポリマー繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボン繊維等の繊維を含む不織布が挙げられる。
基材は、第一接着層や第二接着層との密着性を高めるため、表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さは、第一接着層の厚さよりも薄い、あるいは、第二接着層の厚さよりも薄いことが好ましく、第一接着層の厚さよりも薄く、かつ、第二接着層の厚さよりも薄いことがより好ましい。基材の厚さを第一接着層の厚さおよび第二接着層の厚さよりも薄くすることにより、発泡性接着シートの厚さを薄くできるとともに、第一接着層の厚さおよび第二接着層の厚さを相対的に厚くできる。そのため、第一接着層および第二接着層の接着特性や発泡特性を低下させることなく、発泡性接着シートの厚さを薄くして、挿入性を良くすることができる。
具体的には、基材の厚さは、200μm以下であり、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。また、基材の厚さは、例えば2μm以上であり、5μm以上であってもよく、9μm以上であってもよい。
4.第一中間層および第二中間層
本開示における発泡性接着シートは、基材および第一接着層の間に第一中間層を有していてもよい。また、本開示における発泡性接着シートは、基材および第二接着層の間に第二中間層を有していてもよい。第一中間層や第二中間層が配置されていることにより、第一接着層や第二接着層の基材に対する密着性を向上できる。さらには、第一中間層や第二中間層が配置されていることで、例えば、発泡性接着シートを折り曲げた際に屈曲部にかかる応力を緩和したり、発泡性接着シートを切断した際に切断部にかかる応力を緩和したりすることができる。その結果、発泡性接着シートの屈曲時や切断時において基材からの第一接着層や第二接着層の浮きや剥がれを抑制できる。
例えば、図9に示す発泡性接着シート10においては、基材2および第一接着層1の間に第一中間層5が配置され、基材2および第二接着層3の間に第二中間層6が配置されている。なお、図9においては、発泡性接着シート10は、第一中間層5および第二中間層6の両方を有するが、いずれか一方のみを有していてもよい。
発泡性接着シートは、第一中間層および第二中間層の少なくとも一方を有していればよく、例えば、基材および第一接着層の間に配置された第一中間層のみを有していてもよく、基材および第二接着層の間に配置された第二中間層のみを有していてもよく、基材および第一接着層の間に配置された第一中間層と、基材および第二接着層の間に配置された第二中間層との両方を有していてもよい。
第一中間層および第二中間層に含まれる材料としては、基材と第一接着層や第二接着層との密着性を高めることができ、かつ、応力を緩和することができる材料であれば特に限定されず、基材、第一接着層、および第二接着層の材料等に応じて適宜選択される。例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、それらの少なくとも2種以上を共重合させた重合体、それらの架橋体、およびそれらの混合物等が挙げられる。
架橋体は、上記の樹脂を硬化剤により架橋した架橋体である。硬化剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤が挙げられる。また、例えば、反応基/NCO当量を1とした場合、樹脂に対してイソシアネート系硬化剤を、0.5質量%以上、20質量%以下の割合で添加することが好ましい。
中でも、第一中間層および第二中間層は、架橋された樹脂を含有することが好ましい。なお、架橋された樹脂とは、高温にしても溶融しないものをいう。これにより、高温下での接着力、つまり耐熱性を向上できる。
第一中間層および第二中間層の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよい。第一中間層や第二中間層が薄すぎると、発泡性接着シートの屈曲時および切断時の基材からの第一接着層や第二接着層の剥がれを抑制する効果が十分に得られない可能性がある。一方、第一中間層および第二中間層の厚さは、例えば4μm以下であり、3.5μm以下であってもよい。第一中間層および第二中間層自体は、通常、耐熱性が高くないため、第一中間層や第二中間層が厚すぎると、耐熱性(高温下での接着力)が低下する可能性がある。
第一中間層および第二中間層は、例えば、樹脂組成物を塗布し、溶剤を除去することで形成することができる。塗布方法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ-ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコートが挙げられる。
5.セパレータ
本開示における発泡性接着シートは、第一接着層の基材とは反対の面側に第一セパレータを有していてもよい。また、本開示における発泡性接着シートは、第二接着層の基材とは反対の面側に第二セパレータを有していてもよい。
第一セパレータおよび第二セパレータは、第一接着層や第二接着層から剥離可能であれば特に限定されず、第一接着層や第二接着層を保護することが可能な程度の強度を有することができる。このような第一セパレータおよび第二セパレータとしては、例えば、離型フィルム、剥離紙等を挙げることができる。また、第一セパレータおよび第二セパレータは、単層構造を有していてもよく、複層構造を有していてもよい。
単層構造のセパレータとしては、例えば、フッ素樹脂系フィルム等が挙げられる。
また、複層構造のセパレータとしては、例えば、基材層の片面または両面に離型層を有する積層体が挙げられる。基材層としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムや、上質紙、コート紙、含浸紙等の紙が挙げられる。離型層の材料としては、離型性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、シリコーン化合物、有機化合物変性シリコーン化合物、フッ素化合物、アミノアルキド化合物、メラミン化合物、アクリル化合物、ポリエステル化合物、長鎖アルキル化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エマルジョン型、溶剤型または無溶剤型のいずれもが使用できる。
6.発泡性接着シート
本開示における発泡性接着シートの厚さは、例えば10μm以上であり、20μm以上であってもよい。一方、発泡性接着シートの厚さは、例えば1000μm以下であり、200μm以下であってもよい。なお、発泡性接着シートがセパレータを有する場合、上記の発泡性接着シートの厚さは、セパレータを除いた発泡性接着シートの厚さである。
本開示における発泡性接着シートは、穴または溝を有する第一部材の穴または溝に、第二部材を固定するために用いられる。具体的には、本開示における発泡性接着シートは、モータにおけるステータのスロットにコイルを固定する場合や、埋込磁石型モータにおけるロータのスロットに永久磁石を固定する場合に用いられる。
また、本開示における発泡性接着シートは、発泡性接着シートのカールの凸面が、第一部材の穴の内面側または溝の内面側に向くように配置されて用いられる。例えば図2(a)~(e)において、発泡性接着シート10は、カールの凸面S1が、第一部材21の穴23の内面23S側に向くように配置されている。また、例えば図4(a)~(e)において、発泡性接着シート10は、カールの凸面S1が、第一部材21の溝24の内面24S側に向くように配置されている。
上述したように、本開示においては、上記カールの曲率半径が所定の値より大きく、上記カールの曲率半径が大きいほど、カールが小さくなり、さらにはカールがなくなる。カールがない場合は、カールの凸面を特定できない。そのため、カールがない場合、発泡性接着シートの両面のうち、いずれの面が、第一部材の穴の内面側または溝の内面側に向くように配置されていてもよいとする。なお、カールがないとは、上述したように、上記カールの曲率半径が229mm以上である場合をいう。
本開示における発泡性接着シートの製造方法は、特に限定されず、発泡性接着シートの層構成に応じて適宜選択される。
B.物品の製造方法
本開示における物品の製造方法は、穴または溝を有する第一部材の上記穴または上記溝に、上述の発泡性接着シートを配置する第1配置工程と、上記発泡性接着シートが配置された後の上記第一部材の上記穴または上記溝に、第二部材を配置する第2配置工程と、上記発泡性接着シートを加熱して発泡硬化させ、上記第一部材および上記第二部材を接着する接着工程と、を有し、上記第1配置工程では、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の上記発泡性接着シートのカールの凸面が、上記第一部材の上記穴の内面側または上記溝の内面側に向くように、上記発泡性接着シートを配置する。
図2(c)~(e)は、本開示における物品の製造方法を例示する工程図であり、第一部材の穴に第二部材を固定する例である。図10(a)~(c)は、図2(c)~(e)のA-A線断面図である。まず、図2(c)および図10(a)に示すように、第一部材21の穴23に発泡性接着シート10を配置する。この際、図2(c)に示すように、発泡性接着シート10のカールの凸面S1が、第一部材21の穴23の内面23S側に向くように、発泡性接着シート10を配置する。続いて、図2(d)および図10(b)に示すように、発泡性接着シート10を配置した後の第一部材21の穴23に、第二部材22を配置する。次いで、図2(e)および図10(c)に示すように、発泡性接着シート10を加熱して発泡硬化させる。発泡硬化後の第一接着層11および第二接着層13を有する接着シート15により、第一部材21の穴23に第二部材22が接着される。これにより、第一部材21の穴に第二部材22が固定された物品100が得られる。
図4(c)~(e)は、本開示における物品の製造方法を例示する工程図であり、第一部材の溝に第二部材を固定する例である。図10(a)~(c)は、図4(c)~(e)のA-A線断面図でもある。まず、図4(c)および図10(a)に示すように、第一部材21の穴23に発泡性接着シート10を配置する。この際、図4(c)に示すように、発泡性接着シート10のカールの凸面S1が、第一部材21の溝24の内面24S側に向くように、発泡性接着シート10を配置する。続いて、図4(d)および図10(b)に示すように、発泡性接着シート10を配置した後の第一部材21の溝24に、第二部材22を配置する。次いで、図4(e)および図10(c)に示すように、発泡性接着シート10を加熱して発泡硬化させる。発泡硬化後の第一接着層11および第二接着層13を有する接着シート15により、第一部材21の溝24に第二部材22が接着される。これにより、第一部材21の溝24に第二部材22が固定された物品100が得られる。
本開示における物品の製造方法は、上述の発泡性接着シートと同様の効果を奏する。
以下、本開示における物品の製造方法について説明する。
1.発泡性接着シート
本開示における物品の製造方法において、発泡性接着シートとして、上述の発泡性接着シートが用いられる。
発泡性接着シートがセパレータを有する場合には、発泡性接着シートからセパレータを剥がして用いる。
なお、発泡性接着シートの詳細については、上記「A.発泡性接着シート」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.第1配置工程
本開示における第1配置工程では、穴または溝を有する第一部材の上記穴または上記溝に、上述の発泡性接着シートを配置する。本工程では、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の上記発泡性接着シートのカールの凸面が、上記第一部材の上記穴の内面側または上記溝の内面側に向くように、上記発泡性接着シートを配置する。
第一部材は、穴または溝を有する。穴は、第一部材を貫通する穴であってもよく、第一部材を貫通しない穴であってもよい。第一部材は、穴または溝を有するものであれば、特に限定されない。
上述したように、本開示においては、上記カールの曲率半径が所定の値より大きく、上記カールの曲率半径が大きいほど、カールが小さくなり、さらにはカールがなくなる。カールがない場合は、カールの凸面を特定できない。そのため、カールがない場合、発泡性接着シートの両面のうち、いずれの面を、第一部材の穴の内面側または溝の内面側に向くように配置してもよいこととする。
3.第2配置工程
本開示における第2配置工程では、上記発泡性接着シートが配置された後の上記第一部材の上記穴または上記溝に、第二部材を配置する。第二部材は、第一部材の穴または溝に固定されるものであれば、特に限定されない。
第一部材および第二部材としては、具体的には、モータにおけるステータおよびコイルや、埋込磁石型モータにおけるロータおよび永久磁石が挙げられる。
4.接着工程
本開示における接着工程では、発泡性接着シートを加熱して発泡硬化させる。加熱による方法は、例えば金属製の部材のように第一部材および第二部材が透明性を有さない場合でも適用可能である。
加熱条件としては、第一接着層や第二接着層に含有される熱硬化型接着剤や発泡剤の種類、基材の種類等に応じて適宜設定される。加熱温度は、例えば、130℃以上、200℃以下である。また、加熱時間は、例えば、3分間以上、3時間以下である。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[製造例]
まず、下記組成の接着剤組成物a、bを準備した。
<接着剤組成物a>
・アクリル樹脂(PMMA-PBuA-PMMA(一部にアクリルアミド基)、Tg:-20℃、120℃、Mw:150,000):13質量部
・エポキシ樹脂A(ビスフェノールAノボラック型、常温固形、軟化温度:70℃、エポキシ当量:210g/eq、Mw:1300、150℃での溶融粘度:0.5Pa・s):40質量部
・エポキシ樹脂B(BPAフェノキシ型、常温固形、軟化温度:110℃、エポキシ当量:8000g/eq、Mw:50,000):42質量部
・硬化剤A(α-(ヒドロキシ(又はジヒドロキシ)フェニルメチル)-ω-ヒドロポリ[ビフェニル-4,4’-ジイルメチレン(ヒドロキシ(又はジヒドロキシ)フェニレンメチレン)]):6質量部
・硬化触媒(2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、平均粒子径:3μm、融点:230℃、反応開始温度145℃~155℃、活性領域155℃~173℃(四国化成工業社製、2PHZ-PW)):8質量部
・発泡剤(熱膨張性マイクロカプセル、平均粒径10μm~16μm、膨張開始温度123℃~133℃、最大膨張温度168℃~178℃、コア:炭化水素、シェル:熱可塑性高分子):13.5質量部
・溶剤(メチルエチルケトン):150質量部
<接着剤組成物b>
・アクリル樹脂(PMMA-PBuA-PMMA(一部にアクリルアミド基)、Tg:-20℃、120℃、Mw:150,000):40質量部
・エポキシ樹脂C(ビスフェノールA型、常温液状、エポキシ当量:184~194g/eq):45質量部
・エポキシ樹脂D(ジアミノジフェニルメタン型、高粘調液体、エポキシ当量:110~130g/eq):65質量部
・エポキシ樹脂E(シリコーン変性、エポキシ当量:1200g/mol):20質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン):2質量部
・硬化剤B(フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物 軟化点80℃、水酸基当量104g/mol):6質量部
・硬化触媒(2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、平均粒子径:3μm、融点:230℃、反応開始温度145℃~155℃、活性領域155℃~173℃(四国化成工業社製、2PHZ-PW)):10質量部
・発泡剤:熱膨張性マイクロカプセル、平均粒径10μm~16μm、膨張開始温度123℃~133℃、最大膨張温度168℃~178℃、コア:炭化水素、シェル:熱可塑性高分子:20質量部
・溶剤(メチルエチルケトン):114質量部
[実施例1]
基材として、ポリエチレンナフタレート(PENフィルム、東洋紡フィルムソリューション社製、テオネックスQ51、厚さ25μm)を用いた。また、ポリエステル重合体と硬化剤(ポリイソシアネート)とを、固形分が15質量%になるように、メチルエチルケトン(MEK)で希釈し、樹脂組成物を調製した。上記基材の一方の面に、上記樹脂組成物をバーコーターにて塗布し、オーブンにて100℃で1分間乾燥させ、第一中間層を形成した。次に、上記第一中間層の基材とは反対の面に、上記接着剤組成物aを、塗工後の厚さが27μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布した。その後、オーブンにて100℃で3分間乾燥させて、第一接着層を形成した。
次に、セパレータとして、離型フィルム(PETセパレータ、ニッパ社製、PET50×1-J2、厚さ50μm)を用い、離型フィルムの離型処理面に、上記接着剤組成物bを、塗工後の厚さが51μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布した。その後、オーブンにて100℃で3分間乾燥させて、第二接着層を形成した。
次に、基材、第一中間層および第一接着層を有する積層体の基材の面に、セパレータおよび第二接着層を有する積層体の第二接着層の面をラミネートした。その後、セパレータを剥離した。これにより、第一接着層、第一中間層、基材、および第二接着層がこの順に配置された発泡性接着シートを得た。
[実施例2~5、21]
第一接着層および第二接着層の厚さを下記表1に示す厚さとしたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性接着シートを作製した。
[実施例6]
基材として、ポリエチレンナフタレート(PENフィルム、東洋紡フィルムソリューション社製、テオネックスQ51、厚さ25μm)を用いた。また、ポリエステル重合体と硬化剤(ポリイソシアネート)とを、固形分が15質量%になるように、メチルエチルケトン(MEK)で希釈し、樹脂組成物を調製した。上記基材の一方の面に、上記樹脂組成物をバーコーターにて塗布し、オーブンにて100℃で1分間乾燥させ、第一中間層を形成した。さらに、基材の他方の面に、上記第一中間層と同様にして、第二中間層を形成した。
次に、上記第一中間層の基材とは反対の面に、上記接着剤組成物aを、塗工後の厚さが27μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布した。その後、オーブンにて100℃で3分間乾燥させて、第一接着層を形成した。さらに、上記第二中間層の基材とは反対の面に、上記第一接着層と同様にして、第二接着層を形成した。これにより、第一接着層、第一中間層、基材、第二中間層、および第二接着層がこの順に配置された発泡性接着シートを得た。
[比較例1]
第一接着層および第二接着層の乾燥条件を下記表1に示す乾燥条件としたこと以外は、実施例6と同様にして、発泡性接着シートを作製した。
[実施例7~13、18~19]
第一接着層および第二接着層の乾燥条件を下記表1に示す乾燥条件としたこと以外は、実施例6と同様にして、発泡性接着シートを作製した。
[実施例14~15]
第一接着層の厚さを下記表2に示す厚さとしたこと以外は、実施例6と同様にして、発泡性接着シートを作製した。
[実施例16~17]
第二接着層の厚さを下記表2に示す厚さとしたこと以外は、実施例6と同様にして、発泡性接着シートを作製した。
[比較例2]
実施例1と同様にして、基材、第一中間層および第一接着層を有する積層体を得た。この積層体を発泡性接着シートとした。
[実施例20]
第一接着層の厚さを下記表2に示す厚さとしたこと以外は、実施例1と同様にして、基材、第一中間層および第一接着層を有する積層体を得た。この積層体を発泡性接着シートとした。
[比較例3~5]
実施例1と同様にして、基材上に第一中間層を形成した。また、実施例3~5と同様にして、セパレータ上に第二接着層を形成した。次に、基材および第一中間層を有する積層体の基材の面に、セパレータおよび第二接着層を有する積層体の第二接着層の面をラミネートした。その後、セパレータを剥離した。これにより、第一中間層、基材、および第二接着層がこの順に配置された発泡性接着シートを得た。
[評価]
(1)カールの曲率半径
上記「A.発泡性接着シート 1.特性 (1)カールの曲率半径」の項に記載したカールの曲率半径の測定方法により、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の発泡性接着シートのカールの曲率半径を測定した。
(2)ループスティフネス
発泡性接着シートから、幅10mm、長さ200mmの矩形状の試験片を作製し、上記「A.発泡性接着シート 1.特性 (2)ループスティフネス」の項に記載したループスティフネスの測定方法により、ループスティフネスを測定した。測定器としては、東洋精機製作所社製のループステフネステスタ(D-R)を用いた。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。
(3)挿入性
(3-1)50.0mm×50.0mmに断裁した発泡性接着シートと、外径22mm、厚さ1.5mm、長さ60mmの中空状の円筒1(第一部材)と、外径18mm、厚さ1.0mm、長さ80mmの中空状の円筒2(第二部材)とを用意した。発泡性接着シートが第二セパレータを有する場合には第二セパレータを剥離し、円周方向に短辺がくるように、円筒1(第一部材)の中に発泡性接着シートを配置した。この際、カールの凸面が円筒1(第一部材)の内面側に向く場合と、カールの凹面が円筒1(第一部材)の内面側に向く場合との両方を行った。次いで、発泡性接着シートを配置した後の円筒1(第一部材)の中に、円筒2(第二部材)を1mmほど挿入した。その後、円筒2(第二部材)の上に5kgのおもりをのせて、円筒2(第二部材)が、発泡性接着シートを配置した後の円筒1(第一部材)内に挿入される様子を観察した。評価基準は下記の通りとした。
A:発泡性接着シートの外観に変化がなかった。
B:発泡性接着シートにキズやシワが発生したが、破断部がなかった。
C:発泡性接着シートに破断部があった。
(3-2)40mm×29mmに裁断した発泡性接着シートと、外形15mm×15mm、厚さ1mm、長さ29mmの中空状の角筒1(第一部材)と、外形12mm×12mm、厚さ1.5mm、長さ29mmの中空状の角筒2(第二部材)とを用意した。角筒の長さ方向に短辺がくるように、発泡性接着シートに角筒2の外面に沿って折り目をつけた。その後、上記(3-1)と同様にして、挿入性を評価したところ、同様の結果が得られた。
表2より、所定温度、所定湿度で所定時間静置した後の発泡性接着シートのカールの曲率半径が所定の値より大きく、かつ、発泡性接着シートのループスティフネスが所定の値以上である場合であって、発泡性接着シートのカールの凸面が、第一部材の穴の内面側に向くように配置されている場合に、挿入性が良好であることが確認された。
1 … 第一接着層
2 … 基材
3 … 第二接着層
5 … 第一中間層
6 … 第二中間層
10 … 発泡性接着シート
15 … 発泡硬化後の接着シート
21 … 第一部材
22 … 第二部材
100 … 物品

Claims (3)

  1. 第一接着層と、基材と、第二接着層と、をこの順に有する発泡性接着シートであって、
    前記第一接着層および前記第二接着層が、熱硬化型接着剤を含有し、
    前記第一接着層および前記第二接着層の少なくとも一方が、発泡剤をさらに含有し、
    温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の前記発泡性接着シートのカールの曲率半径が、12.2mm超であり、
    ループスティフネスが、20.3mN/10mm超であり、
    穴または溝を有する第一部材の前記穴または前記溝に、第二部材を固定するために用いられ、前記発泡性接着シートのカールの凸面が、前記第一部材の前記穴の内面側または前記溝の内面側に向くように配置されて用いられる、発泡性接着シート。
  2. 前記基材の厚さが、前記第一接着層の厚さおよび前記第二接着層の厚さよりも薄い、請求項1に記載の発泡性接着シート。
  3. 穴または溝を有する第一部材の前記穴または前記溝に、請求項1または請求項2に記載の発泡性接着シートを配置する第1配置工程と、
    前記発泡性接着シートが配置された後の前記第一部材の前記穴または前記溝に、第二部材を配置する第2配置工程と、
    前記発泡性接着シートを加熱して発泡硬化させ、前記第一部材および前記第二部材を接着する接着工程と、を有し、
    前記第1配置工程では、温度60℃、湿度10%RH以下で15時間静置した後の前記発泡性接着シートのカールの凸面が、前記第一部材の前記穴の内面側または前記溝の内面側に向くように、前記発泡性接着シートを配置する、物品の製造方法。
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