<本実施の形態>
以下、本実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態は、患者が薬を服用した日時と服用後の具合を記録する情報記録装置であって、図1はその外観図である。図1の情報記録装置は、シート状の服薬記録カードからなり、折り畳み式になっていて、展開すると図2のような情報入力面2が現れる。情報記録装置1としての服薬記録カードは後述する紙基板30と、紙基板30上に設けられた導電回路(以下、配線ともいう)18Aと、この導電回路18Aに回路コネクタ90を介して接続された無線送信可能な通信モジュール10とを備えている(図3および図5A参照)。
このうち紙基板30と、この紙基板30上に設けられた導電回路(配線)18Aとにより、回路基板(以下、配線基板ともいう)70が構成されている。なお、回路コネクタ90は必ずしも設ける必要はなく、また回路コネクタ90はフレキシブルなコネクタでも堅固なコネクタであってもよい。
服薬記録カードからなる情報記録装置1について更に述べる。服薬記録カードは使用者、例えば患者が病院での診察を終えて、処方箋に基づいて薬の調合が終わった段階で患者に渡されるものである。この服薬記録カードでは、患者が薬を服用した後に、患者自ら選択ボタンを押圧して、体の具合を記録できるようにしている。
図2の服薬記録カードの情報入力面2は3面構成であり、第1面2aにはスタートボタン3と取り消しボタン4が設けられ、第2面2bには患者が服用すべき薬(錠剤)5が配置され、第3面2cには患者の症状の度合いを入力するための選択ボタンが配置されている。第1面2aの裏面側が図1の「服薬記録カード」と記載された面である。
第3面2cには、薬の効用に関連する複数の症状が記載されている。図2の例では、(1)症状1、(2)症状2、(3)症状3、(4)症状4および(5)症状5の計5種類の症状が記載され、各症状ごとに、3通りの度合い(重度、中度、軽度)から一つを選択可能になっている。患者は、まず、5種類の症状に対応する選択ボタン6a~6eからなる第1ボタン列6のいずれかを押圧して、特定の症状を選択した後に、引き続いて、その症状の度合いに対応する選択ボタン7a~7cからなる第2ボタン列7のいずれかを押圧する。これにより、患者は、薬を服用した後に特定の症状の度合いを入力できる。患者は、必ずしも5種類の症状のすべてに回答する必要はなく、一部の症状のみに回答してもよい。
第1ボタン列6を構成する各選択ボタン6a~6eは図2のX方向に沿って配置され、第2ボタン列7を構成する各選択ボタンは、第1ボタン列6に略平行にY方向に沿って複数列にわたって配置されている。
なお、第3面2cに記載された症状とその度合いは、あくまで一例にすぎず、薬の種類によって任意に変更して構わない。
患者は、服薬記録カードの使用を開始するときに、スタートボタン3を押圧する。その後、患者は、第2面2bに配置された錠剤5のケース5aを指で押し込んで、第2面2bの下面側から薬を取り出して、服用する。そして、服用後の症状の度合いに該当する選択ボタン6、7を押圧する。
患者が押圧したスタートボタン3、取り消しボタン4、錠剤5の各ケースおよび各選択ボタン6、7の情報は、服薬記録カード内に内蔵された通信モジュール10に自動的に記憶される仕組みになっている。
図3は上述した無線通信可能な通信モジュール10の概略構成を示すブロック図である。図3の通信モジュール10は、樹脂基板11の上に実装されたICチップとしてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)12と、水晶振動子13と、ボタン電池14と、スピーカ15と、樹脂基板11の長辺に沿って形成される複数のパッド16と、樹脂基板11の外縁部に沿って形成されるアンテナパターン17aと、樹脂基板11上に形成される導電パターン17bとを有する。
図3は通信モジュール10の内部構成を機能化したブロック図であり、実際の各回路部品やパターンの配置やサイズ、形状、個数は任意に変更可能である。
図4はASIC12の内部構成の一例を示すブロック図である。図4のASIC12は、患者が押圧したスタートボタン3、取り消しボタン4、錠剤5の各ケースおよび各選択ボタンの情報を時刻情報とともに時系列で記憶する記憶部21と、記憶部21に押圧情報を記憶する制御を行う制御部22と、不図示のホストコンピュータとの間で無線通信を行う無線通信部(出力インターフェース部)23とを有する。
また制御部22は、患者がボタンを押圧した際、その押圧された情報を後述するフレキシブル確認回路100のLED発光部102を駆動させて発光させる。
記憶部21は、患者が押圧したボタンを特定する情報と、そのボタンが押圧された時刻情報とを組にして記憶する。取り消しボタン4は、取り消しボタン4が押圧される直前に押圧されたボタンの情報を取り消すことを意図したものである。ホストコンピュータは、記憶部21に取り消しボタン4の押圧を特定する情報と、そのボタンが押圧された時刻情報とが記憶されている場合は、取り消しボタン4の直前に押圧されたボタンの情報を取り消す。
無線通信部23は、ホストコンピュータとの間で、いわゆるNFC(Near Field Communication、近接無線通信)やBluetooth(登録商標)等の非接触通信を行って、情報の送受を行う。無線通信部23が無線通信に用いる方式や周波数帯域は特に制限されるものではなく、例えば13.56MHzの帯域でISO14443に準拠した無線方式で無線通信を行い、Bluetoothの場合は規格で定めた周波数(例えば2.4GHz)で無線通信を行う。
NFCでは、規格上電力の送受もできるため、電池なしで通信モジュール10を駆動することも原理的には可能である。ただし、本実施形態の通信モジュール10は、スピーカ15も備えており、電力の消費量が比較的大きいため、ボタン電池14を搭載している。
次に、本実施形態に係る服薬記録カードの具体的構造について説明する。上述した服薬記録カード1は、1枚の紙基板を縦方向に三等分して折り畳んだ三層構造であり、その表面に図2に示す情報入力面2が現れるようにしている。これをさらに後述する2本の折曲線64に沿って横方向に三等分して折り畳むと図1に示す構造になる。以下では、大元の1枚の紙基板に形成される導電パターンについて説明する。
図5Aは服薬記録カードの元となる紙基板30を展開した図である。図5Aの紙基板30を縦方向に延びる折曲線61で三等分に分割した各分割基板30a、30b、30cには、それぞれ異なる導電パターン18や切り欠き等が設けられる。なお、これら3つの分割基板30a~30cは、折曲線61で折り曲げ可能とされており、物理的に切り離されるものではない。また、分割基板30bは上述のように、横方向に延びる2本の折曲線64からなる折曲部64Aを有し、分割基板30bはこの折曲部64Aを介して三等分に折り畳まれる。
図5Aの中央の分割基板30bは、最下層に配置されて導電パターン18が形成される最下層基板30bである。その右側の分割基板30cは、主に切り欠き62とミシン目63を有し、最下層基板30bの上に配置される中間層基板30cである。最下層基板30bの左側の分割基板30aは、スイッチ接点の導通/遮断を行う導電パターン38を有し、中間層基板30cの上に配置される最上層基板30aである。
後述するように、三等分された最下層基板30bに中間層基板30cを折り畳んで熱圧着した後に、その上に錠剤5を収納するケース5a含む成形シートを載せ、その上に最上層基板30aを折り畳んで熱圧着することにより、図2の構造が得られる。したがって、図5Aに示す最上層基板30aの裏面側が、図2に示す情報入力面2になる。
最下層基板30bの上に中間層基板30cを折り畳んで熱圧着する前に、最下層基板30bに通信モジュール10が接合され、その上に最上層基板30aが熱圧着される。このように、通信モジュール10は、最下層基板30bと最上層基板30aの間に挟み込まれる。これにより、最下層基板30bの表面に形成された導電パターン18と通信モジュール10は、服薬記録カードの完成状態では、外見に現れない。同様に、最上層基板30a上の導電パターンも、中間層基板30cの上に折り畳まれて熱圧着されるため、外見に現れない。
次に、最下層基板30bの表面に形成された導電パターン18について図5Aを用いて説明する。図5Aの導電パターン18は、三等分された基板30b1,30b2,30b3を含む情報入力面2に対応した3つのパターン面を有する。
基板30b1に対応するパターン面は、スタートボタン3に対応したスイッチ接点31と、取り消しボタン4に対応したスイッチ接点32とを有する。基板30b2に対応するパターン面は、錠剤5の各ケースに対応した計6つのスイッチ接点33を有する。基板30b3に対応するパターン面は、患者の症状および症状の程度を選択する各選択ボタンに対応した計20個のスイッチ接点34~37を有する。
これらスイッチ接点31~37のうち、錠剤5の各ケースに5a対応した計6つのスイッチ接点33は初期状態で導通しており、それ以外の全てのスイッチ接点31、32、34~37は初期状態で遮断されている。
錠剤5の各ケース5aに対応したスイッチ接点33は、ケース5aを押圧して錠剤5を取り出す際に物理的に破断されて、電気的導通が遮断される。それ以外のスイッチ接点31、32、34~37は、対応するボタンを押圧したときに、情報入力面2の裏面側に設けられた円形の導電パターン38が対応するスイッチ接点に接触して、押圧している間だけ一時的に導通する。
このように、スイッチ接点31~37の中には、初期状態で電気的に導通しているものと、電気的に遮断されているものとがある。各スイッチ接点を物理的に破断するか、各スイッチ接点に別の導電パターンを接触させることにより、スイッチ接点の状態を切り替えることができる。
図5Aに示す各スイッチ接点31~37の一端は、導電パターン18を介して第1基板30b1のパターン面上の端子部39の対応する端子に接続され、他端はいずれも導電パターン18を介して接地端子に接続されている。端子部39には、スイッチ接点の総数分の端子が設けられ、これに加えて、端子部39の両端側には接地端子が設けられている。接地端子から延びる導電パターン(以下、接地パターン18a)は、基板30b1~30b3の外縁に沿って、他の導電パターンとスイッチ接点を取り囲むように形成されている。
この接地パターン18aは、ノイズの低減を図るために、他の導電パターンよりも太く形成されている。
ここで上述した導電パターン18と接地パターン18aとにより、導電回路18Aが構成される。また導電回路18Aに端子部39が接続される。また紙基板30と、紙基板30上に形成された導電回路18Aとにより通信モジュール10が接合される前の回路基板70が構成される。
このように、すべてのスイッチ接点が、対応する端子と接地パターン18aとの間に接続されている。したがって、いずれかのスイッチ接点の状態が変化すると、その変化した情報が、専用の端子を介して通信モジュール10に伝達されることになる。通信モジュール10内の記憶部21は、接点の状態が変化したスイッチ接点を特定する情報と、すなわち押圧された選択ボタンまたは破断位置を特定する情報と、接点の状態が変化した時刻情報とを記憶する。
基板30b3のパターン面上の各スイッチ接点は、X方向に沿って配置される第1ボタン列に対応する第1スイッチ接点列34と、第1ボタン列に略平行にY方向に沿って配置される複数の第2ボタン列に対応する複数の第2スイッチ接点列35~37とにグループ分けされている。
第2スイッチ接点列35~37のそれぞれにおける計5個のスイッチ接点の一端側はいずれも共通の端子に接続され、他端側はいずれも接地端子に接続されており、これら5個のスイッチ接点は並列接続されている。図5Aの例では、計5個のスイッチ接点が並列接続された第2スイッチ接点列35~37が計3個設けられている。
並列接続された各スイッチ接点列35~37内のどのスイッチ接点の状態が変化しても、その状態変化情報は同じ端子を介して通信モジュール10に伝達されるため、通信モジュール10では、どのスイッチ接点が変化したのかをその情報だけでは特定できない。そこで、本実施形態では、第2スイッチ接点列35~37内のスイッチ接点の状態を変化させる前に、第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態を変化させるようにルール化することで、第2スイッチ接点列35~37内のどのスイッチ接点の状態が変化したかを特定している。
より具体的には、まず第1スイッチ接点列34内のいずれかのスイッチ接点の状態を変化させて、このスイッチ接点のX方向位置を検出する。そして、同じX方向位置にある第2スイッチ接点列35~37内の計3個のスイッチ接点を選択候補として決定する。次に、これら3個のスイッチ接点の中で、状態が変化したものがあれば、そのスイッチ接点の情報を通信モジュール10に伝達する。
このように、第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態変化情報と、第2スイッチ接点列35~37内のスイッチ接点の状態変化情報とを組み合わせることで、第2スイッチ接点列35~37内の特定のスイッチ接点の状態を正しく通信モジュール10に伝達することができる。
複数のスイッチ接点を並列接続して、一端側を共通の端子に接続することは、端子部39内の端子の総数と導電パターン18の数を削減できることから、特にパターン面積が限られている場合に有効である。第2スイッチ接点列35~37内の複数のスイッチ接点を並列接続しても、第2スイッチ接点列35~37と平行に配置された第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態と組み合わせることで、第2スイッチ接点列35~37内の特定のスイッチ接点の状態を正確に特定できるため、実用上の問題は起きない。
このように、本実施形態に係る服薬記録カード1は、スタートボタン3や各種の選択ボタンの他に、直前のボタン操作を取り消すための取り消しボタン4を具備するため、ボタンの誤操作による誤った情報が取消情報なく通信モジュール10に伝達されるおそれがなくなり、通信モジュール10およびホストコンピュータに伝達される情報の信頼性が向上する。
次に図5Aおよび図5Bにより情報記録装置1の紙基板30について説明する。紙基板30は縦方向に延びる折曲線61を介して互いに連結された3つの分割基板30a,30b,30cを有する。このうち分割基板30aは最上層基板30aとなり、分割基板30bは最下層基板30bとなり、分割基板30cは中間層基板30cとなっている。
また最上層基板30aは、横方向に延びる分離線65を介して、3つの基板30a1,30a2,30a3に分離されている。また中間層基板30cも、横方向に延びる分離線65を介して、3つの基板30c1,30c2,30c3に分離されている。
さらに、最下層基板30bは、横方向に延びる一対の折曲線64,64からなる折曲部64Aを介して、3つの基板30b1,30b2,30b3に折り曲げ可能となっている。図5Aおよび図5Bにおいて、最下層基板30bは2つの折曲部64Aを介して3つの基板30b1,30b2,30b3に折り曲げられる。
なお、本実施の形態において、「横方向」、「縦方向」とは、紙基板30を図5Aに示す状態に配置した場合における「横方向」、「縦方向」を意味する。
また最下層基板30bには、導電パターン18と接地パターン18aとからなる導電回路18Aが設けられている。また最下層基板30bの折曲部64A近傍には、折曲部64Aを介して最下層基板30bを繰り返し折り曲げた場合でも、導電回路18Aが破断したり破損することを防止するため、フレキシブル回路コネクタ80A、80Bが設けられている。
具体的には最下層基板30bは横方向に延びる2本の折曲部64Aを介して三等分に折り畳まれるが、この場合、最下層基板30bは2本の折曲部64Aにより、基板(第1基板ともいう)30b1、基板(第2基板ともいう)30b2、基板(第3基板ともいう)30b3とに区画され、基板30b2と基板30b3との間の折曲部64Aを跨いでフレキシブル回路コネクタ80Aが設けられ、基板30b1と基板30b2との間の折曲部64Aを跨いでフレキシブル回路コネクタ80Bが設けられている。
なお中間層基板30cは、分離線65を介して3つの基板30c1,30c2,30c3に分離されているが、このうち基板30c1は第1基板30b1の横方向右側へ延びる第1側板となり、基板30c2は第2基板30b2の横方向右側へ延びる第2側板となる。また、基板30c3は、第3基板30b3の横方向右側に延びる第3側板となる。
また、最上層基板30aは、分離線65を介して3つの基板30a1,30a2,30a3に分離されているが、このうち基板30a1は第1基板30b1の横方向左側へ延びる第1追加側板となり、基板30a2は第2基板30b2の横方向左側へ延びる第2追加側板となる。基板30a3は、第3基板30b3の横方向左側に延びる第3追加側板となる。
フレキシブル回路コネクタ80A、80Bは、略同様の構造をもつため、ここではフレキシブル回路コネクタ80Bについて図6Aおよび図6Bにより説明する。
図6Aおよび図6Bに示すように、導電回路18Aのうち第1基板30b1上の導電回路は、第1導電回路(第1配線ともいう)93となっており、第2基板30b2上の導電回路は第2導電回路(第2配線ともいう)94となっている。
フレキシブル回路コネクタ80Bは最下層基板30bのうち、折曲部64Aを介して連結された第1基板30b1と第2基板30b2との間に折曲部64Aを跨いで設けられ、第1基板30b1側の第1導電回路93と第2基板30b2側の第2導電回路94とを接続するものである。この場合、第1基板30b1上の第1導電回路93と第2基板30b2上の第2導電回路94は互いに離間し、フレキシブル回路コネクタ80Bを設けることにより、初めて導通するようになっている。しかしながら、フレキシブル回路コネクタ80Bがない場合でも、第1基板30b1上の第1導電回路93と第2基板30b2上の第2導電回路94を接続しておいてもよい。この場合、フレキシブル回路コネクタ80Bは、第1導電回路93と第2導電回路94が切断した際のバックアップ回路として機能する。
次にフレキシブル回路コネクタ80Bについて更に述べる。
図5A、図5B、図6Aおよび図6Bに示すように、フレキシブル回路コネクタ80Bは、絶縁性基材81と、絶縁性基材81の一側に設けられた一側端子部83と、絶縁性基材81の他側に設けられた他側端子部84と、これら一側端子部83と他側端子部84とを接続する複数の導電部(導電インキ)82とを有する。
この場合、導電部82は一側端子部83から他側端子部84まで直線状に延びている。
また一側端子部83および他側端子部84上には、ヒートシール時に異方導電性能を発現する異方導電性接着剤87が設けられている。
ところで、一側端子部83は第1基板30b1上の第1導電回路93に接続される端子部であり、他側端子部84は第2基板30b2上の第2導電回路94に接続される端子部である。
また絶縁性基材81上には、一側端子部83と一側端子部83上の異方導電性接着剤87と、他側端子部84と他側端子部84上の異方導電性接着剤87を露出させ、導電部82上を覆ってアクリルからなる絶縁層88が設けられている。
絶縁層88の材質としては、特に限定はなく、ビニル系、ゴム系などの材料を使用できる。また、図7Aに示すように、フレキシブル回路コネクタ80Bの絶縁層88として、異方導電性接着剤製のものを使用することもできる。
図7Aにおいて、導電部82上に同一の異方導電性接着剤を印刷することにより、異方導電性接着剤からなり異方導電性能を発現する予定となる異方導電性能発現予定部87aと、異方導電性能を発現しない異方導電性接着剤製の絶縁層88とを同時に形成することができ、製造効率の向上を図ることができる。
図7Bに示すように、フレキシブル回路コネクタ80Bを第1導電回路93または第2導電回路94にヒートシールする際、異方導電性接着剤からなる異方導電性能発現予定部87aがヒートシールされて、異方導電性能を発現する異方導電性能発現部87bに変わる。図7Bにおいて、絶縁層88は、異方導電性接着剤からなるが、異方導電性能は発現していない。
なお、フレキシブル回路コネクタ80Bの絶縁性基材81は、柔軟性基材、例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート製の基材からなる。そしてフレキシブル回路コネクタ80Bは一側端子部83および他側端子部84を下方に向けて、一側端子部83と第1基板30b1の第1導電回路93を接続させ、他側端子部84と第2基板30b2の第2導電回路94とを接続させて、第1導電回路93と第2導電回路94とを接続する(図6Aおよび図6B参照)。
このように最下層基板30bの第1基板30b1と第2基板30b2との間に折曲部64Aを跨いで、第1導電回路93と第2導電回路94を接続してフレキシブル回路コネクタ80Bを設けることにより、最下層基板30bを折曲部64Aを介して繰り返し折り曲げたり拡げたりした場合であっても、フレキシブル回路コネクタ80Bが破断することはない。このことにより、第1基板30b1の第1導電回路93と第2基板30b2の第2導電回路94との間で、破断したり破損することなく、常に安定的に第1導電回路93と第2導電回路94との間の導通を得ることができる。
次に紙基板30に対するフレキシブル回路コネクタ80A,80Bの取り付け構造について述べる。ここでは紙基板30に対するフレキシブル回路コネクタ80Bの紙基板30に対する取り付け構造を示すが、フレキシブル回路コネクタ80Aの取り付け構造も、フレキシブル回路コネクタ80Bの取り付け構造と同一である。
図9Aおよび図9Bに示すように、フレキシブル回路コネクタ80Bは、一側端子部83および他側端子部84を下方に向けて、第1基板30b1と第2基板30b2との間の折曲部64Aを跨いで設けられ、最下層基板30bのうち第1基板30b1の第1導電回路93と、第2基板30b2の第2導電回路94との間を接続している。
この場合、第1基板30b1上にフレキシブル回路コネクタ80Bが固着される第1固着部41aが設けられ、第2基板30b2上にフレキシブル回路コネクタ80Bが固着される第2固着部41bが設けられている。
さらにフレキシブル回路コネクタ80Bは、第1基板30b1側の第1固着部41aに接着される第1接着部42aと、第2基板30b2側の第2固着部41bに接着される第2接着部42bとを有する。
そして第1基板30b1と第2基板30b2を平坦状に延ばした場合における、第1固着部41aと第2固着部41bとの間の折曲部64Aに直交する方向の距離をaとし、フレキシブル回路コネクタ80Bを平坦状に延ばした場合における第1接着部42aと第2接着部42bとの間の折曲部64Aに直交する方向の距離をbとしたとき、a<bとなっている(図9B参照)。
この場合、0.05×a<b-a<0.1×aとなっていることが好ましく、例えばa=20mmの場合、(b-a)は1mm~2mmの範囲にある。
上述のように第1固着部41aと第2固着部41bとの間の距離aより、第1接着部42aと第2接着部42bとの間の距離bを大きくすることにより、第1基板30b1と第2基板30b2を平坦状に延ばした際、フレキシブル回路コネクタ80Bは上方に向かってたわんだ状態で第1基板30b1と第2基板30b2に固着される(図9A参照)。
ここで「上方」とは、情報記録装置1を図2の状態に配置した場合において、「情報入力面2」側になることを意味する。
フレキシブル回路コネクタ80Bが、このように第1基板30b1と第2基板30b2に取り付けられているため、フレキシブル回路コネクタ80Bを外側に向けて第1基板30b1と第2基板30b2を折り畳んだ場合であっても、第1固着部41aと第1接着部42aとの間、あるいは第2固着部41bと第2接着部42bとの間の接着箇所が剥がれたり、これによって紙基板30からフレキシブル回路コネクタ80Bが外れることはない。
すなわち、通常の使用形態のもとでは、第1基板30b1と第2基板30b2はフレキシブル回路コネクタ80Bを内側に向けて折り畳まれる。この場合、第1基板30b1と第2基板30b2を折り畳むことにより、フレキシブル回路コネクタ80Bは図9Aの状態より更に外方へ向けてたわむことになる。
また通常の使用形態と逆方向に、すなわち第1基板30b1と第2基板30b2をフレキシブル回路コネクタ80Bを外側に向けて折り畳んだとしても、第1基板30b1と第2基板30b2を平坦状に延ばした状態でフレキシブル回路コネクタ80Bはすでに上方へ向けてたわんだ状態となっているため、フレキシブル回路コネクタ80Bに過度な引っ張り力が働いて第1固着部41aと第1接着部42aとの間、あるいは第2固着部41bと第2接着部42bとの間の接着箇所が剥がれたり、紙基板30からフレキシブル回路コネクタ80Bが外れることはない。
なお、上述のようにa、bの関係は0.05×a<b-a<0.1×aとなっているが、この場合、bとaとの差が0.1×aより大きくなると、第1基板30b1と第2基板30b2を平坦状に延ばした状態でフレキシブル回路コネクタ80Bが大きく上方へたわんでしまう。一方、bとaとの差が0.05×aより小さくなると、第1基板30b1と第2基板30b2をフレキシブル回路コネクタ80Bを外側に向けて折り畳んだ際、フレキシブル回路コネクタ80Bに引っ張り力が働いて、紙基板30からフレキシブル回路コネクタ80Bが剥離してしまう。
以上のように本実施の形態によれば、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bを内側に向けて紙基板30を折り畳んだ場合、あるいはフレキシブル回路コネクタ80A,80Bを外側に向けて紙基板30を折り畳んだ場合、いずれの場合もフレキシブル回路コネクタ80A,80Bが紙基板30から剥離したり外れたりすることはない。
ところで、上述のように最下層基板30bの2本の折曲部64A上に設置されたフレキシブル回路コネクタ80A,80Bは、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bを内側にして紙基板30を折り曲げる際、最下層基板30bから浮き上がる。
このためフレキシブル回路コネクタ80A,80Bの浮き上がりを防止するため、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bの両側に、折り曲げ時にフレキシブル回路コネクタ80A,80Bを押える係止片111,111Aが設けられている。
なおフレキシブル回路コネクタ80A,80Bの浮き上がりを防止する係止片111,111Aの構造は、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bの両方に共通するものなので、ここでは便宜上フレキシブル回路コネクタ80Bの浮き上がりを防ぐ係止片111,111Aについて図5Aおよび図5Bにより説明する。
図5Aおよび図5Bに示すように、フレキシブル回路コネクタ80Bの浮き上がりを抑えるため、フレキシブル回路コネクタ80Bの両端部に係止片111,111Aが設けられている。
この場合、フレキシブル回路コネクタ80Bは最下層基板30bの第1基板30b1と第2基板30b2間の折曲部64A上に設けられている。またフレキシブル回路コネクタ80Bの浮き上がりを抑える係止片111はフレキシブル回路コネクタ80Bの一端側、具体的には中間層基板30cの第1側板30c1および第2側板30c2のうちの一方、例えば第2側板30c2側に設けられている。
このように第2側板30c2側に係止片111を設けることにより、フレキシブル回路コネクタ80Bの右端部を係止片111により押えることができる。また係止片111の基端に、紙基板30を貫通して形成された開口112が形成されている。
この開口112は、最下層基板30b上に中間層基板30cを重ね合わせ、更に最下層基板30bの第1基板30b1と中間層基板30cの第1側板30c1を最下層基板30bの第2基板30b2と中間層基板30cの第2側板30c2上に折り曲げて重ね合わせる際、係止片111によって係止片111が取付けられた第2側板30c2外面を傷を付けることを防ぐものである。
すなわち、係止片111の基端に開口112を設けない場合、最下層基板30bの第1基板30b1と中間層基板30cの第1側板30c1を最下層基板30bの第2基板30b2と中間層基板30cの第2側板30c2上に重ね合わせる際、この係止片111が剛性をもって、係止片111が取付けられた第2側板30c2の外面を傷付けてしまう。
これに対して本実施の形態によれば、折り曲げ時において係止片111は、第2側板30c2に基端において当接することになるが、係止片111はこの基端に開口112を設けたので、第2側板30c2の基端が剛性をもつことはなく、第2側板30c2の外面に傷を付けることもない。
同様にフレキシブル回路コネクタ80Bの他端側には、フレキシブル回路コネクタ80Bの浮き上がりを防止する係止片111Aが第1追加側板30a1または第2追加側板30a2のうちの一方、例えば第2追加側板30a2側に設けられ、係止片111Aの基端には、開口112Aが形成されている。
また第2側板30c2に設けられた係止片111の開口112および第2追加側板30a2に設けられた係止片111Aの開口112Aは、いずれも最下層基板30bに横方向に設けられた一方の折曲線64の延長線上に配置されていることが好ましい。
ところで、第2追加側板30a2に係止片111Aを設けるとともに、係止片111Aの基端に開口112Aを設けた例を示したが、これに限らず第2追加側板30a2に係止片111Aを設けることなく、第2側板30c2のうち紙基板30を折り曲げた際、フレキシブル回路コネクタ80Bの他端側に位置する部分にフレキシブル回路コネクタ80Bの浮き上がりを押える係止片113を設けるとともに、この係止片113の基端に切り欠き114を設けてもよい。
ところで、上記実施の形態において、最下層基板30bの基板30b1を第1基板とし、基板30b2を第2基板とするとともに、中間層基板30cの基板30c1を第1側板とし、基板30c2を第2側板とするとともに、最上層基板30aの基板30a1を第1追加側板とし、基板30a2を第2追加側板とする例を示した。
これに限らず、最下層基板30bの基板30b1を第1基板とし、基板30b2を第2基板とするとともに、最上層基板30aの基板30a1を第1側板とし、基板30a2を第2側板とするとともに、中間層基板30cの基板30c1を第1追加側板とし、基板30c2を第2追加側板としてもよい。
また上述のように、紙基板30のうち分割基板30bに、通信モジュール10が配置されるが、この分割基板30b上であって、通信モジュール10の裏面にフレキシブル確認回路100が介在される(図5A参照)。このフレキシブル確認回路100はいずれかのボタン、例えばスタートボタン3、取り消しボタン4、錠剤5のケース5a、選択ボタン6および選択ボタン7のいずれかのボタンが押圧された際に、この押圧確認を行うLED発光部102等の押圧確認手段を含む。
具体的には、図5Aおよび図8に示すように、フレキシブル確認回路100はビニル系、ゴム系の材料からなる絶縁性のフレキシブル基材101と、このフレキシブル基材101上に実装されたLED発光部102と、フレキシブル基材101上に設けられ、LED発光部102と通信モジュール10とを接続するとともに、線状に形成された導電部103とを有する。
ここで、図8は分割基板30bに配置される通信モジュールの裏面と、この通信モジュール10の裏面上に取付けられたフレキシブル確認回路100とを示す。
そしてフレキシブル確認回路100のLED発光部102は、紙基板30のうち分割基材30aに形成された発光部用窓105を介して外方へ露出する。そしてLED発光部102は、ボタン3、4、5a、6および7のうちいずれかのボタンが患者により押圧された際、通信モジュール10の制御部22により発光して発光部用窓105から発光状態を外方へ現わすようになっている。
このようにLED発光部102は、ボタンが押圧された際に押圧確認を行う押圧確認手段として機能するが、このような押圧確認手段として他の押圧確認手段、例えば他の発光部を用いてもよく、発光部以外に押圧確認手段としては振動を発生させる振動子を用いてもよい。
ところでLED発光部102としては、例えばチップ状のLED素子を用いることができ、LED発光部102の電源は通信モジュール10内のボタン電池から供給される。
次に、紙基板30に対してフレキシブル確認回路100を設置する方法について図5および図8により説明する。
まずフレキシブル基材101上に印刷等により線状の導電部103が形成され、この導電部103の一側端部(図8の左側端部)に、チップ状のLED素子からなるLED発光部102が導電性接着剤等により実装される。このようにしてフレキシブル基材101と、導電部103と、LED発光部102とを有するフレキシブル確認回路100が構成される。
次に、このようにして構成されたフレキシブル確認回路100は、導電部103およびLED発光部102を通信モジュール10側へ向けて、通信モジュール10の裏面に取付けられる。本実施形態においては、フレキシブル確認回路100は、通信モジュール10のスピーカ端子部に接続されている。この場合、スタートボタン3、取り消しボタン4、錠剤5のケース5a、選択ボタン6および選択ボタン7のいずれかのボタンが押圧された際にスピーカからブザー音が鳴るように設定しておくことで、ブザー音に連動してLED発光部102が発光する。また、ボタン毎にブザー音を変えておくとLEDの発光も変化する為、発光状態でどのボタンが押されたか視覚的に確認することが可能になる。
このとき、通信モジュール10は、フレキシブル確認回路100の導電部103の他側端部(図8の右側端部)に導電性接着剤を用いて接続される。
このように予めフレキシブル確認回路100と通信モジュール10とを接続しておき、互いに接続された通信モジュール10とフレキシブル確認回路は、その後、紙基板30の分割基板30b上に載置される。
この際、通信モジュール10は分割基板30b上に設けられた導電回路18Aに、回路コネクタ90を介して接続される。
使用に際して、患者(使用者)がいずれかのボタン、例えばスタートボタン3、取り消しボタン4、錠剤5のケース5a、選択ボタン6および選択ボタン7のうちいずれかのボタンを押圧した際、通信モジュール10の制御部22により、フレキシブル確認回路100のLED発光部102を発光させる。このときLED発光部102の発光状態は、発光部用窓105から外方へ現れる。このことにより、患者は、自らがいずれかのボタンを押圧したことを直ちに確認することができる。
一般に紙基板30に設けられたボタン3、4、5a、6、7を押圧した場合、この押圧したという感覚はボタンから得ることはできない。このためボタン3、4、5a、6、7を押圧しても押圧したか否か不安になることも考えられるが、本実施の形態によれば、ボタン3、4、5a、6、7を押圧した場合、患者は直ちに発光部用窓105を介してLED発光部102の発光状態を確認することができるため、ボタンを押圧したことを直ちに確認することができる。
また、フレキシブル確認回路100は、予めフレキシブル基材101上にLED発光部102を実装することにより得られ、このようにして得られたフレキシブル確認回路100を通信モジュール10に簡単に接続することができる。またフレキシブル確認回路100が接続された通信モジュール10は、紙基板30の分割基板30b上に設けられた導電回路18Aに回路コネクタ90を介して接続されるため、紙基板30にて対して通信モジュール10およびフレキシブル確認回路100を容易かつ簡単に取り付けることができる。
すなわち、フレキシブル確認回路100を用いることなく、紙基板30の分割基板30b上にLED発光部を設け、このLED発光部と通信モジュールを別個の導電線に接続することも考えられるが、導電線の引き回し作業、あるいは導電部と通信モジュールおよびLED発光部との接続作業を紙基板30上で実行する必要があり、接続作業は煩雑である。
<変形例>
次に本実施の形態の変形例を図10により説明する。
図10に示す変形例は、紙基板30の各分割基板30a,30cが横方向に延びる分離線65を介して三等分に折り畳まれ、分割基板30bが横方向に延びる単一の折曲線64を介して三等分に折り畳まれ、最下層基板30bの第1基板30b1と第2基板30b2との間に折曲線(折曲部)64を跨いでフレキシブル回路コネクタ80Bを設けるとともに、第2基板30b2と第3基板30b3との間に折曲線(折曲部)64を跨いでフレキシブル回路コネクタ80Aを設けたものである。
また、本変形例において、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bは、図1乃至図9に示す実施の形態と同様の構造をもつ。
すなわちフレキシブル回路コネクタ80Bについて説明すると、第1基板30b1と第2基板30b2を平坦状に延ばした場合における第1固着部41aと第2固着部41bとの間の折曲部64に直交する方向の距離をaとし、フレキシブル回路コネクタ80Bを平坦状に延ばした場合における第2接着部42aと第2接着部42bとの間の折曲線64に直交する方向の距離をbとしたとき、a<bとなっている(図9B参照)。
このため第1基板30b1と第2基板30b2を平坦状に延ばした際、フレキシブル回路コネクタ80Bは上方へ向かってたわんだ状態で第1基板30b1と第2基板30b2に固着される(図9A参照)。
図10に示す変形例において、他の構成は図1乃至図9に示す実施の形態と略同一である。図10に示す変形例において、図1乃至図9に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
次に本変形例について、図10を用いて詳細に説明する。
図10は服薬記録カード1の元となる紙基板30を展開した図である。図10の紙基板30を縦方向に延びる折り目61で三等分に分割した各分割基板30a,30b,30cには、それぞれ異なる導電パターン18や切り欠き等が設けられる。なお、これら3つの分割基板30a~30cは、折り目61で折り曲げ可能とされており、物理的に切り離されるものではない。また、各分割基板30a,30cは上述のように分離線65により3つに分離され、分割基板30bは折曲線64を有し、各分割基板30a,30b,30cは横方向に延びる各々の分離線65あるいは折曲線64を介して三等分に折り畳まれる。
図10の中央の分割基板30bは、最下層に配置されて導電パターン18が形成される最下層基板30bである。その右側の分割基板30cは、主に切り欠き62とミシン目63を有し、最下層基板30bの上に配置される中間層基板30cである。最下層基板30bの左側の分割基板30aは、スイッチ接点の導通/遮断を行う導電パターン38を有し、中間層基板30cの上に配置される最上層基板30aである。
後述するように、三等分された最下層基板30bに中間層基板30cを折り畳んで熱圧着した後に、その上に錠剤5を含む成形シートを載せ、その上に最上層基板30aを折り畳んで熱圧着する。
最下層基板30bの上に中間層基板30cを折り畳んで熱圧着する前に、最下層基板30bに通信モジュール10が接合され、その上に最上層基板30aが熱圧着される。このように、通信モジュール10は、最下層基板30bと最上層基板30aの間に挟み込まれる。これにより、最下層基板30bの表面に形成された導電パターン18と通信モジュール10は、服薬記録カード1の完成状態では、外見に現れない。同様に、最上層基板30a上の導電パターンも、中間層基板30cの上に折り畳まれて熱圧着されるため、外見に現れない。
第1基板30b1にはスタートボタン3に対応したスイッチ接点31と、取り消しボタン4に対応したスイッチ接点32が設けられ、第2基板30b2には、錠剤5の各ケースに対応した計6つのスイッチ接点33が設けられ、第3基板30b3には、患者の症状および症状の程度を選択する各選択ボタンに対応した計20個のスイッチ接点34~37が設けられている。
これらスイッチ接点31~37のうち、錠剤5の各ケースに対応した計6つのスイッチ接点33は初期状態で導通しており、それ以外の全てのスイッチ接点31,32,34~37は初期状態で遮断されている。
錠剤5の各ケースに対応したスイッチ接点33は、ケースを押圧して錠剤5を取り出す際に物理的に破断されて、電気的導通が遮断される。それ以外のスイッチ接点31,32,34~37は、対応するボタンを押圧したときに、情報入力面2の裏面側に設けられた円形の導電パターン38が対応するスイッチ接点に接触して、押圧している間だけ一時的に導通する。
このように、スイッチ接点31~37の中には、初期状態で電気的に導通しているものと、電気的に遮断されているものとがある。各スイッチ接点を物理的に破断するか、各スイッチ接点に別の導電パターンを接触させることにより、スイッチ接点の状態を切り替えることができる。
図10に示す各スイッチ接点31~37の一端は、導電パターン18を介して第1基板30b1上の端子部39の対応する端子に接続され、他端はいずれも導電パターン18を介して接地端子に接続されている。端子部39には、スイッチ接点の総数分の端子が設けられ、これに加えて、端子部39の両端側には接地端子が設けられている。接地端子から延びる導電パターン(以下、接地パターン18a)は、第1~第3基板30b3の外縁に沿って、他の導電パターンとスイッチ接点を取り囲むように形成されている。
この接地パターン18aは、ノイズの低減を図るために、他の導電パターンよりも太く形成されている。
ここで上述した導電パターン18と接地パターン18aとにより、導電回路18Aが構成される。また導電回路18Aに端子部39が接続される。また紙基板30と、紙基板30上に形成された導電回路18Aとにより通信モジュール10が接合される前の回路基板70が構成される。
このように、すべてのスイッチ接点が、対応する端子と接地パターン18aとの間に接続されている。したがって、いずれかのスイッチ接点の状態が変化すると、その変化した情報が、専用の端子を介して通信モジュール10に伝達されることになる。通信モジュール10内の記憶部21は、接点の状態が変化したスイッチ接点を特定する情報と、すなわち押圧された選択ボタンまたは破断位置を特定する情報と、接点の状態が変化した時刻情報とを記憶する。
第3基板30b3上の各スイッチ接点は、X方向に沿って配置される第1ボタン列に対応する第1スイッチ接点列34と、第1ボタン列に略平行にY方向に沿って配置される複数の第2ボタン列に対応する複数の第2スイッチ接点列35~37とにグループ分けされている。
第2スイッチ接点列35~37のそれぞれにおける計5個のスイッチ接点の一端側はいずれも共通の端子に接続され、他端側はいずれも接地端子に接続されており、これら5個のスイッチ接点は並列接続されている。図10の例では、計5個のスイッチ接点が並列接続された第2スイッチ接点列35~37が計3個設けられている。
並列接続された各スイッチ接点列35~37内のどのスイッチ接点の状態が変化しても、その状態変化情報は同じ端子を介して通信モジュール10に伝達されるため、通信モジュール10では、どのスイッチ接点が変化したのかをその情報だけでは特定できない。そこで、本実施形態では、第2スイッチ接点列35~37内のスイッチ接点の状態を変化させる前に、第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態を変化させるようにルール化することで、第2スイッチ接点列35~37内のどのスイッチ接点の状態が変化したかを特定している。
より具体的には、まず第1スイッチ接点列34内のいずれかのスイッチ接点の状態を変化させて、このスイッチ接点のX方向位置を検出する。そして、同じX方向位置にある第2スイッチ接点列35~37内の計3個のスイッチ接点を選択候補として決定する。次に、これら3個のスイッチ接点の中で、状態が変化したものがあれば、そのスイッチ接点の情報を通信モジュール10に伝達する。
このように、第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態変化情報と、第2スイッチ接点列35~37内のスイッチ接点の状態変化情報とを組み合わせることで、第2スイッチ接点列35~37内の特定のスイッチ接点の状態を正しく通信モジュール10に伝達することができる。
複数のスイッチ接点を並列接続して、一端側を共通の端子に接続することは、端子部39内の端子の総数と導電パターン18の数を削減できることから、特にパターン面積が限られている場合に有効である。第2スイッチ接点列35~37内の複数のスイッチ接点を並列接続しても、第2スイッチ接点列35~37と平行に配置された第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態と組み合わせることで、第2スイッチ接点列35~37内の特定のスイッチ接点の状態を正確に特定できるため、実用上の問題は起きない。
このように、本実施形態に係る服薬記録カード1は、スタートボタン3や各種の選択ボタンの他に、直前のボタン操作を取り消すための取り消しボタン4を具備するため、ボタンの誤操作による誤った情報が取消情報なく通信モジュール10に伝達されるおそれがなくなり、通信モジュール10およびホストコンピュータに伝達される情報の信頼性が向上する。
ところで、上述のように各分割基板30a,30b,30cは、横方向に延びる各々の分離線65あるいは折曲線64を介して三等分に折り畳まれる。
このうち最下層基板30bには、導電パターン18と接地パターン18aとからなる導電回路18Aが設けられている。また最下層基板30bの折曲線64近傍には、折曲線64を介して最下層基板30bを繰り返し折り曲げた場合でも、導電回路18Aが破断したり破損することを防止するため、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bが設けられている。
具体的には最下層基板30bは、横方向に延びる2本の折曲線64を介して三等分に折り畳まれるが、この場合、最下層基板30bは2本の折曲線64により、第1基板30b1と第2基板30b2と第3基板30b3とに区画され、第1基板30b1と第2基板30b2との間に折曲線64を跨いでフレキシブル回路コネクタ80Bが設けられ、第2基板30b2と第3基板30b3との間に折曲線64を跨いでフレキシブル回路コネクタ80Aが設けられている。
フレキシブル回路コネクタ80A,80Bは、略同様の構造をもつため、ここではフレキシブル回路コネクタ80Aについて図6Aおよび図6Bにより説明する。
そしてフレキシブル回路コネクタ80A,80Bは、いずれも図9Aおよび図9Bに示す取り付け構造により紙基板30に取り付けられている。
図10に示す変形例においても、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bを内側に向けて紙基板30を折曲線64に沿って折り畳んだ場合、あるいはフレキシブル回路コネクタ80A,80Bを外側に向けて紙基板30を折曲線に沿って折り畳んだ場合、いずれの場合であってもフレキシブル回路コネクタ80A,80Bが紙基板30から剥離したり外れたりすることはない。
なお、本実施の形態にかかる情報記録装置は、服薬記録カードに限らず、種々の目的(例えば、糖尿病治療経過記録カード、リウマチ用治療経過記録カード、疼痛・服薬記録カードなど)に適用可能である。用途も、必ずしも医療目的でなくてもなく、生活記録、アンケート収集など、何らかの情報を記録して、記録した情報を無線通信でホストコンピュータに送信可能なものであれば、どのような用途に用いてもよい。