以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
以下、図中の矢印Fは、車両の前方向を示す。図中の矢印Uは、車両の上方向を示す。図中の矢印Rは、車両の右方向を示す。図中の矢印Lは、車両の左方向を示す。また、前後左右の方向は、それぞれ、車両を運転する運転者から見た場合の前後左右の方向を意味する。
(実施形態1)
<全体構成>
図1は、実施形態1に係る車両1の全体構成の概略を示す側面図である。図2は、車両1の全体構成の概略を示す上面図である。図1及び図2を参照して、車両1の概略構成を説明する。
車両1は、例えば、自動2輪車であり、車体2と、前輪3と、後輪4とを備える。車体2は、車体カバー5と、バーハンドル6と、シート7と、パワーユニット8と、車体フレーム10とを含む。車体フレーム10は、車体カバー5、バーハンドル6、シート7及びパワーユニット8等の各構成部品を支持する。なお、パワーユニット8は、エンジン8aを含む。エンジン8aは、動力源としてのエンジン単体だけでなく、ハイブリッドシステムの一部を構成するエンジンも含む。
車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、メインフレーム12とを有する。ヘッドパイプ11は、車両1の前部に位置し、バーハンドル6に接続されたステアリングシャフト15を回転可能に支持する。メインフレーム12は、ヘッドパイプ11から車両後方に向かって延びるように、ヘッドパイプ11に接続されている。メインフレーム12には、パワーユニット8等が支持されている。車体フレーム10は、車体カバー5によって覆われている。なお、シート7は、車両1の前後方向の中央部分に設けられている。これにより、運転者は、シート7に跨った状態で、車両1の前部に位置するバーハンドル6を把持する。
車体フレーム10は、金属材料によって構成されていてもよいし、樹脂が炭素繊維などの繊維で強化された繊維強化樹脂によって構成されていてもよい。また、車体フレーム10は、車両1の車体フレームとして機能可能な材料であれば、どのような材料によって構成されていてもよい。
バーハンドル6は、左ハンドルユニット20と、右ハンドルユニット30とを含む。本実施形態のバーハンドル6は、左ハンドルユニット20と右ハンドルユニット30とが分離した、いわゆるセパレートハンドルである。
左ハンドルユニット20及び右ハンドルユニット30は、ステアリングシャフト15に対してステアリングシャフト15を中心に回転可能に接続された一対のフロントフォーク13,14の上端部に、それぞれ連結されている。フロントフォーク13は、ステアリングシャフト15に対して車両1の左方に位置し、フロントフォーク14は、ステアリングシャフト15に対して車両1の右方に位置する。左ハンドルユニット20の右端部に位置する後述の左ハンドルホルダ42が、フロントフォーク13の上端部に連結されている。右ハンドルユニット30の左端部に位置する後述の右ハンドルホルダ52がフロントフォーク14の上端部に連結されている。一対のフロントフォーク13,14の下端部には、前輪3が回転可能に支持されている。
なお、一対のフロントフォーク13,14は、前輪3の回転中心から後方且つ上方に延びている。以下の説明において、一対のフロントフォーク13,14が延びる方向を、一対のフロントフォーク13,14の軸線方向という。なお、図1に、フロントフォーク13,14の軸線をXで示す。
以下で、左ハンドルユニット20及び右ハンドルユニット30の詳しい構成について説明する。
<左ハンドルユニット>
図3は、左ハンドルユニット20の概略構成を示す図である。図3は、左ハンドルユニット20を、フロントフォーク13の軸線方向に見た図である。
図3に示すように、左ハンドルユニット20は、左バー部材21(セパレートバー部材)と、グリップ部22と、スイッチボックス24と、クラッチ操作部26とを有する。
左バー部材21は、車体フレーム10の左右方向において、車体フレーム10の中央に対して左方に位置する。左バー部材21の右端部は、後述の右バー部材31とは独立して、フロントフォーク13の上端部に連結されている。
左バー部材21は、左ハンドルバー部41と、左ハンドルホルダ42(振動入力部)とを有する。左ハンドルバー部41及び左ハンドルホルダ42は、例えば、別の部材であり、接着剤等によって接続されている。なお、左ハンドルバー部41及び左ハンドルホルダ42は、一体に形成されていてもよい。
左ハンドルバー部41は、円筒状である。左ハンドルバー部41は、長手方向の端部(左ハンドルバー部41の右端部)が左ハンドルホルダ42に接続されている。すなわち、左ハンドルバー部41は、左ハンドルホルダ42から左方に延びている。
左ハンドルホルダ42は、円環状である。左ハンドルホルダ42は、フロントフォーク13の上端部が貫通した状態で、該上端部に固定されている。これにより、左バー部材21の右端部は、フロントフォーク13の上端部に固定されている。左ハンドルホルダ42は、エンジン8aから左バー部材21にエンジン振動が伝達される際の振動入力部である。
なお、左バー部材21は、後述の右バー部材31の構成とは左右が逆である点以外、右バー部材31と同様の構成を有する。右バー部材31の詳細な構成については後述するため、左バー部材21の詳細な構成の説明は省略する。
左ハンドルバー部41には、グリップ部22、スイッチボックス24及びクラッチ操作部26が取り付けられている。すなわち、これらのグリップ部22、スイッチボックス24及びクラッチ操作部26が、左ハンドルバー部41に取り付けられる取付部品である。
グリップ部22は、例えば樹脂製の筒状部材である。グリップ部22は、左ハンドルバー部41に、左ハンドルバー部41の左端部を覆うように取り付けられている。すなわち、グリップ部22は、左ハンドルバー部41の長手方向の中央に対して少なくとも左方に位置する部分を覆う。なお、左ハンドルユニット20において、グリップ部22が取り付けられ且つ車両1の運転者の左手によって把持される部分が把持部である。すなわち、左バー部材21は、把持部21aを有する。よって、グリップ部22の一部は、左ハンドルバー部41における長手方向の中央に対して左方で且つ振動入力部(左ハンドルホルダ42)と把持部21aとの間に位置する。
スイッチボックス24は、車両1のライト等の駆動を制御する図示しないスイッチ等を有する。すなわち、スイッチボックス24は、車両1に対する入力操作を行うスイッチを有する。
クラッチ操作部26は、ブラケット23と、クラッチレバー25とを有する。ブラケット23は、クラッチレバー25の右端部を回転可能に支持するとともに、クラッチレバー25の操作をパワーユニット8の図示しない変速装置に伝達する部品である。ブラケット23は、クラッチレバー25を、左バー部材21に接続するクラッチレバー取付部である。
クラッチ操作部26のブラケット23及びスイッチボックス24は、左ハンドルバー部41に、長手方向の中央に対して右方に取り付けられている。また、ブラケット23及びスイッチボックス24は、左ハンドルバー部41に対して、長手方向の中央から右方に向かって、スイッチボックス24及びブラケット23の順に、取り付けられている。すなわち、ブラケット23及びスイッチボックス24は、左ハンドルバー部41に対して、グリップ部22から左ハンドルホルダ42に向かって、スイッチボックス24及びブラケット23の順に、取り付けられている。
これにより、グリップ部22、ブラケット23及びスイッチボックス24は、左ハンドルバー部41に対して、左端部から左ハンドルホルダ42に向かって、グリップ部22、スイッチボックス24及びブラケット23の順に取り付けられている。
クラッチレバー25は、左ハンドルバー部41よりも前方に位置するように、長手方向の端部がブラケット23に回転可能に接続されている。すなわち、クラッチレバー25は、ブラケット23を介して左バー部材21に回転可能に取り付けられている。クラッチレバー25は、車体フレーム10の左右方向において、ブラケット23から車両1の左方に延びている。
以上のように、左バー部材21は、グリップ部22、クラッチレバー25、ブラケット23及びスイッチボックス24を支持している。
左ハンドルバー部41は、少なくとも一部分が、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂及びブチルゴムで構成された弾性体シート(弾性部材)を含み、且つ、前記少なくとも一部分に取付部品が取り付けられている。これにより、左ハンドルバー部41は、後述するように、金属製のバーハンドルに比べて軽量である。よって、エンジン8aから左バー部材21の左ハンドルバー部41に伝達されるエンジン振動を低減できる。
<右ハンドルユニット>
図4は、右ハンドルユニット30の概略構成を示す図である。図4は、右ハンドルユニット30を、フロントフォーク14の軸線方向に見た図である。
図4に示すように、右ハンドルユニット30は、右バー部材31(セパレートバー部材)と、グリップ部32と、スイッチボックス34と、スロットルケース36と、ブレーキ操作部37とを有する。
右バー部材31は、車体フレーム10の左右方向において、車体フレーム10の中央に対して右方に位置する。右バー部材31の左端部は、左バー部材21とは独立して、フロントフォーク14の上端部に連結されている。
右バー部材31は、右ハンドルバー部51と、右ハンドルホルダ52(振動入力部)とを有する。右ハンドルバー部51及び右ハンドルホルダ52は、例えば、別の部材であり、接着剤等によって接続されている。なお、右ハンドルバー部51及び右ハンドルホルダ52は、一体に形成されていてもよい。
右ハンドルバー部51は、円筒状である。右ハンドルバー部51は、長手方向の端部(右ハンドルバー部51の左端部)が右ハンドルホルダ52に接続されている。すなわち、右ハンドルバー部51は、右ハンドルホルダ52から右方に延びている。
右ハンドルホルダ52は、円環状である。右ハンドルホルダ52は、フロントフォーク14の上端部が貫通した状態で、該上端部に固定されている。これにより、右バー部材31の左端部は、フロントフォーク14の上端部に固定されている。よって、右ハンドルホルダ52は、エンジン8aから右バー部材31にエンジン振動が伝達される際の振動入力部である。
右バー部材31の詳しい構成は後述する。なお、既述のように、右バー部材31は、左バー部材21の構成とは左右が逆である点以外、左バー部材21と同様の構成を有する。
右ハンドルバー部51には、グリップ部32、スイッチボックス34、スロットルケース36及びブレーキ操作部37が取り付けられている。すなわち、これらのグリップ部32、スイッチボックス34、スロットルケース36及びブレーキ操作部37が、右ハンドルバー部51に取り付けられる取付部品である。なお、本実施形態では、右ハンドルバー部51の右端部に振動減衰用のウェイトが取り付けられていない。これにより、右ハンドルユニット30の軽量化を図れる。
グリップ部32は、左ハンドルユニット20のグリップ部22と同様、例えば樹脂製の筒状部材である。グリップ部32は、右ハンドルバー部51に対し、右ハンドルバー部51の右端部を覆うように取り付けられている。すなわち、グリップ部32は、右ハンドルバー部51の長手方向の中央に対して少なくとも右方に位置する部分を覆う。なお、右ハンドルユニット30において、グリップ部32が取り付けられ且つ車両1の運転者の右手によって把持される部分が把持部である。すなわち、右バー部材31は、把持部31aを有する。よって、グリップ部32の一部は、右ハンドルバー部51における長手方向の中央に対して左方で且つ振動入力部(右ハンドルホルダ52)と把持部31aとの間に位置する。
スイッチボックス34は、車両1のスタータースイッチ等を有する。すなわち、スイッチボックス34は、車両1に対する入力操作を行うスイッチを有する。
スロットルケース36は、スロットル開度を調整するためのスロットルケーブルが接続されるスロットルパイプの少なくとも一部が収納されている。スロットルケーブル及びスロットルパイプは、公知の構成と同様であるため、図示を省略する。
ブレーキ操作部37は、ブレーキマスターシリンダ33と、ブレーキレバー35とを有する。ブレーキマスターシリンダ33は、ブレーキレバー35の左端部を回転可能に支持するとともに、ブレーキレバー35の操作を図示しないブレーキ装置に伝達する部品である。ブレーキマスターシリンダ33は、ブレーキレバー35を、右バー部材31に接続するブレーキレバー取付部である。
ブレーキ操作部37のブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34及びスロットルケース36は、右ハンドルバー部51に、長手方向の中央に対して左方に取り付けられている。また、ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34及びスロットルケース36は、右ハンドルバー部51に、長手方向の中央から右ハンドルホルダ52に向かって、スロットルケース36、スイッチボックス34及びブレーキマスターシリンダ33の順に、取り付けられている。すなわち、ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34及びスロットルケース36は、右ハンドルバー部51に、グリップ部32から右ハンドルホルダ52に向かって、スロットルケース36、スイッチボックス34及びブレーキマスターシリンダ33の順に、取り付けられている。
これにより、グリップ部32、ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34及びスロットルケース36は、右ハンドルバー部51に、右端部から右ハンドルホルダ52に向かって、グリップ部32、スロットルケース36、スイッチボックス34及びブレーキマスターシリンダ33の順に取り付けられている。
ブレーキレバー35は、右ハンドルバー部51よりも前方に位置するように、長手方向の端部がブレーキマスターシリンダ33に回転可能に接続されている。すなわち、ブレーキレバー35は、ブレーキマスターシリンダ33を介して右バー部材31に回転可能に取り付けられている。ブレーキレバー35は、車体フレーム10の左右方向において、ブレーキマスターシリンダ33から車両1の外方(右方)に延びている。
以上のように、右バー部材31は、グリップ部32、ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34、ブレーキレバー35及びスロットルケース36を支持している。
右ハンドルバー部51は、少なくとも一部分が、炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂及びブチルゴムで構成された弾性体シートを含み、且つ、前記少なくとも一部分に取付部品が取り付けられている。これにより、右ハンドルバー部51は、後述するように、金属製のバーハンドルに比べて軽量である。よって、エンジン8aから右バー部材31の右ハンドルバー部51に伝達されるエンジン振動を低減できる。
次に、左バー部材21及び右バー部材31の詳しい構成について説明する。なお、左バー部材21及び右バー部材31は、左右逆の構成を有する以外、同様の構成を有する。よって、以下では、右バー部材31の構成についてのみ説明する。
図5に、右バー部材31の概略構成を示す。図5に示すように、右バー部材31は、右ハンドルバー部51と右ハンドルホルダ52(振動入力部)とを有する。右ハンドルバー部51及び右ハンドルホルダ52は、それぞれ、樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなど)が炭素繊維を含む繊維シートによって強化された炭素繊維強化樹脂により、一体に形成されている。前記繊維シートは、繊維を例えば編んだり固めたりすることによって、シート状(平面状)に形成された部材を意味する。右ハンドルバー部51と右ハンドルホルダ52とは、例えば接着剤によって接続されている。なお、右ハンドルバー部51と右ハンドルホルダ52とが一体で形成されていてもよい。
右ハンドルバー部51は、図6に示すように、円筒状の部材である。右ハンドルバー部51は、右ハンドルホルダ52から右方に延びている。すなわち、右ハンドルバー部51は、長手方向の端部(右ハンドルバー部51の左端部)が右ハンドルホルダ52に接続されている。
右ハンドルバー部51は、図6に示すように、炭素繊維を含む繊維シート101が径方向に積層され、ブチルゴムで構成された2層の弾性体シート102,103が繊維シート101の間に位置する状態で樹脂によって結合されている。右ハンドルバー部51において、弾性体シート102,103の径方向外方に位置し且つ樹脂が繊維シート101によって強化された部分が第1炭素繊維強化樹脂層100a(第1繊維強化樹脂層)である。また、右ハンドルバー部51において、弾性部材である弾性体シート102,103を含む部分が弾性層100bである。さらに、右ハンドルバー部51において、弾性体シート102,103の径方向内方に位置し且つ樹脂が繊維シート101によって強化された部分が第2炭素繊維強化樹脂層100c(第2繊維強化樹脂層)である。すなわち、右ハンドルバー部51は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1炭素繊維強化樹脂層100a及び第2炭素繊維強化樹脂層100cと、弾性部材を含む弾性層100bと、を有する。弾性層100bは、第1炭素繊維強化樹脂層100aの径方向内方(筒内方)に位置する。弾性層100bは、第1炭素繊維強化樹脂層100aと第2炭素繊維強化樹脂層100cとの間に位置する。
弾性層100bは、右ハンドルバー部51の径方向において、内周部よりも外周部に近い位置に位置する。例えば、弾性層100bは、右ハンドルバー部51の径方向において、中央よりも外周部に近い位置に位置する。これにより、右ハンドルバー部51に曲げ方向のエンジン振動が伝達された場合に、弾性層100bによって、前記エンジン振動をより効果的に減衰させることができる。なお、弾性層100bは、右ハンドルバー部51の径方向において、中央に位置してもよいし、外周部よりも内周部に近い位置に位置してもよい。
なお、弾性体シートを構成する材料としては、ブチルゴムの他、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、フッ化ビニリデン系ゴムなどの各種のゴムシートを用いることができる。
右ハンドルバー部51における繊維シート101及び弾性体シート102,103の積層数は、右ハンドルバー部51の厚み寸法に応じて適宜決定される。また、ブチルゴムで構成された弾性体シート102,103は、例えば、右ハンドルバー部51の径方向最外周から3層目及び4層目に配置されている。すなわち、弾性体シート102,103の径方向外方には、少なくとも1層の繊維シート101が配置されている。ただし、繊維シート101に対する弾性体シート102,103の配置は特に限定されるものではなく、また、弾性体シート102と弾性体シート103との間に繊維シート101を介在させてもよい。
既述のように、右ハンドルバー部51の外周面上には、グリップ部32、ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34及びスロットルケース36が取り付けられる。具体的には、図4に示すように、グリップ部32は、右ハンドルバー部51の長手方向の中央に対して少なくとも右方に位置する部分を覆う。右ハンドルバー部51の長手方向において把持部31aの左方には、ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34及びスロットルケース36が取り付けられる。
上述のように、右ハンドルバー部51において、繊維シート101を径方向に積層することにより、右ハンドルバー部51に取り付けられる各部品の重量及び右ハンドルバー部51に入力された力に対して、右ハンドルバー部51の強度を確保できる。
また、弾性体シート102,103が繊維シート101の間に位置することにより、右ハンドルバー部51に伝達される振動を低減することができる。すなわち、本実施形態において用いられる弾性体シート102,103は、樹脂よりも振動を減衰しやすい。そのため、右ハンドルバー部51に伝達された振動が短時間で減衰する。
特に、右ハンドルバー部51の少なくとも一部分は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1炭素繊維強化樹脂層100a及び第2炭素繊維強化樹脂層100cと、弾性部材を含む弾性層100bとを有する複合材によって構成されている。すなわち、右バー部材31において、ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34及びスロットルケース36などの取付部品が取り付けられる部分では、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1炭素繊維強化樹脂層100a及び第2炭素繊維強化樹脂層100cと、弾性部材を含む弾性層100bとを有する複合材によって構成されている。
右ハンドルホルダ52は、円環状の部材である。右ハンドルホルダ52は、図7に示すように、フロントフォーク14の上端部が貫通した状態で、該上端部に固定される。右ハンドルホルダ52には、フロントフォーク14を介して、エンジン8aで生じたエンジン振動が入力される。すなわち、右ハンドルホルダ52は、振動入力部である。
図7に示すように、右ハンドルホルダ52は、筒部60と、ホールド部70と、ハンドルバー連結部80とを備える。
筒部60は、本実施形態では筒軸方向に延びる円筒状である。筒部60には、周方向の少なくとも1箇所に、筒軸方向に延びるスリット部61が設けられている。スリット部61は、筒部60における筒軸方向の一端部から他端部まで延びている。これにより、筒部60は、スリット部61によって、周方向に分断されている。筒部60において、スリット部61に面する周方向の端部が、周方向端部60a,60bである(図5参照)。なお、筒部60の筒軸方向は、フロントフォーク14の軸線方向と一致している。
図5に示すように、筒部60の一対の周方向端部60a,60bには、それぞれ、筒部60の径方向外方に突出する締結部62,63が設けられている。スリット部61は、周方向端部60a及び締結部62と、周方向端部60b及び締結部63との間に形成されている。換言すれば、筒部60は、周方向において、一対の締結部62,63の間にスリット部61を有する。一対の締結部62,63は、筒部60と一体に形成されている。
図4に示すように、締結部62は、内部に筒状のナット64を有する。ナット64は、ボルト65の挿入方向が、筒部60を筒軸方向に見て筒部60の外周面に対する接線に沿うように、締結部62内に配置されている。すなわち、ナット64に対するボルト65の挿入方向は、筒部60の外周面上において一対の締結部62,63が並ぶ方向に延びている。なお、図4に、ボルト65の挿入方向を、白抜き矢印で示す。
締結部63は、貫通孔63aを有する。この貫通孔63aは、締結部63に対し、筒部60を筒軸方向から見て筒部60の外周面に対する接線に沿うように、貫通している。
ナット64及び貫通孔63aは、ボルト65の挿入方向が一致するように、一対の締結部62,63に設けられている。
上述の構成において、図7に示すように、締結部63の貫通孔63aを貫通させたボルト65を、締結部62に設けられたナット64に締結させることにより、一対の締結部62,63を連結することができる。一対の締結部62,63は、筒部60をフロントフォーク14の上端部が貫通した状態で、ボルト65によって連結される。これにより、右ハンドルホルダ52を、フロントフォーク14の上端部に固定できる。
なお、筒部60は、図8に示すように、炭素繊維を含む繊維シート101が径方向に積層された状態で、樹脂によって結合されている。すなわち、筒部60は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む。
また、一対の締結部62,63も、図9に示すように、それぞれ、炭素繊維を含む繊維シートが積層された状態で、樹脂によって結合されている。すなわち、一対の締結部62,63も、それぞれ、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む。なお、図9において、締結部63の貫通孔63aに挿入されるボルト65については、記載を省略する。
一対の締結部62,63の繊維シート101は、筒部60の繊維シート101と一体である。すなわち、一対の締結部62,63の炭素繊維強化樹脂を構成する繊維シートは、筒部60の炭素繊維強化樹脂を構成する繊維シートの一部である。
上述のように、一対の締結部62,63の繊維シート101と筒部60の繊維シート101とを一体にすることにより、一対の締結部62,63と筒部60との接続部分の強度を向上できる。
図7に示すように、ホールド部70は、円柱状である。ホールド部70は、軸線方向が左右方向に沿うように配置される。特に図示しないが、ホールド部70の軸線方向の右端部には、円柱状の右ハンドルバー部51の左端部を保持可能なように、右ハンドルバー部51の左端部を挿入可能な円形状の溝が設けられている。ホールド部70は、右ハンドルバー部51の長手方向が、筒部60を筒軸方向に見て筒部60の外周面に対する接線の方向に沿うように、筒部60の外方で右ハンドルバー部51を支持する。
ホールド部70は、筒部60と同様に、炭素繊維を含む繊維シートが径方向に積層された状態で、樹脂によって結合されている。すなわち、ホールド部70は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む。
これにより、右ハンドルバー部51に対する力の入力によってホールド部70に生じる応力に対して、ホールド部70の強度を確保できる。
ハンドルバー連結部80は、筒部60とホールド部70とを連結する。ハンドルバー連結部80は、筒部60の外周面から径方向外方に且つ筒軸方向に突出している。よって、右ハンドルバー部51は、筒部60に対し、ハンドルバー連結部80及びホールド部70を介して、筒軸方向にオフセットした状態で接続される。
ハンドルバー連結部80は、炭素繊維を含む繊維シートが、ハンドルバー連結部80及びホールド部70が連結される部分とハンドルバー連結部80及び筒部60が連結される部分とを結ぶ仮想線Mに対して垂直な方向に積層された状態で、樹脂によって結合されている。すなわち、ハンドルバー連結部80は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む。
なお、仮想線M(図5参照)は、ハンドルバー連結部80を延びる方向に見て、ハンドルバー連結部80及びホールド部70の連結部分における前後方向及び上下方向の中央と、ハンドルバー連結部80及び筒部60の連結部分における前後方向及び上下方向の中央とを結んだ線である。
これにより、右ハンドルバー部51に対する力の入力によってハンドルバー連結部80に生じる応力に対して、ハンドルバー連結部80の強度を確保できる。
以上のように、右バー部材31を、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂によって構成することにより、金属製のハンドルに比べて、車体の軽量化を図れる。
しかも、右バー部材31を、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂によって構成することにより、右バー部材31の各部分で必要な強度を確保できる。
さらに、後述するように、右バー部材31の右ハンドルバー部51を、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂及び弾性体シートの複合材によって構成することにより、エンジン8aで生じて、右ハンドルバー部51に伝達されたエンジン振動を、短時間で減衰させることができる。これにより、右ハンドルバー部51の把持部31aでのエンジン振動を低減できる。
以上では、右バー部材31の構成について説明したが、左バー部材21も、構成が左右逆である点以外、右バー部材31と同様の構成を有する。よって、左バー部材21の構成によっても、右バー部材31と同様の作用効果が得られる。
<振動低減効果>
次に、車両1のエンジン8aから車体フレーム10を介してバーハンドル6に伝達されるエンジン振動の低減効果について説明する。
車両1のエンジン8aで生じたエンジン振動は、車体フレーム10を介して、バーハンドル6の左ハンドルホルダ42及び右ハンドルホルダ52に入力される。バーハンドル6に伝達されたエンジン振動は、バーハンドル6を把持部21a,31aで把持する運転者が、振動として体感する。
本発明者は、上述のようにエンジン振動によって生じるバーハンドル6の振動を低減可能な構成について検討した。
まず、本発明者は、エンジン振動によってバーハンドル6が振動する際の振動モードについて検討した。
本発明者は、バーハンドル6が自由端を有する点に着目し、バーハンドル6の振動モードが、バーハンドル6の先端部が腹である第1振動モード及び前記先端部が節である第2振動モードの少なくとも2つの振動モードを含むことを見出した。図10に、エンジン8aのエンジン振動によってバーハンドル6に生じる変形を模式的に示す。なお、図10では、前記第1振動モードを一点鎖線で示し、前記第2振動モードを破線で示す。
このような振動モードを有するバーハンドル6の振動を低減する構成として、本発明者は、バーハンドル6に振動を減衰する部材を設けることを思いついた。具体的には、左ハンドルバー部41及び右ハンドルバー部51は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1炭素繊維強化樹脂層100a及び第2炭素繊維強化樹脂層100cと、弾性部材を含む弾性層100bとを有する。
以下で、上述の構成を有するバーハンドルの振動低減効果を、試験片を用いて確認した。
図11に、振動低減効果の比較実験に用いた試験片151の構成を示す。図11に示す試験片151は、図5に示す右ハンドルバー部と同形状であり、全長が208mm、外径が22.2mm、肉厚が2mmの中空円筒状の部材である。試験片151は、筒状のバー本体151a(長さ8インチ(20.32cm))と、バー本体151aの軸方向の一端部に嵌め込まれた嵌合部151bとを有する。試験片として、上述の試験片151の構成を有する、以下の第1試験片から第5試験片を作成した。
<第1試験片及び第2試験片>
第1試験片及び第2試験片は、図6と同様の積層構造を備えた本体部を有する。前記本体部は、炭素繊維を含む繊維シート101が径方向に積層され且つブチルゴムで構成された2層の弾性体シート102,103が複数の繊維シート101の間に位置する状態で、繊維シート101及び弾性体シート102,103が樹脂によって結合されている。繊維シート101の積層数は8層であり、弾性体シート102,103は、径方向の最外周から3層目及び4層目に配置されている。
弾性体シート102,103は、繊維シート101と同じ厚み(0.5mm)を有する。第1試験片では、本体部の全長にわたって、弾性体シート102,103が配置されている。第2試験片では、本体部において嵌合部が嵌め込まれていない軸方向の他端部(他端)から軸方向に166mmの位置まで弾性体シートが配置されている。
<第3試験片及び第4試験片>
第3試験片及び第4試験片は、図6と同様の構成の本体部を有する。前記本体部は、炭素繊維を含む繊維シート101が径方向に積層され、複数の繊維シート101の間にEPDMで構成された2層の弾性体シート102,103を挟んだ状態で、樹脂によって結合されている。繊維シート101の積層数は8層であり、弾性体シート102,103は、径方向の最外周から3層目及び4層目に配置されている。EPDMの弾性体シート102,103の厚みは繊維シート101と同じ厚み(0.5mm)である。また、第3試験片では、EPDMの弾性体シート102,103は、本体部の全長にわたって配置されている。第4試験片では、本体部において嵌合部が嵌め込まれていない軸方向の他端部(他端)から軸方向に166mmの位置まで弾性体シートが配置されている。
<第5試験片>
第5試験片の本体部では、炭素繊維を含む繊維シート101が径方向に積層された状態で、樹脂によって結合されている。繊維シート101の積層数は、10層である。
上述の各試験片の他端に、振動計測のための加速度センサを接着固定した。各試験片の中央部を加振点とし、両者の間隔が125mmである2点の吊り下げ点15cにそれぞれ糸を接着することにより、試験片を吊り下げた。そして、前記加振点を樹脂ハンマで打撃したときの各試験片の振動値を前記加速度センサで計測した。
図12は、計測によって得られた、振動周波数と応答加速度を加振力で除した値との関係を示すグラフである。図13に、計測結果から得られた減衰比の相対値を示す。
図12に示すように、弾性体シートを含む第1試験片から第4試験片は、弾性体シートを含まない第5試験片に比べて、振動のピークの周波数帯域が低い。これにより、車両のハンドルに生じる振動を弾性体シートによって低減可能であることが分かる。
エンジンの加振力は、振動周波数が大きくなると増大する特性を有する。ハンドルが弾性体シートを含むことにより、上述のように振動のピークの周波数帯域が小さい方向にシフトするため、エンジンの加振力によって車両のハンドルに伝達される振動を低減することができる。
また、ブチルゴムによって構成された弾性体シートを含む第1及び第2試験片の場合、図12に示すように、振動も小さくなっている。また、図12のグラフより求められる減衰比の相対値も、ブチルゴムによって構成された弾性体シートを含む第1試験片及び第2試験片は、弾性体シートを含まない第5試験片に比べて、大きい。これにより、ブチルゴムによって構成された弾性体シートを含むハンドルは、早期に振動を減衰可能であることが分かる。
また、図13に示すように、ブチルゴムの弾性体シートが本体部の全長にわたって配置された第1試験片は、ブチルゴムの弾性体シートが本体部の長手方向の一部に配置された第2試験片よりも減衰比が大きい。
以上より、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1炭素繊維強化樹脂層100a及び第2炭素繊維強化樹脂層100cと、弾性部材を含む弾性層100bとを有するバーハンドル6の場合、従来のバーハンドルに比べて、ハンドル振動を効果的に低減できる。
本実施形態では、バーハンドル6において、左ハンドルバー部41及び右ハンドルバー部51のそれぞれ少なくとも一部分が、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1炭素繊維強化樹脂層100a及び第2炭素繊維強化樹脂層100cと、弾性部材を含む弾性層100bとを有する複合材を含む。これにより、金属製のバーハンドルに比べて、バーハンドル6の重量を低減できるとともに、エンジン8aからバーハンドル6の左ハンドルバー部41及び右ハンドルバー部51に伝達されるエンジン振動を低減できる。したがって、バーハンドル6の軽量化を図りつつ、バーハンドル6の左ハンドルバー部41及び右ハンドルバー部51におけるエンジン振動を低減することができる。
(実施形態2)
図14は、実施形態2に係る車両のバーハンドル116の概略構成を示す図である。この実施形態では、車両が、実施形態1における左ハンドルユニット20及び右ハンドルユニット30の代わりに、左ハンドル及び右ハンドルが一体化された単一バー部材121を有する点で、実施形態1の構成とは異なる。以下では、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
図14に示すように、バーハンドル116は、単一バー部材121と、グリップ部22,32と、ブラケット23と、スイッチボックス24,34と、クラッチ操作部26と、スロットルケース36と、ブレーキ操作部37とを備える。クラッチ操作部26は、ブラケット23と、クラッチレバー25とを有する。ブレーキ操作部37は、ブレーキマスターシリンダ33と、ブレーキレバー35とを有する。
単一バー部材121は、左端部から右端部まで単一のバー部材によって構成されている。すなわち、単一バー部材121は、左右方向に長いバー部材である。単一バー部材121は、車体フレーム10の左右方向において、右端部が車体フレーム10の中央に対して右方に位置付けられるとともに、左端部が車体フレーム10の中央に対して左方に位置付けられている。
単一バー部材121の長手方向の中央部は、接続部材142によって、ステアリングシャフト15(図示省略)に接続されている。すなわち、単一バー部材121は、長手方向の中央部がステアリングシャフト15に支持されている。よって、単一バー部材121において、接続部材142が取り付けられる部分が、エンジン8aで生じた振動が入力される振動入力部121bである。すなわち、単一バー部材121は、振動入力部121bを有する。
単一バー部材121は、実施形態1の左バー部材21及び右バー部材31と同様、樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなど。)が炭素繊維を含む繊維シートで強化された炭素繊維強化樹脂及び弾性体シートが、一体に形成されている。すなわち、単一バー部材121は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂層及び弾性シート(弾性部材)を含む弾性層を有する。前記繊維シートは、繊維を例えば編んだり固めたりすることによって、シート状(平面状)に形成された部材を意味する。
単一バー部材121には、左端部から長手方向の中央部に向かって、グリップ部22、スイッチボックス24及びブラケット23が順に取り付けられている。ブラケット23は、クラッチレバー25の右端部を回転可能に支持する。
単一バー部材121には、右端部から長手方向の中央部に向かって、グリップ部32、スロットルケース36、スイッチボックス34及びブレーキマスターシリンダ33が順に取り付けられている。ブレーキマスターシリンダ33は、ブレーキレバー35の左端部を回転可能に支持する。
なお、単一バー部材121において運転者が把持する部分がハンドルバー部121aである。すなわち、単一バー部材121は、ハンドルバー部121aを有する。
よって、グリップ部22,32、ブラケット23、スイッチボックス24,34、クラッチレバー25、ブレーキマスターシリンダ33、ブレーキレバー35、及びスロットルケース36は、単一バー部材121に取り付けられる取付部品である。
ブラケット23、スイッチボックス24及びクラッチレバー25は、単一バー部材121に対し、長手方向の中央に対して左方で且つ振動入力部121bとハンドルバー部121aとの間に取り付けられている。グリップ部22の一部も、単一バー部材121に対し、長手方向の中央に対して左方で且つ振動入力部121bとハンドルバー部121aとの間に位置する。
ブレーキマスターシリンダ33、スイッチボックス34、ブレーキレバー35及びスロットルケース36は、単一バー部材121に対し、長手方向の中央に対して右方で且つ振動入力部121bとハンドルバー部121aとの間に取り付けられている。グリップ部32の一部も、単一バー部材121に対し、長手方向の中央に対して右方で且つ振動入力部121bとハンドルバー部121aとの間に位置する。
したがって、上述の構成により、バーハンドル116の軽量化と振動低減との両立を図れる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
前記各実施形態では、左ハンドルバー部41、右ハンドルバー部51及びハンドルバー部121aは、第1炭素繊維強化樹脂層100aと第2炭素繊維強化樹脂層100cとの間に位置する弾性層100bを有する。しかしながら、弾性層は、第1炭素繊維強化樹脂層の筒外方に位置してもよい。また、弾性層は、第2炭素繊維強化樹脂層の筒内方に位置してもよい。すなわち、弾性層は、第1炭素繊維強化樹脂層と第2炭素繊維強化樹脂層との間に位置していなくてもよい。また、左ハンドルバー部、右ハンドルバー部及びハンドルバー部の少なくとも一つは、筒方向に弾性層を複数有していてもよい。
前記各実施形態では、左ハンドルバー部41、右ハンドルバー部51及びハンドルバー部121aは、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂及び弾性部材を含む。しかしながら、左ハンドルバー部、右ハンドルバー部及びハンドルバー部のうち、少なくとも一部が、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂及び弾性部材を含んでいれば、他の部分は、金属、樹脂、エラストマーなどの他の材料によって構成されていてもよい。
前記各実施形態では、左バー部材21、右バー部材31及び単一バー部材121に取り付けられる取付部品として、ブラケット23、スイッチボックス24,34、クラッチレバー25、ブレーキマスターシリンダ33、ブレーキレバー35、及びスロットルケース36が挙げられている。しかしながら、前記取付部品は、他の部品を含んでいてもよいし、上述の各部品のうち一部のみを含んでいてもよい。
前記各実施形態では、左バー部材21、右バー部材31及び単一バー部材121は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂によって構成されている。しかしながら、左バー部材、右バー部材及び単一バー部材を、炭素繊維以外の繊維(例えば、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ガラス繊維など)で樹脂が強化された繊維強化樹脂によって構成してもよい。また、前記各実施形態では、前記樹脂として、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなどが用いられている。しかしながら、樹脂は、繊維で強化可能な樹脂であれば、他の種類の樹脂であってもよい。
前記各実施形態では、左バー部材21、右バー部材31及び単一バー部材121は、樹脂が炭素繊維を含む繊維シートによって強化された炭素繊維強化樹脂を含む。しかしながら、左ハンドルバー部、右ハンドルバー部及び単一バー部材は、繊維シートではなく、編まれていない状態の繊維が用いられた繊維強化樹脂を含んでいてもよい。また、前記繊維は、所定長さ(例えば1mm)以上、連続した繊維であってもよいし、不連続繊維であってもよい。
前記各実施形態では、右ハンドルユニット30及びバーハンドル116は、ブレーキマスターシリンダ33を有する。ブレーキマスターシリンダ33は、油圧式のブレーキシステムに用いられる。しかしながら、車両1のブレーキシステムは、ブレーキワイヤを有する機械式のブレーキシステムであってもよい。この場合には、ブレーキレバー35は、ブレーキマスターシリンダではなく、ブラケットによって、ハンドルバー部に回転可能に支持される。
前記実施形態1では、左ハンドルユニット20及び右ハンドルユニット30は、それぞれ、ステアリングシャフト15に対してステアリングシャフト15を中心に回転可能に接続されたフロントフォーク13,14の上端部に接続されている。しかしながら、左ハンドルユニット20及び右ハンドルユニット30は、ステアリングシャフト15に直接、接続されていてもよいし、他の部品を介してステアリングシャフト15に間接的に接続されていてもよい。すなわち、左ハンドルユニット20及び右ハンドルユニット30は、ステアリングシャフト15に直接的または間接的に支持されていればよい。
前記実施形態1では、左ハンドルバー部41及び右ハンドルバー部51は、筒部60に対して、筒軸方向にオフセットした状態で接続される。しかしながら、左ハンドルバー部及び右ハンドルバー部は、筒部に対して、筒軸方向にオフセットしない状態で接続されていてもよい。左ハンドルバー部及び右ハンドルバー部は、セパレートハンドルを構成可能な形状であれば、前記実施形態1の構成に限定されない。
また、前記実施形態1では、左ハンドルバー部41及び右ハンドルバー部51は、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂と弾性部材とを含む材料で構成され、右ハンドルホルダ52を構成する筒部60と、ホールド部70と、ハンドルバー連結部80は、弾性部材を含まず、炭素繊維を含む繊維シート101が径方向に積層された材料を用いる。しかし、右ハンドルホルダ52についても、樹脂が炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂と弾性部材とを含む材料を用いることができる。これにより、右ハンドルホルダ52に伝達される振動を軽減することができる。
前記実施形態2では、バーハンドル116は、ステアリングシャフト15に接続されている。しかしながら、バーハンドル116は、他の部品を介してステアリングシャフト15に間接的に接続されていてもよい。すなわち、バーハンドル116は、ステアリングシャフト15に直接的または間接的に支持されていればよい。
前記実施形態2では、単一バー部材121は、左端部から右端部まで単一のバー部材によって構成されている。しかしながら、単一バー部材121は、車体フレーム10の左右方向の中央よりも右から左に連続して延びていれば、単一の部材でなくてもよい。
前記各実施形態では、車両1の例として自動2輪車を説明したが、車両1は、バーハンドルを有し、エンジンによって駆動するストラドルドビークルであれば、2輪車に限らず、3輪車または4輪車など、どのような車両であってもよい。