JP7145948B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明はゴム組成物に関する。
従来から、水素添加ニトリルゴムは、耐薬品性、耐熱性に優れるゴムとして知られており、ガスケット、O-リング、オイルシール、ホース、ベルトなど種々の用途に用いられてきている。この水素添加ニトリルゴムを含む組成物及びこれから得られる架橋物の物性の改良を目的に、水素添加ニトリルゴム及び低分子量の液状ジエン系ゴムを含む組成物の検討がされている。
例えば、特許文献1では、ゴム組成物のロール加工性を改善することを目的に、水添ニトリルゴム、及び低分子量(平均分子量:1000~3000程度)の液状ポリブタジエンを含む組成物が検討されている。また、特許文献2では、耐発泡性、フェノール系接着剤を塗布した金属部材との接着性向上を目的とし、ヨウ素価が低いニトリルゴムと、ビニル化度が高く低分子量(平均分子量:1000~3000程度)の液状ポリブタジエンを含む組成物が検討されている。
特開昭63-046241号公報 特開2002-003648号公報
水素添加ニトリルゴムを含む組成物から得られる架橋物は、耐薬品性、耐熱性に優れる材料である。しかし、過酸化物架橋を行い得る水素添加ニトリルゴムを含む組成物において、その組成物から得られる架橋物が有する優れた特性を損なうことなく、スコーチ安定性を向上する方法は知られていない。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、過酸化物架橋系の水素添加ニトリルゴムを含む組成物において、その組成物の架橋物が有する優れた特性を損なうことなく、スコーチ安定性を向上したゴム組成物及びその架橋物を提供する。
本発明者らが検討を行った結果、水素添加ニトリルゴム、フィラー、有機過酸化物、特定の分子量を有する液状ジエン系ゴムを特定の配合比で含むゴム組成物は、水素添加ニトリルゴムの架橋物が有する優れた特性を損なうことなく、スコーチ安定性を向上できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下〔1〕~〔3〕に関する。
〔1〕 水素添加ニトリルゴム(A)100質量部、フィラー(B)5~100質量部、有機過酸化物(C)1~10質量部、及びゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000~120,000である液状ジエン系ゴム(D)1~20質量部を含むゴム組成物。
〔2〕 液状ジエン系ゴム(D)のビニル結合量が70モル%以下である〔1〕に記載のゴム組成物。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載のゴム組成物の架橋物。
本発明によれば、スコーチ安定性が向上した水素添加ニトリルゴムを含むゴム組成物が得られ、そのゴム組成物から得られる架橋物は、水素添加ニトリルゴムの架橋物が有する優れた特性が損なわれることがない。
[水素添加ニトリルゴム(A)]
本発明のゴム組成物で用いる水素添加ニトリルゴム(A)とは、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴムを水素添加して得られたものであり、20℃において固形状で取り扱うことができるゴムをいい、水素添加ニトリルゴム(A)の100℃におけるムーニー粘度ML1+4は通常20~200の範囲にあり、55~100の範囲にあることが好ましく、65~95の範囲にあることがより好ましい。
水素添加ニトリルゴム(A)のヨウ素価は3~50(mg/100mg)であることが好ましく、5~40(mg/100mg)であることがより好ましい。
水素添加ニトリルゴムのアクリロニトリル単位の含有量は、15~60質量%であることが好ましく、30~55質量%であることがより好ましい。
[フィラー(B)]
本発明のゴム組成物で用いるフィラー(B)としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機フィラー;樹脂粒子、木粉、及びコルク粉等の有機フィラーなどが挙げられる。このようなフィラーがゴム組成物に含まれることにより、機械強度、耐熱性、又は耐候性等の物性の改善、硬度の調整、ゴムの増量をすることができる。
機械強度の向上等の物性の改善などの観点からは、上記フィラー(B)の中でも、カーボンブラック及びシリカが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラックなどが挙げられる。架橋速度や機械強度向上の観点からは、これらカーボンブラックの中でも、ファーネスブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックの平均粒径としては、分散性、機械強度、硬度などを向上させる観点から5~100nmが好ましく、5~80nmがより好ましく、5~70nmがさらに好ましい。
なお、カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
上記ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイヤブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」などが挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」などが挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ECP600JD」などが挙げられる。
上記カーボンブラックは、水素添加ニトリルゴム(A)への濡れ性、分散性などを向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、本発明のゴム組成物及びこの組成物から得られる架橋物の機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000~3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B22、B23、B43、B45等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、B4C、B6C等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
上記カーボンブラックは、粉砕等により粒度を調整した後、用いることもできる。カーボンブラックの粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
上記シリカとしては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。これらシリカの中でも、加工性及び機械強度を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均粒径は、加工性及び機械強度を向上する観点から、0.5~200nmが好ましく、5~150nmがより好ましく、10~100nmがさらに好ましい。
なお、シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
本発明のゴム組成物において、水素添加ニトリルゴム(A)100質量部に対するフィラー(B)の含有量は5~100質量部であり、10~90質量部が好ましく、20~60質量部がより好ましい。フィラー(B)の含有量が前記範囲内であると、ゴム組成物の加工性、スコーチ安定性が向上する。
[有機過酸化物(C)]
本発明で用いる有機過酸化物(C)は、本発明のゴム組成物のゴム成分を架橋し得る成分である。有機過酸化物(C)としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、及び1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。
これら有機過酸化物(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機過酸化物(C)の含有量は、水素添加ニトリルゴム(A)100質量部に対し、1~10質量部である。この範囲で有機過酸化物(C)を含むことにより、得られる架橋物の力学物性に優れる。力学物性により優れる架橋物を得る観点から、有機過酸化物(C)の含有量は、水素添加ニトリルゴム(A)100質量部に対し、1~8質量部であることが好ましく、2~5質量部であることがより好ましい。
[液状ジエン系ゴム(D)]
本発明で用いる液状ジエン系ゴム(D)とは、液状の重合体でありその重合体を構成する単量体単位として共役ジエン単位を含む。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン;2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニルブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3,7-オクタトリエン、ミルセン、及びクロロプレン等のブタジエン及びイソプレン以外の共役ジエン(d1)が挙げられる。液状ジエン系ゴム(D)に含まれる共役ジエン単位としては、イソプレン及び/又はブタジエンの単量体単位が含まれていることが好ましい。
液状ジエン系ゴム(D)は、その重合体を構成する全単量体単位のうち、50質量%以上がイソプレン及び/又はブタジエンの単量体単位であることが好ましい一態様である。イソプレン単位及びブタジエン単位の合計含有量は、液状ジエン系ゴム(D)の全単量体単位に対して60~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
上記液状ジエン系ゴム(D)に含まれ得るイソプレン単位及びブタジエン単位以外の他の単量体単位としては、前述したイソプレン及びブタジエン以外の共役ジエン(d1)単位、芳香族ビニル化合物(d2)単位などが挙げられる。
芳香族ビニル化合物(d2)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N-ジエチル-4-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4-メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中では、スチレン、α-メチルスチレン、及び4-メチルスチレンが好ましい。
上記液状ジエン系ゴム(D)における、ブタジエン単位及びイソプレン単位以外の他の単量体単位の含有量は、50質量%以下であり、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。例えば、芳香族ビニル化合物(d2)単位が上記範囲以下であると、ゴム組成物の加工性が向上する傾向にある。
液状ジエン系ゴム(D)としては、共役ジエン及び必要に応じて含まれる共役ジエン以外の他の単量体を、例えば、乳化重合法、又は溶液重合法等により重合して得られる重合体が好ましい。
上記乳化重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、所定量の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及びロジン酸塩などが挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩などが挙げられる。
分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる液状ジエン系ゴム(D)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ-テルピネン、α-メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、通常0~100℃の範囲、好ましくは0~60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、上記液状ジエン系ゴム(D)を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、上記液状ジエン系ゴム(D)が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展した液状ジエン系ゴム(D)として回収してもよい。
上記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、共役ジエンを含む単量体を重合する。
溶媒としては、例えば、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。アニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4-ジリチオブタン、1,4-ジリチオ-2-エチルシクロヘキサン、1,3,5-トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。
有機アルカリ金属化合物の使用量は、液状ジエン系ゴム(D)の溶融粘度、分子量などに応じて適宜設定できるが、共役ジエンを含む全単量体100質量部に対して、通常0.01~3質量部の量で使用される。
上記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン部位のミクロ構造(例えば、ビニル結合量)を調整するため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して、通常0.01~1000モルの量で使用される。
溶液重合の温度は、通常-80~150℃の範囲、好ましくは0~100℃の範囲、より好ましくは10~90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、液状ジエン系ゴム(D)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより上記液状ジエン系ゴム(D)を単離できる。
上記液状ジエン系ゴム(D)の製造方法としては、上記方法の中でも、溶液重合法が好ましい。このようにして得られた液状ジエン系ゴム(D)は、そのまま未変性の状態で使用されてもよいが、その液状ジエン系ゴム中に含まれる炭素-炭素不飽和結合の少なくとも一部を水素添加された物を使用してもよい。また、液状ジエン系ゴム(D)として、変性化合物等を付加などした変性液状ジエン系ゴムを用いてもよいが、変性化合物等が付加されていない液状ジエン系ゴムを用いることが好ましい。
液状ジエン系ゴム(D)の重量平均分子量(Mw)は3,000以上120,000以下であり、3,000以上80,000以下が好ましく、3,500以上75,000以下がより好ましく、4,000以上70,000以下がさらに好ましく、5,000以上60,000以下がよりさらに好ましく、5,000以上50,000以下が特に好ましく、5,200以上40,000以下がより特に好ましい。液状ジエン系ゴム(D)のMwが前記範囲内であると本発明のゴム組成物の加工性が良好になり、スコーチ安定性が向上する。なお、本明細書において液状ジエン系ゴム(D)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。本発明においては、Mwが異なる2種以上の液状ジエン系ゴム(D)を組み合わせて用いてもよい。
液状ジエン系ゴム(D)の分子量分布(Mw/Mn)は1.0~20.0が好ましく、1.0~15.0がより好ましく、1.0~10.0がさらに好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる液状ジエン系ゴム(D)の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPCの測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比を意味する。
上記液状ジエン系ゴム(D)の38℃で測定した溶融粘度は、0.1~4,000Pa・sが好ましく、0.1~3,500Pa・sがより好ましく、0.1~3,000Pa・sがさらに好ましい。液状ジエン系ゴム(D)の溶融粘度が前記範囲内であると、得られるゴム組成物の柔軟性が向上するため、加工性が向上する。なお、本発明において液状ジエン系ゴム(D)の溶融粘度は、38℃においてブルックフィールド型粘度計により測定した値である。
上記液状ジエン系ゴム(D)のガラス転移温度(Tg)は、イソプレン単位、ブタジエン単位及び共役ジエン(d1)単位のビニル結合量、共役ジエン(d1)の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含量などによって変化し得るが、-150~50℃が好ましく、-130~50℃がより好ましく、-100~50℃がさらに好ましい。前記範囲であると、粘度が高くなるのを抑えることができ、取り扱いが容易になる。また、液状ジエン系ゴム(D)のガラス転移温度(Tg)が-150℃以上であると、ゴム組成物から得られる架橋物の所望の物性が向上しやすく、耐久性が良好となる傾向にある。
上記液状ジエン系ゴム(D)のビニル結合量は70モル%以下であることが好ましく、10~70モル%の範囲にあることがより好ましく、20~65モル%の範囲にあることがさらに好ましい。液状ジエン系ゴム(D)のビニル結合量が上記範囲にあると、加工性、力学物性により優れ、スコーチ安定性に優れる傾向にある。液状ジエン系ゴム(D)はビニル結合量が多いほど過酸化物により架橋反応速度が高くなる。そのため、ビニル結合量が高すぎると、所望する以上の速度で架橋反応が進み、スコーチ安定性に乏しく、加工性や力学硬度に劣ったゴム組成物となる。一方、ビニル結合量が少なすぎると、液状ジエン系ゴム(D)が水素添加ニトリルゴムと架橋せず、ブリードアウトする虞がある。本発明において、「ビニル結合量」とは、液状ジエン系ゴム(D)に含まれる共役ジエン単位の合計100モル%中、1,2-結合又は3,4-結合で結合をしている共役ジエン単位(1,4-結合以外で結合をしている共役ジエン単位)の合計モル%を意味する。ビニル結合量は、1H-NMRを用いて1,2-結合又は3,4-結合で結合をしている共役ジエン単位由来のピークと1,4-結合で結合をしている共役ジエン単位に由来するピークの面積比から算出することができる。なお、液状ジエン系ゴム(D)のビニル結合量は、例えば、液状ジエン系ゴム(D)を製造する際に使用する溶媒の種類、必要に応じて使用される極性化合物、重合温度などを制御することにより所望の値とすることができる。
上記液状ジエン系ゴム(D)は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記液状ジエン系ゴム(D)は、その製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量が、金属換算で0~200ppmの範囲にあることが好ましい。例えば、液状ジエン系ゴム(D)を製造するための重合触媒として有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属を用いた場合には、触媒残渣量の基準となる金属は、リチウム等のアルカリ金属になる。触媒残渣量が上記範囲にあることにより、加工等する際にタックが低下せず、また本発明のゴム組成物から得られる架橋物の耐久性が向上する。液状ジエン系ゴム(D)の製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量としては、金属換算で、より好ましくは0~150ppm、さらに好ましくは0~100ppmである。なお、触媒残渣量は、例えば偏光ゼーマン原子吸光分光光度計を用いることにより測定できる。
液状ジエン系ゴム(D)の触媒残渣量をこのような特定の量とする方法としては、液状ジエン系ゴムを精製し、触媒残渣を十分に除去する方法などが挙げられる。精製する方法としては、水若しくは温水、又はメタノール、アセトンなどに代表される有機溶媒若しくは超臨界流体二酸化炭素による洗浄が好ましい。洗浄回数としては、経済的な観点から1~20回が好ましく、1~10回がより好ましい。また、洗浄温度としては、20~100℃が好ましく、40~90℃がより好ましい。また重合反応前に、重合の阻害を行うような不純物を蒸留や吸着剤により除去し、単量体の純度を高めた後に重合を行うことによっても、必要な重合触媒量が少なくてすむため、触媒残渣量を低減することができる。また、上記と同様の観点から、本発明のゴム組成物中の触媒残渣量が、金属換算で0~200ppmであることが好ましく、0~150ppmがより好ましく、0~100ppmがさらに好ましい。この場合の触媒残渣量は水素添加ニトリルゴム(A)、液状ジエン系ゴム(D)及び/又は該ゴム組成物中に含まれるその他任意成分の製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量であってもよい。
本発明のゴム組成物において、水素添加ニトリルゴム(A)100質量部に対する液状ジエン系ゴム(D)の含有量は、1~20質量部であり、3~15質量部が好ましく、3~8質量部がより好ましい。液状ジエン系ゴム(D)の含有量が上記範囲内であると、ゴム組成物の加工性が良好になり、スコーチ安定性も向上する。
本発明のゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、フタレート系可塑剤、セバケート系可塑剤、アジペート系可塑剤等のエステルオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分を軟化剤として含有していてもよい。本発明のゴム組成物が上記プロセスオイルを軟化剤として含有する場合には、その含有量は、水素添加ニトリルゴム(A)100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。一方、本発明のゴム組成物では、可塑剤を含まないことも本発明の好ましい一態様である。可塑剤は一般に分子量が小さく、ブリードアウトの虞があるが、本発明においては、液状ジエン系ゴム(D)が混練時に可塑剤としての役割を担う。また、本発明の液状ジエン系ゴム(D)は、水素添加ニトリルゴムと架橋構造を形成できるため、ブリードアウトの虞が無い。
本発明のゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、ワックス、酸化防止剤、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の添加剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。老化防止剤としては、例えば、アミン-ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。これら添加剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
また本発明のゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、水素添加ニトリルゴム(A)以外の固形ゴムを含んでいてもよい。
[ゴム組成物の製造方法]
本発明のゴム組成物の製造方法は、上記各成分を均一に混合できれば特に限定されない。ゴム組成物の製造に用いる装置としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式又は噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、及びローラーなどが挙げられる。上記ゴム組成物を製造は、通常70~270℃の温度範囲で行うことができる。
[架橋物]
本発明のゴム組成物を架橋することにより、架橋物を得ることができる。ゴム組成物の架橋条件は、その用途等に応じて適宜設定できる。
有機過酸化物を架橋剤とし、ゴム組成物を金型により架橋する場合には、架橋温度は通常100~200℃、加圧条件は通常0.5~2.0MPaとし、架橋することができる。
本発明のゴム組成物は、水素添加ニトリルゴムの優れた特性を損なうことなく、加工性、スコーチ安定性に優れるため、種々の用途に用いることができる。
本発明のゴム組成物から得られる架橋物は、例えば、ガスケット、O-リング、オイルシール、ホース、ベルトなど種々の用途に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<水素添加ニトリルゴム(A)>
ゼットポール2020(日本ゼオン株式会社製)
(アクリロニトリル単位の含有量36.2%、ヨウ素価28、ムーニー粘度78)
<フィラー(B)>
カーボンブラック:シーストG-SO(東海カーボン株式会社製)
<有機過酸化物(C)>
パーブチルP(日油株式会社製)
<液状ジエン系ゴム(D)>
後述の製造例1~5で得られた液状ジエン系ゴム
<任意成分>
架橋助剤:アクリルエステルTMP(三菱ケミカル株式会社製)
可塑剤:BAX-R(大八化学工業株式会社製)
老化防止剤:ノクラック224(大内新興化学工業株式会社製)
製造例1:液状ジエン系ゴム(D-1)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1100g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)204gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン10gと、ブタジエン1300gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、液状ジエン系ゴム(D-1)を得た。得られた液状ジエン系ゴム(D-1)の物性を表1に示す。
製造例2:液状ジエン系ゴム(D-2)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1100g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)33gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン2.2gと、ブタジエン1320gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、液状ジエン系ゴム(D-2)を得た。得られた液状ジエン系ゴム(D-2)の物性を表1に示す。
製造例3:液状ジエン系ゴム(D-3)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1100g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)204gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1300gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、液状ジエン系ゴム(D-3)を得た。得られた液状ジエン系ゴム(D-3)の物性を表1に示す。
製造例4:液状ジエン系ゴム(D-4)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン1280g及びs-ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)204gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1350gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、液状ジエン系ゴム(D-4)を得た。得られた液状ジエン系ゴム(D-4)の物性を表1に示す。
製造例5:液状ジエン系ゴム(D-5)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン1100g及びs-ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)54gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン5.1gと、予め調製したブタジエン、スチレンの混合物(ブタジエン360gとスチレン90gをボンベ内で混合)450gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、液状ジエン系ゴム(D-5)を得た。得られた液状ジエン系ゴム(D-5)の物性を表1に示す。
なお、製造例で得られた液状ジエン系ゴムの各物性の測定方法及び算出方法は以下の通りである。
(重量平均分子量の測定方法)
液状ジエン系ゴム(D)の重量平均分子量は、GPCにより標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI-8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0mL/分
・サンプル濃度:5mg/10mL
・カラム温度 :40℃
(ビニル結合量)
液状ジエン系ゴム(D)のビニル結合量を、日本電子株式会社製1H-NMR(500MHz)を使用し、サンプル/重クロロホルム=50mg/1mLの濃度、積算回数1024回で測定した。得られたスペクトルのビニル化されたジエン化合物由来の二重結合のピークと、ビニル化されていないジエン化合物由来の二重結合のピークとの面積比から、ビニル結合量を算出した。
(ガラス転移温度)
液状ジエン系ゴム(D)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(38℃における溶融粘度の測定方法)
液状ジエン系ゴム(D)の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
Figure 0007145948000001
実施例1~6及び比較例1、2
表2に記載した配合割合(質量部)にしたがって、水素添加ニトリルゴム(A)、フィラー(B)、有機過酸化物(C)、液状ジエン系ゴム(D)、架橋助剤、可塑剤、及び老化防止剤を、オープンロールを用いて混練し、未架橋ゴムシートを得た。得られた未架橋ゴムシートを用いて、ムーニー粘度、スコーチ時間t5、90%架橋時間tc(90)を、下記の方法に基づき、それぞれ評価した。結果を表2に示す。
得られた未架橋ゴムシートをプレス成形(180℃、7分)して架橋ゴムシート(厚み2mm)を作製し、下記の方法に基づき、硬度、引張強さ、切断時伸びを評価した。結果を表2に示す。
なお、各評価の測定方法は以下のとおりである。
(ムーニー粘度ML1+4,100℃)
実施例及び比較例で作製した未架橋ゴムシートを用い、JIS K 6300に準拠し、L形ロータを使用して、予熱1分、ロータ作動時間4分、温度100℃の条件で求めた。
(ムーニースコーチ時間t5
実施例及び比較例で作製した未架橋ゴムシートを用い、JIS K 6300に準拠し、125℃におけるムーニースコーチ時間t5(分)を測定した。
(90%架橋時間tc(90))
実施例及び比較例で作製した未架橋ゴムシートを用い、JIS K 6300に準拠し、170℃における90%架橋時間tc(90)(分)を測定した。
(硬度)
JIS K 6253に準拠して、タイプA硬度計により、得られた架橋ゴムシートの硬度を測定した。各実施例及び比較例の数値は、表2の比較例1の値を100とした際の相対値である。
(引張強さ、切断時伸び)
得られた架橋ゴムシートからダンベル状試験片を打ち抜き、インストロン社製引張試験機を用いて、JIS K 6251に準じて引張強さ、切断時伸びを測定した。各実施例及び比較例の数値は、表2の比較例1の値を100とした際の相対値である。
Figure 0007145948000002
表2より実施例1~6のゴム組成物は90%架橋時間が同等で、スコーチ安定性に優れることがわかる。また硬度、引張強さ、切断時伸びも高いレベルで備える。
本発明のゴム組成物は加工性、スコーチ安定性に優れ、しかも水素添加ニトリルゴムの有する優れた特性を損なうことがない。そのため、種々の工業用部材用途などに好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 水素添加ニトリルゴム(A)100質量部、フィラー(B)5~100質量部、有機過酸化物(C)1~10質量部、及びゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,200~120,000である液状ジエン系ゴム(D)1~20質量部を含むゴム組成物であり、
    前記液状ジエン系ゴム(D)のビニル結合量が10~70モル%の範囲であり、
    前記液状ジエン系ゴム(D)中に含まれる炭素-炭素不飽和結合は水素添加されていない状態であり、かつ変性化合物が付加されていない、ゴム組成物
  2. 請求項1に記載のゴム組成物の架橋物。

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