JP2010253737A - ニトリルゴム金属積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属板の片面または両面に、接着剤層およびゴム層を順次積層させてなるゴム金属積層体において、ゴム層がニトリルゴムまたは水素化ニトリルゴム100重量部に対して、数平均分子量Mn1000〜10000の水素添加ポリブタジエン0.2〜20重量部を含有せしめたゴムコンパウンドの加硫物により形成されているゴム金属積層体。接着剤層は、好ましくはゴム層形成に用いられたゴムコンパウンドを、加硫接着剤との合計量中約50重量%以下添加したものから形成される。
【選択図】 なし
Description
ニトリルゴムとしては、NBRまたはHNBRが用いられ、好ましくは中高ニトリル(CN含量31〜35%)〜高ニトリル(CN含量36〜42%)、さらに好ましくは中高ニトリルのものが用いられる。NBRとしては、市販品、例えばJSR製品N235S、日本ゼオン製品Nipol 1041等が用いられる。HNBRは、アクリロニトリルブタジエンゴム中の炭素-炭素二重結合のみを選択的に水素化することにより得られるゴムであり、ニトリルゴムと比較して耐熱老化性、耐候性、耐化学薬品性が改良されているといった特徴がある。かかるHNBRとしては、好ましくはヨウ素化30以下、さらに好ましくは耐熱屈曲性の点からヨウ素価が10〜15のものが用いられ、本発明では市販品、例えば日本ゼオン製品Zetpol 2000(ヨウ素価7以下)、同社製品Zetpol 2020(ヨウ素価28)、同社製品Zetpol 2020L(ヨウ素価28)、同社製品Zetpol 2010(ヨウ素価11)などが用いられる。
金属板としては、塗布型クロメート処理、6価のCrイオンを含まない化成処理、脱脂処理、粗面化処理、プライマー処理またはこれらの組合せ処理がなされた金属板、例えば表面がショットブラスト、スコッチブライド、ヘアーライン、ダル仕上げなどで粗面化されたステンレス鋼板、軟鋼板、亜鉛メッキ鋼板、SPCC鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミダイキャスト板、あるいは粗面化処理をせずに、これらの金属板を溶剤脱脂またはアルカリ脱脂したもの、さらに接着性を高める観点からは脱脂処理された金属板に無機系または有機系防錆被膜を形成させる化成処理を施したものなどが用いられる。この内、環境対策上から、好ましくは6価のCrイオンを含まない化成処理、脱脂処理、粗面化処理、プライマー処理またはこれらの組合せ処理が用いられる。また金属板の板厚は、特にガスケット用途に用いる場合には約0.1〜1mm程度のものが用いられる。
これらの金属板上には、好ましくは下塗り層としてのプライマー層が形成される。プライマー層は、本発明の目的とするゴム層の耐熱性についての向上に必要の条件となるものではないものの、ゴム金属積層体のゴム接着にかかる耐熱性および耐水性の大幅な向上が望めるものであり、特にゴム金属積層体をシール材として使用する場合にはその形成が望ましい。
金属板上に塗布されたプライマー層上には、一般に市販されている接着剤、例えばフェノール樹脂系接着剤が加硫接着剤として塗布される。市販品としては、東洋化学研究所製品メタロックN31、ロームアンドハース社製品シクソン715、ロードファーイースト社製品ケムロックTS1677-13等が挙げられる。これらの加硫接着剤はそれら単独でも用いられるが、これにゴム層形成に用いられた(水素化)ニトリルゴムコンパウンドを、加硫接着剤との合計量中約50重量%以下、好ましくは約5〜50重量%添加したものが好んで用いられる。これらの接着剤についても、プライマー溶液の場合と同様の塗布方法、塗布温度、塗布時間等が適用され、膜厚約1〜15μmの接着剤層を形成させる。
接着剤層上には、約5〜200μm、好ましくは5〜120μm程度の厚さの加硫ゴム層を形成させるように、未加硫の(水素化)ニトリルゴムコンパウンドがゴムコンパウンドの有機溶媒溶液として塗布され、それの加硫は一般に約150〜230℃、約1〜10MPaで約0.5〜30分間程度加圧加硫することによって行われる。
(1) 以下の各成分を、ニーダおよびオープンロールで混練し、ニトリルゴムコンパウンドを得た。
(ニトリルゴムコンパウンド)
NBR(N235S;ニトリル含量36%) 100重量部
シリカ(日本シリカ製品ニップシールLP) 20 〃
酸化アルミニウム(日本軽金属製品A32:平均粒径1μm) 100 〃
酸化亜鉛 5 〃
ステアリン酸 1 〃
FEFカーボンブラック 40 〃
老化防止剤(大内新興化学製品Nocrac 3C) 2 〃
老化防止剤(川口化学工業製品Antage OD-P) 1.5 〃
イオウ 2 〃
水素添加ポリブタジエン(BI-3000;Mn 3000) 5 〃
加硫促進剤(大内新興化学製品ノクセラーDM) 2 〃
加硫促進剤(同社製品ノクセラーCZ) 2.5 〃
加硫促進剤(同社製品ノクセラーTBZTD) 1 〃
上記共重合オリゴマー 2.5部
チタンテトラ(アセチルアセテート) 1.0部
メタノール 86.5部
水 10.0部
よりなるシラン系プライマーを塗布し、室温で乾燥させた後、220℃で5分間の焼付処理を行った。
前記(1)記載のニトリルゴムコンパウンド 3部
レゾール型フェノール樹脂(ケムロックTS1677) 7部
メチルエチルケトン 90部
メタノール 10.0部
よりなる接着剤を塗布し、180℃で5分間の加熱処理を行い、厚さ約2μmの接着剤層を形成させた。
実施例1において、ニトリルゴムコンパウンド成分中、水素添加ポリブタジエン量が10重量部に変更されて用いられた。
実施例1において、ニトリルゴムコンパウンドの代わりに、下記水素化ニトリルゴムコンパウンドが用いられた。
(水素化ニトリルゴムコンパウンド)
HNBR(Zetpol 2020L;ニトリル含量36%) 100重量部
シリカ(ニップシールLP) 20 〃
酸化アルミニウム(A32:平均粒径1μm) 100 〃
酸化亜鉛 5 〃
ステアリン酸 1 〃
FEFカーボンブラック 40 〃
老化防止剤(大内新興化学製品Nocrac CD) 3 〃
水素添加ポリブタジエン(BI-3000) 5 〃
加硫促進剤(大内新興化学製品バルノックPM-P) 5 〃
加硫剤(日本油脂製品パークミルD) 5 〃
実施例1において、ニトリルゴムコンパウンド成分中、水素添加ポリブタジエンが用いられなかった。
実施例3において、水素化ニトリルゴムコンパウンド成分中、水素添加ポリブタジエンが用いられなかった。
実施例1において、ニトリルゴムコンパウンド成分中、水素添加ポリブタジエンの代わりに、フッ素ゴム(デュポン・ダウ・エラストマー製品バイトンA-200)が同量用いられた。
実施例1において、ニトリルゴムコンパウンド成分中、水素添加ポリブタジエンの代わりに、可塑剤(旭電化製品P-200)が同量用いられた。
実施例1において、ニトリルゴムコンパウンド成分中、水素添加ポリブタジエンの代わりに、ポリブタジエン(日本曹達B-3000)が同量用いられた。
塗布試験:ゴムコンパウンドを、固形分濃度25重量%となるようにトルエン:メチルエチルケトン=重量比9:1からなる混合溶剤に溶解したものを、ナイフコータを用いて20μmの厚みの加硫ゴム層となるように金属板の接着剤層上に塗布して、1時間風乾後の表面状態を目視にて観察し、平滑で色相が均一のものを○、白色の塊が塗布表面に点在しているものを×と評価
耐屈曲性試験:ゴム積層金属板をギヤ式オーブンに入れ、加硫ゴムの老化試験方法が規定されているJIS K-6257の加熱条件に準拠して空気中での加熱を行った後、加熱終了後の付着性の評価を、JIS K-5400に準拠して直径6mmの心棒を使用した耐屈曲性試験により行い、剥がれの有無を目視にて確認
碁盤目試験:耐屈曲性試験と同様にゴム積層金属板の加熱を行った後の接着性付着性の評価を、JIS K-5600に準拠してカッターで碁盤目の切れ目を入れて、ゴム硬化劣化後におけるゴム層のゴム残率を目視にて確認することにより行い、ゴム残存率100%のものを5、95%以上100%未満のものを4、85%以上95%未満のものを3、65%以上85%未満のものを2、65%未満のものを1として評価
圧縮試験:ゴム積層金属板ゴム面のステンレス製凸部に、加熱プレスおよび専用冶具を用いて、150℃、面圧2トン/cm2(196MPa)、5分間の条件下で処理した後、ゴム層の状態を以下の基準に基づき評価
5:金属の露出がなく、ゴム流れも殆どみられない
4:金属の露出がなく、ゴム流れも小
3:ゴム流れが少なからず生じているが、金属露出には至っていない状態
2:ゴム流れは大きいが、金属の露出は小
1:ゴム流れ、金属の露出ともに大
表
実施例 比較例
測定、評価項目 1 2 3 1 2 3 4 5
〔ゴムコンパウンド特性〕
塗布評価 ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○
〔ゴム積層金属板特性〕
耐屈曲性試験
165℃での評価 なし なし なし 大 なし なし 僅か なし
185℃での評価 僅か なし なし 大 僅か 僅か 大 僅か
200℃での評価 僅か なし なし 大 大 僅か 大 大
碁盤目試験
165℃での評価 5 5 5 2 5 5 4 5
185℃での評価 4 5 5 1 4 4 2 3
200℃での評価 4 4 5 1 3 3 1 1
圧縮試験
評価 5 4 4 4 5 2 5 5
Claims (5)
- 金属板の片面または両面に、接着剤層およびゴム層を順次積層させてなるゴム金属積層体において、ゴム層がニトリルゴムまたは水素化ニトリルゴム100重量部に対して、数平均分子量Mn1000〜10000の水素添加ポリブタジエン0.2〜20重量部を含有せしめたゴムコンパウンドの加硫物により形成されているニトリルゴム金属積層体。
- 水素化ニトリルゴムとして、ヨウ素価30以下のものが用いられた請求項1記載のニトリルゴム金属積層体。
- ゴム層形成に用いられたゴムコンパウンドを加硫接着剤との合計量中50重量%以下添加した接着剤を用いて接着剤層を形成させた請求項1記載のニトリルゴム金属積層体。
- シール材として用いられる請求項1、2または3記載のニトリルゴム金属積層体。
- エンジン用ガスケット材として用いられる請求項4記載のニトリルゴム金属積層体。
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