以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る遮断回路診断装置、モータ制御装置及び遮断回路診断方法について説明する。
[1-1.遮断回路診断装置及びモータ制御装置の構成]
まず、本実施の形態に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る遮断回路診断装置10及びモータ制御装置12の機能構成を示すブロック図である。
モータ制御装置12は、1以上のモータを制御する装置である。モータ制御装置12は、遮断回路診断装置10と、1以上のインバータ回路と、1以上のインバータ回路を駆動する複数の駆動回路とを備える。本実施の形態では、1以上のインバータ回路は、第一インバータ回路6aを含む。また、複数の駆動回路は、第一P側駆動回路4aと、第一N側駆動回路5aとを含む。
遮断回路診断装置10は、1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断回路を診断する装置である。図1に示されるように、遮断回路診断装置10は、信号出力器1と、合成回路8と、診断器9とを備える。本実施の形態では、1以上のモータは、第一モータ7aを含む。遮断回路診断装置10は、第一モータ7aへの通電を遮断させる二つの遮断回路である第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bを診断する。遮断回路診断装置10は、第一遮断回路3aと、第二遮断回路3bとをさらに備える。
第一モータ7aは、第一インバータ回路6a、第一P側駆動回路4a及び第一N側駆動回路5aによって駆動されるモータの一例であり、例えば、3相正弦波を印加することで回転する誘導電動機、ロータに磁石を配置した3相ブラシレスモータ等である。
第一インバータ回路6aは、PWM(Pulse Width Modulation)制御により第一モータ7aへ印加する電圧を制御するインバータ回路の一例である。より具体的には、第一インバータ回路6aは、例えば、3相のインバータ回路であって、6つのパワー素子を含む。6つのパワー素子は、電源のプラス側(P側)に接続されるP側パワー素子と、電源のマイナス側(N側)に接続されるN側パワー素子とを含む。
第一P側駆動回路4aは、インバータ回路を駆動する駆動回路の一例であり、図示しないPWM生成器からのPWM信号を第一インバータ回路6aのP側パワー素子に伝達する。また、第一P側駆動回路4aは、第一インバータ回路6aなどの高電圧の1次側の回路と、外部との接続素子などの低電圧の2次側の回路とを絶縁する機能も有する。1次側及び2次側の回路の絶縁には、例えば、オプトカプラなどの絶縁素子が用いられる。
第一N側駆動回路5aは、インバータ回路を駆動する駆動回路の一例であり、図示しないPWM生成器からのPWM信号を第一インバータ回路6aのN側パワー素子に伝達する。また、第一N側駆動回路5aは、第一P側駆動回路4aと同様に高電圧の1次側の回路と、低電圧の2次側の回路とを絶縁する機能も有する。
信号出力器1は、複数の遮断回路に1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断信号を、順次出力する回路である。本実施の形態では、複数の遮断信号は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bにそれぞれ入力される第一遮断信号BS1及び第二遮断信号BS2を含む。信号出力器1は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bに、それぞれ第一遮断信号BS1及び第二遮断信号BS2を順次出力する。信号出力器1は、複数の遮断信号を生成してもよいし、外部で生成された複数の遮断信号を出力してもよい。
第一遮断回路3aは、第一モータ7aへの通電を遮断させる回路であり、外部からの非常停止信号(非常停止指令)が入力された場合に、第一P側駆動回路4aへの電力供給を遮断する。また、第一遮断回路3aは、信号出力器1から遮断信号が入力された場合にも、第一P側駆動回路4aへの電力供給を遮断する。第一P側駆動回路4aへの電力供給が遮断されると、第一インバータ回路6aのP側パワー素子への電力供給も遮断される。遮断信号は、非常停止信号と同等の信号であり、遮断回路を診断するために使用される。第一遮断回路3aは、非常停止信号又は遮断信号が入力された場合、第一P側駆動回路4aへの電力供給を遮断する信号を第一P側駆動回路4aに出力する。第一遮断回路3aは、この信号と同等の信号であるモニタ信号(第一モニタ信号MS1)を合成回路8に出力する。モニタ信号は、第一遮断回路3aが出力する信号をモニタするために用いられる。第一遮断回路3aが第一P側駆動回路4aへの電力供給を遮断する信号を出力することができるか否かを、モニタ信号に基いて診断できる。
第二遮断回路3bは、第一モータ7aへの通電を遮断させる回路であり、外部からの非常停止信号が入力された場合に、第一N側駆動回路5aへの電力供給を遮断する。また第二遮断回路3bは、信号出力器1から遮断信号が入力された場合にも、第一N側駆動回路5aへの電力供給を遮断する。第一N側駆動回路5aへの電力供給が遮断されると、第一インバータ回路6aのN側パワー素子への電力供給も遮断される。第二遮断回路3bは、非常停止信号又は遮断信号が入力された場合、第一N側駆動回路5aへの電力供給を遮断する信号を第一N側駆動回路5aに出力する。第二遮断回路3bは、この信号と同等の信号であるモニタ信号(第二モニタ信号MS2)を合成回路8に出力する。
合成回路8は、複数の遮断回路からそれぞれ出力される複数のモニタ信号を合成することによって合成信号を生成する回路である。本実施の形態では、複数のモニタ信号は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bからそれぞれ出力される第一モニタ信号MS1及び第二モニタ信号MS2を含む。第一モニタ信号MS1及び第二モニタ信号MS2は、高レベル(HIGHレベル)の電圧信号又は低レベル(LOWレベル)の電圧信号を含む信号であり、本実施の形態では、HIGHレベル及びLOWレベルの電圧信号は、例えば、それぞれ3.3V及び0Vの電圧信号である。合成回路8は、第一モニタ信号MS1及び第二モニタ信号MS2を合成することによって合成信号を生成する。合成回路8の機能については、後で詳述する。
本実施の形態に係る合成回路8の回路構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る合成回路8の回路構成を示す回路図である。図2に示されるように、合成回路8は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bにそれぞれ接続される第一入力端子Ti1及び第二入力端子Ti2と、合成信号を出力する出力端子Toとを有する。合成回路8は、第一入力端子Ti1と出力端子Toとの間に直列接続される第一論理否定回路81n及び第一抵抗素子81rと、第二入力端子Ti2と出力端子Toとの間に直列接続される第二論理否定回路82n及び第二抵抗素子82rとを有する。ここで、第一抵抗素子81r及び第二抵抗素子82rは、互いに抵抗値が異なる。
第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82nは、入力されたモニタ信号のレベルを反転して出力する。つまり、第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82nは、HIGHレベル(3.3V)の電圧信号が入力された場合に、LOWレベル(0V)の電圧信号を出力し、LOWレベル(0V)の電圧信号が入力された場合に、HIGHレベル(3.3V)の電圧信号を出力する。
診断器9は、合成回路8が出力する合成信号に基いて複数の遮断回路を診断する回路である。本実施の形態では、診断器9は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bを診断する。診断器9は、例えば、マイコンを用いて実現される。また、診断器9は、信号出力器1の複数の遮断信号の出力タイミングを制御してもよい。これにより、診断器9は、合成信号の変動がどの遮断信号に起因するかを識別できる。また、診断器9は、複数の遮断信号を生成してもよい。この場合、診断器9によって生成された複数の遮断信号は、信号出力器1を介して複数の遮断回路に入力される。
[1-2.遮断回路及び合成回路の機能]
次に、本実施の形態に係る複数の遮断回路及び合成回路8の機能について、図2~図5を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る合成回路8に入力されるモニタ信号(MS1及びMS2)のレベルと、合成信号の電圧との関係を示す図である。図4及び図5は、それぞれ本実施の形態に係る合成回路8の通常時、及び、第一遮断回路3a診断時の等価回路を示す回路図である。
本実施の形態では、通常時、つまり、信号出力器1から遮断信号を出力していない時には、信号出力器1からHIGHレベルの電圧信号が出力される。HIGHレベルの電圧信号として、例えば3.3Vの電圧信号を使用できる。HIGHレベルの電圧信号が入力された第一遮断回路3aは、HIGHレベルの電圧信号を第一P側駆動回路4a及び合成回路8に出力する。信号出力器1からHIGHレベルの電圧信号が入力された第二遮断回路3bは、HIGHレベルの電圧信号を第一N側駆動回路5a及び合成回路8に出力する。したがって、通常時には、合成回路8の第一入力端子Ti1及び第二入力端子Ti2に、HIGHレベルの電圧信号が入力される。
この場合、第一入力端子Ti1及び第二入力端子Ti2に印加されたHIGHレベル(3.3V)の電圧は、それぞれ第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82nによって、LOWレベル(0V、つまりグランド電位)の電圧に変換される。このため、合成回路8の等価回路は、図4で示されるように第一抵抗素子81rと第二抵抗素子82rとが並列接続された回路となり、当該回路の一方に0Vの電圧信号が印加される。したがって、合成回路8が出力する合成信号の電圧は、図3に示されるように0Vとなる。
また、第一遮断回路3aを診断する場合、つまり、第一モニタ信号MS1を診断する場合には、本実施の形態では、信号出力器1は第一遮断回路3aにLOWレベルの電圧信号を出力する。LOWレベルの電圧信号として、例えば0Vの電圧信号を使用できる。一方、信号出力器1は第二遮断回路3bにHIGHレベルの電圧信号を出力する。
第一遮断回路3aが正常に動作している場合、LOWレベルの電圧信号が入力されると、第一遮断回路3aはLOWレベルの電圧信号を出力する。第二遮断回路3bは、通常時と同様にHIGHレベルの電圧信号を出力する。この場合、第一入力端子Ti1に印加されたLOWレベルの電圧、及び、第二入力端子Ti2に印加されたHIGHレベルの電圧は、それぞれ第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82nによって、HIGHレベル及びLOWレベルの電圧に変換される。このため、合成回路8の等価回路は、図5に示されるように出力端子Toの第一遮断回路3a側に第一抵抗素子81rが接続され、出力端子Toのグランド側に第二抵抗素子82rが接続された回路となる。ここで、第一抵抗素子81rの抵抗値R1と第二抵抗素子82rの抵抗値R2との比をR1:R2=1:2とすると、出力端子Toに対してグランド側の抵抗値R2と、遮断回路側の抵抗値R1との比は、R2:R1=2:1となる(図3参照)。したがって、出力端子Toから出力される合成信号の電圧は、2.2Vとなる。
また、第二遮断回路3bを診断する場合、つまり、第二モニタ信号MS2を診断する場合には、本実施の形態では、信号出力器1は、第二遮断回路3bにLOWレベルの電圧信号を出力し、第一遮断回路3aにHIGHレベルの電圧信号を出力する。
第二遮断回路3bが正常に動作している場合、LOWレベルの電圧信号が入力されると、第二遮断回路3bはLOWレベルの電圧信号を出力する。第一遮断回路3aは、通常時と同様にHIGHレベルの電圧信号を出力する。この場合、第一入力端子Ti1に印加されたHIGHレベルの電圧、及び、第二入力端子Ti2に印加されたLOWレベルの電圧は、それぞれ第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82nによって、LOWレベル及びHIGHレベルの電圧に変換される。このため、合成回路8の等価回路は、出力端子Toの第二遮断回路3b側に第二抵抗素子82rが接続され、出力端子Toのグランド側に第一抵抗素子81rが接続された回路となる。つまり、図5に示される等価回路において、第一抵抗素子81rと第二抵抗素子82rとを入れ替えた等価回路となる。ここで、R1:R2=1:2とすると、出力端子Toに対してグランド側の抵抗値R1と、遮断回路側の抵抗値R2との比は、R1:R2=1:2となる(図3参照)。したがって、出力端子Toから出力される合成信号の電圧は、1.1Vとなる。
以上のように、合成回路8は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bからそれぞれ出力される第一モニタ信号MS1及び第二モニタ信号MS2を合成して、出力端子Toから出力できる。したがって、信号出力器1が各遮断回路に遮断信号を出力するタイミングにおける合成信号の電圧値を監視することで、各遮断回路を診断できる。
また、上記構成により、第一遮断回路3aに第一遮断信号BS1が入力されているタイミングにおける合成信号の電圧値と、第二遮断回路3bに第二遮断信号BS2が入力されているタイミングにおける合成信号の電圧値とを異ならせることができる。これにより、合成信号の電圧値に基いて診断されている遮断回路を識別できる。
[1-3.遮断回路診断方法及び動作例]
次に、本実施の形態に係る遮断回路診断装置10を用いた遮断回路診断方法について、動作例を示しながら図6及び図7を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る遮断回路診断方法を示すフローチャートである。図7は、本実施の形態に係る遮断回路診断装置10の動作例を示すタイミングチャートである。
本実施の形態に係る遮断回路診断方法は、1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断回路を診断する方法である。
図6に示されるように、遮断回路診断方法において、まず、信号出力器1は、複数の遮断信号を順次出力する(S10)。本実施の形態では、例えば、図7に示されるように、信号出力器1は、第一遮断信号BS1及び第二遮断信号BS2を順次出力する。より詳しくは、信号出力器1は、時点t1から時点t2まで、第一遮断回路3aに第一遮断信号BS1を出力し、続いて、時点t3から時点t4まで、第二遮断回路3bに第二遮断信号BS2を出力する。これに伴って、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bは、それぞれ、第一モニタ信号MS1及び第二モニタ信号MS2を合成回路8に出力する。各遮断信号は、例えば、パルス幅10msec程度のLOWレベルの電圧信号である。
なお、例えば、第一遮断回路3aがLOWレベルの電圧信号を出力する場合、LOWレベルの電圧信号は、合成回路8だけでなく第一P側駆動回路4aにも出力される。これに伴い、第一P側駆動回路4aは、電力供給が遮断されるため、第一インバータ回路6aのP側パワー素子の駆動が停止される。しかしながら、このとき、第二遮断回路3bには、第二遮断信号が入力されていないため、第一N側駆動回路5aはN側パワー素子の駆動を継続できる。したがって、本実施の形態に係る遮断回路診断装置10は、第一モータ7aの駆動中においても、第一モータ7aを停止することなく、複数の遮断回路を診断できる。
次に、合成回路8は、図6に示されるように、複数の遮断回路からそれぞれ出力される複数のモニタ信号を合成することによって合成信号を生成する(S12)。本実施の形態では、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bからそれぞれ出力される第一モニタ信号MS1及び第二モニタ信号MS2を合成することによって合成信号を生成する。図7に示される動作例では、合成信号の電圧は、第一遮断信号BS1が出力されている時点t1から時点t2までは2.2Vであり、第二遮断信号BS2が出力されている時点t3から時点t4までは1.1Vである。
次に、診断器9は、図6に示されるように、合成信号に基いて複数の遮断回路を診断する(S14)。本実施の形態では、診断器9は、遮断信号を出力しているタイミング(時点t1から時点t2までなど)における合成信号の電圧に基いて遮断回路を診断する。例えば、図7に示されるように、信号出力器1から第一遮断回路3aに第一遮断信号BS1を出力している時点t1から時点t2までの期間において、診断器9が検出する合成信号の電圧値は2.2Vである。この電圧値に基いて、診断器9は、第一遮断回路3aが所定の第一モニタ信号MS1を出力していると診断する。つまり、診断器9は、第一遮断回路3aが正常に動作していると診断する。
一方、信号出力器1から第一遮断回路3aに第一遮断信号BS1を出力している時点t5から時点t6までの期間において、診断器9が検出する合成信号の電圧値は0Vである。この電圧値に基いて、診断器9は、第一遮断回路3aが所定の第一モニタ信号MS1を出力していないと診断する。つまり、診断器9は、第一遮断回路3aが正常に動作していない(つまり、異常がある)と診断する。
次に、診断器9は、図6に示されるように、診断の結果に基いて、複数の遮断回路の異常の有無を判断する(S16)。診断器9が、診断の結果に基いて、異常なしと判断した場合には(S16でNo)、ステップS10に戻って、信号出力器1が再度複数の遮断信号を順次出力する(例えば、図7の時点t5以降参照)。また、診断器9は、遮断回路が正常であることを示す診断結果信号を出力する。図7に示される例では、診断器9は、診断結果信号としてLOWレベルの電圧信号を出力する。
ステップS10に戻る前に、遮断回路診断装置10は、所定の時間だけ待機してもよい。遮断回路診断装置10が待機する待機時間は、モータの用途などに応じて適宜設定され得る。本実施の形態では、当該待機時間は、30sec程度である。言い換えると、信号出力器1は、30sec程度の周期で、遮断信号を出力する。
診断器9は、診断の結果に基いて、異常ありと判断した場合には(S16でYes)、遮断回路に異常があることを示す診断結果信号を出力する。図7に示される例では、診断器9は、診断結果信号としてHIGHレベルの電圧信号を出力する(時点t6以降参照)。この診断結果信号に基いて遮断回路診断装置10の動作が停止される(S18)。例えば、診断器9は、遮断回路診断装置10などを制御する上位機器(不図示)に診断結果信号を出力する。上位機器は、この診断結果信号に基いて、遮断回路診断装置10の動作を停止させる。なお、上位機器は、遮断回路診断装置10を含むシステム全体の動作を停止させてもよい。
[1-4.作用効果等]
以上のように、本実施の形態に係る遮断回路診断装置10は、1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断回路を診断する。遮断回路診断装置10は、複数の遮断回路に1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断信号を、順次出力する信号出力器1と、複数の遮断回路からそれぞれ出力される複数のモニタ信号を合成することによって合成信号を生成する合成回路8と、合成信号に基いて複数の遮断回路を診断する診断器9とを備える。
これにより、遮断回路診断装置10によって、複数の遮断回路を診断できるため、遮断回路の異常を検知できる。また、診断器9が診断する信号は合成信号だけであるため、診断器9に必要とされる入力端子の個数は一つとなる。これに伴い、遮断回路診断装置10が実装される基板のレイアウトを簡素化でき、かつ、遮断回路診断装置10を低コスト化できる。
また、遮断回路診断装置10において、1以上のモータは、第一モータ7aを含み、複数の遮断回路は、第一モータ7aへの通電を遮断させる第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bを含み、複数の遮断信号は、第一遮断回路及び第二遮断回路にそれぞれ入力される第一遮断信号BS1及び第二遮断信号BS2を含み、信号出力器1は、第一遮断信号BS1及び第二遮断信号BS2を順次出力してもよい。
また、遮断回路診断装置10において、合成回路8は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bにそれぞれ接続される第一入力端子Ti1及び第二入力端子Ti2と、合成信号を出力する出力端子Toと、第一入力端子Ti1と出力端子Toとの間に直列接続される第一論理否定回路81n及び第一抵抗素子81rと、第二入力端子Ti2と出力端子Toとの間に直列接続される第二論理否定回路82n及び第二抵抗素子82rとを有し、第一抵抗素子81rと第二抵抗素子82rとは、互いに抵抗値が異なってもよい。
これにより、合成回路8は、第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bからそれぞれ出力される第一モニタ信号MS1及び第二モニタ信号MS2を合成して、出力端子Toから出力できる。また、上記構成により、第一遮断回路3aに第一遮断信号BS1が入力されているタイミングにおける合成信号の電圧と、第二遮断回路3bに第二遮断信号BS2が入力されているタイミングにおける合成信号の電圧とを異ならせることができる。
また、モータ制御装置12は、遮断回路診断装置10と、PWM制御により1以上のモータへ印加する電圧を制御する1以上のインバータ回路と、1以上のインバータ回路を駆動する複数の駆動回路とをさらに備え、複数の遮断回路の各々は、複数の駆動回路のうちの一つの駆動回路への電力供給を遮断してもよい。
これにより、構成が簡素化された遮断回路診断装置10を備えるモータ駆動装置12を実現できる。
また、本実施の形態に係る遮断回路診断方法は、1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断回路を診断する遮断回路診断方法であって、複数の遮断回路に1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断信号を順次出力する出力ステップと、複数の遮断回路からそれぞれ出力される複数のモニタ信号を合成することによって合成信号を生成する合成ステップと、合成信号に基いて複数の遮断回路を診断する診断ステップとを含む。
これにより、遮断回路診断方法において、診断する信号は、一つの合成信号だけとなる。このため、遮断回路診断方法の構成を簡素化できる。
なお、合成回路8の回路構成は、上述の回路構成に限定されない。例えば、合成回路8は、第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82nを有さなくてもよい。つまり、第一入力端子Ti1と、出力端子Toとの間に第一抵抗素子81rのみが接続され、第二入力端子Ti2と、出力端子Toとの間に第二抵抗素子82rのみが接続されてもよい。合成回路8がこのような回路構成を有する場合には、合成信号の電圧は、通常時には、3.3Vとなり、第一遮断回路3a及び第二診断回路3bを診断するときには、それぞれ、1.1V及び2.2Vとなる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置について説明する。本実施の形態に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置においては、二つのモータへの通電を遮断させる四つの遮断回路を診断する。以下、本実施の形態に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置について、実施の形態1に係る遮断回路診断装置10及びモータ制御装置12との相違点を中心に説明する。
[2-1.遮断回路診断装置の構成]
まず、本実施の形態に係る遮断回路診断装置の構成について図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る遮断回路診断装置10a及びモータ制御装置12aの構成を示すブロック図である。モータ制御装置12aは、実施の形態1に係るモータ制御装置12と同様に、1以上のモータを制御する装置である。モータ制御装置12aは、遮断回路診断装置10aと、1以上のインバータ回路と、1以上のインバータ回路を駆動する複数の駆動回路とを備える。本実施の形態では、1以上のインバータ回路は、第一インバータ回路6aと、第二インバータ回路6bとを含む。また、複数の駆動回路は、第一P側駆動回路4aと、第一N側駆動回路5aと、第二P側駆動回路4bと、第二N側駆動回路5bとを含む。
遮断回路診断装置10aは、実施の形態1に係る遮断回路診断装置10と同様に、1以上のモータへの通電を遮断させる複数の遮断回路を診断する装置である。図8に示されるように、遮断回路診断装置10aは、信号出力器1と、合成回路8aと、診断器9とを備える。本実施の形態では、1以上のモータは、第一モータ7a及び第二モータ7bを含む。遮断回路診断装置10aは、第一モータ7aへの通電を遮断させる二つの遮断回路である第一遮断回路3a及び第二遮断回路3bと、第二モータ7bへの通電を遮断させる二つの遮断回路である第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dとを診断する。遮断回路診断装置10aは、第一遮断回路3aと、第二遮断回路3bと、第三遮断回路3cと、第四遮断回路3dとをさらに備える。
第二モータ7bは、第二インバータ回路6b、第二P側駆動回路4b及び第二N側駆動回路5bによって駆動されるモータの一例であり、例えば、3相正弦波を印加することで回転する誘導電動機、ロータに磁石を配置した3相ブラシレスモータ等である。
第二インバータ回路6bは、PWM制御により第二モータ7bへ印加する電圧を制御するインバータ回路の一例である。より具体的には、第二インバータ回路6bは、例えば、3相のインバータ回路であって、6つのパワー素子があり、電源のプラス側(P側)に接続されるP側パワー素子と、電源のマイナス側(N側)に接続されるN側パワー素子とを含む。
第二P側駆動回路4bは、インバータ回路を駆動する駆動回路の一例であり、図示しないPWM生成器からのPWM信号を第二インバータ回路6bのP側パワー素子に伝達する。また、第二P側駆動回路4bは、第一P側駆動回路4aと同様に高電圧の1次側の回路と、低電圧の2次側の回路とを絶縁する機能も有する。
第二N側駆動回路5bは、インバータ回路を駆動する駆動回路の一例であり、図示しないPWM生成器からのPWM信号を第二インバータ回路6bのN側パワー素子に伝達する。また、第二N側駆動回路5bは、第一P側駆動回路4aと同様に高電圧の1次側の回路と、低電圧の2次側の回路とを絶縁する機能も有する。
第三遮断回路3cは、第二モータ7bへの通電を遮断させる回路であり、外部からの非常停止信号が入力された場合に、第二P側駆動回路4bへの電力供給を遮断する。また、第三遮断回路3cは、信号出力器1から遮断信号が入力された場合にも、第二P側駆動回路4bへの電力供給を遮断する。第二P側駆動回路4bへの電力供給が遮断されると、第二インバータ回路6bのP側パワー素子への電力供給も遮断される。第三遮断回路3cは、非常停止信号又は遮断信号が入力された場合、第二P側駆動回路4bへの電力供給を遮断する信号を第二P側駆動回路4bに出力する。第三遮断回路3cは、この信号と同等の信号であるモニタ信号(第三モニタ信号MS3)を合成回路8aに出力する。
第四遮断回路3dは、第二モータ7bへの通電を遮断させる回路であり、外部からの非常停止信号により、第二N側駆動回路5bへの電力供給を遮断し、さらに、信号出力器1から遮断信号が入力されると、第二N側駆動回路5bへの電力供給を遮断する。第二N側駆動回路5bへの電力供給が遮断されると、第二インバータ回路6bのN側パワー素子への電力供給も遮断される。第四遮断回路3dは、非常停止信号又は遮断信号が入力された場合、第二N側駆動回路5bへの電力供給を遮断する信号を第二N側駆動回路5bに出力する。第四遮断回路3dは、この信号と同等の信号であるモニタ信号(第四モニタ信号MS4)を合成回路8aに出力する。
合成回路8aは、複数の遮断回路からそれぞれ出力される複数のモニタ信号を合成することによって合成信号を生成する回路である。本実施の形態では、複数のモニタ信号は、第一遮断回路3a、第二遮断回路3b、第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dからそれぞれ出力される第一モニタ信号MS1、第二モニタ信号MS2、第三モニタ信号MS3及び第四モニタ信号MS4を含む。第一モニタ信号MS1~第四モニタ信号MS4は、HIGHレベルの電圧信号又はLOWレベルの電圧信号を含む信号であり、本実施の形態では、HIGHレベル及びLOWレベルの電圧信号は、例えば、それぞれ3.3V及び0Vの電圧信号である。合成回路8aは、第一モニタ信号MS1、第二モニタ信号MS2、第三モニタ信号MS3及び第四モニタ信号MS4を合成することによって合成信号を生成する。
本実施の形態に係る合成回路8aの回路構成について図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る合成回路8aの回路構成を示す回路図である。図9に示されるように、合成回路8aは、第一遮断回路3a~第四遮断回路3dにそれぞれ接続される第一入力端子Ti1~第四入力端子Ti4と、合成信号を出力する出力端子Toとを有する。合成回路8aは、第一入力端子Ti1と出力端子Toとの間に直列接続される第一論理否定回路81n及び第一抵抗素子81rと、第二入力端子Ti2と出力端子Toとの間に直列接続される第二論理否定回路82n及び第二抵抗素子82rと、第三入力端子Ti3と出力端子Toとの間に直列接続される第三論理否定回路83n及び第三抵抗素子83rと、第四入力端子Ti4と出力端子Toとの間に直列接続される第四論理否定回路84n及び第四抵抗素子84rとを有する。ここで、第一抵抗素子81r~第四抵抗素子84rは、互いに抵抗値が異なる。合成回路8aの機能については、後で詳述する。
第三論理否定回路83n及び第四論理否定回路84nは、第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82nと同様に、入力されたモニタ信号のレベルを反転して出力する回路である。
[2-2.遮断回路及び合成回路の機能]
次に、本実施の形態に係る複数の遮断回路及び合成回路8aの機能について、図10~図12を用いて説明する。図10は、本実施の形態に係る合成回路8aに入力されるモニタ信号(MS1~MS4)のレベルと、合成信号の電圧との関係を示す図である。図11及び図12は、それぞれ本実施の形態に係る合成回路8aの通常時、及び、第一遮断回路3a診断時の等価回路を示す回路図である。
本実施の形態に係る信号出力器1及び各遮断回路は、実施の形態1に係る信号出力器1及び各遮断回路と同様の動作を行う。したがって、通常時には、合成回路8aの第一入力端子Ti1~第四入力端子Ti4には、HIGHレベルの電圧信号が入力される。
この場合、第一入力端子Ti1~第四入力端子Ti4に印加されたHIGHレベル(3.3V)の電圧は、それぞれ第一論理否定回路81n~第四論理否定回路84nによって、LOWレベル(0V、つまりグランド電位)の電圧に変換される。このため、合成回路8aの等価回路は、図11で示されるよう第一抵抗素子81r~第四抵抗素子84rが並列接続された回路となり、当該回路の一方に0Vの電圧信号が印加される。したがって、合成回路8aが出力する合成信号の電圧は、図10に示されるように0Vとなる。
また、第一遮断回路3aを診断する場合、つまり、第一モニタ信号MS1を診断する場合には、本実施の形態では、信号出力器1は第一遮断回路3aにLOWレベルの電圧信号を出力する。LOWレベルの電圧信号として、例えば0Vの電圧信号を使用できる。一方、信号出力器1は第二遮断回路3b~第四遮断回路3dにHIGHレベルの電圧信号を出力する。
第一遮断回路3aが正常に動作している場合、LOWレベルの電圧信号が入力されると、第一遮断回路3aは、第一モニタ信号MS1としてLOWレベルの電圧信号を出力する。第二遮断回路3b~第四遮断回路3dは、通常時と同様に第二モニタ信号MS2~第四モニタ信号MS4としてHIGHレベルの電圧信号を出力する。この場合、第一入力端子Ti1に印加されたLOWレベルの電圧、及び、第二入力端子Ti2~第四入力端子Ti4に印加されたHIGHレベルの電圧は、それぞれ第一論理否定回路81n及び第二論理否定回路82n~第四論理否定回路84nによって、HIGHレベル及びLOWレベルの電圧に変換される。このため、合成回路8aの等価回路は、図12に示されるように出力端子Toの第一遮断回路3a側に第一抵抗素子81rが接続され、出力端子Toとグランドとの間に第二抵抗素子82r~第四抵抗素子84rが並列接続された回路となる。ここで、第一抵抗素子81r~第四抵抗素子84rのそれぞれの抵抗値R1~R4の比をR1:R2:R3:R4=1:2:3:4とすると、出力端子Toに対してグランド側の抵抗値と、遮断回路側の抵抗値R2との比は、0.923:1となる(図10参照)。したがって、出力端子Toから出力される合成信号の電圧は、2.6Vとなる。
また、第二遮断回路3bを診断する場合、つまり、第二モニタ信号MS2を診断する場合には、本実施の形態では、信号出力器1は第二遮断回路3bにLOWレベルの電圧信号を出力し、信号出力器1は第一遮断回路3a、第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dにHIGHレベルの電圧信号を出力する。
第二遮断回路3bが正常に動作している場合、LOWレベルの電圧信号が入力されると、第二遮断回路3bは、LOWレベルの電圧信号を出力する。第一遮断回路3a、第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dは、通常時と同様にHIGHレベルの電圧信号を出力する。この場合、第二入力端子Ti2に印加されたLOWレベルの電圧は、第二論理否定回路82nによって、HIGHレベルの電圧に変換される。第一入力端子Ti1、第三入力端子Ti3及び第四入力端子Ti4に印加されたHIGHレベルの電圧は、それぞれ第一論理否定回路81n、第三論理否定回路83n及び第四論理否定回路84nによって、LOWレベルの電圧に変換される。このため、合成回路8aの等価回路は、出力端子Toの第二遮断回路3b側に第二抵抗素子82rが接続され、出力端子Toとグランドとの間に第一抵抗素子81r、第三抵抗素子83r及び第四抵抗素子84rが並列接続された回路となる。つまり、図12に示される等価回路において、第一抵抗素子81rと第二抵抗素子82rとを入れ替えた等価回路となる。ここで、R1:R2:R3:R4=1:2:3:4とすると、出力端子Toに対してグランド側の抵抗値と、遮断回路側の抵抗値R2との比は、0.632:2となる(図10参照)。したがって、出力端子Toから出力される合成信号の電圧は、3.8Vとなる。
第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dを診断する場合についても同様である。第三遮断回路3cを診断する際には、合成回路8aの等価回路は、出力端子Toの第三遮断回路3c側に第三抵抗素子83rが接続され、出力端子Toとグランドとの間に第一抵抗素子81r、第二抵抗素子82r及び第四抵抗素子84rが並列接続された回路となる。したがって、出力端子Toに対してグランド側の抵抗値と、遮断回路側の抵抗値R3との比は、0.571:3となる(図10参照)。また、出力端子Toから出力される合成信号の電圧は、4.2Vとなる。
第四遮断回路3dを診断する際には、合成回路8aの等価回路は、出力端子Toの第四遮断回路3d側に第四抵抗素子84rが接続され、出力端子Toとグランドとの間に第一抵抗素子81r~第三抵抗素子83rが並列接続された回路となる。したがって、出力端子Toに対してグランド側の抵抗値と、遮断回路側の抵抗値R4との比は、0.545:4となる(図10参照)。また、出力端子Toから出力される合成信号の電圧は、4.4Vとなる。
このような合成回路8aからの合成信号に基いて診断器9は、実施の形態1と同様に、複数の遮断回路を診断できる。
[2-3.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る遮断回路診断装置10aにおいて、1以上のモータは、第二モータ7bをさらに含み、複数の遮断回路は、第二モータ7bへの通電を遮断させる第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dをさらに含み、複数の遮断信号は、第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dにそれぞれ入力される第三遮断信号BS3及び第四遮断信号BS4をさらに含み、信号出力器1は、第一遮断信号BS1、第二遮断信号BS2、第三遮断信号BS3及び第四遮断信号BS4を順次出力する。
これにより、第一遮断回路3a~第四遮断回路3dの四つの遮断回路を診断できる。
(実施の形態3)
実施の形態3に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置について説明する。本実施の形態に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置は、合成回路の構成において、実施の形態2に係る遮断回路診断装置10a及びモータ制御装置12aと相違する。以下、本実施の形態に係る遮断回路診断装置について、実施の形態2に係る遮断回路診断装置10aとの相違点を中心に説明する。
本実施の形態に係る合成回路の構成について、図13及び図14を用いて説明する。図13は、本実施の形態に係る合成回路108の回路構成を示す回路図である。図14は、本実施の形態に係る合成回路108に入力されるモニタ信号(MS1~MS4)のレベルと、合成信号の電圧との関係を示す図である。図13に示されるように、合成回路108は、第一遮断回路3a~第四遮断回路3dにそれぞれ接続される第一入力端子Ti1~第四入力端子Ti4と、合成信号を出力する出力端子Toとを有する。合成回路108は、第一入力端子Ti1と出力端子Toとの間に直列接続される第一抵抗素子181r、第二抵抗素子182r、第三抵抗素子183r、及び、第一トランジスタ181tを有する。また、合成回路108は、出力端子Toとグランドとの間に接続される第四抵抗素子184rを有する。合成回路108は、さらに、第二トランジスタ182t、第三トランジスタ183t及び第四トランジスタ184tを有する。第二トランジスタ182tは、第二入力端子Ti2と、第一抵抗素子181r及び第二抵抗素子182rの接続点との間に接続される。第三トランジスタ183tは、第三入力端子Ti3と、第二抵抗素子182r及び第三抵抗素子183rの接続点とに接続される。第四トランジスタ184tは、第四入力端子Ti4と、出力端子Toとに接続される。
第一抵抗素子181r~第四抵抗素子184rの各抵抗値は同一である。以下では、各抵抗素子の抵抗値をRとする。
本実施の形態では、第一トランジスタ181t~第四トランジスタ184tは、例えば、PNP型のバイポーラトランジスタである。
続いて、合成回路108の動作について説明する。通常時には、第一モニタ信号MS1~第四モニタ信号MS4は、いずれもHIGHレベルであるため、第一トランジスタ181t~第四トランジスタ184tのエミッタ-ベース間電圧がゼロとなり、コレクタ電流は流れない。したがって、図14に示されるように、合成信号の電圧値は0Vとなる。
一方、第一遮断回路3aを診断する場合、第一遮断回路3aにLOWレベルの第一遮断信号BS1が入力される。第一遮断信号BS1が入力されたときに、第一遮断回路3aが出力する第一モニタ信号MS1のレベルが、HIGHレベルからLOWレベルに切り替わる。これに伴い、第一トランジスタ181tのエミッタ-ベース間電圧が3.3Vとなり、コレクタ電流が流れる。これに伴い、合成信号の電圧値(つまり、出力端子Toに印加される電圧の値)が上昇する。ここで、第一トランジスタ181tのオン抵抗が各抵抗素子の抵抗と比較して十分に小さいと仮定すると、合成信号の電圧値(つまり、出力端子Toに印加される電圧の値)は、図14に示されるように、3.3×R/(R+R+R+R)=3.3/4[V]となる。第二遮断回路3b~第四遮断回路3dの診断時についても同様に第二トランジスタ182t~第四トランジスタ184tがそれぞれ動作する。これにより、図14に示されるように、第二遮断回路3b、第三遮断回路3c及び第四遮断回路3dの診断時の電圧値は、それぞれ、3.3/3[V]、3.3/2[V]及び3.3Vとなる。したがって、診断器9は、合成信号の電圧値に基いて、診断されている遮断回路を識別できる。
このような合成回路108からの合成信号に基いて診断器9は、実施の形態2と同様に、複数の遮断回路を診断できる。
(実施の形態4)
実施の形態4に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置について説明する。本実施の形態に係る遮断回路診断装置及びモータ制御装置は、合成回路及び診断器の構成において、実施の形態2に係る遮断回路診断装置10a及びモータ制御装置12aと相違する。以下、本実施の形態に係る遮断回路診断装置について、実施の形態2に係る遮断回路診断装置10aとの相違点を中心に説明する。
本実施の形態に係る合成回路の構成について、図15及び図16を用いて説明する。図15は、本実施の形態に係る合成回路208の回路構成を示す回路図である。図16は、本実施の形態に係る合成回路208から出力される合成信号の時間波形を示すグラフである。なお、図16には、モニタ信号及び検出トリガの時間波形も併せて示されている。ここで、検出トリガとは、診断器209において合成信号の電圧値を検出するタイミングを決定するための信号である。図15に示されるように、合成回路208は、第一遮断回路3a~第四遮断回路3dにそれぞれ接続される第一入力端子Ti1~第四入力端子Ti4と、合成信号を出力する出力端子Toとを有する。合成回路208は、さらに、第一入力端子Ti1と出力端子Toとの間に直列接続される第一抵抗素子281r及び第一トランジスタ281tと、第二入力端子Ti2と出力端子Toとの間に直列接続される第二抵抗素子282r及び第二トランジスタ282tと、第三入力端子Ti3と出力端子Toとの間に直列接続される第三抵抗素子283r及び第三トランジスタ283tと、第四入力端子Ti4と出力端子Toとの間に直列接続される第四抵抗素子284r及び第四トランジスタ284tと、出力端子Toとグランドとの間に接続されるコンデンサ280とを有する。ここで、第一抵抗素子281r~第四抵抗素子284rは、互いに抵抗値が異なる。本実施の形態では、第一抵抗素子281r~第四抵抗素子284rのそれぞれの抵抗値R1~R4について、R1<R2<R3<R4が成り立つ。これにより、第一入力端子Ti1と出力端子Toとの間の回路の時定数τ1は、第二入力端子Ti2と出力端子Toとの間の回路の時定数τ2より小さい。同様に、第一入力端子Ti1~第四入力端子Ti4と出力端子Toとの間の回路の時定数τ1~τ4との間には、τ1<τ2<τ3<τ4の関係が成り立つ。
本実施の形態では、第一トランジスタ281t~第四トランジスタ284tとして、PNP型のバイポーラトランジスタが用いられる。第一トランジスタ281t~第四トランジスタ284tのエミッタ端子には、3.3Vの電圧が印加され、ベース端子には、各入力端子が接続され、コレクタ端子には、各抵抗素子が接続される。
続いて、合成回路208の動作について説明する。通常時には、第一モニタ信号MS1~第四モニタ信号MS4は、いずれもHIGHレベルであるため、第一トランジスタ281t~第四トランジスタ284tのエミッタ-ベース間電圧がゼロとなり、コレクタ電流は流れない。したがって、合成信号の電圧値は0Vとなる。一方、第一遮断回路3aを診断する場合、第一遮断回路3aにLOWレベルの第一遮断信号BS1が入力される。第一遮断信号BS1が入力されたときに、第一遮断回路3aが出力する第一モニタ信号MS1のレベルが、HIGHレベルからLOWレベルに切り替わる。これに伴い、第一トランジスタ281tのエミッタ-ベース間電圧が3.3Vとなり、コレクタ電流が流れる。これに伴い、図16に示されるように、合成信号の電圧値(つまり、出力端子Toに印加される電圧の値)が、第一抵抗素子281rとコンデンサ280とで構成されるRC回路の時定数で決定される時間波形で上昇する。
他の遮断回路を診断する場合も同様である。ただし、各入力端子と出力端子Toとの間の回路の時定数が互いに異なるため、図16に示されるように、各遮断回路の診断時における合成信号の時間波形が互いに異なる。
そこで、本実施の形態では、図16に示されるように、各モニタ信号がHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる時点t0から所定時間後の時点t1において、診断器209は、検出トリガを発生し、時点t1における合成信号の電圧値を検出する。これにより、検出された合成信号の電圧値に基いて、診断されている遮断回路を識別できる。
以上のように、本実施の形態に係る合成回路208からの合成信号に基いて診断器209は、実施の形態2と同様に、複数の遮断回路を診断できる。
(その他の変形例など)
以上、本開示に係る遮断回路診断装置、モータ制御装置及び遮断回路診断方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態2~4では、信号出力器1は、第一遮断信号BS1~第四遮断信号BS4を順次出力したが、信号出力器1は、第一遮断信号BS1~第四遮断信号BS4のすべてを順次出力しなくてもよく、少なくとも二つの遮断信号を順次出力すればよい。例えば、信号出力器1は、第一遮断信号BS1及び第二遮断信号BS2を順次出力し、第三遮断信号BS3を第一遮断信号BS1と同時に出力し、第四遮断信号BS4を第二遮断信号BS2と同時に出力してもよい。このような構成によっても、各モータの駆動を停止することなく、複数の遮断回路を診断できる。また複数の遮断回路のいずれかに異常があると診断された場合に、異常がある可能性のある遮断回路をすべての遮断回路のうちの一部の遮断回路に絞り込むことができる。
そのほか、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。