JP7144706B1 - アスファルト舗装の補修方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、ポットホールなどの破損箇所の補修は、常温合材と呼ばれるアスファルト合材を充填し、転圧して固める方法などがとられていた。また、特許文献1は、速硬化性を具えた合成樹脂を含有したモルタル、或いはコンクリートを道路の破損部に充填する方法を開示している。さらに、特許文献1は、充填したコンクリートが硬化するまでの間に、破損箇所から抜脱することを防止するため、破損箇所の上面及び周囲の路面上に接着剤を塗布して耐摩耗性の優れたシートを密着させることも開示している。
本発明は、かかる課題に鑑み、破損箇所を簡易かつ補修した状態が持続されるよう補修する方法を提供することを目的とする。
(a)前記アスファルト舗装の破損箇所に、アスファルト合材を充填する工程と、
(b)前記破損箇所と周囲との境目を塞ぐように、防水性の補修テープで被覆する工程とを備える補修方法とすることができる。
本発明によれば、補修テープによって、破損箇所と周囲との境目を塞ぐため、上述した雨水の浸透を抑制することができ、破損箇所の補修状態を長い期間保持することが可能となる。また、かかる効果は、補修テープを貼るだけで非常に簡便に実現できるという利点もある。
また、破損箇所をその周囲も含めて覆うように、破損箇所全面に貼り付けるようにしてもよい。こうすれば、補修テープも簡便に貼ることができるとともに、破損箇所の表面を補修テープで保護することができ、補修状態を一層長く保持することが可能となる。
また、補修テープの幅が足りないときなどは、複数の補修テープを重ねて貼るようにしてもよい。
前記工程(a)の前処理として、前記破損箇所に、アスファルト乳剤を塗布し、加熱する工程を備えてもよい。
加えて、上述の態様では、アスファルト乳剤を加熱する点に特徴がある。本発明では、破損箇所に補修テープを貼るため、補修後に、アスファルト乳剤に一般に含有される水分および溶剤が気化し、補修テープにブリスタリングと呼ばれる表面ぶくれが生じるおそれがある。しかし、上記態様のようにアスファルト乳剤を加熱することにより、水分および溶剤を除去または低減できれば、ブリスタリングの発生を抑制できるのである。従って、 上記態様における加熱は、水分および溶剤を気化できる程度に行えばよい。
前記工程(a)は、前記アスファルト合材として、常温合材を使用し、充填後、これを加熱する工程としてもよい。
常温合材には、水分および溶剤が含有されているのが一般的であるため、上記態様のように加熱することにより、補修テープにブリスタリングが発生することを緩和できる。
なお、本発明は、加熱合材を使用できない訳ではない。常温合材に代えて加熱合材を使用しても差し支えない。もっとも、加熱合材は既に水分、溶剤を保持していないため、加熱合材を用いる場合は加熱を省略しても差し支えない。
前記工程(b)は、加熱したアスファルト合材が冷めてから前記補修テープを接着する工程としてもよい。
前記工程(b)は、前記破損箇所の周囲に5cm以上の余白を設けて前記補修テープを貼付する工程としてもよい。
前記補修テープとして、表面が不織布で被覆されているものを用いてもよい。
アスファルト舗装の破損箇所にアスファルト合材を充填した上で、その表面を被覆するための補修用の補修テープであって、
粘着層と、防水層と、さらに防水層の表面を覆う不織布とを積層した補修テープとして構成してもよい。
防水層は、種々の材質で構成できるが、例えば、プテン単独重合体などを用いることができる。
図1は、アスファルト舗装の補修工程を示すフローチャートである。それぞれ現場で作業員が実施する工程である。図2および図3は、破損箇所の補修例を示す説明図である。これらの図を参照しながら補修工程について説明する。
調査の結果、実施例の補修できないと判断されるときは(図1のステップS2)、この方法での補修ではなく、他の方法で補修することが好ましい。
その後、アスファルト乳剤を加熱する(図1のステップS5)。図3(c)に加熱の様子を例示した。実施例えでは、バーナーを利用している。加熱の方法は問わない。
アスファルト乳剤を加熱するのは、含有される水分や溶剤を加熱除去するためである。後述する通り、実施例の補修方法では、補修面を補修テープで被覆する。仮に、アスファルト乳剤に水分や溶剤が残存していると、これらが気化して補修テープにブリスタリングと呼ばれる表面ぶくれが生じるおそれがある。そこで、こうした事態を回避するため、実施例では、水分および溶剤を加熱除去するのである。
アスファルト合材を加熱する理由は、アスファルト乳剤を加熱する理由と同じであり、含有される水分および溶剤を除去するためである。この加熱も、アスファルト合材の色、様子などを目安に行うことができる。
なお、アスファルト合材として、常温合材に代えて加熱合材を用いてもよい。加熱合材を用いる場合は、水分および溶剤が含まれていないため、加熱工程(図1のステップS7)を省略してもよい。もちろん、万全を期すため、これを加熱しても差しつかえない。
冷却するのは補修テープの変形を避けるためである。従って、冷却は、補修テープが変形しない程度の温度まで冷ませばよい。例えば、60℃など、手で触れることができる程度の温度まで冷ませばよい。さらに、舗装施工便覧が交通開放温度として示すおおむね50℃以下の温度まで冷ますものとすれば、舗装の初期変形を抑制することもでき、より好適である。高温でも変形しない補修テープを用いる場合には、冷却を省略して補修テープを貼付してもよい。
補修テープの貼付が完了すると、破損箇所の補修は終了であり、速やかに車両等の通行を開始しても差し支えない。
このように、補修テープ10は、破損箇所全体を周囲の余白部分も含めて覆うように貼付されている。補修テープ10は、破損箇所から最も狭い部分の余白d1は5cm以上を確保してある。
本実施例で補修テープ10を貼付する目的の一つは、破損箇所の周囲からの雨水の浸透防止である。実験の結果、余白を最低5cm設けておけば、雨水の浸透はほぼ防ぐことができ、補修状態を長く保てることが確認された。余白は5cm未満であっても、雨水の浸透を抑制する効果は得られると思われるが、実験で効果が確認されている5cm以上の余白を設けておくことが好ましい。
なお、図4(c)では、補修テープ10a、10bを長手方向にずらして描いているが、重ね合わせた状態が理解しやすいよう、このように図示しているだけである。
図5(b)は、補修テープ10の断面を示している。補修テープ10は、防水層12の片面に粘着層11が形成されている。また、上述の通り、粘着層11と反対の表面は不織布13で被覆されている。
防水層12は、種々の材質で形成でき、例えば、プテン体独重合体を主とし、石灰、カーボンブラック、ポリプロピレンなどを含む組成とすることができる。防水層12は、補修面に雨水などが浸透することを防ぐことができる程度の防水性を有していれば良い。
補修テープは、図5に示した構造のものに限らず、種々の材質、構造を適用可能である。
なお、実施例で説明した種々の特徴は必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり組み合わせたりしてもよい。また、本発明は、実施例に限らず、その趣旨を変更しない範囲で種々の変形例を構成可能である。
11 粘着層
12 防水層
13 不織布
Claims (6)
- アスファルト舗装の補修方法であって、
(a)前記アスファルト舗装の破損箇所に、アスファルト合材を充填する工程と、
(b)前記破損箇所と周囲との境目を塞ぐように、防水性の補修テープで被覆する工程とを備え、
前記工程(a)の前処理として、前記破損箇所に、アスファルト乳剤を塗布し、加熱する工程を備える補修方法。 - 請求項1記載の補修方法であって、
前記工程(a)は、前記アスファルト合材として、常温合材を使用し、充填後、これを加熱する工程である補修方法。 - 請求項2記載の補修方法であって、
前記工程(b)は、加熱したアスファルト合材が冷めてから前記補修テープを接着する工程である補修方法。 - 請求項1~3いずれか記載の補修方法であって、
前記工程(b)は、前記破損箇所の周囲に5cm以上の余白を設けて前記補修テープを貼付する工程である補修方法。 - 請求項1~4いずれか記載の補修方法であって、
前記補修テープとして、表面が不織布で被覆されているものを用いる補修方法。 - アスファルト舗装の破損箇所にアスファルト合材を充填した上で、その表面を被覆するための補修用の補修テープであって、
粘着層と、防水層と、さらに防水層の表面を覆う不織布とを積層した補修テープ。
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