JP7144154B2 - 金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法 - Google Patents

金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属窒化物ナノ粒子を分散媒中に分散させた金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法に関する。
例えば、蛍光-変換LED、放射ELディスプレイや蛍光イメージング等に用いられる次世代の半導体ナノ粒子として、金属窒化物ナノ粒子が注目されている。このような金属窒化物ナノ粒子の製造方法としては、金属を含有する化合物と、窒素供給源として機能するナトリウムアミド等の金属アミドと、分散剤と、有機溶媒とを混合して反応溶液を調製する工程と、この反応溶液を所定温度(例えば、230℃)に加熱し、分散剤の存在下で化合物とナトリウムアミドとを加熱反応させることにより分散剤で覆われた金属窒化物ナノ粒子を合成する工程と、この分散剤で覆われた金属窒化物ナノ粒子を抽出して分散媒中に分散させる工程とを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記従来例では、反応中にヨウ化ナトリウムやナトリウムチオラートが副生成物として生成する。この副生成物は有機溶媒に対して難溶性であるため、金属窒化物ナノ粒子分散液に副生成物や未反応原料が残存、混入しやすい。金属窒化物ナノ粒子分散液に副生成物が残存、混入すると、金属窒化物ナノ粒子の結晶性や純度等の品質が悪くなったり、金属窒化物ナノ粒子の平均粒径や粒度分布の制御性が悪くなったりするという不具合がある。このような不具合を解消するため、上記従来例では、反応溶液を少量ずつ取って遠心分離で上記副生成物を取り除きながら、金属窒化物ナノ粒子を合成している。然し、このような遠心分離作業は手間が掛かり、金属窒化物ナノ粒子を生産性良く合成することができないという問題がある。
特表2012-515803号公報
本発明は、以上の点に鑑み、高品質の金属窒化物ナノ粒子を生産性よく合成することができる金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、金属窒化物ナノ粒子を分散媒中に分散させた本発明の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法は、金属を含有する化合物と、窒素供給源として機能する金属アミドと、可溶化剤と、溶媒とを混合して反応溶液を調製する工程と、前記反応溶液を所定温度に加熱し、前記化合物と前記金属アミドとを加熱反応させることにより、金属窒化物ナノ粒子を合成すると共に、加熱反応により生成される副生成物を前記可溶化剤により前記溶媒に分散させる工程と、前記金属窒化物ナノ粒子を合成した後、酸解離定数が4.5より大きく、官能基の末端に水素を有する物質を反応溶液に添加し、反応溶液に残存する金属を除去する工程と、合成後の反応溶液から金属窒化物ナノ粒子を抽出して前記分散媒中に分散させる工程とを含むことを特徴とする。なお、本発明において、金属窒化物ナノ粒子とは、平均粒径が100nm以下(代表的な粒径が1nm~20nm)であるものをいう。また、本発明において、窒化される金属には、ホウ素及びシリコンを含むものとする。
本発明によれば、金属アミドとしてナトリウムアミドを用いる場合を例に説明すると、金属を含有する化合物とナトリウムアミドとを加熱反応させることにより、金属窒化物ナノ粒子が合成される。このとき、加熱反応により生成した副生成物が可溶化剤により溶媒に分散するため、副生成物が金属窒化物ナノ粒子分散液に残存し、混入することを可及的に抑制することができる。また、反応溶液に可溶化剤を含ませることで、窒素供給源である金属アミドや副生成物であるヨウ化ナトリウムを溶媒に溶けやすくする効果が得られるため、副生成物の析出を抑えることができる。従って、長期安定分散性を持ち結晶性の高い金属窒化物ナノ粒子を得ることができる。しかも、従来例のように合成中に遠心分離作業を行う必要がなく、生産性が良い。
本発明においては、前記可溶化剤として、トリアルキルホスフィンオキシド及びその誘導体、トリアルキルホスフィンスルフィド及びその誘導体、トリアルキルホスフィンセレニド及びその誘導体、トリアルキルイミノホスホラン酸、モノリン酸エステル及びその誘導体、ジリン酸エステル及びその誘導体、トリリン酸エステル及びその誘導体、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド及びN,N’-ジメチルプロピレン尿素から選択された少なくとも1つを用いることが好ましく、トリアルキルホスフィンオキシド及びその誘導体を用いることが最も好ましい。
ところで、上記加熱反応中に所定温度以上となると、ナトリウムアミドは下式(1)のように分解して電子を生じる。この電子により金属を含有する化合物が還元されて金属が生じ、この金属が金属窒化物ナノ粒子に混入すると、金属窒化物ナノ粒子の品質低下を招来する虞がある。そこで、非特許文献「Jennifer Chia-Jen Hsieh、“Synthesis, Characterization, and Biotemplated Assembly of Indium Nitride and Indium Gallium Nitride Nanoparticles”、Massachusetts Institute of Technology、Dept. of Materials Science and Engineering、2010年2月」に記載の如く、金属窒化物ナノ粒子に混入した金属を硝酸により除去することが考えられるが、硝酸を用いた場合には長期安定分散性の低下を招来する。
2NaNH → 2Na++N+2H+2e (1)
そこで、本発明においては、前記反応溶液を調する工程にて、電子受容体を更に混合することが好ましい。これによれば、ナトリウムアミドの分解によって生じた電子は、反応溶液に含まれる電子受容体の還元反応に使用されるため、金属を含有する化合物の還元反応が抑制され、金属窒化物ナノ粒子分散液への金属の残存、混入を可及的に抑制できる。しかも、長期安定分散性を有する金属窒化物ナノ粒子を得ることができ、有利である。
本発明においては、前記電子受容体として、窒化する金属の酸化還元電位よりも貴な方向となる位置に酸化還元電位を持つヨードホスフィン、ハロゲン、超原子価ヨウ素試薬、ヨウ素化剤、N,N’ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-クロロこはく酸イミド、N-プロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン、ニトロキシルラジカルなどの酸化剤、硫黄、アルキルチオール、アルキルジスルフィド、アルキルトリスルフィド、テトラシアノキノジメタン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン及びクラウンエーテルから選択された少なくとも1つを用いることが好ましい。尚、ヨウ素化剤としては、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントインを用いることができる。
また、本発明においては、前記分散剤として、アルキルカルボン酸及びその誘導体、モノアルキルアミン及びその誘導体、ジアルキルアミン及びその誘導体、トリアルキルアミン及びその誘導体、トリアルキルホスフィン及びその誘導体、アルキルエステル及びその誘導体、アルキルチオール及びその誘導体、スルフィド及びその誘導体、トリカプリル酸グリセリン、アルキルニトリル及びその誘導体及びステアリン酸無水物から選択された少なくとも1つを用いることが好ましく、このうち水素原子を含まない官能基を末端に有するものを用いることがより好ましい。水素原子は、ナトリウムアミドと反応し、窒素原料の減少を引き起こすため、下式(2)に示すアルキルチオール及びその誘導体(金属錯体)を原料としてナトリウムアミドと反応させることが最も好ましい。これによれば、ナトリウムアミドの分解を抑制することができると共に、系内のナトリウム不純物量を減少させる効果が得られる。そのため、電子受容体
の添加量や可溶化剤の添加量を少なくでき、有利である。
R-SH+NaNH2 → R-SNa+NH3 (2)
また、可溶化剤をステアリン酸無水物と共添加することにより、極性の高い副生成物の有機溶媒への溶解性をより一層高めることができ、金属窒化物ナノ粒子の結晶性が高まり、金属窒化物ナノ粒子の粒度分布を狭くすることができるという効果が得られる。
可溶化剤は、金属アミドや、副生成物であるヨウ化金属、金属と分散剤との化合物などの極性の高い化合物を有機溶媒に分散させる効果があり、金属窒化物ナノ粒子の分散剤とは配位する位置や役割が明確に異なる。
本発明においては、前記金属窒化物ナノ粒子を合成した後、酸解離定数が4.5より大きく、官能基の末端に水素を有する物質を反応溶液に添加し、反応溶液に残存する金属を除去する工程を更に含むことが好ましい。当該物質としては、オレイン酸又はドデカンチオールを用いることができる。
本発明は、金属窒化物ナノ粒子が、BN、AlN、GaN、InN、InGaN、AlGaN、Zn、ZnInN、Sn、ZnSiN、ZnGeN、ZnSnN、ZnPbN 及びGe ら選択された少なくとも1つである場合に適している。
また、本発明においては、前記金属を含有する化合物として、前記金属のハロゲン化物または前記金属と前記分散剤とを含む金属錯体を用いることが好ましい。
また、本発明においては、前記金属アミドとして、リチウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、スズ、ゲルマニウム、鉛、カドミウム、鉄、銅、マンガン、タングステン、タンタル及びジルコニウムから選択された金属を含む金属アミド、前記金属を含む金属アルキルシリルアミド、前記金属を含む金属アルキルアミド並びに前記金属を含む金属ジシナアミドから選択された少なくとも1つを用いることが好ましい。前記金属アルキルシリルアミドとしては、金属トリアルキルシリルアミドを用いることができる。この場合、アルキル部分の炭素数は18以下であることが好ましい。また、金属トリアルキルシリルアミドは、ブチルリチウムなどの強塩基とビス(トリメチルシリル)アミンとを混合することにより生成してもよい。また、窒素供給源として、前記金属アミドに加えて、窒化リチウムや窒化マグネシウムを更に混合してもよい。
(a)~(c)は、本発明の実施例1、実施例2、実施例3で得られた金属窒化物ナノ粒子分散液のSTEM像を解析して求めた粒度分布を夫々示すグラフ。 (a)~(c)は、本発明の実施例1、実施例2、実施例3で得られた金属窒化物ナノ粒子分散液のSTEM像。 (a)~(d)は、本発明の実施例1、実施例2、実施例3、比較例1で得られた金属窒化物ナノ粒子の粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を夫々示すグラフ。 本発明の実施例1で得られた窒化物ナノ粒子分散液のTEM像。 分散液中に残存するNa不純物量を測定した結果を示すグラフ。 実施例1で得られた金属窒化物ナノ粒子の1ヶ月後の粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を夫々示すグラフ。 比較例1で得られた金属窒化物ナノ粒子分散液のSTEM像。 本発明の実施例4で得られた窒化インジウムナノ粒子分散液のXRD測定結果を示す図。 (a)及び(b)は、本発明の実施例5及び比較例3で得られた金属窒化物ナノ粒子の粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を夫々示すグラフ。 本発明の実施例6で得られた窒化インジウムナノ粒子分散液のXRD測定結果を示すグラフ。 本発明の実施例6で得られた窒化物ナノ粒子分散液のTEM像。 本発明の実施例6で得られた窒化インジウムナノ粒子分散液の紫外可視スペクトルを示すグラフ。 本発明の実施例1及び比較例1で得られた窒化インジウムナノ粒子分散液のXRD測定結果を示すグラフ。 (a)は実施例1における反応状態を示す図であり、(b)は比較例1における反応状態を示す写真。
以下、本発明の実施形態の窒化物ナノ粒子分散液の製造方法について、金属窒化物ナノ粒子を分散媒中に分散させた窒化物ナノ粒子分散液を製造する場合を例に説明する。なお、金属窒化物ナノ粒子とは、平均粒径が100nm以下(代表的な1次粒径が1nm~20nm)であるものをいう。本明細書では、走査型透過電子顕微鏡(STEM)によりナノ粒子の画像を撮像し、そのSTEM像を画像解析・画像計測ソフトウェア(例えばImageJ)により解析して求めた金属窒化物ナノ粒子単体の平均粒径を記述する。これと共に、ナノ粒子分散液としての品質を評価する為、ヘテロダイン法により計測された平均粒径を用いて記述する。これは金属窒化物ナノ粒子分散液の分散状態が一定で無ければ、分散液を塗布あるいは注入等にて利用する際、含有するナノ粒子数の制御が困難であるためである。ヘテロダイン法は、例えばJISZ8828に記された粒子径解析手法である。つまり本明細書に於いてヘテロダイン法を用いて計測された「平均粒径」とは、分散媒中に分散し、かつブラウン運動をしている粒子の平均粒径であって、反応溶液中に存在する金属窒化物ナノ粒子の単体の平均粒径では無い。
先ず、窒化される金属を含有する化合物(以下「金属含有化合物」という)と、窒素供給源として機能する金属アミドと、合成時に生成する副生成物を溶媒に分散させる可溶化剤と、溶媒とを混合して反応溶液を調製する。
ここで、金属含有化合物としては、後述する合成に必要な金属を供給できるものであれば特に限定されず、例えば、当該金属のハロゲン化物または前記金属と前記分散剤とを含む金属錯体を用いることができる。当該金属としては、例えば、Al、Ga、In、Fe、Cu、Mn、W、Ta及びZrから選択した1つの金属またはこれらの金属の合金を用いることができる。また、当該金属には、B及びSiを含むものとする。金属含有化合物と金属アミドとのモル比は、1:1~1:1000の範囲内に設定することができる。
金属アミドとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、スズ、ゲルマニウム、鉛、カドミウム、鉄、銅、マンガン、タングステン、タンタル及びジルコニウムから選択された金属を含む金属アミドと、前記金属を含む金属アルキルシリルアミド、前記金属を含む金属アルキルアミド並びに前記金属を含む金属ジシナアミドから選択された少なくとも1つを用いることが好ましい。金属アルキルシリルアミドとしては、金属トリアルキルシリルアミドを用いることができる。この場合、金属トリアルキルシリルアミドに含まれる金属としては上記金属を用いることができ、アルキル基の炭素数は18以下であることが好ましい。また、金属トリアルキルシリルアミドは、ブチルリチウムなどの強塩基とビス(トリメチルシリル)アミンとを混合することにより生成してもよい。また、窒素供給源として、金属アミドに加えて、窒化リチウムや窒化マグネシウム等の金属窒化物を更に混合してもよい。
可溶化剤としては、トリアルキルホスフィンオキシド及びその誘導体、トリアルキルホスフィンスルフィド及びその誘導体、トリアルキルホスフィンセレニド及びその誘導体、トリアルキルイミノホスホラン酸、モノリン酸エステル及びその誘導体、ジリン酸エステル及びその誘導体、トリリン酸エステル及びその誘導体、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド及びN,N’-ジメチルプロピレン尿素から選択された少なくとも1つを用いることが好ましく、トリアルキルホスフィンオキシド及びその誘導体を用いることが最も好ましい。可溶化剤と金属アミドとのモル比は、1:1~1:100の範囲内に設定することができる。
溶媒としては、炭素数が8~35である有機溶媒を用いることが好ましく、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、流動パラフィンのような主鎖の炭素数が8~35である長鎖飽和アルカンやその混合物;オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセンのような不飽和結合を持つアルケル類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロドデセンのような環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、ビフェニルのような芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、フェニルエーテルのようなエーテル;DOWTHERM(登録商標)Aのような混合溶媒;フェニルスルフィド、ジドデシルスルフィドのようなスルフィド類;を単独で又は混合して融点24℃以下かつ沸点100℃以上の溶媒にして用いることができる。さらに、異なる芳香族炭化水素同士を混合したり、長鎖飽和アルカンに芳香族炭化水素を溶解したりすることで、芳香族炭化水素を加えることが好ましい。これによれば、金属窒化物ナノ粒子への不純物混入の抑制効果を高めることができる。
上記混合溶液を調する工程において、分散剤を更に混合してもよい。分散剤としては、アルキルカルボン酸及びその誘導体、モノアルキルアミン及びその誘導体、ジアルキルアミン及びその誘導体、トリアルキルアミン及びその誘導体、アルキルエステル及びその誘導体、アルキルチオール及びその誘導体、スルフィド及びその誘導体、トリカプリル酸グリセリン及びアルキルニトリル及びその誘導体から選択された少なくとも1つであって、水素原子を含まない官能基を末端に有するものを用いることができる。金属含有化合物と分散剤とのモル比は、1:1~1:100の範囲内に設定することができる。これによれば、窒化物ナノ粒子の粒度分布を変化させることなく、平均粒径を変化させることができる。
上記混合溶液を調する工程において、電子受容体を更に混合してもよい。電子受容体としては、窒化される金属の酸化還元電位よりも貴な方向に位置するものを用いることができる。例えば、窒化する金属がインジウムである場合、-0.34V vs SHEよりも貴な方向に酸化還元電位が位置する電子受容体として、ヨードホスフィン、ハロゲン、超原子価ヨウ素試薬、ヨウ素化剤、N,N’ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-クロロこはく酸イミド、N-プロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン、ニトロキシルラジカルなどの酸化剤、硫黄、アルキルチオール、アルキルジスルフィド、アルキルトリスルフィド、テトラシアノキノジメタン、クラウンエーテル、マンガン類及びクロム類から選択された少なくとも1つを用いることができ、ヨウ素化ジスルフィドやクラウンエーテルをより好ましく用いることができる。ヨウ素化剤としては、例えば、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントインを用いることができる。電子受容体と金属アミドとのモル比は、1:1~1:5の範囲内に設定することができる。これによれば、ナトリウムアミドの分解によって生じた電子は、反応溶液に含まれる電子受容体の還元反応に使用されるため、金属を含有する化合物の還元反応が抑制され、金属窒化物ナノ粒子分散液に金属が残存、混入することを可及的に抑制できる。しかも、製造工程数の増加を防止でき、かつ、長期安定分散性を有する金属窒化物ナノ粒子を得ることができ、有利である。尚、電子受容体は、金属アミドの分解温度以下では機能せず、上式(2)の反応は280℃の温度で進行するため、反応温度を280℃以上とする際に有効である。これは、反応温度を上げることで金属窒化物ナノ粒子の生成速度を向上でき、生成直後の金属窒化物ナノ粒子の平均粒子径が増大するという効果を利用できることを意味する。つまり、製造する金属窒化物ナノ粒子分散液の平均粒径を制御する目的で電子受容体を用いることができる。
次に、上記反応溶液を図示省略の反応容器内に収容し、反応容器に付設されたヒータ等の加熱手段(図示省略)を用いて反応溶液を所定温度に加熱する。加熱温度は、例えば、100℃~600℃の範囲内で設定することができる。この加熱により、金属含有化合物と金属アミドとを加熱反応させることで、金属窒化物ナノ粒子が合成される。尚、反応容器や加熱手段としては、公知の構造を有するものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、反応容器内に窒素含有ガスであるアンモニアガスを導入し、アンモニア雰囲気中で加熱反応させれば、窒素の供給量を増加できると共に金属アミドの分解反応を抑制でき、これにより、金属窒化物ナノ粒子を効率良く合成することができ、有利である。尚、反応容器内で、金属含有化合物と、金属アミドと、分散剤と、可溶化剤と、電子受容体と、溶媒とを混合して反応溶液を調製してもよいが、金属アミドと接触する前に、金属含有化合物、分散剤、可溶化剤及び電子受容体を混合する方が、プロトンと金属アミドとの反応が抑制され、ロスを抑制することができる。
反応溶液を所定温度にて所定時間保持した後、反応溶液を室温まで冷却する。保持時間は、例えば、1分~240分の範囲内に設定することができる。冷却方法としては、自然冷却でもよいし、反応容器に冷媒(例えば冷却水)を循環させる強制冷却でもよい。冷却後の反応溶液に酸解離定数が4.5より大きく、官能基の末端に水素を有する物質をエタノールと共に加えることで、分散剤で覆われた金属窒化物ナノ粒子を抽出する。当該物質としては、オレイン酸又はドデカンチオールを用いることができる。このように、酢酸よりも弱酸を使用し、冷却後の反応溶液に存する金属に対して反応させ、電離金属塩溶液とすると共に、金属窒化物ナノ粒子表面に対して弱結合して金属窒化物ナノ粒子相互の凝集を妨げるキャップ剤となる。つまり、遠心分離、デカンテーションを行い、目的とする中間生成物である沈降物を分離した際に、沈降物中に金属窒化物以外の金属をXPS/EDXに検出させない効果を持つと共に、次の最終工程にて金属窒化物ナノ粒子分散液とした際に、凝集を抑制する効果を持ち、ヘテロダイン法による液中の平均粒子径測定値の劣化を抑制することができる。このように金属窒化物以外の金属を除去する工程は必要に応じて繰り返し行うことができる。
最後に、この抽出した分散剤で覆われた金属窒化物ナノ粒子を分散媒中に分散させる。これにより、1週間以上安定に分散できる金属窒化物ナノ粒子分散液が得られる。
分散媒としては、炭素数が6~18である有機溶媒を用いることが好ましく、例えば、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカンのような主鎖の炭素数が6~18である長鎖アルカン;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロドデセンのような環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼンのような芳香族炭化水素;ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオールのようなアルコール;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル;ジメチルホルムアミド、N-N’-ジメチルプロピレン尿素、トリス(N,N-ジメチルアミノ)ホスフィンオキシド、ジアザビシクロウンデセンを単独で又は混合して用いることができる。
本実施形態によれば、金属アミドとしてナトリウムアミドを用いる場合を例に説明すると、分散剤の存在下で金属含有化合物とナトリウムアミドとを加熱反応させることにより、分散剤で覆われた金属窒化物ナノ粒子が合成される。このとき、ナトリウムアミドが上式(1)のように分解して電子が生じるが、この電子は、反応溶液に含まれる酸化剤の還元反応に使用されるため、金属含有化合物の還元反応が抑制される。従って、金属窒化物ナノ粒子分散液に金属が残留し、混入することを可及的に抑制できる。このため、製造工程数の増加を防止でき、さらに長期安定分散性を持つ金属窒化物ナノ粒子が得られる。
また、分散剤として、官能基の炭素原子間結合が単結合であり、かつ、水素原子を含まない官能基を末端に有するものを用いることで、ナトリウムアミドの分解反応を抑制できるため、電子受容体の添加量を少なくでき、有利である。
以下、本発明の実施例及び比較例について、窒化インジウムナノ粒子分散液を製造する場合を例に説明する。
(実施例1)
金属含有化合物としてヨウ化インジウム0.046g(0.1ミリモル)と、金属アミドとしてナトリウムアミドを0.04g(5ミリモル)と、可溶化剤としてトリオクチルホスフィンオキシドを0.44g(1.14ミリモル)と、溶媒としてDOWTHERM Aを2mlとを反応容器内で混合して反応溶液を調製し、この反応溶液を220℃まで急速に(150℃/min)加熱し、10分保持した。その後、反応溶液を室温まで冷却した。冷却された反応溶液にオレイン酸0.5mlとエタノール20mlを加え、反応溶液に残存する副生成物であるヨウ化ナトリウムをエタノール中に分散させ、窒化インジウムナノ粒子を遠心分離により沈降させ、この工程を3回繰り返した。この沈降物を分散媒としてのシクロヘキサン中に再分散させて窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。このようにして得た窒化インジウムナノ粒子分散液の1週間(7日)経過後の窒化インジウムナノ粒子単体の粒度分布を画像解析により測定した結果を図1(a)及び表1に示す。この窒化インジウムナノ粒子単体の粒度分布は、以下の方法で測定した。即ち、得られた窒化インジウムナノ粒子分散液を走査型透過電子顕微鏡(STEM)により撮像し、図2(a)に示すSTEM像を得る。このSTEM像を用いてナノ粒子の外表面を画像解析ソフトウェア(フリーソフト「ImageJ」)により粒度分布が求められる。先ず、STEM像たる2値画像の閾値によりナノ粒子の内外が決定され、図2(a)中に赤色で示すようにナノ粒子の外表面(枠)が特定される。特定された枠内の面積を計算し、計算した面積のヒストグラムを作成する。上記面積がπr2の式で計算されたとみなして(つまり、真円近似して)半径rを求め、求めた半径rのヒストグラムを作成して粒度分布とする。STEM像の画像解析により求めた平均粒径は4.30nmであった(表1参照)。また、窒化インジウムナノ粒子分散液の1週間(7日)経過後の粒度分布をヘテロダイン法(測定装置:日機装株式会社製「Microtrac Version 10.5.3-225R」)により測定した結果を図3(a)に示す。また、得られた分散液を走査型透過電子顕微鏡(TEM)により観察し、そのTEM像を図4に示す。ヘテロダイン法により測定した平均粒径は35.07nmであり、窒化インジウムナノ粒子の粒度分布が狭く制御され、長期安定分散性を持つことが判った。また、分散液中に残存するNa不純物量をEDX法(測定装置:株式会社日立ハイテクノロジーズ製「S-4800」)により測定した結果を図5の左端に示す。EDX結果によれば、Na残量が0at%(装置検出限界以下)であることが確認された。また、図示しないが、XPS(測定装置:アルバック・ファイ社製「Quantera SXM」)により測定したところ、Na混入量が0.1%以下であることが確認された。これより、反応溶液に可溶化剤を含ませることで、副生成物が金属窒化物ナノ粒子分散液に残存し、混入することを可及的に抑制することができ、結晶性の高い窒化インジウムナノ粒子を得ることが判った。また、30日経過後の窒化インジウムナノ粒子の粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を図6に示す。つまり、23日経過後の平均粒径が155.7nmであり、23日経過による平均粒径劣化は約120nm(=155.7nm-35.07nm)であり、1日当たり約5.2nm凝析が進行することが確認された。
(表1)
Figure 0007144154000001
(実施例2)
本実施例2では、反応溶液に分散剤としてオクタデカンチオールを0.086g(0.3ミリモル)加え、トリス(オクタデカンチオール)インジウムとする点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。このようにして得た分散液のSTEM像を図2(b)に示し、このSTEM像から上記実施例1と同様の画像解析により求めた粒度分布を図1(b)に示す。求めた平均粒径は2.92nmであり(表1参照)、上記実施例1よりも平均粒径を小さく制御できることが確認された。また、粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を図3(b)に示す。これによれば、平均粒径が26.01nmであり、上記実施例1よりも平均粒径を小さく制御できることが確認された。
(実施例3)
本実施例3では、反応溶液に分散剤としてステアリン酸無水物を0.055g(0.1ミリモル)更に混合する点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。このようにして得た分散液のSTEM像を図2(c)に示し、このSTEM像から上記実施例1と同様の画像解析により求めた粒度分布を図1(c)に示す。求めた平均粒径は3.51nmであり(表1参照)、平均粒径を実施例1と実施例2の間に制御できることが確認された。また、粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を図3(c)に示す。これによれば、平均粒径が31.58nmであり、平均粒径を上記実施例1と実施例2の間に制御できることが確認された。
(比較例1)
本比較例1では、可溶化剤を混合せず、分散剤としてオクタデカンチオールを0.086g(0.3ミリモル)混合する点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。このようにして得た分散液の粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を図3(d)に示す。これによれば、平均粒径が434.34nmと増大することが確認された。これは、図7のSTEM像に示すように、凝集していることに起因するものと考えられる。また、合成から1ヶ月経過後の分散液の粒度分布を測定しようと試みたが、ナノ粒子は完全に沈降しており、粒度分布測定が不可能であった。
(実施例4)
本実施例4では、反応温度を300℃へ変更する点、電子受容体としてオクタデシルジスルフィドを0.057g(0.1ミリモル)更に混合する点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。図8にXRDの測定結果を示す。これによれば、InNの結晶構造に対応するX線反射強度が大きく、Inの結晶構造に対応するX線反射強度が小さいことが確認された。これによれば、ナトリウムアミドの分解によって生じた電子は、電子受容体の還元反応に使用され、Inが金属窒化物ナノ粒子分散液に残存し、混入することを可及的に抑制できることが判った。
参考
参考では、反応温度を300℃へ変更する点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。図8にXRDの測定結果を示す。これによれば、InNの結晶構造に対応するX線反射強度よりも、Inの結晶構造に対応するX線反射強度が大きいことが確認された。
(実施例5)
本実施例5では、冷却された反応溶液にオレイン酸に代えてドデカンチオール0.5mlを加える点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。窒化インジウムナノ粒子分散液の粒度分布をヘテロダイン法により測定した結果を図9(a)に示す。これによれば、平均粒径は31.58nmであり、ドデカンチオールの添加がナノ粒子の粒径制御性に影響しないことが判った。EDX測定による残存するNa不純物量をEDX法により測定した結果を図5に示す。これによれば、Na残存量は0.5at%以下(0.49at%)であることが確認された。
(比較例3)
本比較例3では、オレイン酸に代えて3.3%硝酸水溶液0.5mlを加える点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。EDX測定による残存するNa不純物量をEDX法により測定した結果を図5に示す。これによれば、Na残存量は0.5at%以下(0.14at%)であることが確認された。然しながら、窒化インジウムナノ粒子分散液の粒度分布をヘテロダイン法により測定したところ、図9(b)に示すように、平均粒径は122.07nmと大きく、7日経過後に実施例5の平均粒径の4倍程に凝析していることが確認できた。また、30日経過すると、窒化インジウムナノ粒子が完全に沈降していることが確認された。これより、長期安定分散性が低く、現実的に使用できないことが判った。
(比較例4)
本比較例4では、冷却された反応溶液に酸を加えず、エタノールのみを20ml加えて遠心分離で沈降させる点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。EDX測定による残存するNa不純物量をEDX法により測定した結果を図5に示す。これによれば、Na残存量は2.85at%と高くなることが確認された。
(実施例6)
本実施例6では、反応温度を240℃、260℃に変化させる点以外は上記実施例1と同様の方法で、窒化インジウムナノ粒子分散液を得た。得られた窒化インジウムナノ粒子分散液のXRD測定結果を図10に示す。これによれば、金属インジウムの回折ピークは確認されず、分散液に金属インジウムが残存、混入していないことが判った。これは、図11に示すTEM像からも同定された。即ち、TEM像から、ナノ粒子の格子縞と、窒化インジウムの(100)面の面間隔d100及び(002)面の面間隔d002とが一致していることが確認された。また、窒化インジウムナノ粒子分散液の紫外可視(UV-Vis)スペクトルを図12に示す。吸収端から見積もられたエネルギーギャップは約1.4eVであり、赤色の蛍光体や光電変換材料として使用できる可能性が示された。尚、図10及び図12には上記実施例1のXRD測定結果及び紫外可視スペクトルも併せて示しており、上記実施例1にて本実施例6と同様の結果が得られることが示されている。
図13には、上記実施例1及び比較例1のXRDの測定結果を示している。尚、比較例1の反応時間は10分とした。これによれば、上記実施例1の如く可溶化剤を混合したものでは、InNの回折ピークが確認されたのに対し、上記比較例1の如く可溶化剤を混合しないものでは、InNの回折ピークが明確に確認されなかった。これは、可溶化剤を混合することにより、反応時間を略10分の1に短縮できることに起因するものである。また、図14(a)には、実施例1における加熱開始1分後及び5分後の反応状態を示し、図14(b)には、比較例1における加熱開始1分後及び5分後の反応状態を示す。この反応状態は、反応溶液にハロゲンランプから光を照射し、反応溶液の状態を観察したものである。これによれば、可溶化剤を混合しないものでは、加熱開始5分後でも反応溶液の状態が変化しなかったのに対し、可溶化剤を混合することにより、加熱開始後5分ではInNが生成し、生成したInNにより光が遮られて暗くなっていることが判る。
なお、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されない。例えば、上記実施例では、反応容器内で反応溶液を調製しているが、反応容器とは別の容器内で反応溶液を予め調製し、それを反応容器内に移すようにしてもよい。
また、上記実施例では、反応溶液の溶媒と分散媒とが異なる場合を例に説明しているが、同一であってもよい。
また、上記実施形態及び実施例では、窒素供給源として金属アミドを用いる場合を例に説明しているが、窒素供給源として金属アミドに加えて金属トリアルキルシリルアミドや窒化リチウムや窒化マグネシウムを更に混合してもよい。
また、上記実施形態及び実施例では、金属窒化物ナノ粒子を構成する金属窒化物がInNである場合を例に説明したが、BN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、Zn、ZnInN、Sn、ZnSiN、ZnGeN、ZnSnN、ZnPbN、Ge、SiN、PbN、CdN、FeN、CuN、MnN、WN、TaN及びZrNから選択された少なくとも1つの窒化物又は窒化物合金で構成されるナノ粒子を製造する場合にも本発明を適用することができる。また、強磁性窒化物であるα”-Fe16で構成されるナノ粒子を製造する場合にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態及び実施例では、蛍光-変換LED、放射ELディスプレイや蛍光イメージングに用いられる金属窒化物ナノ粒子を例に説明しているが、コアシェル構造や蛍光体等の用途に用いられる金属窒化物ナノ粒子を製造する場合にも本発明を適用することができる。
また、太陽電池やイメージセンサ用の光電変換膜としても使用することができるほか、有機ELや有機太陽電池の電子輸送層やホール輸送層としても使用することができる。

Claims (10)

  1. 金属窒化物ナノ粒子を分散媒中に分散させた金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法において、
    金属を含有する化合物と、窒素供給源として機能する金属アミドと、可溶化剤と、溶媒とを混合して反応溶液を調製する工程と、
    前記反応溶液を加熱し、前記化合物と前記金属アミドとを加熱反応させることにより、金属窒化物ナノ粒子を合成すると共に、加熱反応により生成される副生成物を前記可溶化剤により前記溶媒に分散させる工程と、
    前記金属窒化物ナノ粒子を合成した後、酸解離定数が4.5より大きく、官能基の末端に水素を有する物質を反応溶液に添加し、反応溶液に残存する金属を除去する工程と、
    合成後の反応溶液から金属窒化物ナノ粒子を抽出して前記分散媒中に分散させる工程とを含むことを特徴とする金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  2. 金属窒化物ナノ粒子を分散媒中に分散させた金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法において、
    金属を含有する化合物と、窒素供給源として機能する金属アミドと、可溶化剤と、溶媒とを混合して反応溶液を調製する工程と、
    前記反応溶液を加熱し、前記化合物と前記金属アミドとを加熱反応させることにより、金属窒化物ナノ粒子を合成すると共に、加熱反応により生成される副生成物を前記可溶化剤により前記溶媒に分散させる工程と、
    前記金属窒化物ナノ粒子を合成した後、酸解離定数が4.5より大きく、官能基の末端に水素を有する物質を反応溶液に添加し、反応溶液に残存する金属を除去する工程と、
    合成後の反応溶液から金属窒化物ナノ粒子を抽出して前記分散媒中に分散させる工程とを含み、
    前記金属窒化物ナノ粒子が、AlN、GaN、InN、InGaN、AlGaN及びZnInNから選択された少なくとも1つであることを特徴とする金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  3. 前記可溶化剤は、トリアルキルホスフィンオキシド及びその誘導体、トリアルキルホスフィンスルフィド及びその誘導体、トリアルキルホスフィンセレニド及びその誘導体、ト
    リアルキルイミノホスホラン酸、モノリン酸エステル及びその誘導体、ジリン酸エステル及びその誘導体、トリリン酸エステル及びその誘導体、ジメチルスルホキシド、ヘキサメ
    チルリン酸トリアミド及びN,N’-ジメチルプロピレン尿素から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項請求項1又は2記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  4. 前記反応溶液を調する工程にて、電子受容体を更に混合することを特徴とする請求項1~3のいずれか1記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  5. 前記電子受容体は、窒化する金属の酸化還元電位よりも貴な方向となる位置に酸化還元電位を持つヨードホスフィン、ハロゲン、超原子価ヨウ素試薬、ヨウ素化剤、N,N’ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-クロロこはく酸イミド、N-プロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン、ニトロキシルラジカル、硫黄、アルキルチオール、アルキルジスルフィド、アルキルトリスルフィド、テトラシアノキノジメタン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン及びクラウンエーテルから選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  6. 前記反応溶液を調する工程にて、前記金属窒化物ナノ粒子を覆う分散剤を更に混合することを特徴とする請求項1~のいずれか1記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  7. 前記分散剤は、アルキルカルボン酸及びその誘導体、モノアルキルアミン及びその誘導体、ジアルキルアミン及びその誘導体、トリアルキルアミン及びその誘導体、トリアルキルホスフィン及びその誘導体、アルキルエステル及びその誘導体、アルキルチオール及びその誘導体、スルフィド及びその誘導体、トリカプリル酸グリセリン、アルキルニトリル及びその誘導体及びステアリン酸無水物から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  8. 前記金属を含有する化合物は、前記金属のハロゲン化物または前記金属と前記分散剤とを含む金属錯体であることを特徴とする請求項又は記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  9. 前記物質が、オレイン酸又はドデカンチオールであることを特徴とする請求項1~のいずれか1記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
  10. 前記金属アミドは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、スズ、ゲルマニウム、鉛、カドミウム、鉄、銅、マンガン、タングステン、タンタル及びジルコニウムから選択された少なくとも1種の金属を含む金属アミド、前記金属を含む金属アルキルシリルアミド、前記金属を含む金属アルキルアミド並びに前記金属を含む金属ジシナアミドから選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
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