<第1実施形態>
[A]構成
第1実施形態に係る摩擦撹拌接合装置20について図1Aから図1Eを用いて説明する。
図1Aは、上面図であって、摩擦撹拌接合装置20において被接合部材である被接合部材10の摩擦撹拌接合が実行される前の状態を示している。図1Bは、図1Aと同様に、上面図であって、摩擦撹拌接合装置20において被接合部材10の摩擦撹拌接合が一部実行された状態を示している。図1Cは、図1BのX1-X1部分の断面図である。図1Dは、図1BのX2-X2部分の断面図である。図1Eは、図1BのY1-Y1部分の断面図である。各図において、x方向は、第1水平方向であり、y方向は、第1水平方向に直交する第2水平方向であり、z方向は、鉛直方向である。
[A-1]被接合部材10
本実施形態の摩擦撹拌接合装置20の説明に先立って、被接合部材である被接合部材10について説明する。
被接合部材10は、図1Aから図1Eに示すように、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12との組み合わせることによって構成されている。被接合部材10、第1の被接合部品、および第2の被接合部品は、それぞれ、表面側となる第1の面(一方の面)と、裏面側となる第2の面(他方の面)を有する。
具体的には、第1の被接合部品11は、直方体形状の面板である。第2の被接合部品12は、第1の被接合部品11と同様に、直方体形状の面板である。第1の被接合部品11および第2の被接合部品12は、たとえば、押出成形によって、アルミニウムなどの金属材料を成形することで作製されている。そして、被接合部材10は、第1の被接合部品11の側面と第2の被接合部品12の側面とが突合された継手部(突合せ部)Tを含む。
[A-2]摩擦撹拌接合装置20
摩擦撹拌接合装置20の構成について説明する。
摩擦撹拌接合装置20は、各図に示すように、搬送機構である搬送部30と部材支持機構であるガイド部40と接合ツール50とを有し、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12とを含む被接合部材10において、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12との間を連結する継手部(突合せ部)を摩擦撹拌接合によって接合するように構成されている。
[A-2-1]搬送部30
搬送機構である搬送部30は、被接合部材10を構成する第1の被接合部品11と第2の被接合部品12の側面同士を、例えば密着するよう加圧することなどにより、突合わせ、摩擦撹拌接合を行う接合方向に沿うように被接合部材10を搬送ローラ31で搬送するように構成されている。ここでは、接合方向は、突合せ部である継手部Tが直線状に延在する第1水平方向xであり、搬送部30は、被接合部材10が挿入される入口側(図1Aおよび図1Bでは下側)から被接合部材10が排出される出口側(図1Aおよび図1Bでは上側)へ向けて搬送を行う。
搬送部30において、搬送ローラ31は、複数であって、被接合部材10の外面(特に、被接合部材10、第1の被接合部品11、または第2の被接合部品12の裏面側となる第2の面(他方の面)以外の面)に接触することによって被接合部材10を搬送する。図示を省略しているが、複数の搬送ローラ31は、支持台(図示省略)に設置されており、モータ(図示省略)によって回転するように構成されている。
本実施形態では、図1Aおよび図1Bに示すように、接合方向である第1水平方向xに対して直交する第2水平方向yにおいて一対の搬送ローラ31が対向している搬送ローラ対31a,31b,31cを含む。搬送ローラ対31a,31b,31cは、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31が継手部(突合せ部)T1を介して対向するように配置されている。搬送ローラ対31a,31b,31cにおいては、搬送ローラ31の回転中心軸が鉛直方向zに沿っている。
搬送ローラ対31a(第1搬送ローラ対)は、図1Aおよび図1Bに示すように、第2水平方向yにおいて一対の搬送ローラ31が接合ツール50を介して対向している。すなわち、第1搬送ローラ対である搬送ローラ対31aは、接合方向(に沿う方向)において接合ツール50に対応する位置に設けられる。また、搬送ローラ対31aは、例えば接合方向(に沿う方向)に直交する方向に対向するなど、継手部(突合せ部)Tを介して(挟んで)対向するように配置される。ここでは、搬送ローラ対31aを構成する一対の搬送ローラ31の回転中心軸のそれぞれと、接合ツール50の回転中心軸とが、第2水平方向yに沿って並んでいる。
搬送ローラ対31bは、図1Aおよび図1Bに示すように、第1水平方向xにおいて搬送ローラ対31aよりも入口側(図1Aおよび図1Bでは下側)に位置している。ここでは、搬送ローラ対31bを構成する一対の搬送ローラ31の回転中心軸のそれぞれが第2水平方向yに沿って並んでいる。
搬送ローラ対31c(第2搬送ローラ対)は、図1Aおよび図1Bに示すように、第1水平方向xにおいて搬送ローラ対31bよりも入口側(図1Aおよび図1Bでは下側)に位置している。つまり、搬送ローラ対31cは、3つの搬送ローラ対31a,31b,31cのうち最も入口側に位置している。また、搬送ローラ対31cを構成する一対の搬送ローラ31の回転中心軸のそれぞれが、第2水平方向yに沿って並んでいる。搬送ローラ対31cは、例えば接合方向(に沿う方向)に直交する方向に対向するなど、継手部(突合せ部)Tを介して(挟んで)対向するように配置される。
搬送ローラ対31aを構成する2つの搬送ローラ31の外周の間の第2水平方向yにおける距離(外周間距離)と、搬送ローラ対31bを構成する2つの搬送ローラ31の外周の間の第2水平方向yにおける距離(外周間距離)は同じである。これに対して、搬送ローラ対31cを構成する2つの搬送ローラ31の外周間距離は、搬送ローラ対31a,31bを構成するそれぞれ2つの搬送ローラ31の外周間距離よりも大きい。図1Aおよび図1Bに示す例では、搬送ローラ対31aを構成する搬送ローラ31の外径と、搬送ローラ対31bを構成する搬送ローラ31の外径との両者が同じであるのに対して、搬送ローラ対31cを構成する搬送ローラ31の外径は、搬送ローラ対31a,31bを構成する搬送ローラ31の外径よりも小さく構成されている。また、搬送ローラ対31aを構成する搬送ローラ31の回転中心軸と、搬送ローラ対31bを構成する搬送ローラ31の回転中心軸と、搬送ローラ対31cを構成する搬送ローラ31の回転中心軸とのそれぞれが、第1水平方向xに沿って並ぶように構成されている。
このため、第2水平方向yにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間の最短距離H31yは、搬送ローラ対31aと搬送ローラ対31bとが互いに同じであるのに対して、搬送ローラ対31cでは、搬送ローラ対31aおよび搬送ローラ対31bよりも長い。つまり、搬送ローラ対31cにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間は、搬送ローラ対31aおよび搬送ローラ対31bのそれぞれにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間よりも広い。
図1Aおよび図1Bでは図示の都合で省略しているが、搬送部30は、上記の他に、図1C、図1D、および、図1Eに示すように、第2水平方向yにおいて一対の搬送ローラ31が対向している搬送ローラ対31d,31e,31fを有する。搬送ローラ対31d,31e,31fにおいては、上記した他の搬送ローラ対31a,31b,31cの場合と異なり、搬送ローラ31の回転中心軸が第2水平方向yに沿っている。搬送ローラ対31d,31e,31fは、ぞれぞれ、被接合部材10、第1の被接合部品11、または第2の被接合部品12の表面側となる第1の面(一方の面)側に設けられ、第1の面(一方の面)に各搬送ローラ31が接触可能に構成される。搬送ローラ対31d,31e,31fのそれぞれを構成する一対の搬送ローラ31は、継手部(突合せ部)Tを介して(挟んで)接合方向(に沿う方向)に直交する方向に離間するように配置される。本実施形態においては、各一対の搬送ローラ31が、いずれも、接合方向(に沿う方向)に直交する方向に継手部(突合せ部)Tを介して(挟んで)対向して配置されている。
図1Eに示すように、搬送ローラ対31dは、第1水平方向xにおいて最も出口側(図1Eでは右側)に位置している。搬送ローラ対31eは、第1水平方向xにおいて搬送ローラ対31dよりも入口側に位置している。搬送ローラ対31fは、第1水平方向xにおいて搬送ローラ対31eよりも入口側に位置している。つまり、搬送ローラ対31fは、3つの搬送ローラ対31d,31e,31fのうち最も入口側に位置している。
図1Eに示すように、搬送ローラ対31dを構成する搬送ローラ31の外径と、搬送ローラ対31eを構成する搬送ローラ31の外径との両者は、同じである。これに対して、搬送ローラ対31fを構成する搬送ローラ31の外径は、搬送ローラ対31dおよび搬送ローラ対31eを構成する搬送ローラ31の外径よりも小さい。また、搬送ローラ対31dを構成する搬送ローラ31の回転中心軸と、搬送ローラ対31eを構成する搬送ローラ31の回転中心軸と、搬送ローラ対31fを構成する搬送ローラ31の回転中心軸とのそれぞれが、第1水平方向xに沿って並ぶように構成されている。
[A-2-2]ガイド部40
部材支持機構であるガイド部40は、ガイド本体41と保持ローラ42とを含み、搬送部30によって搬送される被接合部材10を保持ローラ42によって保持(支持)して接合方向に導くように構成されている。本実施形態では、ガイド部40は、図1Eに示すように、被接合部材10において搬送ローラ対31d,31e,31fが位置する第1の面に対して反対側に位置する第2の面側に位置している。すなわち、ガイド部40は、被接合部材10、第1の被接合部品11、または第2の被接合部品12の裏面側となる第2の面側に位置する。
[A-2-2-1]ガイド本体41
ガイド部40において、ガイド本体41は、第1ガイド本体部411と第2ガイド本体部412とを有し、第1ガイド本体部411と第2ガイド本体部412とがガイド部内部空間SP4を介して第2水平方向yに並ぶように設置されている。第1ガイド本体部411および第2ガイド本体部412は、たとえば、ブロック体で構成されており、図示を省略しているが、第1ガイド本体部411と第2ガイド本体部412との間は、たとえば、棒状のフレーム材(図示省略)を用いて連結されている。第1ガイド本体部411および第2ガイド本体部412は、軽量化のために、複数の棒状のフレーム材を用いて組み立てられた組立体であってもよい。
本実施形態では、ガイド本体41は、被接合部材10の入口側の断面が台形構造であり、被接合部材10の出口側の断面が矩形構造である。具体的には、ガイド本体41のうち台形構造の部分は、第1水平方向xにおいて入口側から出口側へ向かって、鉛直方向zの幅H41z(図1E参照)が広くなっている。ガイド本体41のうち矩形構造の部分は、第1水平方向xにおいて入口側から出口側へ向かって、鉛直方向zの幅H41z(図1E参照)が同じである。
[A-2-2-2]保持ローラ42
ガイド部40において、保持ローラ42は、複数であって、被接合部材10の内面に接触することによって被接合部材10を接合方向に導くように構成されている。複数の保持ローラ42は、ガイド本体41に回転自在に設置されている。このように、保持ローラ42は、被接合部材10、第1の被接合部品、または第2の被接合部品の裏面側となる第2の面(他方の面)に接触可能に構成される。
図1Aおよび図1Bでは図示の都合で省略しているが、ガイド部40は、図1C、図1D、および、図1Eに示すように、第2水平方向yにおいて一対の保持ローラ42が対向している保持ローラ対42e,42f,42g,42hを含む。保持ローラ対42e,42f,42g,42hは、ぞれぞれ、被接合部材10、第1の被接合部品、または第2の被接合部品の裏面側となる第2の面側に位置するように設けられ、第2の面に各保持ローラ42が接触可能に構成される。保持ローラ対42e,42f,42g,42hをそれぞれ構成する一対の保持ローラ42は、継手部(突合せ部)Tを介して(挟んで)接合方向(に沿う方向)に直交する方向に離間するように配置される。本実施形態においては、各一対の保持ローラ42が、いずれも、接合方向(に沿う方向)に直交する方向に継手部(突合せ部)Tを介して(挟んで)対向して配置されている。
図1Eに示すように、保持ローラ対42eは、第1水平方向xにおいて最も出口側に位置している。保持ローラ対42fは、第1水平方向xにおいて保持ローラ対42eよりも入口側に位置している。保持ローラ対42gは、第1水平方向xにおいて保持ローラ対42fよりも入口側に位置している。保持ローラ対42hは、第1水平方向xにおいて保持ローラ対42gよりも入口側に位置している。つまり、保持ローラ対42hは、4つの保持ローラ対42e,42f,42g,42hのうち最も入口側に位置している。
図1Cに示すように、保持ローラ対42e(第1保持ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが第1の被接合部品11の下面側と第2の被接合部品12の下面側とのそれぞれに位置すると共に、一対の保持ローラ42が接合ツール50を介して挟むように配置されている。
図1Dに示すように、保持ローラ対42fは、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが、第1の被接合部品11の下面側と第2の被接合部品12の下面側とのそれぞれに位置するように配置されている。
図1Eから判るように、保持ローラ対42gおよび保持ローラ対42h(第2保持ローラ対)も、保持ローラ対42eと保持ローラ対42fと同様に配置されている。
図1Eに示すように、保持ローラ対42e,42f,42g,42hにおいては、保持ローラ42の外径が同じである。保持ローラ対42e,42f,42g,42hにおいては、保持ローラ42の回転中心軸が第2水平方向yに沿っている。搬送ローラ対31dと保持ローラ対42eとの間に介在する空間、および、搬送ローラ対31eと保持ローラ対42fとの間に介在する空間は、鉛直方向zにおける最短距離H30zが互いに同じである。搬送ローラ対31fと保持ローラ対42gとの間に介在する空間は、搬送ローラ対31eと保持ローラ対42fとの間に介在する空間よりも、鉛直方向zにおける最短距離H30zが大きい。同様に、搬送ローラ対31fと保持ローラ対42hの間に介在する空間は、搬送ローラ対31eと保持ローラ対42fとの間に介在する空間よりも、鉛直方向zにおける最短距離H30zが大きく、広い。
[A-2-3]接合ツール50
接合ツール50は、搬送部30によって搬送されると共にガイド部40によって接合方向に導かれる被接合部材10について、摩擦撹拌接合で接合するために設けられている。ここでは、接合ツール50は、ボビン型ツール部51を含み、ボビン型ツール部51を用いて被接合部材10の継手部T(図1B参照)を摩擦撹拌接合で接合するように構成されている。また、接合ツール50は、ベアリング54を介して、ガイド部40に連結されている。なお、ベアリング54とガイド部40の連結は、ばねやダンパなどの図示しない振動抑制機構を介して行っても構わない。この場合、ガイド部40とベアリング54との間に振動抑制機構が配置される。
図示を省略しているが、接合ツール50は、支持台(図示省略)に回転自在に支持されている。接合ツール50は、第1水平方向xおよび第2水平方向yに移動せずに、支持された位置において、モータ(図示省略)によって回転するように構成されている。
[A-2-3-1]ボビン型ツール部51
接合ツール50において、ボビン型ツール部51は、図1Eに示すように、一対のショルダ部511,512とピン部513とを備える。ボビン型ツール部51において、一対のショルダ部511,512は、円柱形状であって、両者の外径が同じである。ピン部513は、一対のショルダ部511,512よりも外径が小さい円柱形状であって、一対のショルダ部511,512の間に介在している。一対のショルダ部511,512およびピン部513のそれぞれは、回転中心軸が鉛直方向zに沿っていると共に、鉛直方向zにおいて同軸に並ぶように設けられている。
[A-2-3-3]ベアリング挿入シャフト53
上記の他に、本実施形態の接合ツール50は、ベアリング挿入シャフト53を有し、ベアリング挿入シャフト53がベアリング54に挿入されている。
ベアリング挿入シャフト53は、円柱形状であって、鉛直方向zにおいてボビン型ツール部51と同軸に並ぶように設けられている。ここでは、ベアリング挿入シャフト53は、ボビン型ツール部51の一対のショルダ部511,512よりも、外径が小さくなるように構成されている。
[A-2-3-4]ベアリング54
ベアリング54は、リング形状であって、ボビン型ツール部51の一対のショルダ部511,512よりも、外径が大きくなるように構成されている。
図示を省略しているが、ベアリング54は、ガイド部40のガイド本体41に設けられたベアリング支持部(図示省略)に支持されている。ここでは、ガイド本体41において第1ガイド本体部411と第2ガイド本体部412との間に介在しているガイド部内部空間SP4において、ベアリング54が支持されている。ベアリング54は、接合ツール50の回転中心軸が鉛直方向zに沿うように、接合ツール50を回転自在に支持している。
[B]動作
上記の摩擦撹拌接合装置20を用いて被接合部材10について摩擦撹拌接合を実行する手順に関して説明する。
まず、図1Aに示すように、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12との組み合わせた被接合部材10を摩擦撹拌接合装置20の入口側に準備する。ここでは、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12とが継手部Tにおいて突合された状態になるように、被接合部材10を摩擦撹拌接合装置20の入口側に準備する。
つぎに、図1B、図1C、図1D、および、図1Eに示すように、接合方向である第1水平方向xに沿って摩擦撹拌接合装置20の搬送部30が被接合部材10を入口側から出口側へ向けて搬送する。ここでは、搬送部30において搬送ローラ31を回転させることによって、被接合部材10の搬送が実行される。このとき、ガイド部40の保持ローラ42によって被接合部材10が接合方向である第1水平方向xに導かれて搬送される。
具体的には、被接合部材10は、図1Bに示すように、第2水平方向yでは、搬送ローラ対31cを構成する一対の搬送ローラ31の間、搬送ローラ対31bを構成する一対の搬送ローラ31の間、および、搬送ローラ対31aを構成する一対の搬送ローラ31の間を順次搬送される。また、図1Eに示すように、鉛直方向zでは、被接合部材10は、搬送ローラ対31fと保持ローラ対42g,42hとの間、搬送ローラ対31eと保持ローラ対42fとの間、および、搬送ローラ対31dと保持ローラ対42eとの間を順次搬送される。
被接合部材10の搬送が実行される際には、接合ツール50を回転させる。これにより、搬送された被接合部材10は、図1Bから図1Eに示すように、ボビン型ツール部51によって継手部Tが摩擦撹拌接合で接合される。具体的には、ボビン型ツール部51の回転による摩擦熱によって、継手部Tでは、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12とが流動状態になり撹拌され、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12とが接合される。図示を省略しているが、図1Bでは、継手部Tのうちボビン型ツール部51よりも上側に位置する部分が接合された状態になっている。
接合ツール50において摩擦撹拌接合によって発生した熱は、ガイド本体41に設けられているガイド部内部空間SP4を介して外部へ放出される。このため、本実施形態では、接合ツール50の温度が高くなることを効果的に抑制可能である。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の摩擦撹拌接合装置20では、搬送部30によって搬送されると共にガイド部40によって接合方向に導かれる被接合部材10の継手部Tについて、接合ツール50がボビン型ツール部51を用いて摩擦撹拌接合で接合する。接合ツール50は、ベアリング54に挿入されるベアリング挿入シャフト53を有し、ガイド部40と接合ツール50とがベアリング54を介して連結されている(図1C参照)。このため、本実施形態では、搬送部30によって搬送された被接合部材10を接合ツール50で接合するので、被接合部材10全体を支持するステージが不要であるため、装置のコストを低減することができる。更に、本実施形態では、部材支持機構であるガイド部40と接合ツール50とがベアリング54を介して連結されているので、継手部Tにおいて正確に接合を実施可能である。その結果、本実施形態では、摩擦撹拌接合によって被接合部材10を効率的に接合することが可能であって、生産性を十分に向上させることができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31a(第1搬送ローラ対)は、一対の搬送ローラ31が第2水平方向yにおいて接合ツール50を介して対向している。これと共に、搬送ローラ対31aは、被接合部材10が搬送された際に、一対の搬送ローラ31が第2水平方向yにおいて継手部Tを介して対向するように配置されている(図1C参照)。このため、本実施形態では、被接合部材10において第1の被接合部品11と第2の被接合部品12とが継手部Tにおいて密着した状態で接合が行われる。その結果、本実施形態では、接合部の欠陥を抑制し被接合部材10を的確に接合することができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31c(第2搬送ローラ対)は、接合方向において搬送ローラ対31a(第1搬送ローラ対)よりも入口側に配置されており、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31が第2水平方向yにおいて継手部Tを介して対向している。搬送ローラ対31cにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間は、搬送ローラ対31aにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間よりも広い(図1A参照)。このため、本実施形態では、被接合部材10が歪んで被接合部材10が直線状に延在していない場合であっても、搬送部30の入口に被接合部材10を容易に挿入することができる。その結果、本実施形態では、被接合部材10を的確に接合することができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31d(第3搬送ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31のそれぞれが第1の被接合部品11の上面側と、第2の被接合部品12の上面側とのそれぞれに位置している。これと共に、搬送ローラ対31dは、一対の搬送ローラ31が接合ツール50を介して挟むように配置されている(図1C参照)。そして、本実施形態のガイド部40において、保持ローラ対42e(第1保持ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが第1の被接合部品11の下面側と第2の被接合部品12の下面側とのそれぞれに位置する。これと共に、保持ローラ対42eは、一対の保持ローラ42が接合ツール50を介して挟むように配置されている(図1C参照)。このため、本実施形態では、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12とそれぞれが、鉛直方向zにおいて搬送ローラ対31dを構成する搬送ローラ31と保持ローラ対42eを構成する保持ローラ42との間に挟まれた状態で、摩擦撹拌接合が行われる。その結果、本実施形態では、被接合部材10の変形を抑制でき、的確に接合することができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31f(第4搬送ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31のそれぞれが第1の被接合部品11の一方面側と、第2の被接合部品12の一方面側とのそれぞれに位置している。これと共に、搬送ローラ対31fは、一対の搬送ローラ31が接合方向において搬送ローラ対31dよりも入口側に配置されている。そして、本実施形態のガイド部40において、保持ローラ対42h(第2保持ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが第1の被接合部品11の下面側と第2の被接合部品12の下面側とのそれぞれに位置する。これと共に、保持ローラ対42hは、一対の保持ローラ42が接合方向において保持ローラ対42eよりも入口側に配置されている。搬送ローラ対31fと保持ローラ対42hとの間に介在する空間は、搬送ローラ対31dと保持ローラ対42eとの間に介在する空間よりも広い(図1E参照)。このため、本実施形態では、被接合部材10が歪んでおり、被接合部材10が正確な直線状に延在していない部分を含む場合であっても、搬送部30の入口に被接合部材10を容易に挿入することができる。その結果、本実施形態では、被接合部材10を的確に接合することができる。
[D]変形例
上記実施形態の変形例2-3に係る摩擦撹拌接合装置20について図2を用いて説明する。図2では、ガイド部40においてガイド本体41に保持ローラ42が設置された部分を模式的に示している。保持ローラ42は、ローラ本体421とローラシャフト422とを含む。
図2に示すように、本変形例のガイド部40においては、ガイド本体41と保持ローラ42との間に付勢部材43が介在している。本変形例では、付勢部材43は、保持ローラ42を構成するローラシャフト422とガイド本体41との間に配置されている。図2では図示を省略しているが、付勢部材43は、保持ローラ42を被接合部材10の側に付勢している(図3B等を参照)。
また、図示を省略しているが、搬送部30においても、保持ローラ42の場合と同様に、搬送ローラ31が被接合部材10の側に付勢されている。
このため、本変形例では、搬送ローラ31および保持ローラ42が被接合部材10に密着するので、被接合部材10を接合方向に的確に搬送することができる。
なお、上記の実施形態では、接合方向が第1水平方向xに沿った場合に用いる摩擦撹拌接合装置20について説明したが、これに限らない。たとえば、接合方向が鉛直方向zに沿った場合に対応するように、摩擦撹拌接合装置20の構成を適宜変更してもよい。
<第2実施形態>
[A]構成
第2実施形態に係る摩擦撹拌接合装置20について図3Aから図3Eを用いて説明する。
図3Aは、上面図であって、摩擦撹拌接合装置20において被接合部材である被接合部材10の摩擦撹拌接合が実行される前の状態を示している。図3Bは、図3Aと同様に、上面図であって、摩擦撹拌接合装置20において被接合部材10の摩擦撹拌接合が一部実行された状態を示している。図3Cは、図3BのX1-X1部分の断面図である。図3Dは、図3BのX2-X2部分の断面図である。図3Eは、図3BのY1-Y1部分の断面図である。
本実施形態は、図3Aから図3Eに示すように、被接合部材である被接合部材10の構成が第1実施形態の場合(図1Aから図1Eを参照)と異なっていると共に、被接合部材10の構成に対応して摩擦撹拌接合装置20の構成が第1実施形態の場合と異なっている。本実施形態は、これらの点、および、これらに関連する点を除き、上記実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
[A-1]被接合部材10
本実施形態の摩擦撹拌接合装置20の説明に先立って、被接合部材である被接合部材10について説明する。
被接合部材10は、図3Aから図3Eに示すように、第1実施形態の場合と同様に、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12との組み合わせることによって構成されている。しかしながら、第1の被接合部品11および第2の被接合部品12の形状が第1実施形態の場合と異なる。
具体的には、第1の被接合部品11は、図3Cおよび図3Dに示すように、断面がコの字形状であって、第1フランジ111と第2フランジ112とが第1ウェブ113を介して対面している。ここでは、第1フランジ111および第2フランジ112はそれぞれが直方体形状の面板であり、互いが平行になるように対面している。そして、第1ウェブ113は、第1フランジ111および第2フランジ112の一端において、第1フランジ111および第2フランジ112に対して直交するように設けられている。
第2の被接合部品12は、第1の被接合部品11と同様に断面がコの字形状であって、第3フランジ121と第4フランジ122とが第2ウェブ123を介して対面している。ここでは、第3フランジ121および第4フランジ122はそれぞれが直方体形状の面板であり、互いが平行になるように対面している。そして、第2ウェブ123は、第3フランジ121および第4フランジ122の一端において、第3フランジ121および第4フランジ122に対して直交するように設けられている。
そして、被接合部材10は、図3Dに示すように、第1フランジ111と第3フランジ121との間を連結する第1の継手部(突合せ部)T1と、第2フランジ112と第4フランジ122との間を連結する第2の継手部(突合せ部)T2とを含む。具体的には、第1の継手部T1では、第1の被接合部品11を構成する第1フランジ111の他端と第2の被接合部品12を構成する第3フランジ121の他端とが突合されて連結されている。第2の継手部T2では、第1の被接合部品11を構成する第2フランジ112の他端と第2の被接合部品12を構成する第4フランジ122の他端とが突合されて連結されている。第1の継手部T1および第2の継手部T2は、被接合部材10の長手方向に沿っており、互いが中空部SP1を介して対面している。これと共に、被接合部材10は、第1ウェブ113と第2ウェブ123とが中空部SP1を介して対面している。被接合部材10、第1フランジ111、第2フランジ112、第3フランジ121、第4フランジ122、第1ウェブ113および第2ウェブ123は、それぞれ、外周面を構成し表面側となる第1の面と、内周面を構成し中空部SP1に隣接する裏面側となる第2の面を有する。図3Cおよび図3Dに示すように、本実施形態において、第1フランジ111、第2フランジ112、第3フランジ121および第4フランジ122の第1の面および第2の面の法線方向は、それぞれ鉛直方向zに沿っている。
[A-2]摩擦撹拌接合装置20
摩擦撹拌接合装置20の構成について説明する。
摩擦撹拌接合装置20は、各図に示すように、搬送部30とガイド部40と接合ツール50とを有し、本実施形態では、被接合部材10において第1の被接合部品11と第2の被接合部品12との間を連結する第1の継手部T1および第2の継手部T2を摩擦撹拌接合によって接合するように各部が構成されている。
[A-2-1]搬送部30
搬送部30は、被接合部材10を支持すると共に、摩擦撹拌接合を行う接合方向に沿うように被接合部材10を搬送ローラ31で搬送するように構成されている。本実施形態では、接合方向は、被接合部材10において第1の継手部T1および第2の継手部T2が直線状に延在する第1水平方向xであり、搬送部30は、被接合部材10が挿入される入口側(図3Aおよび図3Bでは下側)から被接合部材10が排出される出口側(図3Aおよび図3Bでは上側)へ向けて搬送を行う。
本実施形態の搬送部30では、図3Aおよび図3Bに示すように、第1実施形態の場合と同様に、第2水平方向yにおいて一対の搬送ローラ31が対向して並ぶ搬送ローラ対31a,31b,31cを含む。搬送ローラ対31a,31b,31cは、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31が第1の継手部T1または第2の継手部T2を介して対向するように配置されている。搬送ローラ対31a,31b,31cにおいては、搬送ローラ31の回転中心軸が鉛直方向zに沿っている。
図3Cに示すように、搬送ローラ対31aは、第1実施形態の場合と異なり、2組であって、2組の搬送ローラ対31aが鉛直方向zに並ぶように設置されている。具体的には、2組の搬送ローラ対31aのうち、一方は、被接合部材10が搬送された際に第1フランジ111と第3フランジ121とを挟むように配置されている。そして、他方の搬送ローラ対31aは、被接合部材10が搬送された際に第2フランジ112と第4フランジ122とを挟むように配置されている。
図3Dに示すように、搬送ローラ対31bも、2組であって、2組の搬送ローラ対31bが鉛直方向zに並ぶように設置されている。具体的には、2組の搬送ローラ対31bのうち、一方は、被接合部材10が搬送された際に第1フランジ111と第3フランジ121とを挟むように配置されている。そして、他方は、被接合部材10が搬送された際に第2フランジ112と第4フランジ122とを挟むように配置されている。
図示を省略しているが、搬送ローラ対31cも2組であって、搬送ローラ対31aおよび搬送ローラ対31bと同様に鉛直方向zに配置されている。
図3Aおよび図3Bでは図示の都合で省略しているが、搬送部30は、上記の他に、図3C、図3D、および、図3Eに示すように、第1実施形態の場合と同様に、第2水平方向yにおいて一対の搬送ローラ31が対向している搬送ローラ対31d,31e,31fを有する。搬送ローラ対31d,31e,31fにおいては、搬送ローラ31の回転中心軸が第2水平方向yに沿っている。
図3Cに示すように、搬送ローラ対31d(第3搬送ローラ対)は、第1実施形態の場合と異なり、2組であって、搬送ローラ対31dが鉛直方向zに並ぶように設置されている。2組の搬送ローラ対31dは、被接合部材10が搬送された際に、第1ウェブ113と第2ウェブ123とのそれぞれを挟むように、鉛直方向zに並んでいる。ここで、2組の搬送ローラ対31dのうち、鉛直方向zにおいて上方に位置する搬送ローラ対31dは、被接合部材10が搬送された際に、一対の搬送ローラ31のそれぞれが、第1フランジ111の上面側と第3フランジ121の上面側とのそれぞれに位置すると共に、一対の搬送ローラ31が接合ツール50を介して挟むように配置されている。これに対して、2組の搬送ローラ対31dのうち、鉛直方向zにおいて下方に位置する搬送ローラ対31dは、被接合部材10が搬送された際に、一対の搬送ローラ31のそれぞれが、第2フランジ112の下面側と第4フランジ121の下面側とのそれぞれに位置すると共に、一対の搬送ローラ31が接合ツール50を介して挟むように配置されている。
図3Dに示すように、搬送ローラ対31eも、2組であって、2組の搬送ローラ対31eが鉛直方向zに並ぶように設置されている。2組の搬送ローラ対31eは、搬送ローラ対31dと同様に、被接合部材10が搬送された際に、第1ウェブ113と第2ウェブ123とのそれぞれを挟むように、鉛直方向zに並んでいる。ここで、2組の搬送ローラ対31eのうち、鉛直方向zにおいて上方に位置する搬送ローラ対31eは、被接合部材10が搬送された際に、一対の搬送ローラ31のそれぞれが、第1フランジ111の上面側と第3フランジ121の上面側とのそれぞれに位置している。これに対して、2組の搬送ローラ対31eのうち、鉛直方向zにおいて下方に位置する搬送ローラ対31eは、被接合部材10が搬送された際に、一対の搬送ローラ31のそれぞれが、第2フランジ112の下面側と第4フランジ121の下面側とのそれぞれに位置している。
図3Eから判るように、搬送ローラ対31f(第4搬送ローラ対)も2組であって、搬送ローラ対31dおよび搬送ローラ対31eと同様に、2組が鉛直方向zに並ぶように配置されている。
図3Eに示すように、搬送ローラ対31dを構成する搬送ローラ31の外径と、搬送ローラ対31eを構成する搬送ローラ31の外径との両者は、同じである。これに対して、搬送ローラ対31fを構成する搬送ローラ31の外径は、搬送ローラ対31dおよび搬送ローラ対31eを構成する搬送ローラ31の外径よりも小さい。また、搬送ローラ対31dを構成する搬送ローラ31の回転中心軸と、搬送ローラ対31eを構成する搬送ローラ31の回転中心軸と、搬送ローラ対31fを構成する搬送ローラ31の回転中心軸とのそれぞれが、第1水平方向xに沿って並ぶように構成されている。
このため、鉛直方向zにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間の最短距離H31zは、搬送ローラ対31dと搬送ローラ対31eとが互いに同じであるのに対して、搬送ローラ対31fでは、搬送ローラ対31dおよび搬送ローラ対31eよりも長い。
[A-2-2]ガイド部40
ガイド部40は、ガイド本体41と保持ローラ42とを含み、搬送部30によって搬送される被接合部材10を、保持ローラ42によって接合方向に導くように構成されている。本実施形態では、ガイド部40は、第1実施形態の場合と異なり、被接合部材10の中空部SP1に挿入される。
[A-2-2-1]ガイド本体41
ガイド部40において、ガイド本体41は、第1実施形態の場合と同様に、第1ガイド本体部411と第2ガイド本体部412とがガイド部内部空間SP4を介して第2水平方向yに並ぶように設置されている。
また、ガイド本体41は、被接合部材10の入口側の断面が台形構造であり、被接合部材10の出口側の断面が矩形構造である。具体的には、ガイド本体41のうち台形構造の部分は、第1水平方向xにおいて入口側から出口側へ向かって、第2水平方向yの幅H41y(図3A参照)および鉛直方向zの幅H41z(図3E参照)が広くなっている。ガイド本体41のうち矩形構造の部分は、第1水平方向xにおいて入口側から出口側へ向かって、第2水平方向yの幅H41y(図3A参照)および鉛直方向zの幅H41z(図3E参照)が同じである。
[A-2-2-2]保持ローラ42
ガイド部40において、保持ローラ42は、第1実施形態の場合と同様に、複数であって、被接合部材10の内面に接触することによって被接合部材10を接合方向に導くように、ガイド本体41に回転自在に設置されている。
本実施形態では、図3Aおよび図3Bに示すように、ガイド部40は、第1実施形態の場合と異なり、第2水平方向yにおいて一対の保持ローラ42が対向している保持ローラ対42a,42b,42c,42dを含む。保持ローラ対42a,42b,42c,42dにおいては、保持ローラ42の回転中心軸が鉛直方向zに沿っている。また、保持ローラ対42a,42b,42c,42dにおいては、被接合部材10が搬送された際に一対の保持ローラ42が第1の継手部T1および第2の継手部T2を介して対向するように配置されている。
保持ローラ対42a(第3保持ローラ対)は、図3Aおよび図3Bに示すように、ガイド本体41のうち矩形構造の部分に設けられている。保持ローラ対42aは、第1水平方向x(接合方向)における一対の保持ローラ42が接合ツール50に対応する位置において対向している。ここでは、保持ローラ対42aを構成する一対の保持ローラ42の回転中心軸のそれぞれと、接合ツール50の回転中心軸とが、第2水平方向yに沿って並んでおり、接合方向に直交する方向である第2水平方向yに対向している。
保持ローラ対42bは、図3Aおよび図3Bに示すように、ガイド本体41のうち矩形構造の部分に設けられており、第1水平方向xにおいて保持ローラ対42aよりも入口側に位置している。
保持ローラ対42cは、図3Aおよび図3Bに示すように、ガイド本体41のうちの台形構造の部分に設けられており、第1水平方向xにおいて保持ローラ対42bよりも入口側に位置している。
保持ローラ対42d(第4保持ローラ対)は、図3Aおよび図3Bに示すように、ガイド本体41のうちの台形構造の部分に設けられており、第1水平方向x(接合方向)において保持ローラ対42cよりも入口側に位置して対向している。つまり、保持ローラ対42dは、4つの保持ローラ対42a,42b,42c,42dのうち最も入口側に位置している。ここでは、保持ローラ対42dを構成する一対の保持ローラ42の回転中心軸のそれぞれは、接合方向に直交する方向である第2水平方向yに対向して(すなわち、第2水平方向yに沿って並んで)いる。
図3Aおよび図3Bに示すように、保持ローラ対42aと保持ローラ対42bと保持ローラ対42cと保持ローラ対42dとにおいては、保持ローラ42の外径が同じである。保持ローラ対42aを構成する一対の保持ローラ42の回転中心軸の間隔、および、保持ローラ対42bを構成する一対の保持ローラ42の回転中心軸の間隔は、同じである。これに対して、保持ローラ対42cを構成する一対の保持ローラ42の回転中心軸の間隔は、保持ローラ対42aおよび保持ローラ対42bよりも狭い。そして、保持ローラ対42dを構成する一対の保持ローラ42の回転中心軸の間隔は、保持ローラ対42cよりも狭い。
このため、図3Aに示すように、第2水平方向yにおいて一対の保持ローラ42の間に介在する空間の最短距離H42yは、保持ローラ対42aと保持ローラ対42bとが互いに同じであるのに対して、保持ローラ対42cでは、保持ローラ対42aおよび保持ローラ対42bよりも短く、保持ローラ対42dでは、保持ローラ対42cよりも短い。つまり、保持ローラ対42dにおいて一対の保持ローラ対42cの間に介在する空間は、他の保持ローラ対42a,42b,42cのそれぞれにおいて一対の保持ローラ対42cの間に介在する空間よりも狭い。
図3Cに示すように、保持ローラ対42aは、2組であって、2組の保持ローラ対42aが鉛直方向zに並ぶように設置されている。具体的には、2組の保持ローラ対42aは、被接合部材10が搬送された際に第1ウェブ113と第2ウェブ123との間に介在するように配置されている。
図3Dに示すように、保持ローラ対42bも、2組であって、2組の保持ローラ対42bが鉛直方向zに並ぶように設置されている。具体的には、2組の保持ローラ対42bは、保持ローラ対42aの場合と同様に、被接合部材10が搬送された際に第1ウェブ113と第2ウェブ123との間に介在するように配置されている。
図示を省略しているが、保持ローラ対42cおよび保持ローラ対42dのそれぞれも2組であって、保持ローラ対42aおよび保持ローラ対42bと同様に鉛直方向zに配置されている。
図3Aおよび図3Bでは図示の都合で省略しているが、ガイド部40は、上記の他に、図3C、図3D、および、図3Eに示すように、第2水平方向yにおいて一対の保持ローラ42が並んでいる保持ローラ対42e,42f,42g,42hを含む。
図3Cに示すように、保持ローラ対42e(第1保持ローラ対)は、第1実施形態の場合と異なり、2組であって、2組の保持ローラ対42eが鉛直方向zに並ぶように設置されている。ここで、2組の保持ローラ対42eのうち、鉛直方向zにおいて上方に位置する保持ローラ対42eは、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが、第1フランジ111の下面側と第3フランジ121の下面側とのそれぞれに位置すると共に、一対の保持ローラ42が接合ツール50を介して挟むように配置されている。これに対して、2組の保持ローラ対42eのうち鉛直方向zにおいて下方に位置する保持ローラ対42eは、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが、第2フランジ112の上面側と第4フランジ121の上面側とのそれぞれに位置すると共に、一対の保持ローラ42が接合ツール50を介して挟むように配置されている。
図3Dに示すように、保持ローラ対42fも、2組であって、2組の保持ローラ対42fが鉛直方向zに並ぶように設置されている。ここで、2組の保持ローラ対42fのうち、鉛直方向zにおいて上方に位置する保持ローラ対42fは、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが、第1フランジ111の下面側と第3フランジ121の下面側とのそれぞれに位置するように配置されている。これに対して、2組の保持ローラ対42fのうち、鉛直方向zにおいて下方に位置する保持ローラ対42fは、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが、第2フランジ112の上面側と第4フランジ121の上面側とのそれぞれに位置するように配置されている。
図3Eから判るように、保持ローラ対42gおよび保持ローラ対42h(第2保持ローラ対)のそれぞれも2組であって、保持ローラ対42eと保持ローラ対42fと同様に、2組が鉛直方向zに並ぶように配置されている。
図3Eに示すように、保持ローラ対42e,42f,42g,42hにおいては、保持ローラ42の回転中心軸が第2水平方向yに沿っている。保持ローラ対42e,42f,42g,42hにおいては、保持ローラ42の外径が同じである。鉛直方向zにおいて一対の保持ローラ42の間に介在する空間の最短距離H42zは、保持ローラ対42eと保持ローラ対42fとが互いに同じであるのに対して、保持ローラ対42gでは、保持ローラ対42eおよび保持ローラ対42fよりも短く、保持ローラ対42hでは、保持ローラ対42gよりも短い。
このため、図3Eから判るように、2組の搬送ローラ対31dのそれぞれと2組の保持ローラ対42eのそれぞれとの間に介在する空間、および、2組の搬送ローラ対31eのそれぞれと2組の保持ローラ対42fのそれぞれとの間に介在する空間は、鉛直方向zにおける最短距離H30zが同じである。2組の搬送ローラ対31fのそれぞれと2組の保持ローラ対42gのそれぞれとの間に介在する空間は、2組の搬送ローラ対31eのそれぞれと2組の保持ローラ対42fのそれぞれとの間に介在する空間よりも、鉛直方向zにおける最短距離H30zが大きい。同様に、2組の搬送ローラ対31fのそれぞれと2組の保持ローラ対42hのそれぞれとの間に介在する空間は、2組の搬送ローラ対31eのそれぞれと2組の保持ローラ対42fのそれぞれとの間に介在する空間よりも、鉛直方向zにおける最短距離H30zが大きく、広い。
[A-2-3]接合ツール50
接合ツール50は、搬送部30によって搬送されると共にガイド部40によって接合方向に導かれる被接合部材10について、摩擦撹拌接合で接合するために設けられている。ここでは、接合ツール50は、第1実施形態の場合と異なり、第1ボビン型ツール部51aおよび第2ボビン型ツール部51bを含み、第1ボビン型ツール部51aを用いて第1の継手部T1(図3C,図3D参照)を摩擦撹拌接合で接合すると共に、第2ボビン型ツール部51bを用いて第2の継手部T2(図3C,図3D参照)を摩擦撹拌接合で接合するように構成されている。また、接合ツール50は、第1のベアリング54aおよび第2のベアリング54bを介して、ガイド部40に連結されている。
[A-2-3-1]第1ボビン型ツール部51a
接合ツール50において、第1ボビン型ツール部51aは、一対の第1ショルダ部511a,512aと第1ピン部513aとを備える。第1ボビン型ツール部51aにおいて、一対の第1ショルダ部511a,512aは、円柱形状であって、両者の外径が同じである。第1ピン部513aは、一対の第1ショルダ部511a,512aよりも外径が小さい円柱形状であって、一対の第1ショルダ部511a,512aの間に介在している。一対の第1ショルダ部511a,512aおよび第1ピン部513aのそれぞれは、回転中心軸が鉛直方向zに沿っていると共に、鉛直方向zにおいて同軸に並ぶように設けられている。
[A-2-3-2]第2ボビン型ツール部51b
接合ツール50において、第2ボビン型ツール部51bは、一対の第2ショルダ部511b,512bと第2ピン部513bとを備える。第2ボビン型ツール部51bにおいて、一対の第2ショルダ部511b,512bおよび第2ピン部513bのそれぞれは、第1ボビン型ツール部51aを構成する一対の第1ショルダ部511a,512aおよび第1ピン部513aのそれぞれと同様に設けられている。
[A-2-3-3]ベアリング挿入シャフト53
上記の他に、本実施形態の接合ツール50は、ベアリング挿入シャフト53を有し、ベアリング挿入シャフト53が、第1のベアリング54aおよび第2のベアリング54bに挿入されている。
本実施形態では、ベアリング挿入シャフト53は、第1ボビン型ツール部51aと第2ボビン型ツール部51bとの間を連結している。ベアリング挿入シャフト53は、円柱形状であって、鉛直方向zにおいて第1ボビン型ツール部51aと第2ボビン型ツール部51bとの間に介在しており、鉛直方向zにおいて第1ボビン型ツール部51aおよび第2ボビン型ツール部51bと同軸に並ぶように設けられている。ここでは、ベアリング挿入シャフト53は、第1ボビン型ツール部51aの一対の第1ショルダ部511a,512aおよび第2ボビン型ツール部51bの一対の第2ショルダ部511b,512bよりも、外径が小さくなるように構成されている。
[A-2-3-4]第1のベアリング54a、第2のベアリング54b
第1のベアリング54aおよび第2のベアリング54bは、リング形状であって、第1ボビン型ツール部51aの一対の第1ショルダ部511a,512a、および、第2ボビン型ツール部51bの一対の第2ショルダ部511b,512bよりも、外径が大きくなるように構成されている。
図示を省略しているが、第1のベアリング54aおよび第2のベアリング54bは、第1実施形態の場合と同様に、ガイド部40のガイド本体41に設けられたベアリング支持部(図示省略)に支持されている。ここでは、ガイド本体41において第1ガイド本体部411と第2ガイド本体部412との間に介在しているガイド部内部空間SP4において、第1のベアリング54aおよび第2のベアリング54bが支持されている。第1のベアリング54aおよび第2のベアリング54bは、接合ツール50の回転中心軸が鉛直方向zに沿うように、接合ツール50を回転自在に支持している。
[B]動作
上記の摩擦撹拌接合装置20を用いて被接合部材10について摩擦撹拌接合を実行する手順に関して説明する。
まず、図3Aに示すように、第1の被接合部品11と第2の被接合部品12との組み合わせた被接合部材10を摩擦撹拌接合装置20の入口側に準備する。本実施形態では、図3Cに示すように、第1フランジ111と第2フランジ112とが鉛直方向zにおいて対面し、第3フランジ121と第4フランジ122とが鉛直方向zにおいて対面すると共に、第1ウェブ113と第2ウェブ123とが第2水平方向yにおいて対面した状態になるように、被接合部材10を摩擦撹拌接合装置20の入口側に準備する。
つぎに、図3B、図3C、図3D、および、図3Eに示すように、被接合部材10の中空部SP1にガイド部40を挿入した状態で、接合方向である第1水平方向xに沿って摩擦撹拌接合装置20の搬送部30が被接合部材10を入口側から出口側へ向けて搬送する。ここでは、搬送部30において搬送ローラ31を回転させることによって、被接合部材10の搬送が実行される。このとき、ガイド部40の保持ローラ42によって被接合部材10が接合方向である第1水平方向xに導かれて搬送される。
具体的には、被接合部材10は、図3Bに示すように、第2水平方向yでは、搬送ローラ対31cを構成する一対の搬送ローラ31の間、搬送ローラ対31bを構成する一対の搬送ローラ31の間、および、搬送ローラ対31aを構成する一対の搬送ローラ31の間を順次搬送される。このとき、第2水平方向yにおいては、第1ウェブ113および第2ウェブ123は、搬送ローラ対31a,31b,31cを構成する搬送ローラ31と保持ローラ対42a,42b,42c,42dを構成する保持ローラ42との間において搬送される。
また、図3Eに示すように、鉛直方向zでは、被接合部材10は、搬送ローラ対31fを構成する一対の搬送ローラ31の間、搬送ローラ対31eを構成する一対の搬送ローラ31の間、および、搬送ローラ対31dを構成する一対の搬送ローラ31の間を順次搬送される。このとき、鉛直方向zにおいては、第3フランジ121および第4フランジ122は、搬送ローラ対31d,31e,31fを構成する搬送ローラ31と保持ローラ対42e,42f,42g,42hを構成する保持ローラ42との間において搬送される。第1フランジ111および第2フランジ112は、図3Eでは図示されていないが、図3Cおよび図3Dから判るように、第3フランジ121および第4フランジ122と同様に、鉛直方向zでは、搬送ローラ対31d,31e,31fを構成する搬送ローラ31と保持ローラ対42e,42f,42g,42hを構成する保持ローラ42との間において搬送される。
被接合部材10の搬送が実行される際には、接合ツール50を回転させる。これにより、ガイド部40が挿入された状態で搬送部30によって搬送された被接合部材10は、図3Cおよび図3Dに示すように、第1ボビン型ツール部51aによって第1の継手部T1が摩擦撹拌接合で接合されると共に、第2ボビン型ツール部51bによって第2の継手部T2が摩擦撹拌接合で接合される。
具体的には、第1ボビン型ツール部51aの回転による摩擦熱によって、第1の継手部T1では、第1フランジ111と第3フランジ121とが流動状態になり撹拌され、第1フランジ111と第3フランジ121とが接合される。図3Bでは図示されていないが、第2の継手部T2(図3D参照)では、上記同様に、第2ボビン型ツール部51bの回転による摩擦熱によって、第2フランジ112と第4フランジ122とが流動状態になり撹拌され、第2フランジ112と第4フランジ122とが接合される。
接合ツール50において摩擦撹拌接合によって発生した熱は、第1実施形態の場合と同様に、ガイド本体41に設けられているガイド部内部空間SP4を介して外部へ放出される。このため、本実施形態においても、接合ツール50の温度が高くなることを効果的に抑制可能である。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の摩擦撹拌接合装置20では、搬送部30によって搬送されると共にガイド部40によって接合方向に導かれる被接合部材10の第1の継手部T1および第2の継手部T2について、接合ツール50が第1ボビン型ツール部51aおよび第2ボビン型ツール部51bを用いて摩擦撹拌接合で接合する。接合ツール50は、ベアリング54a,54bに挿入されるベアリング挿入シャフト53を有し、ガイド部40と接合ツール50とがベアリング54a,54bを介して連結されている(図3C参照)。このため、本実施形態では、搬送部30によって搬送された被接合部材10を接合ツール50で接合するので、被接合部材10全体を支持するステージが不要であるため、装置のコストを低減することができる。更に、本実施形態では、ガイド部40と接合ツール50とがベアリング54a,54bを介して連結されているので、第1の継手部T1および第2の継手部T2について正確に接合を実施可能である。その結果、本実施形態では、摩擦撹拌接合によって被接合部材10を効率的に接合することが可能であって、生産性を十分に向上させることができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31a(第1搬送ローラ対)は、一対の搬送ローラ31が第2水平方向yにおいて接合ツール50を介して対向している。これと共に、搬送ローラ対31aは、被接合部材10が搬送された際に、一対の搬送ローラ31が第2水平方向yにおいて第1の継手部T1と第2の継手部T2とのそれぞれを介して対向するように配置されている(図3C参照)。このため、本実施形態では、被接合部材10において第1の被接合部品11と第2の被接合部品12とが第1の継手部T1と第2の継手部T2とのそれぞれにおいて密着した状態で接合が行われる。また、本実施形態のガイド部40において保持ローラ対42a(第3保持ローラ対)は、一対の保持ローラ42が第2水平方向yにおいて接合ツール50を介して対向している。これと共に、保持ローラ対42aは、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42が第2水平方向yにおいて第1の継手部T1と第2の継手部T2とのそれぞれを介して対向するように配置されている(図3C参照)。このため、本実施形態では、被接合部材10が接合方向に導かれた状態で接合が行われる。その結果、本実施形態では、被接合部材10を的確に接合することができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31c(第2搬送ローラ対)は、接合方向において搬送ローラ対31a(第1搬送ローラ対)よりも入口側に配置されており、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31が第2水平方向yにおいて第1の継手部T1と第2の継手部T2とのそれぞれを介して対向している。搬送ローラ対31cにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間は、搬送ローラ対31aにおいて一対の搬送ローラ31の間に介在する空間よりも広い(図3A参照)。また、本実施形態のガイド部40において、保持ローラ対42d(第4保持ローラ対)は、接合方向において保持ローラ対42a(第3保持ローラ対)よりも入口側に配置されており、被接合部材10が搬送された際に一対の保持ローラ42が第2水平方向yにおいて第1の継手部T1と第2の継手部T2とのそれぞれを介して対向している。保持ローラ対42dにおいて一対の保持ローラ42の間に介在する空間は、保持ローラ対42aにおいて一対の保持ローラ42の間に介在する空間よりも狭い(図3A参照)。このため、本実施形態では、被接合部材10が歪んで被接合部材10が正確な直線状に延在していない場合であっても、搬送部30の入口に被接合部材10を容易に挿入することができる。その結果、本実施形態では、被接合部材10を的確に接合することができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31d(第3搬送ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31のそれぞれが第1の被接合部品11を構成する第1フランジ111または第2フランジ112の一方面側と、第2の被接合部品12を構成する第3フランジ121または第4フランジ122の一方面側とのそれぞれに位置している。これと共に、搬送ローラ対31dは、一対の搬送ローラ31が接合ツール50を介して挟むように配置されている。そして、本実施形態のガイド部40において、保持ローラ対42e(第1保持ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが第1の被接合部品11を構成する第1フランジ111または第2フランジ112の他方面側と第2の被接合部品12を構成する第3フランジ121または第4フランジ122の他方面側とのそれぞれに位置する。これと共に、保持ローラ対42eは、一対の保持ローラ42が接合ツール50を介して挟むように配置されている(図3C参照)。このため、本実施形態では、鉛直方向zにおいて、第1フランジ111と第2フランジ112と第3フランジ121と第4フランジ122とそれぞれが、搬送ローラ対31dを構成する搬送ローラ31と保持ローラ対42eを構成する保持ローラ42との間に挟まれた状態で、摩擦撹拌接合が行われる。その結果、本実施形態では、被接合部材10を的確に接合することができる。
本実施形態の搬送部30において、搬送ローラ対31f(第4搬送ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に一対の搬送ローラ31のそれぞれが第1の被接合部品11を構成する第1フランジ111または第2フランジ112の一方面側と、第2の被接合部品12を構成する第3フランジ121または第4フランジ122の一方面側とのそれぞれに位置している。これと共に、搬送ローラ対31fは、一対の搬送ローラ31が接合方向において搬送ローラ対31dよりも入口側に配置されている。そして、本実施形態のガイド部40において、保持ローラ対42h(第2保持ローラ対)は、被接合部材10が搬送された際に、一対の保持ローラ42のそれぞれが第1の被接合部品11を構成する第1フランジ111または第2フランジ112の他方面側と第2の被接合部品12を構成する第3フランジ121または第4フランジ122の他方面側とのそれぞれに位置する。これと共に、保持ローラ対42hは、一対の保持ローラ42が接合方向において保持ローラ対42eよりも入口側に配置されている。搬送ローラ対31fと保持ローラ対42hとの間に介在する空間は、搬送ローラ対31dと保持ローラ対42eとの間に介在する空間よりも広い(図3E参照)。このため、本実施形態では、被接合部材10が歪んでおり、被接合部材10が正確な直線状に延在していない部分を含む場合であっても、搬送部30の入口に被接合部材10を容易に挿入することができる。その結果、本実施形態では、被接合部材10を的確に接合することができる。
本実施形態の接合ツール50においては、第1ボビン型ツール部51aと第2ボビン型ツール部51bとの間がベアリング挿入シャフト53によって連結されている。このため、本実施形態では、第1ボビン型ツール部51aと第2ボビン型ツール部51bとが同時に回転するので、第1の継手部T1と第2の継手部T2とのそれぞれについて同時に接合を行うことができる。
[D]変形例
[D-1]変形例2-1
図4Aは、第2実施形態の変形例2-1に係る摩擦撹拌接合装置20を模式的に示す図である。
上記実施形態の変形例2-1に係る摩擦撹拌接合装置20について図4Aを用いて説明する。図4Aでは、図3Cと同様な部分の断面を示している。
図4Aに示すように、本変形例では、接合ツール50は、ベアリング挿入シャフト53(図3C参照)として、第1のベアリング挿入シャフト53aと第2のベアリング挿入シャフト53bとを含む。第1のベアリング挿入シャフト53aは、第1ボビン型ツール部51aに接続されており、第2のベアリング挿入シャフト53bは、第2ボビン型ツール部51bに接続されている。そして、第1のベアリング挿入シャフト53aが第1のベアリング54aに挿入されており、第2のベアリング挿入シャフト53bが第2のベアリング54bに挿入されている。本変形例においても、上記実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
[D-2]変形例2-2
図4Bは、第2実施形態の変形例2-2に係る摩擦撹拌接合装置20を模式的に示す図である。
上記実施形態の変形例2-2に係る摩擦撹拌接合装置20について図4Bを用いて説明する。図4Bでは、図3Cと同様な部分の断面を示している。
図4Bに示すように、本変形例では、接合ツール50は、第1実施形態の場合と同様に、ボビン型ツール部51が1つである。本変形例においても、上記実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。