JP2008101637A - ころ軸受用レース並びに外輪の製造方法及びころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】材料取りの歩留まりを高くすると共に所定の強度を有するころ軸受用レースの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】鋼板10をプレス加工してレースを3分割以上に分割した弧状分割レース片1aを形成し、各弧状分割レース片1aの接合される両端部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、弧状分割レース片1aの接合される端部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分をレーザ溶接により接合して円環状のころ軸受用レース1を形成するようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明はころ軸受用レース並びに外輪の製造方法及びころ軸受に関するものである。
従来のスラスト形のころ軸受は、相対向する一対のスラストレースと、これらスラストレース間に配設された複数個のころと、これらのころをスラストレースの円周方向に沿ってほぼ等間隔に保持する環状の保持器とから構成されている。
かかるスラスト形のころ軸受の一対のスラストレースは、通常、鋼板をプレス或いは旋削加工により一体の形状に成形している。
また、従来のラジアル形のころ軸受は、支持すべき軸の外周に設けられた外輪と、この外輪と軸との間に配設された複数個のころと、これらころを外輪の円周方向に沿ってほぼ等間隔に保持する円筒状の保持器とから構成されている。
かかるラジアル形のころ軸受の外輪も、通常、鋼板をプレス或いは旋削加工により一体の形状に成形している(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−13966号公報(第2頁〜第3頁、第1図、第2図)
従来のスラスト形のころ軸受のレースは、鋼板をプレス或いは旋削加工により一体の形状に成形している。このため、中心部分の材料を捨てることになり、特に径が大きくなると捨てる材料の比率が大きくなり、材料取りの歩留まりが低下して非常にコスト高となるという問題があった。
また、ラジアル形のころ軸受の外輪は、1枚の鋼板を弧状に成形して外輪素材とし、その周方向端面部同士を接合してなるものである。この場合、外輪素材の突き合わせた端面部の接合部分の強度確保が重要となっていた。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、材料取りの歩留まりを高くすると共に所定の強度を有するころ軸受用レース並びに外輪の製造方法及びころ軸受を提供することを目的とする。
本発明に係るころ軸受用レースの製造方法は、鋼板を加工してレースを3分割以上に分割した弧状分割レース片を形成し、各弧状分割レース片の接合される両端部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、弧状分割レース片の接合される端部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接により接合して円環状のころ軸受用レースを形成するものである。
また、本発明に係るころ軸受は、前記ころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用レースを用いてスラスト形のころ軸受を形成したものである。
本発明に係るころ軸受用外輪の製造方法は、鋼板よりなる1つ又は複数の外輪素材の端面部同士を接合してなるころ軸受用外輪の製造方法であって、外輪素材の接合される両端面部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、外輪素材の接合される端面部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接により接合して円環状のころ軸受用外輪を形成するものである。
また、本発明に係るころ軸受は、前記ころ軸受用外輪の製造方法によって製造されたころ軸受用外輪を用いてラジアル形のころ軸受を形成したものである。
以上説明したように本発明のころ軸受用レースの製造方法によれば、鋼板を加工してレースを3分割以上に分割した弧状分割レース片を形成し、各弧状分割レース片の接合される両端部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、弧状分割レース片の接合される端部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接により接合して円環状のころ軸受用レースを形成するようにしたので、鋼板を加工して形成される弧状分割レース片は中空の中心部がないために従来のように中心部の材料を捨てる必要がなくなり、材料取りの歩留まりを高くすることができ、各弧状分割レース片の接合される両端部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、その端部同士の突き合わせ部分を溶接により接合しているため、ビードが殆どできず、溶接部の板厚が薄いまま接合できるという効果がある。
また、本発明に係るころ軸受は、前記ころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用レースを用いてスラスト形のころ軸受を形成したので、ころがレースの溶接部を通過する際に荷重が負荷されずに空過することにより、レースの溶接部が破損するおそれがないという効果がある。
さらに、本発明に係るころ軸受用外輪の製造方法は、鋼板よりなる1つ又は複数の外輪素材の端面部同士を接合してなるころ軸受用外輪の製造方法であって、外輪素材の接合される両端面部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、外輪素材の接合される端面部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接により接合して円環状のころ軸受用外輪を形成するようにしたので、外輪素材の接合される両端面部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、その端面部同士の突き合わせ部分を溶接により接合しているため、ビードが殆どできず、溶接部の板厚が薄いまま成形できるという効果がある。
また、本発明に係るころ軸受は、前記ころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用外輪を用いてラジアル形のころ軸受を形成したので、ころが外輪の溶接部を通過する際に荷重が負荷されずに空過することにより、外輪の溶接部が破損するおそれがなく、充分な強度を有するという効果がある。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用レースを示す平面図、図2は同ころ軸受用レースの連結部分を示す断面図、図3は鋼板から弧状分割レース片の材料取りを模式的に示す平面図、図4は同ころ軸受用レースの断面図、図5は同ころ軸受用レースところとの関係を説明する断面図である。
本発明の実施の形態1のころ軸受用レースの製造方法は、まず1枚の鋼板10をプレス加工してレースを4分割した4つの弧状分割レース片1aを形成する。このときの鋼板からの弧状分割レース片の材料取りを図3に示す。
図3に示すように、1枚の鋼板10に、一方の弧状分割レース片1aの外周縁に他方の弧状分割レース片1aの内周縁に近接するように4枚の弧状分割レース片1aが縦に並べられた材料取りである。
従って、従来の1枚の鋼板に円環状のレースをプレスにより打ち抜き加工すると中央部分が捨てられるのに比べて、1枚の鋼板10に、一方の弧状分割レース片1aの外周縁に他方の弧状分割レース片1aの内周縁に近接するように4枚の弧状分割レース片1aが縦に並べられているから、材料取りに際してクズ(スクラップ)の発生量を少なくすることができ、製造コストに占める材料費が低減する。
次に、各弧状分割レース片1aの接合される両端部は、プレス或いは削り加工によって図4に示すように、それぞれの板厚を他の部位の板厚より薄く形成する。
しかる後に、図2に示すように弧状分割レース片1aの板厚を他の部位の板厚より薄く形成した接合される両端部の端部同士の突き合わせ部分をレーザ溶接により接合し、図1に示すような円環状のころ軸受用レース1を形成する。
このように弧状分割レース片1aの接合される両端部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、その端部同士の突き合わせ部分をレーザ溶接により接合するようにしたのは、抵抗溶接などでは溶接ビードが避けがたく、溶接部の板厚を薄くしても、ビードにより溶接後の板厚が大きくなってしまうが、レーザ溶接ではビードが殆どでできないため、溶接部の板厚が薄いまま接合できるからである。
また、本発明のころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用レース1と鋼板をプレス加工して形成した1枚の円環状のレース1とを用いてその間に複数のころとこれらを周方向に所定間隔で転動可能に保持する円板状の保持器を有するスラスト形のころ軸受を形成した場合、図5に示すように、ころ3がころ軸受用レース1の弧状分割レース片1aの溶接部を通過する際に荷重が負荷されずに空過することにより、ころ軸受用レース1の弧状分割レース片1aの溶接部が破損するおそれがないものである。なお、保持器に保持されるころとしては、針状ころ、円筒ころ等が使用される。
上記実施の形態1のころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用レース1は、4枚の弧状分割レース片1aをレーザ溶接により接合して円環状に形成されているが、これに限定されるものではなく、3枚以上の適宜な数の弧状分割レース片1aを用いてレーザ溶接により接合して円環状に形成してもよいことは勿論である。
また、レーザ溶接に代えてTIG溶接等のビードの少ない各種溶接を用いてもよいことは勿論である。
さらに、1枚の鋼板10をプレス加工してレースを4分割した4つの弧状分割レース片1aを形成しているが、プレス加工に代えてレーザ、刃物による切断等各種の加工方法によって弧状分割レース片1aを形成してもよいことはいうまでもない。
また、4枚の弧状分割レース片1aの材料取りは、図3に示す配置のものに限定するものではない。
さらに、上記実施の形態1のころ軸受用レース1は平板状のものを示しているが、これに限定されるものではなく、レーザ溶接前に、4枚の弧状分割レース片1aの内周縁又は外周縁の一方または両方を折り曲げてフランジを形成するようにしてもよい。
実施の形態2.
図6は本発明の実施の形態2に係るころ軸受用外輪の製造方法によって製造されたころ軸受用外輪を示す斜視図、図7は同ころ軸受用外輪を示す断面図である。
本発明の実施の形態1のころ軸受用外輪の製造方法は、まず1枚の鋼板をプレス加工して外輪を4分割した4つの弧状分割外輪素材2aを形成する。
次に、4枚の弧状分割外輪素材1aの両縁をそれぞれ折り曲げてフランジを形成する。
その後、各弧状分割外輪素材2aの接合される両端面部は、プレス或いは削り加工によってそれぞれの板厚を他の部位の板厚より薄く形成する。
しかる後に、弧状分割外輪素材2aの板厚を他の部位の板厚より薄く形成した接合される両端面部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分をレーザ溶接により接合し、図6、図7に示すような円環状のころ軸受用外輪2を形成する。
このように弧状分割外輪素材2aの接合される両端面部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、その端面部同士の突き合わせ部分をレーザ溶接により接合するようにしたのは、抵抗溶接などでは溶接ビードが避けがたく、溶接部の板厚を薄くしても、ビードにより溶接後の板厚が大きくなってしまうが、レーザ溶接ではビードが殆どでできないため、溶接部の板厚が薄いまま接合できるからである。
また、本発明のころ軸受用外輪の製造方法によって製造されたころ軸受用外輪を用いて
内輪部材と外輪部材との間に挿入される複数のころを有するラジアル形のころ軸受を形成した場合、ころがころ軸受用外輪2の弧状分割外輪素材2aの溶接部を通過する際に荷重が負荷されずに空過することにより、ころ軸受用外輪2の弧状分割外輪素材2aの溶接部が破損するおそれがなく、充分な強度を有するものである。なお、保持器に保持されるころとしては、針状ころ、円筒ころ等が使用される。
上記実施の形態2のころ軸受用外輪の製造方法によって製造されたころ軸受用外輪2は、4枚の弧状分割外輪素材2aをレーザ溶接により接合して円環状に形成されているが、これに限定されるものではなく、一枚の板を弧状に成形して外輪素材とし、周方向両端面を接合してもよく、2枚以上の適宜な数の弧状分割外輪素材2aを用いてレーザ溶接により接合して円環状に形成してもよいことは勿論である。
また、レーザ溶接に代えてTIG溶接等のビードの少ない各種溶接を用いてもよいことは勿論である。
さらに、1枚の鋼板10をプレス加工してレースを4分割した4つの弧状分割外輪素材2aを形成しているが、プレス加工に代えてレーザ、刃物による切断等各種の加工方法によって弧状分割外輪素材2aを形成してもよいことはいうまでもない。
本発明の実施の形態1のころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用レースを示す平面図。 同ころ軸受用レースの連結部分を示す断面図。 同ころ軸受用レースの鋼板から弧状分割レース片の材料取りを模式的に示す平面図。 同ころ軸受用レースの弧状分割レース片の断面図。 同ころ軸受用レースところとの関係を説明する断面図。 本発明の実施の形態2のころ軸受用外輪の製造方法によって製造されたころ軸受用外輪を示す斜視図。 同ころ軸受用外輪を示す断面図。
符号の説明
1 ころ軸受用レース、1a 弧状分割レース片、3 ころ、10 鋼板。

Claims (4)

  1. 鋼板を加工してレースを3分割以上に分割した弧状分割レース片を形成し、各弧状分割レース片の接合される両端部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、弧状分割レース片の接合される端部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接により接合して円環状のころ軸受用レースを形成することを特徴とするころ軸受用レースの製造方法。
  2. 請求項1記載のころ軸受用レースの製造方法によって製造されたころ軸受用レースを用いてスラスト形のころ軸受を形成したことを特徴とするころ軸受。
  3. 鋼板よりなる1つ又は複数の外輪素材の端面部同士を接合してなるころ軸受用外輪の製造方法であって、
    外輪素材の接合される両端面部の板厚を他の部位の板厚より薄く形成し、外輪素材の接合される端面部同士を突き合わせ、その突き合わせ部分を溶接により接合して円環状のころ軸受用外輪を形成することを特徴とするころ軸受用外輪の製造方法。
  4. 請求項3記載のころ軸受用外輪の製造方法によって製造されたころ軸受用外輪を用いてラジアル形のころ軸受を形成したことを特徴とするころ軸受。
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