JP7140968B2 - セラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで本発明の一態様は、発光効率が高いセラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の実施形態に係るセラミックス複合体は、平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウムと、空隙とを含み、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウムの合計量に対して希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が15質量%以上50質量%以下であり、空隙率が1%以上10%以下である。本明細書において、セラミックス複合体の空隙率は、後述するように、セラミックス複合体の真密度を100%とした場合に、セラミックス複合体の相対密度を減じた値をいう。セラミックス複合体は、空隙率が1%以上10%以下である場合、相対密度が90%以上99%以下である。本明細書において、空隙とは、セラミックス複合体に存在する空間をいう。本発明の第一の実施形態に係るセラミックス複合体は、セラミックス複合体に入射された光を波長変換する効率が高く、高い発光効率を有し、波長変換部材に用いることができる。
本明細書においてセラミックス複合体の相対密度とは、セラミックス複合体の真密度に対するセラミックス複合体の見掛け密度により算出される値をいう。相対密度は、下記式(1)により算出される。
本明細書において、セラミックス複合体の空隙率は、セラミックス複合体の真密度を100%とした場合に、セラミックス複合体の相対密度を減じた値をいう。具体的には下記式(4)により算出することができる。
セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体は、平均粒径が15μm以上40μm以下であり、好ましくは20μm以上38μm以下、より好ましくは21μm以上35μm以下である。セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径が15μm未満であると、セラミックス複合体に入射された光の波長変換効率が劣り、発光効率を高くすることが困難となる場合がある。また、セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径が15μm未満であると、平均粒径が小さくなることによって蛍光体とセラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムとが密に近接し、1%以上10%以下の空隙率を有するセラミックス複合体を得ることが困難となる。希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径が40μmを超えると、蛍光体の粒径が大きくなりすぎて、セラミックス複合体中に蛍光体を均等に配置することが困難となる場合がある。希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径は、フィッシャーサブシーブサイザーズ法(Fisher sub-sieve sizer、以下「FSSS法」ともいう。)により測定することができ、FSSS法により測定された平均粒径は、フィッシャーサブシーブサイザーズナンバー(Fisher sub-sieve sizer’s No.)ともいう。FSSS法は、空気透過法により、空気の流通抵抗を利用して比表面積を測定し、粒径を求める方法である。
(Ln1-aCea)3(AlcGab)5O12 (I)
式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素であり、a、b及びcは、0<a≦0.022、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。ただし、前記式(I)における変数a、b及びcは、分析値に基づくLnのモル比とCeのモル比の合計を3としたときの数である。本明細書において、モル比とは、蛍光体の化学組成1モル中の各元素のモル比を表す。
セラミックス複合体は、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウムを含む。セラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムは、原料となる酸化アルミニウム粒子の表面が溶融して、酸化アルミニウム粒子の粒界が走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で確認できる状態で、酸化アルミニウム粒子同士が融着され、セラミックス複合体の母材が構成される。
本発明の第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法は、平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径が0.2μm以上1.7μm以下であり、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である酸化アルミニウム粒子とを含む成形体を準備し、成形体を大気雰囲気中で焼成し、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることを含む。
粉体混合工程では、成形体を構成する粉体を混合し、混合粉体を得る。成形体を構成する混合粉体は、希土類アルミニウム酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウム粒子とを含む。粉体の混合は、乳鉢及び乳棒を用いて混合することができる。粉体の混合には、ボールミルなどの混合媒体を用いて混合してもよい。また、粉体の混合を行いやすくし、さらに混合後の混合粉体を成形しやすくするために、少量の水やエタノール等の成形助剤を用いてもよい。成形助剤は、後の焼成工程において揮発しやすいものであるものが好ましく、成形助剤を加える場合は、粉体100質量%に対して、成形助剤が10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
成形体準備工程では、希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウム粒子とを含む混合粉体を、所望の形状に成形し、成形体を得る。粉体の成形方法は、プレス成形法などの知られている方法を採用することができ、例えば金型プレス成形法、冷間等方圧加圧法(CIP:Cold Isostatic Pressing、以下、「CIP」ともいう。)などが挙げられる。成形方法は、成形体の形状を整えるために、2種の方法を採用してもよく、金型プレス成形をした後に、CIPを行ってもよい。CIPでは、水を媒体とする冷間静水等方加圧法により成形体をプレスすることが好ましい。
焼成工程は、大気雰囲気中で成形体を焼成し、セラミックス複合体を得る工程である。焼成工程において大気雰囲気中で成形体を焼成することにより、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることができる。大気雰囲気とは、酸素を含む雰囲気であり、雰囲気中の酸素の含有量は特に制限されない。雰囲気中の酸素の含有量が好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上であり、大気(酸素含有量が20体積%以上)雰囲気であってもよい。酸素の含有量が1体積%未満の酸素を含まない雰囲気であると、酸化アルミニウム粒子の表面が融着し難く、所定の空隙率を有するセラミックス複合体が得難くなる場合がある。
本発明の第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法は、得られたセラミックス複合体を、還元雰囲気でアニール処理し、アニール処理物を得るアニーリング工程を含むことが好ましい。セラミックス複合体を還元雰囲気でアニール処理することによって、大気雰囲気中で希土類アルミン酸塩蛍光体中の酸化された賦活元素が還元され、希土類アルミン酸塩蛍光体の波長変換効率の低下と発光効率の低下を抑制することができる。還元雰囲気は、へリウム、ネオン及びアルゴンからなる群から選ばれる少なくとも1種の希ガス又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含む雰囲気であればよく、雰囲気中に少なくともアルゴン又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含むことが好ましい。
粗面処理工程は、得られたセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物の表面を粗面処理する工程である。粗面処理工程は、セラミックス複合体を所望の大きさ若しくは厚さに切断して加工する加工工程の前に行ってもよく、加工工程後に行ってもよい。粗面処理するセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物は、光の入射面となる第1の主面と、第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面を有する板状体であることが好ましく、粗面処理は、第2の主面に施すことが好ましい。粗面処理する方法としては、例えば、サンドブラストによる方法、機械研削による方法、ダイシングによる方法、化学的エッチングによる方法等が挙げられる。セラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物の第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm以上15μm以下となり、線の算術平均粗さRaが0.1μm以上20μm以下となるように粗面処理されることが好ましい。
加工工程は、得られたセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物を、所望の大きさ又は厚さに切断加工する工程である。切断する方法は、公知の方法を利用することができ、例えば、ブレードダイシング、レーザーダイシング、ワイヤーソーを用いて切断する方法が挙げられる。これらのうち、切断面が高精度に平らになる点からワイヤーソーが好ましい。加工工程によって、所望の大きさ又は厚さのセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物を得ることができる。セラミックス複合体は光の入射面となる第1の主面と、第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面を有する板状体となるように切断加工することが好ましい。板状体のセラミックス複合体の板厚は、好ましくは90μm以上250μm以下であり、より好ましくは95μm以上200μm以下、さらに好ましくは100μm以上180μm以下である。セラミックス複合体が板状体であり、その板厚を90μm以上250μm以下の範囲に切断加工すると、加工しやすく、発光効率が高く取り扱い易いセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物を得ることができる。
本発明の第二の実施形態に係るプロジェクター用光源は、本発明の第一の実施形態に係るセラミックス複合体又は第三の実施形態に係る製造方法によって得られたセラミックス複合体と励起光源とを備える。プロジェクターの励起光源は、半導体レーザーであることが好ましい。プロジェクターは、励起光源である半導体レーザーから出射された励起光を、波長変換部材として用いるセラミックス複合体に入射させ、セラミックス複合体によって波長が変換された光と励起光源からの光の混色光を、レンズアレイ、偏向変換素子、色分離光学系などの複数の光学系によって赤色光、緑色光、及び青色光に分離して、画像情報に応じて変調し、カラーの画像光を形成する。励起光源である半導体レーザーから出射された励起光は、ダイクロミックミラー又はコリメート光学系等の光学系を通じてセラミックス複合体に入射させてもよい。
発光装置は、第一の実施形態に係るセラミックス複合体又は第三の実施形態に係る製造方法によって得られたセラミックス複合体と、LEDチップからなる発光素子を含むことが好ましい。波長変換部材として用いるセラミックス複合体は、発光素子と組み合わせることによって、発光素子から発せられた光を変換し、発光素子からの光とセラミックス複合体で波長変換された混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。発光素子は、例えば、350nm以上500nm以下の波長範囲の光を発する発光素子を用いることができる。発光素子には、例えば、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた半導体発光素子を用いることができる。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ガリウム(Ga2O3)を実施例及び比較例の組成比となるように、それぞれ計量して原料混合物とし、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF2)を添加し、原料混合物及びフラックスをボールミルで混合した。この混合物をアルミナルツボに入れ、還元性雰囲気下、1400℃から1600℃の範囲で10時間焼成して焼成物を得た。得られた焼成物を、純水中に分散させ、ふるいを介して種々の振動を加えながら溶媒流を流して、湿式ふるいを通過させ、次いで脱水、乾燥し、乾式ふるいを通過させて分級し、(Y0.99Ce0.01)3(Al0.98Ga0.01)5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を準備した。蛍光体の組成及び平均粒径は、以下の方法によって測定した。
後述するFSSS法により測定した平均粒径0.5μm又は平均粒径1.1μmの酸化アルミニウム粒子(酸化アルミニウムの純度99.9質量%、α型)を用いた。酸化アルミニウム粒子の平均粒径は以下のFSSS法により測定し、酸化アルミニウム粒子の純度は、後述する方法によって測定した。
各実施例及び比較例で用いた希土類アルミン酸塩蛍光体及び酸化アルミニウム粒子について、FSSS法による平均粒径を測定した。具体的には、Fisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、気温25℃、湿度70%RHの環境下において、1cm3分の試料(蛍光体、酸化アルミニウム粒子)をそれぞれ計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取り、FSSS法による平均粒径を算出した。結果を表1に示す。
得られた蛍光体について、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分析装置)(Perkin Elmer(パーキンエルマー)社製)により、希土類アルミン酸塩蛍光体を構成する酸素を除く各元素(Y、Gd、Ce、Al、Ga)の質量百分率(質量%)を測定し、各元素の質量百分率の値から、蛍光体の化学組成1モル中の各元素のモル比を算出した。Al、Gaのモル比は、測定された分析値に基づくYのモル比とCeのモル比の合計を3とし、このYとCeの合計のモル比3を基準として算出した値である。
酸化アルミニウム粒子の質量を測定した後、酸化アルミニウム粒子を800℃で1時間、大気雰囲気で焼成し、酸化アルミニウム粒子に付着している有機物や酸化アルミニウム粒子が吸湿している水分を除去した。焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を測定し、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を焼成前の酸化アルミニウム粒子の質量で除すことによって、酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度を上述した式(5)により算出した。
平均粒径33μm、(Y0.99Ce0.01)3(Al1.00Ga0.01)5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いた。この希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径0.5μmの酸化アルミニウム粒子とを、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子との合計量に対する酸化アルミニウム粒子の配合割合(質量%)が表1に示す値となるように秤量し、乾式ボールミルで混合し、成形体用の混合粉体を準備した。混合粉体から混合媒体に用いたボールを除いた後、混合粉体を金型に充填し、10MPa(102kgf/cm2)の圧力で直径65mm、厚さ15mmの円筒形状の成形体を形成した。得られた成形体を包装容器に入れて真空包装し、冷間静水等方圧加圧装置(KOBELCO社製)により176MPaでCIP処理を行った。得られた成形体を焼成炉(丸祥電器社製)、大気雰囲気(酸素濃度:約20体積%)で、1700℃の温度で6時間保持して、焼成を行い、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体をワイヤーソーで板厚を230μmで切断し、得られたサンプルの表面を平面研削機で、板厚110μmに研磨して、波長変換部材に用いるセラミックス複合体のサンプルを得た。各実施例及び比較例において、セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウムの質量割合は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量を100質量%とした場合に、混合粉体中の希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の配合割合と同じである。
平均粒径が27μm、(Y0.99Ce0.01)3(Al0.99Ga0.01)5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
平均粒径が22μm、(Y0.99Ce0.01)3(Al0.98Ga0.01)5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いて、焼成温度を1600℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
焼成温度を1650℃にしたこと以外は、実施例3と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例3と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
焼成温度を1700℃にしたこと以外は、実施例3と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例3と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
平均粒径が22μm、(Y0.99Ce0.01)3(Al0.98Ga0.01)5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径が1.1μmの酸化アルミニウム粒子を用いて、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子との合計量に対する酸化アルミニウム粒子の配合割合(質量%)が表1に示す値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
平均粒径が0.5μmの酸化アルミニウム粒子を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例6と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例7と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を、HIP装置(KOBELCO社製)を用いて、圧力媒体に窒素ガスを含む不活性雰囲気(窒素:99体積%以上)のもとで、1750℃、196MPa、2時間、HIP処理により二次焼成を行い、HIP処理したセラミックス複合体を得て、このHIP処理したセラミックス複合体を切断し、実施例7と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
焼成温度を1450℃としたこと以外は、実施例3と同様にして、セラミックス複合体を得て、このセラミックス複合体を切断し、実施例3と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例5と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例5と同じ大きさのサンプルを得た後、このサンプルの光の入射面となる第1の主面と、出射面となる第2の主面とを、平面研削盤により、低粗さの砥石を使用して、粗面研削を行い、板厚110μmのセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例5と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例5と同じ大きさのサンプルを得た後、このサンプルの光の出射面となる第2の主面を、平面研削盤により、低粗さの砥石を使用して、粗面研削を行い、板厚110μmのセラミックス複合体のサンプルを得た。
平均粒径5μm、(Y0.99Ce0.01)3Al5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を、HIP装置(KOBELCO社製)を用いて、圧力媒体に窒素ガスを含む不活性雰囲気(窒素:99体積%以上)のもとで、1750℃、196MPa、2時間、HIP処理を行い、このHIP処理したセラミックス複合体を切断、研磨し、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
平均粒径22μm、(Y0.99Ce0.01)3(Al0.98Ga0.01)5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を比較例1と同様にしてHIP処理を行い、HIP処理したセラミックス複合体を切断、研磨し、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
平均粒径22μm、(Y0.99Ce0.01)3(Al0.98Ga0.01)5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を、比較例1と同様にしてHIP処理を行い、HIP処理したセラミックス複合体を切断、研磨し、実施例1と同じ大きさで、板厚が200μmのセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例及び比較例の各セラミックス複合体の相対密度を測定した。結果を表1に示す。実施例及び比較例の各セラミックス複合体の相対密度は上述した式(1)により算出した。
各実施例及び比較例のセラミックス複合体の真密度を100%として、各セラミックス複合体の真密度から各セラミックス複合体の相対密度を減じた値を空隙率(%)とした。具体的にセラミックス複合体の空隙率は、上述した式(4)より算出した。
各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルに対して、レーザーダイオードから波長が455nmのレーザー光を入射光の光径が3.5mmとなるようにして照射してサンプルに入射し、サンプルから出射された光の放射束を、積分球で測定した。比較例2の放射束を100%とし、比較例2の放射束に対する各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルを測定した放射束の相対放射束を発光効率(%)とした。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルに対して、レーザーダイオードから波長が455nmのレーザー光を入射光の光径が3.5mmとなるように照射し、レーザー光の光径をサンプルの第1の主面に入射される入射光の光径とした。セラミックス複合体の第2の主面から出射された出射光の光径は、各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルから出射された光の発光輝度を色彩輝度計で測定し、得られた発光スペクトルにおいて最大輝度を示す位置を中心(測定中心)とし、発光スペクトルにおいて最大輝度の100分の1となる輝度(1/100輝度)となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)を絶対値として測定し、最大輝度から最大輝度の1/100輝度となる測定中心から2か所の位置の距離(mm)の絶対値の和を第2の主面から出射された出射光の光径として測定した。第1の主面に入射される入射光に対する第2の主面から出射された出射光の光径の光径比を求めた。結果を表1及び図2に示す。
実施例5、10及び11の各実施例のセラミックス複合体のサンプルの第2の主面及び第1の主面における面の算術平均粗さSaと、前記各サンプルの第2の主面及び第1の主面における線の算術平均粗さRaを測定した。面の算術平均粗さSaは、ISO25178に準拠して、粗さ形状測定機(商品名:VS1550、HITACHI社製)を用いて測定した。また、線の算術平均粗さRaは、ISO1997に準拠して、粗さ形状測定器(商品名:SJ-210、Mitutoyo社製)を用いて測定した。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例5のセラミックス複合体及び比較例2のセラミックス複合体の断面のSEM写真を得た。図3は、実施例5のセラミックス複合体の断面のSEM写真である。図4は、比較例2のセラミックス複合体の断面のSEM写真である。
Claims (14)
- 平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウムと、空隙とを含み、前記希土類アルミン酸塩蛍光体と前記酸化アルミニウムの合計量に対して前記希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が15質量%以上50質量%以下であり、空隙率が1%以上10%以下であり、
光の入射面となる第1の主面と、前記第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面とを有する板状体であり、前記板状体の板厚が90μm以上250μm以下である、セラミックス複合体。 - 前記第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm以上15μm以下である、請求項1に記載のセラミックス複合体。
- 前記第2の主面における線の算術平均粗さRaが0.1μm以上20μm以下である、請求項1又は2に記載のセラミックス複合体。
- 前記希土類アルミン酸塩蛍光体が下記式(I)で表される組成を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のセラミックス複合体。
(Ln1-aCea)3(AlcGab)5O12 (I)
(式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbのうちから選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.022、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。) - 前記第1の主面に入射される入射光の光径に対する前記第2の主面から出射された出射光の光径の比が0.4以上0.9以下の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載のセラミックス複合体。
- 前記空隙の最大孔径が1μm以上15μm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のセラミックス複合体。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載のセラミックス複合体と、励起光源とを備えた、プロジェクター用光源。
- 前記励起光源が半導体レーザーである、請求項7に記載のプロジェクター用光源。
- 平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径が0.2μm以上1.7μm以下の範囲であり、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である酸化アルミニウム粒子と、を含む混合粉体を、金型プレス成形法及び/又は冷間等方圧加圧法(CIP)により成形して成形体を準備することと、
前記成形体を酸素の含有量が5体積%以上の大気雰囲気で焼成し、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることと、
前記セラミックス複合体を、光の入射面となる第1の主面と、前記第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面とを有する板状体に切断加工すること を含み、
前記焼成の温度が1500℃以上1800℃以下の範囲であり、
金型プレス成形時の圧力が5MPaから50MPaであり、CIPによる圧力が50MPaから200MPaであり、前記板状体の板厚が90μm以上250μm以下である、セラミックス複合体の製造方法。 - 前記焼成の温度が1600℃以上1780℃以下の範囲である、請求項9に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記セラミックス複合体を還元雰囲気でアニール処理し、アニール処理物を得ることを含む、請求項9又は10に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記アニール処理の温度が、前記焼成の温度よりも低い温度であり、1000℃以上1600℃以下の範囲である、請求項11に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記成形体中の前記希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が、前記希土類アルミン酸塩蛍光体と前記酸化アルミニウム粒子との合計量に対して、15質量%以上50質量%以下である、請求項9から12のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記希土類アルミン酸塩蛍光体が下記式(I)で表される組成を有する請求項9から13のいずれか一項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
(Ln1-aCea)3(AlcGab)5O12 (I)
(式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbのうちから選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.022、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。)
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