JP7140968B2 - セラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法 - Google Patents

セラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下「LED」ともいう。)やレーザーダイオード(Laser Diode、以下「LD」ともいう。)から発せられた光の波長を変換するセラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法に関する。
LEDやLD発光素子から発せられた光の波長を変換する蛍光体を含むセラミックス複合体が波長変換部材として、例えば車載用、一般照明用、液晶表示装置のバックライト、プロジェクター等に用いられている。
発光素子からの光を変換する蛍光体として、例えばイットリウム又はルテチウム等の希土類を含む希土類アルミン酸塩蛍光体が挙げられる。これらの蛍光体を含む波長変換部材として、例えば、特許文献1には、無機材料粉末と無機蛍光体粉末とを混合し、無機材料粉末を溶融させ固化させた焼結体が開示されている。
特開2014-234487号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている焼結体は、発光効率が十分ではない。
そこで本発明の一態様は、発光効率が高いセラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りであり、本発明は、以下の態様を包含する。
本発明の第一の態様は、平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である酸化アルミニウムと、空隙とを含み、前記希土類アルミン酸塩蛍光体と前記酸化アルミニウムの合計量に対して前記希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が15質量%以上50質量%以下であり、空隙率が1%以上10%以下である、セラミックス複合体である。
本発明の第二の態様は、前記セラミックス複合体と、励起光源とを備えた、プロジェクター用光源である。
本発明の第三の態様は、平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径が0.2μm以上1.7μm以下の範囲であり、酸化アルミニウムの純度が99.0%質量%以上である酸化アルミニウム粒子とを含む成形体を準備し、前記成形体を大気雰囲気で焼成し、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることを含む、セラミックス複合体の製造方法である。
本発明の一実施形態によれば、発光効率が高いセラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法を提供することができる。
図1は、本開示の第三の実施形態のセラミックス複合体の製造方法の工程順序を示すフローチャートである。 図2は、実施例5に係るセラミックス複合体と比較例3に係るセラミックス複合体から発光ピーク波長が455nmである窒化物半導体からなるLDチップを用いて測定した各サンプルの最大輝度を100とした時の、最大輝度からの距離の関係を示す発光スペクトルである。 図3は、実施例5に係るセラミックス複合体の断面SEM写真である。 図4は、比較例2に係るセラミックス複合体の断面SEM写真である。
以下、本発明に係るセラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法を実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下のセラミックス複合体、プロジェクター用光源及びセラミックス複合体の製造方法に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
セラミックス複合体
本発明の第一の実施形態に係るセラミックス複合体は、平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウムと、空隙とを含み、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウムの合計量に対して希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が15質量%以上50質量%以下であり、空隙率が1%以上10%以下である。本明細書において、セラミックス複合体の空隙率は、後述するように、セラミックス複合体の真密度を100%とした場合に、セラミックス複合体の相対密度を減じた値をいう。セラミックス複合体は、空隙率が1%以上10%以下である場合、相対密度が90%以上99%以下である。本明細書において、空隙とは、セラミックス複合体に存在する空間をいう。本発明の第一の実施形態に係るセラミックス複合体は、セラミックス複合体に入射された光を波長変換する効率が高く、高い発光効率を有し、波長変換部材に用いることができる。
セラミックス複合体は、酸化アルミニウムからなるマトリックス中に、このマトリックス(以下、「母材」ともいう。)を構成する酸化アルミニウムとは粒界によって区別される希土類アルミン酸塩蛍光体が存在する。セラミックス複合体は、酸化アルミニウムと希土類アルミン酸塩蛍光体が一体となって構成される。セラミックス複合体は、平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、純度が99.0質量%以上と高い酸化アルミニウムとを含むため、比較的大きな平均粒径を有する希土類アルミン酸塩蛍光体によって、セラミックス複合体に入射された光を波長変換する効率が高くなり、発光効率を高くすることができる。
セラミックス複合体は、空隙率が1%以上10%以下である。セラミックス複合体の空隙率が1%以上10%以下であると、セラミックス複合体に入射された光及び蛍光体で波長変換された光を、セラミックス複合体に含まれる空隙で乱反射させて散乱させることができるため、発光効率を高めることができる。セラミックス複合体の空隙率は、好ましくは2%以上9%以下であり、より好ましくは、3%以上8%以下である。
セラミックス複合体は、相対密度が90%以上99%以下であり、好ましくは91%以上98%以下であり、より好ましくは92%以上97%以下である。セラミックス複合体の相対密度が90%以上であると、空隙率が10%以下であるため、入射された光が波長変換されずに透過してしまう割合が少なくなり、入射された光を波長変換する効率を高くすることができる。また、セラミックス複合体の相対密度が90%以上と高いため、酸化アルミニウムの透過率が高くなり、発光効率が高く、所望の混色光を得ることができる。セラミックス複合体の相対密度が99%以下であると、空隙率が1%以上であるため、セラミックス複合体に含まれる空隙によって、セラミックス複合体に入射された光を乱反射させて光散乱させることができ、発光効率を向上することができる。
セラミックス複合体の相対密度
本明細書においてセラミックス複合体の相対密度とは、セラミックス複合体の真密度に対するセラミックス複合体の見掛け密度により算出される値をいう。相対密度は、下記式(1)により算出される。
Figure 0007140968000001
セラミックス複合体の真密度は、セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体の質量割合(質量%)をPとし、希土類アルミン酸塩蛍光体の密度(g/cm)をPとし、セラミックス複合体に含まれる酸化アルミニウムの質量割合(質量%)をAとし、酸化アルミニウムの密度(g/cm)をAとしたとき、下記式(2)により算出される。
Figure 0007140968000002
セラミックス複合体の見掛け密度は、セラミックス複合体の質量(g)をアルキメデス法によって求められるセラミックス複合体の体積(cm)で除した値をいう。セラミックス複合体の見掛け密度は、下記式(3)により算出される。
Figure 0007140968000003
セラミックス複合体の空隙率
本明細書において、セラミックス複合体の空隙率は、セラミックス複合体の真密度を100%とした場合に、セラミックス複合体の相対密度を減じた値をいう。具体的には下記式(4)により算出することができる。
Figure 0007140968000004
セラミックス複合体中に含まれる空隙の大きさは、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)でセラミックス複合体の断面を観察した際に測定される空隙の最大孔径が1μm以上15μm以下であることが好ましい。セラミックス複合体に含まれる空隙の最大孔径が1μm以上15μm以下であると、入射光をそのまま透過させることなく、セラミックス複合体に含まれる空隙で光を乱反射させて散乱させることができ、発光効率を向上させることができる。セラミックス複合体に含まれる空隙の最大孔径は、より好ましくは1μm以上10μm以下である。
セラミックス複合体は、光の入射面となる第1の主面と第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面とを有する板状体であり、板状体の板厚が90μm以上250μm以下であることが好ましい。板状体であるセラミックス複合体の板厚は、より好ましくは95μm以上200μm以下、さらに好ましくは100μm以上180μm以下である。セラミックス複合体が板状体であり、その板厚が90μm以上250μm以下であると、セラミックス複合体に入射された光を効率よく波長変換し、発光効率を高めることができる。また、板厚が90μm以上250μm以下である板状体のセラミックス複合体は、セラミックス複合体に含まれる空隙によって入射された光及び波長変換された光を乱反射させて散乱させ、発光効率を高くすることができる。
セラミックス複合体は、光の出射面となる第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm以上15μm以下であることが好ましい。セラミックス複合体の第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm以上15μm以下であると、第2の主面が比較的粗面であることを表す。セラミックス複合体の第2の主面が比較的粗面であると、セラミックス複合体から出射された光が、平面に対して角度のある粗面で多重反射されて、出射面に対してより垂直方向に近く真っすぐな経路の光を出射することができ、出射された光を目的の位置へ集光することができる。セラミックス複合体は、第2の主面における面の算術平均粗さSaが、より好ましくは0.06μm以上12μm以下であり、さらに好ましくは0.07μm以上10μm以下であり、よりさらに好ましくは0.08μm以上5μm以下である。セラミックス複合体の出射面となる第2の主面において、例えば面の算術平均粗さSaが0.05μm未満であると第2の主面がより平らな状態であることを表す。セラミックス複合体の第2の主面がより平らな状態であると、セラミックス複合体から出射された光が出射面で多重反射せずに散乱してしまうため、セラミックス複合体から出射された光を集光することが困難となる場合がある。面の算術平均粗さSaは、線の算術平均粗さRaを拡張したパラメータである。セラミックス複合体の第2の主面又は第1の主面における面の算術平均粗さSaは、ISO25178に準拠して、粗さ形状測定機(商品名:VS1550、HITACHI社製)にて測定することができる。
セラミックス複合体は、光の出射面となる第2の主面における線の算術平均粗さRaが0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。セラミックス複合体の第2の主面における線の算術平均粗さRaが0.1μm以上20μm以下であると、第2の主面が比較的粗面であることを表し、第2の主面から出射された光が平面に対して角度のある粗面で多重反射されて、出射面に対してより垂直方向に近く真っすぐな経路の光を出射することができ、目的の位置へ集光することができる。セラミックス複合体は、第2の主面における線の算術平均粗さRaが、より好ましくは0.5μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以上12μm以下であり、よりさらに好ましくは1.0μm以上10μm以下である。セラミックス複合体の出射面となる第2の主面において、例えば線の算術平均粗さRaが0.1μm未満であると、第2の主面がより平らな状態であることを表し、第2の主面から出射された光が出射面で多重反射せずに散乱してしまうため、光を集光することが困難となる場合がある。セラミックス複合体の第2の主面又は第1の主面における線の算術平均粗さRaは、ISO1997に準拠して、粗さ形状測定器(商品名:SJ-210、Mitutoyo社製)により測定することができる。
セラミックス複合体は、光の入射し易さを考慮して、光の入射面となる第1の主面における面の算術平均粗さSaが0.0005μm以上10μm以下であることが好ましい。セラミックス複合体は、光の入射しやすさを考慮して、第1の主面における線の算術平均粗さRaが0.001μm以上15μm以下であることが好ましい。セラミックス複合体は、光の入射面となる第1の主面における面の算術平均粗さSa及び線の算術平均粗さRaと、光の出射面となる第2の主面における面の算術平均粗さSa及び線の算術平均粗さRaとは、それぞれ異なることが好ましい。第2の主面における面の算術平均粗さSaは、第1の主面における面の算術平均粗さSaよりも大きいことが好ましい。第2の主面における線の算術平均粗さRaは、第1の主面における線の算術平均粗さRaよりも大きいことが好ましい。
セラミックス複合体は、第1の主面に入射される入射光の光径に対する第2の主面から出射された出射光の光径の比(出射光の光径/入射光の光径)が0.40以上0.90以下であることが好ましく、より好ましくは0.45以上0.85以下、さらに好ましくは0.50以上0.80以下、よりさらに好ましくは0.55以上0.75以下、特に好ましくは0.60以上0.70以下である。セラミックス複合体の第1の主面に入射される入射光の光径に対する第2主面から出射された出射光の光径の比(以下、「光径比(出射光/入射光)」と称する場合もある。)が、0.40以上0.90以下であると、セラミックス複合体から出射した光の拡散が抑制され、セラミックス複合体から出射された光を目的の位置に集光することができる。セラミックス複合体の第1の主面に入射される入射光の光径は、光源から出射された光の光径である。セラミックス複合体の第1の主面に入射される入射光の光径は、例えば色彩輝度計によって測定することができる。入射光の光径は、好ましくは1mm以上5mm以下であり、より好ましくは2mm以上4mm以下である。セラミックス複合体の第2の主面から出射された出射光の光径は、セラミックス複合体から出射される光の発光輝度を、色彩輝度計によって測定し、得られた発光スペクトルにおいて最大輝度を示す位置を中心(測定中心)とし、発光スペクトルにおいて最大輝度の100分の1となる輝度(以下、「1/100輝度」と称する場合がある。)となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)を絶対値として測定し、発光スペクトルにおける最大輝度から最大輝度の1/100輝度となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)の絶対値の和を第2の主面から出射された出射光の光径として測定した。
波長変換部材は、セラミックス複合体の他に、セラミックス複合体を保護するための透光体を含んでいてもよく、セラミックス複合体と透光体を接着するための接着層を含んでいてもよい。
希土類アルミン酸塩蛍光体
セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体は、平均粒径が15μm以上40μm以下であり、好ましくは20μm以上38μm以下、より好ましくは21μm以上35μm以下である。セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径が15μm未満であると、セラミックス複合体に入射された光の波長変換効率が劣り、発光効率を高くすることが困難となる場合がある。また、セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径が15μm未満であると、平均粒径が小さくなることによって蛍光体とセラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムとが密に近接し、1%以上10%以下の空隙率を有するセラミックス複合体を得ることが困難となる。希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径が40μmを超えると、蛍光体の粒径が大きくなりすぎて、セラミックス複合体中に蛍光体を均等に配置することが困難となる場合がある。希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径は、フィッシャーサブシーブサイザーズ法(Fisher sub-sieve sizer、以下「FSSS法」ともいう。)により測定することができ、FSSS法により測定された平均粒径は、フィッシャーサブシーブサイザーズナンバー(Fisher sub-sieve sizer’s No.)ともいう。FSSS法は、空気透過法により、空気の流通抵抗を利用して比表面積を測定し、粒径を求める方法である。
セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量は、15質量%以上50質量%以下であり、好ましくは20質量%以上50質量%以下、より好ましくは22質量%以上48質量%以下、さらに好ましくは23質量%以上45質量%以下である。セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が15質量%未満であると、蛍光体の量が少なく、セラミックス複合体の波長変換する効率が低下し、発光効率が低下する場合がある。セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が50質量%を超えると、相対的に酸化アルミニウムの量が少なくなり、1%以上10%以下の空隙率を有するセラミックス複合体を得ることが困難となり、得られたセラミックス複合体の発光効率が低下する場合がある。また、セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が50質量%を超えると、相対的にセラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムの量が少なくなるため、セラミックス複合体の強度が低下する場合がある。セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の質量割合(質量%)は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量を100質量%とした場合に、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子とを混合した混合粉体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の配合割合(質量%)と同じである。
希土類アルミン酸塩蛍光体は、下記式(I)で表される組成を含むことが好ましい。
(Ln1-aCe(AlGa12 (I)
式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素であり、a、b及びcは、0<a≦0.022、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。ただし、前記式(I)における変数a、b及びcは、分析値に基づくLnのモル比とCeのモル比の合計を3としたときの数である。本明細書において、モル比とは、蛍光体の化学組成1モル中の各元素のモル比を表す。
前記式(I)で表される組成において、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素であり、2種以上の希土類元素が含まれていてもよい。Ceは、蛍光体の賦活元素であり、変数aと3の積は、前記式(I)で表される組成において、Ceのモル比を表す。変数aは、より好ましくは0.00005以上0.021以下(0.005×10-2≦a≦0.021)、さらに好ましくは0.0001以上0.020以下(0.01×10-2≦a≦0.020)である。前記式(I)で表される組成において、変数bと5の積は、Gaのモル比を表す。前記式(I)で表される組成において、所望の色調に波長変換するために、変数bは、0.00001以上0.35以下(0.001×10-2≦b≦0.35)であってもよく、0.00005以上0.30以下(0.005×10-2≦b≦0.30)であってもよい。前記式(I)で表される組成において、変数cと5の積は、Alのモル比を表す。変数cは、好ましくは0を超えて1.1以下(0<c≦1.1)であり、より好ましくは0.5以上1.0以下(0.5≦c≦1.0)である。変数bと変数cの合計は、所望の色調に波長変換するために、好ましくは0.9以上1.1以下(0.9≦b+c≦1.1)であり、より好ましくは0.95以上1.0以下(0.95≦b+c≦1.0)である。
酸化アルミニウム
セラミックス複合体は、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウムを含む。セラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムは、原料となる酸化アルミニウム粒子の表面が溶融して、酸化アルミニウム粒子の粒界が走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で確認できる状態で、酸化アルミニウム粒子同士が融着され、セラミックス複合体の母材が構成される。
セラミックス複合体に含まれる酸化アルミニウムは、酸化アルミニウムの純度99.0質量%以上であり、好ましくは酸化アルミニウムの純度が99.5質量%以上である。セラミックス複合体が、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である酸化アルミニウムによってセラミックス複合体の母材が構成されると、母材の透明度が高く、入射光が母材である酸化アルミニウムを透過して、希土類アルミン酸塩蛍光体で光を波長変換する効率が高くなり、発光効率を高くすることができる。また、セラミックス複合体は、熱伝導率が高い酸化アルミニウムによって母材が構成されるため、セラミックス複合体の熱伝導率が良好となる。例えば光源としてLEDやLDの発光素子を用いた場合に、セラミックス複合体を波長変換部材として用いると、発光素子から入射された光によって上昇する熱を効率よく放出して、セラミックス複合体に含まれる蛍光体の劣化や発光効率の低下を抑制することができる。特に光源としてLDを用いた場合、LDから出射される光の光密度が非常に高いため、LDから出射された光が入射したセラミックス複合体の温度が上昇し、温度によりセラミックス複合体に含まれる蛍光体が劣化しやすい。酸化アルミニウムを母材としたセラミックス複合体は、熱伝導率が高いため、LDから光が入射されても効率よく放熱することができ、温度の上昇による蛍光体の劣化を抑制することができる。セラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムの純度が99.0質量%未満であると、母材の光の透過率が低下し、セラミックス複合体の発光効率が低下する場合がある。
酸化アルミニウムの純度は、セラミックス複合体の原料となる酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度を、後述する方法によって測定することができる。また、セラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムを取り出し、酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度を測定する方法と同一の方法によって測定することが可能である。
セラミックス複合体中の酸化アルミニウムの含有量は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウムの合計量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上85質量%以下、より好ましくは50質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは52質量%以上78質量%以下、よりさらに好ましくは55質量%以上77質量%以下である。セラミックス複合体中の酸化アルミニウムの含有量が50質量%未満であると、1%以上10%以下の空隙率を有するセラミックス複合体を得ることが困難となり、セラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムの量が少なくなるため、セラミックス複合体の強度が低下する。セラミックス複合体中の酸化アルミニウムの含有量が85質量%を超えると、相対的に希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が少なくなり、セラミックス複合体の発光効率が低下する場合がある。セラミックス複合体中の酸化アルミニウムの含有量(質量%)は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量を100質量%とした場合に、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子とを混合した混合粉体中の酸化アルミニウム粒子の配合割合(質量%)と同じである。
セラミックス複合体の製造方法
本発明の第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法は、平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径が0.2μm以上1.7μm以下であり、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である酸化アルミニウム粒子とを含む成形体を準備し、成形体を大気雰囲気中で焼成し、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることを含む。
本発明の第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法において、成形体中に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体は、セラミックス複合体に含有される希土類アルミン酸塩蛍光体と同様のものを用いることができる。第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法において、成形体中に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体は、前記式(I)で表される組成を含むことが好ましい。
また、本発明の第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法において、成形体に含まれる酸化アルミニウム粒子は、セラミックス複合体に含有される酸化アルミニウムと同様の純度のものを用いることができる。酸化アルミニウム粒子の平均粒径は0.2μm以上1.7μm以下であり、好ましくは0.3μm以上1.6μm以下、より好ましくは0.4μm以上1.5μm以下である。酸化アルミニウム粒子の平均粒径が0.2μm以上1.7μm以下であると、希土類アルミン酸塩蛍光体の粉体と酸化アルミニウム粒子を均一に混合することができる。希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子を均一に混合することができると、後の焼成工程において、酸化アルミニウム粒子は、その表面から溶融し、粒子同士の表面が融着されて、全体の密度が均一となり、空隙率が1%以上10%以下となる空隙が均一に形成されたセラミックス複合体のマトリックスが構成される。酸化アルミニウム粒子の平均粒径が0.2μm未満であると、焼成時に小粒径の酸化アルミニウム粒子同士が密に融着され、混合が不均一となる恐れがあり、1%以上10%以下の空隙率を有するセラミックス複合体を形成することが困難となる。また、酸化アルミニウム粒子の平均粒径が1.7μmを超えると粒径が大きくなりすぎて、空隙率が10%を超える多くの空隙がセラミックス複合体中に含まれ、セラミックス複合体の発光効率が低下する場合がある。本明細書において、酸化アルミニウム粒子の平均粒径は、FSSS法により測定された平均粒径をいう。
酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度は、市販の酸化アルミニウム粒子を用いる場合には、カタログに記載された酸化アルミニウムの純度の値を参照することができる。酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウム純度が不明である場合には、酸化アルミニウム粒子の質量を測定した後、酸化アルミニウム粒子を800℃で1時間、大気雰囲気で焼成し、酸化アルミニウム粒子に付着している有機物や酸化アルミニウム粒子が吸湿している水分を除去する。次いで、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を測定し、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を焼成前の酸化アルミニウム粒子の質量で除すことによって、酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度を測定することができる。酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度は、例えば、以下の式(5)によって算出することができる。
Figure 0007140968000005
成形体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量に対して、好ましくは15質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは22質量%以上48質量%以下、特に好ましくは23質量%以上45質量%以下である。成形体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が15質量%以上50質量%であると、光の波長変換効率が高く、発光効率の高いセラミックス複合体を得ることができる。成形体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量(質量%)は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量を100質量%とした場合に、成形体を構成する前の希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子とを混合した混合粉体中の希土類アルミン酸塩蛍光体の配合割合(質量%)と同じである。
成形体中の酸化アルミニウム粒子の含有量は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上85質量%以下、より好ましくは50質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは52質量%以上78質量%以下、よりさらに好ましくは55質量%以上77質量%以下である。成形体中の酸化アルミニウム粒子の含有量が50質量%以上85質量%以下であると、強度が高く、熱伝導率が良好な、1%以上10%以下の空隙率を有するセラミックス複合体を得ることができる。成形体中の酸化アルミニウムの含有量が50質量%未満であると、1%以上10%以下の空隙率を有するセラミックス複合体を形成しにくくなり、得られるセラミックス複合体の母材を構成する酸化アルミニウムの量が少なくなるため、得られるセラミックス複合体の強度が低下する場合がある。成形体中の酸化アルミニウム粒子の含有量が85質量%を超えると、相対的に希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が少なくなり、得られるセラミックス複合体の発光効率が低下する場合がある。成形体中の酸化アルミニウム粒子の含有量(質量%)は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量を100質量%とした場合に、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子とを混合した混合粉体中の酸化アルミニウム粒子の配合割合(質量%)と同じである。
成形体を構成する粉体は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウム粒子の他に、蛍光体の光の波長変換の効率を低下させず、入射光を透過させる粉体を含んでいてもよい。成形体を構成する希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子以外の粉体は、比較的高い熱伝導率を有する物質の粉体であることが好ましい。成形体に比較的高い熱伝導率を有する物質の粉体を加えることにより、蛍光体に加わる熱をセラミックス複合体の外部に放出させやすくなり、波長変換部材として用いたセラミックス複合体の放熱性を向上させることができる。入射光を透過させ、比較的熱伝導率の高い物質からなる粉体としては、MgO、LiF、Nb、NiO、SiO、TiO及びYからなる群から選択される少なくとも1種の粉体が挙げられる。入射光を透過させる粉体としては、MgO、LiF、SiO、TiO及びYからなる群から選ばれる2種以上の粉体を用いてもよい。
成形体を構成する粉体中に、希土類アルミン酸塩蛍光体及び酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウム粒子以外の粉体(以下、「他の粉体」ともいう。)を含む場合には、その他の粉体と酸化アルミニウム粒子の合計量が、成形体を構成する粉体100質量%中、好ましくは50質量%以上85質量%以下、より好ましくは50質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは52質量%以上78質量%以下、特に好ましくは55質量%以上77質量%以下である。酸化アルミニウム粒子とその他の粉体の質量基準の配合比率(酸化アルミニウム粒子:酸化アルミニウム粒子以外の粉体)は、好ましくは1:99から99:1、より好ましくは10:90から90:10である。
図1は、本発明の第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法の工程順序の一例を示すフローチャートである。図1を参照にしてセラミックス複合体の製造方法の工程を説明する。セラミックス複合体の製造方法は、成形体準備工程S102と、大気雰囲気で焼成する焼成工程S103を含む。セラミックス複合体の製造方法は、成形体準備工程S102の前に、粉体混合工程S101を含んでいてもよく、焼成工程S103の後に、得られたセラミックス複合体を焼成温度以下の温度で熱処理するアニーリング工程S104を含んでいてもよい。また、セラミックス複合体の製造方法は、アニーリング工程S104の後に、セラミックス複合体の表面を粗面処理する粗面処理工程S105を含んでいてもよく、所望の大きさ又は厚さに切断する加工工程S106を含んでいてもよい。粗面処理工程S105と加工工程S106の順序は、粗面処理工程S105の後に加工工程S106を行ってもよく、逆の順序で加工工程S106の後に粗面処理工程S105を行ってもよい。
粉体混合工程
粉体混合工程では、成形体を構成する粉体を混合し、混合粉体を得る。成形体を構成する混合粉体は、希土類アルミニウム酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウム粒子とを含む。粉体の混合は、乳鉢及び乳棒を用いて混合することができる。粉体の混合には、ボールミルなどの混合媒体を用いて混合してもよい。また、粉体の混合を行いやすくし、さらに混合後の混合粉体を成形しやすくするために、少量の水やエタノール等の成形助剤を用いてもよい。成形助剤は、後の焼成工程において揮発しやすいものであるものが好ましく、成形助剤を加える場合は、粉体100質量%に対して、成形助剤が10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
成形体準備工程
成形体準備工程では、希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウム粒子とを含む混合粉体を、所望の形状に成形し、成形体を得る。粉体の成形方法は、プレス成形法などの知られている方法を採用することができ、例えば金型プレス成形法、冷間等方圧加圧法(CIP:Cold Isostatic Pressing、以下、「CIP」ともいう。)などが挙げられる。成形方法は、成形体の形状を整えるために、2種の方法を採用してもよく、金型プレス成形をした後に、CIPを行ってもよい。CIPでは、水を媒体とする冷間静水等方加圧法により成形体をプレスすることが好ましい。
金型プレス成形時の圧力は、好ましくは5MPaから50MPaであり、より好ましくは5MPaから30MPaである。金型プレス成形時の圧力が前記範囲であれば、成形体を所望の形状に整えることができる。
CIP処理における圧力は、好ましくは50MPaから200MPaであり、より好ましくは50MPaから180MPaである。CIP処理における圧力が前記範囲であると、焼成後に得られるセラミックス複合体の相対密度が90%以上99%と以下となるように希土類アルミン酸塩蛍光体粒子と酸化アルミニウム粒子とを接触させ、空隙率が1%以上10%以下となる空隙を含むセラミックス複合体を得ることが可能な成形体を形成することができる。
焼成工程
焼成工程は、大気雰囲気中で成形体を焼成し、セラミックス複合体を得る工程である。焼成工程において大気雰囲気中で成形体を焼成することにより、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることができる。大気雰囲気とは、酸素を含む雰囲気であり、雰囲気中の酸素の含有量は特に制限されない。雰囲気中の酸素の含有量が好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上であり、大気(酸素含有量が20体積%以上)雰囲気であってもよい。酸素の含有量が1体積%未満の酸素を含まない雰囲気であると、酸化アルミニウム粒子の表面が融着し難く、所定の空隙率を有するセラミックス複合体が得難くなる場合がある。
焼成温度は、好ましくは1400℃以上1800℃以下の範囲であり、より好ましくは1500℃以上1800℃以下の範囲であり、よりさらに好ましくは1600℃以上1780℃以下の範囲である。焼成温度が1400℃以上であれば、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることができる。また、焼成温度が1800℃以下であれば、成形体を構成する粉体を溶解させてしまうことなく、例えば酸化アルミニウム粒子の表面を融着させて、酸化アルミニウムによって母材を形成し、粒界が明らかに確認できる状態で蛍光体を酸化アルミニウムの母材中に含有させたセラミックス複合体を得ることができる。空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得た後に、得られたセラミックス複合体に熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理を行ってもよい。HIP処理工程を行った場合、セラミックス複合体の真密度が高くなる場合があり、セラミックス複合体の空隙率が1%未満となる場合には、HIP処理を行わなくてもよい。
アニーリング工程
本発明の第三の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法は、得られたセラミックス複合体を、還元雰囲気でアニール処理し、アニール処理物を得るアニーリング工程を含むことが好ましい。セラミックス複合体を還元雰囲気でアニール処理することによって、大気雰囲気中で希土類アルミン酸塩蛍光体中の酸化された賦活元素が還元され、希土類アルミン酸塩蛍光体の波長変換効率の低下と発光効率の低下を抑制することができる。還元雰囲気は、へリウム、ネオン及びアルゴンからなる群から選ばれる少なくとも1種の希ガス又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含む雰囲気であればよく、雰囲気中に少なくともアルゴン又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含むことが好ましい。
アニール処理の温度は、焼成温度よりも低い温度であり、1000℃以上1600℃以下の範囲であることが好ましい。アニール処理の温度は、より好ましくは1000℃以上1600℃以下の範囲であり、さらに好ましくは1100℃以上1400℃以下の範囲である。アニール処理の温度が、焼成温度よりも低い温度であり、1000℃以上1600℃以下であれば、セラミックス複合体の空隙率を低下させることなく、セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体に含まれる酸化された賦活元素を還元し、波長変換の効率の低下と発光効率の低下を抑制することができる。
粗面処理工程
粗面処理工程は、得られたセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物の表面を粗面処理する工程である。粗面処理工程は、セラミックス複合体を所望の大きさ若しくは厚さに切断して加工する加工工程の前に行ってもよく、加工工程後に行ってもよい。粗面処理するセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物は、光の入射面となる第1の主面と、第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面を有する板状体であることが好ましく、粗面処理は、第2の主面に施すことが好ましい。粗面処理する方法としては、例えば、サンドブラストによる方法、機械研削による方法、ダイシングによる方法、化学的エッチングによる方法等が挙げられる。セラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物の第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm以上15μm以下となり、線の算術平均粗さRaが0.1μm以上20μm以下となるように粗面処理されることが好ましい。
加工工程
加工工程は、得られたセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物を、所望の大きさ又は厚さに切断加工する工程である。切断する方法は、公知の方法を利用することができ、例えば、ブレードダイシング、レーザーダイシング、ワイヤーソーを用いて切断する方法が挙げられる。これらのうち、切断面が高精度に平らになる点からワイヤーソーが好ましい。加工工程によって、所望の大きさ又は厚さのセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物を得ることができる。セラミックス複合体は光の入射面となる第1の主面と、第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面を有する板状体となるように切断加工することが好ましい。板状体のセラミックス複合体の板厚は、好ましくは90μm以上250μm以下であり、より好ましくは95μm以上200μm以下、さらに好ましくは100μm以上180μm以下である。セラミックス複合体が板状体であり、その板厚を90μm以上250μm以下の範囲に切断加工すると、加工しやすく、発光効率が高く取り扱い易いセラミックス複合体又はセラミックス複合体のアニール処理物を得ることができる。
第一の実施形態に係るセラミックス複合体又は第三の実施形態に係る製造方法によって得られたセラミックス複合体は、励起光源と組み合わせることによって、波長変換部材を備えた光源として、プロジェクター用光源又は発光装置に用いることができる。
プロジェクター用光源
本発明の第二の実施形態に係るプロジェクター用光源は、本発明の第一の実施形態に係るセラミックス複合体又は第三の実施形態に係る製造方法によって得られたセラミックス複合体と励起光源とを備える。プロジェクターの励起光源は、半導体レーザーであることが好ましい。プロジェクターは、励起光源である半導体レーザーから出射された励起光を、波長変換部材として用いるセラミックス複合体に入射させ、セラミックス複合体によって波長が変換された光と励起光源からの光の混色光を、レンズアレイ、偏向変換素子、色分離光学系などの複数の光学系によって赤色光、緑色光、及び青色光に分離して、画像情報に応じて変調し、カラーの画像光を形成する。励起光源である半導体レーザーから出射された励起光は、ダイクロミックミラー又はコリメート光学系等の光学系を通じてセラミックス複合体に入射させてもよい。
発光装置
発光装置は、第一の実施形態に係るセラミックス複合体又は第三の実施形態に係る製造方法によって得られたセラミックス複合体と、LEDチップからなる発光素子を含むことが好ましい。波長変換部材として用いるセラミックス複合体は、発光素子と組み合わせることによって、発光素子から発せられた光を変換し、発光素子からの光とセラミックス複合体で波長変換された混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。発光素子は、例えば、350nm以上500nm以下の波長範囲の光を発する発光素子を用いることができる。発光素子には、例えば、窒化物系半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた半導体発光素子を用いることができる。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
希土類アルミン酸塩蛍光体の製造例
酸化イットリウム(Y)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ガリウム(Ga)を実施例及び比較例の組成比となるように、それぞれ計量して原料混合物とし、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を添加し、原料混合物及びフラックスをボールミルで混合した。この混合物をアルミナルツボに入れ、還元性雰囲気下、1400℃から1600℃の範囲で10時間焼成して焼成物を得た。得られた焼成物を、純水中に分散させ、ふるいを介して種々の振動を加えながら溶媒流を流して、湿式ふるいを通過させ、次いで脱水、乾燥し、乾式ふるいを通過させて分級し、(Y0.99Ce0.01(Al0.98Ga0.0112で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を準備した。蛍光体の組成及び平均粒径は、以下の方法によって測定した。
酸化アルミニウム粒子
後述するFSSS法により測定した平均粒径0.5μm又は平均粒径1.1μmの酸化アルミニウム粒子(酸化アルミニウムの純度99.9質量%、α型)を用いた。酸化アルミニウム粒子の平均粒径は以下のFSSS法により測定し、酸化アルミニウム粒子の純度は、後述する方法によって測定した。
平均粒径
各実施例及び比較例で用いた希土類アルミン酸塩蛍光体及び酸化アルミニウム粒子について、FSSS法による平均粒径を測定した。具体的には、Fisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、気温25℃、湿度70%RHの環境下において、1cm分の試料(蛍光体、酸化アルミニウム粒子)をそれぞれ計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取り、FSSS法による平均粒径を算出した。結果を表1に示す。
組成分析
得られた蛍光体について、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分析装置)(Perkin Elmer(パーキンエルマー)社製)により、希土類アルミン酸塩蛍光体を構成する酸素を除く各元素(Y、Gd、Ce、Al、Ga)の質量百分率(質量%)を測定し、各元素の質量百分率の値から、蛍光体の化学組成1モル中の各元素のモル比を算出した。Al、Gaのモル比は、測定された分析値に基づくYのモル比とCeのモル比の合計を3とし、このYとCeの合計のモル比3を基準として算出した値である。
酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度の測定
酸化アルミニウム粒子の質量を測定した後、酸化アルミニウム粒子を800℃で1時間、大気雰囲気で焼成し、酸化アルミニウム粒子に付着している有機物や酸化アルミニウム粒子が吸湿している水分を除去した。焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を測定し、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を焼成前の酸化アルミニウム粒子の質量で除すことによって、酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度を上述した式(5)により算出した。
実施例1
平均粒径33μm、(Y0.99Ce0.01(Al1.00Ga0.0112で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いた。この希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径0.5μmの酸化アルミニウム粒子とを、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子との合計量に対する酸化アルミニウム粒子の配合割合(質量%)が表1に示す値となるように秤量し、乾式ボールミルで混合し、成形体用の混合粉体を準備した。混合粉体から混合媒体に用いたボールを除いた後、混合粉体を金型に充填し、10MPa(102kgf/cm)の圧力で直径65mm、厚さ15mmの円筒形状の成形体を形成した。得られた成形体を包装容器に入れて真空包装し、冷間静水等方圧加圧装置(KOBELCO社製)により176MPaでCIP処理を行った。得られた成形体を焼成炉(丸祥電器社製)、大気雰囲気(酸素濃度:約20体積%)で、1700℃の温度で6時間保持して、焼成を行い、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体をワイヤーソーで板厚を230μmで切断し、得られたサンプルの表面を平面研削機で、板厚110μmに研磨して、波長変換部材に用いるセラミックス複合体のサンプルを得た。各実施例及び比較例において、セラミックス複合体中の希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウムの質量割合は、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の合計量を100質量%とした場合に、混合粉体中の希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子の配合割合と同じである。
実施例2
平均粒径が27μm、(Y0.99Ce0.01(Al0.99Ga0.0112で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例3
平均粒径が22μm、(Y0.99Ce0.01(Al0.98Ga0.0112で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いて、焼成温度を1600℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例4
焼成温度を1650℃にしたこと以外は、実施例3と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例3と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例5
焼成温度を1700℃にしたこと以外は、実施例3と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例3と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例6
平均粒径が22μm、(Y0.99Ce0.01(Al0.98Ga0.0112で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径が1.1μmの酸化アルミニウム粒子を用いて、希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化アルミニウム粒子との合計量に対する酸化アルミニウム粒子の配合割合(質量%)が表1に示す値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例7
平均粒径が0.5μmの酸化アルミニウム粒子を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例6と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例8
実施例7と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を、HIP装置(KOBELCO社製)を用いて、圧力媒体に窒素ガスを含む不活性雰囲気(窒素:99体積%以上)のもとで、1750℃、196MPa、2時間、HIP処理により二次焼成を行い、HIP処理したセラミックス複合体を得て、このHIP処理したセラミックス複合体を切断し、実施例7と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例9
焼成温度を1450℃としたこと以外は、実施例3と同様にして、セラミックス複合体を得て、このセラミックス複合体を切断し、実施例3と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例10
実施例5と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例5と同じ大きさのサンプルを得た後、このサンプルの光の入射面となる第1の主面と、出射面となる第2の主面とを、平面研削盤により、低粗さの砥石を使用して、粗面研削を行い、板厚110μmのセラミックス複合体のサンプルを得た。
実施例11
実施例5と同様にして、セラミックス複合体を得て、実施例5と同じ大きさのサンプルを得た後、このサンプルの光の出射面となる第2の主面を、平面研削盤により、低粗さの砥石を使用して、粗面研削を行い、板厚110μmのセラミックス複合体のサンプルを得た。
比較例1
平均粒径5μm、(Y0.99Ce0.01Al12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を、HIP装置(KOBELCO社製)を用いて、圧力媒体に窒素ガスを含む不活性雰囲気(窒素:99体積%以上)のもとで、1750℃、196MPa、2時間、HIP処理を行い、このHIP処理したセラミックス複合体を切断、研磨し、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
比較例2
平均粒径22μm、(Y0.99Ce0.01(Al0.98Ga0.0112で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を比較例1と同様にしてHIP処理を行い、HIP処理したセラミックス複合体を切断、研磨し、実施例1と同じ大きさ及び板厚のセラミックス複合体のサンプルを得た。
比較例3
平均粒径22μm、(Y0.99Ce0.01(Al0.98Ga0.0112で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミックス複合体を得た。得られたセラミックス複合体を、比較例1と同様にしてHIP処理を行い、HIP処理したセラミックス複合体を切断、研磨し、実施例1と同じ大きさで、板厚が200μmのセラミックス複合体のサンプルを得た。
セラミックス複合体の相対密度(%)
実施例及び比較例の各セラミックス複合体の相対密度を測定した。結果を表1に示す。実施例及び比較例の各セラミックス複合体の相対密度は上述した式(1)により算出した。
セラミックス複合体の真密度は、上述した式(2)より算出した。実施例及び比較例で用いた酸化アルミニウム粒子の真密度を3.98g/cmとし、希土類アルミン酸塩蛍光体の真密度を4.60g/cmとして算出した。
セラミックス複合体の見掛け密度は、上述した式(3)により算出した。
セラミックス複合体の空隙率(%)
各実施例及び比較例のセラミックス複合体の真密度を100%として、各セラミックス複合体の真密度から各セラミックス複合体の相対密度を減じた値を空隙率(%)とした。具体的にセラミックス複合体の空隙率は、上述した式(4)より算出した。
発光効率
各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルに対して、レーザーダイオードから波長が455nmのレーザー光を入射光の光径が3.5mmとなるようにして照射してサンプルに入射し、サンプルから出射された光の放射束を、積分球で測定した。比較例2の放射束を100%とし、比較例2の放射束に対する各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルを測定した放射束の相対放射束を発光効率(%)とした。結果を表1に示す。
光径比(出射光の光径/入射光の光径)
各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルに対して、レーザーダイオードから波長が455nmのレーザー光を入射光の光径が3.5mmとなるように照射し、レーザー光の光径をサンプルの第1の主面に入射される入射光の光径とした。セラミックス複合体の第2の主面から出射された出射光の光径は、各実施例及び比較例のセラミックス複合体のサンプルから出射された光の発光輝度を色彩輝度計で測定し、得られた発光スペクトルにおいて最大輝度を示す位置を中心(測定中心)とし、発光スペクトルにおいて最大輝度の100分の1となる輝度(1/100輝度)となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)を絶対値として測定し、最大輝度から最大輝度の1/100輝度となる測定中心から2か所の位置の距離(mm)の絶対値の和を第2の主面から出射された出射光の光径として測定した。第1の主面に入射される入射光に対する第2の主面から出射された出射光の光径の光径比を求めた。結果を表1及び図2に示す。
面の算術平均粗さ(Sa)、線の算術平均粗さ(Ra)
実施例5、10及び11の各実施例のセラミックス複合体のサンプルの第2の主面及び第1の主面における面の算術平均粗さSaと、前記各サンプルの第2の主面及び第1の主面における線の算術平均粗さRaを測定した。面の算術平均粗さSaは、ISO25178に準拠して、粗さ形状測定機(商品名:VS1550、HITACHI社製)を用いて測定した。また、線の算術平均粗さRaは、ISO1997に準拠して、粗さ形状測定器(商品名:SJ-210、Mitutoyo社製)を用いて測定した。
SEM写真
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例5のセラミックス複合体及び比較例2のセラミックス複合体の断面のSEM写真を得た。図3は、実施例5のセラミックス複合体の断面のSEM写真である。図4は、比較例2のセラミックス複合体の断面のSEM写真である。
Figure 0007140968000006
表1に示すように、実施例1から11に係るセラミックス複合体は、空隙率が1%以上10%以下であるため、入射された光が波長変換されずに透過してしまう割合が少なく、比較例1から3のセラミックス複合体に比べて発光効率を高くすることができた。実施例7から9に係るセラミックス複合体は、空隙率が5%以上であり、空隙によって入射された光を乱反射させて光を散乱させることができたと考えられ、発光効率がより高くなった。また、実施例1から11に係るセラミックス複合体は、第1の主面に入射された入射光の光径に対する第2の主面から出射された出射光の光径の比(光径比(出射光/入射光))が0.4以上0.9以下であった。実施例1から11に係るセラミックス複合体の光径比から、実施例1から11に係るセラミックス複合体は、出射光の拡散が抑制され、出射光を目的の位置に集光できることが確認できた。
また、表1に示すように、実施例10及び11に係るセラミックス複合体は、光の出射面となる第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm以上15μm以下であり、線の算術平均粗さRaが0.1μm以上20μm以下である。実施例10及び11のセラミックス複合体は、実施例5のセラミックス複合体よりも発光効率が高く、光径比も小さいため、出射面に対してより垂直方向に近い真っすぐな経路の光を出射でき、出射された光を目的の位置へ集光できることが確認できた。実施例5のセラミックス複合体は、第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm未満であり、線の算術平均粗さRaが0.1μm未満であり、第2の主面がより平らな状態である。
表1に示すように、比較例1から3に係るセラミックス複合体は、空隙率が1%未満であるため、空隙が少なく、空隙によって入射光を乱反射させて光を散乱させることができないため、発光効率が低下した。また、比較例1から3に係るセラミックス複合体は、光径比(出射光/入射光)が0.9を超えており、セラミックス複合体から出射する光の拡散を抑制することができていなかった。特に板厚が200μmである比較例3に係るセラミックス複合体は、発光効率が比較例2よりも低下し、光径比(出射光/入射光)が1.10を超えて大きくなり、出射光の拡散が抑制できていなかった。
図3のSEM写真に示すように、実施例5のセラミックス複合体は、セラミックス複合体のマトリックスを構成する酸化アルミニウム粒子の表面が融着された酸化アルミニウム2中に、酸化アルミニウムのマトリックスとは粒界によって区別された希土類アルミン酸塩蛍光体1が存在し、マトリックスを構成する酸化アルミニウム2と希土類アルミン酸塩蛍光体1が一体となってセラミックス複合体が形成されていた。セラミックス複合体は、希土類アルミン酸塩蛍光体よりも平均粒径が小さい酸化アルミニウム粒子の結晶粒界が残った状態で、酸化アルミニウム粒子の表面が融着され、セラミックス複合体のマトリックスが構成されていた。実施例5のセラミックス複合体には、酸化アルミニウム及び希土類アルミン酸塩蛍光体が存在しない空間である空隙3が含まれていた。図3に示すとおり、実施例5のセラミックス複合体に含まれる空隙は、最大孔径が1μm以上15μm以下であり、より具体的には最大孔径が1μm以上10μm以下であった。
図4のSEM写真に示すように、比較例2のセラミックス複合体は、密なマトリックスを構成する酸化アルミニウム粒子の表面が融着された密な酸化アルミニウム2中に、酸化アルミニウム2のマトリックスとは粒界によって区別された希土類アルミン酸塩蛍光体1が存在していた。比較例2のセラミックス複合体中には、ほとんど空隙が存在していなかった。
本発明の一態様に係るセラミックス複合体は、LEDやLDの発光素子と組み合わせて、車載用や一般照明用の照明装置、液晶表示装置のバックライト、プロジェクター用光源に利用することができる。
1:希土類アルミン酸塩蛍光体、2:酸化アルミニウム、3:空隙。

Claims (14)

  1. 平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上の酸化アルミニウムと、空隙とを含み、前記希土類アルミン酸塩蛍光体と前記酸化アルミニウムの合計量に対して前記希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が15質量%以上50質量%以下であり、空隙率が1%以上10%以下であり、
    光の入射面となる第1の主面と、前記第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面とを有する板状体であり、前記板状体の板厚が90μm以上250μm以下である、セラミックス複合体。
  2. 前記第2の主面における面の算術平均粗さSaが0.05μm以上15μm以下である、請求項1に記載のセラミックス複合体。
  3. 前記第2の主面における線の算術平均粗さRaが0.1μm以上20μm以下である、請求項1又は2に記載のセラミックス複合体。
  4. 前記希土類アルミン酸塩蛍光体が下記式(I)で表される組成を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のセラミックス複合体。
    (Ln1-aCe(AlGa12 (I)
    (式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbのうちから選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.022、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。)
  5. 前記第1の主面に入射される入射光の光径に対する前記第2の主面から出射された出射光の光径の比が0.4以上0.9以下の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載のセラミックス複合体。
  6. 前記空隙の最大孔径が1μm以上15μm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のセラミックス複合体。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のセラミックス複合体と、励起光源とを備えた、プロジェクター用光源。
  8. 前記励起光源が半導体レーザーである、請求項7に記載のプロジェクター用光源。
  9. 平均粒径が15μm以上40μm以下である希土類アルミン酸塩蛍光体と、平均粒径が0.2μm以上1.7μm以下の範囲であり、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である酸化アルミニウム粒子と、を含む混合粉体を、金型プレス成形法及び/又は冷間等方圧加圧法(CIP)により成形して成形体を準備することと、
    前記成形体を酸素の含有量が5体積%以上の大気雰囲気で焼成し、空隙率が1%以上10%以下であるセラミックス複合体を得ることと、
    前記セラミックス複合体を、光の入射面となる第1の主面と、前記第1の主面とは反対側に位置し、光の出射面となる第2の主面とを有する板状体に切断加工すること を含み、
    前記焼成の温度が1500℃以上1800℃以下の範囲であり、
    金型プレス成形時の圧力が5MPaから50MPaであり、CIPによる圧力が50MPaから200MPaであり、前記板状体の板厚が90μm以上250μm以下である、セラミックス複合体の製造方法。
  10. 前記焼成の温度が1600℃以上1780℃以下の範囲である、請求項9に記載のセラミックス複合体の製造方法。
  11. 前記セラミックス複合体を還元雰囲気でアニール処理し、アニール処理物を得ることを含む、請求項9又は10に記載のセラミックス複合体の製造方法。
  12. 前記アニール処理の温度が、前記焼成の温度よりも低い温度であり、1000℃以上1600℃以下の範囲である、請求項11に記載のセラミックス複合体の製造方法。
  13. 前記成形体中の前記希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量が、前記希土類アルミン酸塩蛍光体と前記酸化アルミニウム粒子との合計量に対して、15質量%以上50質量%以下である、請求項9から12のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
  14. 前記希土類アルミン酸塩蛍光体が下記式(I)で表される組成を有する請求項9から13のいずれか一項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
    (Ln1-aCe(AlGa12 (I)
    (式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbのうちから選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.022、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。)
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