JP7208473B2 - セラミックス複合体の製造方法、セラミックス複合体及び発光装置 - Google Patents
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Description
そこで本発明の一態様は、発光強度が高いセラミックス複合体の製造方法、セラミックス複合体及び発光装置を提供することを目的とする。
窒化物蛍光体は、化学式(I)で表される組成を有し、化学式(I)において、元素Mは好ましくはCeである。化学式(I)において、変数wは、元素Mのモル比を表す。本明細書において、化学式における「モル比」とは、化学式で表される化学組成1モル中の各元素のモル比を表す。化学式(I)において、変数wは、0を超えて1.0以下(0<w≦1.0)であり、好ましくは0.001以上0.9以下(0.001≦w≦0.9)、より好ましくは0.002以上0.8以下(0.002≦w≦0.8)、さらに好ましくは0.003以上0.7以下(0.003≦w≦0.7)を満たす数である。
酸化アルミニウム粒子は、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上であることが好ましく、より好ましくは酸化アルミニウムの純度が99.5質量%以上である。成形体中に、酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である酸化アルミニウム粒子が含まれると、酸化アルミニウム粒子に含まれる有機物や水分などが少なく、酸化アルミニウム粒子と窒化物蛍光体との反応が抑制され、得られる第一の焼結体及び第二の焼結体の透明性が高くなり、発光強度を高くすることができ、良好な熱伝導率を有するセラミックス複合体を得ることができる。市販の酸化アルミニウム粒子を用いた場合には、酸化アルミニウムの純度は、カタログに記載された酸化アルミニウムの純度の値を参照することができる。酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度が不明である場合には、酸化アルミニウム粒子の質量を測定した後、酸化アルミニウム粒子を800℃で1時間、大気雰囲気で焼成し、酸化アルミニウム粒子に付着している有機分や酸化アルミニウム粒子が吸湿している水分を除去し、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を測定し、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を焼成前の酸化アルミニウム粒子の質量で除すことによって、酸化アルミニウムの純度を測定することができる。酸化アルミニウムの純度は、例えば、以下の計算式(1)によって算出することができる。
希土類アルミン酸塩蛍光体は、化学式(II)で表される組成を有する。化学式(II)で表される組成において、Ln2で表される元素は、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、式(II)で表される組成中に2種以上の元素Ln2が含まれていてもよい。式(II)で表される組成において、Ln2は、より好ましくはY、Gd及びLuからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
図1は、第一の実施形態に係るセラミックス複合体の製造方法の工程順序の一例を示すフローチャートである。図1を参照にしてセラミックス複合体の製造方法の工程を説明する。セラミックス複合体の製造方法は、成形体準備工程S102と、一次焼成工程S103とを含む。セラミックス複合体の製造方法は、成形体準備工程S102の前に、粉体混合工程S101を含んでいてもよく、一次焼成工程S103の後に、加工工程S104を含んでいてもよい。
粉体混合工程では、成形体を構成する粉体として、化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体の粉体と、必要に応じて化学式(II)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウム粒子とを混合する。粉体の混合は、乳鉢及び乳棒を用いて混合することができる。粉体の混合には、ボールミルなどの混合媒体を用いて混合してもよい。また、粉体の混合を行いやすくし、さらに混合後の粉体を成形しやすくするために、成形助剤を用いてもよい。成形助剤は、水又はエタノールが挙げられる。成形助剤は、後の焼成工程において揮発しやすいものであるものが好ましい。成形助剤を用いなくてもよい。成形助剤を加える場合は、粉体100質量部に対して、成形助剤が10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
成形体準備工程では、化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体と、必要に応じて化学式(II)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウム粒子とを含む粉体を、所望の形状に成形し、成形体を得る。成形体の成形方法は、粉体をプレスして成形するプレス成形法や、粉体を含むスラリーを調製し、スラリーから成形体を得るスラリー成形法など知られている方法を採用することができる。プレス成形法としては、例えば金型プレス成形法、冷間等方圧加圧法(CIP:Cold Isostatic Pressing、以下、「CIP処理」ともいう。)などが挙げられる。成形方法は、成形体の形状を整えるために、2種の方法を採用してもよく、金型プレス成形をした後に、CIP処理を行ってもよい。CIP処理では、水を媒体として成形体をプレスすることが好ましい。
一次焼成工程は、成形体を1250℃以上1600℃以下の範囲の温度で一次焼成し、第一の焼結体を得る工程である。一次焼成工程において、成形体に含まれる化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体と、必要に応じて含まれる化学式(II)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウム粒子との焼結密度を高めることによって、相対密度の高い第一の焼結体を得ることができる。また、一次焼成工程において焼結密度を高め、相対密度の高い第一の焼結体を得ることによって、二次焼成を行う場合に、二次焼成によって第二の焼結体の相対密度をより高めることができる。一次焼成工程によって得られる第一の焼結体は、相対密度が80%以上と高い場合には、後述する二次焼成工程によって、相対密度がより高い第二の焼結体を得ることができる。一次焼成工程によって得られる第一の焼結体からなるセラミックス複合体は、励起光の照射によって所望の発光ピーク波長を有する光を発し、セラミックス複合体として用いることができる。また、一次焼成の温度や第一の焼結体中の前記窒化物蛍光体の含有量によっては、後述する熱間等方圧加圧処理(HIP:Hot Isostatic Pressing、以下「HIP処理」ともいう。)による二次焼成によって第一の焼結体に含まれる閉空孔(クローズドポア)が潰れるとともに、第一の焼結体中に含まれる窒化物蛍光体が一部分解、蒸散して第二の焼結体に開空孔(オープンポア)が生成される場合もあり、第一の焼結体の方が第二の焼結体よりも密度が高くなる場合もある。
二次焼成工程は、第一の焼結体をHIP処理により1250℃以上1600℃以下の範囲の温度で二次焼成し、第二の焼結体を得る工程である。二次焼成工程において、HIP処理により、第一の焼結体に含有される空隙をより少なくし、第二の焼結体の密度を高めることができる。HIP処理により得られる密度の高い第二の焼結体は、透明性がより高くなる。二次焼成工程によって得られる第二の焼結体からなるセラミックス複合体は、より焼結体の密度を高めることができ、励起光の照射によって所望の発光ピーク波長を有する光を発し、セラミックス複合体として用いることができる。
セラミックス複合体の製造方法において、得られた第二の焼結体からなるセラミックス複合体を加工する加工工程を含んでいてもよい。加工工程は、得られたセラミックス複合体を所望の大きさに切断加工する工程等が挙げられる。セラミックス複合体の切断方法は、公知の方法を利用することができ、例えば、ブレードダイシング、レーザーダイシング、ワイヤーソー等が挙げられる。これらのうち、切断面が高精度に平らになる点からワイヤーソーが好ましい。加工工程によって、所望の厚さや大きさのセラミックス複合体を得ることができる。セラミックス複合体の厚さは特に制限されないが、機械的強度や波長変換効率を考慮して、好ましくは1μm以上1mm以下の範囲、より好ましくは10μm以上800μm以下、さらに好ましくは50μm以上500μm以下、よりさらに好ましくは100μm以上400μm以下の範囲である。
第一の実施形態のセラミックス複合体の製造方法において、一次焼成工程において得られる第一の焼結体は、相対密度が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは91%以上、特に好ましくは92%以上である。第一の焼結体の相対密度は100%であってもよく、第一の焼結体の相対密度は、99%以下であるか、98%以下である。第一の焼結体の相対密度が80%以上であることによって、一次焼成後の二次焼成においてさらに第二の焼結体の密度を高めることができ、得られるセラミックス複合体の空隙が少なくなり、空隙内での光の散乱が抑制されるため、発光強度の高いセラミックス複合体を製造することができる。
二次焼成後に得られる第二の焼結体は、相対密度が、好ましくは90%以上、より好ましくは91%以上、さらに好ましくは92%以上、よりさらに好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上である。第二の焼結体からなるセラミックス複合体の相対密度が90%以上であることによって、セラミックス複合体の空隙が少なくなり、発光強度を高くすることができる。また、第二の焼結体の相対密度が90%以上であることによって、例えば加工工程において、加工を行っても欠けたりすることなく、加工した第二の焼結体からなるセラミックス複合体を得ることができる。第二の焼結体の相対密度は100%であってもよく、第二の焼結体の相対密度は、99.9%以下であるか、99.8%以下である。
第二の焼結体の見掛け密度は、第二の焼結体の質量をアルキメデス法によって求められる第二の焼結体の体積で除した値をいう。第二の焼結体の見掛け密度は、下記計算式(6)により算出される。
セラミックス複合体は、化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体と、必要に応じて化学式(II)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、酸化アルミニウムとを含み、化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体の含有量が、前記窒化物蛍光体と前記酸化アルミニウムの合計量に対して、0.1質量%以上70質量%以下である。セラミックス複合体中の化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体の含有量が0.1質量%以上70質量%以下であると、セラミックス複合体の相対密度を高くすることができ、発光強度が高く、所望の色調に波長変換することができる。セラミックス複合体中の化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体の含有量が0.1質量%未満であると、所望の変換効率が得られない。セラミックス複合体中の化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体の含有量が70質量%を超えると、セラミックス複合体中の体積当たりの前記窒化物蛍光体の粉体の含有量が多すぎて、所望の色調及び光変換効率を得るためにセラミックス複合体の体積を小さくする必要がある。例えば得られたセラミックス複合体の体積を小さくするためには、セラミックス複合体の厚さを薄くしなければならず、取り扱いが困難となる。また、セラミックス複合体中の化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体の含有量が70質量%を超えると、相対的にセラミックス複合体中の酸化アルミニウムの量が減少し、セラミックス複合体中で前記窒化物蛍光体と酸化アルミニウムの密着性が低下して空隙が形成され、発光強度が低下する場合がある。セラミックス複合体中の化学式(I)で表される組成を有する窒化物蛍光体の含有量は、ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)を用いて、前記窒化物蛍光体を構成する元素の元素分析によって測定することができる。
第一の実施形態の製造方法によって得られるセラミックス複合体又は第二の実施形態に係るセラミックス複合体は、LEDやLDの発光素子と組み合わせることによって、発光素子から発せられた励起光を変換して、所望の発光ピーク波長を有する光を発する。発光装置は、発光素子からの光とセラミックス複合体で波長変換された光によって、混色光を発する。
粉体混合工程
レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した中心粒径20.0μmのCe0.15La2.75Si6N11で表される組成を有する窒化物蛍光体を1質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して1質量%)と、FSSS法により測定した平均粒径1.0μmのα-酸化アルミニウム粒子(品名:AKP-700、住友化学工業株式会社製、酸化アルミニウムの純度99.5質量%)99質量部とを秤量し、乳鉢及び乳棒を用いて混合し、成形体用の混合粉体を準備した。
成形体準備工程
混合粉体を金型に充填し、7MPa(71.38kgf/cm2)の圧力で直径28.5mm、厚さ10mmの円筒形状の成形体をプレス形成した。得られた成形体を包装容器に入れて真空包装し、冷間等方圧加圧(CIP)装置(神戸製鋼所(KOBELCO)社製)により、圧力媒体に水を用いて、176MPaでCIP処理を行った。
一次焼成工程
得られた成形体を焼成炉(富士電波工業株式会社製)、窒素ガス雰囲気(窒素:99体積%以上)で、1350℃、0.9MPaで6時間保持して、一次焼成を行い、第一の焼結体を得た。得られた第一の焼結体1をセラミックス複合体とした。実施例1から14の第一の焼結体又は第二の焼結体からなるセラミックス複合体中の窒化物蛍光体の含有量(質量%)は、混合粉体又は成形体における窒化物蛍光体の質量割合とほぼ等しい。
窒化物蛍光体を3質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を97質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体2を得て、セラミックス複合体とした。実施例2乃至14において、窒化物蛍光体は、実施例1と同様のCe0.15La2.75Si6N11で表される窒化物蛍光体を用いた。また、実施例2乃至14において、酸化アルミニウム粒子は、実施例1と同様のα-酸化アルミニウム粒子と用いた。表1に、実施例1乃至11に係る第一の焼結体からなるセラミックス複合体中のCe0.15La2.75Si6N11で表される窒化物蛍光体の含有量(質量%)を記載した。また、表2に、実施例12乃至14に係る第二の焼結体からなるセラミックス複合体中のCe0.15La2.75Si6N11で表される窒化物蛍光体の含有量(質量%)を記載した。
窒化物蛍光体を5質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を95質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体3を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を10質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を90質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体4を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を20質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を80質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体5を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を30質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を70質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体6を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を50質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を50質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体7を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を5質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を95質量部とを混合した混合粉体を準備し、一次焼成温度を1250℃とした以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体8を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を5質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を95質量部とを混合した混合粉体を準備し、一次焼成温度を1300℃とした以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体9を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を5質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を95質量部とを混合した混合粉体を準備し、一次焼成温度を1400℃とした以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体10を得て、セラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を5質量部と、α-酸化アルミニウム粒子を95質量部とを混合した混合粉体を準備し、一次焼成温度を1450℃とした以外は、実施例1と同様にして、第一の焼結体11を得て、セラミックス複合体とした。
二次焼成工程
実施例3で得られた第一の焼結体3を用い、熱間等方圧加圧(HIP)装置(KOBELCO社製)を用いて、圧力媒体に窒素ガスを用いて窒素ガス雰囲気(窒素:99体積%以上)のもとで、1400℃、195MPaで1時間のHIP処理により二次焼成を行い、第二の焼結体12を得て、この第二の焼結体12をセラミックス複合体とした。
二次焼成工程
実施例10で得られた第一の焼結体10を用い、実施例12と同様にしてHIP処理を行い、第二の焼結体13を得て、この第二の焼結体13をセラミックス複合体とした。
二次焼成工程
実施例10で得られた第一の焼結体10を用いて、圧力媒体に窒素ガスを用いて窒素ガス雰囲気(窒素:99体積%以上)のもとで、1500℃、195MPaで1時間のHIP処理により二次焼成を行い、第二の焼結体14を得て、この第二の焼結体14をセラミックス複合体とした。
粉体混合工程
実施例1と同様の窒化物蛍光体を5質量部と、フッ化カルシウム(CaF2)粒子(日亜化学工業株式会社製、フッ化カルシウム純度99.5質量%、FSSS法による平均粒径:9.0μm)を95質量部とを混合した混合粉体を準備した。
成形体準備工程
混合粉体を金型に充填し、7MPa(71.38kgf/cm2)の圧力で直径28.5mm、厚さ10mmの円筒形状の成形体を形成した。得られた成形体を包装容器に入れて真空包装し、冷間等方圧加圧(CIP)装置(神戸製鋼所(KOBELCO)社製)により、圧力媒体に水を用いて、176MPaでCIP処理を行った。
一次焼成工程
得られた成形体を焼成炉(富士電波工機株式会社製)、窒素ガス雰囲気(窒素:99体積%以上)で、1200℃、0.9MPaで6時間保持して、一次焼成を行い、第一の焼結体を得たが相対密度は81.6%であった。第一の焼結体の発光は確認できなかった。発光が確認できず、相対密度も81.6%と小さかったため、第一の焼結体のHIP処理は実施しなかった。第一の焼結体の相対密度が90%未満の場合は、第一の焼結体に含まれる空隙が多く、HIP処理により二次焼成を行っても得られる第二の焼結体の相対密度を90%以上に高くすることはできないためである。
実施例1と同様の窒化物蛍光体を5質量部と、フッ化マグネシウム(MgF2)粒子(日亜化学工業株式会社製、フッ化マグネシウム純度99.5質量%、FSSS法による平均粒径1.5μm)を95質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、比較例1と同様にして、第一の焼結体を得た。得られた第一の焼結体の相対密度は88.1%であった。第一の焼結体の発光は確認できなかった。発光が確認できず、相対密度も88.1%と小さかったため、第一の焼結体のHIP処理は実施しなかった。
実施例1と同様の窒化物蛍光体を5質量部と、酸化チタン粒子(昭和電工株式会社製、酸化チタン純度99.0質量%、FSSS法による平均粒径0.6μm)を95質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、比較例1と同様にして、第一の焼結体を得た。得られ第一の焼結体の相対密度は79.1%であった。第一の焼結体の発光は確認できなかった。発光が確認できず、相対密度も79.1%と小さかったため、第一の焼結体のHIP処理は実施しなかった。
実施例1と同様の窒化物蛍光体を5質量部と、酸化ジルコニウム粒子(新日本電工株式会社製、酸化ジルコニウム純度99.6質量%、FSSS法による平均粒径0.3μm)を95質量部とを混合した混合粉体を準備したこと以外は、比較例1と同様にして、第一の焼結体を得た。得られた第一の焼結体の相対密度は52.5%であった。第一の焼結体の発光は確認できなかった。発光が確認できず、相対密度も52.5%と小さかったため、第一の焼結体のHIP処理は実施しなかった。
各実施例及び比較例に用いたCe0.15La2.75Si6N11で表される組成を有する窒化物蛍光体の粒子及び(Y0.995Ce0.005)3Al5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体の粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積基準の粒度分布における小径側からの体積累積頻度が50%に達する粒径(メジアン径)を中心粒径とし、レーザー回折式粒度分布測定装置(MASTER SIZER(マスターサイザー)3000、MALVERN社製)を用いて測定した。
実施例に用いたα-酸化アルミニウム粒子、並びに比較例に用いたフッ化カルシウム粒子、フッ化マグネシウム粒子、酸化チタン粒子及び酸化ジルコニウム粒子、は、FSSS法により、平均粒径(Fisher sub-sieve sizer’s number)を測定した。
実施例に用いたα-酸化アルミニウム粒子の質量を測定した後、α-酸化アルミニウム粒子を800℃で1時間、大気雰囲気で焼成し、α-酸化アルミニウム粒子に付着している有機分やα-酸化アルミニウム粒子が吸湿している水分を除去し、焼成後のα-酸化アルミニウム粒子の質量を測定し、前記計算式(1)に基づき、焼成後のα-酸化アルミニウム粒子の質量を焼成前のα-酸化アルミニウム粒子の質量で除すことによって、α-酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度を測定した。
実施例1から14及び比較例1から4において、各第一の焼結体の相対密度を測定した。実施例1から14の結果を表1及び表2に示し、比較例1から4の結果を表3に示す。第一の焼結体の相対密度は、前記計算式(2)、前記計算式(3-1)及び前記計算式(4)に基づき、算出した。実施例1から14及び比較例1から4で用いたCe0.15La2.75Si6N11で表される窒化物蛍光体の真密度は4.78g/cm3とし、実施例1から14で用いたα-酸化アルミニウム粒子の真密度は3.98g/cm3とし、比較例1で用いたフッ化カルシウム粒子の真密度は3.17g/cm3、比較例2で用いたフッ化マグネシウム粒子の真密度は3.17g/cm3、比較例3で用いた酸化チタン粒子の真密度は4.26g/cm3、比較例4で用いた酸化ジルコニウム粒子の真密度は5.86g/cm3、として算出した。比較例1から4の第一の焼結体の相対密度は、前記計算式(3-1)において、酸化アルミニウム粒子を、それぞれフッ化カルシウム粒子、フッ化マグネシウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子に置き換えて算出した。
実施例12から14の第二の焼結体12から14の相対密度を測定した。結果を表2に示す。前記第二の焼結体の相対密度は前記計算式(5)に基づき算出した。前記第二の焼結体の見掛け密度は、前記計算式(6)に基づき算出した。
実施例1から11の第一の焼結体からなるセラミックス複合体、実施例12から14の第二の焼結体からなるセラミックス複合体、及び比較例1から4の第一の焼結体を、ワイヤーソーを用いて厚さ300μmに切断し、サンプルを形成した。発光ピーク波長が455nmである窒化物半導体からなるLEDチップを光源として用いて、この光源からセラミックス複合体のサンプルに光を照射し、光源からの光を受けて実施例1から11、実施例12から14、及び比較例1から4の各サンプルから得られた430nm以上800nm以下の波長範囲にある発光ピーク波長の発光強度を、分光蛍光光度計(日亜化学工業株式会社製)を用いて測定した。実施例3のセラミックス複合体のサンプルから得られた430nm以上800nm以下の波長範囲にある発光ピーク波長の発光強度を100%として、各サンプルから得られた430nm以上800nm以下の波長範囲にある発光ピーク波長の発光強度を相対発光強度(%)として表した。実施例1から11のセラミックス複合体の結果を表1に示す。実施例12から14のセラミックス複合体の結果を表2に示す。比較例1から4の第一の焼結体からなるサンプルは、光源から光を照射しても発光しなかった。比較例1から4の第一の焼結体の結果を表3に示す。
実施例3のセラミックス複合体の外観写真を得た。図3は、実施例3のセラミックス複合体をワイヤーソーで切断したサンプルの外観写真である。
実施例13のセラミックス複合体の外観写真を得た。実施例13は、実施例3の第一の焼結体を二次焼成して得られた第二の焼結体からなるものである。図4は、実施例13のセラミックス複合体をワイヤーソーで切断したサンプルの外観写真である。
比較例4のセラミックス複合体の外観写真を得た。図5は、比較例4の第一の焼結体をワイヤーソーで切断したサンプルの外観写真である。
表2に示すように、実施例12から14において、第一の焼結体3又は10よりも第二の焼結体12から14の方が高い相対密度を有していた。
粉体混合工程
レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した中心粒径20.0μmのCe0.15La2.75Si6N11で表される組成を有する窒化物蛍光体を1質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して1質量%)と、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した中心粒径が25.0μmの(Y0.995Ce0.005)3Al5O12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を19質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して19質量%)と、FSSS法により測定した平均粒径1.0μmのα-酸化アルミニウム粒子(品名:AKP-700、住友化学工業株式会社製、酸化アルミニウムの純度99.5質量%)80質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して80質量%)を、秤量し、乳鉢及び乳棒を用いて混合し、成形体用の混合粉体を準備した。
成形体準備工程
混合粉体を金型に充填し、7MPa(71.38kgf/cm2)の圧力で直径28.5mm、厚さ10mmの円筒形状の成形体をプレス形成した。得られた成形体を包装容器に入れて真空包装し、冷間等方圧加圧(CIP)装置(神戸製鋼所(KOBELCO)社製)により、圧力媒体に水を用いて、176MPaでCIP処理を行った。
一次焼成工程
得られた成形体を焼成炉(富士電波工業株式会社製)、窒素ガス雰囲気(窒素:99体積%以上)で、1400℃、0.9MPaで6時間保持して、一次焼成を行い、第一の焼結体を得た。得られた第一の焼結体をセラミックス複合体とした。実施例15から20及び比較例5の第一の焼結体からなるセラミックス複合体中の窒化物蛍光体の含有量(質量%)、希土類アルミン酸塩蛍光体の含有量、及びα-酸化アルミニウムの含有量は、混合粉体又は成形体における窒化物蛍光体の質量割合、希土類アルミン酸塩蛍光体の質量割合、α-酸化アルミニウムの質量割合とほぼ等しい。
窒化物蛍光体を3質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して3質量%)と、希土類アルミン酸塩蛍光体を17質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して17質量%)としたことは、実施例15と同様にして、第一の焼結体を得て、この第一の焼結体をセラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を5質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して5質量%)と、希土類アルミン酸塩蛍光体を15質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して15質量%)としたことは、実施例15と同様にして、第一の焼結体を得て、この第一の焼結体をセラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を10質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して10質量%)と、希土類アルミン酸塩蛍光体を10質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して10質量%)としたことは、実施例15と同様にして、第一の焼結体を得て、この第一の焼結体をセラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を15質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して15質量%)と、希土類アルミン酸塩蛍光体を5質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して5質量%)としたことは、実施例15と同様にして、第一の焼結体を得て、この第一の焼結体をセラミックス複合体とした。
窒化物蛍光体を20質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して20質量%)とし、希土類アルミン酸塩蛍光体を含まないこと以外は、実施例15と同様にして、第一の焼結体を得て、この第一の焼結体をセラミックス複合体とした。
希土類アルミン酸塩蛍光体を20質量部(混合粉体又は成形体100質量%に対して20質量%)とし、窒化物蛍光体を含まないこと以外は、実施例15と同様にして、第一の焼結体を得て、この第一の焼結体をセラミックス複合体とした。
実施例15から20及び比較例5において、各第一の焼結体の相対密度を測定した。結果を表4に示す。第一の焼結体の相対密度は、前記計算式(2)、前記計算式(3-2)及び前記計算式(4)に基づき、算出した。Ce0.15La2.75Si6N11で表される窒化物蛍光体の真密度は4.78g/cm3、(Y0.995Ce0.005)3Al5O12で表される希土類アルミン酸塩蛍光体の真密度は4.60g/cm3、α-酸化アルミニウム粒子の真密度は3.98g/cm3として算出した。実施例15から20及び比較例5のセラミックス複合体は、各温度における各セラミックス複合体の相対発光強度を比較するために、各セラミックス複合体の相対密度が93.1g/cm3から93.8g/cm3の範囲になるように製造した。
実施例15から20及び比較例5の第一の焼結体からなるセラミックス複合体を、ワイヤーソーを用いて厚さ300μmに切断し、サンプルを形成した。サンプルをヒータに設置し、光源としてキセノンランプを使用し、光源からの光をモノクロメータに導入した。導入された光のうち目的とする波長をモノクロメータで選択し、サンプルに照射した。照射された光を受けて、ヒータで20℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃の各温度に熱せられた各サンプルから発せられた光の発光スペクトルをマルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス株式会社製、商品名PMA12)を用いて測定し、430nm以上800nm以下の波長範囲にある発光ピーク波長の発光強度を測定した。20℃における実施例20のセラミックス複合体のサンプルから得られた430nm以上800nm以下の範囲にある発光ピーク波長の発光強度を100%とし、各温度における各サンプルから得られた430nm以上800nm以下の波長範囲にある発光ピーク波長の発光強度を相対発光強度(%)として表した。各サンプルの20℃の相対発光強度を表4に示し、各サンプルの20℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃における相対発光強度を表5に示す。
Claims (17)
- Ce 0.15 La 2.75 Si 6 N 11 で表される組成を有する窒化物蛍光体と、酸化アルミ二ウム粒子と、(Y 0.995 Ce 0.005 ) 3 Al 5 O 12 で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、を混合した成形体を準備することと、
1250℃以上1600℃以下の範囲の温度で前記成形体を一次焼成し、第一の焼結体を得ることを含む、セラミックス複合体の製造方法。 - 前記第一の焼結体を熱間等方圧加圧(HIP)処理により1250℃以上1600℃以下の範囲の温度で二次焼成し、第二の焼結体を得ることを含む、請求項1に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記一次焼成の温度が1300℃以上1450℃以下の範囲である、請求項1又は2に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記二次焼成の温度が1350℃以上1500℃以下の範囲である、請求項2に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記窒化物蛍光体の中心粒径が2μm以上100μm以下の範囲である、請求項1から4のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記酸化アルミ二ウム粒子の平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下の範囲である、請求項1から5のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記成形体を準備する工程において、前記窒化物蛍光体と前記酸化アルミ二ウム粒子との合計100質量%に対して、前記窒化物蛍光体を0.1質量%以上70質量%以下の割合を使用することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記酸化アルミ二ウム粒子の酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記希土類アルミン酸塩蛍光体の中心粒径が15μm以上40μm以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記成形体を準備する工程において、前記成形体100質量%に対して、前記希土類アルミン酸塩蛍光体と前記窒化物蛍光体の合計が0.2質量%以上80質量%以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記第一の焼結体の相対密度が80%以上である、請求項1から10のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- 前記第二の焼結体の相対密度が90%以上である、請求項2又は4に記載のセラミックス複合体の製造方法。
- Ce 0.15 La 2.75 Si 6 N 11 で表される組成を有する窒化物蛍光体と、酸化アルミニウムと、(Y 0.995 Ce 0.005 ) 3 Al 5 O 12 で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体と、を含み、前記窒化物蛍光体の含有量が0.1質量%以上70質量%以下である、セラミックス複合体。
- 前記窒化物蛍光体及び前記希土類アルミン酸塩蛍光体の合計の含有量が0.2質量%以上80質量%以下である、請求項13に記載のセラミックス複合体。
- 相対密度が80%以上である、請求項13又は14に記載のセラミックス複合体。
- 前記希土類アルミン酸塩蛍光体と、前記窒化物蛍光体との合計100質量%に対して、前記窒化物蛍光体を15質量%以上含む、請求項13から15のいずれか1項に記載のセラミックス複合体。
- 請求項13から16のいずれか一項に記載のセラミックス複合体と、350nm以上500nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子を含む、発光装置。
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