JP6989789B2 - 希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで本発明の一態様は、発光効率が高い希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
第一実施態様の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法は、希土類アルミン酸塩の組成を有する蛍光体(以下、「原料YAG蛍光体」とも称する。)と、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む酸化物、Ceを含む酸化物、Alを含む酸化物、及び必要に応じてGa及びScから選択される少なくとも一種の元素M1を含む酸化物を含む原料混合物と、を混合して成形体を準備することと、前記成形体を焼成し、焼結体を得ることを含む。
また、希土類アルミン酸塩焼結体は、円相当の粒径の異なる二種の結晶相を有することが好ましく、結晶相間でも光が乱反射して、励起光を波長変換するため、励起光の入射面と同一面から波長変換された光を出射する場合に光の広がりを抑制し、目的の位置に集光する出射光を発することができる。
焼結体の原料の一つである、原料YAG蛍光体は、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、0.3μm以上9μm以下の範囲内であってもよく、0.4μm以上8μm以下の範囲内であってもよく、0.5μm以上8μm以下の範囲内であってもよい。原料YAG蛍光体の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲内であれば、原料混合物である酸化物から成長した酸化物成長結晶相と、蛍光体成長結晶相が生成され、酸化物成長結晶相と蛍光体成長結晶相の結晶相の成長速度の違いにより、結晶相の周囲に、入射光を散乱させる空隙が形成された焼結体を得ることができる。また、原料YAG蛍光体の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲内であれば、円相当径の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の結晶相が含まれ、結晶相の周囲に存在する空隙によって散乱された入射光を効率よく結晶相で波長変換して、入射光が入射された面と同一の面から波長変換された発光効率の高い光を出射させることができる。本明細書において、平均粒径は、例えばFisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、気温25℃、湿度70%RHの環境下において、1cm3分の試料(蛍光体、各酸化物原料)をそれぞれ計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取る、フィッシャーサブシーブサイザー(Fisher Sub-Sieve Sizer)法(以下、「FSSS法」とも称する。)により測定した平均粒径(Fisher Sub-Sieve Sizer’s Number)をいう。
原料混合物に含まれる希土類元素Lnを含む酸化物、Ceを含む酸化物、Alを含む酸化物、及び必要に応じて元素M1を含む酸化物の平均粒径は、それぞれ0.01μm以上1.5μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.02μm以上1.0μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは0.02μm以上0.7μm以下の範囲内である。原料混合物に含まれる酸化物は、平均粒径がそれぞれ0.01μm以上1.5μm以下の範囲内であると、原料YAG蛍光体又は原料YAG蛍光体の結晶が成長した蛍光体成長結晶相とは異なる大きさの酸化物成長結晶相が希土類アルミン酸塩焼結体に形成される。酸化物と原料YAG蛍光体とは、結晶の成長速度の違いにより、これらの結晶相の周囲に空隙が形成される。希土類アルミン酸塩焼結体中の空隙の大きさは、原料混合物中の酸化物の粒径の大きさに依存する傾向がある。原料混合物中の酸化物の平均粒径が0.01μm以上1.5μm以下の範囲内である比較的小さい粒径の酸化物を用いると、結晶相の周囲に比較的小さな空隙が均一に分布して形成され、入射光の散乱性を高めた焼結体が得られる。焼結体に含まれる空隙の大きさは、焼成温度に近い融点を有する原料混合物中の酸化物の粒径の大きさに依存する傾向があると推測される。焼結体に含まれる空隙の大きさは、原料混合物の中でも希土類元素Lnを含む酸化物の粒径の大きさに依存する傾向があると推測される。例えば、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む酸化物の融点は、2100℃以上2500℃以下の範囲内である。小さい空隙を多く含む焼結体を得る場合には、希土類元素Lnを含む酸化物の平均粒径が、0.01μm以上1.0μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上0.8μm以下の範囲内である。希土類元素Lnを含む酸化物以外の酸化物、例えばAlを含む酸化物、Gaを含む酸化物、希土類元素Ln以外の希土類元素、例えばScを含む酸化物、Ceを含む酸化物は、希土類元素Lnを含む酸化物よりも平均粒径が大きくてもよい。Alを含む酸化物、Ceを含む酸化物、及び必要に応じて元素M1を含む酸化物は、その平均粒径が0.8μmを超えて1.5μm以下の範囲内であってもよく、0.9μm以上1.0μm以下の範囲内であってもよい。
原料YAG蛍光体と、原料混合物を混合して成形し、成形体を得る工程において、成形体中の質量比は、原料YAG蛍光体と原料混合物の合計100質量%に対して、原料YAG蛍光体が、10質量%以上90質量%以下の範囲内であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下の範囲内であることがより好ましく、30質量%以上70質量%以下の範囲内であることがより好ましい。原料YAG蛍光体と原料混合物の合計100質量%に対して、原料YAG蛍光体の質量比が10質量%以上90質量%以下の範囲内であれば、円相当の粒径が0.1μm以上1.0μm以下の第1結晶相と、円相当の粒径が1.1μm以上15μm以下の第2結晶相の大きさの異なる2つの結晶相が生成され、これらの結晶相の周囲に、これらの結晶相の成長速度の違いによって空隙が形成された焼結体を得ることができる。成形体を準備する工程と、成形体を焼成して焼結体を得る工程は、後述する。
第二実施態様の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法は、FSSS法で測定した平均粒径が0.3μm以上1.0μm以下の範囲内の希土類アルミン酸塩の組成を有する第1蛍光体(以下、「第1原料YAG蛍光体」とも称する。)と、FSSS法で測定した平均粒径1.1μm以上10μm以下の範囲内に希土類アルミン酸塩の組成を有する第2蛍光体(以下、「第2原料YAG蛍光体」とも称する。)と、を混合して成形体を準備することと、前記成形体を焼成し、焼結体を得ることを含む。
FSSS法により測定される平均粒径が0.3μm以上1.0μm以下の範囲内の第1原料YAG蛍光体は、共沈法により形成された希土類アルミン酸塩の組成を有する蛍光体であることが好ましい。共沈法によりYAG蛍光体を形成すると、比較的小さい平均粒径を有するYAG蛍光体を得ることができる。また、共沈法により形成されたYAG蛍光体は、乾式法によって形成されたYAG蛍光体と、形成法の違いによって、焼成時の反応速度が異なり、各結晶相の周囲に比較的小さな円相当の孔径を有する空隙が形成されやすくなると推測される。
FSSS法により測定される平均粒径が1.1μm以上10μm以下の範囲内の第2原料YAG蛍光体は、平均粒径が前記範囲内であれば、製造方法は限定されない。第2原料YAG蛍光体は、前述の共沈法又はその他の方法によって形成された希土類アルミン酸塩の組成を有する蛍光体を用いることができる。
第1原料YAG蛍光体と第2原料YAG蛍光体とを混合して成形し、成形体を得る工程において、成形体中の質量比は、第1原料YAG蛍光体と第2原料YAG蛍光体の合計100質量%に対して、第1原料YAG蛍光体が、10質量%以上90質量%以下の範囲内であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下の範囲内であることがより好ましく、30質量%以上70質量%以下の範囲内であることがより好ましい。第1原料YAG蛍光体と第2原料YAG蛍光体の合計100質量%に対して、第1原料YAG蛍光体の質量比率が10質量%以上90質量%以下の範囲内であれば、円相当の粒径が0.1μm以上1.0μm以下の第1結晶相と、円相当の粒径が1.1μm以上15μm以下の第2結晶相の大きさの異なる2つの結晶相が生成され、これらの結晶相の周囲に、これらの結晶相の成長速度の違いによって空隙が形成された焼結体を得ることができる。
原料YAG蛍光体と、各酸化物を含む原料混合物とを混合して成形体を形成する方法、又は、第1原料YAG蛍光体と第2原料YAG蛍光体とを混合して成形体を形成する方法としては、プレス成形法等の知られている方法を採用することができる。プレス成形法としては、例えば金型プレス成形法、JIS Z2500:2000、No.2109で用語が定義されている、冷間静水等方圧加圧法(Cold Isostatic Pressing、以下、「CIP」とも称する。)などが挙げられる。その他に一軸で圧縮して成形してもよい。成形方法は、成形体の形状を整えるために、2種の方法を採用してもよく、例えば金型プレス成形をした後に、CIPを行ってもよく、ローラベンチ法により一軸で圧縮した後に、CIPを行ってもよい。CIPは、水を媒体とする冷間静水等方圧加圧法により成形体をプレスすることが好ましい。
焼結体は、成形体を焼成して得られる。成形体の焼成は、酸素含有雰囲気のもとで行うことが好ましい。雰囲気中の酸素の含有量は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上であり、大気(酸素含有量が20体積%以上)雰囲気であってもよい。雰囲気中の酸素の含有量が1体積%未満の酸素を含まない雰囲気中では、酸化物の表面が溶融し難く、酸化物同士が溶融して希土類アルミン酸塩の組成を有する結晶構造が生成され難く、空隙を有する焼結体が得られ難い場合がある。雰囲気中の酸素量の測定は、例えば焼成装置に流入する酸素量によって測定してもよく、20℃の温度、大気圧(101.325kPa)の圧力で測定してもよい。
得られた焼結体は、所望の大きさ又は厚さに切断する加工を行ってもよい。切断する方法は、公知の方法を利用することができ、例えば、ブレードダイシング、レーザーダイシング、ワイヤーソーを用いて切断する方法が挙げられる。これらのうち、切断面が高精度に平らになる点からワイヤーソーが好ましい。
さらに以下に説明する面処理工程を追加してもよい。面処理工程は、得られた希土類アルミン酸塩焼結体又は希土類アルミン酸塩焼結体を切断して得た切断物の表面を面処理する工程である。この面処理工程により、希土類アルミン酸塩焼結体の発光特性の向上のため、希土類アルミン酸塩焼結体の表面を適切な状態とすることができるだけでなく、上述の加工工程と併せて、または単独で、希土類アルミン酸塩焼結体を所望の形状、大きさ又は厚さにすることができる。面処理工程は、希土類アルミン酸塩焼結体を所望の大きさ若しくは厚さに切断して加工する加工工程の前に行ってもよく、加工工程後に行ってもよい。面処理する方法としては、例えば、サンドブラストによる方法、機械研削による方法、ダイシングによる方法、化学的エッチングによる方法等が挙げられる。
(Ln1-nCen)3(Al1-mM1 m)5kO12 (I)
式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、M1は、Ga及びScから選択される少なくとも一種の元素であり、m、n及びkは、それぞれ0≦m≦0.02、0.003≦n≦0.017、0.95≦k≦1.05を満たす数である。ただし、前記式(I)における変数m、n及びkは、分析値に基づくLnのモル比とCeのモル比の合計を3としたときの数である。本明細書において、モル比とは、蛍光体の化学組成1モル中の各元素のモル比を表す。
希土類アルミン酸塩焼結体は、希土類アルミン酸塩の組成を有する蛍光体の結晶相と空隙を含み、平面又は断面における結晶相の円相当の平均粒径が0.3μm以上15μm以下の範囲内であり、断面における前記空隙の円相当の孔径が0.1μm以上5μm以下の範囲内であり、相対密度が85%以上99%以下の範囲内であることが好ましい。希土類アルミン酸塩焼結体は、第一実施態様に係る製造方法又は第二実施態様に係る製造方法によって得られたものであることが好ましい。
発光装置は、前記希土類アルミン酸塩焼結体と、励起光源とを備える。
塩化イットリウム(YCl3)、塩化セリウム(CeCl3)、塩化アルミニウム(AlCl3)を、(Y0.99Ce0.01)3Al5で表される組成となるように計量して、脱イオン水に溶解し、混合溶液を作製した。この混合溶液を(NH3)2CO3溶液に投入し、共沈法により、(Y0.99Ce0.01)3Al5で表される混合物を得た。この混合物をアルミナルツボに入れ、大気雰囲気下、1300℃から1600℃の範囲で10時間焼成して焼成物を得た。得られた焼成物を、乾式ふるいを通過させて分級し、(Y0.99Ce0.01)3Al5O12で表される組成を有する第1原料YAG蛍光体(共沈YAG蛍光体)を準備した。第1原料YAG蛍光体(共沈YAG蛍光体)の平均粒径は、後述する方法で測定すると、0.3μmであった。
酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)を、(Y0.97Ce0.03)3Al5O12で表される組成となるように計量して、混合し、フラックスとしてフッ化アルミニウム(AlF3)を添加して、ボールミルで混合した。この混合物をアルミナルツボに入れ、還元性雰囲気下、1400℃から1600℃の範囲で10時間焼成して焼成物を得た。得られた焼成物を、純水中に分散させ、ふるいを介して種々の振動を加えながら溶媒流を流して、湿式ふるいを通過させ、次いで脱水、乾燥し、乾式ふるいを通過させて分級し、(Y0.97Ce0.03)3Al5O12で表される組成を有する第2原料YAG蛍光体aを準備した。第2原料YAG蛍光体aの平均粒径は、後述する方法で測定すると、1.1μmであった。表1において、本製造例の第2原料YAG蛍光体aと記載した。
酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)を、(Y0.99Ce0.01)3Al5O12で表される組成となるように計量して、混合したこと以外は、第2原料YAG蛍光体aの製造方法と同様にして、(Y0.99Ce0.01)3Al5O12で表される組成を有する第2原料YAG蛍光体bを準備した。第2原料YAG蛍光体bの平均粒径は、後述する方法で測定すると、1.1μmであった。表1において、本製造例の第2原料YAG蛍光体b記載した。
平均粒径が0.05μmである酸化イットリウム粒子(酸化イットリウムの純度が99.9質量%)を用いた。
平均粒径が0.6μmである酸化アルミニウム粒子(酸化アルミニウムの純度が99.9質量%)を用いた。
平均粒径が0.2μmである酸化セリウム粒子(酸化セリウムの純度が99.9質量%)を用いた。
第1原料YAG蛍光体、第2原料YAG蛍光体a、第2原料YAG蛍光体b、酸化イットリウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化セリウム粒子について、Fisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、気温25℃、湿度70%RHの環境下において、1cm3分の試料(蛍光体、各酸化物原料)をそれぞれ計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取り、FSSS法による平均粒径を算出した。結果は上述のとおりである。
第1粒子を原料混合物とし、第2粒子を平均粒径が1.1μmの第2原料YAG蛍光体aとし、第1粒子及び第2粒子に含まれる各元素の合計が(Y0.97Ce0.03)3Al5O12で表される組成となるように計量した。原料混合物は、平均粒径が0.05μmである酸化イットリウム(Y2O3)と、平均粒径が0.2μmである酸化セリウム(CeO2)と、平均粒径が0.6μmである酸化アルミニウム(Al2O3)とを、(Y0.97Ce0.03)3Al5O12で表される組成となるように計量し、混合した。第一粒子として用いた原料混合物と、第二粒子として用いた第2原料YAG蛍光体aの質量比率(第一/第二比率)を表1に示す。原料混合物と、第2原料YAG蛍光体aとを、乾式ボールミルで混合し、成形体用の混合粉体を準備した。混合粉体から混合媒体であるボールを除いた後、混合粉体を金型に充填し、5MPa(51kgf/cm2)の圧力で直径65mm、厚さ15mmの円筒形状の成形体を形成した。得られた成形体を、包装容器に入れて真空包装し、冷間静水等方圧加圧装置(神戸製鋼所(KOBELCO)社製)を用いて176MPaでCIPを行い、成形体を得た。得られた成形体を焼成炉(丸祥電気社製)により焼成を行い、希土類アルミン酸塩焼結体を得た。焼成の条件は、大気雰囲気(101.3MPa、酸素濃度:約20体積%)であり、温度が1650℃であり、焼成時間が6時間であった。得られた希土類アルミン酸塩焼結体をワイヤーソーで適切な形状および大きさに切断した後、その切断物の表面を平面研削機で研磨した。そして、最終的に板厚が230μmである実施例1の希土類アルミン酸塩焼結体を得た。
第1粒子として原料混合物と、第2粒子として第2原料YAG蛍光体aとを、表1に示す配合比率で混合し、得られた成形体を焼成する温度を、表1に示す温度としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2及び3の希土類アルミン酸塩焼結体を得た。
第1粒子を原料混合物とし、第2粒子を平均粒径が1.1μmの第2原料YAG蛍光体bとし、第1粒子及び第2粒子に含まれる各元素の合計が(Y0.99Ce0.01)3Al5O12で表される組成となるように計量し、第1粒子と第2粒子とを表1に示す配合比率で混合し、得られた成形体を焼成する温度を、表1に示す温度としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4及び5の希土類アルミン酸塩焼結体を得た。
第1粒子を原料混合物とし、第2粒子を平均粒径が0.3μmの第1原料YAG蛍光体(共沈YAG蛍光体)をとし、第1粒子及び第2粒子に含まれる各元素の合計が(Y0.99Ce0.01)3Al5O12で表される組成となるように計量し、第1粒子と第2粒子とを表1に示す配合比率で混合し、得られた成形体を焼成する温度を、表1に示す温度としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の希土類アルミン酸塩焼結体を得た。
原料混合物を用いることなく、平均粒径が1.1μmの第2原料YAG蛍光体aを用い、成形体を焼成する温度を、表1に示す温度としたこと以外は実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩焼結体を得た。得られた希土類アルミン酸塩焼結体をワイヤーソーで適切な形状および大きさに切断した後、その切断物の表面を平面研削機で研磨した。そして、最終的に板厚が195μmである比較例1の希土類アルミン酸塩焼結体を得た。なお、比較例1の希土類アルミン酸塩焼結体を、実施例1から6と同じ板厚が230μmとなるようにした場合には、後述する光径比が大きくなる。そのため、比較例1の希土類アルミン酸塩焼結体では、板厚を実施例1から6の希土類アルミン酸塩焼結体よりも薄くした。
第1原料YAG蛍光体、第2原料YAG蛍光体a及び第2原料YAG蛍光体bを用いることなく、原料混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩焼結体を得た。得られた希土類アルミン酸塩焼結体をワイヤーソーで適切な形状および大きさに切断した後、その切断物の表面を平面研削機で研磨した。そして、最終的に板厚が230μmである比較例2の希土類アルミン酸塩焼結体を得た。
原料混合物及び第2原料YAG蛍光体a及び第2原料YAG蛍光体bを用いることなく、第1原料YAG蛍光体(共沈YAG蛍光体)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩焼結体を得た。得られた希土類アルミン酸塩焼結体をワイヤーソーで適切な形状および大きさに切断した後、その切断物の表面を平面研削機で研磨した。そして、最終的に板厚が230μmである比較例3の希土類アルミン酸塩焼結体を得た。
各実施例及び比較例の各希土類アルミン酸塩焼結体の相対密度を測定した。結果を表1に示す。各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体の相対密度は上述した式(1)により算出した。希土類アルミン酸塩焼結体の見掛け密度は、上述した式(2)より算出した。希土類アルミン酸塩焼結体の真密度は、YAG蛍光体の真密度とした。第1原料YAG蛍光体(共沈YAG蛍光体)、第2原料YAG蛍光体a及び第2原料YAG蛍光体bともに、真密度は4.60g/cm3とした。
各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体に対して、レーザーダイオードから波長が455nmのレーザー光を入射光の光径が3.5mmとなるようにして照射して希土類アルミン酸塩焼結体に入射し、レーザー光を入射した面と同一の面から出射された光の放射束を、積分球で測定した。比較例1の放射束を100%とし、比較例1の放射束に対する各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体のサンプルを測定した放射束を相対光束(%)として表した。
各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体に対して、レーザーダイオードから波長が455nmのレーザー光を入射光の光径が、レーザー光が入射された第1の主面上で3.5mmとなるように照射し、レーザー光の光径を希土類アルミン酸塩焼結体の第1の主面に入射される入射光の光径とした。レーザー光が入射された第1の主面と同一の面から出射された出射光の光径は、各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体から出射された光の発光輝度を色彩輝度計で測定し、得られた発光スペクトルにおいて最大輝度を示す位置を中心(測定中心)とし、発光スペクトルにおいて最大輝度の100分の1となる輝度(1/100輝度)となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)を絶対値として測定し、最大輝度から最大輝度の1/100輝度となる測定中心から2か所の位置の距離(mm)の絶対値の和を第1の主面から出射された出射光の光径として測定した。第1の主面に入射される入射光に対する同一面である第1の主面から出射された出射光の光径の光径比を求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体の平面又は断面のSEM画像を観察し、SEM画像において、粒界で区切られている1つの結晶相の最長直径と最短直径とを測定するか、1つの結晶相の2箇所以上の直径を測定して、1つの結晶相の最長直径と最短直径の平均値、又は、1つの結晶相の2箇所以上の直径の平均値を、結晶相の円相当の粒径とした。測定対象として10個の結晶相の円相当の粒径を測定し、測定対象である結晶相の個数で除した数値を結晶相の円相当の平均粒径とした。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体の断面のSEM画像を観察し、SEM画像において、1つの空隙の最長直径と最短直径を測定するか、1つの空隙の2箇所以上の直径を測定して、1つの空隙の最長直径と最短直径の平均値、又は、1つの空隙の2箇所以上の直径の平均値を、空隙の円相当の孔径とした。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩焼結体の任意の断面のSEM画像を観察し、1つのSEM画像を4分割した単位面積645μm2当たり空隙の個数を測定し、各単位面積当たりの空隙の個数を合計して測定対象とした単位面積の個数で除した値、この場合は4で割ることによって単位面積当たりの空隙の平均個数を算出した。希土類アルミン酸塩焼結体の断面における単位面積当たりの空隙の平均個数は、希土類アルミン酸塩焼結体の断面の任意の5箇所をSEM画像で観察し、5箇所のそれぞれを4分割して個々の単位面積を645μm2とし、5箇所のSEM画像を4分割した20個の単位面積645μm2に含まれる空隙の数の合計を測定対象とした単位面積個数の20で除して求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各実施例及び比較例のSEM写真を得た。図6から8は、それぞれ実施例1から3の希土類アルミン酸塩焼結体の断面のSEM写真であり、図9及び10は、それぞれ比較例1及び2の希土類アルミン酸塩焼結体の断面のSEM写真である。
Claims (11)
- フィッシャーサブシーブサイザー法で測定した平均粒径が、0.3μm以上10μm以下の範囲内である、希土類アルミン酸塩の組成を有する蛍光体と、
Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む酸化物、Ceを含む酸化物、Alを含む酸化物、及び必要に応じてGa及びScから選択される少なくとも一種の元素M1を含む酸化物、を含む原料混合物と、を混合して成形体を準備することと、
前記成形体を焼成し、焼結体を得ることを含む、希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。 - 希土類アルミン酸塩の組成を有する蛍光体と、
Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む酸化物、Ceを含む酸化物、Alを含む酸化物、及び必要に応じてGa及びScから選択される少なくとも一種の元素M 1 を含む酸化物、を含む原料混合物と、を混合して成形体を準備することと、
前記成形体を焼成し、焼結体を得ることを含み、
前記希土類元素Lnを含む酸化物、Ceを含む酸化物、Alを含む酸化物、及び必要に応じて元素M1を含む酸化物の平均粒径が、それぞれ0.01μm以上1.5μm以下の範囲内である、希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。 - 前記希土類元素Lnを含む酸化物、Ceを含む酸化物、Alを含む酸化物、及び必要に応じて元素M1を含む酸化物の平均粒径が、それぞれ0.01μm以上1.5μm以下の範囲内である、請求項1に記載の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。
- 前記蛍光体と前記原料混合物の合計量に対して、前記蛍光体が10質量%以上90質量%以下の範囲内含まれる成形体を準備する、請求項1から3のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。
- フィッシャーサブシーブサイザー法で測定した平均粒径が0.3μm以上1.0μm以下の範囲内の希土類アルミン酸塩の組成を有する第1蛍光体と、フィッシャーサブシーブサイザー法で測定した平均粒径が1.1μm以上10μm以下の範囲内の希土類アルミン酸塩の組成を有する第2蛍光体と、を混合して成形体を準備することと、
前記成形体を焼成し、焼結体を得ることを含む、希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。 - 前記第1蛍光体が、共沈法により形成された、請求項5に記載の製造方法。
- 前記第1蛍光体と前記第2蛍光体の合計量に対して、前記第1蛍光体が10質量%以上90質量%以下の範囲内で含まれる成形体を準備する、請求項5又は6に記載の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。
- 前記希土類アルミン酸塩が、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnと、Ceと、Alと、必要に応じてGa及びScから選択される少なくとも一種の元素M1とを含み、前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、Alと前記元素M1の合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積であり、Ceのモル比が0.003以上0.017以下の変数nと3の積である組成を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。
- 前記希土類アルミン酸塩が、下記式(I)で表される組成を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。
(Ln1-nCen)3(Al1-mM1 m)5kO12 (I)
(式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、M1は、Ga及びScから選択される少なくとも一種の元素であり、m、n、kは、それぞれ0≦m≦0.02、0.003≦n≦0.017、0.95≦k≦1.05を満たす数である。) - 前記成形体を酸素含有雰囲気のもとで焼成する、請求項1から9のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。
- 前記成形体を焼成する温度が、1200℃以上1800℃未満の範囲である、請求項1から10のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩焼結体の製造方法。
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