JP2024031839A - 焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光束の高い焼結体及びその製造方法を提供する。【解決手段】希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、酸化アルミニウム相と、を含み、前記結晶凝集粒の周囲に前記酸化アルミニウム相が配置される、焼結体である。湿式混合した後に乾燥して得られる第1原料混合物を準備することと、前記第1原料混合物と、酸化アルミニウム粒子と、を乾式混合することと、前記第1原料混合物と前記酸化アルミニウム粒子とを乾式混合して得られる混合物を成形することと、前記混合物を成形して得られる成形体を焼成すること、を含む焼結体の製造方法である。【選択図】図5

Description

本開示は、焼結体及びその製造方法に関する。
発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)と、LEDやLDから発せられた光の波長を変換する蛍光体を含む波長変換部材を備えた発光装置が知られている。このような発光装置は、例えば車載用、一般照明用、液晶表示装置のバックライト、プロジェクター等の光源に用いられている。
発光装置に備えられる波長変換部材として、例えば、特許文献1には、理論密度に対して特定の範囲の密度を有する単相の多孔質オプトセラミックスが開示されている。
特開2017-197774号公報
波長変換部材は、多孔性により光を散乱させる場合、多孔性によって波長変換部材の密度が低下すると光束が低下し、光の取り出し効率が低下しやすくなる。
そこで本開示は、高い光の取り出し効率を維持しながら、光束を高めることができる、焼結体及びその製造方法を提供することを目的とする。
第一態様は、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、酸化アルミニウム相と、を含み、前記結晶凝集粒の周囲に前記酸化アルミニウム相が配置される、焼結体である。
第二態様は、湿式混合した後に乾燥して得られる第1原料混合物を準備することと、前記第1原料混合物と、酸化アルミニウム粒子と、を乾式混合することと、前記第1原料混合物と前記酸化アルミニウム粒子とを乾式混合して得られる混合物を成形することと、前記混合物を成形して得られる成形体を焼成すること、を含む焼結体の製造方法である。
本開示によれば、高い光の取り出し効率を維持しながら、光束を高めることができる、焼結体及びその製造方法を提供することができる。
焼結体の製造方法のフローチャートである。 発光装置の一例を示す概略構成を示す図である。 焼結体を含む蛍光体デバイスの一例の概略構成を示す平面図である。 焼結体を含む蛍光体デバイスの一例の概略構成を示す側面図である。 実施例1に係る焼結体のSEM写真である。 実施例2に係る焼結体のSEM写真である。 比較例1に係る焼結体のSEM写真である。 比較例2に係る焼結体のSEM写真である。 比較例3に係る焼結体のSEM写真である。 比較例4に係る焼結体のSEM写真である。
以下、本発明に係る焼結体及びその製造方法を実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下の焼結体及びその製造方法に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係は、JIS Z8110に従う。
焼結体は、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、酸化アルミニウム相と、を含み、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置されたものである。本明細書において、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相は、「蛍光体結晶相」と記載する場合がある。また、希土類アルミン酸塩蛍光体は、「蛍光体」と記載する場合がある。蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒の周囲に、酸化アルミニウム相が配置されていると、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相よりも熱伝導率の高い酸化アルミニウム相によって、焼結体に入射された励起光を吸収して発光するときの熱が放熱され、熱による発光エネルギーの低下を抑制することができ、焼結体から出射される光束を高めることができる。なお、Ceで賦活されたルテチウムを含むイットリウムアルミニウムガーネット構造を有する、ルテチウムアルミニウムガーネット蛍光体の熱伝導率は、約8Wm-1・K-1であり、酸化アルミニウムの熱伝導率は30Wm-1・K-1である。
焼結体は、一断面視において、2つ以上の結晶凝集粒を含み、2つ以上の結晶凝集粒の間に酸化アルミニウム相が配置されることが好ましい。一断面視は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定されたSEM画像における焼結体の表面又は断面を見ることを示す。2つ以上の結晶凝集粒の間に、酸化アルミニウム相が配置されていると、励起光のエネルギーを吸収して発光するときの熱が、蛍光体結晶相よりも熱伝導率の高い酸化アルミニウム相よって放熱されやすくなり、熱による発光エネルギーの低下を抑制することができ、高い光束の光を発することができる。
希土類アルミン酸塩蛍光体の原料を用いて焼結体を形成する場合、希土類アルミン酸塩蛍光体の組成に含まれる余剰の酸化アルミニウムが遊離して、酸化アルミニウム相が形成される場合がある。余剰のアルミニウムが希土類アルミン酸塩蛍光体の組成に入ると、希土類アルミン酸塩蛍光体の結晶構造に歪みを生じさせる。希土類アルミン酸塩蛍光体の結晶構造が歪み、母体結晶の格子点がずれると、励起光のエネルギーを吸収できず、歪みが生じた結晶構造の熱振動によって発光のためのエネルギーが失われ、光束が低下する場合がある。例えば特開2019-218560号公報に開示された単相の多孔質オプトセラミックスは、遊離したAlの含有率を2.5体積%未満にすることで、セラミックスの亀裂形成を抑制することが開示されている。
焼結体において、結晶凝集粒の周囲に配置された酸化アルミニウム相は、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を形成する原料としての酸化アルミニウム(以下、「第1酸化アルミニウム」ともいう。)が、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を形成する際に、蛍光体の組成に組み込まれずに遊離した余剰のアルミニウムを起因とする酸化アルミニウムからなるものではない。希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を形成する原料の第1酸化アルミニウムとは別に、第1酸化アルミニウムとは大きさの異なる酸化アルミニウム(以下、「第2酸化アルミニウム」ともいう。)を加えることにより、希土類アルミン酸塩蛍光体の組成に組み込まれずに遊離した余剰の酸化アルミニウムよりも多い量となる、酸化アルミニウム相を、結晶凝集粒の周囲に配置することができる。酸化アルミニウム相が、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を形成するための原料である第1酸化アルミニウムを起因として形成された酸化アルミニウムのみからなる酸化アルミニウム相ではなく、第1酸化アルミニウムとは、大きさの異なる第2酸化アルミニウムから形成された酸化アルミニウム相であることによって、希土類アルミン酸塩蛍光体の母体結晶構造を歪ませることなく、希土類アルミン酸塩蛍光体の発光時の熱を効率よく放出し、光束を高めることができる。
焼結体は、焼結体の表面又は断面において、最大長が1.0μm以上の酸化アルミニウム相を含むことが好ましい。希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を形成する原料としての第1酸化アルミニウム(第1酸化アルミニウム粒子)は、他の原料との反応性を高めるためにBET比表面積が大きく、粒径が比較的小さいものであるが好ましい。一方、蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒の周囲に配置される酸化アルミニウム相を形成する第2酸化アルミニウム(第2酸化アルミニウム粒子)は、蛍光体結晶相を形成する原料と反応し難くするために、BET比表面積が小さく、粒径が比較的大きいものであることが好ましい。焼結体は、その表面又は断面において、最大長が1.0μm以上の酸化アルミニウム相が含まれており、酸化アルミニウム相が結晶凝集粒の周囲に配置されていれば、蛍光体結晶相の組成に含まれなかった余剰の第1酸化アルミニウムのみから酸化アルミニウム相が形成されているのではなく、第1酸化アルミニウムとは異なる大きさの第2酸化アルミニウムを由来とする酸化アルミニウム相が形成されていると推測できる。本明細書において、測定対象となる焼結体の表面又は断面における酸化アルミニウム相又は結晶凝集粒の輪郭の最も離れている2点を酸化アルミニウム相又は結晶凝集粒の長径とし、測定対象となる焼結体の表面又は断面における酸化アルミニウム相又は結晶凝集粒の長径のうち最大の値を最大長とする。焼結体は、その表面又は断面において、酸化アルミニウム相の最大長が3.0μm以下であってもよく、2.5μm以下であってもよく、2.0μm以下であってもよい。
焼結体は、焼結体の表面又は断面において、酸化アルミニウム相を、表面又は断面の100面積%に対して、2.5面積%以上10.0面積%以下の範囲内で含むことが好ましい。焼結体において、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置され、酸化アルミニウム相を、表面又は断面の100面積%に対して、2.5面積%以上10.0面積%以下の範囲内で含んでいれば、蛍光体結晶相が励起光のエネルギーを吸収して発光するときの熱を、蛍光体結晶相よりも熱伝導率の高い酸化アルミニウム相から効率よく放熱して、光束を高めることができる。焼結体の表面又は断面において、酸化アルミニウム相は、表面又は断面の100面積%に対して、3.0面積%以上含まれてよく、4.0面積%以上含まれてもよく、4.5面積%以上含まれてもよく、9.5面積%以下含まれてもよく、9.0面積%以下含まれてもよく、8.5面積%以下含まれてもよい。焼結体において、焼結体の表面又は断面の100面積%に対する酸化アルミニウム相の面積割合は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定されたSEM画像から求めることができる。
焼結体は、焼結体の表面又は断面における、結晶凝集粒の最大長が10.0μm以上150.0μm以下の範囲内であることが好ましい。焼結体の表面又は断面における、結晶凝集粒の最大長は、60.0μm以上130.0μm以下の範囲内であることがより好ましく、70.0μm以上120.0μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。焼結体の表面又は断面における、結晶凝集粒の最大長が、10.0μm以上150.0μm以下の範囲内であれば、焼結体に入射された励起光を、結晶凝集粒に含まれる蛍光体結晶相が吸収して波長変換しやすく、焼結体から出射される光束の低下を抑制して、高い光束を維持した光を焼結体から出射することができる。焼結体の表面又は断面における結晶凝集粒の最大長が10.0μm以上150.0μm以下の範囲内であれば、結晶凝集粒が、酸化アルミニウム相よりも大きく、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置されやすくなる。また、結晶凝集粒が、希土類アルミン酸塩結晶相よりも大きいと、2つ以上の結晶凝集粒の間に酸化アルミニウム相が配置されやすくなる。
焼結体の表面又は断面における測定範囲の領域は、SEMを用いて測定されたSEM画像における48387μmの領域であることが好ましい。焼結体の表面又は断面における測定範囲の領域は、酸化アルミニウム相の長径、最大長、及び測定範囲の領域の100面積%に対する酸化アルミニウム相の面積割合、並びに、結晶凝集粒の長径及び最大長を測定することができる。焼結体の表面又は断面におけるSEM画像において48387μmの領域であれば、酸化アルミニウム相の長径、最大長及び酸化アルミニウム相の面積割合、並びに、結晶凝集粒の長径及び最大長を正確に測定することができる。
焼結体において、結晶凝集粒と酸化アルミニウム相の合計100体積%に対して、酸化アルミニウム相が2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内であることが好ましい。結晶凝集粒と酸化アルミニウム相の合計100体積%に対して、酸化アルミニウム相が3.0体積%以上9.5体積%以下の範囲内でもよく、4.0体積%以上9.0体積%以下の範囲内でもよく、4.5体積%以上8.5体積%以下の範囲内でもよい。焼結体において、酸化アルミニウム相が2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内であると、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置されやすく、2つ以上の結晶凝集粒の間に酸化アルミニウム相が配置されやすくなる。焼結体において、結晶凝集粒と酸化アルミニウム相の合計100体積%に対する酸化アルミニウム相の体積割合は、焼結体の表面又は断面の100面積%に対する酸化アルミニウム相の面積割合と同様に、SEMを用いて測定されたSEM画像から求めることができる。焼結体中の酸化アルミニウム相は、焼結体の表面又は断面に表される酸化アルミニウム相が厚さ方向にも存在すると推測できるためである。
希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相は、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相に、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素が含まれると、入射された励起光を吸収して所望の色調の光に波長変換する組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が得られやすくなる。
希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相は、下記式(I)で表される組成式に含まれる組成を有することが好ましい。希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が、下記式(I)で表される組成を有していると、励起光を吸収して、所望の色調に波長変換した光を出射することができる。
(R 1-nCe(Al1-m 5k12 (I)
(前記式(I)中、Rは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mは、Ga及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、m、n及びkは、それぞれ0≦m≦0.02、0.001≦n≦0.017、0.95≦k≦1.10を満たす。)
上記式(I)で表される組成において、Rは、2種以上の希土類元素が含まれていてもよい。Ceは、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相の賦活元素であり、変数nと3の積は、前記式(I)で表される組成において、Ceのモル比を表す。変数nは、より好ましくは0.002以上0.016以下(0.002≦n≦0.016)、さらに好ましくは0.003以上0.015以下(0.003≦n≦0.015)である。前記式(I)で表される組成において、変数mと5とkの積は、元素Mのモル比を表す。元素Mは、式(I)で表される組成において含まれていない、つまり、m=0であってもよい。前記式(I)で表される組成において、所望の色調に波長変換するために、変数mは、0.00001以上0.02以下(0.00001≦m≦0.02)であってもよく、0.00005以上0.018以下(0.00005≦m≦0.018)であってもよい。前記式(I)で表される組成において、変数kと5の積は、Al及び元素Mの合計のモル比を表す。変数kは、より好ましくは0.96以上1.09以下(0.96≦k≦1.09)であり、さらに好ましくは0.97以上1.08以下(0.97≦k≦1.08)である。
焼結体は、その相対密度が90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることが好ましく、100%でもよく、99%以下でもよい。焼結体は、その相対密度が90%以上100%以下の範囲内であると、蛍光体結晶相で焼結体に入射された励起光を波長変換するときに発する熱が、蛍光体結晶相の周囲に配置された酸化アルミニウム相から効率よく放熱されるため、光束の高い波長変換光を出射することができる。
焼結体の相対密度は、焼結体の見掛け密度及び焼結体の真密度から下記式(1)により算出することができる。
Figure 2024031839000002
焼結体の見掛け密度は、焼結体の質量を焼結体の体積で除した値であり、下記式(2)により算出することができる。焼結体の真密度は、下記式(3)により、蛍光体の真密度と、酸化アルミニウム(酸化アルミニウム粒子)の真密度を用いることができる。焼結体の空隙率は、100%から焼結体の相対密度を差し引いた残部である。
Figure 2024031839000003
Figure 2024031839000004
焼結体は、励起光が入射される入射面(第1の主面)と、波長変化された光が出射する出射面(第1の主面)とが同一の面である反射型の波長変換部材として用いることができる。焼結体を反射型の波長変換部材として用いる場合には、焼結体の厚さには制限されず、焼結体が板状体である場合には、光の取り出し効率をよくするために、板厚は、90μm以上250μm以下の範囲内であることが好ましく、100μm以上240μm以下の範囲内であることがより好ましい。
焼結体は、形状が板状であり、励起光が入射される入射面と光が出射される出射面が同一の面である場合に、入射光の光径を100%としたときに、出射光の光径が102%未満であることが好ましく、101%以下であることより好ましい。このように、入射光の光径に対して、入射面と同一面から出射される出射光の光径が、入射光の光径100%に対して、102%未満であれば、出射光の光の広がりが抑制されたまま維持され、焼結体から出射された光を目的の位置に集光しやすくなる。焼結体の一つの面に入射される入射光の光径は、光源から出射された光の光径である。入射光の光径は、例えば色彩輝度計によって測定することができる。入射光の光径は、好ましくは0.1mm以上5mm以下の範囲内であり、より好ましくは0.5mm以上4mm以下の範囲内である。焼結体の入射光が入射された面と同一の面から出射される出射光の光径は、焼結体から出射される光の発光輝度を、色彩輝度計によって測定し、得られた発光スペクトルにおいて最大輝度を示す位置を中心(測定中心)とし、発光スペクトルにおいて最大輝度の100分の10となる輝度(以下、「10/100輝度」と記載する場合がある。)となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)を絶対値として測定し、発光スペクトルにおける最大輝度から最大輝度の10/100輝度となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)の絶対値の和を出射光の光径として測定することができる。
焼結体の製造方法は、湿式混合した後に乾燥して得られる第1原料混合物を準備することと、第1原料混合物と、酸化アルミニウム粒子と、を乾式混合することと、第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子とを乾式混合して得られる混合物を成形することと、混合物を成形して得られる成形体を焼成すること、とを含む。
図1は、焼結体の製造方法の一例を示すフローチャートである。図1を参照にして、焼結体の製造方法を説明する。焼結体の製造方法は、第1原料混合物を準備するS101ことと、第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子を乾式混合するS102ことと、混合物を成形するS103ことと、成形体を焼成するS104ことを含む。
第1原料混合物を準備するときに、第1原料混合物は、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の希土類元素Rを含む第1酸化物粒子と、Ceを含む第2酸化物粒子と、Alを含む第3酸化物粒子と、を含み、必要に応じてGa及びScから選択される少なくとも1種の元素Mを含む第4酸化物粒子と、必要に応じて希土類アルミン酸塩蛍光体粒子を含んでもよい。
第1酸化物粒子は、具体的には、酸化イットリウム粒子、酸化ランタン粒子、酸化ルテチウム粒子、酸化ガドリニウム粒子、酸化テルビウム粒子が挙げられる。第2酸化物粒子は、酸化セリウム粒子が挙げられる。第3酸化物粒子は、酸化アルミニウム粒子が挙げられる。第4酸化物粒子は、酸化ガリウム粒子、酸化スカンジウム粒子が挙げられる。
Alを含む第3酸化物粒子が、酸化アルミニウム粒子である場合、第1原料混合物に含まれるAlを含む第3酸化物粒子である酸化アルミニウム粒子は、「第1酸化アルミニウム粒子」ともいう。第3酸化物粒子(第1酸化アルミニウム粒子)は、後述する第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子(以下、「第2酸化アルミニウム粒子」ともいう。)よりもBET比表面積が大きく、粒径が小さい方が好ましい。第1原料混合物に含まれる第3酸化物粒子である第1酸化アルミニウム粒子は、第2酸化アルミニウム粒子に比べてBET比表面積が大きく、第2酸化アルミニウム粒子に比べて粒径が小さいと、第1原料混合物に含まれる各酸化物粒子と反応性がよく、好ましくは前記式(I)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が形成されやすく、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相の結晶構造の歪みが抑制され、母体結晶の格子点がずれないため、励起光のエネルギーを効率よく吸収して、波長変換された光束の高い光を蛍光体結晶相から出射することができる。Alを含む第3酸化物粒子、例えば第1酸化アルミニウム粒子は、BET比表面積が10.0m/gを超えて15.0m/g以下の範囲内であることが好ましい。Alを含む第3酸化物粒子のBET比表面積が10.0m/gを超えて15.0m/g以下の範囲内であれば、第1原料混合物に含まれる酸化物粒子との反応性が高くなり、所望の組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を形成することができる。Alを含む第3酸化物粒子のBET比表面積は、10.5m/g以上14.5m/g以下の範囲内でもよく、11.0m/g以上14.0m/g以下の範囲内でもよく、11.5m/g以上13.5m/g以下の範囲内でもよい。
第1原料混合物に含まれる各酸化物粒子は、前記式(I)で表される組成となるモル比となるように配合されることが好ましい。
第1原料混合物に含まれる各酸化物が、例えば、前記式(I)で表される組成となるモル比となるように配合されている場合には、第1原料混合物に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体粒子は、前記式(I)で表される組成を有することが好ましい。
第1原料混合物に希土類アルミン酸塩蛍光体粒子を含む場合は、第1酸化物粒子、第2酸化物粒子、第3酸化物粒子、及び必要に応じて第4酸化物粒子の合計100質量%に対して、希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の質量比率が10質量%以上90質量%以下の範囲内であることが好ましく、12質量%以上80質量%以下の範囲内であることがより好ましく、15質量%以上70質量%以下の範囲内であることがより好ましい。第1原料混合物中に前記質量比率の範囲内の希土類アルミン酸塩蛍光体粒子が含まれていると、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置されるように、所望の大きさの結晶凝集粒を含む焼結体を得やすい場合がある。第1原料混合物に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体粒子は、共沈法により形成された希土類アルミン酸塩蛍光体粒子でもよい。共沈法により形成された希土類アルミン酸塩蛍光体粒子は、大きな比表面積を有し、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒を形成しやすい。
第1原料混合物は、湿式混合されることが好ましい。第1原料混合物は、湿式混合されることによって、第1から第4酸化物粒子、及び必要に応じて希土類アルミン酸塩蛍光体粒子が液体に均一に分散され、均質な希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒が形成される。第1原料混合物を湿式混合するときに用いる液体は、脱イオン水、水、エタノール等が挙げられる。第1原料混合物を湿式混合するときに用いる液体は、第1原料混合物100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下の範囲内であることが好ましく、40質量部以上150質量部以下の範囲内でもよい。
湿式混合される第1原料混合物は、分散剤を含んでいてもよい。分散剤は、例えば有機系分散剤を用いることができ、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、ノニオン性分散剤等を用いることができる。第1原料混合物に分散剤を加える場合には、加熱脱脂や焼成によって分散剤が揮発する量であることが好ましく、第1原料混合物100質量%に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下でもよく、3質量%以下でもよい。
第1原料混合物は、湿式混合後、乾燥して、第1原料混合物が得られる。乾燥温度は、50℃以上150℃以下の範囲内でよく、乾燥時間は1時間以上20時間以内でよい。第1原料混合物を湿式混合し、乾燥させることで、第1から第4酸化物及び必要に応じて含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の各原料が均一に混合された第1原料混合物を得ることができる。
第1原料混合物に含まれるAlを含む第3酸化物粒子のBET比表面積よりも、第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)のBET比表面積の方が小さいことが好ましい。第2酸化アルミニウム粒子は、Alを含む第3酸化物粒子よりもBET比表面積が小さいため、第1原料混合物中の各酸化物粒子と反応し難く、第1原料混合物から形成された結晶凝集粒の周囲に第2酸化アルミニウム粒子から形成された酸化アルミニウム相が形成されやすい。
第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)は、BET比表面積が1.0m/g以上10.0m/g以下の範囲内であることが好ましい。第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)のBET比表面積が1.0m/g以上10.0m/g以下の範囲内であれば、第2酸化アルミニウム粒子は、そのBET比表面積が小さいため、第1原料混合物中の各酸化物粒子と反応し難く、第1原料混合物から形成された結晶凝集粒の周囲に、蛍光体結晶相が発する熱を放熱しやすい大きさの第2酸化アルミニウム粒子から形成された酸化アルミニウム相が形成されやすい。第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)のBET比表面積は、1.5m/g以上9.0m/g以下の範囲内でもよく、2.0m/g以上8.0m/g以下の範囲内でもよく、3.0m/g以上7.0m/g以下の範囲内でもよい。
焼結体の製造方法は、湿式混合後、乾燥させて得られた第1原料混合物と、酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)とを乾式混合することを、を含む。乾式混合は、例えばボールミルで10分間以上2時間以内で行うことが好ましい。乾式混合後に、目開き350μm以下の篩を通してもよい。第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子が乾式混合されると、湿式混合された場合よりも均等に混合されない。湿式混合された場合ほど均等に混合されていない乾式混合された第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子が焼成されることによって、第1原料混合物から希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒が形成され、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置された焼結体が得られやすくなる。第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子を含む混合物は、一部が粉砕される、乾式粉体混合されてもよい。
酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)は、第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子の合計量100体積%に対して、2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内となるように含まれることが好ましい。第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子の合計量100体積%に対して、酸化アルミニウム粒子が2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内となるように、第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子が乾式混合して得られる混合物を用いることにより、結晶凝集粒と酸化アルミニウム相の合計100体積%に対して酸化アルミニウム相が2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内である焼結体を得ることができる。第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子の合計量100体積%に対して、酸化アルミニウム粒子は、3.0体積%以上含まれてよく、4.0体積%以上含まれてもよく、4.5体積%以上含まれてもよく、9.5体積%以下含まれてもよく、9.0体積%以下含まれてもよく、8.5体積%以下含まれてもよい。
焼結体の製造方法は、乾式混合して得られる混合物を成形することを含む。乾式混合して得られる混合物を成形する方法は、プレス成形法等の知られている方法を採用することができる。プレス成形法としては、例えば金型プレス成形法、JIS Z2500:2000、No.2109で用語が定義されている、冷間静水等方圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)法等が挙げられる。その他に一軸で圧縮して成形してもよい。成形方法は、成形体の形状を整えるために、2種の方法を採用してもよく、例えば金型プレス成形をした後に、CIPを行ってもよく、ローラベンチ法により一軸で圧縮した後に、CIPを行ってもよい。CIPは、水を媒体とする冷間静水等方圧加圧法により成形体をプレスすることが好ましい。
金型プレス成形時の圧力又は一軸で圧縮して成形する場合の圧力は、好ましくは5MPa以上50MPa以下の範囲内であり、より好ましくは5MPa以上30MPa以下の範囲内である。金型プレス成形時の圧力又は一軸で圧縮して成形する場合の圧力が前記範囲であれば、成形体を所望の形状に整えることができる。
CIPにおける圧力は、好ましくは50MPa以上200MPa以下の範囲内であり、より好ましくは50MPa以上180MPa以下の範囲内である。CIPにおける圧力が50MPa以上200MPa以下の範囲内であると、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、結晶凝集粒の周囲に配置された酸化アルミニウム相を含む焼結体を得ることができる。
混合物を成形して得られる成形体は、加熱して、分散剤等を除去し脱脂してもよい。成形体を加熱して脱脂する場合は、大気及び窒素雰囲気中で、500℃以上1000℃以下の範囲内で加熱することが好ましい。大気及び窒素雰囲気中で500℃以上1000℃以下の範囲内で加熱することによって、成形体中に含まれる炭素の量が減り、炭素が含まれることによる光束の低下を抑制することができる。
焼結体の製造方法は、成形して得られる成形体を焼成することを含む。成形体を焼成するときに、焼成温度(焼成炉内の温度)は、1300℃以上1800℃以下の範囲内であることが好ましく、1400℃以上1790℃以下の範囲内であることがより好ましく、1450℃以上1780℃以下の範囲内であることがさらに好ましく、1500℃以上1700℃以下の範囲内でもよく、1550℃以上1650℃以下の範囲内でもよい。成形体を焼成するときに、焼成温度が1300℃以上であれば、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、結晶凝集粒の周囲に配置された酸化アルミニウム相を含む焼結体を得ることができる。成形体を焼成するときに、焼成温度が1800℃以下であれば、各結晶相の粒界がなくなるように溶解させることなく、焼結体の断面において、各結晶相の周囲に分散した空隙を含み、各結晶相の粒界が区別できる焼結体を得ることができる。
成形体を焼成するときは、酸素含有雰囲気のもとで行うことが好ましい。雰囲気中の酸素の含有量は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上である。成形体は、大気(酸素含有量が20体積%以上)雰囲気のもとで焼成してもよい。雰囲気中の酸素の含有量が1体積%未満の雰囲気中では、酸化物の表面が溶融し難く、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒が形成され難く、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置され難い場合がある。雰囲気中の酸素量の測定は、例えば焼成装置に流入する酸素量によって測定してもよく、20℃の温度、大気圧(101.325kPa)の圧力で測定してもよい。成形体を焼成するときの圧力は、大気圧(101.325kPa)であってもよい。
得られた焼結体は、還元雰囲気でアニール処理してもよい。得られた焼結体を還元雰囲気でアニール処理することによって、焼結体中の希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相に含まれる酸化された賦活元素であるセリウムが還元されて、各結晶相における波長変換効率の低下と発光効率の低下を抑制することができる。還元雰囲気は、へリウム、ネオン及びアルゴンからなる群から選ばれる少なくとも1種の希ガス又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含む雰囲気であればよく、雰囲気中に少なくともアルゴン又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含むことがより好ましい。アニール処理は、加工後に行ってもよい。
アニール処理の温度は、焼成温度よりも低い温度であり、1000℃以上1600℃以下の範囲内であることが好ましい。アニール処理の温度は、1100℃以上1400℃以下の範囲内であることがより好ましい。アニール処理の温度が、焼成温度よりも低い温度であり、1000℃以上1600℃以下の範囲内であれば、焼結体中の空隙を低下させることなく、焼結体中の希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相に含まれる酸化された賦活元素であるセリウムを還元し、波長変換の効率の低下と光束の低下を抑制することができる。
得られた焼結体は、所望の大きさ又は厚さに切断する加工してもよい。切断する方法は、公知の方法を利用することができ、例えば、ブレードダイシング、レーザーダイシング、ワイヤーソーを用いて切断する方法が挙げられる。
得られた焼結体は、面処理してもよい。面処理は、得られた焼結体を切断して得られた切断物の表面を面処理する。この面処理により、焼結体は、光の取り出し効率を高くするため、焼結体の表面を適切な状態とすることができるだけでなく、上述の加工と併せて、又は面処理単独で、焼結体を所望の形状、大きさ又は厚さにすることができる。面処理は、焼結体を所望の大きさ若しくは厚さに切断して加工する前に行ってもよく、加工後に行ってもよい。面処理する方法としては、例えば、サンドブラストによる方法、機械研削による方法、ダイシングによる方法、化学的エッチングによる方法等が挙げられる。
前述の製造方法によって、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、酸化アルミニウム相と、を含み、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置される、焼結体が得られる。前述の製造方法によって得られた焼結体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相は、前記式(I)で表される組成を有することが好ましい。
得られる焼結体は、波長変換部材として、光源と組み合わせることによって、プロジェクター用光源等の発光装置に用いることができる。
前述の焼結体を波長変換部材として用いた発光装置について、説明する。発光装置は、焼結体と、励起光源と、を備える。
励起光源は、LEDチップ又はLDチップからなる半導体発光素子であることが好ましい。半導体発光素子は、窒化物系半導体を用いることができる。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。焼結体は、半導体発光素子から発せられた光の波長を変換し、波長変換された混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。半導体発光素子は、例えば350nm以上500nm以下の波長範囲の光を発するものであることが好ましい。焼結体は、半導体発光素子からの励起光を波長変換して、500nm以上650nm未満に発光ピーク波長を有する出射光を発することが好ましい。
発光素子は、レーザーダイオードであることがより好ましい。励起光源であるレーザーダイオードから出射された励起光を、波長変換部材に入射させ、波長変換部材のセラミックス複合体に含まれる蛍光体によって波長が変換された光を集光させて、レンズアレイ、偏光変換素子、色分離光学系等の複数の光学系によって赤色光、緑色光、及び青色光に分離して、画像情報に応じて変調し、カラーの画像光を形成してもよい。励起光源としてレーザーダイオードから出射された励起光は、ダイクロイックミラー又はコリメート光学系等の光学系を通じて波長変換部材に入射させてもよい。
図2は、発光装置100の一例を示す構成を示す概略図である。図2中の矢印は、光の光路を模式的に表した。発光装置100は、発光素子である励起光源101と、コリメートレンズ102と、3つのコンデンサレンズ103、105及び106と、ダイクロイックミラー104と、ロッドインテグレータ107と、波長変換部材を含む波長変換デバイス120とを含むことが好ましい。励起光源101は、レーザーダイオードを用いることが好ましい。励起光源101は、複数のレーザーダイオードを用いてもよく、複数のレーザーダイオードをアレイ状又はマトリクス状に配置したものであってもよい。コリメートレンズ102は、複数のコリメートレンズがアレイ状に配置されたコリメートレンズアレイであってもよい。励起光源101から出射されたレーザー光は、コリメートレンズ102によって略平行光となり、コンデンサレンズ103によって集光され、ダイクロイックミラー104を通って、さらにコンデンサレンズ105によって集光される。コンデンサレンズ105によって集光されたレーザー光は、波長変換部材110と光反射板122と、を含む波長変換デバイス120によって波長変換され、所望の波長範囲に発光ピーク波長を有する光が、波長変換デバイス120の波長変換部材110側から出射される。波長変換デバイス120から出射された波長変換された光は、コンデンサレンズ106によって集光され、ロッドインテグレータ107に入射され、被照明領域における照度分布の均一性を高めた光が発光装置100から出射される。
図3は、波長変換デバイス120の一例の平面の構成を示す概略図である。なお、図4では、発光装置100を構成する部材の一つとして、波長変換デバイス120を側面図で示している。波長変換デバイス120は、少なくとも波長変換部材110を備える。波長変換デバイス120は、円板状の波長変換部材110を備え、波長変換部材110を回転させるための回転機構121を備えていてもよい。回転機構121は、モータ等の駆動機構と連結され、波長変換部材110を回転させることによって放熱することができる。
図4は、図2で発光装置100を構成する部材の一つとして側面図で示した波長変換デバイス120の詳細について、波長変換デバイス120の一例の側面の構成を示す概略図である。波長変換デバイス120は、波長変換部材110として、焼結体111と透光性薄膜112とを備える。波長変換デバイス120は、波長変換部材110の焼結体111の透光性薄膜112が配置されている側と反対側に光反射板122を備えている。なお、焼結体111からの光を透光性薄膜112が配置されている側に十分に出射させることができる場合には、光反射板122を省略することもできる。光反射板122は、焼結体111からの光を透光性薄膜112が配置されている側に反射させる部材としてだけでなく、焼結体111で発生した熱を伝達して外部に放熱する放熱部材として用いてもよい。
本発明に係る実施形態は、以下の焼結体及びその製造方法を含む。
[項1]
希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、酸化アルミニウム相と、を含み、
前記結晶凝集粒の周囲に前記酸化アルミニウム相が配置される、焼結体。
[項2]
一断面視において、2つ以上の前記結晶凝集粒を含み、2つ以上の前記結晶凝集粒の間に前記酸化アルミニウム相が配置される、項1に記載の焼結体。
[項3]
前記焼結体の表面又は断面において、最大長が1.0μm以上の前記酸化アルミニウム相を含む、項1又は2に記載の焼結体。
[項4]
前記焼結体の表面又は断面において、前記酸化アルミニウム相を、表面又は断面の100面積%に対して、2.5面積%以上10.0面積%以下の範囲内で含む、項1から3のいずれか1項に記載の焼結体。
[項5]
前記焼結体の表面又は断面における測定範囲の領域が、走査型電子顕微鏡を用いて測定されたSEM画像における48387μmの領域である、項4に記載の焼結体。
[項6]
前記焼結体の表面又は断面における、前記結晶凝集粒の最大長が10.0μm以上150.0μm以下の範囲内である、項1から5のいずれか1項に記載の焼結体。
[項7]
前記焼結体の表面又は断面における測定範囲の領域が、走査型電子顕微鏡を用いて測定されたSEM画像における48387μmの領域である、項6に記載の焼結体。
[項8]
前記結晶凝集粒と前記酸化アルミニウム相の合計の100体積%に対して、前記酸化アルミニウム相が2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内である、項1から7のいずれか1項に記載の焼結体。
[項9]
前記希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む、項1から8のいずれか1項に記載の焼結体。
[項10]
前記希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が、下記式(I)で表される組成を有する、項1から9のいずれか1項に記載の焼結体。
(R 1-nCe(Al1-m 5k12 (I)
(前記式(I)中、Rは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mは、Ga及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、m、n及びkは、それぞれ0≦m≦0.02、0.001≦n≦0.017、0.95≦k≦1.10を満たす。)
[項11]
湿式混合した後に乾燥して得られる第1原料混合物を準備することと、
前記第1原料混合物と、酸化アルミニウム粒子と、を乾式混合することと、
前記第1原料混合物と前記酸化アルミニウム粒子とを乾式混合して得られる混合物を成形することと、
前記混合物を成形して得られる成形体を焼成すること、を含む焼結体の製造方法。
[項12]
前記第1原料混合物を準備するときに、前記第1原料混合物が、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素Rを含む第1酸化物粒子と、Ceを含む第2酸化物粒子と、Alを含む第3酸化物粒子と、必要に応じてGa及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素Mを含む第4酸化物粒子と、必要に応じて希土類アルミン酸塩蛍光体粒子を含む、項11に記載の焼結体の製造方法。
[項13]
前記第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子のBET比表面積が1.0m/g以上10.0m/g以下の範囲内である、項11又は12に記載の焼結体の製造方法。
[項14]
前記Alを含む第3酸化物粒子のBET比表面積よりも、前記酸化アルミニウム粒子のBET比表面積のほうが小さい、項11から13のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
[項15]
前記Alを含む第3酸化物粒子のBET比表面積が10.0m/gを超えて15.0m/g以下の範囲内である、項12から14のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
[項16]
前記第1原料混合物及び前記酸化アルミニウム粒子の合計量の100体積%に対して、前記酸化アルミニウム粒子を2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内で含む、項11から15のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
[項17]
前記成形体を焼成するときに、焼成温度が1300℃以上1800℃以下の範囲内である、項11から16のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
第1酸化物粒子として、酸化ルテチウムの純度が99質量%であり、BET比表面積が12.2m/gの酸化ルテチウム粒子を用いた。
第2酸化物粒子として、酸化セリウムの純度が92質量%であり、BET比表面積が124.9m/gの酸化セリウム粒子を用いた。
第3酸化物粒子として、酸化アルミニウムの純度が99質量%であり、BET比表面積が12.2m/gである酸化アルミニウム粒子(第1酸化アルミニウム粒子)を用いた。
実施例1
各酸化物粒子に含まれるLu、Al、Ceの各元素のモル比がLu2.987Ce0.013Al12で表される組成となるように、第1酸化物粒子として酸化ルテチウム粒子、第2酸化物粒子として酸化セリウム粒子、及び第3酸化物粒子として酸化アルミニウム粒子(第1酸化アルミニウム粒子)を計量した。第1酸化物粒子、第2酸化物粒子、及び第3酸化物粒子の合計量100質量部に対して、分散剤(フローレンG-700、共栄社化学株式会社)を4.0質量部加え、さらにエタノールを50質量部加えて、ボールミルを用いて湿式混合し、130℃で10時間乾燥させた後、ボールミルを用いて乾式粉砕混合し、第1原料混合物を準備した。
第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)として、酸化アルミニウムの純度が99質量%以上であり、BET比表面積が5.3m/gの第2酸化アルミニウム粒子を用いた。
第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)の合計量100体積%に対して、第2酸化アルミニウム粒子が表1に示す量(体積%)となるように、第2酸化アルミニウム粒子を添加した。第1原料混合物と第2酸化アルミニウム粒子を、ボールミルを用いて、15分間、乾式混合を行った。
得られた混合物を金型に充填し、5MPa(51kgf/cm)の圧力で直径26mm、厚さ8mmの円筒形状の成形体を形成した。得られた成形体を、包装容器に入れて真空包装し、冷間静水等方圧加圧装置(株式会社神戸製鋼所(KOBELCO)製)を用いて176MPaでCIPを行い、成形体を得た。得られた成形体を窒素雰囲気、700℃で加熱脱脂した。
成形して得られた成形体を焼成炉(丸祥電気株式会社製)を用いて焼成を行い、焼結体を得た。焼成の条件は、大気雰囲気(101.325kPa、酸素濃度:約20体積%)であり、温度が1560℃であり、焼成時間が6時間であった。得られた焼結体をワイヤーソーで適切な形状及び大きさに切断した後、その切断物の表面を平面研削機で研磨した。そして、最終的に板厚が230μmである実施例1に係る焼結体を得た。実施例1に係る焼結体は、Lu2.987Ce0.013Al12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、焼結体の表面又は断面において最大長が1.0μm以上の酸化アルミニウム相を含んでいた。酸化アルミニウム相は、結晶凝集粒の周囲に配置されていた
実施例2
第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)の合計100体積%に対して、第2酸化アルミニウム粒子が表1に示す量(体積%)となるように第2酸化アルミニウム粒子を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る焼結体を得た。実施例2に係る焼結体は、Lu2.987Ce0.013Al12で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、焼結体の表面又は断面において最大長が1.0μm以上の酸化アルミニウム相を含んでいた。酸化アルミニウム相は、結晶凝集粒の周囲に配置されていた。
比較例1
第1原料混合物に、酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム)を乾式混合せず、第1原料混合物のみを混合物として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る焼結体を得た。比較例1の焼結体は、結晶凝集粒は確認できず、酸化アルミニウム相は、全体的に点在していた。
比較例2
第1原料混合物に、酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)を乾式混合せず、第1原料混合物のみを混合物として用い、成形体を焼成する温度を1540℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る焼結体を得た。比較例2の焼結体は、結晶凝集粒は確認できず、酸化アルミニウム相は、全体的に点在していた。
比較例3
第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)の合計100体積%に対して、第2酸化アルミニウム粒子が表1に示す量(体積%)となるように第2酸化アルミニウム粒子を添加した。第1原料混合物と第2酸化アルミニウム粒子の合計量100質量部に対して、分散剤(フローレンG-700、共栄社化学株式会社)を4.0質量部加え、さらにエタノールを50質量部加えて、ボールミルを用いて湿式混合し、130℃で10時間乾燥させた後、ボールミルを用いて乾式粉砕混合し、混合物を準備した。得られた混合物を成形した成形体を、焼成温度1540℃で焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る焼結体を得た。比較例3の焼結体は、結晶凝集粒は確認できず、酸化アルミニウム相は、全体的に点在していた。
比較例4
第1原料混合物と酸化アルミニウム粒子(第2酸化アルミニウム粒子)の合計100体積%に対して、第2酸化アルミニウム粒子が表1に示す量(体積%)となるように第2酸化アルミニウム粒子を添加したこと以外は、比較例3と同様にして、比較例4に係る焼結体を得た。比較例4の焼結体は、結晶凝集粒は確認できず、酸化アルミニウム相は、全体的に点在していた。
各焼結体について、以下の評価を行った。結果は表1に記載した。表1中、「-」の記号は、該当する項目又は数値がないことを表す。
相対密度
実施例及び比較例の各焼結体の相対密度を測定した。実施例及び比較例の各焼結体の相対密度は上述した式(1)により算出した。焼結体の見掛け密度は、上述した式(2)より算出した。焼結体の真密度は、上述の式(3)より算出した。希土類アルミン酸塩蛍光体の真密度は6.69g/cm、酸化アルミニウム粒子の真密度は3.98g/cmである。
透過率(%)
分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、光源の光を分光器により、550nmの波長の単色光に変換し、変換された550nmの波長の光の光強度を測定して、入射光強度とし、550nmの波長の光を実施例及び比較例の各焼結体に入射し、入射された側と反対側の焼結体から出射する光の光強度を測定して透過光強度とし、入射光強度に対する透過光強度の割合を、下記式(4)に基づき、550nmの波長の光に対する透過率として測定した。下記式(4)中、Iは入射光強度であり、Iは各波長における透過光強度である。
Figure 2024031839000005
相対光束(%)
実施例及び比較例の各焼結体に対して、レーザーダイオードから波長が450nmのレーザー光を入射光の光径が1.0mmとなるようにして照射して焼結体に入射し、レーザー光を入射した面と同一の面から出射された光の放射束を、積分球で測定した。比較例1の放射束を100%とし、比較例1の放射束に対する実施例1及び2の各焼結体及び比較例2から4の各焼結体を測定した放射束を相対光束(%)として表した。
光径比(出射光の光径/入射光の光径)
実施例及び比較例の各焼結体に対して、レーザーダイオードから波長が450nmのレーザー光を入射光の光径が、レーザー光が入射された第1の主面上で0.6mmとなるように照射し、レーザー光の光径を焼結体の第1の主面に入射される入射光の光径とした。レーザー光が入射された第1の主面と同一の面から出射された出射光の光径は、実施例及び比較例の各焼結体から出射された光の発光輝度を色彩輝度計で測定し、得られた発光スペクトルにおいて最大輝度を示す位置を中心(測定中心)とし、発光スペクトルにおいて最大輝度の100分の10となる輝度(10/100輝度)となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)を絶対値として測定し、最大輝度から最大輝度の10/100輝度となる測定中心から2か所の位置の距離(mm)の絶対値の和を第1の主面から出射された出射光の光径として測定した。第1の主面に入射される入射光に対する同一面である第1の主面から出射された出射光の光径の光径比を求めた。比較例1の光径比を100%とし、比較例1の光径比に対する実施例1及び2の各焼結体並びに比較例2から4の各焼結体を測定した光径比を相対光径比(%)として表した。
照明効率(%)
光径比が小さいほど、狭いエリアで発光していることになり(点光源)、焼結体を波長変換部材として用いた光学系を1次光学系とし、他の2次光学系が存在する場合に、1次光学系から出射した光が2次光学系に入りやすくなり照明効率が高くなる。一般的な実際の2次光学系(例えばロッドインテグレータ)を用いて測定することができる照明効率(照明効率=照明出力×100/蛍光出力)は、上述の相対光径比の値を用いて、以下の式(5)で近似することができる。
Figure 2024031839000006
光の取り出し効率(%)
実施例及び比較例の各焼結体に対して、測定した相対光束と照明効率の積を光の取り出し効率として算出し、比較例1の光の取り出し効率を100%として、比較例1の光の取り出し効率に対する、実施例1及び2の各焼結体並びに比較例2から4の各焼結体の光の取り出し効率を、相対光の取り出し効率(%)として表した。
SEM写真
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例及び比較例の各焼結体の表面のSEM画像を得た。なお、図に示したSEM画像は、1000倍の倍率で得た画像であり、最大長の測定に用いたSEM画像は、解析の精度を考慮して、500倍の倍率で得た画像とした。図5は、実施例1に係る焼結体の表面のSEM写真である。図6は、実施例2に係る焼結体の表面のSEM写真である。図7は、比較例1に係る焼結体の表面のSEM写真である。図8は、比較例2に係る焼結体の表面のSEM写真である。図9は、比較例3に係る焼結体の表面のSEM写真である。図10は、比較例4に係る焼結体の表面のSEM写真である。
酸化アルミニウム相の面積割合
実施例及び比較例の各焼結体の表面又は断面をSEMにより撮影して得られたSEM画像において、Winroof2018画像解析ソフトウェア装置(三谷商事株式会社製)を用いて酸化アルミニウム相の合計の面積を測定し、焼結体の表面又は断面における測定領域を100面積%とした場合の面積割合を算出した。焼結体の表面又は断面における測定領域は、結晶凝集粒と酸化アルミニウム相の合計100面積%と同じ意味である。また、焼結体において、酸化アルミニウム相は、厚さ方向にも同様の酸化アルミニウム相が存在するため、焼結体中の酸化アルミニウム相の体積割合は、焼結体の酸化アルミニウム相の面積割合とほぼ同じ数値である。
最大長の測定方法
実施例及び比較例の各焼結体の表面又は断面をSEMにより撮影して得られたSEM画像において、面積が48387μmである領域を測定範囲とした。ここで、SEM画像の縦横のデータサイズが、縦×横が480×640画素であり、1画素が0.396875μmであったので、測定範囲の面積を190.5μm×254.0μmとして計算し、48387μmとした。この測定範囲に含まれる1つの希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相の二次凝集粒を結晶凝集粒として、結晶凝集粒の輪郭の最も離れている2点の距離を、結晶凝集粒の長径として、Winroof2018画像解析ソフトウェア装置(三谷商事株式会社製)を用いて測定した。また、結晶凝集粒の周囲に配置されている酸化アルミニウム相(SEM画像上の黒点)の輪郭の最も離れている2点の距離を、酸化アルミニウム相の長径として、前記画像解析ソフトウェア装置を用いて測定した。測定面積上の10個以上1000個以下の結晶凝集粒の長径を測定し、最も大きい長径の数値を各焼結体の表面又は断面における結晶凝集粒の最大長とした。また、測定面積中において、結晶凝集粒の周囲に配置された酸化アルミニウム相において、酸化アルミニウム相の長径のうち最も大きい長径の数値を、酸化アルミニウム相の最大長とし、最大長が1.0μm以上の酸化アルミニウム相の存在の有無を確認した。
Figure 2024031839000007
実施例1及び2に係る焼結体は、優れた相対光径比及び優れた照明効率は維持しながら、相対光束が比較例1よりも高くなった。また、実施例1及び2に係る焼結体は、相対光の取り出し効率が、比較例1よりも高くなった。実施例1及び2に係る焼結体は、蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒の周囲に、酸化アルミニウム相が配置されているため、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相よりも熱伝導率の高い酸化アルミニウム相によって、焼結体に入射された励起光を吸収して希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が発光するときの熱が効率よく放熱された。実施例1及び2に係る焼結体は、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が発光するときの熱による発光エネルギーの低下を抑制することができ、焼結体から出射される光束を高めることができた。実施例1及び2に係る焼結体は、結晶凝集粒の周囲に最大長が1.0μmの酸化アルミニウム相が存在し、焼結体の表面又は断面の測定領域における酸化アルミニウム相の面積割合が2.5面積%以上10.0面積%以下の範囲内であった。この結果から、焼結体の結晶凝集粒と酸化アルミニウム相の合計100体積%に対して、酸化アルミニウム相は、2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内である。
比較例2から4に係る焼結体は、いずれも比較例1に係る焼結体よりも相対光束が低くなった。比較例2に係る焼結体は、焼成温度が低く、相対密度が比較例1に係る焼結体よりも低くなり、空隙率が増加したため、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が発光するときの熱が効率よく放熱されず、光束が比較例1よりも低くなったと推測される。比較例3及び4に係る焼結体は、酸化アルミニウム相を含むが、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置されていないため、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が発光するときの熱が効率よく放熱されず、熱による発光エネルギーの低下を抑制することができず、相対光束が比較例1よりも低下した。
図5は、実施例1に係る焼結体の表面のSEM写真であり、図6は、実施例2に係る焼結体の表面のSEM写真である。実施例1及び2に係る焼結体は、焼結体の表面において、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒1の周囲にSEM写真上で黒色に見える酸化アルミニウム相2が配置されていることが確認できた。
図7は、比較例1に係る焼結体の表面のSEM写真であり、図8は、比較例2に係る焼結体の表面のSEM写真であり、図9は、比較例3に係る焼結体の表面のSEM写真であり、図10は、比較例4に係る焼結体の表面のSEM写真である。図7から図10のいずれのSEM写真において、結晶凝集粒は確認できず、結晶凝集粒の周囲に酸化アルミニウム相が配置されていることも確認できなかった。比較例1から4に係る焼結は、焼結体の表面において、希土類アルミン酸塩蛍光体結晶3とともに、酸化アルミニウム相2が、点在していた。
本開示にかかる焼結体は、励起光源と組み合わせて、車載用や一般照明用の照明装置、液晶表示装置のバックライト、プロジェクター用光源の波長変換部材として利用することができる。
1:結晶凝集粒、2:酸化アルミニウム相、3:希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相、100:発光装置、101:励起光源、102:コリメートレンズ、103、105及び106:コンデンサレンズ、104:ダイクロイックミラー、107:ロッドインテグレータ、110:波長変換部材、111:焼結体、112:透光性薄膜、120:波長変換デバイス、121:回転機構、122:光反射板。

Claims (15)

  1. 希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相を含む結晶凝集粒と、酸化アルミニウム相と、を含み、
    前記結晶凝集粒の周囲に前記酸化アルミニウム相が配置される、焼結体。
  2. 一断面視において、2つ以上の前記結晶凝集粒を含み、2つ以上の前記結晶凝集粒の間に前記酸化アルミニウム相が配置される、請求項1に記載の焼結体。
  3. 前記焼結体の表面又は断面において、最大長が1.0μm以上の前記酸化アルミニウム相を含む、請求項1又は2に記載の焼結体。
  4. 前記焼結体の表面又は断面において、前記酸化アルミニウム相を、表面又は断面の100面積%に対して、2.5面積%以上10.0面積%以下の範囲内で含む、請求項1又は2に記載の焼結体。
  5. 前記焼結体の表面又は断面における、前記結晶凝集粒の最大長が10.0μm以上150.0μm以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の焼結体。
  6. 前記結晶凝集粒と前記酸化アルミニウム相の合計の100体積%に対して、前記酸化アルミニウム相が2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の焼結体。
  7. 前記希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む、請求項1又は2に記載の焼結体。
  8. 前記希土類アルミン酸塩蛍光体結晶相が、下記式(I)で表される組成を有する、請求項1又は2に記載の焼結体。
    (R 1-nCe(Al1-m 5k12 (I)
    (前記式(I)中、Rは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mは、Ga及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、m、n及びkは、それぞれ0≦m≦0.02、0.001≦n≦0.017、0.95≦k≦1.10を満たす。)
  9. 湿式混合した後に乾燥して得られる第1原料混合物を準備することと、
    前記第1原料混合物と、酸化アルミニウム粒子と、を乾式混合することと、
    前記第1原料混合物と前記酸化アルミニウム粒子とを乾式混合して得られる混合物を成形することと、
    前記混合物を成形して得られる成形体を焼成すること、を含む焼結体の製造方法。
  10. 前記第1原料混合物を準備するときに、前記第1原料混合物が、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の元素Rを含む第1酸化物粒子と、Ceを含む第2酸化物粒子と、Alを含む第3酸化物粒子と、必要に応じてGa及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素Mを含む第4酸化物粒子と、必要に応じて希土類アルミン酸塩蛍光体粒子を含む、請求項9に記載の焼結体の製造方法。
  11. 前記第1原料混合物と乾式混合する酸化アルミニウム粒子のBET比表面積が1.0m/g以上10.0m/g以下の範囲内である、請求項9又は10に記載の焼結体の製造方法。
  12. 前記Alを含む第3酸化物粒子のBET比表面積よりも、前記酸化アルミニウム粒子のBET比表面積のほうが小さい、請求項9又は10に記載の焼結体の製造方法。
  13. 前記Alを含む第3酸化物粒子のBET比表面積が10.0m/gを超えて15.0m/g以下の範囲内である、請求項9又は10に記載の焼結体の製造方法。
  14. 前記第1原料混合物及び前記酸化アルミニウム粒子の合計量の100体積%に対して、前記酸化アルミニウム粒子を2.5体積%以上10.0体積%以下の範囲内で含む、請求項9又は10に記載の焼結体の製造方法。
  15. 前記成形体を焼成するときに、焼成温度が1300℃以上1800℃以下の範囲内である、請求項9又は10に記載の焼結体の製造方法。
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