JP2023092601A - 波長変換部材及び発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い発光効率を有する波長変換部材及び発光装置を提供する。【解決手段】510nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する蛍光体を含むセラミックス複合体111と、セラミックス複合体111の上に配置された透光性薄膜112と、を備え、透光性薄膜112の厚さが50nm以上140nm以下の範囲内であり、セラミックス複合体111の厚さが80μm以上800μm以下の範囲内であり、透光性薄膜112側から測定したとき、入射角度0°で入射した波長450nmの光の第1反射率が7%以下であり、入射角度0°で入射した波長550nmの光の第2反射率が7%以下であり、第1反射率と第2反射率の和が10%以下である波長変換部材110である。【選択図】図1

Description

本発明は、波長変換部材及び発光装置に関する。
発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)と、LEDやLDの発光素子から発せられた光の波長を変換する蛍光体を含む波長変換部材を備えた発光装置が知られている。このような発光装置は、例えば車載用、一般照明用、液晶表示装置のバックライト用、プロジェクター用等の光源に用いられている。
例えば、特許文献1には、第一の波長を有する励起光を、少なくとも部分的に、第二の波長を有する光に変換する、拡散反射型の波長変換部材として、多孔質オプトセラミックスが開示されている。前記特許文献1には、多孔質オプトセラミックスについて、事前測定した拡散反射標準に基づく拡散反射が600nmで0.7~1であることが開示されている。
特開2017-197774号公報
本実施形態の一態様は、より高い発光効率を有する波長変換部材及び発光装置を提供することを目的とする。
第1態様は、510nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する蛍光体を含むセラミックス複合体と、前記セラミックス複合体の上に配置された透光性薄膜と、を備え、前記透光性薄膜の厚さが50nm以上140nm以下の範囲内であり、前記セラミックス複合体の厚さが80μm以上800μm以下の範囲内であり、前記透光性薄膜側から測定したとき、入射角度0°で入射した波長450nmの光の第1反射率が7%以下であり、入射角度0°で入射した波長550nmの光の第2反射率が7%以下であり、前記第1反射率と前記第2反射率の和が10%以下である波長変換部材である。
第2態様は、380nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、前記発光素子からの光が照射され波長変換を行う前記波長変換部材と、を備えた発光装置である。
本発明の一態様によれば、より高い発光効率を有する波長変換部材及び発光装置を提供することができる。
図1は、波長変換部材の側面の構成を示す概略図である。 図2は、波長変換部材に対する光の入射角度を模式的に表した波長変換部材の概略斜視図である。 図3は、発光装置の一例の構成を示す概略図である。 図4は、波長変換部材を含む波長変換デバイスの一例の平面の構成を示す概略図である。 図5は、波長変換部材を含む波長変換デバイスの一例の側面の構成を示す概略図である。 図6は、波長変換部材の反射スペクトルを示す図である。 図7は、波長変換部材の反射スペクトルを示す図である。 図8は、波長変換部材の反射スペクトルを示す図である。 図9は、波長変換部材の反射スペクトルを示す図である。 図10は、波長変換部材の反射スペクトルを示す図である。 図11は、波長変換部材の透過スペクトルを示す図である。
以下、波長変換部材及び発光装置を実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下の波長変換部材及び発光装置に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係は、JIS Z8110に従う。
波長変換部材
波長変換部材は、510nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する蛍光体を含むセラミックス複合体と、セラミックス複合体の上に配置された透光性薄膜と、を備え、透光性薄膜の厚さが50nm以上140nm以下の範囲内であり、セラミックス複合体の厚さが80μm以上800μm以下の範囲内であり、透光性薄膜側から測定したとき、入射角度0°で入射した波長450nmの光の第1反射率が7%以下であり、入射角度0°で入射した波長550nmの光の第2反射率が7%以下であり、第1反射率と第2反射率の和が10%以下である。図1は、波長変換部材の側面の構成を示す概略図である。図2は、波長変換部材に対する光の入射角度の例も合わせて示す波長変換部材の概略斜視図である。波長変換部材110は、セラミックス複合体111と、セラミックス複合体の上に配置された透光性薄膜112と、を備える。なお、波長変換部材110の平面形状は、図2に示されるような四角形に限定されることなく、後述の図4に示されるような円環状でもよい。波長変換部材及び発光装置を図面に基づき説明する場合があるが、図面は波長変換部材又は発光装置の構成を示す概略図であり、波長変換部材及び発光装置は、図面に記載された形状及び大きさに限定されない。
図1及び図2に示されるように、波長変換部材110は、蛍光体を含むセラミックス複合体111と、透光性薄膜112と、を備え、透光性薄膜112側から測定したとき、入射角度0°で入射した波長450nmの光の第1反射率が7.0%以下であり、入射角度0°で入射した波長550nmの光の第2反射率が7.0%以下であり、第1反射率と第2反射率の和が10.0%以下である。そのため、波長変換部材は、入射する光の反射率が低く、セラミックス複合体中に十分に励起光を入射させることができる。波長変換部材は、波長変換した光の反射率も低いので、セラミックス複合体に含まれる蛍光体が入射した光を効率よく吸収して波長変換し、波長変換部材から発光効率の高い光を出射することができる。特定の波長における反射率は、顕微分光測定装置(例えばオリンパス株式会社製)を用いて、ホウケイ酸塩クラウン光学ガラス(以下、「BK7」ともいう。)の反射率を測定し、測定したBK7の反射率を100%とし、透光性薄膜側から波長変換部材の反射率を測定し、波長変換部材の反射率から波長450nmの光の第1反射率と、波長550nmの光の第2反射率を算出することができる。入射角度0°で入射した光のBK7の反射率100%に対して、入射角度0°で入射した波長変換部材の透光性薄膜側から測定した反射率が例えば70%である場合、波長450nmの光のBK7の反射率(実測値)が4.1%であるとき、波長450nmの光の波長変換部材の第1反射率を、4.1%と70%の積を100で除して、2.87%と算出することができる。波長変換部材の第1反射率は6.5%以下でもよく、6.0%以下でもよく、5.8%以下でもよい。波長変換部材の第1反射率は、通常0.1%以上であり、0.3%以上でもよく、0.5%以上でもよい。波長変換部材の第2反射率は、6.0%以下でもよく、5.0%以下でもよく、4.5%以下でもよい。波長変換部材の第2反射率は、通常0.1%以上であり、0.3%以上でもよく、0.5%以上でもよい。波長変換部材の第1反射率と第2反射率の和は、9.0%以下でもよく、8.5%以下でもよい。波長変換部材の第1反射率と第2反射率の和は、0.2%以上であり、0.6%以上でもよく、1.0%以上でもよい。
本明細書において、第1反射率及び第2反射率を含む反射率は、正反射の反射率をいう。正反射は、入射角度と反射角度が等しい角度となるように反射される光をいう。ここで拡散反射は、入射光がさまざま方向(様々な反射角度)で反射されることをいう。全反射は、正反射と拡散反射を足した光をいう。本明細書において、入射角度0°で入射した光の反射率は、入射角度0°で入射した光が全て反射角度0°で反射した場合を100%とした場合の割合を示す。波長変換部材110に対する入射角度0°の例を、図2に模式的に表した。入射角度0°(θ=0°)は、波長変換部材110の透光性薄膜112に対して垂直な角度をいう。入射角度0°の方向は、波長変換部材の光軸zと平行な方向をいう。
波長変換部材は、外部からの光の照射を受ける入射面と、外部への光の照射を行う出射面が同一面である、いわゆる反射型の波長変換部材であることが好ましい。光の入射面は、透光性薄膜が配置された面を含むことが好ましい。波長変換部材は、透光性薄膜側とは反対側に光反射板を備えていてもよい。
波長変換部材は、波長450nmの光の第1透過率が20%以上であり、波長550nmの光の第2透過率が20%以上であることが好ましい。波長変換部材は、波長450nmの光の第1透過率が20%以上であると、波長変換部材中に十分な励起光が入射し、セラミックス複合体に含まれる蛍光体が入射した励起光を吸収して波長変換することができる。また、波長変換部材は、波長550nmの光の第2透過率が20%以上であると、セラミックス複合体に含まれる蛍光体が波長変換した光を高い発光効率で出射することができる。波長変換部材の第1透過率は、22%以上でもよく、23%以上でもよく、24%以上でもよい。波長変換部材の第1透過率は、40%以下でもよく、35%以下でもよい。波長変換部材の第2透過率は、22%以上でもよく、25%以上でもよく、30%以上でもよい。波長変換部材の第2透過率は、50%以下でもよく、45%以下でもよい。
透過率は、分光光度計(例えば株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、光源の光を分光器により、特定の波長の単色光に変換し、変換された特定の波長の光の光強度を測定して、入射光強度とする。その特定の波長の光を波長変換部材に入射し、波長変換部材から出射する光の光強度を測定して透過光強度とし、入射光強度に対する透過光強度の割合を透過率とすることができる。言い換えると、透過率は、下記式(1)に基づき算出することができる。下記式(1)中、Iは入射光強度であり、Iは透過光強度である。
Figure 2023092601000002
波長変換部材の透過率は、透光性薄膜側から入射角度0°で入射する入射光強度に対する、透光性薄膜側から入射角度0°で入射し、透光性薄膜側とは反対側のセラミックス複合体側から出射する透過光強度の割合をいう。
波長変換部材は、透光性薄膜側から測定した、入射角度0°で入射した光の380nm以上830nm以下の範囲内の最小反射率の波長が730nm以下であることが好ましい。波長変換部材の最小反射率の波長が730nm以下であれば、波長変換部材に入射する励起光の反射を抑制してセラミックス複合体内に励起光を十分に入射することができ、セラミックス複合体に含まれる蛍光体で励起光を吸収して波長変換した光を、波長変換部材が反射することなく、波長変換部材から発光効率の高い光を出射することができる。入射角度0°で入射した光に対して、波長変換部材の380nm以上830nm以下の範囲内で最小反射率となる波長は、720nm以下でもよく、715nm以下でもよい。波長変換部材の380nm以上830nm以下の範囲内で最小反射率となる波長は、380nm以上であればよい。
セラミックス複合体
セラミックス複合体の厚さは、80μm以上800μm以下の範囲内であり、90μm以上700μm以下の範囲内でもよく、100μm以上600μm以下の範囲内でもよく、120μm以上500μm以下の範囲内でもよい。セラミックス複合体は、510nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する蛍光体を含み、入射された光を波長変換して波長変換部材から出射する。セラミックス複合体の厚さが80μm以上800μm以下の範囲内であれば、セラミックス複合体に含まれる蛍光体が入射した光を効率よく吸収して波長変換し、発光効率の高い光を出射することができる。
セラミックス複合体の屈折率は1.76以上1.85以下の範囲内であることが好ましく、1.77以上1.83以下の範囲内であってもよい。セラミックス複合体の屈折率がこれらの範囲内であれば、波長変換部材は、セラミックス複合体中に十分に励起光を入射させることができ、セラミックス複合体に含まれる蛍光体が波長変換した光を、高い発光効率で波長変換部材から出射させることができる。セラミックス複合体の屈折率は、セラミックス複合体を構成する蛍光体の屈折率をセラミックス複合体の屈折率としてもよい。
セラミックス複合体の相対密度は、90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、94%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましく、99%以下でもよく、98%以下でもよい。セラミックス複合体の相対密度が90%以上99%以下の範囲内であると、空隙が少なく、波長450nmの光の透過率及び波長550nmの光の透過率が高くなり、セラミックス複合体に含まれる蛍光体の励起光の吸収を高めて、効率よく波長変換し、波長変換部材から発光効率の高い光を出射することができる。
セラミックス複合体の相対密度は、セラミックス複合体の見掛け密度及びセラミックス複合体の真密度から下記式(2)により算出することができる。
Figure 2023092601000003
セラミックス複合体の見掛け密度は、セラミックス複合体の質量をセラミックス複合体の体積で除した値であり、下記式(3)により算出することができる。セラミックス複合体の真密度は、セラミックス複合体を構成する蛍光体の真密度を、セラミックス複合体の真密度としてもよい。
Figure 2023092601000004
セラミックス複合体の相対密度を100から差し引いた数値をセラミックス複合体の空隙率とすることができる。
蛍光体
セラミックス複合体に含まれる蛍光体は、510nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する蛍光を発するものであればよく、希土類アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体及びβサイアロン蛍光体からなる群から少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましく、希土類アルミン酸塩蛍光体を含むことがより好ましい。
希土類アルミン酸塩蛍光体は、下記式(I)で表される組成を有することが好ましい。
(Ln 1-aCe(AlGa12 (I)
(前記式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の第1希土類元素であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。)
ケイ酸塩蛍光体は、下記式(II)で表される組成を有することが好ましい。
CaEuMgSiCl (II)
(式(II)中、d、e、f、g及びhは、それぞれ、7.0≦d≦7.94、0.01≦e≦1.0、7.70≦d+e≦7.95、0.9≦f≦1.1、15.6≦g≦16.1、1.90<h≦2.00を満たす数である。)
βサイアロン蛍光体は、下記式(III)で表される組成を有することが好ましい。
Si6-zAl8-z:Eu (0<z≦4.2) (III)
セラミックス複合体の製造方法
セラミックス複合体は、原料となる粒子を液体に混合したスラリー状の原料混合物を乾燥させて、粉体の原料混合物を得て、原料混合物を、金型プレス及び/又は冷間等方圧加圧(CIP)等のプレス成形法によって成形し、得られた成形体を必要に応じて加熱脱脂し、焼成して、焼結体を得て、製造することができる。焼成後に得られた焼結体は、アニール処理を行ってもよい。得られた焼結体は、所望の大きさ又は厚さに切断する加工処理を行ってもよい。また、焼結体を加工処理後に、切断面をサンドブラスト、機械研削、ダイシング、化学的エッチング等の方法によって面処理を行ってもよい。成形体を焼成する温度は、1300℃以上1800℃以下の範囲内であればよく、1400℃以上1790℃以下の範囲内でもよく、1450℃以上1780℃以下の範囲内でもよい。成形体の焼成は、酸素含有雰囲気のもとで行うことが好ましく、雰囲気中の酸素の含有量は、5体積%以上であればよく、大気雰囲気であってもよい。加熱脱脂するときの温度は、500℃以上1000℃以下の範囲内であればよい。アニール処理の温度は、焼成温度よりも低い温度であり、1000℃以上1600℃以下の範囲内であればよい。アニール処理は、還元雰囲気で行うことが好ましい、還元雰囲気は、ヘリウム、ネオン及びアルゴンからなる群から選ばれる少なくとも1種の希ガス又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含む雰囲気であればよい。セラミックス複合体の製造方法の一例として、特願2020-135121号の開示を参照することができる。
透光性薄膜
透光性薄膜は、セラミックス複合体の上に配置される。光の入射面と出射面が同一面である面を含む反射型の波長変換部材である場合は、透光性薄膜は、光の入射側及び出射側となる面に配置されることが好ましい。波長変換部材は、セラミックス複合体の上に透光性薄膜を備えることによって、光が入射する波長変換部材の表面の反射率を低下させることができ、波長変換部材から発光効率の高い光を出射することができる。
透光性薄膜の厚さは、50nm以上140nm以下の範囲内であり、55nm以上130nm以下の範囲内でもよく、125nm以下でもよい。セラミックス複合体の上に透光性薄膜を配置することによって、空気とセラミックス複合体との屈折率差を少なくし、セラミックス複合体中に十分に励起光を入射させ、波長変換部材から発光効率の高い光を出射することができる。本明細書において、透光性薄膜の厚さは、透光性薄膜の物理膜厚をいう。
透光性薄膜は、単一の材料からなる単一層であってもよく、第1層と第1層を構成する材料とは異なる材料で形成された第2層の少なくとも2層を含む多層膜であってもよい。透光性薄膜が単一の材料からなる単一層である場合は、透光性薄膜を形成する材料は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び第13族の金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むフッ化物又は二酸化ケイ素が挙げられる。フッ化物は、MgF、CaF、SrF、AlF、NaAlF、NaAl14、LiF、NaF及びKFが挙げられる。フッ化物は、MgF、CaF、SrF、AlF、NaAlF、NaAl14、NaF及びLiFからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。透光性薄膜は、フッ化マグネシウムからなることが好ましい。
透光性薄膜が二酸化ケイ素からなる場合は、二酸化ケイ素からなる透光性薄膜の厚さが80nm以上130nm以下の範囲内であることが好ましい。このような透光性薄膜をセラミックス複合体の上に配置することによって、空気とセラミックス複合体との屈折率差を少なくし、450nmの光の第1反射率及び550nmの光の第2反射率をそれぞれ7%以下にし、第1反射率と第2反射率の和を10%以下にすることができる。
透光性薄膜が多層膜である場合には、透光性薄膜は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び第13族金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むフッ化物又は二酸化ケイ素かなる第1層と、アルミニウム、ニオブ、タンタル、チタン及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物からなる第2層の少なくとも2層を含み、2層以上であるときは、第1層と第2層が交互に積層された多層膜でもよい。第1層の屈折率と、第2層の屈折率は、それぞれ異なる。フッ化物は、単一層である透光性薄膜と同様のフッ化物を用いることができる。透光性薄膜が多層膜である場合は、市販の光学多層膜を用いてもよい。
透光性薄膜が単一層である場合、透光性薄膜の屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内であることが好ましく、1.32以上1.48以下の範囲内でもよく、1.33以上1.47以下の範囲内でもよい。透光性薄膜の屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内であれば、空気とセラミックス複合体との屈折率差を少なくし、450nmの光の第1反射率及び550nmの光の第2反射率をそれぞれ7%以下にし、第1反射率と第2反射率の和を10%以下にして、セラミックス複合体中に十分に励起光を入射させ、波長変換部材から発光効率の高い光を出射することができる。フッ化マグネシウムの屈折率は、1.38であり、二酸化ケイ素の屈折率は1.47である。透光性薄膜が、フッ化マグネシウムからなる単一層である場合、透光性薄膜の屈折率は、フッ化マグネシウムの屈折率を用いることができる。透光性薄膜が、二酸化ケイ素からなる単一層である場合、透光性薄膜の屈折率は、二酸化ケイ素の屈折率を用いることができる。
透光性薄膜の製造方法
透光性薄膜が単一層である場合、透光性薄膜は、化学蒸着法又は物理蒸着法により製造することができる。物理蒸着法は、電子ビーム蒸着法、抵抗加熱蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等が挙げられる。透光性薄膜は、原料となるフッ化物又は二酸化ケイ素を真空雰囲気中、25℃以上400℃以下の範囲内でセラミックス複合体の発光面に、抵抗加熱蒸着法又はスパッタ法により形成することが好ましい。
透光性薄膜が多層膜である場合は、第1層となる原料と第2層となる原料を、この順序で、真空雰囲気中、25℃以上400℃以下の範囲内でセラミックス複合体の発光面に電子ビーム(EB)加熱蒸着により形成してもよい。
以上のように説明した波長変換部材は、励起光源と組み合わせて発光装置に用いることができ、このような発光装置は、例えば、プロジェクター用光源等に用いることができる。
発光装置
前述の波長変換部材を用いた発光装置について説明する。発光装置は、波長変換部材と、励起光源とを備え、励起光源は、380nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子を用いることができる。
発光素子は、LEDチップ又はLDチップからなる半導体発光素子であることが好ましい。半導体発光素子は、窒化物系半導体を用いることができる。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。希土類アルミン酸塩焼結体は、半導体発光素子から発せられた光の波長を変換し、波長変換された混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。発光素子は、380nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、400nm以上480nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有していてもよく、420nm以上460nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有していてもよい。
発光素子は、レーザーダイオードであることがより好ましい。励起光源であるレーザーダイオードから出射された励起光を、波長変換部材に入射させ、波長変換部材のセラミックス複合体に含まれる蛍光体によって波長が変換された光を集光させて、レンズアレイ、偏光変換素子、色分離光学系等の複数の光学系によって赤色光、緑色光、及び青色光に分離して、画像情報に応じて変調し、カラーの画像光を形成してもよい。励起光源としてレーザーダイオードから出射された励起光は、ダイクロイックミラー又はコリメート光学系等の光学系を通じて波長変換部材に入射させてもよい。
図3は、発光装置100の一例を示す構成を示す概略図である。図3中の矢印は、光の光路を模式的に表した。発光装置100は、発光素子である励起光源101と、コリメートレンズ102と、3つのコンデンサレンズ103、105及び106と、ダイクロイックミラー104と、ロッドインテグレーダー107と、波長変換部材を含む波長変換デバイス120とを含むことが好ましい。励起光源101は、レーザーダイオードを用いることが好ましい。励起光源101は、複数のレーザーダイオードを用いてもよく、複数のレーザーダイオードをアレイ状又はマトリクス状に配置したものであってもよい。コリメートレンズ102は、複数のコリメートレンズがアレイ状に配置されたコリメートレンズアレイであってもよい。励起光源101から出射されたレーザー光は、コリメートレンズ102によって略平行光となり、コンデンサレンズ103によって集光され、ダイクロイックミラー104を通って、さらにコンデンサレンズ105によって集光される。コンデンサレンズ105によって集光されたレーザー光は、波長変換部材110と光反射板122と、を含む波長変換デバイス120によって波長変換され、所望の波長範囲に発光ピーク波長を有する光が、波長変換デバイス120の波長変換部材110側から出射される。波長変換デバイス120から出射された波長変換された光は、コンデンサレンズ106によって集光され、ロッドインテグレーダー107に入射され、被照明領域における照度分布の均一性を高めた光が発光装置100から出射される。
図4は、波長変換デバイス120の一例の平面の構成を示す概略図である。なお、図3では、発光装置100を構成する部材の一つとして、波長変換デバイス120を側面図で示している。波長変換デバイス120は、少なくとも波長変換部材110を備える。波長変換デバイス120は、円板状の波長変換部材110を備え、波長変換部材110を回転させるための回転機構121を備えていてもよい。回転機構121は、モータ等の駆動機構と連結され、波長変換部材110を回転させることによって放熱することができる。
図5は、図3で発光装置100を構成する部材の一つとして側面図で示した波長変換デバイス120の詳細について、波長変換デバイス120の一例の側面の構成を示す概略図である。波長変換デバイス120は、波長変換部材110のセラミックス複合体111の透光性薄膜112が配置されている側と反対側に光反射板122を備えている。なお、セラミックス複合体111からの光を透光性薄膜112が配置されている側に十分に出射させることができる場合には、光反射板122を省略することもできる。光反射板122は、セラミックス複合体111からの光を透光性薄膜112が配置されている側に反射させる部材としてだけでなく、セラミックス複合体111で発生した熱を伝達して外部に放熱する放熱部材として用いてもよい。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
セラミックス複合体Aの製造
原料混合物の準備
BET法による比表面積20m/gの酸化イットリウム粒子、BET法による比表面積5.5m/gの酸化アルミニウム粒子、BET法による比表面積125m/gの酸化セリウム粒子を、各酸化物粒子に含まれるY、Al、Ceの各元素のモル比がY2.99Ce0.01Al5.112で表される組成となるように計量した。酸化イットリウム粒子、酸化アルミニウム粒子及び酸化セリウム粒子の合計量100質量部に対して、分散剤(フローレンG-700、共栄社化学株式会社)を4質量部加え、さらにエタノールを50質量部加えて原料混合物を準備した。
撹拌
原料混合物を湿式ボールミルで15時間撹拌し、酸化イットリウム粒子、酸化アルミニウム粒子、及び酸化セリウム粒子を均一に混合させたスラリー状の原料混合物を準備した。
乾燥
得られたスラリー状の原料混合物を、大気雰囲気において、130℃で10時間乾燥させて原料混合物粉体を得た。
成形
得られた原料混合物粉体を金型に充填し、5MPa(51kgf/cm)の圧力で直径26mm、厚さ10mmの円筒形状の成形体を形成した。得られた成形体を、包装容器に入れて真空包装し、冷間静水等方圧加圧装置(株式会社神戸製鋼所(KOBELCO)製)を用いて176MPaでCIPを行い、成形体を得た。
加熱脱脂
得られた成形体を窒素雰囲気のもと、温度700℃で加熱脱脂した。
焼成
得られた成形体を焼成炉(丸祥電気株式会社製)により焼成を行い、希土類アルミン酸塩焼結体を得た。焼成の条件は、大気雰囲気(101.325kPa、酸素濃度:約20体積%)であり、温度が1580℃であり、焼成時間が6時間であった。
加工・面処理
得られた焼結体をワイヤーソーで適切な形状及び大きさに切断した後、その切断物の表面を平面研削機で研磨して、セラミックス複合体Aを得た。希土類アルミン酸塩蛍光体Aの真密度は、4.6g/cmであり、希土類アルミン酸塩蛍光体Aの真密度をセラミックス複合体Aの真密度とした。前記式(2)及び(3)に基づき算出されたセラミックス複合体Aの相対密度は97.0%であった。希土類アルミン酸塩蛍光体Aの屈折率は1.82であり、セラミックス複合体Aの屈折率を1.82とした。
セラミックス複合体A’の製造
酸化イットリウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化セリウム粒子を、各酸化物粒子に含まれるY、Al、Ceの各元素のモル比がY2.99Ce0.01Al5.112で表される組成となるように計量したこと以外は、セラミックス複合体Aと同様にして、セラミックス複合体A’を得た。セラミックス複合体A’の真密度は、4.6g/cmである。希土類アルミン酸塩蛍光体A’の屈折率は1.82であり、セラミックス複合体A’の屈折率を1.82とした。
セラミックス複合体Bの製造
酸化イットリウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化セリウム粒子を、各酸化物粒子に含まれるY、Al、Ceの各元素のモル比がY2.99Ce0.01Al5.112で表される組成となるように計量したこと以外は、セラミックス複合体Aと同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体Bからなるセラミックス複合体Bを得た。希土類アルミン酸塩蛍光体Bの真密度は、4.6g/cmであり、希土類アルミン酸塩蛍光体Bの真密度をセラミックス複合体Bの真密度とした。前記式(2)及び(3)に基づき算出されたセラミックス複合体Bの相対密度は97.5%であった。希土類アルミン酸塩蛍光体Bの屈折率は1.82であり、セラミックス複合体Bの屈折率を1.82とした。
セラミックス複合体Cの製造
BET法による比表面積12m/gの酸化ルテチウム粒子、BET法による比表面積11.8m/gの酸化アルミニウム粒子、BET法による比表面積125m/gの酸化セリウム粒子を、各酸化物粒子に含まれるLu、Al、Ceの各元素のモル比がLu2.987Ce0.013Al12で表される組成となるように計量したこと以外は、セラミックス複合体Aと同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体Cからなるセラミックス複合体Cを得た。希土類アルミン酸塩蛍光体Cの真密度は、6.69g/cmであり、希土類アルミン酸塩蛍光体Cの真密度をセラミックス複合体Cの真密度とした。前記式(2)及び(3)に基づき算出されたセラミックス複合体Cの相対密度は97.7%であった。希土類アルミン酸塩蛍光体Cの屈折率は1.85であり、セラミックス複合体Cの屈折率を1.85とした。
実施例A-1からA-7の波長変換部材
蒸着装置内に、厚さが200μmのセラミックス複合体Aと、蒸着材料としてフッ化マグネシウムと、を配置し、蒸着装置内の圧力を1.0×10-4Paまで減圧した状態で、マイクロヒーターを用いて、成膜時の温度を300℃としてセラミックス複合体Aの上に、物理膜厚が表1に示す厚さとなるように透光性薄膜(MgF膜)を、抵抗加熱蒸着法により形成し、各物理膜厚を有する波長変換部材A-1からA-7を得た。透光性薄膜の屈折率は、MgFの屈折率1.38である。
比較例a-1の波長変換部材
透光性薄膜を形成しない厚さが200μmのセラミックス複合体Aを比較例a-1の波長変換部材とした。
比較例a-2の波長変換部材
厚さが200μmのセラミックス複合体Aの上に、表1に示す厚さが140nmを超える149nmの透光性薄膜(MgF膜)を形成したこと以外は、実施例A-1からA-7と同様にして、比較例a-2の波長変換部材を得た。
実施例A-8からA-11の波長変換部材
厚さが表2に示す各厚さとなるセラミックス複合体A’の上に、物理膜厚が表2に示す厚さになるように透光性薄膜(MgF膜)を形成したこと以外は、実施例A-1からA-7と同様にして、実施例A-8からA-11の波長変換部材を得た。透光性薄膜の屈折率は、MgFの屈折率1.38である。
比較例a-3の波長変換部材
厚さが800μmを超える1000μmのセラミックス複合体A’上に、物理膜厚が87nmになる透光性薄膜(MgF膜)を形成したこと以外は、実施例A-8からA-11と同様にして、比較例a-3の波長変換部材を得た。
実施例B-1からB-4の波長変換部材
厚さが200μmのセラミックス複合体Bと二酸化ケイ素を用い、マグネトロン方式スパッタ装置を用いて、出力500Wでセラミックス複合体Bの上に、物理膜厚が表3に示す厚さとなるように透光性薄膜(SiO膜)を形成し、各物理膜厚を有する波長変換部材B-1からB-4を得た。透光性薄膜の屈折率は、SiOの屈折率1.47である。
比較例b-1の波長変換部材
透光性薄膜を形成しない厚さが200μmのセラミックス複合体Bを比較例b-1の波長変換部材とした。
実施例C-1及びC-2の波長変換部材
厚さが150μmのセラミックス複合体Cと二酸化ケイ素を用い、マグネトロン方式スパッタ装置を用いて、出力500Wでセラミックス複合体Cの上に、物理膜厚が表4に示す厚さとなるように透光性薄膜(SiO膜)を形成し、各物理膜厚を有する波長変換部材C-1及びC-2を得た。透光性薄膜の屈折率は、SiOの屈折率1.47である。
比較例c-1の波長変換部材
透光性薄膜を形成しない厚さが150μmのセラミックス複合体Cを比較例c-1の波長変換部材とした。
実施例及び比較例の各波長変換部材について、以下の評価を行った。結果を表1から表4に示す。表1から表4中、「-」の記号は、透光性薄膜を備えていないことを表す。
透光性薄膜の物理膜厚
透光性薄膜の厚さは、各波長変換部材の光学特性(制御波長λ、屈折率n)から、以下の式(4)を用い算出した。
Figure 2023092601000005
式(4)中、dは薄膜の膜厚であり、λは制御波長、nは屈折率である。式(4)は、小檜山光信著、「光学薄膜の基礎理論-フレネル係数、特性マトリクス-」、株式会社オプトロニクス社出版、平成23年2月25日、増補改訂版第1刷の61頁を参照にした。制御波長λは、各セラミックス複合体に含まれる希土類アルミン酸塩蛍光体の発光ピーク波長を用いた。
相対発光効率(%)
実施例及び比較例の各波長変換部材に対して、レーザーダイオードから波長が450nmのレーザー光を入射光の光径が2.2mmとなるように照射して透光性薄膜側から波長変換部材に入射し、レーザー光を入射した面と同一の面となる透光性薄膜側から出射された光の放射束を、積分球で測定した。比較例a-1に係る波長変換部材の放射束を100%とし、比較例a-1の放射束に対する実施例A-1からA-11、比較例a-2、及び比較例a-3に係る各波長変換部材のサンプルを測定した放射束を相対発光効率(%)として表した。また、比較例b-1の放射束を100%とし、比較例b-1の放射束に対する実施例B-1からB-4の各波長変換部材のサンプルを測定した放射束を相対発光効率(%)として表した。また、比較例c-1の放射束を100%とし、比較例c-1の放射束に対する実施例C-1及びC-2の各波長変換部材のサンプルを測定した放射束を相対発光効率(%)として表した。
第1透過率(%)及び第2透過率(%)
分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、光源の光を分光器により、450nmの波長の単色光に変換し、変換された450nmの波長の光の光強度を測定して、入射光強度とし、450nmの波長の光を透光性薄膜側から波長変換部材に入射し、波長変換部材のセラミックス複合体側から出射する光の光強度を測定して透過光強度とし、入射光強度に対する透過光強度の割合を、前記式(1)に基づき算出して、450nmの波長の光の第1透過率として測定した。第2透過率は、550nmの波長の光の単色光に変換したこと以外は、第1透過率の測定と同様にして、第2透過率を測定した。
透過スペクトル
分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、光源の光を分光器により各波長の単色光に変換し、変換された波長の光の光強度を入射強度とし、各波長の光を透光性薄膜側から波長変換部材に入射し、波長変換部材のセラミックス複合体側から出射する光の光強度を測定して透過光強度とし、入射強度に対する透過光強度の割合を、前記式(1)に基づき算出して、各波長の透過率を透過スペクトルとして表した。図11に、実施例A-2、A-8からA-11、比較例a-1及びa-3に係る各波長変換部材の透過スペクトルを示す。
第1反射率(%)、第2反射率(%)及び第1反射率と第2反射率の和
顕微分光測定装置(オリンパス株式会社製)を用いて、入射角度0°で入射した光のBK7の反射率を測定し、測定したBK7の反射率を100%とした。入射角度0°で透光性薄膜側から入射した光の反射率を、波長変換部材の透光性薄膜側から測定し、波長450nmの光の第1反射率、波長550nmの光の第2反射率を算出した。入射角度0°で入射した光のBK7の反射率100%に対して、入射角度0°で入射した波長変換部材の透光性薄膜側から測定した反射率が例えば70%である場合、波長450nmの光のBK7の反射率(実測値)が4.1%であるとき、波長450nmの光の波長変換部材の第1反射率を、4.1%と70%の積を100で除して、2.87%と算出した。また、第1反射率と第2反射率の和(以下、「反射率の和」ともいう。)を求めた。
反射スペクトル、最小反射率の波長
顕微分光測定装置(オリンパス株式会社製)を用いて、入射角度0°で入射した各波長の光のBK7の反射率を測定し、各波長の光のBK7の反射率を100%とした、入射角度0°で波長変換部材の透光性薄膜側から入射した各波長の光の反射率を、波長変換部材の透光性薄膜側から測定し、各波長の光の反射率を測定し、BK7の反射率から各波長の光の波長変換部材の反射率を算出し、反射スペクトルとして表した。各波長変換部材の反射スペクトルから最小反射率の波長を測定した。図6、図8から図10に、実施例及び比較例の各波長変換部材の反射スペクトルを示す。
実施例A-1に係る波長変換部材の反射スペクトル、最小反射率の波長
実施例A-1に係る波長変換部材は、380nm未満の反射率を測定するために、以下のように測定した。厚さが200μmのセラミックス複合体の代わりに、厚さが200μmの石英を用い、この石英に、実施例A-1と同様にして、実施例A-1と同一の物理膜厚を有する透光性薄膜を形成し、試料A-1’を作製した。分光光度計U-4100(株式会社日立ハイテク製)を用いて、光源から直接積分球に到達した各波長の光量を100%とした。入射角5°で試料A-1’の透光性薄膜側から入射した各波長の光の両面反射率を測定し、反射スペクトルとして表した。試料A-1’の反射スペクトルを実施例A-1の反射スペクトルとした。試料A-1’の反射スペクトルから最小反射率の波長を測定し、実施例A-1の最小反射率の波長とした。図7に、実施例A-1に係る波長変換部材の反射スペクトルを示す。
Figure 2023092601000006
Figure 2023092601000007
Figure 2023092601000008
Figure 2023092601000009
実施例A-1からA-11、実施例B-1からB-4、及び実施例C-1からC-2の波長変換部材は、セラミックス複合体の厚さが80μm以上800μm以下の範囲内であり、透光性薄膜の厚さが50nm以上140nm以下の範囲内であり、第1反射率及び第2反射率がいずれも7%以下であり、反射率の和が10%以下であった。各実施例の波長変換部材は、透光性薄膜を配置していない比較例a-1、比較例b-1又は比較例c-1の波長変換部材に比べて相対発光効率がいずれも高くなった。各実施例の波長変換部材は、第1透過率及び第2透過率がいずれも20%以上であった。
図6及び図7は、実施例A-1からA-7に係る波長変換部材及び比較例a-1からa-2に係る波長変換部材の波長に対する反射率(%)の反射スペクトルを示す。実施例A-1からA-7に係る波長変換部材は、最小反射率の波長が730nm以下であった。透光性薄膜を配置していない比較例a-1に係る波長変換部材は、第1反射率が7%を超えており、反射率の和も10%を超えていた。透光性薄膜の厚さ140nmを超えて149nmである比較例a-2に係る波長変換部材は、第1反射率が7%を超えており、反射率の和も10%を超えていた。また、図6には、比較例a-2に係る波長変換部材の最小反射率が記載されていないが、比較例a-2に係る波長変換部材は、最小反射率の波長が730nmを超えていると推測された。実施例A-1からA-7に係る波長変換部材は、第1反射率が7%より小さいため、セラミックス複合体中に入射する励起光の強度がより大きくなり、相対発光効率が高くなった。また、実施例A-1からA-7に係る波長変換部材は、波長550nmの第2反射率も7%より小さいため、波長変換された光が効率よく波長変換部材から出射されるため、比較例a―2に係る波長変換部材よりも相対発光効率が高くなった。
図8は、実施例A-8からA-11に係る波長変換部材及び比較例a-1及びa-3に係る波長変換部材の波長に対する反射率(%)の反射スペクトルを示す。実施例A-8からA-11に係る波長変換部材及び比較例a-3に係る波長変換部材は、最小反射率の波長が730nm以下であった。実施例A-8からA-11に係る波長変換部材は、セラミックス複合体の厚さが800μmを超えて1000μm以下である比較例a-3に係る波長変換部材よりも、表2及び後述する図11に示すように透過率が高く、相対発光効率が高くなった。
図9は、実施例B-1からB-4に係る波長変換部材及び比較例b-1に係る波長変換部材の波長に対する反射率(%)の反射スペクトルを示す。実施例B-1からB-4に係る波長変換部材は、最小反射率の波長が730nm以下であった。透光性薄膜を配置していない比較例b-1に係る波長変換部材は、第1反射率及び第2反射率がそれぞれ7%を超えており、反射率の和も10%を超えていた。
図10は、実施例C-1及びC-2に係る波長変換部材及び比較例c-1に係る波長変換部材の波長に対する反射率(%)の反射スペクトルを示す。実施例C-1及びC-2に係る波長変換部材は、最小反射率の波長が730nm以下であった。透光性薄膜を配置していない比較例c-1に係る波長変換部材は、第1反射率及び第2反射率がそれぞれ7%を超えており、反射率の和も10%を超えていた。
図11は、セラミックス複合体の厚さがそれぞれ異なる実施例A-2、A-8からA-11に係る波長変換部材及び比較例a-1、a-3に係る波長変換部材の波長に対する透過率(%)の透過スペクトルを示す。波長380nm以上780nm以下の範囲内の透過スペクトルにおいて、セラミックス複合体の厚さが厚くなるほど透過率は低下する傾向があり、セラミックス複合体の厚さが800μmを超えて1000μmである比較例a-3に係る波長変換部材は、波長450nmの光の第1透過率、波長550nmの光の第2透過率ともに、20%未満であった。
本開示に係る波長変換部材及び発光装置は、車載用光源や一般照明用の照明装置、液晶表示装置のバックライト、プロジェクター用光源として利用することができる。
100:発光装置、101:励起光源、102:コリメートレンズ、103、105及び106:コンデンサレンズ、104:ダイクロイックミラー、107:ロッドインテグレーダー、110:波長変換部材、111:セラミックス複合体、112:透光性薄膜、120:波長変換デバイス、121:回転機構、122:光反射板。

Claims (9)

  1. 510nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する蛍光体を含むセラミックス複合体と、
    前記セラミックス複合体の上に配置された透光性薄膜と、を備え、
    前記透光性薄膜の厚さが50nm以上140nm以下の範囲内であり、前記セラミックス複合体の厚さが80μm以上800μm以下の範囲内であり、
    前記透光性薄膜側から測定したとき、入射角度0°で入射した波長450nmの光の第1反射率が7%以下であり、入射角度0°で入射した波長550nmの光の第2反射率が7%以下であり、前記第1反射率と前記第2反射率の和が10%以下である波長変換部材。
  2. 前記透光性薄膜側から測定した、入射角度0°で入射した光の380nm以上830nm以下の範囲内の最小反射率の波長が730nm以下である、請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記透光性薄膜の屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の波長変換部材。
  4. 前記セラミックス複合体の屈折率が1.76以上1.85以下の範囲内である、請求項1から3のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  5. 前記透光性薄膜がフッ化マグネシウムからなる、請求項1から4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  6. 前記透光性薄膜が二酸化ケイ素からなり、二酸化ケイ素からなる透光性薄膜の厚さが80nm以上130nm以下の範囲内である、請求項1から4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  7. 前記蛍光体が希土類アルミン酸塩蛍光体である、請求項1から6のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  8. 前記希土類アルミン酸塩蛍光体が、下記式(I)で表される組成を有する、請求項7に記載の波長変換部材。
    (Ln 1-aCe(AlGa12 (I)
    (前記式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす。)
  9. 380nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、前記発光素子からの光が照射され波長変換を行う、請求項1から8のいずれか1項に記載の波長変換部材と、を備えた発光装置。
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