JP7139708B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体燃料と気体燃料とを使用可能であるよう構成されたエンジンを有する車両を制御するための制御装置に関する。
従来、液体燃料と気体燃料とを使用するエンジンを有する車両(いわゆる、バイフューエル車両)が知られている(特許文献1参照)。
気体燃料は、一般的に液体燃料と比較して燃焼速度が低いため、エンジンの始動性が悪い。このため、特許文献1の車両では、エンジンの始動時に、気体燃料ではなく、液体燃料を供給することでエンジンの始動性を維持している。
特開平11-324749
しかしながら、気体燃料(例えば、CNG:Compressed Natural Gas)は、液体燃料(例えば、ガソリン)と比較して、燃費(熱効率)が良好である。このため、更なる燃費の向上のために、気体燃料を使用する機会を増加させ、燃費を向上することが求められている。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液体燃料と気体燃料とを使用可能であるよう構成されたエンジンを有する車両を制御するための制御装置であって、エンジンの始動性を維持しつつ、燃費を向上させた制御装置を提供することを目的とする。
一態様に係る制御装置は、液体燃料と気体燃料とを使用可能であるよう構成されたエンジンを有する車両を制御する。前記制御装置は、前記エンジンが自動的に停止した自動停止状態から前記エンジンを始動する場合、前記エンジンの燃料として前記気体燃料を選択して使用する。
エンジンの始動によりエンジンが稼働すると、エンジン内の温度は上昇し、エンジンは、気体燃料の始動性が良好である状態(例えば、完全暖気状態)へと移行する。エンジンが自動的に停止した状態からエンジンを再始動する場合、エンジンは、通常、完全暖気状態である。エンジンが完全暖気状態である場合、液体燃料を使用せずに気体燃料を使用しても、エンジンの始動性を維持することができる。従って、気体燃料を使用する機会が増加するため、エンジンの始動性を維持しつつ、燃費を向上させることができる。
図1は、実施形態に係る車両システムを説明するための模式図である。 図2は、実施形態に係る動作例1を説明するためのフローチャートである。 図3は、実施形態に係る動作例2を説明するためのフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(1)車両システムの概略構成
車両システム1の概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る車両システムを説明するための模式図である。
車両システム1は、液体燃料と気体燃料とを使用可能であるよう構成されたエンジンを有する車両に備えられる。
図1に示すように、車両システム1(車両)は、エンジン2、ECU(Engine Control Unit)3、燃料タンク4、燃料切換装置5、インテークマニホールド6、スタータ7、駆動輪8、クラッチ9、変速機10、ペダル11、水温センサ12、車速センサ13、燃料選択スイッチ14、インジェクタ15、電磁弁16を有する。
エンジン2は、駆動輪8への動力源となる装置である。エンジン2は、ECU3により制御される。エンジン2では、後述する燃料タンク4に収容された燃料をインジェクタ15によって噴射し、その噴射された燃料を燃焼して駆動輪8への動力を発生させる。
ECU3は、エンジン2を制御するための装置(制御装置)である。ECU3は、エンジン2、燃料切換装置5、スタータ7を制御する。具体的には、ECU3は、エンジン2及び燃料切換装置5と電気信号の送信及び受信を行う。ECU3は、スタータ7へ電気信号を送信することによりスタータ7を制御する。ECU3は、スタータ7を介してエンジン2を制御できる。
ECU3は、プロセッサ、メモリ、送受信機により構成されてもよい。プロセッサ及びメモリは、制御部を構成してもよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)を含む。プロセッサは、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、後述する各種の処理を行う。メモリは、プロセッサによって実行されるプログラムと、プロセッサによる処理に使用される情報と、を記憶する。送受信機は、プロセッサにより制御される各種装置(例えば、エンジン2、燃料切換装置5等)との電気信号の送信及び受信を行う。送受信機は、各種装置からの電気信号を受信し、プロセッサへ出力する。また、送受信機は、プロセッサから入力された電気信号を各種装置へ送信する。
ECU3は、ペダル11、水温センサ12、車速センサ13、燃料選択スイッチ14から電気信号を受信する。ECU3は、受信した電気信号に応じてエンジン2、燃料切換装置5、スタータ7を制御できる。
燃料タンク4は、燃料が収容されるタンク(容器)である。具体的には、燃料タンク4は、第1燃料タンク41、第2燃料タンク42を有する。第1燃料タンク41には、液体燃料を収容する。液体燃料は、例えば、ガソリン、軽油等である。第2燃料タンク42には、気体燃料を収容する。気体燃料は、例えば、CNG(Compressed Natural Gas)、LG(Liquefied Natural Gas)等である。
燃料切換装置5は、エンジン2へ送る燃料を切り替える装置である。燃料切換装置5は、第1燃料タンク41及び第2燃料タンク42と連結されている。燃料切換装置5は、ECU3により選択された燃料をエンジン2へ送る。
インテークマニホールド6は、燃料切換装置5とエンジン2との間に配置されている。燃料切換装置5から送られる燃料は、インテークマニホールド6を通じてエンジン2へ送られる。インテークマニホールド6内では、燃料切換装置5からの燃料が噴射される。これにより、エンジン2の燃料室内へ燃料が噴射される。
スタータ7は、エンジン2の始動を行う装置である。スタータ7は、ECU3からの電気信号により始動し、エンジン2を始動させる。エンジン2は始動することにより、エンジン2の温度を上昇させ、完全暖気状態へと移行する。
駆動輪8は、エンジン2を動力源として駆動(回転)する。クラッチ9は、エンジン2の動力を変速機10へ伝える。クラッチ9は、後述のクラッチペダル116により操作されてもよい。クラッチ9は、運転者の操作なく自動的に制御されてもよい。変速機10は、エンジン2の動力を変速して駆動輪8へ伝える。
ペダル11は、運転者の操作を電気信号によりECU3へ伝える。ペダル11は、アクセルペダル112及びブレーキペダル114を有する。ペダル11は、クラッチペダル116を有してもよく、クラッチペダル116を有さなくてもよい。
水温センサ12は、エンジン2の水温を測定する。水温センサ12は、測定値をECU3へ電気信号により送ることができる。車速センサ13は、車両の速度を測定する。車速センサ13は、測定値をECU3へ電気信号により送ることができる。
燃料選択スイッチ14は、運転者により操作されるスイッチである。運転者の操作により選択された燃料をECU3へ電気信号により伝える。
インジェクタ(燃料噴射装置)15は、インテークマニホールド6に燃料を噴射する。インジェクタ15は、ECU3により制御されてもよい。インジェクタ15は、運転者の操作(例えば、アクセルペダル112の踏み込み/ブレーキペダル114の解除)により制御されてもよい。
電磁弁16は、第2燃料タンク42とインジェクタ15との間において、液体燃料が通る経路に配置される。図1では、電磁弁16は、第2燃料タンク42と燃料切換装置5との間に配置されている。
電磁弁16は、ECU3からの電気信号(省略)により開いたり、閉じたりする。電磁弁16が開いている状態では、気体燃料が、経路を通過し、インジェクタ15まで到達できる。一方、電磁弁16が閉じている状態では、気体燃料が経路を通過できず、液体燃料がインジェクタ15まで到達できる。
なお、車両システム1を備えた車両は、通常走行時において、液体燃料ではなく、気体燃料を選択することができる。これにより、燃費を向上させることができる。
なお、車両システム1を備えた車両は、車両のバッテリ(例えば、鉛バッテリ)の状態を測定するセンサを有してもよい(不図示)。当該センサは、バッテリの電圧、バッテリの液温、バッテリの充電状態の少なくともいずれかを測定できる。
なお、車両は、エンジン2だけでなく、駆動源となるモータを備えた電気自動車(Electric Vehicle)であってもよい。電気自動車は、モータとエンジン2の駆動力を切り離すことができない車両であってもよく、モータとエンジン2の駆動力を切り離すことができる車両であってもよい。
(2)実施形態に係る動作
実施形態に係る動作について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、実施形態に係る動作例1を説明するためのフローチャートである。図3は、実施形態に係る動作例2を説明するためのフローチャートである。
(動作例1)
動作例1について、図2を用いて説明する。図2に示すように、ステップS10において、ECU3は、エンジン2が自動的に停止した自動停止状態であるか否かを判定する。自動停止状態とは、エンジン2が無負荷状態で最低限度の回転数で稼動し続けている状態であるアイドリングが停止された(アイドリングストップ)状態である。
ECU3は、ドライバ情報及び車両情報の両方に基づいて、エンジン2が自動的に停止した自動停止状態であるか否かを判定できる。ドライバ情報は、運転者によるペダル11(アクセルペダル112、ブレーキペダル114等)の操作(踏み込み及び/又は踏み込み解除)に起因する情報を含む。ドライバ情報は、例えば、ペダルの操作に応じて発生する情報及び、スイッチ(例えば、燃料選択スイッチ14)の操作に応じて発生する情報である。車両情報は、水温センサ12による測定値(水温)、車速センサ13による測定値(車速)、電圧センサによる測定値(バッテリの電圧)などを含む。車両情報は、車両が有するセンサ(測定機器)により測定された情報である。
ECU3は、運転者の操作に応じてドライバ情報を取得できる。ECU3は、任意のタイミングで車両情報を取得できる。ECU3は、車両情報を周期的又は継続的に受け取ってもよいし、非周期的に受け取ってもよい。ECU3は、車両情報の送信元である各装置(例えば、水温センサ12、車速センサ13等)に車両情報を要求してもよい。
ECU3は、例えば、ドライバ情報の少なくともいずれかの条件及び車両情報の少なくともいずれかの条件が満たされる場合に、自動停止状態であると判定できる。
<ドライバ情報の条件>
・アクセルペダル112の解放
・ブレーキペダル114の踏み込み
<車両情報の条件>
・車速が所定速度(例えば、「0km/h」又は「9-13km/h」)以下
ECU3は、バッテリの液温及びバッテリの充電状態等を考慮して、自動停止状態であると判定してもよい。
なお、エンジン2が自動的に停止した自動停止状態である場合、車両は停止していてもよいし(車速=0)、移動していてもよい(車速>0)。
ECU3は、エンジン2が自動停止状態であると判定した場合、ステップS20の処理を実行する。ECU3は、エンジン2が自動停止状態でないと判定した場合、ステップS10の処理を繰り返してもよい。
ステップS20において、ECU3は、エンジン2が自動停止状態である場合、電磁弁16の開放を維持する。これにより、第燃料タンク4内の気体燃料を燃料切換装置5まで導くことができ、エンジン2の始動時に気体燃料をエンジン2へ即座に供給することができるため、気体燃料を使用してもエンジン2の始動性を維持することができる。
ステップS30において、ECU3は、エンジン2の始動条件が成立したか否かを判定する。ECU3は、ドライバ情報及び車両情報の両方に基づいて、エンジン2の始動条件が成立したか否かを判定できる。
ECU3は、例えば、ドライバ情報の少なくともいずれかの条件及び車両情報の少なくともいずれかの条件が満たされる場合に、エンジン2の始動条件が成立したと判定できる。
<ドライバ情報の条件>
・アクセルペダル112の踏み込み
・ブレーキペダル114の解放
<車両情報の条件>
・車速の増分が所定値(例えば、「2km/h」)以上
・自動停止状態に移行してから所定時間が経過
・バッテリの電圧が所定値以下
ECU3は、エンジン2の始動条件が成立したと判定した場合、ステップS40の処理を実行する。ECU3は、エンジン2の始動条件が成立しないと判定した場合、ステップS40の処理を繰り返す。
ステップS40において、ECU3は、エンジン2が所定状態であるか否かを判定する。所定状態は、気体燃料の始動性が良好である状態である。具体的には、所定状態は、気体燃料を使用してエンジン2を始動した場合に、所定時間内にエンジン2が実際に始動する(エンジン2の回転数が増加する)状態である。所定状態は、燃料が入れられるエンジン2の燃料室内の温度が気体燃料の始動性が悪化しない温度である状態であってもよい。例えば、所定状態は、完全暖気状態である。燃料室内の温度が所定値(例えば、38度)以上である場合、エンジン2が完全暖気状態であってもよい。
ECU3は、車両情報に基づいて判定できる。例えば、ECU3は、エンジン2の水温(測定値)が所定値以上である場合、エンジン2が所定状態であると判定できる。
ECU3は、エンジン2が所定状態であると判定した場合、ステップS50の処理を実行する。ECU3は、エンジン2が所定状態でないと判定した場合、ステップS80の処理を実行する。
なお、ECU3は、エンジン2が所定状態であると判定した場合、ステップS50の処理を実行せずに、ステップS70の処理を実行してもよい。
ステップS50において、ECU3は、燃料の供給なくエンジン2が回転したか否かを判定する。
例えば、ECU3は、エンジン2内に燃料が供給されないフューエルカット(F/C)の実行中において、減速時アイドリングストップが実行されたか否かを判定する。すなわち、ECU3は、F/Cの実行中において、車両の減速中に所定の速度以下になることによりエンジン2が自動的に停止したか否かを判定する。ECU3は、F/Cの実行中において、減速時アイドリングストップが実行された場合には、燃料の供給なくエンジン2が回転したと判定する。一方、ECU3は、F/Cの実行中であっても、減速時アイドリングストップが実行されなかった場合には、燃料の供給中にエンジン2が回転したと判定する。
ECU3は、車両情報とドライバ情報との両方に基づいて、減速時アイドリングストップが実行されたか否かを判定できる。ECU3は、車速が所定速度(例えば、9-13km/hのいずれか値)以下のときにエンジン2が自動停止状態になった場合、減速時アイドリングストップが実行されたと判定できる(ステップS10参照)。なお、ECU3は、ステップS10において、減速時アイドリングストップが実行されたか否かを判定してもよい。
なお、ECU3は、燃料切換装置5及び/又はインジェクタ15を制御していた場合、F/Cが実行されていたか否かを判定できる。
ECU3は、燃料の供給なくエンジン2が回転したと判定した場合、ステップS60の処理を実行する。ECU3は、燃料の供給なくエンジン2が回転していないと判定した場合、ステップS70の処理を実行する。
ECU3は、ステップS50において、インテークマニホールド6内に燃料が残っているか否かを判定してもよい。ECU3は、フューエルカットの開始から所定時間が経過していない場合、インテークマニホールド6内に燃料が残っていると判定する。ECU3は、フューエルカットの開始から所定時間が経過した場合、インテークマニホールド6内に燃料が残っていない(例えば、インテークマニホールド6内が空気で満たされた)と判定する。ECU3は、インテークマニホールド6内に燃料が残っていないと判定した場合、ステップS0の処理を実行する。ECU3は、インテークマニホールド6内に燃料が残っていると判定した場合、ステップS70の処理を実行する。
ステップS60において、ECU3は、スタータディレイを実行する。すなわち、ECU3は、スタータ7の作動タイミングを遅らせる。具体的には、ECU3は、自動停止状態からエンジン2を再始動する場合、スタータ7を第1タイミング(通常のタイミング)で作動する。一方で、ECU3は、エンジン2内に燃料が供給されずにエンジン2が回転した後に自動停止状態からエンジン2を再始動する場合、スタータ7を、第1タイミングよりも遅い第2タイミングで作動する。これにより、スタータ7が作動するまでにインジェクタ15から気体燃料がインテークマニホールド6に噴射され、エンジン2の燃料室に気体燃料を供給することができる。
第2タイミングは、第1タイミング(燃料の供給開始)から第2タイミングまでの時間は、少なくともインテークマニホールド6内に気体燃料が満たされるまでの時間である。従って、第2タイミングは、インテークマニホールド6内の体積及び気体燃料の噴射量に応じて設定できる。
なお、ECU3は、ステップS70及びS80の処理を行う際に、スタータ7を第1タイミングで作動する。
ステップS70において、ECU3は、気体燃料を選択する。これにより、インテークマニホールド6に気体燃料が供給される。その後、気体燃料を使用してエンジン2が始動する。
ステップS80において、ECU3は、液体燃料を選択する。これにより、インテークマニホールド6に液体燃料が供給される。その後、液体燃料を使用してエンジン2が始動する。
以上のように、実施形態に係るECU3は、エンジン2が自動的に停止した自動停止状態からエンジン2を再始動する場合、エンジン2の燃料として気体燃料を選択して使用する。エンジン2の始動によりエンジン2が稼働すると、エンジン2内の温度は上昇し、エンジン2は、気体燃料の始動性が良好である所定状態(例えば、完全暖気状態)へと移行する。エンジン2が自動的に停止した状態からエンジン2を再始動する場合、エンジン2は、通常、所定状態である。エンジン2が完全暖気状態である場合、液体燃料を使用せずに気体燃料を使用しても、エンジン2の始動性を維持することができる。従って、気体燃料を使用する機会が増加するため、エンジン2の始動性を維持しつつ、燃費を向上させることができる。
実施形態に係るECU3は、エンジン2の状態が所定状態であると判定したことに応じて、燃料として気体燃料を選択して使用する。エンジン2の状態が所定状態でないと判定したことに応じて、燃料として液体燃料を選択して使用する。これにより、エンジン2が気体燃料の始動性が良好である所定状態である場合に、気体燃料を使用でき、エンジン2が所定状態でない場合には、気体燃料を使用することを避けることができる。従って、エンジン2の始動性をより確実に維持しつつ、燃費を向上させることができる。
実施形態に係るECU3は、自動停止状態からエンジン2を再始動する場合、スタータ7を第1タイミングで作動する。ECU3は、エンジン2内に燃料が供給されずにエンジン2が回転した後に自動停止状態からエンジン2を再始動する場合、燃料として気体燃料を選択したことに応じて、スタータ7を第1タイミングよりも遅い第2タイミングで作動する。エンジン2内に燃料の噴射なくエンジン2が回転した場合には、エンジン2の燃料室及び/又はインテークマニホールド6内に燃料が残っていない可能性が高い。このため、スタータ7を通常のタイミングで作動してもエンジン2が始動しない虞がある。スタータ7の作動タイミングを遅らせることで、効率よくエンジン2を再始動することができる。
実施形態に係るECU3は、エンジン2内に燃料が供給されないフューエルカットの実行中において、車両の減速中に所定の速度以下になることによりエンジン2が自動的に停止した(減速時アイドリングストップ)と判定する(S10又はS50参照)。ECU3は、自動停止状態からエンジン2を再始動する場合、燃料として気体燃料を選択したことに応じて、スタータ7を第2タイミングで作動する(S60参照)。フューエルカットの実行中において、車両が減速することにより自動停止状態(いわゆる、減速時アイドリングストップ)へ移行した場合、エンジン内に燃料が供給されていないため、エンジン2の燃料室及び/又はインテークマニホールド6内に燃料が残っていない可能性が高い。従って、エンジン2が回転した後に自動停止状態からエンジン2を再始動すると判定することにより、スタータ7を第2タイミングで作動することで、効率よくエンジン2を再始動することができる。
(動作例2)
動作例2について、図3を用いて説明する。なお、動作例1と同様の動作は説明を適宜省略する。
本動作例2は、モータとエンジン2の駆動力を切り離すことができない車両で実行される動作である。
なお、本動作を実行する前に、ECU3は、モータとエンジン2の駆動力を切り離すことができないか否かを判定してもよい。ECU3は、エンジン2の停止中にモータの駆動することで、エンジン2が回転する場合には、モータとエンジン2の駆動力を切り離すことができないか否かを判定してもよい。
図3に示すように、ステップS110において、ECU3は、エンジン2が停止状態か否かを判定する。停止状態とは、エンジン2が稼働していない状態であり、上述の自動停止状態とは異なる状態である。ただし、モータとエンジン2の駆動力を切り離すことができないため、モータの駆動によりエンジン2の連れ回りが発生し、エンジン2が回転する。従って、エンジン2の連れ回りとは、モータの駆動力のみでエンジン2が回転する現象である。
ECU3は、例えば、モータによる駆動が実行されている場合に、エンジン2が停止状態と判定できる。ECU3は、モータの始動条件が成立した場合に、エンジン2が停止状態と判定してもよい。例えば、ECU3は、運転者の操作(例えば、モータの駆動を選択する操作)によりドライバ情報がモータの駆動が選択されたことを示す場合、エンジン2が停止状態と判定してもよい。ECU3は、車両情報によりモータの始動条件が満たされた場合に、エンジン2が停止状態と判定してもよい。
ECU3は、エンジン2が停止状態であると判定した場合、ステップS120の処理を実行する。ECU3は、エンジン2が停止状態でないと判定した場合、ステップS110の処理を繰り返してもよい。
ステップS120において、ECU3は、エンジン2の始動条件が成立したか否かを判定する。ECU3は、モータによる駆動を終了した場合に、エンジン2の始動条件が成立したと判定できる。ECU3は、モータの停止条件(又はエンジン2の始動条件)が成立した場合に、エンジン2が停止状態と判定してもよい。例えば、ECU3は、運転者の操作(例えば、エンジン2の駆動を選択する操作)によりドライバ情報がエンジン2の駆動が選択されたことを示す場合、エンジン2の始動条件が成立したと判定してもよい。ECU3は、車両情報によりモータの停止条件(又はエンジン2の始動条件)が満たされた場合に、エンジン2が停止状態と判定してもよい。
ECU3は、エンジン2の始動条件が成立したと判定した場合、ステップS130の処理を実行する。ECU3は、エンジン2の始動条件が成立しないと判定した場合、ステップS120の処理を繰り返してもよい。
ステップS130は、ステップS40に対応する。ECU3は、エンジン2が所定状態であると判定した場合、ステップS140の処理を実行する。ECU3は、エンジン2が所定状態でないと判定した場合、ステップS170の処理を実行する。
ステップS140において、ECU3は、エンジン停止状態でモータの駆動力により車両が走行した(EV走行を実行した)否かを判定する。
ECU3は、例えば、エンジン2の停止状態においてモータを駆動(制御)している場合、連れ回りにより車両が走行したと判定する。ECU3は、モータを駆動していない場合、連れ回りにより車両が走行していないと判定する。
ECU3は、例えば、モータの駆動中に、ドライバ情報の少なくともいずれかの条件及び車両情報の少なくともいずれかの条件が満たされる場合に、EV走行を実行したと判定してもよい。
<ドライバ情報の条件>
・アクセルペダル112の踏み込み
・ブレーキペダル114の解放
<車両情報の条件>
・車速が所定速度以上
ECU3は、エンジン停止状態でEV走行を実行したと判定した場合、ステップS150の処理を実行する。ECU3は、エンジン停止状態でEV走行を実行していないと判定した場合、ステップS160の処理を実行する。
ステップS150は、ステップS60に対応し、ステップS160は、ステップS70に対応する。
以上のように、実施形態に係るECU3は、モータの駆動力とエンジン2の駆動力とが切り離せない場合、エンジン2の停止状態において(エンジン2の駆動力なく)モータの駆動力により車両が走行したか否かを判定する(ステップS140参照)。エンジン停止状態からエンジン2を再始動する場合、モータの駆動力により車両が走行していないと判定したことに応じて、エンジン2の始動を行うスタータ7を第1タイミングで作動する。当該判定をした場合には、エンジン2の連れ回りが発生していないため、エンジン2の燃料室及び/又はインテークマニホールド6内に(燃料)が残っている。このため、スタータ7を第1タイミングで作動することで、燃費を向上させつつも、エンジン2の始動性を維持することができる。
一方、ECU3は、エンジン停止状態からエンジン2を再始動する場合、モータの駆動力により車両が走行していると判定したことに応じて、スタータ7を第1タイミングよりも遅い第2タイミングで作動する。当該判定をした場合には、エンジン2の連れ回りが発生している。エンジン2の連れ回りによる走行により、インテークマニホールド6内の空気(燃料)が掃気されるため、エンジン2の燃料室及び/又はインテークマニホールド6内に燃料が残っていない可能性が高い。従って、スタータ7を第2タイミングで作動することで、効率よくエンジン2を再始動することができる。
(3)その他実施形態
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
上述において、同一の車両が、動作例1及び動作例2を実行してもよい。例えば、ECU3は、エンジン2が自動停止状態である場合に、動作例1を実行し、エンジン2が停止状態である場合に、動作例2を実行してもよい。
エンジンの始動性を維持しつつ、燃費を向上させることができるため、液体燃料と気体燃料とを使用可能であるよう構成されたエンジンを有する車両に利用することができる。
1 :車両システム
2 :エンジン
3 :ECU
4 :燃料タンク
5 :燃料切換装置
6 :インテークマニホールド
7 :スタータ
8 :駆動輪
9 :クラッチ
10 :変速機
11 :ペダル
12 :水温センサ
13 :車速センサ
14 :燃料選択スイッチ
15 :インジェクタ
16 :電磁弁
41 :第1燃料タンク
42 :第2燃料タンク
112 :アクセルペダル
114 :ブレーキペダル
116 :クラッチペダル

Claims (4)

  1. 液体燃料と気体燃料とを使用可能であるよう構成されたエンジンを有する車両を制御するための制御装置であって、
    前記エンジンが自動的に停止した自動停止状態から前記エンジンを再始動する場合、前記エンジンの燃料として前記気体燃料を選択して使用し、
    前記自動停止状態から前記エンジンを再始動する場合、前記エンジンの始動を行うスタータを第1タイミングで作動し、
    前記エンジン内に前記燃料が供給されずに前記エンジンが回転した後に前記自動停止状態から前記エンジンを再始動する場合、前記燃料として前記気体燃料を選択したことに応じて、前記スタータを第1タイミングよりも遅い第2タイミングで作動する、制御装置。
  2. 液体燃料と気体燃料とを使用可能であるよう構成されたエンジンを有する車両を制御するための制御装置であって、
    前記エンジンが自動的に停止した自動停止状態から前記エンジンを再始動する場合、前記エンジンの燃料として前記気体燃料を選択して使用し、
    前記車両が備えるモータの駆動力と前記エンジンの駆動力とが切り離せない場合、前記エンジンの停止状態において前記モータの駆動力により前記車両が走行したか否かを判定し、
    前記停止状態から前記エンジンを再始動する場合、前記モータの駆動力により前記車両が走行していないと判定したことに応じて、前記エンジンの始動を行うスタータを第1タイミングで作動し、
    前記停止状態から前記エンジンを再始動する場合、前記モータの駆動力により前記車両が走行していると判定したことに応じて、前記スタータを前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで作動する、制御装置。
  3. 前記エンジンの状態が前記気体燃料の始動性が良好である所定状態であるか否かを判定し、
    前記自動停止状態から前記エンジンを再始動する場合、
    前記エンジンの状態が前記所定状態であると判定したことに応じて、前記燃料として前記気体燃料を選択して使用し、
    前記エンジンの状態が前記所定状態でないと判定したことに応じて、前記燃料として前記液体燃料を選択して使用する請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記エンジンの状態が前記所定状態であると判定し、かつ、前記エンジン内に前記燃料が供給されないフューエルカットの実行中において、前記車両の減速中に所定の速度以下になることにより前記エンジンが自動的に停止したと判定し、
    前記自動停止状態から前記エンジンを再始動する場合、前記燃料として前記気体燃料を選択したことに応じて、前記スタータを前記第2タイミングで作動する請求項1又は3に記載の制御装置。
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